JP2014001249A - 間接的な化学的複合体形成によって得られるヒアルロン酸又はその誘導体の抗腫瘍性バイオ複合体、及び医薬分野におけるそれらの使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なバイオ複合体群、それらの製造方法、及び腫瘍学分野における使用を開示する。
【解決手段】ヒアルロン酸及び/又はその誘導体と種々のグループに属する抗腫瘍活性を有する薬剤との間の分子スペーサーによる間接的合成手段によって得ることができる。前記新規な誘導体は、結合型及び置換度に関して様々な物理化学的特性を有し、前記特性によって、それらの耐性及び有効性が改善され、投与量のより正確な調整、能動的な標的誘導メカニズムの利用が可能になる。
【選択図】なし
【解決手段】ヒアルロン酸及び/又はその誘導体と種々のグループに属する抗腫瘍活性を有する薬剤との間の分子スペーサーによる間接的合成手段によって得ることができる。前記新規な誘導体は、結合型及び置換度に関して様々な物理化学的特性を有し、前記特性によって、それらの耐性及び有効性が改善され、投与量のより正確な調整、能動的な標的誘導メカニズムの利用が可能になる。
【選択図】なし
Description
腫瘍の発生、その増殖並びに一次及び二次転移への進行は、互いに統合された細胞性事象(器官選択的)の連続的な編成を必要とする、高度に複雑な生物学的過程である。
転移形成をもたらす腫瘍細胞の播種は、それら細胞の原発増殖部位からの剥離とそれに続く血管系及び/又はリンパ系への侵入の結果として生じる。
腫瘍の始まり、発育、播種及び移植、並びにその転移を引き起こす重要なプロセスに関するここ数年の進歩的な情報は、新規な抗腫瘍薬としての新規な化学的分子の研究、合成及び/又は実験の将来性を研究者らに与えただけでなく、抗新生組織形成(anti-neoplastic)薬剤の毒性に関連する問題を克服する新規な治療方法の研究及び改良、とりわけ上記薬剤に対する耐性を引き起こす化学的生物学的メカニズムの理解を促した。
転移形成をもたらす腫瘍細胞の播種は、それら細胞の原発増殖部位からの剥離とそれに続く血管系及び/又はリンパ系への侵入の結果として生じる。
腫瘍の始まり、発育、播種及び移植、並びにその転移を引き起こす重要なプロセスに関するここ数年の進歩的な情報は、新規な抗腫瘍薬としての新規な化学的分子の研究、合成及び/又は実験の将来性を研究者らに与えただけでなく、抗新生組織形成(anti-neoplastic)薬剤の毒性に関連する問題を克服する新規な治療方法の研究及び改良、とりわけ上記薬剤に対する耐性を引き起こす化学的生物学的メカニズムの理解を促した。
実際、腫瘍の治療に関連する主要な問題の1つは、初期の有望な応答後に生じる、薬理学的処置に対する腫瘍の“耐性”の可能性と関連する。
これらの“耐性”は、例えば以下のような腫瘍細胞の機能における生物学的/生化学的多様性に密接に関係している:
−薬剤の細胞内輸送における変化;
−可能な代謝阻害物質によりなされた薬剤に関する親和性の変化;
−薬剤を不活化する細胞自体の能力の実質的な増加。
最近公表された学術的研究(Misra et al. J Biol Chem 2003, 278(28):25285-25288)は、いくつかの化学療法薬剤に耐性を有する腫瘍細胞に対する、分子量が非常に小さいヒアルロン酸のオリゴマーによるin vitroでの前/同時処置が、どのようにして前記薬剤に対する細胞の初期の感受性を再樹立させるかを示した。これまでに得られた実験データは、しかしながら、これらのオリゴマーが、薬剤耐性の獲得、したがって腫瘍の増殖及び拡散に応答しえる細胞内の多様な分子的事象と干渉することを示したとしても、化学療法に対する感受性がどのようにして/なぜ再樹立されたかは完全には明らかにしていない。
これらの“耐性”は、例えば以下のような腫瘍細胞の機能における生物学的/生化学的多様性に密接に関係している:
−薬剤の細胞内輸送における変化;
−可能な代謝阻害物質によりなされた薬剤に関する親和性の変化;
−薬剤を不活化する細胞自体の能力の実質的な増加。
最近公表された学術的研究(Misra et al. J Biol Chem 2003, 278(28):25285-25288)は、いくつかの化学療法薬剤に耐性を有する腫瘍細胞に対する、分子量が非常に小さいヒアルロン酸のオリゴマーによるin vitroでの前/同時処置が、どのようにして前記薬剤に対する細胞の初期の感受性を再樹立させるかを示した。これまでに得られた実験データは、しかしながら、これらのオリゴマーが、薬剤耐性の獲得、したがって腫瘍の増殖及び拡散に応答しえる細胞内の多様な分子的事象と干渉することを示したとしても、化学療法に対する感受性がどのようにして/なぜ再樹立されたかは完全には明らかにしていない。
上記オリゴマーの薬理学的作用は、オリゴマー自体がCD-44レセプター(特にヒアルロン酸のレセプター)と結合するとき可能となる。なぜならば、前記オリゴマーは、HAの天然のレセプターの結合(多数の細胞機能及びとりわけ腫瘍細胞の統合に必要な相互作用)に対し抑制的に干渉しえるからである。
細胞膜に存在するそのレセプターとの結合(及びその後の内在化)を介して、実際HAは確かに多くの事象の活性化に参画し(前記事象は、細胞の生命にとって基本的に重要なものであり、例えば粘着/増殖プロセス及び細胞遊走の調節である)、炎症性過程では化学遊走メカニズムに参画し、さらに瘢痕形成過程、及び上記で述べたように転移形成のための腫瘍細胞の遊走において主要な役割を果たす。
実際、多くの固形腫瘍は大量のHAを提示し、前記は、結果的に腫瘍細胞上の他の組織及び器官の侵襲を促進することができる。
例えば癌、メラノーマ、リンパ腫、乳房の腫瘍、結腸-直腸及び肺の腫瘍のような腫瘍タイプは、トランスメンブレンレセプターCD44を過剰発現する。これらの細胞株で、抗レセプター抗体(結果としてレセプターを“ブロック”して天然のHAとの結合を妨げる)を用いて実施した実験は、増殖及び腫瘍転移を阻害する効率的な能力を示し、これによって、HAとそのレセプターとの結合の“干渉”が、細胞の生命にとって基本的に重要な多数の事象をどのようにして妨害するかが明らかにされ、したがって腫瘍全体の発育におけるHAの事実上の参画が示された。
細胞膜に存在するそのレセプターとの結合(及びその後の内在化)を介して、実際HAは確かに多くの事象の活性化に参画し(前記事象は、細胞の生命にとって基本的に重要なものであり、例えば粘着/増殖プロセス及び細胞遊走の調節である)、炎症性過程では化学遊走メカニズムに参画し、さらに瘢痕形成過程、及び上記で述べたように転移形成のための腫瘍細胞の遊走において主要な役割を果たす。
実際、多くの固形腫瘍は大量のHAを提示し、前記は、結果的に腫瘍細胞上の他の組織及び器官の侵襲を促進することができる。
例えば癌、メラノーマ、リンパ腫、乳房の腫瘍、結腸-直腸及び肺の腫瘍のような腫瘍タイプは、トランスメンブレンレセプターCD44を過剰発現する。これらの細胞株で、抗レセプター抗体(結果としてレセプターを“ブロック”して天然のHAとの結合を妨げる)を用いて実施した実験は、増殖及び腫瘍転移を阻害する効率的な能力を示し、これによって、HAとそのレセプターとの結合の“干渉”が、細胞の生命にとって基本的に重要な多数の事象をどのようにして妨害するかが明らかにされ、したがって腫瘍全体の発育におけるHAの事実上の参画が示された。
腫瘍学分野で満足な臨床結果をもたらして何年間も用いられてきたいくつかの抗腫瘍薬剤は、以下のように化学的に改変されていることは公知である:
−上記で詳細に述べたように、多くの腫瘍表現型が、細胞表面にHAに特異的なCD-44レセプターを過剰発現しているので、抗新生組織形成薬剤を直接腫瘍に誘導し、前記細胞のHAに結合させることから成る新規な治療方法を実施することにより、それらの本質的な毒性の問題を克服する(これは、全身的な毒性を低下させることによって薬剤の細胞有効性を増加させる積極的な標的誘導メカニズムである)。ポリマーの結合及び内在化はまた薬剤を腫瘍細胞内部に移送し、その有効性を高める;
−それらの可溶性を高める(強く親油性である分子(例えばHA)を含む脂溶性薬剤は循環系における薬剤自体の可溶性を顕著に増加させることが示された)。
実際、血管系における化学療法薬剤の可溶性は、それらの薬理学的有効性のために必須の条件である。多様なタイプの腫瘍で高い活性を有することが証明されたいくつかの薬剤、例えばカンプトテシン並びにそれらのイリノテカン及びトポテカン誘導体、パクリタキセル、並びにアルカロイド、ヴィンカ誘導体は、しかしながらそれらの高い不溶性の結果として、静脈内投与に関連する問題を有し(さらにホルモン及び抗ホルモンもまた筋肉内投与について問題を有する)、このことは前記の臨床応用を制限及び限定しえる。
