JP2013528592A - サクサグリプチン中間体、サクサグリプチン多形及びそれらの調製方法 - Google Patents

サクサグリプチン中間体、サクサグリプチン多形及びそれらの調製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、サクサグリプチンシッフ塩基、サクサグリプチン及び(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリルの多形、サクサグリプチン水和物を調製するためのプロセス、及びその医薬組成物を提供する。

Description

本発明は、サクサグリプチンシッフ塩基、サクサグリプチン及び(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリルの多形、サクサグリプチン水和物の調製方法及びその医薬組成物に関する。
次の化学構造のサクサグリプチン、(1S,3S,5S)−2−((2S)−2−アミノ−2−(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)アセチル)−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル:
は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4)阻害剤であると報告されている。サクサグリプチンは、Bristol−Myers Squibbにより、ONGLYZA(登録商標)という商標で、2型糖尿病の治療用に販売されている。
サクサグリプチンとその塩酸塩及びトリフルオロ酢酸塩は米国特許第6,395,767号に開示されており、米国特許第7,420,079号はサクサグリプチンとその塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩及び安息香酸塩、ならびにサクサグリプチン一水和物を開示している。
米国特許出願公開第2009/054303号及び対応する国際公開第2008/131149号は、サクサグリプチンの結晶形及びサクサグリプチン塩の結晶形をいくつか開示している。この特許出願において報告されたサクサグリプチンの結晶形は、一水和物(そこではH−1型と表示されている)、半水和物(そこではH0.5−2型と表示されている)及び無水型(そこではN−3と表示されている)である。
国際公開第2005/117841号(841号出願)には、サクサグリプチンの環化による治療的に不活性な環状アミジンの形成が記載されている。841号出願は、この環化が固体状態でも溶液状態でも起こり得ると報告している。
多形性、すなわち異なる結晶形の存在は、一部の分子及び分子錯体の性質である。サクサグリプチンのような単分子は、独特な結晶構造と、融点、X線回折(XRD)パターン、赤外吸収フィンガープリント及び固体NMRスペクトルのような物理的性質とを有するさまざまな多形型を生じうる。ある多形型は別の多形型とは異なる熱挙動を生じさせうる。熱挙動は、毛細管融点、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)等の技法、ならびに多形型中の溶媒含有量により、実験室において測定することができ、これらは多形型を区別するために使用されてきた。
異なる多形型の物理的性質の相違は、バルク固体中で隣接する分子又は錯体の配向及び分子間相互作用に起因する。したがって多形は、同じ分子式を共有しているが、同じ化合物又は錯体の他の多形型と比較して識別可能で有利な物理的性質を有する、識別可能な固体である。
医薬化合物の最も重要な物理的性質の一つは、水溶液におけるその溶解性、特に患者の胃液におけるその溶解性である。例えば、消化管からの吸収が遅い場合、患者の胃又は腸における条件に対して不安定な薬物は、有害な環境において蓄積することがないように、ゆっくり溶解するのが望ましいことが多い。同じ医薬化合物の異なる多形型又は多形は異なる水溶解性を有することができ、また異なる水溶解性を有すると報告されている。
サクサグリプチン及びサクサグリプチン中間体の新しい多形型の発見は、活性医薬成分(API)の合成及び特徴を改良する新しい機会を与える。これは、例えば標的放出プロファイル又は他の望ましい特徴を有する薬物の医薬剤形等を設計するために製剤科学者が利用することのできる材料のレパートリーを拡大する。
したがって、サクサグリプチン及びサクサグリプチン中間体のさらなる固体形態、ならびにサクサグリプチンを効率よく与え、かつ工業的規模で応用することができる、サクサグリプチン結晶形を調製するためのさらなる方法が、必要とされている。
米国特許第6,395,767号明細書 米国特許第7,420,079号明細書 米国特許出願公開第2009/054303号明細書 国際公開第2008/131149号 国際公開第2005/117841号
ある実施形態において、本発明はサクサグリプチンシッフ塩基を包含する。
もう一つの実施形態において、本発明は、式I(ここでは立体化学は規定されない)のサクサグリプチンシッフ塩基:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、RはH又はC1−4アルキル、フェニル若しくは置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン又はC1−4アルコキシで置換されうる)
を包含する。
更にもう一つの実施形態において、本発明は、式I(ここでは立体化学は規定されない)のサクサグリプチンシッフ塩基:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、RはC1−4アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン又はC1−4アルコキシで置換されうる)
を包含する。
もう一つの実施形態において、本発明は、次の式Iaに示す固定された立体化学を有するサクサグリプチンシッフ塩基を包含する:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、RはH又はC1−4アルキル、フェニル若しくは置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン(特にCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr)又はC1−4アルコキシで置換されうる)。好ましくは、フェニル上の置換基はC1−4アルキル又はC1−4アルコキシである。好ましくは、RはC1−4アルキルである。Rは、好ましくは、C1−4アルキル又は無置換フェニルである。より好ましくは、R及びRが、C1−4アルキルからそれぞれ独立して選択される。好ましい実施形態では、R及びRが同じであり、好ましくはC1−4アルキル、特にC1−3アルキルから選択され、特にメチル又はエチルである。好ましくは、R及びRはメチルである。
更にもう一つの実施形態において、本発明は、次の式Iaに示す固定された立体化学を有するサクサグリプチンシッフ塩基を包含する:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、RはC1−4アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン(特にCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr)又はC1−4アルコキシで置換されうる)。好ましくは、フェニル上の置換基はC1−4アルキル又はC1−4アルコキシである。好ましくは、RはC1−4アルキルである。Rは、好ましくは、C1−4アルキル又は無置換フェニルである。より好ましくは、R及びRは、C1−4アルキルからそれぞれ独立して選択される。好ましい実施形態では、R及びRが同じであり、好ましくは、C1−4アルキル、特にC1−3アルキルから選択され、特にメチル又はエチルである。好ましくは、R及びRはメチルである。
