光フィルタの用途は多岐にわたる。たとえば、これらのデバイスは、生物医学的臨床化学アナライザ、色選別計測、原子吸光分析をはじめとする種々の計測用途によく利用される。一般に、この種の用途のための器具の中で、光フィルタは光検出器の付近に設けられ、光検出器に入射する光信号のスペクトル域、すなわち帯域幅を狭めるために使用される。光検出器の例としては、光起電力型センサ、光伝導型センサ、光電子増倍管等がある。場合により、複数の光フィルタを使って、広スペクトル光信号を個別の狭波長域光信号に逐次的に分割することもある。
図1は、複数の光フィルタ5を支持するように構成された光フィルタホイール3を含む光システム1を示す。光フィルタ5の例としては、バンドパスフィルタがあり、ここで、フィルタホイール3により支持される個々のフィルタ5は各々、光の所定の波長域、すなわち帯域を透過させるように構成してもよい。光フィルタホイールの実施形態3は、その軸7の周囲で回転し、それによって、ホイールに取り付けられた各光フィルタを選択的に位置付けることができるように構成される。ホイールは、所望の光フィルタを、その光フィルタが狭スペクトル域の光を光検出器9へと透過させるように構成された位置につかせるために、選択的に位置付けることができる。その結果、広スペクトル域の光信号11を、光フィルタ5の各々に対応する複数の狭スペクトル信号13に逐次的に再構成することができる。このような光フィルタホイールに基づくスペクトル分析器の構成は有益であることが分かっているが、いくつかの欠点も確認されている。たとえば、図1に示すようなホイールに基づくシステムを使用する測定工程は、フィルタホイール3を機械的に回転させる必要があるため、多大な労力を要し、時間がかかる傾向がある。これに加えて、このようなフィルタホイールに基づくシステムは、物理的に大型の機械となり、電気機械的に複雑で、寿命が限られ、購入費及び維持費が高くなる傾向がある。
他にもさまざまな光多重分離のための構成が開発されている。図2に示すように、ある多重分離システム19では、入射光21が平坦なダイクロイックビームスプリッタ23Aに向けられ、そこでこの光は2つのスペクトル信号に分割される。反射されたスペクトル信号は、光フィルタ25を通して、最終的に検出器27へと向けられる。伝送されたスペクトル信号は、ダイクロイックビームスプリッタ23Aを通って次のダイクロイックビームスプリッタ23Bへと伝送され、ここでも同様に、入射光のスペクトル分割が行われ、信号の一部が検出器に向けられて、その一方で入射光の一部が後続のダイクロイックビームスプリッタへと透過される。各種のダイクロイックビームスプリッタ23は、入射信号の個別のスペクトル部を反射するように構成してもよい。ダイクロイックビームスプリッタ23/バンドパスフィルタ25の各々を、「チャネル」と呼ぶことができる。各チャネルは、専用の光センサまたはフォトセンサ27を有していてもよく、これはフォトダイオード、光電子増倍管(PMT)等を含んでいてもよく、これがダイクロイックビームスプリッタ23とバンドパスフィルタ25によって決定される個別の波長またはスペクトル帯域を有する入射光の分析に使用される。
図の実施形態の場合、ユニット全体を筐体29の中に格納してもよい。この例では、デバイスは6つの波長チャネルを含んでいるが、チャネルの数は、器具の具体的な用途に応じたものとしてよい。このようなシステムには前述のフィルタホイールシステムに対していくつかの利点があるが、いくつかの欠点も確認されている。たとえば、ダイクロイックビームスプリッタ23/バンドパスフィルタ25の隣接するチャネル間の光学的クロストークが問題となりうる。この現象は、デバイスの精度を大きく下げ、また、測定誤差を発生させることがある。このような有害な影響を減少させるまたは最小限にするために、かかる実施形態のチャネルはしばしば、相互に物理的に離間される。残念ながら、こうした物理的離間は、この種の実施形態でよく使用される専用の光センサが大きい(一般的な0.5インチの直径のシリコンフォトダイオードが使用されることが多い)ことと併せて、デバイスが大型で(一般に、長さ6インチ〜18インチ)、重く、コスト高となる原因である。これに加えて、これらのデバイスが長いことで、入射光の発散/収束により、各センサ27上の光結像の精度が低下することがある。このデバイスのわずかな振動もまた、このような結像精度に影響を与え得る。その結果、性能が落ち、たとえば、場合により、不安定な信号ドリフト、過剰なノイズおよびクロストークが発生する。
光フィルタ−フィルタに基づくシステムと比較して、光フィルタに代わって光学格子を使用するさまざまな多重分離構成が開発されている。このようなシステムは、回折格子から個別のフォトダイオード、または代わりに、小型リニアダイオードアレイのいずれかに反射される光を利用する。光学格子に基づくシステムには、フィルタに基づくシステムに対するいくつかの利点があるものの、いくつかの欠点も確認されている。たとえば、回折格子に基づく構成の主な欠点はコストである。高額な高品質の回折格子であればほとんどの用途においてうまく機能するが、なるべく低コスト化、単純化することが求められる用途では、より廉価な回折格子が用いられ、品質が限られる傾向がある。このような場合は、回折格子間の反復可能性が低いことも、また信号対ノイズ比と光学密度(OD)も理想より低いこともあり得る。たとえば、単一格子多重分離システムの中には、約2.5 ODに限定されるものもあり得る。他の欠点には、光学的アラインメントの影響を受けやすいこと、機械的に複雑であること、および動作温度の影響を受けやすいこと等がある。
波長範囲330nm〜1200nmの光検出に関して、バンドパスフィルタは一般に、費用対効果の高い積層構造で製造され、これは吸収性色ガラスまたはダイおよび、表面に各種の多層光干渉コーティングが施された透明ガラスからなる。このタイプの標準的な10mm径光ファイバは、光性能が高く(一般に、透過率は>70%)、単価は約$15である。しかしながら、生物医学や測定/制御の用途の中には、より短い紫外線(U.V.)波長帯域での、たとえば波長が約230nm〜約320nmの光帯域での光検出が望ましいものもありうる。このU.V.光波長範囲では、上記のような標準的な廉価版の積層型光フィルタは、積層されるエポキシによる光吸収と、この波長範囲内の色ガラスおよびダイの欠如から、不適当となり得る。むしろ、紫外線スペクトル用のこの種のフィルタは一般に、エアギャップを含む金属−誘電体−金属(MDM)型の設計により製造される。このようなMDMフィルタは通常、光吸収性のあるエポキシが使用されないため、紫外線が当てられた時に、エポキシを用いる設計と比較して、寿命と性能が改善される。
