JP2013529219A - ホスファプラチン、及び癌治療のためのそれらの使用 - Google Patents

ホスファプラチン、及び癌治療のためのそれらの使用 Download PDF

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Abstract

cis-シクロヘキサンジアミン配位子、又はエナンチオマー的に富化された、若しくはエナンチオピュアなtrans-シクロヘキサンジアミン配位子を含有する、安定なモノマーホスファプラチン、すなわち(ピロホスファト)白金(II)又は白金(IV)錯体、及びこれらの錯体の合成が提供される。ホスファプラチン化合物の効力及び毒性は、感受性及び耐性の卵巣癌、頭頸部癌、及び結腸癌を含む様々な癌に対して決定される。該白金錯体を含む組成物、及び、該錯体又はこれらを含む組成物を用いる、増殖性疾患又は障害を治療するための方法が開示される。
【選択図】図3

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている、2010年6月4日に出願した米国仮特許出願第61/351,514号に対する、米国特許法第119条(e)による優先権を主張する。
本出願は、一般に、ピロホスファト(pyrophosphato)白金錯体;提供されるその錯体の合成方法;提供される錯体を含む組成物;及び提供される錯体、提供される錯体を含む組成物、又はそれらの組み合わせを使用して、増殖性疾患を治療する方法に関する。
2008年に、世界中で、1200万を超える人々が癌と診断され、700万を超える人々が癌で死亡した。実際、癌は、先進国における死亡原因の第1位であり、発展途上国における死亡原因の第2位(HIV/AIDSに次ぐ)である。癌と診断されると、患者の予後は、癌が早期に診断されたかどうか、癌が全身に広がっているかどうか、及び癌が既知の化学療法レジメンに耐性を示す、又は耐性となっているかどうかなどの因子に大きく依存する。
白金系抗癌薬のシスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンは、卵巣癌、精巣癌、小細胞肺癌、及び大腸癌などの様々な癌を治療するために広く使用されている。これらの化合物は、幅広い多くの癌を治療するために、放射線治療を含む他の治療レジメンと組み合わせて使用することができる。現在、白金化合物を利用する術後補助療法の600を超える臨床試験は、白金化合物が多様な他の癌を有効に治療する可能性を強く示している。例えば、最近の画期的な研究は、多様な形態の癌を治療するために、糖尿病薬ロシグリタゾンを、カルボプラチンと組み合わせて有効に使用することができることを示唆する。これは、現在、白金系抗癌薬の増え続ける適用に新たな局面を加えている。なぜなら、ほとんどの術後補助療法は、主として、癌治療薬又は放射線治療薬(radiation drug)と、他の癌治療薬との組み合わせに限られていたからである。したがって、新規の白金系抗癌薬、並びに白金系抗癌薬の新規の適用法の継続的な必要性が、依然として存在する。
シスプラチンなどの従来の白金化学療法剤は、特に高用量で、主に転写阻害を通して、及び複製阻害プロセスを通して、細胞周期のG2期に、アポトーシスを開始させる。鎖内及び鎖間形態の両方による、グアニン塩基及びアデニン塩基のN7位を介するDNAとの共有結合が、アポトーシス(プログラム細胞死)につながる一連の細胞応答を引き起こす際の重要な分子事象であると考えられている。シスプラチンの細胞及び分子金属生化学の複雑性、並びに細胞毒性の分子機構を理解する際に、多くの課題が特定されてきた。手短に述べれば、白金化DNAが、細胞毒性開始の中心であると指摘されている。白金結合DNAは、高移動度タンパク質(HMG)により、ヌクレオチド除去修復(NER)酵素による修復を受けることから隔離される。さらに、これらの白金-DNA付加体は、p53転写因子を活性化する、ヒストンのリン酸化を誘発する、及びクロマチン凝縮を引き起こすと考えられている。
白金系化学療法剤は、癌を治療するために広く使用されているが、多数の患者におけるそれらの適用は、腎毒性、神経毒性、聴器毒性、骨髄抑制などの重篤な副作用、及び白金金属薬剤に対する獲得耐性を理由に制限されている。例えば、相当な割合の患者が、シスプラチン治療に耐性となる。カルボプラチンは、シスプラチンよりも、いくつかの毒性が軽減されているが、耐性は減らさない。現在、オキサリプラチンが、大腸癌を治療するために承認されているが、その耐性はほとんど調査されていない。
当技術分野は、従来の白金系化学療法剤に対する耐性の発生についての分子レベルでの理解、及びそのような耐性を克服する手段を欠いている。理解は不完全であるが、結合した白金をDNAから除去することによりDNA損傷を修復する能力が、耐性機構に主に寄与すると考えられている。耐性への寄与と関連する他の機構には、銅輸送タンパク質、CTR1の発現の低下に関連した取り込みの減少による、シスプラチンの細胞内蓄積の減少;cMOAT、ATP7A、及びATP7Bの過剰発現による、流出の増加;アポトーシス促進遺伝子の下方制御障害、及び抗アポトーシス遺伝子の上方制御;がある。他方で、CTR1タンパク質の上方制御は、聴器毒性の増強に関連している。MAPKの変化、並びに、グルタチオン、及び他の小分子及びタンパク質、特にメタロチオニン(metallothionine)による白金の非活性化も、白金薬剤に対する耐性への寄与因子として仮定されている。前述のことを考慮すると、DNA修復機構に影響を受けにくい薬剤の開発を含めた、白金薬剤に対する耐性を克服する手段の必要性が存在する。
種々の実施形態において、米国特許第7,700,649号(Bose)及び米国特許出願第12/722,189号(Bose)は、新しい部類の白金錯体、すなわち、白金(II)又は白金(IV)金属中心を有するピロホスファト錯体を含む、合成経路及び癌治療法を開示することによって、当技術分野における必要性を満たしている。開示された化合物及び方法は、DNAを共有結合させず、それにより、DNA修復に基づく耐性をなくす、ある部類の白金抗腫瘍薬を作り出すことに基づいた、薬剤開発戦略の一部である。この戦略は、DNA結合がより効率的な白金抗癌薬を開発する際の中心テーマである従来の白金薬剤開発の手法からのパラダイムシフトである。
米国特許第7,700,649号 米国特許出願第12/722,189号
米国特許第7,700,649号(Bose)及び米国特許出願第12/722,189号(Bose)に開示されているピロホスファト白金錯体には、ラセミtrans-(±)-1,2-シクロヘキサンジアミン(ピロホスファト)白金(II)、及びラセミtrans-(±)-1,2-シクロヘキサンジアミン-trans-ジヒドロキソ(ピロホスファト)白金(IV)がある。これらのラセミ錯体は、いくつかの癌の治療に有効であることが判明しているが、ピロホスファト白金療法の効果を高めること、そのような療法の毒性を軽減させること、及び癌細胞の死滅に関与する遺伝子の改善されたターゲティングにより、癌細胞の増殖を阻止することを含むがこれらに限定されない、改善された薬剤開発手法の必要性がなおも存在する。
種々の実施形態において、本出願は、エナンチオピュアなモノマーピロホスファト白金錯体、及びエナンチオ富化されたモノマーピロホスファト白金錯体に基づく、薬剤開発戦略を開示することにより、上述の必要性を満たす。したがって、本開示は、癌細胞を死滅させ、癌細胞の増殖を阻止することに関与する標的遺伝子を同定するだけでなく、最も有効な形態のピロホスファト白金錯体を提供する。提供される錯体は、安定であり、細胞毒性の増強、及び従来の抗癌薬よりも高い有効性を示す。この薬剤開発戦略はまた、DNA結合が依然として中心テーマである従来の白金薬剤開発の手法からのパラダイムシフトである。
種々の実施形態の中で、本出願は、単離されたモノマーの、(cis又はtrans)-1,2-シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)錯体、及び((cis又はtrans)-1,2-シクロヘキサンジアミン)-trans-ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)錯体を提供し、ここで、前記錯体は、エナンチオピュアであるか、エナンチオマー過剰のcis-1,2-シクロヘキサンジアミンベースの錯体、又は二つの区別可能なtrans-1,2-シクロヘキサンジアミンベースの錯体のうちの一つを含む。したがって、本開示は、(i)((1R,2R)-1,2-シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)(本明細書では、「(1R,2R)-pyrodach-2」と呼ぶ);(ii)((1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)(本明細書では、「(1S,2S)-pyrodach-2」と呼ぶ);(iii)((1R,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)、又は((1S,2R)-1,2-シクロヘキサンジアミン)(二水素ピロホスファト)白金(II)(これらは、重ね合わせることができる鏡像化合物であり、本明細書では、まとめて「cis-pyrodach-2」と呼ぶ);(iv)((1R,2R)-1,2-シクロヘキサンジアミン)-trans-ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)(本明細書では、「(1R,2R)-pyrodach-4」と呼ぶ);(v)((1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン)-trans-ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)(「(1S,2S)-pyrodach-4」と呼ぶ);及び(vi)((1R,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン)-trans-ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)、又は((1S,2R)-1,2-シクロヘキサンジアミン)-trans-ジヒドロキソ(二水素ピロホスファト)白金(IV)(これらは、重ね合わせることができる鏡像化合物であり、本明細書では、まとめて「cis-pyrodach-4」と呼ぶ)から選択される白金(II)錯体及び白金(IV)錯体、並びに薬学的に許容される、(i)〜(vi)のいずれかの塩又は溶媒和物を提供する。1,2-シクロヘキサンジアミン配位子上のアミノ基に関して、化合物(i)、(ii)、(iv)及び(v)において、(1R,2R)及び(1S,2S)の立体化学は、トランス配置のアミノ基を表すのに対して、化合物(iii)及び(vi)において、(1R,2S)及び(1S,2R)の立体化学は、シス配置のアミノ基を表す。
いくつかの実施形態で、本開示はさらに、治療有効量の一つ又は複数の提供される錯体と、担体、希釈剤、補助剤、又はビヒクルなどの、薬学的に許容される少なくとも一つの成分とを含む組成物を提供する。
さらに他の実施形態で、本開示は、提供される錯体の一つ又は複数を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与することにより、一つ又は複数の増殖性疾患を治療するための方法を提供する。
本明細書は、本発明を特に指摘し、かつ明確に主張する特許請求の範囲で完結するが、本発明は、添付の図面と併せて行う以下の説明からより十分に理解されるであろうと考えられる。
