JPH09308946A - 水平連続鋳造用鋳型 - Google Patents

水平連続鋳造用鋳型

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JPH09308946A
JPH09308946A JP12554696A JP12554696A JPH09308946A JP H09308946 A JPH09308946 A JP H09308946A JP 12554696 A JP12554696 A JP 12554696A JP 12554696 A JP12554696 A JP 12554696A JP H09308946 A JPH09308946 A JP H09308946A
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mold
regular
slab
continuous casting
horizontal continuous
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Application number
JP12554696A
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English (en)
Inventor
Seiji Furuhashi
誠治 古橋
Masayuki Kawamoto
正幸 川本
Kazuhisa Nishino
和久 西野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製管用素材を製造するのに好適な水平連続鋳造
用鋳型の提供。 【解決手段】(1) 鋳型入側端にブレークリングを内挿し
た鋳型であって、内面の垂直断面形状が入側から出側ま
で同一の正6、正8、正10、正12、正14又は正16角形で
あり、内面にセラミックス溶射層を有するもの。 (2)上記ブレークリング及びセラミックス溶射層を有
し、入側内面の垂直断面形状が上記(1) の多角形であ
り、内面の垂直断面形状が前記多角形部の下流側から出
側に向かい漸次丸形に変化したもの。 【効果】ブレークアウト事故を防止すると共に表面欠陥
をなくすことができる。出側の断面形状が丸形の場合に
は、更に真円度の良好な丸断面鋳片を容易に得ることが
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水平連続鋳造によ
る鋳片の製造において、ブレークアウトによる操業トラ
ブルを回避し、表層欠陥がない鋳片を製造するのに好適
な鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の水平連続鋳造法を図4および図5
に基づいて説明する。図4は、水平式連続鋳造装置を模
式的に示す縦断面図である。図5は、鋳片引き抜きのタ
イミング(速度分布)を示す図である。
【0003】図4に示す水平式連続鋳造装置は、レード
ル5から供給された溶鋼8を一時的に貯留するタンディ
ッシュ6の下部の側方から、鋳型1が接続耐火物7およ
びブレークリング4を介して直接水平方向に接続されて
おり、鋳片10を水平方向に引き抜くものである。引き
抜きは、その安定化のため通常の縦型連続鋳造法の場合
のように鋳型を周期的に上下振動させながら行うような
連続引き抜きと異なり、図5に示すような引き抜き停止
期間ts と引き抜き期間tp とを交互に設ける間欠引き
抜きを行っている。これは、大型のタンディッシュ6と
鋳型1とが接続されているため、鋳型1を振動させるの
が困難だからである。したがって、鋳片10の方を間欠
的に引き抜くことで、その安定引き抜きを達成してい
る。
【0004】さらに、引き抜き停止期間ts を設けるこ
とは、ブレークリング4部で生じ始める脆弱な凝固シェ
ル9が鋳片10の引き抜きにより破断するのを防止する
ため、或る程度凝固シェル9を成長させる効果も併せ持