−上記で詳細に述べたように、多くの腫瘍表現型が、細胞表面にHAに特異的なCD-44レセプターを過剰発現しているので、抗新生組織形成薬剤を直接腫瘍に誘導し、前記細胞のHAに結合させることから成る新規な治療方法を実施することにより、それらの本質的な毒性の問題を克服する(これは、全身的な毒性を低下させることによって薬剤の細胞有効性を増加させる積極的な標的誘導メカニズムである)。ポリマーの結合及び内在化はまた薬剤を腫瘍細胞内部に移送し、その有効性を高める;
−それらの可溶性を高める(強く親油性である分子(例えばHA)を含む脂溶性薬剤は循環系における薬剤自体の可溶性を顕著に増加させることが示された)。
実際、血管系における化学療法薬剤の可溶性は、それらの薬理学的有効性のために必須の条件である。多様なタイプの腫瘍で高い活性を有することが証明されたいくつかの薬剤、例えばカンプトテシン並びにそれらのイリノテカン及びトポテカン誘導体、パクリタキセル、並びにアルカロイド、ヴィンカ誘導体は、しかしながらそれらの高い不溶性の結果として、静脈内投与に関連する問題を有し(さらにホルモン及び抗ホルモンもまた筋肉内投与について問題を有する)、このことは前記の臨床応用を制限及び限定しえる。
上記に記載の理由(可溶性及び毒性)のために、新規な化学療法薬剤が合成された。それらは、ラクトン環を含むいくつかの抗新生組織形成薬剤(例えばドキソルビシン、パクリタキセル、ヴィンクリスチン、ヴィンブラスチンおよびカンプトテシンの誘導体)のヒアルロン酸との化学結合(アミノ酸又は短いアミノ酸鎖から成るスペーサーの手段による直接又は間接結合)又は単純な結合から生成される(米国特許6,291,671号)。
他の複合体は、多分にHAと結合されてあるポリグルタミン酸から成るポリマーと結合した抗新生組織形成薬剤(例えばパクリタキセル及びカンプトテシン)を含む(米国特許5,977,163号)。
他の新規な化学療法薬剤タイプもまた知られており、前記は、HA(ジヒドラジドで化学的に改変されている)及び担体、例えばポリマー、ヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミドの両者と共有結合した抗腫瘍性ドキソルビシンである(国際特許出願WO02/090390)。
新規な担体薬剤もまた知られており、前記は、抗新生組織形成薬剤(例えばドキソルビシン)と順次共有結合したアミノ酸鎖と化学的に複合体を形成した多糖類から成る(米国特許5,688,931号)。さらにまた、同じ理由から、他の放出系が完成された。前記は、例えばHAの脂質性誘導体を含むリポソーム中にドキソルビシンが被包化されてある(D. Peer et al. Neoplasia 2004, 6(4):343-353;R.E. Eliaz Cancer Research 2001, 61:2592-2601)。
他の複合体は、多分にHAと結合されてあるポリグルタミン酸から成るポリマーと結合した抗新生組織形成薬剤(例えばパクリタキセル及びカンプトテシン)を含む(米国特許5,977,163号)。
他の新規な化学療法薬剤タイプもまた知られており、前記は、HA(ジヒドラジドで化学的に改変されている)及び担体、例えばポリマー、ヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミドの両者と共有結合した抗腫瘍性ドキソルビシンである(国際特許出願WO02/090390)。
新規な担体薬剤もまた知られており、前記は、抗新生組織形成薬剤(例えばドキソルビシン)と順次共有結合したアミノ酸鎖と化学的に複合体を形成した多糖類から成る(米国特許5,688,931号)。さらにまた、同じ理由から、他の放出系が完成された。前記は、例えばHAの脂質性誘導体を含むリポソーム中にドキソルビシンが被包化されてある(D. Peer et al. Neoplasia 2004, 6(4):343-353;R.E. Eliaz Cancer Research 2001, 61:2592-2601)。
例えば、カンプトテシン誘導体の問題を克服し、それらの薬理学的消長プロフィルを入れ替え、さらにそれらの治療有効性を高めながらその毒性を減少させるために、トリグリシンペプチドに代表されるスペーサーの手段によって、イリノテカンとポリマー/担体カルボキシ-メチル-デキストランとの複合体を形成させることが知られている(Satoshi Okuno et al. Cancer Research 2000, 60:2988-2995;米国特許5,892,043号)。
得られたプロドラッグは、血液循環に長時間残留し、腫瘍全体でのその蓄積を増加させ、同時にその全身性毒性を減少させるので、その治療有効性において活性を有することが証明された。しかしながら、以前に記載された複合体の多くについて、非複合薬剤との関係でその有効性を立証した、確定的な実験データは依然として利用可能ではない。
パクリタキセルの誘導体もまた公知であり、前記はヒドラジンで前もって誘導体を形成させたHAと共有結合されるか(米国特許5,874,417号)、又はHAと直接結合されるか、又は種々のタイプの化学的結合を形成することができる多様な性質をもつスペーサーの手段によって間接的に結合される(これによって可溶性が高められ、結果として薬剤の有効性が高められる)(特許出願EP1560854)。
得られたプロドラッグは、血液循環に長時間残留し、腫瘍全体でのその蓄積を増加させ、同時にその全身性毒性を減少させるので、その治療有効性において活性を有することが証明された。しかしながら、以前に記載された複合体の多くについて、非複合薬剤との関係でその有効性を立証した、確定的な実験データは依然として利用可能ではない。
パクリタキセルの誘導体もまた公知であり、前記はヒドラジンで前もって誘導体を形成させたHAと共有結合されるか(米国特許5,874,417号)、又はHAと直接結合されるか、又は種々のタイプの化学的結合を形成することができる多様な性質をもつスペーサーの手段によって間接的に結合される(これによって可溶性が高められ、結果として薬剤の有効性が高められる)(特許出願EP1560854)。
本発明は、多糖類と脂溶性抗新生組織形成薬剤、例えばイリノテカン及びヴィンカアルカロイドとの間で形成される間接的結合から得られるか、又は可溶性若しくは部分的可溶性化学療法薬剤、例えばドキソルビシン及びピリミジンの類似生成物(analogous product)を用いて得られる、HAの新規な複合体を開示する。前記によって、それらの可溶性(もし存在するならば)、それらの毒性に関連する問題が克服され、とりわけ薬剤自体に対する薬理学的耐性を獲得した腫瘍細胞における薬剤の治療有効性の再樹立及び増加が得られる。以前に記載された誘導体によって代表される技術状況をしたがって本発明は凌駕した。なぜならば、出願人は、本発明の目的である新規な複合体の薬理学的卓越性を、新生組織形成細胞に対するこれら誘導体の極めて高い細胞障害性能により示すことができるからである。
この新規な薬理学的作用は、原発性及び/又は二次性腫瘍(二次性腫瘍は多剤耐性(MDR)の形成後もはやいずれの医療的処置に対しても応答せず、前記多剤耐性は一般的に患者の有効な治療の可能性を奪い、したがって最終的分析では患者の余命を劇的に縮める)の治療のために、刷新的な化学療法による臨床薬理学における応用を可能にする。
MDRを解決/克服することによって、本発明の目的である新規な誘導体は患者の最終的な予後を改変し、したがって腫瘍病変の解消/緩和を可能にする。
この新規な薬理学的作用は、原発性及び/又は二次性腫瘍(二次性腫瘍は多剤耐性(MDR)の形成後もはやいずれの医療的処置に対しても応答せず、前記多剤耐性は一般的に患者の有効な治療の可能性を奪い、したがって最終的分析では患者の余命を劇的に縮める)の治療のために、刷新的な化学療法による臨床薬理学における応用を可能にする。
MDRを解決/克服することによって、本発明の目的である新規な誘導体は患者の最終的な予後を改変し、したがって腫瘍病変の解消/緩和を可能にする。
発明の詳細な説明
本発明は新規な複合体/誘導体及びそれらの製造方法を開示する。前記複合体/誘導体は、ヒアルロン酸(HA)(及び/又はその誘導体)及び抗腫瘍性薬剤から成り、脂肪族、アルアリファチック(araliphatic)、脂環式、又は複素環式鎖から成る、ヘテロ原子を含み又は含まない直鎖又は分枝鎖である“スペーサー”と称される分子橋の手段によって間接的に複合体形成がなされる。
特に、本発明の目的は、ヒアルロン酸及び/又はその誘導体の化学的医薬複合体(chemical-pharmaceutical conjugate)であって、前記化学的医薬複合体は、前記多糖類と抗腫瘍作用を有する薬剤との間で、HA及び/又はその誘導体のカルボキシル基とエステル又はアミド結合を形成する分子スペーサーを介する間接的結合によって得られ、前記スペーサーはヒドラジド又はポリペプチドでないことを条件とする。
HA(及び/又はその誘導体の1つ)及び薬剤は、したがってエステル又はアミド型の1つ又は2つ以上の共有結合の手段によって間接的に複合体を形成する。前記エステル又はアミド型の共有結合は、前記多糖類のカルボキシル基及びスペーサーに属する化学官能基(例えばヒドロキシル、カルボキシル、アミン基など)を部分的または全体的に必要とし、前記は、以下に詳細に記載するように、選択した抗腫瘍性薬剤と適宜結合する。