(I)(1R,2R)-pyrodach-2、(II)(1S,2S)-pyrodach-2、(III)cis-pyrodach-2、(IV) (1R,2R)-pyrodach-4、(V)(1S,2S)-pyrodach-4、(VI)cis-pyrodach-4、及びtrans-(±)-pyrodach-2の各立体異性体の円二色性スペクトルを示す図である。 ヒト卵巣癌細胞(A2780)を、様々な濃度の化合物に24時間さらすことによるクローン原性アッセイから決定された、(1R,2R)-pyrodach-2、(1S,2S)-pyrodach-2、及びtrans-(±)-pyrodach-2の活性を示すグラフである。 シスプラチン耐性ヒト卵巣癌細胞(OVCAR-10)を、様々な濃度の化合物に24時間さらすことによるクローン原性アッセイから決定された、(1R,2R)-pyrodach-2、(1S,2S)-pyrodach-2、及びtrans-(±)-pyrodach-2の活性を示すグラフである。 マウスにおけるヒト卵巣癌細胞に関する、本明細書に開示する実施形態によるホスファプラチンの投与の間の、6週間の期間にわたる平均腫瘍サイズのプロットである。 シスプラチン耐性ヒト卵巣癌細胞(OVCAR-10)に対する、以下に詳細に説明する、(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4の効力を示すグラフである。 1日おきに1回で3日(「qod×3」)投与した対照(PBS/Bic)、60mg/kgで投薬したカルボプラチン(「qod×3」投与した)、及び40mg/kgで投薬した(1R,2R)-pyrodach-4[3日間連続して、毎日1回(「qd×3」)投与した]を比較する、経時的な腫瘍サイズのプロットである。 ヒト頭頸部癌(UMSCC10b)に対する、以下に詳細に説明する、(1R,2R)-pyrodach-2[qod×3、及び4日間連続して、毎日1回(「qd×4」)投与した]、及び(1R,2R)-pyrodach-4(qd×4投与した)の効力を示すグラフである。
本開示の特定の実施形態を以下に説明する。しかし、本発明は、異なる形態で具体化することができ、本明細書に記述する実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全となるように、また、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の技術者によって共通に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書において、本発明の説明に使用する専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈により特に明確に指示されない限り、複数形を同様に含むことを意図する。
「好ましくは」、「共通に」、及び「典型的に」のような用語は、特許請求した発明の範囲を限定するために、又は、ある種の特徴が、特許請求した発明の構造若しくは機能に決定的、不可欠、若しくは重要であることを暗示するために本明細書で利用されるものではないことに留意する。むしろ、これらの用語は、本発明の特定の実施形態において利用してもしなくてもよい、代替的又は追加的な特徴を強調することを意図するに過ぎない。
用語「実質的に」は、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る不確実性の固有の度合いを表すために、本明細書で使用する。用語「実質的に」は、定量的表現が、問題になっている対象の基本的機能を変化させることなく、定められた基準から変動し得る度合いを表すためにも、本明細書で使用する。したがって、その用語は、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る不確実性の固有の度合いを表すために、本明細書で使用し、理論では、正確な対応又は作用を示すことが期待されるであろうが、実際には、わずかに正確でないものを具体化し得る要素又は特徴の配置を指す。
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する、成分量、分子量などの特性、反応条件などを表すすべての数は、すべての場合において、用語「約」により修飾されることが理解されるべきであり、その用語は、示した値の±10%までを意味することを意図する。加えて、本明細書及び特許請求の範囲における任意の範囲の開示は、その範囲自体、及びそれに包含されるもの、並びに端点を含むものとして理解されるべきである。別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲に記述する数値的特性は、本発明の実施形態において得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。本発明の広い範囲を示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体例に記述する数値は、可能な限り正確に報告する。しかし、いかなる数値も、それらの各測定値に見られる誤差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に含有する。
本明細書で使用する場合、用語「ホスファプラチン」は、一般に、単一の二座ピロホスファト配位子と配位結合した白金錯体を指す。本明細書に記述する実施形態によるホスファプラチンは、以下の一般的構造(A)及び(B)を有することができる:
Figure 2013529219
[式中、L1及びL2は、白金金属中心に配位結合する、中性配位子(独立に、NH3、置換又は無置換脂肪族アミン、及び置換又は無置換芳香族アミンから選択される)、又は末端基L1及びL2を有する単一の二座中性配位子(置換又は無置換脂肪族又は芳香族ジアミンから選択される)を表し、L3及びL4は、白金金属中心に配位結合する配位子(水酸化物、酢酸、酪酸、及び、α-ヒドロキシ酸、アミン、又はそれらの荷電種から選択される)である]。ピロホスファト配位子は、中性であってもよいし(図示なし)、荷電していてもよい(図示あり)。荷電している場合、ピロホスファト配位子は、Z+で表される対イオンと共に存在する。Z+の例としては、限定されないが、水素、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属、及び一価の有機部分がある。好ましくは、Z+は、薬学的に許容される塩をもたらす対イオンである。荷電していても中性であっても、(A)で表される白金(II)錯体の一般的構造は、正方平面であり、(B)で表される白金(IV)錯体の一般的構造は、八面体である。
一般に、ホスファプラチンは、容易に加水分解されず、中性pHの水溶液に可溶であり、中性pHの水溶液中で安定である。さらに、ホスファプラチンは、癌細胞株において、一般的な細胞毒性を示し、シスプラチンとカルボプラチンの一方又は両方に耐性である細胞株に有効である。したがって、ホスファプラチンは、癌細胞死を誘発するのに有効であり、既知の白金癌治療薬と比較して、より有効である場合もあり、また、患者への投与に適した溶液中で望ましい安定性及び可溶性を示す。本発明のホスファプラチンに関して本明細書で使用する場合、「安定な」は、6〜8の範囲のpHの水溶液中で、2〜6日の期間の間維持されているときの、錯体の加水分解に対する抵抗性を指す。
シスプラチン、カルボプラチン、及び関連する白金系抗癌剤と違って、ホスファプラチンは、DNAを共有結合しない。シスプラチン、カルボプラチン、及び関連する白金抗癌剤に対する耐性は、核除去(nuclear excision)修復酵素を含めた様々な酵素による、DNA損傷の効率的な修復から生じると考えられている。しかし、ホスファプラチンは、DNAを共有結合しないので、DNA修復機構によるホスファプラチンに対する耐性は、起こりそうもない。データは、ホスファプラチンが、fas及びfas関連転写因子、Bak及びBaxなどのいくつかのアポトーシス促進遺伝子、並びにPUMA及びPTENなどの腫瘍抑制遺伝子の過剰発現を引き起こすことを示唆する。さらに、ホスファプラチンは、抗アポトーシス遺伝子であるBCL2を下方制御する。これらの遺伝子により転写されたタンパク質発現を扱うウェスタンブロット実験は、同様の傾向を示す。加えて、ホスファプラチンの細胞結合はシスプラチンより少ないが、ホスファプラチンは高い細胞毒性を示す。したがって、本発明は、当技術分野のものと異なる分子標的を有する、有効な白金抗癌剤を提供する。
用語「エナンチオマー過剰」は、一般に理解されているその定義に従って、本明細書で使用する。すなわち、混合物中に、それぞれ、モル量MA及びMBで存在し得る、二つのエナンチオマーA及びBについて、より多いモル量で混合物中に存在するエナンチオマーのエナンチオマー過剰率Eは、関係%E=|(MA-MB)/(MA+MB)×100|で表すことができ、ここで、E>0%である。「rac」及び/又は「(±)」(又は、単にエナンチオマーへの言及がない)などの略字で表すことができる、エナンチオマーAとエナンチオマーBとの「ラセミ混合物」は、MA=MBなので、E=0%である。さらなる例示として、MA=60%及びMB=40%である、A及びBからなる混合物は、Aのエナンチオマー過剰率が、20%に等しい。それと同じ混合物を、代替的に、20%のエナンチオピュアなAを組み合わせた、AとBとの80%ラセミ混合物からなる混合物と考えることができる。なぜなら、B(混合物の40%)の各分子が、混合物中のA(混合物の40%)の分子と対になって、A(混合物の20%)の過剰な分子を、対になっていないままにしておくことができるからである。
本明細書で使用する場合、二つのエナンチオマーA及びBを有する分子に関する用語「エナンチオピュアな」は、実質的にエナンチオマーA又はBの一方だけを含有するが、AとBの両方を含有するわけではない化合物又は組成物を指す。「エナンチオピュアな」錯体については、97%≦E≦100%。
本明細書で使用する場合、用語「エナンチオ富化された」は、最も広い意味では、二つのエナンチオマーA及びBを有する分子を含有する化合物又は組成物であって、その化合物又は組成物のエナンチオマーA又はBのいずれか一方が、エナンチオマー過剰であるような化合物又は組成物を指す。したがって、「AとBとのエナンチオ富化された混合物」は、A又はBのいずれかについて、0%<E≦100%である、エナンチオマー過剰のAとの混合物、又はエナンチオマー過剰のBとの混合物を指すことができる。例示として、A又はBのいずれかのエナンチオマー過剰率は、0.01%より大きくてもよく、1%より大きくてもよく、10%より大きくてもよく、25%より大きくてもよく、50%より大きくてもよく、75%より大きくてもよく、90%より大きくてもよく、98%より大きくてもよく、99%より大きくてもよく、99.9%より大きくてもよく、又は100%に等しくてもよい。
種々の実施形態で、安定なモノマーホスファプラチン錯体(及び治療有効量の一つ又は複数の前記錯体を含む組成物)が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態で、前記錯体及び組成物は、これに限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチンのうちの一つ又は複数による治療に耐性の癌を含む癌を治療する方法において使用することができる。
錯体
種々の実施形態で、
(i)式(I)を有するエナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-2、
Figure 2013529219
(ii)式(II)を有するエナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-2、
Figure 2013529219
(iii)エナンチオマー過剰の、式(I)を有する(1R,2R)-pyrodach-2又は式(II)を有する(1S,2S)-pyrodach-2のいずれかを有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2、
Figure 2013529219
(iv)式(III)を有するcis-pyrodach-2、
Figure 2013529219
(v)式(IV)を有するエナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-4、
Figure 2013529219
(vi)式(V)を有するエナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-4、
Figure 2013529219
(vii)エナンチオマー過剰の、式(IV)を有する(1R,2R)-pyrodach-4又は式(V)を有する(1S,2S)-pyrodach-4のいずれかを有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4、
Figure 2013529219
及び
(viii)式(VI)を有するcis-pyrodach-4
Figure 2013529219
からなる群から選択される、ホスファプラチン錯体が提供される。
