JP2013535616A - 高効率エネルギー変換 - Google Patents

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Abstract

ここに開示されている高効率エネルギー変換システムは、作動流体を収容する封止シリンダを有するピストン・アセンブリと、そのピストン・アセンブリに装着されたエネルギー変換要素とを組み込んでいる。カム・ローブまたはスコッチ・ヨーク機構のような運動機構を前記エネルギー変換要素として使用してもよい。一実施形態においては、前記運動機構を、ピストンによる急速膨張を、前記ピストン内において膨張する前記作動流体が熱力学的平衡状態を達成しない方法で実現するように構成してもよい。別の実施形態においては、前記運動機構が、圧縮行程を、前記ピストン内の前記作動流体が前記圧縮行程の全体を通じて熱力学的平衡状態に到達する方法で生成するようにさらに構成される。
【選択図】図1

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、米国仮特許出願第61/370,376号の優先権を主張しており、その出願は、発明の名称が「高効率エネルギー変換」であり、かつ、2010年8月3日に出願されており、その米国仮特許出願は、その米国仮特許出願が開示する事項および教示する事項のすべてにつき、引用により本出願に合体する。
熱エネルギーを仕事または他の有用なエネルギー形態に変換するために用いられるいくつかの熱力学系(thermodynamic systems)の効率(efficiency、熱効率)は、作動流体(working fluid)であって変化しないもの(constant)が熱機関において使用される(operating)いくつかの用途においては、カルノーサイクル(Carnot cycle)による理論熱効率を超えることができないというのが多くの場合において一般的である。しかし、燃料電池(fuel cells)のような、より複雑ないくつかの熱力学系は、エネルギーを、作動流体が時間と共に化学的に変化する系内を通過させることにより、カルノーサイクルによる最大熱機関効率を破ることが可能である。それにもかかわらず、それら系(these systems、熱力学系)は、最も一般的な意味において、熱力学サイクル内のいずれのポイントにおいても局所熱力学的平衡状態(local thermodynamic equilibrium)(準熱力学的平衡状態(quasi-equilibrium))に近い状態において運転される(operate)という仮定から依然として逃れることはできない。
熱力学サイクル内のいずれかのポイントにおいて熱力学的平衡状態を達成するために、熱および物質の移動(heat and mass transport)(化学反応を行う流体を用いる場合には、さらに、化学反応)の速度が、ある系を平衡化させる(equilibrate、平衡状態に移行させる)ために、当該系において発生する変化(change)の速度より非常に高速であることが必要である。例えば、ガス・ピストン(gas piston、気体を作動流体とするピストン)の場合には、その気体内の分子衝突速度であってその気体を平衡化させるためのものが、一般的に、ピストンの変位速度より非常に高速である。その結果、バルク気体密度、バルク気体圧力およびバルク気体温度(bulk gas density, pressure and temperature、気体の密度、圧力および温度の概略値、平均値)が効果的に平衡化し、その現象は、ピストンの運動速度に比較すれば、ほとんど瞬間的に行われ、よって、その気体は、その気体によって占有されるいずれの空間位置においても、準熱力学的平衡状態(熱力学的平衡状態に近い状態)に維持される傾向を有する。したがって、熱力学的平衡状態にあるという仮定は依然として妥当であり、その熱力学系の効率も、従前の範囲(traditional limit)内に拘束されたままである。
特に、本明細書において説明されるいくつかの実施形態および特許請求の範囲の欄に記載されるいくつかの実施形態は、動力サイクル・エネルギー変換システム(power cycle energy conversion system)の熱変換効率を、動力サイクル(power cycle、動力取出しサイクル)の全過程のうちの実質的な部分(substantial portion、有意な部分、有効な部分、動力出力値に大きな影響を及ぼす重要な部分)を、非平衡熱力学過程(non-equilibrium thermodynamic process)を用いて運転する(operate、達成する)ことにより、上述の従前の範囲を超えるように向上させる機会を提供する。記載されているいくつかの実施形態は、いくつかの準安定(meta-stable)・バルク非平衡状態(bulk non-equilibrium states、概略的非平衡状態、平均的非平衡状態、表面的非平衡状態)を、前記動力サイクルのうちの前記非平衡熱力学過程において生成する。それら準安定状態は過渡的なものであるが、それら準安定状態は、前記動力サイクルをいくつかの時間的尺度(time scale、時間的区切り、時間的基準)(例えば、ピストン・サイクルの周期)に関連する速度で運転する(operate)ことにより、前記動力サイクルの全過程のうちの実質的な部分(substantial portion)にわたって達成する(operate)することが可能であり、前記いくつかの時間的尺度は、前記いくつかの準安定状態の生存期間の長さに匹敵するかまたはそれより短い。
上述したいくつかの特徴および効果ならびに他の種々の特徴および効果は、本明細書および特許請求の範囲の欄に記載されているいくつかの実施形態についての後述の詳細な説明を読めば自明である。
本発明の本質および効果は、いくつかの図面を参照することにより、さらに理解される可能性があり、それら本質および効果は、本明細書中、残りの部分に記載されている。それら図面においては、互いに同じ複数の符号が、互いに同様な複数の要素であることを示すために、複数の図面にまたがって使用される。いくつかの例においては、各符号が、互いに同様な複数の要素のうちのいずれであるかを示すために、小文字からなる下位表示部(sub-label)であって対応するものを有する可能性がある。下位表示部を有しない符号が参照される場合、その参照は、上述の、互いに同様である複数の要素のすべてを示すことを意味する。
図1は、例示的な高効率エネルギー変換(HEEC)システムのブロック図である。
図2は、例示的な高効率エネルギー変換(HEEC)機関を3次元的に示す図である。
図3は、例示的なHEEC機関の、ピストン断熱型(piston insulated)ヘッド・ブロックを示している。
図4は、例示的なHEEC機関を、それの動力サイクル(power cycle)が状態1にある状態で示している。 図5は、例示的なHEEC機関を、それの動力サイクルが状態2にある状態で示している。 図6は、例示的なHEEC機関を、それの動力サイクルが状態3にある状態で示している。 図7は、例示的なHEEC機関を、それの動力サイクルが状態4にある状態で示している。
図8は、例示的なHEEC機関についての圧力−容積線図(PV線図)を、それの動力サイクルが上述の複数の状態のそれぞれにある期間について示している。
図9は、例示的なHEEC機関についての種々の非正弦波状のピストン運動軌跡を、従来のピストン機関と対比して示す線図であり、前記HEEC機関は、例示的な複数種類の運動機構を用い、前記従来のピストン機関は、正弦波状のピストン運動軌跡を有する。
図10は、例示的なHEEC機関の作動についてのフロー図である。
図11Aおよび図11Bは、例示的なHEEC機関の一実施形態において使用することが可能である例示的なピストン・アセンブリ1100を示しており、そのピストン・アセンブリ1100は、磁気的に連結されているとともに封止されている。
図12は、例示的なピストン・アセンブリを3次元的に示す図である。
図13は、例示的なエネルギー変換システムを示しており、そのエネルギー変換システムは、ベローズで包囲されることによってそのベローズによって封止されたピストンを有する。
図14は、例示的な熱交換器ヘッドを示す断面図であり、その熱交換器ヘッドは、圧縮状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフトと組み合わされる。
図15は、例示的な熱交換器を示す斜視図であり、その熱交換器は、圧縮状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフトと組み合わされる。
図16は、例示的な熱交換器ヘッドを示す断面図であり、その熱交換器ヘッドは、伸張状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフトと組み合わされる。
図17は、例示的な熱交換器を示す斜視図であり、その熱交換器は、伸張状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフトと組み合わされる。
図18は、例示的なHEEC機関において使用することが可能である運動機構を示している。
図19は、例示的なHEEC機関において使用することが可能である別の運動機構を示している。
従来の熱力学系は、熱力学サイクルの設計段階において、非平衡状態にある過程(非平衡過程)を有しない。これに対し、本明細書に開示されているいくつかの実施形態は、非平衡過程を熱力学サイクルに導入することにより(例えば、熱力学的平衡過程の進行が、動力サイクル(power cycle、動力取出しサイクル)の一部における変化のバルク速度(bulk rates、概略速度、平均速度、表面速度)より低速となるように、熱力学的平衡過程を効果的に低速化することにより)、熱力学的平衡状態についての従来の仮定を破る。熱力学サイクルへの非平衡過程の導入は、当該系の熱変換効率を、非常に大雑把に言えば燃料電池の作動に似ていると言える方法で意図的に向上させるために利用することが可能であり、これは、熱機関についてのカルノー・サイクルの解析が示唆するであろう変換効率より高い変換効率を達成することが可能である。すなわち、バルク非平衡(bulk non-equilibrium)熱力学過程を動力サイクル設計に導入すると、熱エネルギーの機械的な仕事への変換(conversion)が、動力サイクルのいずれの部分も局所熱力学的平衡状態にある状態で行われるように制限されるいくつかのサイクルより向上させるいくつかの機会が提供される。
いくつかのバルク準安定・非平衡熱力学状態(bulk meta-stable, non-equilibrium thermodynamic states)は、複数の示強性熱力学的状態量(intensive thermodynamic properties)(例えば、圧力、温度、バルク流体密度(bulk fluid density、概略流体密度、平均流体密度、表面流体密度))間の関係であって熱力学的平衡状態に関連するものから実質的に逸脱している状態として特徴付けられ、および/または、前記複数の示強性熱力学的状態量間の関係によって正確に記述されない。それら状態(バルク準安定・非平衡熱力学状態)は、安定状態ではなく、むしろ準安定状態であり、また、それら状態(バルク準安定・非平衡熱力学状態)は、その後、分解し、一般的には比較的短い期間にわたって存在する熱力学的平衡状態によって記述される状態になる。いくつかの準安定・バルク非平衡状態を生成するために、流体の熱力学的平衡状態を瞬間的に壊さなければならない。実際、これは、達成することが一般的に困難なことであり、また、実際には(in nature)まれにしか目撃されない。
