JP2013538042A5 - - Google Patents

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JP2013538042A5
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Description

エンドプラスミンに対する抗体およびその使用
優先権の主張
本願は、その全体が本明細書中に参考として援用される、2010年6月16日に出願された米国仮出願第61/355,516号の利益を主張する。
政府支援の陳述
本発明は、National Institutes of Healthからの助成金番号CA105500および助成金番号CA138188に従って米国政府の支援によって行われた。米国政府は、本発明のある特定の権利を有する。
分野
これは、抗体の分野、具体的には、エンドプラスミンに特異的に結合する完全ヒト抗体に関する。
背景
メラノーマは、メラノサイトまたはメラノサイト関連母斑細胞に由来する高悪性度でしばしば転移性の腫瘍である(非特許文献1)。メラノーマは、全皮膚がんのおよそ3パーセントを占め、メラノーマの世界的な増加は、女性の肺がんを除く他のいずれの新生物によっても越えられない(“Cellular and Molecular Immunology”(1991)(eds.)Abbas,A.K.,Lechtiman,A.H.,Pober,J.S.;W.B.Saunders Company Philadelphia:340−342頁;非特許文献2)。メラノーマが、明らかに皮膚に局在化しているときであっても、患者の最大30%が、全身転移を起こし、大部分が死亡する(非特許文献2)。メラノーマを処置する従来の様式としては、外科術、放射線照射および化学療法が挙げられる。過去10年間で、メラノーマを処置するための有望な新規方法として免疫療法および他の分子方法が登場してきた。
がんに対する免疫応答がヒトに存在するという有力な証拠は、メラノーマ沈着物内にリンパ球が存在することによって提供される。これらのリンパ球は、単離されると、自己のメラノーマ上および同種のメラノーマ上の特異的な腫瘍抗原を主要組織適合遺伝子複合体(MHC)拘束性様式で認識することができる(非特許文献3;非特許文献4);非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。転移性メラノーマを有する患者由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、インビトロにおいて、メラノサイト−メラノーマ系列特異的組織抗原を含む共有抗原を認識する(非特許文献11;非特許文献12)。多くのメラノーマ患者が、これらの腫瘍に対して細胞性応答および体液性応答を開始するという事実、ならびにメラノーマが、MHC抗原と腫瘍関連抗原(TAA)の両方を発現するという事実は、さらなるメラノーマ抗原の同定および特徴づけが、メラノーマを有する患者の免疫療法にとって重要であり得ることを示唆している。しかしながら、なおもメラノーマおよび他のがんを処置するための新しい様式が必要とされている。
"Cellular and Molecular Immunology"(1991)(eds.)Abbas A.K.,Lechtman,A.H.,Pober,J.S.;W.B.Saunders Company,Philadelphia:340−341頁 Kirkwood and Agarwala(1993)Principles and Practice of Oncology 7:1−16 Itohら(1986),Cancer Res.46:3011−3017 Muulら(1987),J.Immunol.138:989−995 Topalianら(1989)J.Immunol.142:3714−3725 Darrowら(1989)J.Immunol.142:3329−3335 Homら(1991)J.Immunother.10:153−164 Kawakamiら(1992)J.Immunol.148:638−643 Homら(1993)J.Immunother.13:18−30 O’Neilら(1993)J.Immunol.151:1410−1418 Kawakamiら(1993)J.Immunother.14:88−93 Anichiniら(1993)J.Exp.Med.177:989−998
要旨
エンドプラスミン(Grp94)に特異的に結合する単離されたモノクローナル抗体およびこれらの抗体の抗原結合フラグメントが、本明細書中に開示される。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、完全ヒト抗体である。これらの抗体は、ヒトエンドプラスミン(endoplamin)に対して高親和性を有し、がんを処置するためおよび/または診断するために使用され得る。1つの例において、そのモノクローナル抗体は、scFvである。
いくつかの実施形態において、開示される抗体は、エンドプラスミンを発現する腫瘍(例えば、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がん)を検出するために有用である。他の実施形態において、開示される抗体は、腫瘍(例えば、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がん)を処置するために有用である。
これらの抗体をコードする組換え核酸、これらの核酸を含む発現ベクター、およびこれらの発現ベクターで形質転換された宿主細胞もまた、本明細書中に開示される。
前述のおよび他の特徴および利点は、添付の図を参照して進むいくつかの実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるだろう。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、該抗体は、配列番号1のアミノ酸26〜33(CDR1)、配列番号1のアミノ酸51〜58(CDR2)、配列番号1のアミノ酸97〜103(CDR3)またはその2つもしくは3つの組み合わせを含み、該抗体は、ヒトエンドプラスミンに特異的に結合する、単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
(項目2)
前記抗体が、配列番号2のアミノ酸27〜32(CDR1)、配列番号2のアミノ酸50〜52(CDR2)、配列番号2のアミノ酸89〜97(CDR3)またはその2つもしくは3つの組み合わせを含む、項目1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目3)
前記抗体の重鎖可変ドメインが、配列番号1のアミノ酸26〜33(CDR1)、配列番号1のアミノ酸51〜58(CDR2)、配列番号1のアミノ酸97〜103(CDR3)を含み、該抗体の軽鎖の可変ドメインが、配列番号2のアミノ酸27〜32(CDR1)、配列番号2のアミノ酸50〜52(CDR2)および配列番号2のアミノ酸89〜97(CDR3)を含む、項目1〜2のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目4)
前記抗体の重鎖が、配列番号1を含む、項目1〜3のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目5)
前記抗体の軽鎖が、配列番号2を含む、項目1〜4のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目6)
前記抗体の重鎖が、配列番号1を含み、該抗体の軽鎖が、配列番号2を含む、項目1〜5のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目7)
前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、単鎖Fvタンパク質(scFv)またはジスルフィド安定化Fvタンパク質(dsFv)である、項目1〜6のいずれかに記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目8)
前記抗体がscFvである、項目7に記載のヒトモノクローナル抗体の単離された抗原結合フラグメント。
(項目9)
前記抗体がIgGである、項目1〜8のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目10)
前記抗体が標識されている、項目1〜9のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目11)
前記標識が、蛍光標識、酵素標識または放射性標識である、項目10に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
(項目12)
項目1〜11のいずれか1項に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容され得るキャリアを含む、組成物。
(項目13)
エフェクター分子に連結された項目1〜9のいずれかに記載のヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントを含む、単離された免疫結合体。
(項目14)
前記エフェクター分子が、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素(PE)またはそのバリアントもしくはフラグメントである、項目13に記載の単離された免疫結合体。
(項目15)
項目14に記載の単離された免疫結合体および薬学的に許容され得るキャリアを含む、組成物。
(項目16)
エンドプラスミンを発現するがんを有すると診断された被験体を処置する方法であって、
治療有効量の項目12または項目15に記載の組成物を該被験体に投与し、
それによって、該被験体内のエンドプラスミンを発現するがんを処置する工程を包含する、方法。
(項目17)
前記がんが、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、卵巣がん、膀胱がんまたは膵臓腺癌である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記被験体を処置する工程が、転移の数またはサイズを減少させる工程を包含する、項目17に記載の方法。
(項目19)
被験体においてがんを検出するかまたはがんの診断を確認する方法であって:
項目1〜11のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントと該被験体由来のサンプルとを接触させる工程;および
該サンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントの結合を検出する工程
を包含し、ここで、コントロールサンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合の結合と比べた、該サンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントの結合の増加は、該被験体においてがんを検出するか、または該被験体におけるがんの診断を確認する、方法。
(項目20)
前記単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントが、直接標識されている、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントに特異的に結合する二次抗体と前記サンプルとを接触させる工程、および
該二次抗体の結合を検出する工程
をさらに包含し、
コントロールサンプルへの該二次抗体の結合と比べた、該サンプルへの該二次抗体の結合の増加は、該被験体におけるがんを検出するか、または該被験体におけるがんの診断を確認する、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
前記がんが、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんである、項目19〜21のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記コントロールサンプルが、がんを有しない被験体由来のサンプルである、項目19〜22のいずれかに記載の方法。
(項目24)
前記サンプルが、血液、尿、バイオプシー、血清、痰、血漿または脳脊髄液サンプルである、項目19〜23のいずれかに記載の方法。
(項目25)
前記がんが転移性である、項目19〜24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
項目1〜11のいずれかに記載のヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントをコードする、単離された核酸分子または組換え核酸分子。
(項目27)
前記ヒトモノクローナル抗体のVドメインが、配列番号3のヌクレオチド配列またはその縮重バリアントを含む、項目26に記載の単離された核酸分子または組換え核酸分子。
(項目28)
前記ヒトモノクローナル抗体のVドメインが、配列番号4のヌクレオチド配列またはその縮重バリアントを含む、項目26または項目27に記載の単離された核酸分子または組換え核酸分子。
(項目29)
異種プロモーターに作動可能に連結された、項目26〜28のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または組換え核酸分子。
(項目30)
項目26〜29のいずれか1項に記載の単離された核酸分子または組換え核酸分子を含む、発現ベクター。
(項目31)
項目25〜28のいずれか1項に記載の核酸分子または項目30に記載の発現ベクターで形質転換された、単離された宿主細胞。
(項目32)
治療有効量の化学療法因子を前記被験体に投与する工程をさらに包含する、項目16に記載の方法。
(項目33)
前記化学療法因子が、5−フルオロウラシル、シクロパミン、放射線照射またはそれらの組み合わせである、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記エフェクター分子が、サイトカイン、ケモカイン、化学療法因子または放射性ヌクレオチドである、項目13に記載の免疫結合体。
(項目35)
前記エフェクター分子が、サイトカインまたはケモカインである、項目34に記載の免疫結合体。
図1aは、ヒトメラノーマ細胞株WM1158を用いたファージディスプレイscFvライブラリーのパニングを示す。このファージディスプレイscFvライブラリーは、異なる特異性を有するscFvフラグメントをディスプレイする大量のファージを含んでいる。そのライブラリーを、WM1158メラノーマ細胞懸濁液の入ったチューブに加えた。このチューブを洗浄して、結合していないファージを除去した後、結合したファージを、高pHで溶出し、細菌宿主の大腸菌TG1において増幅した。3回パニングした後、単離されたクローンを、培養されたヒトLG2 Bリンパ系細胞に吸収させることにより、ヒトのメラノーマ細胞とリンパ系細胞とが共有するAgに結合したファージを除去した。次いで、単離されたファージを、ELISAにおいてWM1158細胞との反応性についてスクリーニングした。 図1bは、WM1158細胞を用いてファージディスプレイ抗体ライブラリーをパニングすることによって単離されたscFv W9と、メラノーマ細胞株WM1158およびBリンパ系細胞株LG2との異なる反応性を示す。WM1158細胞を、96ウェルプレートにプレーティングし、室温で2時間、scFv W9とインキュベートした。scFvの結合を、c−myc特異的mAb 9E10およびHPR−ストレプトアビジンを用いて検出した。関連性のない抗原を認識するscFv119およびLG2細胞をネガティブコントロールとして使用した。scFv W9は、WM1158細胞株と特異的に反応する。 図2は、scFv W9と多くのタイプのヒト細胞株との反応性を示す。6つのメラノーマ細胞株、4つの乳がん細胞株、1つの頭頸部扁平上皮細胞がん細胞株、3つの膵がん細胞株、1つの膀胱がん細胞株、1つの肺がん細胞株、1つの上皮がん細胞株、1つの結腸がん細胞株、1つの腎がん細胞株、1つの前立腺がん細胞株および1つの卵巣がん細胞株を、96ウェルプレートにプレーティングし、室温で2時間、scFv W9とインキュベートした。scFvの結合を、c−myc特異的mAb 9E10およびHPR−ストレプトアビジンを用いて検出した。scFv W9は、メラノーマ細胞株のすべて、2つの乳がん細胞株、ならびに頭頸部扁平上皮細胞がん細胞株、膵がん細胞株、膀胱がん細胞株、肺がん細胞株、上皮がん細胞株、腎がん細胞株、卵巣がん細胞株および神経膠腫がん細胞株と反応した。 図3aおよび3bは、scFv W9によって認識される抗原としてのエンドプラスミンの同定を示す。WM1158メラノーマ細胞溶解産物を、scFv W9を用いて免疫沈降した。HLAクラスI特異的mAb TP25.99およびHMW−MAA特異的scFv C21をコントロールとして使用した。沈殿物中のタンパク質を還元10%SDS−PAGEにおいて分離し、クマシーブルーで染色した。94KDaが、W9沈殿物に独特だった(A)。T24(膀胱がん)、SUM149(乳がん)およびSLR21(腎がん)細胞株の溶解産物から、同じ結果が得られた。特異的バンドを、SDSゲルから切り出し、質量分析によって解析した。94KDaのバンドにおいて同定されたヒトタンパク質は、エンドプラスミンである。 図3aおよび3bは、scFv W9によって認識される抗原としてのエンドプラスミンの同定を示す。WM1158メラノーマ細胞溶解産物を、scFv W9を用いて免疫沈降した。HLAクラスI特異的mAb TP25.99およびHMW−MAA特異的scFv C21をコントロールとして使用した。沈殿物中のタンパク質を還元10%SDS−PAGEにおいて分離し、クマシーブルーで染色した。94KDaが、W9沈殿物に独特だった(A)。T24(膀胱がん)、SUM149(乳がん)およびSLR21(腎がん)細胞株の溶解産物から、同じ結果が得られた。特異的バンドを、SDSゲルから切り出し、質量分析によって解析した。94KDaのバンドにおいて同定されたヒトタンパク質は、エンドプラスミンである。 図4は、scFv W9によって認識される決定基の発現における炭水化物の役割を示す。COLO38細胞を、0.5μg/mlのツニカマイシンの存在下において72時間培養した。DMSOだけを含む培地中でインキュベートされた細胞およびmAb TP25.99をコントロールとして使用した。scFv W9の結合についてELISAによって細胞を試験した。細胞を、4℃で2時間、scFv W9とインキュベートした。mAb 9E10およびHPR−ヤギ抗マウスIgG抗体を用いて、scFvの結合を検出した。450nmにおいて吸光度を読んだ。ツニカマイシン処理は、COLO38細胞へのscFv W9の結合の大幅な減少を誘導した。したがって、炭水化物は、scFv W9によって認識される決定基の発現において役割を果たす。 図5aおよび5bは、組換えイヌエンドプラスミン(Grp94)に対するscFv W9の反応性の特異性を示す。アミノ酸配列においてヒトエンドプラスミン(enodplasmin)(Grp94)と98.5%の相同性を示す組換えイヌエンドプラスミン(Grp94)を、96ウェルプレートに20μg/ウェルで固定化し、室温で2時間、scFv W9とインキュベートした。scFvの結合を、mAb 9E10およびHPR−ヤギ抗マウスIgG抗体を用いて検出した。450nmにおいて吸光度を読んだ。scFv119およびBSAをネガティブコントロールとして使用した。scFv W9は、細胞膜上に発現されるエンドプラスミンの決定基を認識する。 図6は、組換えイヌエンドプラスミン(Grp94)による、COLO38細胞に対するscFv W9の結合の用量依存的阻害を示す。組換えイヌエンドプラスミン(Grp94)の2倍希釈物を、scFv W9とプレインキュベートした。その混合物を、COLO38細胞が播種された96ウェルプレートに加えた。scFvの結合を、mAb 9E10およびHPR−ヤギ抗マウスIgG抗体を用いて検出した。450nmにおいて吸光度を読んだ。Bmをコントロールとして使用した。組換えイヌGrp94は、COLO38細胞に対するscFv W9の結合を特異的に阻害する。 図7aおよび7bは、scFv W9の結合に対する、エンドプラスミン(Grp94)cDNAによる293細胞のトランスフェクションの影響を示す。293細胞を、エレクトロポレーションによって3μgのGrp94 HSP90B1 cDNAクローンでトランスフェクトした。細胞を、scFv W9およびmAb 9E10とインキュベートした後、FITC−ヤギ抗マウスIgG抗体とインキュベートした。細胞をフローサイトメトリーによって解析した。pCMV6−XL4ベクターをコントロールとして使用した。トランスフェクトされていない(Untrasfected)細胞をコントロールとして使用した。エレクトロポレーションは、scFv W9の結合を増加させる。scFvによって認識される抗原の発現は、熱ショックによって制御される。 図8aおよび8bは、scFv W9の結合に対する、エンドプラスミン(Grp94)shRNAによるFO−1細胞の形質導入の影響を示す。FO−1細胞に、エンドプラスミン(Grp94)shRNAおよびコントロールshRNA(ABCB5)を形質導入した。細胞を、scFv W9およびmAb 9E10とインキュベートした後、FITC−ヤギ抗マウスIgG抗体とインキュベートした。次いで、細胞をフローサイトメトリーによって解析した。エンドプラスミン(Grp94)shRNAは、コントロールshRNAと比べて、scFv W9の結合を阻害した。 図9は、mAb W9によって認識されるエピトープの発現における炭水化物の役割を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2(5×10)を、5%CO2恒温器において50μlのRPMI1640培地中、2μlのα−2(3,6,8.9)−ノイラミニダーゼありまたはなしで37℃において24時間インキュベートした。次いで、処理された細胞をmAb W9で染色し、フローサイトメトリーによって解析した。mAb TP25.99で処理された細胞をコントロールとして使用した。 図10は、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2がん開始細胞上における、mAb W9によって認識される細胞外のエンドプラスミン(Grp94)エピトープの発現を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞を、ALDH活性を検出するためにALDEFLUORとインキュベートし(試験)、mAb W9で染色した。ALDEFLUOR+DAEBインヒビターとインキュベートされ、mAb W9で染色した細胞を、参照として使用した(コントロール)。ヒトIg(HIg)をコントロールとして使用した。ALDHbright細胞と同定されたがん開始細胞のパーセンテージが示されている。 図11は、外科的に取り出されたヒト膵臓腺癌病変のmAb W9による免疫組織化学的染色を示す。外科的に取り出されたヒト膵臓腺癌病変および同じ患者由来の正常膵臓組織の凍結切片を、mAb W9(1μg/ml)で染色した(×200)。 図12は、mAb W9を使用することによる、ヒト基底乳がん(basal breast cancer)MDA−MB−231上およびヒトメラノーマ異種移植片MV3上でのエンドプラスミン(Grp94)発現のIHC染色解析を示す。ホルマリン固定され、パラフィン包埋された、ヒト基底乳がんMDA−MB−231細胞、ヒト乳管がん(luminal breast cancer)MCF−7細胞およびヒトメラノーマ異種移植片MV3をmAb W9(5μg/ml)で染色した(×200)。mAb W9による免疫組織化学的(Immunoistochemical)染色は、MDA−MB−231細胞およびMV3異種移植片が、mAb W9(5μg/ml)で強く染色されることを示した。MCF−7細胞では染色は検出されなかった。 図13は、mAb W9は、エンドプラスミン(Grp94)を発現している腫瘍細胞の成長を有意に阻害したことを示す。ヒトがん細胞(1×10/ウェル)を、96ウェルプレート(RPMI1640培地+1%FCS)に播種し、mAb W9(5μg/ml)で72時間、処理した。ヒトIg(HIg)をコントロールとして使用した。次いで、細胞をMTTアッセイによって試験した。結果が、成長阻害の%として表されている。p値<0.05;**p値<0.01。 図14は、mAb W9抗体による、がん細胞のアポトーシスの誘導を示す。ヒトMV3(メラノーマ)およびMIAPaCa−2(膵臓腺癌)細胞(4×10/ml)を、それぞれ24時間および3時間飢餓にし、次いで、1.5%FCSを含むRPMI1640培地中でmAb W9(50μg/ml)とインキュベートした。6時間後、アネキシンV/PIで染色することによって、アポトーシス細胞のパーセンテージについて細胞を調べた。細胞をフローサイトメトリーによって解析した。ヒトIg(HIg)をネガティブコントロールとして使用した。 図15は、ヒトメラノーマM21細胞における、mAb W9抗体による、切断型PARPの誘導を示す。ヒトメラノーマM21細胞(4×10/ml)を、1.5%FCSを含むRPMI1640培地中で72時間、mAb W9(5μg/ml)とインキュベートした。細胞溶解産物を、ウエスタンブロット解析において、切断型PARPについて試験した。β−アクチンを充填コントロールとして使用した。mAb W9は、切断型PARPの発現を大幅に増加させた。 図16は、ヒトメラノーマMV3細胞における、mAb W9抗体による、切断型カスパーゼ−3の誘導を示す。ヒトメラノーマMV3細胞(4×10/ml)を、24時間飢餓にし、次いで、1.5%FCSを含むRPMI1640培地中でmAb W9(50μg/ml)とインキュベートした。細胞溶解産物を、ウエスタンブロットにおいて、切断型カスパーゼ−3について試験した。β−アクチンを充填コントロールとして使用した。生じたバンドの密度を、IMAGJ(登録商標)ソフトウェアを用いて測定し、β−アクチンのバンドの密度に対して正規化し、それぞれのバンドの下に示す。mAb W9は、切断型カスパーゼ−3の発現を大幅に増加させた。HIgで処理された細胞では、影響は検出されなかった。 図17は、mAb W9によって媒介されるヒトメラノーマMV3細胞の細胞依存性溶解を示す。ヒトメラノーマMV3細胞を、50μCiの51Crで標識し、0.4×10細胞/mlの密度で再懸濁し、96ウェル組織培養U底アッセイプレートにおいてmAb W9(50、10、2μg/ml)と混和した。ヒトIg(HIg)をコントロールとして使用した。4℃で30分間インキュベートした後、PBMC(40:1 E:T)を加え、CO恒温器内において37℃で4時間インキュベートした。Packard TOPCOUNTTMMicroplate Scintillation Counterにおいて、細胞(ell)を含まない上清をカウントすることによって、51Crの放出を測定した。 図18は、mAb W9によって媒介されるヒトメラノーマMV3細胞の補体依存性溶解を示す。ヒトメラノーマMV3細胞を、50μCiの51Crで標識し、1×10細胞/mlの密度で再懸濁した。標的細胞を、ヒト血清補体の存在下においてmAb W9(50、10、2μg/ml)とインキュベートした。ヒトIg(Hig)をコントロールとして使用した。CO恒温器内において37℃で2時間インキュベートした後、Packard TOPCOUNTTMMicroplate Scintillation Counterにおいて、細胞を含まない上清をカウントすることによって、51Crの放出を測定した。 図19は、mAb W9による、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2がん開始細胞のインビトロ増殖の阻害を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞を37℃で48時間、mAb W9(25μg/ml)とインキュベートした。次いで、細胞を回収し、ALDEFLUOR(登録商標)で染色した(試験)。ALDEFLUOR(登録商標)+DAEBで染色された細胞を参照として使用した(コントロール)。ヒトIg(HIg)をコントロールとして使用した。ALDHbright細胞と同定されたがん開始細胞のパーセンテージが示されている。 図20は、膵臓MIAPaCa−2細胞およびPANC1細胞における、シグナル伝達経路RAS−MEK−ERKおよびFAKのmAb W9による阻害を示す。ヒト膵臓MIAPaCa−2細胞およびPANC1細胞を、5%FCSを含むRPMI1640培地の入った6ウェルプレートにおいて1ウェルあたり1.0×10の濃度で播種し、37℃で48時間、W9上清、コントロール上清とインキュベートするか、または処理しなかった。細胞溶解産物を、抗RAS、C−Raf、リン酸化(p)−ERK1/2、ERK1/2、(p)−FAK(Tyr397)、FAK、β−カテニン、p−AKT(Ser473)およびAKT mAbを用いるウエスタンブロットにおいて試験した。カルネキシンおよびβ−アクチンを充填コントロールとして使用した。 図21は、ヒトメラノーマM21細胞におけるmAb W9によるシグナル伝達経路の阻害を示す。ヒトメラノーマM21細胞を、5%FCSを含むRPMI1640培地の入った6ウェルプレートにおいて1ウェルあたり1.0×10の濃度で播種し、mAb W9(5μg/ml)と72時間インキュベートした。抗リン酸化(p)−AKT、Bcl−2、C−Raf、(p)−ERK1/2、PKCα、β−カテニンmAbを用いるウエスタンブロットにおいて、細胞溶解産物を試験した。ヒトIg(HIg)およびPBSをネガティブコントロールとして使用した。カルネキシンを充填コントロールとして使用した。 図22は、ヒトメラノーマMV3細胞におけるmAb W9によるシグナル伝達経路の阻害を示す。ヒトメラノーマMV3細胞を、RPMI1640において37℃で6時間、mAb W9とインキュベートした。次いで、細胞溶解産物を調製し、抗RAS、Met、p−Met、β−カテニン、Ras、C−RAF、p−AKTおよびp−ERK1/2.Thr202/Tyr204を用いるウエスタンブロットにおいて試験した。β−アクチンを充填コントロールとして使用した。HIgとインキュベートされた細胞をコントロールとして使用した。 図23は、mAb W9で処置されたマウスにおける、確立された肺転移の減少を示す。MV3メラノーマ細胞(1.4×10/マウス)をi.v.注射した。15日後、マウスを48時間ごとにmAb W9で処置した(100μg/マウス、i.v.)。25日目に、マウスを屠殺し、肺を回収し、ホルマリン固定し、腫瘍面積の解析のためにH&E染色した。示されている値は、各群の平均腫瘍面積である。**は、p値<0.01を示している。 図24は、UACC−257メラノーマ細胞によるエンドプラスミン(Grp94)発現の化学療法因子による増強を示す。ヒトメラノーマUACC−257細胞(2×10/ml)を、10%FCSを含むRPMI1640培地中で、5−FU(300μM)、シスプラチン(10μM)およびパクリタキセル(20nM)と48時間インキュベートした。細胞を回収し、mAb W9で染色し、フローサイトメトリーによって解析した。処理されていない細胞をコントロールとして使用した。染色された細胞のパーセンテージおよび平均蛍光強度(MFI)が示されている。 図25aおよび25bは、5−FUおよびシクロパミンと併用されたmAb W9による、ヒト膵臓腺癌(adocarcinoma)MIAPaCa−2細胞の増殖の阻害を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞を、96ウェルプレート(RPMI1640培地+5%FCS)において播種し(1ウェルあたり2.5×10細胞)、5%CO2雰囲気中、37℃において1、2、3日間、5−FU(10μM)(A.)またはシクロパミン(20μM)(B.)と併用してmAb W9(5μg/ml)で処理した。次いで、細胞をMTTアッセイによって試験した。540nmにおけるO.D.値は生細胞を示す 図26は、5−FUおよびシクロパミンと併用されたmAb W9による、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2がん開始細胞のインビトロ増殖の阻害を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞を、37℃で48時間、mAb W9(25μg/ml)、シクロパミン(20μM)および5−FU(10μM)とインキュベートした。次いで、細胞を、DEABインヒビターありまたはなしで、ALDEFLUORで染色することにより、ALDHbright細胞を同定した。抗HLAクラスI mAb TP25.99をコントロールとして使用した。ALDHbright細胞と同定されたがん開始細胞のパーセンテージが示されている。 図27は、5−FUおよびシクロパミンと併用されたmAb W9による、膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞におけるアポトーシスの誘導を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞(4×10/ml)を、3時間飢餓にし、次いで、1.5%FCSを含むRPMI1640培地中においてmAb W9(10μg/ml)、シクロパミン(20μM)および5−FU(10μM)とインキュベートした。24時間後、アネキシンV/PIで染色することによって、アポトーシス細胞のパーセンテージについて細胞を調べた。細胞をフローサイトメトリーによって解析した。HIgをネガティブコントロールとして使用した。 図28aおよび28bは、放射線照射およびシクロパミンと併用されたmAb W9による、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2がん開始細胞のインビトロ増殖の阻害を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞(4×10/ml)に、20Gyの線量を照射し(パネルA.)、それを37℃で72時間、mAb W9(10μg/ml)およびシクロパミン(20μM)とインキュベートした。次いで、細胞を、DEABインヒビターありまたはなしで、ALDEFLUORで染色することにより、ALDHbright細胞を同定した。照射されていない細胞をコントロールとして使用した(パネルB.)。ALDHbright細胞と同定されたがん開始細胞のパーセンテージが示されている。 図29は、放射線照射およびシクロパミンと併用されたmAb W9による、膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞におけるアポトーシスの誘導を示す。ヒト膵臓腺癌MiaPaCa−2細胞(4×10/ml)に、20Gyの線量を照射し、それをmAb W9(20μg/ml)およびシクロパミン(20μM)とインキュベートした。8時間後、アネキシンV/PIで染色することによって、アポトーシス細胞のパーセンテージについて細胞を試験した。細胞をフローサイトメトリーによって解析した。照射されていない細胞およびヒトIg(HIg)をコントロールとして使用した。 図30は、5−FUおよびシクロパミンと併用されたmAb W9による、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞におけるシグナル伝達経路の阻害を示す。ヒト膵臓腺癌MIA PaCa−2細胞を、37℃で2日間、mAb W9、シクロパミン(20μM)および5−FU(10μM)とインキュベートした(パネルD)。次いで、細胞溶解産物を調製し、抗RAS、C−Raf、リン酸化(p)−MEK(Ser217/221)、MEK、pERK(Thr202/Tyr204)、ERK、p−AKT(Ser473)、AKT mAbを用いるウエスタンブロットにおいて試験した。カルネキシンを充填コントロールとして使用した。mAb W9単独(パネルA)、mAb W9およびシクロパミン(パネルB)ならびにmAb W9および5FU(パネルC)とインキュベートされた細胞をコントロールとして使用した。 図31は、放射線照射およびシクロパミンと併用されたmAb W9による、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞におけるシグナル伝達経路の阻害を示す。ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞に、20Gyの線量を照射し、それを37℃で48時間、mAb W9(10μg/ml)およびシクロパミン(20μM)とインキュベートした。次いで、細胞溶解産物を調製し、抗RAS、リン酸化(p)−ERK(Thr202/Tyr204)、ERK、p−AKT(Ser473)、AKT、SHh、GLI1 mAbを用いるウエスタンブロットによって試験した。カルネキシンを充填コントロールとして使用した。カルネキシンおよびβ−アクチンを充填コントロールとして使用した。
