JP2013531679A - 抗体製剤 - Google Patents

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Abstract

本発明はスクロースを含む製剤、およびスクロース含量が製剤中の抗体の可逆的自己会合(RSA)傾向の低下または消滅を促進することを特徴とするかかる製剤を作る方法に関する。本発明はまた、抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントを含む製剤に関する。かかる抗体は様々な治療方法に用いることができる。本出願はさらに、製剤中の抗体のRSA傾向を消滅または低減する方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明はスクロースを含む製剤、およびスクロース含量が製剤中の抗体の可逆的自己会合(RSA)傾向の低下または消滅を促進することを特徴とするかかる製剤を作る方法に関する。
抗体製剤における不安定性および/または望ましくない種の存在は色々な問題を投じ、それには、単純な不都合、例えば、特別な方法で製剤を貯蔵または取扱する必要、ならびに安全および効力関係、例えば、毒性の増加または免疫原性に起因するものが含まれる。いくつかの抗体で観察される1つの特性は、可逆的自己会合(RSA)としても知られる、抗体分子が可逆的に自己会合する傾向である。所与の製剤中の抗体のRSAは抗体濃度、温度および/またはpHの影響を受けうる。製剤中の抗体のRSA傾向は抗体製剤の物理特性に有意な影響を与えうるものであって、長期安定性、製造し易さ、使用者の服薬順守、および潜在的な製品安全性および効力に影響する可能性がある。例えば、いくつかの抗体製剤中の抗体のRSA傾向は、約2℃〜8℃の貯蔵温度以下に維持されたときに有意である。このRSA傾向は室温におけるインキュベーションの延長(例えば、1時間を超える)後に回復されうるが、かかるインキュベーションの延長は製剤の効率的かつ一貫性のある使用に負の影響を与えうる。
安定性を最大化しかつRSA傾向を最小化する好適な製剤条件の特定を促進する方法が必要である。例えば、治療抗体が広範囲の条件(例えば、温度、抗体濃度およびpH)で貯蔵される間に最小限のRSAで安定であることを可能にする方法および製剤が必要である。
本発明は、製剤中の抗体または抗体フラグメントの可逆的自己会合を低減する製剤方法論を提供する。かかるものとして、本発明は抗体および抗体フラグメントを調製する改善された製剤を特定するために用いることができる方法を提供する。かかる製剤は、例えば、治療上または診断上、臨床または実験環境において用いることができる。
本発明はまた、PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントを含むものである特別な製剤を提供する。例示の製剤は有利なRSAと安定性特性を有し、その製剤を医薬品用に好適なものにする。ある特定の実施形態において、本製剤はPDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントを含むものである液体製剤である。一実施形態において、前記液体製剤は凍結乾燥用に好適でない。他の実施形態において、本製剤は凍結乾燥用に好適である。ある特定の実施形態において、本製剤はバッファーを含むものである。他の実施形態において、本製剤は酢酸塩バッファーを含むものである。他の実施形態において、本製剤は酢酸ナトリウムバッファーを含むものである。他の実施形態において、本製剤は、酢酸ナトリウムバッファーの代わりにまたはそれに加えて酢酸塩バッファーを含むものである。製剤に用いるバッファーのこれらの変形は、特定の実施形態において、本明細書に記載の本発明の態様および実施形態のいずれにも応用可能である。
他の態様において、本発明は、a)水性担体;b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;c)スクロース4%〜20%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);およびe)酢酸ナトリウムバッファーを含み、pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、a)水性担体;b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;c)スクロース4%〜20%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);およびe)酢酸ナトリウムバッファーから成り、pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤を提供する。
上記のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは全長IgGモノクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態において、前記抗体または抗体フラグメントは20mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。ある特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは20mg/mlの濃度で存在する。他の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは50mg/mlの濃度で存在する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドを含む。特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖を含む抗体と同じエピトープに結合する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体と同じエピトープに結合する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、製剤は6%(w/v)スクロースまたは10%(w/v)スクロースを含む。特定の実施形態において、製剤は0.05%(w/v)PS80を含む。いくつかの実施形態において、製剤は50mM酢酸ナトリウムバッファーを含む。他の実施形態において、製剤はおよそ5.5のpHを有する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントは、超遠心分析(AUC)により測定して、2〜8℃と23〜27℃において実質的に類似の可逆的自己会合(RSA)特性を有する。特定の実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAは、高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)および動的光散乱(DLS)により不検出である。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超は単量体であり、そして前記抗体または抗体フラグメントのRSAは、10mg/mlで評価したときにHPSECにより2〜8℃にて不検出である。いくつかの実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は動的光散乱(DLS)により測定して5℃と25℃にて有意差がない。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、製剤は静脈内投与用に好適である。特定の実施形態において、水性担体は水である。いくつかの実施形態において、製剤は非発熱性である。他の実施形態においては、製剤は有効期間を延長する保存剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、製剤は高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定して2〜8℃にて少なくとも2年間安定である。いくつかの実施形態において、前記製剤の純度は高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定して少なくとも2年間0.5%未満しか低下しない。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、製剤はヒスチジン、いずれかのさらなる界面活性剤、いずれかのさらなる糖またはポリオール、および/またはいずれかのさらなる塩を実質的に含まない。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、製剤は凍結乾燥用に好適である。他の実施形態において、製剤は凍結乾燥に好適でない。
いくつかの態様において、本発明は本質的にa)無菌水;b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの20mg/ml;c)スクロース10%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.05%(重量/体積);およびe)50mM酢酸ナトリウムバッファーから成り、pH 5.5のpHを有する製剤を提供する。
他の態様において、本発明は本質的にa)無菌水;b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの50mg/ml;c)スクロース10%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.05%(重量/体積);およびe)50mM酢酸ナトリウムバッファーから成り、pH 5.5のpHを有する製剤を提供する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、抗体または抗体フラグメントは配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖ポリペプチドを含む。特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖ポリペプチドを含む抗体と同じエピトープに結合する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体と同じエピトープに結合する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントはAUCにより測定して2〜8℃と23〜27℃において実質的に類似の非-可逆的自己会合(非RSA)特性を有する。いくつかの実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAは、HPSECにより2〜8℃にて10mg/mlで評価したとき不検出である。他の実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超は2〜8℃にて単量体である。特定の実施形態において、前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は動的光散乱(DLS)により5℃と25℃にて測定して有意差がない。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、製剤は静脈内投与用に好適である。いくつかの実施形態において、水は無菌水である。特定の実施形態において、製剤は非発熱性である。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、製剤はICHQ1Aガイドラインに従う長期安定性研究により測定して、約2〜8℃にて少なくとも2年間安定である。ICHQ1Aガイドラインは工業標準(Federal Register, Vol, 68, No. 225, Friday, November 21, 2003; pages 65717-18)である。特定の実施形態において、前記製剤の純度は、高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定して少なくとも2年間1年当たり0.5%未満しか低下しない。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、製剤は凍結乾燥用に好適でない。いくつかの実施形態において、製剤は凍結乾燥用に好適である。
他の1つの態様において、本発明は、a)水性担体;b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;c)スクロース4%〜20%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);およびe)酢酸ナトリウムバッファーを含み、pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントが約2〜8℃にて評価したときに23〜27℃にて評価したときと比較して実質的に同じ非RSA傾向を有する前記製剤を提供する。
他の態様において、本発明は、a)水性担体;b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;c)スクロース4%〜20%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);およびe)酢酸ナトリウムバッファーを含み、pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超が2〜8℃にて非自己会合の単量体である前記製剤を提供する。
特定の態様において、本発明は、a)水性担体;b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;c)スクロース4%〜20%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);およびe)酢酸ナトリウムバッファーから成り、pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントが約2〜8℃にて評価したときに23〜27℃にて評価したときと比較して実質的に同じ非RSA傾向を有する前記製剤を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、a)水性担体;b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;c)スクロース4%〜20%(重量/体積);d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);およびe)酢酸ナトリウムバッファーから成り、pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超が2〜8℃にて非自己会合の単量体である前記製剤を提供する。
上記の態様のいずれかの特定の実施形態において、本発明は酢酸ナトリウムバッファーを異なる酢酸塩バッファーで置き換えたまたは置換した製剤を提供する。例えば、特定の実施形態において、本発明は酢酸ナトリウムの代わりに異なる酢酸塩バッファーを含む製剤を提供する。異なる酢酸塩バッファーを用いる場合、そのバッファーは、酢酸ナトリウムバッファーを用いる方法と類似したやり方で(例えば、同じ範囲の濃度にてまたはにわたって)用いることができる。他の実施形態において、製剤は1種以上の酢酸塩バッファーを含むものである。
さらなる態様において、本発明は製剤中の抗体の可逆的自己会合(RSA)を消滅または低減する方法であって、抗体または抗体フラグメントを含むものである初期製剤を提供するステップ[ここで、前記初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAはHPSECによりi)およそ2〜8℃にておよび/またはii)4mg/ml超の濃度にて測定可能であり、そして前記初期製剤中の抗体または抗体フラグメントは高分子量型を含有する];スクロースを前記初期細胞に加えて約4%〜約20%(重量/体積)スクロースを有する改変製剤を提供し、改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAは、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、初期製剤のそれと比較して消滅または低下するステップを含む前記方法を提供する。
特定の実施形態において、その方法はさらに、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径を試験するステップ、および前記水力学的半径を前記初期細胞中の前記抗体または抗体フラグメントのそれと比較するステップ[ここで前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、前記初期製剤中のそれと比較して消滅または低減する]を含む。一実施形態においては、前記改変製剤の水力学的半径をDLSにより試験する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、その方法はさらに、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSA傾向をHPSECを用いて試験するステップ、および前記RAS傾向を前記初期細胞中の前記抗体または抗体フラグメントのそれと比較するステップ[ここで、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSA傾向は、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、前記初期製剤中のそれと比較して消滅または低減する]を含む。特定の実施形態において、その方法はさらに、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSA傾向をおよそ2〜8℃およびおよそ23〜27℃にて試験するステップ、および前記改変製剤中の抗体または抗体フラグメントが2〜8℃および23〜27℃にて類似の非RSA傾向を実質的に有することを確認するステップを含む。一実施形態において、およそ2〜8℃およびおよそ23〜27℃にてRSA傾向を試験するステップはAUCによる。いくつかの実施形態において、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAはHPSECにより不検出である。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約1mg/ml〜約100mg/mlの濃度にて存在する。いくつかの実施形態において、抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約20mg/mlまたは約50mg/mlの濃度にて存在する。他の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは改変製剤中に約20mg/mlまたは約50mg/mlの濃度にて存在する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、スクロースを初期製剤に加えるステップは約10%の改変製剤中のスクロースの最終濃度を達成するスクロースを加えるステップを含む。
他の態様において、本発明は製剤中の抗体の可逆的自己会合(RSA)を消滅または低減する方法であって、a)HPSECによりおよそ2〜8℃にて10mg/mlの濃度で評価すると初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAが検出可能である抗体または抗体フラグメントを含む初期製剤を提供するステップ;b)1以上の試験法を用いて初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を試験するステップ;c)約4%〜約20%(w/v)の最終濃度を達成するように前記初期製剤のスクロース含量を調節して改変製剤を作製するステップ;およびd)1以上の試験法を用いて前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を試験するステップ[ここで、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、初期製剤のそれと比較して改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAが消滅する]を含む前記方法を提供する。
いくつかの実施形態においては、ステップ(c)を2回以上実施する。特定の実施形態においては、ステップ(c)および(d)を2回以上実施する。他の実施形態において、ステップ(b)および(d)は同じ生物物理学的特性を評価するステップを含む。例示の実施形態において、生物物理学的特性は高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定したRSA傾向が示すクロマトグラフィピークサインである。いくつかの実施形態において、クロマトグラフィサインは前記ピークの肩部の存在である。いくつかの実施形態において、前記生物物理学的特性は2つの異なる温度で評価する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、前記生物物理学的特性は動的光散乱により測定した前記初期製剤および/または前記改変製剤中の抗体または抗体フラグメントの水力学的半径である。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、前記生物物理学的特性は水力学的半径であり、その方法は前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径を試験するステップおよび前記水力学的半径を前記初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのそれと比較するステップ[ここで、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、前記初期製剤のそれと比較して低減する]を含む。例示の実施形態において、前記改変製剤の水力学的半径はDLSにより試験する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約1mg/ml〜約100mg/mlの濃度で存在する。特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約20mg/ml、または約50mg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、抗体または抗体フラグメントは改変製剤中に約20mg/ml、または約50mg/mlの濃度で存在する。
上記の態様および実施形態のいずれかの特定の実施形態において、スクロース含量を調節するステップは、約10%(w/v)の改変製剤中のスクロースの最終濃度を達成するようにスクロースを加えるステップを含む。
他の態様において、本発明は、上記態様または実施形態のいずれかの方法により作製した抗体または抗体フラグメントを含む製剤を提供する。
さらなる態様においては、それを必要とする患者における新生物症状を治療する方法であって、それを必要とする前記患者に上記態様または実施形態のいずれかの製剤の有効量を投与するステップを含むものである前記方法を提供する。特定の実施形態においては、製剤を1以上のさらなる作用薬または治療様式と組み合わせて治療レジメンの部分として投与する。例示の実施形態において、新生物症状は癌である。
他の態様において、本発明は低いRSAを有する、抗体または抗体フラグメントを含む製剤を作製する方法であって、抗体または抗体フラグメントを産生するステップ;ならびに前記抗体または抗体フラグメントを、水性担体;前記抗体または抗体フラグメント1mg/ml〜100mg/ml;スクロース4%〜20%(重量/体積);界面活性剤0.01%〜0.1%(重量/体積);および酢酸塩バッファーを含み、pH 4.0〜pH 6.0のpHを有する製剤として製剤化するステップを含み、ここで、前記製剤に使用するスクロースの量は、抗体または抗体フラグメントを含む初期製剤を提供すること[ここで、前記初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAはHPSECによりおよそ2〜8℃にて検出可能でありかつこの前記初期製剤中の抗体または抗体フラグメントは高分子量型から成る];前記初期製剤にスクロースを加えて4%〜20%(重量/体積)スクロースを有する改変製剤を提供し、改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAは所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると初期製剤に対比して低下することにより選択された前記方法を提供する。
他の態様において、本発明は低いRSAを有する抗体または抗体フラグメントを含む製剤を作製する方法であって、抗体または抗体フラグメントを産生するステップ;ならびに前記抗体または抗体フラグメントを水性担体;前記抗体または抗体フラグメント1mg/ml〜100mg/ml;スクロース4%〜20%(重量/体積);界面活性剤0.01%〜0.1%(重量/体積);および酢酸塩バッファーを含み、pH 4.0〜pH 6.0のpHを有する製剤として製剤化するステップを含み、ここで、前記製剤に使用するスクロースの量は、a)抗体または抗体フラグメントを含む初期製剤[ここで、初期製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAは10mg/mlで評価すると、HPSECによりおよそ2〜8℃にて検出可能である]を提供すること;b)初期製剤中の抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を1以上の試験法を用いて試験すること;c)前記初期製剤のスクロース含量を約4%〜約40%(w/v)の最終濃度となるように調節して改変製剤を作製すること;およびd)前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を1以上の試験法を用いて試験し、改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAが所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると初期製剤と比較して低下することにより選択された前記方法を提供する。
