JP2013532750A - 多糖類誘導体を乾式粉砕するための方法 - Google Patents
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Abstract
Description
A) 湿潤多糖類を準備する工程と、
B) 多糖類誘導体の温度を制御する工程と、
C) 制御された温度の多糖類誘導体を乾式粉砕する工程と、
D) i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)乾式粉砕後の多糖類誘導体粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質との間の、相関関係を決定する工程と、
E) 乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を、乾式粉砕後の粒子の、所望する直径の中央値、長さの中央値、かさ密度又は溶解速度に適合させる工程と、
を含む方法である。
驚くべきことに、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度が高いほど、乾式粉砕後の多糖類誘導体粒子は、一般的に、直径の中央値は小さくなり、長さの中央値は小さくなり、かさ密度は高くなり、溶解速度は短くなること、そして逆もまた同様であることが見いだされた。この発見は、特定の用途に最適な粒子直径の中央値、最適な長さの中央値、最適なかさ密度、及び最適な溶解速度を有する多糖類誘導体の生成を可能とするだけでなく、乾式粉砕工程に必要なエネルギーを最適化するものでもある。多糖類誘導体は、典型的には、その生成後に加熱水により洗浄して精製される。洗浄後、多糖類誘導体は典型的には冷却される。もし、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度が、特定の粒子直径に望ましい値に最適化されれば、乾式粉砕に必要なエネルギーを最少化することができる。本発明は、所望の粒子直径の中央値、所望の長さの中央値、所望のかさ密度、及び所望の溶解速度を有する多糖類誘導体を得るための、乾式粉砕前の最適の温度を決定することを可能とするものである。
a) 乾式粉砕前の温度が異なる湿潤多糖類誘導体の、少なくとも2つの試料、好適には少なくとも3つの試料、より好適には少なくとも4つの試料、もっとも好適にはすくなくとも8つの試料を乾式粉砕し、各試料の乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質を測定する工程、
b) i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質との間の、相関関係を決定する工程、及び
c) 乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を、乾式粉砕後の粒子の、所望する直径の中央値、長さの中央値、かさ密度又は溶解速度に適合させる工程。
すべての粒子サイズ分布、例えばDOPは、個数(0)、長さ(1)、面積(2)又は体積(3)分布として表示し使用できる。DOPの体積分布は累積分布Q3として計算される。体積分布であることは、粒子の直径の値DOP50,3におけるカンマの後の数字3で表記される。表記50は、中央値を反映するものであるが、粒子の直径の分布の50%が与えられたμm値よりも小さく、50%が大きいことを表す。50%DOP値は画像解析ソフトウェアにより計算される。高速画像解析システムは、動的画像解析(DIA)システムQICPIC(登録商標)として、Sympatec社、Clausthal Zellerfeld、ドイツ、から商業的に入手可能である。このシステムは粒子の形状を解析し、粒子の潜在的なカールの傾向(curliness)を考慮に入れる。これにより他の方法よりもより正確な真の粒子サイズの測定が行われる。この動的画像処理(DIA)システムQICPIC(登録商標)については、Witt,W.,Kohler,D.,List,J.:「極めて高速の粒子の直接画像化が、大きさ及び形状のキャラクタライゼーションのために、強力な(乾式)分散を使用する道を開く(Direct Imaging of very fast Particles Opens the Application of Powerful (dry) Dispersion for Size and Shape Characterization)」、PARTEC 2004、ニュルンベルグ、ドイツ、においてより詳細に記述されている。
すべての粒子サイズ分布、例えばEQPCは、個数(0)、長さ(1)、面積(2)又は体積(3)分布として表示し使用できる。EQPCの体積分布は累積分布Q3として計算される。体積分布であることは、投影面積等価円の直径の中央値EQPC50,3におけるカンマの後の数字3で表記される。表記50は、中央値を反映するものであるが、粒子のEQPCの分布の50%が与えられたμm値よりも小さく、50%が大きいことを表す。50%EQPC値は画像解析ソフトウェアにより計算される。
すべての粒子サイズ分布、例えばLOPは、個数(0)、長さ(1)、面積(2)又は体積(3)分布として表示し使用できる。好適には、LOPの体積分布は累積分布Q3として計算される。体積分布であることは、粒子長の値LOP50,3におけるカンマの後の数字3で表記される。表記50は、中央値を反映するものであるが、粒子長分布の50%が与えられたμm値よりも小さく、50%が大きいことを表す。50%LOP値は画像解析ソフトウェアのより計算される。高速画像解析システムは、既述のように、動的画像解析(DIA)システムQICPIC(登録商標)として、Sympatec社、Clausthal Zellerfeld、ドイツ、から商業的に入手可能である。
加熱及び冷却ジャケットを備えた市販の連続式配合機が使用されて、乾燥したMETHOCEL(登録商標)K100Mセルロースエーテル(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから商業的に入手可能)に水が添加された。配合機のジャケットには−10〜70℃の流体が供給された。
DOP50,3=+49.519−0.1617×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.9311であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともにDOP50,3が減少する関係を示す。
LOP50,3=+346.07−2.0125×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.9236であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともにLOP50,3が減少する関係を示す。 EQPC50,3は、温度に対して、次式