図3は、紫外線用MDM型の光バンドパスフィルタの実施形態の断面図を示す。図のように、MDM型デバイス33は、溶融石英基板37を支持する筐体35を含む。通常、氷晶石とアルミニウムの交互の層を含む光学コーティング39を基板37に塗布してもよく、これが光フィルタの通過帯域を規定する役割を果たしてもよい(たとえば、その中心波長が約200nm〜約320nmの紫外線波長領域内にあり、その半値幅が公称8nm〜約12nm)。コーティング39はまた、少なくとも約1200nmまでの帯域外光のすべてを、一般的に4 ODのレベルで拒絶する役割も果たしてよい。気密封止材41を使って環境の影響を受けやすいコーティング39を保護してもよいが、これはコーティング39が通常、水溶性であるからである。使用中、気密封止材41が破損すると、一般に、光フィルタ39が急速に劣化し、最終的にMDMフィルタデバイス33が現場で故障する。この種のフィルタの欠点の中には、これらが大きく(通常、直径0.5インチ以上)、厚く(公称約5mm)なりがちである点や、コスト高(場合により、単価約$200)となる点がある。
図4は、一般的な光フィルタ/検出器の実施形態の、上記のような約200nm〜約320nmのU.V.光波長域における光フィルタ/検出器の正味の感度をアンペア毎ワット(A/W)で表すグラフである。説明のために、図4は、標準的なシリコン(Si)フォトダイオード光検出器と組み合わせたときの、270nmのMDMフィルタの性能を示す。この波長域では、一般的なU.V.エンハンストシリコンフォトダイオードの感度は約0.08A/Wであってもよい。図4に示すように、この光フィルタ/検出器の組み合わせの実施形態の正味の感度は約0.01A/Wである。
図5〜12は、性能向上型の小型光多重分離(以下、「MINI DEMUX」と呼ぶ)デバイスのある実施形態を示している。図のように、MINI DEMUXデバイス60は、光検出器の少なくとも1つのアレイを含み、これは複数の検出素子を有する線形光検出器アレイの形態であってもよい。このような線形アレイは小型フォトダイオードアレイ62を含んでいてもよく、そのアレイの各検出素子またはダイオードは、連続的な線形の構成に沿って配置されてもよい。場合により、このような連続的な線形アレイ構成62では、その各光検出素子がアレイ62の隣接する光検出素子と接触しているか、略接触していてもよい。フォトダイオードアレイ62は、そこに取り付けられた少なくとも1つの多重分離(以下、「DEMUX」という)アセンブリを有していてもよい。場合により、フォトダイオードアレイ62は、図7に示すように、長さLのHamamatsuS−4111−35Qデバイスを含んでいてもよい。場合により、線形アレイの長さLは、約3インチ未満、より具体的には約2インチ未満であってもよい。浜松ホトニクス(Hamamatsu)のデバイス、モデルS−4111−35Qおよび同様のモデルは、日本国430−8587静岡県浜松市中区砂山町325−6の浜松ホトニクス株式会社が製造する。任意選択的に、さまざまな長さ、幅またはその他の横断寸法の、さまざまな適当なフォトダイオードデバイスまたはその他の光検出デバイスのうちのいずれを使用してもよい。
アレイ62または後述の任意の他のアレイの連続的または直列的に隣接する光検出素子の数は、任意の適当な数の検出素子72を有していてもよい。たとえば、いくつかの実施形態によるアレイ62は、約10個の検出素子72から約100個の検出素子72またはそれを上回る数、より具体的には、約20個の検出素子から約50個の検出素子、さらにより具体的には、約30個の検出素子から約40個の検出素子を有していてもよい。このような線形光検出器アレイ62の一例を図7Aに示す。適当な光検出器アレイ62はまた、検出素子が線形アレイとして構成されず、その代わりに二次元アレイ、たとえば電荷結合素子(CCD)チップの実施形態に見られるようなものとして構成されている実施形態を含んでいてもよい。図7Bと7Cは、CCD型のチップ検出器アレイ62’の実施形態を示しており、これは二次元マトリクスに配置された複数の検出素子72’を有する。CCDチップ62’のピン構成と電気接続は、線形アレイ62のそれと同じまたは同様であってもよい。光検出器アレイ62と62’のいくつかの実施形態において、光検出素子72または72’それぞれの大きさは小さくてもよく、たとえばこのような検出素子72または72’の入射面の横断寸法は、約1mm〜約4mmであってもよい。したがって、約8チャネルから約10チャネルを有するデバイス60に適したアレイ62では、1本の線形アレイに約35個のそのような検出素子72を配置してもよく、全長は約3インチ未満、より具体的には約2インチ未満となる。検出素子72または72’はさまざま波長について、光を検出し、入射光エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成してもよい。場合により、各光検出素子は、入射光エネルギーを電圧に変換するように構成してもよく、電圧はそこに入射する光の振幅または強度に比例し、さもなければこれに依存する。一般に、いくつか実施形態によるアレイ状光検出素子72または72’は、約230nm〜約4500nm、より具体的には約340nm〜約1200nmの波長および、場合により、それ以外の波長の光を検出し、変換するように構成してもよい。
場合により、図7に示すようなDEMUXアセンブリ64は、フォトダイオードアレイ62の表面に接着剤で接合してもよい。任意選択的に、さまざまな方式や装置を使って、DEMUXアセンブリ64をフォトダイオードアレイ62に取り付けてもよく、たとえば、これらに限定されないが、機械的連結、固定手段、筐体、はんだ、ろう付け、接着剤およびその他が含まれる。いくつかの実施形態において、DEMUXアセンブリ64をフォトダイオードアレイ62に取り外しできないように取り付けてもよい。任意選択的に、DEMUXアセンブリ64をフォトダイオードアレイ62に取り外し可能に取り付けてもよい。
図5に示すように、MINI DEMUXデバイス60は、場合により、プリント回路(PC)基板63に電気接続されているピンソケット65を通じて、PC基板63に電気接続してもよい。アレイ62は、アレイ62からソケット65のプラグの中へと延びる導体ピン68によってピンソケット65に連結してもよい。PC基板63は、小型フォトダイオードアレイ62と電気連通する各種の電気回路を含んでいてもよい。PC基板63の電子回路は信号増幅器67等を含んでいてもよく、これらはアレイ62の光検出素子72の出力電圧を増幅するように構成してもよい。PC基板63はまた、任意選択的に、プロセッサおよびまたは表示装置63Aと電気的または情報的に連通してもよい。プロセッサ63Aは、いくつかの実施形態において、コンピュータと表示モニタを含んでいてもよい。1つまたは複数の接続デバイス68をフォトダイオードアレイ62の上に形成し、またはそれと連通させてもよい。いくつかの実施形態において、接続デバイス68は、フォトダイオードアレイ62を、たとえばPC基板63等の基板やソケット65に電気的に連結できるようにするピンからなる。
