JP2014002413A - 電子写真感光体、新規エナミン系化合物、電子写真感光体カートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に、感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、Hammett則における置換基定数σpが0.20以下であって、炭素数1〜6の有機基を有するエナミン系化合物を少なくとも一種含有する、電子写真感光体。
【選択図】図1
Description
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、上述したエナミン系化合物を含有する感光層を設けたものであれば、その構造は特に制限されない。中でも、電荷発生層と、電荷輸送層とが積層された積層型の感光体が好ましく、特に、電荷輸送層が、上述したエナミン系化合物を含有することが好ましい。
導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主に使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層および電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、本発明における感光層は、いずれの形式であってもよい。
・電荷発生層
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
なお、以下において、実施例1及び2について「実施例」は「参考例」と読み替えるものとする。
(製造例1:例示化合物CT−1の製造)
窒素雰囲気下、還流管、Dean−Stark分水器を順次に反応器にセットし、N−(p−トリル)−N−(3,4−キシリル)アミン5.90g(27.9mmol)、ジフェニルアセトアルデヒド5.48g(27.9mmol)、酢酸30ml、トルエン30mlをそれぞれ反応器に仕込み、撹拌をしながら、2時間還流脱水し、室温まで冷却した。反応液とトルエン/脱塩水(v/v=1:1)を混合撹拌し、分液した。得られた有機層を1N NaOHの水溶液で洗浄、分液し、さらに有機層を脱塩水で2〜3回洗浄、分液した。得られた有機層の溶媒を減圧留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル400g、展開溶媒:トルエン/ヘキサン=1/3)に通し、さらにメタノールによる再沈で精製した。真空乾燥した後、上記の例示化合物CT−1を薄黄色粉末として得た(収量9.13g、収率84%、純度99.7%)。なお、純度は、高速液体クロマトグラフィーのチャートの単純面積比率値から算出した。この化合物の核磁気共鳴スペクトル(300MHz、Varian Gemini−2000 NMR spectrometer)を添付図3に示す。
N,N−ジ(3,4−キシリル)アミンを原料として使用した以外は、製造例1と同様な操作で、例示化合物CT−2を白色結晶として得た。この化合物の核磁気共鳴スペクトル(300MHz、Varian Gemini−2000 NMR spectrometer)を添付図4に示す。
N−(2−ナフチル)−N−(3,4−キシリル)アミンを原料として使用した以外は、製造例1と同様な操作で、例示化合物CT−7を薄黄色粉末として得た。この化合物の核磁気共鳴スペクトル(300MHz、Varian Gemini−2000 NMR spectrometer)を添付図5に示す。
下記の構造を有するジアリールアミンを原料として使用した以外は、製造例1と同様な操作で、例示化合物CT−10を薄黄色粉末として得た。この化合物の核磁気共鳴スペクトル(300MHz、Varian Gemini−2000 NMR spectrometer)を添付図6に示す。
N−(4−メトキシフェニル)−N−(6−メトキシ−2−ナフチル)アミンを原料として使用した以外は、製造例1と同様な操作で、例示化合物CT−12を薄黄色粉末として得た。この化合物の核磁気共鳴スペクトル(300MHz、Varian Gemini−2000 NMR spectrometer)を添付図7に示す。
N−(p−トリル)−N−(6−メトキシ−2−ナフチル)アミンを原料として使用した以外は、製造例1と同様な操作で、例示化合物CT−13を薄黄色粉末として得た。この化合物の核磁気共鳴スペクトル(300MHz、Varian Gemini−2000 NMR spectrometer)を添付図8に示す。
(実施例1:電子写真感光体A1)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み70nm)を形成した導電性支持体を用い、その導電性支持体のアルミニウム蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
例示化合物CT−1に代え、CT−2を電荷輸送物質として使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例としての電子写真感光体A2を得た。
例示化合物CT−1に代え、CT−7を電荷輸送物質として使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例としての電子写真感光体A3を得た。
例示化合物CT−1に代え、CT−10を電荷輸送物質として使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例としての電子写真感光体A4を得た。
例示化合物CT−1に代え、CT−12を電荷輸送物質として使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例としての電子写真感光体A5を得た。
例示化合物CT−1に代え、CT−13を電荷輸送物質として使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例としての電子写真感光体A6を得た。
例示化合物CT−1に代え、特許文献1に例示された下記の電荷輸送物質(J)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P1を得た。
例示化合物CT−1に代え、特許文献1に例示された下記の電荷輸送物質(K)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P2を得た。
例示化合物CT−1に代え、特許文献2に例示された下記の電荷輸送物質(L)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P3を得た。