もう一つの実施形態において、本発明は、本明細書において化合物Mと呼ぶ(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル:
を包含する。
更にもう一つの実施形態において、本発明は結晶性化合物Mを包含する。結晶性化合物Mは、11.2、12.6、14.0、16.6及び19.5±0.2度(2θ)にピークを有する粉末XRDパターン、実質的に図7に示す粉末X線回折(XRD)パターン、及び、それらの組合せから選択されるデータによって特徴づけることができる。
もう一つの実施形態において、本発明は、医薬製剤の調製に使用するための、サクサグリプチンのシッフ塩基、特に式I及びIaに示す上述の化合物、並びに、化合物Mを包含する。
もう一つの実施形態において、本発明は、(a)サクサグリプチン及びその多形;(b)サクサグリプチン塩、好ましくはサクサグリプチン塩酸塩及びその多形;ならびに(c)サクサグリプチン又はサクサグリプチン塩、好ましくはサクサグリプチン塩酸塩の製剤の調製に使用するための、サクサグリプチンのシッフ塩基、特に式I及びIaに示す上述の化合物、並びに、化合物Mを包含する。
更にもう一つの実施形態において、本発明は、サクサグリプチン、サクサグリプチン塩及びそれらの多形型の調製方法であって、サクサグリプチンのシッフ塩基、特に式I及びIaに示す上述の化合物、並びに、化合物Mを、本発明の方法によって調製すること、並びに、それらをサクサグリプチン、サクサグリプチン塩及びそれらの多形に転化することを含む方法を包含する。
ある実施形態において、本発明は、7.4、8.6、15.3、17.1及び18.0±0.2度(2θ)にピークを有する粉末XRDパターンによって特徴づけられる、FI型と呼ばれる結晶性サクサグリプチンを包含する。
更に、もう一つの実施形態において、本発明は、2型糖尿病治療用の薬剤の製造に使用するための、サクサグリプチンの上述の多形を包含する。
更に、もう一つの実施形態において、本発明は、サクサグリプチンの上述の多形と少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物を包含する。
ある実施形態において、本発明は、後述する結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の調製方法を包含する。
もう一つの実施形態において、本発明は、後述する結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の調製方法を包含する。
更に、もう一つの実施形態において、本発明は、後述する結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製方法を包含する。
図1は、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1との混合物の状態にあるFI型と呼ばれる結晶性サクサグリプチンの粉末X線回折(XRD)パターンを表す図である。 図2は、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の粉末XRDパターンを表す図である。 図3は、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型のフーリエ変換赤外(FT−IR)スペクトルを表す図である。 図4は、結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の粉末XRDパターンを表す図である。 図5は、結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型のFT−IRスペクトルを表す図である。 図6は、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の粉末XRDパターンを表す図である。 図7は、結晶性(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(結晶性化合物M)の粉末XRDパターンを表す図である。 図8は、結晶性(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(結晶性化合物M)のFT−IRスペクトルを表す図である。 図9は、結晶性(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(結晶性化合物M)のフーリエ変換(FT)ラマンスペクトルを表す図である。 図10は、結晶性(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(結晶性化合物M)の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを表す図である。 図11は、実施例17に従って調製された結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の粉末XRDパターンを表す図である。 図12は、非晶質サクサグリプチンの粉末XRDパターンを表す図である。 図13は、結晶性(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(結晶性化合物M)の固体核磁気共鳴(NMR)スペクトルを表す図である。
本発明は、(1S,3S,5S)−2−((2S)−2−アミノ−2−(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)アセチル)−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(すなわちサクサグリプチン)のシッフ塩基に関する。本発明のサクサグリプチンシッフ塩基、特に化合物Mは、サクサグリプチン及びその多形、特にサクサグリプチン水和物(例えばサクサグリプチンH−1型及びH0.5−2型、特にH−1型)ならびにサクサグリプチン塩及びその多形(特にサクサグリプチン塩酸塩)の調製において、新規中間体として使用することができる。本発明は、サクサグリプチンの新規結晶形、ならびにサクサグリプチン水和物を調製するためのプロセス、及び、これらの形態のサクサグリプチンを含有する医薬組成物も提供する。
新規サクサグリプチンシッフ塩基中間体、特に式I(又はIa)のシッフ塩基、例えば化合物Mは、サクサグリプチン及びその塩を精製するために使用することができる。特に、式I(又はIa)及び式Mの化合物は、サクサグリプチン、その多形、特にサクサグリプチン水和物(とりわけH−1型及びH0.5−2型、特にH−1型)ならびにサクサグリプチン塩及びその多形(特にサクサグリプチンHCl)の精製における中間体として、とりわけ有用である。加えて、本中間体は、サクサグリプチン塩、例えばサクサグリプチンHClを直接調製するために使用することもできる。
本新規サクサグリプチンシッフ塩基、特に式I及び式Iaのシッフ塩基、例えば化合物Mは、化学的純度、流動性、溶解性、モルフォロジー又は晶癖及び安定性−例えば貯蔵安定性の少なくとも1つから選択される有利な性質を有する。式I及び式Iaのシッフ塩基、特に本発明の結晶性化合物M型は、例えばサクサグリプチン一水和物H−1型と比較した場合に、有利な強化された化学安定性を有する。
本明細書においては、結晶形に関して、ある図「に示す」図形データによって特徴づけられるという場合がある。そのようなデータには、例えば粉末X線ディフラクトグラム、FT−IRスペクトル及び固体NMRスペクトルが含まれる。データのそのような図形表現は、計器応答の変動ならびに試料濃度及び純度の変動等といった、当業者に周知の因子ゆえに、例えばピーク相対強度及びピーク位置等の小さな変動を起こしがちでありうることは、当業者には理解される。それにもかかわらず、当業者は容易に、本願の図面における図形データを、未知の結晶形について生成させた図形データと比較することができ、それら二組の図形データが同じ結晶形を特徴づけているか、それとも2つの異なる結晶形を特徴づけているかを確認することができる。
