JP2013535951A - Mrsaの検出のための方法、キット及び組成物 - Google Patents

Mrsaの検出のための方法、キット及び組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2013535951A
JP2013535951A JP2013500236A JP2013500236A JP2013535951A JP 2013535951 A JP2013535951 A JP 2013535951A JP 2013500236 A JP2013500236 A JP 2013500236A JP 2013500236 A JP2013500236 A JP 2013500236A JP 2013535951 A JP2013535951 A JP 2013535951A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
assay
seq
represented
fema
tuf
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013500236A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013535951A5 (ja
JP6320041B2 (ja
Inventor
エリザベス ドリエブ
デイヴィッド エンゲルセイラー
ジョレン バウアーズ
ポール カイム
Original Assignee
ザ トランスレーショナル ゲノミクス リサーチ インスティテュート
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ザ トランスレーショナル ゲノミクス リサーチ インスティテュート filed Critical ザ トランスレーショナル ゲノミクス リサーチ インスティテュート
Publication of JP2013535951A publication Critical patent/JP2013535951A/ja
Publication of JP2013535951A5 publication Critical patent/JP2013535951A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6320041B2 publication Critical patent/JP6320041B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6888Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for detection or identification of organisms
    • C12Q1/689Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for detection or identification of organisms for bacteria
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/16Primer sets for multiplex assays