いくつかのバルク準安定・非平衡状態(bulk meta-stable, non-equilibrium thermodynamic states)を生成するいくつかの過程(processes)が、より古典的ないくつかの非平衡熱力学過程から区別される。後者(より古典的ないくつかの非平衡熱力学過程)は、系内の複数の熱力学状態量(熱力学変数)のうちの少なくとも一つ(最も一般的なものは、温度)のいくつかの空間勾配を確立する(establish、示す)いくつかの系に一般的に起因し、また、いつも、エントロピーの生成により、動力サイクルの変換効率を低下させることになる。それら古典的な非平衡熱力学過程は、依然として、作動流体を、当該系内において局在化する複数のポイントにおいて局所熱力学的平衡状態にあるかまたはそれに近い状態にあるように有する(すなわち、いかなる空間位置においても、作動流体の局所的な圧力、温度および密度が、複数の熱力学的状態量間の平衡状態関係によって記述することが可能である)。ガス・ピストンの例においては、シリンダの壁への熱移動が原因となって、そのシリンダの壁近傍の気体の温度が、そのシリンダ内の気体の中心温度とは少し異なる可能性がある。それにもかかわらず、そのガス・シリンダ内のいかなる空間位置においても、圧力と、局所流体密度と、局所温度との間のいくつかの関係は、依然として、局所熱力学的平衡状態を仮定するモデルによってうまく記述される。一方、いくつかのバルク非平衡熱力学的状態は、系内の熱力学的状態量の大きな空間勾配を有することなく存在することが可能であり、また、いくつかのバルク非平衡熱力学的状態は、実際、慎重に設計された動力サイクルを有する動力システムの熱変換効率を向上させることが可能である。
本明細書に開示されている例示的なHEEC(高効率エネルギー変換)過程においては、前記動力サイクルの一部にわたって準安定・非平衡過程(非平衡状態にある過程)を達成するための一つの方法が、作動流体に流体相転移を経験させることである。HEEC(高効率エネルギー変換)動力サイクルの一実施形態においては、動力サイクルの一部が、相転移境界線(すなわち、飽和気液相境界線)を横切り、それにより、この相転移を行う。例えば、ピストンによる膨張を、ピストンによる膨張に関連して状態が変化する速度との関係において(relative to、に対して相対的に)、複数の気体分子が平衡化して気相から脱して凝縮するのに必要な長さの時間より短い時間しか存在しないように設計することが可能である。その結果、準安定・非平衡過程に関連するシリンダ圧は、平衡状態過程(平衡状態にある過程)におけるシリンダ圧より高圧に保持される。この高いシリンダ圧により、平衡状態過程または準平衡状態過程(準平衡状態にある過程)に対して追加されることになる仕事(additional work、平衡状態過程または準平衡状態過程では実現されない仕事)がピストン端面上に、そのピストン・シリンダ内の所定の容積変化を実現するために生成される。ピストンによる膨張によって生成されるこの追加分の仕事(additional expansion work)であってシリンダ容積から取り出されたものは、作動流体から追加分のエネルギー(additional energy)を引き出し、その結果、ピストンの膨張期間の終点で、平衡状態過程または準平衡状態過程におけるエネルギーより低いエネルギーを有する状態が生成される。凝縮が完了し、かつ、熱力学的平衡状態が達成されるようにするのに十分な長さのドエル(dwell、休止、遊び)時間があると、前記準安定状態が最終的に崩壊して、この低エネルギー熱力学平衡状態に到達する。この過程を逆行させると(例えば、ピストン速度が低速である圧縮行程の間に)、そのピストンは、準平衡状態であって、ピストンの動力取り出し行程(piston power stroke)の間用いられる準安定・非平衡・膨張過程におけるシリンダ圧より低いシリンダ圧を生成するものを保持することが可能となる。
本明細書に開示されている、特定の相転移を伴って運転される準安定・非平衡HEECサイクルにおいて使用されるべき作動流体を検討する際には、臨界温度に近い作動流体の複数の状態量が考慮される(例えば、前記臨界温度は、ある流体が、圧力の如何を問わず、もはや液体であり得ない温度より高い温度を示す)。考慮すべき1つのファクタ(factor、作動流体の状態量)は、熱源から入力された温度に比較的近接している作動流体の臨界温度が、入力された熱より低い温度であるか否かである。考慮すべき別のファクタは、作動流体の膨張プロファイル(状態図において膨張過程を表すカーブ)の形状に対する相対的な飽和気液境界線の形状が、作動流体の凝縮(condensation、凝結、液化)を膨張過程によって促進する(support)ことが必要であるか否かである。
作動流体の別のファクタであって考慮すべきものは、複雑な非平衡特徴量であって、準安定・非平衡状態の膨張過程の確保および最適化を促進する(help)ために凝縮速度(condensation rates)と結び付いたものである。しかし、この特徴量(非平衡特徴量)は、高い凝縮速度を十分に促進し(support)、それにより、前記準安定状態を膨張過程の終点において平衡化させて平衡状態に復元することも行う。作動流体のこの非平衡特徴量は、実験的な系において観察されるものであってもよく、そのような実験的な系は、実際の発電所(powerplant)が設計される場合の幾何学的条件、時間的条件および熱的境界条件と類似するものを有する。
作動流体は、さらに、同じ機関サイズに対して(for a given engine size、同じサイズを有する他の機関におけるピストン・アセンブリの運転速度に比較して)、ピストン・アセンブリがより低速で運転されることを可能にする複数の状態量、または、同じ機関サイズに対して(for a given engine size、同じサイズを有する他の機関が生成する動力に比較して)、より大きな動力(power)を生成することを可能にする複数の状態量も有する。同じHEEC機関動力出力値に対して(for a given HEEC engine power output、同じ大きさの動力を出力する他のHEEC機関におけるピストン・サイクル周期に比較して)、より長いピストン・サイクル周期を有するようにすることは、いくつかの場合に、上死点(TDC)近傍において熱を作動流体に移動させるための追加の時間を生成するために有利であるとともに、凝縮が下死点(BTC)近傍において発生するためのより長い時間的尺度を生成するために有利である。
蒸気圧は、それら状態量(作動流体の複数の状態量)のうち、機関の動力出力値を最適化する際に有用なものである。蒸気圧が高いほど、同じ容積変化量に対して(for a given volume change)、より多くの仕事が出力されるとともに、一般的に、膨張過程の間、より多くのエネルギーを作動流体から取り出すことが可能となる。作動流体の蒸気圧は、一般的に、温度低下と共に、臨界温度より高温であるときに気体内の変化(changes in gases、気体の状態量の変化)と共に観察される圧力の変化より急速に低下する。このように気体圧力が、臨界温度より低温であるときに温度変化と共に急速に低下するという現象が発生する理由は、凝縮が効果的に、気体の圧力を生成する複数の気体分子を削減するからである。しかし、低い凝縮速度が前記準安定・非平衡膨張過程に関連付けられる状態(前記準安定・非平衡膨張過程が低い凝縮速度で行われる状態)では、シリンダ圧がこのように低下するという現象は、平衡状態での膨張過程であって同じ状態点(state point)から開始されたものである場合ほどには強く発生しない。
混相作動流体(multi-phase working fluid)の定積・容積比熱(constant volume volumetric specific heat)(容積一定の状態で流体の温度を上昇させるのに必要な単位容積当たりのエネルギー)も、機関の動力出力値を最大化するか、または、機関が、同じサイズに対して(for a given size、同じサイズを有する他の機関の運転速度に比較して)、より低速で運転することを可能にするために重要である。定積・容積比熱が高いほど、同じドライブシャフト回転数に対して(for a given driveshaft RPM)、例示的なHEEC機関の動力出力値または熱冷却能力(thermal cooling power)が増加する。この定積・容積比熱は、2相流体の領域において、流体密度が、ピストンが上死点近傍にあるときに動力サイクルにおいて使用される流体密度に匹敵する状態で測定される。それら定積・容積比熱(These volumetric specific heats)を作動流体密度で割り算して取得された複数の割算値は、原則として、互いに近似するが、実際の数値に関しては、複数の気体についてより一般的な表に載っている(more commonly tabulated)定積比熱(単位質量当たり)の値とは異なる。それら割算値間の差は、2相流体が、容積が一定である状態で、かつ、臨界温度に近い温度で気化する(vaporization、蒸発する)という複雑な過程に依拠している。
例示的ないくつかの作動流体であってこの種のサイクルと共に使用してもよいものとしては、冷媒(refrigerant)(例えば、オクタフルオロプロパン(Octafluoropropane)(R218))、溶融塩(molten salt)(例えば、液体フッ化塩(liquid-fluoride salt))、溶融金属(molten metal)(例えば、液体水銀(liquid mercury))などがあるが、それらに限定されない。具体的には、R218のような冷媒は、−50℃から250℃までの温度範囲内で作用する可能性があるが、そのような温度範囲を厳密に制限することは不要である。溶融塩は、250℃から400℃までの温度範囲内で作用する可能性があるが、そのような温度範囲を厳密に制限することは不要である。例えば、別の例においては、溶融金属は、400℃から1500℃までの温度範囲内で作用する可能性がある。それら作動流体のうち、液体水銀と蒸気状水銀(水銀蒸気)とが混合されたもの(mixed liquid/vapor mercury)は、臨界温度近傍において、80−90psia(重量ポンド毎平方インチ、絶対圧、プサイア)ぐらいの最低蒸気圧を有するが、より高い温度でHEEC動力サイクルが運転されることを可能にする。
図1は、例示的な高効率エネルギー変換(HEEC)システム100のブロック図であり、その例示的なHEECシステム100は、エネルギーを、第1の形態から第2の形態に高効率で変換する。その例示的なHEECシステム100は、1または2以上の変換機関102,104であって、エネルギーを、作動流体に入力される熱(heat input to the working fluid、作動流体への入熱)という形態で受け入れる。その熱は、多くのソースから生成されたものとすることが可能であり、そのようなソースとしては、化学エネルギー、電気エネルギー、核エネルギー(原子力エネルギー)、作動流体から移動した熱などがあるが、それらに限定されない。より具体的には、そのような熱エネルギーは、あるソースによって提供されたものとすることが可能であり、そのソースは、バイオ燃料、ガソリン、太陽熱エネルギー、地熱エネルギー、核発電所エネルギーまたは他の熱エネルギー源(例えば、熱関連産業の廃熱または他の分野で利用される廃熱)からエネルギーを発生させる。
一実施形態においては、いくつかのHEECシステムおよびそれらに関連するいくつかの方法を、廃熱を引き出し、その廃熱を有用な仕事に変換することによっていくつかのシステムを冷却するために用いることが可能である。その仕事変換方法により、温度勾配が、冷却されるべき熱源と、HEECシステムへの熱の入力部(thermal input、入熱部)との間において確立される。