本明細書においては、結晶形(又は多形)に関して、いかなる他の結晶(又は多形)型も実質的に含まないという場合がある。この文脈において本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」という表現は、その結晶形が、例えば粉末XRDで測定した場合に、20%以下、10%以下、5%以下、2%以下又は1%以下の、任意の他の形態の当該化合物を含有してもよいことを意味すると理解される。したがって、いかなる他の多形型も実質的に含まないと本明細書に記載するサクサグリプチンシッフ塩基、サクサグリプチン又はサクサグリプチン塩酸塩の多形は、80%(w/w)を上回る、90%(w/w)を上回る、95%(w/w)を上回る、98%(w/w)を上回る、又は99%(w/w)を上回る、サクサグリプチン又はサクサグリプチン塩酸塩の当該多形型を含有すると理解される。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、記載されたサクサグリプチン又はサクサグリプチン塩酸塩の多形は、1%〜20%(w/w)、5%〜20%(w/w)、又は5%〜10%(w/w)の、サクサグリプチン又はサクサグリプチン塩酸塩の1つ又は複数の他の結晶形を含有しうる。
本明細書において使用する場合、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型という用語(例えば米国特許出願公開第2009/0054303号に開示されているもの)は、例えば12.4、13.3、13.6、14.7、16.2、18.2、19.9、20.9、21.9及び22.4度(2θ)±0.1度(2θ)にピークを有する粉末XRDパターン、実質的に図2又は図11に示す粉末XRDパターン;実質的に図3に示すFT−IRパターン、又はこれらの分析データの組合せ等といった、適切な分析技法によって特徴づけられる結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型を指す。
本明細書において使用する場合、結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型という用語(例えば米国特許出願公開第2009/0054303号に開示されているもの)は、例えば実質的に図4に示す粉末XRDパターン、実質的に図5に示すFT−IRパターン、図4の粉末XRDパターン又は図5のFT−IRパターンから選ばれた、H0.5−2型を他の形態の結晶性サクサグリプチン半水和物から区別する特徴的ピーク、又はこれらの分析データの組合せ等といった、分析データによって特徴づけられる結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型を指す。
特に記載がない限り、本明細書において言及する粉末XRDピークは、1.54184Åの波長を有するCu放射源を使って測定された。
特に記載がない限り、本明細書において言及するHPLCピーク%は、220nmの波長を有するUV検出を使って測定された。
本明細書において使用する場合、「室温」又は「RT」という表現は、約20℃〜約30℃の温度を指す。通常、室温は約20℃〜約25℃の範囲にある。
本明細書において使用する場合、「大気圧」という表現は、局所的大気圧、すなわち約1気圧又は約760mmHgの圧力を指す。
本明細書において使用する場合、「終夜」という用語は、約15〜約20時間の期間、典型的には約16〜約20時間の期間を指す。
本明細書において使用する場合、そしてまた特に記載がない限り、結晶性サクサグリプチンに関連する「無水」という用語は、TGAによって測定される水又は有機溶媒の含有率が1%を上回らない、好ましくは0.5%(w/w)を上回らない、結晶性サクサグリプチンをいう。
本明細書において使用する場合、「湿結晶形」という用語は、残留溶媒を除去するための任意の従来技法を使って乾燥されなかった多形を指す。
本明細書において使用する場合、「乾燥結晶形」という用語は、残留溶媒を除去するために減圧乾燥等の任意の従来技法を使って乾燥された多形を指す。
本発明はサクサグリプチンシッフ塩基を包含する。
ある実施形態において、本発明は、式I(ここでは立体化学は規定されない)のサクサグリプチンシッフ塩基:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、RはH又はC1−4アルキル、フェニル若しくは置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン、又はC1−4アルコキシで置換されうる)を包含する。いくつかの実施形態によれば、フェニルは、C1−4アルキル、ハロゲン(特にCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr)及びC1−4アルコキシから選択される、同じであっても異なってもよい、1つ、2つ又は3つの基で置換されうる。
特に本発明は、次の式I(ここでは立体化学は規定されない)のサクサグリプチンシッフ塩基を包含する:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、RはC1−4アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン(特にCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr)又はC1−4アルコキシで置換されうる)。好ましくは、フェニル上の置換基は、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシである。好ましくは、RはC1−4アルキルである。Rは、好ましくは、C1−4アルキル又は無置換フェニルである。より好ましくは、R及びRは、C1−4アルキルからそれぞれ独立して選択される。好ましい実施形態では、R及びRが同じであり、好ましくはC1−4アルキル、特にC1−3アルキルから選択され、特にメチル又はエチルである。好ましくは、R及びRはメチルである。
好ましい実施形態において、本発明は、次の式Iaに示す固定された立体化学を有するサクサグリプチンシッフ塩基を包含する:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、RはH又はC1−4アルキル、フェニル若しくは置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン(特にCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr)又はC1−4アルコキシで置換されうる)。好ましくは、フェニル上の置換基はC1−4アルキル又はC1−4アルコキシである。好ましくは、RはC1−4アルキルである。Rは、好ましくは、C1−4アルキル又は無置換フェニルである。より好ましくは、R及びRは、C1−4アルキルからそれぞれ独立して選択される。好ましい実施形態では、R及びRが同じであり、好ましくはC1−4アルキル、特にC1−3アルキルから選択され、特にメチル又はエチルである。好ましくは、R及びRはメチルである。
より好ましい実施形態において、本発明は、次の式Iaに示す固定された立体化学を有するサクサグリプチンシッフ塩基を包含する:
(式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、R2はC1−4アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン(特にCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr)又はC1−4アルコキシで置換されうる)。好ましくは、フェニル上の置換基はC1−4アルキル又はC1−4アルコキシである。好ましくは、RはC1−4アルキルである。Rは、好ましくは、C1−4アルキル又は無置換フェニルである。より好ましくは、R及びRは、C1−4アルキルからそれぞれ独立して選択される。好ましい実施形態では、R及びRが同じであり、好ましくはC1−4アルキル、特にC1−3アルキルから選択され、特にメチル又はエチルである。好ましくは、R及びRはメチルである。