再び図5を参照すると、DEMUXアセンブリ64は、少なくとも1つの光学的光信号65Aをその中に受けるように構成された、1つまたは複数の入射開口66を有する囲いを形成する筐体を含む。いつくかの実施形態において、筐体は、DEMUXアセンブリ64の構成要素を取り囲む囲いを形成し、これは、不要なノイズや、光信号とDEMUXアセンブリ64の構成要素との接触を防止または軽減できる。図5〜19に示し、本明細書で説明するデバイスの実施形態のいずれも、複数のこのような光学的または光信号65A、たとえば2、3、4、5またはそれ以上の光信号65Aを受信してよい。図6は、光信号65Aと連通するMINI DEMUXデバイス60の、考えられる1つの構成の概略図を示し、これによれば、光信号65Aは、光源67Aからの光66Aを材料サンプル68Aに通すことによって生成される。しかしながら、どのような適当な光信号も、光源に関係なく、デバイス60により分析できる。いくつかの実施形態において、光源67Aはキセノンまたはハロゲン型電球等、広スペクトルの光源を含んでいてもよい。光信号はまた、場合により、コリメートされ、または部分的にコリメートされてから、デバイス60の入射開口66に入射してもよい。光信号65Aは、図6Aに示すように、入射軸に沿って入射開口66に入る。
図6Aは、使用時のMINI DEMUXデバイス60の概略図を示す。図のように、MINI DEMUXデバイス60のフォトダイオードアレイ60は、複数の光検出素子72を含んでいてもよい。光検出素子72は、図6Aに示す実施形態の場合、線形に配置される。任意選択的に、光検出素子72は、さまざまな構成のいずれに配置してもよい。さらに、フォトダイオードアレイ60は、そこに配置された窓74を含んでいてもよい。したがって、光検出素子72は、窓74による気密封止材の内部に位置付けられてもよい。図のように、光信号65Aは、多重分離アセンブリの本体を線形に通って継続する入射軸74Aに沿ってデバイス60に入る。
図8〜10に示すようなバッフルアセンブリ76等のサブアセンブリは、少なくとも1つの光フィルタ78を、デバイス60の少なくとも1つの光検出素子72の付近に支持するように構成してもよい。いくつかの実施形態において、各光フィルタ78は、バンドパスフィルタ78として構成し、所望の用途のための必要性に応じて、所定の狭スペクトル帯域の光を通過させるようにしてもよい。たとえば、第一のバンドパスフィルタ78は、約340nmを中心とする波長帯域の光を透過させるように構成してもよく、第二の隣接する光フィルタ78は、中心波長が約380nmの光を通過させるように構成してもよい。したがって、一連の光バンドパスフィルタ78は、約340nm、380nm、405nm、510nm、546nm、578nm、620nm、630nm、670nm、700nmまたは800nmを中心とする波長の光を個々に透過させるように構成してもよい。場合により、光バンドパスフィルタ78は、デバイスの最短の波長帯域を入射開口66に最も近いチャネル(すなわち、フィルタ78’)に透過させるように構成し、光信号路に沿った後続の光バンドパスフィルタ78は、そこを通過する波長中心が徐々に大きくなるように構成してもよい。特に、フィルタ78’は約340nmを中心とする帯域の光を透過または通過させるように構成してもよく、次のチャネルは約380nmに中心を置くように、次のチャネルは405nmに、等としてもよい。各バンドパスフィルタ78に関する波長帯域を選択できることにより、対応する各バンドパスリフレクタ92の反射率を選択できることと併せて、多重分離アセンブリの各チャネルのスペクトル帯域を規定できる。特に、場合により、バンドパスリフレクタ92とバンドパスフィルタ78の両方によって、入射光線のスペクトル帯域幅を選択的に狭める(帯域をさまざまなレベルまたは量だけ狭める)ことが好ましいこともある。このような多重分離デバイスや後述する他の実施形態は、前述のようなチャネルの波長を有していてもよいが、具体的な用途に応じて、任意の所望の波長を中心とする、任意の所望のスペクトル帯域幅を通過させるように構成できる、任意の適当な数のチャネルを含んでいてもよい。
これに加えて、いくつかの実施形態において、バンドパスリフレクタ92で、光チャネルの最終的な帯域より広い波長域の所定の帯域の光を反射させることが望ましこともある。チャネルの最終的な帯域幅を、そのチャネルの、アレイ62の光検出器72に検出させたい所望の波長域での帯域幅の光を通過させる、対応するバンドパスフィルタ78によって精緻化または微調整してもよい。上記の340nm用チャネルの場合、バンドパスリフレクタ92は、約315nm〜約360nmという入射光信号の比較的広いサブバンドを反射し、その一方で、残りの帯域は、場合により、光学縦列における次のバンドパスリフレクタ92への透過を通じて、通過させてもよい。このような場合、315nm〜360nmの帯域はそのチャネルの最終的な所望の帯域を包含し、または含んでいるが、それより広いため、それほど精度の高くない光学系で実現できる。315nm〜360nmの帯域は次に、バンドパスリフレクタ92の射出軸に沿って配置されたチャネルの、これに対応するバンドパスフィルタ78に伝播される。バンドパスフィルタ78は次に、そのチャネルの帯域を分析のための所望の最終的なスペクトル帯域へとさらに狭め、すなわち、事前に選択された中心波長340nmの約335nm〜345nmとする。このような構成は、さまざまな理由で有益となり得る。特に、この構成は、関心対象の波長だけを特定のチャネルのバンドパスフィルタ78に向ける。このような構成によってもまた、より低精度のバンドパスリフレクタ92の使用が使用可能となるが、それはバンドパスフィルタ78が最終的な調整を行うからである。高精度の構成要素が望まれる多重分離アレイの実施形態では、バンドパスフィルタ78、たとえばモデルSSBF−340(またはこれと同様のもの)またはバンドパスリフレクタ92、たとえばモデルSSBF−DC−340(またはこれと同様のもの)も使用でき、これらはNewport Corporation,Corion Products,8 East Forge Parkway,Franklin,Massachusettsによって製造されている。