本発明にしたがって得ることができる誘導体は、様々な物理化学的特性を有し、前記特性は結合の型及び置換度により調整され、出発の化学療法薬剤の性状(例えば可溶性、機械的及び流動学的性状、加水分解に対する耐性)を改善することができ、新規な複合体をその細胞障害作用においてより有効にすることができ、新規な作用メカニズムを有することとなる誘導体は、したがって腫瘍細胞が手に入れた薬剤自体に対する薬理学的耐性を(上記に記載したように)克服する。
本発明は新規な複合体/誘導体及びそれらの製造方法を開示する。前記複合体/誘導体は、ヒアルロン酸(HA)(及び/又はその誘導体)及び抗腫瘍性薬剤から成り、脂肪族、アルアリファチック(araliphatic)、脂環式、又は複素環式鎖から成る、ヘテロ原子を含み又は含まない直鎖又は分枝鎖である“スペーサー”と称される分子橋の手段によって間接的に複合体形成がなされる。
特に、本発明の目的は、ヒアルロン酸及び/又はその誘導体の化学的医薬複合体(chemical-pharmaceutical conjugate)であって、前記化学的医薬複合体は、前記多糖類と抗腫瘍作用を有する薬剤との間で、HA及び/又はその誘導体のカルボキシル基とエステル又はアミド結合を形成する分子スペーサーを介する間接的結合によって得られ、前記スペーサーはヒドラジド又はポリペプチドでないことを条件とする。
HA(及び/又はその誘導体の1つ)及び薬剤は、したがってエステル又はアミド型の1つ又は2つ以上の共有結合の手段によって間接的に複合体を形成する。前記エステル又はアミド型の共有結合は、前記多糖類のカルボキシル基及びスペーサーに属する化学官能基(例えばヒドロキシル、カルボキシル、アミン基など)を部分的または全体的に必要とし、前記は、以下に詳細に記載するように、選択した抗腫瘍性薬剤と適宜結合する。
本発明にしたがって得ることができる誘導体は、様々な物理化学的特性を有し、前記特性は結合の型及び置換度により調整され、出発の化学療法薬剤の性状(例えば可溶性、機械的及び流動学的性状、加水分解に対する耐性)を改善することができ、新規な複合体をその細胞障害作用においてより有効にすることができ、新規な作用メカニズムを有することとなる誘導体は、したがって腫瘍細胞が手に入れた薬剤自体に対する薬理学的耐性を(上記に記載したように)克服する。
公知のように、多くの抗腫瘍性薬剤は、水又は食塩水溶液での可溶性は(たとえ存在するとしても)限定的であり、これは、それらを投与するためには有機溶媒及び油で実施しなければならないことを意味している。有機溶媒及び油は、薬剤を溶液にすることができるが、副作用をもたらす本質的な毒性を有し、生成物を投与する前に投薬処置が必要である。
いくつかの事例では、化学療法薬剤のイリノテカンの場合、活性形(SN38)は、可溶化し、その代謝物(静脈内投与後に活性を示す)の放出を容易にするために化学的な改変すら施されてある。これは、しかしながら、代謝物SN38の標的部位での利用可能性を低下させ、したがって高い細胞障害性用量を投与することを必要とし、したがって望ましくない副作用を増幅させる。
いくつかの事例では、化学療法薬剤のイリノテカンの場合、活性形(SN38)は、可溶化し、その代謝物(静脈内投与後に活性を示す)の放出を容易にするために化学的な改変すら施されてある。これは、しかしながら、代謝物SN38の標的部位での利用可能性を低下させ、したがって高い細胞障害性用量を投与することを必要とし、したがって望ましくない副作用を増幅させる。
国際的文献(R.H. Mathijssen et al. Clin Cancer Res 2001, 7: 2182-2194)によれば、SN38の抗腫瘍活性は、その市販のプロドラッグに対して100から1000倍であり、したがって、本発明のヒアルロン酸又はその誘導体の1つとのSN38複合体の実現性は、達成される有効性が増した化合物を可能にし、低い投与用量が要求されることにより、新生組織形成に侵されない領域での薬剤の拡散に関連する副作用が減少する。抗腫瘍性化学療法薬剤とHAとの複合体形成はまた、有効成分(active principle)がその標的へと、したがって新生組織形成組織へと“誘導”されることを可能にする。したがって、新生組織形成領域近くの局所的薬剤濃度、したがって有効性を増加させる、複合体と新生組織形成細胞と
の間の活発な標的誘導が強調される。このようにして、さらにまた健常な組織への誘導体の分配を減少させることによって、遊離薬剤に比べてプロドラッグのより強い耐性が担保される。
の間の活発な標的誘導が強調される。このようにして、さらにまた健常な組織への誘導体の分配を減少させることによって、遊離薬剤に比べてプロドラッグのより強い耐性が担保される。
本発明に由来する第二の重要な利点は、主として、化学的に改変されたHAの存在により、複合体を三次元バイオマテリアル(局所的に適用できる)に技術的変換することの実現性である。前記バイオマテリアルは、様々な形態、(例えばヒドロゲル、ナノ若しくはミクロ粒子(nano- or micro- spheres)又は繊維(前記は適宜織物又は不織製品として紡がれる)に加工される。この事例では、化学的に改変された多糖類マトリックスは、腫瘍塊と緊密に接触し、適用部位で制御放出系として機能し、したがって薬剤そのものでより強い有効性を促進する。抗新生組織形成作用を示したら、前記誘導体は自然にかつ生物に対して安全に分解して、抗腫瘍性有効成分及びヒアルロン酸を完全に遊離させる。本発明によって製造される生成物は、したがって古典的な医薬組成物であれ又は分解可能なバイオマテリアルであれ、非改変有効成分と比較してより強い耐性、及びより高い薬理学的活性(いくつかの事例では、それらを形成する有効成分によって発現される活性と比較して活性は数桁すら高い)を特徴とする。両効果は、レセプター(例えば腫瘍に存在するCD44)に対するヒアルロン酸の固有の親和性に帰することができる。これらの効果は、複合体を形成する薬剤が三次元的物質の形態で投与され、新生組織形成と接触するときに強調される。このような特徴をもつ組合せは、本発明の誘導体/複合体が、多様な種類の新生組織形成及び種々の起源の新生組織形成(前記はまた伝統的な化学療法に対して耐性になっている)の局所的又は全身的治療において従来技術で利用可能なものを確実に凌駕するものである。
本発明で用いられるヒアルロン酸は、400から3,000,000Daの間で変動する分子量、好ましくは5,000から1,000,000Daの範囲、より好ましくは30,000から500,000Daの範囲の分子量を有し、抽出、発酵又は生合成に由来するものでありえる。スペーサーとの共有結合は、ポリマーの反復ユニット(1から100%の間の百分率(置換度)である)のD-グルクロン酸のカルボキシル基を必要とし、前記によって、選択分子スペーサーの官能基とのエステル又はアミド結合が形成され、その結果、前記結合はヒアルロン酸と化学療法薬剤間の結合として機能する。
前記スペーサー物質は、脂肪族、アルアリファチック、脂環式又は複素環式鎖で、ヘテロ原子を含み又は含まない直鎖又は分枝鎖から成り、前記は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、アミン基(ヒドラジド及びポリペプチドは除外される)、エポキシ基、酸の塩化物、チオール、ニトリル、ハロゲン、無水物、イソシアネート及びイソチオシアネートを含むことができ、C2からC10の脂肪族鎖をもつカルボン酸の臭化物、ヨウ化物及び塩化物が好ましく、特に、例えばブロモプロピオン酸又はブロモ酪酸の臭化物が好ましい。置換度は好ましくは、1から50%、より好ましくは1から20%の範囲であり、ドキソルビシンとの複合体のためには3から15%の置換が好ましく、一方、SN38との複合体のためには1から10%の置換が好ましい。
前記スペーサー物質は、脂肪族、アルアリファチック、脂環式又は複素環式鎖で、ヘテロ原子を含み又は含まない直鎖又は分枝鎖から成り、前記は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、アミン基(ヒドラジド及びポリペプチドは除外される)、エポキシ基、酸の塩化物、チオール、ニトリル、ハロゲン、無水物、イソシアネート及びイソチオシアネートを含むことができ、C2からC10の脂肪族鎖をもつカルボン酸の臭化物、ヨウ化物及び塩化物が好ましく、特に、例えばブロモプロピオン酸又はブロモ酪酸の臭化物が好ましい。置換度は好ましくは、1から50%、より好ましくは1から20%の範囲であり、ドキソルビシンとの複合体のためには3から15%の置換が好ましく、一方、SN38との複合体のためには1から10%の置換が好ましい。
本発明の目的の新規な複合体で用いることができるHAの誘導体は以下に列挙される:
1.有機及び/又は無機塩基により塩化されたHAで、分子量が50−730kDa(EP0138572 B1)又はより高分子量(750−1230kDa)のもの(EP535200 B1)