上記のいずれかの特定の実施形態において、本発明は、製剤中にバッファーが存在する製剤および方法を提供する。特定の実施形態において、バッファーは酢酸塩バッファーである。特定の実施形態において、酢酸塩バッファーは酢酸ナトリウムバッファーである。他の実施形態においては、酢酸塩バッファーは酢酸ナトリウムバッファーでない。他の実施形態においては、酢酸ナトリウムバッファーが異なる酢酸塩バッファーで置き換えられるかまたは置換される。例えば、特定の実施形態において、本発明は酢酸ナトリウムの代わりに異なる酢酸塩バッファーを含む製剤を提供する。異なる酢酸塩バッファーを用いる場合、酢酸ナトリウムバッファーを用いるやり方と類似したやり方で用いることができる(例えば、同じ範囲の濃度にてまたはにわたって)。他の実施形態において、製剤は2種以上の酢酸塩バッファーを含む。
本発明は上記の態様および実施形態の全ての組み合わせ、ならびに詳細な説明および実施例において述べた実施形態のいずれかとの組み合わせを意図している。さらに、「上記の態様または実施形態のいずれか」に言及がなされる場合、「上記または下記の態様または実施形態のいずれか」を含むものである。
MabAはスクロース非含有の酢酸塩製剤におけるRSA傾向を示す。この初期の、酢酸塩含有製剤中のこの抗体のRSA傾向を、HPSECおよび沈降速度超遠心分析(AUC)により測定した。図1A、下パネル(2〜8℃)は貯蔵温度条件下のRSAを示すピークの主端における肩部の存在を示す。2〜8℃における単量体ピークの鉛直線は自己会合を示す。図1Bはスクロース非含有の製剤においてMabAは23〜27℃では明確な範囲に沈降する一方、2〜8℃では広くかつ高い沈降係数が観察され、RSAの存在を示す。図1は、初期、スクロース非含有製剤中のMabAは、2〜8℃においてHPSECおよびAUCにより測定可能なRSA傾向を有することを示す。RSAは主に二量体化および高次オリゴマー化として起こる。さらに、図1は、この初期製剤におけるこの抗体のRSA傾向は温度依存性であることを示す(例えば、上記の肩部により実証されるRSA傾向は、約2〜8℃の貯蔵温度と比較して、室温では単量体に解離する)。 HPSECおよびAUCにより測定したスクロース含有製剤中のMabAのRSA防止を示す。スクロース含有製剤において、2〜8℃にて、20mg/mlおよび50mg/ml両方の抗体濃度で、HPSEC(図2A)により測定したRSAは検出されなかった。さらに、AUCにより実証されるように、抗体沈降が温度に非依存性であることが観察された(2〜8℃および23〜27℃における上書きAUC沈降プロファイル;図2Bを参照)。従って、スクロース非含有製剤とは対照的に、MabAのRSAはスクロース含有製剤で提供すると防止された。例えば、HPSECにより約2〜8℃において、RSAはもはや不検出であり、測定されなかった。 α-アミノナフタレントリスルホン酸(ANS)とMabA上の疎水性表面の間の相互作用はスクロース含量の増加に伴い減少する。0%と12%スクロース含量を比較すると、スクロース含有製剤中のANS結合の有意な低下が示され、これはスクロース含量が抗体の表面疎水性を減少してRSA低下をもたらすことを示唆する。 スクロース含有製剤とスクロース非含有製剤中の様々な温度におけるMabA水力学的半径の測定である。図4Aは5℃、25℃、および37℃における酢酸塩を含有する製剤中のMabAの水力学的半径を示す。スクロースの非存在において、抗体の水力学的半径は温度依存性であり、低温においてはRSA傾向を示す。しかし、スクロースが存在すると(図4B)、温度非依存性であることが観察され、RSA傾向の消滅を示す。 スクロース含有製剤におけるMabAの熱安静性の増強を示す。示差走査熱量計(DSC)を用いて、スクロース含有製剤およびスクロース非含有製剤におけるMabA熱安定性を評価した。抗体はスクロース含有製剤において有意に大きい熱安定性を示す。これは、スクロース含有製剤が好都合な立体配座変化を誘導し、初期製剤と比較してRSA低下および熱安定性増加の両方をもたらすことを示す。 第2ビリアル係数の測定を示す。スクロースを加えると、第2ビリアル係数は正味誘引から正味反発相互作用にシフトする。この結果はスクロースが分子間相互作用および自己会合傾向の有意な低下/防止に寄与することを示唆する。
(i)概説
抗体の可逆的自己会合は特定の製剤条件下で起こりうる。しかし、典型的には、製剤中の抗体の可逆的自己会合はさらに大きいタンパク質凝集の問題のごく一部として起こる。例えば、可逆的自己会合は、有意な非可逆的二量体化、三量体化および他の高次オリゴマー化が起こる環境および/または条件下で観察されうる。有意な非可逆的凝集が存在すると一般に治療用には不向きな製剤を生じうる。
さらにまたはあるいは、測定可能な可逆的自己会合は、実質的に、製剤を貯蔵または使用する温度以下の非常に低い温度でだけ起こる。この文脈では、可逆的自己会合は非常に低い温度条件下で測定可能であっても、貯蔵および室温における測定可能な自己会合の非存在は、RSAが実質的に製剤の診断、研究または治療上の効用に影響を与え得ないことを意味する。
上記のどちらの状況においても、製剤を調節してRSAを低下することは特に必要でないかもしれない。しかし、いくつかの環境では、製剤中の抗体の測定可能な可逆的自己会合が貯蔵温度(およそ2〜8℃、例えば5℃)にて起こる。あるいはまたはさらに、製剤中の抗体の測定可能な可逆的自己会合は比較的低い抗体濃度(例えば、約4〜8mg/ml)でも起こる。これは、抗体濃度の減少と共に可逆的自己会合が減少することが期待されるので重要であり、典型的な貯蔵または使用条件より相当低い用量において検出可能なRSAが存在することは、RSAが標準治療または使用条件において製剤中の抗体にとって重要な問題でありうることを示唆する。本発明は、RSAを防止または低下する方法およびこれらの文脈におけるRSAに関連する対策を提供する。
本発明は、部分的に、スクロースが本明細書に記載の製剤中の抗PDGFR-α抗体のRSAを低下または防止することの発見に基づく。従って、特定の態様において、本発明は製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSA傾向を軽減する方法を提供する。本明細書に記載の製剤手法で観察される利点のなかには、所与の濃度、例えば少なくとも約10mg/mlで評価した場合、製剤中の抗体のRSA傾向がHPSECにより不検出であり、かつ貯蔵温度と室温にて実質的に同じである製剤を調製する能力がある。特定の実施形態において、本方法は、製剤中の抗体のRSA傾向がおよそ2〜8℃の貯蔵温度にてHPSECにより測定不能である製剤の調製をもたらす。注目すべきは、RSA傾向はいくつかの数の濃度と温度において評価できることである。しかし、低すぎる抗体条件におけるRSA傾向の評価はRSAの存在を誤って過少評価しうる。従って、製剤中の抗体に対するRSA傾向の消滅またはRSA傾向の有意な改善を結論付ける前に、HPSECおよび/またはAUCによる評価を標的製剤濃度または少なくとも約10mg/mlでおよび2〜8℃にて実施すべきである。かかる濃度および温度範囲でHPSECおよび/またはAUCにより検出不能であるRSAは、製剤中の抗体に対するRSAが消滅しているという結論と一致する。
本発明の方法および組成物の有意な利点の1つは、RSAがHPSECにより、特に関連濃度、例えば、少なくとも10mg/mlにて評価した時に不検出であり、そして貯蔵温度(2〜8℃)と室温の間で有意に異なることのない製剤、および/または関連濃度、例えば、少なくとも10mg/mlにて評価した時にRSA傾向が2〜8℃にてHPSECにより測定不能である製剤は、室温におけるインキュベーションの延長の必要なしに利用できることである。言い換えれば、もしRSAが検出されなければ、室温インキュベーションの60〜90分間以上の期間の延長は必要でない。
従って、本発明は、特定の実施形態において、製剤中の抗体のRSAを防止または低減する方法を提供する。これらの方法の詳細を本明細書に提供する。特定の実施形態において、その方法は製剤中の抗PDGFR-α抗体のRSAを防止または低減する方法に関する。
さらに、本発明は抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントを含む製剤を提供する。特別な製剤の詳細を本明細書に提供する。特定の実施形態において、本製剤は好ましい非RSA特性[例えば、1)室温と対比して、2〜8℃にて所与の濃度で有意に異ならないRSA、および/または2)2〜8℃にてHPSECにより関連濃度、例えば、少なくとも10mg/mlで測定不能であるRSA、および/または3)少なくとも4mg/mlの抗体濃度で測定不能であるRSAおよび/または濃度で非常に有意に変化しないRSA]を促進する。RSA特性に関わらず、製剤中の抗体はそれらの機能的属性、例えば、PDGFR-αと特異的に結合してPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する能力を保持することは理解されるべきである。さらに、本発明は初期製剤中の抗体のRSA傾向を低減するか消滅して上記RSA特性の1以上を達成する方法を提供する。
かかるものとして、本発明の抗体製剤を貯蔵から回収後、インキュベーション期間の延長の必要なしに被験者に投与し、それにより医療専業者が被験者に製剤を投与する手順を簡略化することができる。さらに、本明細書に記載の製剤は抗体(その抗体フラグメントを含む)を、タンパク質凝集および/または長期貯蔵中の断片化による生物活性に対する有害な影響を生じることなく、約1mg/ml〜約100mg/mlの範囲の濃度で含有することができる。かかる安定性は抗体の効力を確実にするだけでなく、被験者における有害な効果のリスクの可能性も軽減する。
従って、本発明は、特定の実施形態において、抗体、特に抗PDGFR-α抗体のRSA傾向を防止または低減するスクロース含有抗体製剤を提供する。さらに、本明細書で提供されるのは、抗体製剤中の抗体のRSAを防止または低減する方法である。特定の実施形態において、製剤は液体製剤である。特定の実施形態において、製剤は凍結乾燥用に好適でない。特定の実施形態において、製剤は凍結乾燥用に好適である。特定の実施形態において、製剤中の抗体は好都合なRSA特性を有する。特定の実施形態において、かかる好都合なRSA特性を初期製剤中の抗体のRSA特性と比較して評価する。
本発明の製剤は抗体(抗体フラグメントを含む)の安定なすぐに使える調製物を提供する。具体的な実施形態において、本発明の製剤は抗PDGFR-α抗体を含む調製物を提供する。
理論に拘束されることなく、本発明は、部分的に、初期製剤中の抗PDGFR-α抗体がRSA傾向を有し、その製剤を使用しうる方法に影響を与えるという観察に基づく(例えば、実施例1を参照)。この初期製剤中の単量体の抗PDGFR-α分子は一過的かつ可逆的に自己会合する傾向を有し、このRSAは温度の関数であった。特に、初期製剤中のこの抗体のRSAは約2℃〜約8℃の貯蔵条件で顕著であり、そして、HPSECにより単量体ピークの主ピークの肩部により示されるように10mg/mlでも測定可能であった。この初期製剤において、抗体が有意に希釈されていてもRSAを示す肩部はなおHPSECにより測定可能である(例えば、抗体が4mg/ml以下に希釈されるまで肩部は検出可能であった)。しかし、RSAは経時的に低下しそして60〜90分間室温平衡後には検出不能になった。このように、室温以上におけるインキュベーションの延長がこの初期製剤中の抗体の使用前に必要であった。インキュベーションの延長の必要性は一般的に不便であり、潜在的に服薬不履行のリスクを起こしうる。
特定の実施形態において、この一過的RSA傾向は濃度に依存し、抗体濃度が低いほど減少する。例えば、上記のHPSEC肩部は2〜8℃にて10mg/mlの濃度で検出される。4mg/ml以下の抗体濃度に希釈後、2〜8℃にてHPSEC肩部は観察されない。AUCによる4℃におけるサイズ分布も、低い抗体濃度において生成物ピーク広がりの低下を示す。このように、本製剤におけるRSAを避けるために、いくつかの抗体は非常に低い濃度(すなわち、4mg/ml未満)を必要としうる。多くの治療応用にとって、抗体をかかる低濃度で製剤することは実用的でない。
本発明は、部分的に、スクロースが初期製剤において観察される抗PDGFR-α抗体のRSAを防止または低減するという驚くべき発見に基づくものであり、そして本発明は本明細書に記載のRSAを表す他の抗体にも応用可能である。特定の実施形態において、本明細書は抗体のRSAを(初期製剤のRSAと比較して)防止または低減する方法を提供するものであり、ここで、初期製剤中の抗体のRSAは1以上の次の特性を有する:i)RSAは2〜8℃にて所与の抗体濃度、例えば10mg/ml以上で測定可能か/検出され、そして前記RSAは室温平衡時に低減または消滅すること、ii)RSAは2〜8℃にて4mg/mlを超える濃度で測定可能か/検出され、そして前記RSAは室温平衡時に低減または消滅すること、iii)RSAは可逆的に自己会合する高分子量型(例えば、二量体、三量体、四量体、五量体、またはさらに高次のオリゴマー)から生じること。RSAを防止または低減する方法は、初期製剤中のRSAが前記特性の1つ、2つ、または全3つを有する抗体のRSAを防止または低減するのに特に好適である。
かかるものとして、本発明の抗体製剤を、貯蔵から回収後、インキュベーション期間の延長の必要なしに被験者に投与し、それにより医療専業者が被験者に製剤を投与する手順を簡略化することができる。さらに、本発明の製剤は抗体(その抗体フラグメントを含む)を、RSA、タンパク質凝集および/または長期貯蔵中の断片化による生物活性に対する有害な影響を生じることなく、約1mg/ml〜約100mg/mlの範囲の濃度で含有することができる。抗体安定性はRSA傾向とは別の特性であるが、製剤の安定性は安全、効力および商業的使用のために重要である。かかる安定性は抗体の効力を確実にするだけでなく、被験者における有害な影響のリスクの可能性も軽減する。
従って、本発明は、抗体、特に抗PDGFR-α抗体のRSA傾向を防止または低減するスクロース含有抗体製剤を提供する。さらに、本明細書で提供されるのは、抗体製剤中の抗体のRSAを防止または低減する製剤方法論である。
(ii)定義
本発明をさらに詳しく記載する前に、具体的な組成物またはプロセスステップは変わりうるので、本発明はこれらに限定されるものでないことを理解しなければならない。本明細書および添付した請求の範囲で使用する、単数形「ある("a"および"an")」ならびに「その("the")」は、文脈が特に断らない限り複数の言及物を含む。
特に定義しない場合、本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、本発明が関係する技術分野の業者に通常理解されているのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Press、は当業者に本発明で使用する多くの用語の一般辞書を提供する。
アミノ酸は、本明細書では、公知の3文字記号によりまたはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号により参照することができる。ヌクレオチドも、同様に、その公知の1文字コードにより参照することができる。
抗体の可変ドメイン、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)におけるアミノ酸の番号付けは、特に断らない限り、Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)に記載のKabat定義に従う。この番号系を使用すると、実際の直鎖アミノ酸配列は可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮またはそれらへの挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有しうる。例えば、重鎖可変ドメインはH2の残基52後の単一アミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)および重鎖RF残基82後の挿入残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、および82c、など)を含みうる。残基のKabat番号付けは、所与の抗体について抗体の配列の相同性領域における「標準」Kabat番号配列とのアラインメントにより決定することができる。フレームワーク残基の最大限のアラインメントはしばしば、FV領域に対して用いる番号系において「スペーサー」残基の挿入を必要とする。さらに、所与のKabat部位番号における特定の個々の残基の同一性は抗体鎖ごとに種間または対立遺伝子相違によって変わりうる。
本明細書で使用する、免疫グロブリンとしても知られる用語「抗体」は、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの異なるエピトープ結合フラグメントから形成される多特異的抗体(例えば、二特異的抗体)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、Fabフラグメント、F(ab')2フラグメント、所望の生物学的活性を示す抗体フラグメント(例えば抗原結合部分)、ジスルフィド-連結Fv(dsFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本開示の抗体に対する抗Id抗体を含む)、イントラボディ(細胞内発現抗体)、および上記のいずれかのエピトープ-結合フラグメントを包含する。特に、抗体は免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的活性フラグメント、すなわち、少なくとも1つの抗原結合部位を含有する分子を含む。免疫グロブリン分子はいずれのアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、サブアイソタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはアロタイプ(例えば、Gm、例えば、G1m(f、z、aまたはx)、G2m(n)、G3m(g、b、またはc)、Am、Em、およびKm(1、2または3))であってもよい。抗体はいずれかの哺乳動物、限定されるものでないが、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、など、または他の動物、例えば鳥類(例えばニワトリ)由来であってもよい。
本明細書で使用する、所与の値または範囲の文脈における用語「約」は、所与の値もしくは範囲の20%以内、好ましくは10%以内、およびより好ましくは5%以内である値もしくは範囲を意味する。
用語「PDGFR-α」は血小板由来の成長因子チロシンキナーゼ受容体-αを意味する。PDGFR-αはまた、CD140aおよびPDGFR-αとしても公知である。
「MabA」は特に、表1に記載のアミノ酸配列を含むヒトIgG2抗PDGFR-α抗体を意味する。特に、この抗体は表1に記載のVHおよびVLを含む(その可変領域は表1に記載の6つのCDRセットを含む)。この抗体はまた、表1に記載のその6つのCDRによりまたはVHおよびVLドメインを含むおよび表1に記載の6つのCDRを含む抗体と呼んでもよい。この特別なヒト抗体はPDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害するPDGFR-α抗体の一例である。
抗体などの標的化結合剤に言及するときの用語「中和化」は、標的抗原の活性を消滅するか、または有意に低減する能力に関する。従って、「中和化」抗PDGFR-α抗体はPDGFR-αの活性を消滅するかまたは有意に低減することができる。中和化PDGFR-α抗体は、例えば、リガンドのPDGFR-αとの結合を遮断することにより作用する。
用語「CDR領域」または「CDR」は、Kabat ら 1991(Kabat, E. A. et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Edition. US Department of Health and Human Services, Public Service, NIH, Washington)、および改定版によって定義される免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域を示すことを意図する。抗体は、典型的には、3つの重鎖CDRおよび3つの軽鎖CDRを含有する。本明細書で使用する用語「CDR」は、場合により、抗体が認識する抗原またはエピトープとの抗体の親和性による結合に関わるアミノ酸残基の大部分を含有する領域の1つ、またはいくつか、またはさらに全体を示す。
本明細書で考察したように、抗体または免疫グロブリン分子のアミノ酸配列中の少しの変化は、前記アミノ酸配列が本明細書に記載の抗体または免疫グロブリン分子と少なくとも75%、少なくとも80%、90%、95%、または少なくとも99%配列同一性を維持する限りにおいて、本発明の抗体または免疫グロブリン分子により包含されるとみなされる。変異体は参照抗体の所望の生物学的特性を保持しなければならない。例えば、PDGFR-α抗体の文脈において、変異体は(i)PDGFR-αと特異的に結合する能力および/または(ii)PDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する能力を保持しなければならない。特定の実施形態において、変異体はさらに、参照抗体と同じエピトープとの結合および/または抗原との結合に対する参照抗体との競合を特徴とする。特定の実施形態において、変異体は参照抗体と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の置換(欠失または挿入を含む)を含む。特に、保存的アミノ酸置換が考えられている。保存的置換は、関係する側鎖を有するアミノ酸ファミリー内で起こる置換である。遺伝子でコードされるアミノ酸は一般に次のファミリーに分類される:(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)無電荷極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。さらに好ましいファミリーを挙げると:セリンおよびトレオニンは脂肪族-ヒドロキシファミリーであり;アスパラギンおよびグルタミンはアミド含有ファミリーであり;アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンは脂肪族ファミリーであり;そしてフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは芳香族ファミリーである。例えば、合理的に予想されるものとしては:ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの単離された置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との置換、トレオニンのセリンとの置換、またはアミノ酸の構造的に関係するアミノ酸との置換は、得られる分子の結合機能または特性に大きな影響を与えないであろう。アミノ酸変化が機能性ペプチドをもたらすかどうかは、そのポリペプチド誘導体の特異的活性を分析することにより容易に決定することができる。試験法は本明細書に詳しく記載されている。当業者は抗体または免疫グロブリン分子のフラグメントまたは類似体を容易に調製することができる。好ましいフラグメントまたは類似体のアミノ-およびカルボキシ末端は機能性ドメインの境界近くに存在する。構造的および機能性ドメインはヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データを公共または私有配列データベースと比較することにより特定することができる。好ましくは、コンピューター化した比較方法を用いて配列モチーフまたは公知の構造および/または機能の他のタンパク質に存在する予想のタンパク質コンフォメーションドメインを特定する。公知の三次元構造に折り畳まれたタンパク質配列を特定する方法は公知である(Bowie et al. Science 253:164 (1991))。従って、上記の例は、当業者が本明細書に記載の抗体による構造および機能ドメインを規定するために利用しうる配列モチーフと立体配座構造を認識できることを示す。
抗体は典型的にはリガンドの受容体との結合を阻害し、過剰の抗体は受容体に結合したリガンドの量を少なくとも50%、60%または80%、または約85%超だけ低減する(in vitro競争結合試験法で測定して)。
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は同じエピトープと特異的に結合する実質的に均一な抗体の集団由来の抗体を意味する。
本明細書で使用する「および/または」は、他を伴うまたは伴わない2つの記載した特性または成分の具体的な開示と解釈されることをここで指摘することは好都合である。例えば、「Aおよび/またはB」は、丁度それぞれが個々に説明されたように(i)A、(ii)Bおよび(iii)AおよびBのそれぞれの具体的開示と解釈される。
本明細書で使用する「特異的に結合する」は抗原と特異的に結合する抗体(抗体フラグメントを含む)を意味する。好ましくは、抗原と特異的に結合する抗体(抗体フラグメントを含む)は他の無関係な抗原と有意に交差反応しない。しかし、所与の種由来の特別なタンパク質と特異的に結合する抗体はまた、1以上の他の種由来のタンパク質のオーソログと特異的に結合しうると解釈される。かかる交差種結合はその抗原と特異的に結合する抗体の特徴を変えるものではない。特定の実施形態において、いずれかの交差反応性抗原とより実質的に高い親和性、例えば、実験技法、例えば、ラジオイムノ試験法(RIAs)および酵素結合免疫吸着試験法(ELISA)を用いて測定して、100〜1000倍高い親和性で、抗体が抗原と結合する場合、抗体は抗原と特異的に結合する。例えば、抗体特異性に関する考察については、Paul, ed., 1989, Fundamental Immunology, 2nd ed., Raven Press, New York at pages 332-336を参照されたい。
本明細書で使用する「組み合わせて」は1以上の療法の使用(例えば、2種以上の薬剤;1種以上の薬剤と一緒に1種以上の追加の治療法/治療様式の使用)を意味する。用語「組み合わせて」の使用は治療法(例えば、治療薬および/または他の治療様式)を被験者に投与する順序を制限するものではない。第1の治療法(例えば、第1の薬剤および/または他の治療様式)を被験者に、第2の治療法投与の前に(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前に)、第2の治療法投与と同時に、または第2の治療法投与の後に(例えば、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後に)投与することができる。例として、「他の治療様式」は、限定されるものでないが、外科、放射線療法、透析、幹 細胞 移植、換気補助、食事、物理療法などを含む。
