JP2013545687A - 給糸分離型装置 - Google Patents

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Abstract

装置(10)は、糸(15)を編物用として供給し、各巻きを分離することができるものである。装置(10)は、軸線(16)を中心として回転可能に、直接的、又は間接的にモーターと接続されるホイール/ドラム(12)を備え、ホイール/ドラム(12)は、その外側面に、ホイール/ドラム(12)に巻付けられる糸の各巻き(15)が進行できるように、輪郭が突き出た対応するブレード(22)を収容する一連のスリット(20)を備える。ブレード(22)は、ホイール/ドラム(12)とともに回転するが、ホイール/ドラム(12)の軸線(16)に対して傾斜(α)及び/又は偏心(e)を有する軸線(26)を中心として回転する組立体を形成し、これにより、各スリット(20)から突出するブレード(22)の輪郭が、ホイール/ドラム(12)の周囲に沿って最小から最大まで徐々に変化してから徐々に最小まで戻るが、変化は時間の経過に対して一定に保たれる。さらに、ブレード(22)は、装置(10)が処理する全ての糸の巻き(15)を受け取ることができるような長さを有する。

Description

本発明は、編物用糸供給装置、特に、糸の供給及び糸の各巻きの分離を可能とする装置に関する。
編物用としては、様々な種類の糸供給装置が先行技術として知られている。既知の全ての糸供給装置は、糸が1周以上の巻きの形で巻付けられる、ホイール又はシリンダを有する。このため、給糸中にこれらの糸が相互に重なり、“締め付け”ることがないように防止することが基本的に重要である。こうしたことは、実際に糸の破損や完成品の欠陥の原因となる。
これらのホイール式糸供給装置は、ホイールに巻付けられる糸が相互に重ならないように防止する手段を備えるか、あるいは、ホイール自体がこの機能を実行するように構成される。
前記ホイールは、供給装置の運転手順に応じて、糸が外部部材(同様にモーターにより操作される)により装荷される、回転部材(モーターにより回転される)、又は固定部材により構成することができる。
固定型分離装置を備えた電動ホイール式供給装置は、既に知られている。具体的には、固定型分離装置は、電動ホイールの近くに配置された固定バーで、電動ホイール式供給装置の軸線と同一平面に位置するが、この軸線に対して傾斜している(最新型では、この傾斜は調整可能である)。ボビンから出る糸は、まさしくバーの傾斜により、跨ぐことなくホイールバー組立体に1周以上の巻きで巻付けられる。
ホイールの回転軸線を、水平方向に対してやや傾けることで、糸の各巻きが重なることを防止する電動ホイール式供給装置も知られている。このように、糸がホイールに入る点及びホイールから離れる点が、2つの異なる平行な垂直平面にあることにより、糸の各巻きが分離されなかった場合でも、糸の各巻きは、並んで配置されるので、ホイール上の糸の各巻きが相互に重ならない。
別の既知の解決手段では、ホイールの軸線に垂直な平面に対してやや傾斜した平面に位置する突出リングが、電動ホイール/ドラムの周面に固定されることにより、ドラム、ひいてはリングが回転すると、最初の巻きを形成する糸(糸が入る点と最も近い)が、傾けられたリングにより引き出さ、これと同時に、既にドラムに存在する別の巻きが、出口に向けてドラムに沿って並んだまま相互の間隔が詰められて滑動される。さらに、別の既知の解決手段では、固定ドラムは、好ましくは等角度間隔の一連のスリットを円筒面に備え、各ブレードが、周期的に揺動して、各々のブレードが関連するスリットから突き出て、これにより、糸の巻きが出口点に向けて進行するように配置されている。この周期的なブレードの揺動運動は、糸の巻戻しに依存することなく、外部モーター部材により引き起こされるものであり、一般的に糸の巻取り装荷部材の操作に用いられるものと同じである。この巻取り装荷部材は、固定ドラムに糸を蓄積させてから、ブレードの揺動運動により巻取りが相互に分離された状態で進行する。
これらの解決手段は、各々の基本的特徴において、以下に分析される各種欠点がある。
固定バー式分離装置を備えた電動ホイールを有する解決手段は、ホイール上の巻きを調整可能にして、有効に分離できるという利点がある。ただし、固定バー上で糸がこすれ合うことにより、摩擦が発生するという欠点もある。これは、実際にホイールに巻付けられる糸の巻きの最大数を制限し、さらに、連続的な機械的ストレスにさらされる糸にダメージを与える。さらに、この摩擦は、装置が作動可能である最小張力も制約し、ホイールの回転に必要な消費エネルギーを増加する。そして、作用張力及び巻き数が大きいほど、モーターで必要とされる電力が大きくなる。
