(5.詳細な説明)
(5.1 fluポリペプチド)
fluポリペプチドが本明細書で提供される。任意の特定の作動理論に束縛されることを意図するものではないが、fluポリペプチドは、単一の亜型、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なる亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株と交差反応し、かつ好ましくは、それらを防御することができる免疫応答を生じさせるために、HA2血球凝集素サブユニットの1以上の比較的保存された抗原性領域(例えば、HA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックス)を対象の免疫系に提示するのに有用であると考えられている。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、そのN末端及び/又はC末端でアセチル化されている。ある実施態様では、fluポリペプチドは、ペグ化されている。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのコアポリペプチド及び/又は修飾ポリペプチドを含む。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのコアポリペプチド又は修飾ポリペプチド、及び1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのT細胞エピトープを含む。
いくつかの実施態様では、fluポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのコアポリペプチド又は修飾ポリペプチド、及び1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの免疫原性ポリペプチドを含む。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチド、及び多量体化(例えば、fluポリペプチドの三量体化)を促進するポリペプチドを含む。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチド、及び以下のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多く、又は全てを含む:1)1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのキャリア;2)1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのT細胞エピトープ(例えば、CD8 T細胞エピトープ);3)1つ、2つ、3つ、又はそれより多くの免疫原性ポリペプチド(例えば、サルモネラ菌のフラジェリン、第5.1.6節を参照されたい);4)1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのタンパク質タグ(例えば、His-タグ又はFLAG-タグ、第5.1.3節を参照されたい);5)fluポリペプチドの多量体化を促進する1以上のポリペプチド(例えば、T4フォルドンドメイン、第5.1.8節を参照されたい)。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、リンカーポリペプチドに連結されたコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。ある実施態様では、fluポリペプチドは、キャリアタンパク質に連結されたコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。
(5.1.1 コアポリペプチド)
ある実施態様では、fluポリペプチドは、コアポリペプチドを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、HA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックスの1以上の比較的保存された抗原性領域を含む。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株と交差反応し、かつ好ましくは、それらを防御することができる対象の免疫応答を生じさせることができる。単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株と交差反応し、かつ好ましくは、それを防御することができる対象の免疫応答を生じさせるコアポリペプチドの能力は、当業者に公知かつ本明細書に記載の方法を用いて評価することができる(以下の第5.13節及び第6節を参照されたい)。別の具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株を中和することができる対象の免疫応答を生じさせることができる。単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株を中和することができる対象の免疫応答を生じさせるコアポリペプチドの能力は、当業者に公知かつ本明細書に記載の方法を用いて評価することができる(以下の第5.13節及び第6節を参照されたい)。別の具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株の複製を阻害又は低減することができる対象の免疫応答を生じさせることができる。単一の亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの亜型由来の株の複製を阻害又は低減することができる対象の免疫応答を生じさせるコアポリペプチドの能力は、当業者に公知かつ本明細書に記載の方法を用いて評価することができる(以下の第5.13節及び第6節を参照されたい)。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、インフルエンザウイルスのHA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックスを含む。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、インフルエンザウイルスのHA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックスの一部を含む。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、HA2の長いα-ヘリックスの一部を含み、ここで、該一部の天然の立体構造は維持されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、HA2の長いα-ヘリックスの一部を含み、ここで、該一部は、天然のαヘリックス構造を維持する。当業者は、例えば、NMR、X線結晶学的方法、又は二次構造予測法、例えば、円二色性などの当技術分野で公知の任意の方法を用いて、該αヘリックス構造が維持されているかどうかを決定することができる。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルス血球凝集素のアミノ酸配列を含まない。ある実施態様では、コアポリペプチドは、25〜50、50〜55、50〜60、50〜65、50〜70、50〜75、50〜80、50〜85、50〜90、50〜95、50〜100、100〜150、100〜200、もしくは100〜250個のアミノ酸を含むか、又はそれらからなる。他の実施態様では、コアポリペプチドは、50〜55、50〜60、50〜65、50〜75、50〜80、50〜85、50〜90、50〜95、50〜100、75〜80、75〜85、75〜90、75〜95、もしくは75〜100個のアミノ酸を含むか、又はそれらからなる。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1(±5)〜184(±5)、16(±5)〜184(±5)、30(±5)〜184(±5)、31(±5)〜184(±5)、46(±5)〜184(±5)、61(±5)〜184(±5)、70(±5)〜110(±5)、76(±5)〜106(±5)、76(±5)〜130(±5)、もしくは76(±5)〜184(±5)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1(±5)〜184(±5)、16(±5)〜184(±5)、30(±5)〜184(±5)、31(±5)〜184(±5)、46(±5)〜184(±5)、61(±5)〜184(±5)、70(±5)〜184(±5),(70(±5)〜110(±5)、76(±5)〜106(±5)、76(±5)〜130(±5)、もしくは76(±5)〜184(±5)を含むか、又はそれらからなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、又は180アミノ酸未満である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜106を含むか、又はそれからなる。
別の具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜130を含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜130を含むか、又はそれからなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。別の具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76〜130からなる。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜125(±5)、80(±5)〜115(±5)、90(±5)〜105(±5)、もしくは76(±5)〜95(±5)を含むか、又はそれらからなる。ある実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜125(±5)、80(±5)〜115(±5)、90(±5)〜105(±5)、もしくは76(±5)〜95(±5)を含むか、又はそれらからなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、70(±5)〜120(±5)、70(±5)〜110(±5)、70(±5)〜100(±5)、もしくは70(±5)〜95(±5)を含むか、又はそれらからなる。ある実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、70(±5)〜120(±5)、70(±5)〜110(±5)、70(±5)〜100(±5)、もしくは70(±5)〜95(±5)を含むか、又はそれらからなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、80(±5)〜130(±5)、90(±5)〜130(±5)、100(±5)〜130(±5)、もしくは110(±5)〜130(±5)を含むか、又はそれらからなる。ある実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)、80(±5)〜130(±5)、90(±5)〜130(±5)、100(±5)〜130(±5)、もしくは110(±5)〜130(±5)を含むか、又はそれらからなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1〜184、10(±5)〜184、20(±5)〜184、30(±5)〜184、40(±5)〜184、50(±5)〜184、60(±5)〜184、70(±5)〜184、もしくは80(±5)〜184を含むか、又はそれらからなる。ある実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1〜184、10(±5)〜184、20(±5)〜184、30(±5)〜184、40(±5)〜184、50(±5)〜184、60(±5)〜184、70(±5)〜184、もしくは80(±5)〜184を含むか、又はそれらからなり、ここで、該コアポリペプチドは、長さが300、275、250、200、190、185、180、175、150、145、130、130、125、100、又は75アミノ酸未満である。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のHA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックスもしくはその断片(すなわち、古典的なH3亜型付番体系によって付番されたアミノ酸76〜130もしくはその断片)を含むか、又はそれらからなる、すなわち、コアポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
もしくはその断片)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施態様では、配列番号2のアミノ酸配列を含むコアポリペプチドは、少なくとも56個以上のアミノ酸を含む。配列番号2に対応するコアポリペプチドは、N末端、C末端、又は両方で修飾されることができる。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、N末端で修飾されている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、C末端で修飾されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。別の具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、C末端でリンカー、例えば、FLAG-タグに連結されている。別の具体的な実施態様では、コアポリペプチドのC末端は、リンカー、例えば、FLAG-タグ、及び例えば、該コアポリペプチドをキャリア(例えば、KLH)に結合/連結させるために用いることができるシステイン残基に連結されている。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番されたアミノ酸79〜134に対応するインフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)もしくはその断片の血球凝集素サブユニットの領域、又はその断片を含むか、或いはそれらからなる(すなわち、コアポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
もしくはその断片を含むか、又はそれらからなる。)
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、FLAG-タグ及びC末端のシステイン残基に連結されており、該FLAG-タグ及びシステイン残基を有するそのようなポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様では、そのようなポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも60%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも65%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも50%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも60%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも65%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも70%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも75%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも80%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも85%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも90%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも95%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも98%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列との少なくとも99%のアミノ酸配列類似性を共有し、かつ古典的なH3亜型付番体系によって付番された、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のアミノ酸76〜130の天然の立体構造を維持する。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のHA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックス(すなわち、古典的なH3亜型付番体系によって付番されたアミノ酸76〜130)を含まない、すなわち、コアポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
を含まない。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、FLAG-タグ、及び例えば、該コアポリペプチドをキャリア(例えば、KLH)に結合/連結させるために用いることができるC末端のシステイン残基に連結されていない。いくつかの具体的な実施態様では、本明細書に記載のコアポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
を含まず、ここで、FLAG-タグは、アミノ酸配列
で表されている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されていない。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜125(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸80(±5)〜115(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸90(±5)〜105(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76(±5)〜95(±5)を含まない。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜120(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜110(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜100(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜95(±5)を含まない。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜130(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸80(±5)〜130(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸90(±5)〜130(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸100(±5)〜130(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸110(±5)〜130(±5)を含まない。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸10(±5)〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸20(±5)〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸30(±5)〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸40(±5)〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸50(±5)〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸60(±5)〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜184を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型付番体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸80(±5)〜184を含まない。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸1(±5)〜184(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸16(±5)〜184(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸30(±5)〜184(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸31(±5)〜184(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸46(±5)〜184(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸61(±5)〜184(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸70(±5)〜184(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76(±5)〜106(±5)を含まない。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、古典的なH3亜型番号体系によって付番された血球凝集素ポリペプチドのアミノ酸76(±5)〜184(±5)を含まない。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
ここで、X1は、親水性アミノ酸であり;X2は、疎水性アミノ酸であり;X3は、親水性アミノ酸であり;X4は、親水性アミノ酸であり;X5は、疎水性アミノ酸であり;X6は、N、E、又はIであり;X7は、親水性アミノ酸であり;X8は、K、R、Y、又はWであり;X9は、M、V、又はTであり;X10は、親水性残基であり;X11は、A、G、T、又はSであり;X12は、F、I、K、L、又はMであり;X13は、L、I、又はTであり;X14は、親水性の酸性アミノ酸であり;X15は、疎水性アミノ酸であり;X16は、親水性アミノ酸であり;アミノ酸X17は、親水性アミノ酸であり;X18は、疎水性アミノ酸であり;X19は、疎水性アミノ酸であり;X20は、親水性アミノ酸であり;X21は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X22は、疎水性アミノ酸であり;X23は、疎水性アミノ酸であり;X24は、H、T、又はAであり;X25は、親水性アミノ酸であり;X26は、疎水性アミノ酸であり;X27は、親水性アミノ酸であり;X28は、親水性アミノ酸であり;X29は、疎水性アミノ酸であり;X30は、親水性の酸性アミノ酸であり;X31は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X32は、T又はVであり;X33は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X34は、K、L、M、S、又はRであり;X35は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X36は、親水性アミノ酸であり、かつX37は、疎水性アミノ酸である。
具体的な実施態様では、X1は、R又はQであり;X2は、L、M、又はIであり;X3は、E、D、Q、又はGであり;X4は、D又はNであり;X5は、L、M、又はVであり;X6は、N、E、又はIであり;X7は、K又はNであり;X8は、K、R、Y、又はWであり;X9は、M、V、又はTであり;X10は、E、D、K、又はRであり;X11は、A、G、T、又はSであり;X12は、F、I、K、L、又はMであり;X13は、L、I、又はTであり;X14は、D又はEであり;X15は、V、I、又はLであり;X16は、S又はTであり;X17は、N又はQであり;X18は、A又はLであり;X19は、L又はMであり;X20は、E又はQであり;X21は、R又はHであり;X22は、L又はIであり;X23は、F、V、M、Y、又はLであり;X24は、H、T、又はAであり;X25は、N又はEであり;X26は、V又はMであり;X27は、K、N、R、又はSであり;X28は、K又はNであり;X29は、Y又はFであり;X30は、D又はEであり;X31は、K又はRであり;X32は、T又はVであり;X33は、K又はRであり;X34は、K、L、M、S、又はRであり;X35は、K又はRであり;X36は、D、N、Q、又はEであり、かつX37は、A又はVである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、包括的コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、包括的コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、包括的コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、包括的コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、包括的コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、包括的コアポリペプチドのN末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、又は25(±5)個のアミノ酸、及び包括的コアポリペプチドのC末端から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、又は25(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を有している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAではない包括的コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸である包括的コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満である包括的コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸である包括的コアポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、包括的コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸が包括的コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続された包括的コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、包括的コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸が包括的コアポリペプチドのN末端に接続され、かつ1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸が包括的コアポリペプチドのC末端に接続された包括的コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるコンセンサスコアポリペプチドであり、
ここで、X1は、M、V、Tであり;X2は、疎水性アミノ酸であり;X3は、L、M、S、K、Rであり;かつX4は、親水性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、M、V、Tであり;X2は、F、Y、又はLであり;X3は、L、M、S、K、Rであり;かつX4は、D、N、又はEである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、コンセンサスコアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、コンセンサスコアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、コンセンサスコアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、コンセンサスコアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、コンセンサスコアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、コンセンサスコアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を有している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないコンセンサスコアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるコンセンサスコアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるコンセンサスコアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のコンセンサスコアポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、コンセンサスコアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がコンセンサスコアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたコンセンサスコアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、コンセンサスコアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がコンセンサスコアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたコンセンサスコアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるグループ1コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸であり;X2は、疎水性アミノ酸であり;X3は、親水性アミノ酸であり;X4は、疎水性アミノ酸であり;X5は、疎水性アミノ酸であり;X6は、疎水性の酸性アミノ酸であり;X7は、親水性の酸性アミノ酸であり;X8は、L、M、又はSであり;X9は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X10は、親水性アミノ酸であり、かつX11は、疎水性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、L又はIであり;X2は、M又はVであり;X3は、E又はDであり;X4は、V又はIであり;X5は、M又はLであり;X6は、F又はYであり;X7は、D又はEであり;X8は、L、M、又はSであり;X9は、R又はKであり;X10は、D又はNであり、かつX11は、A又はVである。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、グループ1血球凝集素亜型に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、2種以上のインフルエンザウイルスグループ1血球凝集素亜型を中和する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、グループ1コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ1コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、グループ1コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、グループ1コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ1コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、グループ1コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないグループ1コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるグループ1コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるグループ1コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のグループ1コアポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ1コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がグループ1コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたグループ1コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ1コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がグループ1コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたグループ1コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるグループ2コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、親水性アミノ酸であり;X2は、親水性アミノ酸であり;X3は、親水性アミノ酸であり;X4は、疎水性アミノ酸であり;X5は、E又はIであり;X6は、親水性アミノ酸であり;X7は、疎水性アミノ酸であり;X8は、V又はTであり;X9は、親水性アミノ酸であり;X10は、親水性アミノ酸であり;X11は、K又はMであり;X12は、I又はTであり;X13は、親水性の酸性アミノ酸であり;X14は、疎水性アミノ酸であり;X15は、疎水性アミノ酸であり;X16は、T又はAであり;X17は、疎水性アミノ酸であり;X18は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X19は、T又はVであり、かつX20は、親水性の塩基性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、R又はQであり;X2は、Q又はGであり;X3は、D又はNであり;X4は、L又はVであり;X5は、E又はIであり;X6は、K又はNであり;X7は、Y又はWであり;X8は、V又はTであり;X9は、E又はRであり;X10は、T又はSであり;X11は、K又はMであり;X12は、I又はTであり;X13は、D又はEであり;X14は、L又はVであり;X15は、L又はMであり;X16は、T又はAであり;X17は、F又はYであり;X18は、K又はRであり;X19は、T又はVであり、かつX20は、K又はRである。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、グループ2血球凝集素亜型に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、2種以上のインフルエンザウイルスグループ2血球凝集素亜型を中和する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、グループ2コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ2コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、グループ2コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、グループ2コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ2コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、グループ2コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないグループ2コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51 〜 511、 51 〜 500、 51 〜 450、 51 〜 400、 51 〜 350、51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるグループ2コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるグループ2コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のグループ2コアポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ2コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がグループ2コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたグループ2コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、グループ2コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がグループ2コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたグループ2コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH1コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸であり;X2は、疎水性アミノ酸であり;X3は、疎水性アミノ酸であり;X4は、親水性の塩基性アミノ酸であり、かつX5は、親水性の塩基性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、M又はIであり;X2は、L又はIであり;X3は、F又はYであり;X4は、K又はRであり;かつX5は、K又はRである。この配列は、古典的なH3亜型付番体系によって付番されたH1亜型血球凝集素のアミノ酸76〜130と対応する。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Aに示すアミノ酸配列(配列番号8〜11)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H1のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H1の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H1コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H1コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H1コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H1コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H1コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H1コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH1コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH1コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH1コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH1ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H1コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH1コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH1コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H1コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH1コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH1コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH2コアポリペプチドであり、