式(I)〜(VI)による錯体において、略語「pyrodach」は、1,2-シクロヘキサンジアミン(ピロホスファト)白金錯体を指す[ここで、「pyro」は、二座ピロホスファト配位子を指し、「dach」は、1,2-ジアミノシクロヘキサンとしても知られる、二座1,2-シクロヘキサンジアミン配位子(IUPAC規則に従って命名した)を指す]。用語「pyrodach」の前の表記(1R,2R)、(1S,2S)又はcisは、1,2-シクロヘキサンジアミン配位子の1位及び2位におけるキラル中心の立体化学的配置を指す。略語「pyrodach」の後に続く数字(すなわち、2又は4)は、白金中心の酸化数を指す。すなわち、「pyrodach-2」は、白金(II)錯体を指し、「pyrodach-4」は、白金(IV)錯体を指す。
白金がピロホスフェート及び1,2-シクロヘキサジアミン配位子と配位結合している、式(I)〜(VI)のホスファプラチンは、そのジアミン配位子のキラル炭素中心1及び2における二つのアミノ(-NH2)基の可能なシス配置及びトランス配置により、四つの立体異性体として存在し得る。これらの立体異性体は、(1R,2R)配置、(1S,2S)配置、(1R,2S)配置、及び(1S,2R)配置を示す。トランス配位子、すなわち、trans-1,2-シクロヘキサンジアミンは、(1R,2R)配置及び(1S,2S)配置をそれぞれ有する二つのエナンチオマーをもたらす。シス異性体は、原理的に、(1R,2S)-及び(1S,2R)-エナンチオマーを包含するが、これらの二つのシス異性体は、構造的及び化学的に互いに区別できない、同等の、重ね合わせることができる鏡像である。したがって、シス異性体の二つのエナンチオマーを、単に「シス異性体」と以下で呼び、単一の式で表す。
エナンチオ富化されたpyrodach-2混合物(iii)、及びエナンチオ富化されたpyrodach-4混合物(vii)はいずれも、ゼロより大きいエナンチオマー過剰率の(1R,2R)-エナンチオマー又は(1S,2S)-エナンチオマーを特徴とする。エナンチオマー過剰率は、様々であってよく、例示的実施形態で、0.01%より大きくてもよく、1%より大きくてもよく、10%より大きくてもよく、25%より大きくてもよく、50%より大きくてもよく、75%より大きくてもよく、90%より大きくてもよく、98%より大きくてもよく、99%より大きくてもよく、99.9%より大きくてもよく、又はさらには100%に等しくてもよい。例示的実施形態で、エナンチオマー過剰率は、(1R,2R)-エナンチオマーのもの、例えば、90%より大きい、(1R,2R)-エナンチオマーのエナンチオマー過剰率である。さらなる例示的実施形態で、エナンチオマー過剰率は、(1S,2S)-エナンチオマーのもの、例えば、90%より大きい、(1R,2R)-エナンチオマーのエナンチオマー過剰率である。さらなる例示的実施形態で、エナンチオ富化されたpyrodach-2混合物(i)、及び/又はエナンチオ富化されたpyrodach-4混合物(ii)は、(1R,2R)-エナンチオマー又は(1S,2S)-エナンチオマーにおいて、エナンチオピュアである。
式(I)、(II)、(IV)及び(V)によるエナンチオピュアな錯体と、米国特許第7,700,649号に開示されている対応するラセミ混合物との間の、本明細書で示す比較データにおいて、以下、(1R,2R)-pyrodach-2と(1S,2S)-pyrodach-2とのラセミ混合物を、略語「trans-(±)-pyrodach-2」で表す。同様に、(1R,2R)-pyrodach-4と(1S,2S)-pyrodach-4とのラセミ混合物を、「trans-(±)-pyrodach-4」で表す。
非限定的な例として、式(I)〜(VI)の化合物は、ヨウ化カリウムの添加によりK2PtCl4からK2PtI4に変化させることによって調製できる、cis-(1,2-シクロヘキサンジアミン)ジクロロ白金(II)などの出発材料から合成することができる。次いで、K2PtI4は、cis-1,2-シクロヘキサンジアミン、trans-(1R,2R)-1,2-シクロヘキサンジアミン、trans-(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン、又はそれらの混合物などの、所望の立体化学を有する1,2-シクロヘキサンジアミンと反応させることができる。次いで、得られた(1,2-シクロヘキサンジアミン)ジヨード白金(II)錯体は、2当量の硝酸銀を添加することにより、その場で、対応する(1,2-シクロヘキサンジアミン)ジアクア白金(II)錯体に転化させることができる。次いで、ジアクア種[Pt(1,2-シクロヘキサンジアミン)(H2O)2]は、塩化カリウムの添加により、cis-ジクロロ[Pt(1,2-シクロヘキサンジアミン)Cl2]錯体に変化させることができる。
他の適切な反応条件を使用できることが理解されるであろう。非限定的な例では、出発の1,2-シクロヘキサンジアミン-白金(II)錯体を、過剰なピロホスフェートと反応させており、温度は、約35℃から約45℃、又は35℃から45℃の間の任意の好ましいより狭い範囲にすることができる。良好な結果は、40℃で得られている。いくつかの例では、反応は、約13時間から約16時間、又は13時間から16時間の間の任意の好ましいより狭い範囲で進行させることができる。良好な結果は、15時間の反応時間で得られている。いくつかの例では、pHは、約6から約7、約7から約8、及び約8から約9にすることができる。良好な結果は、pH約8で得られている。
水性反応混合物は、ピロホスフェートの沈殿物が形成しないように濃縮することができる。水性反応混合物は、任意の適切な方法で濃縮できることが理解されるであろう。例えば、水性反応混合物は、回転蒸発によって濃縮することができる。
その後すぐに、反応混合物のpHは、適切な酸の添加によって、pH2未満に急速に下げることができる。いくつかの例では、pHを下げるために、硝酸を使用することができる。いくつかの実施形態で、pHは、約1から約2の間の範囲にある。良好な結果は、pH1で得られている。
いくつかの例では、反応混合物を濃縮した後、反応混合物は、5℃から室温(25℃±2 ℃)の間の温度に冷却することができる。他の例では、その方法は、反応混合物のpHを下げた後に、反応混合物を、5℃から室温の間の温度に冷却することも含む。
式(II)及び(V)による白金(IV)錯体を調製するために、ヒドロキソ配位子を結合させるのに追加のステップが必要となる。したがって、上記したステップに加えて、約30℃から約60℃の温度で、pH約7から約9で、約12時間から約18時間の間維持した後に、反応混合物に、過酸化水素、並びに任意選択で、群酢酸塩、酪酸塩、及びα-ヒドロキシ酸の塩から選択される試薬を添加することができる。反応混合物の濃縮前に、過酸化水素と共に添加し得る任意選択の試薬は、酢酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、アミン、及びα-ヒドロキシ酸のナトリウム塩から選択することができる。他の例では、反応混合物の濃縮前に、過酸化水素と共に添加する任意選択の試薬は、酢酸カリウム、酪酸カリウム、アンモニア、イソプロピルアミンなどの任意の一座配位アミン、及びα-ヒドロキシ酸のカリウム塩から選択することができる。
組成物
種々の実施形態のいくつかで、さらに、(a)提供されるホスファプラチン錯体;(b)薬学的に許容される(a)の塩;及び(c)薬学的に許容される(a)の溶媒和物の一つ又は複数を含む組成物が提供される。前記組成物は、担体、希釈剤、補助剤、及びビヒクルから選択される、薬学的に許容される少なくとも一つの成分をさらに含むことができ、それらは、ホスファプラチンと反応しない、不活性で非毒性の、固体若しくは液体のフィラー、希釈剤、又はカプセル封入材料を一般に表す。これらのタイプの添加剤は、当技術分野でよく知られており、治療方法に関連して、以下でさらに説明する。種々の実施形態によれば、提供される組成物は、
(i)式(I)を有するエナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-2、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
(ii)式(II)を有するエナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-2、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
(iii)エナンチオマー過剰の、式(I)を有する(1R,2R)-pyrodach-2又は式(II)を有する(1S,2S)-pyrodach-2のいずれかを有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
(iv)式(III)を有するcis-pyrodach-2、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
(v)式(IV)を有するエナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-4、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
(vi)式(V)を有するエナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-4、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
(vii)エナンチオマー過剰の、式(IV)を有する(1R,2R)-pyrodach-4又は式(V)を有する(1S,2S)-pyrodach-4のいずれかを有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
及び
(viii)式(VI)を有するcis-pyrodach-4、又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
Figure 2013529219
の一つ又は複数を含む。
いくつかの実施形態で、提供される組成物は、式(I)〜(VI)のいずれかによる式を有する、一つの錯体(又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物)を含む。いくつかの実施形態で、提供される組成物は、式(I)〜(VI)のいずれかによる式を有する少なくとも二つの錯体(又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物)の複数錯体(multicomplex)混合物である。複数錯体混合物が、(1R,2R)-pyrodach-2と(1S,2S)-pyrodach-2との純粋なラセミ混合物でも、(1R,2R)-pyrodach-4と(1S,2S)-pyrodach-4との純粋なラセミ混合物でもないという条件で、複数錯体混合物は、式(I)〜(VI)による化合物の一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、又は六つを含むことができる。
企図される方法
さらなる実施形態で、上記した該錯体、組成物、又は両方は、増殖性疾患又は障害(まとめて「疾患」)を治療する方法において、単独で、又は薬学的に許容される他の成分と共に使用することができる。提供される方法は、治療有効量の上記の錯体又は組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。対象は、例えば、ヒトを含む哺乳類などの動物であってもよい。ヒトにおいて治療可能であると考えられる増殖性疾患としては、卵巣癌、精巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、及び頭頸部癌、皮膚癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、膠芽腫癌がある。いくつかの実施形態で、該錯体及び/又は組成物は、シスプラチン、カルボプラチン、及び/又はオキサリプラチンなどの既知の白金金属薬剤を用いる併用治療又は連続治療を含む、組み合わせ療法において使用できることが企図される。さらに、該錯体及び/又は組成物は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンのうちの一つ又は複数による治療に耐性の癌を治療するために使用できる、及び/又は、タキサンなどの抗有糸分裂剤、ゲムシタビンなどのヌクレオシド類似体、ドキソルビシンなどのアントラサイクリン系抗生物質、若しくはモノクローナル抗体などの標的治療剤を含めた、他の治療クラスと組み合わせて使用できることが企図される。