2.Hyaff(登録商標):HAと脂肪族、アルアリファチック、シクロ-脂肪族、芳香族、環式及び複素環式系列のアルコールとのエステルであり、エステル化百分率が、用いられるアルコールの型及び長さにより1から75%、好ましくは30から50%で変動しえる;
3.Hyadd TM :HAと脂肪族、アルアリファチック、シクロ-脂肪族、芳香族、環式及び複素環式系列のアミンとのアミドであり、アミド化百分率が、1から10%の範囲、好ましくは4%である;
4.第4級硫酸化度までのHAのO-硫酸化誘導体(EP0702699 B1);
5.ACP(登録商標):5から10%の範囲の、好ましくは5%の内部エステル化を有するHAの内部エステル(EP0341745 B1);
6.HAの脱アセチル化物:N-アセチルグルコサミン基の脱アセチル化に由来し、好ましくは0.1から30%の範囲の脱アセチル化百分率を有し、一方、HAの全てのカルボキシル基は有機又は無機塩基で塩化されえる(EP1313772 B1);
7.Hyoxx TM:N-アセチル-グルコサミン分画の第一ヒドロキシルの酸化から得られるHAのペルカルボキシル化誘導体であり、0.1から100%、好ましくは25から75%の範囲のペルカルボキシル化度を有する。HAの全てのカルボキシル基が有機又は無機塩基で塩化されえる(特許出願EP1339753)。
1.有機及び/又は無機塩基により塩化されたHAで、分子量が50−730kDa(EP0138572 B1)又はより高分子量(750−1230kDa)のもの(EP535200 B1)
2.Hyaff(登録商標):HAと脂肪族、アルアリファチック、シクロ-脂肪族、芳香族、環式及び複素環式系列のアルコールとのエステルであり、エステル化百分率が、用いられるアルコールの型及び長さにより1から75%、好ましくは30から50%で変動しえる;
3.Hyadd TM :HAと脂肪族、アルアリファチック、シクロ-脂肪族、芳香族、環式及び複素環式系列のアミンとのアミドであり、アミド化百分率が、1から10%の範囲、好ましくは4%である;
4.第4級硫酸化度までのHAのO-硫酸化誘導体(EP0702699 B1);
5.ACP(登録商標):5から10%の範囲の、好ましくは5%の内部エステル化を有するHAの内部エステル(EP0341745 B1);
6.HAの脱アセチル化物:N-アセチルグルコサミン基の脱アセチル化に由来し、好ましくは0.1から30%の範囲の脱アセチル化百分率を有し、一方、HAの全てのカルボキシル基は有機又は無機塩基で塩化されえる(EP1313772 B1);
7.Hyoxx TM:N-アセチル-グルコサミン分画の第一ヒドロキシルの酸化から得られるHAのペルカルボキシル化誘導体であり、0.1から100%、好ましくは25から75%の範囲のペルカルボキシル化度を有する。HAの全てのカルボキシル基が有機又は無機塩基で塩化されえる(特許出願EP1339753)。
HAとの複合体形成反応で用いられる薬剤は好ましくは以下のカテゴリーに属する:
−ニトロソウレア、
−代謝拮抗物質:例えば、葉酸の類似生成物(とりわけメトトレキセート)、ピリミジンの類似生成物(とりわけフルオロウラシル及び1-β-D-アラビノ-フラノシルシトシン:Ara-C)、
−アルカロイド:例えばヴィンクリスチン及びヴィンブラスチン(ヴィンカアルカロイド)及びイリノテカンの活性な代謝物質、SN38、
−抗生物質及び類似生成物:例えばドキソルビシン及びエピルビシン、
−生物学的応答改変物質、
−ジテルペノイド、
−合成ホルモン及び抗ホルモン:例えばエキストラジオール(extradiol)。
ドキソルビシン及びイリノテカンの代謝物、SN38が、本発明の目的に特に適切である。
−ニトロソウレア、
−代謝拮抗物質:例えば、葉酸の類似生成物(とりわけメトトレキセート)、ピリミジンの類似生成物(とりわけフルオロウラシル及び1-β-D-アラビノ-フラノシルシトシン:Ara-C)、
−アルカロイド:例えばヴィンクリスチン及びヴィンブラスチン(ヴィンカアルカロイド)及びイリノテカンの活性な代謝物質、SN38、
−抗生物質及び類似生成物:例えばドキソルビシン及びエピルビシン、
−生物学的応答改変物質、
−ジテルペノイド、
−合成ホルモン及び抗ホルモン:例えばエキストラジオール(extradiol)。
ドキソルビシン及びイリノテカンの代謝物、SN38が、本発明の目的に特に適切である。
特定した薬剤及びヒアルロン酸(及び/又はその誘導体の1つ)は、以下の工程を用いスペーサーの手段によりエステル結合を形成することによって間接的に結合される:
1.適切に選択され、さらにまたHAのカルボキシ基と反応することができる第二の基(“脱離基”と称される)(例えばハロゲン化物:臭化物、ヨウ化物又塩化物)を含むスペーサーの官能基(例えばカルボキシル基、アミン基、ハロゲン化物など)を、抗腫瘍性分子に属する官能基(例えばヒドロキシル、アミン、カルボキシル又はメルカプタンによって表される)と反応させる。前記反応は、活性化物質の手段による官能基の1つの活性化(例えばカルボジイミドの手段によるカルボキシル基の活性化)を多分に必要とするであろう。第二相では、無水環境下でのHAのテトラ-アルキルアンモニウム塩(好ましくはテトラブチルアンモニウム)の直接接触によって、改変薬剤から成る化合物は反応して、HAのカルボキシルで脱離基(例えば臭化物)の求核置換を生じ、HAとスペーサーとの間にエステル結合を生じ;
2.ヒアルロン酸又はその誘導体の1つのカルボキシル基は、適切なスペーサーと求核接着によって結合し、スペーサーは続いて抗腫瘍性分子(当業者には周知である)の官能基と結合し;
3.HA又はその誘導体の1つのカルボキシル基は、活性化物質(例えばカルボジイミド)で活性化し、適切に選択された、その前又は後で薬剤(当業者には周知である)と結合されるスペーサーのヒドロキシル官能基と反応する。
1.適切に選択され、さらにまたHAのカルボキシ基と反応することができる第二の基(“脱離基”と称される)(例えばハロゲン化物:臭化物、ヨウ化物又塩化物)を含むスペーサーの官能基(例えばカルボキシル基、アミン基、ハロゲン化物など)を、抗腫瘍性分子に属する官能基(例えばヒドロキシル、アミン、カルボキシル又はメルカプタンによって表される)と反応させる。前記反応は、活性化物質の手段による官能基の1つの活性化(例えばカルボジイミドの手段によるカルボキシル基の活性化)を多分に必要とするであろう。第二相では、無水環境下でのHAのテトラ-アルキルアンモニウム塩(好ましくはテトラブチルアンモニウム)の直接接触によって、改変薬剤から成る化合物は反応して、HAのカルボキシルで脱離基(例えば臭化物)の求核置換を生じ、HAとスペーサーとの間にエステル結合を生じ;
2.ヒアルロン酸又はその誘導体の1つのカルボキシル基は、適切なスペーサーと求核接着によって結合し、スペーサーは続いて抗腫瘍性分子(当業者には周知である)の官能基と結合し;
3.HA又はその誘導体の1つのカルボキシル基は、活性化物質(例えばカルボジイミド)で活性化し、適切に選択された、その前又は後で薬剤(当業者には周知である)と結合されるスペーサーのヒドロキシル官能基と反応する。
特定した薬剤及びヒアルロン酸(及び/又はその誘導体の1つ)は、以下の工程を用いスペーサーの手段によりアミド結合を形成することによって間接的に結合される:
1.ヒアルロン酸又はその誘導体の1つのカルボキシル基を、活性化物質(例えばカルボジイミド)で活性化し、選択薬剤(当業者には周知である)と予め又は後で結合される、適切に選択したスペーサーのアミン官能基と反応させる。
ヒアルロン酸(及び/又はその誘導体の1つ)及び抗腫瘍性有効成分から成る複合体の使用に関連する腫瘍学的応用は、前記複合体形成薬剤に対する新生組織形成の応答と密接に関連する。意図される使用にしたがえば、したがって本バイオ複合体は、経口的、静脈内、動脈内、鞘内(intrathecally)、筋肉内、局所的、経皮的、運動領域に、又は前記の組み合わせで投与することができる(したがって、局所及び全身投与方法は本発明の範囲内である)。治療に含まれる新生組織形成には、例えば(制限なしに)膵臓、乳房、結腸-直腸、肺臓及び呼吸器系全体、頭部-頸部、肝臓、胃、精巣、卵巣の腫瘍、リンパ腫、メラノーマ、カポジ肉腫、骨肉種、神経芽腫及び皮膚癌が含まれえる。
ヒアルロン酸及び/又はその誘導体と抗腫瘍活性を有する化学療法薬剤とのバイオ複合体のいくつかの製造例が、純粋に例示として非制限的な目的で下記に提供される。
1.ヒアルロン酸又はその誘導体の1つのカルボキシル基を、活性化物質(例えばカルボジイミド)で活性化し、選択薬剤(当業者には周知である)と予め又は後で結合される、適切に選択したスペーサーのアミン官能基と反応させる。