ここで、Xは、親水性の酸性アミノ酸である。具体的な実施態様では、Xは、D又はEである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Bに示すアミノ酸配列(配列番号13もしくは14)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H2のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H2の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H2コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H2コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H2コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H2コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H2コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H2コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH2コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH2コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH2コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH2ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H2コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH2コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH2コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H2コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH2コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH2コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH3コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X2は、親水性の塩基性アミノ酸であり、かつX3は、親水性の塩基性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、K又はRであり;X2は、K又はRであり、かつX3は、K又はRである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Cに示すアミノ酸配列(配列番号16〜18)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H3のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H3の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H3コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H3コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H3コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H3コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H3コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H3コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH3コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH3コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH3コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH3ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H3コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH3コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH3コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H3コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH3コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH3コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH4コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、親水性の塩基性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、R又はHである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Fに示すアミノ酸配列(配列番号20及び21)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H4のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H4の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H4コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H4コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H4コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H4コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H4コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H4コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH4コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH4コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH4コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH4ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H4コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH4コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH4コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H4コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH4コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH4コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH5コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Dに示すアミノ酸配列(配列番号22)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H5のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H5の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H5コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H5コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H5コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H5コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H5コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H5コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH5コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜511、51〜500、51〜450、51〜400、51〜350、51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH5コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH5コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH5ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H5コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH5コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH5コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H5コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH5コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH5コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH6コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、G又はDであり;X2は、疎水性アミノ酸であり;X3は、親水性アミノ酸であり;X4は、疎水性アミノ酸であり;X5は、親水性アミノ酸であり;X6は、H又はYであり;X7は、Q又はLであり、かつX8は、親水性の塩基性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、G又はDであり;X2は、L又はMであり;X3は、E又はGであり;X4は、L又はMであり;X5は、N又はSであり;X6は、H又はYであり;X7は、Q又はLであり、かつX8は、R又はKである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Gに示すアミノ酸配列(配列番号24〜29)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H6のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H6の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H6コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H6コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H6コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H6コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H6コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H6コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH6コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH6コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH6コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH6ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H6コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH6コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH6コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H6コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH6コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH6コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH7コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸又は親水性アミノ酸であり;X2は、疎水性アミノ酸であり;X3は、親水性アミノ酸であり、かつX4は、親水性の塩基性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、A又はSであり;X2は、V又はIであり;X3は、N又はSであり;かつX4は、K又はRである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Eに示すアミノ酸配列(配列番号31〜35)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H7のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H7の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H7コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H7コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H7コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H7コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H7コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H7コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH7コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH7コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH7コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH7ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H7コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH7コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH7コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H7コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH7コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH7コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH8コアポリペプチドであり、ここで、X
1は、親水性アミノ酸である。ある実施態様では、X
1は、D又はNである。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Hに示すアミノ酸配列(配列番号37及び38)又はその断片のいずれか1つを含む。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H8のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H8の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H8コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H8コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H8コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H8コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H8コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H8コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH8コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH8コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH8コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH8ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H8コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH8コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH8コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H8コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH8コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH8コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH9コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、V又はIである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Iに示すアミノ酸配列(配列番号40及び41)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H9のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H9の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H9コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H9コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H9コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H9コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H9コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H9コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH9コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH9コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH9コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH9ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H9コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH9コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH9コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H9コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH9コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH9コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH10コアポリペプチドであり、ここで、X
1は、親水性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X
1は、Q又はNである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Jに示すアミノ酸配列(配列番号43及び44)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H10のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H10の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H10コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H10コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H10コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H10コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H10コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H10コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH10コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH10コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH10コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH10ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H10コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH10コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH10コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H10コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH10コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH10コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH11コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、V又はIである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Kに示すアミノ酸配列(配列番号46及び47)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H11のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H11の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H11コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H11コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H11コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H11コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H11コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H11コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH11コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH11コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH11コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH11ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H11コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH11コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH11コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H11コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH11コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH11コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH12コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸であり、かつX2は、親水性の塩基性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、V又はIであり、かつX2は、R又はKである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Lに示すアミノ酸配列(配列番号49及び50)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H12のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H12の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H12コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H12コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H12コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H12コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H12コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H12コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH12コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH12コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH12コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH12ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H12コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH12コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH12コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H12コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH12コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH12コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH13コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸であり;X2は、親水性の酸性アミノ酸であり;X3は、A、S、又はEであり、かつX4は、親水性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、V又はIであり;X2は、D又はEであり;X3は、A、S、又はEであり、かつX4は、T又はDである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Mに示すアミノ酸配列(配列番号52〜54)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H13のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H13の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H13コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H13コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H13コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H13コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H13コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H13コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH13コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH13コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH13コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH13ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H13コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH13コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH13コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H13コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH13コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH13コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH14コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Nに示すアミノ酸配列(配列番号55)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H14のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H14の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H14コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H14コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H14コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H14コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H14コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H14コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH14コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH14コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH14コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH14ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H14コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH14コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH14コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H14コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH14コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH14コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH15コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Oに示すアミノ酸配列もしくはその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H15のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H15の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H15コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H15コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H15コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H15コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H15コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H15コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH15コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH15コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH15コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH15ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H15コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH15コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH15コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H15コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH15コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH15コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、アミノ酸配列:
