JP5302340B2 - リンパ管内化学療法薬物担体 - Google Patents

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Description

本発明は、2008年1月30日出願の米国仮特許出願第61/024,837号の恩典を請求し、この明細書は、具体的な参照により、その全体が本明細書に援用される。
癌とは、ある細胞群が、制御されない増殖および正常な限界を超える分裂、隣接する組織への浸潤およびその組織の破壊、ならびに時にはリンパ管または血管を介して身体の他の位置へ癌を伝播する転移を呈する一群の疾患である。
これらの癌の悪性の特性によって、癌は自己制限的であって、浸潤や転移をしない良性の腫瘍とは区別される。
ほとんどの癌は、腫瘍を形成するが、白血病のように形成しない場合もある。
癌は、全ての年齢の人々に、胎児でさえ影響し得るが、ほとんどの多様性についてのリスクは年齢とともに増大する。
癌は全ての死亡例のうち約13%をもたらす。
米国癌協会(American Cancer Society)によれば、2007年には米国で癌によって760万人が死亡した。
癌は全動物で発症し得る。
ほぼ全ての癌が、形質転換細胞の遺伝物質の異常によって生じる。
これらの異常は、タバコの煙、放射線、化学物質または感染性因子などの発癌物質の影響に起因し得る。
他の癌促進性の遺伝子異常は、DNA複製のエラーを通じて無作為に獲得される場合もあるし、または遺伝性であって、従って出生から全ての細胞に存在する。
癌の遺伝性は、通常は、発癌物質と宿主のゲノムとの間の複雑な相互作用によって影響される。
診断には、通常、病理学者による組織生検の標本の組織学的試験を要するが、悪性腫瘍の最初の指標は症状であることもあるし、またはX線画像の異常である場合もある。
ほとんどの癌は、特定のタイプ、位置および段階に依存して、処置可能で、ある場合には治癒される場合もある。
一旦診断されれば、癌は通常、手術、化学療法および放射線療法の組み合わせで処置される。
研究開発につれて、処置は癌の種々の多様性についてさらに特異的になっている。
特定の腫瘍における検出可能な分子異常に対して特異的に作用し、正常な細胞に対する損傷を最小にする標的治療薬物の開発における大きな進歩があった。
癌患者の予後は、癌のタイプ、ならびに、疾患の段階または程度によって最も影響される。
さらに、組織学的等級および特定の分子マーカーの存在はまた、予後診断を確立するのに、および個々の処置を決定するのにも有用であり得る。
シスプラチン(すなわち、cis−ジアミンジクロロ白金またはCDDP)は、多くの固形腫瘍のための重要な化学療法剤となってきた。
しかし、より新しい白金薬物類は、副作用が少ないことが見出されており、かつ、このような薬物は重要な化学療法剤となり得る。
シスプラチン、および他の化学療法剤または潜在的な化学療法剤に対する1つの欠点は毒性の大きさである。
化学療法は、臓器毒性によって妨害されるので、癌専門医は、全身の循環から罹患した組織または器官を一時的に隔離すること、およびそれらを化学療法剤で灌流することによって疾患領域に対して化学療法を限定する手順を開発している。
例えば、高用量の化学療法の動脈内経皮的骨盤灌流によって、進行性の子宮頸癌において副作用が少ない治療上の利点を得ることができる。
しかし、これらの処置は、高度に侵襲性であって、通常は、大型の医学研究施設に限定される専門的な技術および装備を必要とする。
さらに、組織の隔離は、リンパ組織への有意な浸潤を有する局所の進行性の乳癌を含めて多くの場合には不可能である。
局所進行乳癌の処置は、化学療法が、遠位の転移の処置については十分な全身のレベルを維持しながら、胸部のリンパ管に濃縮された場合に改善され得る。
新補助全身性化学療法は、局所進行乳癌(LABC)では標準的なケアであるが、処置後、典型的には癌はまず、わずかな間質浸潤とともにリンパ管を介して散らばり、その後に全身性の疾患となる。
初期段階の乳癌の外科的処置は、流入領域センチネルリンパ節に沿った原発性腫瘍の切除、および妥当であればさらにリンパ管切除を包含する。
しかし、この手順では、センチネルリンパ節標本で完全な免疫組織学的分析が慣用的には行われない場合、リンパ節でのナノスケールの転移を見逃す場合があり、再発の危険性を2倍にすると推定される(リンパ節が本当に陰性の症例と比較して)。
乳房およびリンパ管への局所照射と併用する全身性の化学療法によって再発の危険性は軽減されるが、これらの処置は健康な組織に対して多大な損害を生じる。
それらの起源にかかわらず、多くの癌は、リンパ系を用いることによって転移する(例えば、乳房、卵巣、黒色腫)。
リンパ管は、体の排液システムであって、組織からの廃棄物を浄化し、転移性癌はこの排液を流れて局所のリンパ管において最初に「播種」する。
手術および化学療法は、これらの早期の転移の多くを破壊できるが、患者に対する罹患率が大きい(例えば、毒性の副作用および疼痛性のリンパ浮腫)。
従って、初期の癌では腫瘍組織に対して化学療法を直接送達することによってこれらの副作用を回避する化学療法剤を有することが有益である。
また、化学療法剤はリンパ管へ優先的に向け、それによって、身体の他のどこかで正常な細胞上の副作用を回避し、手術および全身の化学療法後に再発を生じ得る「種(シード)」を破壊することが有利である。
一つの態様では、本発明は、経皮的な注射による局所投与のために構成された化学療法組成物を含む。
この組成物は、薬学的に許容され得る担体と;経皮(経皮(percutaneous)とは、皮下、間質内、腫瘍周囲、粘膜下または経皮的(transdermal)を指す)投与の後の優先的なリンパ管内蓄積のために構成されたナノコンジュゲートとを含んでもよい。
一つの態様では、本発明はナノコンジュゲートを含み、このナノコンジュゲートは:経皮投与または間質内投与後の優先的なリンパ管内蓄積のために構成されたナノキャリアと;このナノキャリアにカップリングされた複数の化学療法剤とを含む。
このナノコンジュゲートは、約10〜約80nmの寸法を有してもよい。
また、このナノコンジュゲートは、約10〜約50%w/wの化学療法剤をロードされてもよい。
このナノキャリアは、約20kDa〜約150kDaのヒアルロン酸重合体であってもよい。
あるいは、このナノキャリアはデンドリマーであってもよい。
上記化学療法剤は、シスプラチン、他の白金化学療法薬物、メルファラン、ウィタフェリンA、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ドセタキセル、ダウノルビシン、それらの組み合わせなどから選択される。
一つの態様では、上記化学療法剤は、生分解性リンカーを介してナノキャリアにカップリングされる。
例えば、上記生分解性リンカーは酸不安定性または分解性である。
一つの態様では、上記化学療法組成物および/またはナノコンジュゲートはPEG、HPMA、ポリグルタミン酸類および/または銀を実質的に含まない。
一つの態様では、上記化学療法剤は、化学療法剤の標準的な静脈内投与に比較して、高いリンパ管AUCおよび低い血漿Cmaxを得るために治療上有効な量で存在する。
一つの態様では、本発明は、癌を処置および/または阻害するための方法を含む。
このような方法は、ある組成物を経皮的に投与する工程を含み、この組成物は、薬学的に許容され得る担体と、経皮投与の後の優先的なリンパ管内蓄積のために構成されたナノコンジュゲートとを有する。
このナノコンジュゲートは本明細書に記載されるような任意の実施例であってもよい。
本発明のこれらおよび他の態様および特徴は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲からさらに詳細に明らかになるか、または本明細書において以降に示される本発明の実施によって知ることができる。
本発明の上記と他の利点と特徴とをさらに明確にするために、本発明のさらに詳細な説明は、添付の図面に示されるその特定の実施例を参照して得られる。
これらの図面は、本発明の単なる例示的な実施例を示すものであり、従ってその範囲の限定と解釈されるべきではないことが理解される。
本発明は、追加の特殊性および添付の図面の使用を通じた詳細によって記載および説明される。
化学療法剤の組織および血漿濃度を示すグラフを含む。 図1(A)は、右の乳腺の脂肪体へのシスプラチンの静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の同側(右)腋窩部リンパ節および対側(左)腋窩部リンパ節における白金の組織濃度を示すグラフである。 図1(B)は、右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kg)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kg)の皮下注射のいずれかの後のシスプラチンの血漿濃度を示す、濃度対時間の薬物動態のグラフである。 右の乳腺の脂肪体での皮下のHA−シスプラチンの単回投与後の尿中クレアチニンの濃度を経時的に示すグラフを含む。 図2(A)は、銀の有無において3.3mg/kgのHA−シスプラチンを投与されている動物の尿中クレアチニン濃度を示すグラフである。 図2(B)は、銀の有無において1.0mg/kgのHA−シスプラチンを投与されている動物の尿中クレアチニン濃度を示すグラフである。 図2(A)では、尿中クレアチニンが低いほど、銀を含有する高用量サンプルでみられるような腎臓ダメージの兆候であるが、図2(B)では、低用量で2つの処方物の間に有意な相違はなかった。 薬物化合物の単回注射の30日後で、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した腎臓組織の画像である。 図3(A)は、皮下HAを投与されている動物が正常な組織を有したことを示す(コントロール)。 図3(B)は、3.3mg/kgの静脈内シスプラチンを投与されている動物が皮質髄質尿細管細胞で濃縮した核などの変性の変化を有したことを示す。 図3(C)は、銀なしの皮下の3.3mg/kgのHA−シスプラチンを投与されている動物が皮髄接合部で尿細管細胞壊死のわずかな病巣以外は極めて正常な外観を有したことを示す。 図3(D)は、銀ありの1.0mg/kgの皮下のHA−シスプラチンを投与されている動物が髄質尿細管上皮細胞で大きく広がった濃縮核を有したことを示す。 図3(E)は、1.0mg/kgの静脈内シスプラチンを投与されている動物が髄質尿細管上皮細胞で濃縮核を有したことを示し、濃い紫色の染色の増大は、核染色およびアポトーシスの広がりを示唆している。 図3(F)は、1.0mg/kgの皮下のHA−シスプラチンを投与されている動物が最小限の腎尿細管細胞膨張および変性以外は正常な外観を有したことを示す。 薬物の単回注射30日後でかつH&Eで染色した肝臓組織の画像である。 図4(A)は、皮下HAを投与されている動物が正常な組織を有したことを示す(コントロール)。 図4(B)は、3.3mg/kgのシスプラチンを投与されている動物が中度の壊死を有したことを示す。 図4(C)は、3.3mg/kgの皮下のHA−シスプラチンを投与されている動物が極めて軽度の変性以外は極めて正常な外観を有したことを示す。 図4(D)は、銀ありで1.0mg/kgのHA−シスプラチンを投与されている動物が極めて軽度の変性以外は極めて正常な外観を有したことを示す。 図4(E)は、1.0mg/kgの静脈内シスプラチンを投与されている動物が極めて軽度の変性以外は極めて正常な外観を有したことを示す。 図4(F)は、1.0mg/kgの皮下のHA−シスプラチンを投与されている動物が正常な外観を有したことを示す。 薬物の単回注射30日後でかつH&Eで染色した脳組織の画像である。 HA(コントロール)および全ての研究化合物(例えば、静脈内シスプラチン3.3mg/kg、皮下HA−シスプラチン3.3mg/kg、皮下HA−シスプラチンとAg1mg/kg、静脈内シスプラチン1mg/kg、皮下HA−シスプラチン1mg/kg)を皮下注射されている動物は正常な所見を有した。 注射30日後でかつH&Eで染色したリンパ組織の画像である。 HA(コントロール)および全ての研究化合物(例えば、静脈内シスプラチン3.3mg/kg、皮下HA−シスプラチン3.3mg/kg、皮下HA−シスプラチンとAg1mg/kg、静脈内シスプラチン1mg/kg、皮下HA−シスプラチン1mg/kg)を皮下注射されている動物は正常な所見を有した。 注射の30日後の注射部位の背景の組織の画像である。 HA(コントロール)および全ての研究化合物(例えば、皮下HA−シスプラチン3.3mg/kg、皮下HA−シスプラチンとAgを1mg/kg、HA−シスプラチン1mg/kg)を皮下注射されている動物は正常な所見を有した。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Aは膀胱についてのグラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Bは脳についてのグラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Cは心臓についてのグラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Dは腎臓についてのグラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Eは肝臓についてのグラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Fは肺についてのグラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Gは筋肉についてのグラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン(3.3mg/kgシスプラチンベース)の静脈内注射またはHA−シスプラチン(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の白金の組織濃度を示しているグラフである。 図8Hは脾臓についてのグラフである。 リンパ管内化学療法剤の合成および化学療法におけるその機能の模式図である。 皮下注射後の薬剤の総量を図示するグラフである。 