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、試料中のMRSAの存在を検出及び確認するために使用され得るマルチプレックスアッセイ、方法及びキットを提供する。その方法は、リアルタイムPCRアッセイを含み、キット及び組成物は、プライマー及びプローブとして使用されるオリゴヌクレオチドを含む。本発明はさらに、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するために有用なアッセイを含む。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月19日に出願された「MRSAの検出において有用である方法、キット及び組成物(METHODS, KITS, AND COMPOSITIONS USEFUL IN THE DETECTION OF MRSA)」と題された米国仮特許出願第61/315,664号;及び2011年1月13日に出願された「MRSAの検出のための方法、キット及び組成物(METHODS, KITS AND COMPOSITIONS FOR DETECTION OF MRSA)」と題された米国仮特許出願第61/432,511号に基づく優先権を主張し、それらの両方は、参照することによりそれらの全体が本明細書中に援用される。
技術の分野
本発明は、概して、所定の試料中に、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)が存在するかどうかを決定するための組成物及び方法を提供する。より詳細には、本発明は、MRSAの存在を検出するための、同定された遺伝子配列、それに応じて設計されたプライマー及びプローブに基づくアッセイを提供する。本発明はさらに、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するために有用であるアッセイを含む。
発明の背景
メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)は、米国及び他国において、最も危険な感染因子の一つとなっており、HIV−AIDSよりも高い死亡率を有する。MRSAは、Staphylococcus aureus(S. aureus)細菌のある菌株であり、これは健康な人々の皮膚上及び鼻腔中に生息し得る一般的な種類の細菌である。MRSAは、ブドウ球菌及び他の細菌感染を処置するために一般的に使用される抗生物質のいくつかには反応しない。
院内感染型MRSA(HA−MRSA)感染は、病院又は他の医療施設に現在いるか又は最近いたことのある人々において発生する。多くの人々は、MRSA細菌が、表面上、医療従事者、その患者又は他の患者に定着している環境において、医療サービスを受けたことによって、MRSA感染のリスクを有し得る。市中感染型MRSA(CA−MRSA)感染は、病院に最近いたことのない、その他の点では健康な人々において発生する。実際に、MRSAは、医療の場に広く曝されていない人における皮膚及び軟組織感染症の主因となっており、競技チーム施設、矯正施設及び軍隊の基礎訓練所において大発生が起こっている。
メチシリン感受性S. aureus(MSSA)及びメチシリン耐性S. aureus(MRSA)菌株に加えて、ヒトにおいて一般に見られ、Staphylococcus aureus細菌の近縁種である、CNS又はCoNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase−egative taphylococci))種がある。CNSの多くの菌株はまた、メチシリンに耐性であり(MRCNS)、MRSAと類似したSCCmec遺伝子カセット機構を含有する。具体的には、メチシリン耐性S. epidermidis(MRSE)が、CNS菌種の集合体中で、MRCNS保菌者において最も一般的に見られる菌種である。免疫無防備状態の患者において、MRCNS、特にMRSEは、感染症をもたらし得、創傷感染、血液感染及び呼吸器感染の共通の原因である。MRSEは、免疫抑制された患者及び中心静脈カテーテルを持つ患者において、重篤な感染症を引き起こし得る。
臨床医及び患者における除菌、隔離手順、又は職業活動における制限を通じた、MRSA定着用の治療介入は、医療従事者中における、MRSAが定着した患者を迅速に同定する方法があれば、より効果的となるだろう。しかしながら、現行の同定系は、例えば培養等の、旧式で、煩雑であり、かつ時間がかかる技術に基づいており、MRSAのみに焦点をおいている。したがって、感染の定着のスクリーニング及び診断の両方に対する高い精度を持つ、より迅速で情報価値のある試験を使用する、MRSA、MSSA、MRCNS及びMSCNSの確実な同定及び鑑別を可能とする技術に対する継続した必要性がある。
発明の要旨
したがって、簡潔には、本発明の一態様は、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためのマルチプレックスアッセイを提供する。マルチプレックスアッセイはnuc−SAアッセイ、femA−SAアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれる一つより多いアッセイを含む。
発明の別の態様は、試料中のMRSA、MSSA、MRSE及びMSSEを同定及び鑑別するためのマルチプレックスアッセイを包含し、マルチプレックスアッセイは、femA−Seアッセイ;mecAアッセイ;並びにnuc−Saアッセイ及びfemA−Saアッセイから選ばれる少なくとも一つのアッセイ、を含む。
発明の別の態様は、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためのマルチプレックスアッセイを提供し、マルチプレックスアッセイは、mecAアッセイと、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ及びtuf−CNSアッセイから選ばれる二つのアッセイとを含む。
発明のさらなる態様は、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するための方法を包含する。その方法は、試料を受け取る工程;nuc−Saアッセイ、femA−Saアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれる少なくとも一つのアッセイを実行することによって試料をスクリーニングする工程であって、それらがそれぞれnuc−S.aureus遺伝子、femA−S.aureus遺伝子、femA−S.epidermis遺伝子、tuf−S.aureus遺伝子、tuf−CNS遺伝子及びmecA遺伝子の存在又は非存在を解析する工程;並びに各々の選ばれたアッセイの解析に基づいて、試料中に含有される細菌を、MRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS又はMSCNSと同定する工程;を含む。
発明のまた別の態様は、マルチプレックスアッセイを通して、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためのキットを提供する。キットは、nuc−Saアッセイ、femA−Saアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれるアッセイ用の一つ以上のプライマーセット及びプローブを含む。
発明の他の態様及び実行は、以下に、さらに詳細に記載されている。
図1は、nuc−Sa、femA−SA(femA−Saと同一である、以下同様)、femA−Sepi(fem−Seと同一である、以下同様)及びmecAアッセイを含む、4回のリアルタイムPCRアッセイの結果を示す;マルチプレックスアッセイを使用して、TG6604と指定された咽頭スワブ試料を解析した。 図2は、nuc−Sa、femA−SA、femA−Sepi及びmecAアッセイを含む、4回のリアルタイムPCRアッセイの結果を示す;マルチプレックスアッセイを使用して、TG6608と指定された咽頭スワブ試料を解析した。 図3は、nuc−SA、femA−SA、femA−Sepi及びmecAアッセイを含む、4回のリアルタイムPCRアッセイの結果を示す;マルチプレックスアッセイを使用して、TG6588と指定された咽頭スワブ試料を解析した。 図4は、nuc−SA、femA−SA、femA−Sepi及びmecAアッセイを含む、4回のリアルタイムPCRアッセイの結果を示す;マルチプレックスアッセイを使用して、TG6607と指定された咽頭スワブ試料を解析した。 図5は、nuc−SA、femA−SA、femA−Sepi及びmecAアッセイを含む、4回のリアルタイムPCRアッセイの結果を示す;マルチプレックスアッセイを使用して、TG6759と指定された咽頭スワブ試料を解析した。 図6は、Nuc−SA、femA−SA、femA−Sepi及びmecAアッセイを含む、4回のリアルタイムPCRアッセイの結果を示す;マルチプレックスアッセイを使用して、TG6775と指定された咽頭スワブ試料を解析した。 図7は、femA−Sa、nuc−Sa、tuf−Sa、tuf−CNS及びmecAアッセイを含む、リアルタイムPCRマルチプレックスアッセイの結果並びに増幅曲線パターンを示す;マルチプレックスアッセイを使用して、1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1の比率でMRSA及びMSSAの混合物を含む、MRSA/MSSA群の試料を解析した。 図8は、femA−Sa、nuc−Sa、tuf−Sa、tuf−CNS及びmecAアッセイを含む、リアルタイムPCRマルチプレックスアッセイの結果並びに増幅曲線パターンを示す;マルチプレックスアッセイを使用して、1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1の比率でMRSA及びMSCNSの混合物を含む、MRSA/MSCNS群の試料を解析した。 図9は、femA−Sa、nuc−Sa、tuf−Sa、tuf−CNS及びmecAアッセイを含む、リアルタイムPCRマルチプレックスアッセイの結果並びに増幅曲線パターンを示す;マルチプレックスアッセイを使用して、1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1の比率でMRSA及びMSCNSの混合物を含む、MRSA/MSCNS群の試料を解析した。 図10は、femA−Sa、nuc−Sa、tuf−Sa、tuf−CNS及びmecAアッセイを含む、リアルタイムPCRマルチプレックスアッセイの結果並びに増幅曲線パターンを示す;マルチプレックスアッセイを使用して、1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1の比率でMSSA及びMRCNSの混合物を含む、MSSA/MRCNS群の試料を解析した。 図11は、femA−Sa、nuc−Sa、tuf−Sa、tuf−CNS及びmecAアッセイを含む、リアルタイムPCRマルチプレックスアッセイの結果並びに増幅曲線パターンを示す;マルチプレックスアッセイを使用して、1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1の比率でMRSA及びMSSAの混合物を含む、MRSA/MSSA群の試料を解析した。 図12は、femA−Sa、nuc−Sa、tuf−Sa、tuf−CNS及びmecAアッセイを含む、リアルタイムPCRマルチプレックスアッセイの結果並びに増幅曲線パターンを示す;マルチプレックスアッセイを使用して、1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1の比率でMRSA及びMRCNSの混合物を含む、MRSA/MRCNS群の試料を解析した。 図13は、femA−Sa、nuc−Sa、tuf−Sa、tuf−CNS及びmecAアッセイを含む、リアルタイムPCRマルチプレックスアッセイの結果並びに増幅曲線パターンを示す;マルチプレックスアッセイを使用して、1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1の比率でMRSA及びMSCNSの混合物を含む、MRSA/MRCNS群の試料を解析した。
発明の詳細な説明
本発明は、その適用によって、可変の単独のアッセイの組合せを含むマルチプレックスアッセイを使用して、又は単独のアッセイを使用して、混合検体中の、CNS菌種のMRSE及びMSSEを含む、MSSA、MRSA、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するために設計されたアッセイ、方法及びキットを開示する。
(I)MRSA及び他の菌種又は菌株の検出
(a)MRSA及び他の菌種又は菌株を同定及び鑑別する分子
メチシリン感受性S. aureus(MSSA)及びメチシリン耐性S. aureus(MRSA)に加えて、ヒトにおいて一般的に見られ、Staphylococcus aureusの近縁種である、CNS又はCoNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase−egative taphylococci))がある。多くのCNSはまた、メチシリンに耐性であり(MRCNS)、MRSAと類似したSCCmec遺伝子カセット機構を保有する。CNS菌種における例証的な例としては:S. capitis、S. epidermidis、S. haemolyticus、S. hominis、S. lugdunensis、S. saprophyticus、S. simulans及びS. warneriが挙げられる。具体的には、メチシリン耐性S. epidermidis(MRSE)が、MRCNS保菌者において最も一般的に見られるCNS菌種である。免疫無防備状態の患者において、MRCNS、特にMRSEは、感染症をもたらし得、創傷感染、血液感染、医療機器感染及び呼吸器感染の共通の原因である。
対象は、MRSA感染を含む細菌感染の徴候又は症状を示し得る。しかしながら、これらの徴候又は症状は、MRSA、MSSA、MRCNS又はMRCNSを診断することにおいては、信頼できるものではない。それに対し、菌種特異的若しくは菌株特異的な核酸配列、それらの配列の対立遺伝子、又は菌種特異的若しくは菌株特異的な核酸配列及びそれらの対立遺伝子の転写産物若しくは翻訳産物に由来するバイオマーカーを、MRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSの同定及び鑑別のために利用することは、ずっと迅速で、正確かつ情報価値がある。
(i)菌種又は菌株特異的核酸配列
菌種又は菌株特異的配列は、菌種又は菌株に特有の配列であり、つまり、他の以前に特徴付けられている菌種又は菌株によって共有されないものである。S. aureus菌種、S. epidermidis、CNS又はこれらの菌株に特異的な配列に相補的な配列を含有するプローブ又はプライマーは典型的には、他の菌種又は菌株のゲノムの対応する部分には、ストリンジェントな条件下ではハイブリダイズしないだろう。特定の菌種又は菌株配列が同定された場合、プローブ又はプライマーは、配列の任意の部分に基づいて設計され得る。プローブ又はプライマーはまた、配列の全体であってもよい。特定の菌種若しくは菌株配列に従って設計されたプライマー若しくはプローブはまた、縮重型で表わされ得、又は菌株若しくは菌種の同定配列の同定を容易にする化学修飾核酸、又は任意の他の成分を含み得る。菌種又は菌株に特異的であると同定された配列の概念はさらに、その特異的な配列に対して100%未満同一であるにもかかわらず、菌種又は菌株を特異的に検出する能力のある核酸配列を包含する。核酸配列において、T又はUは、核酸がDNA又はRNAであるかに依存して、互換的に使用され得ることに留意すべきである。同定配列と60%、70%、80%、90%、95%、99%又は100%未満の同一性を有する配列もやはり、その相補的配列と結合でき、かつ/又は所望の標的配列の核酸増幅を容易にすることができるのであれば、発明に包含され得る。特定の菌種若しくは菌株配列に従って設計されたプライマー若しくはプローブはまた、縮重型で表わされ得、又は菌株若しくは菌種の同定配列の同定を容易にする化学修飾核酸、又は任意の他の成分を含み得る。
菌種又は菌株特異的配列を同定し、それらの配列の存在を検出するためのプローブ又はプライマーを開発して、MRSA、MSSA、MRCNS又はMRCNSを同定及び鑑別することが、本明細書中に開示される。本発明の一態様は、nuc−S.aureus遺伝子が、S. aureusを特異的に検出するために使用され得ることを開示する。本発明の別の態様は、femA−S.aureus遺伝子もまた、S. aureusを特異的に検出するために使用され得ることを開示する。本発明の別の態様は、S. aureus及びCNSにおけるtuf遺伝子の差が使用されて、2つの近縁種が鑑別され得ることを開示する。本発明のさらに別の態様は、femA−S.epi遺伝子が、Staphylococcus epidermidis、つまり、MSSE又はMRSE、を特異的に検出するために使用され得ることを開示する。本発明のさらなる態様は、mecA遺伝子が、S. aureus及びCNSにおけるメチシリン/ペニシリン耐性を特異的に決定するために使用され得ることを開示する。
