JP2014003055A - 太陽電池用封止材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の熱特性を有するポリエチレン系重合体と特定の熱特性を有するエチレン−オレフィンランダム共重合体を含有してなる特定の熱特性を有するエチレン系樹脂組成物からなる層を少なくとも2層有する太陽電池用封止材。
【選択図】なし
Description
成物からなる太陽電池用封止材が、特許文献4には特定の非晶性−α−オレフィン重合体と結晶性−α−オレフィン重合体を含有する樹脂組成物、具体的には、プロピレンを主成分とする重合体からなる樹脂組成物からなる太陽電池用封止材が開示されている。
本発明はこのような状況下なされたものであり、有機過酸化物のようなラジカル発生剤の使用による架橋の必要が無く、太陽電池モジュールの形成や太陽電池素子のリサイクルを容易に実施出来、耐熱性およびシートのフラット性に優れた太陽電池用封止材を提供することを課題とする。
[1] 示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が115〜120℃のポリエチレン系重合体(a1)と同結晶融解ピーク温度が50〜80℃のエチレン−オレフィンランダム共重合体(b1)を含み、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が50〜85J/gのエチレン系樹脂組成物(c1)からなる芯層と、
同結晶融解ピーク温度が121〜127℃のポリエチレン系重合体(a2)と同結晶融解ピーク温度が50〜79℃のエチレン−オレフィンランダム共重合体(b2)を含み、同結晶融解熱量が50〜85J/gのエチレン系樹脂組成物(c2)からなり、芯層の片面または両面に積層される表面層と、から構成されることを特徴とする太陽電池用封止材。
本発明の太陽電池用封止材は、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度(以下、単に「結晶融解ピーク温度という」)が115〜120℃のポリエチレン系重合体(a1)と結晶融解ピーク温度が50〜80℃のエチレン−オレフィンランダム共重合体(b1)を含み、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量(以下、単に「結晶融解熱量という」)が50〜85J/gのエチレン系樹脂組成物(c1)からなる芯層と、結晶融解ピーク温度が121〜127℃のポリエチレン系重合体(a2)と結晶融解ピーク温度が50〜79℃のエチレン−オレフィンランダム共重合体(b2)を含み、結晶融解熱量が50〜85J/gのエチレン系樹脂組成物(c2)からなり、芯層の片面若しくは両面に積層されてなる表面層と、から構成される。
本発明に用いられるポリエチレン系重合体(a1,2)は、結晶融解ピーク温度がそれぞれ(a1)で115〜120℃、(a2)で121〜127℃を満足すれば特に限定されないが、例えば低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。これらのポリエチレンは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
特に、本発明においては、上記ポリエチレン系重合体(a1,2)として、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンは、密度が比較的低く、分子量分布が小さいことから、温度変化によるポリエチレンの結晶化が進みにくいからである。
このようなポリエチレン系重合体は、例えば触媒として上記のようにメタロセン系触媒を用いてエチレンモノマーを単独重合させることによって、またはエチレンモノマーと炭素数3〜20のオレフィンとを共重合させることによって得ることができる。ここでエチレンと共重合するオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性などの観点からエチレンと共重合するオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するオレフィンは1種のみを単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
なお、ポリエチレン系重合体の前記結晶融解ピーク温度は、製造時の条件を例えば共重
合モノマーの含有量や種類を変えることにより調整することが可能であり、具体的には、これを高くする場合には、共重合モノマーの含有量を少なくすることで可能である。
このポリエチレン系重合体のメルトインデックスを調整する方法としては、ポリマーの重合度や分子量分布を調整することが挙げられ、メルトインデックスを高くするためには、例えばポリマーの重合度を低くし、低分子量化することが挙げられる。
本発明に用いられるエチレン−オレフィンランダム共重合体(b1,2)は、結晶融解ピーク温度が(b1)で50〜80℃、(b2)で50〜79℃の条件を満足すれば特に限定されないが、通常、エチレンと炭素数3〜20のオレフィンとのランダム共重合体が好適に用いられる。ここでエチレンと共重合するオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1等が例示される。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性などの観点からエチレンと共重合するオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するオレフィンは1種のみを単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。
なお、エチレン−オレフィンランダム系共重合体の前記結晶融解ピーク温度は、製造時の条件を例えば共重合モノマーの含有量や種類を変えることにより調整することが可能であり、具体的には、これを高くする場合には、共重合モノマーの含有量を少なくすることで可能である。
このエチレン−オレフィンランダム系共重合体のメルトインデックスを調整する方法としては、ポリマーの重合度や分子量分布を調整することが挙げられ、メルトインデックスを高くするためには、例えばポリマーの重合度を低くすることが挙げられる。