図10(A)は、右の乳腺の脂肪体へのシスプラチンまたはシスプラチン−HA(3.3mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の右側腋窩部リンパ節(RLN)および左側腋窩部リンパ節(LLN)におけるシスプラチンの組織濃度を示す。 図10(B)は同じ手順でのシスプラチンの血漿濃度を示す。 注目すべきは、静脈内シスプラチンの血清Cmaxは4μg/mLを超えるが、HA−シスプラチンについては血清Cmaxは3μg/mL未満であることである。 シスプラチンでの高いCmaxはこの薬物に関連する聴器毒性、腎臓毒性および末梢神経障害と直接関連していた。 このデータによってHA−シスプラチンは静脈内シスプラチンよりも毒性が低い場合があることが支持される。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Aは膀胱である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Bは脳である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Cは心臓である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Dは腎臓である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Eは肝臓である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Fは肺である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Gは筋肉である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 右の乳腺の脂肪体へのシスプラチン−HA(10mg/kgのシスプラチンベース)の皮下注射後の種々の組織(例えば、図11Hは脾臓である)についてのシスプラチンの濃度の組織濃度グラフである。 72時間後のシスプラチンおよびシスプラチン−HAによるヒト癌細胞増殖の阻害を通じて細胞生存度を図示するグラフである。 注目されるように、HAはそれ自体では、試験した濃度(最大10mg/mL、データ示さず)を超えて毒性を示さなかった。 このグラフは、CDDPに対するHAのコンジュゲートが同様のIC50レベルを示した全ての細胞株のようにインビトロでのシスプラチンの抗癌効果に対して有害な影響がなかったことを示す。 緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するMDA−MB−468乳房リンパ管腫瘍を保有するヌードマウスでの皮下注射後のリンパ管内担体の局在化を示している写真である。 図13(A)は、マウスにTexas Red−HAを、左の乳腺の脂肪体へ皮下注射した時点での乳房リンパ管腫瘍4を示す。 写真は、5時間および18時間後(それぞれ、図13(B)および13(C))、かなりのHAが流入領域リンパ節に局在し、かつ腫瘍と同時局在することを示す(GFP−チャネルは緑色で、かつ4で印し、Texas Redチャネルは赤色でかつ6で印し、青色の矢印2は注射部位である)。 ナノコンジュゲートの合成の模式図である。 デンドリマーの合成を図示する模式図である。 ナノコンジュゲートに対する標的化剤のコンジュゲーションを図示する模式図である。 腫瘍増殖が、HA−シスプラチン処置によって陰性コントロール群に比べて5週間、および従来のシスプラチン処置に比較して2週間遅延されたことを示す。 ドキソルビシンの放出をpHの関数として示す。 放出半減期は、pH7.4で167時間、pH6.0で107時間およびpH5.0で45時間であることが見出された。 腫瘍増殖が、3週目および5週目の2週に1回の投与の後のナノキャリア−DOX処理によって停止され、標準の静脈内ドキソルビシン(紫色の線)に比べた効率の有意な改善を示す。 ホスホエステル−HAを図示する。 ホスホエステル−HAとのナノコンジュゲートの合成を図示している模式図である。 皮下のHA−シスプラチン投与のインビボの効率を図示するグラフである。 2つのヒト頭頸部扁平上皮癌細胞株(JMARおよびMDA−1986)に対する標準的なCDDP処方物(図21B)とHA−シスプラチン(図21C)のインビトロでの抗増殖特性を比較するMTSアッセイによる標準的な細胞生存度対薬物濃度曲線を図示するグラフである。 注目すべきは、IC50レベルは、両方の薬物で極めて類似しており、このことはHAコンジュゲーションがやはり、インビトロでのCDDPの抗癌活性に有害に影響しないということを示していることである。 2つのヒト頭頸部扁平上皮癌細胞株(JMARおよびMDA−1986)に対する標準的なCDDP処方物(図21B)とHA−シスプラチン(図21C)のインビトロでの抗増殖特性を比較するMTSアッセイによる標準的な細胞生存度対薬物濃度曲線を図示するグラフである。 注目すべきは、IC50レベルは、両方の薬物で極めて類似しており、このことはHAコンジュゲーションがやはり、インビトロでのCDDPの抗癌活性に有害に影響しないということを示していることである。 ラットの右乳腺脂肪体での単回注射後のHA−ドキソルビシンの分布を示している写真である。 ドキソルビシンは、もともと蛍光を有しており、薬物−担体のコンジュゲートの分布および寿命はこの時限評価で十分観察できる。 注目すべきは、薬物−担体のバルクは、腋窩リンパ節に移動され、ここで薬物が9日の間隔にわたって緩徐に放出され、9日後でさえ依然としてある程度の残留活性があることである。 楕円形は、乳房の注射部位を記しており、最も濃い濃度(赤色)は腋窩にある。 インビボにおける相当進行した乳癌腫瘍で、単回の後期腫瘍周囲HA−ドキソルビシン処置後でさえ腫瘍が反応を示しているグラフである。 Maestroマルチチャネル蛍光画像化システムで可視化した場合のHA−ドキソルビシンのインビボ輸送を示している写真である。 ラットの乳房の局所領域の組織およびリンパ節への薬物および担体の良好な取り込みがあり、これは、リンパ管において注射の4日後でさえ十分残留している。
概して、本発明は、新規な化学療法剤、この化学療法剤を有する薬学的組成物、この化学療法剤を作製する方法、ならびにリンパ系における優先的な蓄積のための方式でこの化学療法剤を投与する方法に関する。
この化学療法剤は、腫瘍に隣接するかまたは皮下のような身体内の実質的に任意の間質性部位への投与の際、リンパ系へ優先的に送られるが、全身に投与はされないナノキャリアを含む。
すなわち、この処方物は静脈内投与を介して投与されない。
そのようなものとして、この化学療法剤は、任意のサイズの腫瘍、癌性細胞、または、リンパ系内の他の悪性腫瘍を優先的に標的にする。
このようなアプローチは、初発の癌から身体の別の部位への癌性細胞の伝播を効率的に阻害し得る。
ナノコンジュゲートである化学療法剤の設計によって、毒性である全身濃度のピークの上昇を生じない様にリンパ系を通じた注射/投与の部位からの転位が可能になる。
伝統的な投与経路、例えば、静脈内では、毒性でありかつ回避されるべき、薬物の初回通過の薬物動態を通常介した高いピーク全身濃度が生じる。
従って、この化学療法剤は、優先的にリンパ系へ転位し、リンパ節に存在し得る細胞を含むリンパ系の癌性細胞を処置可能である。
この転位の方式は、多くの癌性細胞がその原発性の病巣から最初に伝播する場合に流れる経路をたどり、その結果、局所領域組織を通じた癌性細胞の伝播を処置または阻害するために用いられ得る。
この化学療法剤は、全身に伝播および濃縮されるのではなく、優先的にリンパ系へ転位されるようなサイズおよび組成物に最適化されるナノキャリアを含む。
ヒアルロン酸重合体担体およびいくつかの樹状の担体、例えば、本明細書に記載される担体は、リンパ系への特徴的な選択的な転位などを有することが見出されている。
例えば、この化学療法剤は、皮膚癌に対して隣接して配置されて、癌性細胞と同様のリンパ系に入ってもよい。
シスプラチンは、固形腫瘍のための最も広範に用いられる化学療法剤の1つである;しかし、その毒性および耐性によって、多くの患者でその用量および用途を厳しく制限される。
リンパ管への全身のシスプラチンの浸透は、劣る場合もあり(注射される薬物の1〜5%未満)、局所的な癌のための別の処置(例えば、外科的な除去または放射線)で、感染およびリンパ浮腫などの重篤な副作用がもたらされ得る。
そのようなものとして、リンパ管での癌性細胞の蓄積を処置または阻害する方法が所望されており、局所領域の組織およびリンパ管へ優先的に転位するナノコンジュゲートの皮下投与または間質性投与を通じて現在達成され得る。
このナノコンジュゲートは化学療法薬物(例えば、シスプラチン)にカップリングされたFDA承認済みの生体適合性担体のナノキャリアを含んでもよい。
このナノコンジュゲートは、シスプラチンでの伝統的な静脈内治療に比較して全身毒性を低下し得る。
これによって、多くのシスプラチン反応性の癌、例えば、乳癌、非小細胞肺癌、卵巣癌および頭頸部扁平上皮細胞癌ならびに他のシスプラチン感受性の腫瘍の処置、阻害および/または予防が可能になる。
なぜならリンパ管は疾患の伝播の初期段階から後期段階に関与しているからである。
シスプラチンは、本明細書において、実施例および図面にあるように、CDDPおよびPtとして言及されている。
以前には、正常な組織を毒性用量から守りながら、腫瘍保有組織に到達するシスプラチンの用量を増大するための標的化およびナノキャリアのストラテジーが報告されている。
これらの技術は、非標的化または受動的に標的化される担体(例えば、非受容体)および能動的に標的性の担体(例えば、抗体)に分類できる。
とりわけ高分子ミセルの処方物(例えば、NC−6004)などの非標的化担体は、前臨床研究における非特異的毒性の減少を示しており、かつ早期の臨床試験に進行した。
第I相試験では、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HMPA)および白金(例えば、AP5280)の非標的化直線ポリマーコンジュゲートは、ヒトでより高い白金の血漿レベルを維持していることが示され、静脈内シスプラチンに比較して毒性が最小限である。
これらの非標的化担体は、薬物の腫瘍蓄積を改善する透過性および保持効果(EPR)の増強に依拠するが、高度に血管が新生されていない腫瘍では、EPR効果は大きく低下し、非標的ナノキャリアは利点が少ない。
従って、受動的な標的化は、リンパ系で見出され得る癌性細胞などの腫瘍の処置では血管新生が低く有効ではない。
今般、本発明により、血管新生されていない癌性細胞、例えば、リンパ系で見出される癌性細胞は、腫瘍の部位での皮下注射を介して腫瘍の局所領域リンパ管において化学療法剤を選択的に蓄積して、この化学療法薬物が、腫瘍が最初に転移する可能性が最も高いリンパ経路にそって送達可能になることによって処置または阻害され得る。
これは、生体適合性ナノキャリアおよび化学療法薬物のナノコンジュゲートで行われ得、ここでこのナノキャリアは、担体なしでは送達が困難である薬物の部位選択的な蓄積をもたらす。
リンパ管内組織に蓄積できるナノコンジュゲートの皮下投与は、乳癌などの多くの癌を処置するために有益である。
例えば、乳癌は、代表的には、一旦それらが原発性腫瘍から広がれば、局所リンパ節に伝播し、従って初期段階の疾患で腋窩リンパ節の十分な評価および処置が重要である。
現在の治療での1つの重要な問題は、化学療法剤が単独または組み合わせのいずれかで全身的に生じる副作用である。
本発明のナノコンジュゲートは、有利である。
なぜなら、それらは、驚くべきことに、かつ予期せぬことに、リンパ系および/またはリンパ管内組織に存在する癌性細胞に蓄積し得、従って所望されない全身毒性なしにリンパ系転移に作用する。
そのナノコンジュゲートは、リンパ管内組織における蓄積のために皮下投与され得る。
そのようなものとして、このナノコンジュゲートは、優先的にリスクのある局所リンパ節を処置するように乳癌を処置して、全身毒性を回避するために用いられ得る。
本発明は、ポリサッカライドヒアルロン酸(HA)と化学療法薬物(例えば、シスプラチンまたは他の白金)とのナノコンジュゲート、薬学的組成物およびこれに関連する方法、特に、治療的なリンパ管内局在化および非毒性の全身濃度を達成するための皮下注射に関連する方法を包含し得る。
HAナノコンジュゲートは、乳房リンパ管へのシスプラチン濃縮に有効であり、毒性であるピーク血漿濃度を低減するHAの分子量/サイズで処方される。
シスプラチンは、本明細書において、代表的な化学療法薬物として用いられているが、化学療法で有効であることが示されている他の薬物が本発明のナノコンジュゲートにコンジュゲートされ得る。
また、HAは代表的なナノキャリアとして用いられる;しかし、デンドリマーなどの同じまたは類似の生理学的送達プロフィールおよび特性を有する他のナノキャリアを用いてもよい。
シスプラチンを原子吸光分光学によって、臓器、組織およびリンパ管における白金沈着を決定することが容易であるという理由で用い、本明細書で記載した。
そのようなものとして、投与後のシスプラチン沈着は、ナノキャリアにコンジュゲートされ得る他の化学療法薬物の代表である。
一つの態様では、この化学療法薬物は、シスプラチンであり、これは、多くの固形腫瘍について優れた抗癌剤であることが示されているが、シスプラチンの標準的な処方物は、有意な全身毒性を有することが示されている。
今般、シスプラチンのナノコンジュゲートは、全身毒性を軽減しながら、早期の転移が最も起こる可能性が高いリンパ管における白金のレベルを増大するために局所領域送達系として皮下に投与できることが示されている。
また、シスプラチンナノコンジュゲートは驚くべきことにかつ予期せぬことに、有意な全身毒性なしに治療上有効である適切な全身濃度を提供し得る。
本出願における図面で示されるとおり、HA−シスプラチンは、治療上有効であり、標準的な静脈内CDDPの毒性の高いCmaxレベルのない、血清および全身のAUCを提供し得る。
治療上有効なリンパ管内蓄積および全身濃度のための皮下投与(例えば、腫瘍に近位)を介して局所的に送達可能で、かつ毒性の少ない徐放性の特徴を有することが可能な組み合わせによって、標準的なCDDPよりも有利になる。
例えば、シスプラチンは、約20w/w%のコンジュゲーションの程度を有するヒアルロン酸などの生体適合性のポリマーにコンジュゲートされ得る。