本明細書に記述した通り、式(I)〜(VI)の錯体は、シスプラチン及びカルボプラチンと同程度に有効、又はそれらよりも有効であることが示されており、したがって、シスプラチン及びカルボプラチン治療の有効な代替手段がこれまでなかった患者の癌治療方法をもたらす。しかし、患者は、本明細書に記述する、提供される錯体、組成物、及び方法で治療を受けるために、シスプラチン又はカルボプラチンでこれまで治療を受けている必要はない。治療薬の投与は、病院又は他の医療施設において、医療関係者によって行うことができる。
式(I)〜(VI)の錯体は、個々の患者の臨床状態、投与の部位及び方法、投与の日程計画、患者の年齢、性別、体重、並びに医師に既知である他の因子を考慮して、良質の医療行為に従って投与し、服用することができる。したがって、本明細書における目的のための薬学的に「治療有効量」は、当技術分野で既知であるような考慮事項によって決定される。量は、これらに限定されないが、生存率の改善、若しくはより早い回復を含めた改善、又は症状、及び当業者によって適切な基準として選択されるような他の指標の改善若しくは除去を実現するのに有効でなければならない。本発明の錯体は、哺乳類及びヒトを含む動物に、単独で又は組成物として投与できることが企図される。さらに、式(I)〜(VI)の錯体は、特に広い治療域にわたって投与できることが企図される。一つの例示として、一つ又は複数の提供される錯体は、5mg/kgから50mg/kg;代替的に10mg/kgから50mg/kg;代替的に20mg/kgから50mg/kg;代替的に30mg/kgから50mg/kg;代替的に40mg/kgから50mg/kg;代替的に45mg/kgから50mg/kgの一つ又は複数の用量で投与できることが企図される。当然ながら、当業者は、治療投与量が、投与される錯体、投与される組成物、及び投与される錯体又は組成物を受容する対象により変動し得ることを理解するであろう。したがって、5mg/kg未満の治療用量が企図されるのと同様に、50mg/kgより多い治療用量も企図される。用量は、単回用量、又は数日の期間にわたる複数回用量にすることができる。例示として、式(I)〜(VI)の錯体は、1日より多い日数で、1回、2回、3回、4回、5回、6回又はそれより多い回数の用量で投与できることが企図される。該錯体は、例えば、ポンプ又は点滴によって、1日以上にわたって連続的に投与できることも企図される。別の例示として、該錯体は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、又はそれより多い日数の間投与できることが企図される。
治療方法において、式(I)〜(VI)の錯体は、様々な方法で投与することができる。それらは、錯体として投与することができ、また、これらの錯体の優れた可溶性を利用して水溶液で単独で、又は薬学的に許容される担体、希釈剤、補助剤、及びビヒクルと組み合わせた活性成分として投与できることに留意すべきである。該錯体は、経口投与、皮下投与、又は、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、扁桃、及び鼻腔内投与、並びに髄腔内法及び注入法を含めて、非経口投与できることが企図される。該錯体のインプラントも有用であり得る。
式(I)〜(VI)の錯体が、非経口投与される場合、それらは、一般に、単位用量の注射可能な形態(例えば、溶液、懸濁液、乳濁液)に製剤化されることとなる。注射に適した医薬製剤としては、滅菌した水溶液又は分散液、及び、滅菌した注射用溶液又は分散液への再構成用の滅菌粉末がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、及び植物油を含有する、溶媒又は分散媒であり得る。
適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散の場合に必要な粒サイズの維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。綿実油、ゴマ油、オリーブ油、大豆油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、又はピーナッツ油、及びミリスチン酸イソプロピルなどのエステルのような、非水性ビヒクルは、組成物のための溶媒系として使用することもできる。さらに、抗菌性保存剤、抗酸化剤、キレート剤及び緩衝剤を含めた、組成物の安定性、無菌性、及び等張性を高める様々な添加剤を添加することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましいであろう。注射可能な医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらすことができる。しかし、使用される任意のビヒクル、希釈剤、又は添加剤は、ホスファプラチン錯体に適合性でなければならない。
滅菌した注射用溶液は、該ホスファプラチン錯体を、所望により一種又は複数の他の成分と共に、必要量の適切な溶媒に組み込むことにより調製することができる。
該ホスファプラチンを含む薬理学的製剤は、様々なビヒクル、補助剤、添加剤及び希釈剤などの任意の適合する担体を含有する注射用製剤の状態で、患者に投与することができ、又は該ホスファプラチン錯体は、徐放性皮下インプラントの形態、又は、モノクローナル抗体、ベクター送達(vectored delivery)、イオン泳動、ポリマーマトリックス、リポソーム、及びミクロスフェアなどの標的化送達系の形態で、患者に非経口投与することができる。多くの他のそうしたインプラント、送達系、及びモジュールが、当業者によく知られている。
説明した実施形態は、以下の実施例を参照することによって、よりよく理解されるであろう。その実施例は、例示として与えられるものであり、当業者は、それが、限定的であることを意図するものではないことを認識するであろう。
(1R,2R)-pyrodach-2[式(I)]の合成
K2PtI4、又は、より好ましくはK2PtCl4をそれぞれ、(1R,2R)-(-)-1,2-シクロヘキサンジアミンと反応させることによって、白金(II)錯体を形成するための出発材料として、cis-ジヨード-又はcis-ジクロロ-(trans-(1R,2R)-(-)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)を形成した。次いで、cis-ジヨード-((1R,2R)-(-)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)、又は、好ましくは、cis-ジクロロ-((1R,2R)-(-)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)を、ピロリン酸ナトリウム十水和物と共に、蒸留水(pH8)に溶解し、得られた混合物を、40℃で、15時間インキュベートする。インキュベーション期間の後、溶液を回転蒸発によって濃縮し、濾過して、未反応出発材料を除去した。1Nの硝酸の添加により、pHをおよそ1.0に急速に下げることによって、生成物を沈殿させた。約0℃で冷却することにより沈殿を完了させ、生成物を真空濾過によって単離し、冷水及びアセトンで洗浄した。この合成によって、エナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-2が得られた。
(1S,2S)-pyrodach-2[式(II)]の合成
cis-ジヨード-又はcis-ジクロロ-(trans-(1R,2R)-(-)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)の代わりに、それぞれ、cis-ジヨード-又はcis-ジクロロ-(trans-(1S,2S)-(+)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)を、出発材料として使用することを除いて、合成実施例1に記述した方法と同様の方法で、エナンチオピュアな(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン(ピロホスファト)白金(II)を調製した。この合成によって、エナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-2が得られた。
(1R,2R)-pyrodach-4[式(IV)]の合成
合成実施例1の出発材料、すなわち、cis-ジヨード-又はcis-ジクロロ-(trans-(1R,2R)-(-)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)、及びピロリン酸ナトリウム十水和物を、蒸留水(pH8)に溶解し、得られた混合物を、40℃で、15時間インキュベートした。インキュベーション期間の後、反応混合物に一定分量の30%H2O2を添加し、反応混合物を、さらに3時間反応させておく。次いで、溶液を回転蒸発により濃縮し、濾過して、未反応出発材料を除去した。1Nの硝酸の添加により、pHをおよそ1.0に急速に下げることによって、生成物を沈殿させた。約0℃で冷却することにより沈殿を完了させ、生成物を真空濾過によって単離し、冷水及びアセトンで洗浄した。この合成によって、エナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-4が得られた。
(1S,2S)-pyrodach-4[式(V)]の合成
合成実施例2の出発材料、すなわち、cis-ジヨード-又はcis-ジクロロ-(trans-(1R,2R)-(-)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)の代わりに、それぞれ、cis-ジヨード-又はcis-ジクロロ-(trans-(1S,2S)-(+)-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)を出発材料として使用することを除いて、合成実施例3に記述した方法と同様の方法で、エナンチピュアな(1S,2S)-1,2-シクロヘキサンジアミン-trans-ジヒドロキソ(ピロホスファト)白金(IV)を調製した。この合成によって、エナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-4が得られた。
cis-pyrodach-2[式(III)]の合成
撹拌子を備えた500mLの丸底フラスコの中で、ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.400g)を、蒸留水(250mL)に溶解した。次いで、2Mの硝酸を使用して、溶液のpHを、8.0に調整した。次いで、溶液を、40℃の水浴に入れ、磁気棒で撹拌した。次いで、撹拌している溶液に、cis-ジクロロ-(cis-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)(0.100 g、0.26mmol)を添加した。混合物を、15時間反応させておき、次いで、溶媒を真空中で48℃で蒸発させ、体積を5mLにした。次いで、混合物を濾紙に通し、溶液を撹拌子を備えた10mLのバイアルの中に収集した。バイアルを、撹拌板上の氷浴に入れ、穏やかに撹拌しながら、2Nの硝酸を使用して、pHを初期の6.5から2.0に調整した。より低いpHに達するとすぐに、沈殿物がゆっくりと発生した。撹拌を、さらに5分間継続し、その後、懸濁液を使用前に氷の中に入れておいた中程度の多孔度のフリットガラス濾過器を通して濾過した。次いで、固形物を冷水(5mLで2回)、及び冷アセトン(5mLで2回)で洗浄し、濾過器をデシケーター中に一晩放置した。これにより、淡黄色の粉末を生成した(0.077g、0.16mmol、収率60%)。
cis-pyrodach-4[式(VI)]の合成