(ii)菌種又は菌株特異的核酸の対立遺伝子
S. aureus菌種、S. epidermidis、CNS又はこれらの菌株に特異的な配列の対立遺伝子を同定することは、この発明の別の態様である。対立遺伝子は、その位置、配列、又はそれを特定の遺伝子のある形態であると同定し得るその任意の他の特徴を理由に、それが特定の核酸のある形態であると認識され得る、その特定の核酸の任意の形態を含む。対立遺伝子は、点突然変異、サイレント突然変異、欠失、フレームシフト突然変異、一塩基遺伝子多形(SNP)、反転、転座、異質染色体挿入(heterochromatic insertion)、及び参照配列と比較してメチル化状態が異なる配列を、単独で又は組合せでのいずれかに関わらず含む遺伝子の形態を含むが、それらに限定されない。ある遺伝子の対立遺伝子は、機能性タンパク質を生成しても生成しなくてもよく;変化した機能、局在性、安定性、二量体形成、又はタンパク質−タンパク質相互作用を持つタンパク質を生成し得;過剰発現を有しているか、過小発現を有しているか又は発現を有していなくてもよく;変化した時間的又は空間的発現特異性を有し得る。対立遺伝子の存在又は非存在は、PCRに合うように設計されたプライマー及びプローブの使用、シークエンシング、ハイブリダイゼーション解析を含む、当技術分野において公知の任意のプロセスの使用を通して検出され得る。対立遺伝子はまた、突然変異又は突然変異体と呼ばれ得る。対立遺伝子は、対立遺伝子の野生型形態と呼ばれ得る別の対立遺伝子と比較され得る。場合によっては、野生型対立遺伝子は、突然変異体よりも一般的である。
本発明の一態様は、nuc−S.aureus遺伝子の対立遺伝子が、S. aureusを特異的に検出するために使用され得ることを規定する。本発明の別の態様は、femA−S.aureus遺伝子の対立遺伝子もまた、S. aureusを特異的に検出するために使用され得ることを規定する。本発明の別の態様は、S. aureus及びCNSにおけるtuf遺伝子の差が使用されて、2つの近縁種が鑑別され得ることを規定する。本発明のさらに別の態様は、femA−S.epi遺伝子の対立遺伝子が、Staphylococcus epidermidis、つまり、MSSE又はMRSE、を特異的に検出するために使用され得ることを規定する。本発明のさらなる態様は、mecA遺伝子の対立遺伝子が、S. aureus及びCNSにおけるメチシリン/ペニシリン耐性を特異的に決定するために使用され得ることを規定する。本発明はまた、MRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSの同定及び鑑別アッセイを開発するために使用され得る追加のDNA配列を提供する(実施例5及び配列番号19−30を参照のこと)。
(iii)具体的な菌種又は菌株の存在の指標としてのバイオマーカー
MRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS、MSCNS又は他の菌種若しくは菌株特異的核酸配列及びそれらの対立遺伝子の転写又は翻訳プロセスに由来する、小型RNA、ぺプチド及びタンパク質を含むがそれらに限定されない分子が、特定の菌種又は菌株の存在を示すバイオマーカーとなり得る。MRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS、又はMSCNSから防御するために、免疫系によって生成される、例えば、 等のいくつかの分子もまた、バイオマーカーとなり得る。対立遺伝子を検出する方法は一般的に、RNA又はタンパク質分子等のゲノムDNA鋳型から作成される物質の発現を評価することを含む。そのような発現は、当技術分野において現在使用されている、及びまだ開発されていない、数々の方法の任意のものによって評価され得る。
一度、菌株特異的遺伝子、それらの対立遺伝子又はそれらの他の核酸ベースのバイオマーカーが同定されると、試料をスクリーニングするためにプライマー及びプローブが設計されて、これらの遺伝子、対立遺伝子又はバイオマーカーの存在又は非存在が、特異的かつ選択的に検出され得、したがって、ブドウ球菌属の特定の菌種又は菌株が、リアルタイムPCR、定量PCR、定量リアルタイムPCR等のPCRに基づいた方法;対立遺伝子特異的ライゲーション;比較ゲノムハイブリダイゼーション;シークエンシング;及び当技術分野において公知の他の方法、を含む種々の方法を通して決定され得る。一つの例証的な例において、CNSを検出するためのアッセイにおいて使用されるプライマーを設計するために、CNS菌種のtuf遺伝子が整列された。RT−PCR/PCRにおけるプライマーの作用機構は、当技術分野において公知である。発明の一態様は、混合検体におけるMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを鑑別するための適用に依存して特異的なプライマーセット及びプローブを含む、種々の数のアッセイが組み合わされたマルチプレックスRT−PCRアッセイを提供する。
プローブについては、それらは、単一プローブ解析又はマルチプレックスプローブ/プライマーが組み合わされたRT−PCR/PCR解析のために使用され得る。標的配列内の選択配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブが設計され得る。一つの例証的な例において、RT−PCR/PCR産物の検出を容易にするオリゴヌクレオチドプローブは、上流プライマー又は下流プライマーのいずれかから下流にある標的配列内の選択配列に相補的である。したがって、これらのプローブは、標的配列の増幅断片の内部配列にハイブリダイズする。
オリゴヌクレオチドの概念は、天然源に由来するか、人工的に合成されたか、又は組換えDNA技術の使用を通して生成されたかにかかわらず、二つ以上のヌクレオチドの任意のDNA又はRNA分子を含む。ヌクレオチドとは、単独のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基である。ヌクレオチドの例としては:オリゴヌクレオチド配列の表示においてA、T、G、C、又はUと省略され得る、アデニン、チミン、グアニン、シトシン及びウラシルが挙げられるが、それらに限定されない。オリゴヌクレオチドの長さは、オリゴヌクレオチドがどのようにして使用されるかに依存する。当業者は、任意の所定の方法において、必要であるオリゴヌクレオチドのおよその長さを理解するだろう。その方法によって、オリゴヌクレオチドは、0〜1000塩基長であり得る。他の態様において、それは5〜500塩基長、5〜100塩基長、5〜50塩基長、又は10〜30塩基長であり得る。特定の菌種若しくは菌株配列に従って設計されたプライマー若しくはプローブはまた、縮重型で表わされ得、又は菌株若しくは菌種の同定配列の同定を容易にする化学修飾核酸、又は任意の他の成分を含み得る。オリゴヌクレオチドは、固体(必要に応じて結晶塩を含む)を含む任意の物理的剤形であり得、又は緩衝溶液等の溶液であり得る。
(b)MRSA及び他の菌種又は菌株を含有し得る試料
試料にはしばしば、細菌菌種の混合物が付いてくる。MSSA及びMRSAに加えて、CNS、又はCoNSがある。CNS菌種の中では、MRSEが最も一般的にMRCNS保菌者において見られる菌株である。本発明は、その適用によって可変の単独のアッセイの組合せを含むマルチプレックスアッセイを使用して、試料中の、CNS菌種のMRSE及びMSSEを含む、MSSA、MRSA、MRCNS及びMSCNSを鑑別するために設計されたプライマーセット及び/又はプローブを利用するマルチプレックスアッセイ、方法及びキットを開示する。
本明細書中に開示されるアッセイ、方法又はキットに供される試料は、興味の対象である細菌からの核酸を含有する疑いがあっても、疑いがなくてもよい。核酸としては、細菌から生ずるRNA、cDNA、tRNA、ミトコンドリアDNA、プラスミドDNA、siRNA、ゲノムDNA又は任意の他の天然起源の若しくは人工的な核酸分子が挙げられるが、それらに限定される必要はない。試料が、細菌感染の症状を呈する対象由来、又は細菌が風土性であると考えられる地域からの環境試料由来、又はMRSA若しくはMRSEを含むことが発見された病院若しくは他の環境に最近居合わせた対象由来である場合、それらの試料は、細菌を含有する疑いがあり得る。対象は、MRSA感染の徴候又は症状を呈し得、徴候又は症状としては、皮膚上の赤く、腫れてかつ有痛性の領域、その部位からの膿若しくは他の体液の排液、発熱、皮膚膿瘍、感染領域の周囲の温感、胸痛、悪寒、咳、疲労、倦怠感、頭痛、筋肉痛、発疹及び息切れが挙げられる。
試料は、土壌、大気、水、固体面(天然であるか人工的であるかに関わらず)、培地、食料品、医学的手順及び/又は身体の装飾手順(入れ墨針又はボディピアス針等)において使用される装置を含む装置、を含むが、それらに限定されない、細菌又は細菌の任意の部分が発見され得るどこにでも由来し得る。そのうえ、試料は、対象由来であってもよく、又は農業、環境若しくは任意かつ全ての他の供給源由来であってもよい。
対象は、植物;ヒト、伴侶動物(イヌ、ネコ、トリ又は小哺乳類等)、家畜動物(ウシ、ブタ、ヒツジ、家禽類等)及び他の任意の家畜化された動物又は野生動物を含むが、それらに限定されない動物、等の、細菌に感染し得る任意の生物体であり得る。対象由来の試料としては、全ての形態の核酸の収集物、前立腺、乳房、皮膚、筋肉、顔面、脳、子宮内膜、肺、頭頚部、膵臓、小腸、血液、肝臓、精巣、卵巣、大腸、皮膚、胃、食道、脾臓、リンパ節、骨髄、腎臓、胎盤若しくは胎児のバイオプシー又は他のインビボ解析又はエクスビボ解析の収集物が挙げられるが、それらに限定されない。対象由来の試料はまた、末梢血、リンパ液、腹水、漿液、胸水、痰、気管支洗浄液、気管支肺胞洗浄液(BALF)、脳脊髄液、精液、羊水、涙液、便、尿、毛又は細菌若しくは細菌の任意の部分が存在するかもしれない任意の他の供給源、等の液体試料の形態をとり得る。
試料は、領域若しくは開口部を拭いとる若しくはふき取る方法、バイオプシーにおけるように組織の小片の除去、体液を採取するための任意の公知の方法、ある表面をふく方法、液体試料を採取する方法、大気試料を採取する方法又は解析用のDNA、RNA若しくはタンパク質等の生体物質を保存するような方法で細菌を採取するのに使用され得る任意の他の方法を含む、任意かつ全ての現在公知である、又はまだ開示されていない方法によって採取され得る。
(c)好ましい実施態様
表Aに示されるように、本発明の一つの好ましい実施態様において、配列番号1及び2によって表わされるプライマーセット1は、S. aureus、CNS及び他の菌種が鑑別され得るように、nuc遺伝子を保有するS. aureus特異的核酸配列に選択的である。
一つの好ましい実施態様において、配列番号4及び5によって表わされるプライマーセット2は、S. aureus、CNS及び他の菌種が鑑別され得るように、femA−S.aureus遺伝子を保有するS. aureus特異的核酸配列に選択的である。
一つの好ましい実施態様において、配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3は、S. epidermis及び他のStaphylococcus属菌種が鑑別され得るように、femA−S.epi遺伝子を保有するS. epi特異的核酸配列に選択的である。
一つの好ましい実施態様において、配列番号10及び11よって表わされるプライマーセット4は、S. aureusが検出され得るように、tuf−S.aureus遺伝子を保有するS. aureus特異的核酸配列に選択的である。
一つの好ましい実施態様において、配列番号13及び14によって表わされるプライマーセット5は、CNSが検出され得るように、tuf−CNS遺伝子を保有するCNS特異的核酸配列に選択的である。
さらに別の好ましい実施態様において、配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6は、メチシリン及びペニシリン耐性表現型が鑑別され得るように、メチシリン又はペニシリン耐性に選択的であり、この表現型は、mecA遺伝子を保有する核酸配列の存在又は非存在によって決定される。
また別の好ましい実施態様において、配列番号3によって表わされるプローブ1は、S. aureus、CNS及び他の菌種が鑑別され得るように、nuc遺伝子を保有するS.aureus特異的核酸配列に選択的である。
一つの好ましい実施態様において、配列番号6によって表わされるプローブ2は、S. aureus、CNS及び他の菌種が鑑別され得るように、femA−S.aureus遺伝子を保有するS. aureus特異的核酸配列に選択的である。
一つの好ましい実施態様において、配列番号9によって表わされるプローブ3は、他のStaphylococcus属菌種からS. epidermidisが鑑別され得るように、femA−S.epi遺伝子を保有するS. epi特異的核酸配列に選択的である。
一つの好ましい実施態様において、配列番号12よって表わされるプローブ4は、S. aureusが検出され得るように、tuf−S.aureus遺伝子を保有するS. aureus特異的核酸配列に選択的である。
さらに別の好ましい実施態様において、配列番号15によって表わされるプローブ5は、CNSが検出され得るように、tuf−CNS遺伝子を保有するCNS特異的核酸配列に選択的である。
また別の好ましい実施態様において、配列番号18によって表わされるプローブ6は、メチシリン及びペニシリン耐性表現型が鑑別され得るように、メチシリン又はペニシリン耐性に選択的であり、この表現型は、mecA遺伝子を保有する核酸配列の存在又は非存在によって決定される。
プライマー及びプローブ用のオリゴヌクレオチドは、逐次合成、固相合成、又は現在公知若しくはまだ開示されていない任意の他の合成方法を含む数々の方法の任意のものによって、化学的に合成され得る。あるいは、オリゴヌクレオチドは、組換えDNAベースの方法によって生成され得る。当業者は、特定の課題を実施するために必要なオリゴヌクレオチドの長さを理解するだろう。
(II)MRSA及び他の菌種又は菌株の検出方法
菌株特異的核酸、菌株特異的核酸の対立遺伝子及び菌株特異的核酸並びにそれらの対立遺伝子の転写及び翻訳産物由来のバイオマーカーを同定するのに使用される方法としては、PCR、RT−PCR、ハイブリダイゼーション法、シークエンシング及び上記方法の任意の組合せが挙げられる。
核酸は、手動の方法、機械的な方法、又はそれらの任意の組合せを含む、数々の方法の任意のものによって試料へ添加され得る。対立遺伝子の存在は、特定の核酸配列の増幅、ネイティブ核酸若しくは増幅核酸のシークエンシング、又は核酸に結合したか若しくは核酸から放出されたかのいずれかの標識の検出を含む、数々の方法の任意のものによって示され得る。試料への核酸の添加はまた、核酸が特異性を有する標的対立遺伝子が存在しない試料への核酸の添加も包含する。
(a)PCR
核酸は、試料中に含有される鋳型核酸から選択的かつ特異的に増幅され得る。いくつかの核酸増幅方法において、コピーは、指数関数的に作出される。当技術分野において公知の非限定的な核酸増幅方法としては:ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、自家持続配列複製法(3SR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、Qβレプリカーゼでの増幅、φ29等の酵素での全ゲノム増幅、全ゲノムPCR、クレノー若しくは任意の他のRNAポリメラーゼでのインビトロ転写、又は所望される配列のコピーが作出される任意の他の方法、が挙げられる。
ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)は、鋳型DNAを増幅する効率性の高い方法であり、核酸試料の混合、鋳型DNAを認識するように設計された二つ以上のプライマー、DNAポリメラーゼ(Taq又はPfu等の耐熱性DNAポリメラーゼであり得る)及びデオキシリボースヌクレオシド三リン酸(deoxyribose nucleoside triphosphate)(dNTP)を一般的に含む。逆転写PCR、定量逆転写PCR及び定量リアルタイム逆転写PCRは、PCRの他の具体的な例である。一般に、反応混合物は、変性段階(典型的には80〜100℃)、プライマーの融解温度(Tm)及びプライマーの縮重度に基づいて選択された温度を持つアニーリング段階、並びに伸長段階(例えば40〜75℃)を含む温度サイクルへ供される。リアルタイムPCR解析においては、増幅DNAの濃度に比例して蛍光の大きさの測定を可能とする、追加の試薬、方法、光学検出系及び当技術分野において公知である装置、が使用される。そのような解析において、増幅された鎖中への蛍光色素の取込みが、検出又は測定され得る。