場合により、バンドパスリフレクタ92は、対応するバンドパスフィルタ78の波長の約2倍〜約4倍の帯域幅を通過させるように構成してもよい。これに加えて、バンドパスリフレクタ92の製造による帯域幅または性能の誤差は、いくつかの実施形態において、バンドパスフィルタ78のそれより大きくなり得る。たとえば、場合により、バンドパスリフレクタ92の帯域幅誤差はプラスマイナス約5nmであってもよく、その一方でバンドパスフィルタ78の誤差はプラスマイナス約2nmであってもよい。したがって、ある実施形態において、光チャネルのバンドパスリフレクタ92は約50nm未満の帯域幅の光を反射してもよく、その一方で、同じチャネルの対応するバンドパスフィルタ78は、光信号を約15n未満、より具体的には約12nm未満、さらにより具体的には約10nm未満の帯域幅へとさらに狭められてもよい。上述のこれらのパラメータはまた、380nm、405nm、510nm、546nm、578nm、620nm、630nm、670nm、700nmまたは800nm用チャネルの全部またはその他適当な任意の波長に適用できる。
いくつかの実施形態において、バンドパスフィルタ78をまったく使用せずに、非常に高精度のバンドパスリフレクタ92を使って、多重分離アセンブリの光チャネルを形成してもよい。このような実施形態において、これらのリフレクタ92は、精密な狭い波長域、たとえばバンドバスフィルタ78に関して上述した帯域のみを反射してもよい。たとえば、340nm用バンドパスリフレクタ92の反射帯域幅は、約10nm(たとえば、340nm用バンドパスフィルタ78に関して上述したもの)に構成してもよい。この狭スペクトル帯域は次に、適当な露出した検出器アレイの素子72に向けられてよい。このようにコストを抑えた構成では、最適な光学的直線性とクロストークが、バンドパスリフレクタ92とバンドパスフィルタ78の両方を使用する構成の性能レベルに達しないこともあるが、特定の用途には十分であり得る(公称2.5 OD対4.5 ODの性能)。
これに加えて、逆の手法も利用でき、すなわち、バンドパスリフレクタ92に分光機能をほとんど、またはまったく持たせず、単に入射信号のうちの所望の割合を光信号軸から離れるように横方向に反射さもなければ偏向させ、バンドパスフィルタ78を通過させ、1つまたは複数の対応する光検出素子72に到達させるという役割のみを持たせる。このような実施形態では、スペクトル狭小化機能の全部またはほとんどを、アセンブリの光チャネルのバンドパスフィルタ78が実行し、その後、信号がアレイ62へと伝播されて検出される。このような構成のいくつかの実施形態において、バンドパスリフレクタ92を多重分離アセンブリから完全に省いてもよく、光信号は、アセンブリの多重分離筐体の内部空間内で若干ランダムなバターンにより内的に反射し、最終的に、光信号の一部が光チャネルのバンドパスフィルタ78を通過し、その後、アレイ62によって検出される。このような実施形態においては、多重分離アセンブリの筐体97の内部空間94の内面を反射コーティングで被覆するか、そうでなければ、光信号に対して反射性を持つ表面を含めることにより、筐体97の内面による光信号の吸収を最小限にすることも望ましいこともある。
任意選択的に、アレイ62に光信号の最短の波長を通過させるように構成することに加えて、図6Aに示すフィルタ78’に対応する、入射開口66に最も近い第一のチャネルはまた、その支持用バッフル内により大きな開口85’を有し、より短波長の光信号を、隣接するチャネルのそれと比較して、光検出器アレイ62のより大きな面積へと伝送するように構成してもよい。約340nm、380nm、405nm、510nm、546nm、578nm、620nm、630nm、670nm、700nmまたは800nmの波長に対応する波長チャネルの帯域幅に関して、これらは、MINI DEMUXデバイス60の特定の用途に基づいて選択してもよい。特定のチャネルについて、どのような所望の中心波長でも選択できることに加えて、帯域幅は、所望の分解能とするのに十分に狭く、また所望の量の信号をフィルタに通すのに十分に広くするように選択してもよい。帯域幅はまた、波長に応じた検出器アレイ62の感度のばらつきに対応するために利用されてもよい。すなわち、より感度の低くなる波長のチャネルは、より広い帯域幅を持つように選択されて、より多くの信号をフィルタ78から検出アレイ62へと通過させるようにされてもよい。いくつかの具体的な例示的実施形態において、上記の波長帯域は約6nm〜約12nm、より具体的には約8nm〜約10nmであってもよい。
再び図8〜10を参照すると、MINI DEMUXデバイス60は、測定誤差を縮小または防止するために、複数のバッフルを含んでいてもよい。たとえば、デバイス60の多重分離アセンブリの各チャネルは、1つまたは複数の支持用バッフル80と1つまたは複数のフィルタバッフル84を含んでいてもよく、これらは一体のバッフルアセンブリ76の一部であってもよい。支持用バッフル80は、各フィルタキャビティの底部付近に配置された棚部を提供し、光フィルタ78と係合して、これを支持するように構成された支持面82を含んでいてもよい。したがって、場合により、バンドパスフィルタ78の底面は、図10に示すような、これに対応する支持用バッフル80の支持面82と接触してもよい。支持用バッフル80はまた、開口85を有していてもよい。バッフル80と84は、「ブリードバイ」、すなわち各光フィルタ78を移動することによる外乱光(これは大いに測定誤差を生じさせる)を削減または排除するように構成してもよい。さらに、出力信号を最大化または制御するために、各光フィルタ78の支持用バッフル80の開口85は、光をアレイ62の1つまたは複数の検出素子72に透過させるような大きさとしてもよい。いくつかの実施形態において、各チャネルを絶縁する(それゆえ、クロストークを低減または防止する)のに役立てるために、1つまたは複数の不活性の光検出素子72は、各1つまたは複数の活性の光検出素子72を分離し、それゆえ、アレイの活性部とアレイの不活性部を作ってもよく、これについては、図13と14の実施形態に関して以下により詳しく説明する。場合により、アレイの不活性部には、接地された1つまたは複数の光検出素子72を含めてもよい。したがって、不活性部または領域に関連付けられたコネクタ68を接地したままとしても、除去してもよい。場合により、開口85に光信号を投射させる対象となるアレイ62の活性部に、1つの検出素子または複数の検出素子を含めてもよい。いくつかの具体的な実施形態において、3つの光検出素子の各活性領域を、1つの不活性の光検出素子によって分離してもよいが、この点に関しては、任意の適当なまたは望ましい構成を使用してもよい。