撹拌子を備えた500mLの丸底フラスコの中で、ピロリン酸ナトリウム十水和物(0.400g)を、蒸留水(250mL)に溶解した。次いで、2Mの硝酸を使用して、溶液のpHを8.0に調整した。次いで、溶液を40℃の水浴に入れ、磁気棒で撹拌した。撹拌している溶液に、cis-ジクロロ-(cis-1,2-シクロヘキサンジアミン)白金(II)(0.100g、0.26mmol)を添加した。混合物を、15時間反応させておき、3mLの30%(w/w)H2O2を添加し、反応時間を3時間追加した。次いで、溶媒を真空中で48℃で蒸発させ、体積を5mLにした。次いで、混合物を濾紙に通し、溶液を撹拌子を備えた10mLのバイアルの中に収集した。バイアルを撹拌板上の氷浴に入れて、穏やかに撹拌しながら、2Nの硝酸を使用して、pHを初期の6.5から2.5に調整した。より低いpHに達した後すぐに、沈殿物がゆっくりと発生した。撹拌をさらに5分間継続し、次いで、懸濁液を使用前に氷の中に入れておいた中程度の多孔度のフリットガラス濾過器を通して濾過した。固形物を、冷水(5mLで2回)、及び冷アセトン(5mLで2回)で洗浄し、濾過器をデシケーター中に一晩放置した。これにより、白色の粉末を生成した(0.120g、0.23mmol、収率88%)。
ホスファプラチンの特徴付け
上述の合成実施例に従って合成したすべてのホスファプラチンは、PBS及び重炭酸塩バッファーの中性pHの水溶液中で、40mM/Lよりも高い溶解度を示す。特に、(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4は、水溶液中、中性pHで顕著な安定性を示す。典型的には、ホスファプラチン化合物を水に溶解し、31P-NMR分光法により観察した後7日以内に、分解は観察されない。
上述の合成実施例に従って調製した化合物を、異性体の配置を確認する円二色性(CD)分光法、並びに、組成を確認する31P-NMR及び質量分析法により特徴付けた。米国特許第7,700,649号に記載されている方法に従って調製した、trans-(±)-pyrodach-2ラセミ混合物に関して追加のCDスペクトルを測定した。
CDスペクトルを、pH6.8のリン酸バッファー(50mM)中で記録した。pyrodach-2とpyrodach-4の両方の(1R,2R)体及び(1S,2S)体は、キラリティーに起因する光学活性を示すが、ラセミ混合物(trans-(±)-pyrodach-2)、及びpyrodach-2とpyrodach-4の両方のシス異性体は、CDピークを示さなかった。
図1にCDスペクトルを示す。図1において、括弧中の数字は、括弧中の数字に対応する式の化合物を指す。分析した化合物の濃度は、(I)が2.7mM、(II)が2.5mM、(III)が1.3mM、(IV)が3.5mM、(V)が2.9mM、(VI)が2.7mM、及びtrans-(±)-pyrodach-2が3.5mMであった。
in vitro効力及び細胞生存アッセイ(クローン原性アッセイ)
式(I)〜(VI)のホスファプラチンの相対的活性を決定するために、各立体異性体を、ヒト卵巣癌細胞、ヒト結腸癌細胞、及びヒト頭頸部癌細胞を使用する、in vitroクローン原性アッセイによって試験した。ヒト卵巣癌細胞、すなわち、A2780及びA2780/C30(30μMシスプラチン及び100μMカルボプラチンに交差耐性)を、Dr. Thomas Hamilton(Fox Chase Cancer Center, Philadelphia, PA)から得た。5%CO2が連続的に供給される37℃インキュベーターにおいて、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、0.25単位/mLインスリン、及びペニシリン/ストレプトマイシン(100単位/mL)を補充したRPMI1640を使用して、細胞を単層で培養した。HBSS中0.0625%トリプシンを使用して、細胞を継代培養し、指数関数的細胞増殖で細胞を維持した。
最大半減阻害濃度(IC50)値を、クローン原性アッセイ、又はCyQUANT(登録商標)細胞増殖アッセイを使用して決定した。クローン原性アッセイにおいては、例えば、単細胞懸濁液の500〜700個のA2780細胞を、白金化合物による処理の24時間前に60mmペトリ皿に蒔き、細胞を付着させた。上の合成実施例に記述した白金化合物により処理する日に、培地をデカントし、三つの異なる時点で、適切な濃度のホスファプラチン化合物(50nMから75μM)と交換し、処理された細胞を、37℃インキュベーターに戻し、24時間入れておいた。各白金化合物濃度につき三つのプレートを用意した。24時間の処理の後、白金化合物を含有する培地をデカントし、新しい培地と交換した。コロニー形成のために、これらのプレートを、37℃インキュベーターに7日間戻しておいた。
CyQUANT細胞増殖アッセイにおいては、細胞のDNAに結合すると、強い蛍光強度を示す緑色蛍光染料を含有する、CyQUANT(登録商標)Cell Proliferation Assay Kit(Invitrogen)を使用して、DNA含有量を測定することによって、IC50値を決定した。これらの実験において、所望の数の細胞を、異なる濃度のホスファプラチンに72時間さらした後に、DNA含有量を測定した。DNA含有量は、生存している細胞の数に比例するので、このアッセイにより、増殖している細胞が定量測定される。その方法は、Jones et al., "Sensitive determination of cell number using the CyQUANT cell proliferation assay," J.Immunol.Methods, vol. 254, pp. 85-98 (2001)に詳細に記載されている。
クローン原性アッセイ及び/又はCyQUANT細胞増殖アッセイのIC50データを、表1〜5にまとめる。表1〜5において、実際の誤差値を示している箇所を除いて、報告した各値は、報告した値の±15%以下の誤差を有するとみなし、また、別段の指定がない限り、データは、クローン原性アッセイから得たものである。
Figure 2013529219
Figure 2013529219
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さらに、これらの異性体化合物はまた、以下の細胞株、すなわち、UMSCC10b、Panc-1、UMSCC15s、A2780/C30及びHCC1806において、それらを144時間さらすことによって試験した。異性体(1R,2R)-pyrodach-2は、ラセミtrans-(±)-pyrodach-2と比較すると、驚くほどに優れた活性を示した。例えば、(1R,2R)-pyrodach-2は、膵臓細胞株Panc-1において、ラセミtrans-(±)-pyrodach-2の18.5(μM)というIC50値に対して、1.7(μM)というIC50値を示し、(1R,2R)-pyrodach-2は、頭頸部癌細胞株UMSCC10bにおいて、ラセミtrans-(±)-pyrodach-2の8.9(μM)というIC50値に対して、0.3(μM)というIC50値を示し、(1R,2R)-pyrodach-2は、乳癌細胞株HCC1806において、ラセミtrans-(±)-pyrodach-2の>30(μM)というIC50値に対して、9.7(μM)というIC50値を示した。
トランス異性体の中では、クローン原性アッセイによって、(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4異性体がそれぞれ、ラセミ混合物のtrans-(±)-pyrodach-2及びtrans-(±)-pyrodach-4よりもはるかに優れた活性を有することが示された。例えば、trans-(±)-pyrodach-4を、ヒト卵巣癌細胞(A2780)に1時間さらしたとき、IC50値は、180±15μMであることが判明したのに対して、他の同一の実験条件下での(1R,2R)-pyrodach-4について、同じ細胞株のIC50は、40±10μMであることが判明した(表1)。様々なヒト癌細胞株に(1R,2R)-異性体を長時間さらすことにより、はるかに低いIC50値が得られ、そのことは、これらの化合物の有効な抗癌薬としての可能性を示している。例えば、(1R,2R)-pyrodach-2は、ヒト卵巣細胞について、クローン原性アッセイによるIC50値が、500nM(0.5μM)であり、耐性のあるヒト頭頸部癌について、2μMである。
エナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-2化合物と(1S,2S)-pyrodach-2化合物はどちらも、A2780細胞に少なくとも24時間さらした場合、実験誤差の範囲内で、同等の活性を示す。しかし、細胞に、より短い時間の間、例えば1時間さらす場合、(1R,2R)体と(1S,2S)体の間で活性の差が見られた。(1R,2R)体は、より短い時間の暴露で、(1S,2S)体と比較して、優れた活性を示し、そのことは、細胞による(1R,2R)-異性体のより速い取り込みを示している。(1R,2R)体又は(1S,2S)体と比較して、ラセミ体のIC50値がより高いということは、それら二つの体の自己会合を示している可能性があり、それら二つの体が細胞により取り込まれる割合が減少するのかもしれない。
新規のシスプラチン耐性ヒト卵巣癌(OVCAR-10)について、(1R,2R)-pyrodach-2は、 (1S,2S)-pyrodach-2よりも良好なin vitro効力を示した。注目すべきは、(1R,2R)-pyrodach-2が、ヒト卵巣癌細胞株、OVCAR-10(表2及び5)及びOVCAR-8(表5)において、シスプラチンよりも顕著に優れた活性を示したことである。
シス異性体は、他の化合物と比較して、ヒト卵巣癌(A2780)に対して、優れた活性を示した。例えば、cis-pyrodach-2及びcis-pyrodach-4は、24時間、A2780細胞にさらした後、それぞれ、IC50値、300nM及び4μMを示し、一方、対応する(1R,2R)-pyrodach-2体又は(1R,2R)-pyrodach-4体はそれぞれ1.0μM及び18μMであった。留意すべきは、シスプラチン及びカルボプラチンは、同一条件下で、はるかに高いIC50値、すなわち、それぞれ5.0μM及び>60μMを与えることである。
理論により拘束又は限定されるものではないが、予想される化学原理は、ラセミ体のIC50値が、(1R,2R)-異性体及び(1S,2S)-異性体の各IC50値の算術平均に等しいはずであることを教示する。しかし、上の表に示す通り、ラセミ体のIC50値(例えば、A2780におけるpyrodach-2の)は、(1R,2R)-エナンチオマーと(1S,2S)-エナンチオマーとの50/50混合物に基づいて予想されるものよりもはるかに高い。これらのデータは、ラセミ体の効力が、未知の理由で、エナンチオマー配分に基づいて予想されるものよりも低いことを示唆する。一つのもっともらしい説明は、ラセミ体が、自己会合し、それにより細胞によって効果的に取り込まれないというものである。
さらなる試験において、細胞を、7日間連続で、白金化合物で処理した。コロニーを固定し、4%ホルムアルデヒド中で、2%クリスタルバイオレットを使用して染色した。50個を超える細胞を含有するコロニーを記録した。三つのプレートの記録されたコロニーの数を平均し、この数を蒔いた細胞の数で割り、コロニー形成細胞の割合の値を得た。次いで、コロニー形成細胞の割合の値を、白金化合物で処理しなかったプレート中のコロニー形成細胞の数で割ることにより、そのコロニー形成細胞の割合をプレーティング効率について補正した。A2780によるコロニー形成のデータを図2に示す。留意すべきは、(1R,2R)-pyrodach-2エナンチオマーと(1S,2S)-pyrodach-2エナンチオマーの両方が、(1R,2R)については1.0±0.1μM、及び(1S,2S)については1.1±0.1μMというほとんど同一のIC50値を与えるのに対して、ラセミ混合物が、2.4±0.2μMというはるかに高いIC50値を与えたことであり、これはラセミ混合物の効力が低いことを示している。(1R,2R)-pyrodach-2(RD2)、(1R,2R)-pyrodach-4(RD4)、trans-(±)-pyrodach-2 (T-D2)、及びtrans-(±)-pyrodach-4(T-D4)を比較する、OVCAR-10の同様のデータを図3に示す。