っている。
【0005】なお、図4において、符号Tは鋳型1と溶
鋼8とブレークリング4とが接する点、符号Mは引き抜
きマークおよび符号8′は未凝固溶鋼である。
【0006】しかし、水平連続鋳造による鋳片では表面
疵の問題が存在し、大きくわけると次の2点になる。ひ
とつは、鋳片10の表面での引き抜きマークMに起因す
る割れにより表面研削量が増大し、歩留まりが低下する
こと、もうひとつは周方向の不均一凝固に起因する縦割
れ疵、さらには縦割れが顕著な場合にはブレークアウト
(凝固シェル9の破断に起因する未凝固溶鋼8′の噴出
による鋳造停止)が発生することである。
【0007】前者の表面割れの問題が生じる理由を図6
により説明する。
【0008】図6は、垂直断面が丸形の従来の水平連続
鋳造用鋳型を用いて丸断面形状の鋳片を製造する場合に
おける引き抜きマークMおよび割れPの発生機構を説明
する部分縦断面図である。図6のは引き抜き停止完了
時、は引き抜き中およびは引き抜き完了時をそれぞ
れ示し、〜は図5に記載のそれらの時期と対応して
いる。図6において符号dは、ブレークリング4の面で
成長する凝固シェル9の厚みである。
【0009】図6に示すように、引き抜き停止期間t
s 中に鋳型1と溶鋼8とブレークリング4とが接する点
Tで溶鋼8が過凝固する。図示するハッチング部が過凝
固した部分である。このため図6に示すように、続く
引き抜き時に溶鋼8が鋳型1内に流入するが、溶鋼8と
凝固シェル9の過凝固部の上流側先端との接合性が低下
し、接合部に引き抜きマークMが形成される。この状態
でさらに鋳片10が引き抜かれるため、その表面には接
合性が低下した引き抜きマークMに沿う割れPが生じる
ことになる。
【0010】このような表面割れPが生じた鋳片10を
パイプなどに加工する場合、この割れPは予め研削除去
し、かつ製品時点での欠陥をなくすため十分な研削量を
確保する必要がある。この問題に対しては、引き抜きサ
イクルtc数の増加やブレークリング4の材質の改善な
どの最適操業技術により、最低限の研削量になるよう開
発がなされてきた。しかし、さらなる引き抜きマークM
や割れPの深さの低減が求められている。
【0011】一方、後者の縦割れやブレークアウトの問
題が生じる理由は、凝固収縮量が大きな、たとえばδ−
γ変態を起こすような鋼種または高合金鋼の場合、或る
箇所で凝固収縮が大きく生じると鋳型1の冷却面から鋳
片10の表面が離れることになるからである。丸断面鋳
片ではその形状のためバルジングが生じにくいので、凝
固シェル9は鋳型1の内面から離れたままの状態とな
る。したがって、その箇所は抜熱が小さくなって冷却が
遅れ、さらに凝固シェル9の成長も遅れ、不均一凝固が
起こる。
【0012】縦型連続鋳造法の場合と異なり、水平連続
鋳造法では潤滑剤であるパウダーを使用しないためパウ
ダー物性による冷却制御は困難となり、凝固シェル9は
冷却された鋳型1と直接接触し、上記の不均一凝固現象
はより顕著となる。結局、この凝固遅れにより凝固シェ
ル9の薄い部分が生じるため、鋳片10は強度的に弱く
なり、鋳造方向の縦割れが発生する。また、甚だしい場
合には、凝固シェル9が完全に破断して未凝固溶鋼8′
が噴出し、ブレークアウトが発生することになる。
【0013】特に、ステンレス鋼などの高合金鋼を鋳造
する場合、引き抜きマーク割れや縦割れ除去による表面
研削量の増大やブレークアウトの発生は、歩留まりの大
きな低下および製造コストにも甚だしく影響を与えるた
め、これらを低減することが必須となっている。したが
って、鋳片の表面欠陥、すなわち引き抜きマーク割れの
低減および不均一凝固の解消が望まれる。
【0014】前述の引き抜きマークの問題を解決するた
めの水平連続鋳造用鋳型が、特公平1−31973号公
報に示されている。この鋳型では、その内面部のうちブ
レークリングと接する位置から所定長さにわたる内面部
分の内径が、ブレークリングへ向けて漸次小さくなるよ