フィルタバッフル84は、光バンドパスフィルタ78間に配置されて、これらが相互に隣接する光バンドパスフィルタ78の側面間に形成されたギャップの中に配置されるようにしてもよい。場合により、フィルタバッフルはバンドパスフィルタの側面と接触してもよく、他の実施形態では、フィルタバッフル84の外面と隣接するバンドパスフィルタ78の間にギャップがあってもよい。いくつかの構成において、各チャネルの支持用バッフル80とフィルタバッフル84は、筐体の壁の隣接部とともに、フィルタキャビティを形成してもよい。このようなフィルタキャビティは、チャネルのアレイの活性部に入射する光をそのチャネルに対応する帯域に限定するように構成してもよい。そのため、フィルタバッフル84は光フィルタ78と活性検出器領域86を、隣接する光チャネルからの散乱された、誤って方向付けられた、または不要な光から光学的に絶縁し、それによって測定精度が先行技術のデバイスより改善される。フィルタバッフル84は、隣接するフィルタ素子78間に光信号65Aが通過できないバリアを提供するかぎり、さまざまな材料のいずれからも、さまざまな構成で製造できる。場合により、バッフルの実施形態80と84には、マットブラック陽極酸化アルミニウムを使用してもよい。図9〜10に示すように、フィルタバッフル84は支持用バッフル80に関して連続的な構造を有するように構成してもよい。場合により、フィルタバッフル84の下端は、対応する隣接の支持用バッフル80の上面の上に設置されても、それと連続していてもよく、それによって、それらの間にギャップが存在せず、光信号65Aのどの部分もフィルタバッフル84と支持用バッフル80の間を通過しないようにされてもよい。
図8〜10に示すバッフルアセンブリの実施形態76について、バッフルアセンブリ76は、連続的なモノリシック構造の形態であってもよく、これはベースプレートと、その上に1片の材料から形成されたバッフル構造を含む。場合により、このようなアセンブリ76は、1片のアルミニウムまたはその他の適当な材料から機械加工されてもよい。図10に示すように、フィルタバッフル84はまた、隣接するこれに対応するフィルタ78の入射面の上に垂直に延びていてもよく、これによって、1つのフィルタ78から隣接するチャネルに反射または散乱される光の透過が防止される。
再び図6Aを参照すると、少なくとも1つのバンドパスリフレクタ、たとえばダイクロイックビームスプリッタ92を、デバイス60の各チャネルについてMINI DEMUXデバイス60の筐体内に形成されるキャビティ94の中に配置してもよい。各バンドパスリフレクタ92は、デバイス60の各チャネルのための対応するフィルタ78に隣接して設置され、これと光学的に連通されてもよい。いくつかの実施形態において、バンドパスリフレクタ92はダイクロイックミラーを含んでいてもよく、これは、光信号65Aの所望の波長帯域を光信号65Aの入射軸74Aから離れるように横方向に、光フィルタ78に向かって反射し、その一方で、所望の波長帯域以外の実質的にそこを通るすべての光を、入射軸に沿って、および任意選択的に、多重分離アセンブリの光学縦列の中の次のバンドパスリフレクタ92へと透過させるように構成される。バンドパスリフレクタにはさまざまなデバイスを使用でき、たとえば、これらに限定されないが、ダイクロイックミラー等のミラー、光フィルタ、回折格子およびその他がある。場合により、デバイス60の各チャネルについて、同じチャネルの光フィルタ78とこれに対応する隣接のバンドパスリフレクタ92の波長を適合させてもよく、これによって、狭帯域幅の光をアレイ62へと透過させて、各帯域またはチャネルの検出と強度の測定が行われる。図11に示すバンドパスリフレクタ92のダイクロイックビームスプリッタの実施形態および他の実施形態においても、各バンドパスリフレクタ92は、板状の構成で、入射信号軸74Aに対して約45度の角度に配置されてもよい。場合により、バンドパスリフレクタ92は、入射信号軸74Aに対して約42度〜約48度の角度に配置されてもよい。各バンドパスリフレクタ92はまた、図11と図12に示すように、多重分離アセンブリの筐体97の筐体部分またはサイドパネル95の、対応するスロット93の中に、入射信号軸74Aに対して所望の角度での所定の位置にしっかりと保持されていてもよい。一般に、筐体97のサイドパネル95のスロット93の各々は、その中に配置されるバンドパスリフレクタ92のように、相互に実質的に平行であってもよいが、これは必須ではない。筐体97のサイドパネル95のバンドパスリフレクタスロット93はまた、図11においてダイクロイックオフセットとして示され、より詳しくは後述するような直列フォーマットで横方向にずらされてもよい。
このような構成とすることにより、バンドパスリフレクタ92、光フィルタ78および、フォトダイオードアレイ62の隣接する対応の活性領域86が、デバイス60の光チャネルを形成または画定してもよい。バンドパスリフレクタ92を、場合により、共線状に整列させてもよい。いくつかの実施形態においては、バンドパスリフレクタ92を共線状に整列させる必要はない。たとえば、バンドパスフリフレクタ92にダイクロイックビームスプリッタを使用する場合、各デバイス92を各隣接するバンドパスリフレクタ92に対して横方向に若干ずらし、これによって、光信号がバンドパスリフレクタ92により屈折された時のずれに対応できるようにしてもよい。図11と、後の図14の実施形態に示すように、バンドパスリフレクタ92と192は、ダイクロイックオフセットを設けて構成されてもよく、入射軸に沿って横方向に逐次的に若干ずらされて、バンドパスリフレクタ92の傾きの方向での光信号の横方向のシフトに対応してもよい。光信号のシフトは、バンドパスリフレクタ92と周囲の空気の反射率の不一致によって、光信号が、変更された内角で各バンドパスリフレクタ92を通過し、またはその中で屈折する時に発生する。軸74Aに関する横方向のシフトの量は、主としてバンドパスリフレクタ92の厚さに依存しうる。入射軸74Aの光路または光学縦列に沿った第一のバンドパスリフレクタ92から最後のバンドパスリフレクタ92までのダイクロイックシフトの合計、すなわち累積は、図11に示すようにかなりの量となり得る。図5〜12に示すような、全長が約2〜3インチ未満の9チャネルMINI DEMUXデバイス60の場合、各バンドパスリフレクタ92を隣接するバンドパスリフレクタ92から、場合により、約4mm未満の距離だけ離間させてもよい。これに加えて、アレイ62の各活性部の中心は、隣接する活性部の中心から、いくつかの実施形態において、約1mm未満の距離だけ離間されていてもよい。
