本発明のその外の目的、特定の利点と新規の特徴は添付図面に基づく以下の詳細な説明と好適な実施例からより明らかになるであろう。
以下、本発明による微細流体装置の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
まず、図1〜図3を参照すれば、本発明による微細流体装置は、サンプル2に含まれている複数のノンターゲット(Non−target)4と複数類型のターゲット6;6a、6b、6cを1次濾過してターゲット6を分離した後、分離されたターゲット6を大きさによって2次濾過して分離する。
図8及び図9に詳細に示すように、ノンターゲット4はターゲット6の直径より小さな直径(d)を持つ。ターゲット6は、一例として第1類型のターゲット6a、第2類型のターゲット6b及び第3類型のターゲット6cでなる。第1類型のターゲット6aは第1直径(d1)を持ち、第2類型のターゲット6bは第2直径(d2)を持ち、第3類型のターゲット6cは第3直径(d3)を持つ。第1直径(d1)は第2直径(d2)より大きく、第2直径(d2)は第3直径(d3)より大きい。サンプル2は人間または動物の唾液、汗、小便などの生理学的流体、血液、血清(Serum)でなる。また、サンプル2は、人間、動物、植物の細胞、組職などのターゲット6を含む流体、ウイルス、バクテリアなどを含む流体など、多様に選択できる。サンプル2として血液が選択される場合、ターゲット6は、血液に含まれて相異なるサイズを持つ細胞でなる。血液中の細胞は赤血球(Red blood cell)、白血球(White blood cell)などがある。本発明の実施例において、ノンターゲット4としては赤血球が選択できる。
図1〜図3を再び参照すれば、本発明による微細流体装置は、外観をなすキャビネット(Cabinet)10を備えている。キャビネット10の本体12は、その内側にサンプル2の流れのために形成されている第1通路14と、第1通路14から分岐されている第2通路16とを持つ。第1通路14と第2通路16は隔壁18によって左右に区画されている。隔壁18の上端には、サンプル2の流れを誘導するために、第1通路14から第2通路16に向けて傾く傾斜面18aが形成されている。隔壁18の上方には、第1通路14と第2通路16を連結する第3通路20が形成されている。隔壁18の下方には、第1通路14と第2通路16を連結する第4通路22が形成されている。
サンプル2の供給のために、第1通路14の上流に連結されるように、導入口24が本体12の上部に形成されている。導入口24は、サンプル2を第1通路14に供給するように、第1通路14の上方に整列されている。第3通路20の一側に導入口24を通じて流入するサンプル2の流れを第1通路14に誘導するガイド(Guide)20aが形成されている。サンプル2の排出のために、第1及び第2通路14、16の下流に連結されるように、排出口26が本体12の下部に形成されている。本体12の前面には、第1及び第2通路14、16と連結されるように、開放端部28が形成されている。
一対の溝(Groove)30が第1通路14の上流に開放端部28と連結されるように形成されている。溝30は第1通路14の一側から第2通路16に向けて傾くように配置された。一対の第1〜第4溝32a〜32dが第2通路16にサンプル2の流れ方向に沿って開放端部28と連結されるように形成されている。第1〜第4溝32a〜32dのそれぞれは水平に配置された。カバー34は本体12の前面に開放端部28を覆うように複数のネジ36の締結によって装着されている。カバー34は本体12の前面にヒンジ(Hinge)を中心に回転可能に開閉することができるドアで構成できる。本体12とカバー34の間には、気密の維持のために、パッキング(Packing)が装着できる。
図2〜図4及び図8を参照すれば、本発明による微細流体装置は、複数類型のターゲット6を濾過するように、第1通路14に傾いて装着された第1フィルタリング装置40を備えている。第1フィルタリング装置40は、サポートフレーム(Support frame)42、メッシュフィルター(Mesh filter)44とカバーフレーム(Cover frame)46でなっている。サポートフレーム42の両端は溝30に挿合される。サポートフレーム42の中央には、サンプル2の流れのための孔42aが形成されている。サポートフレーム42の上面には、孔42aの周りに沿って定着凹部42bが形成されている。
メッシュフィルター44の周縁部は定着凹部42bに定着されている。メッシュフィルター44は、複数類型のターゲット6を濾過するように形成されている複数の濾過孔44aを持つ。濾過孔44aは、ターゲット6の直径より小さな直径を持つように形成されている。ノンターゲット4は濾過孔44aを通過し、ターゲット6は濾過孔44aを通過することができない。メッシュフィルター44は10〜50μmの厚さで構成できる。メッシュフィルター44の濾過孔44aはMEMS(Micro−Electro−Mechanical Systems;微小電気機械システム)技術を用いたエッチング(Etching)によって形成できる。