うに形成されており、その部分以外の内径は同一であ
る。このような段差部を設けることで、溶鋼と鋳型とブ
レークリングとの接点近傍で凝固したシェルが鋳片の引
き抜き時に鋳型冷却面から離されるため、復熱により、
凝固シェルの接合部となる引き抜きマーク部の溶鋼との
溶着性を向上させ、引き抜きマーク(割れ)の抑制を行
うものである。しかしこの鋳型は、引き抜きマーク起因
の割れなどの表層欠陥の改善には効果的であるが、依
然、前述の不均一凝固起因の縦割れ疵が発生し、縦割れ
が顕著な場合にはブレークアウトが発生する。
【0015】一方、前述の不均一凝固を抑制して鋳片の
割れを抑制するため、特開平6−297103号公報で
は、縦型連続鋳造装置において凝固シェルが成長し始め
る湯面レベル近傍の鋳型面に直径が0.1〜3mmで深
さが5〜300μmの複数の凹凸を均一に設けること
で、抜熱を制御して凝固シェルの成長厚みを周方向で均
一にする方法が提案されている。
【0016】特公平6−79753号公報では、水平連
続鋳造装置の鋳型の内面に鋳造方向と平行な溝を、溶鋼
と鋳型とブレークリングとの接点から或る距離離れた位
置から設けた鋳型が示されている。この溝により規則的
に凝固シェルを溝内で生成させることで均一凝固を図
り、均一な厚みの初期凝固シェルを得るものである。
【0017】しかし、上記のような二種類の鋳型を水平
連続鋳造に適用した場合、凹凸により薄く脆弱な初期凝
固シェルが大きな摩擦力を受け、引き抜きマーク相当部
や凝固シェルの薄い箇所で破断し、安定な引き抜きが行
われなくなることがある。この問題を解決するために
は、より平滑な鋳型内面による鋳片の均一冷却化が必要
である。
【0018】不均一凝固を改善する他の方法として、例
えば本出願人が特開昭59−174254号公報で開示
したように、ベルト式連続鋳造装置においてベルトの表
面に耐火性セラミックスの溶射層を形成すれば、緩冷却
化により欠陥のない良好な鋳片を製造することができ
る。しかし、水平連続鋳造の場合のように、鋳片がバル
ジングしにくく、かつパウダーなどの潤滑剤を使用しな
いため冷却能の高い鋳型を用いるときには、不均一凝固
の著しい改善は期待されにくい。
【0019】他に、本発明者らは特開平6−26990
3号公報において、縦型連続鋳造法における正多角形断
面形状などの鋳型を開示した。この鋳型でも均一冷却を
図っているが、緩冷却などによる抜熱の抑制は全く考慮
していない。したがって、この鋳型をパウダーなどの潤
滑剤を使用せずに冷却能の高い鋳型を用いる水平連続鋳
造にそのまま適用しても、前述の諸問題を解決するには
まだ不十分である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題に
鑑みてなされたものである。本発明の目的は、製管用の
素材となる鋳片を水平連続鋳造法で製造する際に、鋳型
内における抜熱を抑制して鋳片の表面欠陥を減少させる
とともに、不均一凝固によるブレークアウト事故を防止
することができる鋳型を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の (1)
および(2) の水平連続鋳造用鋳型にある。
【0022】(1)水平方向に鋳片の引き抜きを行う水平
式連続鋳造装置で用いる、鋳型入側端にブレークリング
を内挿した鋳型であって、鋳型内面の垂直断面形状が入
側から出側まで同一の正6角形、正8角形、正10角
形、正12角形、正14角形または正16角形であり、
鋳型内面にセラミックス溶射層を有することを特徴とす
る水平連続鋳造用鋳型。以下、本発明の第1の鋳型とい
う。
【0023】(2)水平方向に鋳片の引き抜きを行う水平
式連続鋳造装置で用いる、鋳型入側端にブレークリング
を内挿した鋳型であって、鋳型入側内面の垂直断面形状
が、正6角形、正8角形、正10角形、正12角形、正
14角形または正16角形であり、鋳型内面の垂直断面
形状が前記多角形部の下流側から鋳型出側に向かい鋳造