ある実施形態において、使用中、光信号65Aは、図6Aに示すように、多重分離アセンブリ64の入射開口66に入り、入射軸74Aに沿って、第一のバンドパスリフレクタ92の入射面99へと伝播する。第一のバンドパスリフレクタの実施形態92は、第一のダイクロイックビームスプリッタ92の形態であってもよく、これは、前述のように、その入射面からの光信号の第一のスペクトル帯域を反射し、それによって第一のスペクトル帯域のビームは光信号軸74Aから横方向に向けられてもよい。いくつかの実施形態において、第一のスペクトル帯域は、デバイス60の全チャネルの中で最短の波長帯域であってもよい。反射された第一のスペクトル帯域は次に、多重分離アセンブリ64の第一のバンドパスフィルタ78’を通じて伝播する。また、前述のように、第一のバンドパスフィルタ78’は、これに隣接して配置された後続のバンドパスフィルタ78より大きくてもよい。第一のバンドパスフィルタ78’の下の支持用バッフル80の中の、フィルタ78’の射出面に面して配置された開口85’もまた、隣接するチャネルの開口85より面積が大きくてもよい。
第一のバンドパスリフレクタ92によって反射されなかった光の残りのスペクトルは次に、第一のバンドパスリフレクタ92の射出面101から透過され、または伝播され、第二のバンドパスリフレクタ92の入射面99へと伝播されてよく、第二のバンドパスリフレクタもまた、デバイス60の入射軸74Aに沿って配置された第二のダイクロイックビームスプリッタの形態であってもよい。光の第二のスペクトル帯域は、この第二のダイクロイックビームスプリッタによって反射され、第二のバンドパスフィルタ78に向けられてもよい。その後、第二のバンドパスリフレクタ92によって反射されなかった光の残りのスペクトルは、第二のバンドパスリフレクタ92を透過され、第三のバンドパスリフレクタ92に伝播されてもよい。次に、光の第三の帯域がこの第三のバンドパスリフレクタ92によって反射され、多重分離アセンブリ64の第三のバンドパスフィルタ78に向けられてもよい。この工程が特定のデバイス60の各チャネルついて実行されてもよく、最後のスペクトル帯域がデバイス60の光学縦列の最後のチャネルの最後のバンドパスリフレクタ92から反射さるまで続いてよい。この最終スペクトル帯域は、最後のバンドパスフィルタ78を透過されてもよい。第一のスペクトル帯域が第一のバンドパスフィルタ78’を通過した後、第一のスペクトル帯域は次に、光検出器アレイ62の第一の活性部に伝播し、その振幅がアレイ62の第一の活性部により検出される。第二のスペクトル帯域の強度または振幅は次に、第二のバンドパスフィルタ78を通って伝播し、そのアレイの第二の活性部の活性光検出素子に衝突した後に、アレイ62の第二の活性部により検出される。
いくつかの実施形態において、上記の方法は、第一のスペクトル帯域と後続のスペクトル帯域の振幅を分析して、その光信号に関する分析結果を得るステップを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、光ビームを材料サンプルに通して、分析のためにデバイス60に入る光信号を発生させてもよい。サンプル材料を通過したこのような光信号はまた、材料サンプルを通過しなかった光信号とも比較されてよく、それによって、異なる周波数でのサンプル材料の吸収特性。場合により、第一のスペクトル帯域の振幅は、線形アレイの不活性部により線形アレイの第二の活性部から分離されている、線形アレイの絶縁された第一の活性部により検出されてもよい。場合により、第一のスペクトル帯域は、第一のバンドパスリフレクタから第一のバンドパスフィルタの入射面へと、約4mm未満の距離にわたって伝播してもよい。いくつかの実施形態において、第二のスペクトル帯域は、第二のバンドパスリフレクタから第二のバンドパスフィルタの入射面へと、約4.5mm未満の距離にわたって伝播してもよく、第三のスペクトル帯域は、第一のバンドパスデバイスから第二のバンドパスデバイスへと、約5mm未満の距離にわたって伝播する。
図13と14は、他の実施形態によるMINI DEMUXデバイス160の概略断面図を示し、これは前述のデバイス60の9チャネルの代わりに14チャネルを含む。これに加えて、デバイス160は、MINI DEMUXデバイス60に関して前述したものと同じ特徴、寸法または材料のいずれかまたは全部を有していてもよくまたその逆でもよい。図のように、MINI DEMUXデバイス160のフォトダイオートアレイ160は、複数の光検出素子172を含んでいてもよい。図のように、アレイの光検出素子172は線形に配置されている。任意選択的に、光検出素子172は、他の任意の適当な構成に配置されてもよい。さらに、フォトダイオードアレイ160は、その上に設置され、密閉された窓174を含んでいてもよい。したがって、光検出素子172は、窓174による気密封止材の内側に配置されてもよい。
バッフルサブアセンブリ176は、アレイ162の少なくとも1つの光検出素子172の付近に少なくとも1つの光フィルタ178を支持するように構成してもよい。いくつかの実施形態において、各光フィルタ178は、具体的な所望の用途に必要な広さ、または狭さであってもよい、所定のスペクトル帯域の光を通過させるように構成してもよい。たとえば、光フィルタ178Aは、約340nmの波長の光を透過させるように構成してもよく、その一方で、隣接する光フィルタ178Bは、約380nmの波長の光を透過させるように構成してもよい。したがって、一連の光フィルタ178は、340nm、380nm、405nm、510nm、546nm、578nm、620nm、630nm、670nm、700nmまたは800nmを中心とする波長の帯域を有する光を個々に透過させるように構成された個々の素子であってもよい。前述のように、上記の波長または他の所望の波長群を中心とする帯域に関する帯域幅もまた、所望の用途のためのバンドパスフィルタ178の構成によって、所望に調整されてもよい。
いくつかの実施形態において、光フィルタ178’は、光信号の最短波長の帯域幅を透過させるように構成してもよく、デバイス160の光学縦列に沿った後続の光フィルタ178は、増大する波長の光を透過させるように構成してもよい。DEMUXアセンブリ164の始めに、開口166に隣接して配置されたバンドパスフィルタ178’はまた、他のフィルタより大きく、支持用バッフル182’の開口185’もまた、他の開口より大きいことにより、隣接するチャネルより多くの検出素子をカバーしていてもよい。より多くの検出素子172をカバーすることは、いくつかの実施形態において、特定の光信号波長での検出素子172の感度の低下を補償するために使用されてもよい。補償の効果が得られるのは、デバイス160の始めの光信号は、1つまたは複数のバンドパスリフレクタまたはビームスプリッタ192を通過した光信号と比較して、反射または吸収による減衰が小さいからである。