臨床研究では、本明細書に記述するホスファプラチンに存在するものと同じ1,2-ジアミノシクロヘキサン担体配位子を有するオキサリプラチンの(1R,2R)-エナンチオマーが、オキサリプラチンの他の立体異性体よりも優れた効力を示すことが示されている。オキサリプラチンと対照的に、pyrodach-2とpyrodach-4の両方の三つのピロホスファト異性体(すなわち、(1R,2R)-、(1S,2S)-、及びcis)のすべてが、様々な癌に対して非常に活性である。しかし、普遍的な傾向がないように思われる。例えば、上で詳述した通り、(1R,2R)-pyrodach-2及び(1S,2S)-pyrodach-2は、これらの化合物を、ヒトA2780癌細胞に24時間さらしたとき、これらの細胞において、ほとんど等しいIC50値を示したのに対して、新規のシスプラチン耐性ヒト卵巣癌(OVCAR10)について、(1R,2R)-pyrodach-2は、より良好なin vitro効力を示した。他方で、(1S,2S)-pyrodach-4は、すべてのヒト卵巣癌細胞において、(1R,2R)-pyrodach-4よりも優れた活性を示した。pyrodach-2及びpyrodach-4のシス異性体は、トランス異性体と比較して、ヒト卵巣癌(A2780)に対して優れた活性を示した。したがって、これらのデータは、ラセミ体に存在するであろう他の異性体からの毒性を回避することにより、ラセミ体と比較してより低い用量の特定の異性体で、いくつかの特定の癌を治療できることを、全体として明らかにしている。
免疫蛍光法による、Fas過剰発現(overpression)のモニタリング
Dr. Thomas Hamilton (Fox Chase Cancer Center, Philadelphia, PA)から得た、ヒト卵巣癌細胞、すなわち、A2780及びA2780/C30(30μMシスプラチン及び100μMカルボプラチンに交差耐性)を、2.5mLの培地中、固定していない、前処理されたカバーガラスを有する6ウェルプレートに播種した。5%CO2が連続的に供給される37℃インキュベーター中で、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、0.25単位/mLインスリン、及びペニシリン/ストレプトマイシン(100単位/mL)(Fisher Scientific, Pittsburg, PA)を補充したRPMI1640を使用して、細胞を単層として培養した。
70%コンフルエントの細胞を、上述の合成実施例のホスファプラチン化合物の一つで、1時間処理した。次いで、プレートを、氷冷のリン酸緩衝食塩水(PBS)で、注意深く2回洗浄し、通常の培地と交換し、5%CO2で、37℃で、さらに1時間インキュベートした。カバーガラスをPBSで2回洗浄し、細胞を新しく調製した1%ホルムアルデヒドで処理し、次いで、室温で5〜7分間インキュベートした。固定された細胞をPBSで3回洗浄し、4℃で、2%FBS/PBSで、30分間ブロックし、その後、細胞をPBSで3回、それぞれ5分間ずつ洗浄した。
個々のカバーガラスを取り出し、室温で1時間、Parafilm(登録商標)表面上で、5%BSA/1%milk/PBS中、FAS一次抗体(Cell Signaling Technology Inc.、Danvers、MA)の1:100希釈液100μLの上に、裏返した。その後すぐに、カバーガラスを清浄な6ウェルプレートに再び移した後、洗浄、すなわち、PBSで3回、それぞれ5分間ずつ洗浄した。カバーガラスを、2回目、別の清浄なParafilm(登録商標)表面上に裏返し、5%BSA/1% milk/PBS中、1:500希釈の100μLの二次FITC抗体と共に、室温で、1時間インキュベートした。次いで、カバーガラスを、PBSで3回、各5分洗浄した。次いで、湿ったカバーガラスを、細胞核を特定するために、DAPI(4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)を含有するUltracruz(登録商標)封入剤(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)を有するスライドガラスの上に載せた。顕微鏡検査を、10×、40×、及び100×倍率で、蛍光顕微鏡を使用して行った。
タンパク質発現のためのウェスタンブロット/免疫装飾(Immunodecoration)
12%SDS-PAGE電気泳動の後、タンパク質を、100Vを使用して、4℃で、PVDF膜に1,5時間移動させた。膜を、0.05%TWEEN-20及びトリス緩衝食塩水(TBST)溶液で洗浄し、5%脱脂粉乳及び1%BSAでブロックした。膜を、当該タンパク質の一次抗体の1:25,000希釈物と共に、4℃で一晩インキュベートした。膜を0.05%TBSTで洗浄し、その後に、対応するHRP結合抗体(1:40,000希釈)中でインキュベートした。タンパク質を、ECL-Advance化学発光システム(Amersham-GE Healthcare Biosciences, Pittsburg, PA)を使用して可視化した。
ホスファプラチンは、FAS、PTEN、PUMA、BAXなどの多数のアポトーシス促進性遺伝子及び腫瘍抑制遺伝子を活性化させる。ウェスタンブロットを通した実験は、これらの遺伝子によって転写された、高レベルのタンパク質発現を裏付ける。例えば、trans-(±)-pyrodach-4で処置されたマウスは、1時間から12時間のtrans-(±)-pyrodach-4の暴露時に、FAS(25倍まで)、BAX(4倍まで)、PUMA(5倍まで)の上方制御、及びVEGFRの下方制御(50%まで)を示す。同様に、BCL2は、RR-pyrodach-2及びRR-pyrodach-4によって、70%ほど下方制御された。さらに、FAS、FADD、及び白金化合物は、脂質ラフトにおいて共局在化した。これらの活性化はまた、スフィンゴミエリナーゼ(Smase)の発現の増加(SMaseのタンパク質発現増加によって確認される)とも関連する。
Smaseは、スフィンゴミエリンを、セラミド及びホスホリルコリンに加水分解する。典型的な実験において、異なる時間間隔(5分から2時間)で、癌細胞(1×106)を、 (1R,2R)-pyrodach-2又は(1R,2R)-pyrodach-4(10μM)にさらす。細胞を遠心分離し、細胞溶解物を収集し、冷PBSで洗浄する。Amplex red試薬キット(Invitrogen)を使用して、Smase活性をモニタリングする。アッセイは、キットに含まれる推奨プロトコルに基づいて行う。典型的には、11μLの細胞溶解物を、96ウェルプレート上で、50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に懸濁させ、スフィンゴミエリン(5.0mM)を、各ウェルに添加する。試料を、37℃で、1時間インキュベートする。インキュベーション後、100mM Tris-HCl(100μM)、Amplex Red(2単位/mL)西洋わさびペルオキシダーゼ、0.2単位/mLコリンオキシダーゼ、及び8単位/mLアルカリホスファターゼ(pH8.0)を含有する100μLのAmplex Red反応溶液を、各ウェルに添加する。次いで、試料を37℃で30分間インキュベートする。蛍光強度を、530nmから560nmの励起波長を使用して、590nmで測定する。対照試料(未処理)を含有するウェルの蛍光値を、各試料測定値から引く。
脂質ラフト中の白金の測定
白金含有量を、0.1%HNO3中の白金標準(Perkin Elmer, Waltham, MA)を使用することにより確立した較正曲線から、Graphite Furnace Atomic Absorption Spectrometer(Perkin Elmer AA-600)で、定量的に測定した。処理されたホスファプラチン細胞を、1mLの氷冷PBS、及びhaltプロテアーゼ阻害剤、PI(Pierce、Rockford、IL)で4回洗浄し、各洗浄の間に、ペレットを1000×gで、4℃で遠心分離によって収集した。細胞ペレットを、250μLのPBS/PI中に入れて、タンパク質含有量をマイクロBCA法(Pierce、Rockford、IL)を使用して測定した。異なる濃度で調製されたウシ血清アルブミン(BSA)を使用して、標準曲線をプロットした。定量化されたタンパク質試料を、濃縮HNO3中で4時間温浸させ、その後、30%H2O2で1時間処理してから分析した。
SCIDマウスにおける毒性研究
4〜5週齢の雌のSCIDマウス(c.b-17/LCR-Prkdc(SCID)/Crl, Strain Code 236r, Charles River Labs, Wilmington, MA)を1週間順応させた後に、毒性試験を開始した。滅菌した26ゲージ針及び注射器を介して、マウスに、滅菌濾過したPBSに溶解した上記合成実施例に記述したホスファプラチン化合物のうちの一つを100μL腹腔内(i/p)注射した。注射は、投与量を5mg/kgから60mg/kgの範囲とし、1日目に1回、3日目に1回、及び5日目に1回行った。
ホスファプラチン化合物の毒性を評価するために、有害事象(すなわち、20%を超える体重減少、及び/又は食物摂取量の変化、正常な行動からの逸脱、他の健康問題、又は死亡)を、毎日記録した。ホスファプラチン化合物を注射されたマウスにおける有害事象の発生の頻度及び重篤度を、対照群のマウスにおけるものと比較した。対照群には、擬似注射(mock injection, ストレス反応についての対照として)、又はPBS(ビヒクル)からなる注射をした。
ホスファプラチン化合物との比較として、マウスの二つの群を、比較用の市販の白金化合物で、以前に公開されたデータに基づく投与量(すなわち、シスプラチンが12mg/kg、及びカルボプラチンが60mg/kg)にて処置した。調査の最後に、すべてのマウスを、358mg/kgアバチンで麻酔し、血液を、26ゲージ針及びツベルクリン注射器(tubercuilin syringe)を使用する心臓穿刺によって収集した。それによって、マウスを、麻酔下で全採血により安楽死させた。安楽死後に、病理組織学的試験のために、肝臓、脾臓、心臓、肺、卵巣及び腎臓を含む臓器を摘出し、10%ホルマリン中に保存し、パラフィンブロックにした。組織の特性の変化は、熟練した病理学者によって調べられた。
卵巣腫瘍を負ったSCIDマウスを、40mg/kgまでの異なる用量のtrans-(±)-pyrodach-2及び trans-(±)-pyrodach-4で処置し、腫瘍成長を、6週間まで、又は腫瘍サイズが大きくなってこれらの動物が犠牲になるまでモニタリングした。次いで、ホスファプラチンで処置したマウスによる、腫瘍成長又は退縮を、シスプラチンで処置したマウス(7mg/kg)及びカルボプラチンで処置したマウス(60mg/kg)と比較した。腫瘍が、少なくとも100mm3サイズの大きさに成長したら、1日おきに3回用量の白金化合物を投与した。次いで、総計及び正味の殺細胞数対数値(log cell kill value)を、次式を使用して算出した:
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(式中、T及びCは、腫瘍が指定の大きさに成長する日数の中央値であり、Tdは、対照動物において、腫瘍サイズが2倍になる日数の中央値である)。
3回用量レジメンについて記録された総計の殺細胞数対数値は、3より大きいことが判明し、正味の殺細胞数対数値は、40mg/kgの用量で2より大きかった。対照的に、シスプラチン(7mg/kg)で処置したマウスは、腫瘍退縮を示したが、7日以内に死亡した。カルボプラチンで処置したマウス(60mg/kg用量)は、trans-(±)-pyrodach-4と比較して、はるかに低い殺細胞数対数値(2未満)を示した。カルボプラチン用量をさらに増やすことは可能ではなかった。なぜなら、60mg/kg用量で、母集団の50%超が死亡していたからである。in vitroデータに基づくと、cis-pyrodach-2、cis-pyrodach-4、(1R,2R)-pyrodach-2および(1R,2R)-pyrodach-4は、とりわけ、ラセミtrans-(±)-pyrodach-4よりも良好な効力を示すであろうと考えられる。
卵巣癌細胞株A2780に対するin vivo効力
安定した、クローンの卵巣癌細胞株A2780を、80〜90%コンフルエントに達するまで、細胞培養において増殖させた。トリプシン(GIBCO/BRL, Grand Island, NY)を使用して、接着細胞を剥離した。トリプシン処理された細胞を、PBS(リン酸緩衝食塩水)で十分に洗浄して、トリプシンを除去した。ホスファプラチン化合物の効力を、SCID Hairless OutBred, SHO-PrkdcscidHrhrマウス(Charles River Labs, Wilmington, MA)における皮下異種移植による、ヒト卵巣癌(A2780)を使用して評価した。4〜5週齢の雌のSCIDマウスを1週間順応させた後に、効力試験を開始した。