方向に漸次丸形に変化し、鋳型内面にセラミックス溶射
層を有することを特徴とする水平連続鋳造用鋳型。以
下、本発明の第2の鋳型という。
【0024】上記鋳型において、鋳型内面のセラミック
ス溶射層厚みの望ましい範囲は100μmを超え400
μm未満である。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の第1の鋳型の例を図1お
よび図2に基づいて説明する.図1は、本発明の第1の
鋳型の内面の垂直断面形状を示す図である。図1(a)は
正6角形、(b) は正8角形、(c) は正10角形、(d) は
正12角形、(e) は正14角形および(f) は正16角形
である。そして、これらの断面形状、すなわち鋳型径は
鋳型の入側から出側まで同一であって変化せず、例えば
入側が正8角形であれば出側も同一径の正8角形であ
る。
【0026】図2は本発明の第1の鋳型における正6角
形の例を説明する図である。図2(1) は立体的な半裁断
面図、図2(2) は鋳型壁の断面図、図2(3) は図2(1)
の線A−A′における鋳型内面の垂直断面図および図2
(4) は同じく線B−B′における垂直断面図である。
【0027】図2(1) に示すように、この鋳型1はその
入側端にブレークリング4が内挿され、鋳型内面にはセ
ラミックス溶射層3を有する。ブレークリング4は鋳型
1の入側端部2′に内挿して設け、ブレークリング4の
形状は鋳型1の内面の垂直断面形状と相似の正6角形状
とする必要がある。この場合、図2(3) および図2(4)
に示すように、鋳型1の内面の垂直断面形状は、ブレー
クリング4を内挿した入側端部2′の出側端面部T(前
記の接点)から鋳型1の出側まで同一径(LA=LB )
の正6角形となっている。
【0028】鋳型1の内面におけるセラミックス溶射層
3の鋳造方向の領域は、図2(2) に示すような四つのパ
ターンとするのが望ましい。図2(2) の(a)は、溶鋼
が凝固し始める点、すなわち溶鋼、鋳型1およびブレー
クリング4の接点Tから凝固シェルが強度を持ち始める
領域までの場合である。(b)は、接点Tから鋳型1の
出側までの全ての領域の場合である。(c)は(a)の
領域に加え、ブレークリング4が内挿される入側端部
2′の接触面も含む領域の場合である。(d)は同様に
(b)の領域に加え、ブレークリング4が内挿される入
側端部2′の接触面も含む領域の場合である。
【0029】図2に示すようにセラミックス溶射層3の
領域は、鋳造する鋼種により比較的不均一凝固しにくい
鋼種の場合には短くし、逆に不均一凝固しやすい鋼種の
場合には増加させるなどを行うのが望ましい。鋳型壁2
は、水冷などの冷却構造を有する銅製または銅合金製で
ある。
【0030】セラミックスの材質としては、Al2O3 系や
Zr2O3 系などが適切であり、中でもAl2O3 とZr2O3 とを
組み合わせた材質が耐摩耗性及び緩冷却化の両観点から
最もよい。さらに、セラミックス溶射前に銅製または銅
合金の鋳型壁2の内面に、最大厚みで50μm程度の下
地Niめっきを施すのが望ましい。
【0031】セラミックス溶射層3の厚みの望ましい範
囲は、100μmを超え400μm未満である。100
μm以下では緩冷却の効果が得られにくい。一方、40
0μm以上では冷却能が低下しすぎるため鋳型壁2の温
度が上昇しすぎ、鋳型1の寿命低下およびセラミックス
溶射層3の剥離などの問題が生じる。溶射方法は例えば
プラズマ溶射が適している。プラズマ溶射により、内面
に比較的均一に溶射可能であるからである。
【0032】多角形の角数および形状を前記のとおり限
定した理由は次のとおりである。
【0033】角数が16を超えると鋳片の断面が丸形状
に近づくため、不均一凝固の改善効果は小さくなる。一
方、角数を6未満にした場合、一辺の長さが長くなるた
め、辺上での不均一凝固が発生しやすくなる。
【0034】偶数角の正多角形状としたのは、安定な引
き抜きおよび鋳片の表面欠陥発生の抑制を達成するため