ヒアルロン酸(及び/又はその誘導体の1つ)及び抗腫瘍性有効成分から成る複合体の使用に関連する腫瘍学的応用は、前記複合体形成薬剤に対する新生組織形成の応答と密接に関連する。意図される使用にしたがえば、したがって本バイオ複合体は、経口的、静脈内、動脈内、鞘内(intrathecally)、筋肉内、局所的、経皮的、運動領域に、又は前記の組み合わせで投与することができる(したがって、局所及び全身投与方法は本発明の範囲内である)。治療に含まれる新生組織形成には、例えば(制限なしに)膵臓、乳房、結腸-直腸、肺臓及び呼吸器系全体、頭部-頸部、肝臓、胃、精巣、卵巣の腫瘍、リンパ腫、メラノーマ、カポジ肉腫、骨肉種、神経芽腫及び皮膚癌が含まれえる。
ヒアルロン酸及び/又はその誘導体と抗腫瘍活性を有する化学療法薬剤とのバイオ複合体のいくつかの製造例が、純粋に例示として非制限的な目的で下記に提供される。
実施例1:置換度が約15%である、200kDaのMWのヒアルロン酸とSN-38とのエステル誘導体の製造(図1)
199mgのSN-38を50mLのアセトニトリルに溶解し、さらに383mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、258mgの4-ブロモ酪酸及び40mgのDMAPを前記溶液に添加する。溶液の生成はTLCクロマトグラフィーの手段により追跡する(蛍光性指示薬を含むシリカ定常相及びクロロホルム-アセトニトリル(60:40))。生成物は、沈殿及びシリカカラムでのクロマトグラフィー(溶出液としてクロロホルム:メタノール、99:1を使用)の手段により回収する。このようにして得た中間体を強い真空下で室温にて乾燥させる。0.84gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を43mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解させる。前記中間体をこの溶液に添加し、全混合物を室温で反応させる。7日間の反応の後で、溶液を5mLの水及び5mLの飽和塩化ナトリウムで稀釈する。この全混合物を攪拌下で1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。
続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
199mgのSN-38を50mLのアセトニトリルに溶解し、さらに383mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、258mgの4-ブロモ酪酸及び40mgのDMAPを前記溶液に添加する。溶液の生成はTLCクロマトグラフィーの手段により追跡する(蛍光性指示薬を含むシリカ定常相及びクロロホルム-アセトニトリル(60:40))。生成物は、沈殿及びシリカカラムでのクロマトグラフィー(溶出液としてクロロホルム:メタノール、99:1を使用)の手段により回収する。このようにして得た中間体を強い真空下で室温にて乾燥させる。0.84gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を43mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解させる。前記中間体をこの溶液に添加し、全混合物を室温で反応させる。7日間の反応の後で、溶液を5mLの水及び5mLの飽和塩化ナトリウムで稀釈する。この全混合物を攪拌下で1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。
続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
実施例2:カルボキシルでの置換度が約10%である、ヒアルロン酸(MWは31kDa)とSN-38とのエステル誘導体の製造
200mgのSN-38を50mLのDMSOに溶解し、1.00gの炭酸エチレンをこの溶液に添加する。前記溶液を50℃に加熱し、溶液の生成をシリカプレート上でTLCクロマトグラフィーの手段で追跡する。反応の最後に、生成物を沈殿により回収し、強い真空下で室温にて乾燥させる。このようにして得た175mgの中間体を、85mgのp-トルエンスルホニルクロリドを含むDMSO/ピリジン(90:10)の無水混合物に溶解する。中間体が対応するトキシレートに変換されたとき、沈殿により前記を回収し、NMP中のHATBA溶液(34mLに0.68gのポリマー)に溶解する。この全混合物を室温で7日間反応させる。4mLのNaCl飽和溶液を前記溶液に添加し、混合物を攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
200mgのSN-38を50mLのDMSOに溶解し、1.00gの炭酸エチレンをこの溶液に添加する。前記溶液を50℃に加熱し、溶液の生成をシリカプレート上でTLCクロマトグラフィーの手段で追跡する。反応の最後に、生成物を沈殿により回収し、強い真空下で室温にて乾燥させる。このようにして得た175mgの中間体を、85mgのp-トルエンスルホニルクロリドを含むDMSO/ピリジン(90:10)の無水混合物に溶解する。中間体が対応するトキシレートに変換されたとき、沈殿により前記を回収し、NMP中のHATBA溶液(34mLに0.68gのポリマー)に溶解する。この全混合物を室温で7日間反応させる。4mLのNaCl飽和溶液を前記溶液に添加し、混合物を攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
実施例3:カルボキシルでの置換度が約10%である、55kDaのMWを有するヒアルロン酸とヴィンブラスチンとのエステル誘導体の製造
308mgのヴィンブラスチンを30mLのクロロホルムに溶解し、続いて、120mgの4-ブロモ酪酸及び150mgのEDCを添加する。しばらくして、臭化物及びカルボジイミドを排除するために、この溶液に水を加える。この有機溶液を硫酸ナトリウムにより無水化し、溶媒はロータヴェーパー上で除去する。このようにして得た300mgの中間体を、無水NMPに溶解した1.70gのHATBAに添加し、この溶液を攪拌しながら7日間室温で維持する。最後に全混合物を6mLのNaCl飽和溶液とともに攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
308mgのヴィンブラスチンを30mLのクロロホルムに溶解し、続いて、120mgの4-ブロモ酪酸及び150mgのEDCを添加する。しばらくして、臭化物及びカルボジイミドを排除するために、この溶液に水を加える。この有機溶液を硫酸ナトリウムにより無水化し、溶媒はロータヴェーパー上で除去する。このようにして得た300mgの中間体を、無水NMPに溶解した1.70gのHATBAに添加し、この溶液を攪拌しながら7日間室温で維持する。最後に全混合物を6mLのNaCl飽和溶液とともに攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
実施例4:カルボキシルでの置換度が約15%である、440kDaのMWを有するヒアルロン酸と5-フルオロウラシルとのエステル誘導体の製造
680mgの炭酸エチレン及び約10mgのNaOHを、15mLのDMFに溶解した510mgのフルオロウラシルに添加する。この全混合物を加熱し、反応を灌流温度で1時間継続させる。沈殿により回収した生成物を、1.00gのp-トルエンスルホニルクロリドを含むDMSO/ピリジン(50/50)の無水混合物に溶解する。約15時間後に、生成物を沈殿により回収し、DMSOに溶解したHATBA溶液(DMSO180mLに3.60g)に添加する。この溶液を攪拌しながら38℃で3日間維持し、最後にmilliQの水20mL及び7mLの飽和NaCl溶液を添加する。全混合物を攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
680mgの炭酸エチレン及び約10mgのNaOHを、15mLのDMFに溶解した510mgのフルオロウラシルに添加する。この全混合物を加熱し、反応を灌流温度で1時間継続させる。沈殿により回収した生成物を、1.00gのp-トルエンスルホニルクロリドを含むDMSO/ピリジン(50/50)の無水混合物に溶解する。約15時間後に、生成物を沈殿により回収し、DMSOに溶解したHATBA溶液(DMSO180mLに3.60g)に添加する。この溶液を攪拌しながら38℃で3日間維持し、最後にmilliQの水20mL及び7mLの飽和NaCl溶液を添加する。全混合物を攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
実施例5:カルボキシルでの置換度が約18%である、200kDaのMWを有するヒアルロン酸と1-β-D-アラビノ-フラノシルシトシン(Ara-C)とのエステル誘導体の製造
100mgのAra-C、80mgのEDC及び69mgの4-ブロモ-酪酸を10mLの水に溶解する。全混合物を約1時間反応させ、最後に溶媒をロータヴェーパー上で減圧下での蒸発によって除去する。生成物をカラムクロマトグラフィー分離により精製する。このようにして得た中間体を、DMSO中の1.10gのHATBA溶液(20mg/mL)に溶解し、室温で7日間反応させる。生成物を回収するために5mLの飽和NaCl溶液を添加し、このようにしてヒアルロン酸のカルボキシルのナトリウムによる塩化を可能にする。エタノールを滴下して加えることによりポリマーを沈殿させ、前記をろ過及び水に再溶解した後、透析して溶媒及び塩の残留物を除去し、最後に凍結乾燥する。