あるいは、PCRのアニーリング期の間に特異的な配列に結合する標識プローブが、プライマーと共に使用され得る。標識プローブは、蛍光レベルが検出又は測定され得るように、伸長期の間に、それらの蛍光タグを放出する。一般的に、プローブは、上流又は下流プライマーのいずれかの下流にある標識配列内の配列に相補的である。プローブは、一つ以上の標識を含み得る。標識は、機械、検出器、感知器、装置、又は増強された若しくは増強されていないヒトの目が、非標識組成物から標識組成物を鑑別する助けをする能力のある任意の物質であり得る。標識の例としては:放射性同位元素若しくはそれらのキレート、色素(蛍光又は無蛍光)、染色、酵素、又は非放射性金属が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な例としては:フルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン、アルカリホスファターゼ、ビオチン、ストレプトアビジン、H、14C、32P、35S若しくは放射線を放射する能力のある任意の他の化合物、ローダミン、4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)安息香酸(「Dabcyl」);4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)スルホン酸(塩化スルホニル)(「Dabsyl」);5−((2−アミノエチル)−アミノ)−ナフタレン−1−スルホン酸(「EDANS」);ソラレン誘導体、ハプテン、シアニン、アクリジン、蛍光ロードール誘導体、コレステロール誘導体;エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)及びその誘導体、又は分別して検出され得る任意の他の化合物、が挙げられるが、それらに限定されない。標識はまた、遺伝子型判定における使用のために最適化された一つ以上の蛍光色素を含み得る。そのような色素の例としては:CAL−Fluor Red 610、CAL−Fluor Orange 560、dR110、5−FAM、6FAM、dR6G、JOE、HEX、VIC、TET、dTAMRA、TAMRA、NED、dROX、PET、BHQ+、Gold540及びLIZが挙げられるが、それらに限定されない。PCRは、標的物の増幅の判断を容易にする。
上記のとおり、プライマーか又はプローブと一緒のプライマー、のいずれかは、初期試料中に存在する特異的な鋳型DNAの量の定量化を可能とするだろう。また、RNAは、まず逆転写酵素を通してRNAからDNA鋳型を作製することによって、PCR解析によって検出され得る。発明のいくつかの態様において、対立遺伝子は、試料の遺伝子型判定解析を容易にする定量PCR解析によって検出され得る。
例証的な例としては、DiCesareに与えられた米国特許第5,716,784号において、PCR反応における二重標識オリゴヌクレオチドプローブの使用が開示されている。本発明のマルチプレックスRT−PCR/PCR反応のPCR工程において、二重標識蛍光オリゴヌクレオチドプローブは、隣接するオリゴヌクレオチドプライマー間の標的核酸に、PCR反応のアニーリング工程の間に結合する。オリゴヌクレオチドプローブの5’末端は、エネルギー移行ドナーフルオロフォア(レポーター蛍光体(reporter fluor))を含有し、3’末端は、エネルギー移行アクセプターフルオロフォア(クエンチング蛍光体)を含有する。インタクトなオリゴヌクレオチドプローブにおいては、3’クエンチング蛍光体が、5’レポーター蛍光体の蛍光を消光させる。しかしながら、オリゴヌクレオチドプローブが標的核酸に結合している時、例えば、Taq DNAポリメラーゼ等の、DNAポリメラーゼの、5’から3’へのエキソヌクレアーゼ活性は、増幅工程の間、結合した標識オリゴヌクレオチドプローブを効率的に消化するだろう。オリゴヌクレオチドプローブの消化は、3’クエンチング蛍光体の阻止効果から、5’レポーター蛍光体を分離させる。レポーター蛍光体による蛍光の出現は、反応の間に検出及びモニタリングされ、検出された蛍光の量は、放出された蛍光産物の量に比例する。検出に適した器具としては、アプライドバイオシステムズ(商標)7900HTリアルタイムPCRプラットフォーム及びロシュ社の480 LightCycler、96ウェルの反応プレートを使用するABI Prism 7700シークエンス検出器又は9600エミュレーション・モードにおけるGENEAMP PC System 9600若しくは9700に続くABA Prismシークエンス検出器若しくはTAQMAN LS−50B PCR検出系における解析、が挙げられる。標識プローブによって容易になったマルチプレックスRT−PCR/PCRはまた、マルチプレックス能を有する他のリアルタイムPCR系においても実施され得る。
マルチプレックスPCRアッセイにおいて、複数の試料間の遺伝子の定常状態mRNAレベルにおける変化を決定し、mRNAレベルを、内部標準RNAのレベル(基準)に関連して決定するために、相対定量がしばしば使用される。コントロールRNAは、マルチプレックスアッセイにおいて同一のチューブ中で共増幅され得、又は別々のチューブ中で増幅され得る。一般的にコントロールRNAは、ハウスキーピング遺伝子、又は構成的発現をする遺伝子、又は濃度が知られた標準物質であり得る。しかしながら、相対定量においては、濃度が知られた標準物質は必要とされず、基準は、その配列が公知である限り、任意の転写物であり得る。相対定量は、標的遺伝子の発現レベル対一つ以上の基準遺伝子の発現レベルに基づいており、多くの実験において、相対定量は遺伝子発現レベルにおける生理学的変化を検討するのに十分である。適当な基準遺伝子に関連する標的遺伝子の発現を計算するために、種々の数学的モデルが確立されている。計算は、例えば、一定レベルの蛍光でのクロッシングポイント(CP)及びサイクル閾値(cycle threshold value)(Ct);又は確立された数学アルゴリズムに従ったCPの取得、等の、種々の方法によって決定された別個のサイクルの比較に基づく。
RT−PCRにおけるCt値のためのアルゴリズムは、各PCR増幅が有意な閾値に達するサイクルを計算する。計算されたCt値は、試料中に存在する標的のコピー数と比例し、Ct値は、任意の試料中に見られる標的のコピーの正確な定量測定値である。換言すれば、Ct値は、プライマーセットが認識するように設計されたそれぞれの標的の存在を表わす。試料中に標的がない場合、RT−PCR反応において増幅は起こらないはずである。
あるいは、Cp値が利用され得る。Cp値は、蛍光の増加が最も高く、PCRの対数増幅期が開始するサイクルを表わす。LightCycler(登録商標)480ソフトウェアは、全体の増幅曲線の二次導関数を計算し、この値が最高値である個所を決定する。二次導関数アルゴリズムを使用することによって、蛍光が相対的に低い場合でも、得られたデータはより信頼できかつ再現可能である。
(b)ハイブリダイゼーション法
PCRに加えて、遺伝子型判定解析はまた、興味の対象である核酸配列にハイブリダイズする能力のあるプローブを使用して実施され得る。プローブは、核酸、オリゴヌクレオチド(DNA又はRNA)、タンパク質、タンパク質複合体、接合体、天然のリガンド、小分子、ナノ粒子、又は上記の一つ以上を含む分子の任意の組合せ、又は任意の対立遺伝子に特異的に結合する能力のある任意の他の分子実体(そのような分子実体が現在実在するか、まだ開示されていないかにかかわらず)、を含み得る。発明の一態様において、プローブはオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドの記載は、第I(ii)節中にある。
遺伝子又は対立遺伝子の検出方法は一般的に、それらの発現レベルを、RNA又はタンパク質分子等のそれらの転写産物又は翻訳産物を通して評価することを含む。遺伝子又は対立遺伝子の発現は、当技術分野において現在使用されている及びまだ開発されていない数々の方法のうちの任意のものによって評価され得る。例としては、以下の非限定的な例を含む、任意の核酸検出方法が挙げられる:マイクロアレイ解析、RNA in situハイブリダイゼーション法、RNAseプロテクションアッセイ、ノザンブロット。他の例としては、以下の非限定的な例を含む、抗体を使用する発現検出の任意のプロセスが挙げられる:フローサイトメトリー、免疫組織化学法、ELISA、ウェスタンブロット、ノースウェスタンブロット及びイムノアフィニティクロマトグラフィ。抗体は、モノクローナル、ポリクローナル又は、例えば、Fab、F(ab)、Fv、scFv、ファージディスプレイ抗体、ペプチボディ、多選択性リガンド若しくは標的に特異的結合をする任意の他の試薬のような、任意の抗体断片であり得る。他のタンパク質発現の評価方法としては、以下の非限定的な例が挙げられる:HPLC、質量分析法、プロテインマイクロアレイ解析、PAGE解析、等電点電気泳動、2−Dゲル電気泳動及び酵素アッセイ。
発明のいくつかの態様において、対立遺伝子の存在は、DNAチップなどのマイクロアレイ上のプローブへの結合によって立証され得る。DNAチップの例としては、数々の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブがシリコンガラス等の固体基質に付着されたチップ、が挙げられる。ある対立遺伝子に相補的な配列を持つオリゴヌクレオチドは、その特定の対立遺伝子と一つ以上のヌクレオチドにおいて異なる対立遺伝子を除外して、そのある対立遺伝子に特異的に結合する能力がある。標識された試料DNAは、オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、標識の検出は試料の結合、したがって、試料中の対立遺伝子の存在、と相関する。
対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション法において、多型部位にあり得る全てのバリエーションを表わすオリゴヌクレオチド配列がチップ上に含まれる。チップ及び試料は、標識された試料DNAが、正確な配列の一致を有するオリゴヌクレオチドのみに結合するであろう条件下に供される。対立遺伝子特異的プライマー伸長において、付着されたオリゴヌクレオチドをプライマーとして、チップにハイブリダイズされた試料DNAは合成鋳型として使用され得る。この方法下では、添加されるdNTPのみが標識される。標識されたdNTPの取込みは次いで、対立遺伝子の存在を示すシグナルとして役立つ。蛍光標識は、DNAチップ上の少なくとも4つの異なる蛍光標識を読み取るように構成された数々の機器のうちの任意のものによって検出され得る。別の選択肢において、オリゴヌクレオチドに付加された最後のdNTPの正体は、質量分析によって評価され得る。この選択肢において、dNTPは、公知の分子量を持つ標識で標識されていてもよいが、その必要はない。
核酸プローブは、基質に付着されていてもよい。あるいは、試料が基質に付着されていてもよい。プローブ又は試料は、基質に共有結合していてもよく、又は静電結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、若しくはオリゴヌクレオチドプローブ等のプローブが、それらが特異性を有する対立遺伝子を認識するその能力を保持しつつ基質に付着され得る任意の他の相互作用、を含む、何らかの非共有的な相互作用によって結合され得る。基質は、プローブが、単独か又はマイクロアレイにおいて例証されるように、一つ以上の追加のプローブ若しくは試料の存在下、のいずれかでその基質上に付着され得る、任意の固体又は半固体の物質であり得る。基質物質の例としては、ポリビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル若しくは任意の他のプラスチック、ガラス、二酸化ケイ素若しくは他のシラン化合物、ヒドロゲル、金、プラチナ、マイクロビーズ、ミセル及び他の脂質構造、ニトロセルロース、又はナイロン膜、が挙げられるが、それらに限定されない。基質は、球状のビーズ又は平面を含む、任意の形態をとり得る。例えば、プローブは、アレイ又はin situ PCR反応の場合には、基質に結合され得る。サザンブロットの場合には、試料が基質に結合され得る。
核酸プローブは、標識を含み得る。標識は、機械、検出器、感知器、装置、又は増強された若しくは増強されていないヒトの目が、非標識組成物から標識組成物を鑑別する助けをする能力のある任意の物質であり得る。標識の例としては:放射性同位元素若しくはそれらのキレート、色素(蛍光又は無蛍光)、染色、酵素、又は非放射性金属が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な例としては:フルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン、アルカリホスファターゼ、ビオチン、ストレプトアビジン、H、14C、32P、35S若しくは放射線を放射する能力のある任意の他の化合物、ローダミン、4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)安息香酸(「Dabcyl」);4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)スルホン酸(塩化スルホニル)(「Dabsyl」);5−((2−アミノエチル)−アミノ)−ナフタレン−1−スルホン酸(「EDANS」);ソラレン誘導体、ハプテン、シアニン、アクリジン、蛍光ロードール誘導体、コレステロール誘導体;エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)及びその誘導体、又は分別して検出され得る任意の他の化合物、が挙げられるが、それらに限定されない。標識はまた、遺伝子型判定における使用に最適化された一つ以上の蛍光標識を含み得る。そのような色素の例としては:dR110、5−FAM、6FAM、dR6G、JOE、HEX、VIC、TET、dTAMRA、TAMRA、NED、dROX、PET、BHQ+、Gold540及びLIZが挙げられるが、それらに限定されない。
(c)シークエンシング
遺伝子又は対立遺伝子の存在を検出する方法はさらに、サンガー、次世代シークエンシング、ピロシークエンシング、SOLIDシークエンシング、大量並列シークエンシング(massively parallel sequencing)、プール化DNAシークエンシング及びバーコードDNAシークエンシング、又は現在公知若しくはまだ開示されていない任意の他のシークエンシング方法を含む、DNAシークエンシングの任意の形態;又は試料中の特定の核酸配列の検出をすることができる、若しくはある核酸と一つ以上のヌクレオチドにおいて異なる別の核酸からの最初の核酸の鑑別を可能にする任意の他の方法、又はこれらの任意の組合せ、を含むが、それらに限定されない。
サンガーシークエンシングにおいて、一本鎖DNA鋳型、プライマー、DNAポリメラーゼ、ヌクレオチド及びヌクレオチド塩基と接合した放射性標識又はプライマーと接合した蛍光標識等の標識並びにジデオキシヌクレオチドを含む一つの鎖停止塩基(ddATP、ddGTP、ddCTP又はddTTP)が4つの反応の各々に添加される(各鎖停止塩基につき一つの反応)。配列は、結果として生じた鎖の電気泳動によって決定され得る。ダイターミネイターシークエンシングにおいて、各鎖停止塩基は、シークエンシングを単一の反応中で実施することができるような、異なる波長の蛍光標識で標識されている。
ピロシークエンスにおいて、配列決定されるべき一本鎖鋳型へのポリメラーゼによる塩基の付加は、ヌクレオチドの取込みにあたり、ピロリン酸の放出をもたらす。ATPスルフリラーゼ酵素が、ピロリン酸をATPへと変換し、それは順に、ルシフェリンのオキシルシフェリンへの変換を触媒し、それが次にカメラによって検出される可視光の作出をもたらす。
SOLIDシークエンスにおいて、配列決定されるべき分子は、断片化され、アダプター配列、あるいはバーコード配列、を持つクローナルな磁気ビーズ(ここで、各ビーズは、単一断片の複数のコピーに接合されている)の集合を調製するのに使用される。ビーズは、ガラス表面に結合されている。次いで、2塩基コード化を通して、シークエンシングが実施される。
大量並列シークエンスにおいて、無作為に断片化された標的DNAが、ある表面へと付着される。断片は、伸長され、ブリッジ増幅されて、各々が単一断片の配列の複数のコピーを有するクラスターを持つフローセルが作製される。鋳型は、並列に断片を合成することによって配列決定される。塩基は、断片への特定の塩基の付加に相関する、蛍光色素の放出によって示される。
(d)好ましい実施態様
例証的な実施態様の群が、表Aに示される。本発明は、一実施態様において、配列番号1及び2によって表わされるプライマーセット1並びに/又は配列番号3によって表わされるプローブ1を適用するアッセイ1−nuc−Saアッセイが、S. aureus、CNS及び他の菌種を同定及び鑑別するために実行され得ることを規定する。
別の実施態様において、配列番号4及び5によって表わされるプライマーセット2並びに/又は配列番号6によって表わされるプローブ2を適用するアッセイ2−femA−Saアッセイは、S. aureus、CNS及び他の菌種を同定及び鑑別するために実行され得る。
一実施態様において、配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3並びに/又は配列番号9によって表わされるプローブ3を適用するアッセイ3−femA−Seアッセイは、他のStaphylococcus属菌種からS. epidermisを同定及び鑑別するために実行され得る。
一実施態様において、配列番号10及び11によって表わされるプライマーセット4並びに/又は配列番号12によって表わされるプローブ4を適用するアッセイ4−tuf−Saアッセイは、S. aureusを同定するために実行され得る。