電動ホイールを傾けるという解決手段の場合、正確な分離が得られないという欠点がある(上に述べたように、各巻きは相互に接触している)。基本的に、ホイールと糸との間の小さな“移動”表面は、ホイール上を滑動する巻きが進行できるようにするために用いられ、すなわち、糸は、ホイールとはその周囲全部に亘って接触するわけではないが、ホイールの回転軸線と平行な突出リブ(尚、専門用語では、スポークと呼ばれる)により、特定の点のみでホイールと接触する。その結果、最初の巻きが、次の巻きを促すことで、相互の間隔が詰められるようになる。また、一般に、この種類の供給装置は、固定バー分離装置とともに、特定の糸類に使用されることを意図して提供されるものでもある。
電動ホイールが、傾けられたリングを備えるという解決手段も、正確な分離が得られないことにより(上に述べたように、この場合の各巻きは、相互に接触している)、電動ホイールが傾けられているという解決手段と同じ制約を持っており、特に、摩擦に起因して、特定の糸類(例えば、弾性糸)においては顕著となる制約がある。さらに、この解決手段の欠点は、供給装置を介してボビンから巻戻す際に、糸は、ねじりを起こし(このねじりは、自然な糸ねじりに対して増減がある)、製造中に問題を生じさせて、糸固有の特性を変える虞がある。
周期的に揺動するブレードを備えた固定ドラムを有するという解決手段は、糸の各巻き間の正確な相互分離をもたらすという利点を有する。ただし、ボビンから引き出される糸が、ねじり(このねじりは、自然な糸ねじれに対して増減がある)にさらされるという欠点もある。この解決手段の別の欠点は、ドラムが固定されているため、揺動ブレードは、糸とドラムとの間の摩擦により、糸をドラム上で進行させることができないために、特定の糸類(特に、弾性糸)を扱えないことである。
米国特許第3971522号明細書は、前記欠点の幾つかの解消を可能にするものである。具体的には、解決手段(図3の実施形態を参照)は、軸線を中心として回転する電動ホイール/ドラムを備え、ホイール/ドラムの回転軸線に対して傾斜し、かつ偏心している軸線を中心として回転可能なホイールの歯を収容する対応する等角度間隔の一連のスリット列を備える。従って、このような歯又はブレードは、それぞれの突出が、ホイール/ドラムの周囲に沿って最小から最大となってからそして再び最小になるように、時間の経過に対して一定に保たれたまま、徐々に変化するように、対応するスリットから異なった突出をする。これらのブレードは、関連するホイールの軸線の方向において、輪郭を有している。この輪郭は、最後に形成された糸の巻きを、その前に形成された巻きから分離することを可能にしつつ、巻取りが進むと同時に、各巻きが、ブレードからホイール/ドラムまで通過する。しかしながら、相互に接触することによって蓄積され(米国特許第3971522号明細書の図6に示される)、既述の欠点が生じる。
また、米国特許第2431712号明細書も、上述の欠点の幾つかの解消を可能にする。これは、対応するスリットに収容されるブレードを、回転可能なホイール/ドラムに設けることにより実現される。しかし、個々のブレードの突出は、時間の経過に対して周期的に変化するように揺動する。このケースでも、糸の巻きがブレードからホイール/ドラムに渡り、蓄積して相互に接触するようになる。
本発明は、前記の欠点をもたらない給糸分離型装置を提供することを目的とする。この目的は、添付の請求項に係る給糸分離型装置により実現される。
本発明は、その例示的な実施形態に一つについての以下の説明からより明らかとなる。以下の説明では、添付の図面を参照する。
本発明に係る装置の側面図である。 図1の矢印2方向における正面図である。 図2の線3−3に沿った断面図である。 図1と同じ側面図であるが、糸は、各巻きが分離された状態で巻付けられている。
これらの図に示すように、編物用糸を供給/分配するための装置10は、ホイール/ドラム12を備える。ホイール/ドラム12は、従来からの方法で、ホイール/ドラム12の軸線16と軸線が一致する電動シャフト14に取り付けられている。これにより、関連するモーターが作動した場合、ホイール/ドラム12は、シャフト14と一緒に回転する。