100mgのAra-C、80mgのEDC及び69mgの4-ブロモ-酪酸を10mLの水に溶解する。全混合物を約1時間反応させ、最後に溶媒をロータヴェーパー上で減圧下での蒸発によって除去する。生成物をカラムクロマトグラフィー分離により精製する。このようにして得た中間体を、DMSO中の1.10gのHATBA溶液(20mg/mL)に溶解し、室温で7日間反応させる。生成物を回収するために5mLの飽和NaCl溶液を添加し、このようにしてヒアルロン酸のカルボキシルのナトリウムによる塩化を可能にする。エタノールを滴下して加えることによりポリマーを沈殿させ、前記をろ過及び水に再溶解した後、透析して溶媒及び塩の残留物を除去し、最後に凍結乾燥する。
実施例6:カルボキシルでの置換度が約20%である、120kDaのMWを有するヒアルロン酸と17β-エキストラジオールとのエステル誘導体の製造
140mgの17β-エキストラジオールを50mLのDMSOに溶解し、さらに380mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、262mgの4-ブロモ酪酸をこの溶液に添加する。生成物を沈殿により回収し、シリカカラムでのクロマトグラフィーにより精製する。このようにして得た中間体を強い真空下で室温で乾燥させる。0.80gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を40mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解する。前記中間体をこの溶液に添加し、全混合物を室温で反応させる。溶液を7日間反応させた後、溶液を5mLの水及び5mLの飽和塩化ナトリウム溶液で希釈する。全混合物を攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
140mgの17β-エキストラジオールを50mLのDMSOに溶解し、さらに380mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、262mgの4-ブロモ酪酸をこの溶液に添加する。生成物を沈殿により回収し、シリカカラムでのクロマトグラフィーにより精製する。このようにして得た中間体を強い真空下で室温で乾燥させる。0.80gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を40mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解する。前記中間体をこの溶液に添加し、全混合物を室温で反応させる。溶液を7日間反応させた後、溶液を5mLの水及び5mLの飽和塩化ナトリウム溶液で希釈する。全混合物を攪拌しながら1時間放置し、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
実施例7:200kDaのヒアルロン酸とSN38との部分的エステルの形成及びHA誘導体の自己架橋
200mgのSN38を50mLのDMSOに溶解し、さらに375mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、330mgの4-ブロモ酪酸をこの溶液に添加する。溶液の生成は、TLCクロマトグラフィーの手段により追跡する(蛍光性指示薬を含むシリカ定常相及びクロロホルム-アセトニトリル(60:40))。生成物を沈殿により回収し、さらに溶出液としてクロロホルム:メタノール(99:1)を使用してシリカカラムでのクロマトグラフィーにより精製する。このようにして得た中間体を強い真空下で室温で乾燥させる。0.84gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を43mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解する。溶液を7日間反応させた後、34mgのトリエチルアミンを前記反応溶液に添加し、全混合物を30分攪拌する。
10mLのDMSO中の87mgの2-クロロ-1-メチル-ピリジンヨウ化物の溶液を、45分かけてゆっくりと滴下して加え、この混合物を30℃で15時間維持する。
続いて15mLの水及び0.5gの塩化ナトリウムから成る溶液を添加し、攪拌を継続させながら得られた混合物を300mLのアセトンにゆっくりと注ぎ入れる。生成した沈殿をろ過し、25mLのアセトン-水(5:1)で3回洗浄し、さらにアセトン(50mL)で3回洗浄する。生成物を強い真空下で38℃にて乾燥させる。
200mgのSN38を50mLのDMSOに溶解し、さらに375mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、330mgの4-ブロモ酪酸をこの溶液に添加する。溶液の生成は、TLCクロマトグラフィーの手段により追跡する(蛍光性指示薬を含むシリカ定常相及びクロロホルム-アセトニトリル(60:40))。生成物を沈殿により回収し、さらに溶出液としてクロロホルム:メタノール(99:1)を使用してシリカカラムでのクロマトグラフィーにより精製する。このようにして得た中間体を強い真空下で室温で乾燥させる。0.84gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を43mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解する。溶液を7日間反応させた後、34mgのトリエチルアミンを前記反応溶液に添加し、全混合物を30分攪拌する。
10mLのDMSO中の87mgの2-クロロ-1-メチル-ピリジンヨウ化物の溶液を、45分かけてゆっくりと滴下して加え、この混合物を30℃で15時間維持する。
続いて15mLの水及び0.5gの塩化ナトリウムから成る溶液を添加し、攪拌を継続させながら得られた混合物を300mLのアセトンにゆっくりと注ぎ入れる。生成した沈殿をろ過し、25mLのアセトン-水(5:1)で3回洗浄し、さらにアセトン(50mL)で3回洗浄する。生成物を強い真空下で38℃にて乾燥させる。
実施例8:カルボキシルでの置換度が約5%である、ヒアルロン酸(220kDa)とドキソルビシンとのアミド誘導体の製造
水分含有量が低いDMSOの100mLに2.00gのHATBAを溶解する。この溶液に、その一部を取り出し水で1:10に稀釈したときpHが4.5から5であることが証明されるまで、気体状の塩酸を吹き入れる。続いて、カルボニルジイミダゾール(55mg)を前記溶液に添加し、全混合物を室温で1時間攪拌しながら放置する。最後に、1.4gのドキソルビシンを前記溶液に添加し、混合物を24時間室温で反応させる。5mLの飽和塩化ナトリウム溶液を添加して生成物を回収し、このようにしてヒアルロン酸のカルボキシルを塩化する。エタノールを滴下して加えることによりポリマーを沈殿させ、ろ過後に前記を水に再溶解し、透析して溶媒及び塩の残留物を除去し、最後に凍結乾燥する。
水分含有量が低いDMSOの100mLに2.00gのHATBAを溶解する。この溶液に、その一部を取り出し水で1:10に稀釈したときpHが4.5から5であることが証明されるまで、気体状の塩酸を吹き入れる。続いて、カルボニルジイミダゾール(55mg)を前記溶液に添加し、全混合物を室温で1時間攪拌しながら放置する。最後に、1.4gのドキソルビシンを前記溶液に添加し、混合物を24時間室温で反応させる。5mLの飽和塩化ナトリウム溶液を添加して生成物を回収し、このようにしてヒアルロン酸のカルボキシルを塩化する。エタノールを滴下して加えることによりポリマーを沈殿させ、ろ過後に前記を水に再溶解し、透析して溶媒及び塩の残留物を除去し、最後に凍結乾燥する。
実施例9:ヒアルロン酸とドキソルビシンとの部分的エステルの形成及びUgi縮合による自己架橋
実施例8にしたがって得られた500mgのポリマーを5mLの蒸留水に溶解する。濃塩酸を添加してこの溶液のpHを約4に下げる。15mgのリジンエチルエステル二塩酸塩、250μLの40%ホルムアルデヒド水溶液、及び250μLのシクロヘキシルイソシアニドを前記溶液に添加する。15分反応させた後、前記ゲルを炭酸ナトリウムの塩基性溶液中で24時間透析し、最後に、溶液の導電率が40μs未満になるまで水に対して透析する。ポリマーは凍結乾燥によって回収する。
実施例8にしたがって得られた500mgのポリマーを5mLの蒸留水に溶解する。濃塩酸を添加してこの溶液のpHを約4に下げる。15mgのリジンエチルエステル二塩酸塩、250μLの40%ホルムアルデヒド水溶液、及び250μLのシクロヘキシルイソシアニドを前記溶液に添加する。15分反応させた後、前記ゲルを炭酸ナトリウムの塩基性溶液中で24時間透析し、最後に、溶液の導電率が40μs未満になるまで水に対して透析する。ポリマーは凍結乾燥によって回収する。