このナノコンジュゲートは、治療上有効なリンパ管内蓄積および全身濃度のための皮下注射を介して(例えば、ラットの乳房組織へ)送達され得る。
このHA−シスプラチンナノコンジュゲートによって、ヒト乳癌でインビトロの標準的なシスプラチン処方物に類似の抗増殖効力が示された。
このナノコンジュゲートは、正常なシスプラチンに比較して2.7倍まで血漿曲線下面積(AUC)を増大したが、全身毒性を軽減するために有益であるピーク血漿レベル(Cmax)は低下していた。
このナノコンジュゲートは、シスプラチンに比較して3.8倍まで同側のリンパ節のAUCを増大した。
ナノコンジュゲート処置を受けている動物の病理学的研究で、正常な外観の脳およびリンパ節が示されたが、腎臓および肝臓では、静脈内投与されたシスプラチンに比較して壊死および炎症が低減していた。
従って、このナノコンジュゲートで、ヒアルロン酸ベースの化学療法薬物でのリンパ管内薬物送達では、静脈内治療よりも毒性が低い、低い薬物投与レベルを可能にし得、一方で、腫瘍負荷が最高である局所領域組織の流域における化学療法薬物の「ブースト」用量がもたらされることが示される。
一般には、このナノキャリアは、ペプチド、抗体(モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方)、インターフェロン、メルファラン以外の他のナイトロジェンマスタードの分類の薬物、例として、クロラムブシル、アミオダロン、トポテカン、ウィタフェリンA、HSP90インヒビター類、例として、17−AAG、VEGFインヒビター類、ヒストンデアセチラーゼインヒビター類、および任意のタキサン類、例として、タキソール、パクリタキセル、ドセタキセルなどに対してコンジュゲートされてもよい。
ナノコンジュゲートにコンジュゲートされ得る薬物のいくつかの例としては、シスプラチン、他の白金薬物、メルファラン、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ドセタキセル、ダウノルビシン、クロラムブシル、5FU、パクリタキセル、ビンクリスチン、Her2の抗体類およびペプチド類、EGFRの抗体類およびペプチド類、ラパマイシン、mTORインヒビター類、ウィタフェリンA、HDACインヒビター類、SAHA、Hsp90インヒビター類、17−AAG、および17−DMAGが挙げられる。
一つの態様では、このナノキャリアは、ヒアルロン酸(HA)重合体であり、これは、皮下投与などのような間質腔からリンパ管の排液を流すことが現在見出されている極めて生体適合性の重合体である。
HAおよびシスプラチンのナノコンジュゲートは、非共有結合によってまたは生分解性の結合、例えば、エステルまたはヒドラジン結合を通じて形成され得る。
このナノコンジュゲートは、身体のどこでも皮下に注射できる。
例としては、乳癌の処置のための雌性被験体の上部乳腺脂肪体への注射が挙げられる。
ヒアルロン酸(HA)重合体は、身体の結合組織で見出され、かつ主にリンパ系で除去される(12〜72時間の代謝回転の半減期)、交互のD−グルクロン酸およびN−アセチルD−グルコサミンのポリサッカライドである。
リンパ管への進入後、HAはリンパ節へ輸送され、ここで受容体媒介性のエンドサイトーシスおよびリソソーム変性によって異化される。
いくつかの研究はHA合成の増大および癌進行での取り込みおよび転移能力に関連している。
乳癌細胞は正常な組織よりもHAの取り込みが大きく、多剤耐性に対する主な寄与因子である高いP糖タンパク質発現のためにはHAを要することが公知である。
さらに、浸潤性乳癌細胞は、HAの主な受容体であるCD44を過剰発現し、増殖のためには高濃度のCD44内部移行HAに依存する。
従って、HAとの化学療法薬物ナノコンジュゲートは、リンパでの転移に対して有効であり得る。
従って、HA−薬物ナノコンジュゲートは、リンパ節表面上のCD−44受容体およびCD−44受容体が過剰発現される癌細胞に対する結合によって、リンパ系に方向付けられ、かつリンパ節中で蓄積し得る。
また、ヒアルロン酸は、CD44受容体のリガンドであり、CD44受容体媒介性のエンドサイトーシスに続くリソソーム分解によってリンパ節で異化される、リンパ系によって主に除去される。
これによって、ナノコンジュゲート中の薬物が最初の腫瘍伝播部位に送達されることが可能になり、その効果をリンパ節に集中する。
全身吸着とは対照的にリンパ取り込みを有することによって、HAナノコンジュゲートは、裸の薬物での現行の化学療法剤送達技術に比較して低い臓器毒性および全身毒性をもたらす。
HAの分子量は、変更される場合もあるが、リンパ系への取り込みには、大きな効果があり、それによってリンパ系の薬物濃度に影響する。
ヒアルロン酸は35kDaでは優れた能力を有するが、また投与には75〜150kDaで用いられ得ることが見出されている。
炎症性の反応に起因して、10kDa未満が適している場合もあり、高い粘度のせいで700kDaより上は現実的ではない場合がある。
従って、HAの分子量は、約20kDa〜約150kDa、さらに好ましくは約25kDa〜約100kDa、そして、最も好ましくは約30kDa〜約75kDaに最適化され得る。
これらの低い分子量のHA重合体は、リンパ系におけるロードされている薬物、およびナノコンジュゲートの蓄積の特徴に依存してさらに洗練され得る。
例えば、30kDA〜50kDaの分子量が有利である場合があり、約35kDaの重合体も同様である。
これらのHA重合体は十分に可溶性であって、そのため、それにコンジュゲートされた薬物をリンパ系に輸送することができる。
また、ナノキャリアはデンドリマーであってもよい。
このデンドリマー生成は、キャピラリー取り込みに対するリンパ管の比を最適化するように選択され得る。
デンドリマーナノ粒子は、材料の作製および末端基の化学に依存して極めてよく規定されたサイズおよび表面荷電を有する。
例としては、PAMAMデンドリマー類(ポリアミドアミン)、ホスホエステルデンドリマー類、ビス(3−ヒドロキシプロピル)ホスホネートデンドリマー類、カルボキシエステルデンドリマー類、アミノ酸デンドリマー類、ハイパーブランチポリマー類(例えば、分岐ポリアミノ酸類、分岐ポリエステル類、分岐ポリホスホエステル類)、ポリサッカライド類(ヒアルロン酸、デキストランおよびそのスルホン酸化誘導体類、セルロース)などが挙げられる。
このナノコンジュゲートは、リンパ系への優先的な転位のために腫瘍周囲および皮下注射のために製剤される場合があり、そのため全身暴露は限定される。
このナノコンジュゲートは、急速なリンパ取り込みを最大化するために中性または負の電荷で毛細管取り込みを回避するように約10〜約30nm、優先的には、約15〜25nm、最も優先的には約20nmであってもよい。
皮下注射された粒子のリンパ管取り込みのための最適のサイズ範囲がある:100nmより大きい粒子は、大部分が注射部位に限局されたままであり、10〜80nmの粒子はリンパ管によって取り込まれ、小さい粒子および分子(<20kDa)は毛細血管の網目状構造によって全身循環へ吸収される。
100nmより大きいかまたは5nmより小さいナノコンジュゲートは、全く現実的ではない。
好ましくは、このナノコンジュゲートは、10〜80nm、より好ましくは15〜50nm、そして、最も好ましくは20〜40nmであってもよい。
以前の報告は、HAが白金薬剤との適切なコンジュゲートを形成する能力を示している;しかし、本発明のナノコンジュゲートは、異なる特徴、例えば、HAの分子量、薬物ローディング、および皮下投与のために構成された処方物を有する。
以前にはHA−薬物のコンジュゲートは、リンパ管沈着および保持のための皮下投与のためにも、そして、適切な全身濃度についても決して設計および製剤されていない。
さらに皮下のHAナノコンジュゲートは現在、乳腺の脂肪体への皮下注射後、ラットの腋窩流域に排出されることが見出されている。
従って、その組成物は、リンパ系、例えば、リンパ節において見出され得る転移を処置するためにリンパ系における蓄積のための、腫瘍への直接注射および/または皮下注射のために構成され得る。
例えば、皮下注射されたシスプラチン−HAナノコンジュゲートは、最大0.25w/wまでのシスプラチンを含み、生理食塩水中で10時間の半減期で薬物を放出する。
シスプラチン−HAナノコンジュゲートは遊離のシスプラチンと類似のインビトロの高い抗腫瘍活性を有した:シスプラチン−HAのIC50はMCF7およびMDA−MB−231のヒト乳癌細胞において7μg/mLであった(遊離のシスプラチンのIC50は7μg/mL)。
シスプラチン−HAのコンジュゲートは、げっ歯類ではよく耐容され、96時間後、注射部位の罹患の兆候も主要な臓器の毒性もなかった。
シスプラチン−HAの注射後腋窩リンパ節でのシスプラチンのAUCは、通常なシスプラチンに比較して74%増大した。
ナノコンジュゲートによって送達される化学療法薬物の全身濃度は、実質的に非毒性であるのに十分低いレベルでありながら、任意の転移性または全身性の癌性細胞を処置するのに有効であるのに十分高いレベルを達成し得る。
以前には、化学療法の処方計画に裸の白金薬物を包むことは、白血球減少症、悪心、脱毛、急性腎毒性、慢性腎毒性および貧血の危険性の増大を含むいくつかの毒性をともなっていた。
そのようなものとして、乳房および腋窩に限局された癌のための局所領域療法のアプローチは、乳癌化学療法における白金薬物の使用を大きく改善し得る。
この目的のために、ヒアルロン酸は、リンパ節へシスプラチンを局在化するための理想的な担体であり得る。
一つの態様では、このナノキャリアは、生分解性リンカーを介して化学療法薬物にコンジュゲートされる。
すなわち、このリンカーは癌細胞に近位または中で化学療法剤を遊離するために分解するように構成されてもよい。
HAの場合には、このリンカーは、酸分解性リンカーであってもよい。
HAは細胞に内部移行されて、リソソームに転位することができ、これにより酸分解性リンカーを酸性化し分解するので、酸分解性リンカーはHAと利用され得る。
また、癌性細胞の周囲の低酸素の微小環境はこれらのリンカーを分解し得る。
これにより、HAナノコンジュゲートを吸収する癌性細胞へ薬物は直接放出される。
酸分解性リンカーの例としては、ヒドラゾン、エステル類、ケタール類、生分解性重合体リンカー類、ポリラクチド、ポリグリコリド、それらのコポリマー、それらの組み合わせなどが挙げられる。
酸分解性ジスルフィドに加えて、1,6脱離リンカー類、ホスホエステルリンカー類、酵素切断性リンカー類、例としては限定するものではないが、腫瘍および周囲の組織、リンパ管、およびリンパ節で見出される、ほとんどの非標的組織よりもこれらの組織で高いレベルで発現され得る酵素によって認識される短いペプチド配列が挙げられる。
一つの態様では、ナノコンジュゲートはペグ化されない。
そのようなものとしてナノコンジュゲートは、PEGを実質的に欠いてもよい。
また、ナノコンジュゲートは、HPMAまたはポリグルタメートを欠いてもよい。
このナノコンジュゲートは、カプセル化されずに製剤されてもよい。
ナノコンジュゲートを皮下投与し、かつ、リンパ系に局在性の化学療法を与える能力によって、種々の癌の処置が可能になる。
さらに詳細には、これによって、リンパ系を通じて転移を開始している初期段階の癌の処置が可能になる。
従って、この投与経路およびリンパ系への蓄積によって、ナノコンジュゲートは種々の癌、例えば、乳癌、結腸癌、肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、頭頸部癌(例えば、頭頸部の扁平上皮細胞癌)、卵巣癌、およびリンパ腫などに対する局在的な治療を提供することが可能になる。
シスプラチンの銀活性化ナノコンジュゲートでのシスプラチンのラット乳房組織への直接注射は、シスプラチンの局所注射が組織損傷に起因して実現可能でない場合でさえ研究された。
さらに、腫瘍の研究によって、銀活性化ナノコンジュゲートが成熟前の動物死を生じることが示された。
そのようなものとして、本発明のナノコンジュゲートは開発され、これは、銀の使用を必要とせず(すなわち、ナノキャリアは活性化された銀ではない)、それによって本発明のナノコンジュゲートは、銀に関連する毒性の副作用を有さない。
皮下投与後の銀なしのナノコンジュゲート化学療法剤(例えば、HA−シスプラチンナノコンジュゲート)での局在化化学療法を異なる処置に反応する主要な臓器の病理に対して標準の静脈内投与されたシスプラチンと比較した。
このナノコンジュゲートの皮下投与によって、全身性の治療よりも有意に増大したリンパ系組織濃度、およびラットでの腎毒性を含む臓器毒性の軽減を有する局在化ナノコンジュゲート化学療法がもたらされた。
以前にはヒアルロン酸は、シスプラチンとのコンジュゲーションの前に硝酸銀で活性化された。
なぜなら、硝酸銀はコンジュゲーションの効率を改善することが報告されているからである。
しかし、水に対して何度も拡張透析を行った後でさえ、得られたコンジュゲートから銀の全ての痕跡を除去することは極めて困難であることが現在知られている。
処置に銀が存在すれば、病理学的検査で確認されたように多数の動物が銀誘発性の毒性に屈することになった。
これは、ヒトでの処置では許容できず、コンジュゲーション手順から銀を除去するための製剤スキームの変更がもたらされた。
次いでカップリング反応を銀活性化なしに再操作して、最終的にHA−白金のコンジュゲートの形成を邪魔しない最高のコンジュゲーション効率を得た。
これは、臨床開発に関しては重要な進歩である。
なぜなら、シスプラチンおよびHAは、両方ともヒトでの使用についてFDAによって承認されており、複合体の形成には追加の物質は必要ないからである。
得られたナノコンジュゲートはやはりインビトロで複数の乳癌系統に対して優れた抗増殖活性を有し、このことは製剤方法の変化が細胞ベースの薬物有効性に影響しないことを示している。
ナノコンジュゲートの薬物動態および組織分布によって、静脈内シスプラチン投薬に比較して、局所リンパ節流域において、HA−シスプラチンナノコンジュゲートのリンパ管送達が薬物レベルを改善したことが示された。
等価用量の白金では、HA−シスプラチン担体が、リンパ節流域濃度を大きく増大し、このことは、この担体が、静脈内薬物投与経路よりもかなり有効に、リンパ管を通じてリンパ節へ白金を送達することができることを示唆している。
さらに、HA−シスプラチンナノコンジュゲートは、そのコンジュゲートされた薬物を遊離する前、リンパ管へ輸送または局在するのに十分な長さでインビボでその安定性を維持すると考えられた。