本発明の太陽電池用封止材を構成するエチレン系樹脂組成物(c1,2)は、上述したポリエチレン系重合体(a1,2)とエチレン−オレフィンランダム共重合体(b1,2)を含有してなり、当該組成物の結晶融解熱量が50〜85J/gであることが好ましく、より好ましくは60〜80J/gである。エチレン系樹脂組成物(c1,2)の結晶融解熱量が該範囲内であれば、耐熱性およびシートのフラット性のバランスに優れた太陽電池用封止材が得られやすく好ましい。
が挙げられる。エチレン性不飽和シラン化合物としては、上記ポリエチレン系重合体(a2)やエチレン−オレフィンランダム共重合体(b2)とグラフト重合するものであれば特に限定されるものではなく、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、および、ビニルトリカルボキシシランからなる群から選択される少なくとも1 種類のものを用いることができる。中でも、ビニルトリメトキシシランやビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
なお、上記のラジカル発生剤を用いる場合、シラン変性樹脂の合成時にラジカル発生剤は分解し、シラン変性樹脂にラジカル発生剤は実質的に含まれなくなる。
することが好ましい。より好ましくは0.03〜0.2重量%である。
シラン変性樹脂の融点は、これを得るために用いるエチレン系重合体(a2)やエチレン−オレフィンランダム共重合体(b2)や重合性官能基を有するアルコキシシランの種類や量を調整することで、調整することができる。
なお、本発明でいう実質的に含有しないとは、エチレン系樹脂組成物において、ラジカル発生剤の含有量が0.001重量%未満である場合をいう。
本発明に用いられる酸化防止剤は、太陽電池用封止材の酸化劣化を防止するために使用される。具体的には、例えば、フェノール系酸化防止剤として、モノフェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノールおよびステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど)、ビスフェノール類(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)および3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)、並びに高分子型フェノール類(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンおよびトコフェノールなど)、硫黄系酸化防止剤(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネートおよびジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートなど)、リン系酸化防止剤として、ホスファイト類(ジフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ホスファイトおよびビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイトなど)並びにオキサホスファフェナントレンオキサイド類(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファ
フェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドおよび10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなど)が挙げられる。
本発明に用いられる光安定剤は、紫外線により太陽電池用封止材中に生成したラジカルを捕捉し、光酸化を防止するために使用される。具体的には、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などのヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、無害な熱エネルギーに変換し太陽電池用封止材の耐光性を向上させるために使用される。具体的には、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレートおよびp−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−{(2’−ヒドロキシ−3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾ
トリアゾール等のベンゾトリアゾール類、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類、二酸化チタンや酸化亜鉛等の金属酸化物類などが挙げられる。
本発明に用いられる造核剤は、太陽電池モジュール用充填材シートの透明性を上げるために使用される。具体的には、1、3、2、4−ジ(メリルベンジリデン)ソルビトー
ル、1、3−クロルベンジリデン−2、4−メチルベンジリデンソルビトール、1、3、2、4−ジベンジリデンソルビトール、1、3、2、4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1、3、2、4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1、3:2、4−ビス−O−ジメチルベンジリデン−D−ソルビトール等のソルビトール系核剤やビス(2、4、8、10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,f][1、3、2]ジオキサフォスシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩等リンエステル金属塩系核剤やベーマイト、ゼオライト、タルク、二酸化チタン、マイカ、ハイドロタルサイト等の無機系核剤、リケマスターCN−001(商品名、理研ビニル(株))、リケマスターCN−002(商品名、理研ビニル(株))などが挙げられ、これらの造核剤は、単独または混合物として使用することができる。
なお、上記の造核剤のうち、リケマスターCN−001(商品名、理研ビニル(株))、リケマスターCN−002(商品名、理研ビニル(株))については、エチレン系樹脂組成物(c1,2)全量に対し、0.5〜5.0重量%添加することが好ましい。