を含むか、又はそれからなるH16コアポリペプチドであり、
ここで、X1は、疎水性アミノ酸であり;X2は、親水性の塩基性アミノ酸であり;X3は、親水性の酸性アミノ酸であり、かつX4は、親水性アミノ酸である。具体的な実施態様では、X1は、L又はIであり;X2は、K又はRであり;X3は、D又はEであり、かつX4は、S又はNである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図6Pに示すアミノ酸配列(配列番号58〜60)又はその断片のいずれか1つを含む。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、このコアポリペプチドを用いて、亜型H16のインフルエンザウイルス株に対する免疫応答を誘導することができる。ある実施態様では、誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス亜型H16の株を中和する。
ある実施態様では、コアポリペプチドは、H16コアポリペプチドの断片である。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H16コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H16コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10(±5)、15(±5)、20(±5)、25(±5)、30(±5)、又は35(±5)個のアミノ酸を欠いている。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、H16コアポリペプチド断片であり、ここで、該断片は、そのC末端から24(±5)個のアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H16コアポリペプチドの断片であり、ここで、該断片は、H16コアポリペプチドのN末端とC末端の両方から1、2、3、4、5個、又はそれより多くのアミノ酸を欠いている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、全長インフルエンザウイルスHAでないH16コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸であるH16コアポリペプチドである。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満であるH16コアポリペプチドである。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸のH16ポリペプチドである。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H16コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH16コアポリペプチドのN末端又はC末端のどちらかに接続されたH16コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、H16コアポリペプチドの誘導体であり、ここで、該誘導体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(±5)個のアミノ酸がH16コアポリペプチドのN末端とC末端の両方に接続されたH16コアポリペプチドを含み、かつ該コアポリペプチドは、α-ヘリックス構造を維持している。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、配列:
を含むか、又はそれからなる。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。
具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図5Aに示すアミノ酸配列もしくはその断片のいずれか1つを含むか、又はそれらからなる。ある実施態様では、コアポリペプチドは、N末端でアセチル化されている。具体的な実施態様では、コアポリペプチドは、図5Bに示すアミノ酸配列もしくはその断片のいずれか1つを含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが51〜300、51〜275、51〜250、51〜225、51〜200、51〜175、51〜150、51〜125、51〜100、又は51〜75、15〜50、20〜50、25〜50、15〜37、15〜35、20〜37、20〜35、15〜30、20〜30、又は20〜25アミノ酸である。いくつかの実施態様では、コアポリペプチドは、長さが500、450、400、350、300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、又は25アミノ酸未満である。ある実施態様では、コアポリペプチドは、長さが150、125、95、90、85、80、75、65、60、55、50、45、又は40アミノ酸未満であるが、長さが少なくとも15、20、25、30、又は35アミノ酸である。
(5.1.2 増大した半減期を有するfluポリペプチド及びコアポリペプチド)
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のfluポリペプチド及びコアポリペプチドは、インビボでの延長された(又は増大した)半減期を有するように修飾される(すなわち、修飾コアポリペプチド)。特に、約3日から約180日の(又はそれより長い)、及びいくつかの実施態様では、3日よりも長いか、7日よりも長いか、10日よりも長いか、15日よりも長いか、20日よりも長いか、25日よりも長いか、30日よりも長いか、35日よりも長いか、40日よりも長いか、45日よりも長いか、50日よりも長いか、少なくとも約60日であるか、75日よりも長いか、90日よりも長いか、105日よりも長いか、120日よりも長いか、135日よりも長いか、150日よりも長いか、165日よりも長いか、又は180日よりも長い、対象内での半減期を有する修飾されたflu及びコアポリペプチドが本明細書で提供される。
いくつかの実施態様では、インビボでの増大した半減期を有するflu又はコアポリペプチドは、該flu又はコアポリペプチドのN末端のアセチル化により生成される。ポリペプチドのアセチル化は当業者に周知の技術であり、かつポリペプチドのN末端へのアセチル基の付加を含む。コアポリペプチドのアセチル化は、コアポリペプチドをエキソペプチダーゼによる分解を受けにくいものにすることができる。
いくつかの実施態様では、インビボでの増大した半減期を有するflu又はコアポリペプチドは、該flu又はコアポリペプチドのC末端のアミド化により生成される。
いくつかの実施態様では、インビボでの増大した半減期を有するflu又はコアポリペプチドは、ペグ化、すなわち、該fluもしくはコアポリペプチドのN末端もしくはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションによるか、又はリジン残基上に存在するε-アミノ基を介するかのいずれかで、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などの不活性ポリマー分子を、多官能性リンカーを含むか又は含まないflu又はコアポリペプチドに接続することにより生成される。1000Da、4000Da、5000Da、8000Da、10000Da、120000Da、又はそれよりさらに大きい、様々な平均分子量のPEGを用いることができる。具体的な実施態様では、flu又はコアポリペプチドのN末端は、ペグ化されている。生物学的活性の最小限の損失をもたらす線状又は分岐状ポリマーの誘導体化を用いることができる。コンジュゲーションの程度を、SDS-PAGE及びマススペクトロメトリーで綿密にモニタリングして、flu又はコアポリペプチドへのPEG分子の適切なコンジュゲーションを保証することができる。未反応のPEGは、サイズ排除によるか、又はイオン交換クロマトグラフィーによって、flu又はコアポリペプチド-PEGコンジュゲートから分離することができる。PEGで誘導体化されたflu又はコアポリペプチドを、当業者に周知の方法を用いて、例えば、本明細書に記載の動物モデル系を用いて、インビボ効力について試験することができる。
別の実施態様では、flu又はコアポリペプチドを、該コアポリペプチドをインビボでより安定なものとするか、又は該コアポリペプチドにインビボでのより長い半減期を持たせるために、アルブミンに結合させることができる。そのような技術は当技術分野で周知であり、例えば、引用によりその全てが本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 93/15199号、WO 93/15200号、及びWO 01/77137号;並びに欧州特許EP 413,622号を参照されたい。
いくつかの実施態様では、インビボでの増大した半減期を有するflu又はコアポリペプチドは、該コアポリペプチドの末端L-アミノ酸とD-アミノ酸との置換により生成される。
(5.1.3 コアポリペプチド及びリンカーを含むfluポリペプチド)
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のfluポリペプチドは、リンカーに連結されたコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。本明細書に包含されるリンカーは、該リンカーが関連しているコアポリペプチドの天然の構造を妨げない、当業者に公知の任意のリンカーであることができる。具体的な実施態様では、本明細書に包含されるリンカーは、疎水性ではない。
リンカーの長さは、本明細書に記載のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドと該コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドが連結されるべき基材(例えば、キャリアタンパク質、T細胞エピトープ、免疫原性ポリペプチド)との最適な結合を提供するように変化させることができる。さらに、リンカーの長さは、リンカーによる免疫原性応答を防ぐように最適化することができる。リンカー分子は当技術分野で一般に公知であり、かつDenardoらの文献(1998, Clin. Cancer Res. 4:2483-90);Petersonらの文献(1999, Bioconjug. Chem. 10:553);及びZimmermanらの文献(1999, Nucl. Med. Biol. 26:943-50)に記載されており、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
リンカーは、長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20アミノ酸、又は20アミノ酸より長くてもよい。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが20アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが15アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが10アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが9アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが8アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが7アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが6アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが5アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが4アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが3アミノ酸未満である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが2アミノ酸未満である。
いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが1〜50アミノ酸である。いくつかの実施態様では、リンカーは、長さが1〜40アミノ酸、1〜30アミノ酸、1〜20アミノ酸、1〜10アミノ酸、1〜5アミノ酸、1〜4アミノ酸、1〜3アミノ酸、1〜2アミノ酸、又は1アミノ酸である。
いくつかの実施態様では、リンカーは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドに共有結合的に接続されている。具体的な実施態様では、リンカーは、ペプチド結合を介してコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドに接続されている。いくつかの実施態様では、リンカーは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドのN末端に接続されている。いくつかの実施態様では、リンカーは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドのC末端に接続されている。
いくつかの実施態様では、リンカーは、1以上のグリシン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、2以上のグリシン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、3以上のグリシン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、4以上のグリシン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、5以上のグリシン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、10以上のグリシン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、又はそれより多くのグリシン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、2〜4、2〜6、2〜10、3〜6、3〜8、3〜10、5〜10、8〜10、10〜15、又は10〜20のグリシン残基を含む。具体的な実施態様では、リンカーは、3つのグリシン残基を含む。
いくつかの実施態様では、リンカーは、1以上のシステインアミノ酸残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、又はそれより多くのシステイン残基を含む。いくつかの実施態様では、リンカーは、2〜4、2〜6、2〜10、3〜6、3〜8、3〜10、5〜10、8〜10、10〜15、又は10〜20のシステイン残基を含む。
ある実施態様では、リンカーは、タンパク質タグを含む。タンパク質タグは、タンパク質複合体の単離、fluポリペプチドの単離、親和性クロマトグラフィー、及び/又は局在研究に有用であることができる。さらに、タンパク質タグは、fluポリペプチドの溶解性を増大させることができる。タンパク質タグの例としては、Hisタグ、Strep IIタグ、T7-タグ、FLAG-タグ、S-タグ、HAタグ、c-Mycタグ、DHFRタグ、及び緑色蛍光タンパク質(GFP)が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質タグは、fluポリペプチドのN末端又はC末端に共有結合的に接続されていてもよい。いくつかの実施態様では、リンカーは、FLAG-タグタンパク質タグを含む、すなわち、リンカーは、アミノ酸
を含む。具体的な実施態様では、リンカーは、システイン残基に共有結合的に連結されたFLAG-タグ
を含む。いくつかの実施態様では、fluポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのタンパク質タグを含む。ある実施態様では、タンパク質タグは、fluポリペプチド中でリンカーとして用いられない。
(5.1.4 複数のコアポリペプチドを含むfluポリペプチド)
ある実施態様では、2以上のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含むfluポリペプチドが本明細書で提供される。2以上のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、互いに直接的又は間接的に連結/結合させることができる。任意の特定の作動理論に束縛されるものではないが、2つ、3つ、又はそれより多くのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含むfluポリペプチドの投与は、キャリアタンパク質の共投与なしで、対象内で幅広い反応性を有する血清抗体を誘発すると考えられている。ある実施態様では、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、上の第5.1.3節に記載されているようなリンカーを介して1つに連結されている。つまり、ある実施態様では、fluポリペプチドは、例えば、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドがリンカーに連結され、次に、このリンカーにコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドが連結されたものを含むことができる。
具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-(L-X)nを有し、ここで、Xは、本明細書に記載の任意のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドであり、Lは、本明細書に記載の任意のリンカーであり、n=1〜20であり、かつ、ここでXは、Lに共有結合的に連結されている。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-Xを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、配列X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-X-L-Xを含む。
いくつかの実施態様では、Lは存在しない。つまり、fluポリペプチドのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドの各々は、1以上の他のコアポリペプチド(例えば、X-X、X-X-X、X-X-X-X、X-X-X-X-Xなど)に直接的に連結されている。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、2以上の同じコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。他の実施態様では、fluポリペプチドは、2以上の異なるコアポリペプチド又はコアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、2以上の同じコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、3以上の同じコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、4以上の同じコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、5以上の同じコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドの各々は同じである。
具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、2以上の異なるコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、3以上の異なるコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、4以上の異なるコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、5以上の異なるコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。
いくつかの実施態様では、fluポリペプチドは、配列Xを含み、ここで、Xは、アミノ酸配列
を含むコアポリペプチドであり、かつLは、3つのグリシン残基からなるリンカーである。他の実施態様では、Xは、
ではなく、かつ同じであるか、又は様々に異なる。
いくつかの実施態様では、fluポリペプチドは、2以上の修飾コアポリペプチドを含むことに加えて、以下のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多く、又は全てを含む:本明細書に記載のT細胞エピトープ、多量体化を促進するポリペプチド(例えば、T4フォルドンドメイン)、タンパク質タグ、又は免疫原性ポリペプチド。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、そのN末端にHis-タグを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、そのC末端にFLAG-タグを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、そのN末端にHis-タグ、及びそのC末端にFLAG-タグを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、そのC末端にA型インフルエンザ核タンパク質(NP)を含む。ある実施態様では、fluポリペプチドは、そのC末端にFljBフラジェリンを含む。
いくつかの実施態様では、fluポリペプチドは、アミノ酸配列H-X-L-X-L-X-Fを含み、ここで、Hは、Hisタグ、又はfluポリペプチドの精製を促進する、及び/もしくはfluポリペプチドの溶解度を高める別のタンパク質タグであり、Xは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドであり、Lは、リンカーであり、かつFは、FLAG-タグ、又はfluポリペプチドの精製を促進する、及び/もしくはfluポリペプチドの溶解度を高める、Hとは異なる別のタンパク質タグである。いくつかの実施態様では、Lは、3つのグリシン残基である。いくつかの実施態様では、Lは同じものであり、他の実施態様では、Lは異なるものである。
(5.1.5 T細胞エピトープを含むfluポリペプチド)
ある実施態様では、fluポリペプチドは、本明細書に記載のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとT細胞エピトープ(例えば、CD4又はCD8 T細胞エピトープ)とを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとCD4 T細胞エピトープとを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとCD8 T細胞エピトープとを含む。別の具体的な実施態様では、T細胞エピトープは、インフルエンザウイルスCD8 T細胞エピトープ(例えば、高度に保存されたT細胞エピトープを含むインフルエンザウイルスタンパク質)である。T細胞エピトープは、修飾コアポリペプチドによってコアポリペプチドに直接的又は間接的に連結/結合させることができる。
任意の特定の作動理論に束縛されるものではないが、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとCD8 T細胞エピトープとを含むfluポリペプチドは、広範な中和抗体を誘発し、かつ広域スペクトルのCD8 T細胞応答をプライミングすることができると考えられている。CD8 T細胞エピトープを含む高度に保存されたインフルエンザウイルス領域は、例えば、インフルエンザの核タンパク質(NP)、マトリックス1(M1)、ノイラミニダーゼ(NA)、及びポリメラーゼ塩基性-1(PB1)に見られる。引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Alexanderらの文献(2010, Hum Immunol 71:468-74)を参照されたい。いくつかの実施態様では、CD8 T細胞エピトープは、核タンパク質(NP)又はその断片である。他の実施態様では、CD8 T細胞エピトープポリペプチドは、マトリックス1(M1)タンパク質又はその断片、又はその断片である。
具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、T細胞エピトープに連結されたコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。T細胞エピトープ(例えば、CD8 T細胞エピトープ)は、限定するものではないが、アミン対アミン架橋剤BS(ビス[スルホスクシンイミジル]スベラート)、アミン対スルフヒドリルNHS-PEG-マレイミド架橋剤、又はスルフヒドリル対スルフヒドリルBM(PEG)nPEG架橋剤を用いる一級アミノ基又はスルフヒドリル基への単一点接続を含む、当業者に公知の任意の技術を用いて、本明細書に記載のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドに接続することができる。他の実施態様では、T細胞エピトープ(例えば、CD8 T細胞エピトープ)は、fluポリペプチドのN末端又はC末端に共有結合的に連結されている。他の実施態様では、T細胞エピトープ(例えば、CD8 T細胞エピトープ)は、上の第5.1.3節に記載のリンカーを介してコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドに連結されている。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、1以上のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとT細胞エピトープとを含むことに加えて、以下のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多く、又は全てを含む:タンパク質タグ、免疫原性ポリペプチド、キャリア、及び/又はfluポリペプチドの多量体化を促進するポリペプチド(例えば、T4フォルドンドメイン)。
いくつかの実施態様では、fluポリペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとT細胞エピトープ(複数可)とを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、式H-X-L-X-L-X-F-Tを含み、ここで、H(これは任意である)は、Hisタグ、又は精製を促進する、及び/もしくは溶解度を高める別のタンパク質タグであり、Xは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドであり、Lは、リンカー(例えば、第5.1.3節に記載のもの)であり、F(これは任意である)は、FLAG-タグ、又は精製を促進する、及び/もしくは溶解度を高める、Hとは異なる別のタンパク質タグであり、かつTは、T細胞エピトープである。ある実施態様では、ポリペプチドは、式H-X-L-X-L-X-Tを含み、ここで、H(これは任意である)は、Hisタグ、又は精製を促進する、及び/もしくは溶解度を高める別のタンパク質タグであり、Xは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドであり、Lは、リンカー(例えば、第5.1.3節に記載のもの)であり、かつTは、T細胞エピトープである。
ある実施態様では、Lは、3つのグリシン残基である。いくつかの実施態様では、Lは、それが式に現われるたびに同じものであり、他の実施態様では、Lは、それが式に現われるたびに異なるか、又は変化する。ある実施態様では、FとTの間にリンカーがある。他の実施態様では、Fは、Tに直接的に連結されている。ある実施態様では、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、それが式に現われるたびに同じものである。他の実施態様では、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、それが式に現われるたびに異なるか、又は変化する。
いくつかの実施態様では、XとTの間にリンカーがある。他の実施態様では、Xは、Tに直接的に連結されている。
(5.1.6 免疫原性ポリペプチドを含むfluポリペプチド)
本明細書で提供されるある実施態様では、fluポリペプチドは、1以上のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドと免疫原性ポリペプチドとを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、免疫原性ポリペプチドに直接的又は間接的に連結/結合されているコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。免疫原性ポリペプチドは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドのN末端及び/又はC末端に連結/結合させることができる。ある実施態様では、免疫原性ポリペプチドは、上の第5.1.3節に記載されているようなリンカーを介してコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドに連結されている。
免疫原性ポリペプチドの例としては、サルモネラ菌のフラジェリン(Toll様受容体5リガンド)などの、Toll様受容体(TLR)リガンドが挙げられるが、これに限定されない。例えば、Huleattらの文献(2008, Vaccine 26:201-14);Songらの文献(2009, Vaccine 27:5875-84);及びWangらの文献(2010, PLos One 5:e13972)を参照されたい。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、チフス菌(Salmonella enterica)由来のFljBフラジェリンに連結されたコアポリペプチドを含む。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、1以上のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドと免疫原性ポリペプチドとを含む。ある実施態様では、fluポリペプチドは、1以上のコアポリペプチド又は修飾ポリペプチドと免疫原性ポリペプチドとを含むことに加えて、以下のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多く、又は全てを含む:fluポリペプチドの精製を促進する、及び/もしくはfluポリペプチドの溶解度を高めるタンパク質タグ、T細胞エピトープ、並びに/又はfluポリペプチドの多量体化を促進するポリペプチド(例えば、T4フォルドンドメイン)。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドと免疫原性ポリペプチド(複数可)とを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、H-X-L-X-L-X-F-Iを含み、ここで、Hは、任意のHisタグ、又は精製を促進する、及び/もしくは溶解度を高める別のタンパク質タグであり、Xは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドであり、Lは、第5.1.3節に記載されているような任意のリンカーであり、Fは、任意のFLAG-タグ、又はfluポリペプチドの精製を促進する、及び/もしくはfluポリペプチドの溶解度を高める、Hとは異なる別のタンパク質タグであり、かつIは、免疫原性ポリペプチドである。ある実施態様では、Lは、3つのグリシン残基である。いくつかの実施態様では、Lは、fluポリペプチド全体にわたって同じものであり、他の実施態様では、Lは、該ポリペプチド全体にわたって異なるものである。ある実施態様では、FとIの間にリンカーがある。他の実施態様では、Fは、Iに直接的に連結されている。