リンパ系でのナノコンジュゲートの優先的な蓄積は、静脈内に送達されたシスプレラチンに比較して白金に対する全身性の組織暴露を軽減するが、HA−シスプラチンナノコンジュゲートは、その維持された放出特性(例えば、リンカーの選択性の転位および選択性の分解)に起因して、静脈内シスプラチンに比較してほとんどの組織で実際に白金のAUCを平均200%増大した。
これは、静脈内ボーラスインフュージョンを介した急速な崩壊および排除に比較してさらに遊離プロフィールに由来する経時的な白金の蓄積(皮下投与されたHA−シスプラチン由来)に起因するようである。
この組織レベルの増大はまた、2つの利点を有する:(1)同じ組織効果を達成するのに必要な白金の用量が低く、その結果HA−シスプラチン用量は、50%減少されてもよく、それでも等価な組織レベルを維持できる;そして、(2)薬物の治療的な全身のレベルを維持することは、アジュバント療法としてこの薬物を利用するために重要である。
なぜなら、局所領域リンパ節に転移している乳癌を有するほとんどの患者は、マクロ転移が全身でない場合でもマイクロ転移を有する可能性があるということが周知であるからである。
従って、この処置は、浸潤性が少なくかつ頻度が少ない投薬スケジュールを今般利用すること、例えば、毎日の静脈内注入である現在の治療に比較して毎週皮下投与すること、一方で同時に、局所領域の腫瘍流域およびリンパ管への薬物送達の局所「ブースト」を提供することによって、毎日の全身の静脈内治療の代わりに用いられてもよい。
HA−シスプラチンのAUCが大きいほど、腫瘍アポトーシスの率が増大し得る。
なぜなら、シスプラチンの長期の毒性水準下レベルで、単回の高用量に比較して腫瘍細胞アポトーシスを実質的に改善できるからである。
シスプラチンのさらに重篤な副作用は静脈投与の直後に経験する高いピーク血漿レベル(Cmax)に起因する可能性が高いので、メトロノーム様の投薬計画を含む近年の適用は、毒性を低下することが示されているが、それらは、患者にとって不便性および費用を増大する。
そのようなものとして、局所投与されたナノコンジュゲートは、標準的な静脈内シスプラチン処方物についての1時間未満と比較して約10時間という生理食塩水中の半減期を有する担体からの薬物の緩徐な放出、およびその担体からの放出後、シスプラチンが組織またはリンパから全身循環に拡散するために時間がかかることの両方に起因して高いピークレベルを妨げる。
皮下のHAシスプラチンは、静脈内シスプラチンに比較してかなり低いピーク血漿濃度を有するが(図1A〜1B)、全体的な血漿の白金のAUCは、静脈内シスプラチンよりかなり大きい。
皮下のHA−シスプラチン注射後、血漿の白金がピークに達して平坦になる前には2時間の遅れがあり、次いで一定レベルで維持された。
この遊離プロフィールは、リンパ組織からの遅延放出および徐放性放出と一致している。
図2A〜2Bによって、クレアチニンレベルは、ナノコンジュゲート白金のかなり高いAUCにかかわらず、静脈内シスプラチンと局在化ナノコンジュゲートとの間の腎毒性に有意な相違を示さなかったことが示される。
この高い用量の銀処方物は、最初の週に尿中クレアチニンレベルの減少および動物の死亡を生じ、これは不都合である。
銀処方物のインビボ毒性の重篤度によって、銀処方物のわずかに大きいインビトロの抗増殖活性(表1)は非特異的な銀毒性に起因し得ることが示される。
損傷は検出されなかったが、クレアチニン試験は、単回の中度の用量後にわずかな腎臓障害を検出するために十分な感度ではない場合があり、そのため本発明者らは、白金毒性のさらに直接的な証拠について病理学的検査を行った。
従って、一つの態様では、ナノコンジュゲート処方物は、実質的に銀を含まない。
シスプラチンの単回用量の注射の30日後の病理学的検査によって、皮下のHA−シスプラチンと静脈内シスプラチン処方物との間で有意な腎臓および肝臓の相違があることが明らかになった。
HA−シスプラチンの腎臓の白金のAUCはシスプラチンのものの2倍であったが、HA−シスプラチン処置動物における腎臓細胞壊死の頻度が低いこと、および重度が低い性質によって、静脈内シスプラチンよりも改善された耐容性が示された。
腎臓におけるHA−シスプラチンの白金のAUCが大きいことは、観察される毒性の低さと矛盾していると思われるが、静脈内シスプラチンに比較して腎臓によって濾過されるその低いピーク血清薬物レベル(Cmax)に起因し得る。
肝臓の病理によって、シスプラチンに比較したHA−シスプラチンの毒性の低減が示され、その動物のうち3.3mg/kgのシスプラチンアームで正常な病理を有したものはなかった。
シスプラチン誘発性の肝臓毒性は、反応性酸素種の産生に起因して生じることが公知である。
ヒアルロン酸は、肝臓で代謝され、かつグリコサミノグリカン類は、肝臓保護的効果を有する公知の抗酸化剤であるので、HAナノコンジュゲートは、白金の肝臓毒性に対して保護し得る。
従って、ある態様には、乳腺の脂肪体への皮下注射後乳房リンパ管においてシスプラチンを集中させるHAおよびシスプラチンのナノコンジュゲートを含む。
これらのナノコンジュゲートは、徐放性の特徴を有し、この結果、標準的な静脈内シスプラチンに比較して高いリンパ管AUCおよび低い血漿Cmaxを生じた。
このナノコンジュゲートは、腎臓、肝臓、神経または腎毒性などの実質的な器官毒性を生じず;病理学的検査は、標準的な静脈内シスプラチンに比較して低い臓器毒性を有するように思われる。
このナノコンジュゲートは、注射部位またはリンパ節の毒性を生じない。
優先的なリンパ管内転位およびナノコンジュゲートの蓄積によって、他の化学療法剤との乳癌のための併用の処方計画での使用について利点がもたらされる。
本発明によれば、このナノコンジュゲートは、毒性が有意に低く、単独または併用療法の一部として使用すべきシスプラチンを効率的に送達できる。
ナノコンジュゲートを用いるリンパ管内送達モデルは、標準的なシスプラチン製剤を有意に上回る局所領域結節組織中の薬物濃度を増大するだけでなく(74%大きいAUC)、徐放性の動態も示し、これによってさらに低いCmaxレベルが可能になり、これによって経時的な臓器毒性が低くなる。
唯一の有意に異なった組織レベルは薬物注射に対して同側性の腋窩リンパ節であった。
これによって、乳房に皮下に直接注射されたナノコンジュゲートを用いて局所領域結節を浸透するシスプラチンの濃度はほぼ倍になったということである。
従って、リンパ管に優先的に転位されるナノコンジュゲートは、薬物の濃度を有意にブーストして、リンパ管における局所領域腫瘍細胞発達を処置および/または阻害する。
また、ナノコンジュゲートは、腋窩に対して標的されたナノキャリアとしてヒアルロン酸を用いる化学療法剤のリンパ管内送達のおかげで癌の伝播を処置および/または阻害するのに成功し得る。
優先的なリンパ管内送達は、危険性のある局所リンパ節を優先的に処置し、かつ静脈内または経口の薬物投与に関連する全身毒性を回避し得る。
優先的なリンパ管内送達は、全身濃度を低下するが、全身循環に広がる癌性細胞の伝播を処置および/または阻害するためにも適切なレベルは維持する。
そのようなものとして、このナノコンジュゲートは、慣用的にリンパ節の解離をもたらさないナノ転移を含有するセンチネルリンパ節を有する患者の治療を提供し得る。
このナノコンジュゲートは、標準的な治療よりも徐放性の方式で十分な全身の薬物レベルを提供するが、これはまた、結節解離によって除去されない腫瘍細胞を保有する危険性がある、局所領域の結節組織に対して切望されるブーストも提供する。
さらに、このナノコンジュゲートは、局所進行乳癌のネオアジュバントとしても用いることが可能であり、かつ逆行を処置または阻害し得る。
一つの態様では、ナノコンジュゲートを有する薬学的処方物は、以下の送達経路については製剤されていない:経口、全身、経皮、鼻腔内、座剤、静脈内または腔内の投与。
この薬剤は、経皮的、皮内、粘膜または粘膜下、皮下、間質内、脂肪内、腫瘍周囲、筋肉内の注射、粘膜、腫瘍周囲に、吸入および滴下のために構成され得る。
皮下または間質内の投与後リンパ系に優先的に転移する本発明のナノコンジュゲートは驚くべきものであり、かつ予想されない。
これは、一部は、乳房組織などへの皮下または間質内の注射後リンパ系における優先的な転位および蓄積に起因する。
シスプラチンなどの化学療法剤とのHAまたはデンドリマーのナノコンジュゲートは、さらに、治療的な全身用量をもたらし、ここでAUCは標準的な静脈内薬剤(例えば、シスプラチンおよびドキソルビシン)と同様かまたは時には高いが、Cmax濃度は低い。
この所見の組み合わせによって、これらの薬物を局所領域の疾患を有する患者にとって優れたアジュバント療法として用いることが可能になり、この追加の利点とは、患者の全身性の疾患を処置できること、およびCmaxが低いおかげでシスプラチンおよびドキソルビシンの毒性に関連する毒性が低いことである。
HAナノコンジュゲートは、OAEによって、または腎臓病理分析によって、局所注射部位、腎臓および聴器毒性の評価に対して標準的なシスプラチンまたはドキソルビシンよりも実質的に毒性が低かった。
この低い毒性によって、健常な組織を損傷することなく組織または間質腔への直接、隣接または近位への注射が可能になる。
従って、このナノコンジュゲートは原発性腫瘍、リンパ管内癌細胞および全身性の癌性細胞に対する治療を提供し得る。
要するに、ナノキャリア送達システムは、(1)動物で癌を処置する有効性および能力、(2)毒性プロフィールの低さ、ならびに(3)長い投与間隔(静脈内薬剤での毎日に対して毎週または週2回)という点で、標準的な製剤よりも優れている。
皮下注射によって、薬物血管外遊走のリスクを有する静脈内インフュージョンポンプに接続されるよりも侵襲性の少ない処置の選択肢が患者に与えられる。
ナノコンジュゲートは、皮下などの適切な投与のためのナノコンジュゲートを処方する受容可能な担体とともに薬学的組成物に含まれてもよい。
皮下投与のための適切な調製物は、主に、水溶性型、例えば、水溶性の塩の活性成分の水溶液、およびさらに活性成分の懸濁物、例えば、適切な油状注射懸濁物であって、適切な親油性溶媒またはビヒクル、例えば、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル、もしくは、トリグリセリドを用いる油状注射懸濁物、または増粘物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストラン、および必要に応じてまた安定化剤を含有する水性注射懸濁物である。
本発明の方法によれば、本発明の組成物は、経時的な漸進的な注入による注射によって、または任意の他の医学的に受容可能な方式によって投与され得る。
任意の医学的に受容可能な方法を用いて患者にこの組成物を投与してもよい。
選択される特定の方式は、当然ながら、選択される特定の薬物、処置されている被験体の状態の重篤度、または治療効力に必要な投与量などの要因に依存する。
本発明の方法は、一般的に言えば、医学的に受容可能である投与の任意の方式を用いて実施してもよく、任意の方式とは、臨床的に受容できない有害な影響を生じない、有効なレベルの活性組成物を生じる任意の方式を意味する。
注射のためには、このナノコンジュゲートは、水性または非水性の溶媒、例えば、植物油または他の類似の油類、合成の脂肪酸グリセリド、より高次の脂肪族酸またはプロピレングリコールのエステル中にそれらを;および必要に応じて、従来の添加物、例えば、溶解剤、等張性剤、懸濁剤、乳化剤、安定化剤および防腐剤とともに溶解、懸濁または乳化することによって調製物中に製剤され得る。
好ましくは、このナノコンジュゲートは、水性溶液中に、好ましくは生理学的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液または生理食塩水緩衝液中に処方してもよい。
このナノコンジュゲートは、注射によって、例えば、ボーラス注射または連続注入によって、皮下投与のために処方され得る。
注射のための処方物は、単位剤形の中に、例えば、アンプル中または多回用量の容器中に、添加された防腐剤とともに存在してもよい。
この組成物は、油状または水性のビヒクル中の懸濁物、溶液またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤を含有してもよい。
本発明の組成物の滅菌注射型は、水性であってもまたは実質的に脂肪族の懸濁液であってもよい。
これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて当分野で公知の技術に従って製剤されてもよい。
また、この滅菌注射調製物は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に受容可能な希釈液または溶媒中の無菌の注射可能溶液または懸濁液であってもよい。
とりわけ、使用可能な受容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。
さらに、無菌の固定油は溶媒または懸濁媒体として都合よく使用される。
この目的のために、任意の無刺激性の固定油を使用してもよく、これには合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。
脂肪酸、例えば、オレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、天然の薬学的に受容可能な油状物、例えば、オリーブオイルまたはキャスターオイルなどの注射可能な調製物中で、特にそれらのポリオキシエチレン化型で有用である。
また、これらの油状溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈液または分散剤を含有してもよい。
乳癌転移におけるリンパ系の関与は、十分確認されているが、リンパ節転移および疾患進行を克服するための有効な非外科的処置は未だない。
リンパ管の転移の化学療法での最大の課題は、全身の吸着および毒性を回避しながらリンパ節に実際に保持されている薬剤の量を最大化することである。
本発明によって提供されるリンパに局在する化学療法は、乳癌治療における革新的な飛躍である。
化学療法薬物のためのHAまたはデンドリマーナノキャリアは標的化およびリンパ系の送達アプローチの両方を利用して局所進行性の乳癌を処置できる。
乳癌におけるリンパ管内薬物送達のためのリンパ系標的化ナノキャリアの使用は、極めて革新的であって、現在まで決して行われていない。