エネルギー変換システム100の一実施形態においては、各変換機関102,104が、作動流体を収容する封止シリンダ(sealed cylinder)を有するピストン・アセンブリを有する。各変換機関102,104のピストン・アセンブリは、運動機構(kinematic mechanism)に装着することが可能であり、その運動機構は、ピストンによる急速膨張を、熱力学サイクルの少なくとも一部について、前記封止シリンダの内部において膨張する作動流体が熱力学的平衡を達成することが阻止される方法で実現するように構成される。エネルギー変換システム100の一実施形態においては、各変換機関102,104の前記運動機構が、発電機、モータなど、本明細書において符号108によって表されるものを駆動するために、ドライブシャフト106に装着される。例えば、エネルギー変換システム100は、入力された熱(input heat)を出力エネルギー110(例えば、電気)であって発電機108によって生成されるものに変換することが可能である。変換機関102,104の作動は、後に図2−図7においてさらに詳述される。
前記ピストン・アセンブリは、作動流体の容積膨張によって動力を発生させるエネルギー変換機構の一例である。他のいくつかの例としては、ロータリ機関、タービンなどがあるが、それらに限定されない。
図2は、例示的な高効率エネルギー変換(HEEC)機関200を3次元的に示す図である。HEEC機関200は、前記エネルギー変換システムにおいてエネルギー変換機関(例えば、熱を回転運動に変換し、さらに電気に変換する機関)として用いることが可能である。HEEC機関200は、後に詳述するように、HEEC機関200の1または2以上の部品を収容する本体部202を有する。本体部202は、支持部材206を介してピストン・シリンダ204に装着することが可能である。一実施形態においては、支持部材206が、中空のチューブであり、そのチューブは、本体部202内において運動するピストン・アセンブリと、ピストン・シリンダ204とを収容する。しかし、別のいくつかの実施形態においては、別の形態を有する支持部材、例えば、連接ロッドのようなものを用いることも可能である。
ピストン・シリンダ204は、鉄金属、非鉄金属およびそれらの合金、カーボンおよび/またはカーボン複合材料などを含むがそれらに限定されない材料により構成することが可能である。ピストン・シリンダ204は、内面上にライナを有するものとすることも可能であり、そのようなライナは、鉄金属および非鉄金属であって腐食防止剤で処理されたものにより構成される。前記ピストン・アセンブリは、そのピストン・アセンブリの内部においてピストンが最小の摩擦を伴って移動することを可能にするように構成されている。HEEC機関200の一実施形態においては、ピストン・シリンダ204の上端部が、断熱されたヘッド・ブロック208に装着されており、そのヘッド・ブロック208は、例えば、マイクロ流体型(micro-fluidic)熱交換器(図2に図示されていない)または他の高効率熱交換器とすることが可能である。例示的なマイクロ流体型熱交換器が後に図3において詳述されるが、他のエネルギー導管構造物(エネルギーを導入する構造物)を採用することが可能である。ピストン・シリンダ204内のHEEC用作動流体にエネルギーを導くことに加えて、断熱されたヘッド・ブロック(断熱ヘッド・ブロック)208を、HEEC機関200を断熱し、それにより、熱源から外部環境への熱損失量を最小化することを助けるものとすることが可能である。そのような断熱ヘッドがなくても、HEEC機関は、たいていの構造態様において依然として機能するであろうが、熱損失により、そのHEEC機関の熱変換効率が低下する可能性がある。
一実施形態においては、断熱ヘッド・ブロック208が、入力エネルギーの流れ(例えば、熱水またはスチーム(steam)として具体化される)のためのインレット・ポート210と、このHEECによって冷却された流体の流れが断熱ヘッド・ブロック208から排出されることを可能にするアウトレット・ポート212とを備えている。断熱ヘッド・ブロック208は、さらに、作動流体用インレット・ポート(図2に図示されていない)も備えており、その作動流体用インレット・ポートは、ピストン用作動流体をピストン・シリンダ204内に注入するために用いられる。その作動流体用インレット・ポートは、断熱ヘッド・ブロック208の上端部に配置したり、断熱ヘッド・ブロック208の側面上に設置したり、当該システム200上の他の位置に配置することが可能である。
一実施形態においては、ピストン・シリンダ204が、作動流体がそのピストン・シリンダ204内に注入された後、気密に封止される(hermetically sealed、気密に閉塞される)が、作動流体を収容するとともにHEEC機関200を閉じた系(closed system)として維持するための他の方法および他の構造物を採用してもよい。図2に示すHEEC機関200は、さらに、チャンバ熱電対(chamber thermocouple、チャンバ内の熱電対)214を有しており、そのチャンバ熱電対214は、断熱ヘッド・ブロック208内の作動流体の温度を測定するために使用することが可能である。一実施形態においては、断熱ヘッド・ブロック208のマイクロ流体型熱交換器により、インレット・ポート(heat inlet、熱入力部)210から流入した熱が、ピストン・シリンダ204内の作動流体に効率よく伝達することが可能である。
本体部202は、運動機構220を有することが可能であり、その運動機構220は、前記ピストンからのエネルギーを、クランクシャフトの回転または他の効果を得るためのエネルギーに変換するために、前記ピストン・アセンブリに装着されている。HEEC機関200について図示されている実施形態においては、運動機構220が、カム・ローブ(cam lobe、カムの突起部)によって表されているが、他の機構を採用してもよい。運動機構220は、前記ピストン・アセンブリに装着されており、運動機構220は、部分的に本体部202内に収容されるとともに、部分的にピストン・シリンダ204内に収容されている。一例においては、運動機構220を、前記ピストン・アセンブリのうちのピストン・ロッドに装着してもよい。
一実施形態においては、本体部202が、さらに、その本体部202に装着されたローラ・ハウジング222を有する。そのローラ・ハウジング222は、複数個のローラ224を有し、それらローラ224は、前記ピストン・アセンブリにとっての垂直方向ガイド(vertical guide、前記ピストン・アセンブリの垂直運動(軸方向運動)を案内するガイド)として用いることが可能である。さらに、前記ピストン・アセンブリは、運動機構22に、ロッド・クレビス(rod clevis、回動型U字状リンクを用いたロッド継手)(ここでは図示しない)を介して運動可能に装着してもよい。
一実施形態によれば、運動機構220の幾何学的性質(geometry、形状、配置など)が、前記ピストン・アセンブリに膨張サイクルを提供し、その膨張サイクルは、ピストン・シリンダ204内において膨張する作動流体が、当該膨張行程の全体または実質的な部分(substantial portion、一部である要部)にわたり、熱力学的平衡を達成することを阻止する。後に図3−図7において詳細に図示するように、運動機構220および前記ピストン・アセンブリは、互いに共同して、そのピストン・アセンブリが、互いに連続した膨張サイクルおよび圧縮サイクルを通過して運動することを実現し、前記互いに連続した膨張サイクルおよび圧縮サイクルは、運動機構220がそれの中心まわりに回転することを実現する。運動機構220のその回転により、ドライブシャフト23の回転運動(circular movement、円運動)が実現され、その運動は、図示されている実施形態においては、同じ回転方向に発生する。
図3は、例示的なHEEC機関300の、ピストン断熱型(piston insulated)ヘッド・ブロック308を示している。シリンダ304およびピストン断熱型ヘッド・ブロック308が互いに共同して熱エネルギーを変換し、その熱エネルギーは、ピストン断熱型ヘッド・ブロック308およびシリンダ304に、別の形態のエネルギー(例えば、ドライブシャフトを回転させるエネルギー)として入力される。断熱ヘッド・ブロック308は、一実施形態においては、マイクロ流体型(micro-fluidic)熱交換器302を収容するように構成され、そのマイクロ流体型熱交換器302は、熱源となる流体(例えば、ピストン断熱型ヘッド・ブロック308に入力されるスチーム(steam))から熱を効率よく取り出すように設計されている。熱入力部(heat inlet、インレット・ポート)310により、スチーム(steam)のような熱源が、断熱ヘッド・ブロック308内のマイクロ流体型熱交換器302に入力されることが可能となる。ピストン・シリンダ容積室(piston cylinder volume、シリンダ304の容積室)は、作動流体用インレット・ポートから作動流体を受け取ることが可能であり、その作動流体用インレット・ポートは、前記ピストンの運動範囲の全域にわたり、ピストン・シリンダ容積室内にいずれの場所にも作動流体を供給する流体アクセスを実現する。
図3に示すように、マイクロ流体型熱交換器302の種々の流体通路を、熱を、スチーム(steam)のような熱源としての流体からピストン・シリンダ304内の作動流体に伝達するために採用し、それにより、熱が、効率よく、熱源としての流体から作動流体に伝達されるようにすることが可能である。チャンバ熱電対314を、内側チャンバ(シリンダ内室)316に装着し、それにより、断熱型ヘッド・ブロック308の平均温度を測定することが可能であるようにすることが可能である。ピストン・シリンダ304は、さらに、ピストン320を収容するように図示されており、そのピストン320は、ピストン・シリンダ304の長さ方向に沿って、作動流体の膨張に応答して運動する。ピストン320の種々の運動サイクルが、後に図4−図7において詳細に図示される。
図4−図7は、例示的なHEEC機関400を、それの動力サイクルが状態1−状態4にある状態で示している。具体的には、図4−図7は、例示的なHEEC機関400のピストン402および運動機構404が、それの動力サイクルが状態1−状態4にあるときに取る複数の位置を示している。説明を明瞭にするために、図4−図7は、同様な複数の部品を図示するために同じ符号を用いているが、それら図4−図7は、互いに異なる複数の実施態様を示すものであってもよい。
具体的には、図4は、HEEC機関400を状態1にある状態で示している。状態1においては、ピストン402が上死点(TDC)位置にある。この状態においては、運動機構404が、他の部分に対して相対的に平面的である平面表面部406を有するように図示されており、その平面表面図406は、ピストン402の運動方向と同じ方向で実質的に垂直であるように位置合わせされ、また、ピストン402は、ピストン・シリンダ401の上端位置において最大圧縮位置にある。熱がピストン・シリンダ401内の作動流体に熱交換器403を媒介にして伝達されるため、その作動流体が気化させられるとともに、最大シリンダ圧まで上昇する。作動流体が状態1から膨張することは、運動機構404の平面表面部406と共同して、ピストン402が、動力サイクルが状態2に移行するにつれて、ピストン・シリンダ401および熱交換器403に対して相対的に垂直下向きに、非常に急速に下降する現象を発生させる。
ピストン402の状態1から状態2への移動は、また、HEEC機関400にとってのHEEC動力取出し行程(power storke、動力取り出しを行う行程、パワー・ストローク)として認められる。そのような作動流体の急速膨張と、運動機構404の平面表面部406の向きがピストン402の運動方向に一致させられていることとにより、前記動力取出し行程が、平衡状態である場合のシリンダ401内での変化速度より早い速度で完了するとともに、ドライブシャフト408が全部で約90度回転する間に完了することが可能となる。例えば、その膨張行程は、ピストン402の運動による容積変化速度が、凝縮速度、および、複数の気体分子が複数の液体凝縮核に物質変化する(mass transport、気液間物質移動)速度より速く、それにより、熱力学的平衡がピストン膨張過程において達成されないように設計することが可能である。