糸15(図4)が複数巻きに巻付けられるホイール/ドラム12の外側面は、全体が、シャフト14が位置する側に張出し端部18を備えた円筒形状をしており、ホイール/ドラム12の外側面は、等角度間隔の一連のスリット20(図示の実施形態では、9個)を有する。各スリット20は、それぞれブレード22を収容する。ブレード22の組立体は、ホイール/ドラム12が回転されると、引きずられてホイール/ドラム12と一緒に回転する。添付図面から、各スリット20からの各々のブレード22の半径方向における突出は、ブレード22の上部の突出が最大になり、ブレード22の下部の突出がゼロになり、また、ブレード22の上部の突出が最大に戻るように、ホイール/ドラム12の周に沿って徐々に変化することが分かる。各ブレード22の突出は、時間の経過とともに変化するのではないので、ホイール/ドラム12の回転による影響を受けないことに留意する必要がある。これは、ブレード22が、ホイール/ドラム12の軸線16に対して角度αで傾けられた軸線26を有する環状部材24に固定されているからである。環状部材24は、必要とされる傾斜αを持ったまま、シャフト14を中心として自由に回転可能であるように、シャフト14に支持された軸受け28に、軸線を同じくして、固定される。軸受け28とシャフト14との間の相対的な回転は、ブレード22とこれと組み合うスリット20との間に存在するクリアランスに制限される(すなわち、極めて制限される)ため、適切な青銅の軸受け筒、又は摩擦係数の低い材料(例えば、テフロン)の適切なリングを用いることができることに留意すべきであるが、必要であれば、適切な形状に形成された転がり軸受けを使用することも可能である。
図1及び図3から、ブレード22が、軸線16に対してやや傾けられた外側輪郭を有することにより、ホイール/ドラム12上での糸の巻き取りの進行を容易にすることが分かる。
軸線16に対してブレード22の組立体の軸線26を傾ける代わりに、ブレード22組立体の軸線26を、ホイール/ドラム12の軸線16と交差させないだけで(したがって、この場合、2本の軸線間に、“e”で示される最小距離又は偏心がある)、あるいは、前記の2本の軸線を傾けるとともに、これらの軸線の間に前記の偏心をもたらすことで、同じ結果が得られることに注目する必要がある。この偏心eは、実際に存在する場合でも、図をよく見ても現実には判別することができないが、図3には、分り易くするために示されている。
力学の専門家には自明であるが、傾斜α、及び/又は、偏心eを調整できる手段(例えば、ネジ調整手段、又は機械的アクチュエータ)を設けてもよく(簡略化のために図には示されてない)、こうすると、糸の各巻き間の分離程度を調整することができるという利点がある。
また駆動シャフトを、ブレード22の組立体の軸線と軸線を同じくさせることができ、ホイール/ドラム12が、軸線26に偏心して、及び/又は、傾けられた軸線16を中心として回転自在に駆動されるようにできることに留意すべきである。
糸15とホイール/ドラム12の外側面との間の摩擦をできるだけ小さくして、分離中に糸を容易に進行させるためには、この外側面に、糸が載るに過ぎない、(明らかにブレード22にも載ることに加えて)突出リブ23(スポーク)を、軸線16と平行に設けることができる。
行った実験によれば、ブレードの数と、糸に接触しているホイール/ドラムの表面積と糸に接触しているブレードの表面積の比率は、各巻き間に保証される、分離距離dの最小値の関数であることが明らかとなった。
この実験によると、2つのパラメータ値である、偏心eと傾斜αが、糸の各巻きの正確な分離のために基本的に重要であることが分った。特に、偏心eは、ホイール/ドラム12の直径の関数であり、傾斜αにより、各巻きが相互に分離されなければならない距離(d)が定まる。例えば、直径30mm〜60mmのホイール/ドラムについては、良好な分離を確保するためには、偏心eを0mm〜10mmにし、傾斜αを0〜30°にしなければならず、これらのパラメータは、同時にゼロであってはならない。
ホイール/ドラム12からブレード22の組立体まで(又は、その逆)の回転運動の伝達は、ブレードとスリット20の対応する側が直接接触することだけでなく(添付図面の実施形態に示すように、シリコーンゴム、又はネオプレンスポンジ部材のような振動減衰特性を持つ材料部材を介在させることで可能となる)、電磁結合でも得られることに留意すべきである。
以下の事項に注目することは重要である。本発明に係る給糸分離型装置は、装置10について、これらの全ての糸の巻きにおいて、有効な分離dが得られ、維持されることを可能とする(上述の分離は調整可能でさえある)。さらに、ブレード22が、装置10に全ての巻きを収容するのに十分な長さを有している限り、糸15の糸戻し張力を最小限にして、数多くの巻きが装置10に得られることも可能としている(いずれの場合でも、既知の装置により得られる巻取り数より多い)。これにより、糸15の滑りを防止することができる。
さらに、以下の事項に注目することは重要である。巻取り数は、ホイール/ドラム12の回転力に影響を与えない。これは、まさに、ホイール/ドラム12は、固定されておらず、ブレード22とともに回転し、糸15はどんなねじりも受けない(糸が入る場合、又は出る場合)からである。糸の巻きの分離動作は、ホイール/ドラム回転、ひいては、給糸と同期化される。最後に、ホイール/ドラムの回転のおかげで、摩擦の影響を受けないので、本発明の装置はいかなる種類の糸(特に、弾性糸)を使用しても問題なく操作することに注目することは重要である。