具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、H-X-L-X-L-X-Iを含み、ここで、Hは、任意のHisタグ、又は精製を促進する、及び/もしくは溶解度を高める別のタンパク質タグであり、Xは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドであり、Lは、第5.1.3節に記載されているような任意のリンカーであり、かつIは、免疫原性ポリペプチドである。ある実施態様では、Lは、3つのグリシン残基である。いくつかの実施態様では、Lは、fluポリペプチド全体にわたって同じものであり、他の実施態様では、Lは、該ポリペプチド全体にわたって異なるものである。ある実施態様では、XとIの間にリンカーがある。他の実施態様では、Xは、Iに直接的に連結されている。
(5.1.7 キャリアを含むfluポリペプチド)
いくつかの実施態様では、fluポリペプチドは、本明細書に記載のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとキャリアとを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、キャリアに結合/連結されたコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、直接的又は間接的にキャリアに結合/連結させることができる。本明細書に記載のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、当業者に公知の方法を用いて、破傷風トキソイド(例えば、化学的に不活化した破傷風毒素)、ジフテリア毒素(例えば、化学的に不活化したジフテリアトキソイドもしくはCRM197-非毒性ジフテリア毒素突然変異体)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン、オボアルブミン、チログロブリン、又は髄膜炎菌外膜タンパク質を含むが、これらに限定されない、キャリアに結合/連結させる(例えば、リンカーによって直接的に連結させる)ことができる。具体的な実施態様では、本明細書に記載のコアポリペプチド(複数可)又は修飾コアポリペプチド(複数可)は、KLHに連結されている。
ある実施態様では、本明細書に記載のコアポリペプチド(複数可)又は修飾コアポリペプチド(複数可)は、キャリアタンパク質に直接的に連結されている、すなわち、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドとキャリアタンパク質は、介在するリンカー分子なしで、互いに連結されている。ある実施態様では、本明細書に記載のコアポリペプチド(複数可)又は修飾コアポリペプチド(複数可)は、リンカーによってキャリアタンパク質に連結されている。具体的な実施態様では、本明細書に記載のコアポリペプチド(複数可)又は修飾コアポリペプチド(複数可)は、上の第5.1.3節に記載のリンカーによってキャリアタンパク質に連結されている。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、2以上のキャリアに結合/連結されたコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くのキャリアに結合/連結されたコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドを含む。
ある実施態様では、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれより多くの本明細書に記載の同じコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドが、キャリアに連結されている。いくつかの実施態様では、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれより多くの本明細書に記載の異なるコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドが、キャリアに連結されている。
ある実施態様では、本明細書に記載のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、化学的架橋によってキャリアに結合/連結されている。例えば、架橋剤1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(「EDC」)又は架橋剤(スルホスクシンイミジル4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート(「スルホ-SMCC」)を用いて、コアポリペプチドをキャリアに架橋することができる。他の架橋剤としては、グルタルアルデヒド及びビス-ジアゾ化ベンジジンが挙げられる。架橋方法は当業者に周知であり、一般的な架橋化学は、以下のウェブサイトで見ることができる:www.piercenet.com/browse.cfm?fldID=CE4D6C5C-5946-4814-9904-C46E01232683。
特定の実施態様では、fluポリペプチドは、(i)インフルエンザウイルス株A/香港/1/1968(H3)のHA2血球凝集素サブユニットの長いα-ヘリックス(すなわち、古典的なH3亜型付番体系によって付番されたアミノ酸76〜130);(ii)FLAG-タグ;及び(iii)例えば、コアポリペプチドをキャリア(例えば、KLH)に結合/連結させるために用いることができるC末端のシステイン残基を含む。具体的な実施態様では、そのようなfluポリペプチドは、以下のアミノ酸配列:
を含み、ここで、FLAG-タグは、アミノ酸配列
によって表されている。いくつかの実施態様では、修飾コアポリペプチドのN末端は、アセチル化されている。
(5.1.8 多量体化ポリペプチド)
ある実施態様では、fluポリペプチドは、本明細書に記載のコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドと、多量体(例えば、三量体)の形成を促進するポリペプチドとを含む。いくつかの実施態様では、コアポリペプチド又は修飾ポリペプチドは、三量体の形成を可能にする/促進するポリペプチド、例えば、T4フォルドンドメインに結合/連結されている。
具体的な実施態様では、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドは、そのC末端での多量体化(三量体化、例えば、T4フォルドンドメインによるもの)を促進するポリペプチドに間接的又は直接的に連結/結合されている。引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Meierらの文献(2004, J Mol Biol 344:1051-69)。任意の特定の作動理論に束縛されるものではないが、T4フォルドンドメインは、天然の血球凝集素分子に見られるA型インフルエンザの長いα-ヘリックスの三量体構造の形成を可能にし得る。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、2以上のコアポリペプチド又は修飾ポリペプチドと、三量体の形成を促進するポリペプチドとを含む。具体的な実施態様では、三量体の形成を促進するポリペプチドは、T4フォルドンドメインである。
ある実施態様では、多量体の形成を促進するポリペプチドは、上の第5.1.3節に記載されているようなリンカーによってコアポリペプチド又は修飾コア(pore)ポリペプチドに連結/結合されている。つまり、ある実施態様では、fluポリペプチドは、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドと、リンカーと、多量体の形成を促進するポリペプチド、例えば、T4フォルドンドメインとを含む。
ある実施態様では、fluポリペプチドは、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチド、及び多量体化を促進するポリペプチド、例えば、T4フォルドンドメインを含むことに加えて、以下のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはそれより多く、又は全てを含む:fluポリペプチドの精製を促進する、及び/もしくはfluポリペプチドの溶解度を高めるタンパク質タグ、免疫原性ポリペプチド、並びに/又は本明細書に記載されているようなキャリア。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、精製及び/又は溶解を促進するタンパク質タグ(例えば、Hisタグ)、コアポリペプチド又は修飾コアポリペプチド、並びに三量体化を促進するポリペプチド、例えば、T4フォルドンドメインを含む。
(5.2 fluポリペプチドをコードする核酸)
本明細書に記載のfluポリペプチドをコードする核酸が本明細書で提供される。遺伝暗号の縮重のために、本明細書に記載のfluポリペプチドをコードする任意の核酸が本明細書に包含される。ある実施態様では、fluポリペプチドを産生するために、血球凝集素タンパク質のHA2ドメインの領域(例えば、長いα-ヘリックス領域)をコードする天然のインフルエンザウイルス核酸に対応する核酸が用いられる。
fluポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズすることができる核酸も本明細書で提供される。ある実施態様では、fluポリペプチドをコードする核酸の断片にハイブリダイズすることができる核酸が本明細書で提供される。他の実施態様では、fluポリペプチドをコードする核酸の全長にハイブリダイズすることができる核酸が本明細書で提供される。核酸のハイブリダイゼーション条件の一般的なパラメータは、Sambrookらの文献、分子クローニング-実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual)(第2版, 1〜3巻, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York(1989))、及びAusubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(2巻, Current Protocols Publishing, New York(1994))に記載されている。ハイブリダイゼーションは、高いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、又は低いストリンジェンシー条件の下で実施することができる。当業者であれば、低いストリンジェンシー条件、中間のストリンジェンシー条件、及び高いストリンジェンシー条件は、その全てが相互作用する複数の因子に左右され、また、当該核酸によっても決まることを理解するであろう。例えば、高いストリンジェンシー条件は、核酸(複数可)の融点の5℃以内の温度、低い塩濃度(例えば、250mM未満)、及び高い共溶媒濃度(例えば、1〜20%の共溶媒、例えば、DMSO)を含むことができる。他方、低いストリンジェンシー条件は、核酸(複数可)の融点より10℃を超えて低い温度、高い塩濃度(例えば、1000mM超)、及び共溶媒の欠如を含むことができる。
いくつかの実施態様では、インフルエンザウイルスfluポリペプチドをコードする核酸が単離される、すなわち、本明細書に記載のfluポリペプチドが単離される。いくつかの実施態様では、本明細書に記載のインフルエンザウイルスコアポリペプチド又は修飾コアポリペプチドをコードする核酸が単離される。ある実施態様では、「単離された」核酸は、核酸の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されている核酸分子を指す。つまり、単離された核酸は、天然ではそれに関連していない異種核酸を含むことができる。他の実施態様では、「単離された」核酸、例えば、cDNA分子は、組換え技術によって産生されたとき、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まないものであるか、又は化学合成されたとき、化学物質前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないものであることができる。用語「細胞物質を実質的に含まない」には、それが単離されるか又は組換えで産生される細胞の細胞成分から核酸が分離されている核酸調製物が含まれる。したがって、細胞物質を実質的に含まない核酸には、(乾燥重量で)約30%、20%、10%、又は5%未満の他の核酸を有する核酸調製物が含まれる。用語「培養培地を実質的に含まない」には、培養培地が調製物の容量の約50%、20%、10%、又は5%未満である核酸調製物が含まれる。用語「化学物質前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない」には、核酸の合成に関与する化学物質前駆体又は他の化学物質から核酸が分離されている調製物が含まれる。具体的な実施態様では、そのような核酸調製物は、(乾燥重量で)約50%、30%、20%、10%、5%未満の化学物質前駆体又は関心対象の核酸以外の化合物を有する。
ある実施態様では、コアポリペプチドと、コアポリペプチドと関連する1以上のさらなる成分、例えば、リンカー、キャリア、タンパク質タグ、及び/又はタンパク質とを含むfluポリペプチドをコードする核酸が本明細書で提供される。
(5.3 fluポリペプチドの産生及び精製)
本明細書に記載のfluポリペプチドは、ポリペプチドの合成に関して当技術分野で公知の任意の方法によって、特に、化学合成によるか、又は組換え発現技術によって産生することができる。本明細書で提供される方法は、特に指示しない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに当業者の技能の範囲内の関連分野における従来技術を包含する。これらの技術は、本明細書に引用されている参考文献に記載されており、かつ文献中で十分に説明されている。例えば、Maniatisらの文献(1982)分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrookらの文献(1989)分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press);Sambrookらの文献(2001)分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY);Ausubelらの文献, 分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(John Wiley & Sons(1987及び年次更新));免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)(John Wiley & Sons(1987及び年次更新))、Gait(編)(1984)オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach)(IRL Press);Eckstein(編)(1991)オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的アプローチ(Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach)(IRL Press);Birrenらの文献(編)(1999)ゲノム解析:実験マニュアル(Genome Analysis:A Laboratory Manual)(Cold Spring Harbor Laboratory Press).
を参照されたい。
(5.3.1 合成によるfluポリペプチドの産生)
本明細書に記載のfluポリペプチドは、従来の段階的液相合成又は固相合成を用いて調製することができる(例えば、ペプチド及びタンパク質合成の化学的手法(Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins)(Williamsら編, 1997, CRC Press, Boca Raton Fla.)、及びそれに引用されている参考文献;固相ペプチド合成:実践的手法(Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach)(Atherton & Sheppard編, 1989, IRL Press, Oxford, England)、及びそれに引用されている参考文献を参照されたい)。
或いは、本明細書に記載のfluポリペプチドは、例えば、Liuらの文献(1996, Tetrahedron Lett. 37(7):933-936);Bacaらの文献(1995, J. Am. Chem. Soc. 117:1881-1887);Tamらの文献(1995, Int. J. Peptide Protein Res. 45:209-216);Schnolzer及びKentの文献(1992, Science 256:221-225);Liu及びTamの文献(1994, J. Am. Chem. Soc. 116(10):4149-4153);Liu及びTamの文献(1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:6584-6588);Yamashiro及びLiの文献(1988, Int. J. Peptide Protein Res. 31:322-334)に記載されている、セグメント縮合によって調製することができる。本明細書に記載のfluポリペプチドを合成するのに有用な他の方法は、Nakagawaらのの文献(1985, J. Am. Chem. Soc. 107:7087-7092)に記載されている。
コアポリペプチド及びリンカーを含むfluポリペプチドは、合成における適切な工程でリンカー(複数可)をコアポリペプチド鎖に付加することによって合成することができる。好適な保護スキーム及び化学は周知であり、かつ当業者には明白であろう。
ジスルフィド結合の形成は、望ましい場合は、穏やかな酸化剤の存在下で通常行なわれる。化学的酸化剤を用いることができるか、又は化合物を単に大気中の酸素に触れさせて、これらの結合を達成することができる。様々な方法が当技術分野で公知であり、これには、例えば、Tamらの文献(1979, Synthesis 955-957);Stewartらの文献(1984, 固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)(第2版, Pierce Chemical Company Rockford, Ill.));Ahmedらの文献(1975, J. Biol. Chem. 250:8477-8482);及びPenningtonらの文献(1991 ペプチド1990(Peptides 1990) 164-166, Giralt及びAndreu編, ESCOM Leiden, The Netherlands)に記載されているものが含まれる。さらなる代替法は、Kamberらの文献(1980, Helv. Chim. Acta 63:899-915)に記載されている。固体支持体上で行なわれる方法は、Albericioの文献(1985, Int. J. Peptide Protein Res. 26:92-97)に記載されており、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
(5.3.2 fluポリペプチドの組換え発現)
fluポリペプチドの組換え発現は、fluポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。fluポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが得られたら、fluポリペプチドの産生用のベクターは、当技術分野で周知の技術を用いて、組換えDNA技術によって産生することができる。したがって、fluポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現させることによってfluポリペプチドを調製する方法が本明細書に記載されている。当業者に周知の方法を用いて、fluポリペプチドをコードする配列と適切な転写及び翻訳制御シグナルとを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組換えを含む。したがって、プロモーターに機能的に連結されたfluポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能な発現ベクターが本明細書で提供される。
発現ベクターは、fluポリペプチドをコードする核酸を、宿主細胞での核酸の発現に好適な形態で含む。具体的な実施態様では、宿主細胞は、単離された宿主細胞である。具体的な実施態様では、発現ベクターは、発現に用いられる宿主細胞に基づいて選択される、発現させる核酸に機能的に連結された1以上の調節配列を含む。発現ベクターにおいて、「機能的に連結された」とは、関心対象の核酸が、(例えば、インビトロ転写/翻訳系での、又はベクターが宿主細胞に導入される場合は宿主細胞での)核酸の発現を可能にする様式で調節配列(複数可)に連結されていることを意味するものとする。調節配列には、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞で核酸の構成的発現を導くもの、特定の宿主細胞でのみ核酸の発現を導くもの(例えば、組織特異的調節配列)、及び特定の薬剤による刺激によって核酸の発現を導くもの(例えば、誘導可能な調節配列)が含まれる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、タンパク質の所望の発現レベルのような因子によって決まり得ることが当業者には理解されるであろう。用語「宿主細胞」は、核酸で形質転換又はトランスフェクトされる特定の対象細胞、及びそのような細胞の子孫又は可能性のある子孫を含むものとする。そのような細胞の子孫は、後続の世代で起こり得る突然変異もしくは環境の影響又は宿主細胞ゲノムへの核酸の組込みのために、核酸で形質転換又はトランスフェクトされる親細胞と同一でなくてもよい。具体的な実施態様では、宿主細胞は単離されている。
発現ベクターは、従来の形質転換又はトランスフェクション技術によって宿主細胞に導入することができる。そのような技術としては、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストランによるトランスフェクション、リポフェクション、及びエレクトロポレーションが挙げられるが、これらに限定されない。宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするための好適な方法は、Sambrookらの文献(1989, 分子クローニング-実験マニュアル(Molecular Cloning - A Laboratory Manual), 第2版, Cold Spring Harbor Press, New York)、及び他の実験マニュアルに見出すことができる。ある実施態様では、宿主細胞は、fluポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターで一過性にトランスフェクトされる。他の実施態様では、宿主細胞は、fluポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターで安定にトランスフェクトされる。したがって、本明細書に記載されているか、又は本明細書で提供される方法に従って作製されるfluポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞が本明細書で提供される。
種々の宿主-発現ベクター系を利用して、fluポリペプチドを発現させることができる。そのような宿主-発現系は、関心対象のコード配列を産生し、その後、精製することができる媒体であるが、適当なヌクレオチドコード配列で形質転換又はトランスフェクトしたときに、インサイチュでfluポリペプチドを発現することができる細胞でもある。これらには、fluポリペプチドコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌(例えば、大腸菌(E. coli)及び枯草菌(B. subtilis))などの微生物;fluポリペプチドコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、サッカロミセス・ピキア(Saccharomyces Pichia));fluポリペプチドコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させたか、もしくはfluポリペプチドコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;又は哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現コンストラクトを有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、及び3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、大腸菌などの細菌細胞、及びより好ましくは、真核生物細胞がfluポリペプチドの発現に用いられる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中早期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと併せて、fluポリペプチドの効果的な発現系である(Foeckingらの文献(1986, Gene 45:101);及びCockettらの文献(1990, Bio/Technology 8:2))。具体的な実施態様では、本明細書に記載されているか、又は本明細書で提供される方法に従って作製されるfluポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、又は組織特異的プロモーターによって調節される。
細菌系では、発現されるfluポリペプチドに意図される用途に応じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、fluポリペプチドの医薬組成物の作製のために、大量のfluポリペプチドを産生しようとする場合、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を導くベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターとしては、融合タンパク質が産生されるように、fluポリペプチドコード配列をlacZコード領域とインフレームにしてベクターに個別に連結することができる、大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherらの文献(1983, EMBO 12:1791));pINベクター(Inouye及びInouyeの文献(1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109);Van Heeke及びSchusterの文献(1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509));などが挙げられるが、これらに限定されない。また、pGEXベクターを用いて、外来ポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(glutathione 5-transferase)(GST)との融合タンパク質として発現することができる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスのグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合、その後の遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から放出することができるように、トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されている。
昆虫系では、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現するためのベクターとして用いられる。該ウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖する。fluポリペプチドコード配列を該ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルスベースの発現系を利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合、関心対象のfluポリペプチドコード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三分節(tripartite)リーダー配列に連結させることができる。その後、このキメラ遺伝子を、インビトロ又はインビボ組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1又はE3)への挿入は、感染した宿主内で生存能力があり、fluポリペプチドを発現することができる組換えウイルスを生じさせる(例えば、Logan及びShenkの文献(1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:355-359)を参照されたい)。挿入されたfluポリペプチドコード配列の効率的な翻訳のためには、特異的開始シグナルが必要とされる場合もある。これらのシグナルとしては、ATG開始コドン及び隣接配列が挙げられる。さらに、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然と合成の両方の、種々の起源のものであることができる。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって増強することができる(例えば、Bittnerらの文献(1987, Methods in Enzymol. 153:51-544)を参照されたい)。
さらに、挿入された配列の発現を調節するか、又は遺伝子産物を望ましい特定の様式で修飾及びプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)は、fluポリペプチドの機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び修飾に特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。発現される外来タンパク質の正確な修飾及びプロセシングを確実にするために、適切な細胞株又は宿主系を選択することができる。この目的のために、遺伝子産物の一次転写物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化、及びリン酸化のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞を用いることができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、Vero、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、及びT47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内在性に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、並びにHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
組換えfluポリペプチドの長期にわたる、高収率の産生のためには、安定発現が好ましい。例えば、fluポリペプチド分子を安定に発現する細胞株を人為作製することができる。ウイルス複製起点を含む発現ベクターを用いるよりも、宿主細胞を、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNA、及び選択マーカーで形質転換することができる。外来DNAの導入後、人為作製した細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させ、その後、選択培地に移すことができる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをその染色体に安定に組み込み、増殖して増殖巣(foci)を形成することを可能にする。次に、この増殖巣をクローニングし、細胞株へと拡大することができる。この方法を有利に用いて、fluポリペプチドを発現する細胞株を人為作製することができる。人為作製されたそのような細胞株は、fluポリペプチドと直接的又は間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価において特に有用であり得る。組換えDNA技術の分野で一般に知られている方法を通常通りに適用して、所望の組換えクローンを選択することができ、そのような方法は、例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Ausubelらの文献(編)、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(John Wiley & Sons, NY(1993));Krieglerの文献、遺伝子の移入及び発現、実験マニュアル(Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual)(Stockton Press, NY(1990));並びにDracopoliらの文献(編)、ヒト遺伝学の最新プロトコル(Current Protocols in Human Genetics)(John Wiley & Sons, NY(1994))の第12章及び第13章;Colberre-Garapinらの文献(1981, J. Mol. Biol. 150:1)に記載されている。
fluポリペプチドの発現レベルをベクター増幅によって増大させることができる(総説については、Bebbington及びHentschelの文献、DNAクローニングにおけるクローニングされた遺伝子の哺乳動物細胞内での発現のための遺伝子増幅に基づくベクターの使用(The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning)(第3巻, Academic Press, New York, 1987)を参照されたい)。fluポリペプチドを発現するベクター系のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害因子のレベルの上昇により、マーカー遺伝子のコピーの数が増加する。増幅された領域はfluポリペプチドと関連しているため、fluポリペプチドの産生も増加する(Crouseらの文献(1983, Mol. Cell. Biol. 3:257))。
宿主細胞を用いるfluポリペプチドの組換え発現の代替法として、fluポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを、例えば、T7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写及び翻訳することができる。具体的な実施態様では、共役転写/翻訳系、例えば、Promega TNT(登録商標)、又は転写及び翻訳に必要な成分を含む細胞溶解物もしくは細胞抽出物を用いて、fluポリペプチドを産生することができる。
したがって、fluポリペプチドを産生する方法が本明細書で提供される。一実施態様では、本方法は、ポリペプチドが産生されるように、ポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を好適な培地中で培養することを含む。いくつかの実施態様では、本方法は、ポリペプチドを培地又は宿主細胞から単離することをさらに含む。
ある実施態様では、植物(例えば、タバコ属の植物)を、本明細書に記載のfluポリペプチドを発現するように改変することができる。具体的な実施態様では、当技術分野で公知の方法を用いるアグロインフィルトレーションによって、植物を本明細書に記載のfluポリペプチドを発現するように改変することができる。例えば、関心対象の遺伝子、例えば、本明細書に記載のfluポリペプチドをコードする遺伝子をコードする核酸を、アグロバクテリウムの株に導入する。その後、この株を液体培地中で増殖させ、得られる細菌を洗浄し、緩衝溶液に懸濁する。その後、アグロバクテリウムが関心対象の遺伝子を植物細胞の一部に形質転換するように、植物を(例えば、注射又は浸漬によって)本明細書に記載のfluポリペプチドをコードする核酸を含むアグロバクテリウムに曝露させる。その後、fluポリペプチドを該植物によって一過性に発現させ、当技術分野で公知かつ本明細書に記載の方法を用いて単離することができる(具体的な例については、Shojiらの文献(2008, Vaccine, 26(23):2930-2934);及びD'Aoustらの文献(2008, J. Plant Biotechnology, 6(9):930-940))を参照されたい。具体的な実施態様では、植物は、タバコ植物(すなわち、タバコ(Nicotiana tabacum))である。別の具体的な実施態様では、植物は、タバコ植物の近縁種(例えば、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana))である。