一実施形態においては、前記複数の気体分子が、気液界面(gas/liquid interface)のような相境界線近傍の領域内において運動する。前記急速膨張の間、気体が、膨張する気体から仕事が取り出されることにより、過冷却(supercool)される。この過冷却された気体は、膨張行程のうちの少なくとも一部により、通常の熱力学的平衡状態であれば、状態図(phase diagram、相図)の飽和気相線(saturated gas line)を横切るであろう状態となり、その結果、シリンダ容積室が、液体と気体蒸気との混合物(a liquid and gas vapor)が、熱力学的平衡によって記述される比率で存在するように構成されるであろう状態となる。従来、気体状態にある複数の分子の運動エネルギーが非常に大きいため、その気体は、一般的に、平衡状態において流体が変化するときのバルク流体変化速度(bulk fluid equilibrium rates)であって、ピストンによって膨張する容積が変化し得る速度より非常に速いものを有する。
しかし、膨張過程の間に相転移境界線を横切ることにより、新しい時間制限型(time-limiting、ボトルネック)の凝縮および/または気化という物質移動(transport)を行ういくつかの過程が生成され、それら過程は、平衡化のための速度であって、自然に気体が平衡化する速度より遅く、また、より重要なことに、ピストンによる膨張の速度より遅いものを有する。したがって、ピストンによる急速な膨張過程の間、過冷却された気体が、熱力学によって予測される平衡状態である場合と同じ量の気体を液体に完全に凝縮させるに必要な時間より短い時間しか存在しない。その結果、膨張行程の間におけるシリンダ圧が、作動流体がこの非平衡・準安定状態にあるため、前記複数の気体分子のうちの一部が一層より高密度の複数の液滴に凝縮することが可能であった場合に発生したであろうシリンダ圧より高い。この高いピストン・シリンダ圧は、ピストンによる仕事であって、平衡状態にある過程である場合に取り出されたであろう仕事より多いものが取り出されることを可能にする。さらに、そのように多い量で作動流体から取り出される、ピストンによる仕事は、熱力学的平衡状態で膨張が行われる過程である場合より大きい程度で作動流体の冷却に寄与する。一実施形態においては、蒸気拡散速度(vapor diffusion rate)が、一層長い時間的尺度に依存し、その時間的尺度は、蒸気(vapor)が、半径方向に移動して、気柱(gas column、ピストン・シリンダとピストンによって包囲される容積)を通過し、それにより、蒸気(vapor)が、液体の凝縮が発生するかもしれない内側シリンダ壁上において凝縮するために必要である。
図5は、例示的なHEEC機関400を状態2にある状態で示している。状態2においては、ピストン402が下死点(BDC)位置にある。図5に示すように、運動機構404の平面表面部406は、ピストン402の運動方向に対してほぼ直角である。したがって、状態2と状態3との間において、後に図6において図示されるように、ピストン402が概して同じ位置、すなわち、下死点に近い位置にある。状態2と状態3との間のそのような期間は、本明細書においては、下側ドエル(dwell、無効、休止、遊び)期間と称される。その下側ドエル期間中、前記カムのプロファイル(外形形状)の半径であってドライブシャフト408の中心点からカム・フォロワ410の接触点まで測定されるものが、ドライブシャフト408が横切る(traverse)角度領域全域にわたり、ピストン402が下死点近傍に保持されるように、比較的に(実質的に)一定である。下側ドエル期間により、前記過冷却された気体がほぼ完全に平衡化し、作動流体のうち液体の部分を凝縮させるのに必要な長さの時間が得られ、それにより、シリンダ容積が最大である状態で圧縮行程が行われるときのシリンダ圧が低下する。下側ドエル期間により、ピストン・シリンダ401が、動力取出しサイクルにおける他の状態に比較して、より低い圧力と、より大きいシリンダ容積とを、ピストン・シリンダ401内の作動流体のために有するようにさせられる。HEEC機関400の一実施形態においては、運動機構404を、約30度という角度でのドライブシャフト408の回転に相当する下側ドエル期間を実現するように構成することが可能であるが、他の構成態様を対象としてもよい。一実施形態においては、その下側ドエル時間を、作動流体が、移動律速過程(transport-limited process、移動(transport)が全凝縮時間の長さを支配的に決める過程)のもとで凝縮させられるように最適化することが可能である。
下側ドエル期間の間における急速な再凝縮(recondensation、先に凝縮させられて気化された流体が、再度、凝縮させられること)速度を増加させるために、HEEC機関400の一実施形態は、ピストン・シリンダ401の内側表面を、ある材料で構成されるように実現することが可能であり、その材料は、ピストン・シリンダ401の表面上における気体分子の急速凝縮を、特にピストン402が下側ドエル期間に近い位置またはその期間内の位置に至ると、実現するものである。例えば、ガラス、金属などが、そのような内側表面の材料の例である可能性がある。ピストン・シリンダ401内の作動流体が、移動律速過程(transport-limited process)に従って凝縮する可能性があるため、その作動流体の複数の液滴が、ピストン・シリンダ401の内側表面上に集まる可能性がある。さらに、このピストン・シリンダ401は、前記内側シリンダ壁のうちの複数の領域であってそれぞれ互いに異なる材料によって構成されたものを有し、それにより、下死点近傍の部分において発生する凝縮を、膨張サイクルのうちの他の部分におけるより多く促進する可能性がある。
図6は、例示的なHEEC機関400を状態3にある状態で示している。状態3においては、ピストン402が依然として下死点に位置している。しかし、この状態に至るときには、凝縮可能な流体のすべてまたはほぼすべてが固体表面上に、当該サイクル内のシリンダ圧が最低であるように、凝縮し終わっている。この時点においては、ピストン402の下側端部が、運動機構404の平面表面部406から離間することを開始しようとしているとともに、ピストン402が圧縮を開始しようとしている。すなわち、状態3は、下死点側のドエル時間(期間)の終点を決めるのである。HEEC機関400の圧縮行程であって状態3と状態4との間に位置するものの間、ピストン402がそれの下死点からそれの上死点に向かって移動する。HEEC機関404の一実施形態においては、ピストン402の下死点から上死点までの移動(すなわち、状態3から状態4までの移動)は、150度というように大きな角度でのドライブシャフト408の回転に相当する。
図7は、例示的なHEEC機関400を状態4にある状態で示している。状態4にある間、運動機構404の平面表面部406は、ピストン402の運動方向に対してほぼ直角であり、前記カムのプロファイル(外形形状)の半径であってドライブシャフト408の中心点から、カム・フォロワ(ホイール)410との接触点まで測定されるものが、ほぼ一定である。その結果、このサイクルの間、ピストン402が、比較的(comparatively)長い時間、上死点に保持される。HEEC機関400のこの期間は、「上側ドエル(dwell、無効、休止、遊び)期間」と称される。一実施形態においては、ピストン402が、ドライブシャフト408が最大で90度回転する間、上死点に保持される。運動機構404の構成は、上死点における長い上側ドエル期間が、加熱されたシリンダ・ヘッド(ヘッド・ブロック)から作動流体に移動する熱の量を最大化するための時間を可能にする方法で最適化することが可能である。注記すべきことは、上側ドエル期間中、作動流体が内側チャンバ(例えば、図3に示す内側チャンバ(シリンダ内室)316)であってマイクロ流体型熱交換器302に近接しているものにおいて圧縮されるということである。HEECサイクルのうちの状態4の終点に向かって、運動機構404の平面表面部406が、ピストン402(図4に示すように)の下降の方向に比較的よく一致するように位置合わせされている。状態4と状態1との間において、上側ドエル期間において作動流体が長い時間加熱されることが原因で、作動流体が気化するとともに、シリンダ圧が、状態1における最高値まで上昇する。
図8は、例示的なHEEC機関についての圧力−容積(PV)線図800を、それの動力サイクルが上述の複数の状態のそれぞれにある期間について示している。PV線図800においては、この動力サイクルが、ピストン用の作動流体についての飽和気液相境界線(破線801で示す)に重ね合わせられている。具体的には、PV線図800は、非平衡状態でピストンが膨張を行う場合のピストン膨張プロファイル806であって実験的に測定されたものを、平衡状態で行われる別の複数の過程(グラフ・ライン(graphed lines)802,810および814で示す)についての平衡状態解析(平衡状態にある熱力学サイクルの解析)の結果との組合わせとして示しており、その組合せにより、HEECサイクルが閉じたサイクルとなる。その平衡状態解析は、別の複数の状態のすべてにつき、市販されている熱力学ソフトウエア・パッケージを用いて行われた。PV線図800は、図4−図7に図示された複数の状態図(state diagrams)に関連付けることも可能である。図8に示すように、HEEC機関についての状態1(符号804で示す)は、概して、加熱(heat addition、熱注入)期間802の終点に対応する。HEEC機関についての状態2(符号808で示す)は、概して、ピストン膨張期間(ピストン膨張プロファイル)806の終点に対応する。HEEC機関についての状態3(符号812で示す)は、概して、HEECによって最適化された下側ドエル期間810の終点に対応する。HEEC機関についての状態4(符号816で示す)は、概して、等エントロピー圧縮プロファイル(等エントロピー圧縮カーブ、等エントロピー圧縮期間)814の終点に対応する。
具体的には、加熱期間802の間、ピストンは、上側ドエル中心点(TDC)近傍に保持され、それが原因で、作動流体の容積がほぼ一定に維持される。しかし、この期間802の間、熱が作動流体に加えられることが原因で、作動流体の圧力が急速に上昇する。この加熱期間802の終点においては、ピストンが、急速な膨張を行うピストン膨張期間806を開始する。本明細書に開示されているHEEC機関の例においては、ピストン膨張期間806の間における急速な気体の膨張が、ピストンが、下死点(BDC)に向かって移動し、その間、飽和気液相遷移線(境界線)を横切り、それにより、凝縮および/または物質拡散を行う移動律速過程(transport limited process)を形成することを可能にすることによって達成され、その移動律速過程は、ピストン膨張期間806のうちの少なくとも実質的な部分(substantial portion)の間において気体が完全に、平衡状態にある2相流体に平衡化することを阻止する。その結果、下側ドエル期間810の間、HEEC機関のピストンは、下死点に保持されることが可能となり、よって、この下側ドエル期間810は、下死点側ドエル期間と称することも可能である。ピストンが下死点に保持されることと、前述の別に取り出された仕事のエネルギーが作動流体を過冷却させてきたことを理由に、気体が凝縮して、作動流体の複数の液滴であってシリンダ内部の固体表面上に付着するものとなる。それら液滴は、ピストン・シリンダの内側表面の近傍位置においてより簡単に形成される可能性がある。一方、シリンダの中心部近傍にある気体は、気体状態のままであるが、気体分子の減少が原因でより低圧になると、凝縮状態に移行する可能性がある。