本発明は、特に、化合物Mと呼ばれる(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル:
を包含する。
式Mの化合物は、NMR、FT−IR、MS等のデータ又はそれらの組合せによって特徴づけることができる。
化合物Mは、0.83−0.89、0.92−0.97、1.50−1.73、1.80、1.85、2.10、2.23、2.30、2.42−2.49、3.82、3.97及び5.00ppmにピークを有するH NMR(CDCl,600MHz);12.1、17.6、19.6、29.7、29.9、30.6、30.7、35.6、37.0、38.0、38.5、41.6、44.7、44.8、45.7、47.1、69.1、73.7、120.0、169.8及び169.9ppmにピークを有する13C NMR(CDCl,150MHz);並びに、それらの組合せから選択されるデータによって特徴づけることができる。
式I、Iaの化合物、特に化合物Mは、単離された形態にあることができ、好ましくは、ある結晶形で存在することができる。本明細書において使用する場合、式I、Ia及び化合物Mに関して「単離された」という用語は、例えばそれらが形成される反応混合物等から物理的に分離されている式I、Iaの化合物及び化合物Mに対応する。好ましくは、式I、Iaの化合物及び化合物Mは、5%以下、好ましくは4%以下、より好ましくは2%以下又は1%以下、最も好ましくは0.5%以下の出発サクサグリプチンを含有する。
好ましくは、式I、Iaの化合物及び化合物Mは、それぞれ、(例えばHPLCで測定して、又は重量%で)少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約97%、更により好ましくは少なくとも約98%、最も好ましくは少なくとも約99%の純度を有する。好ましくは、式I、Iaの化合物及び化合物Mは、それぞれ、(例えばHPLCで測定して、又は、重量%で)約2%未満、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.5%未満、最も好ましくは約0.4%未満の、サクサグリプチンの環状アミジン不純物:
を含有する。
式I、Iaのシッフ塩基及び化合物Mは、貯蔵に対して安定である。特に、本発明による式I、Iaの化合物及び化合物Mならびにそれらの結晶形は、典型的な室内条件下(室温、大気圧、約40%の相対湿度)で安定である。特に式I、Iaの化合物及び化合物Mならびにそれらの結晶形は、上記の環状アミジン不純物を形成することが知られているサクサグリプチンの分子内環化(例えば国際公開第2005/117841号参照)に対して安定である。好ましくは、式I及びIaの化合物、特に化合物Mは、
(i)40℃及び相対湿度40%における少なくとも1ヶ月間にわたる貯蔵
(ii)40℃及び相対湿度40%における少なくとも2ヶ月間にわたる貯蔵
(iii)50℃及び相対湿度0%における少なくとも1ヶ月間にわたる貯蔵
(iv)50℃及び相対湿度0%における少なくとも2ヶ月間にわたる貯蔵
に対して安定である。
「貯蔵に対して安定」とは、上記の条件における貯蔵後[好ましくは条件(iii)又は(iv)における貯蔵後、より好ましくは条件(iv)における貯蔵後]の式I、Iaの化合物又は化合物Mの%純度(例えば重量又はHPLCによるもの)の低下が、約0.8%以下、好ましくは約0.6%以下、典型的には約0.4%以下、より好ましくは約0.25%以下(製造後(時刻ゼロ)の純度に対する百分率)であることを意味する。好ましくは、「貯蔵に対して安定」という用語は、式I、Iaの化合物又は化合物Mが、上記の条件における貯蔵後[好ましくは条件(iii)又は(iv)における貯蔵後、より好ましくは条件(iv)における貯蔵後]に、少なくとも約98%、好ましくは少なくとも約98.5%、より好ましくは少なくとも約99%の純度(例えばHPLC又は重量によるもの)を有することを意味する。
典型的には、製造直後(時刻ゼロ)において、環状アミジン不純物の量は(重量又はHPLCで)0.4%以下、より好ましくは約0.3%以下、最も好ましくは約0.2%以下である。したがって好ましくは、「貯蔵に対して安定」とは、上記の条件における貯蔵後[好ましくは条件(iii)又は(iv)における貯蔵後、より好ましくは条件(iv)における貯蔵後]の環状アミジン不純物の%(重量又はHPLCによるもの)が、約0.8%以下、好ましくは約0.7%以下、より好ましくは約0.6%以下、最も好ましくは約0.4%以下であることを意味する。
ある実施形態において、本発明は、11.2、12.6、14.0、16.6及び19.5±0.2度(2θ)にピークを有する粉末XRDパターン;実質的に図7に示す粉末XRDパターン;171.43、42.13及び29.83ppm±0.2ppmにピークを有する固体NMR;実質的に図13に示す固体NMRパターン;並びに、それらの組合せから選択されるデータによって特徴づけられる結晶性化合物Mを包含する。
上記の結晶性化合物Mは更に、14.5、19.1及び30.2±0.2度(2θ)におけるさらなる粉末XRDピーク;43.59及び37.23ppm±0.2ppmにさらなるピークを有する固体NMR;実質的に図8に示すFT−IRスペクトル;実質的に図9に示すFTラマンスペクトル;実質的に図10に示すDSCサーモグラム;並びに、それらの組合せから選択されるデータによって特徴づけることができる。
式I又はIaの化合物及び化合物Mは、サクサグリプチン塩基を式:
(式中、R及びRは、式Iについて上で述べたものと同じ意味を有する)
のアルデヒド又はケトンと反応させることによって調製することができる。したがってRは−H又はC1−4アルキルであり、RはC1−4アルキル、フェニル又は置換フェニルであり、ここでフェニルは、例えばC1−4アルキル、ハロゲン(特にCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr)又はC1−4アルコキシで置換されうる。好ましくは、フェニル上の置換基はC1−4アルキル又はC1−4アルコキシである。好ましくは、RはC1−4アルキルである。Rは、好ましくは、C1−4アルキル又は無置換フェニルである。より好ましくは、R及びRは、C1−4アルキルからそれぞれ独立して選択される。好ましい実施形態では、R及びRが同じであり、好ましくは、C1−4アルキル、特にC1−3アルキルから選択され、特にメチル又はエチルである。好ましくは、R及びRはメチルである。
典型的には、式I(又はIa)の化合物、特に化合物M、及び、それらの結晶形は、サクサグリプチン塩基を、ケトン溶媒、例えばメチルエチルケトン(「MEK」)、メチルイソブチルケトン(「MIBK」)、アセトフェノン若しくはアセトン;又はアルデヒド溶媒、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、若しくはベンズアルデヒドに溶解又は懸濁すること、及び、式I(又はIa)の化合物を沈殿させることを含む方法によって調製することができる。この方法は、上記溶媒中のサクサグリプチン塩基の溶液又は懸濁液を、好ましくはほぼ室温で用意すること、及び、沈殿させることを含む。溶液又は懸濁液は、ある期間にわたって、例えば約3時間〜約48時間、好ましくは終夜〜約24時間にわたって、室温等の温度に維持することができる。次に、式I(又はIa)の化合物を、濾過及び乾燥によって、懸濁液から回収することができる。乾燥は、減圧下、ほぼ室温〜約40℃等の温度で、約2時間行うことができる。
特に本発明は、化合物M及びその結晶形を調製するための方法であって、サクサグリプチン塩基を上述の溶媒、好ましくはアセトンに溶解又は懸濁すること、及び化合物Mを沈殿させることを含む方法を包含する。