実施例10:カルボキシルでの置換度が約10%である、200kDaのMWを有するヒアルロン酸とドキソルビシンとのエステル誘導体の製造
325mgのドキソルビシン塩酸塩を50mLのNMPに溶解し、0.3mLのEt3Nを添加した後、420mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)及び280mgの4-ブロモ酪酸を続けて前記溶液に添加する。溶液の生成は、TLCクロマトグラフィーの手段により追跡する(蛍光性指示薬を含むシリカ定常相及びジクロロメタン-メタノール(80:20)溶出液)。生成物を、溶出液としてクロロホルム:メタノール(99:1)を使用してカラムでのクロマトグラフィーにより精製する。
このようにして得た中間体を強い真空下で室温で乾燥させる。0.75gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を40mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解する。中間体を前記溶液に添加し、全混合物を室温で反応させる。7日間反応させた後、溶液を5mLの水及び5mLの飽和塩化ナトリウムで希釈する。全混合物を攪拌しながら1時間放置して、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
325mgのドキソルビシン塩酸塩を50mLのNMPに溶解し、0.3mLのEt3Nを添加した後、420mgの1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)及び280mgの4-ブロモ酪酸を続けて前記溶液に添加する。溶液の生成は、TLCクロマトグラフィーの手段により追跡する(蛍光性指示薬を含むシリカ定常相及びジクロロメタン-メタノール(80:20)溶出液)。生成物を、溶出液としてクロロホルム:メタノール(99:1)を使用してカラムでのクロマトグラフィーにより精製する。
このようにして得た中間体を強い真空下で室温で乾燥させる。0.75gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)を40mLのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に室温で溶解する。中間体を前記溶液に添加し、全混合物を室温で反応させる。7日間反応させた後、溶液を5mLの水及び5mLの飽和塩化ナトリウムで希釈する。全混合物を攪拌しながら1時間放置して、ナトリウムとTBAイオンを交換する。続いてエタノールを滴下して加え、得られた繊維状生成物を水に溶解し、透析し、最後に凍結乾燥する。
in vitro実験:
10%及び15%に等しい置換度を有するHA/SN38エステル複合体の結腸腺癌細胞株HT29に対する抗増殖活性の判定
実施例1及び2で得られた誘導体の一部を、HT29と称される結腸腫瘍細胞株でin vitroでの細胞障害性検査によって性状を調べる。比較は、DMSOに溶解したSN38を用いて実施した。HA誘導体は、5mg/mLの濃度にて5%で糖化した(glucosated)溶液で可溶化する。検査は96ウェルを有するプレートに3000細胞を各ウェルに分配することによって実施する。37℃で24時間インキュベートした後、細胞を前記溶液と接触させ、さらに48時間後に、MTT比色アッセイの手段により前記細胞の生存率を決定する(F. Dezinot et al. J Immunol Methods, 1986, 22(89):271-277)。
2つのHAのエステル複合体の増殖曲線は以下のグラフに示されている(左は15%の誘導体の細胞障害活性、右は10%の誘導体の細胞障害活性)(図4参照)。ジメチルスルホキシド(DMSO)中のSN38に関するEC50のデータを比較することによって、以下の結果が得られる:
前記in vitroの結果によって、新規なHA/SN38誘導体は活性な代謝物SN38と同じ細胞障害活性を示すことが確認された(上記で述べたように、SN38はその市販のプロドラッグの100倍から1000倍の活性を有する)。したがって実施した実験によって、臨床で従来用いられている参照薬剤と比較して、本発明の新規な誘導体のはるかに高い有効性が確認された。
10%及び15%に等しい置換度を有するHA/SN38エステル複合体の結腸腺癌細胞株HT29に対する抗増殖活性の判定
実施例1及び2で得られた誘導体の一部を、HT29と称される結腸腫瘍細胞株でin vitroでの細胞障害性検査によって性状を調べる。比較は、DMSOに溶解したSN38を用いて実施した。HA誘導体は、5mg/mLの濃度にて5%で糖化した(glucosated)溶液で可溶化する。検査は96ウェルを有するプレートに3000細胞を各ウェルに分配することによって実施する。37℃で24時間インキュベートした後、細胞を前記溶液と接触させ、さらに48時間後に、MTT比色アッセイの手段により前記細胞の生存率を決定する(F. Dezinot et al. J Immunol Methods, 1986, 22(89):271-277)。
2つのHAのエステル複合体の増殖曲線は以下のグラフに示されている(左は15%の誘導体の細胞障害活性、右は10%の誘導体の細胞障害活性)(図4参照)。ジメチルスルホキシド(DMSO)中のSN38に関するEC50のデータを比較することによって、以下の結果が得られる:
前記in vitroの結果によって、新規なHA/SN38誘導体は活性な代謝物SN38と同じ細胞障害活性を示すことが確認された(上記で述べたように、SN38はその市販のプロドラッグの100倍から1000倍の活性を有する)。したがって実施した実験によって、臨床で従来用いられている参照薬剤と比較して、本発明の新規な誘導体のはるかに高い有効性が確認された。
薬剤そのものに対してもはや感受性をもたない新生組織形成細胞が獲得する薬理学的耐性を克服することができる抗新生組織形成薬剤として、前記新規な複合体(本発明の目的)の有効性に関して上記で述べた事柄を明示するために、以下のin vitro実験を実施した:
化学療法剤ドキソルビシンをそのHAアミド複合体と比較したDHD/K12細胞における細胞障害性検査
使用細胞株は、1,2-ジメチルヒドラジンで処理したラットBDIX株に由来する。実際、これらの細胞は、ヒトの結腸-直腸腺癌と同じ腫瘍性抗原を発現し、この理由からそれらはin vitroの前臨床研究モデルとして同じタイプの腫瘍について用いられる。
上記の細胞株はまた化学療法に対して耐性を獲得した(これは“多剤耐性”(MDR)と称される)。細胞の生存率の程度を比較するために、生/死細胞生存率アッセイ(Molecular Probes)を用いた。前記は代謝的に活性な細胞を死細胞と区別することを可能にする。後者は緑色蛍光を核レベルで放出し、一方、生細胞は細胞膜及び細胞質に局在する赤色蛍光を放出する。発色後、共焦点顕微鏡を用いて細胞を分析し、サンプル当たり最低限500の生細胞又は死細胞を数えることによって、生/死細胞の百分率を判定した。
実施例8にしたがって得られた置換度が5%のHAとドキソルビシンのアミド複合体を実験に用い、種々の濃度の薬剤と比較した。
図3:処置の48時間後に、図3に示した生/死検査の結果は、Hydoxは、用量依存態様で、化学療法に対してある種の耐性を獲得した細胞において、同じ濃度下で複合体非形成ドキソルビシンよりもはるかに強く細胞障害作用を示すことができることを明示している。実際、Hydoxはまた、低濃度(例えば0.25μM)で活性を示し、一方、この用量の参照薬剤は細胞障害作用を全く示さない。二倍の濃度で、問題の複合物は、35%高い細胞障害性を示し、したがって、より低い用量での使用を可能にし、上記の抗新生組織形成薬剤に対する耐性獲得のためにもはや古典的な化学療法に応答しない細胞で副作用を減少させる。
上述のように本発明を説明してきたが、これらの方法は種々の態様で改変することができることは明白である。前記改変を本発明から外れたものと考えるべきではなく、当業者にとって明白な全ての改変が特許請求の範囲内に含まれる。
化学療法剤ドキソルビシンをそのHAアミド複合体と比較したDHD/K12細胞における細胞障害性検査
使用細胞株は、1,2-ジメチルヒドラジンで処理したラットBDIX株に由来する。実際、これらの細胞は、ヒトの結腸-直腸腺癌と同じ腫瘍性抗原を発現し、この理由からそれらはin vitroの前臨床研究モデルとして同じタイプの腫瘍について用いられる。
上記の細胞株はまた化学療法に対して耐性を獲得した(これは“多剤耐性”(MDR)と称される)。細胞の生存率の程度を比較するために、生/死細胞生存率アッセイ(Molecular Probes)を用いた。前記は代謝的に活性な細胞を死細胞と区別することを可能にする。後者は緑色蛍光を核レベルで放出し、一方、生細胞は細胞膜及び細胞質に局在する赤色蛍光を放出する。発色後、共焦点顕微鏡を用いて細胞を分析し、サンプル当たり最低限500の生細胞又は死細胞を数えることによって、生/死細胞の百分率を判定した。
