JP2014000585A - 取鍋ノズルの使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】取鍋2の下部に設けられた溶鋼を通す取鍋側溶鋼孔19を、少なくとも2枚の耐火物をスライドさせて開閉する取鍋ノズル3を用いるに際し、耐火物の厚みtを30〜50mmとし、耐火物のスライド方向の長さLを500〜550mmとし、耐火物の幅Wを200〜300mmとし、耐火物側溶鋼孔30の孔径を75〜90mmとし、耐火物の組成をAl2O3が72〜80質量%、Zr2O3が8〜15質量%、Cが5〜20質量%とする。また、耐火物側溶鋼孔30の周辺の温度を、500℃〜1600℃として、耐火物側溶鋼孔30に取鍋2内の溶鋼を通す。
【選択図】図4
Description
特許文献2では、溶融金属容器の底部に固定され、固定プレートを保持する固定金枠、及び/又は、固定金枠に対して開閉可能に設けられた開閉金枠に振動計を設置し、摺動プレートが開方向に摺動する際の振動波形を前記振動計により測定し、測定された振動波形の波形面積を求め、該波形面積を予め設定した判定基準値と比較し、該波形面積が前記判定基準値を超えた場合に、前記スライディングノズル用プレートを不良品と判定している。
また、特許文献2〜4には、取鍋ノズルの構造や取鍋ノズルの使用について開示されているものの、これらの文献は溶鋼の漏鋼等を防止する技術を開示しておらず、これらの技
術を採用したとしても、取鍋ノズルを構成する耐火物間への溶鋼の浸入、耐火物の亀裂の発生などを防止することが難しい技術である。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、取鍋の下部に設けられた溶鋼を通す取鍋側溶鋼孔を、少なくとも2枚の耐火物をスライドさせて開閉する取鍋ノズルを用いるに際し、前記耐火物の厚みを30〜50mmとし、耐火物のスライド方向の長さを500〜550mmとし、耐火物の幅を200〜300mmとし、前記耐火物に設けた耐火物側溶鋼孔の孔径を75〜90mmとし、且つ、耐火物の組成をAl2O3が72〜80質量%、Zr2O3が8〜15質量%、Cが5〜20質量%としておき、前記耐火物側溶鋼孔の周辺の温度を、500℃〜1600℃として前記耐火物側溶鋼孔に取鍋内の溶鋼を通すことを特徴とする。
製鉄所における製鋼工程では、まず、転炉や電気炉等にて一次精錬処理が終了した溶鋼を取鍋に出鋼し、溶鋼が装入された取鍋は二次精錬設備に搬送される。二次精錬設備では、取鍋内の溶鋼の介在物の除去や成分調整等の二次精錬処理が行われる。そして、二次精錬処理後は、取鍋は連続鋳造装置に搬送されて当該連続鋳造装置に設置される。
本発明は、転炉から連続鋳造装置1に亘って使用される取鍋2において、当該取鍋2の下部に設けられた取鍋ノズル3の使用方法を規定したものである。特に、取鍋ノズル3が有する上下2枚のプレート状とされた耐火物の構造、使用時における耐火物の温度等を規定することによって、上下2枚のプレート状の耐火物間への溶鋼の浸入防止、耐火物の亀裂の発生防止、溶鋼の流量制御を可能としている。
なお、図2、3は取鍋2を正置させた状態で取鍋ノズル3を取り付けた状態であり、説明の便宜上、図を見て上下を上下方向とする。ただし、取鍋2及び取鍋ノズル3の形状等は、図2、3の示すものに限定されない。
図2に示すように、取鍋2は、本体を構成する上部が開放となった円柱状の鉄皮10を備えている。この鉄皮10の稼働面側(溶鋼が入る側)には、定形の耐火物で構成された第1パーマ煉瓦11が施工されている。鉄皮10内において、鉄皮10の胴部12に対応する部分には、第1パーマ煉瓦11に続き、さらに当該第1パーマ煉瓦11の内側に2層目となる第2パーマ煉瓦13が施工されている。また、鉄皮10内において、鉄皮10の敷部14及び鉄皮10の胴部12に対応する部分には、不定形耐火物であるキャスタブル