化合物Mは、サクサグリプチン、好ましくは非晶質サクサグリプチンを、アセトン雰囲気下に維持することを含む方法によって調製することもできる。この方法は、デシケータ中、室温等の温度において、約12時間〜約48時間、好ましくは24時間にわたって行うことができる。
サクサグリプチンのシッフ塩基、特に上述した式I(及びIa)の化合物及び化合物M、ならびにそれらの結晶形は、サクサグリプチン及びその塩、例えばサクサグリプチンHClを調製するため、及び精製するために、使用することができる。
ある実施形態において、本発明は、サクサグリプチンシッフ塩基、特に式I若しくはIaのサクサグリプチンシッフ塩基、又は化合物Mを調製すること、及び、その化合物をサクサグリプチンに転化することを含む方法による、サクサグリプチン、サクサグリプチン塩及びそれらの多形型の調製を包含する。サクサグリプチン及びその多形、特にサクサグリプチン水和物を調製するための転化プロセスは、上に定義したサクサグリプチンシッフ塩基の加水分解を含むことができる。典型的に、この加水分解は、上に定義したサクサグリプチンシッフ塩の水への曝露によって行われる。この方法は、例えば、化合物Mを約100%の相対湿度(RH)中に約24時間維持すること、或いは、化合物Mを水に懸濁することによって行うことができる。
もう一つの実施形態において、本発明は、
a)調製されたサクサグリプチンシッフ塩基、特に式I、Iaのサクサグリプチンシッフ塩基及び化合物Mを、適切な溶媒、好ましくは水混和性溶媒、より好ましくはアセトンに溶解すること;
b)酸(好ましくは鉱酸、より好ましくは塩酸)と、場合によっては水とを加えること;及び
c)サクサグリプチン塩を回収すること
を含む方法による、サクサグリプチン塩の調製を包含する。
特に本発明は、式I又はIaに示すシッフ塩基、例えば化合物M等と、充分な量のHClとを反応させることを含む、サクサグリプチンHClを調製するための方法を包含する。この方法は、典型的には、化合物Mをアセトン又は酢酸エチル等の適切な溶媒に溶解すること、及び、HCl、好ましくはHCl水溶液を、1〜2モル当量、例えば約1.1モル当量の量で加えることで懸濁液をえることを含み、サクサグリプチンHClは、その懸濁液から沈殿する。場合によっては、サクサグリプチンHClの回収に先だって、水を懸濁液に加えることができる。
サクサグリプチンHClは、例えば濾過及び乾燥によって、懸濁液から回収することができる。乾燥は風乾を含むことができる。
本発明は、(a)サクサグリプチン;(b)サクサグリプチン塩、好ましくはサクサグリプチン塩酸塩;及び(c)サクサグリプチン又はサクサグリプチン塩、好ましくはサクサグリプチン塩酸塩の製剤の調製に使用するための、サクサグリプチンのシッフ塩基、特に上述した式I(及びIa)の化合物、ならびに化合物Mを包含する。
本発明は、医薬製剤の調製に使用するための、サクサグリプチンのシッフ塩基、特に上述した式I(及びIa)の化合物ならびに化合物Mも包含する。これらの医薬製剤は2型糖尿病の治療に使用することができる。
ある実施形態において、本発明は、FI型と呼ばれる結晶性サクサグリプチンを包含する。FI型は、7.4、8.6、15.3、17.1及び18.0度(2θ)±0.2度(2θ)にピークを有する粉末XRDパターンによって特徴づけることができる。FI型は、16.6、21.7、24.1及び27.0度(2θ)±0.2度(2θ)におけるさらなる粉末XRDピークによって、更に特徴づけることができる。
或いは、サクサグリプチンFI型は、7.4、8.6、15.3、16.6、17.1、18.0、21.7、24.1及び27.0度(2θ)±0.2度(2θ)にピークを有する粉末XRDパターンによって特徴づけることができる。加えて、サクサグリプチンFI型は、上記データの任意の組合せによって特徴づけることができる。
FI型は、結晶形H1との混合物の状態にあることができる。この混合物は、実質的に図1に示す粉末XRDパターンによって特徴づけることができる。典型的には、混合物中のH1型の存在は、粉末XRDにより、13.2、13.6及び18.1度(2θ)±0.2度(2θ)のピークを使って、検出することができる。
サクサグリプチンFI型は、2型糖尿病を治療するための薬剤の製造に使用することができる。
本発明は、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型、結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型、及び、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物を調製するための新規方法も包含する。
結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型を調製するための方法は、非晶質サクサグリプチンを、エタノール96%(v/v)、ジブチルエーテル、及び、相対湿度約80%〜約100%の水から選択される溶媒の雰囲気下に、ほぼ室温の温度で、約24時間〜約48時間にわたって維持することを含む。
結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型を調製するための方法は、非晶質サクサグリプチンを、酢酸エチルの雰囲気下に、ほぼ室温の温度で、約24時間にわたって維持することを含む。
結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物を調製するための方法は、非晶質サクサグリプチンを、トルエン、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸イソブチル、1−オクタノール、アニソール及び1−ブタノールから選択される溶媒の雰囲気下に、ほぼ室温の温度で、約48時間にわたって維持することを含む。
本発明は更に、1)上述した固体形態の任意の1つ又は組合せと、少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物;及び2)医薬組成物の製造における、上述の固体の任意の1つ又は組合せの使用を包含する。本医薬組成物は、2型糖尿病の治療に役立ちうる。本発明は、薬剤として使用するための、好ましくは2型糖尿病治療用の薬剤として使用するための、上述の結晶形も提供する。
一定の好ましい実施形態に関して本発明を説明したので、本明細書を検討することにより、当業者には、他の実施形態も明白になる。本発明の組成物の調製及び使用方法を詳述する実施例を以下に挙げて、本発明を更に解説する。材料にも方法にも、本発明の範囲から逸脱することなく、数多くの変更を加えうることは、当業者には明白である。
粉末X線回折法
乳鉢と乳棒を使って粉末化した後、試料をケイ素プレートホルダに直接適用した。X線粉末回折パターンは、Cu照射源=1.54184Å(オングストローム)、X’Celerator(2.022°2θ)検出器を装備したPhilips X’Pert PRO X線粉末回折計で測定した。走査パラメータ:角度範囲:3〜40度、ステップサイズ0.0167、1ステップあたりの測定時間37秒、連続スキャン。一部の試料では内部標準としてケイ素粉末を加えた。関連する図では、ケイ素(Si)ピークの位置が示されている。サクサグリプチンFI型及び化合物Mに関して記載するピーク位置は、測定される試料と混合された内部標準として、ケイ素粉末を使用して決定された。ケイ素(Si)ピークの位置をケイ素理論ピーク:28.45度(2θ)に補正し、測定されたピークの位置をそれぞれ補正した。図面に示すディフラクトグラムでは補正を行っていない。
FT−IR法
IRスペクトルは、KBrビームスプリッタとDTGS検出器とを装備したNicolet 6700 FT−IR分光計で記録した。各スペクトルについて、16スキャンを、4000〜400cm−1の範囲にわたって、4.0cm−1の分解能で記録した。試料はKBrペレットとして調製した。空気(空試料区画)をバックグラウンドスペクトルの取得に使用した。