等エントロピー圧縮期間814の間、ピストンは、準等エントロピー圧縮プロファイル(グラフ上のカーブ)に従って下死点位置から上死点位置に移動する。その圧縮速度は、熱力学的平衡が前記圧縮の全期間を通じて完全に達成されるかまたはほぼ達成されるために十分であるほどに低速である。その結果、膨張期間におけるシリンダ内の気圧であって凝縮された液体をほとんど有しないものが、圧縮期間における気圧より高い。ピストンによる圧縮期間の間、作動流体の気体および液滴は、凝縮してシリンダの内側チャンバ内に戻り、その内側チャンバ内においては、それら気体および液滴の加熱および気化によってこのサイクルが繰り返される可能性がある。
PV線図800は、非平衡状態でピストンが膨張を行う場合のピストン膨張プロファイル806であって実験的に測定されたものを、HEEC用作動流体の一候補であるオクタフルオロプロパン(Octafluoropropane)(R218)を用いるピストン・シリンダの圧力と容積との対比について示している。ピストン膨張プロファイル806は、熱力学的平衡状態を表す現存のモデルを用いて解析的に計算することを現在行うことは不可能なものであるが、ピストンによる膨張が非平衡状態で行われる間、凝縮および/または物質拡散を行う移動律速過程(transport limited process)を生起するために、飽和液相線を臨界的に横切ることを図示している。図8に示すように、状態1および状態2は、測定値によって実験的に決定される。計算によって取得された領域(area、面積)であってピストン膨張プロファイル806の下方に存在するものは、ピストンによる比仕事エネルギーであって前述のようにして取り出されたものを表している。この比仕事エネルギーを状態1から引き算し、かつ、熱力学平衡状態を計算するソフトウエア・パッケージ(例えば、REFPROP 200と、NIST Standard Reference Database 23)を用いると、他のサイクル状態点812(状態3)および816(状態4)のすべてならびに圧縮プロファイル(期間)814を推定することが可能である。例えば、サイクル状態点812(状態3)は、サイクル状態点808(状態2)における比容積を前提に、かつ、前記比仕事エネルギー(実験的に導出された膨張期間(ピストン膨張プロファイル)806の下方に存在する総面積)をサイクル状態点804(状態1)の内部エネルギーから引き算することにより、導出された。サイクル状態点816(状態4)は、サイクル状態点812(状態3)からサイクル状態点804(状態1)における比容積まで等エントロピー圧縮が行われることを仮定することにより、推定された。このサイクルによって生成される正味の仕事は、PV線図800上において複数の状態点802,806,810および814によって包囲される面積の総合値であってPV仕事を表すものである。
図9は、例示的なHEEC機関についての種々の非正弦波状のピストン運動軌跡を、従来のピストン機関と対比して示す線図900であり、前記HEEC機関は、例示的な複数種類の運動機構を用い、前記従来のピストン機関は、正弦波状のピストン運動軌跡を有する。この線図900は、1または2以上のグラフを有し、それらグラフは、ピストンの複数の運動軌跡を、ピストンによって駆動されるドライブシャフトの回転角を変数として示している。具体的には、この線図900は、(1)グラフ902であって、カムを用いる例示的なHEEC機関についてのピストンの運動軌跡を、ピストンによって駆動されるドライブシャフトの回転角を変数として示すものと、(2)グラフ908であって、典型的なドライブシャフトを用いる例示的なHEEC機関についてのピストンの運動軌跡を、ピストンによって駆動されるドライブシャフトの回転角を変数として示すものと、(3)グラフ906であって、スコッチ・ヨーク機構を用いる例示的なHEEC機関についてのピストンの運動軌跡を、ピストンによって駆動されるドライブシャフトの回転角を変数として示すものと、(4)グラフ904であって、変形されたスコッチ・ヨーク機構を用いる例示的なHEEC機関についてのピストンの運動軌跡を、ピストンによって駆動されるドライブシャフトの回転角を変数として示すものとを有する。
より具体的には、グラフ902は、例示的なHEEC機関についての動力サイクルを状態1−4(例えば、図9において符号1−4によって示されている)にわたって示している。状態1から状態2までのピストンの運動は、ピストン・シリンダ内の作動流体についての急速な膨張期間910を示しており、その運動を原因として、ピストンが、上死点から下死点まで移動させられる。ピストンの下側ドエル期間912においては、ピストンが下死点においてほぼ完全に静止しており、その下側ドエル期間912により、複数の気体粒子の一部が凝縮し、ピストン・シリンダの内側表面の近傍位置において作動流体の複数の液滴となる。このHEEC機関の圧縮期間914の間、ピストンは、等エントロピー・プロファイルに従って下死点から上死点まで移動する。状態4と状態1との間の期間は、上側ドエル期間916と称される。この上側ドエル期間916の間、ピストンは、上死点に実質的に保持される。
ドライブシャフトに関する多くのシナリオにおいて、ドライブシャフトは、ほぼ一定の回転数(rpm)で回転し、そのドライブシャフトの回転角は時間と共に直線的に増加する(synchronized in time、ドライブシャフトの回転角速度が時間の経過に対して一定である)。しかし、HEEC動力サイクルについての少なくとも1つの実施形態においては、膨張が、圧縮行程より短い時間間隔にわたり、発生する。この時間間隔は、具体的な作動流体の状態量、ピストンおよびシリンダの幾何学的性質(geometry)、ならびに、一般的には、むしろ、凝縮および物質移動を行う複雑な現象であって過冷却された作動流体内において液滴が形成されることによって低い平衡化速度を定義するものに依存する。計測される研究用ピストン(research piston)を用いる実験的な複数の測定値を、種々の非平衡状態においてシリンダ圧に発生する種々の変化量を直接的に測定するために用いることが可能である。それら測定値は、ピストンについての最適な時間プロファイル(temporal profile)を導出するために、状態2および状態3におけるシリンダ圧についての平衡状態での熱力学的解析に結び付けることが可能である。このピストンについての時間プロファイルがひとたび既知となれば、運動学的であり、また、可能性としては電気力学的(electrodynamic、電気−機械変換型)であり得る多数の機構を、必要な非正弦波状の運動を生成するように設計することが可能である。
HEECサイクルを最適化する別の方法は、図2に示す研究用機関(research engine)を構築する工程と、HEEC動力サイクルから正味の仕事を取り出すために最適なカム・プロフィルを求めるために、ピストン・シャフトの仕事を測定しつつ、種々のカム・プロファイルを試験する工程とにより構成され得る。
上述の例示的な運動学的・機械的機構であって回転数(rpm)が一定であるドライブシャフトの回転から非正弦波状運動を生成するものに加えて、ピストンの運動速度を変更するための別の機構が、ドライブシャフトの回転速度を実時間で(real-time、そのドライブシャフトの回転中に)変化させることを、従来のドライブシャフト型ピストン機関との組合せにおいて行う。この種のデバイスの一例は、電気的モータ/発電機を含むが、これに限定されず、その電気的モータ/発電機は、従来のピストン機関のドライブシャフトに、その電気的モータ/発電機が前記ピストン機関のドライブシャフト上のねじり負荷を変更することが可能であるように連結される。その電気的モータ/発電機は、図9に示すプロファイルと同様なものを生成するために、従来のピストン機関のドライブシャフトの回転速度を変更する再生的ブレーキとして効果的に作用することが可能である。図8に示すように動力サイクルを生成することによって正味の仕事が生成されることが原因で、前記電気的モータ/発電機は、HEEC(高効率エネルギー変換型)モータ(motor、動力発生器)の断熱ヘッド・ブロックに加えられる熱を利用することにより、正味の動力を発生させるであろう。この電気−機械変換システムの利点は、機関の出力効率を最適化するために、運動制御範囲を広げることが可能であるということである。
別の方法においては、運動機構と、機関が出力するシャフト回転数(RPM)の変化との組合せを、出力を行う回転シャフトを用いて非正弦波状ピストン運動を生成するために用いることが可能である。さらに別の方法であってHEECサイクルを最適化するものにおいては、リニア・アクチュエータ(直線運動アクチュエータ)を、回転シャフトの出力を行うことなく、ピストン運動を制御するために用いることが可能である。その場合、そのピストンは、磁石を有することが可能であり、その磁石は、その磁石を包囲する機関ハウジング内に電流を誘導する。その誘導された電流を制御することにより、ピストンの運動が制御され、そして、正味の電流が発生させられる。
図10は、例示的なHEEC機関の作動についてのフロー図1000である。具体的には、フロー図1000は、HEEC機関を運転し、それにより、ピストン402に状態1−4を循環させる。フロー図1000に示す複数の作動工程は順次実行されるように図示されているが、それら作動工程のうちの少なくとも一つを別の作動工程と同時に実行することが可能である。例えば、一実施形態においては、作動工程1002によって図示されているように、エネルギー源の作用(application、付加、適用)を、作動工程1004−1010が開始されている間、連続的に行われる作動工程とすることが可能である。
具体的には、付加工程1002が、熱または他のエネルギー源を作動流体(例えば、図3に示すように、内側チャンバ306内に存在する)に付加する。その熱源は、熱入力部310およびマイクロ流体型熱交換器302を介して付加することが可能である。その後、変換工程1004が、作動流体を高圧気体に変換する。本明細書に開示されているHEEC機関の一実施形態においては、作動流体の高圧気体への変換を、上死点側ドエル時間の間、ピストンが上死点(TDC)において休止することを可能にすることによって達成することが可能であり、その上死点側ドエル時間の長さは、運動機構を介して前記ピストンに装着されたドライブシャフトが90度回転することにほぼ相当する。
続いて、膨張工程1006が、作動流体から発生した気体の容積を急速に膨張させる。本明細書に開示されているHEEC機関の一実施形態においては、その気体の急速膨張が、前記ピストンを下死点(BDC)に向かって運動させることによって達成され、そのようなピストン運動を行う目的は、膨張中に、飽和気相線(転移線)のような相転移線を横切ることにより、作動流体の膨張過程が非平衡状態で行われるようにすることにある。この急速膨張を行う膨張工程1006に引き続き、凝縮工程1008が、前記気体を液滴状の作動流体に凝縮させて、シリンダ圧を低下させる。一実施形態においては、気体を液滴状の作動流体に凝縮させることを、下死点側ドエル時間の間、ピストンが下死点(BDC)において休止することを可能にすることによって達成することが可能であり、その下死点側ドエル時間は、前記準安定状態(前記非平衡状態)が崩壊して平衡状態に復元するのにちょうど十分な長さを有する。この凝縮工程1008が完了すると、圧縮工程1010が、前記ピストンを上死点位置に接近する向きに運動させる。一実施形態においては、前記ピストンが圧縮工程1010の開始点における下死点から上死点まで運動することを、等エントロピー・プロファイル(カーブ)に沿って行うことが可能であり、その等エントロピー・プロファイルは、前記ピストンが、液滴状の作動流体を捕集して、前記シリンダの上端部にある前記内側チャンバ内に戻すことを可能にする。