いくつかの実施態様では、植物細胞培養系をfluポリペプチドの発現に用いる。植物細胞及び植物細胞培養系を利用するタンパク質の産生方法については、例えば、米国特許第5,929,304号;第7,504,560号;第6,770,799号;第6,551,820号;第6,136,320号;第6,034,298号;第5,914,935号;第5,612,487号;及び第5,484,719号、米国特許出願公開第2009/0208477号、第2009/0082548号、第2009/0053762号、第2008/0038232号、第2007/0275014号、及び第2006/0204487号、並びにShojiらの文献(2008, Vaccine, 26(23):2930-2934)、及びD'Aoustらの文献(2008, J. Plant Biotechnology, 6(9):930-940)(これらは、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている)を参照されたい。具体的な実施態様では、ニンジン細胞を改変して、fluポリペプチドを発現させる。ある実施態様では、藻類(例えば、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii))を改変して、fluポリペプチドを発現させることができる(例えば、Rasalaらの文献(2010, Plant Biotechnology Journal)(2010年3月7日にオンラインで発表され、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている)を参照されたい)。
(5.3.3 fluポリペプチドの精製)
本明細書に記載されており、かつ上の第5.3.1節及び第5.3.1節に記載の手法を用いて作製されるfluポリペプチドは、ポリペプチドの精製のための当技術分野で公知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特に、プロテインAの後ろの特異的抗原に対する親和性によるもの、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度によって、又はタンパク質の精製のための任意の他の標準技術によって精製することができる。さらに、fluポリペプチドは、本明細書に記載されているか、又はそうでなければ、精製を容易にすることが当技術分野で知られている異種ポリペプチド配列に融合させることができる。特定のfluポリペプチドを精製するために用いられる実際の条件は、一つには、合成戦略(例えば、合成による産生と組換えによる産生)、並びにfluポリペプチドの正味の電荷、疎水性、及び/又は親水性などの因子によって決まり、かつ当業者には明白であろう。
(5.4 インフルエンザウイルスベクター)
一態様では、fluポリペプチドを含むインフルエンザウイルスが本明細書で提供される。具体的な実施態様では、fluポリペプチドをインフルエンザウイルスのビリオンに組み込む。インフルエンザウイルスを、免疫細胞などの特定の細胞型にウイルスをターゲッティングする部分に結合させもよい。いくつかの実施態様では、インフルエンザウイルスのビリオンは、fluポリペプチドに加えて、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいるか、又はそれを発現する。異種ポリペプチドは、免疫増強活性を有するか、又は特定の細胞型にインフルエンザウイルスをターゲッティングするポリペプチド、例えば、特定の細胞型の表面の抗原に結合する抗体、又は特定の細胞型の表面の特異的受容体に結合するリガンドであってもよい。
fluポリペプチドを含むインフルエンザウイルスは、当業者に公知の技術、例えば、リバースジェネティクス及びヘルパーフリープラスミドレスキューを用いて、ビリオンの産生の間にトランスでfluポリペプチドを供給することによって産生することができる。或いは、親インフルエンザウイルスは、インフルエンザfluポリペプチドを含む子孫インフルエンザウイルスを産生するように血球凝集素機能がトランスで提供されているウイルスに感染しやすい細胞でfluポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含む。
別の態様では、fluポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスが本明細書で提供される。具体的な実施態様では、親インフルエンザウイルスのゲノムは、子孫インフルエンザウイルスによって発現されるfluポリペプチドをコードするように改変される。別の具体的な実施態様では、親インフルエンザウイルスのゲノムは、発現されて、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれるfluポリペプチドをコードするように改変される。したがって、親インフルエンザウイルスの複製によって生じる子孫インフルエンザウイルスは、fluポリペプチドを含む。
いくつかの実施態様では、親インフルエンザウイルスのビリオンは、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいる。ある実施態様では、親インフルエンザウイルスのゲノムは、子孫インフルエンザウイルスによって発現される異種ポリペプチド及びインフルエンザウイルスfluポリペプチドをコードするように改変される。具体的な実施態様では、インフルエンザfluポリペプチド、異種ポリペプチド、又は両方は、子孫インフルエンザウイルスのビリオンに組み込まれる。
異種ポリペプチドは、特定の細胞型にインフルエンザウイルスをターゲッティングするポリペプチド、例えば、特定の細胞型の表面の抗原を認識する抗体、又は特定の細胞型の表面の特異的受容体に結合するリガンドであってもよい。いくつかの実施態様では、ターゲッティングポリペプチドは、ウイルスの標的細胞認識機能を置換する。具体的な実施態様では、異種ポリペプチドは、インフルエンザウイルスが天然で感染するのと同じ細胞型にインフルエンザウイルスをターゲッティングする。他の具体的な実施態様では、異種ポリペプチドは、免疫細胞、例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、又は樹状細胞に子孫インフルエンザウイルスをターゲッティングする。いくつかの実施態様では、異種ポリペプチドは、抗原提示細胞、例えば、樹状細胞の細胞特異的マーカー(例えば、CD44など)を認識して、それに結合する。一実施態様では、異種ポリペプチドは、樹状細胞にウイルスをターゲッティングするDC-SIGNである。別の実施態様では、異種ポリペプチドは、免疫細胞にウイルスをターゲッティングする抗体(例えば、単鎖抗体)であり、この抗体は、それがインフルエンザウイルスビリオンに組み込まれるように、別のポリペプチド由来の膜貫通ドメインと融合されていてもよい。いくつかの実施態様では、抗体は、CD20抗体、CD34抗体、又はDEC-205に対する抗体である。ターゲッティング機能のあるポリペプチドを発現するようにウイルスを改変する技術は当技術分野で公知である。例えば、Yangらの文献(2006, PNAS103:11479-11484)及び2008年1月24日に公開された米国特許出願公開第20080019998号及び2007年1月25日に公開された第20070020238号を参照されたく、その各々の内容は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
別の実施態様では、異種ポリペプチドは、ウイルス付着タンパク質である。その付着タンパク質(複数可)をこの態様で用いることができるウイルスの非限定的な例は、以下の群から選択されるウイルスである:ラッサ熱ウイルス、B型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レトロウイルス、例えば、ヒト免疫不全ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオウイルス、アルファウイルス、例えば、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、及びアウラウイルス(E1、E2、及びE3などの表面糖タンパク質を含む)、ボルナ病ウイルス、ハンターンウイルス、フォーミーウイルス、並びにSARS-CoVウイルス。
具体的な実施態様では、A型インフルエンザウイルスは、fluポリペプチド及びC型インフルエンザHEFタンパク質をコードするように改変され、ここで、該C型インフルエンザHEFタンパク質は、A型インフルエンザノイラミニダーゼ(NA)タンパク質の代わりに用いられる。
一実施態様では、フラビウイルス表面糖タンパク質、例えば、デングウイルス(DV)Eタンパク質を用いることができる。いくつかの実施態様では、アルファウイルスファミリー由来のシンドビスウイルス糖タンパク質が用いられる(K. S. Wang, R. J. Kuhn, E. G. Strauss, S. Ou, J. H. Straussの文献(J. Virol. 66, 4992(1992))。ある実施態様では、異種ポリペプチドは、NDV HNもしくはFタンパク質;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)gp160(又はその産物、例えば、gp41もしくはgp120);B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg);ヘルペスウイルスの糖タンパク質(例えば、gD、gE);或いはポリオウイルスのVP1に由来する。
別の実施態様では、異種ポリペプチドは、当技術分野で公知の任意の非ウイルスターゲッティング系に由来する。ある実施態様では、非ウイルス病原体、例えば、細胞内細菌又は細胞内原虫のタンパク質が用いられる。いくつかの実施態様では、細菌ポリペプチドは、例えば、クラミジア(Chlamydia)、リケッチア(Rikettsia)、コクセリア(Coxelia)、リステリア(Listeria)、ブルセラ(Brucella)、又はレジオネラ(Legionella)によって提供される。いくつかの実施態様では、原虫のポリペプチドは、例えば、マラリア原虫(Plasmodia)種、リューシマニア属(Leishmania)の種、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、又はクルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)によって提供される。他の例示的なターゲッティング系は、その全体が本明細書中に組み込まれている、Waehlerらの文献(2007、「遺伝子治療のための標的ウイルスベクターの改変(Engineering targeted viral vectors for gene therapy)」、Nature Reviews Genetics 8:573-587)に記載されている。
ある実施態様では、インフルエンザウイルスによって発現される異種ポリペプチドは、免疫増強(免疫賦活)活性を有する。免疫増強ポリペプチドの非限定的な例としては、刺激分子、サイトカイン、ケモカイン、抗体、及び他の作用物質、例えば、Flt-3リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。免疫増強活性のあるポリペプチドの具体的な例としては、以下が挙げられる:インターフェロン1型、アルファ、ベータ、もしくはガンマインターフェロン、コロニー刺激因子、例えば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、腫瘍壊死因子(TNF)-β、TNFα、B7.1、B7.2、4-1BB、CD40リガンド(CD40L)及び薬剤誘導性CD40(iCD40)(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Hanks, B. A.らの文献(2005. Nat Med 11:130-137)を参照されたい。)
A型及びB型インフルエンザウイルスのゲノムは8本(8)の一本鎖のマイナスセンスセグメントからなる(C型インフルエンザウイルスは7本(7)の一本鎖のマイナスセンスセグメントからなる)ので、親インフルエンザウイルスのゲノムは、組換えセグメント、並びに当業者に公知の技術、例えば、リバースジェネティクス及びヘルパーフリープラスミドレスキューを用いて、fluポリペプチド(及び任意の他のポリペプチド、例えば、異種ポリペプチド)を発現するように改変することができる。一実施態様では、組換えセグメントは、fluポリペプチド、並びにvRNAの適切な複製、転写、及びパッケージングに必要とされる3'及び5'組込みシグナルをコードする核酸を含む(Gaoらの文献(2010, J. of Virology 84:8062-8074)、Fujiiらの文献(2003, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:2002-2007);Zhengらの文献(1996, Virology 217:242-251)、及びPCT/US2010/043697号、これらは全て、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる)。ある実施態様では、fluポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのHAセグメントに代わることができる。いくつかの実施態様では、fluポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNS1遺伝子に代わることができる。いくつかの実施態様では、fluポリペプチドをコードする組換えセグメントは、親インフルエンザウイルスのNA遺伝子を代えることができる。fluポリペプチドを発現させるために用いることができる例示的なインフルエンザウイルス株としては、アンアーバー/1/50、A/プエルトリコ/8/34、A/サウスダコタ/6/2007、A/ウルグアイ/716/2007、及びB/ブリスベン/60/2008が挙げられる。
いくつかの実施態様では、親インフルエンザウイルスのゲノムは、二シストロン性である組換えセグメントを用いて、fluポリペプチドを発現するように改変することができる。二シストロン性技術は、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列の使用により、複数のタンパク質のコード配列の単一mRNAへの改変を可能にする。IRES配列は、RNA分子へのリボソームの内部動員を導き、キャップ非依存的に下流の翻訳を可能にする。簡潔に述べると、1つのタンパク質のコード領域が、第二のタンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)に挿入される。挿入は、IRES並びに適切な発現及び/又は機能に必要な任意の非翻訳シグナル配列に連なる。挿入は、第二のタンパク質のORF、ポリアデニル化、又は転写プロモーターを妨害してはならない(例えば、Garcia-Sastreらの文献(1994, J. Virol. 68:6254-6261)及びGarcia-Sastreらの文献(1994 Dev. Biol. Stand. 82:237-246)を参照されたく、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている)。例えば、米国特許第6,887,699号、米国特許第6,001,634号、米国特許第5,854,037号、及び米国特許第5,820,871号も参照されたく、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。当技術分野で公知又は本明細書に記載の任意のIRESを本発明に従って用いることができる(例えば、BiP遺伝子のIRES、GenBankデータベースエントリーHUMGRP78のヌクレオチド372〜592;又は脳心筋炎ウイルス(EMCV)のIRES、GenBankデータベースエントリーCQ867238のヌクレオチド1430-2115)。したがって、ある実施態様では、親インフルエンザウイルスは、fluポリペプチドと、別のポリペプチド、例えば、親インフルエンザウイルスによって発現される遺伝子とを発現する二シストロン性RNAセグメントを含むように改変される。
当業者に公知の技術を用いて、fluポリペプチドを含むインフルエンザウイルス、及びfluポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスを産生することができる。例えば、リバースジェネティクス技術を用いて、そのようなインフルエンザウイルスを産生することができる。簡潔に述べると、リバースジェネティクス技術は、一般に、ウイルスポリメラーゼによる認識及び成熟ビリオンの生成に必要なパッケージングシグナルに必須である、マイナス鎖ウイルスRNAの非コード領域を含む合成組換えウイルスRNAの調製を含む。組換えRNAは、組換えDNA鋳型から合成され、精製されたウイルスポリメラーゼ複合体によってインビトロで再構成されて、細胞をトランスフェクトするために用いることができる組換えリボ核タンパク質(RNP)を形成する。インビトロ又はインビボでの合成RNAの転写の間にウイルスポリメラーゼタンパク質が存在する場合、より効率的なトランスフェクションが達成される。合成組換えRNPは、感染性ウイルス粒子中にレスキューすることができる。前述の技術は、1992年11月24日に出願された米国特許第5,166,057号;1998年12月29日に出願された米国特許第5,854,037号;1996年2月20日に公開された欧州特許公開EP 0702085A1号;米国特許出願第09/152,845号;1997年4月3日に公開された国際特許公開PCT WO 97/12032号;1996年11月7日に公開されたWO 96/34625号;欧州特許公開EP A780475号;1999年1月21日に公開されたWO 99/02657号;1998年11月26日に公開されたWO 98/53078号;1998年1月22日に公開されたWO 98/02530号;1999年4月1日に公開されたWO 99/15672号;1998年4月2日に公開されたWO 98/13501号;1997年2月20日に公開されたWO 97/06270号;及び1997年6月25日に公開されたEPO 780 475A1号に記載されており、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
或いは、ヘルパーフリープラスミド技術を用いて、fluポリペプチドを含むインフルエンザウイルス、及び/又はfluポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含むインフルエンザウイルスを産生することができる。簡潔に述べると、プラスミドベクターへのPCR産物の挿入を可能にする独特の制限部位を含むプライマーによるPCRを用いて、ウイルスセグメントの全長cDNAを増幅させる(Flandorferらの文献(2003, J. Virol. 77:9116-9123;Nakayaらの文献(2001, J. Virol. 75:11868-11873;これらは両方とも、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている)。プラスミドベクターは、正確なマイナスの(vRNAセンス)転写物が発現されるように設計される。例えば、正確なマイナスの(vRNAセンス)転写物がポリメラーゼIプロモーターから産生されるように、プラスミドベクターは、切断されたヒトRNAポリメラーゼIプロモーターとデルタ型肝炎ウイルスリボザイム配列の間にPCR産物を配置するように設計することができる。各ウイルスセグメントを含む別個のプラスミドベクター並びに必要なウイルスタンパク質を含む発現ベクターを細胞にトランスフェクトして、組換えウイルス粒子の産生をもたらすことができる。別の実施例では、必要なウイルスタンパク質をコードするウイルスのゲノムRNAとmRNAの両方が発現されるプラスミドベクターを用いることができる。ヘルパーフリープラスミド技術の詳細な説明については、例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 01/04333号;米国特許第6,951,754号、第7,384,774号、第6,649,372号、及び第7,312,064号;Fodorらの文献(1999, J. Virol. 73:9679-9682);Quinlivanらの文献(2005, J. Virol. 79:8431-8439);Hoffmannらの文献(2000, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:6108-6113);並びにNeumannらの文献(1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:9345-9350)を参照されたい。
本明細書に記載のインフルエンザウイルスは、本明細書に記載の方法に従うその使用を可能にする力価までウイルスを増殖させる任意の基体中で増殖させることができる。一実施態様では、基体は、対応する野生株ウイルスについて測定される力価と同等の力価までウイルスを増殖させる。ある実施態様では、基体は、インフルエンザウイルスにとって生物学的に適するものである。具体的な実施態様では、例えば、NS1遺伝子中の突然変異による弱毒化インフルエンザウイルスは、IFN欠損基体中で増殖させることができる。例えば、好適なIFN欠損基体は、インターフェロンを産生するか、もしくはそれに応答するその能力に欠陥がある基体であってもよく、又はIFN欠損基体をインターフェロン欠損増殖環境を必要とし得る任意の数のウイルスの増殖のために用いることができる基体である。例えば、2003年6月3日に出願された米国特許第6,573,079号、2005年2月8日に出願された第6,852,522号、及び2009年2月24日に出願された第7,494,808号を参照されたく、これらの文献の各々の内容全体は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
本明細書に記載のインフルエンザウイルスは、当業者に公知の任意の方法によって単離及び精製することができる。一実施態様では、ウイルスは、一般に、周知の清澄化手順、例えば、密度勾配遠心分離及びカラムクロマトグラフィーによって細胞培養物から取り出され、細胞成分から分離され、望ましい場合、当業者に周知の手順、例えば、プラークアッセイを用いて、さらに精製することができる。
ある実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、A型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のA型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のA型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、B型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のB型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のB型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、A型インフルエンザウイルスの亜型又は株とB型インフルエンザウイルスの亜型又は株の組合せから得られるか、又はそれに由来する。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、C型インフルエンザウイルスから得られるか、又はそれに由来する。ある実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、単一のC型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、2以上のC型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株から得られるか、又はそれらに由来する。他の実施態様では、本明細書に記載されているように用いられるインフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスポリペプチド、遺伝子、もしくはゲノムセグメントは、C型インフルエンザウイルスの亜型又は株とA型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株及び/又はB型インフルエンザウイルスの亜型もしくは株の組合せから得られるか、或いはそれらに由来する。
A型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、亜型H10N4、亜型H10N5、亜型H10N7、亜型H10N8、亜型H10N9、亜型H11N1、亜型H11N13、亜型H11N2、亜型H11N4、亜型H11N6、亜型H11N8、亜型H11N9、亜型H12N1、亜型H12N4、亜型H12N5、亜型H12N8、亜型H13N2、亜型H13N3、亜型H13N6、亜型H13N7、亜型H14N5、亜型H14N6、亜型H15N8、亜型H15N9、亜型H16N3、亜型H1N1、亜型H1N2、亜型H1N3、亜型H1N6、亜型H1N9、亜型H2N1、亜型H2N2、亜型H2N3、亜型H2N5、亜型H2N7、亜型H2N8、亜型H2N9、亜型H3N1、亜型H3N2、亜型H3N3、亜型H3N4、亜型H3N5、亜型H3N6、亜型H3N8、亜型H3N9、亜型H4N1、亜型H4N2、亜型H4N3、亜型H4N4、亜型H4N5、亜型H4N6、亜型H4N8、亜型H4N9、亜型H5N1、亜型H5N2、亜型H5N3、亜型H5N4、亜型H5N6、亜型H5N7、亜型H5N8、亜型H5N9、亜型H6N1、亜型H6N2、亜型H6N3、亜型H6N4、亜型H6N5、亜型H6N6、亜型H6N7、亜型H6N8、亜型H6N9、亜型H7N1、亜型H7N2、亜型H7N3、亜型H7N4、亜型H7N5、亜型H7N7、亜型H7N8、亜型H7N9、亜型H8N4、亜型H8N5、亜型H9N1、亜型H9N2、亜型H9N3、亜型H9N5、亜型H9N6、亜型H9N7、亜型H9N8、及び亜型H9N9が挙げられる。
A型インフルエンザウイルスの株の具体的な例としては、A/sw/アイオワ/15/30(H1N1);A/WSN/33(H1N1);A/eq/プラハ/1/56(H7N7);A/PR/8/34;A/マガモ/ポツダム/178-4/83(H2N2);A/セグロカモメ/DE/712/88(H16N3);A/sw/香港/168/1993(H1N1);A/マガモ/アルバータ/211/98(H1N1);A/水鳥/デラウェア/168/06(H16N3);A/sw/オランダ/25/80(H1N1);A/sw/ドイツ/2/81(H1N1);A/sw/ハノーバー/1/81(H1N1);A/sw/ポツダム/1/81(H1N1);A/sw/ポツダム/15/81(H1N1);A/sw/ポツダム/268/81(H1N1);A/sw/フィニステール/2899/82(H1N1);A/sw/ポツダム/35/82(H3N2);A/sw/コートダルモール/3633/84(H3N2);A/sw/ヘント/1/84(H3N2);A/sw/オランダ/12/85(H1N1);A/sw/カレンツァイ(Karrenzien)/2/87(H3N2);A/sw/シュウェリン/103/89(H1N1);A/七面鳥/ドイツ/3/91(H1N1);A/sw/ドイツ/8533/91(H1N1);A/sw/ベルギー/220/92(H3N2);A/sw/ヘント/V230/92(H1N1);A/sw/ライプチヒ/145/92(H3N2);A/sw/Re220/92hp(H3N2);A/sw/バークム/909/93(H3N2);A/sw/シュレースヴィヒ−ホルシュタイン/1/93(H1N1);A/sw/スコットランド/419440/94(H1N2);A/sw/バークム/5/95(H1N1);A/sw/ベスト(Best)/5C/96(H1N1);A/sw/イングランド/17394/96(H1N2);A/sw/イエナ/5/96(H3N2);A/sw/ウーデンローデ/7C/96(H3N2);A/sw/ローネ/1/97(H3N2);A/sw/コートダルモール/790/97(H1N2);A/sw/バークム/1362/98(H3N2);A/sw/イタリア/1521/98(H1N2);A/sw/イタリア/1553-2/98(H3N2);A/sw/イタリア/1566/98(H1N1);A/sw/イタリア/1589/98(H1N1);A/sw/バークム/8602/99(H3N2);A/sw/コートダルモール/604/99(H1N2);A/sw/コートダルモール/1482/99(H1N1);A/sw/ヘント/7625/99(H1N2);A/香港/1774/99(H3N2);A/sw/香港/5190/99(H3N2);A/sw/香港/5200/99(H3N2);A/sw/香港/5212/99(H3N2);A/sw/イル・エ・ヴィレーヌ/1455/99(H1N1);A/sw/イタリア/1654-1/99(H1N2);A/sw/イタリア/2034/99(H1N1);A/sw/イタリア/2064/99(H1N2);A/sw/ベルリン/1578/00(H3N2);A/sw/バークム/1832/00(H1N2);A/sw/バークム/1833/00(H1N2);A/sw/コートダルモール/800/00(H1N2);A/sw/香港/7982/00(H3N2);A/sw/イタリア/1081/00(H1N2);A/sw/ベルチヒ/2/01(H1N1);A/sw/ベルチヒ/54/01(H3N2);A/sw/香港/9296/01(H3N2);A/sw/香港/9745/01(H3N2);A/sw/スペイン/33601/01(H3N2);A/sw/香港/1144/02(H3N2);A/sw/香港/1197/02(H3N2);A/sw/スペイン/39139/02(H3N2);A/sw/スペイン/42386/02(H3N2);A/スイス/8808/2002(H1N1);A/sw/バークム/1769/03(H3N2);A/sw/ビッセンドルフ/IDT1864/03(H3N2);A/sw/エーレン(Ehren)/IDT2570/03(H1N2);A/sw/ゲッシャー/IDT2702/03(H1N2);A/sw/ハーゼリュンネ/2617/03hp(H1N1);A/sw/レーニンゲン/IDT2530/03(H1N2);A/sw/IVD/IDT2674/03(H1N2);A/sw/ノルドキルヒェン/IDT1993/03(H3N2);A/sw/ノルドヴァルデ/IDT2197/03(H1N2);A/sw/ノルデン/IDT2308/03(H1N2);A/sw/スペイン/50047/03(H1N1);A/sw/スペイン/51915/03(H1N1);A/sw/フェヒタ/2623/03(H1N1);A/sw/ヴィズベク/IDT2869/03(H1N2);A/sw/ヴァルタースドルフ/IDT2527/03(H1N2);A/sw/ダム(Damme)/IDT2890/04(H3N2);A/sw/ゲルダーン/IDT2888/04(H1N1);A/sw/グランステット(Granstedt)/IDT3475/04(H1N2);A/sw/グレーフェン/IDT2889/04(H1N1);A/sw/グーテンスベルク/IDT2930/04(H1N2);A/sw/グーテンスベルク/IDT2931/04(H1N2);A/sw/ローネ/IDT3357/04(H3N2);A/sw/ノルトルップ/IDT3685/04(H1N2);A/sw/ゼーセン/IDT3055/04(H3N2);A/sw/スペイン/53207/04(H1N1);A/sw/スペイン/54008/04(H3N2);A/sw/シュトルツェナウ/IDT3296/04(H1N2);A/sw/ヴェーデル/IDT2965/04(H1N1);A/sw/バートグリースバッハ/IDT4191/05(H3N2);A/sw/クロッペンブルク/IDT4777/05(H1N2);A/sw/デートリンゲン/IDT3780/05(H1N2);A/sw/デートリンゲン/IDT4735/05(H1N2);A/sw/エックルハム/IDT5250/05(H3N2);A/sw/ハーケンブレック(Harkenblek)/IDT4097/05(H3N2);A/sw/ヘルツェン(Hertzen)/IDT4317/05(H3N2);A/sw/クローゲル(Krogel)/IDT4192/05(H1N1);A/sw/ラエル/IDT3893/05(H1N1);A/sw/ラエル/IDT4126/05(H3N2);A/sw/メルツェン/IDT4114/05(H3N2);A/sw/ミュスラリンゲン(Muesleringen)-S./IDT4263/05(H3N2);A/sw/オスターホーフェン/IDT4004/05(H3N2);A/sw/シュプレンゲ(Sprenge)/IDT3805/05(H1N2);A/sw/シュタットローン/IDT3853/05(H1N2);A/sw/フォーグラルン(Voglarn)/IDT4096/05(H1N1);A/sw/ヴォーラーシュト(Wohlerst)/IDT4093/05(H1N1);A/sw/バートグリースバッハ/IDT5604/06(H1N1);A/sw/ヘルツラケ/IDT5335/06(H3N2);A/sw/ヘルツラケ/IDT5336/06(H3N2);A/sw/ヘルツラケ/IDT5337/06(H3N2);及びA/イノシシ/ドイツ/R169/2006(H3N2)が挙げられるが、これらに限定されない。
A型インフルエンザウイルスの株の他の具体的な例としては、A/トロント/3141/2009(H1N1);A/レーゲンスブルク/D6/2009(H1N1);A/バイエルン/62/2009(H1N1);A/バイエルン/62/2009(H1N1);A/ブランデンブルク/19/2009(H1N1);A/ブランデンブルク/20/2009(H1N1);A/連邦直轄区(Distrito Federal)/2611/2009(H1N1);A/マトグロッソ/2329/2009(H1N1);A/サンパウロ/1454/2009(H1N1);A/サンパウロ/2233/2009(H1N1);A/ストックホルム/37/2009(H1N1);A/ストックホルム/41/2009(H1N1);A/ストックホルム/45/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-1/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-14/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-2/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-21/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-22/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-23/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-24/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-25/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-3/2009(H1N1);A/ブタ/アルバータ/OTH-33-7/2009(H1N1);A/北京/502/2009(H1N1);A/フィレンツェ/10/2009(H1N1);A/香港/2369/2009(H1N1);A/イタリア/85/2009(H1N1);A/サントドミンゴ/572N/2009(H1N1);A/カタロニア/385/2009(H1N1);A/カタロニア/386/2009(H1N1);A/カタロニア/387/2009(H1N1);A/カタロニア/390/2009(H1N1);A/カタロニア/394/2009(H1N1);A/カタロニア/397/2009(H1N1);A/カタロニア/398/2009(H1N1);A/カタロニア/399/2009(H1N1);A/サンパウロ/2303/2009(H1N1);A/秋田/1/2009(H1N1);A/カストロ/JXP/2009(H1N1);A/福島/1/2009(H1N1);A/イスラエル/276/2009(H1N1);A/イスラエル/277/2009(H1N1);A/イスラエル/70/2009(H1N1);A/岩手/1/2009(H1N1);A/岩手/2/2009(H1N1);A/鹿児島/1/2009(H1N1);A/大阪/180/2009(H1N1);A/プエルトモント/Bio87/2009(H1N1);A/サンパウロ/2303/2009(H1N1);A/札幌/1/2009(H1N1);A/ストックホルム/30/2009(H1N1);A/ストックホルム/31/2009(H1N1);A/ストックホルム/32/2009(H1N1);A/ストックホルム/33/2009(H1N1);A/ストックホルム/34/2009(H1N1);A/ストックホルム/35/2009(H1N1);A/ストックホルム/36/2009(H1N1);A/ストックホルム/38/2009(H1N1);A/ストックホルム/39/2009(H1N1);A/ストックホルム/40/2009(H1N1;)A/ストックホルム/42/2009(H1N1);A/ストックホルム/43/2009(H1N1);A/ストックホルム/44/2009(H1N1);A/宇都宮/2/2009(H1N1);A/WRAIR/0573N/2009(H1N1);及びA/浙江/DTID-ZJU01/2009(H1N1)が挙げられるが、これらに限定されない。