カバーフレーム46は、メッシュフィルター44の周縁部を覆うように、定着凹部42bに装着されている。メッシュフィルター44の周縁部は、サポートフレーム42とカバーフレーム46間に固定されている。カバーフレーム46の中央には、サポートフレーム42の孔42aと整列するように、孔46aが形成されている。孔46aの一側面には、サンプル2の流れを誘導するように、傾斜面46bが形成されている。サポートフレーム42の上面とカバーフレーム46の上面は同一水平面上に整列されている。
図2〜図3、図5〜図7及び図9を参照すれば、本発明による微細流体装置は、第1フィルタリング装置40から複数類型のターゲット6を受けて複数類型のターゲット6を大きさによって濾過するように、第2通路16に設置されている第2フィルタリング装置50を備えている。第2フィルタリング装置50は、サンプル2の流れ方向に沿って配置された複数のフィルター組立体50−1、50−2、50−3でなっている。フィルター組立体50−1、50−2、50−3のそれぞれは第1〜第3溝32a〜32cに挿合されて水平に装着されている。フィルター組立体50−1、50−2、50−3のそれぞれは、サポートフレーム52、メッシュフィルター54及びカバーフレーム56でなっている。本実施例において、第4溝32dにフィルター組立体が装着されていないものが示されて説明されたが、第4溝32dにもフィルター組立体が装着できる。
サポートフレーム52の両端は第1〜第3溝32a〜32cのそれぞれに挿合される。サポートフレーム52の中央には、サンプル2の流れのための孔52aが形成されている。サポートフレーム52の上面には、孔52aの周りに沿って定着凹部52bが形成されている。メッシュフィルター54の周縁部は定着凹部52bに定着されている。メッシュフィルター54は複数類型のターゲット6を濾過するように形成されている複数の濾過孔54aを持つ。濾過孔54cの直径はターゲット6の直径によってターゲット6を濾過する大きさを持つように適切に変更可能である。
フィルター組立体50−1、50−2、50−3のそれぞれのメッシュフィルター54は、その濾過孔54aの直径がサンプル2の流れ方向に沿って漸進的に減少するように配列されている。例えば、フィルター組立体50−1、50−2、50−3が3段に積層された場合、第1フィルター組立体50−1の濾過孔54aは15〜20μmに形成され、第2フィルター組立体50−2の濾過孔54aは10〜15μmに形成され、第3フィルター組立体50−3の濾過孔54aは5〜10μmに形成できる。
カバーフレーム56は、メッシュフィルター54の周縁部を覆うように、定着凹部52bに装着されている。メッシュフィルター54の周縁部はサポートフレーム52とカバーフレーム56の間に固定されている。カバーフレーム56の中央には、サポートフレーム54の孔54aと整列するように孔56aが形成されている。孔56aの断面積は、ターゲット6の流れを誘導するために、上流から下流に行くほど漸進的に減少するホッパー状(Hopper shape)に形成されている。サポートフレーム52の上面とカバーフレーム56の上面は同一水平面上に整列されている。
図7に示すように、メッシュフィルター54の表面には親水性表面層54bがコートされている。親水性表面層54bは、メッシュフィルター54の表面に親水性物質、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化珪素(SiO2)がコート(Coating)されることで形成できる。親水性表面層54bはメッシュフィルター54の表面に接触するサンプル2の流れを分散させて、液滴が結ぶことを防止する。一方、親水性表面層54bはメッシュフィルター44の表面にも同様に形成できる。
抗体表面層54cが、ターゲット6による細胞の捕獲のために、親水性表面層54bの表面にコートされている。抗体表面層54cの抗体は、例えば抗上皮細胞接着分子抗体(Anti−Epithelial Cell Adhesion Molecule antibody、Anti−EpCAM antibody)、抗サイトケラチン抗体(Anti−Cytokeratin antibody、Anti−CK antibody)などで構成できる。本実施例において、抗体表面層54cは、親水性表面層54bに代わって、メッシュフィルター54の表面に直接コートされることができる。一方、図9には、親水性表面層54bと抗体表面層54cが第3フィルター組立体50−3のメッシュフィルター54にだけコートされているものが例示されている。