実施例8にしたがって得られた置換度が5%のHAとドキソルビシンのアミド複合体を実験に用い、種々の濃度の薬剤と比較した。
図3:処置の48時間後に、図3に示した生/死検査の結果は、Hydoxは、用量依存態様で、化学療法に対してある種の耐性を獲得した細胞において、同じ濃度下で複合体非形成ドキソルビシンよりもはるかに強く細胞障害作用を示すことができることを明示している。実際、Hydoxはまた、低濃度(例えば0.25μM)で活性を示し、一方、この用量の参照薬剤は細胞障害作用を全く示さない。二倍の濃度で、問題の複合物は、35%高い細胞障害性を示し、したがって、より低い用量での使用を可能にし、上記の抗新生組織形成薬剤に対する耐性獲得のためにもはや古典的な化学療法に応答しない細胞で副作用を減少させる。
上述のように本発明を説明してきたが、これらの方法は種々の態様で改変することができることは明白である。前記改変を本発明から外れたものと考えるべきではなく、当業者にとって明白な全ての改変が特許請求の範囲内に含まれる。
Claims (30)
- ヒアルロン酸及び/又はその誘導体の化学的医薬複合体であって、前記多糖類と抗腫瘍作用を有する薬剤との間の、HA及び/又はその誘導体のカルボキシル基とエステル又はアミド結合を形成する分子スペーサーを介した間接的結合によって得られ、前記スペーサーがヒドラジド又はポリペプチドでないことを条件とする、前記化学的医薬複合体。
- 薬剤が、ニトロソウレア、代謝拮抗物質、アルカロイド、抗生物質及び類似生成物、生物学的応答改変物質、ジテルペノイド、合成ホルモン、並びにホルモン拮抗物質の群から選択される、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- 薬剤が、例えばフルオロウラシル及びAra-Cのようなピリミジンの類似生成物から成る代謝拮抗物質である、請求項2に記載の化学的医薬複合体。
- 薬剤が、例えばヴィンクリスチン、ヴィンブラスチン、及びイリノテカンSN38の活性な代謝物のようなアルカロイドである、請求項2に記載の化学的医薬複合体。
- 薬剤が、例えばドキソルビシンのような抗生物質である、請求項2に記載の化学的医薬複合体。
- 薬剤が、例えばエキストラジオールのようなホルモンである、請求項2に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸及び/又はその誘導体の1つのカルボキシルでの置換度が1から100%の範囲である、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- 薬剤がドキソルビシンであり、ドキソルビシンと結合したスペーサーのヒアルロン酸のカルボキシルでの置換度が1から20%の範囲である、請求項7に記載の化学的医薬複合体。
- 薬剤がSN38であり、SN38と結合したスペーサーのヒアルロン酸のカルボキシルでの置換度が3から15%の範囲である、請求項7に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸及び/又はその誘導体の1つが、400から3x106 Daの範囲の分子量を有する、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- 好ましくはヒアルロン酸が、5,000から1x106 Daの範囲の分子量を有する、請求項10に記載の化学的医薬化合物。
- 好ましくはヒアルロン酸が、30,000から0.5x106 Daの範囲の分子量を有する、請求項11に記載の化学的医薬化合物。
- ヒアルロン酸の誘導体が有機及び/又は無機塩基との塩である、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸の誘導体が、ヒアルロン酸と脂肪族、アルアリファチック、シクロ-脂肪族、芳香族、環式及び複素環式系列のアルコールとのエステルであり、75%を超えないエステル化百分率を有する、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸の誘導体が、ヒアルロン酸と脂肪族、アルアリファチック、シクロ-脂肪族、芳香族、環式及び複素環式系列のアミンとのアミドであり、1から10%の範囲のアミド化百分率を有する、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸の誘導体が、ヒアルロン酸の第四級硫酸化度までのO-硫酸化誘導体である、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸の誘導体が、0.5から10%の範囲のエステル化百分率を有する内部エステルである、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸の誘導体が、N-アセチルグルコサミン分画の脱アセチル化によって得られ、0.1から30%の範囲の脱アセチル化百分率を有する、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- ヒアルロン酸の誘導体が、N-アセチルグルコサミン分画の第一ヒドロキシルの酸化によって得られるペルカルボキシル化誘導体であり、0.1から100%の範囲のペルカルボキシル化度を有する、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- スペーサーが脂肪族、アルアリファチック、脂環式、複素環式の鎖から成り、場合によってヘテロ原子を含む直鎖若しくは分枝鎖であり、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル、アミン、エポキシ基、酸の塩化物、チオール、ニトリル、ハロゲン、無水物、イソシアネート、及びイソチオシアネートを有する、請求項1に記載の化学的医薬複合体。
- スペーサーが、2から10の範囲の炭素原子数を有するカルボン酸によって表される、請求項20に記載の化学的医薬複合体。
- スペーサーがブロモプロピオン酸である、請求項21に記載の化学的医薬複合体。
- スペーサーがブロモ酪酸である、請求項21に記載の化学的医薬複合体。
- 請求項1から23に記載の化学的医薬複合体の1つ又は2つ以上を有効成分として有する医薬組成物。
- 経口、静脈内、動脈内、鞘内、筋肉内、皮下、腹腔内、関節内、局所、経皮投与用、又は新生組織形成部位への直接投与用の、請求項24に記載の医薬組成物。
- ヒドロゲル、ナノ及びミクロ粒子、織られた紡糸繊維又は織られていない紡糸繊維の形態に加工した、請求項1に記載の三次元バイオマテリアル。
- 腫瘍学分野で使用される医薬組成物の製造を目的とする、請求項1〜23に記載の化学的医薬複合体の使用。
- 膵臓、乳房、結腸-直腸、肺臓及び呼吸器系全体、頭部-頸部、肝臓、胃、精巣、卵巣、子宮内膜、前立腺、膀胱、脳の腫瘍、白血病、リンパ腫、メラノーマ、カポジ肉腫、骨肉腫、神経芽腫並びに皮膚癌の全身的又は局所的治療を目的とする、請求項26に記載の使用。
- 以下の選択可能な工程a)、b)又はc)にしたがいヒアルロン酸のカルボキシル基とエステル結合を形成するスペーサーの手段によって、ヒアルロン酸又はその誘導体の1つ及び抗腫瘍活性を有する薬剤の間接的複合体を形成することによる、請求項1−23に記載の化学的医薬複合体を製造する方法:
Ia)HAのカルボキシル基と反応することができる第二の脱離基を更に含む、適切に選択したスペーサーの官能基と、選択した抗腫瘍性分子に属する官能基とを反応させる工程; IIa)反応が、例えばカルボジイミドのような活性化剤の手段により関連する機能の1つの活性化を多分に要求することができる工程;
IIIa)無水環境におけるHAのテトラ-アルキルアンモニウム塩(好ましくはテトラブチルアンモニウム)との直接接触により、第二相で、改変薬剤から成る化合物が反応してHAのカルボキシルで脱離基の求核置換を生じ、HAとスペーサーとの間にエステル結合を形成する工程;
Ib)ヒアルロン酸のカルボキシル基が、適切なスペーサーとの求核接着によって結合し、前記スペーサーが続いて抗腫瘍性分子の官能基と結合する工程;
Ic)HAのカルボキシル基が活性化剤により活性化され、かつ、適切に選択され、あらかじめ薬剤に結合させた又は後に薬剤に結合させるスペーサーのヒドロキシル基と反応する工程。 - ヒアルロン酸又はその誘導体の1つ及び抗腫瘍活性を有する薬剤を、以下の工程にしたがって、ヒアルロン酸のカルボキシル基とアミド結合を形成するスペーサーの手段によって間接的に複合体を形成させることによる、請求項1〜23に記載の化学的医薬複合体を製造する方法:
−ヒアルロン酸のカルボキシル基を活性化剤により活性化し、あらかじめ薬剤に結合させた又は後に薬剤に結合させる、適切に選択したスペーサーのアミン基と反応させる工程。
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