癌細胞を、PBSに再懸濁し、滅菌した26ゲージ針及び注射器を使用して、陰性対照マウスを除くすべてのマウスに、1×106細胞/0.10mLから5×106細胞/0.10mLのPBSを皮下注射し、時間の関数として腫瘍について評価した。マウスを、腫瘍成長について毎日観察した。デジタルノギスを使用して、腫瘍を測定した。腫瘍体積を、式(W2×L)/2(式中、Wは、腫瘍の最も広い部分の寸法であり、Lは、腫瘍の最も長い部分の寸法である)によって算出し、ここで、mm3単位の腫瘍の体積は、mg単位の重量に等しい。
癌細胞を皮下注射したおよそ2週間後、識別可能な腫瘍サイズ(およそ100〜200mm3)に達した腫瘍、ホスファプラチン化合物投与、又は対照注射を開始した。1日目に1回、3日目にも1回、及び5日目にも1回、マウスにホスファプラチン化合物を腹腔内投与した。異種移植マウスの各群を、ホスファプラチン化合物で処置し、対応する一群を、ビヒクル/プラセボ(PBS溶液)及び擬似注射(ストレス反応についての対照として)で処置した。加えて、マウスの二つの群を、ホスファプラチン化合物との比較用の市販の白金化合物で、以前に公開されたデータに基づく当該市販の白金化合物の投与量(すなわち、シスプラチンが12mg/kg、及びカルボプラチンが60mg/kg)にて、処置した。
異種移植SCIDマウスを、体重減少/増加、及び食物摂取量を測定することによって、それらの健康に対するあらゆる有害事象について、毎日モニタリングした。腫瘍サイズが3000mm3を超えたとき、測定をやめ、調査を終了した。調査の最後に、マウスを、358mg/kgアバチンで麻酔し、血液を26ゲージ針及びツベルクリン注射器を使用する心臓穿刺によって収集した。それによって、マウスを、麻酔下で全採血により安楽死させた。安楽死後に、病理組織学的試験のために、肝臓、脾臓、心臓、肺、卵巣及び腎臓を含む臓器を摘出し、10%ホルマリン中に保存し、パラフィンブロックにした。組織の特性の変化は、熟練した病理学者によって調べられた。
マウス異種移植モデル(免疫無防備状態のNIH IIIマウス)におけるヒト卵巣癌A2780に対する、(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4の効力のデータを、図4にまとめる。試験の間、マウスを、1日おきに3日(「qod×3」)、つまり、1日目に1回、3日目に1回、及び5日目に1回処置した。具体的には、マウスを、40mg/kgの(1R,2R)-pyrodach-2、10mg/kgの(1R,2R)-pyrodach-4、又は5mg/kgのシスプラチンで処置した。図4の凡例中のNの数字は、試験の回数を表し、その試験について、示したデータ点は、平均値として得られた。(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4を用いた処置の最初の10日の図4のデータは、明らかに、処置の初期段階の間の腫瘍退縮を示す。
ヒト卵巣癌及びヒト頭頸部癌に対するin vivo効力
ヒト卵巣癌(OVCAR-10)は、シスプラチンとカルボプラチンの両方に耐性を示すことが知られている。安定したヒトクローンの卵巣癌細胞株OVCAR-10、及び頭頸部癌UMSCC10bを、80〜90%コンフルエントに達するまで、細胞培養において、別々に増殖させた。トリプシン(GIBCO/BRL, Grand Island, NY)を使用して、接着細胞を剥離した。トリプシン処理された細胞を、PBS(リン酸緩衝食塩水)で十分に洗浄して、トリプシンを除去した。SCID Hairless OutBred, SHO-PrkdcscidHrhrマウス(Charles River Labs, Wilmington, MA)、NIHマウス(NIH III:NIHBNX-F;NIHS-Lystbg Foxn1nu Btkxid、4週齢の雌、Taconic(Rensselaer, NY)マウスに、ヒトOVCAR-10及びUMSCC-10b異種移植片を皮下移植することによって、ホスファプラチン化合物の効力を評価した。
4〜5週齢の雌のSCID/NIHマウスを1週間順応させた後に、効力試験を開始した。癌細胞を、PBSに再懸濁し、陰性対照マウスを除くすべてのマウスに、1×106細胞/0.10mL PBSから5×106細胞/0.10mL PBSを皮下注射した。腫瘍サイズを、時間の関数として評価した。マウスを、腫瘍成長について毎日観察した。デジタルノギスを使用して、腫瘍を測定した。腫瘍体積を、式(W2×L)/2(式中、Wは、腫瘍の最も広い部分の腫瘍寸法であり、Lは、腫瘍の最も長い部分の腫瘍寸法である)によって算出し、ここで、mm3単位の腫瘍の体積は、mg単位の重量に等しい。
癌細胞を皮下注射したおよそ2週間後、識別可能な腫瘍サイズ(およそ100mm3から200mm3)に達した腫瘍、所望の用量のホスファプラチン化合物を腹腔内投与した。これらの投与は、1日目に1回、3日目に1回、及び5日目に1回行った。
異種移植マウスの各群を、ホスファプラチン化合物で処置し、対応する一群を、ビヒクル/プラセボ(PBS溶液)及び擬似注射(ストレス反応についての対照として)で処置した。加えて、マウスの二つの群を、ホスファプラチン化合物との比較用の市販の白金化合物で、以前に公開されたデータに基づく当該市販の白金化合物の投与量(すなわち、シスプラチンが12mg/kg、及びカルボプラチンが60mg/kg)にて処置した。異種移植SCIDマウス/NIHを、体重減少/増加、及び食物摂取量を測定することによって、それらの健康に対するあらゆる有害事象について、毎日モニタリングした。腫瘍サイズが3000mm3を超えたとき、測定をやめ、調査を終了した。
調査の最後に、マウスを、358mg/kgアバチンで麻酔し、血液を、26ゲージ針及びツベルクリン注射器を使用する心臓穿刺によって収集した。マウスを、麻酔下で全採血により安楽死させた。安楽死後に、病理組織学的試験のために、肝臓、脾臓、心臓、肺、卵巣及び腎臓を含む臓器を摘出し、10%ホルマリン中に保存し、パラフィンブロックにした。組織の特性の変化は、熟練した病理学者によって調べられた。
PBS/重炭酸塩の対照と比較した、ヒト卵巣癌細胞OVCAR-10に対する(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4の効力のデータを、図5にまとめる。腫瘍が、100〜200mm3の大きさに達したとき、用量を投与した(40mg/kg体重)。処置したマウスは、処置時間の間、腫瘍退縮を示した。qod×3投与した対照(PBS/重炭酸塩)、qod×3投与した60mg/kgのカルボプラチン、及びqd×3投与した40mg/kgの(1R,2R)-pyrodach-4についての、経時的な腫瘍サイズの測定値を、図6にまとめる。点線矢印は、平均腫瘍サイズが1000mm3に達した時間(日単位、必要に応じて内挿する)を強調する。対照と比較して、カルボプラチンが、たった約125%という延命率(%ILS)しか示さなかったのに対して、(1R,2R)-pyrodach-4は、約209%という%ILSを示した。
ヒト頭頸部癌UMSCC10bに対する(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4の効力のデータを、図7にまとめる。用量を、10mg/kg体重から40mg/kg体重の範囲で、qod×3及び/又はqd×4投与した。これらの効力を、ラセミ体trans-(±)-pyrodach-4と比較した。腫瘍が、100〜200mm3の大きさに達したとき、用量を投与した。
(1R,2R)-pyrodach-2及び(1R,2R)-pyrodach-4の最大耐量
最大耐量を決定するために、(1R,2R)-pyrodach-2、(1R,2R)-pyrodach-4、trans-(±)-pyrodach-4、trans-(±)-pyrodach-4、シスプラチン、及びカルボプラチンについて、毒性実験を行った。漸増用量を、4〜5週齢の雌ICR(CD-1)マウス、Taconic(Rensselaer, NY)に、10mg/kgから100mg/kg投与した。マウスは、体重が15gから24gの間であった。マウスに、ホスファプラチンの一つを、3回用量レジメンで1日おきに注射した。20%以上の総体重減少、発育不全の様相、体重増加不良、他の観察可能な健康問題、正常行動からの逸脱又は死亡を有害事象とみなした。
より低い10mg/kgの用量で、体重減少は観察されなかった。すべてのホスファプラチン化合物について、最高用量の40mg/kgまで、死亡、又は体重の20%を超える減少は、全く観察されなかった。これらの結果は、100%のマウスが12mg/kgの用量で死亡したシスプラチン、及び、60mg/kgの用量で、33%の死亡が観察されたカルボプラチンに匹敵し得る。より高い100mg/kgの用量で、すべてのマウスは、投与の15日以内に、20%を超える体重を失ったか、死亡した。
リアルタイムPCR実験による定量的遺伝子発現
定量的リアルタイムPCR実験を、数個の標的遺伝子の発現を見積もるために行った。ヒト上皮卵巣癌細胞(A2780)、及びシスプラチン耐性細胞(A2780/C30)を、シスプラチン、(1R,2R)-pyrodach-4及びtrans-(±)-pyrodach-4を含有する又は含有しないRPMI1640において、0、3、12及び24時間培養した。処理済み及び未処理の癌細胞の両方を、10%ウシ胎児血清、2μmol L-グルタミン、100単位/mLペニシリン-ストレプトマイシン、及び0.25単位/mLインスリン溶液を含有するRPMI1640培地中に、37℃で、5%CO2で維持した。RNAを、処理済み及び未処理の両方の細胞から単離した。処理された細胞は、細胞が、そのIC50値濃度のホスファプラチンに、3時間から24時間、異なる時間間隔でさらされた後に採取された細胞である。
RNA試料を、DNaseを含まないRNase(QIAGEN Sciences)で処理して、DNAを除去した。次いで、High Capacity RNA-to-cDNAキット(Applied Biosystems)を、製造会社の使用説明書に従って使用して、cDNAを合成した。RNAの量及び純度を、UV分光法(NanoDrop 2000 Thermo Scientific, Wilmington, DE)によって決定した。1.9の最小吸光度比指数(minimum absorbance ratio index)(260nmで測定される吸光度を、280nmで測定される吸光度で割った比率)を、許容可能な純度として使用した。
単離したRNA試料を、-80℃で保存し、最小限の凍結融解サイクルにかけて、RNA完全性を維持した。Taqman(登録商標) Gene Expression Assaysを使用して、同じ反応ウェル中の標的遺伝子及び内在性対照(β-アクチン)について、二重リアルタイムPCRを行った。内在性対照は、標的mRNAをノーマライゼーションするために使用される基準である。異なるcDNA濃度を使用して、これらの連鎖反応を最初に行い、目的の遺伝子を検出するのに必要となるcDNAの最適濃度を決定した。標的遺伝子を、青色染料(FAM、吸光度:494nm、発光:518nm)で標識する一方で、基準遺伝子を、緑色染料(VIC、吸光度:538nm、発光:554nm)でタグ付けした。標的遺伝子の閾値サイクル(Ct)値が、測定に使用されるABI StepOnePlus(商標)機器による蛍光検出に最も感度が高い、17〜32の間になるように、cDNA濃度を選択した。
閾値サイクル数(Ct)、すなわち、qPCR反応の蛍光が検出系の閾値蛍光をちょうど超える点を決定した。これらのCt値を使用して、標的遺伝子及び内在性対照のレベルを比較した。ΔCt=(Ct標的-Ct基準)及びΔΔCt=(ΔCt)時間X-(ΔCt)時間0(対照)という関係に従って、ΔCt及びΔΔCt値から算出した倍率変化(2-ΔΔCt)に関して、定量的遺伝子発現を報告する。ΔΔCt値=0であり、したがって、20=1であったため、対照試料(未処理)についての発現倍率(fold-expression)は1に等しいままであった。
本出願は、本明細書に記述する特定の例及び実施形態に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ、本発明のすべての態様を包含すると理解されるべきである。本発明が適用可能であり得る、種々の改変、等価の方法、並びに多数の構造及び装置が、当業者に容易に明らかになるであろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされてもよく、本発明が、本明細書に記述しているものに限定されるとみなされるべきではないことを理解するであろう。

Claims (32)