FTラマン法
ラマンスペクトルは、NXR FT−ラマンモジュールを装備したNicolet 6700干渉計で取得した。試料の励起にはNd−YAGレーザー(1064nm、500mW)を使用した。この分光計はCaF2ビームスプリッタと、液体窒素で冷却したGe検出器とを利用する。スペクトルは4cm−1の分解能で記録した。NMRガラス管を試料ホルダとして使用した。
示差走査熱量測定DSC法
DSC分析は、Q1000 MDSC TA計器において、50ml/分の窒素流下、10℃/分の加熱速度で行った。ホール付きハーメチックアルミニウム密閉パンを使用し、試料質量は約1〜5mgとした。
核磁気共鳴(NMR)法
1H(600MHz)及び13C(APT)(150MHz)NMRスペクトルは、Bruker Avance DRX 600 NMR分光計で記録した。CDCl3を溶媒として使用した。化学シフト(δ)(単位:ppm)は、内部標準であるTMSを基準としている。
固体NMR法
固体13C NMRスペクトルは、125MHz及び周囲温度(約25℃−制御なし)で稼働するBRUKER Avance II+分光計を使って、振幅変調交差分極、マジック角スピニング及び高出力プロトンデカップリング法で記録した。外径4mmのジルコニアローターを使用した。稼働条件は、コンタクト時間:2ms;リサイクル遅延:25秒256スキャン;11kHzのスピン速度とした。化学シフトは、グリシンの差し替え試料(テトラメチルシランのシグナルに対して176.03ppmに割り当てられたカルボキシル炭素化学シフト)によって、基準値と関連づけた。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法
計器及びクロマトグラフィー条件
計器:UV検出器を装備したHPLCシステム
・流速:約1mL/分
・注入体積:約10μL
・カラム:Waters XBridge C8,150mm×4.6mm,3.5μm
・カラム温度:25℃
・検出器:波長220nmのDAD(UV)
・移動相:溶液A及び溶液Bによる勾配溶出(表1参照)
溶液A:バッファー溶液。1000mLメスフラスコで約24.0gのオクチル−1−スルホン酸ナトリウムを水に溶解し、水でメスアップし、pHをリン酸で3.3に調節する。
溶液B:アセトニトリル、HPLC用
・停止時間:25分
・ポスト時間:5分
・希釈液:25%アセトニトリル、25%メタノール及び50%バッファー溶液(勾配溶出に使用するもの)の溶液を調製する。
以下の化学薬品(又は同等品)を使用すべきである:
オクチル−1−スルホン酸ナトリウム、99%
リン酸、分析用(p.a.)
アセトニトリル、HPLC用
不純物に関する溶液の調製
1.ブランク:希釈液を使用する。
2.試料調製:濃度が約1.0mg/mLのSXG試料溶液を2つずつ調製する。
手順
HPLCシステムのベースラインを安定させる。
希釈液を注入する。
試料溶液をクロマトグラフに注入する。
実施例1:出発物質の調製:非晶質サクサグリプチン
Sdf(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−[(1,1−ジメトキシ)カルボニル]アミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(「Boc−サクサグリプチン」)(5.25g;12.63mmol)を2−PrOH(6.7mL)に溶解し、水(6.3mL)を加えた。HCl(0.21mL,2.52mmol,濃)を室温で撹拌しながら加えた。その結果生じた混合物を65℃に加熱し、温度を65℃に維持したまま、濃HCl(1.27mL;15.14mmol)を5分かけて反応混合物に滴下した。反応混合物を65℃で2時間撹拌した後、室温まで冷却したところ、沈殿物の形成が起こった。水(10.5mL)及びジクロロメタン(31.5mL)を反応混合物に加えた後、10M NaOH(1.10mL;12.67mmol)及び洗浄用の水1.05mLを加えた。炭酸カリウム(25重量%溶液、5.6mL)を加えてpHを9に調節した。次に水(1.05mL)及びNaCl(6.56g;0.115mol)を加えた。この時点でpHが8.48に低下したので、K2CO3溶液のさらなる量を追加(1.0mL)してpHを再び9に調節した。次に、その混合物を室温で30分撹拌してから、その二相混合物を分離した。分離した水層をジクロロメタン(50mL×4)で抽出した。有機層を合わせ、減圧下で蒸発乾固することにより、4.11gの粗サクサグリプチンを得た。
粗サクサグリプチン残渣をCHCl/MeOH/NH(25重量%溶液)5:1:0.1を溶離液とするフラッシュクロマトグラフィーで精製した。純粋な生成物を含有する画分を合わせ、穏やかに加熱(40〜43℃)しながら減圧下で蒸発乾固することにより、3.43g(86%)のサクサグリプチンを白色泡状物として得た。
実施例2:結晶性サクサグリプチンH−1型との混合物の状態にある結晶性サクサグリプチンFI型の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、2−プロパノール雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。24時間後に試料を粉末XRDで調べたところ、サクサグリプチンの新しい結晶形(FI)が、結晶性サクサグリプチン一水和物H−1との混合物の状態で見いだされた。
実施例3:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、エタノール(96%、市販の変性エタノール)雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。24時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン一水和物H−1が見いだされた。
実施例4:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、ジブチルエーテル雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン一水和物H−1が見いだされた。
実施例5:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、相対湿度100%(デジタル湿度計で決定)の水雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。24時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン一水和物H−1が見いだされた。
実施例6:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、相対湿度80%(デジタル湿度計で決定)の水雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。24時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン一水和物H−1が見いだされた。
実施例7:結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、酢酸エチル雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。24時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2が見いだされた。
実施例8:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、トルエン雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2と一水和物H−1とが混合物の状態で見いだされた。