(アルミナマグネシア材質)15が施工されている。キャスタブル15の上側であって、スラグライン部16に対応する部分には、定形耐火物であるマグカーボン(MgO−C耐火物)17が施工されている。このような取鍋2の敷部14において、鉄皮10、第1パーマ煉瓦11(定形耐火物)及びキャスタブル15は上下に貫通していて、その貫通部分に円筒状のノズル18が取り付けられている。ノズル18の内部(孔)は、取鍋2と連通していて、取鍋2内の溶鋼(溶鋼という)を外部へ排出する取鍋側溶鋼孔19とされている。
具体的には、取鍋ノズル3は、定形耐火物で構成された板状(矩形状)の1枚の上プレート20と、定形耐火物で構成された板状(矩形状)の1枚の下プレート21と、下プレート21が嵌り込んで当該下プレート21をスライドさせるスライド部材22と、上プレート20、下プレート21及びスライド部材22を収容して支持するハウジング23とを有している。
て締め付ける。このように、上プレート20と下プレート21とは、下枠体29と上枠体24とによる上下の圧力により、取り付けられるようになっている。なお、上プレート20と下プレート21は、上下方向の他に、左右、前後の4面方向からも圧力を加えられて締め付けられている。
図4に示すように、上プレート20及び下プレート21の厚み、即ち、耐火物の厚みtは30〜50mmとしている。耐火物の厚みtが30mmよりも薄いと強度が低下し、取鍋ノズル3の使用中に亀裂が発生す可能性がある。また、耐火物の厚みtが50mmよりも大きいと、溶鋼が耐火物側溶鋼孔30を通過する距離が長くなるため、耐火物側溶鋼孔30を構成する孔壁(壁部)に溶鋼中の介在物が付着して、耐火物側溶鋼孔30を閉塞させる可能性がある。また、耐火物の厚みtが50mmよりも大きいと、上プレート20及び下プレート21の重量が大きくなり、構造上可動性が低下する可能性がある。なお、上プレート20及び下プレート21の厚み(耐火物)は、上ダボ部31や下ダボ部32を除く平坦部分の厚みのことである。
r2O3を8〜15質量%とすることによって、更に耐食性と耐熱衝撃性を向上させている。
耐火物側溶鋼孔30の周辺の温度を500℃以上にすると、上プレート20及び下プレート21(耐火物)が膨張するため、上プレート20と下プレート21との間(上下面の隙間)がさらに狭くなり密着度が高くなる。耐火物側溶鋼孔30の周辺の温度は、500℃以上とすることが好ましいが、周辺の温度が1600℃を超えてしまうと、耐火物の溶損速度が早くなって寿命が極端に短くなったり、急激に孔径が拡大してしまうと、溶鋼の流量制御を行うのが難しくなる。
図5に示すように、溶鋼が通過したとき、耐火物側溶鋼孔30の直近の耐火物の内部温度は高く、スライド方向(水平方向)にいくにしたがって温度は低くなる。ダボ部(上ダボ部31)を超えて外側となる位置では、耐火物の内部温度は急激に下がることから、上プレート20と下プレート21との間の隙間に影響する温度は、ダボ部(上ダボ部31)までの温度であると考えられる。
さて、取鍋ノズル3の使用方法を実施するに際しては、下記に示す実施条件で行うとよい。本発明を適用する実施条件について説明する。
火物を使用しており、Al2O3が75質量%、MgOが10質量%、Cが10質量%、その他が10質量%のものを用いる。