【0001】
【0001】
本発明は、メインクレームの前提要件事項部に記載した編物用糸供給装置、特に、糸の供給及び糸の各巻きの分離を可能とする装置に関する。
また、米国特許第2431712号明細書は、メインクレームの前提要件事項部に記載した内容を開示しているが、これも、上述の欠点の幾つかの解消を可能にする。これは、対応するスリットに収容されるブレードを、回転可能なホイール/ドラムに設けることにより実現される。しかし、個々のブレードの突出は、時間の経過に対して周期的に変化するように揺動する。このケースでも、糸の巻きがブレードからホイール/ドラムに渡り、蓄積して相互に接触するようになる。
フランス特許第1001138号明細書及び米国特許第2303052号明細書は、メインクレームの前提要件事項部に記載されている構成を有する装置に関する。

Claims (10)

  1. 編物用糸(15)を供給及び各巻きを分離(d)するための装置(10)であって、
    軸線(16)を中心として回転可能に、直接的、又は間接的にモーターと接続されるホイール/ドラム(12)を備え、
    前記ホイール/ドラム(12)は、その外側面に、前記ホイール/ドラム(12)に巻付けられる前記の糸の各巻き(15)が進行できるように、輪郭が突き出た対応するブレード(22)を収容する一連のスリット(20)
    を備え、
    前記ブレード(22)は、前記ホイール/ドラム(12)とともに回転するが、前記ホイール/ドラム(12)の軸線(16)に対して傾斜(α)及び/又は偏心(e)した軸線(26)を中心として回転する組立体を構成し、これにより、各スリット(20)から突出する前記ブレード(22)の輪郭が、前記ホイール/ドラム(12)の周囲に沿って最小から最大まで徐々に変化してから、徐々に最小まで戻るが、変化は時間の経過に対して一定に保たれる装置(10)において、
    前記のブレード(22)が、装置が処理する前記全ての糸の巻き(15)を受け取ることができる長さを有することを特徴とする装置(10)。
  2. 前記ホイール/ドラム(12)は、駆動シャフト(14)に軸線を同じくして取り付けられており、前記ブレード(22)の組立体は、前記ホイール/ドラム(12)により引きずられる請求項1に記載の装置(10)。
  3. 前記ブレード(22)の組立体は、駆動シャフトに軸線を同じくして取り付けられており、前記ホイール/ドラム(12)は、前記ブレード(22)の組立体により引きずられて回転される請求項1に記載の装置(10)。
  4. 前記ブレード(22)の組立体は、環状部材(24)に軸線を同じくして固定されており、前記環状部材(24)の軸線(26)は、前記ホイール/ドラム(12)の軸線(16)と交差して前記ホイール/ドラム(12)が固定されている前記駆動シャフト(14)の軸線(16)に対して角度(α)をなしており、前記環状部材(24)は、前記駆動シャフト(14)により回転自在に支持される軸受け(28)に軸線を同じくして固定され、これにより、傾斜(α)を持ったまま、前記駆動シャフト(14)を中心として回転可能ではある請求項2に記載の装置(10)。
  5. 前記軸受け(28)は、摩擦係数が低い材料からなる請求項4に記載の装置(10)。
  6. 前記引きずりは、前記ブレード(22)と前記スリット(20)の対応する端部との間の干渉により行われて、振動減衰特性を有する材料部材が、各ブレード(22)と対応するスリット(20)の端部との間に介在されている請求項2に記載の装置(10)。
  7. 前記ホイール/ドラム(12)による前記ブレード(22)の組立体の引きずりは、電磁結合により行われる請求項2に記載の装置(10)。
  8. 前記ホイール/ドラム(12)の外側面は、前記軸(14)に平行な突出リブ(23)を有しており、前記糸(15)は、前記ブレード(22)に載っているのに加えて、前記リブ(23)にも載っている巻きの形で巻付けられている請求項1に記載の装置(10)。
  9. 前記手段は、前記軸線(16)に対して前記ブレード(22)の組立体の軸線(26)の傾斜(α)を調整する、及び/又は、前記軸線(16)に対して前記軸線(26)の偏心(e)を調整する手段が設けられることにより、前記ホイール/ドラム(12)に巻付けられる前記糸の巻き(15)間の分離の程度(d)を調整する請求項1に記載の装置(10)。
  10. ホイール/ドラム(12)の直径が、30mm〜60mmである場合、前記偏心(e)は、0mm〜10mmであり、また傾斜(a)は、0°〜30°であり、これらが同時にはゼロにならない請求項1に記載の装置(10)。
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