標準的な化学療法薬物によって達成可能であるAUCを超えて薬物の局所領域AUCを増大することによって、この技術は局所進行性乳癌に重要なネオアジュバント療法をもたらす。
さらに、リンパ系の薬物の良好な保持およびそこからの薬物の徐放性による標的化アプローチがあれば、薬物の全身毒性が低減するはずであり、これによって優れた腫瘍有効性および低い毒性の組み合わせがもたらされる。
本発明は、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実現され得る。
記載される実施例は、単に例示であり、限定するものではない全ての観点で考慮されるべきである。
従って、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。
特許請求の範囲と等価な、意味および範囲内となる全ての変更が、その範囲内に包含されるべきである。
本明細書に引用されるかおよび/または示される全ての引用文献は特定の引用文献によって本明細書に援用される。
微生物の発酵に由来するヒアルロン酸(HA)は、Lifecore Biomedical(Chaska,MN)からヒアルロン酸ナトリウムとして購入し、さらなる精製なしに用いた。
ヘパリン溶液は、Abraxis Pharmaceutical Products(Schaumburg,IL)から購入した。
全ての他の試薬は、Fisher Scientific(Pittsburgh,PA)またはSigma Aldrich(St.Louis,MO)から購入し、ACS等級以上の試薬であった。
Milli−Q水を全ての実験で用いた。
MDA−MB−468LN細胞株は、Ann Chambers(London Health Sciences Center,London,Ontario)から贈呈されたが、MCF−7細胞およびMDA−MB−231細胞は、American Tissue Culture Collection(ATCC,Manassas,VA)から入手した。
動物の手順は、University of Kansas Institutional Animal Care and Use Committee(カンザス大学動物管理利用施設委員会)によって承認された。
Sprague−DawleyラットはCharles River Laboratories(Wilmington,MA)から購入した。
1.HA−シスプラチンコンジュゲートの合成
シスプラチンを以前報告された手順(S.Cai,Y.Xie,T.Bagby,M.S.Cohen,およびM.L.Forrest.Intralymphatic chemotherapy using a hyaluronan−cisplatin conjugate.J.Surg.Res.147:247−252(2008);Y.I.Jeong,S.T.Kim,S.G.Jin,H.H.Ryu,Y.H.Jin,T.Y.Jung,I.Y.Kim,およびS.Jung.Cisplatin−incorporated hyaluronic acid nanoparticles based on ion−complex formation.J Pharm Sci.(Epub.):(2008))に基づいて、活性化剤として硝酸銀の添加はありまたはなしで、HA(35,000g/mol)に対してコンジュゲートした。
代表的には、HA(100mg)およびシスプラチン(45mg)をHO(20mL)に溶解し、外界温度(約25℃)でアルゴン下において4日間、暗野で撹拌した。
その反応混合物を濾過し(0.2−μmのナイロン膜)、遮光して4℃で48時間HOに対して透析した(10,000 MWCO;Pierce,Rockford,IL)。
透析後、その粗生成物を濃縮して4℃で保管した。
シスプラチン置換の程度は、原子吸光分光学(atomic absorption spectroscopy)(AAS)(黒鉛炉を備えるVarian SpectrAA GTA−110)で確認した。
炉内のプログラムは以下のとおりであった:傾斜25〜80℃,保持2秒、120℃へ傾斜、保持10秒、1000℃へ傾斜、保持5秒、2700℃へ傾斜、保持2秒、20秒間にわたって25℃へ冷却。
グラファイトの分画チューブは、2800℃で7秒間ベーキングすることによって40サンプルごとに浄化した。
アルゴンを注入ガスおよび搬送ガスとして用いた。
得られたコンジュゲートは、HA−シスプラチン、シスプラチン−HA、HA−CDDP、HA−Ptと呼ぶが、このコンジュゲートは[PtCl(HO)(NH]OOCO−HA(図9)である。
シスプラチンの構造はそれ自体が、ポリカルボン酸ポリマーとの複合体形成に役立つ。
なぜなら1つ以上の塩化物が置換され得、ポリマーとの不安定なエステル結合の形成が可能になるからである。
シスプラチンは、HAに対して高度にコンジュゲートされ、代表的なコンジュゲートは0.20w/wという白金/複合体(約65%のシスプラチンコンジュゲーション効率)であった。
以前の研究ではシスプラチンコンジュゲートは、AgNOを用いてHAを最初に活性化することによって合成された;しかし、この工程を排除することでコンジュゲーションを有意に低下することはなく、潜在的な銀の毒性を軽減することが現在見出されている。
AASでは、10〜450ng/mL(R=0.999)という範囲で直線を生じ、5ng/mlという検出限界であった。
濃縮されたサンプルを水を用いて分析の前に直線の分析範囲に希釈した。
HAの蛍光コンジュゲートは、HAに対してハイブリダイズするTexas Redの縮合によって形成された。
30%のHO:EtOHの10mL中のHA(35000MW,100mg)を2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ化物(pyridinim iodide)(33mg)およびトリエチルアミン(35μL)で活性化した。
Texas Redヒドラジド(AnaSpec Inc.,San Jose,CA)(2mgが0.4mLのDMSOに含有される)の添加後、その混合物を24時間還流した。
作業はHOに対する48時間の透析によって外界温度で進め、続いて凍結乾燥した。
コンジュゲーション効率は、λ588nmで81 800 M−1cm−1というモル吸光係数を用いて測定した。
シスプラチンはHAに対して高度にコンジュゲートされ、0.5w/wのシスプラチン/HAという出発比を用いて0.25w/wのシスプラチン/複合体という典型的なコンジュゲーションであった。
最大0.75w/wというシスプラチン/複合体を試み、ここで効率は漸減した(表4)。
2.インビボの細胞毒性
リンパ性に転移性の乳癌細胞株MDA−MB−468LNは、10%ウシ胎仔血漿、1%のL−グルタミン、および0.4mg/mLのG418(ジェネティシン)を補充された改変イーグル培地α中で維持した。
追加の乳癌細胞株MDA−MB−231およびMCF−7は、ATCCに提供されるプロトコールに従って維持した。
増殖研究に先立って、細胞をトリプシン処理して、96−ウェルのプレートに播種した(5,000細胞/ウェル)。
24時間後、シスプラチン、HA−シスプラチン(銀活性化はありまたはなし)またはHAを添加し(n=12;7濃度)、添加の72時間後、10μlのリン酸緩衝化生理食塩水に含有されるレサズリンブルーを各々のウェルに添加した(5mMの最終濃度)。
4時間後、蛍光光度計(SpectraMax Gemini;Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を用いてウェルの蛍光を測定した(λex560nm、λem590nm)。
IC50は、各々のプレートについて生理食塩水(陽性)と無細胞(陰性)との間の中間点コントロールとして決定した。
細胞毒性は、72時間におよぶ細胞増殖における減少として決定した。
HA−シスプラチンコンジュゲートは銀のありまたはなしで、細胞培養中の遊離の薬物に対して類似の細胞毒性を有した(表1)。
毒性における感知できる相違は、3つの異なるヒト乳癌細胞株を用いてシスプラチンとHA−シスプラチンとの間で検出した(表1)。
HAは、生理食塩水コントロールに比較して、全ての細胞株での試験の上限である10mg/mlで毒性を示さなかった(データ示さず)。
3.薬物動態および組織分布
Sprague−Dawleyラット(雌、200〜250g)をイソフルラン下で左の頸静脈にカニューレ挿入して一晩回復させた。
次いで動物をイソフルラン麻酔下でシスプラチン(1.0または3.3mg/kg;n=5)を用いて静脈内に、またはHA−シスプラチン(1.0または3.3mg/kgのシスプラチン等価;n=5)を用いて皮下に注射した。
皮下注射は、動物の右最上部乳腺脂肪体に与えた。
全血を投薬後0,5分、0.5、1、2、4、6、12、24、48および96時間でカニューレから取り出し(100μl)、ヘパリンで前処理した2−mlの遠心分離管に入れた。
そのカニューレは、取り出す前後に生理食塩水を用いて洗浄し、次いでヘパリンロックした。
全血を17,000×gで5分間遠心分離し、その血漿を分析まで−80℃で凍結した。
動物は処置後96時間で安楽死させた。
右の同側の腋窩リンパ節(処置側)、左の対側の腋窩リンパ節(コントロール側)、および主要臓器(肝臓、腎臓、心臓、脾臓、肺、脳、筋肉、膀胱)を切除し;0.9%の生理食塩水で洗浄し;分析まで−80℃で保管した。
組織サンプルは、以前に報告された手順(S.Cai,Y.Xie,T.Bagby,M.S.Cohen,およびM.L.Forrest.Intralymphatic chemotherapy using a hyaluronan−cisplatin conjugate.J.Surg.Res.147:247−252(2008))を用いて調製した。
代表的には、50mgの組織サンプルを1.5mlの6.7%硝酸を用いて80℃で2時間消化した。
消化後、サンプルをホモジナイズして(Tissue Tearor;BioSpec Products Inc.,Bartlesville,OK)、遠心分離した。
その上清および血漿サンプルを合成の節で記載したとおりAASによって分析した。
皮下のHA−シスプラチンの薬物動態をSprague−Dawleyラットにおける静脈内シスプラチンと比較した。
HA−シスプラチンは、静脈内シスプラチンのコントロールよりも同側の流入領域腋窩リンパ節中にさらに優先的に蓄積した(図1A);優先的な蓄積は、HAからのシスプラチンのインビトロの解離半減期が10時間の場合でさえ、注射後48時間でなお証明された。
局所に注射された場合のHA−シスプラチンの同側性の腋窩リンパ節のAUC0-96時間は、静脈内シスプラチンよりも3.8倍大きく(p<0.001)、HA−シスプラチンのピークリンパ節濃度(Cmax)は、静脈内シスプラチンよりも6.2倍大きかった。
最も重要な、シスプラチン治療の用量制限的な毒性は、腎毒性、続いて神経毒性であって、その両方がピーク血漿濃度によって強力に影響される。
静脈内シスプラチンのピーク血漿濃度は、皮下HA−シスプラチンよりも3.1倍大きかった。
全身循環中へのシスプラチンの放出は、緩徐であって、HA−シスプラチンの得られた血漿AUCは、シスプラチンでの静脈内治療よりも3.9倍大きく、これは、ナノキャリアHA−シスプラチンのより長いリンパ管保持と一致する(図1B、表2)。
全ての組織についての濃度グラフは追補に含まれる(図8A〜8H)。
さらに、Sprague−Dawleyラット(200〜250gの雌性、Charles River)をイソフルラン麻酔下において、0.9%生理食塩水に含有されるシスプラチン−HAまたはシスプラチン(3.5mg/kgの等価なシスプラチン)を用いて右乳腺脂肪体中に皮下注射(100μL)した(n=5)。
食物および水へアクセスさせて動物を回復させた。
注射の1、4、12、24、48および96時間後、動物をイソフルランの過剰用量で麻酔した。
臓器および組織は、0.9%の生理食塩水で洗浄して、分析するまで凍結した(−80℃)。
血漿は、全血から遠心分離によって分離して、凍結した(−80℃)。
HAに対するシスプラチンのコンジュゲーションは、流入領域リンパ節におけるシスプラチンの局所濃度に影響し、全身濃度に対する影響はわずかであった(図10A〜10B、表5)。
96時間という実験の時間枠にわたって、注射部位を流出する右リンパ節(RLN)におけるシスプラチン−HAコンジュゲートの曲線下面積(AUC)は、生理食塩水中のシスプラチンよりも74%大きく(P=0.0001)、かつRLNは、検査した期間にわたって組織濃度が増大していた(図10A)。
非流出左リンパ節(LLN)におけるシスプラチン−HAのAUCは、生理食塩水中のシスプラチンと有意な差はなかった(p=0.12)。
遊離のシスプラチンのバースト放出が血漿濃度プロフィールで見られたが(図10B)、シスプラチン−HAは、血漿中への長期の徐放性の放出を示した。
これは、シスプラチン治療の用量制限的な毒性は、ピーク血漿濃度によって強力に影響されるので、重要である。
シスプラチン−HAとシスプラチンとの間の血漿AUCには有意な相違はなかった(p=0.13)。
従って、シスプラチン−HAを用いる局在性治療は、遠位転移を処置するための十分な血清濃度を生じ得、一方で乳癌リンパ系へのブースト治療を提供する。
他の器官へのシスプラチンの分布は、研究期間にわたって有意な差はなかった(図11、表5)。
4.長期の毒性学
Sprague−Dawleyラット(35匹の雌)を各々5匹の動物の7つの研究群に無作為に分けた:1.0mg/kgの皮下HA−シスプラチン(銀のありまたはなし;1.0mg/kgのシスプラチンに等価な白金)、3.3mg/kgの皮下HA−シスプラチン(銀のありまたはなし)、1.0および3.3mg/kgの静脈内シスプラチン、および皮下HA(コントロール;3.3mg/kgのHA−Ptに等価なHA)。
各々の動物に、30日の研究期間の開始時に単回ボーラス用量を投与した。
尿サンプルを研究の最初の2週の間に毎日、研究の3週および4週目の間に4日ごとに収集した(銀群での3.3mg/kgのHA−シスプラチンを除く)。
動物に対するストレスを軽減するために、被験体を代謝ケージに12時間収容して、約5mlの尿を収集し、次いで次の収集期間まで寝床のあるケージに戻した。
尿サンプルは、17,000×gで5分間遠心分離し、クレアチニン分析まで−80℃の冷凍庫に保管した。