図1〜図3を参照すれば、本発明による微細流体装置は、キャビネット10の導入口24にサンプル2を供給するためのサンプル供給装置60として注射器62を備えている。注射器62のシリンダー64はサンプル2を保存するためのボア64a、サンプル2を流入するための入口64b及びサンプル2を排出するための出口64cを持つ。注射器62のピストン(Piston)66は入口64bを通じてボア64aに挿入され、ボア64aに沿って往復運動して、出口64cを通じてサンプル2を排出する。出口64cはホース(Hose)68によって導入口24に連結されている。サンプル供給装置60は定量のサンプル2をポンピングしてキャビネット10の導入口24に供給することができるシリンジポンプ(Syringe pump)、プランジャポンプ(Plunger pump)などで構成できる。また、サンプル2の一例として人間の血液が選択される場合、サンプル供給装置60は血液を保存して供給することができる採血官(Blood collection tube)、バッグ(Bag)、パック(Pack)などの多様な形態に構成されることもできる。
これからは、このような構成を持つ本発明による微細流体装置の作用を説明する。
図2及び図3を参照すれば、シリンダー64の出口64cはホース68によってキャビネット10の導入口24に連結される。ピストン76がシリンダー74のボア74aに沿って前進すれば、サンプル2は出口74cを通じて排出され、ホース78とキャビネット10の導入口24を通じても3に矢印“A”で示すように第1通路14の上流に流入する。第1通路14に流入するサンプル2は傾いている第1フィルタリング装置40を通すことになる。
図3及び図8を参照すれば、サンプル2のターゲット6は第1フィルタリング装置40の前処理(Preprocessing)によって1次濾過される。ノンターゲット4は濾過孔44aを通過して第1通路14の下流へ流れる。ターゲット6は濾過孔44aを通過することができない。濾過孔44aの直径が5μmに形成されている場合、ノンターゲット4、例えば直径6〜8μmの赤血球は濾過孔44aを通過する。赤血球は、細胞核(Cellnucleus)を取り囲んでいる細胞質(Cytoplasm)の変形によって、その直径より小さな孔を抜けることができる。ターゲット6、例えば直径5μm以上の細胞は濾過孔44aを通過することができない。ターゲット6はメッシュフィルター44の表面に沿って下がり、図3に矢印“B”で示すように、第2通路16の上流に流れる。この際、サンプル2の液体成分の中で一部は濾過孔44aを通過してノンターゲット4とともに第1通路14の下流に流れ、残りの液体成分はメッシュフィルター44に沿って第2通路16の上流に流れる。隔壁18の傾斜面18aとカバーフレーム46の傾斜面46bは第1フィルタリング装置40から第2通路16にターゲット6の流れをなだらかに誘導する。
図2、図3及び図9を参照すれば、第1フィルタリング装置40を経った複数類型のターゲット6は第2フィルタリング装置50の後処理(Postprocessing)によって2次濾過される。複数類型のターゲット6はその大きさによってフィルター組立体50−1、50−2、50−3のそれぞれの濾過孔54aによって濾過される。ターゲット6の中で15μm以上の大きさを持つ第1類型のターゲット6aは第1フィルター組立体50−1の濾過孔54aを通過することができなく、15μm未満の大きさを持つ第2及び第3類型のターゲット6b、6cは第1フィルター組立体50−1の濾過孔54aを通過する。ターゲット6の中で10μm以上の大きさを持つ第2類型のターゲット6bは第2フィルター組立体50−2の濾過孔54aを通過することができなく、10μm未満の大きさを持つ第3類型のターゲット6cは第2フィルター組立体50−2の濾過孔54aを通過する。5μm以上の大きさを持つ第3類型のターゲット6cは第3フィルター組立体50−3の濾過孔54aを通過することができなく、5μm未満の大きさを持つ残りのターゲットまたは第2フィルタリング装置50に流入したノンターゲット4は第3フィルター組立体50−3の濾過孔54aを通過する。第1フィルタリング装置40と第2フィルタリング装置50の濾過を経ったサンプル2は排出口26を通じてキャビネット10の外に排出されて公知のタンク(Tank)、リザブワー(Reservoir)などに安全に保存される。
このように、多段に積層されたフィルター組立体50−1、50−2、50−3によってターゲット6が大きさ別に濾過されて分離されるので、例えば人間の血液から直径12〜25μmの白血球を効率よく採取することができる。一方、細胞は抗体表面層54cに結合されて捕獲されるので、細胞の捕獲率が大幅に高くなる。