実施例9:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、ジエチルエーテル雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2と一水和物H−1とが混合物の状態で見いだされた。
実施例10:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、酢酸メチル雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2と一水和物H−1とが混合物の状態で見いだされた。
実施例11:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、酢酸イソブチル雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2と一水和物H−1とが混合物の状態で見いだされた。
実施例12:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、1−オクタノール雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2と一水和物H−1とが混合物の状態で見いだされた。
実施例13:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、アニソール雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2と一水和物H−1とが混合物の状態で見いだされた。
実施例14:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型と結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2型の混合物の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、1−ブタノール雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。48時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン半水和物H0.5−2と一水和物H−1とが混合物の状態で見いだされた。
実施例15:結晶性(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(化合物M)の調製
サクサグリプチンH−1型(100mg)をアセトン(1ml)に懸濁した。その懸濁液を室温で24時間撹拌した後、濾過し、風乾することにより、54mgの結晶性生成物を得た。
H NMR(CDCl,600MHz)δ0.83−0.89(m,1H)、0.92−0.97(m,1H)、1.50−1.73(m,12H)、1.80(m,1H)、1.85(s,3H)、2.10(s,3H)、2.23(m,2H)、2.30(m,1H)、2.42−2.49(m,1H)、3.82(m,1H)、3.97(m,1H)、5.00(m,1H)。
13C NMR(CDCl,150MHz)δ12.1、17.6、19.6、29.7、29.9、30.6、30.7、35.6、37.0、38.0、38.5、41.6、44.7、44.8、45.7、47.1、69.1、73.7、120.0、169.8、169.9。
実施例16:結晶性(1S,3S,5S)−2−[(2S)−2−プロパン−2−イリデンアミノ−2−(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アセチル]−2−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボニトリル(化合物M)の調製
非晶質サクサグリプチンを、室温で、アセトン雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。24時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性化合物Mが得られた。
実施例17:結晶性サクサグリプチン一水和物H−1型の調製
結晶性化合物Mを、室温で、相対湿度100%の水雰囲気下にある、デシケータ中のペトリ皿に置いた。24時間後に試料を粉末XRDで調べた。結晶性サクサグリプチン一水和物H−1が見いだされ(図11に示す粉末XRD)、試料はケイ素標準を使って測定された。図では補正を行わなかった。
実施例18:サクサグリプチン塩基の調製
精製Boc−サクサグリプチン(15.9g)を2−PrOH(分析用)(95.4mL)に溶解した。この溶液に、等体積の水(95.4mL)を加えた。pH測定値は8.2だった。6.4mLの濃HClを加えることによって溶液のpHを1.0に調節した。その結果生じた溶液を加熱還流し、還流下で4時間撹拌した。この時間後に、Boc−サクサグリプチンの全てが、サクサグリプチン塩基(HPLC)に転化された。次にその溶液を室温まで冷却し、ジクロロメタン(DCM)(159mL)を加えた。DCMを加えた後のpH測定値は1.03だった。70.8mLの1M NaOHを加えることによってpHを9.03に調節した。その結果生じた二相混合物の層を分離した。上側(水層)に62gのNaClを加え、その結果生じた水相を96mLのDCMで2回洗浄した。得られた複数のDCM層を合わせ、MgSOで脱水し、蒸発乾固することで、12.3gの白色泡状生成物を得た。
実施例19:サクサグリプチンシッフ塩基−化合物Mの調製
サクサグリプチン塩基(10.2g)を室温で33mLのアセトン(分析用)(MgSOで脱水したもの)に溶解した。その結果生じた透明な溶液を、閉じたフラスコ中、室温で、終夜撹拌しておいた。オフホワイトの結晶性生成物が得られた。生成物を濾別し、40℃/0mbarで2時間乾燥した。(収率=63.02%)。
実施例20:Boc−サクサグリプチンの調製
(S)−N−Boc−3−ヒドロキシアダマンチルグリシン−L−cis−4,5−メタノプロリンアミド(「AMSG」)(23g,53.05mmol)を、三口丸底フラスコ中で、0℃の工業用蒸留ジクロロメタン(DCM)(115mL)に溶解した。無色〜明黄色の溶液が得られた。この溶液にトリエチルアミン(22.1ml,159.15mmol)を加えたが目に見える変化はなく、得られた反応混合物を0℃で30分撹拌した。30分の期間中に、工業用蒸留DCM(69ml)中の塩化トリクロロアセチル(7.7ml,68.9mmol)を、0℃で滴下した。この添加中は白煙が観察された。温度は7℃より高くはならなかった。塩化トリクルロアセチルの添加が完了した5分後に、反応混合物を約10℃に加熱し、230mlのHOを加え、その混合物をよく撹拌した。分液漏斗中で層を分離した。上側(水層)にNaClを加え(NaClの2/3飽和溶液)、この水層を50mlの工業用蒸留DCMで2回抽出した。複数のDCM層を合わせ、KHCOの20%溶液140mlで1回洗浄し、MgSOで脱水し、蒸発乾固することで、24gの白色〜オフホワイトの泡状生成物を得た。
実施例21:粗Boc−サクサグリプチンの精製
粗Boc−サクサグリプチン(23.8g)を58mlの2−PrOH(分析用)に懸濁した。その懸濁液を加熱しながら撹拌して加熱還流し、透明な溶液を得た。その透明溶液を還流から外し、撹拌しながら185mlの水を滴下することで、懸濁液を形成させた。その懸濁液を更に室温で2時間撹拌したところ、結晶が形成された。その結晶を濾別し、40℃/0mbarで2時間乾燥することで、15.9gの白色固体を得た。(収率=66.8%)。
実施例22:サクサグリプチン一水和物H−1型の調製
シッフ塩基(化合物M,7.27g)を25mlの水に懸濁した。得られた懸濁液を、閉じたフラスコ中、室温で終夜撹拌した。生成物を濾別し、40℃/0mbarで2時間乾燥した。(収率=80.1%)。HPLC100%、粉末XRD:H−1。