一実施態様において、配列番号13及び14によって表わされるプライマーセット5並びに/又は配列番号15によって表わされるプローブ5を適用するアッセイ5−tuf−CNSアッセイは、CNSを同定するために実行され得る。
一実施態様において、配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6並びに/又は配列番号18によって表わされるプローブ6を適用するアッセイ6−mecAアッセイは、メチシリン及びペニシリン耐性表現型を同定及び鑑別するために実行され得る。
一つの好ましい実施態様において、上記のtuf−Saアッセイ(アッセイ4)及びtuf−CNSアッセイ(アッセイ5)を、両方のプライマーセット及びプローブを一つのRT−PCR反応中に適用することによって組み合わせたマルチプレックスアッセイ−tufディファレンシャルマルチプレックスアッセイ、がS. aureus及びCNSを鑑別するために使用され得る。
試料中のMRSA、MSSA、MRSE又はMSSEを同定及び鑑別するための別の好ましいマルチプレックスアッセイは、femA−Seアッセイ(アッセイ3);mecAアッセイ(アッセイ6);並びにnuc−Saアッセイ(アッセイ1)及びfemA−Saアッセイ(アッセイ2)から選ばれる少なくとも一つのアッセイ、を含む。
試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS又はMSCNSを同定及び鑑別するためのさらに別の好ましいマルチプレックスアッセイは、mecAアッセイ(アッセイ6)と、femA−Seアッセイ(アッセイ3)、tuf−Saアッセイ(アッセイ4)及びtuf−CNSアッセイ(アッセイ5)から選ばれる二つのアッセイとを含む。
マルチプレックスRT−PCR/PCRアッセイにおけるアッセイの組合せは、一つのRT−PCR反応において、それぞれ複数のプライマーセット及び/又はプローブを適用することを通してである。マルチプレックスRT−PCR/PCRアッセイは、たとえいくつかのアッセイが目的において重複しているが検証ツールとして役立つ場合でも、任意の数又は任意の組合せの個々のアッセイを含み得る。
いくつかの他の実施態様において、本明細書中に開示される個々のアッセイ(アッセイ1〜6)はまた、別々に実行され得るが、しかしこれらの個々のアッセイの結果は、内部標準での標準化後に、重ね書きされて比較可能となり得る。
(III)キット
発明のまた別の態様は、試料中のMRSA、MSSA、MRCNS又はMSCNSを同定及び鑑別するためのキットを包含する。好ましい実施態様において、キットは、nuc−Saアッセイ、femA−Saアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれるアッセイ用の、一つ以上のプライマーセット及びプローブを含む。前記の節及び表Aにおいて詳しく記載されているとおり:配列番号1及び2によって表わされるプライマーセット1、並びに/又は配列番号3によって表わされるプローブ1を適用することによって、S. aureus及び他の菌種を同定及び鑑別するnuc−Saアッセイ;配列番号4及び5によって表わされるプライマーセット2、並びに/又は配列番号6によって表わされるプローブ2を適用することによって、S. aureus及び他の菌種を同定及び鑑別するfemA−Saアッセイ;配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3、並びに/又は配列番号9によって表わされるプローブ3を適用することによって、他のStaphylococcus属菌種からS.epidermisを同定及び鑑別するfemA−Seアッセイ;配列番号10及び11によって表わされるプライマーセット4、並びに/又は配列番号12によって表わされるプローブ4を適用することによって、S. aureusを同定するtuf−Saアッセイ;配列番号13及び14によって表わされるプライマーセット5、並びに/又は配列番号15によって表わされるプローブ5を適用することによって、CNSを同定するtuf−CNSアッセイ;並びに配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6、並びに/又は配列番号18によって表わされるプローブ6を適用することによって、メチシリン及びペニシリン耐性表現型を同定及び鑑別するmecAアッセイ。
マルチプレックスアッセイは、nuc−S.aureus遺伝子、femA−S.aureus遺伝子、femA−S.epidermis、tuf−S.aureus遺伝子、tuf−CNS遺伝子及びmecA遺伝子から選ばれる少なくとも一つの他の標的配列の存在又は非存在を検出するために、プライマーセット又はプローブ又は両方が適用される、PCR、RT−PCR、シークエンシング、ハイブリダイゼーション法及びそれらの任意の組合せから選ばれる解析の種類である。それぞれの標的遺伝子を検出するアッセイは、複数の別々の反応系において個々に、又はPCR、RT−PCR、シークエンシング、ハイブリダイゼーション法若しくはそれらの任意の組合せのための、一つの、組み合わされ、かつ混合された反応系において、実行され得る。
一つの好ましい実施態様において、キットは、S. aureus及びCNSを鑑別するためにtuf−Saアッセイ及びtuf−CNSアッセイを、両方のプライマーセット及び/又はプローブを一つのRT−PCR反応中に適用することによって組み合わせた、tufディファレンシャルマルチプレックスアッセイ等のマルチプレックスアッセイ用のプライマーセット及びプローブを含む。
一つの好ましい実施態様において、マルチプレックスアッセイによって試料中のMRSA、MSSA、MRCNS又はMSCNSを同定及び鑑別するためのキットは、femA−Seアッセイ、mecAアッセイ用のプライマーセット及びプローブ並びにnuc−Saアッセイ及びfemA−Saアッセイから選ばれる少なくとも一つの他のアッセイ用のプライマーセット及びプローブ、を含む。
さらに別の好ましい実施態様において、マルチプレックスアッセイによって試料中のMRSA、MSSA、MRCNS又はMSCNSを同定及び鑑別するためのキットは、mecAアッセイと、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ及びtuf−CNSアッセイから選ばれる二つの他のアッセイ用のプライマーセット及びプローブとを含む。
核酸ベースのアッセイを容易にするキットはさらに、以下の一つ以上を含み得る:核酸抽出試薬、コントロール、使い捨てカートリッジ、標識試薬、DNAポリメラーゼのTaq若しくはPfu等のPCR増幅試薬、逆転写酵素又は一つ以上の他のポリメラーゼを含む酵素、逆転写酵素及び/又はハイブリダイゼーションを容易にする試薬。
別の実施態様において、キットはさらに、プライマー又はプローブオリゴヌクレオチドを標識するために使用され得る標識を含み得る。標識は、機械、検出器、感知器、装置、又は増強された若しくは増強されていないヒトの目が、発現の減少を示す試料から陽性の発現を示す試料を鑑別する助けをする能力のある任意の物質であり得る。標識の例としては:放射性同位元素若しくはそれらのキレート、色素(蛍光又は無蛍光)、染色、酵素、又は非放射性金属が挙げられるが、それらに限定されない。具体的な例としては:フルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン、アルカリホスファターゼ、ビオチン、ストレプトアビジン、H、14C、32P、35S若しくは放射線を放射する能力のある任意の他の化合物、ローダミン、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(「Dabcyl」);4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)スルホン酸(塩化スルホニル)(「Dabsyl」);5−((2−アミノエチル)−アミノ)−ナフタレン−1−スルホン酸(「EDANS」);ソラレン誘導体、ハプテン、シアニン、アクリジン、蛍光ロードール誘導体、コレステロール誘導体;エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)及びその誘導体、又は標識核酸の存在を知らせる任意の他の化合物、が挙げられるが、それらに限定されない。発明の一実施態様において、標識は、遺伝子型判定における使用のために最適化された一つ以上の色素を含む。そのような色素の例としては:dR110、5−FAM、6FAM、dR6G、JOE、HEX、VIC、TET、dTAMRA、TAMRA、NED、dROX、PET、BHQ+、Gold540及びLIZが挙げられるが、それらに限定されない。
さらに別の実施態様において、キット中のプライマー及びプローブは、標識されていてもよく、PCR、シークエンシング反応、又はオリゴヌクレオチドアレイ等の固体基質への結合において、標識のプロセスを経ず適用され得る。
試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためのキットはまた、使用のための説明書を含み得る。一実施態様において、キットはさらに、キットによって提供されるアッセイのアウトプットを特定の結果と関連付ける指標を含み得る。例えば、指標は、一つ以上の配列の存在又は非存在と、特定の細菌の門、綱、目、科、属種、亜種、菌株、又は細菌群の任意の他の叙述の同定と、を関係づける指針を提供し得る。指標は、試料中に存在する細菌の量を定量化するように設定された標準曲線を含有し得る。アッセイのアウトプットは、特定の配列、特定の遺伝子型、リアルタイム定量PCR反応における特定のΔCtレベル、蛍光若しくは放射性崩壊のレベル、標準曲線又は陽性コントロール若しくは陰性コントロールから導き出した値、又はこれら及び他のアウトプットの任意の組合せの形態であり得る。指標は、キット中に含まれ得る文書上に印刷されていてもよく、又はインターネット上に掲出されているか、若しくはソフトウェアパッケージ中に組み込まれていてもよい。文書は、顕微鏡写真又は増幅プロット等の結果の、図面による描写を含み得る。
試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためのキットはさらに、試料を採取するために使用される装置を含み得る。そのような装置としては:スワブ、針、採血管、ワイプ又は患者若しくは環境から生体試料を採取するために使用され得る現在公知若しくはまだ開示されていない任意の他の器具:が挙げられ得るが、それらに限定されない。
実施例
以下の実施例は、発明の一定の態様を説明する。
実施例1−特異性及び選択性
本発明は、適用によって、4つまでのアッセイの特異的な組合せ使用して、混合検体中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを鑑別するように設計されたリアルタイムPCRアッセイを開示する。細菌の単離物のパネルを使用した、個々のアッセイの成績を、表2〜6に示す。全てのアッセイは、高感度かつ高特異的であることが示されている。MSSA及びMRSAを同定するためのアッセイがスクリーニングアッセイに含まれている。MSSA感染は一般的に、処置が簡単である一方、それらは院内感染における重要な要因のままである。また、MRSA又はMSSAのいずれかの定着は、感染症のリスクを増大させることが示されている。MSSA、MRSA及びCoNSアッセイが診断アッセイに含まれており、それは、それら全てが外科感染症、菌血症及び埋込装置感染症における主因であり、またMRCNS及びMSCNSの両方が深刻化する問題となっているためである。
これらのアッセイは、MRSAを同定するために組合わされて使用され得、nuc及びfemA−S.aureus遺伝子をマーカーとして使用してS. aureusを検出し、tuf遺伝子をマーカーとして使用してコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)からS. aureusを鑑別し、femA−S.epi遺伝子をマーカーとして使用してStaphylococcus epidermisを除外し、かつmecA遺伝子をマーカーとして使用してメチシリン/ペニシリン耐性を決定し得る。コアグラーゼ陰性ブドウ球菌については、CNSを検出するためにアッセイにおいて使用されるプライマーを設計するために、CNS菌種のStaphylococcus capitis、S. epidermis、S. haemolyticus、S. hominis、S. lugdunensis、S. saprophiticus、S. simulans及びS. warneriのtuf遺伝子からの配列番号13、配列番号14及び配列番号15によって表わされるプライマーを整列させた(表1及び表5)。配列番号13、配列番号14及び配列番号15を使用するアッセイは、列挙されたCNS菌種の任意のものにおけるtuf遺伝子を検出し得る。
開示されたアッセイは、上記の表中に示されている通り、以下のものを含む:(1)配列番号4、配列番号5、配列番号6によって表わされるプライマーを使用して、S. aureus、CNS及び他の菌種を検出するためのfemA−S.aureusアッセイ(表2);(2)配列番号1、配列番号2及び配列番号3によって表わされるプライマーを使用して、S. aureus、CNS及び他の菌種を検出するためのnucアッセイ(表3);(3)配列番号4、配列番号5及び配列番号6によって表わされるプライマーを使用して、S. epidermisを検出するためのfemA−S.epidermisアッセイ(表4);(4)配列番号10、配列番号11及び配列番号12を使用して、S. aureusを検出する、又は配列番号13、配列番号14及び配列番号15によって表わされるプライマーを使用して、CNSを検出するためのtufディファレンシャルマルチプレックスアッセイ(表5);並びに(5)配列番号16、配列番号17及び配列番号18によって表わされるプライマーを使用して、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出するためのmecAアッセイ(表6)。
また、より広範なCoNSアッセイを使用して、CoNSアッセイの成績を以下の表7A〜D中に反映した。
表2〜7中に示された上記アッセイは、個々に、任意の互いの組合せで、又は追加のアッセイと一緒に使用されて、試料中にMRSAが存在するか否かが確認され得る。これは、全てのアッセイの、別々の実施、単一のPCRのランにおける実施、単一のシークエンシング反応における実施、単一のアレイ上での実施、又は現在公知の若しくはまだ開示されていない任意の他の組合せにおける実施、を含む。これらのアッセイにおいて試験される菌種としては、S. aureus、S. epidermidis、S. haemolyticus、S. saprophyticus、S. capitis、S. lugdunensis、S. xylosus、S. equorum、S. hominis、S. kloosi、S. gallinarium、S. chonii及びS. arlettaeが挙げられるが、これらに限定されない。
実施例2−MRSA、MSSA、MRSE及びMSSE(それらの混合物を含む)を鑑別するディファレンシャルCt値
類似した効率を持つ複数のアッセイを用いると、相対Ct値の使用を通してmecA遺伝子はSA又はCoNSのいずれかと関連付けられ得る。図1〜6中に図示される増幅プロットは、結果をもたらすためにアッセイの増幅がどのように結び付けられるかを示す。これらのプロット例を作成するために使用した検体は;咽頭スワブ、鼻腔スワブ又は痰;の50の呼吸器検体の残物のコホートであった。結果は、培養結果とPCR結果との間で、強い相関を示す(表8を参照のこと)。
本明細書中に開示されるアッセイにおいて用いられるMSSA、MRSA及びCoNSを同定及び鑑別するための方法論は、空カセット偽陽性(Wang H. JCM 2010;48:3528)及び失われたクローン型偽陽性(Peterson LR. JCM 2010;48:1661)等の、標的としてSCCmecカセット挿入を使用した場合に記述されてきた落とし穴のいくつかを回避する。また、本明細書中に開示されるアッセイは、臨床上の問題と大いに関連性があり、かつ他の商業的に入手可能なMRSAアッセイからは入手できない、スクリーニング及び診断の両方のための臨床情報を提供する。
図1〜6は、開示されたアッセイが、臨床試料中のMRSA、MSSE、MRSE及びMSSEを直接同定するためにどのように組合わされて働くかを図示する、一組の組み合わされた増幅プロットを示す。結果は、別々のアッセイを単一の増幅プロット上へと重ね書きしたものである。呼吸器、という検体の種類を考えると、その多くは、mecA遺伝子あり及びなしで、S. aureus及びS. epidermidisを同定及び鑑別するアッセイの能力を検証及び説明するのに役立つ混合検体であった。二つの異なるS. aureusアッセイ、すなわち、femA及びnucアッセイ、が示されているものの、それらは、アッセイの成績を比較的に評価する目的のために、冗長かつ有用である。MSSA及びMRSAを同定及び鑑別するために、femA又はnucのいずれか、の一つのS. aureusアッセイと、mecAアッセイと、が使用され得る。図1〜6中の特定のプロットは、S. epidermidisアッセイを使用する。より広範なCoNSアッセイを使用して、そのアッセイの成績を実施例1表7A〜D中に反映させた。