配列表
添付の配列表に列挙される核酸配列およびアミノ酸配列は、37C.F.R.1.822に規定されているように、ヌクレオチド塩基に対する標準的な文字の省略形、およびアミノ酸に対する3文字コードを用いて示される。各核酸配列の片方の鎖だけが示されるが、相補鎖は、表示される鎖に対する任意の参照によって含められると理解される。配列表は、ASCIIテキストファイル[Sequence_Listing.txt、2011年6月15日、19.4KB]として提出されており、それは、本明細書中に参考として援用される。
配列番号1は、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体の重鎖のアミノ酸配列である。
配列番号2は、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体の軽鎖のアミノ酸配列である。
配列番号3は、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体の重鎖をコードする核酸配列である。
配列番号4は、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体の軽鎖の核酸配列である。
配列番号5は、ヒトエンドプラスミンのアミノ酸配列である。
配列番号6は、ヒトエンドプラスミンをコードする核酸配列である。
配列番号7および8は、エンドプラスミンポリペプチドのアミノ酸配列である。
(詳細な説明)
I.省略形
5−FU:フルオロウラシル
ADCC:抗体依存性細胞媒介性細胞傷害
Ag:抗原
ALDHbright:アルデヒドデヒドロゲナーゼ(bright)
アネキシンV:アネキシンA5
β−カテニン:カドヘリン結合タンパク質
B−Raf:セリン/トレオニン−タンパク質キナーゼB−Raf
CDC:補体依存性細胞傷害
CDR:相補性決定領域
C−Raf:RAF癌原遺伝子セリン/トレオニン−タンパク質キナーゼ
DEAB:4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド
DMEM:ダルベッコ改変イーグル培地
ER:小胞体
ERK1/2:細胞外シグナル制御キナーゼ1/2
FAK:接着斑キナーゼ
FBS:ウシ胎児血清
FR:フレームワーク領域
GLI1:神経膠腫関連癌遺伝子ホモログ1
Grp:グルコース調節タンパク質
Gy:グレイ
HRP:西洋ワサビペルオキシダーゼ
Ig:免疫グロブリン
mAb:モノクローナル抗体
MEK:マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ
Met:c−Met
O.D.:光学濃度
PBS:リン酸緩衝食塩水
p−ERK1/2:リン酸化細胞外シグナル制御キナーゼ1/2
p−FAK:リン酸化(phosphoryalted)接着斑キナーゼ
PI:ヨウ化プロピジウム
RAS:RAt肉腫
scFv:VとVの両方の単鎖可変領域
SHH:ソニックヘッジホッグホモログ
:可変重鎖領域
:可変軽鎖領域。
II.用語
別段述べられない限り、専門用語は、慣例的用法に従って使用される。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes V,Oxford University Pressによる出版,1994(ISBN0−19−854287−9);Kendrewら(eds.),The Encyclopedia
of Molecular Biology,Blackwell Science Ltd.による出版,1994(ISBN0−632−02182−9);およびRobert A.Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,Inc.による出版,1995(ISBN1−56081−569−8)に見られ得る。
本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、特定の用語の説明が以下に提供される:
抗体:抗原(例えば、エンドプラスミンまたはそのフラグメント)のエピトープを特異的に認識し、それに特異的に結合する、少なくとも軽鎖免疫グロブリン可変領域または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンド。抗体は、重鎖および軽鎖から構成され、その各々が、可変重鎖(V)領域および可変軽鎖(V)領域と呼ばれる可変領域を有する。まとめると、V領域およびV領域は、抗体によって認識される抗原への結合に関与する。
抗体には、インタクトな免疫グロブリンおよびバリアントが含まれる。エンドプラスミンなどの抗原に特異的に結合する抗体の機能的フラグメント(抗原結合フラグメント)(例えば、標的抗原に特異的に結合する、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」))は、当該分野で周知である。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域および免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーによって結合された融合タンパク質であり、それらの鎖は、dsFvでは、それらの鎖の会合
を安定化するジスルフィド結合を導入するように変異されている。この用語は、遺伝的に操作された形態(例えば、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロ結合体抗体(例えば、二重特異性抗体))も包含する。Pierce Catalog and Handbook,1994−1995(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL);Kuby,J.,Immunology,3rd Ed.,W.H.Freeman&Co.,New York,1997もまた参照のこと。機能的フラグメントは、ヒトエンドプラスミンなどの標的抗原に特異的に結合するので、「抗原結合」フラグメントとも呼ばれる。
通常、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖には2つのタイプ、ラムダ(λ)およびカッパー(κ)が存在する。抗体分子の機能活性を決定する5つの主要な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEが存在する。
重鎖および軽鎖の各々が、定常領域および可変領域を含む(それらの領域は、「ドメイン」としても知られる)。重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、一体となって抗原に特異的に結合する。軽鎖可変領域および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断された「フレームワーク」領域を含む。フレームワーク領域およびCDRの範囲は、定義されている(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991(本明細書によって参考として援用される)を参照のこと)。現在、Kabatデータベースが、オンラインで維持されており、CDR配列が決定され得る(例えば、インターネット上で利用可能なIMGT/V−QUESTプログラムバージョン:3.2.18.,2011年3月29日、およびBrochet,X.ら、Nucl.Acids Res.36,W503−508,2008を参照のこと))。種々の軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、ヒトなどの種内で比較的保存されている。構成要素である軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、3次元空間にCDRを配置し、整列させるように働く。
CDRは、主に、抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは、通常、N末端から順番にナンバリングされたCDR1、CDR2およびCDR3と称され、また、代表的には、特定のCDRが位置する鎖によって特定される。したがって、VCDR3は、それが見られる抗体の重鎖の可変ドメインに位置するのに対し、VCDR1は、それが見られる抗体の軽鎖の可変ドメインのCDR1である。エンドプラスミンに結合する抗体は、一般に、特異的なV領域配列およびV領域配列、ひいては、特異的なCDR配列を有る。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対する異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRを有する。CDRは、抗体ごとに異なるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置だけが、抗原結合に直接関わる。これらのCDR内の位置は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
「V」または「VH」に対する言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabの可変領域を含む、免疫グロブリン重鎖の可変領域のことを指す。「V」または「VL」に対する言及は、Fv、scFv、dsFvまたはFabの可変領域を含む、免疫グロブリン軽鎖の可変領域のことを指す。
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンまたは単一抗体の軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞によって産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば、ミエローマ細胞と免疫脾臓細胞との融合によってハイブリッド抗体を形成する細胞を作製することによって、作製される。
モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれる。
「キメラ抗体」は、ヒトなどの1つの種由来のフレームワーク残基、およびエンドプラスミンに特異的に結合するマウス抗体などの別の種由来のCDR(一般に抗原結合性を付与する)を有する。
「ヒト」抗体(「完全ヒト」抗体とも呼ばれる)は、ヒトフレームワーク領域、およびヒト免疫グロブリン由来のすべてのCDRを含む抗体である。1つの例において、フレームワークおよびCDRは、同じ起源のヒト重鎖および/または軽鎖アミノ酸配列に由来する。しかしながら、1つのヒト抗体のフレームワークは、異なるヒト抗体のCDRを含むように操作され得る。「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域、および非ヒト(例えば、マウス、ラットまたは合成)免疫グロブリンの1つ以上のCDRを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。1つの実施形態において、そのすべてのCDRが、ヒト化免疫グロブリンにおいてドナー免疫グロブリン由来である。定常領域は、存在する必要はないが、存在する場合は、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、すなわち、少なくとも約85〜90%(例えば、約95%またはそれ以上)同一でなければならない。ゆえに、ヒト化免疫グロブリンのすべての部分(おそらくCDRを除く)が、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖免疫グロブリンを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンまたはヒト化抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから得られたアミノ酸による限られた数の置換を有し得る。ヒト化モノクローナル抗体または他のモノクローナル抗体は、抗原結合性または他の免疫グロブリンの機能に対して実質的に影響しない追加の保存的アミノ酸置換を有し得る。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子操作を用いて構築され得る(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
抗原:抗体の産生または動物におけるT細胞応答を刺激し得る化合物、組成物または物質(動物に注射されるかまたは吸収される組成物を含む)。抗原は、特異的な体液性免疫または細胞性免疫の生成物(異種の免疫原によって誘導されるものを含む)と反応する。例示的な抗原は、エンドプラスミンである。用語「抗原」は、関係する抗原性エピトープのすべてを含む。「エピトープ」または「抗原決定基」とは、B細胞および/またはT細胞が反応する抗原上の部位のことを指す。エピトープは、連続するアミノ酸、またはタンパク質の三次フォールディングによって並置される連続しないアミノ酸の両方から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは、通常、変性溶媒に曝露された際にも保持されるのに対し、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、通常、変性溶媒で処理されると失われる。エピトープは、通常、独特の空間的コンフォメーションにおいて少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個または8〜10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法としては、例えば、X線結晶構造解析および2次元核磁気共鳴が挙げられる。
抗原は、組織特異的抗原または疾患特異的抗原であり得る。組織特異的抗原は、疾患特異的抗原でもあり得るので、これらの用語は、排他的ではない。組織特異的抗原は、単一の組織などの限られた数の組織において発現される。組織特異的抗原の特定の非限定的な例は、メラノーマ特異的抗原、または神経膠腫、乳房、肺、前立腺、腎臓もしくは膀胱に特異的な抗原である。疾患特異的抗原は、疾患プロセス(例えば、メラノーマまたは別のタイプのがん)と一致して発現される。疾患特異的抗原の特定の非限定的な例は、その発現が腫瘍の形成(例えば、メラノーマおよび/もしくは神経膠腫ならびに/または別のタイプのがん)と相関するかまたはそれを予測する抗原(例えば、エンドプラスミン)であ
る。疾患特異的抗原は、T細胞またはB細胞によって認識される抗原であり得る。
増幅:核酸分子(例えば、DNAまたはRNA分子)の増幅とは、試料中の核酸分子のコピー数を増加させる手法の使用のことを指す。増幅の例は、被験体から回収された生物学的サンプル中の核酸鋳型へのプライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下でオリゴヌクレオチドプライマー対とそのサンプルとを接触させる、ポリメラーゼ連鎖反応である。それらのプライマーは、好適な条件下で伸長され、鋳型から解離され、次いで、再アニールされ、伸長され、解離されることにより、その核酸のコピー数を増幅する。増幅産物は、標準的な手法を用いる、電気泳動、制限エンドヌクレアーゼ切断パターン、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションもしくはライゲーションおよび/または核酸配列決定によって特徴づけられ得る。増幅の他の例としては、米国特許第5,744,311号に開示されているような鎖置換増幅;米国特許第6,033,881号に開示されているような転写を含まない等温増幅;WO90/01069に開示されているような修復連鎖反応増幅;EP−A−320308に開示されているようなリガーゼ連鎖反応増幅;米国特許第5,427,930号に開示されているようなギャップ充填リガーゼ連鎖反応増幅;および米国特許第6,025,134号に開示されているようなNASBATMRNA転写を含まない増幅が挙げられる。
動物:生存している多細胞脊椎動物であり、例えば、哺乳動物および鳥類を含むカテゴリー。哺乳動物という用語は、ヒトと、非ヒト霊長類を含む非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、用語「被験体」は、ヒト被験体と動物被験体の両方を含む。
結合親和性:抗原に対する抗体の親和性。1つの実施形態において、親和性は、Frankelら、Mol.Immunol.,16:101−106,1979に記載されたScatchard法の変法によって計算される。別の実施形態において、結合親和性は、抗原/抗体の解離速度によって測定される。別の実施形態において、高結合親和性は、競合ラジオイムノアッセイによって測定される。別の実施形態において、結合親和性は、ELISAによって測定される。抗体は、高親和性でエンドプラスミンなどの抗原に「特異的に結合」し、他の無関係の抗原に有意に結合しない。
乳がん:良性または悪性であり得る、乳房組織の新生物の状態。乳がんの最も一般的なタイプは、腺管癌である。非浸潤性乳管癌は、乳管の非侵襲性の新生物の状態である。小葉癌腫は、侵襲性の疾患ではないが、癌腫が発症し得る指標である。乳房の浸潤性(悪性)癌腫は、ステージ(I、IIA、IIB、IIIA、IIIBおよびIV)に分けることができる。
化学療法因子:異常な細胞成長を特徴とする疾患の処置における治療上の有用性を備えた任意の化学因子。そのような疾患としては、腫瘍、新生物およびがん、ならびに乾癬などの肥厚成長を特徴とする疾患が挙げられる。いくつかの実施形態において、化学療法因子は、乳房、メラノーマおよび/または神経膠腫の処置において有用な薬剤である。1つの実施形態において、化学療法因子は、放射性化合物である。当業者は、有用な化学療法因子を容易に識別することができる(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,14th editionにおけるSlapak and Kufe,Principles of Cancer Therapy,Chapter 86;Abeloff,Clinical Oncology 2nd ed.,(著作権)2000 Churchill Livingstone,IncにおけるPerryら、Chemotherapy,Ch.17; Baltzer L,Berkery R(eds):Oncology Pocket Guide to Chemotherapy,2nd ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1995;Fischer DS,Knobf MF,Duri
vage HJ(eds):The Cancer Chemotherapy Handbook,4th ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1993を参照のこと)。併用化学療法は、がんを処置するための2つ以上の薬剤の被験体への投与(例えば、放射性化合物または化学的化合物と併用されるエンドプラスミンに特異的に結合する抗体の投与)である。
キメラ抗体:2つの異なる抗体(代表的には、異なる種である)に由来する配列を含む抗体。最も代表的には、キメラ抗体は、ヒト抗体ドメインおよびマウス抗体ドメイン、一般に、ヒト定常領域、ならびにマウス可変領域、マウスCDRおよび/またはマウスSDRを含む。
cDNA(相補DNA):内部の非コードセグメント(イントロン)および転写を決定する制御配列を欠くDNAの小片。cDNAは、細胞から抽出されたメッセンジャーRNAからの逆転写によって研究室において合成される。
化学療法因子:異常な細胞成長を特徴とする疾患の処置における治療上の有用性を備えた因子(例えば、抗腫瘍薬)。そのような疾患としては、腫瘍、新生物およびがん、ならびに乾癬などの肥厚成長を特徴とする疾患が挙げられる。1つの実施形態において、化学療法因子は、固形腫瘍などの新生物の処置において有用な薬剤である。化学療法因子は、タンパク質または非タンパク質の薬剤(例えば、小分子薬、抗体、ペプチド、タンパク質および免疫調節物質)であり得る。1つの実施形態において、化学療法因子は、放射性分子である。当業者は、化学療法因子を容易に識別することができる(例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,14th editionにおけるSlapak and Kufe,Principles
of Cancer Therapy,Chapter 86;Abeloff,Clinical Oncology 2nd ed.,(著作権)2000 Churchill Livingstone,IncにおけるPerryら、Chemotherapy,Ch.17;Baltzer L,Berkery R(eds):Oncology Pocket Guide to Chemotherapy,2nd ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1995;Fischer DS,Knobf MF,Durivage HJ(eds):The Cancer Chemotherapy Handbook,4th ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1993を参照のこと)。
保存的バリアント:「保存的」アミノ酸置換は、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体の親和性に実質的に影響しないかまたはその親和性を低下させない置換である。例えば、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体は、多くとも約1個、多くとも約2個、多くとも約5個、多くとも(most)約10個、または多くとも約15個の保存的置換を含み得、元のエンドプラスミンポリペプチドに特異的に結合し得る。保存的変更(conservative variation)という用語は、抗体がエンドプラスミンに特異的に結合するのであれば、置換されていない親アミノ酸の代わりに、置換されたアミノ酸を使用することも含む。非保存的置換は、活性またはエンドプラスミンへの結合性を低下させる置換である。
機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的アミノ酸置換表は、当業者に周知である。以下の6つの群が、互いに保存的置換であると考えられるアミノ酸の例である:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)
相補性決定領域(CDR):天然のIg結合部位の天然のFv領域の結合親和性および特異性を一体となって規定するアミノ酸配列。Igの軽鎖および重鎖の各々は、それぞれL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3およびH−CDR1、H−CDR2、H−CDR3と命名された3つのCDRを有する。
接触:直接的な物理的会合の配置;固体の形態と液体の形態での両方を含む。
細胞傷害性:生物の残りの部分の細胞とは対照的に、標的化されるように意図された細胞に対する、免疫毒素などの分子の毒性。1つの実施形態において、対照的に、用語「毒性」は、免疫毒素の標的化部分によって標的化されるように意図された細胞である細胞以外の細胞に対する免疫毒素の毒性のことを指し、用語「動物毒性」は、免疫毒素によって標的化されるように意図された細胞以外の細胞に対する免疫毒素の毒性による動物に対する免疫毒素の毒性のことを指す。
縮重バリアント:遺伝暗号の結果として縮重した配列を含む、エンドプラスミンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。20種の天然のアミノ酸存在し、そのほとんどが、2つ以上のコドンによって指定される。それゆえ、縮重ヌクレオチド配列によってコードされるエンドプラスミンポリペプチドのアミノ酸配列が変更されない限り、そのヌクレオチド配列のすべてが、本開示に含まれる。
診断:病理学的状態(例えば、メラノーマ、卵巣がん、乳がんまたは神経膠腫であるがこれらに限定されない)の存在または性質を特定すること。診断方法は、その感度および特異性が異なる。診断アッセイの「感度」は、検査で陽性と出る罹患個体のパーセンテージ(真陽性のパーセント)である。診断アッセイの「特異性」は、1−偽陽性率であり、ここで、偽陽性率は、検査で陽性と出る疾患を有しない個体の割合と定義される。特定の診断方法は、ある状態の確定診断を提供しない可能性があるが、その方法が、診断に役立つ陽性の指標を提供する場合、その方法で十分である。「予後」は、がんまたは転移などの病理学的状態の発生の確率(例えば、重症度)である。
エフェクター分子:キメラ分子が標的としている細胞に対して所望の効果を有するように意図されたキメラ分子の一部。エフェクター分子は、エフェクター部分(EM)、治療薬もしくは診断薬、または類似の用語としても知られる。
治療薬には、核酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸または誘導体、糖タンパク質、放射性同位体、脂質、炭水化物または組換えウイルスのような化合物が含まれる。核酸の治療用部分および診断用部分は、アンチセンス核酸、一本鎖または二重鎖DNAとの共有結合性架橋のための誘導体化オリゴヌクレオチド、および三重鎖形成オリゴヌクレオチドを含む。あるいは、抗エンドプラスミン抗体などの標的化部分に連結された分子は、被包系(例えば、治療用組成物(例えば、薬物、核酸(例えば、アンチセンス核酸)または循環系への直接的な露出から保護され得る別の治療部分)を含むリポソームまたはミセル)であり得る。抗体に付着されたリポソームを調製する手段は、当業者に周知である(例えば、米国特許第4,957,735号;およびConnorら、Pharm.Ther.28:341−365,1985を参照のこと)。診断用剤または診断用部分は、放射性同位体および他の検出可能な標識を含む。そのような目的のために有用な検出可能な標識もまた、当該分野で周知であり、それらとしては、放射性同位元素(例えば、35S、11C、13N、15O、18F、19F、99mTc、131I、H、14C、15N、90Y、99Tc、111Inおよび125I)、フルオロフォア、化学発光剤および酵素が挙げられる。
エピトープ:抗原決定基。これらは、抗原性である、すなわち、特定の免疫応答を誘発する、分子上の特定の化学基またはペプチド配列である。抗体は、ポリペプチド上の特定の抗原性エピトープに特異的に結合する。エピトープは、連続するアミノ酸、またはタンパク質の三次フォールディングによって並置される連続しないアミノ酸の両方から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されるエピトープは、通常、変性溶媒に曝露された際にも保持されるのに対し、三次フォールディングによって形成されるエピトープは、通常、変性溶媒で処理されると失われる。エピトープは、通常、独特の空間的コンフォメーションにおいて少なくとも3個、より一般的には、少なくとも5個または8〜10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法としては、例えば、X線結晶構造解析および2次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed(1996)を参照のこと。エピトープは、グリコシル化され得る。したがって、抗体は、グリコシル化された形態(またはグリコシル化されていない形態)のタンパク質に特異的に結合し得る。
エンドプラスミン:熱ショックタンパク質90(Hsp90)ファミリーの小胞体(ER)常在メンバーであるグルコース調節タンパク質(Grp)94(Grp94)としても知られるタンパク質。インビボでは、hsp90およびエンドプラスミンは、クライアントタンパク質と相互作用し、それらをユビキチン依存性のプロテアソーム分解から保護するように機能する。エンドプラスミンタンパク質は、すべての細胞型において恒常的に発現されるが、その発現は、低グルコースレベル、細胞外の低pH、変異タンパク質の発現およびウイルス感染を含む様々なストレス条件下においてアップレギュレートされる。熱ショックタンパク質は、細胞保護機能を有し、アポトーシスを直接または間接的に調節する。
エンドプラスミンの細胞表面発現が、肝細胞癌種、結腸直腸癌腫および肺がん細胞を含む腫瘍細胞において増加すること、ならびにエンドプラスミンが、一部の腫瘍細胞に対して抗アポトーシス作用を有することが示されている。さらに、慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染が、肝硬変および肝細胞癌種(HCC)に進行するときに、高レベルのエンドプラスミンが観察された。Hsp90およびエンドプラスミンのインヒビター(例えば、ゲルダナマイシン(geldanamycin)(GA)およびその低毒性誘導体17−AAG)が、がんの処置における有効性について研究されている。
エンドプラスミン(Grp94)をコードする例示的な核酸としては:GENBANK(登録商標)アクセッション番号NM_003299、BC066656(ヒト);NM_011631(マウス);NM_001045763:(Xenopus(Silurana)tropicalis);NM_214103(Sus scrofa)NM_98210(Danio rerio);NM_001012197(Rattus norvegicus);NM_001134101:Pongo abelii;NM_001003327(Canis lupus familiaris)熱ショックタンパク質90kDaベータ(Grp94);NM_204289(Gallus gallus)が挙げられるが、これらに限定されない。