である。一般的に鋳片を引き抜く際には、ピンチロール
と呼ばれる2対のロールを用いて鋳片を両方向から挟み
込み、これらのロールを回転させることにより行う。こ
こで、奇数角の鋳片とする場合、鋳片の一辺を一つのピ
ンチロールに合わせると他方のピンチロールには鋳片の
コーナー部が必ず当たってしまい、適正に鋳片を保持す
るのが困難となる。さらに、鋳片のコーナー部に集中的
に負荷を与えることになるため、鋳片の表面欠陥を誘発
する可能性も存在する。したがって、前記の偶数正多角
の断面形状の鋳片とすることが、安定引き抜きおよび良
好な表面性状の確保のためにも必要となる。
【0035】以上述べたような多角形状とすることによ
り、周方向で或る程度の均一冷却が可能となるため、鋳
片の不均一凝固を軽減することができる。しかし、鋳型
内面にセラミックス溶射層を設けることにより、さらに
熱的に緩冷却化して鋳片からの抜熱を制御するのであ
る。一般的に不均一凝固抑制の対策には、緩冷却化が必
要である。鋳型と溶鋼との間に適切な条件でセラミック
ス溶射層を存在させることにより、大きな抜熱の低下が
可能である。
【0036】セラミックス溶射層を設ける効果は前述の
ように、不均一凝固のみならず、緩冷却が達成できると
いうことから、凝固シェルの成長が抑制されることであ
る。
【0037】図6に示すように引き抜きマークMの深さ
は、接点Tでの過凝固によりブレークリング4の面で成
長する凝固シェル9の厚みtに対応している。したがっ
て、ブレークリング4の面上での凝固シェル9の成長を
抑制できれば、引き抜きマークMの深さが低減できるこ
とになる。
【0038】このため、図2(2) の(c)および(d)
に示すように、ブレークリング4の内挿部である鋳型入
り側端部2′の内面にもセラミックス溶射層3を設ける
ことで、ブレークリング4からの冷却を抑制し、ブレー
クリング4の面での凝固シェル9の成長がより抑制可能
となる。
【0039】以上により、不均一凝固が解消され、さら
に割れ欠陥のない正多角形断面の鋳片が製造可能とな
る。
【0040】次に、本発明の第2の鋳型を説明する。
【0041】一般的に鋳造された鋳片には粗圧延を施す
ので、多角形鋳型で鋳造した多角形断面の鋳片はこの時
点で丸形に変形させることが可能である。また、角数が
多い鋳型を使用した場合には、そのままの多角形断面状
の鋳片で製管用の素材となる場合もある。しかし製管工
程では、丸断面形状の鋳片が求められる場合がある。
【0042】本発明の第2の鋳型は、鋳型入側内面の垂
直断面形状を前記の本発明の第1の鋳型と同様に、正6
角形、正8角形、正10角形、正12角形、正14角形
または正16角形とし、かつ鋳型内面の垂直断面形状を
前記の多角形部の下流側から鋳型出側に向かい鋳造方向
に漸次丸形に変化させ、さらに鋳型内面にセラミックス
溶射層を有するものである。この例を図3に基づいて説
明する。
【0043】図3は本発明の第2の鋳型の例を説明する
図である。図3(1) は立体的な半裁断面図、図3(2) は
図3(1) の線C−C′における鋳型内面の垂直断面図お
よび図3(3) は同じく線D−D′における垂直断面図で
ある。
【0044】図3に示す例では、鋳型1の内面の垂直断
面形状は、鋳型1の入側端部2′から鋳造方向の或る範
囲までは正六角形であり、この正六角形の下流側から鋳
型1の出側に向かうにつれて漸次丸形に変化している。
鋳型1の出側における丸形部の内径Rは、丸形の面積が
正6角形の面積と等しくなるように決定する。正6角形
部分の長さ、すなわち変化を開始する鋳造方向の位置は
任意であるが、望ましい位置は鋳型1の長さの半分程度
である。なぜなら、正6角形部分の長さがあまりに短い
と凝固開始直後では、安定な凝固シェルの成長が阻害さ
れ、逆にあまりに長いと鋳型出側までの間では、鋳片が
所定の丸断面形状に変形せずに鋳型の外へ出てしまうか
らである。
【0045】図3の場合、セラミックス溶射層3の領域