本明細書で使用する用語「賦形剤」は、有利な物理的特性、例えば、タンパク質安定性の増加、タンパク質溶解度の増加、および粘度の減少を製剤に付与する製剤中の希釈剤、ビヒクル、保存剤、バインダーまたは安定剤として用いられる不活性物質を意味する。賦形剤の例には、限定されるものでないが、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、グリシンおよびヒスチジン)、界面活性剤(例えば、SDS、ポリソルベートおよび非イオン界面活性剤)、糖(例えば、グルコース、スクロース、マルトースおよびトレハロース)、ポリオール(例えば、マンニトールおよびソルビトール)、脂肪酸およびリン脂質(例えば、アルキルスルホン酸のおよびカプリル酸)が含まれる。賦形剤に関するさらなる情報については、本明細書にその全てが組み込まれるRemington's Pharmaceutical Sciences (by Joseph P. Remington, 18.sup.th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa.)を参照されたい。
本明細書で使用する用語「ポリオール」は通常の糖と比較して多数の-OH基を含有する糖を意味する。
「可逆的自己会合傾向」、「RSA」、または「可逆的自己会合」は互換的に使用され、タンパク質または抗体分子の、他の分子またはタンパク質もしくは抗体の分子のグループとの一過的自己会合特性(すなわち、分子間相互作用)を意味する。RSAは通常、濃度依存性であり、タンパク質濃度と共に増加する。本明細書で記載するRSAはまた、温度依存性であって低温にて観察されうるが、温度が上昇すると解離が好都合である。
「測定可能なRSA」または「測定可能なRSA傾向」は互換的に使用され、例えば、HPSECまたはAUCを用いて検出することができる。HPSECにより測定可能なRSAはまた、他のオーソゴナル(orthogonal)な方法により測定可能である。
「防止」または「消滅」は、本明細書に記載の方法(例えば、HPSEC)により試験した場合に不検出または測定不能であるRSAを意味する。さらに、この用語はまた、RSAをRSAが非存在である製剤(例えば、RSAを示さない対照サンプル)と比較したときにに実質的に同じであるときにも適用される。
「高分子量型」または「高次型」は、所与の製剤中の、一過的または永久的な状態における単量体以外(例えば、二量体、三量体、四量体、五量体など)のタンパク質種(すなわち、可逆的または非可逆的高次型)を意味する。
「非RSA」はRSAの非存在、または本明細書に記載の方法(例えば、HPSEC)により試験した場合に不検出または測定不能であるRSAを意味する。
「非自己会合の単量体」は、例えば、二量体(2つのY形状分子)、三量体(3つのY形状分子)、フラグメントなどでなく、単量体(1つのY形状分子)として製剤中に存在する抗体または機能性フラグメントを意味する。
「安定な」および「安定性」は、出発レベルの製剤純度の長期にわたる維持を意味する。言い換えれば、もし製剤が時点0において所与の抗体種に関して99%純粋であれば、安定性はこの純度のレベルをどの程度、良くかつ長く実質的に維持するか(例えば、他の種、例えば、純粋種の断片化部分もしくは凝集物を形成することなく)の尺度である。製剤がもし長期間にわたりおよそ2〜8℃にて貯蔵されたときに純度のレベルが実質的に減少しなければ、安定である。好ましくは、安定な製剤は、安定性が少なくとも2年間にわたる貯蔵条件において減少しない製剤である。同様に、安定性は、長期間にわたりおよそ2〜8℃にて貯蔵したときに、例えば、HPSECにより測定した製剤純度のレベルにより測定する。「実質的に減少しない」は、製剤純度のレベルが所与の期間にわたり1%未満/年、0.75%未満/年、0.5%未満/年または0.4%未満/年だけしか変化しないことを意味する。安定性は同様に他の温度において評価することができる。
(iii)抗体
本発明は製剤中の抗体および抗体フラグメントのRSA傾向を低減する方法を提供する。さらに本発明は、PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗PDGFR-α抗体および抗体フラグメントを含む特別な製剤を提供する。かかる製剤は、例えば、治療および診断に用いることができる。特定の実施形態において、本発明の製剤は低いRSA傾向を有する。
RSAを低減するための特別な製剤および/またはより一般的な方法を考察する前に、抗体の概要を説明する。特に断らない限り、この抗体および抗体フラグメントの概要の考察はいずれの抗体または抗体フラグメント、例えば、製剤中のスクロースを増加することによりRSAを低減しうる抗体および抗体フラグメントにも適用される。
抗原、例えば、PDGFR-αと特異的に結合する抗体(抗体フラグメントを含む)は、抗体を合成するためのいずれかの当技術分野で公知の方法により、特に化学合成によりまたは組換え発現技法により作製することができる。
抗体構造
基本的な未変性の抗体構造ユニットは四量体を含むことは公知である。各四量体は2つの同一のポリペプチド鎖対から構成され、各対は1つの「軽鎖」(約25kDa)および1つの「重鎖」(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関わる約100〜110以上のアミノ酸の可変域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は主にエフェクター機能に関わる定常域を定義する。ヒト軽鎖はκおよびλ軽鎖に分類される。
重鎖はμ、δ、γ、α、またはεに分類され、抗体アイソタイプ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEをそれぞれ定義する。概要は、Fundamental Immunology Ch. 7(Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y. (1989))(参照によりその全てがあらゆる目的で本明細書に組み込まれる)を参照されたい。それぞれの軽/重鎖対が抗体結合部位を形成する。全長抗体の文脈において、単量体IgG抗体分子の基礎ユニットはしばしばYで記述される。
従って、無処置の未変性抗体は2つの結合部位を有する。2つの結合部位が同じでない抗体の例には二官能性または二特異的抗体が含まれる。
未変性の抗体鎖は全て、3つの超可変域(相補性決定域またはCDRとも呼ばれる)により接続された同じ一般構造の比較的保存されたフレームワーク領域(FR)を有する。各対の2つの鎖由来のCDRはフレームワーク領域に整列して特異的エピトープに結合することができる。N末端からC末端へ、軽鎖と重鎖は両方ともドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。アミノ酸の各ドメインへの割当ては、Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991))またはChothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987);Chothia et al. Nature 342:878-883 (1989)に記載のKabat配列の定義に従う。
特定の環境においては、抗体フラグメントを用いることが有利である。例えば、理論に拘束されることなく、抗体フラグメントの使用は固体腫瘍へのアクセスを改良しうるしおよび/または迅速なクリアランスを可能にしうる。
抗体フラグメントを作製する様々な技法が開発されている。伝統的に、これらのフラグメントは無処置の抗体のタンパク分解性消化を介して誘導された(例えば、Morimoto et al., J Biochem Biophys. Method. 24:107-117 (1992); and Brennan et al., Science 229:81 (1985)を参照)。しかし、これらのフラグメントは、現在、組換え宿主細胞により直接産生することができる。Fab、FvおよびscFv抗体フラグメントを大腸菌などの細胞で発現しかつ分泌させることができ、これらのフラグメントの容易な大量生産が可能になっている。抗体フラグメントは例えば、抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab'-SHフラグメントを大腸菌から直接回収し、化学的に結合してF(ab')2フラグメントを作製することができる(Carter et al., Bio/Technology 10:163-167 (1992))。他の手法によって、F(ab')2フラグメントを組換え宿主細胞培養から直接単離することができる。in vivo半減期の増加したFabおよびF(ab')2が米国特許5,869,046に記載されている。他の実施形態においては、選択される抗体は1本鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO 93/16185;米国特許5,571,894および米国特許5,587,458を参照されたい。抗体フラグメントはまた、例えば、米国特許5,641,870に記載された「直鎖抗体」であってもよい。かかる直鎖抗体フラグメントは単特異的であってもまたは二特異的であってもよい。
VHドメインがVLドメインと対合して抗体の抗原結合部位を提供してもよいが、VHまたはVLドメインだけを用いて抗原と結合してもよい。VHドメインがVLドメインと対合して、その結果、VHおよびVLドメインの両方を含む抗体の抗原結合部位を形成してもよい。
ヒト抗体および抗体のヒト化
特定の実施形態において、請求した方法および製剤に使用する抗体および抗体フラグメントはヒトのまたはヒト化されたものである。他の実施形態において、抗体または抗体フラグメントはマウスのものである。ヒト抗体は、マウスまたはラット可変域および/または定常域を持つ抗体に関連する問題のいくつかを回避する。かかるマウスまたはラット由来のタンパク質が存在すると、抗体の急速なクリアランスを起こしうるかまたは患者による抗体に対する免疫応答を起こしうる。マウスまたはラット由来の抗体の利用を回避するために、機能性ヒト抗体遺伝子座をげっ歯類、他の哺乳動物または動物中に導入することを介して、全長ヒト抗体を作製し、その結果、げっ歯類、他の哺乳動物または動物に全ヒト抗体を産生させることができる。
全ヒト抗体を作製する一方法は、ヒト重鎖遺伝子座およびκ軽鎖遺伝子座の1000kb未満サイズの生殖系列に設定されたフラグメントを含有するように遺伝子操作で作られたマウスのXenoMouse(登録商標)菌株の使用を介する。Mendez et al. Nature Genetics 15:146-156 (1997) and Green and Jakobovits J. Exp. Med. 188:483-495 (1998)を参照されたい。XenoMouse(登録商標)菌株はAmgen、Inc. (Fremont、Calif.、U.S.A)から利用可能である。
かかるマウスは、従って、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を産生することができ、マウス免疫グロブリン分子および抗体の産生はできない。前記産生を達成するために利用する技法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願08/759,620号(1996年12月3日出願)および国際特許出願WO 98/24893号(1998年6月11日公告)および第WO 00/76310号(2000年12月21日公告)に開示されている。参照により本明細書に組み込まれるMendez et al. Nature Genetics 15:146-156 (1997)も参照されたい。
マウスのXenoMouse(登録商標)菌株の作製はさらに、米国特許出願07/466,008(1990年1月12日出願)、07/610,515(1990年11月8日出願)、07/919,297(1992年7月24日出願)、07/922,649(1992年7月30日出願)、08/031,801(1993年3月15日出願)、08/112,848(1993年8月27日出願)、08/234,145(1994年4月28日出願)、08/376,279(1995年1月20日出願)、08/430,938(1995年4月27日出願)、08/464,584(1995年6月5日出願)、08/464,582(1995年6月5日出願)、08/463,191(1995年6月5日出願)、08/462,837(1995年6月5日出願)、08/486,853(1995年6月5日出願)、08/486,857(1995年6月5日出願)、08/486,859(1995年6月5日出願)、08/462,513(1995年6月5日出願)、08/724,752(1996年10月2日出願)、08/759,620(1996年12月3日出願)、米国特許公開2003/0093820(2001年11月30日出願)、ならびに米国特許6,162,963、6,150,584、6,114,598、6,075,181、および5,939,598、ならびに日本特許3 068 180 B2、3 068 506 B2、および3 068 507 B2で考察されかつ描写されている。また、欧州特許EP 0 463 151 B1(許可公報1996年6月12日)、国際特許出願WO 94/02602(1994年2月3日公開)、WO 96/34096(1996年10月31日公開)、WO 98/24893(1998年6月11日公開)、WO 00/76310(2000年12月21日公開)も参照されたい。以上に引用した特許、出願および参考文献は参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
代わりの手法において、GenPharm International, Inc.を含む他の手法は「ミニ遺伝子座(minilocus)」手法を利用している。ミニ遺伝子座手法では、外因性のIg遺伝子座をIg遺伝子座からの小片(個々の遺伝子)の封入を介して模倣する。従って、1以上のVH遺伝子、1以上のDH遺伝子、1以上のJH遺伝子、μ定常域、および、通常、第2定常域(好ましくはγ定常域)を動物中に挿入する構築物中に形成する。この手法は、米国特許5,545,807(Suraniら)および米国特許5,545,806、5,625,825、5,625,126、5,633,425、5,661,016、5,770,429、5,789,650、5,814,318、5,877,397、5,874,299、および6,255,458(それぞれ、LonbergおよびKay)、米国特許5,591,669および6,023.010(KrimpenfortおよびBerns)、米国特許5,612,205、5,721,367、および5,789,215(Bernsら)、および米国特許5,643,763(ChoiおよびDunnおよびGenPharmInternational)、米国特許出願07/574,748(1990年8月29日出願)、07/575,962(1990年8月31日出願)、07/810,279(1991年12月17日出願)、07/853,408(1992年3月18日出願)、07/904,068(1992年6月23日出願)、07/990,860(1992年12月16日出願)、08/053,131(1993年4月26日出願)、08/096,762(1993年7月22日出願)、08/155,301(1993年11月18日出願)、08/161,739(1993年12月3日出願)、08/165,699(1993年12月10日出願)、08/209,741(1994年3月9日出願)に記載され、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
欧州特許0 546 073 B1、国際特許出願WO 92/03918、WO 92/22645、WO 92/22647、WO 92/22670、WO 93/12227、WO 94/00569、WO 94/25585、WO 96/14436、WO 97/13852、および WO 98/24884ならびに米国特許5,981,175も参照されたい、これらの開示は参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。さらにTaylorら(1992)、Chenら(1993)、Tuaillonら(1993)、Choiら(1993)、Lonbergら(1994)、Taylorら(1994)、およびTuaillonら(1995)、Fishwildら(1996)も参照されたい、これらの開示は参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。
Kirinはまた、ミクロ細胞融合を介して、染色体の大片、または全染色体を導入したマウスからヒト抗体の作製も示している。欧州特許出願773 288 および 843 961を参照されたい、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。さらにKirinのTcマウスのMedarexとminilocus(Humab)マウスとの交雑育種の結果であるKMTM-マウスが作製されている。これらのマウスはKirinマウスのヒトIgHトランス染色体とGenpharmマウスのκ鎖トランスジーンを所持する(Ishida et al., Cloning Stem Cells, (2002) 4:91-102)。
ヒト抗体はin vitro方法によっても誘導することができる。好適な例には、限定されるものでないが、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(旧Proliferon)、Affimed)、リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイなどが含まれる。
以上の技法は単に、ヒト抗体を作製する方法の例示に過ぎないことに注意されたい。さらに、マウス抗体は、例えば、標準ハイブリドーマ技法を用いて作製することができる。特別な抗体が最初にどのように作られるかには関わらず、抗体のアミノ酸配列が特定されると、その抗体は容易に遺伝子組換えにより作製することができる。例えば、マウス、ヒト化、ヒトを問わず、抗体および抗体フラグメントを細胞に発現させ、培養中の細胞から精製することができる。遺伝子組換えで抗体および抗体フラグメントを発現するために利用できる例示の細胞には、限定されるものでないが、CHO細胞、COS細胞、酵母細胞、および細菌細胞が含まれる。これを以下にさらに詳しく記載する。
表1に掲げるのは、請求項に記載の組成物および方法の文脈で用いられる例示のPDGFR-α抗体の配列である。しかし、他の実施形態において、本発明の製剤および/または方法は他のPDGFR-α抗体、例えば、表1に記載の配列のいずれかを有する抗体と同じエピトープに結合する抗体、または表1に記載の配列のいずれかを有する抗体と、抗原との結合を競合する抗体を利用する。
抗体間の競合はin vitroで、容易に試験することができ、例えば、ELISAを用いておよび/または特異的なレポーター分子を1つの結合メンバーにタグ付けし、これを1以上の他のタグ無し抗体の存在のもとで検出できることにより、同じエピトープまたは重複するエピトープに結合する抗体の特定を可能にすることができる。かかる方法は、当業者に容易に知られており、さらに詳しく本明細書に記載されている。従って、本発明のさらなる態様はヒト抗体の抗原結合部位を含むものである抗原結合部位であって、抗体分子、とりわけ、PDGFR-αと結合する本明細書に開示した親抗体または抗体のいずれかのVHおよび/またはVLドメイン、CDR、例えばHCDR3またはCDRのセットを含むものである抗体分子と競合する前記抗原結合部位を提供する。
特定の実施形態においては、抗体または抗体フラグメントをタグ付け、標識付け、または他の部分と融合してもよい。例えば、抗体または抗体フラグメントを蛍光、金属、または放射性部分によって標識付けし、診断または画像化の際の検出を促進してもよい。さらなる例として、抗体または抗体フラグメントをPEG化して、in vivo薬理動態特性を改善してもよい。さらなる例として、抗体または抗体フラグメントにHSAの全てまたは一部分を付加して血清半減期を改善してもよい。さらなる例として、抗体または抗体フラグメントはmycまたはHAタグを含んで精製および/または検出を促進してもよい。
以上は単なる例示である。
抗体の調製
一般に、抗体は当技術分野で公知の方法、例えば、ハイブリドーマ技法(マウスまたはヒト)、ファージディスプレイなどにより作製することができる。所望の抗体(例えば、所望の機能的特性を有する抗体)を特定すれば、ハイブリドーマを用いておよび/または、遺伝子組換えで培養で細胞において抗体をコードするヌクレオチド配列を発現することにより続いて調製することができる。
理解しうるように、抗体または抗体フラグメント、例えば、本発明の文脈において製剤する抗PDGFR-α抗体をハイブリドーマ細胞株以外の細胞株で発現させることができる。特別な抗体をコードする配列を用いて、好適な哺乳動物の宿主細胞または非哺乳動物の宿主細胞を形質転換することができる。形質転換は例えば、ポリヌクレオチドをウイルスに(またはウイルスベクター中に)詰めてそのウイルス(またはベクター)で宿主細胞に形質導入する方法を含む、ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するいずれかの公知の方法によっても、または米国特許4,399,216、4,912,040、4,740,461、および4,959,455(これらの特許は参照により本明細書に組み込まれる)に例示される当技術分野で公知のトランスフェクション手順によってもよい。使用する形質転換手順は形質転換する宿主細胞に依存する。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞中に導入する方法は当技術分野で周知であり、それには、デキストランが介在するトランスフェクション、リン酸カルシウム沈降、ポリブレンが介在するトランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ポリヌクレオチドのリポソーム内の封入、およびDNAの核中への直接マイクロインジェクションが含まれる。
発現のための宿主細胞として利用できる哺乳動物細胞株は当技術分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手しうる多数の不死化細胞株を含み、それには、限定されるものでないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝癌細胞(例えば、HepG2)、ヒト上皮腎臓293細胞、およびいくつかの他の細胞株が含まれる。
抗体または抗体フラグメントが作製されると、それを本明細書に記載のように製剤化しおよび/またはそれらを本明細書に記載の方法で用いることができる。例示として、抗PDGFR-α抗体は患者サンプル中のPDGFR-αの検出に有用であり、従って、病状、例えば、本明細書に記載の新生物症状の診断に有用である。特定の実施形態においては、抗体をRSA傾向を最小化するのを助ける方式で製剤化し、かかる製剤を診断方法に用いる。特定の実施形態において、診断法に用いる製剤は測定可能なRSA傾向を有しない。特定の実施形態において、診断法に用いる製剤は、HPSECによりおよそ2〜8℃にてかつ所与の関係濃度、例えば約10mg/mlで評価した場合、測定可能なRSA傾向を有しない。
さらなる例として、抗PDGFR-α抗体はその腫瘍成長を阻害する能力に基づいて、PDGFR-α発現から生じる症候群および症状を治療する上での治療効果を有する。抗体または抗体フラグメントが作製されると、これを本明細書に記載の通り製剤化することができるしおよび/または本明細書に記載の方法で用いることができる。特定の実施形態において、本明細書の抗体および方法は新生物症状、例えば、PDGFR-αが誘導する腫瘍成長から生じる新生物症状の治療に関する。さらなる実施形態は本明細書に記載の抗体および方法を用いて新生物疾患、例えば、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、結腸癌、グリア芽細胞腫多型、黒色腫、および胃腸間質腫瘍(GIST)、腎細胞癌、肝細胞癌などを含む癌を治療することに関わる。
特定の実施形態においては、抗体はRSA傾向を最小化する方式で製剤化する。かかる製剤は、例えば、治療または診断の方法に用いることができる。特定の実施形態において、治療方法に用いる製剤は、HPSECによりおよそ2〜8℃にておよび4mg/ml超の濃度、例えば、少なくとも10mg/ml、少なくとも20mg/ml、または少なくとも50mg/ml、または少なくとも100mg/mlの濃度で評価した場合、測定可能なRSAを有しない。
PDGFR-α抗体
特定の実施形態において、抗PDGFR-α抗体は特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する。特定の実施形態において、前記抗体は、例えば、PDGFR-αと結合しそしてリガンドのPDGFR-αとの結合を防止する中和化抗体である。特定の実施形態において、抗体は全長抗体、例えば、全長IgG抗体である。特定の実施形態において、抗体はIgG2またはIgG4抗体である。他の実施形態において、抗体はIgG抗体である。他の実施形態において、抗体は特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体フラグメントである。これらの抗体および抗体フラグメントのいずれかは、特定の実施形態において、ヒト抗体である。
例示の抗体はPDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する。かかる抗体はこれらの機能および/または配列に基づいて特徴付けることができる。かかる抗体はまた、1以上の他の機能的特性、例えば、KD(例えば、抗原に対する親和性)に基づいて特徴付けることができる。さらなる例示として、かかる抗体は、ヒト以外の種由来のPDGFR-αとの交差反応性に基づいて特徴付けることができる。従って、特定の実施形態において、例示の抗体または抗体フラグメントはヒトPDGFR-αと特異的に結合し、そして1以上の他の種、例えば、マウス、ラット、またはカニクイザル由来のPDGFR-αとも特異的に結合する。特定の実施形態において、PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントは高い親和性抗体、例えば、約10-6〜約10-12 MのKDより高い親和性を有する抗体である(例えば、KDの低いほど親和性の高い抗体を示す)。他の実施形態において、かかる抗体は約500、400、300、200または100ピコモル(pM)より低いKDを有し、PDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する。特定の実施形態において、かかる抗体は腫瘍増殖を阻害する。いくつかの実施形態において、この抗体は約75、60、50、40、30、25、20、10、または5pM未満のKDでPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する。特定の実施形態において、かかる抗体は腫瘍増殖を阻害する。