発現調節配列:作動可能に連結された異種核酸配列の発現を制御する核酸配列。発現調節配列が、核酸配列の転写、適切な場合においては翻訳を調節し、制御するとき、その発現調節配列は、その核酸配列に作動可能に連結されている。したがって、発現調節配列は、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質をコードする遺伝子の前に存在する開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンに対するスプライシングシグナル、mRNAの適正な翻訳を可能にするその遺伝子の正しい読み枠の維持、およ
び終止コドンを含み得る。用語「調節配列」は、その存在が発現に影響し得、また、その存在が有益である追加の構成要素(例えば、リーダー配列および融合パートナー配列)を含み得る、構成要素を最低限含むように意図されている。発現調節配列は、プロモーターを含み得る。
プロモーターは、転写を指示するのに十分な最小配列である。プロモーター依存的な遺伝子発現を細胞型特異的、組織特異的または外部シグナルもしくは外部の物質によ誘導性となるように調節可能にするのに十分なプロモーターエレメントもまた含まれる;そのようなエレメントは、その遺伝子の5’または3’領域に配置され得る。構成的プロモーターと誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitterら、Methods
in Enzymology 153:516−544,1987を参照のこと)。例えば、細菌系におけるクローニングの際、誘導性プロモーター(例えば、バクテリオファージラムダのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)など)が使用され得る。1つの実施形態において、哺乳動物細胞系におけるクローニングでは、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、レトロウイルスの長い末端反復配列;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が使用され得る。組換えDNA法または合成法によって作製されたプロモーターもまた、核酸配列の転写を提供するために使用され得る。
発現調節配列:作動可能に連結された異種核酸配列の発現を制御する核酸配列。発現調節配列が、核酸配列の転写、適切な場合においては翻訳を調節し、制御するとき、その発現調節配列は、その核酸配列に作動可能に連結されている。したがって、発現調節配列は、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質をコードする遺伝子の前に存在する開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンに対するスプライシングシグナル、mRNAの適正な翻訳を可能にするその遺伝子の正しい読み枠の維持、および終止コドンを含み得る。用語「調節配列」は、その存在が発現に影響し得、また、その存在が有益である追加の構成要素(例えば、リーダー配列および融合パートナー配列)を含み得る、構成要素を最低限含むように意図されている。発現調節配列は、プロモーターを含み得る。
プロモーターは、転写を指示するのに十分な最小配列である。プロモーター依存的な遺伝子発現を細胞型特異的、組織特異的または外部シグナルもしくは外部の物質によ誘導性となるように調節可能にするのに十分なプロモーターエレメントもまた含まれる;そのようなエレメントは、その遺伝子の5’または3’領域に配置され得る。構成的プロモーターと誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitterら、Methods
in Enzymology 153:516−544,1987を参照のこと)。例えば、細菌系におけるクローニングの際、誘導性プロモーター(例えば、バクテリオファージラムダのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)など)が使用され得る。1つの実施形態において、哺乳動物細胞系におけるクローニングでは、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、レトロウイルスの長い末端反復配列;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が使用され得る。組換えDNA法または合成法によって作製されたプロモーターもまた、核酸配列の転写を提供するために使用され得る。
発現:核酸からタンパク質への翻訳。タンパク質は、発現されて、細胞内に残留し得るか、細胞表面膜の構成要素になり得るか、または細胞外マトリックスもしくは細胞外の媒質中に分泌され得る。
フレームワーク領域:CDR間に挿入されるアミノ酸配列。フレームワーク領域には、可変軽鎖フレームワーク領域および可変重鎖フレームワーク領域が含まれる。フレームワーク領域は、抗原結合にとって適切な配向でCDRを保持するように働く。
神経膠腫:任意の発生状態における神経膠から構成される腫瘍。神経膠腫は、脳および脊髄のすべての内因性の新生物(例えば、星状細胞腫、上衣腫および乏突起膠腫)を含む。「低悪性度」神経膠腫は、十分に分化している(未分化でない);これらは、良性であり、患者に対してより良好な予後の前兆になる。「高悪性度」神経膠腫は、分化していないか、または未分化である;これらは、悪性であり、より不良な予後をもたらす。
グリコシル化:抗原などのタンパク質への炭水化物の共有結合性結合。グリコシル化には、N結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化およびC結合型グリコシル化が含まれる。
HAMA(ヒト抗マウス抗体)応答:ヒト被験体に投与されたマウス抗体の可変領域および定常領域に対するその患者における免疫応答。抗体の反復投与によって、患者の血清からその抗体がクリアランスされる速度が増大し得、また、患者においてアレルギー反応が誘発され得る。
宿主細胞:ベクターが伝播され得、そのDNAが発現され得る、細胞。その細胞は、原核生物または真核生物の細胞であり得る。この用語は、対象の宿主細胞の任意の子孫も含む。複製中に生じる変異が存在し得るので、すべての子孫が、親細胞と同一でない可能性があることが理解される。しかしながら、用語「宿主細胞」が使用されるとき、そのような子孫も含まれる。
免疫応答:刺激に対する免疫系の細胞(例えば、B細胞、T細胞または単球)の応答。1つの実施形態において、その応答は、特定の抗原に特異的である(「抗原特異的応答」)。1つの実施形態において、免疫応答は、T細胞応答(例えば、CD4+応答またはCD8+応答)である。別の実施形態において、その応答は、B細胞応答であり、特定の抗体の産生をもたらす。
免疫結合体:目的の抗原(例えば、ヒトエンドプラスミン(endoplasm))に特異的に結合する抗体またはその機能的フラグメントへのエフェクター分子の共有結合。そのエフェクター分子は、検出可能な標識、免疫毒素、サイトカインまたはケモカインであり得る。毒素の特定の非限定的な例としては、アブリン、リシン、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素(PE、例えば、PE35、PE37、PE38およびPE40)、ジフテリア毒素(DT)、ボツリヌス毒素もしくはそれらの改変された毒素、または直接もしくは間接的に細胞の成長を阻害するかもしくは細胞を殺滅する他の毒性物質が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、PEおよびDTは、代表的には、肝臓毒性によって死をもたらす、高度に毒性の化合物である。しかしながら、PEおよびDTは、その毒素の天然の標的化構成要素(例えば、PEのドメインIaおよびDTのB鎖)を除去し、それを抗体などの異なる標的化部分で置き換えることによって、免疫毒素として使用するための形態に改変され得る。「キメラ分子」は、エフェクター分子に結合体化(連結)された、リガンドまたは抗体などの標的化部分である。用語「結合体化された」または「連結された」とは、2つのポリペプチドを1つの連続したポリペプチド分子にすることを指す。1つの実施形態において、抗体は、エフェクター分子に接続される。別の実施形態において、エフェクター分子に接続された抗体は、体内での半減期を延長するために、タンパク質またはペプチドに対して脂質または他の分子とさらに接続される。その連結は、化学的手段または組換え手段によるものであり得る。1つの実施形態において、その連結は、化学的であり、ここで、抗体部分とエフェクター分子との反応は、それら
の2つの分子間に形成される共有結合を作製することにより、1つの分子を形成する。ペプチドリンカー(短いペプチド配列)が、必要に応じて、抗体とエフェクター分子との間に含められ得る。本来、免疫結合体は、別個の機能性を備える2つの分子(例えば、抗体およびエフェクター分子)から調製されたので、それらは、時折、「キメラ分子」とも称される。ゆえに、用語「キメラ分子」は、本明細書中で使用されるとき、エフェクター分子に結合体化(連結)された、リガンドまたは抗体などの標的化部分のことを指す。
免疫原性ペプチド:対立遺伝子特異的モチーフまたはN末端反復などの他の配列を含むペプチド(そのペプチドは、MHC分子に結合し、免疫原性ペプチドが由来する抗原に対する細胞傷害性Tリンパ球(「CTL」)応答またはB細胞応答(例えば、抗体産生)を誘導する)。
1つの実施形態において、免疫原性ペプチドは、配列モチーフまたは他の方法(例えば、当該分野で公知の、ニューラルネット判定または多項式判定)を用いて同定される。代表的には、ある特定の親和性で結合する高確率をもたらし、免疫原性であるスコアを有するペプチドを選択するために、ペプチドの「結合閾値」を決定するアルゴリズムが使用される。そのアルゴリズムは、特定の位置における特定のアミノ酸のMHC結合性に対する作用、特定の位置における特定のアミノ酸の抗体結合性に対する作用、またはモチーフ含有ペプチドにおける特定の置換の結合に対する作用に基づく。免疫原性ペプチドの状況の中で、「保存された残基」は、ランダムな分布によって予想される頻度よりも有意に高い頻度でペプチド内の特定の位置に出現する残基である。1つの実施形態において、保存された残基は、MHC構造が免疫原性ペプチドとの接触点を提供し得る残基である。1つの特定の非限定的な例において、免疫原性ポリペプチドは、エンドプラスミンの領域またはそのフラグメントを含み、ここで、そのポリペプチドは、完全長エンドプラスミンポリペプチドを発現する宿主細胞の細胞表面上に発現される。
免疫原性組成物:エンドプラスミンポリペプチドを発現している細胞に対して測定可能なCTL応答を誘導するかまたはエンドプラスミンポリペプチドに対して測定可能なB細胞応答(例えば、抗体の産生)を誘導するポリペプチド(例えば、エンドプラスミンポリペプチド)を含む組成物。免疫原性組成物は、サイトカインの産生も誘導し得る。それはさらに、エンドプラスミンポリペプチドを発現するために使用され得る(ひいては、このポリペプチドに対する免疫応答を誘発するために使用され得る)エンドプラスミンポリペプチドをコードする単離された核酸のことを指す。インビトロで使用する場合、免疫原性組成物は、単離されたタンパク質またはペプチドエピトープからなり得る。インビボで使用する場合、免疫原性組成物は、通常、薬学的に許容され得るキャリア中のタンパク質もしくは免疫原性ペプチド、および/または他の剤を含み得る。特定の任意のペプチド(例えば、エンドプラスミンポリペプチド)またはそのポリペプチドをコードする核酸は、当該分野において認められたアッセイによってCTL応答またはB細胞応答を誘導する能力について容易に試験され得る。免疫原性組成物は、当業者に周知のアジュバントを含み得る。
免疫学的に反応性の条件:特定のエピトープに対して産生された抗体が、実質的にすべての他のエピトープに対する結合よりも検出可能に高い程度に、および/または実質的にすべての他のエピトープに対する結合を実質的に除外する程度にそのエピトープに結合するのを可能にする条件に対する言及を含む。免疫学的に反応性の条件は、抗体結合反応の形式に依存し、代表的には、イムノアッセイプロトコルにおいて利用される条件またはインビボで遭遇する条件である。イムノアッセイの形式および条件の説明については、Harlow&Lane,前出を参照のこと。それらの方法において使用される免疫学的に反応性の条件は、通常、生存している哺乳動物内または哺乳動物細胞内の条件(例えば、温度、容量オスモル濃度およびpH)に対する言及を含む「生理学的条件」である。一部の器官が、極端な条件に供されることが認識されるが、生物体内および細胞内の環境は、通常、およそpH7(すなわち、pH6.0〜pH8.0、より代表的には、pH6.5〜7.5)にあり、主要な溶媒として水を含み、0℃より高く50℃より低い温度である。容量オスモル濃度は、細胞の生存能および増殖を支援する範囲内である。
単離:「単離された」生物学的構成要素(例えば、核酸、タンパク質(抗体を含む)または細胞小器官)は、その構成要素が天然に存在する環境(例えば、細胞)内の他の生物学的構成要素、すなわち、他の染色体のおよび染色体外のDNAおよびRNA、タンパク質ならびに細胞小器官から実質的に分離されているか、または精製されている。「単離された」核酸およびタンパク質には、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質が含まれる。この用語は、宿主細胞内の組換え発現によって調製された核酸およびタンパク質ならびに化学的に合成された核酸も包含する。
標識:その分子の検出を容易にするために別の分子(例えば、抗体またはタンパク質)に直接または間接的に結合体化される検出可能な化合物または組成物。標識の特定の非限定的な例としては、蛍光タグ、酵素の連結および放射性同位元素が挙げられる。1つの例において、「標識された抗体」とは、抗体における別の分子の組み込みのことを指す。例えば、標識は、検出可能なマーカー(例えば、放射標識されたアミノ酸の組み込み、または標識されたアビジン(例えば、光学的方法または比色法によって検出され得る蛍光マーカーまたは酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部分とポリペプチドとの結合)である。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法は、当該分野で公知であり、それらを使用してよい。ポリペプチドに対する標識の例としては、以下:放射性同位体または放射性ヌクレオチド(例えば、35S、11C、13N、15O、18F、19F、99mTc、131I、H、14C、15N、90Y、99Tc、111Inおよび125I)、蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、ランタニド燐光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)または磁性物質(例えば、ガドリニウムキレート)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、標識は、潜在的な立体障害を減少させるために様々な長さのスペーサーアームによって結合される。
リンカー:ある場合には、リンカーは、可変重鎖と可変軽鎖とを間接的に結合するように働く抗体結合フラグメント(例えば、Fvフラグメント)内のペプチドである。「リンカー」は、抗体などの標的化部分を、細胞毒または検出可能な標識などのエフェクター分子に連結するように働くペプチドのことも指し得る。
用語「結合体化する」、「接続する」、「結合する」または「連結する」とは、2つのポリペプチドを1つの連続したポリペプチド分子にすること、またはscFvなどのポリペプチドに放射性核種もしくは他の分子を共有結合的に結合することを指す。特定の文脈において、それらの用語は、抗体部分などのリガンドをエフェクター分子に接続することに対する言及を包含する。その連結は、化学的手段または組換え手段による連結であり得る。「化学的手段」とは、抗体部分とエフェクター分子との間の反応(それにより、それらの2つの分子の間に共有結合が形成されて1つの分子が形成される)のことを指す。
哺乳動物:この用語は、ヒトと非ヒト哺乳動物の両方を包含する。同様に、用語「被験体」は、ヒト被験体と動物被験体の両方を包含する。
主要組織適合遺伝子複合体(MHC):ヒト白血球抗原(「HLA」)をはじめとした
、種々の種において報告されている組織適合性抗原系を包含するように意図された総称。用語「モチーフ」とは、特定のMHC対立遺伝子によって認識される、明確な長さのペプチド、通常、約8〜約11アミノ酸における残基のパターンのことを指す。そのペプチドモチーフは、代表的には、各MHC対立遺伝子によって異なり、高度に保存された残基および結合陰性(negative binding)残基のパターンが異なる。
メラノーマ:メラノサイト(メラニン色素を産生する細胞)から起こるがんの一形態。メラノサイトは、主に皮膚に見られるが、腸および眼にも存在する。皮膚におけるメラノーマとしては、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、末端部黒子様黒色腫および悪性黒子(メラノーマ)が挙げられる。上記タイプのいずれもが、メラニンを産生し得るか、またはメラニン欠乏であり得る。同様に、任意のサブタイプが、高悪性度の挙動、および局所的な再発の傾向のマーカーである線維形成(神経親和性を有する高密度線維反応)を示し得る。他のメラノーマとしては、明細胞肉腫、粘膜黒色腫(mucosal melanoma)およびブドウ膜黒色腫が挙げられる。
予後に影響する特徴は、ミリメートル単位の腫瘍の厚さ(ブレスロー深さ(Breslow’s depth))、皮膚構造に関係する深さ(クラークレベル)、メラノーマのタイプ、潰瘍化の存在、リンパ/神経周囲の浸潤の存在、腫瘍浸潤リンパ球の存在(存在する場合、予後はより良好である)、病変の位置、衛星病巣の存在、および局所転移または遠隔転移の存在である。メラノーマが、リンパ節に広がっているとき、最も重要な因子の1つは、悪性病変を有する結節の数である。結節内の悪性病変の程度もまた重要であり;悪性病変が単に微視的である微小転移は、マクロ転移よりも好ましい予後を有する。遠隔転移が存在するとき、5年生存率は、10パーセント未満であり;生存期間の中央値は、6〜12ヶ月である。皮膚および肺への転移は、より良好な予後を有する。脳、骨および肝臓への転移は、より不良な予後を伴う。
メラノーマは、以下のとおりステージ分け(staged)され得る:
ステージ0:上皮内黒色腫(クラークレベルI)、100%生存
ステージI/II:浸潤性メラノーマ、85〜95%生存
T1a:1.00mm未満の原発性、潰瘍化なし、クラークレベルII〜III
T1b:1.00mm未満の原発性、潰瘍化ありまたはクラークレベルIV〜V
T2a:1.00〜2.00mmの原発性、潰瘍化なし
ステージII:高リスクメラノーマ、40〜85%生存
T2b:1.00〜2.00mmの原発性、潰瘍化あり
T3a:2.00〜4.00mmの原発性、潰瘍化なし
T3b:2.00〜4.00mmの原発性、潰瘍化あり
T4a:4.00mm以上の原発性、潰瘍化なし
T4b:4.00mm以上の原発性、潰瘍化あり
ステージIII:領域転移、25〜60%生存
N1:1つの陽性リンパ節
N2:2〜3つの陽性リンパ節、または領域皮膚/イントランジット転移
N3:4つの陽性リンパ節、またはリンパ節および領域皮膚/イントランジット転移
ステージIV:遠隔転移、9〜15%生存
M1a:遠隔皮膚転移、正常な乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)
M1b:肺転移、正常なLDH
M1c:他の遠隔転移または高LDHを伴う任意の遠隔転移
モノクローナル抗体:Bリンパ球の単一クローン、単一抗体の軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子がトランスフェクトされた細胞、または抗体ライブラリー内の特定のファージによって産生される抗体(そのモノクローナル抗体は、明確なセットのCDRを含み、かつ目的の標的抗原に特異的に結合する)。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって
、例えば(これらに限定されないが)ミエローマ細胞と免疫脾臓細胞との融合によってハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって、または抗体配列のファージディスプレイライブラリーから選択することによって、作製される。モノクローナル抗体には、ヒト化モノクローナル抗体および完全ヒトモノクローナル抗体が含まれる。本明細書中で使用されるとき、モノクローナル抗体の機能的フラグメントには、そのモノクローナル抗体に対する標的タンパク質(抗原結合)に特異的に結合する抗体フラグメント(例えば、scFv、Fv、dsRvまたはFabであるがこれらに限定されない)が含まれる。モノクローナル抗体は、グリコシル化されたエピトープなどの抗原性エピトープに特異的に結合する。モノクローナル抗体には、二官能性抗体(ここで、1つ以上のCDRセットが、エンドプラスミンなどの標的抗原に特異的に結合する)ならびにエフェクター機能が増強されたFcおよび他のグリコール操作抗体が含まれる。
新形成、悪性病変、がんまたは腫瘍:細胞の異常かつ制御されない成長の結果。新形成、悪性病変、がんおよび腫瘍は、しばしば交換可能に使用される。個体内の腫瘍の量は、その腫瘍の数、体積または重量として測定され得る「腫瘍量」である。転移しない腫瘍は、「良性」と称される。周囲の組織を浸潤し、かつ/または転移し得る腫瘍は、「悪性」と称される。血液学的腫瘍の例としては、白血病(急性白血病(例えば、11q23陽性急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、ならびに骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病)、慢性白血病(例えば、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病および慢性リンパ性白血病)を含む)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(緩徐進行型および高悪性型)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリーセル白血病および骨髄形成異常が挙げられる。
肉腫および癌腫などの固形腫瘍の例としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫および他の肉腫、滑膜腫(synovioma)、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、リンパ系悪性腫瘍、膵がん、乳がん(基底乳癌腫(basal breast carcinoma)、腺管癌および小葉乳癌腫(lobular breast carcinoma)を含む)、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞癌腫、扁平上皮癌、基底細胞癌腫、腺癌、汗腺癌腫、甲状腺髄様癌腫、甲状腺乳頭癌腫、褐色細胞腫、皮脂腺癌腫、乳頭状癌腫、乳頭状腺癌、髄様癌腫、気管支原性癌腫、腎細胞癌腫、ヘパトーマ、胆管癌腫、絨毛癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌腫およびCNS腫瘍(例えば、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫(craniopharyogioma)、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫(menangioma)、メラノーマ、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫)が挙げられる。
いくつかの例において、腫瘍は、メラノーマ、乳がん、腎がん、神経膠腫または扁平上皮癌(例えば、頭頸部がん)である。
核酸:ホスホジエステル結合によって連結されたヌクレオチド単位(リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、それらの関連する天然に存在する構造的バリアントおよび合成の天然に存在しないアナログ)、それらの関連する天然に存在する構造的バリアントおよび天然に存在しない合成アナログから構成されるポリマー。したがって、この用語は、ヌクレオチドおよびそれらの間の結合が、天然に存在しない合成アナログ(例えば、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)などであるがこれらに限定されない)を含む、ヌクレオチドポリマーを包含する。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成装置を用いて、合成され得る。用語「オリゴヌクレオチド」は、代表的には、一般に約50ヌクレオチド以下の、短いポリヌクレオチドのことを指す。ヌクレオチド配列が、DNA配列(すなわち、A、T、G、C)によって表されるとき、これは、「T」を「U」が置き換えるRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含むと理解される。
ヌクレオチド配列を記載するために、従来の表示法が本明細書中で使用される:一本鎖ヌクレオチド配列の左端は、5’末端であり;二本鎖ヌクレオチド配列の左方向が、5’方向と称される。新生RNA転写物にヌクレオチドが5’から3’に付加される方向は、転写方向と称される。mRNAと同じ配列を有するDNA鎖は、「コーディング鎖」と称され;DNAから転写されたmRNAと同じ配列を有し、RNA転写物の5’末端に対して5’に配置されるDNA鎖上の配列は、「上流配列」と称され;RNAと同じ配列を有し、コーディングRNA転写物の3’末端に対して3’に存在するDNA鎖上の配列は、「下流配列」と称される。
「cDNA」とは、一本鎖または二本鎖の形態において、mRNAと相補的であるかまたは同一であるDNAのことを指す。
「コードする」とは、規定のヌクレオチド配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)または規定のアミノ酸の配列を有する、生物学的プロセスにおいて他のポリマーおよび高分子の合成のため鋳型として働くポリヌクレオチド(例えば、遺伝子、cDNAまたはmRNA)中のヌクレオチドの特定の配列の固有の特性、およびそれらに起因する生物学的特性のことを指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子によって生成されるmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生体系においてタンパク質を生成する場合、タンパク質をコードする。コーディング鎖(そのヌクレオチド配列は、mRNA配列と同一であり、通常、配列表に提供される)と非コーディング鎖(遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される)の両方が、タンパク質、またはその遺伝子もしくはcDNAの他の産物をコードすると称され得る。別段明記されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする、すべてのヌクレオチド配列を包含する。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含み得る。
「組換え核酸」とは、天然では共に接続されていないヌクレオチド配列を有する核酸のことを指す。これは、好適な宿主細胞を形質転換するために使用され得る、増幅されたまたは組み立てられた核酸を含む核酸ベクターを包含する。組換え核酸を含む宿主細胞は、「組換え宿主細胞」と称される。次いで、その遺伝子は、組換え宿主細胞において発現されることにより、「組換えポリペプチド」などを産生する。組換え核酸は、非コード機能(例えば、プロモーター、複製起点、リボソーム結合部位など)も果たし得る。
その配列が第1配列であるポリヌクレオチドが、その配列が第2配列であるポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする場合、その第1配列は、第2配列に対して「アンチセンス」である。
2つ以上のヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の配列の関係性を記載するために使用される用語としては、「参照配列」、「から選択される」、「比較範囲(comparison window)」、「同一」、「配列同一性のパーセンテージ」、「実質的に同一」、「相補的」および「実質的に相補的」が挙げられる。
核酸配列を配列比較する場合、通常、1つの配列は、試験配列と比較される参照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用するときは、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要であれば部分配列の座標を指定し、配列アルゴリズムのプログラムパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータを使用する。比較のために
配列をアラインメントする方法は、当該分野で周知である。比較するための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482,1981のローカルホモロジーアルゴリズム、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443,1970のホモロジーアラインメントアルゴリズム、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444,1988の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)または手作業によるアラインメントおよび目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら、eds 1995 supplement)を参照のこと)によって行われ得る。
有用なアルゴリズムの1つの例は、PILEUPである。PILEUPは、Feng&Doolittle,J.Mol.Evol.35:351−360,1987のプログレッシブ・アラインメント法の簡便法を使用する。使用される方法は、Higgins&Sharp,CABIOS 5:151−153,1989に記載された方法に似ている。PILEUPを用いるとき、パーセント配列同一性の関係性を決定するために、以下のパラメータを用いて、参照配列が他の試験配列と比較される:デフォルトのギャップウェイト(3.00)、デフォルトのギャップ長ウェイト(0.10)および重み付けされたエンドギャップ。PILEUPは、GCG配列解析ソフトウェアパッケージ(例えば、バージョン7.0(Devereauxら、Nuc.Acids Res.12:387−395,1984)から入手することができる。
パーセント配列同一性および配列類似性を測定するのに適した別のアルゴリズムの例は、Altschulら、J.Mol.Biol.215:403−410,1990およびAltschulら、Nucleic Acids Res.25:3389−3402,1977に記載されている、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公的に入手可能である。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、デフォルトとして11というワード長(W)、50というアラインメント(B)、10という期待値(E)、M=5、N=−4および両鎖の比較を使用する。BLASTPプログラム(アミノ酸配列用)は、デフォルトとして3というワード長(W)および10という期待値(E)ならびにBLOSUM62スコア行列(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
89:10915,1989を参照のこと)を使用する。
オリゴヌクレオチド:最大約100ヌクレオチド塩基長の直鎖状のポリヌクレオチド配列。
オープンリーディングフレーム(ORF):いかなる終止コドンもなくアミノ酸をコードするひと続きのヌクレオチドトリプレット(コドン)。これらの配列は、通常、ペプチドに翻訳可能である。
作動可能に連結される:第1の核酸配列が、第2の核酸配列と機能的関係性で配置されるとき、第1の核酸配列は、第2の核酸配列と作動可能に連結されている。例えば、異種プロモーターなどのプロモーターは、そのプロモーターがコード配列の転写または発現に影響する場合、そのコード配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されるDNA配列は、2つのタンパク質コード領域を接続する必要がある場合、同じ読み枠
において連続している。