例示化合物CT−1に代え、特許文献2に例示された下記の電荷輸送物質(M)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P4を得た。
例示化合物CT−1に代え、特許文献3に例示された下記の電荷輸送物質(N)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P5を得た。
例示化合物CT−1に代え、下記の電荷輸送物質(O)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P6を得た。
例示化合物CT−1に代え、下記の電荷輸送物質(P)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P7を得た。
例示化合物CT−1に代え、下記の電荷輸送物質(Q)を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例としての電子写真感光体P8を得たが、感光体塗布後に結晶が析出した。この感光体の電気特性測定を試みたが、ほとんど光減衰が見られず、特性の測定に至らなかった。
製造した電子写真感光体A1〜A6、P1〜P8について以下の電気特性試験を行った。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体シートを外径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、感光体の初期表面電位が−(マイナス。以下同じ。)700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.0μJ/cm2で露光したときの100ミリ秒後の露光後表面電位(以下、V1と呼ぶことがある。)を測定した。V1測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を100msとし、高速応答の条件とした。また、感光体表面電位が、−700Vからー350Vになるまでに要した半減露光エネルギーE1/2(μJ/cm2)を求めた。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行った。
オゾン暴露試験の方法を以下に記す。川口電気社製EPA8200を使用し、実施例A1〜A6、比較例P1〜P7で得られた感光体をコロトロン帯電器に25μAの電流を印加して帯電させ、その帯電値をV1とした。その後、これらの感光体に150ppm濃度のオゾンを1日5時間、2日間暴露し(総暴露量750ppm・時間)、暴露後に同様に帯電値を測定し、この値をV2とした。表3にオゾン暴露前後の帯電保持率[(V2/V1)×100](%)を示した。また、前記の電気特性評価法と同様に、露光10秒後、オゾン暴露前後の残留電位(それぞれVr1、Vr2とする)を測定し、その差ΔVr(Vr2−Vr1)を求め、表3にまとめた。
したがって、本発明のエナミン系化合物を電荷輸送物質として用いた電子写真感光体A1〜A6は、公知のエナミン系電荷輸送物質J、K、M、Nを用いた電子写真感光体より、良好な耐オゾン性を有し、電気的安定性が良いことが確認された。一方、公知のエナミン系電荷輸送物質L、O、Pを用いた感光体は、耐オゾン性の面で本発明のエナミン系電荷輸送物質とほぼ同様であることもわかった。
実施例A1〜A6、比較例P1〜P7で得られた感光体を、電荷輸送層の電界強度E=2.0+5E(V/cm)、温度21℃下におけるホールドリフト移動度をTOF法により測定した。各電子写真感光体A1〜A6、P1〜P7のホールドリフト移動度を表4に示す。
(実施例7〜12)
表面を陽極酸化し、封孔処理を施した直径3cm、長さ25.4cmのアルミニウムチューブ上に、電子写真感光体A1〜A6と同様に作製した電荷発生層及び電荷輸送層用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥して、膜厚が電荷発生層0.3μm、電荷輸送層20μmの電子写真感光体ドラムA7〜A12を、実施例7〜12として、それぞれ作製した。これらの電子写真感光体ドラムを、ヒューレットパッカード社製レーザープリンタ、レーザージェット4(LJ4)に搭載し、画像試験を行った。初期画像を印刷した後、引き続き1万枚連続印刷を行い、画像劣化の有無を目視で観察し、その結果を表5にまとめた。
実施例7〜12の手順において、電荷輸送層塗布液として電子写真感光体P1〜P7と同様に作製したものをそれぞれ用いた以外は、実施例7〜12と同様の手順で、比較例9〜15として、電子写真感光体ドラムP9〜P15を作製し、画像試験を行い、その結果を表5にまとめた。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙、媒体)
Claims (6)
- 導電性支持体上に、感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が、下記式[2]で表される構造を有するエナミン系化合物を少なくとも一種含有する、電子写真感光体。
- 前記式[2]で表される構造を有するエナミン系化合物がアルコキシ基、若しくは、ジアルキルアミノ基を有する場合、その数は、エナミン系化合物1分子あたり、合計で1個以上2個以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 下記式[2]で表される構造を有するエナミン系化合物。
- 前記式[2]で表される構造を有するエナミン系化合物がアルコキシ基、若しくは、ジアルキルアミノ基を有する場合、その数は、エナミン系化合物1分子あたり、合計で1個以上2個以下である、請求項3に記載のエナミン系化合物。
- 請求項1または2に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、該静電潜像をトナーで現像する現像手段、該トナーを被転写体に転写する転写手段、該被転写体に転写されたトナーを定着させる定着手段、および、該電子写真感光体に付着したトナーを回収するクリーニング手段からなる群から選ばれる少なくとも一つ、を備えた電子写真カートリッジ。
- 請求項1または2に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、該静電潜像をトナーで現像する現像手段、および、該トナーを被転写体に転写する転写手段、を備えた、画像形成装置。
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