典型的には10−100ミリ秒より短い時間で急速に高圧気体を生成する内燃機関における燃焼過程とは異なり、HEEC用作動流体内に至る熱伝導経路は、一層遅い時間的尺度で高圧気体を生成する特性を有する。このように、内燃機関より低速で気圧が発生するという現象は、HEECサイクルが動力発生のために反復し得る速度(周期)の最大値を制限する可能性と、同じサイズを有する他の機関より当該機関の出力動力を低下させる可能性とを潜在的に有する可能性がある。同じサイズを有する他の機関よりHEEC機関の動力出力値を増加させるために、上死点近傍において作動流体への熱移動を増大させるという改善策が望ましい可能性がある。例えば、上死点近傍において作動流体が露出する(exposed、外界と接触する)表面積を拡大すると、作動流体への熱交換速度が増加する可能性がある。この種の改善策についてのいくつかの例は、上死点近傍のピストン用作動流体をマイクロ流体型熱交換器内に押し込んで急速気化を行うこと、または、表面積−容積比が高いことが普通である上死点シリンダ・プロファイル(TDC cylinder profiles、シリンダのうち上死点近傍の部分の形状)を利用することを含むが、それらに限定されない。
HEEC機関は、専用のピストン用作動流体を使用することが可能であり、その専用のピストン用作動流体は、理想的には、時間の経過に伴う予想外の損失を防止するために、気密に封止された(hermetically sealed、気密に閉塞された)系内に収容される。これに代えて、時間の経過につれてピストン・シールを通過して損失した作動流体を回収(recovery、補償、補充)するための機構を設計することが可能である。
図11Aおよび図11Bは、本明細書に説明されているHEEC機関の一実施形態において使用することが可能である例示的なピストン・アセンブリ1100を示しており、そのピストン・アセンブリ1100は、磁気的に連結されているとともに封止されている。具体的には、図11Aは、ピストン・アセンブリ1100を、ピストンが上死点にある状態で示している。図11Bは、ピストン・アセンブリ1100を、ピストンが下死点にある状態で示している。ピストン・アセンブリ1100は、シール漏れに対処するために流体戻りも組み込んでいる。
ピストン・アセンブリ1100は、シリンダ・ヘッド1102を有し、そのシリンダ・ヘッド1102は、ピストン壁1104を有するピストン・シリンダの上端部に装着されている。ピストン・トップ1106を有するピストンは、前記ピストン・シリンダ内に配置されている。そのピストンは、さらに、炭素発泡体(carbon foam、泡状炭素)製のインシュレータ(断熱部材)1108を有しており、そのインシュレータ1108は、ピストン・トップ1106と、内側磁石1110とに装着されている。ピストン・アセンブリ1100の一実施形態においては、内側磁石1110が、外側磁石1112に磁気的に連結されている。本明細書において説明された種々のサイクル(プロファイル)に従う内側磁石1110の動きは、その内側磁石1110に同期した外側磁石1112の動きも発生させる。外側磁石1112は、連接ロッド(ここでは図示しない)の第1端部に装着されており、ここに、そのような連接ロッドの第2端部は、本明細書において説明されている運動機構に連結される。
さらに、ピストン・アセンブリ1100の一実施形態においては、プランジャ(押圧ピストン)1114が、内側磁石1110の底部に装着されている。前記ピストン・シリンダ内におけるピストンの位置は、ピストン・ヘッド1106の上方に位置する作動流体用内側チャンバ1120を形成するように設定することが可能である。この構成態様においては、熱が、熱伝導により、シリンダ・ヘッド1102内に連結される熱源と作動流体用内側チャンバ1120との間の固体境界面を通過して移動する。シリンダ・ヘッド1102は、例えば、加熱された作動流体から熱を取り出すように設計された熱交換器であり得る。これに代えて、シリンダ・ヘッド1102は、燃焼室のような別の加熱源(heating source)に直接的に連結された非常に熱伝導率が高い通路であり得る。作動流体用内側チャンバ1120は、HEECピストン用作動流体(例えば、予め定められた特性を有する)を収容するために用いることが可能である。熱または他のエネルギーの働きによって作動流体が膨張すると、ピストンが、ピストン・アセンブリ1100の底部に向かって垂直下向きに動く可能性がある。図11Aに示すように、ピストンが上死点にある間、一般的には、前記ピストン・シリンダのうち、プランジャ1114より下方に位置する部分に作動流体が全く存在しないであろう。しかし、図11Aにおいて符号1122によって示すように、作動流体のうちのいくつかの粒子が、ピストン・トップ1106の複数本のリングを通過して漏れて、プランジャ1114より下方のチャンバ内に侵入する可能性がある。
そのようにして漏れた作動流体を回収するために、ピストン・アセンブリ1100は、戻り通路用チューブ1124を備えたものとすることが可能である。その戻り通路用チューブ1124は、前記ピストン・シリンダの底部を、そのピストン・シリンダ(同じピストン・シリンダ)の中間部に連結する。戻り通路用チューブ1124の上端部が前記ピストン・シリンダに接続される位置は、ピストンが下死点にあるときに、シリンダ・ヘッド1102の上面が、戻り通路用チューブ1124の接続端部の上面より下方にあるように、決定される。戻り通路用チューブ1124についてのそのような構成のおかげで、ピストンが前記ピストン・シリンダ内を下向きに移動するとき、プランジャ1114が、作動流体の複数の液滴1122を捕集し、それら液滴1122を戻り通路用チューブ1124に押し込む。戻り通路用チューブ1124は、逆止弁1126を備えており、その逆止弁1126は、作動流体の一方向流れ、具体的には、前記ピストン・シリンダの底部からそのピストン・シリンダの上部に向かう方向1128の流れを許可する。
図12は、例示的なピストン・アセンブリ1200を3次元的に示す図である。具体的には、図12は、ピストン・アセンブリ1200を示しており、そのピストン・アセンブリ1200は、複数本の連接ロッド1204のそれぞれの第1端部に装着された外側磁石1202を備えている。それら連接ロッド1204のそれぞれの下側端部は、本明細書に説明されている運動機構に装着することが可能である。一実施形態においては、ピストン・アセンブリ1200の複数の内側磁石の動きを原因として、複数の外側磁石1202が運動し、それにより、前記運動機構に装着されたドライブシャフトが回転する。ピストン・アセンブリ1200は、さらに、戻り通路用チューブ1208および逆止弁1210(例えば、戻り通路用チューブ1124および逆止弁1126に対応する)を有する。
図13は、例示的なエネルギー変換システム1300を示しており、そのエネルギー変換システム1300は、ベローズ1302(支持ポスト1316と熱交換器ヘッド1304とに隠れて部分的に見えない)で包囲されることによってそのベローズ1302によって封止されたベローズ封止ピストンを有する。熱交換器ヘッド1304は、エネルギー変換システム1300の一端部に配置されるとともに、熱移動を行うための熱移送用流体(例えば、スチーム、熱水)が熱交換器ヘッド1304を通過して流れるように、入力部1306および出力部1308を備えている。その熱移送用流体は、入力部1306において熱交換器ヘッド1304内に流入し、中央チューブ(図示しないが、ベローズ1302内に包囲されている)内を下向きに流れ、環状外側通路(図示しないが、ベローズ1302内に包囲されている)内を上向きに流れ、そして、出力部1308において熱交換器ヘッド1304から排出される。
ベローズ1302内においては、前記熱移送用流体が、ピストン・シリンダ用の作動流体から分離しており、その分離は、熱が前記熱移送用流体から作動流体に伝達される際に通過する熱伝導壁によって行われ、その熱伝導壁は、ベローズ1302内において封止されている。作動流体の膨張であって上述のようにして移動させられた熱から発生するものを原因として、ピストン・シャフト(ベローズ1302内において部分的に包囲されるとともに封止されている)が、熱交換器ヘッド1304から遠ざかる向きに移動する。そのピストン・シャフトは、直線運動するように案内された直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッド1310に連結されており、その直線ガイド付きカム・クランク型ロッド1310は、カム1312を駆動してシャフト(ドライブシャフト)1314を回転させる。
図14は、例示的な熱交換器ヘッド1400を示す断面図であり、その熱交換器ヘッド1400は、圧縮状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフト1402と組み合わされる。熱交換器ヘッド1400は、熱移動を行うための熱移送用流体(例えば、スチーム、熱水)が熱交換器ヘッド1400を通過して流れるように、入力部1404および出力部1406を備えている。その熱移送用流体は、入力部1404において熱交換器ヘッド1400内に流入し、中央チューブ1408内を下向きに流れ、中央チューブ1408の外側にある環状通路である環状外側通路1410内を上向きに流れ、そして、出力部1406において熱交換器ヘッド1400から排出される。
ベローズ1412内においては、前記熱移送用流体が、ピストン・シリンダ用の作動流体から分離しており、その分離は、熱が前記熱移送用流体から作動流体に伝達される際に通過する熱伝導壁であって側壁1414および底壁1416を有するものによって行われ、前記熱移送用流体は、中央チューブ1408および環状外側通路1410を通過して、作動流体まで流れ、前記熱伝導壁は、ベローズ1412と熱伝導壁(すなわち、側壁1414および底壁1416)との間の容積室内において封止されている。作動流体の膨張であって上述のようにして移動させられた熱から発生するものを原因として、ピストン・シャフト1402が熱交換器ヘッド1400から遠ざかる向きに移動する。そのピストン・シャフト1402は、直線運動するように案内された直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッド(図14には図示されていない)に連結されており、その直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッドは、カム(図14には図示されていない)を駆動してシャフト(ドライブシャフト)(図14には図示されていない)を回転させる。
ベローズ1412の一端部であって熱交換器ヘッド1400に近いものは、環状外側通路1410の外周面に対して封止(シール)されており、一方、ベローズ1412の一端部であってピストン・シャフト1402に近いものは、ピストン・シャフト1402に対して封止(シール)されている。そのピストン・シャフト1402は、前記直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッドに連結されていて、ピストン・サイクルのうちの膨張過程においては、熱交換器ヘッド1400から遠ざかる向きに直線運動し、また、前記ピストン・サイクルのうちの圧縮過程においては熱交換器ヘッド1400に近づく向きに直線運動する。
前記膨張過程は、作動流体の急速気化に由来し、その急速気化は、前記熱移動であって前記熱移送用流体からの、前記熱伝導壁を経由したものによって発生させられる。前述のように、その急速気化により、ベローズ1412と前記熱伝導壁との間の容積室内の圧力が急速に上昇し、それを原因として、ベローズ1412が伸張させられるとともに、ピストン・シャフト1402が熱交換器ヘッド1400から遠ざかる向きに押し出される。
前記圧縮過程は、前記カムの回転に由来し、そのカムの回転を原因として、前記カム・クランク入力ロッドおよびピストン・シャフト1402が熱交換器ヘッド1400に近づく向きに移動させられる。この運動を原因として、ベローズ1412が圧縮させられて図14に示す位置に至り、それにより、ベローズ1412と前記熱伝導壁との間の容積室内の作動流体を圧縮し、これは、別の急速気化・膨張過程の準備段階である。