親和性は固相または液相技法、例えば、FACSに基づく親和性測定技法を用いる細胞に対する技法により測定することができる。親和性はまた、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, N.J.)を用いる表面プラズモン共鳴試験法を用いて測定することができる。例えば、25℃にて固定した抗原CM5チップでほぼ10応答ユニット(RU)にて表面プラズモン共鳴試験法を用いる。概要を説明すると、カルボキシメチル化デキストランのバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore Inc.)を、供給者の使用説明書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化する。抗原を110mM酢酸ナトリウム、pH4.8で5ug/ml(ほぼ0.2uM)中に希釈した後、5ul/minの流量で注入し、カップリングしたタンパク質のおよそ10応答ユニット(RU)を達成した。抗原の注入後に、IMエタノールアミンを注入して未反応グループをブロックした。動力学測定については、2倍連続希釈のFab(0.78nM〜500nM)をFab(0.78nM〜500nM)を伴うPBSで25℃にておよそ25ul/minの流量にて注射した。特別な実験パラメーターに関係なく、表面プラズモン共鳴試験法を用いてKD、Ka、ならびにkonおよびkoffを測定することができる。会合速度(kon)および解離速度(koff)は、簡単な1対1のLangmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウエア バージョン3.2)を用いて、同時に会合および解離センサーグラムをフィットすることにより計算した。
特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する例示の抗体および抗体フラグメントは、参照によりその全てが組み込まれる米国特許出願11/833,473(本明細書では「473出願」とも呼ぶ)に提供されている。概要を説明すると、'473出願は様々な抗体、特に、本出願に記載の、PDGFR-αと特異的に結合するヒト抗体を提供する。特定の実施形態において、本発明は、特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する、いずれかのかかる抗PDGFR-α抗体および抗体フラグメントを本出願に記載の通り製剤化しうることおよび/または本出願に記載の方法およびキットに使用できることを意図する。本開示の実施形態には、表1に配列情報を提供した特異的な抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントが含まれる。表1は重鎖と軽鎖の可変域に対する配列情報ならびに特別なヒトPDGFR-α抗体のそれぞれのCDR(これらは可変域の配列のサブセットである)に対する配列情報を提供する。
概要を説明すると、米国特許出願11/833,473に記載の抗PDGFR-α抗体は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる前記特許出願に記載のXenoMouse(登録商標)技法を利用して調製した。概要を説明すると、XenoMouse(登録商標)系統のマウスを目的の抗原(例えばPDGFR-α)を用いて免疫感作し、リンパ細胞(例えばB-細胞)を過免疫マウスから回収し、そしてその回収したリンパ球を骨髄型細胞株と融合して不死化ハイブリドーマ細胞株を調製した。これらのハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし選択して、目的の抗原に特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を特定した。実施例に記載した製剤で用いた特別な抗体はヒトのIgG2抗体であり、最初にこの方法を用いて産生されかつ特許出願11/833,473に記載されたものである。表1は重鎖と軽鎖の可変域に対する配列情報ならびに実施例に記載した製剤で用いた抗体に対するCDRのそれぞれ(これらは可変域の配列のサブセットである)に対する配列情報を提供する。PDGFR-αと特異的に結合する他のヒト抗体に関する追加の情報は、参照によりその全てが組み込まれる米国特許出願11/833,473に見出すことができる。
表1 抗PDGFR-α抗体の配列
Figure 2013531679
以上に詳しく述べたように、本発明は特異的にPDGFR-αと結合する抗PDGFR-α抗体および抗体フラグメントを含む製剤、ならびに、かかる抗体、抗体フラグメントおよび製剤を用いる方法を意図する。特定の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドを含む。特定の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖ポリペプチドを含む。特定の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは、配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖ポリペプチドを含む。他の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは表1に記載のCDRの少なくとも1つを含む。他の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは表1に記載のCDRの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つを含む。他の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは表1に記載のCDRの6つ全てを含む。他の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントはこの節に記載の配列特徴のいずれかの1つ以上を有する抗体または抗体フラグメントと同じエピトープに結合する。限定されるものでない例として、かかる抗体または抗体フラグメントは特異的にPDGFR-αと結合しかつ表1に記載の6つのCDRを含むものである抗体または抗体フラグメントと同じエピトープに結合する。他の実施形態において、請求項に記載の製剤または方法における使用のための抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは、PDGFR-αとの結合に対して、この節に記載の配列特徴のいずれかの1以上を有する抗体または抗体フラグメントと競合する。限定されるものでない例として、かかる抗体または抗体フラグメントは特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αとの結合に対して表1に記載の6つのCDRを含むものである抗体または抗体フラグメントと競合する。以上の全てについて、抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは特異的にPDGFR-αと結合すると解釈される。特定の実施形態において、抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントは特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する。特定の実施形態において、以上の抗体または抗体フラグメントは、好ましいRSA特性、例えば、スクロース非含有と比較して不検出のRSA;関係濃度、例えば、少なくとも10mg/mlで評価した際に約2〜8℃にてHPSECにより測定不能であるRSA;および/または2〜8℃で測定不能でありかつ温度に依存しないRSAをもつ(例えば、RSAは23〜27℃と比較して2〜8℃にて実質的に類似している)スクロース含有製剤で製剤化される。
製剤の調製
本発明は抗体またはその誘導体、類似体もしくはフラグメントの製剤、ならびにスクロースを含む製剤を調製する方法を提供する。特定の実施形態において、製剤は特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントを含む。本発明は特定の実施形態において、製剤が本明細書に開示したまたは特許出願11/833,473に開示した特異的にPDGFR-αと結合する抗PDGFR-α抗体のいずれかを含むことを意図する。特定の実施形態において、製剤は液体製剤である。特定の実施形態において、製剤は凍結乾燥用に好適である。特定の実施形態において、製剤は凍結乾燥用に好適でない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は液体製剤用に特有である。特定の実施形態において、本発明の製剤は製剤のRSAを防止または低減するか、または関係濃度、例えば、4mg/ml超、例えば、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/ml、少なくとも20mg/ml、少なくとも50mg/mlまたは少なくとも100mg/mlで評価した場合、RSAがHPSECにより測定不能である製剤である。
本明細書に記載の製剤を調製する方法は、順化培地(単一ロットまたはプールしたロットの培地)からの抗体(その抗体フラグメントを含む)を精製するステップ、および精製した抗体(その抗体フラグメントを含む)の画分を濃縮するステップを含みうる。
本発明の製剤は水性担体、スクロース、酢酸ナトリウムバッファー、ポリソルベート80、および特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントを含むものであってもよい。製剤のこれらの成分のそれぞれの濃度および/または比率を以下に詳しく記載する。本発明は、以下に記載の成分の特定の濃度のいずれかの組み合わせを含む製剤を意図すると解釈されたい。さらに、任意に他の賦形剤(以下に記載した濃度の)を含みうるのであって、説明はこれらの特性の任意の組み合わせを含む製剤を意図すると解釈されたい。さらに、本発明は、特定の実施形態において、製剤が酢酸ナトリウムバッファーに加えてまたは代わりに異なる酢酸塩バッファーを含みうることを意図する。
特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは製剤中に約1mg/ml〜約100mg/mlの濃度で存在する。他の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは製剤中に約1mg/ml〜約70mg/mlの濃度で存在する。他の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは製剤中に約10mg/ml〜約50mg/mlまたは約20mg/ml〜約50mg/mlの濃度で存在する。他の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは製剤中に約10mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。他の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは製剤中に約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または約75、または約100mg/mlの濃度で存在する。特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントは製剤中に約20mg/mlまたは約50mg/mlの濃度で存在する。
特定の実施形態において、製剤は任意に塩化ナトリウムを含む。一実施形態において、本発明の製剤は水または好適な溶媒を除く他の成分を含まない。言い換えれば、特定の実施形態において、製剤は水性担体、スクロース、酢酸ナトリウムバッファー、ポリソルベート80(PS80)、および特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントから成る。他の実施形態において、水は蒸留水である。ある特定の実施形態において、本発明の製剤中に含まれるPDGFR-αと免疫特異的に結合する抗体は、表1(前掲)に掲げた1以上のVH CDRおよび/または1以上のVL CDRを含む抗体(その抗体フラグメントを含む)である。
特定の実施形態において、本発明の製剤は結晶増量剤を実質的に含まない抗体製剤を提供する。特定の実施形態において、抗体製剤は均質である。好ましい実施形態において、本発明の抗体製剤は無菌でありおよび/または発熱物質を含まない。
本発明の製剤は、部分的に、約4%〜約20%の範囲の濃度でスクロースを含む。特定の実施形態において、製剤は約4%〜約15%スクロース、約4%〜約12%スクロース、約5%〜約12%スクロース、または約6%〜約12%スクロースを含む。他の実施形態において、製剤は約5%〜約10%スクロースまたは約6%〜約10%スクロースを含む。以上は全てw/vで与えられる。他の実施形態において、製剤は約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、または約9%(w/v)スクロースを含む。他の実施形態において、製剤は約10%(w/v)スクロースを含む。他の実施形態において、製剤は約11%、約12%、約13%、約14%または約15%(w/v)スクロースを含む。他の実施形態において、製剤は約16%、約17%、約18%、または約20%(w/v)スクロースを含む。
製剤のpHは、一般に、特別な抗体(その抗体フラグメントを含む)の等電点と等しくないようにすべきであり、約4.0〜約6.0、約5.0〜約6.0、約5.2〜約6.0、または約5.5〜約6.0の範囲でありうる。特定の実施形態において、製剤のpHは約5.5である。特定の実施形態において、製剤のpHは約5.0または約5.2または約6.0である。
スクロースおよびPDGFR-αと特異的に結合する抗体または抗体フラグメントに加えて、本発明の製剤はさらに、約(重量/体積)0.01%、約0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、約0.07%、0.08%、0.09%、または約0.1%のポリソルベート80(PS80)を含む。特定の実施形態において、製剤は約0.05%(w/v)のポリソルベート80を含む。特定の実施形態において、本発明の製剤は約0.01%〜約0.07%、約0.01%〜約0.05%、約0.02%〜約0.06%、または約0.03%〜約0.05%(重量/体積)PS80を含む。特定の実施形態においては、あるいはポリソルベート20を用いてもよくまたはPS80に加えてポリソルベート20を用いてもよい。ポリソルベート20を同様の範囲の濃度にわたり用いてもよい。
特定の実施形態において、製剤中の酢酸ナトリウムバッファーは約25mM〜約150mM;約25mM〜約100mM;約40mM〜約100mM;約50mM〜約100mM;または約50〜約75mMである。特定の実施形態において、製剤中の酢酸ナトリウムバッファーは約25、30、40、45、50、55、60、70、75、80、90、または約100mMである。特定の実施形態において、製剤中の酢酸ナトリウムバッファーは約100、110、125、または約150mMである。特定の実施形態において、製剤は酢酸ナトリウムバッファーに加えて、または代わりに異なる酢酸塩バッファーを含む。例えば、異なる酢酸塩バッファーを酢酸ナトリウムの代わりに用いる場合、かかる酢酸塩バッファーを例示の酢酸ナトリウムバッファーについて述べた先の濃度のいずれかで用いることができる。さらなる例として、酢酸塩バッファーの組み合わせを用いる場合、かかる組み合わせはいずれの比であってもよく、全濃度は例示の酢酸ナトリウムバッファーについて述べた通りである。
特定の実施形態において、水性担体は水、例えば、注射用無菌水である。
特定の具体的実施形態において、製剤は、抗体に加えて、水性担体、50mM酢酸ナトリウム、10%(w/v)スクロース、0.05%(w/v)PS80、pH5.5を含む(または、あるいは、から成る)。他の実施形態において、製剤は、抗体に加えて、水性担体、25mM酢酸ナトリウム、50mM塩化ナトリウム、6%(w/v)スクロース、0.03%(w/v)PS80、pH5.5を含む(または、あるいは、から成る)。他の実施形態において、製剤は、抗体に加えて、水性担体、50mM酢酸Na、50mM塩化ナトリウム、6%(w/v)スクロース、0.03%(w/v)PS80、pH5.5を含む(または、あるいは、から成る)。他の実施形態において、製剤は、抗体に加えて、水性担体、25mMヒスチジン、50mM塩化ナトリウム、6%(w/v)スクロース、0.03%(w/v)PS80、pH5.5を含む(または、あるいは、から成る)。他の実施形態において、製剤は、抗体に加えて、水性担体、25mM酢酸ナトリウム、50mM塩化ナトリウム、10%(w/v)スクロース、0.05%(w/v)PS80、pH5.5を含む(または、あるいは、から成る)。具体的な製剤のいずれかにおいて、抗体濃度は20mg/mlまたは50mg/mlであってもよい。
特定の実施形態において、製剤は1以上の追加成分、例えば賦形剤を含む。特定の実施形態において、製剤はいずれかのさらなる成分、例えば賦形剤を含まない。
特定の実施形態において、本発明の製剤はさらにヒスチジンにより緩衝化してもよい。本明細書の製剤中に含まれるヒスチジンの濃度は1mM〜100mM、5mM〜50mM、および10mM〜約25mMの範囲であってもよい。具体的な実施形態において、本発明の製剤中に含まれるヒスチジンの濃度は5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、または50mMである。ヒスチジンはL-ヒスチジン、D-ヒスチジン、またはそれらの混合物の形態であってもよいが、L-ヒスチジンが最も好ましい。ヒスチジンはまた、水和物の形態であってもよい。ヒスチジンは製薬上許容される塩、例えば、塩酸塩(例えば、一塩酸塩および二塩酸塩)、臭化水素塩、硫酸塩、酢酸塩、などの形態で用いることができる。ヒスチジンの純度は少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、そして最も好ましくは少なくとも99.5%であるべきである。本明細書に使用するヒスチジンの文脈における用語「純度」は当技術分野で理解されるように例えば、The Merck Index, 13th ed., O'Neil et al. ed.(Merck & Co., 2001)に記載のヒスチジンの化学純度を意味する。特定の実施形態において、製剤はヒスチジンを含まない。
製剤はさらに150mM未満、100mM未満、75mM未満、50mM未満、10mM未満、3.0mM未満、または2.0mM未満の濃度のグリシンを含んでもよい。製剤中のグリシンの量は、等電点における抗体沈降を回避するために有意な緩衝化を引き起こしてはならない。特定の実施形態において、製剤はグリシンを含まない。
他の実施形態において、本発明の製剤はさらにNaClを含んでもよい。製剤中に含まれるNaClの濃度は10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、または70mMの範囲である。しかし、他の実施形態において、製剤は特に追加のNaClを含まない。
任意に、製剤はさらに他の賦形剤、例えば、糖(例えば、マンノース、トレハロース、など)、ポリオール(例えば、マンニトール、ソルビトールなど)、および界面活性剤を含んでもよい。一実施形態において、他の賦形剤は糖である。具体的な実施形態において、糖はトレハロースであり、その濃度は製剤の約1%〜約15%、約5%〜約12%、および 約8%〜10%の範囲にある。他の実施形態において、トレハロースの濃度は製剤の1%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、または 10%である。他の実施形態において、賦形剤はポリオールである。好ましくは、しかし、製剤はマンニトールを含有しない。特定の実施形態において、製剤はスクロース以外のいずれのさらなる糖も含まない。特定の実施形態において、製剤はいずれのポリオールも含まない。特定の実施形態において、製剤はスクロース以外のいずれのさらなる糖も含まずかついずれのポリオールも含まない。上記のいずれかの特定の実施形態において、製剤はPS80以外のいずれのさらなる界面活性剤も含まない。
上記のいずれについても、注目すべきことは製剤中の抗体または抗体フラグメントが所望の生物学的活性を保持することである。例えば、抗PDGFR-α抗体は特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する能力を保持する。
特定の実施形態において、本発明の製剤は、38〜42℃の温度範囲にて少なくとも15日および、いくつかの実施形態においては、1か月以下の間、安定性を示す。さらにまたはあるいは、特定の実施形態において、製剤は20℃〜24℃または23℃〜27℃の温度範囲にて少なくとも6か月間、および/または2℃〜8℃の温度範囲にて少なくとも6か月間、少なくとも1年間、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも2.5年間、少なくとも3年間または少なくとも4年間安定である。さらにまたはあるいは、特定の実施形態において、製剤は-20℃の温度にて少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、または少なくとも5年間安定である。安定性は、例えば、高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により評価することができる。特定の実施形態において、安定性は経時的な純度のレベルの維持により評価することができる。例えば、特定の実施形態において、本発明の製剤は、HPSECにより測定して、2〜8℃にて貯蔵した場合、1%未満、0.8%未満、0.75%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、またはさらに0.4%未満/年の純度低下を有する。一実施形態において、本発明の製剤は6か月超、1年間超、または18か月超の有効期間を有し、断片および/または凝集種の存在または非存在をモニターするHPSECにより測定して2〜8℃にて6か月間に0.2%未満の純度低下であった。
特定の実施形態において、本発明の製剤は、上記の規定期間の貯蔵後、低〜不検出レベルの凝集および/または断片化を助成する。好ましくは、上記の規定期間の貯蔵後、HPSECにより測定して、抗体(その抗体フラグメントを含む)の5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、および最も好ましくは0.5%以下が断片または凝集物(可逆的または非可逆的)を形成する。さらに、本発明の製剤によって、PDGFR-αと免疫特異的に結合する抗体(その抗体フラグメントを含む)の能力を測定する、例えば、酵素結合免疫吸着試験法(ELISA)およびラジオイムノアッセイを含む様々な免疫学的試験法により評価して、上記の条件下の長い貯蔵期間中の抗体(その抗体フラグメントを含む)の生物活性の喪失はほとんど無くなる。本発明の製剤は、以上の規定期間の貯蔵後、貯蔵前の製剤の初期生物活性の80%超、85%超、90%超、95%超、98%超、99%超、99.5%超、99.8%超、または99.9%超の保持を助成する。いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、以上の規定期間の貯蔵後、貯蔵前の抗体を代表する参照抗体と比較して、生物活性(例えば、PDGFR-αと結合する能力)の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、少なくともまたは少なくとも99.9%の保持を助成する。
特定の実施形態において、製剤は、本明細書に記載した好ましい非RSA特性を有する。特定の実施形態において、製剤中の抗体のRSAは、関連濃度、例えば、4mg/mlより高い、例えば少なくとも10mg/mlの濃度で評価した場合、HPSECにより2〜8℃にて測定不能である。さらにまたは代わりに、製剤中の抗体のRSAは、HPSECおよびAUCの1つまたは両方により関連濃度で測定した場合、2〜8℃と23〜27℃では実質的に類似している。本発明者らが注目したこととして、RSAが低減または消滅したかどうかを評価する場合、HPSEC分析を関連濃度、例えば、10mg/mlまたは20mg/mlで実施することが重要である。これが重要である理由は、RSA傾向の測定が抗体を十分に低い濃度まで希釈することにより誤って歪曲されうるからである。従って、例えば、1〜4mg/mlの濃度にて測定した場合、RSAがHPSECにより不検出であるという評価は、抗体が貯蔵および/または使用されうる濃度により近い濃度で評価した場合のように、抗体のRSA特性の良い指標とならないであろう。従って、RSAが実際に消滅しかつHPSECにより2〜8℃にて測定不能であるかどうかの適当な評価をするには、約10mg/ml以上の適当な濃度で分析を行うことが重要である。
特定の実施形態において、製剤は、2〜8℃で評価した場合、好ましい非RSA特性、例えば、製剤中の抗体の少なくとも95%が非自己会合の単量体型で存在する。他の実施形態において、製剤中の抗体の少なくとも約96%、97%、98%、または99%は、2〜8℃で評価した場合、非自己会合の単量体型で存在する。他の実施形態において、製剤中の抗体の約95%、96%、97%、98%、または約99%は、2〜8℃で評価した場合、非自己会合の単量体型で存在する。
本発明の製剤は単位投与製剤として調製することができる。例えば、1バイアル当たりの単位用量は、約1mg/ml〜約100mg/ml、約5mg/ml〜約100mg/ml、約10mg/ml〜約100mg/ml、約15mg/ml〜約70mg/ml、または約20mg/ml〜約50mg/mlの範囲の異なる濃度のPDGFR-αと免疫特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、15ml、または20ml含有しうる。必要であれば、それぞれのバイアルに無菌希釈剤を加えることにより、これらの調製物を所望の濃度に調節することができる。