上プレート20、下プレート21を構成する耐火物の形状は、厚みが30〜50mm、移動方向長さが500〜550mm、幅が200〜300mmとする。ダボ部の厚みは、平坦部の厚みよりも約20mm大きくする。上プレート20及び下プレート21の材質は、Al2O3、Zr2O3、Cを主体としたものであり、Al2O3を72〜80質量%、Zr2O3を8〜15質量%、Cを5〜20質量%とする。溶鋼成分は、C、Mg、Si、Alを主に含有する普通鋼を対象とした。溶鋼成分は、サンプラーを用いて取鍋2内の溶鋼から採取し、凝固させた鋼を化学分析して求めた。溶鋼温度は、取鍋2中の溶鋼に熱電対を用いた温度計を浸漬させることで測定する。取鍋2内の溶鋼湯面から約30cm、胴部12(側壁)から約100cmの位置で測定した。取鍋2からタンディッシュ4に注入する溶鋼の流速(溶鋼通過量)は、2.5〜5.5ton/minとする。耐火物側溶鋼孔30を構成する孔壁から上ダボ部31の端部までの水平距離は、例えば、38〜42mmとしたうえで、この水平距離となるポイントPでの温度(耐火物側溶鋼孔の周辺の温度)が500℃〜1600℃となるように加熱する。
耐火物間への溶鋼の浸入の有無は、取鍋ノズル3の使用前に新しく設置した上プレート20及び下プレート21の耐火物側溶鋼孔30の孔径(初期の孔径)に対して、約1.3倍まで孔径が大きくなるまで取鍋ノズル3を使用し、その後、上プレート20及び下プ
レート21を取り外して、上プレート20及び下プレート21を交換するときに、耐火物間を確認することにより判断した。上プレート20及び下プレート21の交換時、耐火物側溶鋼孔30を通過していた溶鋼が耐火物間に浸入して地金となっている場合がある。この地金は、ダボ部に発生した隙間が大きい場合に発生し易く、使用中は溶鋼が隙間に浸入しており、溶鋼が隙間を経由して取鍋ノズル3の外側に漏れる可能性がある。即ち、耐火物間への溶鋼の浸入の有無は、上プレート20及び下プレート21の交換時において、上プレート20及び下プレート21に差し込んだ地金の状況を見ることによって判断した。
溶鋼の流量制御では、取鍋2からタンディッシュ4に排出する溶鋼の流速と、連続鋳造装置1における鋳片の鋳造速度と同調して制御しなければならないが、下プレート21をスライドさせて溶鋼の流速を変化させても、鋳造速度に同調できない場合、連続鋳造装置1の鋳造速度を低下させなければならない。このようなことから、溶鋼の流量制御の評価では、取鍋ノズル3が原因で連続鋳造装置1における鋳造速度を低下させた場合を、不良「×」とした。
2 取鍋
3 取鍋ノズル
4 タンディッシュ
5 浸漬ノズル
6 鋳型
10 鉄皮
11 第1パーマ煉瓦
12 胴部
13 第2パーマ煉瓦
14 敷部
15 キャスタブル
16 スラグライン部
17 マグカーボン
18 ノズル
19 取鍋側溶鋼孔
20 上プレート
21 下プレート
22 スライド部材
23 ハウジング
24 上枠体
25 枢支軸
26 嵌合部
27 締結具
28 支持部
29 下枠体
30 耐火物側溶鋼孔
31 上ダボ部
32 下ダボ部
33 油圧シリンダ
34 ホルダ
Claims (1)
- 取鍋の下部に設けられた溶鋼を通す取鍋側溶鋼孔を、少なくとも2枚の耐火物をスライドさせて開閉する取鍋ノズルを用いるに際し、
前記耐火物の厚みを30〜50mmとし、耐火物のスライド方向の長さを500〜550mmとし、耐火物の幅を200〜300mmとし、前記耐火物に設けた耐火物側溶鋼孔の孔径を75〜90mmとし、且つ、耐火物の組成をAl2O3が72〜80質量%、Zr2O3が8〜15質量%、Cが5〜20質量%としておき、
前記耐火物側溶鋼孔の周辺の温度を、500℃〜1600℃として前記耐火物側溶鋼孔に取鍋内の溶鋼を通すことを特徴とする取鍋ノズルの使用方法。
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