本発明の太陽電池用封止材は、上述したエチレン系樹脂組成物(c1,2)をそれぞれ芯層及び表面層として積層してなる。
一般に、太陽電池モジュールは発電時の発熱や太陽光の輻射熱などで、その使用環境により表面温度は120℃に達する場合があり、その耐熱性温度は120℃以上であれば、本発明の太陽電池用封止材の耐熱性を確保することが出来、発熱による封止材の流動や変形を防止できるため好ましい。本発明においては、厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦100mm、横100mm)の間に厚みが0.4mmのシート状太陽電池用封止材を挟み、真空ラミネーターを用いて150℃、10分の条件で積層加熱圧着した試料を作製し、該試料を120℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し100時間経過後の状態を観察し、ガラスが初期の基準位置からずれなかったものを○、ガラスが初期の基準位置からずれたり、封止材が溶融したものを×として耐熱性の優劣を評価した。
浮き上り量が、10mm未満であることが好ましく、より好ましくは5mm未満である。
試験機:島津製作所株式会社製の引張試験機オートグラフAGS−X
測定角度:180°剥離
剥離速度:100mm/分
次に、本発明の太陽電池用封止材の製造方法について説明する。本発明の太陽電池用封止材の成形方法は、シート状の多層成形物を得ることが出来れば特に制限は無く、例えばTダイ押出キャスト法やインフレーション法等の公知の方法を用いることができる。通常、ハンドリング性や生産性等の面からTダイ押出キャスト法が好適に用いられる。成形温度は、用いるエチレン系樹脂組成物(c1,2)の流動特性や製膜性等によって適宜調整
されるが、概ね130〜230℃、好ましくは、150〜200℃である。シート成形に用いられるエチレン系樹脂組成物(c1,2)は酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を予め樹脂とともにドライブレンドしてからシート成形装置に装備された押出機内に供給してもよく、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給してもよく、予め添加剤を樹脂中に濃縮したマスターバッチを作製しその他の原料と一緒に供給してもよい。また、上記シート成形装置等で得られたシート状の太陽電池用封止材の表裏面には、シート間のブロッキング防止や太陽電池素子のラミネート工程でのエアー抜きの向上や太陽電池セルの破損防止などのためにエンボス加工を行うことが出来る。
なお、本発明の太陽電池用封止材は、芯層の片面に表面層が積層されている態様も挙げられ、この場合には、リサイクル性を向上させる観点から、太陽電池素子は芯層に接している態様が好ましい。
(1)結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)
エス・アイ・アイナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計、商品名「EXSTAR
DSC7020」を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)を求めた。
エス・アイ・アイナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計、商品名「EXSTAR
DSC7020」を用いて、JIS K7122に準じて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから結晶融解熱量(ΔHm)(J/g)を求めた。
厚み3mmの白板ガラス(サイズ;縦100mm、横100mm)2枚の間に厚みが0.4mmのシート状太陽電池封止材を挟み、ニッシン・トーア(株)製の真空ラミネーター「PVL0505S」を用いて、150℃、10分の条件で積層加熱圧着した試料を作製し、該試料を120℃の恒温槽内で60度に傾斜して設置し100時間経過後の状態を観察し、下記の基準で評価した。
(○)ガラスが初期の基準位置からずれなかったもの
(×)ガラスが初期の基準位置からずれたり、シートが溶融したもの
シート状太陽電池用封止材の製膜時に、厚み0.4mmの封止シートを直径6インチの紙管に巻取り、23℃、50%RH条件下で2日間状態調節後に巻き出したシートから100mm角の試料を採取し、定盤上にて試料の端辺を固定したときの対辺の最大浮き上り量を測定した。具体的には、浮き上り量が、10mm未満であることが好ましく、より好ましくは5mm未満である。その結果を表記した。
(◎)浮き上り量が5mm未満
(○)浮き上り量が5mm以上、10mm未満
(×)浮き上り量が10mm以上
ポリエチレン系重合体(a1)として、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(宇部
丸善ポリエチレン(株)製、商品名:ユメリット0520F、MI:2、Tm:117℃)(以下、a1−1と略する)とエチレン−オレフィンランダム共重合体(b1)として、メタロセン系プラストマー(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKJ640T、MI:30、Tm:65℃)(以下、b1−1と略する)を表1に示す割合で混合した芯層用エチレン系樹脂組成物(c1)およびポリエチレン系重合体(a2)として、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名:ユメリット3540FC、MI:4、Tm:122℃)(以下、a2−1と略する)とエチレン−オレフィンランダム共重合体(b2)として、メタロセン系プラストマー(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKJ640T、MI:30、Tm:65℃)(以下、b2−1と略する)を表1に示す割合で混合した表面層用エチレン系樹脂組成物(c2)をTダイを備えた20mmφ単軸の3種3層多層押出機を用いて、表1に示す層構成にて設定温度200℃で溶融混練し、20℃のキャストロールにて製膜し直径6インチの紙管に巻き取ることにより厚みが0.4mmのシート状太陽電池用封止材を得た。得られたシートを用いて評価した結果を表1に示す。