実施例23:化合物Mから出発したサクサグリプチン塩酸塩の調製
サクサグリプチンのシッフ塩基(化合物M,500mg)をアセトン(4ml)に溶解し、HCl(0.131ml,36.5%)を加えた。その結果生じた懸濁液を30分撹拌した。水(0.6ml)を加え、撹拌を更に45分間続けた。次にその懸濁液を濾過することで、サクサグリプチン塩酸塩H2−1型(375mg)を得た。
実施例24:非晶質サクサグリプチン塩基の調製
サクサグリプチン一水和物(300mg)を水(40ml)に溶解し、凍結乾燥することで、非晶質サクサグリプチンを得た。
実施例25:結晶性化合物M及びサクサグリプチン一水和物H−1型の安定性
結晶性化合物M及びサクサグリプチン一水和物H−1型の試料を調製し、サクサグリプチンの量及び環状アミジンの量を、時刻ゼロ(=時刻0)において、HPLCで測定した。結晶性化合物M及びサクサグリプチン一水和物H−1型の試料を、2週間、1ヶ月及び2ヶ月にわたって、下記の表に記載する条件に維持した。その後、サクサグリプチンの量及び環状アミジンの量をHPLCで測定した。
CA=環状アミジン、SXG=サクサグリプチン、RH=相対湿度。

Claims (29)

  1. サクサグリプチンシッフ塩基。
  2. 式Iの化合物:
    (式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、Rは−H又はC1−4アルキル、フェニル若しくは置換フェニルである)
    である、請求項1に記載のサクサグリプチンシッフ塩基。
  3. が−H又はC1−4アルキルであり、RがC1−4アルキル、フェニル又は置換フェニルである、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
  4. 式Ia:
    (式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、Rは−H又はC1−4アルキル、フェニル若しくは置換フェニルである)
    の請求項1に記載の化合物。
  5. が−H又はC1−4アルキルであり、RがC1−4アルキル、フェニル又は置換フェニルである、請求項4に記載の化合物。
  6. がC1−4アルキルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. がC1−4アルキル又は無置換フェニルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 及びRがC1−4アルキルからそれぞれ独立して選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. とRが同じである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 及びRがC1−4アルキルから選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. 及びRがメチル又はエチルである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 及びRがメチルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. 化合物M:
  14. 11.2、12.6、14.0、16.6、及び19.5±0.2度(2θ)にピークを有する粉末XRDパターン;実質的に図7に示す粉末XRDパターン;171.43、42.13及び29.83ppm±0.2ppmにピークを有する固体NMR;実質的に図13に示す固体NMRパターン;及びそれらの組合せから選択されるデータによって特徴づけられる結晶形を含む、請求項13に記載の化合物M。
  15. 14.5、19.1及び30.2±0.2度(2θ)におけるさらなる粉末XRDピーク;実質的に図8に示すFT−IRスペクトル;実質的に図9に示すFTラマンスペクトル;実質的に図10に示すDSCサーモグラム;及びそれらの組合せから選択されるデータによって更に特徴づけられる、請求項13に記載の結晶性化合物M。
  16. サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物の調製方法であって、請求項1〜15のいずれか一項に記載のサクサグリプチンシッフ塩基を調製すること、及びそれをサクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物に転化することを含む方法。
  17. サクサグリプチンシッフ塩基が加水分解によってサクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物に転化される、請求項16に記載の方法。
  18. 加水分解が、サクサグリプチンシッフ塩基の水への曝露によって行われる、請求項17に記載の方法。
  19. サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物が、サクサグリプチンシッフ塩基を約100%の相対湿度に約24時間にわたって維持することを含む方法によって調製される、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物が
    a)サクサグリプチンシッフ塩基を水に懸濁すること;及び
    b)任意に、サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物を回収すること
    を含む方法によって調製される、請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. サクサグリプチン塩が、
    a)請求項1〜13のいずれかに記載のサクサグリプチンシッフ塩基化合物を、適切な溶媒、好ましくは水混和性溶媒、より好ましくはアセトンに溶解すること;
    b)酸(好ましくは鉱酸、より好ましくは塩酸)と、場合によっては水とを加えること;及び
    c)サクサグリプチン塩を回収すること
    を含む方法によって調製される、請求項16又は請求項17に記載の方法。
  22. サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物の調製方法であって、
    a.式Iaに示す化合物:
    (式中、Rは−H又はC1−4アルキルであり、Rは−H又はC1−4アルキル、フェニル若しくは置換フェニルである)
    を加水分解すること;及び
    b.サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物を回収すること
    を含む方法。
  23. 式Iaの化合物が化合物M:
    である、請求項22に記載の方法。
  24. サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物を調製するための、請求項1〜15のいずれか一項に記載のサクサグリプチンシッフ塩基の使用。
  25. サクサグリプチン、サクサグリプチン塩又はその水和物の精製における中間体としての、請求項1〜15のいずれか一項に記載のサクサグリプチンシッフ塩基の使用。
  26. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のサクサグリプチンシッフ塩基を調製することを含む、サクサグリプチンの精製方法。
  27. 薬剤として使用するための、請求項1〜15のいずれかに記載の化合物。
  28. 薬剤が2型糖尿病治療用である、請求項27に記載の化合物。
  29. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物と少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
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