B型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、愛知/5/88株、秋田/27/2001株、秋田/5/2001株、アラスカ/16/2000株、アラスカ/1777/2005株、アルゼンチン/69/2001株、アリゾナ/146/2005株、アリゾナ/148/2005株、バンコク/163/90株、バンコク/34/99株、バンコク/460/03株、バンコク/54/99株、バルセロナ/215/03株、北京/15/84株、北京/184/93株、北京/243/97株、北京/43/75株、北京/5/76株、北京/76/98株、ベルギー/WV106/2002株、ベルギー/WV107/2002株、ベルギー/WV109/2002株、ベルギー/WV114/2002株、ベルギー/WV122/2002株、ボン/43株、ブラジル/952/2001株、ブカレスト/795/03株、ブエノスアイレス/161/00株)、ブエノスアイレス/9/95株、ブエノスアイレス/SW16/97株、ブエノスアイレス/VL518/99株、カナダ/464/2001株、カナダ/464/2002株、チャコ/366/00株、チャコ/R113/00株、済州/303/03株、千葉/447/98株、重慶/3/2000株、SA1タイ/2002臨床分離株、SA10タイ/2002臨床分離株、SA100フィリピン/2002臨床分離株、SA101フィリピン/2002臨床分離株、SA110フィリピン/2002臨床分離株)、SA112フィリピン/2002臨床分離株、SA113フィリピン/2002臨床分離株、SA114フィリピン/2002臨床分離株、SA2タイ/2002臨床分離株、SA20タイ/2002臨床分離株、SA38フィリピン/2002臨床分離株、SA39タイ/2002臨床分離株、SA99フィリピン/2002臨床分離株、CNIC/27/2001株、コロラド/2597/2004株、コルドバ/VA418/99株、チェコスロバキア/16/89株、チェコスロバキア/69/90株、ダエク/10/97株、ダエク/45/97株、ダエク/47/97株、ダエク/9/97株、B/Du/4/78株、B/ダーバン/39/98株、ダーバン/43/98株、ダーバン/44/98株、B/ダーバン/52/98株、ダーバン/55/98株、ダーバン/56/98株、イングランド/1716/2005株、イングランド/2054/2005株)、イングランド/23/04株、フィンランド/154/2002株、フィンランド/159/2002株、フィンランド/160/2002株、フィンランド/161/2002株、フィンランド/162/03株、フィンランド/162/2002株、フィンランド/162/91株、フィンランド/164/2003株、フィンランド/172/91株、フィンランド/173/2003株、フィンランド/176/2003株、フィンランド/184/91株、フィンランド/188/2003株、フィンランド/190/2003株、フィンランド/220/2003株、フィンランド/WV5/2002株、福建/36/82株、ジュネーブ/5079/03株、ジェノバ/11/02株、ジェノバ/2/02株、ジェノバ/21/02株、ジェノバ/54/02株、ジェノバ/55/02株、広東/05/94株、広東/08/93株、広東/5/94株、広東/55/89株、広東/8/93株、広州/7/97株、広州/86/92株、広州/87/92株、京幾/592/2005株、ハノーバー/2/90株、ハルビン/07/94株、ハワイ/10/2001株、ハワイ/1990/2004株、ハワイ/38/2001株、ハワイ/9/2001株、河北/19/94株、河北/3/94株)、河南/22/97株、広島/23/2001株、香港/110/99株、香港/1115/2002株、香港/112/2001株、香港/123/2001株、香港/1351/2002株、香港/1434/2002株、香港/147/99株、香港/156/99株、香港/157/99株、香港/22/2001株、香港/22/89株、香港/336/2001株、香港/666/2001株、香港/9/89株、ヒューストン/1/91株、ヒューストン/1/96株、ヒューストン/2/96株、湖南/4/72株、茨城/2/85株、仁川(ncheon)/297/2005株、インド/3/89株、インド/77276/2001株、イスラエル/95/03株、イスラエル/WV187/2002株、日本/1224/2005株、江蘇/10/03株、ヨハネスブルク/1/99株、ヨハネスブルク/96/01株、門真/1076/99株、門真/122/99株、鹿児島/15/94株、カンザス/22992/99株、ハズコフ(Khazkov)/224/91株、神戸/1/2002株、高知/193/99株、ラツィオ/1/02株、リー/40株、レニングラード/129/91株、リスボン/2/90株)、ロサンゼルス/1/02株、ルサカ/270/99株、リヨン/1271/96株、マレーシア/83077/2001株、マプト/1/99株、マルデルプラタ/595/99株、メリーランド/1/01、メンフィス/1/01株、メンフィス/12/97-MA株、ミシガン/22572/99株、三重/1/93株、ミラノ/1/01株、ミンスク/318/90株、モスクワ/3/03株、名古屋/20/99株、南昌/1/00株、ナッシュビル/107/93株、ナッシュビル/45/91株、ネブラスカ/2/01株、オランダ/801/90株、オランダ/429/98株、ニューヨーク/1/2002株、NIB/48/90株、寧夏/45/83株、ノルウェー/1/84株、オマーン/16299/2001株、大阪/1059/97株、大阪/983/97-V2株、オスロ/1329/2002株、オスロ/1846/2002株、パナマ/45/90株、パリ/329/90株、パルマ/23/02株、パース/211/2001株、ペルー/1364/2004株、フィリピン/5072/2001株、釜山/270/99株、ケベック/173/98株、ケベック/465/98株、ケベック/7/01株、ローマ/1/03株、佐賀/S172/99株、ソウル/13/95株、ソウル/37/91株、山東/7/97株、上海/361/2002株)、滋賀/T30/98株、四川/379/99株、シンガポール/222/79株、スペイン/WV27/2002株、ストックホルム/10/90株、スイス/5441/90株、台湾/0409/00株、台湾/0722/02株、台湾/97271/2001株、テヘラン/80/02株、東京/6/98株、トリエステ/28/02株、ウランウデ/4/02株、イギリス/34304/99株、USSR/100/83株、ビクトリア/103/89株、ウィーン/1/99株、武漢/356/2000株、WV194/2002株、玄武/23/82株、山形/1311/2003株、山形/K500/2001株、アラスカ/12/96株、GA/86株、長崎/1/87株、東京/942/96株、及びロチェスター/02/2001株が挙げられる。
C型インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、愛知/1/81株、アンアーバー/1/50株、青森/74株、カリフォルニア/78株、イングランド/83株、ギリシア/79株、広島/246/2000株、広島/252/2000株、兵庫/1/83株、ヨハネスブルク/66株、神奈川/1/76株、京都/1/79株、ミシシッピー/80株、宮城/1/97株、宮城/5/2000株、宮城/9/96株、奈良/2/85株、ニュージャージー/76株、ブタ/北京/115/81株、埼玉/3/2000株)、静岡/79株、山形/2/98株、山形/6/2000株、山形/9/96株、ベルリン/1/85株、イングランド/892/8株、五大湖/1167/54株、JJ/50株、ブタ/北京/10/81株、ブタ/北京/439/82)株、テーラー(TAYLOR)/1233/47株、及びC/山形/10/81株が挙げられる。
ある実施態様では、本明細書で提供されるインフルエンザウイルスは、弱毒化表現型を有する。具体的な実施態様では、弱毒化インフルエンザウイルスは、A型インフルエンザウイルスに基づく。他の実施態様では、弱毒化インフルエンザウイルスは、B型インフルエンザウイルスに基づく。さらに他の実施態様では、弱毒化インフルエンザウイルスは、C型インフルエンザウイルスに基づく。他の実施態様では、弱毒化インフルエンザウイルスは、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ及び/又はC型インフルエンザウイルスの1以上の株又は亜型由来の遺伝子又はゲノムセグメントを含むことができる。いくつかの実施態様では、弱毒化骨格ウイルスは、A型インフルエンザウイルス及びB型インフルエンザウイルス由来の遺伝子を含む。
具体的な実施態様では、ウイルスが少なくとも部分的に感染性を保持し、インビボで複製することができるが、非病原性である不顕性レベルの感染をもたらす低い力価を生じさせることしかできないような、インフルエンザウイルスの弱毒化が望ましい。そのような弱毒化ウイルスは、ウイルス又はその免疫原性組成物が免疫応答を誘発するために対象に投与される、本明細書に記載の実施態様に特に好適である。インフルエンザウイルスの弱毒化は、例えば、化学的突然変異誘発によって作製されるウイルス突然変異体を選択すること、遺伝子操作によるゲノムの突然変異、弱毒化された機能を有するセグメントを含む再集合体ウイルスを選択すること、又は条件的ウイルス突然変異体(例えば、低温適応ウイルス)の選択などの、当技術分野で公知の任意の方法によって達成することができる。或いは、天然に存在する弱毒化インフルエンザウイルスを、インフルエンザウイルスベクターのためのインフルエンザウイルス骨格として用いることができる。
いくつかの実施態様では、インフルエンザウイルスは、細胞のインターフェロン(IFN)応答に拮抗するウイルスの能力を損なわせる突然変異したNS1遺伝子を発現するようにインフルエンザウイルスを改変することによって、少なくとも部分的に弱毒化することができる。インフルエンザウイルスNS1遺伝子に導入することができる突然変異の種類の例としては、欠失、置換、挿入、及びそれらの組合せが挙げられる。NS1遺伝子全体のどこにでも(例えば、N末端、C末端、もしくはその間のどこか)、及び/又はNS1遺伝子の調節エレメントに、1以上の突然変異を導入することができる。一実施態様では、弱毒化インフルエンザウイルスは、NS1のC末端から5個、好ましくは10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、80、85、90、95、99、100、105、110、115、120、125、126、130、135、140、145、150、155、160、165、170、もしくは175個のアミノ酸残基からなる欠失、又はC末端から5〜170、25〜170、50〜170、100〜170、100〜160、もしくは105〜160個のアミノ酸残基の欠失をもたらすインフルエンザウイルスNS1遺伝子の突然変異を有するゲノムを含む。別の実施態様では、弱毒化インフルエンザウイルスは、それがアミノ酸残基1〜130、アミノ酸残基1〜126、アミノ酸残基1〜120、アミノ酸残基1〜115、アミノ酸残基1〜110、アミノ酸残基1〜100、アミノ酸残基1〜99、アミノ酸残基1〜95、アミノ酸残基1〜85、アミノ酸残基1〜83、アミノ酸残基1〜80、アミノ酸残基1〜75、アミノ酸残基1〜73、アミノ酸残基1〜70、アミノ酸残基1〜65又はアミノ酸残基1〜60のNS1タンパク質をコードするような、インフルエンザウイルスNS1遺伝子の突然変異を有するゲノムを含み、ここで、N末端アミノ酸は、1番である。別の実施態様では、NS1のアミノ酸残基は、PR8ウイルスを基にしてカウントされる。NS1突然変異及び突然変異したNS1を含むインフルエンザウイルスの例については、例えば、米国特許第6,468,544号及び第6,669,943号;並びにLiらの文献(1999, J. Infect. Dis. 179:1132-1138)を参照されたく、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
(5.5 非インフルエンザウイルスベクター)
一態様では、fluポリペプチドを含む非インフルエンザウイルスが本明細書で提供される。具体的な実施態様では、fluポリペプチドを非インフルエンザウイルスのビリオンに組み込む。非インフルエンザウイルスを、特定の細胞型、例えば、免疫細胞にウイルスをターゲッティングする部分に結合させもよい。いくつかの実施態様では、インフルエンザウイルスのビリオンは、fluポリペプチドに加えて、異種ポリペプチドをそれらに組み込んでいるか、又はそれを発現する。異種ポリペプチドは、免疫増強活性を有するか、又は特定の細胞型に非インフルエンザウイルスをターゲッティングするポリペプチド、例えば、特定の細胞型の表面の抗原に結合する抗体、もしくは特定の細胞型の表面の特異的受容体に結合するリガンドであってもよい。そのような異種ポリペプチドの例については、上の第5.4節を参照されたい。
fluポリペプチドを含む非インフルエンザウイルスは、当業者に公知の技術を用いて、ビリオンの産生の間にトランスでfluポリペプチドを供給することによって産生することができる。或いは、親の非インフルエンザウイルスは、インフルエンザfluポリペプチドを含む子孫ウイルスを産生するように、血球凝集素機能がトランスで提供されているウイルスに感染しやすい細胞でfluポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを含む。
限定するものではないが、天然に存在する株、変異体、もしくは突然変異体、突然変異させたウイルス、再集合体、及び/又は遺伝子改変ウイルスを含む、任意のウイルス型、亜型、又は株を、非インフルエンザウイルスベクターとして用いることができる。具体的な実施態様では、親の非インフルエンザウイルスは、天然に存在するウイルスではない。別の具体的な実施態様では、親の非インフルエンザウイルスは、遺伝子改変ウイルスである。ある実施態様では、エンベロープ型ウイルスが、本明細書に記載の膜結合fluポリペプチドの発現に好ましい。
例示的な実施態様では、非インフルエンザウイルスベクターは、ニューカッスル病ウイルス(NDV)である。別の実施態様では、非インフルエンザウイルスベクターは、ワクシニアウイルスである。他の例示的で、非限定的な実施態様では、非インフルエンザウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、B型肝炎ウイルス、レトロウイルス(例えば、ガンマレトロウイルス、例えば、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)ゲノムもしくはマウス白血病ウイルス(MLV)、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、腫瘍レトロウイルス、もしくはレンチウイルス)、アルファウイルス(例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス)、ラブドウイルス、例えば、水疱性口内炎ウイルスもしくはパピローマウイルス、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、MVA-T7ベクター、もしくは鶏痘)、メタニューモウイルス、麻疹ウイルス、ヘルペスウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス、又はフォーミーウイルスである。例えば、Lawrie及びTuminの文献(1993, Cur. Opin. Genet. Develop. 3, 102-109)(レトロウイルスベクター);Bettらの文献(1993, J. Virol. 67, 5911)(アデノウイルスベクター);Zhouらの文献(1994, J. Exp. Med. 179, 1867)(アデノ随伴ウイルスベクター);Dubenskyらの文献(1996, J. Virol. 70, 508-519)(ワクシニアウイルス及び鶏痘ウイルスを含むポックスファミリー由来のウイルスベクター並びにアルファウイルス属由来のウイルスベクター、例えば、シンドビスウイルス及びセムリキ森林ウイルスに由来するもの);米国特許第5,643,576号(ベネズエラウマ脳炎ウイルス);WO 96/34625号(VSV);Oheらの文献(1995, Human Gene Therapy 6, 325-333);Wooらの文献、WO 94/12629号;Xiao及びBrandsmaの文献(1996, Nucleic Acids. Res. 24、2630-2622)(パピローマウイルス);並びにBukreyev及びCollinsの文献(2008, Curr Opin Mol Ther. 10:46-55)(NDV)を参照されたく、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
具体的な実施態様では、非インフルエンザウイルスベクターは、NDVである。任意のNDV型、亜型、又は株は、限定するものではないが、天然に存在する株、変異体、もしくは突然変異体、突然変異させたウイルス、再集合体及び/又は遺伝子改変ウイルスを含む、fluポリペプチドを発現するように改変される骨格の役割を果たすことができる。具体的な実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、天然に存在する株である。ある実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、溶解性株である。他の実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、非溶解性株である。ある実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、長潜伏期性株である。いくつかの実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、亜病原性株である。他の実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、短潜伏期性株である。NDV株の具体的な例としては、73-T株、アルスター株、MTH-68株、イタリアン(Italien)株、ヒックマン(Hickman)株、PV701株、ヒッチナー(Hitchner)B1株、ラソタ(La Sota)株、YG97株、MET95株、及びF48E9株が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、ヒッチナーB1株である。別の具体的な実施態様では、遺伝子操作のための骨格の役割を果たすNDVは、La Sota株である。
一実施態様では、非インフルエンザウイルスベクターのための骨格として用いられるNDVは、修飾Fタンパク質を発現するように改変されており、この修飾Fタンパク質中では、該Fタンパク質の切断部位が1つ又は2つの追加のアルギニン残基を含む部位に置き換えられ、この突然変異切断部位がフリンファミリーのユビキタスに発現されるプロテアーゼによって活性化されるようになる。そのような修飾Fタンパク質を発現するNDVの具体的な例としては、rNDV/F2aa及びrNDV/F3aaが挙げられるが、これらに限定されない。突然変異した切断部位を有する修飾Fタンパク質を産生するためにNDVのFタンパク質に導入される突然変異の説明については、例えば、Parkらの文献(2006、「二重特異性を有する改変されたウイルスワクチンコンストラクト:鳥インフルエンザ及びニューカッスル病(Engineered viral vaccine constructs with dual specificity: Avian influenza and Newcastle disease)」PNAS USA 103:8203-2808))を参照されたい。
一実施態様では、非インフルエンザウイルスベクターは、ポックスウイルスである。ポックスウイルスベクターは、ワクチンベクターに好適な配列を提供するポックスウイルス科の任意のメンバー、特に、ワクシニアウイルス又はアビポックスウイルス(例えば、カナリア痘ウイルス、鶏痘など)に基づくことができる。具体的な実施態様では、ポックスウイルスベクターは、ワクシニアウイルスベクターである。好適なワクシニアウイルスとしては、コペンハーゲン(VC-2)株(Goebelらの文献(Virol 179:247-266, 1990);Johnsonらの文献(Virol. 196:381-401、1993)、改変コペンハーゲン株(NYVAC)(米国特許第6,265,189号)、WYETH株、及び改変アンカラ(MVA)株(Antoineらの文献(Virol. 244:365-396、1998))が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なポックスウイルスとしては、望ましい特性を提供し、高度に弱毒化されているALVAC及びTROVACベクターなどの鶏痘株が挙げられる(例えば、米国特許第6,265,189号;AIDS研究レビュー(AIDS Research Reviews)中のTartagliaらの文献(Koffら編, 3巻, Marcel Dekker, N. Y., 1993);及びTartagliaらの文献(1990, Reviews in Immunology 10:13-30、1990)を参照されたい)。
fluポリペプチドを発現させるために非インフルエンザウイルスを改変する方法は、そのようなウイルスを弱毒化させ、増殖させ、かつ単離及び精製する方法と同様に当技術分野で周知である。NDVベクターに関するそのような技術については、国際公開WO 01/04333号;米国特許第7,442,379号、第6,146,642号、第6,649,372号、第6,544,785号、及び第7,384,774号;Swayneらの文献(2003)(Avian Dis. 47:1047-1050);及びSwayne文献(2001)(J. Virol. 11868-11873)を参照されたく、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。ポックスウイルスに関するそのような技術については、Picciniらの文献(Methods of Enzymology 153:545-563, 1987);国際公開WO 96/11279;米国特許第4,769,330号;米国特許第No. 4,722,848号;米国特許第4,769,330号;米国特許第4,603,112号;米国特許第5,110,587号;米国特許第5,174,993号;欧州特許第83 286号;欧州特許第206 920号;Mayrらの文献(Infection 3:6-14, 1975);並びにSutter及びMossの文献(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10847-10851, 1992)を参照されたい。ある実施態様では、非インフルエンザウイルスは弱毒化されている。
特に、対象への投与のための組成物中で使用するための、非インフルエンザウイルスベクターの選択のための例示的な検討事項は、安全性、低毒性、安定性、細胞型特異性、及び免疫原性、特に、非インフルエンザウイルスベクターによって発現されるfluポリペプチドの抗原性である。
(5.6 ウイルス様粒子及びウイロソーム)
fluポリペプチドは、ウイルス様粒子(VLP)ベクターに組み込むことができる。VLPは、通常、ウイルスの構造タンパク質(複数可)に一般的に由来するウイルスポリペプチド(複数可)を含む。いくつかの実施態様では、VLPは複製することができない。ある実施態様では、VLPはウイルスの完全なゲノムを欠いていてもよく、又はウイルスのゲノムの一部を含んでいてもよい。いくつかの実施態様では、VLPは細胞に感染することができない。いくつかの実施態様では、VLPは、当業者に公知又は本明細書に記載の1以上のウイルス性標的部分(例えば、ウイルス表面糖タンパク質)又は非ウイルス性標的部分(例えば、抗体もしくはタンパク質)をその表面に発現する。いくつかの実施態様では、VLPは、fluポリペプチド、及びウイルス構造タンパク質、例えば、HIV gagを含む。
組換えで産生されるVLPを産生して特徴付けるための方法は、インフルエンザウイルス(Brightらの文献(2007, Vaccine. 25:3871))、ヒトパピローマウイルス1型(Hagneseeらの文献(1991, J. Virol. 67:315))、ヒトパピローマウイルス16型(Kirnbauerらの文献(Proc. Natl. Acad. Sci.(1992)89:12180))、HIV-1(Hafferらの文献(1990, J. Virol. 64:2653))、及びA型肝炎(Winokurの文献(1991, 65:5029))を含む、いくつかのウイルスに基づいて記載されており、その各々は、その全体が本明細書中に組み込まれている。NDVタンパク質を含むVLPを発現させる方法は、Pantuaらの文献(2006, J. Virol. 80:11062-11073)、及び2009年3月12日に公開された米国特許出願公開第20090068221号で提供されており、その各々は、その全体が本明細書中に組み込まれている。
具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、ウイロソームに組み込むことができる。fluポリペプチドを含むウイロソームは、当業者に公知の技術を用いて産生することができる。例えば、ウイロソームは、精製されたウイルスを破壊し、ゲノムを抽出し、ウイルスタンパク質(例えば、fluポリペプチド)及び脂質で粒子を再び組み立てて、ウイルスタンパク質を含む脂質粒子を形成させることによって産生することができる。
(5.7 細菌ベクター)
具体的な実施態様では、細菌は、本明細書に記載のfluポリペプチドを発現するように改変することができる。fluポリペプチドの発現のために好適な細菌としては、リステリア、サルモネラ(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)の種、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、大腸菌、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、及び野兎病菌(Francisella tularensis)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施態様では、fluポリペプチドを発現するように改変された細菌は、弱毒化されている。異種ポリペプチドを発現するように改変された細菌の産生技術は当技術分野で公知であり、fluポリペプチドの発現に適用することができる。例えば、2008年10月9日に公開された米国特許出願公開第20080248066号及び2007年9月6日に公開された米国特許出願公開第20070207171号を参照されたく、その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれる。
(5.8 fluポリペプチドに対する抗体の作製)
本明細書に記載のfluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて、インフルエンザに対する、例えば、fluポリペプチドのHA2ドメインの長いα-ヘリックス領域に対する中和抗体を誘発することができる。具体的な実施態様では、本明細書に記載のfluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを非ヒト対象(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)に投与して、抗体の産生を含む免疫応答を誘発することができ、この抗体は、当業者に公知の技術(例えば、免疫親和性クロマトグラフィー、遠心分離、沈殿など)を用いて単離することができる。
或いは、本明細書に記載のfluポリペプチドを用いて、抗体ライブラリーから抗体をスクリーニングすることができる。例えば、fluポリペプチドを含む単離されたfluポリペプチドを固体支持体(例えば、シリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、ポリスチレンビーズ、アルミナゲル、又は多糖、磁気ビーズ)に固定し、抗体への結合についてスクリーニングすることができる。代替法として、抗体を固体支持体に固定し、単離されたfluポリペプチドへの結合についてスクリーニングすることができる。任意のスクリーニングアッセイ、例えば、パニングアッセイ、ELISA、表面プラズモン共鳴、又は当技術分野で公知の他の抗体スクリーニングアッセイを用いて、fluポリペプチドに結合する抗体についてスクリーニングすることができる。スクリーニングされる抗体ライブラリーは、市販の抗体ライブラリー、インビトロで作製されたライブラリー、又はインフルエンザに感染した個体から抗体を同定及びクローニング又は単離することによって得られたライブラリーであることができる。特定の実施態様では、抗体ライブラリーは、インフルエンザウイルス大発生の生存者から作製される。抗体ライブラリーは、当技術分野で公知の方法に従って作製することができる。特定の実施態様では、抗体ライブラリーは、抗体をクローニングし、それをファージディスプレイライブラリー又はファージミドディスプレイライブラリーで用いることによって作製される。
本明細書に記載の方法で同定される抗体は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の生物学的アッセイを用いて、中和活性及び自己反応性の欠如について試験することができる。一実施態様では、非ヒト動物又は抗体ライブラリーから単離された抗体は、2以上のインフルエンザ亜型由来の血球凝集素ポリペプチドを中和する。いくつかの実施態様では、fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドをコードするベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、インフルエンザH3ウイルスを中和する。いくつかの実施態様では、fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、もしくは16種、又はそれより多くのインフルエンザウイルスの亜型又は株を中和する。一実施態様では、中和抗体は1以上のA型インフルエンザウイルス及び1以上のB型インフルエンザウイルスを中和する。特定の実施態様では、中和抗体は、Wangらの文献(2010)「異なる血球凝集素による連続免疫後のH3インフルエンザウイルスに対する広範防御性モノクローナル抗体(Broadly Protective Monoclonal Antibodies against H3 Influenza Viruses following Sequential Immunization with Different Hemagglutinins)」(PLOS Pathogens 6(2):1-9)に記載されている抗体ではない。
fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて同定又は誘発される抗体には、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫活性部分、すなわち、fluポリペプチドに特異的に結合する抗原結合部位を含む分子が含まれる。免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスであることができる。抗体には、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本明細書に記載の方法を用いて誘発又は同定される抗体に対する抗Id抗体を含む)、並びに上記のいずれかのエピトープ結合性断片が含まれるが、これらに限定されない。具体的な実施態様では、fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、ヒト又はヒト化モノクローナル抗体である。
fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体を用いて、療法の効果及び/又は疾患の進行をモニタリングすることができる。この目的のために、限定するものではないが、少し例を挙げれば、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、及び免疫電気泳動アッセイなどの技術を用いる、競合的及び非競合的アッセイ系を含む、当技術分野で公知の任意のイムノアッセイ系を用いることができる。
fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体を用いて、例えば、単一の亜型、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なる亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株由来のインフルエンザウイルスを検出し、かつ/或いは例えば、単一の亜型、又は2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なる亜型由来の複数のインフルエンザウイルス株によるインフルエンザウイルス感染を診断することができる。
fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを用いて誘発又は同定される抗体は、抗イディオタイプ抗体の作製において用いることができる。その後、今度は、この抗イディオタイプ抗体を、インフルエンザの特定の抗原、例えば、fluポリペプチドに結合する抗体の亜集団を産生するために、免疫に用いることができる(引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Jerneの文献(1974, Ann. Immunol.(Paris)125c:373);Jerneらの文献(1982, EMBO J. 1:234))。
ある実施態様では、本明細書に記載の方法に従って抗体を作製するためにfluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのような核酸もしくはポリペプチドを含むベクターを投与される非ヒト対象は、ヒト抗体を産生することができるトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックマウス)である。ヒト抗体は、機能的な内在性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて産生することができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、ランダムに、又は相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入することができる。或いは、ヒト可変領域、定常領域、及び多様性領域を、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚性幹細胞に導入することができる。マウスの重鎖遺伝子免疫グロブリン遺伝子と軽鎖遺伝子免疫グロブリン遺伝子を、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入によって、個別に又は同時に、非機能的にすることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内在性の抗体産生を妨げる。改変された胚性幹細胞を拡大し、胚盤胞に微量注射して、キメラマウスを産生する。その後、このキメラマウスを交配させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を産生する。このトランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成し、その後、クラススイッチング及び体細胞突然変異を経る。したがって、そのような技術を用いて、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、及びIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概略については、Lonberg及びHuszarの文献(Int. Rev. Immunol. 13:65-93(1995))を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、並びにそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、PCT公開WO 98/24893号;WO 92/01047号;WO 96/34096号;WO 96/33735号;欧州特許第0 598 877号;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;及び第5,939,598号を参照されたい。Abgenix社(Freemont, Calif.)、Genpharm(San Jose, Calif.)、及びMedarex社(Princeton, N.J.)などの会社に、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することを請け負わせることができる。
(5.9 fluポリペプチドによる細胞の刺激)
別の態様では、本明細書に記載のfluポリペプチドによってエクスビボで細胞を刺激する方法が本明細書で提供される。そのような細胞、例えば、樹状細胞を、fluポリペプチドに対する抗体を作製するためにインビトロで用いることができるか、又はそれ自体を、例えば、当技術分野で公知の養子移入技術によって対象に投与することができる。養子移入技術の説明については、例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、2008年1月24日に公開された米国特許出願公開第20080019998号を参照されたい。ある実施態様では、本明細書に記載のfluポリペプチドによってエクスビボで刺激された細胞を対象に投与する場合、該細胞は、哺乳動物細胞(例えば、CB-1細胞)ではない。ある実施態様では、本明細書に記載のfluポリペプチドによってエクスビボで刺激された細胞を対象に投与する場合、該細胞は、哺乳動物細胞(例えば、CB-1細胞)である
1つの非限定的な例では、本明細書に記載のfluポリペプチドを発現するように改変されたベクター、例えば、インフルエンザウイルスベクターを用いて、fluポリペプチドを発現させ、fluポリペプチドに対して向けられた免疫刺激特性を提示する樹状細胞(DC)を生成させることができる。そのようなDCは、メモリーT細胞を拡大するために用いられることができ、fluポリペプチド特異的な細胞傷害性Tリンパ球クローンを含む、T細胞の強力なスティミュレーターである。引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Strobelらの文献(2000, Human Gene Therapy 11:2207-2218)を参照されたい。