図10には、本発明による微細流体装置において、メッシュフィルターの他の実施例が示されている。図10を参照すれば、他の実施例のメッシュフィルター134は、その上面にターゲット6を収容するように形成されている複数のプール(Pool)136を持つ。プール136の断面は円形に形成されている。濾過孔134aのそれぞれはプール136の中央に形成されている。濾過孔134aとプール136は同心状に形成されている。プール136は必要によって多段に形成できる。
ターゲット6はサンプル2の流れによってプール136に流入しながら濾過孔134aに向けて誘導される。濾過孔134aを通過することができなかったターゲット6aはプール136に収容される。したがって、サンプル2の濾過が済めば、作業者はプール136に収容されているターゲット6aを易しく採取することができる。細胞がプール136に収容されることにより、細胞の変形が防止されて細胞の濾過率が高くなる。
図11には、本発明による微細流体装置において、メッシュフィルターのさらに他の実施例が示されている。図11を参照すれば、さらに他の実施例のメッシュフィルター234は、濾過孔234aのそれぞれの上部にサンプル2の流れ方向に沿って直径が漸進的に減少するように連結されているテーパー孔(Taper hole)236を持つ。テーパー孔236は、サンプル2の流れがなだらかになるように濾過孔234aに誘導する。また、濾過孔234aを通過することができなかったターゲット6aはテーパー孔236に収容される。
図12には、本発明による微細流体装置において、メッシュフィルターのさらに他の実施例が示されている。図12を参照すれば、さらに他の実施例のメッシュフィルター334は、その上面に濾過孔334aのそれぞれの上部を取り囲んでサンプル2の流れを濾過孔334aのそれぞれに誘導するように形成されている複数のガイドウォール(Guide wall)336を持つ。ガイドウォール336のそれぞれは、メッシュフィルター334の上面に濾過孔334aのそれぞれの縁部延設されているボア338を持つ。ガイドウォール336は、ボア338の断面が六角形に形成されるハニカム構造(Honeycomb structure)となっている。ガイドウォール338は、サンプル2の流れが濾過孔334aのそれぞれに均一に分散されるように誘導する。
図13〜図15には、本発明による微細流体装置の他の実施例が示されている。図13〜図15を参照すれば、他の実施例の微細流体装置は、第2フィルタリング装置50の上流にサンプル2の流れを分散するように設置されている分散装置80を備えている。分散装置80は、第2通路16の第1溝26aに設置されている。分散装置80が第2通路16の第1溝26aに設置されることにより、フィルター組立体50−1、50−2、50−3のいずれか一つは削除可能である。すなわち、分散装置80は第1フィルター組立体50−1に取り替えられて装着され、第2及び第3フィルター組立体50−2、50−3は分散装置80の下流に装着できる。
分散装置80は、前述したフィルター組立体50−1、50−2、50−3のサポートフレーム52、メッシュフィルター54、カバーフレーム56と同様に、サポートフレーム82、メッシュフィルター84とカバーフレーム86でなっている。サポートフレーム82の両端は第1溝26aに挿合される。サポートフレーム82の中央には、サンプル2の流れのための孔82aが形成されている。サポートフレーム82の上面には、孔82aの周りに沿って定着凹部82bが形成されている。
メッシュフィルター84の周縁部は定着凹部82bに定着されている。メッシュフィルター84は複数類型のターゲット6が通過するように形成されている複数の分散孔84aを持つ。分散孔84aはターゲット6の直径より大きい直径を持つように形成されている。カバーフレーム86はメッシュフィルター84の周縁部を覆うように定着凹部82bに装着されている。メッシュフィルター84の周縁部はサポートフレーム82とカバーフレーム86間に固定されている。カバーフレーム86の中央には、サポートフレーム82の孔82aと整列するように孔86aが形成されている。
図15に示すように、サンプル2は分散装置80を通りながらサンプル2の流れ方向に直交する方向に分散される。サンプル2に含まれているターゲット6はサンプル2の流れにつれてメッシュフィルター84の分散孔84aをすべて通過しながら第2通路16の幅方向に均一に分散される。サンプル2の一例として人間の血液は粘度によって第2通路16の一部位に偏重して流れることができる。血液の流れは分散装置80を通りながら分散され、血液の分散流れはターゲット6の濾過率を高める。分散装置80を経った複数類型のターゲット6は第2フィルタリング装置50によって濾過される。
以上説明した実施例は本発明の好適な実施例を説明したものに過ぎなく、本発明の権利範囲は説明された実施例に限定されるものではないし、本発明の技術的思想と特許請求内でこの分野の当業者によって多様な変更、変形または置換が可能であり、そのような実施例は本発明の範囲に属するものに理解しなければならない。