本発明の製剤は滅菌濾過を含む様々な滅菌法により滅菌してもよい。特定の実施形態においては、例えば、予め滅菌した0.2ミクロンフィルターを用いて抗体製剤を濾過滅菌する。本発明の無菌製剤を疾患または障害を予防、治療または改善するために、被験者に投与してもよい。
初期製剤中のMabAのRSA傾向の特性
スクロース非含有の初期製剤中のMabAのRSA傾向を10mg/mlの抗体濃度にて評価した。前記初期製剤は、抗体に加えて、水中に、50mM酢酸ナトリウム、100mM NaCl、0.01%(w/v)PS80、pH 5.5を含有した。2〜8℃にて10mg/mlでのタンパク質濃度において、単量体ピークのリード端の肩部をHPSECにより検出された。このHPSEC肩部は、MabAの約80分間、23〜27℃での平衡後または4mg/ml以下のタンパク質濃度への希釈後には観察されなかった。超遠心分析(AUC)を含む特性研究を実施してMabAのHPSEC肩部の性質をさらに調べた。その結果を以下に総括する。
AUCにより得たサイズ分布結果は、肩部形成が温度依存性であることを示すHPSECデータと一致する。4℃で行ったMabA(10mg/ml)のAUC分析は、より高いS(沈降係数;Svedbergs)におけるピークの広がりを示し、自己会合を示唆した。同じ濃度で25℃ではピークの広がり(自己会合)のないことが観察された。
自己会合は濃度依存性であり、より低い抗体濃度では減少した。2〜8℃および4mg/ml以下のタンパク質濃度で、HPSECにより肩部は観察されなかった。4℃におけるAUCによるサイズ分布分析は低いタンパク質濃度にて産物ピークの広がりの減少を示した。
HPSEC肩部画分を採集し、HPSECにより再分析し、肩部のない単量体として溶出した。
10mg/ml(2〜8℃)において、多角光散乱(MALS)分析によるHPSECは、肩部が213kDaの見かけ分子量を有することを示した。この見かけの分子量は自己会合と一致する。
23〜27℃にて2時間平衡後に、MabA(10mg/ml)を2〜8℃に戻し、肩部を数時間内にHPSECにより観察した。この結果は、2〜8℃にて室温平衡後、肩部が検出されるには数時間を要することを示した。
高分子量型は単量体と比較して光散乱の強度の増加を引き起こすことは公知である。HPSEC肩部(見かけ分子量213kDa)に存在するMabAの解離は、それ故に、光散乱の減少をもたらすことが予想される。光散乱検出による停止流の動力学研究は、4℃におけるMabA希釈(10mg/mgから1mg/mlへ)時に光散乱シグナルの急速な低下があることを示した。同じ希釈時に、対照IgG2およびIgG1抗体(RSA傾向を示さない対照抗体)は光散乱シグナルの低下を示さなかった。この結果は、希釈後の肩部種の解離が速く、見かけ半減期14秒であることを示唆する。
総括すると、MabAの直交サイズ分布分析により観察される肩部は温度およびタンパク質濃度依存性であることを示し、抗体の室温平衡後に観察されないことを示す。この動力学研究は、希釈時の肩部に存在するMabAの急速な解離および2〜8℃における緩慢な再会合を示唆する。
注目すべきは、RSAが低減または消滅したかどうかを評価する場合、HPSEC分析を関連濃度、例えば、少なくとも10mg/ml、例えば、10mg/mlまたは20mg/mlにて行うことが重要である。これが重要である理由は、RSA傾向の測定が抗体を十分に低い濃度まで希釈することにより誤って歪曲されうるからである。従って、例えば、1〜4mg/mlの濃度にて測定した場合、RSAがHPSECにより不検出であるという評価は、抗体が貯蔵および/または使用されうる濃度により近い濃度で評価した場合のように、抗体のRSA特性の良い指標とならないであろう。従って、RSAが実際に消滅しかつHPSECにより2〜8℃にて測定不能であるかどうかを適当に評価するためには、適当な濃度、例えば、少なくとも約10mg/ml、例えば、約10mg/ml、約12mg/ml、約15mg/ml、または約20mg/mlのような適当な濃度で分析を行うことが重要である。しかしこれは、測定をいくつもの濃度のいずれでも行うことができないことを意味するものではない。さらに、RSAは10mg/mlにて測定不能であると云うことは20mg/mlにて測定可能であることを意味しない。特定の実施形態において、約10mg/ml、約20mg/mlおよび/または約50mg/mlの濃度で評価した場合、RSAはHPSECにより2〜8℃にて検出不能である。
抗体の生物物理学的特性をモニタリングする方法
本発明は、部分的に、製剤中の抗体のRSA傾向を防止する方法に関する。かかるものとして、いくつかの実施形態において、RSA傾向の存在および/または程度を評価する方法は、抗体製剤の改変時にRSAが防止されたかどうかを確認するために有用である。さらに、かかる技法は初期製剤中のRSAを試験するため、例えば、特別な製剤中の抗体のRSA傾向にとって再製剤が有利であるかどうかを評価するために用いることができる。
タンパク質の特定の生物物理学的特性を測定しかつ比較するために様々な分析技法および計器を利用することができて、それらは当技術分野で周知である(例えば、Cantor, C. R. and Schimmel, P. R. (1980). Biophysical Chemistry: Pt. II: Techniques for the Study of Biological Structure and Function(生物学的構造と機能を研究する技法). W. H. Freemanを参照されたい)。
例示の実施形態において、RSAの存在は、相対サイズ(例えば、平均抗体水力学的半径)熱安定性、または二次/三次立体配座の変化により評価することができる。いくつかの実施形態において、動的光散乱(DLS)、超遠心分析(AUC)、または高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)を用いて、分子の平均半径および/または形状のいずれかの変化を確認することができる。かかる技法を用いると、所与の製剤中の抗体のRSAの存在または程度を評価しかつ比較することができる。
例えば、抗体のRSAを冷温条件、例えば、5℃においてHPSECにより評価する場合、抗体分子は典型的には単量体種、または二量体種として溶出し、それぞれの相対量は所与の抗体に対してユニークである。MabAは、例えば、主に単量体として溶出し、二量体の存在は少ない。MabAのRSAは、約2〜8℃にて、単量体ピークの先行端のサイン「引きずり(drag)または肩部」により検出することができる(図1Aを参照)。対照的に、約2〜8℃にて、MabA RSAを防止する製剤ではこの肩部が存在しない(図2Aを参照)。従って、RSAは有意に低減し、関連濃度、例えば10mg/mlにて評価する場合、測定不能である。いくつかの実施形態において、所与の製剤中の抗体を、本明細書に記載の方法を用いて、RSA傾向を有しない対照抗体と比較することができる。
さらに、5℃にてDLSを用いて、抗体サイズを抗体再製剤の前後で測定しかつ比較して、再製剤がRSAを防止したかまたは低下させたかどうかを確認することができる。例えば、水力学的半径ならびに各ピークの幅を比較して2つの製剤間に統計的有意な差が存在するかどうかを確認することができる。再製剤時の所与の温度におけるピークの統計的に有意な狭窄はRSAの不検出を示す(図1Bと2Bを比較されたい)。あるいは、新製剤における5℃での抗体の水力学的半径の、先の製剤と比較した統計的に有意な減少は、新製剤の結果として抗体のRSAが防止または低減されたことを示す。
さらに全体の立体配座変化を、分子の二次または三次構造に対する変化のモニタリングにより、例えば、円二色性(CD)または二次誘導体UV、それぞれ、により、または例えば、示差走査熱量計(DSC)による分子の熱安定性の一般評価により評価することができる。抗体安定性を評価する他の方法には、例えば、電荷移動吸収、蛍光分光計、NMR、および HPSECが含まれる。例えば、Wang et al., 1988, J. of Parenteral Science & Technology 42(supp):S4-S26を参照されたい。HPSECは、タンパク質凝集体、タンパク質分解およびタンパク質断片化を評価する最も一般的で最も簡単な方法の一つである。従って、本発明の製剤の安定性はこれらの方法により評価することができる。さらに、疎水性表面曝露の増加の結果としての抗体立体配座の変化は1-アニリノ-8-ナフタレンスルホン酸(ANS)結合により直接測定することができる。ANSはタンパク質表面上の疎水性パッチと選好的に結合することが公知の蛍光染料である。結合はANS蛍光強度の増加をもたらし、表面疎水性の変化の直接評価を可能にする。
本発明の製剤の安定性および/または活性はまた、製剤中の抗PDGFR-αまたはその抗原-結合フラグメントの生物学的活性を測定するいずれかの試験法により評価することができる。抗体の生物学的活性には、限定されるものでないが、抗原-結合活性が含まれる。抗PDGFR-αまたはその抗原-結合フラグメントの抗原-結合活性は当技術分野で公知のいずれかの方法により測定することができ、それには、限定されるものでないが、ELISA、ラジオイムノ試験法、ウェスタンブロットなどが含まれる。例えば、ELISAに基づく試験法を用いて、抗PDGFR-αまたはその抗原-結合フラグメントのPDGFR-α抗原と免疫特異的に結合する能力を、抗PDGFR-α参照標準と比較することができる。
所与の抗体の生物物理学的特性のいずれかを評価および/または比較する際に、生物物理学的特性の統計的有意差が所与の温度において2以上の製剤中の抗体について測定または観察できる場合、RSAの防止または低減が達成される。例えば、関連濃度、例えば、10mg/mlにてRSAを評価するHPSECを用いて、製剤A(RSAを示す製剤)のMabA単量体ピークのサインを製剤B(再製剤)のMabA単量体ピークのサインと5℃にて比較することができる。もしMabAが製剤Bの単量体ピーク肩部の非存在を示せば、RSAの防止または低減は達成されている。他の実施形態において、所与の製剤中の抗体のRSAの程度は2つの異なる温度(例えば、5℃対25℃)における本明細書に記載の生物物理学的特性を比較することにより評価することができる。例えば、RSAを防止または低減すると実証された製剤中の抗体を、再製剤時に、新製剤中の抗体を2つの異なる温度にて例えば、DLSにより評価してもよい。もしDLSが5℃と25℃において製剤中の抗体の水力学的半径の差が統計的に有意であれば、抗体のRSAは新製剤の結果として軽減されている。統計的に有意な/非有意な差の決定は当技術分野で周知である。一貫して記載したように、RSAの低減または防止を評価するこれらの方法を用いる場合、試験法に与えられた関連濃度で評価することが重要である。例えば、HPSECについては、関連濃度、例えば10mg/mlにおいて評価することが重要である。何故なら、製剤中の抗体の十分低い十分な濃度への希釈はRSA傾向が低下し、抗体が貯蔵および/または使用条件に関連する濃度における製剤中でいかに作用するかに誤った評価を与えうるからである。特定の実施形態においては、HPSEC評価を抗体貯蔵濃度、例えば、約20mg/mlと同じ濃度でまたは近くで実施する。
注意すべきは、RSAが低減または消滅されたかどうかを評価する場合、HPSEC分析を関連濃度、例えば、少なくとも10mg/ml、例えば、10mg/ml、12mg/ml、15mg/ml、18mg/ml、または20mg/mlにて行うことが重要である。これが重要であるのは、RSA傾向の測定は抗体を十分に低い濃度に希釈することにより誤って歪曲されうるからである。従って、例えば、1〜4mg/mlの濃度にて測定した場合、RSAがHPSECにより不検出であるという評価は、抗体が貯蔵および/または使用されうる濃度により近い濃度で評価された場合のような抗体の正確なRSA特性の指標とならないであろう。従って、RSAが実際に消滅しかつHPSECにより2〜8℃にて測定不能であるかどうかを適当に評価するためには、適当な濃度、例えば、少なくとも約10mg/ml、例えば、約10mg/ml、約12mg/ml、約15mg/ml、または約20mg/mlのような適当な濃度で分析を行うことが重要である。しかしこれは、測定をいくつもの濃度のいずれでも行うことができないことを意味するものではない。さらに、RSAは10mg/mlにて測定不能であると云うことは20mg/mlにて測定可能であることを意味しない。特定の実施形態において、約10mg/ml、約20mg/mlおよび/または約50mg/mlの濃度で評価した場合、RSAはHPSECにより2〜8℃にて検出不能である。
本発明の抗体製剤の純度は、当業者に周知のいずれかの方法、例えば、HPSECにより測定することができる。抗体製剤の無菌性は次のようにして評価することができる:抗体製剤を0.45μmの名目多孔性を有する無菌フィルターを通して濾過することにより、無菌ダイズカゼイン消化培地および液状チオグリコール酸培地に試験抗体製剤を接種する。Sterisure(登録商標)またはSteritest(登録商標)方法を用いる場合、各フィルターデバイスを、およそ100mlの無菌ダイズ-カゼイン消化培地または液状チオグリコール酸培地で無菌的に満たす。通常の方法を用いる場合、チャレンジフィルターに無菌的に100μmlの無菌ダイズ-カゼイン消化培地または液状チオグリコール酸培地を移す。培地を適当な温度にてインキュベートし、細胞または真菌増殖の確証について14日間にわたり3回観察する。
(iv)使用法
(a)診断の使用法
特定の実施形態において、本発明の低RSA製剤をin vivoおよび/またはin vitroで使用することができる。例示として、特異的にPDGFR-αと結合する抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメント(例えば、表1に記載の1以上のCDRを含む抗体またはフラグメント;表1に記載の6つのCDR全てを含む抗体またはフラグメント;表1に記載の6つのCDR全てを含む抗体またはフラグメントと同じエピトープに結合する抗体またはフラグメント;表1に記載のVHおよびVLドメインの1つまたは両方を含む抗体またはフラグメント;表1に記載のVHおよびVLドメインの1つまたは両方を含む抗体またはフラグメントと同じエピトープに結合する抗体またはフラグメントなど)を含む本発明の製剤を、in vivoおよび/またはin vitroで、例えば、細胞および組織中のPDGFR-α発現を検出するために、またはPDGFR-αを発現する細胞および組織を画像化するために用いることができる。特定の実施形態において、抗体はヒト抗体であり、かかる抗体を用いて生存ヒト患者におけるPDGFR-α発現を画像化する。
例示として、診断用途は、例えば、試験すべきサンプルを、場合によっては対照サンプルと共に、抗体とPDGFR-α間の複合体形成を可能にする条件下で抗体と接触させることにより達成することができる。複合体形成を次いで(例えば、ELISAを用いてまたは抗体と結合した部分を検出するイメージングにより)検出する。対照サンプルを試験サンプルと共に用いて、複合体が両方のサンプル中に検出されかつサンプル間の複合体形成に有意差がある場合、試験サンプル中のPDGFR-αの存在を示す。
一実施形態において、本発明はPDGFR-αを含有すると疑われるサンプル中のPDGFR-αの存在を確認する方法であって、サンプルを本発明の製剤中の抗PDGFR-α抗体に曝すステップ、および抗体のサンプル中のPDGFR-αとの結合を確認するステップを含むものであり、ここで抗体のサンプル中のPDGFR-αとの結合はサンプル中のPDGFR-αの存在を示す前記方法を提供する。一実施形態において、本サンプルは生体サンプルである。例示の実施形態においては、この方法を用いてin vitroで、癌性または潜在的に癌性のサンプル、例えば腫瘍バイオプシーがPDGFR-αを発現または過発現する細胞を含有するかどうかを評価する。かかるin vitro診断を用いて、患者が抗PDGFR-α抗体による治療に特に応答しうるかどうかを評価することができる。
特定の実施形態においては、本発明の製剤中の抗PDGFR-α抗体を用いてin vivo診断試験法に用いるPDGFR-αの過発現または増幅を検出することができる。一実施形態においては、抗PDGFR-α抗体をサンプルに加えると、抗体は検出すべきPDGFR-αと結合して検出可能な標識(例えば放射性同位体または蛍光標識)でタグ付けし、その結果、標識の局在について患者を外部から走査することができる。
あるいは、またはさらにFISH試験法、例えばINFORM(登録商標)(販売元:Ventana、Ariz.)またはPATHVISION(登録商標)(Vysis、Ill.)をホルマリン固定しパラフィン包埋した組織で行い、サンプル中のPDGFR-α発現の程度(もし有れば)または過発現を確認することができる。
上記のいずれかの特定の実施形態において、診断試験法をヒト患者またはヒト患者からのサンプルについて実施すると、抗PDGFR-α抗体はヒトPDGFR-αと特異的に結合する。注意すべきは、任意に、抗PDGFR-α抗体はまた、1以上の他の種由来のPDGFR-αと特異的に結合し、それによりヒトおよび好適な動物モデルの両方における前記抗体の使用および/または試験を促進する。
注意すべきは、特異的にPDGFR-αと結合しかつ本明細書に記載のように製剤することができる他の例示の抗PDGFR-α抗体は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる米国特許出願公開2008-0089837に記載されている。本発明はいずれかのかかる抗体を、本明細書に記載の通り製剤し、例えば、診断法に利用できることを意図する。
(b)治療の使用法
特定の実施形態において、本発明は本明細書に記載の抗体および製剤を治療に、例えば、ヒトまたは非ヒト被験体の治療に使用できることを意図する。特定の実施形態において、前記製剤は本発明のRSA不検出製剤である。例として、特異的にPDGFR-αと結合する抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメント(例えば、表1に記載の1以上のCDRを含む抗体またはフラグメント;表1に記載の6つのCDR全てを含む抗体またはフラグメント;表1に記載の6つのCDR全てを含む抗体またはフラグメントと同じエピトープに結合する抗体またはフラグメント;表1に記載のVHおよびVLドメインの1つまたは両方を含む抗体またはフラグメント;表1に記載のVHおよびVLドメインの1つまたは両方を含む抗体またはフラグメントと同じエピトープに結合する抗体またはフラグメントなど)を含む本明細書に記載の製剤をヒトまたは非ヒト被験体を治療する方法の一部として投与することができる。特定の実施形態において、治療法に用いる製剤は、抗体またはフラグメントのRSAが初期製剤と比較して防止または低減された製剤である。他の実施形態において、前記製剤は、HPSECにより約2〜8℃にて少なくとも約10mg/mlの濃度で評価した場合、抗体または抗体フラグメントのRSAが測定不能である製剤である。
特定の態様において、本発明による抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントを含む製剤はそれを必要とする被験体、例えば、ヒト被験者を治療するために投与することができる。治療することができる例示の症状には、限定されるものでないが、新生物症状が含まれる。さらなる例示の症状は、PDGFR-αまたはPDGFR-αシグナル伝達の過発現または誤調節に関連する症状である。
特定の態様において、本発明はそれを必要とする被験体の新生物症状を治療する方法であって、前記被験体に、特異的にPDGFR-αと結合する抗PDGFR-α抗体を含む本明細書に記載の製剤の治療上有効な量を投与するステップを含むものである前記方法を提供する。かかる製剤に用いるために好適な抗体は、本明細書ならびに、参照によりその全てが組み込まれる米国特許出願2008-0089837に記載されている。本明細書に詳述した疾患のいずれか、例えば、本明細書に記載の新生物疾患のいずれかを治療することができる。さらに、本発明はいずれかのかかる製剤を、特別な症状に適当な治療レジメンの一部として使用できることを意図する。例示として、好適なレジメンには、本明細書に記載の通り製剤化した抗PDGFR-α抗体に加えて、(i)1以上の他の薬剤、例えば、化学治療薬、他の抗体、他の小分子インヒビターs;(ii)照射療法;(iii)外科;(iv)食事レジメン;(v)骨髄移植;(vi)幹細胞移植;(vii)透析;(viii)物理的な療法;(ix)皮膚移植術;(x)鍼治療;(xi)酸素療法;(xii)インスリン療法;(xiii)禁煙;などの1以上を含みうる。薬物または生物薬でない治療介入も本明細書では他の治療様式または他の療法を意味する。例示の薬剤および薬剤の組み合わせを以下に記載する。
癌の治療に使用するために特に好適なのは、特異的にPDGFR-αと結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体(およびフラグメント)ならびにそれらの製剤である。例には、表1に記載の配列を含む抗体および/またはそれと同じエピトープに結合する抗体および/または米国特許出願11/833,473に記載の抗体が含まれる。好適な抗体は、PDGFR-αに対するそれらの親和性に基づいて、リガンドのPDGFR-αとの結合をブロックするそれらの能力、および中和化能力に基づいて同様に記載することができる。PDGFR-α抗体の活性を特徴付ける好適な方法は当技術分野で公知であり、また、参照によりその全てが組み込まれる米国特許公開2008-0089837にも記載されている。
投与する特別な製剤に関わりなく、有効量を患者に投与する。本明細書で使用する用語「有効量」は、疾患または障害の重症度および/または期間を軽減するおよび/または改善する;前記疾患または障害の進行を阻止するかまたは遅くする;前記疾患または障害の後退を引き起こす;前記疾患または障害に関連する1以上の症候群の再発、発生、または発症を阻止するかまたは遅くする;または他の療法の効果を増強するかまたは改善するために十分な治療法の量を意味する。効果の測定可能なサインは単一用量後に観察可能でないであろうと解釈される。
症状または疾患を「治療する」は、症状または疾患の少なくとも1つの症候を治療ならびに改善することを意味するものであり、組成物を受けない被験体と比較して、それを必要とする被験体の医療症状の症候群の頻度の低減、または発症を遅くする組成物の投与を含む。従って、癌を治療することは、例えば、統計的および/または臨床的に有意な量だけ、例えば、未治療の対照集団と比較して、治療を受ける患者の集団における検出可能な癌増殖の数を低減すること、および/または未治療の対照集団と比較して治療集団における検出可能な癌増殖の出現を遅れさせることを含む。例示として、癌の治療は、例えば、疾患進行の遅延、転移の遅延または阻止、転移数の低減、寿命の延長、い疼痛の軽減(例えば、疼痛を引き起こす腫瘍のサイズの低減によるなど)を含む。他の例として、疼痛の治療は、無治療集団と比較した治療集団における被験体が経験する疼痛感覚の程度の軽減または遅延を含む。
特定の実施形態においては、治療の進行および効力を治療中および/または治療後にモニターする。例えば、新生物症状は、特別な症状に対して好適な方法、例えば、血液試験、検便、X線、CTスキャン、MRI、バイオプシー、PETスキャンなどを用いてモニターすることができる。さらに、治療は、症候群の改善、例えば、疼痛の減少(例えば、患者は疼痛の少ない投薬を要求/使用する)、追加酸素への依存度の減少、食欲の改善、体重取得、疲労の減少、移動度の増加などの評価に基づいてモニターすることができる。
本発明は、部分的に、被験体、好ましくはヒトに、PDGFR-αの異常な発現および/または活性に関連するまたは特徴付けられる疾患または障害を治療、管理または改善するために、本明細書に記載の抗体製剤(または「抗体製剤」または「製剤」)を投与することに関わる抗体に基づく療法を提供する。例えば、抗体はPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害し、それにより、腫瘍増殖を阻害することができる、または抗体は薬剤と会合しそして致死性毒素を標的化した細胞に送達することができる。特別な実施形態においては、本発明の製剤を用いて、新生物疾患、例えば、以下に詳述した疾患のいずれかの1以上の疾患を治療する。抗PDGFR-α抗体は、線維性疾患、例えば、心臓、肺、肝臓、腎臓または皮膚線維症を治療する上で治療効果を有しうる。抗PDGFR-α抗体はまた、同種移植片脈管障害または再狭窄の治療に治療効果を有しうる。さらに、抗PDGFR-α抗体は病状、とりわけ、新生物、線維性および免疫系疾患の診断薬として有用である。
例示の治療可能な新生物疾患には、例えば、癌、すなわち、黒色腫、小細胞性肺癌、非小細胞性肺癌、神経膠腫、肝細胞(肝臓)癌、甲状腺腫瘍、胃癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌、グリア芽細胞腫、子宮内膜癌、腎臓癌、結腸癌、膵臓癌、食道癌、頭部および首癌、中皮腫、肉腫、胆汁癌(胆管癌)、小腸腺癌、小児科悪性疾患、類表皮癌、および胃腸間質腫瘍(GIST)などが含まれる。特定の実施形態において、本方法は疾患の原発部位である上記癌(例えば、原発性癌)のいずれかの1以上を治療することを含む。特定の他の実施形態において、本方法は転移性である上記癌のいずれかの1以上を治療することを含む。
特定の実施形態において、本方法はグリア芽細胞腫多形であるグリア芽細胞腫を治療する方法を含む。特定の実施形態において、本方法は卵巣癌を治療する方法を含む。特定の実施形態において、本方法は肝細胞癌を治療する方法を含む。特定の実施形態において、本方法は非小細胞性肺癌を治療する方法を含む。特定の実施形態において、本方法は、腎細胞癌(RCC)、転移性RCC、または明細胞RCCである腎臓癌を治療する方法を含む。本発明は原発性腫瘍および/または転移性疾患などの疾患を治療することを意図する。
特定の実施形態において、本方法は次の癌:繊維形成性小円形細胞腫瘍、グリア芽細胞腫多形、類繊維腫瘍、軟骨肉腫、進行性神経内分泌腫瘍、腎細胞癌(転移性RCCを含む)、明細胞RCC、皮膚線維肉腫、転移性黒色腫、Merkel細胞癌、巨細胞線維芽細胞腫(GCF)、HIV関連カポジ肉腫、頚部癌、精巣癌、肛門癌、胆嚢癌、および骨癌のいずれか1以上を治療することを含む。本発明は原発性腫瘍のような疾患および/または転移性疾患を治療することを意図する。