医薬品:被験体または細胞に適切に投与されたときに、所望の治療効果または予防効果を誘導することができる化学的化合物または組成物。
薬学的に許容され得るキャリア:薬学的に許容され得る有用なキャリアは、従来のキャリアである。E.W.MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA,15th Edition,1975には、本明細書中に開示される融合タンパク質の薬学的送達に適した組成物および製剤が記載されている。
一般に、キャリアの性質は、使用される特定の投与様式に依存る。例えば、非経口用の製剤は、通常、薬学的かつ生理的に許容され得る流体(例えば、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなど)をビヒクルとして含む注射可能な流体を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤またはカプセルの形態)の場合、従来の無毒性固体キャリアとしては、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプンまたはステアリン酸マグネシウムが挙げられ得る。投与される薬学的組成物は、生物学的に中性のキャリアに加えて、少量の無毒性補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、保存剤およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはソルビタンモノラウレート)を含み得る。
ポリヌクレオチド:ポリヌクレオチドまたは核酸配列という用語は、ヌクレオチドの少なくとも10塩基長の多量体型のことを指す。組換えポリヌクレオチドは、それが由来する生物の天然に存在するゲノムでは直接連続する2つのコード配列が直接連続しない(一方が5’末端、もう一方が3’末端に存在する)ポリヌクレオチドを含む。それゆえ、この用語は、例えば、ベクター;自己複製プラスミドもしくはウイルス;または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた組換えDNA、あるいは他の配列から独立した別個の分子(例えば、cDNA)として存在する組換えDNAを包含する。そのヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの改変された形態であり得る。この用語は、一本鎖および二本鎖の形態のDNAを包含する。
ポリペプチド:長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化)に関係ない、アミノ酸の任意の鎖。1つの実施形態において、ポリペプチドは、エンドプラスミンポリペプチドである。「残基」とは、アミド結合またはアミド結合模倣物によってポリペプチドに組み込まれたアミノ酸またはアミノ酸模倣物のことを指す。ポリペプチドは、アミノ末端(N末端)およびカルボキシ末端(C末端)を有する。
疾患を予防する、処置するまたは回復させる:疾患を「予防する」とは、疾患の完全な発症を阻害することを指す。「処置する」とは、疾患または病理学的状態が発症し始めた後に、それらの徴候または症状を回復させる治療的介入(例えば、腫瘍量の減少、または転移の数もしくは(of)サイズの減少)のことを指す。「回復させる」とは、がんなどの疾患の徴候または症状の数または重症度の減少のことを指す。
プローブおよびプライマー:プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子に結合された、単離された核酸を含む。プライマーは、短い核酸、好ましくは、DNAオリゴヌクレオチド、15ヌクレオチドまたはそれ以上の長さである。プライマーは、核酸ハイブリダイゼーションによって相補的な標的DNA鎖にアニールされることにより、プライマーと標的DNA鎖とのハイブリッドを形成し得、次いで、DNAポリメラーゼ酵素によって標的DNA鎖に沿って伸長され得る。プライマー対は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応
(PCR)または当該分野で公知の他の核酸増幅法による、核酸配列の増幅のために使用され得る。当業者は、特定のプローブまたはプライマーの特異性がその長さに伴って高まることを認識する。したがって、例えば、20個連続したヌクレオチドを含むプライマーは、わずか15ヌクレオチドの対応するプライマーよりも高い特異性で標的にアニールる。したがって、より高い特異性を得るために、20、25、30、35、40、50またはそれ以上連続したヌクレオチドを含むプローブおよびプライマーが選択され得る。
プロモーター:プロモーターは、核酸の転写を指示する一連の核酸調節配列である。プロモーターは、必要な核酸配列を転写開始部位付近に含む(例えば、ポリメラーゼIIタイププロモーターの場合、TATAエレメント)。プロモーターは、必要に応じて、転写開始部位から数千塩基対も離れて配置され得る遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントも含む。構成的プロモーターと誘導性プロモーターの両方が含まれる(例えば、Bitterら、Methods in Enzymology 153:516−544,1987を参照のこと)。
プロモーターの特定の非限定的な例としては、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、レトロウイルスの長い末端反復配列;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が挙げられ、それらが使用され得る。組換えDNA法または合成法によって作製されたプロモーターもまた使用され得る。ポリヌクレオチドは、宿主の挿入された遺伝子配列の効率的な転写を促進するプロモーター配列を含む発現ベクターに挿入され得る。発現ベクターは、代表的には、複製起点、プロモーター、ならびに形質転換された細胞の表現型選択を可能にする特定の核酸配列を含む。
精製:精製という用語は、絶対的な純度を要求しない;むしろ、それは、相対的な用語として意図されている。したがって、例えば、精製された核酸は、その核酸が、細胞内のその天然の環境における核酸よりも濃縮されている核酸である。同様に、精製されたペプチド調製物は、そのペプチドまたはタンパク質が、細胞内のその天然の環境におけるペプチドまたはタンパク質よりも濃縮されているペプチド調製物である。実質的な精製は、他のタンパク質または細胞成分からの精製のことを表す。1つの実施形態において、ある調製物は、タンパク質またはペプチドが、その調製物の総ペプチド含有量または総タンパク質含有量の少なくとも50%(例えば、70%、80%、90%、95%、98%または99%であるがこれらに限定されない)に相当するように、精製されている(または単離されている)。本明細書中に開示されるエンドプラスミンポリペプチドは、当該分野で公知の任意の手段によって精製され得る(および/または合成され得る)(例えば、Guide to Protein Purification,ed.Deutscher,Meth.Enzymol.185,Academic Press,San Diego,1990;およびScopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer Verlag,New York,1982を参照のこと)。
組換え:組換え核酸は、天然に存在しない配列を有するか、または2つの別途分離された配列のセグメントの人工的な組み合わせによって作製された配列を有する、核酸である。この人工的な組み合わせは、化学的合成によって、またはより一般的には、単離された核酸のセグメントの人工的な操作によって、例えば、遺伝子操作法によって、達成されることが多い。
組換え毒素:細胞標的化部分が毒素に融合されたキメラタンパク質(Pastanら、Science,254:1173−1177,1991)。細胞標的化部分が、抗体の
Fv部分である場合、その分子は、組換え免疫毒素と呼ばれる(Chaudharyら、Nature,339:394−397,1989)。その毒素部分は、ほとんどの正常細胞上に存在する毒素レセプターに結合できないように遺伝的に変更されている。組換え免疫毒素は、抗原結合ドメインによって認識される細胞を選択的に殺滅する。これらの組換え毒素および免疫毒素は、がん、例えば、エンドプラスミンを発現しているがんを処置するために使用され得る。
選択的にハイブリダイズする:関係のないヌクレオチド配列を排除する中程度または高度にストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーション。
核酸ハイブリダイゼーション反応では、特定のレベルのストリンジェンシーを達成するために使用される条件は、ハイブリダイズされる核酸の性質に応じて変動る。例えば、その核酸のハイブリダイズ領域の長さ、相補性の程度、ヌクレオチド配列の組成(例えば、GC対AT含有量)および核酸タイプ(例えば、RNA対DNA)が、ハイブリダイゼーション条件を選択する際に考慮され得る。追加の考慮すべき点は、核酸の一方が、例えば、フィルター上に、固定化されているかどうかである。
漸進的に高くなるストリンジェンシー条件の特定の非限定的な例は、以下のとおりである:ほぼ室温での2×SSC/0.1%SDS(ハイブリダイゼーション条件);ほぼ室温での0.2×SSC/0.1%SDS(低ストリンジェンシー条件);約42℃での0.2×SSC/0.1%SDS(中程度のストリンジェンシー条件);および約68℃での0.1×SSC(高ストリンジェンシー条件)。当業者は、これらの条件に対するバリエーションを容易に決定することができる(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1−3,ed.Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory
Press,Cold Spring Harbor,NY,1989)。これらの条件のうちの1つだけ、例えば、高ストリンジェンシー条件を用いて洗浄が行われ得るか、またはそれらの条件の各々が、列挙された工程のいずれかまたはすべてを繰り返しつつ、例えば、上に列挙された順序で各10〜15分にわたって用いられ得る。しかしながら、上で述べたように、最適条件は、関わる特定のハイブリダイゼーション反応に応じて変動し、経験的に決定され得る。
配列同一性:アミノ酸配列間の類似性は、別途、配列同一性と称される、配列間の類似性に関して表現される。配列同一性は、パーセンテージ同一性(または類似性もしくは相同性)に関して測定されることが多い;そのパーセンテージが高いほど、その2つの配列はより似ている。エンドプラスミンポリペプチドのホモログまたはバリアントは、標準的な方法を用いてアラインメントされたとき、比較的高い程度の配列同一性を有る。
比較するために配列をアラインメントする方法は、当該分野で周知である。様々なプログラムおよびアラインメントアルゴリズムが:Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482,1981;Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.48:443,1970;Pearson and
Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444,1988;Higgins and Sharp,Gene 73:237,1988;Higgins and Sharp,CABIOS 5:151,1989;Corpetら、Nucleic Acids Research 16:10881,1988;およびPearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444,1988に記載されている。Altschulら、Nature Genet.6:119,1994には、配列アラインメント法および相同性の計算に関する詳細な考察が提供されている。
NCBIベーシックローカルアラインメントサーチツール(BLAST)(Altschulら、J.Mol.Biol.215:403,1990)は、配列解析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxと関連して使用するために、いくつかの供給源(National Center for Biotechnology Information(NCBI,Bethesda,MD)およびインターネット上を含む)から入手可能である。どのようにしてこのプログラムを用いて配列同一性を決定するのかの説明は、インターネット上のNCBIのウェブサイトにおいて入手可能である。
エンドプラスミンポリペプチドのホモログおよびバリアントは、代表的には、デフォルトのパラメータに設定されたNCBI Blast2.0,gapped blastpを用いたエンドプラスミンのアミノ酸配列との完全長のアラインメントに対してカウントされるとき、少なくとも75%、例えば、少なくとも80%の配列同一性を有することを特徴とする。約30アミノ酸より長いアミノ酸配列を比較する場合、デフォルトのパラメータ(11というギャップ存在コスト(gap existence cost)および1という1残基当たりのギャップコスト(per residue gap cost))に設定されたデフォルトのBLOSUM62行列を用いて、Blast2配列関数が使用される。短いペプチド(およそ30アミノ酸未満)をアラインメントするとき、そのアラインメントは、デフォルトのパラメータ(オープンギャップ9、伸長ギャップ1ペナルティ)に設定されたPAM30行列を使用するBlast2配列関数を用いて行われるべきである。参照配列に対してさらにより高い類似性を有するタンパク質は、この方法によって評価されるとき、高いパーセンテージ同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性)を示。全体の配列より小さい配列が、配列同一性のために比較されるとき、ホモログおよびバリアントは、代表的には、10〜20アミノ酸という狭い範囲にわたって少なくとも80%の配列同一性を有し、参照配列との類似性に応じて、少なくとも85%または少なくとも90%または95%の配列同一性を有し得る。そのような狭い範囲に対して配列同一性を測定するための方法は、インターネット上のNCBIウェブサイトにおいて利用可能である。当業者は、これらの配列同一性の範囲が、単に指針として提供されることを認識する;提供される範囲に入らない非常に有意なホモログを得ることができることも全く可能である。
特異的結合物質:規定された標的にしか実質的に結合しない物質。したがって、エンドプラスミン特異的結合物質は、実質的にエンドプラスミンポリペプチドに結合する物質である。1つの実施形態において、特異的結合物質は、エンドプラスミンに特異的に結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。
扁平上皮癌:皮膚、眼、様々な内部器官の表面、ならびにいくつかの腺の中空器官および管の裏打ちを形成する薄い平らな細胞である扁平上皮細胞から起こる、がんの1タイプ。扁平上皮癌は、類表皮癌腫とも称される。扁平上皮癌の1タイプは、頭頸部(head
and neck head)扁平上皮癌(HNSCC)である。頭頸部扁平上皮癌には、鼻腔、洞、口唇、口腔、唾液腺、のどおよび喉頭のがんが含まれる。HNSCCは、以下のとおりステージ分けされ得る:
ステージ0:腫瘍のエビデンスなし。
ステージI:腫瘍の最大径は、2cm以下である;領域リンパ節転移または遠隔転移のエビデンスなし。
ステージII:腫瘍は、2cmより大きいが4cm以下である;領域リンパ節転移または遠隔転移のエビデンスなし。
ステージIII:腫瘍は、4cmより大きい;場合によっては、腫瘍は、リンパ節に広が
っている;遠隔転移のエビデンスなし。
ステージIV:腫瘍は、リンパ節に広がっている;場合によっては、遠隔転移が存在する。
被験体:ヒト被験体と動物被験体(ヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む)の両方を含むカテゴリーである、生存している多細胞脊椎動物。
T細胞:免疫応答に絶対必要な白血球。T細胞としては、CD4T細胞およびCD8T細胞が挙げられるが、これらに限定されない。CD4Tリンパ球は、「分化クラスター4」(CD4)として知られるマーカーを表面上に保持する免疫細胞である。「ヘルパー」T細胞と呼ばれることが多いこれらの細胞は、抗体応答ならびにキラーT細胞応答を含む免疫応答を指揮するのを助ける。CD8T細胞は、「分化クラスター8」(CD8)マーカーを保持する。1つの実施形態において、CD8T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球である。別の実施形態において、CD8細胞は、サプレッサーT細胞である。
治療有効量:処置される被験体において所望の効果を達成するのに十分な特定の物質の量。例えば、これは、腫瘍の成長を阻害するかまたは抑制するのに必要な量であり得る。1つの実施形態において、治療有効量は、腫瘍を排除するかまたは転移の数もしくはサイズを減少させるのに必要な量である。被験体に投与されたときに、所望のインビトロ効果を達成すると示された標的組織濃度(例えば、腫瘍において)を達成る投与量が一般に使用される
毒素:細胞に対して細胞傷害性である分子。毒素には、アブリン、リシン、Pseudomonas外毒素(PE)、ジフテリア毒素(DT)、ボツリヌス毒素、サポリン、レストリクトシン(restrictocin)もしくはゲロニン(gelonin)またはそれらの改変された毒素が含まれる。例えば、PEおよびDTは、代表的には、肝臓毒性によって死をもたらす、高度に毒性の化合物である。しかしながら、PEおよびDTは、その毒素の天然の標的化構成要素(例えば、PEのドメインIaまたはDTのB鎖)を除去し、それを抗体などの異なる標的化部分で置き換えることによって、免疫毒素として使用するための形態に改変され得る。
形質導入:形質導入された細胞は、分子生物学の手法によって核酸分子を導入された細胞である。本明細書中で使用されるとき、形質導入という用語は、核酸分子をそのような細胞に導入し得るすべての手法(ウイルスベクターによるトランスフェクション、プラスミドベクターによる形質転換、ならびにエレクトロポレーション、リポフェクションおよびパーティクルガン法(particle gun acceleration)による裸のDNAの導入を含む)を包含する。
ベクター:宿主細胞に導入され、それにより、形質転換された宿主細胞をもたらす、核酸分子。ベクターは、宿主細胞においてその複製を可能にする核酸配列(例えば、複製起点)を含み得る。ベクターは、1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子および当該分野で公知の他の遺伝的エレメントも含み得る。
別段説明されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。単数形の用語「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、単語「または」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、「および」を含むと意図される。核酸またはポリペプチドに対して与えられたすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量または分子質量の値が、近似値であり、説明のために提供されていることが、さらに理解されるべきである。本明細書中に記載
される方法および材料と類似または等価の方法および材料が、本開示の実施または試験において使用され得るが、好適な方法および材料が、下記に記載される。用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献の全体が、参考として援用される。矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書が優先するものとする。さらに、その材料、方法および例は、単なる例示であって、限定すると意図されない。
III.エンドプラスミンに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体
完全ヒトモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体を含む、エンドプラスミン(Grp94)に特異的に結合する抗体が作製された。これらの抗体および/またはその抗原結合(antigen−biding)フラグメントは、エンドプラスミンを単離するために使用され得、エンドプラスミンを発現する腫瘍(例えば、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がんまたは膵がんであるがこれらに限定されない)を検出するためおよび/または処置するために使用され得る。これらの抗体は、検出可能な標識またはエフェクター分子に結合体化され得る。
1つの実施形態において、上記抗体は、グリコシル化されたエンドプラスミンに特異的に結合する。したがって、この実施形態において、それらの抗体は、グリコシル化されていないエンドプラスミン関係のない抗原に特異的に結合しない。
エンドプラスミンに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体およびその抗原結合フラグメントが本明細書中に開示される。1つの例において、ヒトエンドプラスミンは、以下に示されるようなアミノ酸配列を有する:
Figure 2013538042
配列番号5、本明細書中に参考として援用される、2010年6月16日において入手可能なGENBANK(登録商標)アクセッション番号NM_003299も参照のこと)。
別の例では、エンドプラスミンは、以下に示されるような核酸配列によってコードされる:
Figure 2013538042
配列番号6、本明細書中で参考として援用される、GENBANK(登録商標)アクセッション番号NM_003299、2010年6月16日も参照のこと。
当業者(Once of skill in the art)は、分子生物学における標準的な方法を用いてエンドプラスミンなどのポリペプチドを作製するために核酸配列を容易に使用することができる(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1−3,ed.Samb
rookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989を参照のこと)。本明細書中に記載される治療薬および抗体を用いて、当業者は、機能的に等価な核酸(例えば、配列が異なるが同じEMまたは抗体配列をコードする核酸)を含む種々のクローンを容易に構築することができる。したがって、本発明は、抗体ならびにその結合体および融合タンパク質をコードする核酸を提供する。
グリコシル化されたエンドプラスミンなどのヒトエンドプラスミンに特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体およびそのフラグメントが本明細書中に記載される。いくつかの実施形態において、そのヒトモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントは、scFvである。提供されるヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメント(ヒトエンドプラスミンに特異的に結合する)および薬学的に許容され得るキャリアを含む組成物も記載される。これらの抗体をコードする核酸、これらの核酸を含む発現ベクター、およびその核酸を発現する単離された宿主細胞もまた提供される。
ヒトエンドプラスミンに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む免疫結合体もまた本明細書中に記載される。その免疫結合体は、任意の治療薬、毒素または他の部分を含み得る。1つの例において、その毒素は、PEまたはそのバリアントもしくはフラグメントである。その免疫結合体を含む組成物も記載される。
エンドプラスミンに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物は、スクリーニング、研究、検出および治療の目的のために使用され得る。例えば、そのヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、競合イムノアッセイなどにおいて、エンドプラスミンに特異的に結合する他の抗体を識別するために使用され得る。
エンドプラスミンに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物は、がん(例えば、正常細胞と比べてエンドプラスミンの高発現を示すがん)と診断された被験体を処置するために使用され得る。例えば、その抗体は、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんを処置するために使用され得る。メラノーマには、拡散性メラノーマ、結節性黒色腫、末端部黒子様黒色腫および悪性黒子(メラノーマ)が含まれる。扁平上皮としては、頭頸部扁平上皮および肺の扁平上皮がんが挙げられるが、これらに限定されない。
上記エンドプラスミン抗体を含む組成物は、転移を予防するため、または微小転移の数(例えば、領域リンパ節への微小転移)を減少させるためにも使用され得る。そのエンドプラスミン抗体を含む免疫結合体は、がんを有すると診断された患者を処置するためにも使用され得る。そのヒトモノクローナル抗体は、被験体におけるがんを診断するため(転移の検出を含む)にも使用され得る。例えば、そのヒトモノクローナル抗体は、高レベルのエンドプラスミンを検出するために、患者由来のサンプル(例えば、血清サンプル)と接触され得る。本明細書中に提供される抗体および組成物は、被験体におけるがんを検出するため、または患者におけるがんの診断を確認するためにも使用され得る。
ヒトエンドプラスミンに特異的に結合する完全ヒトモノクローナル抗体およびエンドプラスミンに特異的に結合するその機能的フラグメント(抗原結合フラグメント)が本明細書中に開示される。マウスモノクローナル抗体を臨床で使用する際の主な限界は、その処置を受けた患者においてヒト抗マウス抗体(HAMA)応答が生じることである。HAMA応答は、アレルギー反応および投与された抗体が血清からクリアランスされる速度の上
昇を含み得る。親モノクローナル抗体の抗原結合親和性を維持するように試みつつ、HAMA応答を最小にする様々なタイプの改変モノクローナル抗体が開発されている。改変モノクローナル抗体の1タイプは、マウス抗原結合可変領域がヒト定常ドメインに連結されたヒト−マウスキメラである(Morrison and Schlom,Important Advances in Oncology,Rosenberg,S.A.(Ed.),1989)。改変モノクローナル抗体の第2のタイプは、相補性決定領域(CDR)が移植されたまたはヒト化されたモノクローナル抗体である(Winter and Harris,Immunol.Today 14:243−246,1993)。しかしながら、本明細書中に開示される抗体は、完全ヒト抗体であり;フレームワーク領域とCDRの両方が、ヒト配列に由来する。したがって、これらの抗体がヒト被験体に投与されるとき、HAMAは誘導されない。
いくつかの実施形態において、上記ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1として示される重鎖アミノ酸配列の可変鎖の少なくとも一部を含み、エンドプラスミンに特異的に結合する。例えば、そのヒトモノクローナル抗体は、SDR(特異性決定残基)、CDRまたは可変領域を含み得る。下記に示されるアミノ酸配列において、定常領域は太字であり、CDRには、下線が引かれている:
Figure 2013538042
いくつかの実施形態において、上記ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1として示される重鎖アミノ酸配列の少なくとも一部を含み、エンドプラスミンに特異的に結合する。いくつかの例において、その抗体の軽鎖のCDRの少なくとも1つは、配列番号1のアミノ酸26〜33(CDR1)、配列番号1のアミノ酸51〜58(CDR2)および配列番号1のアミノ酸97〜103(CDR3)として示されるアミノ酸配列のうちの1つ以上を含む。追加の例において、その抗体の重鎖は、配列番号1のアミノ酸26〜33(CDR1)、配列番号1のアミノ酸51〜58(CDR2)および配列番号1のアミノ酸97〜103(CDR3)として示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの例において、その抗体の重鎖の可変領域は、配列番号1のアミノ酸1〜113を含み得るか、またはそれからなり得る。その抗体の重鎖は、配列番号1を含み得るか、またはそれからなり得る。
いくつかの実施形態において、上記ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号2として示される軽鎖アミノ酸配列の可変領域の少なくとも一部を含み、エンドプラスミンに特異的に結合する。下記に示されるアミノ酸配列において、定常領域は太字であり、CDRには、下線が引かれている:
Figure 2013538042
いくつかの例において、その抗体の軽鎖のCDRのうちの少なくとも1つは、配列番号2のアミノ酸27〜32(CDR1)、配列番号2のアミノ酸50〜52(CDR2)および配列番号2のアミノ酸89〜97(CDR3)として示されるアミノ酸配列のうちの1つ以上を含む。追加の例において、その抗体の軽鎖は、配列番号2のアミノ酸アミノ酸27〜32(CDR1)、配列番号2のアミノ酸50〜52(CDR2)および配列番号2のアミノ酸89〜97(CDR3)を含む。その抗体の軽鎖の可変領域は、配列番号2のアミノ酸1〜107を含み得るか、またはそれからなり得る。その抗体の軽鎖は、配列番号2を含み得るか、またはそれからなり得る。
いくつかの実施形態において、上記ヒトモノクローナル抗体は、標識されている。いくつかの例において、その標識は、蛍光標識、酵素標識または放射性標識である。
上記モノクローナル抗体は、任意のアイソタイプであり得る。そのモノクローナル抗体は、例えば、IgA、IgMまたはIgG抗体(例えば、IgGまたはIgG)であり得る。エンドプラスミンに特異的に結合する抗体のクラスは、別のクラスにスイッチされ得る。1つの態様において、VまたはVをコードする核酸分子は、それぞれ軽鎖または重鎖の定常領域をコードするいかなる核酸配列も含まないように、当該分野で周知の方法を用いて単離される。次いで、VまたはVをコードする核酸分子は、異なるクラスの免疫グロブリン分子由来のCまたはCをコードする核酸配列に作動可能に連結される。これは、当該分野で公知であるように、CまたはC鎖を含むベクターまたは核酸分子を用いて達成され得る。例えば、本来IgMだったエンドプラスミンに特異的に結合する抗体が、IgGにクラススイッチされ得る。クラススイッチは、1つのIgGサブクラスを別のサブクラスに(例えば、IgGからIgGに)変換するために使用され得る。
完全ヒトモノクローナル抗体は、ヒトフレームワーク領域を含む。そのヒトフレームワーク領域は、配列番号1または配列番号2(これらの配列は、CDR配列ならびにフレームワーク配列を含む)の一方または両方に開示されるフレームワーク領域を含み得る。しかしながら、それらのフレームワーク領域は、別の起源由来であることもできる。使用され得るフレームワーク配列の追加の例としては、本明細書中に参考として援用されるPCT公開番号WO2006/074071(例えば、配列番号1〜16を参照のこと)に開示されている重鎖および軽鎖のアミノ酸フレームワーク配列が挙げられる。
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、エンドプラスミン上のエピトープ決定基に結合する抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)、scFvおよびFv)が、本開示によって包含される。これらの抗体フラグメントは、その抗原、すなわち、ヒトエンドプラスミンに特異的に結合する能力を保持し、ゆえに、それは、抗原結合フラグメントである。これらのフラグメントとしては:
(1)Fab(抗体分子の一価の抗原結合フラグメントを含み、ホール抗体をパパイン酵素で消化することによって作製され、インタクトな軽鎖および一方の重鎖の一部をもたらすことができる、フラグメント);
(2)Fab’(抗体分子のこのフラグメントは、ホール抗体をペプシンで処理した後、還元することにより得られ、インタクトな軽鎖および重鎖の一部をもたらすことができる;抗体分子1つあたり2つのFab’フラグメントが得られる);
(3)(Fab’)(ホール抗体をペプシン酵素で処理することによって(その後の還元は行わない)得ることができる、抗体のフラグメント;F(ab’)は、2つのジスルフィド結合によって保持される2つのFab’フラグメントの二量体である);
(4)Fv(2本の鎖として発現される軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む遺伝的に操作されたフラグメント);および