尿中クレアチニンは、製造業者の指示(BioAssay Systems,Hayward,CA)に従ってQuantiChrom(商標)Creatinine Assay Kitを用いて分析した。
サンプルのクレアチニン濃度は、(ODサンプル 5−ODサンプル 1)/(ODSTD 5−ODSTD 1)×[STD](mg/dL)として算出した。
ODサンプル5、ODサンプル1、ODSTD5、およびODSTD1は、それぞれ5分および1分のサンプルおよび標準のOD510nm値である。
動物は研究の終わり(30日)に安楽死させて、肝臓、両側の腎臓、脾臓、肺、心臓、右(同側)および左(対側)の腋窩リンパ節、ならびに脳を無傷で切り出して、80%のアルコールホルマリン溶液中で一晩、固定のために保管し、その後、スライドを装着した。
ヘマトキシリン&エオシン(H&E)染色を用いる装着は、Veterinary Lab Resources(Kansas City,KS)によって行った。
病理学的検査は、盲検による有資格の獣医の病理学者によって行った(University of Kansas Medical Center,Kansas City,KS)。
尿中クレアチニンレベルは、腎機能および腎毒性の直接の指標であって、クレアチニン排出の減少は、腎機能の低下および潜在的な腎毒性または損傷に対応している。
重大な腎毒性が高用量の銀処方計画を与えられた動物で観察され(3.3mg/kg)、ここでクレアチニン排出は3日で30%減少し、4日で70%減少した。
この群の全ての動物は、薬物に関連する悪液質に起因して処置の1週間内で死んだ。
対照的に、銀なしの高用量HA−シスプラチンは、有意な毒性を示さず、クレアチニンレベルは研究の期間を通じてほぼ投与前レベルに保持された。
動物に低用量(1.0mg/kg)のHA−シスプラチンと銀、またはHA−シスプラチンと銀なしのいずれかの処置を与えた場合、同様の腎機能が両群で観察された(p>0.05、1日対30日)(図2A〜2B)。
30日の毒性研究の終わりに、動物を安楽死させて、全病理学的検査を行った。
脳組織および注射部位の基部の組織は、正常であって、全研究群について顕微鏡的変化はなかった。
リンパ節の極めて軽度の変化が、銀なしで製剤された高用量の静脈内シスプラチンおよび皮下のHA−シスプラチンについて検出された。
低用量の皮下HA−シスプラチンと銀に由来するリンパ組織は、正常な外見を有し、このことは濾胞性の構造をほとんどまたは全く示さないかなり数の多い小リンパ球によって示されている(図6A〜6F)。
類洞における軽度の炎症の存在によって示される、低用量のシスプラチン静脈内および低用量のHA−シスプラチン皮下の両方を受けている動物の肝臓では極めてわずかな変化が観察された(図4A〜4F)。
ある程度の類洞壊死を有する軽度の変性が、高用量の静脈内シスプラチンおよび高用量の皮下HA−シスプラチン処置を与えられている動物について観察された;壊死は静脈内シスプラチン群ではさらに重篤であった。
さらに、低用量の静脈内シスプラチンを与えられている動物のうち60%では、尿細管浮腫にそって腎尿細管への出血を含む軽度の腎臓壊死が観察された(図3A〜3F)。
対照的に、低用量の皮下HA−シスプラチンを与えられている動物のうち腎壊死があったものはなかった。
同様に、高用量の皮下HA−シスプラチンを与えられている5匹の動物のうち1匹(20%)に比較して高用量の静脈内シスプラチンを与えられている5匹の動物のうち4匹(80%)が、軽度の腎壊死と診断された(表3)。
全体的に、この病理学的研究によって、銀なしのHA−シスプラチンコンジュゲートは、全ての用量範囲で従来の静脈内シスプラチン処置に比較して腎毒性および肝臓毒性の両方の頻度が低いことが実証された。
さらに、脳における神経毒性も、背景の筋肉組織における局所の注射部位の毒性も処置群の動物で観察されなかった(図5A〜5Fおよび7A〜7D)。
5.インビトロの薬物放出
シスプラチン−HAからのシスプラチンのインビトロの放出速度は、生理食塩水のありまたはなしでリン酸緩衝液中で決定した。
シスプラチン−HAを3,500MWCOの透析バッグ(Pierce)に添加し、リン酸緩衝化水浴(pH7.4、37℃)または生理食塩水(140mM)中に入れた。
サンプルを所定の時点で透析バッグからとり、残留のシスプラチン濃度をAASによって決定した。
複合体からのシスプラチンの放出速度は、リン酸緩衝化生理食塩水および水の両方で決定した。
生理食塩水中のClは、シスプラチンをさらに迅速に置き換えると期待され、放出速度を増大する。
薬物の放出は、水中では42時間、および生理食塩水中では10時間という放出半減期を有するほぼ一次の放出反応速度論を示した。
AASは、10〜450ng/mL(R=0.9998)という直線的な濃度曲線を生じ、ここでは、検出限界5ng/mLで、定量限界10ng/mLであった(5%標準偏差)。
シスプラチン−HAでスパイクされた組織からのシスプラチン回収は、以下であった:血漿、82±4%(±STD);リンパ節、92±2%;膀胱、88±1%;脳、94±0.3%;心臓、97±1%;腎臓、98±1%;肝臓、100±1%;肺、94±1%;筋肉、95±1%;脾臓、97±1%。
シスプラチンでスパイクした組織からのシスプラチン回収は、以下であった:血漿、80±3%;リンパ節、92±6%;膀胱、86±3%;脳、93±10%;心臓、93±5%;腎臓、100±2%;肝臓、100±7%;肺、95±8%;筋肉、100±5%;脾臓、96±9%。
図16は、水およびPBS溶液について37℃のインビトロにおけるHA−シスプラチン放出速度を図示する。
表6は関連の半減期を示す。
6.インビトロの細胞毒性
細胞株は、5%のFBSおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM培地中で96ウェルプレートに播種した(5000細胞/ウェル)。
24時間後、シスプラチン、シスプラチン−HA、またはHAを加え(n=12、7つの濃度)、添加の72時間後、10μLのPBSに含有されるレサズリンブルーを各々のウェルに加えた(5mMの最終濃度)。
4時間後、ウェルの蛍光を測定し(λex560nm、λem590nm)(SpectraMax Gemini,Molecular Devices)、IC50は、生理食塩水(陽性)と無細胞(陰性)コントロールとの間の中点として決定した。
シスプラチン−HAコンジュゲートは、細胞培養中の遊離のシスプラチンに対して同様の毒性を有した。
毒性は、高転移性のヒト乳癌細胞株MCF7およびMDA−MB−231で評価した(図12)。
両方の細胞株で、シスプラチン−HA(IC507μg/mL、シスプラチンベース)とシスプラチン(IC507μg/mL)との間の毒性に感知できる相違はなかった。
HAは検査した濃度範囲にわたってヒト細胞に対して毒性を有さなかった(最大10mg/mLまで、データ示さず)。
表7はIC50値を示す。
7.原子吸光分光学(AAS)
インビトロの放出サンプル(n=3)および血漿サンプル(n=5)を分析のために0.1%の硝酸を用いて、それぞれ、200倍および10倍希釈した。
組織サンプル(リンパ節以外)を1.5mLの6.7%の硝酸中に1時間80℃で50mgの組織を消化することによって調製した。
リンパ節は10mgの組織を用いて同様に処理した。
消化後、サンプルをホモジナイズした(Tissue Tearor,BioSpec Products Inc.,Bartlesville,OK)。
全てのサンプルを遠心分離して(17000×g、20分)、その上清を分析に用いた。
分析は、黒鉛炉および分画チューブを備えるVarian SpectrAA GTA−110で行った。
サンプル(21μL)をオートサンプラーを用いて注入し、その後に19μLの0.1%硝酸を注入した。
10個ごとにサンプルを較正標準によって150、300、および450ng/mLでブランクにして、品質管理サンプル(150または300ng/mL)は5サンプルごとにした。
全体の較正曲線を0.1%の硝酸(10濃度)中で1〜450ng/mLに調製した。
シスプラチン回収は、シスプラチンまたはシスプラチン−HA(50μg/g)を用いて組織ブランクをスパイクすることおよび上記のように処理することによって決定した。
炉内のプログラムは以下のとおりであった:25〜80℃へ傾斜、保持2秒、120℃へ傾斜、保持10秒、1000℃へ傾斜、保持5秒、2700℃へ傾斜、保持2秒、20秒にわたって25℃へ冷却。
グラファイトの分画チューブは、2800℃で7秒間ベーキングすることによって40サンプルごとに浄化した。
アルゴンを注入ガスおよび搬送ガスとして用いた。
8.インビボの画像化
乳房局所領域リンパ管におけるナノ転移およびマイクロ転移に対して抗癌薬を送達するためのナノキャリアのために、担体は、乳房領域から疾病状態のリンパ節へ流出すべきである。
陰イオン性ナノキャリアの動きを確認するために、本発明者らは、EDAC媒介性アミドカップリング、続いて遊離色素を除去するための透析を用いて35kDaのヒアルロン酸とTexas Redヒドラジド(AnaSpec,San Jose,CA)とをカップリングすることによって蛍光陰イオン性ナノキャリアを構築した(分光学的に決定して0.1%w/wの色素/担体)。
本発明者らは、異種移植片保有リンパ転移の乳首の真下の皮下に蛍光ナノ粒子(50μLの生理食塩水中に0.25μg)を注射した。
蛍光は、自動露出を備えた冷却型CCDカメラを用いて、10nmの帯域通過セグメント520〜720nmで測定した。
画像は、食物中のクロロフィルから生じる皮膚および腸の自己蛍光を制限するために自動デコンボリューションツール(Maestro ver.2.4)を用いてスペクトル的に混じらせなかった。
リンパ系の乳房腫瘍転移は、Chambersおよび共同研究者の手順に従ってヌードマウスで誘導され、彼らは、リンパ系で転移性の乳房腫瘍細胞株MDA−MB−468LNを与えるほど親切であった。
ヌードマウス(25〜30gの雌、Charles River)をペントバルビタール(50mg/kg)で麻酔して、小切開を通じて左の2番目の胸部乳腺脂肪体中に100μLのMDA−MB−468LN(10細胞/mL)を同所性に注射し、この小切開は後に創傷クリップで閉鎖した。
腫瘍は4〜5週後に触診可能であった(100〜300mm)。
画像化前に、マウスを麻酔し、Texas Red−HA(20μLの生理食塩水中で10mg/mL)を左乳腺脂肪体の上に皮下注射した。
注射領域を5分間穏やかにマッサージし、445〜490nmの濾過ハロゲン励起光および515nmのロングパス発光フィルターを用いて、5時間後および18時間に蛍光的に画像化した(CRI Maestro Flex,CRI Inc.,Woburn,MA)。
注射の4時間後、蛍光画像(λex480、λem500〜720nm、スペクトル的にデコンボリューションされた)によって、陰イオン性ナノ粒子が腋窩リンパ節群と一致する領域に蓄積したことが示される(図13A)。
この早期の時点で、かなりの担体はやはり注射部位にすぐ近位であるが、腋窩リンパ節腫瘍に対するある程度の輸送が証明される。
これらの画像はデコンボリューションであり、その重複するGFPおよびTexas Redのシグナルは黄色にはならない。
このソフトウェアは、共局在化ツール、腫瘍の領域における確認されたTexas Redを含む。
Texas Redで標識したナノキャリアの蓄積は、冠状図でさらに明確である(図13B)。
注射の18時間、そのナノキャリアは、腫瘍の周囲の腋窩リンパ節に集中している(図13C)。
注目すべきは、注射部位には担体蛍光が出現せず、極めて高い腋窩リンパ節に対して比較して、肝臓に明らかな伝播がないことである。
腫瘍周囲の担体局在化の明らかな領域は、冠状図で明らかである。
Kobayashiらは、陽イオン性PAMAMナノ粒子がリンパ系腫瘍に入らないが、その周囲で行き来することを観察した。
しかし、陰イオン性担体は、かなり長い残留時間を有し、これによって担体およびその抗癌剤カーゴが腫瘍に入ることが可能になる。
図13A〜13Cは、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するMDA−MB−468乳房リンパ系腫瘍を保有するヌードマウスにおける皮下注射後のリンパ管内の担体の局在化を示す。
図13Aは、左の乳腺の脂肪体でマウスにTexas Red−HA6を皮下注射した時点での乳房リンパ管腫瘍4を示す。
5時間および18時間後(それぞれ、図13Bおよび13C)、その写真は、かなりのHAが流入領域リンパ節に局在し、かつ腫瘍と同時局在することを示す(GFP−チャネルは緑色であり、かつ4で印し、Texas Redチャネルは赤色でありかつ6で印し、青色の矢印2は注射部位である)。
9.活性
ナノキャリアに対するドキソルビシンのコンジュゲーションは乳癌細胞ではその抗癌活性に有意に影響しなかった。
10%w/wのコンジュゲートを細胞に加え、72時間後、細胞増殖をAlamarブルーアッセイ(Invitrogen Corp.)を用いて決定した。
3つの進行性ヒト乳癌細胞株においてコンジュゲートと遊離のドキソルビシンとの間の抗癌活性に統計学的に有意な相違はなかった。
同様に、シスプラチンコンジュゲートを培養中の乳癌細胞に加えた。
72時間後、シスプラチンコンジュゲートは遊離のシスプラチンとは有意に異なることはなかった。
全体として、ナノキャリアに対する抗癌剤のコンジュゲーションは、抗増殖効果をインビトロで低下しなかった。
これは、培養培地中のナノキャリアからの抗癌剤の遊離、続いて遊離の薬物としての取り込みに起因する場合がある。
しかし、顕微鏡による取り込み研究で、薬物は、陰イオン性担体に対するコンジュゲーションにかかわらず活性を有し得ることが示唆された。
10.合成スキーム
図14Aは、デンドリマー−シスプラチンコンジュゲートの合成を示す。
デンドリマーのbis−ヒドロキシプロピルフォスフェート末端は、カルボン酸に変換され、次いでこれが塩化物の置換によってシスプラチンとの複合体を形成する。
得られた複合体は強力なDNA架橋剤cis−[Pt(NHCl(HO)]を生理学的条件で緩徐に放出する。
予備研究では、本発明者らは、担体のカルボン酸で塩化白金を置換することによってヒアルロン酸担体に対するシスプラチンコンジュゲートを形成して−C(=O)OO−PtCl(NHコンジュゲートを形成した。
同様のスキームを用いて陰イオン性デンドリマー担体に対してシスプラチンをコンジュゲートしてもよい。