  1. (i)式(I)を有するエナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (ii)式(II)を有するエナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (iii)式(III)を有するcis-pyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (iv)式(IV)を有するエナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (v)式(V)を有するエナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及び
    (vi)式(VI)を有するcis-pyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
    からなる群から選択される、ホスファプラチン錯体。
  2. (i)エナンチオマー過剰の、式(I)を有する(1R,2R)-pyrodach-2又は式(II)を有する(1S,2S)-pyrodach-2のいずれかを有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及び
    (ii)エナンチオマー過剰の、式(IV)を有する(1R,2R)-pyrodach-4又は式(V)を有する(1S,2S)-pyrodach-4のいずれかを有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物
    からなる群から選択される、ホスファプラチン錯体。
  3. (1R,2R)-pyrodach-2のエナンチオマー過剰率が0.1%から99%であるエナンチオ富化されたpyrodach-2からなる、請求項2に記載のホスファプラチン錯体。
  4. (1S,2S)-pyrodach-2のエナンチオマー過剰率が0.1%から99%であるエナンチオ富化されたpyrodach-2からなる、請求項2に記載のホスファプラチン錯体。
  5. (1R,2R)-pyrodach-4のエナンチオマー過剰率が0.1%から99%であるエナンチオ富化されたpyrodach-4からなる、請求項2に記載のホスファプラチン錯体。
  6. (1S,2S)-pyrodach-4のエナンチオマー過剰率が0.1%から99%であるエナンチオ富化されたpyrodach-4からなる、請求項2に記載のホスファプラチン錯体。
  7. 増殖性疾患を治療するための組成物であって、
    (a)(i)式(I)を有するエナンチオマー過剰の(1R,2R)-pyrodach-2を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (ii)式(II)を有するエナンチオマー過剰の(1S,2S)-pyrodach-2を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (iii)式(III)を有するcis-pyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (iv)式(IV)を有するエナンチオマー過剰の(1R,2R)-pyrodach-4を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (v)式(V)を有するエナンチオマー過剰の(1S,2S)-pyrodach-4を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (vi)式(VI)を有するcis-pyrodach-4
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及び
    (vii)前記ホスファプラチン錯体(i)〜(vi)の少なくとも二つの複数錯体混合物
    から選択される、一つ又は複数のホスファプラチン錯体と、
    (b)担体、希釈剤、補助剤、及びビヒクルからなる群から選択される、薬学的に許容される少なくとも一つの成分と
    を含む組成物。
  8. 前記ホスファプラチン錯体が、単離されたモノマーホスファプラチン錯体である、請求項7に記載の組成物。
  9. 10%から100%のエナンチオマー過剰率の(1R,2R)-pyrodach-2を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2を含む、請求項7に記載の組成物。
  10. 前記エナンチオ富化されたpyrodach-2が、式(I)を有する(1R,2R)-pyrodach-2、及び式(II)を有する(1S,2S)-pyrodach-2
    Figure 2013529219
    からなる、請求項9に記載の組成物。
  11. 10%から100%のエナンチオマー過剰率の(1S,2S)-pyrodach-2を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2を含む、請求項7に記載の組成物。
  12. 前記エナンチオ富化されたpyrodach-2が、式(I)を有する(1R,2R)-pyrodach-2、及び式(II)を有する(1S,2S)-pyrodach-2
    Figure 2013529219
    からなる、請求項11に記載の組成物。
  13. 10%から100%のエナンチオマー過剰率の(1R,2R)-pyrodach-4を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4を含む、請求項7に記載の組成物。
  14. 前記エナンチオ富化されたpyrodach-4が、式(IV)を有する(1R,2R)-pyrodach-4、及び式(V)を有する(1S,2S)-pyrodach-4
    Figure 2013529219
    からなる、請求項13に記載の組成物。
  15. 10%から100%のエナンチオマー過剰率の(1S,2S)-pyrodach-4を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4を含む、請求項7に記載の組成物。
  16. 前記エナンチオ富化されたpyrodach-4が、式(IV)を有する(1R,2R)-pyrodach-4、及び式(V)を有する(1S,2S)-pyrodach-4
    Figure 2013529219
    からなる、請求項15に記載の組成物。
  17. cis-pyrodach-2を含む、請求項7に記載の組成物。
  18. cis-pyrodach-4を含む、請求項7に記載の組成物。
  19. 前記増殖性疾患が、癌である、請求項7に記載の組成物。
  20. 前記増殖性疾患が、卵巣癌、精巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、皮膚癌、膵臓癌、乳癌、膠芽腫癌、及び結腸癌から選択される、請求項7〜19のいずれか一項に記載の組成物。
  21. 前記増殖性疾患が、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチンのうちの少なくとも一つによる治療に耐性の癌である、請求項7〜19のいずれか一項に記載の組成物。
  22. 増殖性疾患を治療する方法であって、
    (a)(i)式(I)を有するエナンチオマー過剰の(1R,2R)-pyrodach-2を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (ii)式(II)を有するエナンチオマー過剰の(1S,2S)-pyrodach-2を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (iii)式(III)を有するcis-pyrodach-2、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (iv)式(IV)を有するエナンチオマー過剰の(1R,2R)-pyrodach-4を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (v)式(V)を有するエナンチオマー過剰の(1S,2S)-pyrodach-4を有する、エナンチオ富化されたpyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、
    (vi)式(VI)を有するcis-pyrodach-4、
    Figure 2013529219
    又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物、及び
    (vii)前記ホスファプラチン錯体(i)〜(vi)の少なくとも二つの複数錯体混合物
    から選択される、少なくとも一つのホスファプラチン錯体
    を含む治療有効量の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップ
    を含む方法。
  23. 前記組成物が、
    (b)担体、希釈剤、補助剤、及びビヒクルから選択される、薬学的に許容される少なくとも一つの成分
    をさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記組成物が、
    (i)エナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-2、
    (ii)エナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-2、
    (iii)エナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-4
    (iv)エナンチオピュアな(1S,2S)-pyrodach-4
    (v)cis-pyrodach-2、及び
    (vi)cis-pyrodach-4
    からなる群から選択される、少なくとも一つのホスファプラチン錯体を含み、
    ここで、
    前記組成物が、(1R,2R)-pyrodach-2と(1S,2S)-pyrodach-2の両方を含有するわけではなく、
    前記組成物が、(1R,2R)-pyrodach-4と(1S,2S)-pyrodach-4の両方を含有するわけではない、
    請求項22又は23に記載の方法。
  25. 前記組成物の少なくとも一つのホスファプラチン錯体が、エナンチオ富化されたpyrodach-2、エナンチオ富化されたpyrodach-4、又は両方からなる、請求項22〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記組成物の少なくとも一つのホスファプラチン錯体が、エナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-2、エナンチオピュアな(1R,2R)-pyrodach-4、又は両方からなる、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記組成物が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項22〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記増殖性疾患が、癌である、請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記増殖性疾患が、卵巣癌、精巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、皮膚癌、膵臓癌、乳癌、膠芽腫癌、及び結腸癌から選択される、請求項28に記載の方法。
  30. 前記増殖性疾患が、シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチンのうちの少なくとも一つによる治療に耐性の癌である、請求項28に記載の方法。
  31. 前記対象が、哺乳動物である、請求項22〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記対象が、ヒトである、請求項22〜30のいずれか一項に記載の方法。
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