EQPC50,3=+139.31−1.0222×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.9699であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともにEQPC50,3が減少する関係を示す。
非タップかさ密度=+149.71+2.0904×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.8433であり、正の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともに非タップかさ密度が増加する関係を示す。
タップかさ密度=+229.85+3.293×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.889であり、正の傾きとなる相関関係を示す。
粘度増加50%の時間=+89.686−0.5693×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.944であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともに粘度増加50%の時間が減少する関係を示す。
粘度増加80%の時間=+164.32−0.9471×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.944であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともに粘度増加80%の時間が減少する関係を示す。
衝撃式粉砕機のローターを周速度58m/sで動作させたこと以外は、例1−8の手順を繰り返した。
結果を表2に記載する。
DOP50,3=+84.486−0.3165×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.7569であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともにDOP50,3が減少する関係を示す。
LOP50,3=+1538.4−15.029×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.972であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともにLOP50,3が減少する関係を示す。
に従う相関関係であって、R2が0.9326であり、負の傾き、すなわち、温度の上昇とともにEQPCが減少する。
非タップかさ密度=+148.56+1.5862×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.9235であり、正の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともに非タップかさ密度が増加する関係を示す。
タップかさ密度=+191.1+2.4011×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.92であり、正の傾きとなる相関関係を示す。
粘度増加50%の時間=+795.91−7.9809×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.872であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともに粘度増加50%の時間が減少する関係を示す。
粘度増加80%の時間=+1316.5−12.691×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.8779であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともに粘度増加80%の時間が減少する関係を示す。
粘度増加80%の時間=+1316.5−12.691×[℃ 温度]
に従う相関関係であって、R2が0.8779であり、負の傾きとなる相関関係、すなわち、温度の上昇とともに粘度増加80%の時間が減少する関係を示す。
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態について列挙する。
[実施形態1]
湿潤多糖類誘導体を乾式粉砕することによって粒子状多糖類誘導体を製造する方法であって、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を制御することによって、乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質が制御される、粒子状多糖類誘導体を製造する方法。
[実施形態2]
乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1又は複数の性質が、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を制御し及び調節することによって、制御され及び調節される、前記実施形態1記載の方法。
[実施形態3]
乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質が、乾式粉砕前の多糖類誘導体の第1の温度によって、第1の値に調節され、第2の温度によって第2の値に調節される、前記実施形態1記載の方法。
[実施形態4]
前記実施形態1〜3のいずれか1項記載の方法であって、
a) 乾式粉砕前の温度が異なる湿潤多糖類誘導体の、少なくとも2つの試料を乾式粉砕し、各試料の乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質を測定する工程と、
b) i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質との間の、相関関係を決定する工程と、
c) 乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を、乾式粉砕後の粒子の、所望する直径の中央値、長さの中央値、かさ密度又は溶解速度に適合させる工程と、
を含む方法。
[実施形態5]
多糖類誘導体粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質を制御又は調節する方法であって、
A) 湿潤多糖類を準備する工程と、
B) 多糖類誘導体の温度を制御する工程と、
C) 制御された温度の多糖類誘導体を乾式粉砕する工程と、