特定の実施形態において、本方法は造血性または血液悪性、例えば過効酸性症候(HES);真性赤血球増加症(PV);骨髄腫(多発性骨髄腫を含む);白血病;またはリンパ腫を治療することを含む。特定の実施形態において、前記悪性は白血病またはリンパ腫、例えば急性骨髄性白血病(AML);急性リンパ性白血病(ALL);慢性骨髄性白血病(CML);慢性リンパ性白血病(CLL);毛様細胞白血病;ホジキンリンパ腫;または非ホジキンリンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫、リンパ芽球リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、皮膚のT-細胞リンパ腫などである。
本発明は、特異的にPDGFR-αと結合する抗PDGFR-α抗体を含むものである製剤、例えば、本明細書に記載の製剤および抗体の投与を含む方法を提供する。かかる方法は、本明細書に記載の、製剤された前記抗体の有効量を投与することによる、前記癌のいずれかを治療する方法を含む。さらに、本方法はかかる製剤を、1以上の他の薬剤および/または1以上の他の治療様式と組み合わせて治療レジメンの一部分として、投与することを含む。しかし、注意すべきは、PDGFR-α抗体(またはフラグメント)の投与が唯一の療法(例えば、単独療法)である方法も意図する。
以上に注目したように、本発明は、特定の実施形態において、抗PDGFR-α抗体を含む製剤を治療レジメンの一部分として、 1以上の他の薬剤および/または 1以上の他の治療様式と共に投与することを提供する。これらの薬剤および/または治療様式のいずれかを抗PDGFR-α抗体と組み合わせて用いて、上記癌または症状のいずれかを治療することができる。好適な他の薬剤および/または治療様式の選択は特別な疾患、患者の症状、患者の年齢、症候群などに依存しうる。例示として、他の好適な治療用市域は、限定されるものでないが、外科、照射療法、骨髄移植、幹細胞移植、透析、インスリン療法、食事、物理療法、禁煙、酸素療法、換気補助、鍼治療などを含む。例示として、他の好適な薬剤は、限定されるものでないが、化学治療薬、ホルモン、麻薬(例えば、疼痛管理のため)、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、鎮痛薬などを含む。これらの薬剤および/または治療様式のいずれか1以上は治療レジメンの一部分として用いることができる。
PDGFR-αポリペプチドの異常な発現および/または活性に関連するまたは特徴付けられる疾患または障害、自己免疫性疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染に関連する1以上の症候群を予防、管理、治療、または改善するために有効であることが公知である、または用いられてきた、または現在用いられるいずれかの好適な薬剤を本発明の抗体製剤と組み合わせて、いずれかの1以上の症状、例えば、1以上の本明細書に詳述した癌を治療する治療方法の部分として用いることができる。
特定の実施形態において、好適な治療レジメンは、抗PDGFR-α抗体(例えば、本明細書に記載のように製剤化した抗PDGFR-α抗体または抗体フラグメントなど)に加えて、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、抗代謝物、抗血管形成薬、アポトーシス剤、アルカロイド、COX-2、および抗生物質から選択される医薬特性を持つ1以上の薬剤、ならびにこれらの組み合わせを含む。例示として、特定の実施形態において、前記薬物は窒素 マスタードのグループ、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホン酸、ニトロソウレア、トリアゼン、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、COX-2インヒビター、ピリミジン類似体、プリン類似体、抗代謝物、抗生物質、酵素、エピポドフィロトキシン、白金配位複合体、ビンカアルカロイド、置換された尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質性抑制剤、エンドスタチン、タキソール、カンプトテシン、オキザリプラチン、ドキソルビシンおよびそれらの類似体、およびそれらの組み合わせから選択することができる。
癌症状、例えば、本明細書に記載の癌症状のいずれかを治療するための治療レジメンの部分として使用する薬剤のさらなる非限定の例は、アントラサイクリン、例えばドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、イダルビシン、デトルビシン、カミノマイシン、エピルビシン、エソルビシン、およびモルホリノおよび置換された誘導体、それらの組み合わせおよび改変物を含む。癌症状、例えば、本明細書に記載の癌症状のいずれかを治療するための治療レジメンの部分として使用する薬剤のさらなる例は、cis-白金、タキソール、カリケマイシン、ビンクリスチン、シタラビン(Ara-C)、シクロホスファミド、プレドニソン、ダウノルビシン、イダルビシン、フルダラビン、クロランブシル、インターフェロンα、ヒドロキシウレア、テモゾロミド、サリドマイド、およびブレオマイシン、およびそれらの誘導体、組み合わせおよび改変物を含む。特定の実施形態において、前記薬剤はドキソルビシン、モルホリンモドキソルビシン、またはモルホリノダウノルビシンである。本明細書に記載したように、治療レジメンはいずれかの1以上のさらなる薬剤および/またはいずれか1以上のさらなる治療様式を含んでもよい。しかし、特定の実施形態においては、抗PDGFR-α抗体を単独療法として投与し、かつそのレジメンはさらなる療法を含まない。
簡略に説明するために、単独でまたは組み合わせ方法の一部としてそれぞれ他の薬剤および/または他の療法と組み合わせて用いることができる他の薬剤のリストを以下に掲げた。
好適な薬剤は次を含む:
(i)医療腫瘍学で使用される、他の抗増殖性/抗悪性腫瘍薬およびそれらの組み合わせ、例えば、アルキル化剤(例えば、cis-プラチン、オキザリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、窒素マスタード、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、テモゾラミドおよびニトロソウレア);抗代謝物(例えばゲムシタビンおよび葉酸代謝拮抗薬、例えば、フルオロピリミジン様5-フルオロウラシルおよびテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、およびヒドロキシウレア);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン様アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシンおよびミトラマイシン);抗有糸分裂薬(例えばビンカアルカロイド様ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンおよびタキソイド様タキソールおよびタキソテールおよびポロキナーゼインヒビター);およびトポイソメラーゼインヒビター(例えばエピポドフィロトキシン様エトポシドおよびテニポシド、アムサクリン、トポテカンおよびカンプトテシン);
(ii)細胞分裂停止薬、例えば、抗エストロゲン(例えばタモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェンおよびヨードキシフェン)、抗アンドロゲン(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよびシプロテロン酢酸塩)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼインヒビター(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾールおよびエグゼメスタン)およびα-レダクターゼのインヒビター、例えば、フィナステリド;
(iii)抗浸潤薬(例えばc-Srcキナーゼファミリーインヒビター様4-(6-クロロ-2,3-メチレンジオキシアニリン)-7-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]-5-テトラヒドロピラン-4-イルオキシキノザオリン(AZD0530;国際特許出願WO01/94341)およびN-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-{6-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2-メチルピリミジン-4-イルアミノ}チアゾール-5-カルボキサミド(ダサチニブ、BMS-354825; J. Med. Chem., 2004, 47, 6658-6661)、およびメタロプロテイナーゼインヒビター様マリマスタット、ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能のインヒビターまたは、カテプシンのインヒビター、セリンプロテアーゼのインヒビター、例えばマトリプターゼ、ヘプシン、ウロキナーゼ、ヘパラナーゼのインヒビター;
(iv)細胞傷害薬、例えば、フルダラビン、2-クロロデオキシアデノシン、クロランブシルまたはドキソルビシンおよびそれらの組み合わせ、例えば、フルダラビン+シクロホスファミド、CVP:シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニソン、ACVBP:ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンデシン+ブレオマイシン+プレドニソン、CHOP:シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニソン、CNOP:シクロホスファミド+ミトキサントロン+ビンクリスチン+プレドニソン、m-BACOD:メトトレキセート+ブレオマイシン+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+デキサメタゾン+ロイコボリン、MACOP-B:メトトレキセート+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニソン固定用量+ブレオマイシン+ロイコボリン、またはProMACE CytaBOM:プレドニソン+ドキソルビシン+シクロホスファミド+エトポシド+シタラビン+ブレオマイシン+ビンクリスチン+メトトレキセート+ロイコボリン;
(v)成長因子機能のインヒビター、例えば、かかるインヒビターは成長因子抗体および成長因子受容体抗体(例えば、抗erbB2抗体トラスツズマブ[ハーセプチン(登録商標)]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗erbB1抗体セツキシマブ[エルビタックス]、およびSternら(Critical reviews in oncology/haematology, 2005, Vol. 54, pp 11-29)が開示したいずれかの成長因子または成長因子受容体抗体を含み;かかるインヒビターはまた、チロシンキナーゼ インヒビター、例えば上皮成長因子ファミリーのインヒビター(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼインヒビター、例えばN-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(ゲフィチニブ、ZD1839)、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(エルロチニブ、OSI-774)および6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-キナゾリン-4-アミン(CI 1033)、erbB2チロシンキナーゼインヒビター、例えばラパチニブ、肝細胞成長因子ファミリーのインヒビター、血小板由来の成長因子ファミリーのインヒビター、例えばイマチニブ、セリン/トレオニンキナーゼのインヒビター(例えば、Ras/Rafシグナル伝達インヒビター、例えばファルネシルトランスフェラーゼ インヒビター、例えばソラフェニブ(BAY 43-9006))、MEKおよび/またはAKTキナーゼを介する細胞シグナル伝達のインヒビター、肝細胞成長因子ファミリーのインヒビター、c-キットインヒビター、ablキナーゼインヒビター、IGF受容体(インスリン様成長因子)キナーゼインヒビター、auroraキナーゼインヒビター(例えば、AZD1152、PH739358、VX-680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX-528およびAX39459)、サイクリン依存性キナーゼインヒビター、例えばCDK2および/またはCDK4インヒビター、および生存シグナル伝達タンパク質のインヒビター、例えば、Bcl-2、Bcl-XL、例えばABT-737を含む;
(vi)抗血管形成薬、例えば、血管内皮成長因子の効果を阻害するもの、[例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))およびVEGF受容体チロシンキナーゼインヒビター、例えば、4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)キナゾリン(ZD6474;WO 01/32651に記載の実施例2)、4-(4-フルオロ-2-メチルインドール-5-イルオキシ)-6-メトキシ-7-(3-ピロリジン-1-イルプロポキシ)-キナゾリン(AZD2171;WO 00/47212に記載の実施例240)、バタラニブ(PTK787;WO 98/35985)およびSU11248(スニチニブ;WO 01/60814)、国際特許出願WO97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856、WO 98/13354、WO00/47212およびWO01/32651に開示された化合物および他の機構により作用する化合物(例えば、リノマイド、インテグリンのインヒビター.α.v.β.3機能およびアンジオスタチン)]またはコロニー刺激因子1(CSF1)またはCSF1受容体;
(vii)血管障害薬、例えばコンブレタスタチンA4および国際特許出願WO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434およびWO 02/08213に開示された化合物;
(viii)アンチセンス治療法、例えば上記標的を指向したもの、例えばG-3139(Genasense)、抗bcl2アンチセンス;
(ix)遺伝子治療手法、例えば異常遺伝子、例えば異常p53または異常BRCA1もしくはBRCA2を置換える手法、GDEPT(遺伝子指向の酵素プロ薬物療法)手法、例えば、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ酵素を用いるもの、および化学療法または照射療法に対する患者耐性を増加する手法、例えば多剤耐性遺伝子治療を含むもの;ならびに
(x)免疫療法手法、例えばアレムツズマブ(campath-1H(登録商標))による治療、CD52を指向するモノクローナル抗体、またはCD22を指向する抗体による治療、患者腫瘍細胞の免疫原性を増加するex vivoおよびin vivo手法、サイトカイン、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子によるトランスフェクション、T細胞無反応を減少する手法、例えばCTLA-4機能を阻害するモノクローナル抗体による治療、トランスフェクトした免疫細胞、例えばサイトカインをトランスフェクトした樹状細胞を用いる手法、サイトカインをトランスフェクトした腫瘍細胞株を用いる手法、および抗イディオタイプ抗体を用いる手法を含むもの;
(xi)タンパク質分解のインヒビター、例えばプロテアソームインヒビター、例えばVelcade(ボルテゾミド)。
例示の実施形態において、本発明の抗体製剤(抗PDGFR-α抗体を含む製剤)をテモゾロミドと組み合わせてグリア芽細胞腫多形を治療する方法の一部として投与することができる。他の例示の実施形態において、本発明の抗体製剤(抗PDGFR-α抗体を含む製剤)をトポテカンと組み合わせて卵巣癌を治療する方法の一部として投与することができる。他の例示の実施形態において、本発明の抗体製剤(抗PDGFR-α抗体を含む製剤)をソラフェニブと組み合わせて肝細胞癌を治療する方法の一部として投与することができる。他の例示の実施形態において、本発明の抗体製剤(抗PDGFR-α抗体を含む製剤)をセジラニブ、ドセタキセル、およびカルボプラチンの1つ以上と組み合わせて非小細胞肺癌を治療する方法の一部として投与することができる。他の例示の実施形態において、本発明の抗体製剤(抗PDGFR-α抗体を含む製剤)をカルボプラチンおよびパクリタキセルの両方と組み合わせて、またはゲムシタビンおよびシスプラチンの両方と組み合わせて非小細胞肺癌を治療する方法の一部として投与することができる。上記の具体的な例は単に説明のためのものである。本発明は、特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤を、治療レジメンの一部として、上記薬剤のいずれか1以上および/または他の治療様式の1以上と共に投与する方法を意図する。いずれかのかかる組み合わせ療法を、例えば、本明細書に記載の癌疾患のいずれかを治療する方法に用いることができる。
薬剤および/または治療法の投与に関わるいずれの治療方法についても、かかる共同治療は個々の治療成分の同時、逐次または別々に投薬するやり方によって達成することができる。組み合わせ療法または単独療法上記方法のいずれについても、本発明は特定の実施形態において、抗体がMabAであることを意図する。特定の実施形態において、抗体は本明細書に記載の通り製剤したMabAである。
(v)用量と投与
本発明の実施形態は、疾患を治療するのに有用である抗PDGFR-α抗体の無菌医薬製剤を含む。かかる製剤は細胞増殖を阻害し、それにより、例えば、PDGFR-α発現が異常に高いまたはPDGFR-α発現細胞が病状に介在する病理症状を効果的に治療しうる。抗PDGFR-α抗体は、好ましくは、特異的にPDGFR-αと結合するのに十分な親和性を持ち、そして好ましくは、ヒトに投薬することを可能にする十分な作用期間を有する。長期の作用期間は頻度のより少なくかつ好都合な投薬スケジュールを可能にしうる。
様々な送達系が公知であり本明細書に記載の製剤を投与するのに用いることができる。本発明の抗体製剤または療法を投与する方法は、限定されるものでないが、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外投与、局所投与、および粘膜投与(例えば、鼻腔内および経口経路)を含む。具体的な実施形態においては、本発明の製剤を筋肉内、静脈内、または皮下に投与する。好ましい実施形態においては、本発明の製剤を静脈内に、例えば、静脈内注射により投与する。製剤はいずれかの好都合な経路、例えば注射またはボーラス注射により、粘膜皮膚ライニング(例えば、口内粘膜、直腸および腸管粘膜など)を介する吸収により投与することができ、かつ他の生理活性物質と一緒に投与することができる。具体的な実施形態においては、本発明の製剤を腫瘍内にまたは炎症部位に投与する。注意すべきこととして、製剤を組み合わせ療法の一部として投与する場合、本発明は、他の薬剤を同じまたは異なる投与経路により投与しうると意図する。
具体的な実施形態において、本発明の抗体製剤は製薬上許容される担体を含むものである。好ましい実施形態において、製薬上許容される担体は注射用水、USP、5%デキストロースを含む水(D5W)または生理食塩水である。
特定の実施形態において、製剤は抗体を約1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、25mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、60mg/ml、70mg/ml、75mg/ml、80mg/ml、90mg/ml、または100mg/mlの濃度で含む。特定の実施形態において、製剤は抗体を約20mg/mlまたは約50mg/mlの濃度で含む。
使用すべき正確な用量と投薬レジメンは投与経路、治療すべき具体的な疾患、患者症状の重症度などに依存しうる。有効用量はin vitroまたは動物モデル試験系から誘導した用量-応答曲線から外挿することができる。
抗体を製剤するために、患者の体重(kg)に投与すべき用量(mg/kg)を乗じて患者に投与する用量を計算することができる。次いで、投与すべき所要の体積(mL;互換的にmlで表される)は、所要のmg用量を抗体製剤の濃度により除することにより決定される。必要であれば、最終の計算所要体積は、本発明の抗体製剤を投与するシリンジ中に必要である多数のバイアルの内容量をプールすることにより得ることができる。最終の計算所要体積は、薬物を投与するシリンジ中に必要である多数のバイアルまたはバッグの内容量をプールすることにより得られるであろう。特定の実施形態において、抗体製剤の2.0mLの最大体積を一部位当たりに注射する。用量(mL;互換的にmlとも呼ぶ)は次式:用量(mL)=[ボランティア体重](kg)x[用量]mg/kg/20mg/mLの抗体製剤を用いて計算する。一般に、ヒト抗体は、外来ポリペプチドに対する免疫応答によって、他の種からの抗体よりヒトの体内でより長い半減期を有する。従って、より低いヒト抗体の用量およびより少ない投与頻度が可能であることが多い。さらに、本発明の製剤の用量、体積および投与頻度は製剤中の抗体(その抗体フラグメントを含む)の濃度を増加すること、抗体の親和性および/または結合活性を増加すること、および抗体(その抗体フラグメントを含む)の半減期を増加することにより、低減することができる。
ある具体的な実施形態において、患者に投与する用量は、投与すべき用量(mg/kg)を乗じた患者の体重(kg)を用いて計算しうる。所要の体積(mL)は、所要のmg用量を製剤中の抗体(その抗体フラグメントを含む)の濃度(例えば20mg/mL、50mg/mL、または100mg/mL)により除して求めることにより決定される。
特定の実施形態において、特に、ヒトへの投与を意図する製剤の場合、製剤は、実質的に内毒素および/または関係発熱物質を含まない、発熱物質を含まない製剤である。内毒素は、微生物内に拘束されていて微生物が破壊されるかまたは死亡するときにのみ放出される毒素を含む。発熱物質はまた、細菌および他微生物の外膜由来の熱誘導性、熱安定性物質(糖タンパク質)を含む。これらの物質はもしヒトに投与されると熱、低血圧およびショックを引き起こしうる。潜在的な有害効果によって、たとえ低い量の内毒素でも静脈内に投与する医薬の溶液から除去しなければならない。The Food & Drug Administration(FDA)は、静脈内薬物施用に対して、1用量当たり1キログラム体重当たり単独で1時間に5内毒素ユニット(EU)の上限を設定している(The United States Pharmacopeial Convention, Pharmacopeial Forum 26 (1):223 (2000))。治療タンパク質を、抗体の場合でありうるように、1キログラム体重当たり数100または1000ミリグラムの量を投与する場合、トレース量の有害かつ危険な内毒素は除去しなければならない。特定の具体的な実施形態において、組成物中の内毒素および発熱物質レベルは10 EU/mg未満、5 EU/mg未満、1 EU/mg未満、0.1 EU/mg未満、0.01 EU/mg未満、0.001 EU/mg未満である。
本明細書に考察したように、特別な製剤中の抗体のRSA傾向が有意である場合、貯蔵温度で存在するRSAが消滅または低減するのを助けるために、製剤の安全かつ有効な使用は室温における長いインキュベーション期間を必要としうる。かかる必要なインキュベーション期間は患者および使用者の間で変化を生じ、潜在的な服薬遵守問題を生じ、家庭での投与意欲を害し、治療スキーム中に有意な時間遅延および投与負荷を導入する。RSA傾向の消滅または低下した製剤、特に、抗体のRSA傾向の消滅または低下が温度および/または濃度によって有意に変化しない製剤の、1つの利点は、製剤を室温にて長時間(例えば、約60〜90分間以上)インキュベートする要件の消滅または軽減である。従って、特定の実施形態において、投与される製剤および/または投与するための使用説明書は、製剤を室温に平衡化する、例えば、製剤を冷蔵(約8℃未満)後、投与前に、室温にて少なくとも60分間室温にて製剤をインキュベートすることの必要性を明示しないしまたは要求しない。特定の実施形態において、提供される使用説明書は、製剤を冷蔵後に室温にて少なくとも60分間インキュベートする必要性または要件なしに投与することができると明示する。
特定の実施形態において、本発明の製剤は38〜42℃の温度範囲にて少なくとも15日間、そしていくつかの実施形態では1か月以下の間、安定性を示す。さらにまたはあるいは、特定の実施形態において、製剤は20℃〜24℃または23℃〜27℃の温度範囲にて少なくとも6か月間および/または2℃〜8℃の温度範囲にて少なくとも6か月、少なくとも1年間、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも2.5年間、少なくとも3年間または少なくとも4年間安定である。さらにまたはあるいは、特定の実施形態において、製剤は-20℃の温度にて製剤は少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、または少なくとも5年間安定である。安定性は、例えば、高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により評価することができる。特定の実施形態において、安定性は経時的な純度レベルの維持により評価することができる。例えば、特定の実施形態において、本明細書の製剤は、2〜8℃に貯蔵したとき、HPSECにより測定して、純度の1%未満、0.8%未満、0.75%未満、0.7%未満、0.6%未満、0.5%未満、またはさらに0.4%未満の低下/年を有する。一実施形態において、本発明の製剤は、フラグメントおよび/または高分子量型の存在または非存在をモニターするHPSECにより測定して、2〜8℃にて6か月より長い、1年より長い、または18か月より長い有効期間を有し、6か月にわたって0.2%未満の純度低下である。
(vi)製造物
本発明は、本明細書記載の製剤で満たされた1以上の容器を含む医薬品パックまたはキットを提供する。同様に、本発明は実験室および/または診断の用途に好適な医薬品パックまたはキットを提供する。本発明は、本明細書に記載の製剤、例えば、RSA傾向の消滅または低下を有する抗PDGFR-α抗体を含む製剤を詰め合わせてキットの部分として販売できることを意図する。例示のキットは医薬品キットである。