図15は、例示的な熱交換器1500を示す斜視図であり、その熱交換器1500は、収縮状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフト1502と組み合わされる。熱交換器エレメント1500は、熱移動を行うための熱移送用流体(例えば、スチーム、熱水)が熱交換器ヘッド1500を通過して流れるように、入力部1504および出力部1506を備えている。その熱移送用流体は、入力部1504において熱交換器ヘッド1500内に流入し、中央チューブ1508内を下向きに流れ、中央チューブ1508の外側にある環状通路である環状外側通路1510内を上向きに流れ、そして、出力部1506において熱交換器ヘッド1500から排出される。
ベローズ1512内においては、前記熱移送用流体が作動流体から分離しており、その分離は、熱が前記熱移送用流体から作動流体に伝達される際に通過する熱伝導壁であって側壁1514および底壁1516を有するものによって行われ、前記熱移送用流体は、中央チューブ1508および環状外側通路1510を通過して、作動流体まで流れ、前記熱伝導壁は、ベローズ1512と熱伝導壁(すなわち、側壁1514および底壁1516)との間の容積室内において封止されている。作動流体の膨張であって上述のようにして移動させられた熱から発生するものを原因として、ピストン・シャフト1502が熱交換器ヘッド1500から遠ざかる向きに移動する。そのピストン・シャフト1502は、直線運動するように案内された直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッド(図15には図示されていない)に連結されており、その直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッドは、カム(図15には図示されていない)を駆動してシャフト(ドライブシャフト)(図15には図示されていない)を回転させる。
ベローズ1512の一端部であって熱交換器ヘッド1500に近いものは、環状外側通路1510の外周面に対して封止(シール)されており、一方、ベローズ1512の一端部であってピストン・シャフト1502に近いものは、ピストン・シャフト1502に対して封止(シール)されている。そのピストン・シャフト1502は、前記直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッドに連結されていて、ピストン・サイクルのうちの膨張過程においては、熱交換器ヘッド1500から遠ざかる向きに直線運動し、また、前記ピストン・サイクルのうちの圧縮過程においては熱交換器ヘッド1500に近づく向きに直線運動する。
前記膨張過程は、作動流体の急速気化に由来し、その急速気化は、前記熱移動であって前記熱移送用流体からの、前記熱伝導壁を経由したものによって発生させられる。前述のように、その急速膨張により、ベローズ1512と前記熱伝導壁との間の容積室内の圧力が急速に上昇し、それを原因として、ベローズ1512が伸張させられるとともに、ピストン・シャフト1502が熱交換器ヘッド1500から遠ざかる向きに押し出される。
前記圧縮過程は、前記カムの回転に由来し、そのカムの回転を原因として、前記カム・クランク入力ロッドおよびピストン・シャフト1502が熱交換器ヘッド1500に近づく向きに移動させられる。この運動を原因として、ベローズ1512が圧縮させられて図15に示す位置に至り、それにより、ベローズ1512と前記熱伝導壁との間の容積室内の作動流体を圧縮し、これは、別の急速気化・膨張過程の準備段階である。
図16は、例示的な熱交換器ヘッド1600を示す断面図であり、その熱交換器ヘッド1600は、伸張状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフト1602と組み合わされる。熱交換器エレメント1600は、熱移動を行うための熱移送用流体(例えば、スチーム、熱水)が熱交換器ヘッド1600を通過して流れるように、入力部1604および出力部1606を備えている。その熱移送用流体は、入力部1604において熱交換器ヘッド1600内に流入し、中央チューブ1608内を下向きに流れ、中央チューブ1608の外側にある環状通路である環状外側通路1610内を上向きに流れ、そして、出力部1606において熱交換器ヘッド1600から排出される。
ベローズ1612内においては、前記熱移送用流体が作動流体から分離しており、その分離は、熱が前記熱移送用流体から作動流体に伝達される際に通過する熱伝導壁であって側壁1614および底壁1616を有するものによって行われ、前記熱移送用流体は、中央チューブ1608および環状外側通路1610を通過して、作動流体まで流れ、前記熱伝導壁は、ベローズ1612と熱伝導壁(すなわち、側壁1614および底壁1616)との間の容積室内において封止されている。作動流体の膨張であって上述のようにして移動させられた熱から発生するものを原因として、ピストン・シャフト1602が熱交換器ヘッド1600から遠ざかる向きに移動する。そのピストン・シャフト1602は、直線運動するように案内された直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッド(図16には図示されていない)に連結されており、その直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッドは、カム(図16には図示されていない)を駆動してシャフト(ドライブシャフト)(図16には図示されていない)を回転させる。
ベローズ1612の一端部であって熱交換器ヘッド1600に近いものは、環状外側通路1610の外周面に対して封止(シール)されており、一方、ベローズ1612の一端部であってピストン・シャフト1602に近いものは、ピストン・シャフト1602に対して封止(シール)されている。そのピストン・シャフト1602は、前記直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッドに連結されていて、ピストン・サイクルのうちの膨張過程においては、熱交換器ヘッド1600から遠ざかる向きに直線運動し、また、前記ピストン・サイクルのうちの圧縮過程においては熱交換器ヘッド1600に近づく向きに直線運動する。
前記膨張過程は、作動流体の急速気化に由来し、その急速気化は、前記熱移動であって前記熱移送用流体からの、前記熱伝導壁を経由したものによって発生させられる。前述のように、その急速膨張により、ベローズ1612と前記熱伝導壁との間の容積室内の圧力が急速に上昇する。この圧力上昇により、ピストン・シャフト1402が熱交換器ヘッド1600から遠ざかる向きに押し出される。ベローズ1612は、この運動を、自身の軸方向伸張によって吸収する。
前記圧縮過程は、前記カムの回転に由来し、そのカムの回転を原因として、前記カム・クランク入力ロッドおよびピストン・シャフト1602が熱交換器ヘッド1600に近づく向きに移動させられる。この運動を原因として、ベローズ1612が圧縮させられて図16に示す位置に至り、それにより、ベローズ1612と前記熱伝導壁との間の容積室内の作動流体を圧縮し、これは、別の急速気化・膨張過程の準備段階である。
図17は、例示的な熱交換器1700を示す斜視図であり、その熱交換器1700は、伸張状態にあるベローズによって封止されたピストン・シャフト1702と組み合わされる。熱交換器エレメント1700は、熱移動を行うための熱移送用流体(例えば、スチーム、熱水)が熱交換器ヘッド1700を通過して流れるように、入力部1704および出力部1706を備えている。その熱移送用流体は、入力部1704において熱交換器ヘッド1700内に流入し、中央チューブ1708内を下向きに流れ、中央チューブ1708の外側にある環状通路である環状外側通路1710内を上向きに流れ、そして、出力部1706において熱交換器ヘッド1700から排出される。
ベローズ1712内においては、前記熱移送用流体が作動流体から分離しており、その分離は、熱が前記熱移送用流体から作動流体に伝達される際に通過する熱伝導壁であって側壁1714および底壁1717を有するものによって行われ、前記熱移送用流体は、中央チューブ1708および環状外側通路1710を通過して、作動流体まで流れ、前記熱伝導壁は、ベローズ1712と熱伝導壁(すなわち、側壁1714および底壁1717)との間の容積室内において封止されている。作動流体の膨張であって上述のようにして移動させられた熱から発生するものを原因として、ピストン・シャフト1702が熱交換器ヘッド1700から遠ざかる向きに移動する。そのピストン・シャフト1702は、直線運動するように案内された直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッド(図17には図示されていない)に連結されており、その直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッドは、カム(図17には図示されていない)を駆動してシャフト(ドライブシャフト)(図17には図示されていない)を回転させる。
ベローズ1712の一端部であって熱交換器ヘッド1700に近いものは、環状外側通路1710の外周面に対して封止(シール)されており、一方、ベローズ1712の一端部であってピストン・シャフト1702に近いものは、ピストン・シャフト1702に対して封止(シール)されている。そのピストン・シャフト1702は、直線ガイド付きカム・クランク型入力ロッド(図17には図示されていない)に連結されていて、ピストン・サイクルのうちの膨張過程においては、熱交換器ヘッド1700から遠ざかる向きに直線運動し、また、前記ピストン・サイクルのうちの圧縮過程においては熱交換器ヘッド1700に近づく向きに直線運動する。
前記膨張過程は、作動流体の急速気化に由来し、その急速気化は、前記熱移動であって前記熱移送用流体からの、前記熱伝導壁を経由したものによって発生させられる。前述のように、その急速膨張により、ベローズ1712と前記熱伝導壁との間の容積室内の圧力が急速に上昇する。この圧力上昇により、ピストンを下向きに押し出すための力が加えられるか、または、それに代えて、ベローズ1712が、軸方向に伸張するとともに、ピストン・シャフト1702が熱交換器ヘッド1700から遠ざかる向きに押し出される。
前記圧縮過程は、前記カムの回転に由来し、そのカムの回転を原因として、前記カム・クランク入力ロッドおよびピストン・シャフト1702が熱交換器ヘッド1700に近づく向きに移動させられる。この運動を原因として、ベローズ1712が圧縮させられて図17に示す位置に至り、それにより、ベローズ1712と前記熱伝導壁との間の容積室内の作動流体を圧縮し、これは、別の急速気化・膨張過程の準備段階である。
図18は、例示的なHEEC機関において使用することが可能である運動機構を示しているが、他の運動機構を採用してもよいことを理解すべきである。この例示的な運動機構は、圧縮行程より高速である膨張行程を生成するように構成されているが、当該システムの要求事項に応じて異なる特性を持たせることが可能である。従来のピストン機関であって、ドライフシャフト・ピンとピストン・ピンとの双方において回転自在な状態であることを除いて位置が固定されているものとは異なり、別の運動機構が、ドライブシャフト・ピンおよび/またはピストン・ピンが予め定められたパターン(経路)でスライドし、それにより、ピストン運動を、ほぼ正弦波状である運動から外れたものにすることが可能である。図18は、スコッチ・ヨーク・アセンブリ1800であってピストン1802を有するものを示している。さらに、そのスコッチ・ヨーク・アセンブリ1800は、運動機構1804を有し、その運動機構1804は、スロット(長穴)1806により、ピストン1802に連結されており、そのスロット1806は、ピン1808に係合している。そのピン1808は、回転部1810を介してドライブシャフト1812に連結されている。その運動機構1804の幾何学的性質(geometry)は、ピストン1802の直線運動をドライブシャフト1810の回転運動に変換するように構成することが可能である。具体的には、この運動機構1804の幾何学的性質は、ピストン1802が上側ドエル時間を有するように構成することが可能であり、その上側ドエル時間は、ピストン・シリンダ内の作動流体が高圧気体に変化することを可能にする。さらに、この運動機構1804の形状は、さらに、ピストン1802が下死点(BDC)位置に接近するにつれてピストン1802がピストン・シリンダ内の気体の急速膨張を発生させるようにすることも可能である。さらにまた、この運動機構1804の形状は、さらに、ピストン1802が下側ドエル時間を有するようにすることも可能であり、その下側ドエル時間は、ピストン・シリンダ内の作動流体が下死点(BDC)位置に接近するにつれてピストン1802がピストン・シリンダ内の気体の準安定熱力学的状態が崩壊して平衡状態に復元し、それにより、その気体が凝縮して液滴状の作動流体となって、ピストン・シリンダ内の圧力が低下するほどに十分に長い長さを有する。図18に示すように、ピストン1802は、上死点位置に近い。