D) i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)乾式粉砕後の多糖類誘導体粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質との間の、相関関係を決定する工程と、
E) 乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を、乾式粉砕後の粒子の、所望する直径の中央値、長さの中央値、かさ密度又は溶解速度に適合させる工程と、
を含む方法。
[実施形態6]
i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)直径の中央値又は長さの中央値との間の、決定された相関関係が、連続式乾式粉砕工程における工程内管理として用いられ、この場合において直径の中央値又は長さの中央値は、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を設定し任意に適合させるために、決定され使用される、前記実施形態5記載の方法。
[実施形態7]
工程内管理がオンラインで行われる、前記実施形態6記載の方法。
[実施形態8]
多糖類誘導体の懸濁液から多糖類誘導体を分離することによって多糖類誘導体を得て、続いて乾式粉砕機内で乾式粉砕を行う、前記実施形態1〜7のいずれか1項記載の方法。
[実施形態9]
乾燥多糖類誘導体と液体とを配合機内で混合し、これにより得られた湿潤多糖類誘導体を、続いて乾式粉砕機中で乾式粉砕する、前記実施形態1〜7のいずれか1項記載の方法。
[実施形態10]
乾式粉砕前の多糖類誘導体粒子の温度が5〜80℃の範囲に制御される、前記実施形態1〜9のいずれか1項記載の方法。
[実施形態11]
セルロース誘導体がセルロースエーテルである、前記実施形態1〜10のいずれか1項記載の方法。
[実施形態12]
粒子の長さ又は直径の中央値、又はその両者が、高速画像解析によって決定される、前記実施形態1〜11のいずれか1項記載の方法。
[実施形態13]
乾式粉砕工程がエアー・スエプト型衝撃式粉砕機内で行われる、前記実施形態1〜12のいずれか1項記載の方法。
Claims (13)
- 湿潤多糖類誘導体を乾式粉砕することによって粒子状多糖類誘導体を製造する方法であって、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を制御することによって、乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質が制御される、粒子状多糖類誘導体を製造する方法。
- 乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1又は複数の性質が、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を制御し及び調節することによって、制御され及び調節される、請求項1記載の方法。
- 乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質が、乾式粉砕前の多糖類誘導体の第1の温度によって、第1の値に調節され、第2の温度によって第2の値に調節される、請求項1記載の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の方法であって、
a) 乾式粉砕前の温度が異なる湿潤多糖類誘導体の、少なくとも2つの試料を乾式粉砕し、各試料の乾式粉砕後の粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質を測定する工程と、
b) i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質との間の、相関関係を決定する工程と、
c) 乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を、乾式粉砕後の粒子の、所望する直径の中央値、長さの中央値、かさ密度又は溶解速度に適合させる工程と、
を含む方法。 - 多糖類誘導体粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質を制御又は調節する方法であって、
A) 湿潤多糖類を準備する工程と、
B) 多糖類誘導体の温度を制御する工程と、
C) 制御された温度の多糖類誘導体を乾式粉砕する工程と、
D) i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)乾式粉砕後の多糖類誘導体粒子の、直径の中央値、長さの中央値、かさ密度及び溶解速度から選択される1つ又は複数の性質との間の、相関関係を決定する工程と、
E) 乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を、乾式粉砕後の粒子の、所望する直径の中央値、長さの中央値、かさ密度又は溶解速度に適合させる工程と、
を含む方法。 - i)乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度と、ii)直径の中央値又は長さの中央値との間の、決定された相関関係が、連続式乾式粉砕工程における工程内管理として用いられ、この場合において直径の中央値又は長さの中央値は、乾式粉砕前の多糖類誘導体の温度を設定し任意に適合させるために、決定され使用される、請求項5記載の方法。
- 工程内管理がオンラインで行われる、請求項6記載の方法。
- 多糖類誘導体の懸濁液から多糖類誘導体を分離することによって多糖類誘導体を得て、続いて乾式粉砕機内で乾式粉砕を行う、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
- 乾燥多糖類誘導体と液体とを配合機内で混合し、これにより得られた湿潤多糖類誘導体を、続いて乾式粉砕機中で乾式粉砕する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
- 乾式粉砕前の多糖類誘導体粒子の温度が5〜80℃の範囲に制御される、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
- セルロース誘導体がセルロースエーテルである、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
- 粒子の長さ又は直径の中央値、又はその両者が、高速画像解析によって決定される、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
- 乾式粉砕工程がエアー・スエプト型衝撃式粉砕機内で行われる、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
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