MINI DEMUXデバイス160はまた、測定誤差を防止または減少させるために複数のバッフルを含んでいてもよい。たとえば、デバイス160は、1つまたは複数の支持用バッフル180と1つまたは複数のフィルタバッフル184を含んでいてもよい。支持用バッフル180は、対応する、または適合する光フィルタ178と係合し、これを支持するように構成された支持面182を含んでいてもよく、「ブリードバイ」、すなわち各光フィルタ178を移動することによる外乱光(これは大いに測定誤差を生じさせる)を削減または排除するように構成してもよい。さらに、出力信号を最大化するために、各光フィルタ178は、光を1つまたは複数の検出素子172に透過させるような大きさとしてもよい。場合により、各チャネルを絶縁する(それゆえ、クロストークを防止する)のを助けるために、アレイ162の不活性部の1つまたは複数の不活性光検出素子172Aは、アレイ162の活性部の1つまたは複数の活性光検出素子172Bの各々を分離してもよく、それによって、活性チャネル領域186と不活性チャネル領域188を作る。いくつかの実施形態において、不活性光検出素子172Aを接地して、素子172Aを不活性化し、またアレイ162の不活性部の半導体材料を通る電子のドリフトまたは移動を遮断してもよい。したがって、領域に関連するコネクタ168を接地されたままにするか、除去してもよい。
図13と14に示すフィルタバッフル184は、光フィルタ178間に配置されてもよい。したがって、フィルタバッフル184は、光フィルタ178と活性検出領域186を、隣接する光チャネルから散乱され、誤った方向に向けられた、または不要な光から光学的に絶縁する役割を果たしてもよく、それによって測定精度が向上する。フィルタバッフル184は、前述のように、さまざまな材料のいずれからも、さまざまな構成のいずれにも作製できる。このデバイスの性能は、いくつかの現行デバイスの性能を(直線性とクロストークの点で)、場合により、約2桁上回ることができる(2.5 ODに対して4.5 OD)。
図13と14を引き続き参照すると、少なくとも1つのバンドパスリフレクタ192は、MINI DEMUXデバイス160の筐体内に形成されたキャビティ194の中に配置してもよい。いくつかの実施形態において、バンドパスリフレクタ192は、所望の波長を中心とする帯域の光を光フィルタ178へと反射し、その一方で、異なる波長の光の実質的にすべてを透過させるように構成されたダイクロイックミラーを含む。バンドパスリフレクタとしては、さまざまな適当なデバイスのいずれを使用してもよく、たとえば、これらに限定されないが、ダイクロイックビームスプリッティングミラー等のミラー、光フィルタ、回折格子等がある。したがって、いくつかの実施形態において、光フィルタ178とバンドパスリフレクタ192の波長を適合させてもよく、これによって、狭帯域幅の光を透過させる。その結果、バンドパスリフレクタ192、光フィルタ178、フォトダイオードアレイ162の隣接する対応の活性領域186は光チャネルを含んでいてもよい。図の実施形態において、バンドパスリフレクタ192を共線状に整列させてもよい。別の実施形態においては、バンドパスリフレクタ192を共線状に整列させる必要はない。たとえば、バンドパスフリフレクタ192にダイクロイックビームスプリッタを使用する場合、前述のように、これらを相互に対してずらし、これによって光信号の各屈折部のずれに対応できるようにしてもよい。
図15は、MINI DEMUXデバイス60、160または、本明細書に記載のその他の適当な多重分離の実施形態で使用するための光フィルタ178のある実施形態の断面図を示す。フィルタ178は、単一の薄い溶融シリカ基板202を含む。場合により、基板の厚さは約0.5mm〜約1mm、より具体的には約0.6mm〜約0.8mm、さらにより具体的には約0.7mmであってもよいが、基板は、さまざまな材料のいずれからも、任意の厚さ、直径、横断寸法のいずれにも製造できる。1つまた複数の光学コーティング204を基板202に塗布してもよい。さまざまな適当な材料のいずれも、所望の特性を有する光学コーティング形成に使用できる。いくつかの実施形態において、光学コーティング204を基板202の片面に塗布してもよい。他の実施形態においては、光学コーティング204を基板202の両面または複数の層に塗布してよい。さらに、複数の光学コーティング204またはその層を基板202に塗布してもよい。
場合により、光学コーティング204は、硬く、耐久性があり、環境的に耐性のある誘電材料、たとえば酸化ハフニウムまたは酸化ジルコニウムおよび二酸化シリコン等の多層膜を含んでいてもよい。金属系の光学コーティングを用いる先行技術のデバイスとは異なり、環境による劣化からデバイスを保護するための気密封止が不要である。したがって、実質的にすべての光反射を、吸収ではなく、光反射により達成できる。そのため、その結果実現される所望の波長域内の光のインバンド透過は、MDM型フィルタよりはるかに高い(約90%)。これに加えて、この総誘電体方式では、DEMUX 164を、純シリコン系検出器(Si)のほか、シリコンカーバイド系(SiC)検出器に連結することができる。Siの受光感度は最大約1200nmであるのに対し、SiCの受光感度は最大約425nmである(SiCに基づく検出器デバイスは、425nmを超えるすべての波長に対して、光学的に無反応であってもよい)。その結果、SiCは、本明細書に記載の総誘電体バンドパスフィルタ用として理想的となり得る。重要な点として、このような総誘電体光フィルタのコストは、一般的に使用されるMDMバンドパス光フィルタよりはるかに低い。
図16は、一般的なU.V.範囲(230nm〜320nm)におけるMINI DEMUXデバイス60または160の実施形態の光フィルタ/検出器の正味の感度A/Wをグラフで示したものである。より具体的には、図16は、図15に示すような例示的な270nm用総誘電体フィルタ178を、シリコンカーバイドフォトダイオードと組み合わせた場合の性能を示す。この波長では、一般的なシリコンカーバイドフォトダイオードの感度は約0.1A/Wであってよい。図16に示すように、この光フィルタ/検出器の組み合わせの正味の感度は約0.09A/Wであってよく、いくつかのMDM/シリコン検出器の組み合わせの実施形態よりほぼ1桁改善される。これに加えて、Siと異なり、SiC光センサは一般に、紫外線への曝露に対して堅牢であり、使用寿命が改善され、長期的に安定する。