は、図2(2) の(a) に示す領域と同じであるが、図2
(2) の (b)〜(d) に示す本発明の第1の鋳型のときと同
様とすることができる。
【0046】前記および上記の諸条件は、鋳型入側内面
の垂直断面形状が前記の正8角形〜正16角形の場合に
おいても同様である。
【0047】このような本発明の第2の鋳型で鋳造する
ことにより、鋳造中に鋳片を丸形断面状に矯正すること
が可能となり、圧延を行うことなく丸形断面状の製管用
素材が得られる。鋳型内での鋳片表面温度は1000℃
近くあるため、丸形断面鋳片への変形が容易に可能であ
る。したがって、通常の丸形鋳型使用時と同じ状況で鋳
片を製造することが可能となる。
【0048】本発明の鋳型では、鋳型径および適用する
鋼種は問わない。
【0049】
【実施例】
(試験1)本発明例では基本的に図2に示す形状と構成
の鋳型を用い、下記および表1〜表3に示す鋳型垂直断
面形状の条件で鋳片の水平連続鋳造を行い、縦割れ発生
率、不均一凝固指数、引き抜きマーク割れおよび鋳造上
の問題の調査を実施した。
【0050】鋳型長さ:600mm 鋳型または鋳片サイズ:φ300mm相当 鋳造鋼種:SUS347(Nb入りステンレス鋼) 鋳造速度:平均引き抜き速度1.5m/min 鋳造長さ:50m セラッミクス溶射領域:図2(2) の(a)相当 鋳造方向長さ100mm セラッミクス材質: Al2O3−20wt%Zr2O3 セラッミクス溶射層厚さ:200μm(銅面上に下地N
iめっき50μm) 鋳型内電磁攪拌:1000ガウス(3Hz) なお、鋳造鋼種を上記としたのは不均一凝固しやすいか
らである。
【0051】比較例では、垂直断面形状が丸形、正方
形、正18角形および正奇数角形の鋳型を用い、一部は
セラミックス溶射層なし、その他は本発明例の条件と同
じとした試験を行った。比較例の断面形状などを表1〜
表3に併せて示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】表4〜表6に上記の結果を示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】縦割れ発生率の定義は(縦割れの長さ/ビ
レット長さ)である。不均一凝固指数の定義は、鋳片の
横断面のシェル厚み〔鋳型内電撹により電撹時のシェル
形状がホワイトバンド(負偏析)となって測定可能とな
る〕を測定し、(周方向シェル厚みの標準偏差/平均凝
固シェル厚み)とした。
【0060】表4〜表6の結果からわかるように、鋳型
形状を本発明の正6角形から正16角形の範囲の多角形
垂直断面形状とし、セラミックス溶射層を併用すること
で、丸形および正4角形に比較し、大幅に不均一凝固が
解消される。しかし、正16角形を超えた正18角形の
場合には、不均一凝固は丸形の場合とほとんど変わらな
い結果であり、不均一凝固の解消はできなかった。
【0061】正奇数角形状の比較例では、鋳片の保持が
不良であるため引き抜きが困難となり、鋳片のねじれな
どによる鋳片の表面欠陥が発生していた部分も見られ
た。
【0062】また、本発明例ではいずれも、不均一凝固
が改善されたため、縦割れ発生率の低下や不均一凝固指
数の低下がより顕著であった。さらに緩冷却化により引
き抜きマーク起因の割れは皆無となり、表面欠陥の全く
存在しない鋳片の製造が可能であった。
【0063】(試験2)基本的に図3に示す形状と構成
の本発明例鋳型を用い、試験1と同じ鋳造条件および表
7に示す鋳型垂直断面形状の条件で鋳片の水平連続鋳造
を行い、鋳片の真円度および表面性状の調査を実施し
た。
【0064】
【表7】
【0065】表8に真円度測定の結果を示す。真円度の
定義は(鋳片の短直径/長直径)である。
【0066】
【表8】
【0067】表8に示すとおり、鋳片は鋳型出側でかな
りの良い真円度で製造された。さらに、いずれも鋳片に
も表面欠陥は認められなかった。
【0068】(試験3)図2示す構成の正8角形断面の