実施例1において、全層を(a2−1)単独に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて評価した結果を表1に示す。
実施例1において、全層を(a1−1)単独に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例1において、表面層を構成するエチレン系樹脂組成物(c2)を(a2−1)単独系に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例2において、表面層を構成するエチレン系樹脂組成物(c2)を(b2−1)単独系に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例2において、芯層を構成するエチレン系樹脂組成物(c1)を(a1−1)単独系に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例2において、芯層を構成するエチレン系樹脂組成物(c1)を(b1−1)単独系に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例1において、芯層を構成するエチレン系樹脂組成物(c1)および表面層を構成するエチレン系樹脂組成物(c2)のエチレン−オレフィンランダム共重合体(b1)および(b2)を、メタロセン系プラストマー(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKS560T、MI:16、Tm:86℃)(b1−2)およびメタロセン系プラス
トマー(日本ポリエチレン(株)製、商品名:カーネルKS560T、MI:16、Tm:86℃)(以下、b2−2と略す。)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例1において、芯層を構成するエチレン系樹脂組成物(c1)のポリエチレン系重合体(a1)を、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名:ユメリット3540FC、MI:4、Tm:122℃)(a1−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例1において、芯層を構成するエチレン系樹脂組成物(c1)を(b1−1)単独系に、表面層を構成するエチレン系樹脂組成物(c2)を(b2−2)単独系に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
実施例1において、芯層および表面層を構成するエチレン系樹脂組成物(c1)および(c2)のポリエチレン系重合体(a1)および(a2)を超低密度エチレン−オレフィンブロック共重合体(ダウケミカル(株)製、商品名:インフューズD9100、MI:1、Tm:119℃)(a1−3)および(a2−2)に、エチレン−オレフィンランダム共重合体(b1)および(b2)を、超低密度エチレン−オレフィンランダム共重合体(ダウケミカル(株)製、商品名:エンゲージE8200、MI:5、Tm:65℃)(b1−3)および(b2−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.4mmのシートを得た。得られたシートを用いて、評価した結果を表1に示す。
本発明の太陽電池用封止材は、太陽電池モジュール製造時にラジカル発生剤の使用も必要としないので、太陽電池モジュール製造工程のうち積層、ラミネート工程における生産性を著しく高めることが出来るだけでなく、非架橋タイプのためセルのリサイクル性にも
優れ、太陽電池モジュールの製造コストを大幅に低減させることが可能である。
特に、前記特許文献1に記載の発明のように、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を封止材として用いる場合には、上記積層、ラミネート工程において、有機過酸化物のようなラジカル発生剤を分解させてEVAを架橋させるための操作が、本発明では不要である。
本発明の太陽電池用封止材は、耐熱性に優れるため、太陽電池モジュールの使用時に温度上昇しても、封止材が流動したり変形したりするトラブルの回避が可能であり、太陽電池の外観を損なうことも無い。
本発明の太陽電池用封止材を用いることにより、安価で且つ優れた性能を有する太陽電池モジュールが提供される。
Claims (3)
- 示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度が115〜120℃のポリエチレン系重合体(a1)と同結晶融解ピーク温度が50〜80℃のエチレン−オレフィンランダム共重合体(b1)を含み、示差走査熱量測定における加熱速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が50〜85J/gのエチレン系樹脂組成物(c1)からなる芯層と、
同結晶融解ピーク温度が121〜127℃のポリエチレン系重合体(a2)と同結晶融解ピーク温度が50〜79℃のエチレン−オレフィンランダム共重合体(b2)を含み、同結晶融解熱量が50〜85J/gのエチレン系樹脂組成物(c2)からなり、芯層の片面または両面に積層される表面層と、から構成されることを特徴とする太陽電池用封止材。 - 前記表面層が芯層の片面に積層されているとき、表面層と芯層の層厚さの比が1:3〜1:20であり、前記表面層が芯層の両面に積層されているとき、表面層と芯層の層厚さの比が1:3〜1:20の範囲にあり、且つ、両表面層の層厚さの比が1:3〜3:1であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池用封止材。
- エチレン系樹脂組成物(c2)が、重合性官能基を有するアルコシキシランと、前記ポリエチレン系重合体(a2)及び前記エチレン−オレフィンランダム共重合体(b2)から選ばれる1種以上とを共重合させて得られるシラン変性樹脂を含み、実質的にラジカル発生剤を含有しないことを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池用封止材。
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