図1は、TG6604と命名された咽頭スワブ試料を解析するのに使用した一組のリアルタイムPCRアッセイの結果を描写する。nuc(配列番号1、配列番号2及び配列番号3)の存在を検出するために使用したアッセイは、33.2というCtをもたらした。S. aureus femA(配列番号4、配列番号5及び配列番号6)の存在を検出するために使用したアッセイは、33.6というCtをもたらした。これらの両結果は、試料がS. aureusを含んでいたことを示す。mecA(配列番号16、配列番号17及び配列番号18)の存在を検出するために使用したアッセイは、増幅を示さなかった。S. epidermidis femA(配列番号7、配列番号8、及び配列番号9)の存在を検出するためのアッセイもまた、増幅を示さなかった。要約すると、この試料は、S. aureusを含有していたが、存在していたS. aureusは、メチシリン耐性ではなかった。試料は、S. epidermidisを含有していなかった。したがって、この増幅パターンを示す試料は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)と分類され得る。
図2は、TG6608と命名された咽頭スワブ試料を解析するのに使用した一組のリアルタイムPCRアッセイの結果を描写する。nucの存在を検出するためのアッセイは、33.6というCtをもたらした。S. aureus femAの存在を検出するためのアッセイは、33.5というCtをもたらした。mecAの存在を検出するためのアッセイは、33.9というCtをもたらした。S. epidermidis femAの存在を検出するためのアッセイは、増幅を示さなかった。要約すると、この試料は、メチシリン耐性であるS. aureusを含有していた。試料は、S. epidermidisを含有していなかった。この増幅パターンを示す試料は、メチシリン耐性S. aureus(MRSA)と分類され得る。MRSAの存在は、細菌培養を通して確認した。
図3は、TG6588と命名された咽頭スワブ試料を解析するのに使用した一組のリアルタイムPCRアッセイの結果を描写する。nucの存在を検出するためのアッセイは、32.0というCtをもたらした。S. aureus femAの存在を検出するためのアッセイは、31.3というCtをもたらした。mecAの存在を検出するためのアッセイは、35.2というCtをもたらした。S. epidermidis femAの存在を検出するためのアッセイは、35.9というCtをもたらした。要約すると、この試料は、S. aureus及びS. epidermidisの両方を含有していた。mecAの増幅は、S. epidermidis femAの増幅と類似したCtを有するため、メチシリン耐性は、S. epidermidisの特徴であって、S. aureusの特徴ではない。この増幅パターンを示す試料は、メチシリン感受性S. aureus(MSSA)及びメチシリン耐性S. epidermidis(MRSE)の混合物を含有するものと分類され得る。
図4は、TG6607と命名された咽頭スワブ試料を解析するのに使用した一組のリアルタイムPCRアッセイの結果を描写する。nuc遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、30.1というCtをもたらした。S. aureus femAの存在を検出するためのアッセイは、30.3というCtをもたらした。mecA遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、30.8というΔCtをもたらした。S. epidermidis femA遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、34.6というΔCtをもたらした。要約すると、この試料は、S. aureus及びS. epidermidisの両方を含有している。mecAの増幅は、S. aureus femAの増幅と類似したCtを有するため、メチシリン耐性は、S. aureusの特徴であって、S. epidermidisの特徴ではない。この増幅パターンを示す試料は、メチシリン耐性S. aureus(MRSA)及びメチシリン感受性S. epidermidis(MSSE)の混合物を含有するものと分類され得る。
図5は、TG6759と命名された咽頭スワブ試料を解析するのに使用した一組のリアルタイムPCRアッセイの結果を描写する。nuc遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、31.9というCtをもたらした。S. aureus femA遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、32.1というCtをもたらした。mecA遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、28.8というCtをもたらした。S. epidermidis femA遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、34.8というCtをもたらした。要約すると、この試料は、S. aureus及びS. epidermidisの両方を含有していた。mecAの増幅は、nuc、S. aureus femA及びS. epidermidis femAアッセイよりも早く起こったため、メチシリン耐性は、試料中に含有されるS. aureus及びS. epidermidisの両方の特徴である。これは、S. aureus及びS. epidermidisの両方に存在するmecA遺伝子の相加効果のためである。この増幅パターンを示す試料は、メチシリン耐性S. aureus(MRSA)及びメチシリン耐性S. epidermidis(MRSE)の混合物を含有するものと分類され得る。
図6は、TG6775と命名された咽頭スワブ試料を解析するのに使用した一組のリアルタイムPCRアッセイの結果を描写する。nucの存在を検出するためのアッセイは、30.2というCtをもたらした。S. aureus femAの存在を検出するためのアッセイは、30.1というCtをもたらした。mecAの存在を検出するためのアッセイは、26.8というCtをもたらした。S. epidermidis femA遺伝子の存在を検出するためのアッセイは、34.1というCtをもたらした。この試料は、図5中と同じ増幅パターンを示し、したがって、MRSA及びMRSEの両方を含有するものと特徴付けられ得る。患者試料からのそれぞれの遺伝子の存在を表わすCt値を、表8中に要約した。Ct値解析には、アプライドバイオシステムズ(商標)の7900HTリアルタイムPCRプラットフォーム及びロシュ社の480 LightCyclerを使用した。
実施例3−Cp値を使用した、マルチプレックスリアルタイムPCRスクリーニング
この実施例は、本明細書中に開示されるアッセイの相対Cq値を使用して、臨床単離物又は検体から抽出されたメチシリン耐性及び/又は感受性Staphylococcus aureus並びにコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)のゲノムDNAの存在又は非存在を決定するために、Lightcycler 480機器上でマルチプレックスリアルタイムPCRを実施するために必要な手順、設備及び試薬を説明する。
必要な物品:PerfeCTa(登録商標)マルチプレックスqPCR SuperMix(Quantaカタログ番号95063);アッセイプライマー及びプローブ(表1);分子生物学グレード水;微量遠心機チューブ;リアルタイム機器適合性の光学反応プレート;光学接着フィルム及び塗布器;マイクロピペット及びチップ;鋳型DNA及び適切なコントロール(MRSA及びCNSからのgDNA);チューブ及びプレート用のローターを持つ遠心機;ロシュ社のLightcycler 480。
反応の準備:
i.色補正:機器上で初めてアッセイを実行する場合、色補正ファイルを作成する必要がある。tuf−Sa、tuf−CNS及びmecA並びに各シングルプレックスアッセイの陽性コントロールDNA、の少なくとも5つの複写物並びに鋳型のないコントロールの合計5つの複写物、の反応が実行されなくてはならない。このマルチプレックスアッセイ用の色補正ファイルは、一度だけ作成すればよい。詳細については、LC480ユーザーマニュアルを参照のこと。以下の通り、色補正反応を準備する。
ii.アッセイ手順:(1)必要なマスターミックスの体積を計算する(反応体積×試料数×1.1);(2)試薬をその体積まで混合し、最終反応濃度を以下とする:1×PerfeCTa(登録商標)マルチプレックスqPCRスーパーミックス;300nMのフォワードプライマー;300nMのリバースプライマー;125nMのプローブ;鋳型の添加に際し最終濃度が達成される体積となるように、水を添加する;(3)アレイのマスターミックスを光学反応プレート中へと移動させる;(4)コントロール鋳型を添加する:MRSA DNA鋳型を、各tuf−Sa及びmecA反応ウェルへ添加する;CNS DNA鋳型を、各tuf−CNS反応ウェルへ添加する;水を、鋳型のないコントロールの反応ウェルへ添加する。同一機器上でのその後のランについては、シングルプレックスアッセイは実行する必要がない。以前に作成された色補正ファイルは、これらのフルオロフォアを使用する全てのその後のマルチプレックスアッセイに適用され得る。
iii.マルチプレックスの用意:(1)必要なマスターミックスの体積を計算する(反応体積×試料数×1.1);(2)試薬をその体積まで混合し、最終濃度を以下とする:1×PerfeCTa(登録商標)マルチプレックスqPCRスーパーミックス;300nMの各プライマー;125nMの各プローブ;次いで、鋳型の添加に際し最終濃度が達成される体積となるように、水を添加する;(3)アレイのマスターミックスを光学反応プレート中へと移動させる;(4)培養物から抽出されたDNAを0.5〜l0ng添加し、DNAが検体から抽出された場合には、より多い量を添加する(鋳型の量の最適化が必要であり得る);光学プレートを光学接着フィルムで封着し、液体を遠心沈殿させる。
サーマルサイクリング:まず、プレートを機器上へ載せる;次いで、LC480ソフトウェアにおいて、以下のプログラムで新たな実験を作成する:(1)「検出フォーマット(Detection Format)」メニューにおいて、「マルチカラー加水分解プローブ(Multi Color Hydrolysis Probe)」を選択する;(2)「カスタマイズ(Customize)」を選択し、FAM(483−533)、Hex(523−568)及びRed 610(558−610)の色を選択し、他を選択解除する;(3)適切な反応体積を入力する;(4)ランを開始し、ファイルを名付ける。ここ表9中に、例証的なプログラムを示す:
色補正用のソフトウェアの設定:色補正ファイルの作成のためには、以下の通り色補正反応を指定する:(1)「サンプルエディタ(Sample Editor)」メニュー、次いで「ワークフロー(Workflow)」メニューにおいて、「色補正(Color Comp)」を選択する;(2)一つのアッセイからの陽性コントロール色補正試料を強調する;(3)「ドミナントチャンネル(Dominant Channel)」プルダウンメニューにおいて、そのアッセイ用の検出器を選ぶ;(4)「複製を作る(Make Replicates)」をクリックする;(5)他の二つのアッセイについて繰り返す;(6)鋳型のないコントロールを強調し、「ドミナントチャンネル(Dominant Channel)」メニューにおいて「水(Water)」を選ぶ;(7)全ての色補正反応ウェルを含むサブセットを作成する。上記工程後、設定は、マルチプレックスアッセイ上で実行されている試料を名付け、試料のサブセットを指定するための通常のソフトウェア設定で進行する。
解析:
i.色補正:「新たな解析を作成する(Create New Analysis)」メニューから、「色補正(Color Compensation)」を選び、色補正反応のサブセットを選択し、次いで「計算(Calculate)」を選択する;次いで、このファイルを、このマルチプレックスアッセイの、後の解析に適用するために「保存(Save)」する。
ii.マルチプレックス:(1)「新たな解析を作成する(Create New Analysis)」メニューから、「AbxQuant/2nd Derivative Max」を選び、解析すべき試料のサブセットを選択する;(2)「色補正(Color Compensation)」プルダウンメニューにおいて、「データベース中(In Database)」を選び、次いで以前に作成した色補正ファイルを選ぶ;(3)「計算(Calculate)」を選択し、データが必要な反応を選択し、次いで結果をエクスポートする;(4)「フィルタ・コーム(Filter Comb)」において次の色を選択し「計算(Calculate)」し、次いで反応を選択して結果をエクスポートする;(5)最後の色について繰り返す。
結果:表10は、MRSA、MSSA、MRCNS又はMSCNSを異なる組合せ及び比率で混合した数々の試料から収集された、シングルプレックス及びマルチプレックスCpデータを提示する。例えば、第1群において、MRSA及びMSSAを5つの異なる比率(1:1、1:0.1、0.1:1、1:0.01及び0.01:1)で混合した。各混合物は、再現性のために、同一の実験において重複物を有する。第1群の試料について、femA、mecA、nuc、tuf−Sa及びtuf−CNSシングルプレックスアッセイを実行し、各アッセイのCp値を表10に含めた。次いで、三つのマルチプレックスアッセイを実行した:1)femA及びmecA;2)nuc及びmecA;並びに3)tuf及びmecA。femAとmecA、nucとmecA、tufとmecA、との相対Cp値を次いで収集し、表10中に列挙した。アルゴリズム及びシングルプレックス結果に基づいて予測された各相対Cp値差を、表10中に表示し、列挙した。観測されたCp値差は、マルチプレックスの結果からの実際のデータである。予測されたCp値差と観測されたCp値差との間の近接度は、本明細書中に開示されるマルチプレックスアッセイの精度及び信頼度を反映する。同様に、シングルプレックス及びマルチプレックスアッセイを、第2〜6群(MRSA/MSCNS、MRSA/MRCNS、MSSA/MRCNS、MRSA/MSSA及びMSCNS/MRCNS)について実行し、Cp値を表10中に含めた。さらに、第1〜5群についてのマルチプレックスアッセイ、及びMRSA/MSCNS、MRSA/MRCNSについての増幅曲線を、図7〜13中に示す。図7〜13において、異なる比率の混合物を含む試料を含む各群について、tuf−Sa、tuf−CNS、femA、又はmecAアッセイの増幅曲線パターンの異なる組合せが示されている。これらの曲線パターンは、本明細書中に開示されるマルチプレックスアッセイの結果を解釈し、次いでマルチプレックスアッセイ下で、任意の所定の試料中のMRSA、MSSA、MRCNS、MSCNSを同定及び鑑別するために有用である。
解釈:マルチプレックスアッセイでの菌種及びmecA保因の決定は、複数のアッセイ結果間の相対Cp値に依存する。mecA Cpは、mecAを保有する菌種を標的とするアッセイのCpと等しいはずである。例証的な適用において、S. aureus中のtuf、CNS中のtuf及びmecAを標的とするアッセイの相対Cp値を使用している。両菌種がmecAを保有する場合、mecA Cpは両菌種のアッセイよりも低いはずである。結果及び解釈のいくつかの非限定的な例を、表11に提示する:
実施例4−MRSAの存在を検出するための類似のアッセイを開発するために使用され得る追加の配列
MRSAの存在を検出するための、本明細書中に開示されるアッセイと類似のアッセイを開発するために使用され得る追加の配列はさらに、以下を含み:配列番号19−S.aureus nuc、配列番号20−S.aureus femA、配列番号21−S.epidermidis femA、配列番号22−S.aureus tuf、配列番号23 S.capitis tuf、配列番号24−S.epidermidis tuf、配列番号25−S.haemolyticus tuf、配列番号26 S.hominis tuf、配列番号27−S.lugdunensis tuf、配列番号28−S.simulans tuf、配列番号29−S.warneri tuf及び配列番号30−S.aureus mecA:これらは配列表に詳述されている。
出願人が、出願書類の提出時点で知っている発明の好ましい実施態様及び最良の形態の前述の記載が提示され、それらは例証及び説明の目的を意図している。それは、網羅的又は開示された正確な形態に発明を限定することを意図せず、上記教示に照らして、多くの変形例及びバリエーションが可能である。実施態様は、発明の原理及びその実用的な適用を最もよく説明し、かつ当業者が発明を種々の実施態様で、意図される特定の用途に適している種々の変更と共に最も上手に利用できるように、選ばれかつ記載された。したがって、発明が、本発明を実施するために開示されている特定の実施態様に限定されることは意図されず、しかし発明が、添付の請求項の範囲内に属する全ての実施態様を含むことが意図される。