図17は、広スペクトル線形MINI DEMUXデバイスの実施形態の断面図を示す。一般に、図17に示すMINI DEMUXデバイス210は、前述のMINI DEMUXデバイス60と160と同様の、いくつかの適当な特徴、寸法または材料のいずれを有していてもよいが、デバイス210はまた、追加的な特徴も含む。図のように、MINI DEMUXデバイス210は、入口開口215と射出軸を有する出口開口216を有する第一のDEMUXアセンブリまたはモジュール212を含む。デバイス210はまた、少なくとも1つの第二のDEMUXアセンブリまたはモジュール214も含み、これは第一のモジュール212の出口開口216に光学的に連結された、入口開口217を有する。第一と第二のDEMUXアセンブリは、前述のように製造されてもよく、一般に、デバイス60と160のそれらと同じ、または同様の特徴、寸法、材料を含んでいてもよい。しかしながら、各DEMUXアセンブリ212、214は特に、個別の波長域の検出するように構成する。たとえば、いくつかの実施形態において、第一のDEMUXアセンブリ212は、約380nmまでの波長のU.V.光を検出するように構成してもよく、その一方で、第二のDEMUXアセンブリ214は、約380nm以上の波長の光を検出するように構成してもよい。したがって、バンドパスリフレクタ192、フィルタ178、検出素子172は、DEMUXアセンブリ212とDEMUXアセンブリ214の間で異なっていてもよい。
図18は、U.V.モジュール用のSiC線形アレイと可視光モジュール用のSi線形光センサを相互に隣接して配置し、230nm〜1200nmの全波長検出型とした小型マルチモジュール多重分離システムのある実施形態を示す(赤外線光アレイを利用して、この波長範囲を約4500nmに拡大してもよい)。一般に、図18に示すMINI DEMUXデバイス220は、前述のMINI DEMUXデバイス60と160と同様の、適当な特徴、寸法または材料のいずれを有していてもよいが、デバイス220はまた、いくつかの追加的な特徴も含む。特に、図18は、複数のDEMUXアセンブリまたはモジュールを平行に配置してもよい別の実施形態を示している。図のように、MINI DEMUXデバイス220は、第一のDEMUXアセンブリ222と第二のDEMUXアセンブリ224を含む。図のように、第一のバンドパスリフレクタ226とリフレクタ228の第二のバンドパスデバイスを使って、光をDEMUXアセンブリ222と224に向けてもよい。使用中、光学的または光信号230は、第一のバンドパスリフレクタ226に入射してもよく、これは、選択されたバンドパス範囲外の光を第二のバンドパスリフレクタ228に向ける。バンドパス範囲内の光232は、第一のバンドパスリフレクタ226を通って、第一のDEMUXアセンブリ222へと透過される。同様に、第一のバンドパスリフレクタ226により反射された光234は、第二のバンドパスリフレクタまたはリフレクタ228によって第二のDEMUXアセンブリ224の中へと向けられてもよい。前述の実施形態と同様に、各DEMUXアセンブリ222、224は、個別の波長域内の光を検出するように構成してもよい。さらに、いくつのDEMUXアセンブリを線形または平行の構成に連結してもよい。たとえば、深U.V. DEMUXアセンブリ、U.V. DEMUXアセンブリ、可視光DEMUXアセンブリ、近IR DEMUXアセンブリ、遠IR DEMUXアセンブリを線形または平行の構成に連結してもよい。
図19は、U.V.モジュール用の個々のSiC光センサのアレイと可視光モジュール用のSi線形光検出器を相互に隣接して配置し、230nm〜1200nmの全波長検出型とした小型多重分離システムのある実施形態を示す(場合により、赤外線光アレイを利用して、この波長範囲を約4500nmに拡大してもよい)。一般に、図19に示すMINI DEMUXデバイス220’は、前述のMINI DEMUXデバイス220と同様の、適当な特徴、寸法または材料のいずれを有していてもよいが、デバイス220’はまた、いくつかの追加的な特徴も含む。この実施形態は、短波長のモジュール222’が小さな個別のSiC(または同様の)光センサ172’を利用し、その一方で、より長波長のモジュール224は引き続き、前述のようなSi線形アレイを使用する、代替的な多重化デバイス220’を含む。このような小型センサ172’は、たとえば標準的な5mm TO−18筐体の中に封入してもよい。マウント、バッフルおよびその他の設計上の特徴は、図14に示し、前述した実施形態のそれと同様であってもよい。このモジュールは、直列または小型の平行な構成のいずれかで製作してもよい。直接コストを比較すると、本発明の4チャネルU.V.モジュールの製造コストは約$85であるのに対し、現行技術のMDM/Siセンサに基づくアプローチの約$1000である(これに加えて、信号も約1桁増加する)。
上記の詳細な説明に関して、その中で使用されている同様の参照番号は、同じ、または同様の寸法、材料および構成を有していてもよい同様の要素を指す場合がある。特定の形態の実施形態を図に示し、説明したが、当然のことながら、本発明の実施形態の主旨と範囲から逸脱せずに、各種の変更を加えることができる。したがって、本発明を上記の詳細な説明によって限定することは意図されない。
本明細書で参照した各特許、特許出願、出版物および文献の全体を、参照によって本願に援用する。上記の特許、特許出願、公開、出版物および文献の引用は、上記のいずれかが関連する先行技術であると認めるものではなく、また、これらの文献の内容またはデータを是認することにもならない。
上記の実施形態には、本発明の技術の基本的態様から逸脱することなく、修正を加えることができる。この技術を具体的な1つまたは複数の実施形態の1つまたはそれ複数に関して実質的に詳細に説明したが、本明細書で具体的に開示した実施形態には変更を加えてもよく、これらの修正や改良もまた、この技術の範囲と主旨に含まれる。本明細書で例示的に説明した技術は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素がなくても実施できる。したがって、たとえば、本明細書の各例において、「〜を備える(comprising)」、「基本的に〜からなる(consisting essentially of)」、「〜からなる(consisting of)」という語句はいずれも、他の2つの語句のいずれとも置き換えることができる。使用されている用語と表現は、限定ではなく説明のために使用されており、このような用語と表現の使用は、図示され、説明された特徴またはその一部のいかなる均等物も排除せず、さまざまな修正が特許請求される技術の範囲内で可能である。冠詞(aまたはan)は、それにより修飾される要素の1つまたは複数の要素を意味し得る(たとえば、「試薬」(a reagent)は、1つまたは複数の試薬を意味することができる)が、文脈上、その要素の1つまたはその要素の複数のいずれかを指すことが明白である場合はこのかぎりでない。本発明の技術は、代表的な実施形態と任意選択的な特徴によって具体的に開示されているが、本明細書で開示された概念を修正および変更することは可能であり、このような修正形態と変更形態もこの技術の範囲内にあると考えてよい。
本発明の技術の特定の実施形態を以下の特許請求の範囲に記す。