鋳型を用い、表9に示す条件およびその他の条件は試験
1と同じ鋳造条件で、鋳片の水平連続鋳造を行い、縦割
れ発生率、不均一凝固指数および引き抜きマーク割れの
調査を実施した。表10に結果を示す。
【0069】
【表9】
【0070】
【表10】
【0071】表10から、溶射領域が長い方が、不均一
凝固や縦割れの抑制により効果的であることがわかる。
しかし、図2(2) の(a)および図2(2) の(c)に示
すような溶射領域が短い場合でも、十分な不均一凝固の
改善効果が認められた。
【0072】
【発明の効果】本発明の水平連続鋳造用鋳型によれば、
製管用の素材となる鋳片を製造する際にブレークアウト
事故を防止するとともに、鋳片の表面欠陥をなくすこと
ができる。鋳型出側の垂直断面形状が丸形の場合には、
さらに真円度の良好な丸断面鋳片を容易に得ることが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の鋳型内面の垂直断面形状を示す
図である。(a) は正6角形、(b) は正8角形、(c) は正
10角形、(d) は正12角形、(e) は正14角形および
(f) は正16角形である。
【図2】本発明の第1の鋳型における正6角形の例を説
明する図である。(1) は立体的な半裁断面図、(2) は鋳
型壁の断面図、(3) は(1) の線A−A′における鋳型内
面の垂直断面図および(4) は同じく線B−B′における
垂直断面図である。
【図3】本発明の第2の鋳型の例を説明する図である。
(1) は立体的な半裁断面図、(2) は(1) の線C−C′に
おける鋳型内面の垂直断面図および(3) は同じく線D−
D′における垂直断面図である。
【図4】水平式連続鋳造装置を模式的に示す縦断面図で
ある。
【図5】鋳片引き抜きのタイミング(速度分布)を示す
図である。
【図6】垂直断面が丸形の従来の水平連続鋳造用鋳型を
用いて丸断面形状の鋳片を製造する場合における引き抜
きマーク(割れ)の発生機構を説明する部分縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1:鋳型、 2:鋳型壁、2′:鋳型入側端
部、 3:セラミックス溶射層、4:ブレークリング、
5:レードル、6:タンディッシュ、 7:接続耐火
物、8:溶鋼、 8′:未凝固溶鋼、9:凝
固シェル、 10:鋳片、T:溶鋼、鋳型およびブレ
ークリングの接点、M:引き抜きマーク、 P:引き抜
きマーク割れ、d:ブレークリング面で成長する凝固シ
ェルの厚み

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平方向に鋳片の引き抜きを行う水平式連
    続鋳造装置で用いる、鋳型入側端にブレークリングを内
    挿した鋳型であって、鋳型内面の垂直断面形状が入側か
    ら出側まで同一の正6角形、正8角形、正10角形、正
    12角形、正14角形または正16角形であり、鋳型内
    面にセラミックス溶射層を有することを特徴とする水平
    連続鋳造用鋳型。
  2. 【請求項2】水平方向に鋳片の引き抜きを行う水平式連
    続鋳造装置で用いる、鋳型入側端にブレークリングを内
    挿した鋳型であって、鋳型入側内面の垂直断面形状が正
    6角形、正8角形、正10角形、正12角形、正14角
    形または正16角形であり、鋳型内面の垂直断面形状が
    前記多角形部の下流側から鋳型出側に向かい鋳造方向に
    漸次丸形に変化し、鋳型内面にセラミックス溶射層を有
    することを特徴とする水平連続鋳造用鋳型。
JP12554696A 1996-05-21 1996-05-21 水平連続鋳造用鋳型 Pending JPH09308946A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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