Claims (23)

  1. nuc−Saアッセイ、femA−Saアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれる1つより多いアッセイを含み、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別することができるマルチプレックスアッセイ。
  2. 前記アッセイが、PCR、RT−PCR、シークエンシング、ハイブリダイゼーション法及びそれらの任意の組合せから選ばれる解析の1種類であり、プライマーセットもしくはプローブまたはこれらの両方が、nuc−S.aureus遺伝子、femA−S.aureus遺伝子、femA−S.epidermis遺伝子、tuf−S.aureus遺伝子、tuf−CNS遺伝子及びmecA遺伝子から選ばれる少なくとも一つの標的配列の存在又は非存在を検出するために適用され;それぞれの標的遺伝子を検出する前記アッセイは、単独で、又は、1つの、組み合わされかつ混合された反応系において、実行され得、前記反応系は、PCR、RT−PCR、シークエンシング、ハイブリダイゼーション法又はそれらの任意の組合せ用である、請求項1に記載のマルチプレックスアッセイ。
  3. 他の菌種からS. aureusを鑑別する前記nuc−Saアッセイが、配列番号1及び2によって表わされるプライマーセット1を含む、請求項1に記載のマルチプレックスアッセイ。
  4. 他の菌種からS. aureusを鑑別する前記nuc−Saアッセイが、配列番号3によって表わされるプローブ1をさらに含む、請求項3に記載のマルチプレックスアッセイ。
  5. 他の菌種からS. aureusを鑑別する前記femA−Saアッセイが、配列番号4及び5によって表わされるプライマーセット2を含む、請求項1に記載のマルチプレックスアッセイ。
  6. 他の菌種からS. epidermisを鑑別する前記femA−Saアッセイが、配列番号6によって表わされるプローブ2をさらに含む、請求項5に記載のマルチプレックスアッセイ。
  7. 他のStaphylococcus属菌種からS. epidermisを鑑別する前記femA−Seアッセイが、配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3を含む、請求項1に記載のマルチプレックスアッセイ。
  8. 他のStaphylococcus属菌種からS. epidermisを鑑別する前記femA−Seアッセイが、配列番号9によって表わされるプローブ3をさらに含む、請求項7に記載のマルチプレックスアッセイ。
  9. S. aureusを検出する前記tuf−Saアッセイが、配列番号10及び11によって表わされるプライマーセット4を含む、請求項1に記載のマルチプレックスアッセイ。
  10. S. aureusを検出する前記tuf−Saアッセイが、配列番号12によって表わされるプローブ4をさらに含む、請求項9に記載のマルチプレックスアッセイ。
  11. CNSを検出する前記tuf−CNSアッセイが、配列番号13及び14によって表わされるプライマーセット5を含む、請求項1に記載のマルチプレックスアッセイ。
  12. CNSを検出する前記tuf−CNSアッセイが、配列番号15によって表わされるプローブ5をさらに含む、請求項11に記載のマルチプレックスアッセイ。
  13. メチシリン耐性表現型及びペニシリン耐性表現型を鑑別する前記mecAアッセイが、配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6を含む、請求項1に記載のマルチプレックスアッセイ。
  14. メチシリン耐性表現型及びペニシリン耐性表現型を鑑別する前記mecAアッセイが、配列番号18によって表わされるプローブ6をさらに含む、請求項13に記載のマルチプレックスアッセイ。
  15. femA−Seアッセイ;mecAアッセイ;並びにnuc−Saアッセイ及びfemA−Saアッセイから選ばれる少なくとも一つのアッセイ;を含むマルチプレックスアッセイであって、ここで前記マルチプレックスアッセイが、試料中のMRSA、MSSA、MRSE及びMSSEを同定及び鑑別するためであり;
    a.ここで、他のStaphylococcus属菌種からS. epidermisを鑑別する前記femA−Seアッセイが、配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3、並びに配列番号9によって表わされるプローブ3、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    b.ここで、メチシリン耐性表現型及びペニシリン耐性表現型を鑑別する前記mecAアッセイが、配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6、並びに配列番号18によって表わされるプローブ6、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    c.ここで、他の菌種からS. aureusを鑑別する前記nuc−Saアッセイが、配列番号1及び2によって表わされるプライマーセット1、並びに配列番号3によって表わされるプローブ1、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    d.ここで、他の菌種からS. aureusを鑑別する前記femA−Saアッセイが、配列番号4及び5によって表わされるプライマーセット2、並びに配列番号6によって表わされるプローブ2、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行される;
    マルチプレックスアッセイ。
  16. mecAアッセイ並びにfemA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ及びtuf−CNSアッセイから選ばれる二つのアッセイを含むマルチプレックスアッセイであって;ここで前記マルチプレックスアッセイが、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためであり;
    a.ここで、メチシリン耐性表現型及びペニシリン耐性表現型を鑑別する前記mecAアッセイが、配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6、並びに配列番号18によって表わされるプローブ6、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    b.ここで、他のStaphylococcus属菌種からS. epidermisを鑑別する前記femA−Seアッセイが、配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3、並びに配列番号9によって表わされるプローブ3、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    c.ここで、少なくとも、S. aureusを検出する前記tuf−Saアッセイが、配列番号10及び11によって表わされるプライマーセット4、並びに配列番号10によって表わされるプローブ4、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    d.ここで、CNSを検出する前記tuf−CNSアッセイが、配列番号13及び14によって表わされるプライマーセット5、並びに配列番号15によって表わされるプローブ5、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行される;
    マルチプレックスアッセイ。
  17. femA−Saアッセイ、nuc−Saアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイを含むマルチプレックスアッセイであって、ここで前記マルチプレックスアッセイが、試料中のMRSA、MSSA、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためである、マルチプレックスアッセイ。
  18. 試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するための方法であって、
    a.試料を受け取る工程;
    b.nuc−Saアッセイ、femA−Saアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれる少なくとも一つのアッセイを実行することによって、試料をスクリーニングする工程であって、ここでこれらのアッセイがそれぞれ、配列番号1及び2によって表わされるプライマーセット1若しくは配列番号3によって表わされるプローブ1によって検出可能なnuc−S.aureus遺伝子の存在又は非存在;配列番号4及び5によって表わされるプライマーセット2若しくは配列番号6によって表わされるプローブ2によって検出可能なfemA−S.aureus遺伝子の存在又は非存在;配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3若しくは配列番号9によって表わされるプローブ3によって検出可能なfemA−S.epidermis遺伝子の存在又は非存在;配列番号10及び11によって表わされるプライマーセット4若しくは配列番号12によって表わされるプローブ4によって検出可能なtuf−S.aureus遺伝子の存在又は非存在;並びに配列番号13及び14によって表わされるプライマーセット5若しくは配列番号15によって表わされるプローブ5によって検出可能なtuf−CNS遺伝子の存在又は非存在;並びに配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6若しくは配列番号18によって表わされるプローブ6によって検出可能なmecA遺伝子の存在又は非存在、を解析する、工程;
    c.nuc−Saアッセイ、femA−Saアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれる少なくとも一つのアッセイの解析に基づいて、試料中に含有される細菌を、MRSA、MSSA、MRCNS又はMSCNSと同定する工程;
    を含む、方法。
  19. nuc−Saアッセイ、femA−Saアッセイ、femA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイから選ばれるアッセイ用の一つ以上のプライマーセット及びプローブを含むキットであって;ここで前記キットが、マルチプレックスアッセイを通して、試料中のMRSA、MSSA、MRSE、MSSE、MRCNS及びMSCNSを同定及び鑑別するためであり;
    a.ここで、他の菌種からS. aureusを鑑別する前記nuc−Saアッセイが、配列番号1及び2によって表わされるプライマーセット1、並びに配列番号3によって表わされるプローブ1、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    b.ここで、他の菌種からS. aureusを鑑別する前記femA−Saアッセイが、配列番号4及び5によって表わされるプライマーセット2、並びに配列番号6によって表わされるプローブ2、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    c.ここで、他のStaphylococcus属菌種からS. epidermisを鑑別する前記femA−Seアッセイが、配列番号7及び8によって表わされるプライマーセット3、並びに配列番号9によって表わされるプローブ3、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    d.ここで、S. aureusを検出する前記tuf−Saアッセイが、配列番号10及び11によって表わされるプライマーセット4、並びに配列番号12によって表わされるプローブ4、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    e.ここで、CNSを検出する前記tuf−CNSアッセイが、配列番号13及び14によって表わされるプライマーセット5、並びに配列番号15によって表わされるプローブ5、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行され;
    f.ここで、メチシリン耐性表現型及びペニシリン耐性表現型を鑑別する前記mecAアッセイが、配列番号16及び17によって表わされるプライマーセット6、並びに配列番号18によって表わされるプローブ6、から選ばれる少なくとも一つのアプローチを通して実行される;
    キット。
  20. 前記マルチプレックスアッセイが、PCR、RT−PCR、シークエンシング、ハイブリダイゼーション法及びそれらの任意の組合せから選ばれる解析の種類であり、ここで、プライマーセット又はプローブ又は両方が適用されてnuc−S.aureus遺伝子、femA−S.aureus遺伝子、femA−S.epidermis、tuf−S.aureus遺伝子、tuf−CNS遺伝子及びmecA遺伝子から選ばれる少なくとも一つの標的配列の存在又は非存在が検出され、ここでそれぞれの標的遺伝子を検出する前記アッセイが、単独で、複数の別々の反応系において、又はPCR、RT−PCR、シークエンシング、ハイブリダイゼーション法若しくはそれらの任意の組合せ用の、一つの、組合わされ、かつ混合された反応系において実行され得る、請求項19に記載のキット。
  21. femA−Seアッセイ用;mecAアッセイ用;並びにnuc−Saアッセイ及びfemA−Saアッセイから選ばれる少なくとも一つの他のアッセイ用のプライマーセット及びプローブを含む、請求項19に記載のキット。
  22. mecAアッセイ用並びにfemA−Seアッセイ、tuf−Saアッセイ及びtuf−CNSアッセイから選ばれる二つの他のアッセイ用のプライマーセット及びプローブを含む、請求項19に記載のキット。
  23. femA−Saアッセイ、nuc−Saアッセイ、tuf−Saアッセイ、tuf−CNSアッセイ及びmecAアッセイ用のプライマーセット及びプローブを含む、請求項19に記載のキット。
JP2013500236A 2010-03-19 2011-03-18 Mrsaの検出のための方法、キット及び組成物 Active JP6320041B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US31566410P 2010-03-19 2010-03-19
US61/315,664 2010-03-19
US201161432511P 2011-01-13 2011-01-13
US61/432,511 2011-01-13
PCT/US2011/029043 WO2011116313A1 (en) 2010-03-19 2011-03-18 Methods, kits and compositions for detection of mrsa