具体的な実施形態において、本発明の製剤は他の部分と組換えで融合したまたは化学的にコンジュゲートした抗体(その抗体フラグメントを含む)を含むものであり、前記他の部分には、限定されるものでないが、異種タンパク質、異種ポリペプチド、異種ペプチド、大分子、小分子、マーカー配列、診断薬または検出可能な薬剤、治療薬部分、薬物部分、放射性金属イオン、二次抗体、および固体支持体が含まれる。本発明はまた、医薬品パックまたはキットであって、1以上の容器中に本明細書に記載の製剤、ならびに1以上の第2の容器中に、PDGFR-αの異常な発現および/または活性に関連するまたはそれらより特徴付けられる疾患または障害の予防、管理または治療に有用な1以上の他の予防または治療薬を含むものである前記医薬品パックまたはキットを提供する。
例示の実施形態においては、本発明の製剤を単独用量バイアル中に、50mM酢酸ナトリウム、10%(w/v)スクロース、および0.05%(w/v)PS80を含有する無菌製剤として製剤化する。それぞれの1.0mLの溶液は、特定の実施形態において、20mgまたは50mgの抗PDGFR-α抗体(その抗体フラグメントを含む)を含有する。製造過程の間、製剤バッファーのpHを5.5に調節する。
本発明の製剤のいずれも20mm、10R Schott I型ホウケイ酸透明ガラスバイアル、USP/EP(West Pharmaceutical Series)中に、例えば、10.5mLの標的体積を補給する。バイアルを20mm West 4432/50クロロブチルテフロン表面ストッパーを用いて無菌で栓をする。バイアルをWest aluminum(TruEdge)Flip-Offオーバーシールでシールする。
任意にかかる容器には、ヒト投与用の製造、使用または販売の行政機関による認可を反映する表示である、医薬品または生物製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により指定された形の表示を付することができる。
研究室および/または診断用に販売されるキットの場合、キットは任意に、適当な使用、安全上の配慮、および使用についてのいずれかの制限を示す表示を含有しうる。さらに、研究室および/または診断使用のために販売されるキットの場合、キットは任意に1以上の他の試薬、例えば、特定の診断または研究室使用にとって有用なポジティブまたはネガティブ対照試薬を含む。
本発明は上記の方法で用いることができるキットを提供する。一実施形態において、キットは本明細書に記載の製剤を、1以上の容器中に含む。他の実施形態において、キットは1以上の容器中に、本明細書に記載の製剤、ならびに1以上の他の容器中に、PDGFR-αの異常な発現および/または活性に関連するまたはそれらより特徴付けられる疾患または障害の予防、管理または治療に有用な1以上の他の予防または治療薬を含むものである。ある具体的な実施形態において、前記製剤中に含まれる抗体(その抗体フラグメントを含む)は表1(前掲)に掲げた1以上のVH CDRおよび/または1以上のVL CDRを含むものである。好ましくは、キットはさらに障害を(例えば、本明細書の製剤を単独でまたは他の予防薬または治療薬と組み合わせて用いて)阻止、治療、管理または改善するための使用説明書使用説明書、ならびに投与する方法に対する副作用および用量情報を含むものである。
本発明はまた、完成し包装しかつ標識した医薬製品を包含する。この製造実体は、適当な容器、例えば、ガラスバイアルまたは密封してシールした他の容器中の適当な単位投与剤形を含む。非経口投与用の投与剤形の事例では、活性成分、例えば、PDGFR-αと免疫特異的に結合する上記抗体は無菌でありかつ微粒子を含まない溶液としての投与に好適である。特定の実施形態において、製剤は静脈内投与用、例えば、静脈内注射用に好適である。
好ましい実施形態においては、単位投与剤形は静脈内、筋肉内、鼻腔内、経口、局所または皮下送達用に好適である。従って、本発明は、好ましくは無菌の、それぞれの送達経路用に好適な溶液を包含する。
医薬製品の場合の様に、包装材料および容器は貯蔵および輸送中の製品の安定性を保護するように設計される。さらに、本発明の製品は、医師、技師または患者に問題の疾患または障害を予防または治療する適当なやり方を助言するものである、使用のための指示または他の情報材料を含む。言い換えれば、製造の実態は、限定されるものでないが、実際の用量、モニタリング手順など、および他のモニタリング情報を含む投薬レジメンを示すまたは示唆する指示手段を含むものである。
具体的に、本発明は、包装材料、例えば、ボックス、ボトル、チューブ、バイアル、コンテナー、スプレー、吹送器、静脈内(i.v.)バッグ、エンベロープなど;および 前記包装材料内に含有される少なくとも1つの単位投与剤形の医薬を含む製造実体を提供し、ここで、前記医薬はPDGFR-αと免疫特異的に結合する抗体を含有する製剤を含み、そして、ここで、前記包装材料は、本明細書に記載の具体的な用量を投与しかつ具体的な投薬レジメンを用いることにより、前記抗体を用いてPDGFR-αの異常な発現および/または活性に関連する1以上の症候群を予防、管理、治療できることを示す指示手段を含むものである。
本発明はまた、包装材料、例えば、ボックス、ボトル、チューブ、バイアル、コンテナー、スプレー、吹送器、静脈内(i.v.)バッグ、エンベロープなど;および前記包装材料内に含有される少なくとも1つの単位投与剤形の医薬を含む製造実体を提供し、ここで、1つの医薬はPDGFR-αと免疫特異的に結合する抗体を含有する製剤を含みかつ他の医薬はPDGFR-αと免疫特異的に結合する抗体以外の予防または治療薬を含み、そしてここで、前記包装材料は、本明細書に記載の具体的な用量を投与しかつ具体的な投薬レジメンを用いることにより、前記医薬を用いてPDGFR-αの異常な発現および/または活性に関連する1以上の症候群、またはそれらの1以上の症候群を治療、予防および/または改善できることを示す指示手段を含むものである。
特定の実施形態において、特に、ヒトへの投与を意図する製剤を含む医薬キットの事例において、製剤は内毒素および/または関連発熱物質を実質的に含まないものである発熱物質を含まない製剤である。内毒素は、微生物内に拘束されていて微生物が破壊されるかまたは死亡するときにのみ放出される毒素を含む。発熱物質はまた、細菌および他微生物の外膜由来の熱誘導性、熱安定性物質(糖タンパク質)を含む。これらの物質はもしヒトに投与されると熱、低血圧およびショックを引き起こしうる。潜在的な有害効果によって、たとえ低い量の内毒素でも静脈内に投与する医薬の溶液から除去しなければならない。The Food & Drug Administration(FDA)は、静脈内薬物施用に対して、1用量当たり1キログラム体重当たり単独で1時間に5内毒素ユニット(EU)の上限を設定している(The United States Pharmacopeial Convention, Pharmacopeial Forum 26 (1):223 (2000))。治療タンパク質を、抗体の場合にありうるように、1キログラム体重当たり数100または1000ミリグラムの量を投与する場合、トレース量の有害かつ危険な内毒素は除去しなければならない。特定の具体的な実施形態において、組成物中の内毒素および発熱物質レベルは10 EU/mg未満、5 EU/mg未満、1 EU/mg未満、0.1 EU/mg未満、0.01 EU/mg未満、0.001 EU/mg未満である。
特定の実施形態において、キットは、10mg/mLの濃度で評価した場合、HPSECにより2〜8℃にて測定不能であるRSAのように、抗体または抗体フラグメントRSA傾向が消滅または低減した製剤を含む。本明細書に考察したように、特別な製剤中の抗体のRSA傾向が有意である場合、貯蔵温度で起こるRSAが消滅するのを助けるために、製剤の安全かつ有効な使用は室温における長いインキュベーション期間を必要としうる。かかる必要なインキュベーション期間は患者および使用者の間で変化を生じ、潜在的な服薬遵守問題を生じ、家庭での投与意欲を害し、治療スキーム中に有意な時間遅延および投与負荷を導入する。RSA傾向の低下または消滅した製剤、特に、抗体のRSA傾向の低下または消滅が温度および/または濃度によって有意に変化しない製剤の、1つの利点は、製剤を室温にて長時間(例えば、約60〜90分間以上)室温にて製剤をインキュベートする要件の消滅である。従って、特定の実施形態において、前記キットで提供される使用説明書は、製剤を冷蔵(約2〜8℃にて)後および投与前に、室温にて少なくとも60分間インキュベートすることの必要性を明示しないしまたは要求しない。特定の実施形態において、前記キットと共に提供される使用説明書は、製剤を冷蔵後に室温にて少なくとも60分間インキュベートする必要または要件なしに投与できることを明示する。
以下の実施例は本発明の実施を説明するために記載した。これらは本発明の全範囲を限定または規定することを意図するものではない。
実施例1 初期製剤中のMabAのRSA傾向の初期特性−MabAのRSAは温度および/または濃度に依存する
スクロース非含有の初期製剤中のMabAのRSA傾向を10mg/mlの抗体濃度にて評価した。前記初期製剤は抗体だけでなく、水中に、50mM酢酸ナトリウム、100mM NaCl、0.01%(w/v)PS80、pH5.5を含有した。2〜8℃にてかつ10mg/mlのタンパク質濃度で、単量体ピークの先行端の肩部がHPSECにより検出された。HPSEC肩部は、23〜27℃にて約80分間のMabAの平衡後、または約4mg/mlのタンパク質濃度への希釈後に観察されなかった。超遠心分析(AUC)を含む特性研究をMabAのHPSEC肩部の性質をさらに理解するために実施した。結果を以下に総括する。
AUCによって得たサイズ分布結果はHPSECデータと一致し、肩部形成が温度依存性であることを示す。4℃にて実施したMabA(10mg/ml)の分析は、より高いS(沈降係数:Svedbergs)におけるピークの拡がりを示し、自己会合を示唆した。ピークの広がり(自己会合)の消失は同じ濃度で25℃にて観察された。
自己会合は濃度依存性であって、より低い抗体濃度で減少した。2〜8℃および4mg/ml以下のタンパク質濃度にて肩部はHPSECにより観察されなかった。AUCによる4℃におけるサイズ分布分析も低いタンパク質濃度では生成物ピークの広がりが少なかった。
HPSEC肩部画分を回収し、HPSECで再分析し、肩部の無い単量体として溶出した。
10mg/ml(2〜8℃)にて、多角光散乱(MALS)分析は肩部が見かけの分子量213kDaを有することを示した。この見かけの分子量は自己会合と一致する。
23〜27oCにおける2時間平衡の後、MabA(10mg/ml)を2〜8℃に戻すと、肩部は数時間内にHPSECにより観察されなかった。この結果は、室温平衡後、肩部が2〜8℃にて検出されるには数時間かかることを示す。
高分子量型は単量体と比較して光散乱強度の増加を引き起こすことは公知である。それ故に、HPSEC肩部(見かけの分子量213kDa)に存在するMabAの解離が光散乱の減少をもたらすことを予想しうる。光散乱検出による停止流の動力学研究は、4oCにおけるMabAの(10mg/mgから1mg/mlへの)希釈時に光散乱シグナルの急速な低下があることを示した。同じ希釈時に、対照IgG2およびIgG1抗体(RSA傾向を示さない対照抗体)は光散乱シグナルの低下を示さなかった。この結果は希釈後の肩部種の解離は速く、見かけの半減期は14秒であることを示唆する。
総括すると、MabAの直交サイズ分布分析により、観察された肩部は温度およびタンパク質濃度に依存し、そして抗体の室温平衡後に観察されないことを示す。動力学研究は肩部に存在するMabAの、希釈時における急速な解離および2〜8℃における緩慢な再会合を示唆する。
実施例2 HPSEC、AUCおよびDLSにより測定した、スクロース含有製剤中のMabA RSA傾向の消滅
MabAは様々な製剤においてRSA傾向を示し、かかる製剤には低温貯蔵条件下の酢酸塩製剤が含まれる。
スクロース非含有の酢酸塩初期製剤(10mg/ml MabA、50mMNa-酢酸塩、100mM NaCl、0.01%(w/v)PS80、pH5.5)中のMabAのRSA傾向を、高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により標準貯蔵温度にて(約2〜8℃にて)および室温にて(約23〜27℃にて)評価した。図1Aに示したように、MabAのRSA傾向は約2〜8℃にて著しく、単量体ピークの先行端の肩部により示される。かかる先行端の肩部は25℃にて試験する場合には不検出であり、MabAが23〜27℃と比較して2〜8℃にて異なる挙動を示すことを示す。さらに特に、MabAは2〜8℃にてHPSECにより測定可能である有意なRSA傾向を示す。
スクロース非含有製剤中のこの抗体のRSA特性に関するこの結果を、さらに超遠心分析(AUC)により両温度にて確認した。図1Bに示したように、この製剤中の5℃におけるMabAは25℃におけるMabAより遥かに広範囲の沈降係数分布にわたって沈降し、2つの異なる条件下の有意に異なるサイズ分布を示唆する。特に、この結果は、このスクロース非含有製剤中の抗体分子の5℃における大きいRSA傾向を示す。
MabA RSA傾向はスクロース含有製剤中で消滅する
20mg/mlまたは50mg/mlの両方のMabAを、50mM 酢酸Na、10%(w/v)スクロース、0.05%(w/v)PS80、pH 5.5中にて再製剤し、HPSECにより2〜8℃にて評価した。図2Aは、スクロースを欠く2〜8℃における製剤では顕著であった単量体ピークの先行端の肩部の明確な非存在を示す(図1Aと比較して)。これは、スクロース含有製剤中で抗体がより高濃度で存在する事実に関わらず、スクロース含有製剤中のMabAのRSA傾向の低下と一致する。さらに、RSAの低下はまた、抗体の有意な高濃度においても観察された(図1Aにおける50mg/ml-対-10mg/ml)。従って、スクロース含有製剤中のMabAのRSAは抗体濃度に依存せず、初期製剤と比較して低下する。
さらに、抗体を超遠心分析により5℃と25℃にて評価した。スクロース非含有の酢酸塩製剤中のMabAについて観察されたこととは対照的に、スクロース含有製剤中のMabAは、5℃と25℃の両方で同様な挙動を示し、この結果はまたスクロース含有製剤中のRSA傾向の消滅とも一致する。図2Bに示したように、MabAは両方の温度にて同様な沈降係数分布を有し、スクロース含有製剤中のMabAのRSA傾向が温度に依存しないことを示す。
実施例3 MabAのRSAは疎水性相互作用により駆動され、その水力学的半径と相関がある
RSAは、部分的に、疎水性表面の暴露および続いて起こる疎水性分子間相互作用により増強される。蛍光染料(1-アニリノ-8-ナフタレンスルホン酸;「ANS」)とMabAとの間の相互作用の評価がこれを説明する。ANSはタンパク質表面上の疎水性バッチと選好的に結合し、ANS蛍光強度の増加をもたらす。従って、ANS蛍光強度の減少は利用可能な疎水性表面の減少の指標となり、水力学的半径の減少と相関がある。
図3に示したように、スクロース含量の増加した製剤で評価すると、ANSとMabA上の疎水性表面との間の相互作用は減少する。これは、5℃にて評価して(例えば、RSA傾向(もし存在すれば)が有意な問題である温度にて評価して)、増加したスクロース濃度を有する製剤中に存在すると、抗体は前進的によりコンパクトになるという結論と一致する。
この観察のさらなる支持として、抗体の全サイズを酢酸塩またはスクロース含有製剤中で評価した。特に、タンパク質の水力学的半径を、表面疎水性の変化と同時発生する分子における全体的な立体配座の変化の指標として、測定することができる。製剤および温度のMabAの水力学的半径に与える効果を試験するために、抗体を様々な温度にて酢酸塩またはスクロース含有製剤中で動的光散乱(DLS)により評価した。
DLSにより測定した酢酸塩製剤、pH 7.2中のMabAの水力学的半径は温度の増価と共に減少した(図4A)。これは、予想される高いRSA傾向(例えば、高温におけるインキュベーション後に減少する低温における有意なRSA)の挙動と一致する。対照的に、水力学的半径はスクロース含有製剤中では温度(5℃または25℃)により影響されず(図4B)、RSA傾向は、5℃と25℃の両方においてRSA傾向は不検出でありそしてこの製剤中のMabAの、RSA傾向の消滅を示唆する。注意すべきこととして、製剤中の抗体のRSA傾向の消滅は、RSAがHPSECにより2〜8℃にて所与の濃度、例えば10mg/mlで測定可能であるかどうかを試験することにより評価することができる。
実施例4 スクロース含有製剤のMabAに与える安定化効果
以上詳述したように、50mM酢酸ナトリウム、10%(w/v)スクロース、0.05%(w/v)ポリソルベート80、pH 5.5のスクロース含有製剤中に提供されるMabAは、優れたRSA特性、例えば、スクロース非含有製剤中の抗体と比較してRSA傾向の消滅を有する。次の実験を実施して改善されたスクロース含有製剤中の抗体の熱安定性を評価した。
50mM酢酸ナトリウム、100mM NaCl、0.01%(w/v)ポリソルベート80、pH5.5のスクロース含有製剤中のMabAの熱転位を示差走査熱量計により評価し、スクロース非含有製剤中のそれと比較してコンフォメーションの安定性を温度の関数としてモニターした。サンプル分析はOrigin VP-DSCソフトウエアで実施し、分子のFcおよびFab領域の熱転位を確認した。図5に示したように、スクロース含有製剤で提供したMabAは有意に高いTmを示し、スクロース含有製剤が抗体に安定化効果を与えることを示唆した。
スクロースが溶液中のタンパク質-タンパク質(または抗体-抗体)およびタンパク質-賦形剤相互作用に与える効果を確認するために、二次ビリアル係数を試験した。図1に示すように、RSA傾向を消滅することが示されている製剤条件(例えば、pH5.5の酢酸塩バッファー中の12%スクロース)は正味反発二次ビリアル係数、小範囲分子間相互作用の低下と一致した観察を生成し、かかる製剤中の抗体RSA傾向の消滅を示唆する。タンパク質-タンパク質正味反発二次係数はスクロース含量と増加と共に増加すると思われる。対照的に、スクロースが存在しないと小範囲分子間相互作用の増加と一致する正味誘引電荷によるタンパク質-タンパク質相互作用を生じ、スクロースを欠く製剤におけるMabAが自己会合する傾向の増加(すなわち、RSAの増大)を示唆する。
方法
上記の実験は、例えば、以下に概要を記載した方法を用いて実施した。
高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)
HP-SECサンプルを室温平衡化せずに希釈した(10mg/ml)かつ標的薬物濃度(20mg/ml)のもとで試験した。希釈液を冷温製剤バッファー(2〜8℃)で調製し、HPLCの自動サンプラー中に供給した。サンプルを自動サンプラー(5℃に維持)中でおよそ1時間インキュベートした後に分析した。冷却したサンプルをTSKゲルG3000SWXLカラム(7.8mm×30cm)に注射した。サンプルを均一濃度で、0.1M硫酸ナトリウムおよび0.05%アジ化ナトリウムを含有する0.1Mリン酸二ナトリウム、pH 6.8で1.0ml/minの流速にて溶出した。溶出したタンパク質を280 nmのUV吸収を用いて検出した。結果を、全ての他のピーク(およそ12分間に観察されたバッファー関連ピークを除く)と比較して、生成物単量体ピークの面積%として報じた。単量体ピークより早く溶出するピークを%凝集物として記録した。単量体ピーク後に溶出するピークを%フラグメント/その他として記録した。
動的光散乱(DLS)
タンパク質サイズ分布および分子サイズをZetasizer Nano ZS(Malvern Instruments, Malvern, PA)を用いて動的光散乱(DLS)によりモニターした。この計器は、0.6nm〜6μmの範囲のタンパク質サイズを測定できる非侵襲性後方散乱光学を取り入れている。DLSは、タンパク質分子のブラウン運動による散乱光強度の時間依存性ゆらぎを測定する。これらの強度ゆらぎの分析は、粒子の拡散係数の測定を可能にし、これはストークス-アインシュタイン関係を用いて等価球の平均見かけ水力学直径に数学的に変換される。拡散係数は時間相関関数から計算される。タンパク質の可逆的自己会合を理解するために、時間依存性自己相関関数を10秒毎に、各試験について10回より多く取得した。サンプル溶液を633nmレーザーを用いて照射し、散乱光の強度を173度の角度で測定した。室温にて分析したサンプルを実験室ベンチトップでおよそ90分間インキュベートした後にサンプル採取した。冷温調節したサンプルを冷蔵条件から取出して冷温金属ブロック上に置き、そしてサンプリングキュベットに移した。計器を5℃の温度範囲に設定し、凝縮を窒素パージで調節した。各サンプル分析の前に、パラメーター、例えば、粘度、屈折率および吸収に対する補正因子を入力した。DLS測定値は水力学的直径とガウス分布の両方の正確な見積値を与えることができ、これらは潜在的自己会合をモニターするのに用いることができる。
超遠心分析(AUC)
AUC実験は、the Analytical Biochemistry Departmentにより、Beckman Optima XL-I超遠心分析機を用いて実施した。沈降速度実験サンプルを適当な製剤バッファーで0.5mg/mlに希釈し、得られるタンパク質溶液をサンプルチャネルの12mm遠心分離セルに供給した。さらに参照バッファーを各セルの参照チャネル中に供給した。供給したセルをAN-50Ti分析回転子中に置いて25℃に平衡化した。サンプルを42,000rpmの回転子速度のもとで走査する一方、280nmで光学密度を測定した。200走査が完了するまで、サンプルを42,000rpmで遠心分離した。3回反復した。データをc(s)法(標準AUC分析でSEDFIT(11.3バージョン)プログラム(Dam and Schuck, 2004)と共に使われる)を用いて分析した。この手法では、生データ走査を直接フィットさせて沈降係数の分布を誘導する。
自己会合単量体の特性を決定するために、AUC実験を様々なタンパク質濃度でおよび25℃と4℃の温度にて実施した。約2.0mg/mlを超える濃度を、3mmパス長さの遠心分離セルにおけるレイリー干渉光学で試験した。サンプルを最小限12時間透析し、透析物を希釈して参照セクターに供給した。実験を4℃にて行う場合、サンプルが全実験中に2〜8℃に留まるように、全透析、サンプル希釈、セル充填および回転子充填を冷温室内(2〜8℃)で実施し、遠心分離機は予冷した。サンプルを42,000 RPMで遠心分離する一方、屈折率増分-対-半径方向位置を、レイリー干渉分光システムにより採集した。走査は、サンプルがセルの底に沈降するまで連続して採集した。走査数は条件に応じて500〜999である。自己会合単量体のAUCデータを、上記c(s)法でなく、g(s)法を用いて分析した。g(s)法はc(s)方法により達成できない相互作用自己会合種の分析に適当である。しかし、この方法は比較的広い重複ピークをもたらす。AUC生データをSEDANALプログラム(StaffordおよびSherwood)により、見かけの沈降係数分布[g(s)プロット]に変換した。
蛍光測定
蛍光染料ANSのタンパク質との相互作用をPhoton Technology International(PTI)Quanta Master蛍光計を用いて分析した。ANS(1-アニリノ-8-ナフタレンスルホン酸)蛍光染料がタンパク質表面上の疎水性パッチと選好的に結合することは公知である。結合はANS蛍光強度の増加をもたらす。類似した条件下でANS蛍光強度を比較して、他法の検出限界を越えうるタンパク質の小さい立体配座変化を検出することができる。
PTIは、循環する水浴と接続した恒温調節ホルダーと共に設けられ、蛍光測定は10mmパス長さの石英光学セルにおいて行われた。励起波長を400nmに設定し、400〜600nmの範囲の発光を記録した。0.5nm毎に1nm/秒の速度で記録した。発光/励起スリット幅はそれぞれ4および3nmに設定した。
HPLC水中のタンパク質とANSストック溶液をミクロ遠心チューブ内で混合し、一晩、暗所で室温と冷蔵温度の両方にてインキュベートした。この実験に用いたタンパク質濃度は0.5mg/mlであり、ANSの所要量は1モルのタンパク質に対して過剰モルの100モルのANSであった。冷温(5℃)分析については、調製したサンプルを冷温の金属ブロック上に置き、次いで石英キュベット中に移し、そしてPTI分光計の温度調節したサンプル室中に置いた。蛍光分析は、サンプル室中で5℃にてさらなるおよそ5分間のインキュベーションの後に記録した。室温(25℃)分析については、サンプルを石英キュベットに移し、そしてサンプル室(25℃にて)中の外界条件のもとで5分間インキュベートした後に試験した。ANSによる蛍光測定は表面疎水性の評価を提供することができる。
示差走査熱量計
示差走査熱量計(DSC)を応用して立体配座安定性を温度の関数としてモニターした。DSC実験はMicro Calorimetryが製造したVP-Capillary DSCを用いて行った。試験パラメーターは20℃〜120℃の走査範囲および60度/時間の速度である。サンプルは対応するバッファー中のおよそ0.5mg/mlに調製し、サンプルウエルを400μlフル体積まで満たした。バッファーおよび水の追加サンプルが、試験において基線としておよび洗浄ステップでそれぞれ含まれた。サンプル分析をOrigin VP-DSCソフトウエアで実施し、分子のFcおよびFab領域上の熱転移(Tm)を測定した。熱転移が高いほど、未変性(折り畳まれた状態)で残留するンパク質が多く、熱安定性の増加を意味する。
参照による本明細書への組み込み
本明細書に記載の全ての出版物および特許は、あたかもそれぞれ個々の出版物および特許が具体的にかつ個々に参照により組み込まれると示されたように、本明細書に参照によりその全てが組み込まれる。
本発明の具体的な実施形態が考察されているものの、以上の明細は説明するものであって制限するものではない。本明細書と以下の請求項を再調査すると本発明の多くの変法が当業者には明らかになるであろう。本発明の全範囲は請求項およびそれらの等価物の全範囲、ならびに、明細書およびかかる変化を参照して決定されるべきである。
本明細書における参照の引用または考察は、かかるものが本発明の先行技術であることの承認と解釈してはならない。

Claims (88)

  1. a)水性担体;
    b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;
    c)スクロース4%〜20%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);および
    e)酢酸ナトリウムバッファーを含み、
    pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤。
  2. a)水性担体;