本明細書に記載のfluポリペプチドは、該ポリペプチドを標的細胞、例えば、DCと接触させ、該ポリペプチドを標的細胞に送達する任意の方法で標的細胞に送達することができる。ある実施態様では、本明細書に記載されているように、fluポリペプチドを対象に送達する。いくつかのそのような実施態様では、ポリペプチドと接触させた細胞を単離し、増殖させることができる。
ある実施態様では、fluポリペプチドをインビトロで標的細胞に送達する。当業者に公知の技術を用いて、標的細胞にポリペプチドを送達することができる。例えば、標的細胞を、組織培養プレート、チューブ、又は他の容器中のポリペプチドと接触させることができる。ポリペプチドを培地に懸濁し、培養プレートのウェル、チューブ、又は他の容器に添加することができる。ポリペプチドを含む培地を、細胞のプレーティングの前に、又は細胞をプレーティングした後に添加することができる。標的細胞は、ポリペプチドを細胞と接触させるのに十分な量の時間、ポリペプチドとともにインキュベートすることが好ましい。ある実施態様では、細胞を、ポリペプチドとともに、約1時間以上、約5時間以上、約10時間以上、約12時間以上、約16時間以上、約24時間以上、約48時間以上、約1時間〜約12時間、約3時間〜約6時間、約6時間〜約12時間、約12時間〜約24時間、又は約24時間〜約48時間インキュベートする。fluポリペプチドがウイルス中にある、ある実施態様では、標的細胞を接触させることは、細胞をウイルスに感染させることを含む。
標的細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、及びモルモットを含む、任意の種由来のものであることができる。いくつかの実施態様では、標的細胞は、健康な対象又は治療を必要とする対象から得られるDCである。ある実施態様では、標的細胞は、ポリペプチドに対する免疫応答を刺激することが望ましい対象から得られるDCである。対象から細胞を得る方法は、当技術分野で周知である。
(5.10 組成物)
本明細書に記載のfluポリペプチド、核酸、ベクター、細菌、抗体、又は細胞(本明細書では「活性化合物」と呼ばれることもある)を組成物に組み込むことができる。具体的な実施態様では、組成物は、医薬組成物、例えば、免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)である。本明細書で提供される医薬組成物は、組成物を対象に投与することができる任意の形態であることができる。具体的な実施態様では、医薬組成物は、獣医学的投与及び/又はヒトへの投与に好適である。組成物は、インフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法で用いることができる。
一実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、fluポリペプチドを含む。別の実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、本明細書に記載のfluポリペプチドをコードする核酸を含む。別の実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、fluポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを含む。別の実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、fluポリペプチドを含むインフルエンザウイルス又は非インフルエンザウイルスを含む。別の実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、fluポリペプチドを発現するように改変されたゲノムを有するインフルエンザウイルス又は非インフルエンザウイルスを含む。別の実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、fluポリペプチドを含むウイルス様粒子又はウイロソームを含む。別の実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、fluポリペプチドを発現するか、又はそれを発現するように改変された細菌を含む。別の実施態様では、医薬組成物は、医薬として許容し得る担体との混合物中に、fluポリペプチドで刺激された細胞を含む。
いくつかの実施態様では、医薬組成物は、活性化合物に加えて1以上の他の療法を含むことができる。
本明細書で用いられるように、用語「医薬として許容し得る」は、動物、より具体的にはヒトでの使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているか、又は米国薬局方もしくは他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。用語「担体」は、医薬組成物がそれとともに投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は媒体を指す。食塩水溶液及び水性デキストロース溶液及びグリセロール溶液を、特に注射用溶液のための液体担体として利用することもできる。好適な賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。好適な医薬担体の例は、E. W. Martin著「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。製剤は、投与様式に適するべきである。
具体的な実施態様では、医薬組成物は、対象への意図された投与経路に好適であるように製剤化される。例えば、医薬組成物は、皮下、非経口、経口、皮内、経皮、結腸直腸、腹腔内、及び直腸投与に適するように製剤化することができる。具体的な実施態様では、医薬組成物は、静脈内、経口、腹腔内、鼻腔内、気管内、皮下、筋肉内、局所、皮内、経皮、又は肺投与用に製剤化することができる。
ある実施態様では、生体分解性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリエチレングリコール(PEG化)、ポリメタクリル酸メチルポリマー、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を担体として用いることができる。いくつかの実施態様では、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤のように、身体からの速やかな消失からの化合物の保護を増大させる担体を用いて調製される。そのような製剤の調製方法は当業者には明らかであろう。リポソーム又はミセルを医薬として許容し得る担体として用いることもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているような、当業者に公知の方法によって調製することができる。ある実施態様では、医薬組成物は、1以上のアジュバントを含む。
具体的な実施態様では、本明細書に記載の免疫原性組成物は一価製剤である。他の実施態様では、本明細書に記載の免疫原性組成物は多価製剤である。一例では、多価製剤は、A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現する1以上のベクター、及びB型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現する1以上のベクターを含む。別の例では、多価製剤は、H3 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクター、及びH1 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクターを含む。別の例では、多価製剤は、H3 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクター、H1 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクター、及びB型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクターを含む。ある実施態様では、多価製剤は、単一のベクターを用いて発現される1以上の異なるfluポリペプチドを含むことができる。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、防腐剤、例えば、水銀誘導体のチメロサールをさらに含む。具体的な実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、0.001%〜0.01%のチメロサールを含む。他の実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、防腐剤を含まない。具体的な実施態様では、チメロサールは、本明細書に記載の医薬組成物の製造時に用いられ、チメロサールは、医薬組成物の生産後の精製工程を通して除去される、すなわち、医薬組成物は、微量のチメロサールを含む(精製後に、1用量当たり<0.3μgの水銀;そのような医薬組成物は、チメロサール不含製品とみなされる)。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、卵タンパク質(例えば、オボアルブミン又は他の卵タンパク質)をさらに含む。本明細書に記載の医薬組成物中の卵タンパク質の量は、1mlの医薬組成物に対して、約0.0005〜約1.2μgの卵タンパク質であることができる。他の実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、卵タンパク質を含まない。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、限定するものではないが、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン(例えば、ポリミキシンB)及びカナマイシン、ストレプトマイシンを含む、1以上の抗微生物剤(例えば、抗生物質)をさらに含む。他の実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、いかなる抗生物質も含まない。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、ウイルスを不活化するために用いられる1以上の成分、例えば、ホルマリンもしくはホルムアルデヒド、又は界面活性剤、例えば、デオキシコール酸ナトリウム、オクトキシノール9(TritonX-100)、及びオクトキシノール10をさらに含む。他の実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、ウイルスを不活化するために用いられるいかなる成分も含まない。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、ゼラチンをさらに含む。他の実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、ゼラチンを含まない。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、1以上の緩衝剤、例えば、リン酸緩衝剤及びスクロースホスフェートグルタメート緩衝剤をさらに含む。他の実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、緩衝剤を含まない。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、1以上の塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウム、及びアルミニウム塩(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)、又はそのようなアルミニウム塩の混合物)をさらに含む。他の実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、塩を含まない。
具体的な実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物は、低添加剤インフルエンザウイルスワクチンである、すなわち、該医薬組成物は、インフルエンザウイルスワクチン中に一般に見られる1以上の添加剤を含まない。低添加剤インフルエンザワクチンは記載されている(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 09/001217号として公開された国際出願PCT/IB2008/002238号を参照されたい)。
本明細書に記載の医薬組成物は、投与のための説明書と一緒に、容器、パック、又はディスペンサーに含めることができる。
本明細書に記載の医薬組成物は、使用前に保存することができ、例えば、該医薬組成物は、冷凍して(例えば、約-20℃もしくは約-70℃で)保存するか;冷蔵条件で(例えば、約4℃で)保存するか;又は室温で保存することができる(インフルエンザワクチンを含む組成物を冷蔵しないで保存する方法については、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 07/110776号として公開された国際出願PCT/IB2007/001149号を参照されたい)。
ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物中の活性化合物が、fluポリペプチドを発現するように改変された細胞である場合、該医薬組成物中の細胞は、哺乳動物細胞(例えば、CB-1細胞)ではない。ある実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物中の活性化合物が、fluポリペプチドを発現するように改変された細胞である場合、該医薬組成物中の細胞は、哺乳動物細胞である。
(5.10.1 サブユニットワクチン)
具体的な実施態様では、本明細書に記載のコアポリペプチドを含むサブユニットワクチンが本明細書で提供される。いくつかの実施態様では、サブユニットワクチンは、fluポリペプチド、及び1以上の表面糖タンパク質(例えば、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ)、他のターゲッティング部分、又はアジュバントを含む。具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、単一のインフルエンザfluポリペプチドを含む。他の実施態様では、サブユニットワクチンは、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのインフルエンザfluポリペプチドを含む。具体的な実施態様では、サブユニットワクチンで用いられるインフルエンザfluポリペプチド(複数可)は、膜結合型でない、すなわち、それは可溶性である。
ある実施態様では、1用量当たり、約10μg〜約60μgの本明細書に記載の1以上のfluポリペプチド、約0.001%〜0.01%のチメロサール、約0.1μg〜約1.0μgの鶏卵タンパク質、約1.0μg〜約5.0μgのポリミキシン、約1.0μg〜約5.0μgのネオマイシン、約0.1μg〜約0.5μgのベータプロピオラクトン、及び約0.001〜約0.05w/v%のノニルフェノールエトキシレートを含むサブユニットワクチンが本明細書で提供される。
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるサブユニットワクチンは、45μgの本明細書で提供されるfluポリペプチド(複数可)、1.0μg以下の水銀(チメロサール由来)、1.0μg以下の鶏卵タンパク質(すなわち、オボアルブミン)、3.75μg以下のポリミキシン、及び2.5μg以下のネオマイシンを含む0.5ml用量を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様では、本明細書で提供されるサブユニットワクチンは、1用量当たり、0.5μg以下のベータプロピオラクトン及び0.015w/v%以下のノニルフェノールエトキシレートをさらに含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施態様では、0.5ml用量のサブユニットワクチンは、充填済み注射器にパックされる。
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるサブユニットワクチンは、45μgの本明細書で提供されるfluポリペプチド(複数可)、25.0μgの水銀(チメロサール由来)、1.0μg以下の鶏卵タンパク質(すなわち、オボアルブミン)、3.75μg以下のポリミキシン、及び2.5μg以下のネオマイシンを含む5.0mlの多用量バイアル(1用量当たり、0.5ml)からなる。いくつかの実施態様では、本明細書で提供されるサブユニットワクチンは、1用量当たり、0.5μg以下のベータプロピオラクトン及び0.015w/v%以下のノニルフェノールエトキシレートをさらに含むか、又はそれらからなる。
具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、発育鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチンの成分(例えば、fluポリペプチド)は、発育鶏卵で増殖させたウイルスから単離される)。別の具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、発育鶏卵で増殖させなかったインフルエンザウイルスを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチンの成分(例えば、fluポリペプチド)は、発育鶏卵で増殖させなかったウイルスから単離される)。別の具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照されたい)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照されたい)で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチンの成分(例えば、fluポリペプチド)は、哺乳動物細胞で増殖させたウイルスから単離される)。別の具体的な実施態様では、サブユニットワクチン中のfluポリペプチド(複数可)は、発現ベクター、例えば、ウイルスベクター、植物ベクター、又は細菌ベクターを用いて調製される(すなわち、サブユニットワクチン中のfluポリペプチド(複数可)は、発現ベクターから得られる/単離される)。
(5.10.2 生ウイルスワクチン)
一実施態様では、fluポリペプチドを含む生ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が本明細書で提供される。別の実施態様では、組成物を投与される対象で産生される子孫ウイルスによって発現されるfluポリペプチドをコードするように改変されている生ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が本明細書で提供される。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは、膜結合型である。他の具体的な実施態様では、インフルエンザウイルスfluポリペプチドは膜結合型ではない、すなわち、可溶性である。特定の実施態様では、生ウイルスは、上の第5.4節に記載されているような、インフルエンザウイルスである。他の実施態様では、生ウイルスは、上の第5.5節に記載されているような、非インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様では、生ウイルスは弱毒化されている。いくつかの実施態様では、免疫原性組成物は、2つ、3つ、4つ、もしくはそれより多くの異なるfluポリペプチドを含むか、又はそれらを発現するように改変されている、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの生ウイルスを含む。
ある実施態様では、1用量当たり、本明細書に記載の1以上のfluポリペプチドを含む約105〜約1010蛍光焦点単位(FFU)の弱毒化生インフルエンザウイルス、約0.1〜約0.5mgのグルタミン酸一ナトリウム、約1.0〜約5.0mgの加水分解ブタ(procine)ゼラチン、約1.0〜約5.0mgのアルギニン、約10〜約15mgのスクロース、約1.0〜約5.0mgの二塩基性リン酸カリウム、約0.5〜約2.0mgのリン酸二水素カリウム、及び約0.001〜約0.05μg/mlの硫酸ゲンタマイシンを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が本明細書で提供される。いくつかの実施態様では、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.2ml用量を含む充填済み噴霧器としてパックされる。
具体的な実施態様では、1用量当たり、本明細書に記載の1以上のfluポリペプチドを含む106.5〜107.5FFUの弱毒化生インフルエンザウイルス、0.188mgのグルタミン酸一ナトリウム、2.0mgの加水分解ブタゼラチン、2.42mgのアルギニン、13.68mgのスクロース、2.26mgの二塩基性リン酸カリウム、0.96mgのリン酸二水素カリウム、及び0.015μg/ml未満の硫酸ゲンタマイシンを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が本明細書で提供される。いくつかの実施態様では、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.2ml用量を含む充填済み噴霧器としてパックされる。
具体的な実施態様では、fluポリペプチドを含む生ウイルスを、本明細書に記載の免疫原性組成物中でのその使用の前に、発育鶏卵で増殖させる。別の具体的な実施態様では、fluポリペプチドを含む生ウイルスを、本明細書に記載の免疫原性組成物中でのその使用の前に、発育鶏卵で増殖させない。別の具体的な実施態様では、fluポリペプチドを含む生ウイルスを、本明細書に記載の免疫原性組成物中でのその使用の前に、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照されたい)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照されたい)で増殖させる。
対象でのウイルスの増殖は、自然感染で起こるものと同様の種類及び程度の長期刺激をもたらし、そのため、かなりの長期持続性免疫を付与することができるので、対象への投与用の生ウイルスを含む免疫原性組成物が好ましい場合がある。
(5.10.3 不活化ウイルスワクチン)
一実施態様では、fluポリペプチドを含む不活化ウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が本明細書で提供される。具体的な実施態様では、fluポリペプチドは膜結合型である。特定の実施態様では、不活化ウイルスは、上の第5.4節に記載されているような、インフルエンザウイルスである。他の実施態様では、不活化ウイルスは、上の第5.5節に記載されているような、非インフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様では、免疫原性組成物は、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの異なるfluポリペプチドを含む、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの不活化ウイルスを含む。ある実施態様では、不活化ウイルス免疫原性組成物は、1以上のアジュバントを含む。
当業者に公知の技術を用いて、fluポリペプチドを含むウイルスを不活化することができる。一般的な方法は、不活化のためにホルマリン、熱、又は界面活性剤を用いる。例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、米国特許第6,635,246号を参照されたい。他の方法としては、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、米国特許第5,891,705号;第5,106,619号及び第4,693,981号に記載されているものが挙げられる。
ある実施態様では、免疫原性組成物の各用量が、約15〜約60μgの本明細書に記載のfluポリペプチド、約1.0〜約5.0mgの塩化ナトリウム、約20〜約100μgの一塩基リン酸ナトリウム、約100〜約500μgのリン酸水素ナトリウム、約5〜約30μgのリン酸二水素カリウム、約5〜約30μgの塩化カリウム、及び約0.5〜約3.0μgの塩化カルシウムを含むような、不活化インフルエンザウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が本明細書で提供される。いくつかの実施態様では、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.25ml又は単一の0.5mlの用量としてパックされる。他の実施態様では、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、多用量製剤としてパックされる。
ある実施態様では、免疫原性組成物の各用量が、1用量当たり、約15〜約60μgの本明細書に記載のfluポリペプチド、約0.001%〜0.01%のチメロサール、約1.0〜約5.0mgの塩化ナトリウム、約20〜約100μgの一塩基リン酸ナトリウム、約100〜約500μgのリン酸水素ナトリウム、約5〜約30μgのリン酸二水素カリウム、約5〜約30μgの塩化カリウム、及び約0.5〜約3.0μgの塩化カルシウムを含むような、不活化インフルエンザウイルスを含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン)が本明細書で提供される。いくつかの実施態様では、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.25ml又は単一の0.5mlの用量としてパックされる。他の実施態様では、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、多用量製剤としてパックされる。
具体的な実施態様では、本明細書で提供される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.25ml用量としてパックされ、1用量当たり、22.5μgの本明細書に記載のfluポリペプチド、2.05mgの塩化ナトリウム、40μgの一塩基リン酸ナトリウム、150μgのリン酸水素ナトリウム、10μgのリン酸二水素カリウム、10μgの塩化カリウム、及び0.75μgの塩化カルシウムを含む。
具体的な実施態様では、本明細書で提供される免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、単一の0.5ml用量としてパックされ、1用量当たり、45μgの本明細書に記載のfluポリペプチド、4.1mgの塩化ナトリウム、80μgの一塩基リン酸ナトリウム、300μgのリン酸水素ナトリウム、20μgのリン酸二水素カリウム、20μgの塩化カリウム、及び1.5μgの塩化カルシウムを含む。
具体的な実施態様では、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)は、5.0mlのワクチン(1用量当たり、0.5ml)を含むか、又はそれからなる多用量製剤としてパックされ、1用量当たり、24.5μgの水銀(チメロサール由来)、45μgの本明細書に記載のfluポリペプチド、4.1mgの塩化ナトリウム、80μgの一塩基リン酸ナトリウム、300μgのリン酸水素ナトリウム、20μgのリン酸二水素カリウム、20μgの塩化カリウム、及び1.5μgの塩化カルシウムを含む。
具体的な実施態様では、fluポリペプチドを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載の免疫原性組成物中での使用の前に、発育鶏卵で増殖させた。別の具体的な実施態様では、fluポリペプチドを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載の免疫原性組成物中での使用の前に、発育鶏卵で増殖させなかった。別の具体的な実施態様では、fluポリペプチドを含む不活化ウイルスを、その不活化及びその後の本明細書に記載の免疫原性組成物中での使用の前に、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照されたい)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、国際公開WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照されたい)で増殖させた。
(5.10.4 スプリットウイルスワクチン)
一実施態様では、fluポリペプチドを含む免疫原性組成物は、スプリットウイルスワクチンである。いくつかの実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの異なるfluポリペプチドを含む。ある実施態様では、fluポリペプチドは、膜結合型である/あった。ある実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、1以上のアジュバントを含む。
スプリットウイルスワクチンの産生技術は当業者に公知である。非限定的な例として、インフルエンザウイルススプリットワクチンは、界面活性剤で破壊された不活化粒子を用いて調製することができる。本明細書に記載の方法による使用に適合させることができるスプリットウイルスワクチンの一例は、筋肉内使用のためのFluzone(登録商標)インフルエンザウイルスワクチン(ゾーン精製、サブビリオン)であり、それを、発育鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスから調製される滅菌懸濁剤として製剤化する。ウイルス含有液を回収し、ホルムアルデヒドで不活化する。インフルエンザウイルスを、連続フロー遠心分離機を用いて、線形ショ糖密度勾配溶液中で濃縮し、精製する。次に、ウイルスを、非イオン性界面活性剤、オクトキシノール-9(Triton(登録商標)X-100-Union Carbide社の登録商標)を用いて化学的に破壊し、「スプリットウイルス」を生じさせる。次に、このスプリットウイルスを、化学手段によってさらに精製し、リン酸ナトリウム緩衝生理食塩液に懸濁する。
ある実施態様では、約10μg〜約60μgの本明細書に記載の1以上のfluポリペプチド、約0.01〜約1.0mgのオクトキシノール-10(TRITON X-100(登録商標))、約0.5〜0.5mgのα-トコフェリルハイドロジェンスクシネート、約0.1〜1.0mgのポリソルベート80(Tween 80)、約0.001〜約0.003μgのヒドロコルチゾン、約0.05〜約0.3μgの硫酸ゲンタマイシン(gentamcin)、約0.5〜約2.0μgの鶏卵タンパク質(オボアルブミン)、約25〜75μgのホルムアルデヒド、及び約25〜75μgのデオキシコール酸ナトリウムを含むスプリットウイルスワクチンが本明細書で提供される。
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるスプリットウイルスワクチンは、45μgの本明細書で提供されるfluポリペプチド(複数可)、0.085mg以下のオクトキシノール-10(TRITON X-100(登録商標))、0.1mg以下のα-トコフェリルハイドロジェンスクシネート、0.415mg以下のポリソルベート80(Tween 80)、0.0016μg以下のヒドロコルチゾン、0.15μg以下の硫酸ゲンタマイシン、1.0以下の鶏卵タンパク質(オボアルブミン)、50μg以下のホルムアルデヒド、及び50μg以下のデオキシコール酸ナトリウムを含む0.5ml用量を含むか、又はそれからなる。いくつかの実施態様では、0.5ml用量のサブユニットワクチンは、充填済み注射器にパックされる。
具体的な実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、発育鶏卵で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される。別の具体的な実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、発育鶏卵で増殖させなかったインフルエンザウイルスを用いて調製される。別の具体的な実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、哺乳動物細胞、例えば、不死化ヒト細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、WO 07/045674号として公開された国際出願PCT/EP2006/067566号を参照されたい)、又はイヌ腎臓細胞、例えば、MDCK細胞(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、WO 08/032219号として公開された国際出願PCT/IB2007/003536号を参照されたい)で増殖させたインフルエンザウイルスを用いて調製される。
(5.10.5 アジュバント)
ある実施態様では、本明細書に記載の組成物は、アジュバントを含むか、又はそれと併用投与される。本明細書に記載の組成物との併用投与のためのアジュバントは、該組成物の投与前、それと同時、又はその後に投与されてもよい。いくつかの実施態様では、用語「アジュバント」は、本明細書に記載の組成物とともに又はその一部として投与した場合、fluポリペプチドに対する免疫応答を強化、増強、及び/又は亢進するが、その化合物を単独で投与した場合、ポリペプチドに対する免疫応答を生じさせない化合物を指す。いくつかの実施態様では、アジュバントは、ポリペプチドに対する免疫応答を生じさせ、アレルギー又は他の有害反応を生じさせない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含むいくつかの機構によって、免疫応答を増強することができる。
ある実施態様では、アジュバントは、応答の定性的形態に影響を及ぼすポリペプチドの立体構造変化を引き起こすことなく、fluポリペプチドに対する固有の応答を強化する。アジュバントの具体的な例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3脱O-アシル化モノホスホリル脂質A(MPL)(GB 2220211号を参照されたい)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80;ICL Americas社)、イミダゾピリジン化合物(国際公開WO 2007/109812号として公開された国際出願PCT/US2007/064857号を参照されたい)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開WO 2007/109813号として公開された国際出願PCT/US2007/064858号を参照されたい)、及びサポニン、例えば、QS21(Kensilらの文献、ワクチンの設計:サブユニット及びアジュバント手法(Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach)(Powell及びNewman編, Plenum Press, NY, 1995);米国特許第5,057,540号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様では、アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、任意に免疫賦活剤、例えば、モノホスホリル脂質Aと組み合わせた、水中油エマルジョン(例えば、スクアレン又は落花生油)である(Stouteらの文献(N. Engl. J. Med. 336, 86-91(1997))を参照されたい)。別のアジュバントは、CpGである(Bioworld Today, 1998年11月15日)。そのようなアジュバントは、他の特異的免疫刺激剤、例えば、MPLもしくは3-DMP、QS21、重合体もしくは単量体のアミノ酸、例えば、ポリグルタミン酸もしくはポリリジン、又は上の第5.4節に記載されている他の免疫増強剤とともに、又はそれらなしで用いることができる。fluポリペプチドの異なる製剤が、異なるアジュバントを含み得るか、又は同じアジュバントを含み得ることを理解すべきである。
(5.11 予防的及び治療的使用)
一態様では、活性化合物、すなわち、本明細書に記載のfluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、又はそのようなポリペプチドで刺激された細胞を利用して、対象の免疫応答を誘導する方法が本明細書で提供される。具体的な実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドをコードする核酸又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドをコードする核酸又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドを含むかもしくは発現するウイルスベクター、又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。さらに別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドで刺激された細胞又はその医薬組成物の有効量を投与することを含む。ある実施態様では、本方法で用いられるfluポリペプチドは、哺乳動物細胞、植物細胞、又は昆虫細胞に由来する精製されたfluポリペプチドである。