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013535951A true JP2013535951A (ja) 2013-09-19
JP2013535951A5 JP2013535951A5 (ja) 2014-04-24
JP6320041B2 JP6320041B2 (ja) 2018-05-09

Family

ID=44649626

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013500236A Active JP6320041B2 (ja) 2010-03-19 2011-03-18 Mrsaの検出のための方法、キット及び組成物

Country Status (9)

Country Link
US (1) US10100368B2 (ja)
EP (1) EP2547782B8 (ja)
JP (1) JP6320041B2 (ja)
AU (1) AU2011227110B2 (ja)
BR (1) BR112012023698B1 (ja)
CA (1) CA2793660C (ja)
DK (1) DK2547782T3 (ja)
ES (1) ES2689953T3 (ja)
WO (1) WO2011116313A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015053061A1 (ja) * 2013-10-08 2015-04-16 東洋紡株式会社 メチシリン耐性遺伝子の検出方法および黄色ブドウ球菌の検出方法
JP2015073456A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 東洋紡株式会社 メチシリン耐性遺伝子の検出方法
JP2015073457A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 東洋紡株式会社 黄色ブドウ球菌の検出方法
WO2019225732A1 (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 三菱ケミカル株式会社 標的核酸の定量方法

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20140256582A1 (en) * 2013-03-05 2014-09-11 Intelligent Medical Devices, Inc. Optimized probes and primers and methods of using same for the detection, screening, isolation and sequencing of mrsa, mssa, staphylococcus markers, and the antibiotic resistance gene mec a
US20140274770A1 (en) 2013-03-13 2014-09-18 Quidel Corporation Pcr assays and reagents for molecular detection of infectious agents
PL228161B1 (pl) 2013-05-21 2018-02-28 Univ Jagielloński Sposób jednoczesnej detekcji bakterii i grzybów w preparacie biologicznym metoda PCR oraz zestaw do detekcji bakterii i grzybów w preparacie biologicznym metoda PCR
CN103421898B (zh) * 2013-08-08 2015-08-12 广东出入境检验检疫局检验检疫技术中心 耐甲氧西林金黄色葡萄球菌三重实时荧光pcr检测引物、探针、检测试剂盒和检测方法
US10407739B2 (en) 2013-09-23 2019-09-10 Quest Diagnostics Investments Incorporated Detection of methicillin-resistant Staphylococcus aureus in biological samples
ES2951683T3 (es) 2015-04-17 2023-10-24 Translational Genomics Res Inst Evaluación de la calidad de ADN acelular circulante usando PCR digital en nanogotas multiplexada
PL235777B1 (pl) 2015-07-10 2020-10-19 Univ Jagiellonski Startery, sposób i zestaw diagnostyczny do diagnozowania sepsy
EP4219734A1 (en) * 2015-11-04 2023-08-02 The Translational Genomics Research Institute Systems and methods of diagnosing and characterizing infections
US20210373015A1 (en) * 2018-10-23 2021-12-02 Myriad Applied Technologies, Inc. Kits and methods for real-time mulitplex detection and identification of pathogens
EP3936627A1 (en) * 2020-07-06 2022-01-12 Beiersdorf AG Novel oligonucleotides for detecting staphylococcus

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004531251A (ja) * 2001-03-15 2004-10-14 シュレンツェル,ジャック メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(mrsa)の直接検出の方法
WO2009086218A2 (en) * 2007-12-21 2009-07-09 Gen-Probe Incorporated Detection of antibiotic-resistant microorganisms

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5716784A (en) 1996-02-05 1998-02-10 The Perkin-Elmer Corporation Fluorescence detection assay for homogeneous PCR hybridization systems
US7060458B1 (en) * 1997-08-14 2006-06-13 Wyeth Nucleic acid and amino acid sequences relating to Staphylococcus epidermidis for diagnostics and therapeutics
EP2322667A3 (en) * 1999-09-28 2011-10-26 Geneohm Sciences Canada, Inc. Highly conserved gene and its use to generate species-specific, genus-specific, family-specific, group-specific and universal nucleic acid probes for microorganisms.
EP1352086B1 (en) * 2000-05-01 2008-11-12 Gen-Probe Incorporated Polynucleotide probes for detection and quantitation of candida species
CA2528025A1 (en) * 2003-06-05 2005-02-17 Wyeth Nucleic acid arrays for detecting multiple strains of a non-viral species
US20090111134A1 (en) * 2007-04-19 2009-04-30 Zhang Kunyan Multiplex PCR Assay For Identification of USA300 and USA400 Community-Associated Methicillin Resistant Staphylococcal Aureus Strains
WO2009018000A1 (en) 2007-07-31 2009-02-05 Quest Diagnostics Investments Incorporated Detection of methicillin-resistant and methicillin-sensitive staphylococcus aureus in biological samples

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004531251A (ja) * 2001-03-15 2004-10-14 シュレンツェル,ジャック メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(mrsa)の直接検出の方法
WO2009086218A2 (en) * 2007-12-21 2009-07-09 Gen-Probe Incorporated Detection of antibiotic-resistant microorganisms

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015019212; LEM P., et al.: Diagnostic Microbiology and Infectious Disease Vol.41, 2001, P.165-168 *
JPN6015019214; LINDSEY W. C., et al.: Diagnostic Microbiology and Infectious Disease Vol.61, 2008, P.273-279 *
JPN6015019216; LOUIE L., et al.: Journal of Clinical Microbiology Vol.40, No.8, 2002, P.2786-2790 *
JPN6015019217; MAES N., et al.: Journal of Clinical Microbiology Vol.40, No.4, 2002, P.1514-1517 *
JPN6015019219; FANG H., et al: Journal of Clinical Microbiology Vol.41, No.7, 2003, P.2894-2899 *
JPN6015019221; SODERQUIST B., et al.: Clinical Microbiology and Infection Vol.15, Issue Supplemant s4, 2009, P.S442 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015053061A1 (ja) * 2013-10-08 2015-04-16 東洋紡株式会社 メチシリン耐性遺伝子の検出方法および黄色ブドウ球菌の検出方法
JP2015073456A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 東洋紡株式会社 メチシリン耐性遺伝子の検出方法
JP2015073457A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 東洋紡株式会社 黄色ブドウ球菌の検出方法
WO2019225732A1 (ja) * 2018-05-25 2019-11-28 三菱ケミカル株式会社 標的核酸の定量方法
CN112166200A (zh) * 2018-05-25 2021-01-01 三菱化学株式会社 目标核酸的定量方法

Also Published As

Publication number Publication date
AU2011227110A1 (en) 2012-10-25
US10100368B2 (en) 2018-10-16
BR112012023698B1 (pt) 2019-10-15
BR112012023698A2 (pt) 2015-11-03
WO2011116313A1 (en) 2011-09-22
EP2547782A1 (en) 2013-01-23
CA2793660C (en) 2020-12-22
CA2793660A1 (en) 2011-09-22
AU2011227110B2 (en) 2016-01-28
EP2547782B1 (en) 2018-08-01
DK2547782T3 (en) 2018-10-08
US20110312504A1 (en) 2011-12-22
JP6320041B2 (ja) 2018-05-09
EP2547782B8 (en) 2018-11-14
ES2689953T3 (es) 2018-11-16
EP2547782A4 (en) 2013-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6320041B2 (ja) Mrsaの検出のための方法、キット及び組成物
JP7086122B2 (ja) 生物学的試料中のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出
CN110551846B (zh) 一种用于非洲猪瘟病毒核酸快速检测的Cpf1试剂盒及其检测方法
US9340837B2 (en) Methods and kits useful in the differentiation of Burkholderia species
JP6574703B2 (ja) 糞便サンプル中のヘリコバクターピロリdnaを検出するための方法
JP6160015B2 (ja) アシネトバクター属菌の遺伝子型タイピング法及びこれに用いるプライマーセット
Wattiau et al. Nucleotide polymorphism-based single-tube test for robust molecular identification of all currently described Brucella species
KR20130077207A (ko) 돼지의 다산 개체 선발을 위한 snp 마커와 이를 이용한 평가방법
Couzinet et al. High-density DNA probe arrays for identification of staphylococci to the species level
US9340836B2 (en) Allelic discrimination assays for MRSA strains
CN116064842A (zh) 一种用于降解检材推断的生物地理祖先DIPs和性别鉴定的复合扩增盒
Wang et al. Rapid detection of Candida tropicalis in clinical samples from different sources using RPA-LFS
Orrù et al. Design of FRET Probes for SNP RS1006737, Related to mood disorder
US9914978B2 (en) Methods, kits, and compositions useful in selecting an antibiotic to treat MRSA
JP7461624B2 (ja) B型肝炎ワクチンに対する免疫応答性の遺伝的要因を検出する方法及びキット
US9970066B2 (en) Method of detecting Coccidioides species
US20220002824A1 (en) Primer sets, biomarkers, kit and applications thereof
CN108707646B (zh) 一种快速检测基因突变位点的方法及试剂盒
WO2024063637A1 (en) Sybr green pcr reagents, method and kit
Mahony et al. Improving bovine respiratory disease control through the characterisation of pathogen-host interactions
JP2023020631A (ja) 全身性エリテマトーデスを検査する方法
WO2023196494A1 (en) Methods of treating dimorphic fungal diseases
KR20150056003A (ko) 돼지의 초위성체 마커를 이용한 개체식별 방법
Sikarwar et al. Comparison of Molecular Methods of Microbial Serotyping
Archana Singh Sikarwar et al. Comparison of molecular methods of microbial serotyping.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140304

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140304

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150519

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20150819

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150924

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160506

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20160630

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20160826

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171221

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6320041

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250