(5)単鎖抗体(例えば、scFv)(遺伝的に融合された一本鎖分子として、好適なポリペプチドリンカーによって連結された軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む、遺伝的に操作された分子として定義される)
(6)単鎖抗体の二量体(scFV)(scFVの二量体として定義され、これは「ミニ抗体」とも呼ばれる)
が挙げられる。
これらのフラグメントを作製する方法は、当該分野で公知である(例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1988を参照のこと)。
実施形態のさらなる群において、上記抗体は、代表的には、約25kDaであり、各重鎖および各軽鎖あたり3つのCDRとともに完全な抗原結合部位を含む、Fv抗体である。これらの抗体を作製するために、VおよびVは、宿主細胞において2つの個別の核酸構築物から発現され得る。VおよびVは、隣接せずに発現される場合、Fv抗体の鎖は、代表的には、非共有結合性の相互作用によって保持される。しかしながら、これらの鎖は、希釈されると解離する傾向があるので、グルタルアルデヒド、分子間ジスルフィドまたはペプチドリンカーによってそれらの鎖を架橋する方法が開発されている。したがって、1つの例において、Fvは、ジスルフィド安定化Fv(dsFv)であり得、ここで、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、ジスルフィド結合によって化学的に連結されている。
追加の例において、Fvフラグメントは、ペプチドリンカーによって接続されたV鎖およびV鎖を含む。これらの単鎖抗原結合タンパク質(scFv)は、オリゴヌクレオチドによって接続されたVドメインおよびVドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製される。その構造遺伝子は、発現ベクターに挿入され、それは、続いて大腸菌などの宿主細胞に導入される。その組換え宿主細胞は、2つのVドメインを橋架けするリンカーペプチドを有する単一のポリペプチド鎖を合成する。scFvを作製するための方法は、当該分野で公知である(Whitlowら、Methods:a Companion to Methods in Enzymology,Vol.2,97頁,1991;Birdら、Science 242:423,1988;米国特許第4,946,778号;Packら、Bio/Technology 11:1271,1993;およびSandhu,前出を参照のこと)。単鎖抗体の二量体(scFV)もまた企図される。
抗体フラグメントは、抗体のタンパク分解性加水分解によって、またはそのフラグメントをコードするDNAの大腸菌内での発現によって、調製され得る。抗体フラグメントは、従来の方法によるホール抗体のペプシン消化またはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体フラグメントは、ペプシンによる抗体の酵素的切断によって生成され、それにより、F(ab’)と表される5Sフラグメントがもたらされ得る。このフラグメントは、チオール還元剤、および必要に応じて、ジスルフィド結合の切断から生じる
スルフヒドリル基に対するブロック基を用いてさらに切断され、それにより、3.5S Fab’一価フラグメントがもたらされ得る。あるいは、ペプシンを用いた酵素的切断は、2つの一価Fab’フラグメントおよびFcフラグメントを直接生成する(米国特許第4,036,945号および米国特許第4,331,647号ならびにそれらに含まれている参考文献;Nisonhoffら、Arch.Biochem.Biophys.89:230,1960;Porter,Biochem.J.73:119,1959;Edelmanら、Methods in Enzymology,Vol.1,422頁,Academic Press,1967;ならびにColiganらの2.8.1−2.8.10および2.10.1−2.10.4項を参照のこと)。
それらのフラグメントが、インタクトな抗体によって認識される抗原に結合する限り、抗体を切断する他の方法(例えば、一価の軽鎖−重鎖フラグメントを形成する重鎖の分離、フラグメントのさらなる切断、または他の酵素的、化学的もしくは遺伝的手法)も使用してよい。
当業者は、ヒトエンドプラスミンに特異的に結合する抗体の保存的バリアントが作製され得ることを了解する。dsFvフラグメントまたはscFvフラグメントなどの抗体フラグメントにおいて使用されるそのような保存的バリアントは、正しいフォールディングおよびV領域とV領域との間の安定化のために必要とされる不可欠なアミノ酸残基を保持し、その分子の低pIおよび低毒性を保つために残基の電荷特性を保持する。収量を高めるために、アミノ酸置換(例えば、多くとも1つ、多くとも2つ、多くとも3つ、多くとも4つ、または多くとも5つのアミノ酸置換)が、VおよびV領域において行われ得る。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的アミノ酸置換表は、当業者に周知である。以下の6つの群が、互いに保存的置換であると考えられるアミノ酸の例である:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
IV.治療用部分および診断用部分における使用
ヒトエンドプラスミンに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその機能的フラグメントは、治療方法および診断方法(例えば、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんの処置および検出のための方法)において使用され得る。治療的に使用する場合、それらの方法は、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がん(例えば、膵臓腺癌)の処置などのために、エンドプラスミンに特異的に結合する治療有効量の抗体またはその抗原結合フラグメントを被験体に投与する工程を包含し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、治療薬に結合体化され得る。免疫結合体としては、抗体への治療薬の共有結合が存在する分子が挙げられるが、これらに限定されない。治療薬は、特定の標的分子または標的分子を有する細胞に向けられた特定の生物学的活性を有する薬剤である。当業者は、治療薬が、様々な薬物(例えば、ビンブラスチン、ダウノマイシンなど)、細胞毒(例えば、天然のまたは改変されたPseudomonas外毒素またはジフテリア毒素)、それ自体が薬理学的組成物を含む被包剤(例えば、リポソーム)、放射性物質(例えば、125I、32P、14C、Hおよび35S)ならびに他の標識、標的部分およびリガンドを含み得ることを認識する。
本明細書中に記載されるエンドプラスミン特異的ヒトモノクローナル抗体およびその抗原結合フラグメントと共に毒素を使用することにより、免疫毒素が作製され得る。例示的な毒素としては、リシン、アブリン、ジフテリア毒素およびそのサブユニット、ならびにボツリヌス毒素A〜Fが挙げられる。これらの毒素は、商業的供給源(例えば、Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)から容易に入手可能である。企図される毒素には、本明細書中に記載される毒素のバリアントも含まれる(例えば、米国特許第5,079,163号および同第4,689,401号を参照のこと参照のこと)。1つの実施形態において、毒素は、Pseudomonas外毒素(PE)(米国特許第5,602,095号)である。本明細書中で使用されるとき、「Pseudomonas外毒素」とは、天然の(天然に存在する)完全長PEまたは改変されたPEのことを指す。そのような改変としては、ドメインIaの除去、ドメインIb、IIおよびIIIにおける様々なアミノ酸欠失、単一アミノ酸置換、ならびにカルボキシル末端における1つ以上の配列の付加が挙げられ得るが、これらに限定されない(例えば、Siegallら、J.Biol.Chem.264:14256−14261,1989を参照のこと)。1つの実施形態において、PEの細胞傷害性フラグメントは、天然のPEの少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%または少なくとも95%の細胞傷害性を保持する。いくつかの例において、その細胞傷害性フラグメントは、天然のPEよりも毒性である。
天然のPseudomonas外毒素A(PE)は、真核細胞におけるタンパク質合成を阻害する、Pseudomonas aeruginosaによって分泌される極めて活性な単量体タンパク質(分子量66kD)である。PEの作用方法は、伸長因子2(EF−2)のADP−リボシル化の不活性化である。その外毒素は、細胞傷害性を引き起こすように協調する3つの構造ドメインを含む。ドメイン1aは、細胞結合を媒介する。ドメインIIは、サイトゾルへの移行に関与し、ドメインIIIは、伸長因子2のADPリボシル化を媒介する。ドメインIbの機能は、不明である。本明細書中に記載されるモノクローナル抗体とともに使用されるPEには、天然の配列、天然の配列の細胞傷害性フラグメント、ならびに天然のPEの保存的に改変されたバリアントおよびその細胞傷害性フラグメントが含まれ得る。PEの細胞傷害性フラグメントには、標的細胞におけるその後のタンパク分解性プロセシングまたは他のプロセシングありまたはなしで細胞傷害性であるフラグメントが含まれる。PEの細胞傷害性フラグメントには、PE40、PE38およびPE35が含まれる。PEおよびそのバリアントのさらなる説明については、例えば、米国特許第4,892,827号;同第5,512,658号;同第5,602,095号;同第5,608,039号;同第5,821,238号;および同第5,854,044号;PCT公開番号WO99/51643;Paiら、Proc.Natl Acad.Sci.USA 88:3358−3362,1991;Kondoら、J.Biol.Chem.263:9470−9475,1988;Pastanら、Biochim.Biophys.Acta 1333:C1−C6,1997(これらの各々が、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
本明細書中に記載される抗体およびその抗原結合フラグメントは、任意の数の異なる診断用化合物または治療用化合物を、表面上にエンドプラスミンを発現している細胞に標的化するためにも使用され得る。したがって、本開示の抗体は、細胞表面エンドプラスミンを発現している細胞に直接送達されるべき薬物に直接またはリンカーを介して結合され得る。治療薬としては、核酸、タンパク質、ペプチド、アミノ酸もしくは誘導体、糖タンパク質、放射性同位体、脂質、炭水化物または組換えウイルスのような化合物が挙げられる。核酸の治療用部分および診断用部分には、アンチセンス核酸、一本鎖または二重鎖DNAとの共有結合性架橋用の誘導体化オリゴヌクレオチド、および三重鎖形成オリゴヌクレオチドが含まれる。
あるいは、抗エンドプラスミン抗体に連結される分子は、被包系(例えば、治療用組成物(例えば、薬物、核酸(例えば、アンチセンス核酸)を含むリポソームまたはミセル)、または好ましくは循環系への直接的な露出を遮蔽された別の治療用部分)であり得る。抗体に結合されたリポソームを調製する手段は、当業者に周知である(例えば、米国特許第4,957,735号;Connorら、Pharm.Ther.28:341−365,1985を参照のこと)。
本明細書中に開示される抗体は、さらなる治療薬に結合体化され得、そして/または逐次投与もしくは同時投与を用いて追加の薬剤(addition agent)とともに使用され得る。特定の治療薬の選択は、特定の標的分子または標的細胞、および所望の生物学的作用に依存する。したがって、例えば、その治療薬は、特定の標的細胞の死をもたらすために使用される細胞毒であり得る。逆に、非致死性の生物学的応答の惹起が望まれる場合、その治療薬は、非致死性の薬理学的物質、または非致死性の薬理学的物質を含むリポソームに結合体化され得る。
上記治療薬は、サイトカインまたはケモカインでもあり得る。「サイトカイン」は、細胞間のメディエーターとして別の細胞に作用する、1つの細胞集団によって放出されるタンパク質またはペプチドのクラスである。サイトカインは、免疫調節物質として作用し得る。サイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、成長因子および従来のポリペプチドホルモンが挙げられる。したがって、実施形態は、インターフェロン(例えば、IFN−α、IFN−βおよびIFN−γ);腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFSF)メンバー;ヒト成長ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH);甲状腺刺激ホルモン(TSH);黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;プロスタグランジン、線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトーゲン、OBタンパク質;TNF−α;TNF−β;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−βなどの神経成長因子;血小板成長因子;TGF−α;TGF−β;インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリトロポイエチン(EPO);マクロファージ−CSF(M−CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF);ならびに顆粒球−CSF(G−CSF);インターロイキン(IL−1〜IL−21)、kit−リガンドもしくはFLT−3、アンジオスタチン、トロンボスポンジンまたはエンドスタチンを利用する。これらのサイトカインには、天然の起源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質、および天然配列のサイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
ケモカインもまた、本明細書中に開示される抗体に結合体化され得る。ケモカインは、主に化学誘引物質および特定の白血球細胞サブタイプのアクチベーターとして作用する小型(およそ約4〜約14kDa)の誘導性の分泌型炎症促進性サイトカインのスーパーファミリーである。ケモカインの産生は、炎症性サイトカイン、成長因子および病原性の刺激によって誘導される。ケモカインタンパク質は、保存されたアミノ酸配列モチーフに基づいてサブファミリー(アルファ、ベータおよびデルタ)に分けられ、アミノ末端に隣接する最初の2つのシステインの位置に基づいて4つの高度に保存された群(CXC、CC、CおよびCX3C)に分類される。現在までに、50を超えるケモカインが発見されており、少なくとも18個のヒト7回膜貫通ドメイン(7TM)ケモカインレセプターが存在する。有用なケモカインとしては、RANTES、MCAF、MCP−1およびフラクタルカインが挙げられるが、これらに限定されない。
上記治療薬は、化学療法因子であり得る。1つの実施形態において、その化学療法因子は、放射性分子である。当業者は、有用な化学療法因子を容易に特定することができる(例えば、Harrison’s Principles of Internal Me
dicine,14th editionにおけるSlapak and Kufe,Principles of Cancer Therapy,Chapter 86;Abeloff,Clinical Oncology 2nd ed.,(著作権)2000 Churchill Livingstone,IncにおけるPerryら、Chemotherapy,Ch.17;Baltzer L.,Berkery R.(eds):Oncology Pocket Guide to Chemotherapy,2nd ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1995;Fischer DS,Knobf MF,Durivage HJ(eds):The
Cancer Chemotherapy Handbook,4th ed.St.Louis,Mosby−Year Book,1993を参照のこと)。化学療法因子には、当業者に公知であるもの(5−フルオロウラシル(5−FU)、アザチオプリン、シクロパミン、シクロホスファミド、代謝拮抗物質(例えば、フルダラビン)、抗悪性腫瘍薬(例えば、エトポシド、ドキソルビシン、メトトレキサートおよびビンクリスチン)、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、テモゾロド、PARPインヒビターおよびタキサン(例えば、タキソール)が挙げられるがこれらに限定されない)が含まれる。ラパマイシンもまた、化学療法因子として使用されている。
エフェクター分子(例えば、放射性ヌクレオチド、サイトカイン、ケモカインおよび化学療法因子であるがこれらに限定されない)は、当業者に公知の任意の数の手段を用いて、目的の抗体に連結され得る。共有結合性の結合手段と非共有結合性の結合手段の両方を使用してよい。エフェクター分子を抗体に結合させるための手順は、エフェクターの化学構造に応じて変化する。ポリペプチドは、代表的には、抗体上の好適な官能基との反応のために利用可能な種々の官能基;例えば、カルボン酸(COOH)、遊離アミン(−NH)またはスルフヒドリル(−SH)基を含み、それにより、エフェクター分子の結合がもたらされる。あるいは、抗体は、さらなる反応性の官能基を露出するためにまたは結合するために誘導体化される。その誘導体化は、いくつかのリンカー分子(例えば、Pierce Chemical Company,Rockford,ILから入手可能なもの)のうちのいずれかの結合を含み得る。そのリンカーは、抗体をエフェクター分子に接続するために使用される任意の分子であり得る。そのリンカーは、抗体とエフェクター分子の両方と共有結合を形成することができる。好適なリンカーは、当業者に周知であり、それらとしては、直鎖もしくは分枝鎖の炭素リンカー、複素環式炭素リンカーまたはペプチドリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。抗体およびエフェクター分子がポリペプチドである場合、リンカーは、その側基を介して(例えば、システインとのジスルフィド結合を介して)、構成要素であるアミノ酸に、または末端のアミノ酸のアルファ炭素アミノ基およびカルボキシル基に、接続され得る。
いくつかの状況では、免疫結合体がその標的部位に達したときに、エフェクター分子が抗体から取り除かれることが望ましい。それゆえ、これらの状況では、免疫結合体は、標的部位の近傍で切断可能な結合を含。抗体からエフェクター分子を放出するリンカーの切断は、酵素活性、または免疫結合体が標的細胞内もしくは標的部位の近傍において供される条件によって促され得る。
種々の放射性診断化合物、放射性治療化合物、標識(例えば、酵素または蛍光分子)薬物、毒素、ポリペプチドおよび他の物質を抗体に結合させることについて報告されている多数の方法に照らして、当業者は、所与の物質を抗体または他のポリペプチドに結合させるために適した方法を決定することができる。
本明細書中に開示されるエンドプラスミンに特異的に結合する抗体または抗体フラグメントは、誘導体化され得るか、または別の分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に連結され得る。一般に、それらの抗体またはその一部は、エンドプラスミンへの結合
が誘導体化または標識によって悪影響を受けないように、誘導体化される。例えば、その抗体は、1つ以上の他の分子実体(例えば、別の抗体(例えば、二重特異性抗体またはダイアボディ)、検出物質、医薬品、および/またはその抗体もしくは抗体部分と別の分子(例えば、ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグ)との会合を媒介し得るタンパク質もしくはペプチドに機能的に連結され得る(化学的結合、遺伝的融合、非共有結合性会合またはその他によって)。
誘導体化抗体の1タイプは、2つ以上の抗体(二重特異性抗体を作製するような、同じタイプまたは異なるタイプの抗体)を架橋することによって作製される。好適な架橋剤としては、適切なスペーサーによって分離された2つの識別可能で反応性の基を有するヘテロ二官能性である架橋剤(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、またはホモ二官能性である架橋剤(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)が挙げられる。そのようなリンカーは、Pierce Chemical Company,Rockford,Illから入手可能である。
エンドプラスミンを検出するための方法(エンドプラスミンを発現している細胞(例えば、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんの細胞)を検出するための方法を含む)が、本明細書中に提供される。これらの方法は、被験体由来のサンプルを、本明細書中に開示されるようなエンドプラスミンに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させる工程を包含し得る。その方法は、原発腫瘍を検出するために使用され得るか、または転移を検出するために使用され得る。
いくつかの実施形態において、被験体におけるがんを検出するためまたはがんの診断を確認するための方法が提供される。その方法は、被験体由来の生物学的サンプルを、エンドプラスミンに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させる工程、および単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントとサンプルとの結合を検出する工程を包含する。単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントとコントロールサンプルとの結合と比較したときの、単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントと上記サンプルとの結合の増加は、その被験体におけるがんを検出するか、またはその被験体におけるがんの診断を確認する。そのコントロールは、がんを有しないと判明している被験体由来のサンプル、または標準的な値であり得る。
上記サンプルは、任意のサンプルであり得、それらとしては、バイオプシー、オートプシーおよび病理検体由来の組織が挙げられるがこれらに限定されない。生物学的サンプルには、組織の切片、例えば、組織学的目的のために採取された凍結切片も含まれる。生物学的サンプルには、さらに、血液、血清、血漿、痰および髄液などの体液が含まれる。
いくつかの実施形態において、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体(一次抗体(first antibody))は、標識されておらず、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体に結合し得る二次抗体または他の分子が、標識されている。当業者に周知であるように、特定の種およびクラスの一次抗体に特異的に結合できる二次抗体が選択される。例えば、一次抗体がヒトIgGである場合、二次抗体は、抗ヒトIgGであり得る。抗体に結合し得る他の分子としては、プロテインAおよびプロテインG(この両方ともが商業的に入手可能である)が挙げられるがこれらに限定されない。
エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントは、検出可能な部分で標識され得る。有用な検出物質としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニル(
napthalenesulfonyl)クロリド、フィコエリトリン、ランタニド燐光体などをはじめとした蛍光性の化合物が挙げられる。ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)などの生物発光マーカーもまた有用である。抗体は、検出に有用な酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼなど)でも標識され得る。抗体が検出可能な酵素で標識されるとき、識別され得る反応産物を産生するためにその酵素が使用する追加の試薬を加えることによってその抗体は検出され得る。例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼという物質が存在するとき、過酸化水素およびジアミノベンジジンを加えることにより、視覚的に検出可能な有色の反応産物がもたらされる。抗体は、ビオチンでも標識され得、そしてそれは、アビジンまたはストレプトアビジンの結合を間接的に測定することによって検出され得る。アビジン自体が、酵素または蛍光標識で標識され得ることに注意すべきである。
抗体は、ガドリニウムなどの磁性物質で標識され得る。抗体は、ランタニド(例えば、ユウロピウムおよびジスプロシウム)およびマンガンでも標識され得る。超常磁性酸化鉄などの常磁性粒子もまた、標識として有用である。抗体は、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)でも標識され得る。いくつかの実施形態において、標識は、潜在的な立体障害を減少させるために様々な長さのスペーサーアームによって結合される。
抗体は、放射標識されたアミノ酸でも標識され得る。その放射標識は、診断目的と治療目的の両方のために使用され得る。例えば、その放射標識は、X線、発光スペクトル、磁気共鳴画像(MRI)、コンピュータ(commuted)断層撮影(CT)スキャン、ポジトロン放出断層撮影(PET)または他の診断法によって、エンドプラスミンを検出するために使用され得る。ポリペプチドに対する標識の例としては、以下の放射性同位体または放射性ヌクレオチド:35S、11C、13N、15O、18F、19F、99mTc、131I、H、14C、15N、90Y、99Tc、111Inおよび125Iが挙げられるが、これらに限定されない。
また、抗体は、化学基(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、メチル基もしくはエチル基または炭水化物基)を用いて誘導体化され得る。これらの基は、その抗体の生物学的特徴を改善するため(例えば、血清半減期を延長するため、または組織結合性を高めるため)に有用であり得る。
また、本明細書中に記載される抗体は、検出可能な標識に共有結合的または非共有結合的に連結され得る。そのように使用するのに適した検出可能な標識には、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的な手段によって検出可能な任意の組成物が含まれる。有用な標識としては、磁気ビーズ、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射標識(例えば、H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAにおいて通常使用されるその他のもの)および比色標識(例えば、コロイド金または色ガラス)、またはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)のビーズが挙げられる。これらの抗体は、蛍光励起細胞分取(FACS)、免疫組織化学、放射免疫アッセイ(RIA)および酵素結合免疫吸着測定法(enzyme−linked immunosorbant assays)(ELISA)をはじめとした種々のイムノアッセイにおいて使用され得る。
そのような標識を検出する手段は、当業者に周知である。したがって、例えば、放射標
識は、写真フィルムまたはシンチレーションカウンターを用いて検出され、蛍光マーカーは、光検出器を用いて検出されることにより、放射された照度が検出され得る。酵素標識は、代表的には、その酵素に基質を提供し、その基質に対する酵素の作用によって産生された反応産物を検出することによって検出され、比色標識は、単純に有色の標識を可視化することによって検出される。
1つの実施形態において、血液サンプルなどの生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出するためのキットが提供される。ポリペプチドを検出するためのキットは、代表的には、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗体のいずれか)を備える。いくつかの実施形態において、Fvフラグメントなどの抗体フラグメントが、そのキットに含められる。インビボで使用するために、その抗体は、scFvフラグメントであり得る。さらなる実施形態において、その抗体は、標識されている(例えば、蛍光標識、放射標識または酵素標識で)。
1つの実施形態において、キットは、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体を使用する手段を開示している指示材料を備える。その指示材料は、書面、電子的形態(例えば、コンピュータディスケットまたはコンパクトディスク)、または視覚によるもの(例えば、ビデオファイル)であり得る。そのキットは、そのキットが意図されている特定の用途を容易にする追加の構成要素も備え得る。したがって、例えば、そのキットは、標識を検出する手段(例えば、酵素標識に対する酵素基質、蛍光標識を検出するためのフィルターセット、二次抗体などの適切な二次標識など)をさらに備え得る。そのキットは、特定の方法を実施するために日常的に使用されるバッファーおよび他の試薬をさらに備え得る。そのようなキットおよび適切な内容物は、当業者に周知である。
1つの実施形態において、診断キットは、イムノアッセイを含む。イムノアッセイの詳細は、使用される特定の形式によって変化し得るが、生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出する方法は、通常、免疫学的に反応性の条件下でエンドプラスミンと特異的に反応する抗体とその生物学的サンプルとを接触させる工程を包含する。その抗体は、免疫学的に反応性の条件下で特異的に結合することが可能になることで免疫複合体を形成し、その免疫複合体(結合した抗体)の存在が、直接または間接的に検出される。
V.エンドプラスミン抗体のポリヌクレオチドおよびポリペプチド
本明細書中に提供されるポリペプチド(抗体、その抗原結合フラグメント、免疫結合体および融合タンパク質を含むがこれらに限定されない)をコードする核酸分子(ポリヌクレオチドとも称される)は、本明細書中に提供されるアミノ酸配列、当該分野において入手可能な配列および遺伝暗号を用いて、当業者によって容易に作製され得る。さらに、当業者は、機能的に等価な核酸(例えば、配列が異なるが同じエフェクター分子または抗体配列をコードする核酸)を含む種々のクローンを容易に構築することができる。したがって、抗体、結合体および融合タンパク質をコードする核酸が、本明細書中に提供される。
いくつかの実施形態において、エンドプラスミンヒトモノクローナル抗体は、配列番号3を含むヌクレオチド配列によってコードされるVドメインを有する。いくつかの実施形態において、エンドプラスミンヒトモノクローナル抗体は、配列番号4を含むヌクレオチド配列によってコードされるVドメインを有する。例示的な核酸配列は、下記に提供される:
Figure 2013538042
Figure 2013538042
エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはエンドプラスミンに特異的に結合するその抗原結合フラグメントをコードする核酸配列は、例えば、適切な配列のクローニ
ング、またはNarangら、Meth.Enzymol.68:90−99,1979のホスホトリエステル法;Brownら、Meth.Enzymol.68:109−151,1979のホスホジエステル法;Beaucageら、Tetra.Lett.22:1859−1862,1981のジエチルホスホルアミダイト法;例えば、Needham−VanDevanterら、Nucl.Acids Res.12:6159−6168,1984に記載されているように、例えば自動合成装置を用いた、Beaucage&Caruthers,Tetra.Letts.22(20):1859−1862,1981に記載されている固相ホスホルアミダイトトリエステル法;および米国特許第4,458,066号の固体支持体法などの方法による直接的な化学的合成を含む任意の好適な方法によって調製され得る。化学的合成は、一本鎖のオリゴヌクレオチドを生成する。これは、相補的な配列とのハイブリダイゼーション、またはその一本鎖を鋳型として使用してDNAポリメラーゼを用いた重合によって二本鎖DNAに変換され得る。当業者は、DNAの化学的合成が、通常、約100塩基の配列に限定されるが、それより長い配列は、より短い配列のライゲーションによって得られる場合があることを認識することになる
エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはエンドプラスミンに特異的に結合するその機能的フラグメントをコードする例示的な核酸は、クローニング法によって調製され得る。適切なクローニング法および配列決定法の例、ならびに多くのクローニングの実施を通じて当業者を導くのに十分な指示は、Sambrookら、前出、Berger
and Kimmel(eds.),前出およびAusubel,前出に見られる。生物学的試薬および実験機器の製造者からの製品情報もまた、有用な情報を提供する。そのような製造者としては、SIGMA Chemical Company(Saint Louis,MO)、R&D Systems(Minneapolis,MN)、Pharmacia Amersham(Piscataway,NJ)、CLONTECH
Laboratories,Inc.(Palo Alto,CA)、Chem Genes Corp.、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)、Glen Research,Inc.、GIBCO BRL Life Technologies,Inc.(Gaithersburg,MD)、Fluka Chemica−Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG,Buchs,Switzerland)、Invitrogen(Carlsbad,CA)およびApplied Biosystems(Foster City,CA)ならびに当業者に公知の他の多くの商業的供給源が挙げられる。
天然のエフェクター分子(EM)または抗エンドプラスミン抗体をコードする核酸は、本開示のEM、抗体または免疫結合体を形成するために改変され得る。部位特異的変異誘発による改変が、当該分野で周知である。核酸は、増幅法によっても調製され得る。増幅法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写ベースの増幅系(TAS)、自家持続配列複製法(3SR)が挙げられる。多種多様のクローニング法、宿主細胞およびインビトロ増幅法が、当業者に周知である。
1つの実施形態において、免疫結合体は、ヒトエンドプラスミン特異的モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするcDNAを、EMをコードするcDNAを含むベクターに挿入することによって調製される。その挿入は、その抗体およびEMが、機能的な抗体領域および機能的なEM領域を含む1つの連続したポリペプチドとしてインフレームで読まれるように、行われる。1つの実施形態において、EM、標識または酵素をコードするcDNAは、そのEM、標識または酵素が抗体のカルボキシル末端に配置されるように、その抗体にライゲートされる。別の実施形態において、そのEM、標識または酵素は、抗体のアミノ末端に配置される。別の例では、EM、標識または酵素をコードするcDNAは、そのEM、標識または酵素が重鎖可変領域のカルボキシル末端に配
置されるように、抗体の重鎖可変領域にライゲートされる。続いて、その重鎖可変領域は、ジスルフィド結合を用いてその抗体の軽鎖可変領域にライゲートされ得る。なおも別の例では、EM、標識または酵素をコードするcDNAは、そのEM、標識または酵素が軽鎖可変領域のカルボキシル末端に配置されるように、抗体の軽鎖可変領域にライゲートされる。続いて、その軽鎖可変領域は、ジスルフィド結合を用いてその抗体の重鎖可変領域にライゲートされ得る。
いったん、EM、抗エンドプラスミン抗体、その抗原結合フラグメントまたは免疫結合体をコードする核酸が単離され、クローニングされると、組換え的に操作された細胞(例えば、細菌、植物、酵母、昆虫および哺乳動物の細胞)において所望のタンパク質が発現され得る。当業者は、大腸菌、他の細菌宿主、酵母および様々な高等真核細胞(例えば、COS、CHO、HeLaおよびミエローマ細胞株)を含む、タンパク質の発現のために利用可能な数多くの発現系に精通していると予想される。
上記抗体またはそのフラグメントをコードする1つ以上のDNA配列は、好適な宿主細胞にDNAを移行させることによってインビトロにおいて発現され得る。その細胞は、原核生物または真核生物の細胞であり得る。その用語は、対象の宿主細胞の任意の子孫も包含する。複製中に生じる変異が存在し得るので、すべての子孫が親細胞と同一でない可能性があることが理解される。安定的な移行(外来DNAが宿主において持続的に維持されることを意味する)の方法は、当該分野で公知である。目的の抗体を発現するハイブリドーマもまた、本開示によって包含される。
本明細書中に記載される単離された抗体および抗体フラグメントをコードする核酸の発現は、DNAまたはcDNAを異種プロモーター(構成的または誘導性である)に作動可能に連結した後、それを発現カセットに組み込むことによって達成され得る。それらのカセットは、原核生物または真核生物における複製および組み込みに好適であり得る。代表的な発現カセットは、上記タンパク質をコードするDNAの発現の制御に有用な特定の配列を含む。例えば、その発現カセットは、適切なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーターおよび翻訳ターミネーター、開始配列、タンパク質をコードする遺伝子の前に存在する開始コドン(すなわち、ATG)、イントロンに対するスプライシングシグナル、mRNAの適正な翻訳を可能にするその遺伝子の正しい読み枠の維持、および終止コドンを含み得る。
クローニングされた遺伝子の高レベルの発現を得るために、転写を指示する強力なプロモーター、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、および転写/翻訳ターミネーターを最低限含む発現カセットを構築することが望ましい。大腸菌の場合、これは、プロモーター(例えば、T7、trp、lacまたはラムダプロモーター)、リボソーム結合部位、および好ましくは転写終結シグナルを含む。真核細胞の場合、調節配列は、例えば、免疫グロブリン遺伝子、SV40またはサイトメガロウイルスに由来する、プロモーターおよび/またはエンハンサー、ならびにポリアデニル化配列を含み得、さらにスプライスドナー配列およびアクセプター配列を含み得る。上記カセットは、周知の方法(例えば、大腸菌の場合は形質転換またはエレクトロポレーション、および哺乳動物細胞の場合はリン酸カルシウム処理、エレクトロポレーションまたはリポフェクション)によって、選択された宿主細胞に移入され得る。それらのカセットによって形質転換された細胞は、そのカセットに含まれる遺伝子(例えば、amp、gpt、neoおよびhyg遺伝子)によって付与された抗生物質に対するmによって選択され得る。
宿主が真核生物であるとき、上記のようなリン酸カルシウム共沈物としてのDNAのトランスフェクションの方法、従来の機械的手順(例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソームに包まれたプラスミドの挿入)またはウイルスベクタ
ーが使用され得る。また、真核細胞は、抗体、標識された抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチド配列と、選択可能な表現型をコードする第2の外来DNA分子(例えば、単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子)とで形質転換され得る。別の方法は、真核生物ウイルスベクター(例えば、サルウイルス40(SV40)またはウシパピローマウイルス)を使用することにより、真核細胞を一過性に感染させるかまたは形質転換し、タンパク質を発現させる(例えば、Eukaryotic Viral
Vectors,Cold Spring Harbor Laboratory,Gluzman ed.,1982を参照のこと)。当業者は、発現系(例えば、高等真核細胞(例えば、COS、CHO、HeLaおよびミエローマ細胞株)を含む細胞においてタンパク質を産生する際に有用なプラスミドおよびベクター)を容易に使用することができる。
本明細書中に記載されるポリペプチド(すなわち、ヒトエンドプラスミン特異的モノクローナル抗体またはその抗体を含む免疫結合体)をコードする核酸に対して、その生物学的活性を低下させずに、改変が行われ得る。いくつかの改変は、標的化分子のクローニング、発現または融合タンパク質への組み込みを促進するように行われ得る。そのような改変は、当業者に周知であり、それらとしては、例えば、終止コドン、開始部位を提供するためにアミノ末端に付加されるメチオニン、好都合に配置される制限酵素認識部位を作製するためにいずれかの末端に配置される追加のアミノ酸、または精製工程において役立つ追加のアミノ酸(例えば、ポリHis)が挙げられる。組換え法に加えて、本開示の免疫結合体、エフェクター部分および抗体は、当該分野で周知の標準的なペプチド合成法を用いることによっても、全体的にまたは部分的に構築され得る。
組換え免疫結合体、抗体および/またはエフェクター分子は、いったん発現されると、当該分野の標準的な手順(硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィーなどを含む)に従って精製され得る(R.Scopes,PROTEIN PURIFICATION,Springer−Verlag,N.Y.,1982を広く参照のこと)。その抗体、免疫結合体およびエフェクター分子は、100%純粋である必要はない。いったん、要望どおり部分的にまたは均一に(治療的に使用される場合)精製されると、そのポリペプチドは、エンドトキシンを実質的に含むべきでない。
大腸菌などの細菌から単鎖抗体を発現するための方法および/または適切な活性型(単鎖抗体を含む)にリフォールディングする方法は、報告されており、周知であり、本明細書中に開示される抗体に適用可能である。Buchnerら、Anal.Biochem.205:263−270,1992;Pluckthun,Biotechnology 9:545,1991;Huseら、Science 246:1275,1989およびWardら、Nature 341:544,1989(すべてが本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
しばしば、大腸菌または他の細菌由来の機能的な異種タンパク質が、封入体から単離されるが、それは、強力な変性剤を用いた可溶化およびその後のリフォールディングを必要とする。当該分野で周知であるように、ジスルフィド結合を切り離すためには、可溶化工程中に還元剤が存在しなければならない。還元剤を含む例示的な緩衝液は:0.1M Tris pH8、6Mグアニジン、2mM EDTA、0.3M DTE(ジチオエリトリトール)である。ジスルフィド結合の再酸化は、Saxenaら、Biochemistry 9:5015−5021,1970(本明細書中で参考として援用される)に記載されているように、また、特に、Buchnerら、前出に記載されているように、還元型および酸化型の低分子量チオール試薬の存在下において生じ得る。
再生は、代表的には、変性され還元されたタンパク質をリフォールディング緩衝液に希
釈すること(例えば、100倍)によって達成される。例示的な緩衝液は、0.1M Tris,pH8.0、0.5M L−アルギニン、8mM酸化型グルタチオン(GSSG)および2mM EDTAである。
2本鎖抗体(two chain antibody)精製プロトコルに対する変法として、重鎖領域および軽鎖領域は、別々に可溶化され、還元され、次いで、リフォールディング溶液中で混和される。これらの2つのタンパク質が、一方のタンパク質が他方に対して5倍モル過剰であることを超えないようなモル比で混合されるとき、例示的な収量が得られる。酸化還元シャフリングが完了した後、過剰な酸化型グルタチオンまたは他の低分子量の酸化化合物が、リフォールディング溶液に加えられ得る。
組換え法に加えて、本明細書中に開示される抗体、標識抗体およびそれらの抗原結合フラグメントは、標準的なペプチド合成法を用いることによっても、全体的にまたは部分的に構築され得る。約50アミノ酸長未満のポリペプチドの固相合成は、その配列のC末端のアミノ酸を不溶性の支持体に結合させた後、その配列における残りのアミノ酸を逐次的に付加することによって、達成され得る。固相合成のための手法は、Barany&Merrifield,The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology.Vol.2:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.pp.3−284;Merrifieldら、J.Am.Chem.Soc.85:2149−2156,1963およびStewartら、Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.,Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.,1984に記載されている。より長いタンパク質は、より短いフラグメントのアミノ末端とカルボキシル末端との縮合によって合成され得る。カルボキシル末端の活性化によってペプチド結合を形成する方法(例えば、結合試薬N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(dicylohexylcarbodimide)を使用することによる方法)は、当該分野で周知である。
VI.組成物および治療方法
キャリア、およびエンドプラスミンに特異的に結合する抗体またはエンドプラスミンに特異的に結合するその抗原結合フラグメントの1つ以上を含む組成物が本明細書中に提供される。免疫結合体または免疫毒素を含む組成物も提供される。それらの組成物は、被験体に投与するための単位剤形で調製され得る。投与の量およびタイミングは、所望の目的を達成するために、処置している医師の判断による。その抗体は、全身性投与または局所(例えば、腫瘍内)投与のために製剤化され得る。1つの例において、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体は、静脈内投与などの非経口投与のために製剤化される。
投与するための組成物は、水性キャリアなどの薬学的に許容され得るキャリアに溶解された、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体(またはエンドプラスミンに特異的に結合するその機能的フラグメント)の溶液を含み得る。種々の水性キャリア、例えば、緩衝食塩水などが使用され得る。これらの溶液は、滅菌されており、通常、望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、従来の周知の滅菌法によって滅菌され得る。それらの組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容され得る補助物質、例えば、pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤など、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含み得る。これらの製剤における抗体の濃度は、広く変動し得、選択される特定の投与様式および被験体の要望に従って、主に液量、粘度、体重などに基づいて選択され得る。
静脈内投与用の代表的な薬学的組成物は、1日あたり被験体1人あたり約0.1〜10mgの抗体を含む。特に、その薬剤が隔離された部位に投与される場合、および循環系ま
たはリンパ系(例えば、体腔または器官の管腔)に投与されない場合、1日あたり被験体1人あたり0.1から約100mgまでの投薬量が使用され得る。投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、当業者に公知であるかまたは明らかであり、Remington’s Pharmaceutical Science,19th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA(1995)のような刊行物に詳細に記載されている。
抗体は、凍結乾燥された形態で提供され得、投与前に滅菌水で再水和され得るが、それらは、既知濃度の滅菌された溶液としても提供される。次いで、その抗体溶液は、0.9%塩化ナトリウム,USPを含む輸液バッグに加えられ、そして代表的には、0.5〜15mg/kg体重の投与量で投与される。1997年のRITUXAN(登録商標)の承認以来、米国で販売されている抗体薬の投与について当該分野においてかなりの経験が入手可能である。抗体は、静脈内プッシュまたはボーラスではなく緩徐な注入によって投与され得る。1つの例において、より多い負荷用量が投与され、続いて、低レベルの維持用量が投与される。例えば、4mg/kgという最初の負荷用量が、およそ90分間にわたって注入された後、先の用量が十分に許容されていた場合、4〜8週間にわたって1週間に1回、2mg/kgという維持用量が、30分間にわたって注入され得る。
エンドプラスミンに特異的に結合する抗体(もしくはその抗原結合フラグメントまたはそれらの免疫結合体)は、がん細胞などの細胞の成長を遅延させるためまたは阻害するために投与され得る。これらの用途において、治療有効量の抗体が、がん細胞の成長、複製もしくは転移を阻害するのに十分な量、またはがんの徴候もしくは症状を阻害するのに十分な量で被験体に投与される。いくつかの実施形態において、それらの抗体は、転移の発生を阻害するためもしくは予防するために、または転移(metasases)(例えば、微小転移、例えば、領域リンパ節への微小転移)のサイズもしくは数を減少させるために、被験体に投与される(Gotoら、Clin.Cancer Res.14(11):3401−3407,2008)。
好適な被験体には、エンドプラスミンを発現するがん(例えば、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんであるがこれらに限定されない)と診断された被験体が含まれ得る。ヒトエンドプラスミン特異的抗体の治療有効量は、その疾患の重症度および患者の全体的な健康状態に依存る。その抗体の治療有効量は、症状(複数可)の主観的な軽減、または臨床医もしくは他の資格のある観察者が注目したときに客観的に識別可能な改善を提供する量である。これらの組成物は、別の化学療法因子と併せて、同時にまたは逐次的に投与され得る。
現在、多くの化学療法因子が当該分野で公知である。1つの実施形態において、その化学療法因子は、有糸分裂インヒビター、アルキル化剤、抗代謝産物、挿入性抗生物質、成長因子インヒビター、細胞周期インヒビター、酵素、トポイソメラーゼインヒビター、抗生存剤(anti−survival agents)、生物学的応答変更物質、抗ホルモン剤、例えば、抗アンドロゲン剤、および抗血管新生剤からなる群から選択される。
抗血管新生剤(例えば、MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ2)インヒビター、MMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)インヒビターおよびCOX−II(シクロオキシゲナーゼII)インヒビター)が、本発明の化合物とともに使用され得る。有用なCOX−IIインヒビターの例としては、CELEBREXTM(セレコキシブ(alecoxib))、バルデコキシブおよびロフェコキシブが挙げられる。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼインヒビターの例は、PCT公開番号WO96/33172(1996年10月24日公開)、PCT公開番号WO96/27583(1996年3月7日公開)、欧州特許出願番号97304971.1(1997年7月8
日出願)、欧州特許出願番号99308617.2(1999年10月29日出願)、PCT公開番号WO98/07697(1998年2月26日公開)、PCT公開番号WO98/03516(1998年1月29日公開)、PCT公開番号WO98/34918(1998年8月13日公開)、PCT公開番号WO98/34915(1998年8月13日公開)、PCT公開番号WO98/33768(1998年8月6日公開)、PCT公開番号WO98/30566(1998年7月16日公開)、欧州特許公開606,046(1994年7月13日公開)、欧州特許公開931,788(1999年7月28日公開)、PCT公開番号WO90/05719(1990年5月31日公開)、PCT公開番号WO99/52910(1999年10月21日公開)、PCT公開番号WO99/52889(1999年10月21日公開)、PCT公開番号WO99/29667(1999年6月17日公開)、PCT国際出願番号PCT/IB98/01113(1998年7月21日出願)、欧州特許出願番号99302232.1(1999年3月25日出願)、米国特許第5,863,949号(1999年1月26日発行)、米国特許第5,861,510号(1999年1月19日発行)および欧州特許公開780,386(1997年6月25日公開)に記載されている。1つの例において、上記MMPインヒビターは、投与しても関節痛を誘導しない。別の例では、上記MMPインヒビターは、他のマトリックス−メタロプロテイナーゼ(例えば、MMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−11、MMP−12およびMMP−13)と比べてMMP−2および/またはMMP−9を選択的に阻害する。有用なMMPインヒビターのいくつかの特定の例は、AG−3340、RO32−3555、RS13−0830、3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロペンチル)−アミノ]−プロピオン酸;3−エキソ−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;(2R,3R)1−[4−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;4−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−シクロブチル)−アミノ]−プロピオン酸;4−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド;(R)3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−ピラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;(2R,3R)1−[4−(4−フルオロ−2−メチル−ベンジルオキシ)−ベンゼンスルホニル]−3−ヒドロキシ−3−メチル−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(1−ヒドロキシカルバモイル−1−メチル−エチル)−アミノ]−プロピオン酸;3−[[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニル]−(4−ヒドロキシカルバモイル−テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミノ]−プロピオン酸;3−エキソ−3−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサビシクロ(oxaicyclo)[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;3−エンド−3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−8−オキサ−ビシクロ(icyclo)[3.2.1]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;および(R)3−[4−(4−フルオロ−フェノキシ)−ベンゼンスルホニルアミノ]−テトラヒドロ−フラン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド;ならびに前記化合物の薬学的に許容され得る塩および溶媒和化合物である。
エンドプラスミンに特異的に結合する抗体はまた、シグナル伝達インヒビター(例えば、EGF−R(上皮成長因子レセプター)応答を阻害し得る物質、例えば、EGF−R抗体、EGF抗体、およびEGF−Rインヒビターである分子;VEGF(血管内皮成長因
子)インヒビター、例えば、VEGFレセプターおよびVEGFを阻害し得る分子;ならびにerbB2レセプターインヒビター、例えば、erbB2レセプターに結合する有機分子または抗体、例えば、HERCEPTINTM(Genentech,Inc.))とともに使用され得る。EGF−Rインヒビターは、例えば、PCT公開番号WO95/19970(1995年7月27日公開)、WO98/14451(1998年4月9日公開)、WO98/02434(1998年1月22日公開)および米国特許第5,747,498号(1998年5月5日発行)に記載されている。EGFR阻害物質としては、モノクローナル抗体C225および抗EGFR 22Mab(ImClone Systems Incorporated)、ABX−EGF(Abgenix/Cell Genesys)、EMD−7200(Merck KgaA)、EMD−5590(Merck KgaA)、MDX−447/H−477(Medarex Inc.およびMerck KgaA)、ならびに化合物ZD−1834、ZD−1838およびZD−1839(AstraZeneca)、PKI−166(Novartis)、PKI−166/CGP−75166(Novartis)、PTK787(Novartis)、CP701(Cephalon)、レフルノミド(Pharmacia/Sugen)、Cl−1033(Warner Lambert Parke Davis)、Cl−1033/PD183,805(Warner Lambert Parke Davis)、CL−387,785(Wyeth−Ayerst)、BBR−1611(Boehringer Mannheim GmbH/Roche)、Naamidine A(Bristol Myers Squibb)、RC−3940−II(Pharmacia)、BIBX−1382(Boehringer Ingelheim)、OLX−103(Merck&Co.)、VRCTC−310(Ventech Research)、EGF融合毒素(Seragen Inc.)、DAB−389(Seragen/Lilgand)、ZM−252808(Imperial Cancer Research Fund)、RG−50864(INSERM)、LFM−A12(Parker Hughes Cancer Center)、WHI−P97(Parker
Hughes Cancer Center)、GW−282974(Glaxo)、KT−8391(Kyowa Hakko)およびEGF−R Vaccine(York Medical/Centro de Immunologia Molecular(CIM))も挙げられるが、これらに限定されない。
VEGFインヒビター、例えば、SU−5416およびSU−6668(Sugen Inc.)、SH−268(Schering)ならびにNX−1838(NeXstar)もまた、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体とともに使用され得る。VEGFインヒビターは、例えば、PCT公開番号WO99/24440(1999年5月20日公開)、PCT国際出願PCT/IB99/00797(1999年5月3日出願)、PCT公開番号WO95/21613(1995年8月17日公開)、PCT公開番号WO99/61422(1999年12月2日公開)、米国特許第5,834,504号(1998年11月10日発行)、PCT公開番号WO98/50356(1998年11月12日公開)、米国特許第5,883,113号(1999年3月16日発行)、米国特許第5,886,020号(1999年3月23日発行)、米国特許第5,792,783号(1998年8月11日発行)、PCT公開番号WO99/10349(1999年3月4日公開)、PCT公開番号WO97/32856(1997年9月12日公開)、PCT公開番号WO97/22596(1997年6月26日公開)、PCT公開番号WO98/54093(1998年12月3日公開)、PCT公開番号WO98/02438(1998年1月22日公開)、WO99/16755(1999年4月8日公開)およびPCT公開番号WO98/02437(1998年1月22日公開)に記載されている。いくつかの特定のVEGFインヒビターの他の例は、IM862(Cytran Inc.);Genentech,Inc.の抗VEGFモノクローナル抗体;ならびにRibozymeおよびChiron製の合成リボザイムであるアンギオザイム(angi
ozyme)である。これらのおよび他のVEGFインヒビターが、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体とともに使用され得る。
ErbB2レセプターインヒビター(例えば、GW−282974(Glaxo Wellcome pic)ならびにモノクローナル抗体AR−209(Aronex Pharmaceuticals Inc.)および2B−1(Chiron))、例えば、PCT公開番号WO98/02434(1998年1月22日公開)、PCT公開番号WO99/35146(1999年7月15日公開)、PCT公開番号WO99/35132(1999年7月15日公開)、PCT公開番号WO98/02437(1998年1月22日公開)、PCT公開番号WO97/13760(1997年4月17日公開)、PCT公開番号WO95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許第5,587,458号(1996年12月24日発行)および米国特許第5,877,305号(1999年3月2日発行)に示されているものは、本発明の化合物とさらに併用され得る。有用なErbB2レセプターインヒビターは、1999年1月27日出願の米国仮出願番号60/117,341および1999年1月27日出願の米国仮出願番号60/117,346にも記載されている。
エンドプラスミンに特異的に結合する抗体(またはその抗原結合フラグメント)は、サイトカインもしくはケモカインとともに使用され得、そして/またはそれらに結合体化され得るか、あるいはサイトカインもしくはケモカインに結合体化され得る。例示的なサイトカインとしては、インターフェロン(IFN)(例えば、IFN−α、IFN−βおよびIFN−γ);腫瘍壊死因子スーパーファミリー(TNFSF)メンバー;ヒト成長ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH);甲状腺刺激ホルモン(TSH);黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;プロスタグランジン、線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトーゲン、OBタンパク質;腫瘍壊死因子(tumor necrosis faction)(TNF)−α;TNF−β;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子(NGF)、例えば、NGF−β;血小板成長因子;トランスフォーミング成長因子(TGF)−α;TGF−β;インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリトロポイエチン(EPO);コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ−CSF(M−CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF);および顆粒球−CSF(G−CSF);インターロイキン(IL−1〜IL−21)、kit−リガンドまたはFLT−3、アンジオスタチン、トロンボスポンジンならびにエンドスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なケモカインとしては、RANTES、MCAF、MCP−1およびフラクタルカインが挙げられるが、これらに限定されない。
メラノーマなどのがんを処置する場合、本明細書中に開示される抗体は、外科的処置、または別の治療薬(ダカルバジン(DTICとも呼ばれる)、テモゾロド、PARPインヒビターまたはインターロイキン−2(IL−2)もしくはインターフェロン、例えば、インターフェロン(IFN)、あるいはこれらの薬剤の組み合わせを含む)とともに使用され得る。表在型メラノーマの処置の場合、それらの抗体は、イミキモドとともに使用され得る。頭頸部扁平上皮癌の処置の場合、本明細書中に提供される抗体は、外科術、放射線治療、化学療法、他の抗体(例えば、セツキシマブおよびベバシズマブ)または小分子治療薬(例えば、エルロチニブ)とともに使用され得る。