デンドリマーのbis−ヒドロキシプロピルフォスフェート末端をDess−Martinペリオジナン(DMP)、IBX、またはIBAでの軽度の還元、およびカルボン酸へのオゾン処理によってカルボン酸に変換する。
あるいは、ヒドロキシルは、無水コハク酸/DMAPでの処置によってカルボン酸に変換してもよいが、これは4つの炭素で末端まで伸び、ナノキャリアを拡大する。
複合体は、透析またはSephadexによって精製され、ナノキャリア上の薬物の量は、黒鉛炉原子吸光分光学によって決定する。
シスプラチンコンジュゲーションの最適量は、約10〜50%置換、さらに好ましくは約20〜40%、最も好ましくは約25〜35%であってもよい。
例えば、最大25%(w/w)のコンジュゲーションは、インビボでPt(II)−ヒアルロン酸ナノ粒子の有意なリンパ管取り込みを可能にした。
図14Bは、デンドリマー−エピルビシンコンジュゲートの合成を示す。
デンドリマーのbis−ヒドロキシプロピルフォスフェート末端をヒドラジドに変換し、次にこれがエピルビシンを含むpH感受性のヒドラゾンを形成する。
得られた複合体は、細胞(例えば、腫瘍細胞)のエンドサイトーシス管中で低下したpHに応答してエピルビシンを放出する。
ナノキャリアコンジュゲートは、癌細胞中で蓄積したアントラサイクリンの量を大きく増大し得る。
pH感受性のコンジュゲートをナノキャリア上のアントラサイクリン13−カルボニルとグラフトされたヒドラジドとの間のヒドラゾンリンカーを用いて形成する。
このヒドラジドリンカーは、文献の手順を用いてカルボン酸残基に対してアジピンジヒドラジドをグラフトすることによって形成したが、さらに直接的なストラテジーは、デンドリマーのサイズを保持するヒドラジドへナノキャリアヒドロキシル末端を直接変換することである。
アミン末端は、担体の陽イオン性の性質を増大すると期待されるが、ヒドラジドの低いpK(約pH4.5)は、この効果を細胞外で最小にする。
さらにヒドロキシル末端の部分的変換は、所望の薬物ロードをコンジュゲートするために十分なヒドラジドを作製し得る。
デンドリマーのbis−ヒドロキシプロピルフォスフェート末端をカルボン酸へ変換した後、活性化し、次いでヒドラジンで末端を処理して、ヒドラジド末端を形成する。
エピルビシンコンジュゲートを担体およびエピルビシンのpH6.5でのインキュベーションによって形成して、可逆性のヒドラゾンリンカーを形成し、続いて透析またはSephadexを行ってコンジュゲートしていない薬物を除去する。
エピルビシンコンジュゲーションの最適量は、約5〜20%、さらに好ましくは約8〜15%、そして、最も好ましくは約10〜12%であってもよい。
図14Cは、デンドリマー−ドセタキセルコンジュゲートの合成を示す。
ドセタキセルは保護されたリンゴ酸に変換され、新しいカルボン酸がエステル結合を介してデンドリマーのbis−ヒドロキシプロピルフォスフェート末端と直接連結される。
この得られた複合体は、エンドサイトーシス管および内因性のエステラーゼにおけるpHの低下に応答してコンジュゲートがドセタキセルを遊離するまでドセタキセルの毒性から組織を保護する。
ドセタキセルは、エステル結合を用いてドセタキセルのC2位置上にグラフトされたリンゴ酸リンカーを用いることによってこのデンドリマーの未修飾のbis−ヒドロキシプロピルフォスフェート末端に対してコンジュゲートされ得る。
ドセタキセルのC2−OHは、1,2−O−イソプロピリデンリンゴ酸と縮合されてもよく、これによってドセタキセルの保護されたリンゴ酸が形成される。
酢酸での脱保護は、リンゴ酸を生じ、これがデンドリマーのヒドロキシルアーム上に直接結合され得る。
得られたコンジュゲートは、酸性のpH、または、酸性小胞中の内因性エステラーゼに応答してドセタキセルを遊離し得る。
注射後の予想される半減期は4時間より長いと期待され、陰イオン性リンパナノキャリアの本発明者らの予備的研究に基づくリンパ取り込みに十分な時間を可能にする。
ドセタキセルコンジュゲーションの最適量は、約5〜20%、さらに好ましくは約8〜15%、最も好ましくは約10〜12%であってもよい。
図15Aは、本発明に従うデンドリマーの合成を示しており、かつ本発明者らのライブラリーの全体的合成ストラテジーを示すが、本発明者らは、取り込みをさらに改善するため、追加の「アーム」群および置換基を試験している。
マルチアームのコアから、本発明者らは、カルボジイミドカップリング、続いてペンダントヒドロキシル類の脱保護によるいくつかの世代のポリエステルコアを構築している。
さらなる世代がこれらのペンダント基から構築される。
2〜4世代後、本発明者らは、亜リン酸エステル分枝単位(P3)に切り換える。
テトラゾールを用いてP3分枝類をペンダントヒドロキシル類にカップリングし、続いてセレノホスフェートへセレニウム変換する。
「欠損(Defect)」分岐類(赤い星印)は、保護された場合イオン化可能な基を生じるように選択的に含まれ、これによってコア内にイオン化可能な基を組み込んで、凝集を制限して溶解度を増大する。
電荷の程度は欠損分枝の比を変化することによって仕立てることができる。
2〜3世代後、ポリ−セレノホスホエステル分枝は、有機過酸化物で完全に酸化され、末端ヒドロキシルは、標準的な方法を用いてシスプラチンコンジュゲーションのためのカルボン酸、またはドキソルビシンコンジュゲーションのためのヒドラゾンに変換される。
本発明者らの予備的研究では、この二重コアストラテジーが合成を容易にできることが確認された。
フォスフェート基は、セレニウム保護されてもよく、そうでなければホスフェートはコンジュゲーションの間のアーム群を分割するために十分に反応性であり;しかし、後の世代では、内部セレノホスフェート類の脱保護酸化は、引き続く世代によって妨げられ過ぎる。
これらの問題を克服するために、本発明者らは、カルボキシエステルコアを導入し、これで生分解性を改善して、外部ホスフェート基の酸化の間の立体的な込み合いを減らす。
完全カルボン酸デンドリマーが開発されているが、これらは、疎水性薬物で高度に置換された場合水溶性ではない。
本発明者らは、抗癌剤シスプラチンおよびドキソルビシンを用いる。
なぜならそれらは頭頸部癌(HNC)および乳癌を含む複数の癌のための極めて有効な第一選択の処置であるからである。
図15Bは、標的のデンドリマー類の合成を示す。
デンドリマーのbis−ヒドロキシプロピルホスフェート末端は、プロピオル酸と縮合してアルキン−デンドリマーを形成する。
あるいは、COOHまたはCONHNHはプロパルギルと縮合して、アルキン−デンドリマーを形成し得る。
「クリック」方法論を用いて、このデンドリマーおよびEGFのアジドを水性の条件の下でカップリングする。
このストラテジーを他の標的化剤、例えば、HER2抗体、EGFR抗体、PSMAなどに適用してもよい。
このナノコンジュゲートは、予後の劣る進行性乳癌によって高度に過剰発現される上皮成長因子受容体(EGFR)を介して乳癌細胞を標的し得る。
さらに、EGFRはエンドサイトーシスされて、これを用いてEGFにコンジュゲートされたナノキャリアに内部移行し得る。
EGFRは、他の組織によって低レベルで発現されるが、リンパ管へのナノキャリアの受動的局在化は、非特異的相互作用を最小限にする。
合成のナノキャリアとは異なり、この標的部分は、細胞取り込みを改善し得る。
なぜなら、生理学的特徴だけでもリンパ節に陰イオン性ナノキャリアを局在化し得るからである。
上皮成長因子(EGF)は細胞との相互作用を減らすことなくナノ粒子を連結するために用いられ得るリジン残基を有する6054−Daのタンパク質である。
デンドリマーの末端基は、そのデンドリマーが、シスプラチン(COOH)、ドセタキセル(OH)またはエピルビシン(C=ONHNH)に用いられるかに依存するので、「クリック」型のリンカーを用いることが最も簡単であり、そのため全ての化学は水溶液中でかつ最終工程として行われ得る。
EGFは、アジド−PEG−NHSエステル(Quanta Biodesign Ltd.,Powell,OH)を用いて官能化される。
あるいは、他の標的剤がそれぞれのアジドを形成することによって容易に追加される。
アルキンは、DCC/DMAP化学およびプロパルギルアルコール(COOH末端)またはプロピオル酸(OHおよびC=ONHNH末端)のいずれかを用いてデンドリマー末端に付加されてもよい。
得られた標的化アルキン−デンドリマーは、少量の銅触媒とともにEGF−アジドと混合されてコンジュゲートが形成され、続いて、Sephadexまたは透析精製によって未結合のEGFが除去される。
11.腫瘍反応
ヌードnu/nuマウスに、1×10 6個の細胞(MDA−MB−468LNヒト乳癌細胞)を乳腺脂肪体に移植し、約4週後100〜200mm個の腫瘍が腋窩リンパ節パッケージ中で発達した。
動物を各5匹の動物の4つの処置群に無作為に分けた:静脈内生理食塩水、s.q.(皮下)HA、静脈内シスプラチン、またはs.q.(皮下)HA−シスプラチン。
この時点で、動物に投与量を投与した。
HA−シスプラチンおよびHA群では、HA−シスプラチン(3.3mg/kg、Pt含量に基づく)またはHA(3.3mg/kg)を100mcLの生理食塩水に溶解して、腫瘍周囲に皮下注射した。
シスプラチンおよび生理食塩水群では、シスプラチン(3.3mg/kg、Ptベース)を含有する100mLの生理食塩水または生理食塩水だけを尾静脈を介して静脈内注射した。
全ての研究群では、第二の用量を1週後に投与した。
腫瘍容積は、ノギスおよび以下の式を用いて毎週測定した:容積=0.52×(幅×長さ)。
動物は、腫瘍容積が1000mmを超えたとき、またはボディ・スコア・インデックス(body score index)が2を下回ったときに安楽死させた。
図17A〜17Bは、腫瘍増殖が、HA−シスプラチン処置によって陰性コントロール群に比べて5週間、および、従来のシスプラチン処置に比較して2週間遅延されたことを示す。
HA−シスプラチン製剤は、シスプラチンに比較して、腫瘍増殖を5週間まで遅らせ、HA−シスプラチンで処置した動物では毒性は観察されなかった。
HA−シスプラチンは静脈内シスプラチンに対して類似の有効性を有する可能性が高いと期待されたが、予想されずかつ重要であったことは、HA−シスプラチンが最初により長い腫瘍増殖遅延を生じたことであり、これによってより高濃度の薬物が腫瘍に達して、最初の処置期間の間に腫瘍増殖をさらに効果的に阻害することが可能になったことが示される。
これによって、皮下に与えたHA−シスプラチンが、このインビボの乳癌モデルで標準的なシスプラチン処方物よりも効果的ではないとしても、少なくとも同じであるという説得力のある裏付け証拠が得られる。
12.ドキソルビシン放出
HAは、HA中のグルコン酸のカルボン酸基でアジピン酸ジヒドラジド(ADH)と縮合された。
最初にADHおよびHA(HA二糖類の1当量あたり1当量のADH)を2当量のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチニルカルボジイミド塩酸塩(EDAC)を含有する水と混合してHClを用いてpH4.7に調節して、最終のHA濃度は約1%(w/w)とした。
20分後、その混合物を2日間13000MWCOの透析チューブを用いて水に対して透析した。
次いで、その生成物をドキソルビシン(DOX)が含有されるpH6.5のリン酸塩緩衝液(1当量のDOXあたり2当量のHA二糖)に対して暗野で24時間コンジュゲートした。
次いで、その混合物をpH6.5のリン酸塩緩衝液に対して2日間透析した。
その最終物質を凍結乾燥して、使用前に生理食塩水中に再構成した。
放出実験のために、再構成したHA−DOXまたはDOXを透析チューブに入れて、37℃でpHが5、6.0または7.4のいずれかのリン酸塩緩衝液を含有する浴に入れた。
サンプルを透析チューブから採取して、残留している総薬物を標準構成曲線を用いて蛍光検出器でHPLCによって決定した。
図18は、pHの関数としてドキソルビシンの放出を示す。
放出半減期は、pH7.4で167時間、pH6.0で107時間およびpH5.0で45時間であることが見出された。
HA−DOXによって、その環境のpH次第で、極めて徐放性が得られる。
それらは、かなりの利点を提供し得る。
なぜなら固形腫瘍の内部は低酸素であり、かつpHが低下しており、従ってHA−DOXからのDOX放出は、正常な組織に比較して新生物組織で加速され得るからである。
静脈内ドキソルビシンに比較してラット乳房に皮下注射されたHA−ドキソルビシンコンジュゲートの有効性を評価するために、以下の実験を行った。
MDA−MB−468LN腫瘍細胞を上記のようにヌードマウスに入れ、各々5匹の動物の4つの群に分けた。
3週後、HA−DOXを3.3mg/kg(DOXベース)で腫瘍周囲に注射し、DOXを尾静脈を介して生理食塩水に注射し、HAを腫瘍周囲に注射して、生理食塩水を尾静脈を介して注射した。
動物に第二の投薬量を移植5週後に与えた。
図19によって、腫瘍増殖が、3週および5週の2週に1回の投薬の後のナノキャリア−DOX処置によって停止されたことが示される。
HA−ドキソルビシンは、静脈内ドキソルビシンに対して類似の有効性を有するようであると期待されたが、予想されずかつ重大であったのは、HA−ドキソルビシンが処置での腫瘍増殖に完全な停止を生じたことであった。このことは腫瘍に到達した薬物の濃度が高いほど、処置期間の間にさらに効果的に腫瘍増殖を阻害することが可能になることを示している。
これによって、皮下で投与されたHA−ドキソルビシンは、インビボの乳癌モデルで標準的なドキソルビシン製剤に比較して明らかに有効性が優れているという説得力のある裏付け証拠が得られる。
HA−DOXは実質的に、静脈内のDOXまたはHAおよび生理食塩水コントロールに比較して動物で腫瘍増殖を遅らせた。
移植の6週後、DOXおよびHAおよび生理食塩水コントロールは、300mmを超える腫瘍容積を有したが、HA−DOX処置群の腫瘍は50mm未満であった。
その有効性は驚くべきであった。
なぜなら、DOX−HAは腫瘍増殖の局在性の有効な制御をもたらすだけでなく、新規な局所、領域または遠位の増殖の出現を妨げたからである。
HA−DOX動物は、投与に起因する毒性をなんら示さなかった。
HA−DOXは、腫瘍の局所領域リンパおよび組織にへの「ブースト」投与として優れた局所領域制御をもたらし得、緩徐な薬物放出は多数回投与の必要性に代わり得るからである。