    b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;
    c)スクロース4%〜20%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);および
    e)酢酸ナトリウムバッファーから成り、
    pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤。
  3. b)が全長IgGモノクローナル抗体を含む、請求項1または2に記載の製剤。
  4. 前記抗体または抗体フラグメントが20mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤。
  5. 前記抗体または抗体フラグメントが20mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
  6. 前記抗体または抗体フラグメントが50mg/mlの濃度で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
  7. 抗体または抗体フラグメントが配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
  8. 抗体または抗体フラグメントが配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖ポリペプチドを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製剤。
  9. 抗体または抗体フラグメントが配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖を含む抗体と同じエピトープに結合する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製剤。
  10. 抗体または抗体フラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製剤。
  11. 抗体または抗体フラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含むものである抗体と同じエピトープに結合する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製剤。
  12. 6%(w/v)スクロースを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製剤。
  13. 10%(w/v)スクロースを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製剤。
  14. 0.05%(w/v)PS80を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製剤。
  15. 50mM酢酸ナトリウムバッファーを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製剤。
  16. およそ5.5のpHを有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤。
  17. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントが超遠心分析(AUC)により測定して、2〜8℃と23〜27℃において実質的に類似の可逆的自己会合(RSA)特性を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の製剤。
  18. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAが高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)および動的光散乱(DLS)により不検出である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製剤。
  19. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超は単量体であり、そして前記抗体または抗体フラグメントのRSAは、10mg/mlで評価したときにHPSECにより2〜8℃にて不検出である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の製剤。
  20. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は動的光散乱(DLS)により測定して5℃と25℃にて有意差がない、請求項1〜19のいずれか1項に記載の製剤。
  21. 静脈内投与用に好適である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の製剤。
  22. 水性担体は水である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の製剤。
  23. 製剤は非発熱性である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の製剤。
  24. 製剤は有効期間を延長する保存剤をさらに含む、請求項1〜23のいずれか1項に記載の製剤。
  25. 高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定して2〜8℃にて少なくとも2年間安定である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の製剤。
  26. 前記製剤の純度が高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定して少なくとも2年間0.5%未満しか低下しない、請求項25に記載の製剤。
  27. ヒスチジンを実質的に含まない、請求項1〜26のいずれか1項に記載の製剤。
  28. さらなる界面活性剤を実質的に含まない、請求項1〜27のいずれか1項に記載の製剤。
  29. さらなる糖またはポリオールを実質的に含まない、請求項1〜28のいずれか1項に記載の製剤。
  30. さらなる塩を実質的に含まない、請求項1〜29のいずれか1項に記載の製剤。
  31. 凍結乾燥用に好適である、請求項1〜30のいずれか1項に記載の製剤。
  32. 本質的にa)無菌水;
    b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの20mg/ml;
    c)スクロース10%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.05%(重量/体積);および
    e)50mM酢酸ナトリウムバッファーから成り、
    およそpH 5.5のpHを有する製剤。
  33. 本質的にa)無菌水;
    b)PDGFR-αと特異的に結合しそしてPDGFR-αを発現する細胞の増殖を阻害する抗体または抗体フラグメントの50mg/ml;
    c)スクロース10%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.05%(重量/体積);および
    e)50mM酢酸ナトリウムバッファーから成り、
    およそpH 5.5のpHを有する製剤。
  34. 抗体または抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドを含む、請求項32または33に記載の製剤。
  35. 抗体または抗体フラグメントは配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖ポリペプチドを含む、請求項32〜34のいずれか1項に記載の製剤。
  36. 抗体または抗体フラグメントは配列番号1のアミノ酸配列を含むものである重鎖ポリペプチドおよび配列番号2のアミノ酸配列を含むものである軽鎖ポリペプチドを含む抗体と同じエピトープに結合する、請求項32〜35のいずれか1項に記載の製剤。
  37. 抗体または抗体フラグメントは、
    配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
    配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;
    配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;
    配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
    配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および
    配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3
    を含む、請求項32〜36のいずれか1項に記載の製剤。
  38. 抗体または抗体フラグメントは、
    配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
    配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR2;
    配列番号5のアミノ酸配列を有するVH CDR3;
    配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
    配列番号7のアミノ酸配列を有するVL CDR2;および
    配列番号8のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体と同じエピトープに結合する、請求項32〜37のいずれか1項に記載の製剤。
  39. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントはAUCにより測定して2〜8℃と23〜27℃において実質的に類似の非-可逆的自己会合(非RSA)特性を有する、請求項32〜38のいずれか1項に記載の製剤。
  40. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAは、HPSECにより2〜8℃にて10mg/mlで評価したとき不検出である、請求項32〜39のいずれか1項に記載の製剤。
  41. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超は2〜8℃にて単量体である、請求項32〜40のいずれか1項に記載の製剤。
  42. 前記製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は動的光散乱(DLS)により5℃と25℃にて測定して有意差がない、請求項32〜41のいずれか1項に記載の製剤。
  43. 静脈内投与用に好適である、請求項32〜42のいずれか1項に記載の製剤。
  44. 水は無菌水である、請求項32〜43のいずれか1項に記載の製剤。
  45. 非発熱性である、請求項32〜44のいずれか1項に記載の製剤。
  46. ICHQ1Aガイドラインに従う長期安定性研究により測定して、約2〜8℃にて少なくとも2年間安定である、請求項32〜45のいずれか1項に記載の製剤。
  47. 前記製剤の純度は、高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定して、少なくとも2年間、毎年0.5%未満しか低下しない、請求項46に記載の製剤。
  48. 凍結乾燥用に好適でない、請求項32〜47のいずれか1項に記載の製剤。
  49. a)水性担体;
    b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;
    c)スクロース4%〜20%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);および
    e)酢酸ナトリウムバッファーを含み、
    pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントが約2〜8℃にて評価したときに約23〜27℃にて評価したときと比較して実質的に同じ非RSA傾向を有する前記製剤。
  50. a)水性担体;
    b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;
    c)スクロース4%〜20%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);および
    e)酢酸ナトリウムバッファーを含み、
    pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超が2〜8℃にて非-自己会合の単量体である前記製剤。
  51. a)水性担体;
    b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;
    c)スクロース4%〜20%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);および
    e)酢酸ナトリウムバッファーから成り、
    pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントが約2〜8℃にて評価したときに23〜27℃にて評価したときと比較して実質的に同じ非RSA傾向を有する前記製剤。
  52. a)水性担体;
    b)抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;
    c)スクロース4%〜20%(重量/体積);
    d)ポリソルベート80(PS80)0.01%〜0.1%(重量/体積);および
    e)酢酸ナトリウムバッファーから成り、
    pH4.0〜pH6.0のpHを有する製剤であって、製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの95%超が2〜8℃にて非-自己会合の単量体である前記製剤。
  53. 製剤中の抗体の可逆的自己会合(RSA)を消滅または低減する方法であって、
    抗体または抗体フラグメントを含むものである初期製剤を提供するステップ[ここで、前記初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAはHPSECによりi)およそ2〜8℃にておよび/またはii)4mg/ml超の濃度にて測定可能であり、そして前記初期製剤中の抗体または抗体フラグメントは高分子量型を含有する];
    スクロースを前記初期細胞に加えて約4%〜約20%(重量/体積)スクロースを有する改変製剤を提供し、改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAは、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、初期製剤のそれと比較して消滅または低下するステップを含む前記方法。
  54. さらに、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径を試験するステップ、および前記水力学的半径を前記初期細胞中の前記抗体または抗体フラグメントのそれと比較するステップ[ここで前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、前記初期製剤中のそれと比較して消滅または低減する]を含む、請求項53に記載の方法。
  55. 前記改変製剤の水力学的半径をDLSにより試験する、請求項54に記載の方法。
  56. さらに、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSA傾向をHPSECを用いて試験するステップ、および前記RAS傾向を前記初期細胞中の前記抗体または抗体フラグメントのそれと比較するステップ[ここで、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSA傾向は、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、前記初期製剤中のそれと比較して消滅または低減する]を含む、請求項53〜55のいずれか1項に記載の方法。
  57. さらに、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSA傾向をおよそ2〜8℃およびおよそ23〜27℃にて試験するステップ、および前記改変製剤中の抗体または抗体フラグメントが2〜8℃および23〜27℃にて類似の非RSA傾向を実質的に有することを確認するステップを含む、請求項53〜56のいずれか1項に記載の方法。
  58. およそ2〜8℃およびおよそ23〜27℃にてRSA傾向を試験するステップはAUCによる、請求項57に記載の方法。
  59. 前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAはHPSECにより不検出である、請求項53〜58のいずれか1項に記載の方法。
  60. 抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約1mg/ml〜約100mg/mlの濃度にて存在する、請求項53〜59のいずれか1項に記載の方法。
  61. 抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約20mg/mlの濃度にて存在する、請求項60に記載の方法。
  62. 抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約50mg/mlの濃度にて存在する、請求項60に記載の方法。
  63. 抗体または抗体フラグメントは改変製剤中に約20mg/mlの濃度にて存在する、請求項60に記載の方法。
  64. 抗体または抗体フラグメントは改変製剤中に約50mg/mlの濃度にて存在する、請求項60に記載の方法。
  65. スクロースを初期製剤に加えるステップは約10%の改変製剤中のスクロースの最終濃度を達成するスクロースを加えるステップを含む、請求項53〜64のいずれか1項に記載の方法。
  66. 製剤中の抗体の可逆的自己会合(RSA)を消滅または低減する方法であって、
    a)HPSECによりおよそ2〜8℃にて10mg/mlの濃度で評価すると初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAが検出可能である、抗体または抗体フラグメントを含む初期製剤を提供するステップ;
    b)1以上の試験法を用いて初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を試験するステップ;
    c)約4%〜約20%(w/v)の最終濃度を達成するように前記初期製剤のスクロース含量を調節して改変製剤を作製するステップ;および
    d)1以上の試験法を用いて前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を試験するステップ[ここで、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、初期製剤のそれと比較して改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAが消滅する];
    を含む前記方法。
  67. ステップ(c)を2回以上実施する、請求項66に記載の方法。
  68. ステップ(c)および(d)を2回以上実施する、請求項67に記載の方法。
  69. ステップ(b)および(d)は同じ生物物理学的特性を評価するステップを含む、請求項66〜68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 生物物理学的特性は高性能サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC)により測定したRSA傾向が示すクロマトグラフィピークサインである、請求項69に記載の方法。
  71. クロマトグラフィサインは前記ピークの肩部の存在である、請求項70に記載の方法。
  72. 前記生物物理学的特性を2つの異なる温度で評価する、請求項66〜71のいずれか1項に記載の方法。
  73. 前記生物物理学的特性は動的光散乱により測定した前記初期製剤および/または前記改変製剤中の抗体または抗体フラグメントの水力学的半径である、請求項66〜72のいずれか1項に記載の方法。
  74. 前記生物物理学的特性は水力学的半径であり、その方法は前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径を試験するステップおよび前記水力学的半径を前記初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのそれと比較するステップ[ここで、前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの水力学的半径は、所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると、前記初期製剤中のそれと比較して低減する]を含む、請求項66〜73のいずれか1項に記載の方法。
  75. 前記改変製剤の水力学的半径はDLSにより試験する、請求項74に記載の方法。
  76. 抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約1mg/ml〜約100mg/mlの濃度で存在する、請求項66〜75のいずれか1項に記載の方法。
  77. 抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約20mg/mlの濃度で存在する、請求項76に記載の方法。
  78. 抗体または抗体フラグメントは初期製剤中におよび改変製剤中に約50mg/mlの濃度で存在する、請求項77のいずれか1項に記載の方法。
  79. 抗体または抗体フラグメントは改変製剤中に約20mg/mlの濃度で存在する、請求項78に記載の方法。
  80. 抗体または抗体フラグメントは改変製剤中に約50mg/mlの濃度で存在する、請求項79に記載の方法。
  81. スクロース含量を調節するステップは、約10%(w/v)の改変製剤中のスクロースの最終濃度を達成するスクロースを加えるステップを含む、請求項66〜80のいずれか1項に記載の方法。
  82. 請求項53〜81のいずれか1項に記載の方法によって作製した抗体または抗体フラグメントを含む製剤。
  83. それを必要とする患者における新生物症状を治療する方法であって、それを必要とする前記患者に請求項1〜52のいずれか1項に記載の製剤の有効量を投与するステップを含むものである前記方法。
  84. 製剤を1以上のさらなる作用薬または治療様式と組み合わせて治療レジメンの部分として投与する、請求項83に記載の方法。
  85. 新生物症状は癌である、請求項83または84に記載の方法。
  86. 低いRSAを有する、抗体または抗体フラグメントを含む製剤を作製する方法であって、
    抗体または抗体フラグメントを産生するステップ;ならびに
    前記抗体または抗体フラグメントを
    水性担体;
    前記抗体または抗体フラグメント1mg/ml〜100mg/ml;
    スクロース4%〜20%(重量/体積);
    界面活性剤0.01%〜0.1%(重量/体積);および
    酢酸塩バッファーを含み、
    pH 4.0〜pH 6.0のpHを有する製剤として製剤化するステップを含み、
    ここで、前記製剤に使用するスクロースの量は、抗体または抗体フラグメントを含む初期製剤を提供すること[ここで、前記初期製剤中の前記抗体または抗体フラグメントのRSAはHPSECによりおよそ2〜8℃にて検出可能でありかつこの前記初期製剤中の抗体または抗体フラグメントは高分子量型から成る];前記初期製剤にスクロースを加えて4%〜20%(重量/体積)スクロースを有する改変製剤を提供し、改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAは所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると初期製剤に対比して低下することにより選択された前記方法。
  87. 低いRSAを有する抗体または抗体フラグメントを含む製剤を作製する方法であって、
    抗体または抗体フラグメントを産生するステップ;ならびに
    前記抗体または抗体フラグメントを水性担体;
    前記抗体または抗体フラグメント1mg/ml〜100mg/ml;
    スクロース4%〜20%(重量/体積);
    界面活性剤0.01%〜0.1%(重量/体積);
    および酢酸塩バッファーを含み、
    pH 4.0〜pH 6.0のpHを有する製剤として製剤化するステップを含み、
    ここで、前記製剤に使用するスクロースの量は、a)抗体または抗体フラグメントを含む初期製剤を提供すること[ここで、初期製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAは10mg/mlで評価すると、HPSECによりおよそ2〜8℃にて検出可能である];b)初期製剤中の抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を1以上の試験法を用いて試験すること;c)前記初期製剤のスクロース含量を約4%〜約40%(w/v)の最終濃度となるように調節して改変製剤を作製すること、およびd)前記改変製剤中の前記抗体または抗体フラグメントの生物物理学的特性を1以上の試験法を用いて試験し、改変製剤中の抗体または抗体フラグメントのRSAが所与の抗体濃度でおよそ2〜8℃にて比較すると初期製剤に対比して低下することにより選択された前記方法。
  88. 抗体または抗体フラグメントを作製するステップ;および
    前記抗体または抗体フラグメントを、
    水性担体;
    前記抗体または抗体フラグメントの1mg/ml〜100mg/ml;
    4%〜20%(重量/体積)スクロース;
    0.01%〜0.1%(重量/体積)界面活性剤;および
    酢酸ナトリウムバッファーを含み、
    pH 4.0〜6.0のpHを有する製剤として製剤化するステップを含むものである、請求項86〜87のいずれか1項に記載の方法。
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