上記組成物の単回投与または複数回投与は、患者が必要とし、許容する投与量および頻度に応じて投与される。いかなる事象においても、その組成物は、患者を効率的に処置するのに十分な量の本明細書中に開示される少なくとも1つの抗体(またはその抗原結合フラグメント)を提供するべきである。その投与量は、1回投与され得るが、治療結果が達成されるまでまたは副作用が治療の中止の根拠となるまで周期的に適用され得る。1つの
例において、ある用量の抗体が、1日おきに30分間注入される。この例では、約1〜約10用量が、投与され得る(例えば、3または6用量が1日おきに投与され得る)。さらなる例では、約5〜約10日間にわたって持続注入が行われる。所望の治療結果が達成されるまで、被験体は、毎月などの一定間隔で処置され得る。一般に、その用量は、患者に対して許容できない毒性をもたらさずに、疾患の症状または徴候を処置するかまたは回復させるのに十分である。
制御放出の非経口製剤が、埋没物、油性注射または微粒子系として作製され得る。タンパク質送達系の概観については、本明細書中で参考として援用されるBanga,A.J.,Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation,Processing,and Delivery Systems,Technomic Publishing Company,Inc.,Lancaster,PA,(1995)を参照のこと。微粒子系には、ミクロスフェア、微小粒子、マイクロカプセル、ナノカプセル、ナノスフェアおよびナノ粒子が含まれる。マイクロカプセルは、細胞毒または薬物などの治療用タンパク質を中央のコアとして含む。ミクロスフェアでは、治療薬は、粒子全体に分散されている。約1μmより小さい粒子、ミクロスフェアおよびマイクロカプセルは、一般にそれぞれナノ粒子、ナノスフェアおよびナノカプセルと称される。毛細血管は、およそ5μmの直径を有するので、ナノ粒子だけが静脈内に投与される。微小粒子は、代表的には、直径がおよそ100μmであり、皮下または筋肉内に投与される。例えば、Kreuter,J.,Colloidal Drug Delivery Systems,J.Kreuter,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,pp.219−342(1994);およびTice&Tabibi,Treatise on Controlled Drug Delivery,A.Kydonieus,ed.,Marcel Dekker,Inc.New York,NY,pp.315−339,(1992)(その両方が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
本明細書中に開示される抗体組成物のイオン制御放出のために、ポリマーが使用され得る。制御された薬物送達において使用するための様々な分解可能および分解不可能な重合体マトリックスが当該分野で公知である(Langer,Accounts Chem.Res.26:537−542,1993)。例えば、ブロック共重合体であるポロキサマー(polaxamer)407は、低温では粘稠性であるが流動性の液体として存在するが、体温では半固体のゲルを形成する。それは、組換えインターロイキン−2およびウレアーゼの製剤化および持続性送達にとって有効なビヒクルであると示されている(Johnstonら、Pharm.Res.9:425−434,1992;およびPecら、J.Parent.Sci.Tech.44(2):58−65,1990)。あるいは、ヒドロキシアパタイトは、タンパク質の制御放出のためのマイクロキャリアとして使用されている(Ijntemaら、Int.J.Pharm.112:215−224,1994)。さらに別の態様では、リポソームは、脂質のカプセルに入っている薬物の制御放出ならびに薬物標的化のために使用される(Betageriら、Liposome Drug Delivery Systems,Technomic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,PA(1993))。治療用タンパク質の制御された送達のためのさらなる系が数多く知られている(米国特許第5,055,303号;米国特許第5,188,837号;米国特許第4,235,871号;米国特許第4,501,728号;米国特許第4,837,028号;米国特許第4,957,735号;米国特許第5,019,369号;米国特許第5,055,303号;米国特許第5,514,670号;米国特許第5,413,797号;米国特許第5,268,164号;米国特許第5,004,697号;米国特許第4,902,505号;米国特許第5,506,206号;米国特許第5,271,961号;米国特許第5,254,342号および米国特許第5,534,496号を参照のこと)。
エフェクター分子に共有結合的に連結された、エンドプラスミンに特異的に結合する完全ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、放射免疫療法または放射免疫ガイド下手術をはじめとした種々の目的のために使用され得る。例えば、エンドプラスミン抗体は、放射性同位元素に連結され得、そしてエンドプラスミンを発現している腫瘍を処置する免疫療法において使用され得る。放射性同位元素に共有結合的に連結されたヒトエンドプラスミン抗体は、放射免疫ガイド下手術において腫瘍の位置を突き止めるために有用であり、その結果、その腫瘍を外科的に除去することができる。1つの実施形態において、約10mCiの放射標識されたヒトエンドプラスミンモノクローナル抗体が、被験体に投与される。他の実施形態において、約15mCi、約20mCi、約50mCi、約75mCiまたは約100mCiの放射標識されたヒトエンドプラスミンモノクローナル抗体が、被験体に投与される。他の実施形態において、約100mCi〜約100mCiの放射標識された(radiolabled)ヒトエンドプラスミンモノクローナル抗体が、被験体に投与される。
被験体における腫瘍をインビボで検出する方法は、放射性同位元素などのエフェクター分子と複合体化された、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントの投与を包含する。投与された放射標識抗体が腫瘍に局在化するのを可能にするのに十分な時間が経過した後、その腫瘍は検出される。1つの特定の非限定的な例において、放射標識された免疫複合体は、手持ち式のガンマ検出プローブを用いて検出される。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、MRI、CTスキャンまたはPETスキャンによって検出される。エンドプラスミンを発現している原発腫瘍、転移した腫瘍または細胞が検出され得る。例えば、放射性同位元素などのエフェクター分子と複合体化されたヒトエンドプラスミンモノクローナル抗体が、外科術または処置の前に被験体に投与される。1つの特定の実施形態において、検出工程が外科術の前に行われることにより、腫瘍の位置が突き止められる。別の実施形態において、検出工程は、放射免疫ガイド下手術におけるように、外科術中に行われることにより、例えば、腫瘍の位置が検出された後、除去される。放射性同位元素などのエフェクター分子と複合体化されたヒトエンドプラスミンモノクローナル抗体は、外科術または処置の後にも被験体に投与され得、それにより、その処置の有効性が判定される(例えば、腫瘍の完全な除去が保証されるか、または腫瘍の再発が検出される)。したがって、それらの抗体は、治療薬として(例えば、腫瘍に対する免疫療法の場合)、または放射免疫ガイド下手術を行うために、有用である。
VI.診断方法およびキット
エンドプラスミンの発現をインビトロで検出するための方法が本明細書中に提供される。1つの例において、エンドプラスミンの発現は、生物学的サンプルにおいて検出される。そのサンプルは、任意のサンプルであり得、それらとしては、バイオプシー、オートプシーおよび病理検体由来の組織が挙げられるがこれらに限定されない。生物学的サンプルには、組織の切片、例えば、組織学的目的のために採取された凍結切片も含まれる。生物学的サンプルには、さらに、血液、血清、血漿、痰、髄液または尿などの体液が含まれる。
いくつかの実施形態において、悪性病変(例えば、扁平上皮癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、メラノーマ、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がん)を検出するための方法が提供される。エンドプラスミンに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントは、被験体内のがんを検出するため、または被験体におけるがんの診断を確認するために、被験体由来の血清サンプル中のエンドプラスミンを検出するために使用され得る。それらの抗体は、転移性の病変のの病変を特定するためにも使用され得る。
本開示は、生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出するための方法を提供し、ここで、その方法は、エンドプラスミンに結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントと生物学的サンプルとを、免疫複合体の形成をもたらす条件下で接触させる工程、およびその免疫複合体を検出することにより、その生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出する工程を包含する。1つの例において、サンプル中のエンドプラスミンの検出は、被験体が悪性病変を有することを示す。別の例では、サンプル中のエンドプラスミンの検出は、被験体におけるがんの診断を確認するものである。さらなる例では、エンドプラスミンの検出は、転移の存在を確認するかまたは検出するものである。
いくつかの実施形態において、エンドプラスミンに特異的に結合する完全ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、被験体内の腫瘍の検出または診断(例えば、被験体における腫瘍の診断の確認)のために使用される。他の実施形態において、エンドプラスミンに特異的に結合する完全ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、治療の有効性を検出するために使用される。例えば、エンドプラスミンを発現すると知られる悪性病変を有する被験体に治療薬が投与される。その方法は、エンドプラスミンに結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントと生物学的サンプルとを、免疫複合体の形成をもたらす条件下で接触させる工程、およびその免疫複合体を検出することにより、生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出する工程を包含し得る。処置前の被験体由来のサンプルまたは対照基準などのコントロールと比較したときのエンドプラスミンの量の減少は、その治療薬がその悪性病変の処置に有効であることを示す。いくつかの例において、コントロールと比較したときのエンドプラスミンの量の増加は、その治療薬がその悪性病変の処置に有効でないことを示す
いくつかの実施形態において、検出は、インビボにおける検出であり得る。エンドプラスミンに特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントは、放射性同位元素と複合体化され得る。投与された放射標識抗体が腫瘍に局在化するのを可能にするのに十分な時間が経過した後、その腫瘍は、MRI、CTスキャンまたはPETスキャンなどによって検出される(上記を参照のこと)。
1つの実施形態において、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントは、検出可能な標識で直接標識される。別の実施形態において、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメント(一次抗体)は、標識されず、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体に結合し得る二次抗体または他の分子が、標識される。当業者に周知であるように、特定の種およびクラスの一次抗体に特異的に結合することができる二次抗体が選択される。例えば、一次抗体が、ヒトIgGである場合、二次抗体は、抗ヒトIgGであり得る。抗体に結合し得る他の分子としては、プロテインAおよびプロテインG(この両方ともが商業的に入手可能である)が挙げられるがこれらに限定されない。
上記抗体または二次抗体に適した標識は、上に記載されており、それらとしては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、磁性物質および放射性材料が挙げられる。好適な酵素の非限定的な例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。好適な補欠分子族複合体の非限定的な例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる。好適な蛍光材料の非限定的な例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられる。非限定的かつ例示的な発光材料は、ルミノールであり;非限定的かつ例示的な磁性物質は、ガドリニウムであり、非限定的かつ例示的な放射性標識としては、35S、11C、13N、
15O、18F、19F、99mTc、131I、H、14C、15N、90Y、99Tc、111Inおよび125Iが挙げられる。
代替の実施形態において、エンドプラスミンは、検出可能な物質で標識されたエンドプラスミン標準物質およびエンドプラスミンに特異的に結合する標識されていないヒト抗体を利用する競合イムノアッセイによって、生物学的サンプルにおいてアッセイされ得る。このアッセイでは、生物学的サンプル、標識されたエンドプラスミン標準物質およびエンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントが混合され、標識されていない抗体に結合した標識されたエンドプラスミン標準物質の量が測定される。生物学的サンプル中のエンドプラスミンの量は、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントに結合した標識されたエンドプラスミン標準物質の量に反比例する。
本明細書中に開示されるイムノアッセイおよび方法は、いくつかの目的のために使用され得る。1つの実施形態において、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合フラグメントは、細胞培養物中の細胞内のエンドプラスミンの産生を検出するために使用され得る。別の実施形態において、その抗体は、生物学的サンプル中のエンドプラスミンの量を検出するために使用され得る。エンドプラスミンの高発現は、いくつかのタイプのがん(メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんが挙げられるがこれらに限定されない)に関連する。1つの実施形態において、生物学的サンプル(例えば、血清サンプルまたは組織サンプル)中のエンドプラスミンを検出するためのキットが提供される。例えば、被験体におけるがんの診断を確認するために、組織学的検査用の組織サンプルを得るためにバイオプシーが行われ得る。あるいは、エンドプラスミンタンパク質の存在を検出するために、血清サンプルを得てもよい。ポリペプチドを検出するためのキットは、代表的には、エンドプラスミンに特異的に結合するヒト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗体のいずれか)を備える。いくつかの実施形態において、抗体フラグメント(例えば、FvフラグメントもしくはscFvまたはFab)がそのキットに含められる。さらなる実施形態において、その抗体は、標識される(例えば、蛍光標識、放射性標識または酵素標識で)。
1つの実施形態において、キットは、エンドプラスミンに特異的に結合する抗体を使用する手段を開示している指示材料を備える。その指示材料は、書面、電子的形態(例えば、コンピュータディスケットまたはコンパクトディスク)、または視覚によるもの(例えば、ビデオファイル)であり得る。そのキットは、そのキットが意図されている特定の用途を容易にする追加の構成要素も備え得る。したがって、例えば、そのキットは、標識を検出する手段(例えば、酵素標識に対する酵素基質、蛍光標識を検出するためのフィルターセット、二次抗体などの適切な二次標識など)をさらに備え得る。そのキットは、特定の方法を実施するために日常的に使用されるバッファーおよび他の試薬をさらに備え得る。そのようなキットおよび適切な内容物は、当業者に周知である。
1つの実施形態において、診断キットは、イムノアッセイを含む。イムノアッセイの詳細は、使用される特定の形式によって変化し得るが、生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出する方法は、通常、免疫学的に反応性の条件下でエンドプラスミンポリペプチドと特異的に反応する抗体または抗体フラグメントとその生物学的サンプルとを接触させる工程を包含する。その抗体は、免疫学的に反応性の条件下で特異的に結合することが可能になることで免疫複合体を形成し、その免疫複合体(結合した抗体)の存在が、直接または間接的に検出される。
上記抗体が、被験体におけるがんを検出するためまたはがんの診断を確認するために使用されるとき、その診断に関する情報は、電子媒体または紙媒体などの表現媒体上に表示
され得る。電子媒体としては、例えば、コンピュータデータベース、ディスプレイモニターまたは電子的医療記録が挙げられ得る。紙媒体としては、例えば、研究室または臨床医によって記録された検査結果または紙の記録が挙げられる。
いくつかの実施形態において、いったん腫瘍(例えば、メラノーマ)の診断が行われたら、被験体は、その腫瘍(例えば、メラノーマ)について処置される。例えば、その処置は、原発性もしくは転移性の病変の外科的切除、および/またはその疾患を処置するための化学療法レジメンの投与を含み得る。
細胞表面マーカーの存在または非存在を判定する方法は、当該分野で周知である。例えば、上記抗体が、他の化合物(酵素、磁気ビーズ、コロイド状の磁気ビーズ、ハプテン、蛍光色素、金属化合物、放射性化合物または薬物を含むがこれらに限定されない)に結合体化され得る。その抗体は、イムノアッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)または免疫組織化学的アッセイであるがこれらに限定されない)においても利用され得る。その抗体は、蛍光顕微鏡観察または蛍光励起細胞分取(FACS)のためにも使用され得る。FACSは、細胞を分離するためまたは分取するために、他の洗練された検出レベル中でも複数のカラーチャネル、小角光散乱検出チャネルおよび鈍角光散乱検出チャネル、ならびにインピーダンスチャネルを使用する(米国特許第5,061,620号を参照のこと)。本明細書中に開示されるようなエンドプラスミンに特異的に結合するいずれのヒト抗体も、これらのアッセイにおいて使用することができる。したがって、それらの抗体は、従来のイムノアッセイ(ELISA、RIA、FACS、組織免疫組織化学、ウエスタンブロットまたは免疫沈降を含むがこれらに限定されない)において使用され得る。
別段説明されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者が通常理解する意味と同じ意味を有する。単数形の用語「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、単語「または」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、「および」を含むと意図される。核酸またはポリペプチドに対して与えられたすべての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量または分子質量の値が、近似値であり、説明のために提供されていることが、さらに理解されるべきである。本明細書中に記載される方法および材料と類似または等価の方法および材料は、本開示の実施または試験において使用され得るが、好適な方法および材料が、下記に記載される。用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献の全体が、参考として援用される。矛盾する場合、用語の説明を含む本明細書が優先するものとする。さらに、その材料、方法および例は、単なる例示であって、限定すると意図されていない。
本開示は、以下の非限定的な実施例によって例証される。
有力な臨床エビデンスから、抗体ベースの免疫療法が、血液学的悪性腫瘍および固形腫瘍の処置において有効であり得ることが示された。開発された抗体の特異性に対する腫瘍抗原の免疫原性の影響を排除するために、合成ファージ一本鎖可変領域(scFv)ライブラリーを使用して、悪性細胞上でアップレギュレートされる細胞表面分子を認識するヒト抗体が単離された。エンドプラスミンに特異的に結合する抗体が単離された。
ヒトメラノーマ細胞株WM1158を用いた合成ファージscFvライブラリーのパニングによって、大パネルのヒト細胞株と高反応性を示すW9という名称のscFvフラグメントが単離された。細胞株からscFv W9によって免疫沈降された抗原のSDS−
PAGE解析によって、94KDaの構成要素が同定された。その抗原の発現が、ツニカマイシンとインキュベートされた細胞上では著しく減少したので、scFv W9によって認識される決定基は、炭水化物を含む。様々な細胞株からscFv W9によって免疫沈降されたバンドの質量分析ベースの解析によって、90KDa分子シャペロンファミリーのメンバーであるエンドプラスミンとして94KDaの構成要素が同定された。この結論は、ヒトエンドプラスミン(Grp94)とアミノ酸配列において98.5%の相同性を示すエンドプラスミン(Grp94)組換えイヌタンパク質に対するscFv W9の反応性によって裏づけられた。scFv W9によって認識される決定基は、正常細胞上には発現されない。その抗体は、アポトーシスの誘導に有効であり、がん細胞の成長を阻害した。したがって、本明細書中に開示される結果は、scFv W9などのエンドプラスミンに特異的に結合する抗体が、悪性疾患の免疫療法にとって有用であることを実証する。これらの抗体は、悪性疾患を検出するためにも使用され得る。
実施例1
材料および方法
下記の実施例では、以下の材料および方法を使用した:
細胞株:ヒトメラノーマ細胞株WM1158、MV3、COLO38、SK−MEL−28、M14およびFO−1、ヒト乳癌腫細胞株SUM149、MDA−MB−435s、MCF−7、T47D、ヒト頭頸部がん細胞株PCI−13、ヒト膵臓細胞株Panc2.03、Panc3.27、Panc10.05、ヒト結腸がん細胞株40−16、ヒト腎がん細胞株SLR21、ヒト前立腺がん細胞株Du145、ヒト卵巣がん細胞株OVCAR3、ヒト神経膠腫がん細胞株U−138、ヒト子宮頸がん細胞株HeLa、ならびにヒトBリンパ系細胞株LG2を、10%ウシ胎児血清(FBS:BioWhittaker,Walkersville,MD,USA)および2mM L−グルタミン(BioWhittaker)が補充されたRPMI1640培地(Cellgro,Mediatech,Washington,DC,USA)中で維持した。ヒト膀胱がん細胞株T24、ヒト肺がん細胞株A549、ヒト類表皮がん細胞株A431、ヒト神経膠腫がん細胞株A−172およびヒト293細胞株を、10%FBSが補充されたDMEM培地(Lonza,Verviers,Belgium)中で増殖させた。細胞は、5%CO雰囲気中、37℃において培養した。
モノクローナル抗体、scFv抗体および試薬:C−myc腫瘍性タンパク質特異的マウスmAb 9E10(Evan,ら、Mol Cell Biol,1985 Dec;5(12):3610−6)およびHLA−クラスI抗原特異的マウスmAb TP25.99(D’Ursoら、J Clin Invest.1991 January;87(1):284−292)は、以前に報告されている。抗抗id scFv #119(Wangら、1997.The anti−idiotypic approach
to active specific immunotherapy of malignant melanoma.In idiotypes in Medicine:Autoimmunity,Infection and Cancer.Y.Shoenfeld,R.Kennedy,and S.Ferrone,eds.Elsevier,Amsterdam,p.523)は、抗id mAb MK2−23を用いたパニングによって、合成scFvライブラリー(#1)(Nissimら、1994.Embo J 13:692−698)から単離された。マウスmAbは、逐次的な硫酸アンモニウム沈殿およびカプリル酸沈殿(Temponiら、1989,Hybridoma 8:85−95)によって腹水から精製された。mAb調製物の純度および活性は、それぞれSDS−PAGEおよび結合アッセイにおいて対応する抗原を用いた試験によって評価された。HRP−抗マウスIgG Fc抗体は、Jackson ImmunoResearch(Laboratories,Inc.,West Grove,PA,USA)から購入した。ヤギ抗マウスIg抗体のR−フィコエリトリン(RPE)で標識
されたF(ab’)フラグメントは、BD Pharmingen(San Diego,CA,USA)から購入した。エンドプラスミン(Grp94)組換えイヌタンパク質は、Stressgen Biothecnology Corporation(Victoria,British Columbia,Canada)から購入した。
ファージディスプレイライブラリー:ヒト単鎖Fv(scFv)抗体の半合成ファージライブラリーを、Nissimら、1994,Embo J 13:692−698)に記載されているように構築した。
ファージディスプレイscFv抗体の選択:メラノーマ細胞に結合するファージディスプレイscFv抗体を、以前に報告されたように(Noronhaら、1998,J Immunol 161:2968−2976)ファージディスプレイscFv抗体ライブラリーから単離した。簡潔には、ファージ粒子(1×10)を、1×10個のWM1158メラノーマ細胞が入ったポリプロピレン培養チューブに加えた。R/Tで90分間インキュベートした後、細胞をPBSで6回洗浄することによって、結合していないファージを除去した。200μlの0.1Mグリシン−HCl(pH=2.2)を加えることによって、結合したファージを溶出した。4回パニングを行った後、単離されたクローンを、ヒトBリンパ系細胞であるLG−2に吸着させることにより、ヒトメラノーマ細胞とリンパ系細胞によって共有されるAgに結合しているファージを除去した。
結合アッセイ:腫瘍細胞株およびエンドプラスミン(Grp94)組換えイヌタンパク質と可溶性scFv W9抗体との反応性を試験するELISAを、記載されているように(Noronhaら、1998,J Immunol 161:2968−2976)行った。結果は、450nmにおける光学濃度(O.D.)の吸光度として表現される。
免疫沈降実験:WM1158細胞(3×10)を洗浄し、ペレットにし、プロテアーゼインヒビターを含む1.5mlの溶解緩衝液(1mmol/Lフッ化フェニルメチルスルホニル(phenylmethylsulfonyl fluride)を含む、50mmol/L Tris、4mmol/L EDTA、150mmol/L NaCl、0.5%NP40)中で溶解した。氷上で30分間インキュベートした後、細胞溶解産物を13,000×g、4℃で30分間遠心した。上清を回収し、PG−Sepharose(Amersham Pharmacia Biotech AB,Uppsala,Sweden)とインキュベートすることによって事前に精製し、15μgのmAb 9E10およびscFv W9の周辺質調製物ならびに119(ネガティブコントロール)を事前に備えさせた15μlの充填プロテインG Sepharoseが入ったチューブに移した。4℃で2時間インキュベートした後、ビーズをPBSで4回、高塩緩衝液(350mmol/L NaCl、1mmol/L EDTA、10mmol/L Tris、0.1%ウシ血清アルブミン、1%NP40)で2回、および溶解緩衝液で2回洗浄した。沈殿したタンパク質を、SDSサンプル緩衝液中に溶出し、還元12%Tris−HCl SDS−ポリアクリルアミドゲルで分離し、クマシーブルーで染色した。
ツニカマイシン処理:COLO38細胞を、0.5μg/mlのツニカマイシン(MP
Biomedicals,Solon,OH,USA)の存在下、5%CO雰囲気、37℃において72時間培養した。DMSOだけを含む培地中でインキュベートされた細胞をコントロールとして使用した。
トランスフェクション:Amaxaヌクレオフェクション法を製造者の指示(Amaxa,Cologne,Germany)に従って使用して、293細胞を3μgのGrp94 HSP90B1 cDNAクローン(Origene)でトランスフェクトした。ヌクレオフェクター(nucleofector)プログラムQ−001を使用した。
トランスフェクションの後、直ちに細胞を、10%FBSが補充された500μlの予め温めておいたDMEM培養培地に懸濁し、加湿された37℃の5%CO恒温器内において24時間、6ウェルプレートにプレーティングした。トランスフェクション効率を、GFPのフローサイトメトリー解析によって測定した。pCMV6−XL4ベクターをコントロールとして使用した。Lipofectamine2000(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を用いたトランスフェクションを、製造者の指示に従って行った。エンドプラスミン(Grp94)siRNAおよびコントロールsiRNA(フルオレセイン結合体)−A(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA,USA)による細胞のトランスフェクションを、製造者の指示に従って行った。
以下の材料および方法も使用した(実施例5および9を参照のこと):
細胞株、細胞溶解産物および組織。ヒトメラノーマ細胞株M21、MV3およびSK−MEL−5、ヒト膵臓腺癌細胞株MiaPaCa−2およびPANC1、ヒト神経膠腫細胞株U1338MG、ヒト乳癌細胞株SUM149およびMDA−MB−231、ヒト中皮腫細胞株Phi、ヒト結腸がん細胞株RKO、ヒト卵巣がんOVCAR3、ヒト肉腫細胞株HT1080、ヒト多発性骨髄腫細胞株MM.8、ヒトBリンパ系細胞株RAJI、ならびにマウスミエローマ細胞株NSOを、2mM L−グルタミン(Cellgro)および10%ウシ胎児血清(FBS)(PAA Laboratories Inc)が補充されたRPMI1640培地中で維持した。細胞は、5%CO雰囲気中、37℃において培養された。細胞溶解産物は、記載されているように(Desaiら、Cancer Res 1998;58(11):2417−25)調製した。
動物。C.B−17SCIDマウス(8〜10週齢)を、Taconic Farms,Incから入手した。
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、scFv抗体および試薬。HLAクラスI抗原特異的マウスmAb TP25.99(Desaiら、J Immunol 2000;165(6):3275−83)、カルネキシン特異的mAb TO−5(充填コントロールして使用)を開発し、記載されているように(Oginoら、Tissue
Antigens 62:385−393,2003)特徴付けした。精製されたヒト免疫グロブリンは、Sigma−Aldrichから購入した。FAKおよびリン酸化FAK(Tyr397)ならびにERK1/2およびリン酸化44/42ERK1/2、AKTおよびリン酸化473AKT、MET リン酸化MET、PKC、β−カテニン、Ras、B−Raf、C−Raf、切断型カスパーゼ−3、切断型カスパーゼ−7、SHh、GLI1およびβ−アクチンに特異的な抗体は、BD BioscienceおよびCell signaling technologyから購入した。ラット抗エンドプラスミン(Grp94)抗体は、StressGenから購入した。マウスmAbは、逐次的な硫酸アンモニウム沈殿およびカプリル酸沈殿(Temponiら、Hybridoma 1989;8(1):85−95.)によって腹水から精製された。mAb調製物の純度および活性は、それぞれSDS−PAGEおよび結合アッセイにおいて対応する抗原を用いた試験によって評価された。
HRP−抗マウス、−ウサギおよびラット抗体、ならびにヤギ抗ヒトIgG Fcγ抗体のRPEで標識されたF(ab’)フラグメントは、Jackson ImmunoResearch Laboratories Incから購入した。ヤギ抗マウスIg抗体のRPEで標識されたF(ab’)フラグメントは、BD Pharmingenから購入した。
完全ヒトmAb W9の構築。scFv W9可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH
)領域をコードする遺伝子を、PCRによって増幅し、DNAライゲーションキットMIGHTY MIX(登録商標)(TAKARA Bio USA)を製造者の指示に従って使用して、それぞれpFUSE2−CLIg−hkおよびpFUSE−CHIg−hG1(InvivoGen)にクローニングした。
完全ヒトmAb W9の発現および精製。エレクトロポレーション(GENE PULSER(登録商標)II Electroporation System Bio−Rad)を製造者の指示に従って使用して、発現プラスミドpFUSE2−CLIg−hkおよびpFUSE−CHIg−hG1を、マウスミエローマ細胞株NSOにトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を、10%FCS、ゼオシン(50μg/mL)およびブラストサイジンS(10μg/mL)が補充されたRPMI1640培地中で選択した。次いで、ゼオシンおよびブラストサイジンSに耐性の細胞を、限界希釈によって単一細胞にサブクローン化した。サブクローン化された細胞が使用した(spent)上清を、ヒトFcおよび(Fab’)の発現ならびに対応する抗原との反応性についてELISAによってスクリーニングした。HITRAP(登録商標)プロテインG HPカラム(GE healthcare)を製造者の指示に従って使用して、使用した培養上清またはマウス腹水から完全ヒトmAb W9を精製した。精製されたmAb W9の純度および活性を、それぞれSDS−PAGEおよび抗原結合アッセイによって測定した。
エンドプラスミン(Grp94)の脱グリコシル化(deglycosaylation)。Grp94MIAPaCa−2細胞(5×10)を、50μlのRPMI1640培地中、2μlのPNGase F、2μlのO−グリコシダーゼおよび2μlのα−2(3,6,8.9)−ノイラミニダーゼ(Enzymatic Protein Degylcosylation Kit,Sigma)ありまたはなしで37℃において24時間インキュベートした。次いで、処理された細胞をmAb W9で染色し、フローサイトメトリー(Cyan,Beckman Coulter)で解析した。
フローサイトメトリー解析。細胞(2×10)を、2μg/mlのmAb W9(総体積100μlの2%BSA−PBSに希釈されたもの)とともに4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を0.5%BSA−PBSで2回洗浄し、最適量のヤギ抗ヒトIgG Fcγ抗体のRPE標識F(ab’)フラグメント(Jackson ImmunoResearch,Inc)とともに4℃で30分間インキュベートした。細胞を3回洗浄した後、2%ホルムアルデヒド中で固定し、CYANTM ADP LX 9
Colorフローサイトメーター(Dako)で解析した。mAb TP25.99およびヒト免疫グロブリンをコントロールとして使用した。がん開始細胞結合アッセイのために、製造者の指示に従ってALDEFLUOR(登録商標)(Stem Cell Technologies)で細胞を予め染色した。
免疫組織化学。外科的に取り出されたヒト膵臓腺癌病変および正常な膵臓組織の凍結切片を、室温において20分間、4%ホルムアルデヒド/PBSで固定した。scFv−FcC21によるTMAスライドのIHC染色を、報告されているように(Wangら、Curr.Mol.Med 2010)行った。染色された組織マイクロアレイスライドの像を、精査のために×200の倍率でOLYMPUS(登録商標)BX51顕微鏡(OLYMPUS UK Ltd)を用いて取得した。
細胞増殖アッセイおよびMTTアッセイ。96ウェルプレートに1ウェルあたり1×10の密度で細胞を播種し、1%FCSが補充された培地中でmAb W9(5μg/ml)とともに3日間インキュベートした。1ウェルあたり10μlのテトラゾリウム構成要素メチルチアゾリルジフェニル−テトラゾリウムブロミド(Sigma−Aldric
h,Inc.St Louis,MO)を加えることによって、種々の時点において生細胞数を計測し、その混合物を37℃でおよそ3〜4時間インキュベートした。代謝的に活性な生細胞は、MTTを有色のホルマザン生成物(分光測光マイクロプレートリーダー(MTX Lab System,Inc,Vienna,VA)において540nmで測定される)に変換した。結果は、PBSのみとインキュベートされた生細胞の数を100%基準として使用して、生細胞のパーセント阻害として表現された。
アポトーシス。mAb W9(50μg/mL)とともに6時間インキュベートした後のアポトーシスおよびネクローシスのMV3およびMIAPaca−2細胞のフローサイトメトリー解析を、製造者の仕様書のとおり、アネキシンV−FTICおよびヨウ化プロピジウム(PI)染色キット(BD PharMingen)によって行った。
ウエスタンブロット。細胞溶解産物中のタンパク質を、8%ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分離し、0.45μm(ポアサイズ)PVDF膜(Millipore)上に転写した。4℃において一晩、5%脱脂粉乳+2%BSAでブロッキングした後、膜を、適切な濃度の一次抗体とともに4℃において一晩、およびHRPで標識されたそれぞれの2次抗体とともに室温において45分間、連続的にインキュベートした。高感度化学発光系(GE Life Science)を用いてバンドを視覚化し、バンド密度をFOTO/Analyst(登録商標)Investigator Eclipseシステム(Fotodyne Incorporate)を用いて読み出した。カルネキシン特異的mAb TO−5およびβ−アクチン特異的mAbを、充填コントロールとして使用した。
免疫沈降。MV3細胞(3×10)を洗浄し、ペレットにし、プロテアーゼインヒビターを含む1.5mlの溶解緩衝液(1mmol/Lフッ化フェニルメチルスルホニルを含む、50mmol/L Tris、4mmol/L EDTA、150mmol/L NaCl、0.5%NP40)中で溶解した。氷上で30分間インキュベートした後、細胞溶解産物を13,000×g、4℃で30分間遠心した。上清を回収し、PG−Sepharose(Amersham Pharmacia Biotech AB,Uppsala,Sweden)とインキュベートすることによって事前に精製し、10μgのmAb mAb W9を事前に備えさせた10μlの充填プロテインG Sepharoseが入ったチューブに移した。4℃で2時間インキュベートした後、ビーズをPBSで4回、高塩緩衝液(350mmol/L NaCl、1mmol/L EDTA、10mmol/L Tris、0.1%ウシ血清アルブミン、1%NP40)で2回、および溶解緩衝液で2回洗浄した。沈殿したタンパク質を、SDSサンプル緩衝液中に溶出し、還元12%Tris−HCl SDS−ポリアクリルアミドゲルで分離し、0.45μm(ポアサイズ)PVDF膜(Millipore)上に転写した。そのブロッティングは、先に記載したように行った。
ADCC:MV3細胞を、50μCiの51Cr(Perkin Elmer)で標識し、0.4×10細胞/mlの密度で再懸濁した。51Crで標識された細胞を、96ウェル組織培養U底アッセイプレート(BD.Falcon)においてmAb W9と混合した(50、10およびμg/ml50μl/ウェル)。ヒト免疫グロブリンをコントロールとして使用した。4℃で30分間インキュベートした後、PBMC(40:1エフェクター対標的(E:T))を加え、CO恒温器内において37℃で4時間インキュベートした。Packard TOPCOUNTTMMicroplate Scintillation Counter(Conroe)を使用して、細胞を含まない上清をカウントすることによって、51Crの放出を測定した。この実験を、3つ組で2回行った。
CDC。標的細胞MV3を、50μCiの51Crで標識し、1×10細胞/mlの密度で再懸濁した。MV3細胞を、RPMI1640、10mM HEPES、0.1%BSAで4倍希釈されたヒト血清補体(Quidel)の存在下において、mAb W9とインキュベートした(50、10およびμg/ml50μl/ウェル)。ヒト免疫グロブリンをコントロールとして使用した。CO恒温器内において37℃で2時間インキュベートした後、Packard TOPCOUNTTMMicroplate Scintillation Counterを使用して、細胞を含まない上清をカウントすることによって、51Crの放出を測定した。この実験を、3つ組で2回行った。
確立されたヒトメラノーマ細胞由来の肺転移を有するマウスの処置。8週齢の雌SCIDマウスの静脈内(i.v.)にヒトメラノーマMV3細胞を注射した(1.4×10細胞/マウス)。細胞をi.v.注射した15日後、マウスを13匹のマウスずつ2つの群にランダムに分けた。一方の群のマウスに、48時間ごとに合計3回、mAb W9(100μg/マウス)をi.v.注射した。他方の群のマウスには、同じスケジュールを用いてヒト免疫グロブリンをi.v.注射した。25日目に、マウスを屠殺し、肺を回収し、FFPEに供した。H&E染色された肺組織切片を、転移について顕微鏡で検査した。
統計解析。試験された群において得られた結果の差の統計的有意性を、スチューデントのt検定を用いて解析した。生存統計をMEDCALC(登録商標)ソフトウェア(Mariakerke,Belgium)を用いて解析した。
実施例2
メラノーマ細胞に結合するscFvフラグメントの単離
合成ファージscFvライブラリー(#1)を、WM1158細胞を用いて4回のパニングに供した。単離されたファージを、培養されたヒトLG−2 Bリンパ系細胞に吸収させることにより、ヒト細胞と共有されるAgに結合しているファージを除去した。可溶性scFvを、80個のクローンから作製し、メラノーマ細胞との反応性について細胞ELISAにおいて試験した。試験されたクローンのうち、W9と命名されたscFvは、WM1158細胞株と強く反応した。LG−2細胞との反応性は検出されなかったので、その反応性は特異的だった。関連性のない抗原を認識するscFv #119を、ネガティブコントロールとして使用した(図1)。
実施例3
scFv W9の反応性
ヒト細胞株のパネルを用いるELISAによって試験したとき、可溶性scFv W9は、メラノーマ細胞株(MV3、COLO38、SK−MEL−28、M14、FO−1)、基底乳がん細胞株(SUM149、MDA−MB−435s)、頭頸部がん細胞株(PCI−13)、膵がん細胞株(PANC2.03、PANC3.27、PANC10.05)、膀胱がん細胞株(T24)、肺がん細胞株(A549)、類表皮がん細胞株(A431)、子宮頸がん細胞株(HeLa)、腎がん細胞株(SLR21)、卵巣がん細胞株(OVCAR3)および神経膠腫がん細胞株(U−138、A−172)と反応した。そのscFvフラグメントは、乳管がん細胞株(MCF−7、T47D)、結腸がん細胞株40−16、前立腺がん細胞株Du145およびBリンパ系細胞株LG−2とは反応しなかった(図2)。
正常組織に対するscFv W9の免疫反応性の免疫組織化学的解析の結果を下記に示す。結果は、試験された少なくとも2人の患者のバイオプシーに関する(陽性)。
Figure 2013538042
scFv W9による免疫組織化学的染色は、エンドプラスミン(Grp94)が、汗腺および腺房上皮だけによって発現されるが、種々の正常組織によっては発現されないことを示した。
mAb W9による免疫組織化学的染色は、エンドプラスミン(Grp94)エピトープが、正常組織では限られた分布を有し、また、膵臓腺癌病変において発現されることを示した(図11)。その免疫組織化学的解析は、mAb W9によって認識されるエピトープが、正常組織では限られた分布を有することを示した。さらに、mAb W9は、外科的に取り出されたヒト膵臓腺癌病変だけを染色したが、同じ患者由来の正常な膵臓組織を染色しなかった。さらに、MDA−MB−231およびMV3細胞株に由来する異種移植片はそれぞれ、mAb W9によって強く染色されたが、MCF−7では染色は検出されなかった(図12)。
実施例4
scFv W9の特異性の免疫化学的解析およびタンデム質量分析によるGrp94の同定
WM1158aから得られた全細胞溶解産物の、scFv W9を用いた免疫沈降によって、およそ100KDaにおける独特のバンドが同定された(図3)。scFv #119をネガティブコントロールとして使用した。MV3(メラノーマ)、SUM149(基底乳がん)、T24(膀胱がん)およびSLR21(腎がん)細胞株の溶解産物を使用したとき、同じ結果が得られた。種々の細胞溶解産物からの、scFv W9によって免疫沈降された100KDaの特異的なバンドを切り出し、トリプシンでゲル内消化した。得られたトリプシン処理ペプチドの液体クロマトグラフィ−タンデム質量分析による解析から、エンドプラスミン(Grp94)のみに由来する2つのトリプシン処理ペプチド(ELISNASDALDK(配列番号7)およびGVVDSDDLPLNVSR(配列番号8))が同定された(図4)。
mAb W9によって認識されるエピトープと腫瘍細胞との反応性が、ノイラミニダー
ゼとのインキュベート後に無くなったが、他のグリコシダーゼによって影響されなかったので、そのエピトープは、シアル酸残基(複数可)に大きく依存している(図9)。これらの実験のために、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2(5×10)を、50μlのRPMI1640培地中、2μlのα−2(3,6,8.9)−ノイラミニダーゼありまたはなしで、5%CO2恒温器内、37℃において24時間インキュベートした。次いで、処理された細胞をmAb W9で染色し、フローサイトメトリーによって解析した。mAb TP25.99で処理された細胞をコントロールとして使用した。
ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2細胞を、ALDH活性を検出するためにALDEFLUOR(登録商標)とインキュベートし(試験)、mAb W9で染色した。ALDEFLUOR(登録商標)+DAEBインヒビターとインキュベートされ、mAb W9で染色された細胞を参照として使用した(コントロール)。ヒトIg(HIg)をコントロールとして使用した。ALDHbright細胞と同定されたがん開始細胞のパーセンテージが示される。フロー解析は、mAb W9が、同定されたALDHbright細胞集団に結合したので、同じ抗体によって認識されるエピトープが、がん開始細胞によって発現されていることを示した(図10)。
実施例5
scFv W9によって認識される決定基の発現に対するツニカマイシンの影響およびそのエピトープのさらなる特徴づけ
scFv W9が、糖タンパク質のN−グリコシル化のインヒビターであるツニカマイシンで処理されたCOLO38細胞と反応しなかったので、このscFvフラグメントによって認識されるエンドプラスミン(Grp94)上のエピトープの発現にグリコシル化が関与する(図4)。DMSOだけを用いたときは、阻害は観察されなかった。さらに、同じ条件下でのTP25.99mAb(コントロール)の場合も、阻害は観察されなかった。これらのデータから、scFv W9によるエンドプラスミン(Grp94)の認識には炭水化物が不可欠であることが示唆される。
mAb W9によって認識されるエピトープと腫瘍細胞との反応性が、ノイラミニダーゼとのインキュベート後に無くなったが、他のグリコシダーゼによって影響されなかったので、そのエピトープは、シアル酸残基(複数可)に大きく依存している(図9)。
実施例6
エンドプラスミン(Grp94)イヌ組換えタンパク質とscFv W9の反応性
BSAを用いたときは結合が検出されなかったので(ネガティブコントロール、図5B)、scFv W9は、エンドプラスミン(endoplasmint)(Grp94)イヌ組換えタンパク質(RC−Grp94)と用量依存的様式で特異的に反応した(図5A)。さらに、RC−Grp94は、COLO38細胞とscFv W9との結合に用量依存的様式で特異的に影響した。β2−ミクログロブリン(microglobuline)(ネガティブコントロール)が、阻害効果を示さなかったので、上記阻害は、用量依存的かつ特異的だった(図6)。
実施例7
scFv W9の結合に対するエレクトロポレーションの影響
エレクトロポレーションされる293細胞を、エンドプラスミン(Grp94)完全長cDNAまたはベクター単独(pCMV−XL4、ネガティブコントロール)で一過性にトランスフェクトした。トランスフェクション効率(94%)をGFP発現によって評価した。トランスフェクションの24時間後に回収した細胞を、scFv W9およびmAb 9E10とインキュベートした後、FITC−ヤギ抗マウスIgG抗体とインキュベートした。細胞をフローサイトメトリーによって解析した。トランスフェクトされていな
い細胞をコントロールとして使用した。エンドプラスミン(endoplamsin)(Grp94)(図7A)およびプラスミド単独(図7B)で処理された細胞において、scFv W9の結合の大幅な増加が観察された。これらのデータから、scFvの結合が、エレクトロポレーションによって増加したこと、および熱ショックが、scFv W9によって認識される抗原の発現を制御することが示唆される。
実施例8
scFv W9の結合に対するエンドプラスミン(Grp94)に標的化されたshRNAの影響
FO−1細胞に、エンドプラスミン(Grp94)のノックダウンを行うためのshRNA、またはコントロールとしてABCB5 shRNAを形質導入した。形質導入の72時間後に、細胞を回収し、scFv W9およびmAb 9E10とインキュベートした後、FITC−ヤギ抗マウスIgG抗体とインキュベートした。細胞をフローサイトメトリーによって解析した。Grp94 shRNA(図8A)は、コントロールshRNA(図8B)と比べて、scFv W9の結合を有意に阻害した。
実施例9
がん細胞に対するmAb W9の影響
がん細胞に対するmAb W9の影響を評価した。具体的には、MTT解析は、mAb
W9が、試験されたすべてのエンドプラスミン陽性(Grp94+)腫瘍細胞株の成長を有意に阻害したことを示した。しかしながら、Grp94Raji細胞株では影響は観察されなかった。成長の阻害が、コントロールとして使用されたヒト免疫グロブリンを用いたときは観察されなかったので、抗増殖効果は、特異的だった(図13)。したがって、mAb W9は、がん細胞の増殖を阻害した。
フロー解析は、mAb W9が、ヒトメラノーマMV3細胞および膵がんMIAPaCa−2細胞においてアポトーシスを誘導したことを示した(それぞれ48.90%および53.56%のアポトーシス)。さらに、ウエスタンブロット解析は、mAb W9で処理された細胞における、切断型カスパーゼ−3および切断型PARPの発現の有意な増加を示した(図14、15および16)。したがって、mAb W9は、がん細胞においてアポトーシスを誘導した。しかしながら、mAb W9は、標的細胞の細胞依存性溶解も補体依存性溶解も媒介しなかった(図17および18)。
さらに、mAb W9は、ヒト膵臓腺癌MIAPaCa−2がん開始細胞の増殖を阻害した。フロー解析は、mAb W9で処理された細胞において、ALDHbright細胞と定義されるがん開始細胞のパーセンテージが、ヒト免疫グロブリンを用いたとき(ネガティブコントロール)と比べて50%減少したことを示した(図19)。mAb W9で処理された細胞は、低レベルのRas、C−Raf、PCKα、β−カテニンおよびBcl−2を有した。さらに、mAb W9処理は、Akt、Erk、Mek、FakおよびMetの活性化を阻害した(図20〜22)。mAb W9を用いたプルダウンアッセイにおいて、エンドプラスミン(endoplsmin)(Grp94)は、Met、RasおよびC−Rafと共免疫沈降された(図23)。
H&E染色された組織切片を、OLYMPUS(登録商標)BX51顕微鏡(OLYMPUS(登録商標)UK Ltd.)を用いて、ランダムに選択された5つの200×視野/切片に存在する転移結節の累積面積について解析した。SPOT IMAGING SOFTWARE(登録商標)Advanced(Diagnostic Instruments,Inc.)を用いることにより、各群に対する平均腫瘍面積を測定し、算出し、MV3腫瘍に対するこれらの値を、棒グラフに±SDで提供する。mAb W9で処置されたマウスは、アイソタイプコントロール抗体で処置されたマウスと比べて、転移の
面積を統計学的に有意に(約50%)減少させた(図24)。
エンドプラスミン(Grp94)の発現は、化学療法因子によって増大した。フロー解析は、5−フルオロウラシル(FU)、シスプラチンおよびパクリタキセルによる処置が、エンドプラスミン(Grp94)の表面発現を増加させたことを示した。その影響は特異的だった(図25)。MTTの結果は、5−FUおよびシクロパミンと併用されたmAb W9がそれぞれ、膵臓腺癌細胞の成長の阻害において、各薬剤単独よりも有効であることを示した(図26)。フロー解析は、mAb W9によるがん開始細胞の成長の阻害が、シクロパミンおよび5−FUによって増強されることも示した。mAb W9、シクロパミンおよび5−FUとのインキュベート後に、ALDHbright細胞のおよそ90%の成長阻害が検出された。対照的に、その阻害は、mAb W9またはシクロパミンと個別にインキュベートされた培養物ではわずか50%、5−FUとインキュベートされた培養物では20%、およびシクロパミンまたは5−FUと併用してmAb W9とインキュベートされた培養物では70%だった(図27)。フロー解析は、mAbによるアポトーシスの誘導がシクロパミンおよび5−FUによって増強されたことも示した。アポトーシスは、シクロパミンおよび5−FUと併用されたmAb W9によって、細胞の70%において誘導された。しかしながら、アポトーシスは、5−FU、シクロパミンまたは5−FUとシクロパミンとの組み合わせで処理された細胞の35%未満でしか誘導されなかった(図28)。
フロー解析は、mAb W9によるがん開始細胞の成長の阻害が、放射線照射およびシクロパミンによって増強されたことも示した。ALDHbright細胞のおよそ90%の成長阻害が、放射線照射およびシクロパミンと併用してmAb W9で処理した後に検出された。対照的に、阻害は、mAb W9またはシクロパミンで個別に処理された培養物においておよそ50%であり、放射線照射だけで処理された培養物では30%未満だった(図29)。フロー解析は、mAbによるアポトーシスの誘導が、放射線照射およびシクロパミンによって増強されたことを示した。アポトーシスは、放射線照射およびシクロパミンと併用したmAb W9によって、73.87%の細胞において誘導されたが、mAb W9単独では25%未満の細胞でしか誘導されなかった(図30)。
RasおよびC−Rafタンパク質レベルに対するmAb W9処理の影響も調べた。RasおよびC−Rafレベルは、シクロパミンおよび5−FUによって増大した。Mek、ErkおよびAktの活性化の阻害において、相乗効果が見られた(図31)。RasおよびGLI1タンパク質レベル、ならびにErkおよびAktの活性化の阻害におけるmAb W9処理の影響は、放射線照射およびシクロパミンによって増強された(図32)。
実施例10
がんを処置するためのエンドプラスミン特異的モノクローナル抗体
この実施例には、エンドプラスミンの過剰発現を示すがん(本明細書中で「エンドプラスミン陽性」がんと称される)(メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんが挙げられるがこれらに限定されない)を処置するためのエンドプラスミン特異的ヒトモノクローナル抗体の使用が記載される。エンドプラスミン陽性がんを有すると診断された患者は、当該分野において標準的な手順に従って処置され得る。一般に、処置の選択肢としては、外科術、放射線治療、化学療法、免疫療法またはインターフェロン療法が挙げられる。
この実施例では、エンドプラスミン陽性メラノーマと診断された患者に、Pseudomonas外毒素(PE)に連結されたエンドプラスミン特異的ヒトモノクローナル抗体を含む免疫結合体が投与される。PE免疫結合体の調製法は、報告されている(例えば、
米国特許第7,081,518号および付与前の米国公開番号2005/0214304(これらは本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。一部の患者では、その免疫結合体は、静脈内ボーラス注射によって1日おきに合計3〜6回投与される。他の患者では、その免疫結合体は、10日間にわたって連続的な静脈内注入によって投与される。患者に投与される免疫結合体の用量は、患者の体重および性別、ならびに投与の様式および時間経過に応じて変動する。処置の後、がんの進行(腫瘍の成長および転移を含む)および疾病の他の臨床的徴候について患者を評価する。患者は、免疫結合体単独で、または1つ以上の標準的ながん処置法と併用して、処置され得る。例えば、メラノーマを除去する外科術を受けた患者は、続けて、免疫結合体で処置され得る。
記載された方法または組成物の正確な詳細は、記載された本発明の精神から逸脱することなく変更され得るかまたは改変され得ることが明らかであ。本発明者らは、下記の請求項の範囲内および精神内に入るそのような改変およびバリエーションのすべてを特許請求する。

Claims (29)

  1. 単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
    ここで、該抗体の重鎖可変ドメインが、配列番号1のアミノ酸26〜33(CDR1)、配列番号1のアミノ酸51〜58(CDR2)、配列番号1のアミノ酸97〜103(CDR3)を含み、該抗体の軽鎖可変ドメインが、配列番号2のアミノ酸27〜32(CDR1)、配列番号2のアミノ酸50〜52(CDR2)および配列番号2のアミノ酸89〜97(CDR3)を含み、
    ここで、該抗体または抗原結合フラグメントがエンドプラスミンに特異的に結合する、単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
  2. 列番号1を含む、請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  3. 列番号2を含む、請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  4. 列番号1および配列番号2を含む、請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  5. 前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’フラグメント、単鎖Fvタンパク質(scFv)またはジスルフィド安定化Fvタンパク質(dsFv)である、請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  6. 前記抗原結合フラグメントがscFvである、請求項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  7. 前記抗体がIgGである、請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  8. 前記抗体または抗原結合フラグメントが標識されている、請求項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  9. 前記標識が、蛍光標識、酵素標識または放射性標識である、請求項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメント。
  10. 請求項1に記載の単離された抗体または抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容され得るキャリアを含む、組成物。
  11. エフェクター分子に連結された請求項に記載のヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントを含む、単離された免疫結合体。
  12. 前記エフェクター分子が、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素(PE)またはそのバリアントもしくはフラグメントである、請求項1に記載の単離された免疫結合体。
  13. 前記エフェクター分子が、サイトカイン、ケモカイン、化学療法因子または放射性ヌク
    レオチドである、請求項1に記載の免疫結合体。
  14. 前記エフェクター分子が、サイトカインまたはケモカインである、請求項13に記載の免疫結合体。
  15. 請求項1に記載の単離された免疫結合体および薬学的に許容され得るキャリアを含む、組成物。
  16. エンドプラスミンを発現するがんを有すると診断された被験体を処置するための、請求項1に記載の抗体を含む、組成物。
  17. 前記がんが、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、卵巣がん、膀胱がんまたは膵臓腺癌である、請求項16に記載の組成物。
  18. 前記被験体への前記組成物の投与が、転移の数またはサイズを減少させる、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記組成物が、治療有効量の化学療法因子と組み合わせて投与されるものであることを特徴とする、請求項16に記載の組成物。
  20. 前記化学療法因子が、5−フルオロウラシル、シクロパミン、放射線照射またはそれらの組み合わせである、請求項19に記載の組成物。
  21. 被験体由来のサンプルへの請求項1〜11のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントの結合を、被験体におけるがんの検出またはがんの診断の確認の指標とする方法であって:
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントと該サンプルとを接触させる工程;および
    該サンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントの結合を検出する工程
    を包含し、ここで、コントロールサンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの結合と比べた、該サンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントの結合の増加は、該被験体におけるがんの検出、または該被験体におけるがんの診断の確認を示す、方法。
  22. 前記単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントが、直接標識されている、請求項21に記載の方法。
  23. 前記単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントに特異的に結合する二次抗体と前記サンプルとを接触させる工程、および
    該二次抗体の結合を検出する工程
    をさらに包含し、
    ここで、コントロールサンプルへの該二次抗体の結合と比べた、該サンプルへの該二次抗体の結合の増加は、該被験体におけるがんの検出、または該被験体におけるがんの診断の確認を示す、請求項21に記載の方法。
  24. 前記がんが、メラノーマ、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、腎がん、肺がん、神経膠腫、膀胱がん、卵巣がんまたは膵がんである、請求項21に記載の方法。
  25. 前記コントロールサンプルが、がんを有しない被験体由来のサンプルである、請求項21に記載の方法。
  26. 前記がんが転移性である、請求項21に記載の方法。
  27. 生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出する方法であって、
    該生物学的サンプルを、請求項1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントと接触させる工程;および
    該サンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントの結合を検出する工程、
    を包含し、ここで、コントロールサンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントの結合と比べた、該サンプルへの該単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントの結合の増加は、生物学的サンプルにおけるエンドプラスミンの存在を検出する、方法。
  28. 前記単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントが直接標識されている、請求項27に記載の方法。
  29. 前記単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントに特異的に結合する二次抗体を、前記生物学的サンプルと接触させる工程をさらに包含し、
    ここで、コントロールサンプルへの該二次抗体の結合と比べた二次抗体の結合の増加は、該生物学的サンプル中のエンドプラスミンを検出する、請求項27に記載の方法。
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