さらに、HA−DOXは、静脈内DOXに比較して薬物の徐放性の血漿レベルをもたらし得、従って、追加の全身療法の必要性に代わる。
さらにまた、徐放性薬物放出は、反復投与の必要性を軽減し得る。
この結果は驚くべきことである。
なぜなら局所化学療法は、遠位腫瘍制御をもたらす薬物の十分な血漿レベルをもたらすとは予想されなかったからである。
13.ホスホエステル−ヒアルロン酸ナノキャリア
図20Aは、高度に水溶性および生分解性のホスホエステルヒアルロン酸(phHA)ナノキャリアを図示する。
これらのナノキャリアは、本明細書に記載のとおり用いられ得る。
図20Bは、phHA−薬物コンジュゲートの合成を図示する。
phHAは官能化されて、抗癌剤シスプラチン(上)、エピルビシン(真ん中)およびドセタキセル(下部)との不安定性のコンジュゲート(例えば、エステルまたはヒドラゾンを形成し得る。
得られた複合体は、エンドサイトーシス管および内因性エステラーゼにおいて低下したpHに応答してコンジュゲートが薬物を放出するまで毒性から組織を保護する。
リンパ管でのAPによるphHAの脱保護は、コンジュゲート蓄積、およびリンパ管内の薬物の徐放性を促進する。
HA(30〜50kDa、10〜20nmに相当)のカルボキシル基は、保護され得る(例えば、NMM/CDMTを用いて付加されたDMTで)。
HAの一級アルコールは、ホスホエステルに変換され得る(例えば、1:1の水性のHPOおよび過レニウム酸で)。
シスプラチンとのコンジュゲーションのために、DMTは酸を用いてphHAから除去されてもよく、これによってカルボン酸が得られる。
エピルビシンおよびドセタキセルのためには、DMTは強力な求核試薬、例えば、アジピンジヒドラジド(ADH)で置換されてもよく、これによって薬物とのpH感受性の易分解性ヒドラゾンの形成が可能になる。
ナトリウムphHAは、HAを用いる予備的研究と同じ手順を用いて、シスプラチン(20〜40%w/w)との一晩の反応によって、シスプラチンとコンジュゲートされ、水に対する透析によって精製され得る。
このコンジュゲーションの程度は、黒鉛炉AASによって決定できる。
アントラサイクリン(ドキソルビシン、エピルビシン、およびダウノルビシン)は、HA上のアントラサイクリン13−カルボニルとグラフトされたヒドラジドとの間のヒドラゾンリンカーを用いて、構造的に類似のドキソルビシンのpH感受性のコンジュゲートを形成するために用いることができる。
このヒドラジドphHA(上記)は、pH5でのインキュベーション、続いて透析精製によってエピルビシンにコンジュゲートされ得る。
ドセタキセルおよびパクリタキセルを含むタキサン類をここでポリソルベートなしの製剤中に調製してもよい。
これは、ナノキャリアとカップリングするC7炭素なしにエステルを形成することによって達成され得、ここで抗癌活性に対する損失はない。
ドセタキセルは、ドセタキセルのC2位置上にグラフトされた易分解性リンゴ酸リンカーを用いてphHAのCOOHにコンジュゲートされ得る。
14.HA−シスプラチンのインビボ有効性
HA−シスプラチンのインビボ有効性を研究した。
全ての処置は、動物のHNSCC腫瘍が100mm3の容積に達すれば開始した。
処置は3週間開始した。
全ての動物の左頬の頬粘膜に5×10 5個のMDA−1986細胞を与え(これはこの年開発された新規な同所性HNSCCモデルIである)、腫瘍を2〜3週間発達させる。
図21Aは、HA担体自体(皮下)、コントロール(皮下の生理食塩水)で処理したNu/Nu雌性無胸腺ヌードマウスの有効性のグラフを含み、ここで5匹のマウスは3週間にわたって3.3mg/kgのHA−シスプラチンを毎週皮下投与し、3匹のマウスには静脈内シスプラチン(3週間、3.3mg/kgを毎週静脈内投与)を与えた。
このグラフは、HA−シスプラチンが腫瘍増殖を5匹の動物全てで遅らせ、そのうち2匹(HA−cis 3およびHA−cis 4)は、i.v.のシスプラチン(コントロール)が増殖を遅らせる速度と同様で、約3週間であったことを示す。
一方で他の3匹の動物では、2匹の動物が治療に対する完全寛解があり、3番目(HA−cis 1)は、犠牲にされる前に治療に対する部分反応があった。
全体として、これによってインビボで頭頸部扁平上皮細胞癌を処置することにおいて標準的な静脈内シスプラチンを超える有効性の改善が示される。
抗癌、特に抗増殖性、2つのヒト頭頸部扁平上皮細胞癌細胞株(JMARおよびMDA−1986)におけるインビトロでの標準的なCDDPと比較したHA−シスプラチンの効果を評価するために、標準的なMTSアッセイを製造業者の特定のプロトコールに従って行った。
一旦75%コンフルエントになれば、細胞をトリプシン処理して(0.25%トリプシン)、カウントして96−ウェルのマイクロタイタープレート(Costar,Cambridge,MA,USA)(1×103細胞/ウェル)で100μLの増殖培地中にプレートした。
一晩の結合期間の後、細胞を種々の濃度のKU135および17−AAGに対して、単独でおよび組み合わせて3日間暴露した。
全ての研究は三連で行い、少なくとも3回個々に反復した。
3日の処置期間後、生存細胞の数を比色細胞増殖アッセイ(colorimetric Cell Proliferation assay)(CellTiter96 Aqueous Nonradioactive Cell Proliferation assay;Promega,Madison WI,USA)を用いて決定し、これによって、電子カップリング試薬PMS(フェナジンメトスルフェート)の存在下で、可溶性のホルマザン生成物への代謝的に活性な細胞のデヒドロゲナーゼ酵素による、MTS(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2イル]−5−[3−カルボキシメトキシフェニル]−2−[4−スルホフェニル]−2Hテトラゾリウム)の生体還元を測定する。
このアッセイを行うために、2mg/mLのMTSおよび150μΜのPMSを緩衝液中(0.2g/LのKCl、8.0g/LのNaCl、0.2g/LのKH2PO4、1.15g/L、133mg/mLのCaCl2−2H2O、100mg/mL、MgCl2.6H2O、pH7.35)に含有する20μLの合わせたMTS/PMS溶液を各々のウェルに添加し、次いで加湿された5%のCO2雰囲気中で37℃での3時間のインキュベーション後、吸光度を490nmでマイクロプレートリーダー中で測定した。
予め決定された細胞数を有する三連のウェルを試験サンプルと平行して上記のアッセイに供して、吸光度の読み取りを正規化した;これによってまた、測定された吸光度および細胞数の範囲において、アッセイが直線であったという内部の確認が得られた。
データは、生存度%の関数として、コントロール(細胞生存度)対薬物濃度(x軸)からプロットした。
細胞の50%が増殖阻害された薬物の濃度(IC50レベル)は、標準の吸光度−濃度曲線に対する反曲点として決定した。
図21Bは、10nM〜100マイクロモルの濃度におよぶ種々の薬物濃度で72時間の薬物処置後、両方の細胞株に対する標準的なシスプラチンについての細胞生存度パーセント対薬物濃度曲線を示す。
図21Cは、10nM〜100マイクロモルの濃度におよぶ種々の薬物濃度で72時間の薬物処置後、両方の細胞株に対するHA−シスプラチンについての細胞生存度パーセント対薬物濃度曲線を示す。
IC50濃度は、細胞増殖の50%が阻害される反曲点としてこれらのグラフから計算した。
注目すべきは、CDDPおよびHA−シスプラチンについてのIC50レベルの間にはいずれの細胞株でも有意な相違はなく、このことは、HAコンジュゲーションがインビトロで、癌細胞増殖および生存度を阻害するシスプラチンの能力に有害に影響しないことを示していることである。
15.ドキソルビシンのインビボ放出
図22A〜22Fは、ラットの右乳腺脂肪体での単回注射後のHA−ドキソルビシンの分布を示している写真である。
ドキソルビシンは、もともと蛍光を有しており、薬物−担体のコンジュゲートの分布および寿命はこの時限評価で十分観察できる。
注目すべきは、薬物−担体のバルクは、腋窩リンパ節に移動され、ここで9日の間隔にわたって緩徐に放出され、9日後でさえ依然としてある程度の残留活性があることである。
楕円形は、乳房の注射部位を記しており、最も濃い濃度(赤色)は腋窩にある。
図23は、インビボにおける相当進行した乳癌腫瘍で、単回の後期腫瘍周囲HA−ドキソルビシン処置後でさえ腫瘍反応を示しているグラフである。
図24A〜24EはMaestroマルチチャネル蛍光画像化システムで可視化されたHA−ドキソルビシンのインビボ輸送の写真である。
ラットの乳房の局所領域の組織およびリンパ節への薬物および担体の良好な取り込みがあり、これは、リンパ管において注射の4日後でさえ十分残留している。
[表]
表1は、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−468LN、MDA−MB−231、およびMCF−7に対するシスプラチンのIC50値を示す。
HA担体のIC50はシスプラチンに対してPtベースで等価で与える。

表2は、3.3mg/kgの静脈内シスプラチンおよび皮下のHA−シスプラチン研究群の組織AUC(平均±SEM)およびCmax(平均±SEM)を示す。
2元ANOVA分析によって研究群(シスプラチンおよびHA−シスプラチン)は全ての組織について有意に異なることが明らかになった。
この第一の血漿サンプリングは5分であった。
表3は、各々の処置群についての組織損傷の分類を示し、これは以下の尺度に従った:腎臓、グレード0:正常(無症状);グレード1:最小壊死;グレード2:軽度壊死(変性および核濃縮を含む)。
肝臓、グレード0:正常(無症状);グレード1:炎症(肉芽腫、小肉芽腫および肝炎を含む)または包含;グレード2:変性または壊死。
腋窩リンパ節、グレード0:正常(無症状);グレード1:軽度リンパ過形成または枯渇。
病理は盲検の獣医師の病理学者によってグレード分けし、各々の処置群には5匹の動物を含んだ。

表4はHAに対するシスプラチンのコンジュゲーション効率を示す。
効率は、(添加したシスプラチン/組み込まれたシスプラチン)×100%として算出した。

表5はシスプラチンおよびシスプラチン−HAの組織AUCを示す。
雌性ラットの右乳腺脂肪体へのシスプラチンまたはシスプラチン−HAの皮下投与後のシスプラチンの曲線下面積(AUC)。

Claims (20)

  1. 経皮的、皮内、粘膜、粘膜下、皮下、間質内、脂肪内、腫瘍周囲または筋肉内の注射投与のために構成された化学療法組成物であって、該組成物は:
    薬学的に許容され得る担体と;
    与の後の優先的なリンパ管内蓄積のために構成され、10〜100nmの寸法を有するナノコンジュゲートと
    を含み、該ナノコンジュゲートは:
    与後の優先的なリンパ管内蓄積のために構成されたナノキャリアと;
    該ナノキャリアにカップリングされた複数の化学療法剤と
    を含み、
    該ナノキャリアがヒアルロン酸重合体であり、
    該化学療法剤が、シスプラチン、他の白金薬剤、メルファラン、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ペプチド類、抗体類(モノクローナルおよびポリクローナルの両方)、インターフェロン、ナイトロジェン・マスタードクラスの薬物類、クロラムブシル、アミオダロン、ラパマイシン、トポテカン、ウィタフェリンA、HSP90インヒビター類、17−AAG、VEGFインヒビター類、ヒストンデアセチラーゼインヒビター類、およびそれらの組み合わせから選択され、
    該ナノコンジュゲートが、10〜50%w/wの該化学療法剤をロードされ、
    該ナノコンジュゲートが、該化学療法剤の血漿中への徐放性放出を提供する、化学療法組成物。
  2. 前記ナノコンジュゲートが1〜50nmの寸法を有する、請求項1記載の化学療法組成物。
  3. 前記ナノキャリアが3kDa〜50kDaのヒアルロン酸重合体である、請求項2記載の化学療法組成物。
  4. 前記化学療法剤が生分解性リンカーを介してナノキャリアにカップリングされる、請求項記載の化学療法組成物。
  5. 前記生分解性リンカーが酸不安定性である、請求項記載の化学療法組成物。
  6. 前記組成物および/またはナノコンジュゲートがPEG、HPMA、ポリグルタミン酸類および/または銀を含まない、請求項記載の化学療法組成物。
  7. 前記化学療法剤が、化学療法剤の標準的な静脈内投与に比較して、高いリンパ管AUCおよび低い血漿Cmaxを得るために治療上有効な量で存在する、請求項記載の化学療法組成物。
  8. 前記化学療法剤が前記シスプラチンを含む、請求項1記載の化学療法組成物。
  9. 前記ヒアルロン酸重合体と前記シスプラチンとを、該ヒアルロン酸重合体と該シスプラチンとが非共有結合を形成するように水溶液中で混合することによって、シスプラチンが形成される、請求項8記載の化学療法組成物。
  10. 前記シスプラチンが10〜25%w/wでロードされる、請求項8記載の化学療法組成物。
  11. 前記化学療法剤が前記ドキソルビシンを含む、請求項1記載の化学療法組成物。
  12. 前記ドキソルビシンを含む化学療法剤が生分解性リンカーを介してナノキャリアにカップリングされる、請求項11記載の化学療法組成物。
  13. 前記生分解性リンカーがジヒドラジドである、請求項12記載の化学療法組成物。
  14. 前記ナノコンジュゲートが10〜80nmの寸法を有する、請求項1記載の化学療法組成物。
  15. 前記ナノコンジュゲートが15〜50nmの寸法を有する、請求項1記載の化学療法組成物。
  16. 前記ナノコンジュゲートが20〜40nmの寸法を有する、請求項1記載の化学療法組成物。
  17. 前記ナノキャリアが20kDa〜150kDaのヒアルロン酸重合体である、請求項1記載の化学療法組成物。
  18. 前記ナノキャリアが25kDa〜100kDaのヒアルロン酸重合体である、請求項1記載の化学療法組成物。
  19. 前記ナノキャリアが30kDa〜75kDaのヒアルロン酸重合体である、請求項1記載の化学療法組成物。
  20. 前記ナノキャリアが30kDa〜50kDaのヒアルロン酸重合体である、請求項1記載の化学療法組成物。
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