図19は、例示的なHEEC機関において使用することが可能である別の運動機構を示している。その例示的なHEEC機関は、圧縮行程より高速な膨張行程を生成するように構成されているが、当該システムの要求事項に応じて異なる特性を持たせることが可能である。具体的には、図19は、スコッチ・ヨーク・アセンブリ1900であってピストン1902を有するものの機能を示している。さらに、そのスコッチ・ヨーク・アセンブリ1900は、運動機構1904を有し、その運動機構1904は、スロット(長穴)1906により、ピストン1902に連結されており、そのスロット1906は、ピン1908に係合している。そのピン1908は、回転部1910を介してドライブシャフト1912に連結されている。その運動機構1904の幾何学的性質(geometry)は、ピストン1902の直線運動をドライブシャフト1910の回転運動に変換するように構成することが可能である。具体的には、この運動機構1904の幾何学的性質は、ピストン1902が上側ドエル時間を有するように構成することが可能であり、その上側ドエル時間は、ピストン・シリンダ内の作動流体が高圧気体に変化することを可能にする。さらに、この運動機構1904の形状は、さらに、ピストン1902が下死点(BDC)位置に接近するにつれてピストン1902がピストン・シリンダ内の気体の急速膨張を発生させるようにすることも可能である。さらにまた、この運動機構1904の形状は、さらに、ピストン1902が下側ドエル時間を有するようにすることも可能であり、その下側ドエル時間は、ピストン・シリンダ内の作動流体が下死点(BDC)位置に接近するにつれてピストン1902がピストン・シリンダ内の気体の準安定熱力学的状態が崩壊して平衡状態に復元し、それにより、その気体が凝縮して液滴状の作動流体となって、ピストン・シリンダ内の圧力が低下するほどに十分に長い長さを有する。図19に示すように、ピストン1902は、下死点位置に近い。
上述の説明においては、説明の便宜上、多くの具体的な細部が本発明の完全な理解のために記載される。しかし、当業者にとって明らかであることは、本発明は、それら具体的な細部を伴うことなく実施してもよいということである。例えば、種々の特徴が具体的ないくつかの実施形態に帰属するが、理解すべきことは、一実施形態に関して説明された特徴を、同様にして他の実施形態に組み込んでもよいということである。しかし、同じ理由で、記載されているいずれの実施形態についても、その実施形態の1つの特徴でも複数の特徴でも、本発明にとって不可欠のものであると考えるべきではなく、なぜなら、本発明の他のいくつかの実施形態はそのような特徴を省略する可能性があるからである。
以上説明した仕様、いくつかの例およびデータにより、本発明のいくつかの例示的な実施形態につき、構成および用途が完全に説明される。本発明の多くの実施形態を、本発明の主旨および範囲を逸脱することなく、実現可能であるため、本発明は、後続する特許請求の範囲の欄に記載される。さらに、記載された特許請求の範囲から逸脱することなく、それら互いに異なる複数の実施形態の構造的特徴を組み合せてさらに別の実施形態とすることが可能である。

Claims (24)

  1. エネルギー変換システムであって、
    作動流体を収容する封止シリンダを有するピストン・アセンブリと、
    運動機構であって、前記ピストン・アセンブリに装着されるとともに、前記封止シリンダ内において膨張する前記作動流体が、動力サイクルのうちの膨張期間のうちの少なくとも実質的な部分の間、前記作動流体の容積全体にわたり、熱力学的平衡状態が達成されることが阻止されるように、ピストンによる急速な膨張である急速ピストン膨張を行うように構成されたものと
    を含むエネルギー変換システム。
  2. 前記運動機構は、さらに、圧縮行程を生成し、それにより、前記ピストン内の前記作動流体が前記圧縮行程の全体にわたって熱力学的平衡状態を達成するように構成されている請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  3. 前記運動機構は、さらに、前記ピストン・アセンブリがそれの下死点(BDC)においてドエル時間を有し、それにより、前記作動流体が凝縮させられる時間を増加させるように構成されている請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  4. 前記運動機構は、さらに、前記ピストン・アセンブリがそれの上死点(TDC)においてドエル時間を有し、それにより、前記作動流体が加熱される時間を増加させるように構成されている請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  5. 前記作動流体は、前記急速ピストン膨張の行程において前記作動流体が冷却される際に横切られる気液相境界線を有するように選択される請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  6. 前記作動流体は、(1)冷媒と、(2)溶融塩と、(3)溶融金属とのうちの少なくとも一つである請求項3に記載のエネルギー変換システム。
  7. 前記運動機構は、カム・ローブを用いるカム・ローブ機構を含む請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  8. 前記運動機構は、スコッチ・ヨーク機構を含む請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  9. 前記運動機構は、電磁システムを含み、その電磁システムは、圧縮行程を生成し、それにより、前記ピストン内の前記作動流体が、前記圧縮行程の全体にわたって熱力学的平衡状態を達成するように構成されている請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  10. 前記封止チャンバは、マイクロ流体型熱交換器に、そのマイクロ流体型熱交換器との間で熱対流を行うことが可能な状態で装着されている請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  11. 前記マイクロ流体型熱交換器は、熱を外部ソースから前記作動流体に伝えるように構成されている請求項10に記載のエネルギー変換システム。
  12. 前記カム・ローブは、(1)発電機と、(2)モータとのうちの少なくとも一つを駆動する出力ドライブシャフトに装着されている請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  13. 前記封止シリンダは、気密に封止されている請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  14. 前記ピストン・アセンブリは、前記シリンダ内のピストンを含み、そのピストン・アセンブリは、さらに、
    戻りチューブであって、前記シリンダ内の前記ピストンの低圧側に装着された第1端部と、前記シリンダ内の前記ピストンの高圧側に装着された第2端部とを有するものと、
    その戻りチューブに装着された逆止弁であって、前記作動流体が前記戻りチューブを通過して前記シリンダの底部に向かう流れを阻止するように構成されているものと
    を含む請求項1に記載のエネルギー変換システム。
  15. ピストン・アセンブリであって、
    気密に封止されているシリンダと、
    前記ピストン・アセンブリを前記シリンダに対して封止する1または2以上のOリングを有するピストン・シール・インタフェースと、
    前記シリンダ内に位置する内側磁石と、
    前記シリンダ外に位置する外側磁石と、
    前記1または2以上のOリングと前記内側磁石との間に配置された熱インシュレータと、
    戻りチューブであって、前記シリンダの底部近傍に装着された第1端部と、前記シリンダの中間部近傍に装着された第2端部とを有するものと、
    前記内側磁石の底部に装着されたプランジャであって、流体を前記シリンダの底部から前記戻りチューブ内に押し込むように構成されているものと
    を含むピストン・アセンブリ。
  16. さらに、前記戻りチューブに装着された逆止弁であって、流体が前記チューブを通過して前記シリンダの底部に向かう流れを阻止するように構成されているものを含む請求項15に記載のピストン・アセンブリ。
  17. 前記外側磁石は、1または2以上の連接ロッドに装着されている請求項15に記載のピストン・アセンブリ。
  18. エネルギーを第1形態から第2形態に変換する方法であって、
    前記第1形態にあるエネルギーのソースを上死点(TDC)に位置するピストンに作用させる工程であって、前記ピストンは、作動流体で充填された封止シリンダ内に位置するものと、
    前記作動流体を高圧の気体に変化させるために、前記ピストンが前記上死点の位置において上死点側ドエル時間の間休止することを可能にする工程と、
    前記ピストンを下死点(TDC)に向かって運動させることにより、前記気体の容積を膨張させ、それにより、前記気体にとって不安定な熱力学的状態を生成する工程と、
    前記気体が凝縮して液滴状の作動流体となるとともに、前記シリンダの圧力が低下するように、前記準安定熱力学的状態を崩壊させて平衡状態に復元させるために、前記ピストンが前記下死点の位置において下死点側ドエル時間の間休止することを可能にする工程と、
    前記液滴状の作動流体を捕集して前記シリンダのヘッド内に戻すために、前記ピストンを等エントロピー圧縮プロファイルに従って運動させる工程と
    を含む方法。
  19. 前記作動流体は、冷媒である請求項18に記載の方法。
  20. 前記作動流体は、溶融塩である請求項18に記載の方法。
  21. 前記作動流体は、溶融金属である請求項18に記載の方法。
  22. エネルギー変換システムであって、
    作動流体の容積膨張によって動力を発生させるエネルギー変換機構と、
    運動機構であって、前記エネルギー変換機構に装着されるとともに、前記作動流体の急速な容積膨張を行うように構成されており、前記作動流体は、熱力学的動力サイクルのうちの膨張期間のうちの少なくとも実質的な部分の間、準安定状態にあるものと
    を含むエネルギー変換システム。
  23. 前記運動機構は、さらに、圧縮行程を生成し、それにより、前記エネルギー変換機構内の前記作動流体が前記圧縮行程の全体にわたって熱力学的平衡状態を達成するように構成されている請求項22に記載のエネルギー変換システム。
  24. 前記作動流体の容積のうちの実質的な全部は、前記準安定状態において非平衡状態にある請求項22に記載のエネルギー変換システム。
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