具体的な実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のサブユニットワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の生ウイルスワクチンを投与することを含む。特定の実施態様では、生ウイルスワクチンは、弱毒化ウイルスを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の不活化ウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のウイルス様粒子ワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のウイロソームを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドを発現するかもしくは発現するように改変された細菌又はその組成物を投与することを含む。ある実施態様では、本方法で用いられるfluポリペプチドは、哺乳動物細胞、植物細胞、又は昆虫細胞に由来する精製されたfluポリペプチドである。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの任意の亜型又は株によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、一方のHAグループ(例えば、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13、及びH16を含むグループ1)に属し、もう一方のHAグループ(例えば、H3、H4、H7、H10、H14、及びH15を含むグループ2)に属さないインフルエンザウイルスの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。例えば、誘導される免疫応答は、H11、H13、H16、H9、H8、H12、H6、H1、H5、及びH2からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。或いは、誘導される免疫応答は、H3、H4、H14、H10、H15、及びH7からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、又は15の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの同じ亜型内の1以上の変異体によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H1N1とH2N2の両方の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。他の実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H1N1とH2N2の両方の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効でない。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H1N1、H2N2、及びH3N2の亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H3N2亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効である。他の実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、H3N2亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療するのに有効でない。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの任意の亜型又は株によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、一方のHAグループに属し、もう一方のHAグループに属さないインフルエンザウイルスの亜型によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。例えば、誘導される免疫応答は、H11、H13、H16、H9、H8、H12、H6、H1、H5、及びH2からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。或いは、誘導される免疫応答は、H3、H4、H14、H10、H15、及びH7からなるHAグループに属するインフルエンザウイルスによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効であり得る。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの亜型のいずれかによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、又は15の亜型のいずれかによって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルスの同じ亜型内の1以上の変異体によって引き起こされるインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療するのに有効である。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に起因する症状を軽減するのに有効である。インフルエンザウイルス疾患/感染の症状としては、体の痛み(特に、関節及び咽喉)、発熱、吐き気、頭痛、ひりひり痛む目、疲労、咽喉炎、赤くなった目又は皮膚、並びに腹痛が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に罹患している対象の入院を減少させるのに有効である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物によって誘導される免疫応答は、インフルエンザウイルス疾患/感染に罹患している対象の入院期間を短縮するのに有効である。
別の態様では、本明細書に記載の活性化合物(例えば、本明細書に記載のfluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター、又はそのようなポリペプチドで刺激された細胞)或いは組成物を利用して、対象のインフルエンザウイルス感染を予防及び/又は治療する方法が本明細書で提供される。一実施態様では、対象のインフルエンザウイルス感染を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター、又は上記のいずれか1つの組成物を投与することを含む。具体的な実施態様では、対象のインフルエンザウイルス感染を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、サブユニットワクチン、生ウイルスワクチン、不活化ウイルスワクチン、スプリットウイルスワクチン、又はウイルス様粒子ワクチンを投与することを含む。具体的な実施態様では、インフルエンザウイルス感染は、A型インフルエンザウイルスによって引き起こされる。他の実施態様では、インフルエンザウイルス感染は、B型又はC型インフルエンザウイルスによって引き起こされる。
別の態様では、本明細書に記載のfluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター、又はそのようなポリペプチドで刺激された細胞を利用して、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法が本明細書で提供される。具体的な実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチド又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドをコードする核酸又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドを含むかもしくは発現するウイルスベクター、又はその免疫原性組成物の有効量を投与することを含む。さらに別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドで刺激された細胞又はその医薬組成物の有効量を投与することを含む。
具体的な実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載されるサブユニットワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の生ウイルスワクチンを投与することを含む。特定の実施態様では、生ウイルスワクチンは、弱毒化ウイルスを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の不活化ウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のスプリットウイルスワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、インフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のウイルス様粒子ワクチンを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載のウイロソームを投与することを含む。別の実施態様では、対象のインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、fluポリペプチドを発現するかもしくは発現するように改変された細菌又はその組成物を投与することを含む。具体的な実施態様では、インフルエンザウイルス疾患は、A型インフルエンザウイルスの存在に起因するか、又はそれと関連する。他の実施態様では、インフルエンザウイルス疾患は、B型インフルエンザウイルスの存在に起因するか、又はそれと関連する。
別の態様では、本明細書に記載の中和抗体を投与することによって、対象でインフルエンザウイルス疾患を予防及び/又は治療する方法が本明細書で提供される。具体的な実施態様では、対象でインフルエンザウイルス疾患を予防又は治療する方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載の中和抗体、又はその医薬組成物の有効量を投与することを含む。特定の実施態様では、中和抗体はモノクローナル抗体である。ある実施態様では、中和抗体は、Wangらの文献(2010)「異なる血球凝集素による連続免疫後のH3インフルエンザウイルスに対する広範防御性モノクローナル抗体(Broadly Protective Monoclonal Antibodies against H3 Influenza Viruses following Sequential Immunization with Different Hemagglutinins)」(PLOS Pathogens 6(2):1-9)に記載される抗体でない。ある実施態様では、中和抗体は、PCT/US2010/036170号に記載されている抗体ではない。
ある実施態様では、本明細書で提供される、対象(例えば、ヒト又は非ヒト動物)のインフルエンザウイルス疾患又は感染を予防又は治療する方法は、当業者に公知かつ本明細書に記載のインビボ及びインビトロアッセイで測定したときに、対象でのインフルエンザウイルスの複製の低減をもたらす。いくつかの実施態様では、インフルエンザウイルスの複製は、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2log〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9log低減される。
(5.11.1 併用療法)
様々な態様では、本明細書に記載のfluポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、そのようなポリペプチドを含むかもしくは発現するベクター(例えば、ウイルスベクターもしくは細菌)、そのようなポリペプチドで刺激された細胞、又は中和抗体は、1以上の他の療法(例えば、抗ウイルス療法、抗細菌療法、もしくは免疫調節療法)との併用で対象に投与することができる。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の医薬組成物(例えば、免疫原性組成物)は、1以上の療法との併用で対象に投与することができる。1以上の他の療法は、インフルエンザウイルス疾患の治療もしくは予防に有益であることができるか、又はインフルエンザウイルス疾患と関連する症状もしくは状態を改善することができる。いくつかの実施態様では、1以上の他の療法は、鎮痛剤、解熱薬、又は呼吸を楽にするかもしくは助ける療法である。ある実施態様では、療法は、5分未満の間隔、30分未満の間隔、1時間の間隔、約1時間の間隔、約1〜約2時間の間隔、約2時間〜約3時間の間隔、約3時間〜約4時間の間隔、約4時間〜約5時間の間隔、約5時間〜約6時間の間隔、約6時間〜約7時間の間隔、約7時間〜約8時間の間隔、約8時間〜約9時間の間隔、約9時間〜約10時間の間隔、約10時間〜約11時間の間隔、約11時間〜約12時間の間隔、約12時間〜18時間の間隔、18時間〜24時間の間隔、24時間〜36時間の間隔、36時間〜48時間の間隔、48時間〜52時間の間隔、52時間〜60時間の間隔、60時間〜72時間の間隔、72時間〜84時間の間隔、84時間〜96時間の間隔、又は96時間〜120時間の間隔で投与される。具体的な実施態様では、2種以上の療法が、同じ患者(patent)診察時に投与される。
当業者に周知の任意の抗ウイルス剤を、本明細書に記載の活性化合物又は医薬組成物と併用することができる。抗ウイルス剤の非限定的な例としては、その受容体へのウイルスの付着、細胞内へのウイルスの内在化、ウイルスの複製、又は細胞からのウイルスの放出を阻害及び/又は低減する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、及び小分子が挙げられる。特に、抗ウイルス剤としては、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、及びリバビリン)、フォスカーネット、アマンタジン、ペラミビル、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、α-インターフェロン及び他のインターフェロン、AZT、ザナミビル(Relenza(登録商標))、並びにオセルタミビル(Tamiflu(登録商標))が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗ウイルス剤としては、インフルエンザウイルスワクチン、例えば、Fluarix(登録商標)(GlaxoSmithKline)、FluMist(登録商標)(MedImmune Vaccines)、Fluvirin(登録商標)(Chiron社)、Flulaval(登録商標)(GlaxoSmithKline)、Afluria(登録商標)(CSL Biotherapies社)、Agriflu(登録商標)(Novartis)、又はFluzone(登録商標)(Aventis Pasteur)が挙げられる。
具体的な実施態様では、抗ウイルス剤は、ウイルス抗原に特異的である免疫調節剤である。特定の実施態様では、ウイルス抗原は、血球凝集素ポリペプチド以外のインフルエンザウイルスポリペプチドである。他の実施態様では、ウイルス抗原は、fluポリペプチドである。
当業者に公知の任意の抗細菌剤を、本明細書に記載の活性化合物又は医薬組成物と併用することができる。抗細菌剤の非限定的な例としては、アミカシン、アモキシシリン、アモキシシリン-クラブラン酸、アンホテリシンB、アンピシリン、アンピシリン(Ampicllin)-スルバクタム、アプラマイシン、アジスロマイシン、アズトレオナム、バシトラシン、ベンジルペニシリン、カスポファンギン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファロチン、セファゾリン、セフジニル、セフェピム、セフィキシム、セフメノキシム、セフォペラゾン、セフォペラゾン-スルバクタム、セフォタキシム、セフォキシチン、セフピロム、セフポドキシム、セフポドキシム-クラブラン酸、セフポドキシム-スルバクタム、セフプロジル、セフキノム、セフタジジム、セフチブテン(Ceftibutin)、セフチオフル、セフトビプロール、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリナフロキサシン、クリンダマイシン、クロキサシリン、コリスチン、コトリモキサゾール(トリムトプリム/スルファメトキサゾール)、ダルババンシン、ダルフォプリスチン/キノプリスチン、ダプトマイシン、ジベカシン、ジクロキサシリン、ドリペネム、ドキシサイクリン、エンロフロキサシン、エルタペネム、エリスロマイシン、フルクロキサシリン、フルコナゾール、フルシトシン、ホスホマイシン、フシジン酸、ガレノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、ゲンタマイシン、イミペネム、イトラコナゾール、カナマイシン、ケトコナゾール、レボフロキサシン、リンコマイシン、リネゾリド、ロラカルベフ、メシルナム(アムジノシリン)、メロペネム、メトロニダゾール、メジオシリン、メズロシリン-スルバクタム、ミノサイクリン、モキシフロキサシン、ムピロシン、ナリジキシン酸、ネオマイシン、ネチルマイシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキサシリン、ペフロキサシン、ペニシリンV、ピペラシリン、ピペラシリン-スルバクタム、ピペラシリン-タゾバクタム、リファンピシン、ロキシスロマイシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、スルバクタム、スルファメトキサゾール、テイコプラニン、テラバンシン、テリスロマイシン、テモシリン、テトラサイクリン、チカルシリン、チカルシリン-クラブラン酸、チゲサイクリン、トブラマイシン、トリメトプリム、トロバフロキサシン、タイロシン、バンコマイシン、バージニアマイシン及びボリコナゾールが挙げられる。
いくつかの実施態様では、併用療法は、第5.4節〜第5.7節に記載の2以上の異なるベクターの投与を含む。一例では、A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現する1以上のベクター及びB型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現する1以上のベクターを併用投与する。いくつかの実施態様では、併用療法は、H3 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクター及びH1 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクターの投与を含む。いくつかの実施態様では、併用療法は、H3 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクター、H1 A型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクター、及びB型インフルエンザウイルスに由来するfluポリペプチドを発現するベクターの投与を含む。
いくつかの実施態様では、併用療法は、もう一方のHAグループ(例えば、グループ2)の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのHA亜型に対する免疫応答を誘導する活性化合物と併用した、一方のHAグループ(例えば、グループ1)の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くのHA亜型に対する免疫応答を誘導する活性化合物による能動免疫を含む。
いくつかの実施態様では、併用療法は、第5.1節に記載の2以上のfluポリペプチドによる能動免疫を含む。
ある実施態様では、併用療法は、A型インフルエンザウイルスに由来する1つ、2つ、又はそれより多くのfluポリペプチド、及びB型インフルエンザウイルスに由来する1以上のfluポリペプチドによる能動免疫を含む。
(5.11.2 患者集団)
ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、未感作の対象、すなわち、インフルエンザウイルス感染に起因する疾患を有していないか、又はインフルエンザウイルス感染症に感染したことがなく、かつ現在それに感染していない対象に投与することができる。一実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、インフルエンザウイルス感染を獲得する危険のある未感作の対象に投与される。一実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、fluポリペプチドが免疫応答を誘導する、特定のインフルエンザウイルスによって引き起こされる疾患を有していないか、又は特定のインフルエンザウイルスに感染したことがなく、かつそれに感染していない対象に投与される。本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、fluポリペプチドが免疫応答を誘導する、インフルエンザウイルス、又はインフルエンザウイルスの別の型、亜型、もしくは株に感染している対象、及び/或いはそれらに感染したことがある対象に投与することができる。
ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、インフルエンザウイルス感染と診断された患者に投与される。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、症状が現われるか又は症状が重くなる前に(例えば、患者が入院を必要とする前に)、インフルエンザウイルス感染患者に投与される。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、その活性化合物又は組成物のfluポリペプチドが由来したインフルエンザウイルスの型と異なる型のインフルエンザウイルスに感染しているか、又はそう診断された患者に投与される。
ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、インフルエンザfluポリペプチドのHAグループと同じHAグループに属するインフルエンザウイルスに感染している可能性があるか、又はそれに感染している患者に投与される。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、インフルエンザfluポリペプチドの亜型と同じ亜型のインフルエンザウイルスに感染している可能性があるか、又はそれに感染している患者に投与される。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、動物である。ある実施態様では、動物は鳥である。ある実施態様では、動物はイヌである。ある実施態様では、動物はネコである。ある実施態様では、動物はウマである。ある実施態様では、動物はウシである。ある実施態様では、動物は哺乳動物、例えば、ウマ、ブタ、マウス、又は霊長類、好ましくはヒトである。
ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、ヒト成人である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、50歳を超えるヒト成人である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、高齢のヒト対象である。
ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、ヒト小児である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、ヒト乳児である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与される対象は、ヒト早産児である。いくつかの実施態様では、本明細書で提供される方法に従って治療又は予防される患者は、ヒト幼児である。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与される対象は、月齢6カ月未満の乳児ではない。具体的な実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、2歳以下である。
具体的な実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、月齢6カ月を超える任意の乳児又は小児、及び50歳を超える任意の成人である。他の実施態様では、対象は妊娠個体である。別の実施態様では、対象は、インフルエンザシーズン(例えば、11月から4月)中に妊娠の可能性又はその予定がある個体である。具体的な実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべき対象は、1、2、3、4、5、6、7、又は8週間前に出産した女性である。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス感染に起因する疾患の危険が高い任意の個体(例えば、免疫障害又は免疫不全個体)である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス感染に起因する疾患の危険が高い個体(例えば、免疫障害又は免疫抑制個体)と密接に接触する任意の個体である。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス感染に起因する合併症もしくは疾患に対する感受性を高める任意の病気に罹患した個体である。他の実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、インフルエンザウイルス感染によって、個体が罹患するか、又は個体が危険に曝される別の病気の合併症が増加する可能性を有する対象に投与される。特定の実施態様では、インフルエンザウイルス合併症に対する感受性を高める病気、又はインフルエンザウイルスによってその病気と関連する合併症が増加する病気は、例えば、肺を侵す病気、例えば、嚢胞性線維症、気腫、喘息、又は細菌感染症(例えば、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、及びトラコーマ病原体(Chlamydia trachomatus)によって引き起こされる感染症);心血管疾患(例えば、先天性心臓疾患、鬱血性心不全、及び冠動脈疾患);内分泌障害(例えば、糖尿病)、神経学的障害及びニューロン発達障害(例えば、脳、脊髄、末梢神経、及び筋肉の障害(例えば、脳性麻痺、癲癇(発作性疾患)、脳卒中、知的障害(例えば、精神遅滞)、筋ジストロフィー、及び脊髄損傷))である。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、グループホーム、例えば、老人ホームに在住する個体である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、グループホーム、例えば、老人ホームで勤務するか、又はそこでかなりの時間を過ごす。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、医療従事者(例えば、医師又は看護士)である。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、喫煙者である。具体的な実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物が投与されるべきヒト対象は、免疫障害又は免疫抑制を起こしている。
さらに、本明細書に記載の活性化合物又は組成物を投与することができる、インフルエンザの合併症を発症する危険が高い対象には、以下の者が含まれる:合併症の危険が高い者にインフルエンザウイルスを伝染させることができる個体、例えば、6カ月未満の乳児を含むことになる家族を含む、高リスク個体がいる家族の構成員、6カ月未満の乳児と接触する個体、又は老人ホームもしくは他の長期介護施設に住む個体と接触する個体;長期にわたる肺、心臓、又は循環障害を有する個体;代謝性疾患(例えば、糖尿病)を有する個体;腎臓障害を有する個体;血液障害(貧血又は鎌状赤血球症を含む)を有する個体;弱くなった免疫系(医薬品、悪性腫瘍、例えば、癌、臓器移植、又はHIV感染に起因する免疫抑制を含む)を有する個体;長期アスピリン療法を受けている(そのため、インフルエンザに感染した場合、ライ症候群を起こす可能性が高い)小児。
他の実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物の投与の対象には、以下の、生後6カ月以上の健康な個体が含まれる:4月から9月にかけて、例えば、熱帯地方及び南半球などの、インフルエンザの大発生が起こり得る外国及び地域に旅行する予定のある者;インフルエンザウイルスが蔓延している世界の地域から来た者を含む可能性がある大きな組織的観光団の一員として旅行する者;学校もしくは大学に通い、寄宿舎に住むか、もしくは施設環境に住む者;又は自分がインフルエンザで病気になる危険を減らしたい者。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物の投与が禁忌である対象には、インフルエンザワクチン接種が禁忌である以下の任意の個体が含まれる:生後6カ月未満の乳児;及び免疫原性製剤の生産で用いられる卵、卵製品、又は他の成分に対してアナフィラキシー反応(ショックが続発することが多い呼吸困難を引き起こすアレルギー反応)を経験したことがある個体。ある実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物の投与が、免疫原性製剤の生産で用いられる1以上の成分のために(例えば、卵又は卵製品の存在のために)禁忌である場合、該活性化合物又は組成物を、活性化合物又は組成物の投与を禁忌にする成分を含まない方法で生産することができる(例えば、該活性化合物又は組成物を、卵又は卵製品を使用しないで生産することができる)。
いくつかの実施態様では、以下の患者集団の1つ又は複数に生ウイルスワクチンを投与しないことが望ましい場合がある:高齢者;生後6カ月未満の乳児;妊娠個体;1歳未満の乳児;2歳未満の小児;3歳未満の小児;4歳未満の小児;5歳未満の小児;20歳未満の成人;25歳未満の成人;30歳未満の成人;35歳未満の成人;40歳未満の成人;45歳未満の成人;50歳未満の成人;70歳を超える高齢者;75歳を超える高齢者;80歳を超える高齢者;85歳を超える高齢者;90歳を超える高齢者;95歳を超える高齢者;その年齢層でのアスピリン及び野生型インフルエンザウイルス感染と関連する合併症が理由で、アスピリンもしくはアスピリン含有医薬品を服用している小児及び若者(2〜17歳);喘息又は他の反応性気道疾患の病歴がある個体;重度のインフルエンザ感染の素因となり得る慢性の医学的基礎疾患を有する個体;ギランバレー症候群の病歴がある個体;発熱を伴う急性の重篤な疾患を有する個体;又は中程度もしくは重度の病気である個体。そのような個体については、本明細書に記載の不活化ウイルスワクチン、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、ウイロソーム、ウイルス様粒子、又は非ウイルスベクターの投与が好ましい場合がある。ある実施態様では、生ウイルスワクチンを投与することが好ましい対象には、2〜17歳の健康な小児及び若者、並びに18〜49歳の健康な成人が含まれ得る。
ある実施態様では、生ウイルスベクターを含む免疫原性製剤は、他の生ウイルスワクチンと同時に投与されない。
(5.12 投与様式)
(5.12.1 送達経路)
本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、種々の経路によって対象に送達することができる。これらには、鼻腔内、気管内、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、結膜内、及び皮下経路が含まれるが、これらに限定されない。具体的な実施態様では、本明細書に記載の活性化合物又は組成物は、皮下経路で対象に送達される。いくつかの実施態様では、組成物は、局所投与用に、例えば、皮膚への塗布用に製剤化される。具体的な実施態様では、投与経路は、例えば、鼻スプレーの一部として、鼻腔内へのものである。ある実施態様では、組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。いくつかの実施態様では、組成物は、皮下投与用に製剤化される。ある実施態様では、組成物は、注射による投与用には製剤化されない。生ウイルスワクチンのための具体的な実施態様では、ワクチンは、注射以外の経路による投与用に製剤化される。
例えば、抗原がウイルスベクター、ウイルス様粒子ベクター、又は細菌ベクターである場合、ベクターが由来する骨格ウイルス又は細菌の天然の感染経路から免疫原性組成物を導入することが好ましいと考えられる。或いは、ポリペプチドが由来するインフルエンザウイルスの天然の感染経路からfluポリペプチドを導入することが好ましい場合がある。激しい分泌性及び細胞性免疫応答を誘導する抗原、特に、ウイルスベクターの能力を有利に用いることができる。例えば、ウイルスベクターによる気道の感染は、インフルエンザウイルスからの防御を同時に伴って、例えば、泌尿器系での強い分泌性免疫応答を誘導することができる。さらに、好ましい実施態様では、任意の好適な経路によって医薬組成物を肺に導入することが望ましい場合がある。肺投与は、例えば、吸入器又はネブライザー、及び噴霧剤として用いるためのエアゾール化剤を含む製剤の使用によって利用することもできる。
具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、鼻腔内投与される。具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、筋肉内投与される。別の具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、皮下投与される。別の具体的な実施態様では、サブユニットワクチンは、皮内投与される。
具体的な実施態様では、生ウイルスワクチンは、鼻腔内投与される。具体的な実施態様では、生ウイルスワクチンは、筋肉内投与される。別の具体的な実施態様では、生ウイルスワクチンは、皮下投与される。別の具体的な実施態様では、生ウイルスワクチンは、皮内投与される。
具体的な実施態様では、不活化ウイルスワクチンは、鼻腔内投与される。具体的な実施態様では、不活化ウイルスワクチンは、筋肉内投与される。別の具体的な実施態様では、不活化ウイルスワクチンは、皮下投与される。別の具体的な実施態様では、不活化ウイルスワクチンは、皮内投与される。
具体的な実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、鼻腔内投与される。具体的な実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、筋肉内投与される。別の具体的な実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、皮下投与される。別の具体的な実施態様では、スプリットウイルスワクチンは、皮内投与される。
具体的な実施態様では、ウイルス様粒子又はその組成物は、鼻腔内投与される。具体的な実施態様では、ウイルス様粒子又はその組成物は、筋肉内投与される。別の具体的な実施態様では、spウイルス様粒子又はその組成物は、皮下投与される。別の具体的な実施態様では、ウイルス様粒子又はその組成物は、皮内投与される。
いくつかの実施態様では、インビトロでfluポリペプチドで刺激された細胞は、当業者に公知の技術を用いて対象に導入(又は再導入)することができる。いくつかの実施態様では、該細胞は、真皮内に、真皮下に、又は末梢血流中に導入することができる。いくつかの実施態様では、対象に導入される細胞は、有害な免疫応答を回避するために、その対象に由来する細胞であることが好ましい。他の実施態様では、同様の免疫バックグラウンドを有するドナー宿主に由来する細胞を用いることもできる。有害な免疫原性応答を回避するように設計されたものを含む、他の細胞を用いることもできる。
(5.12.2 投薬量及び投与頻度)
インフルエンザウイルス感染又はインフルエンザウイルス疾患の治療及び/又は予防で有効である活性化合物又は組成物の量は疾患の性質によって決まり、標準的な臨床技術で決定することができる。
製剤で使用すべき正確な用量は、投与経路、及び感染又はそれに起因する疾患の重篤度によっても決まり、臨床医の判断及び各対象の状況に従って決定されるべきである。例えば、有効用量は、投与手段、標的部位、患者の生理的状態(年齢、体重、健康を含む)、患者がヒトであるか動物であるかということ、投与される他の医薬品、及び治療が予防的であるか治療的であるかということによって異なってもよい。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物を治療することもできる。治療投薬量は、安全性及び有効性を最適化するために最適に調節される。
ある実施態様では、最適な投薬量範囲の特定を助けるために、インビトロアッセイが用いられる。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から得られる、用量応答曲線から推定することができる。
fluポリペプチドをコードする核酸の例示的な用量の範囲は、患者1人当たり、約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、又は30〜300μgの核酸、例えば、DNAである。
ある実施態様では、(例えば、スプリットウイルスワクチン及びサブユニットワクチン中に提供される)fluポリペプチド(複数可)の例示的な用量の範囲は、患者1キログラム当たり、約5μg〜100mg、15μg〜50mg、15μg〜25mg、15μg〜10mg、15μg〜5mg、15μg〜1mg、15μg〜100μg、15μg〜75μg、5μg〜50μg、10μg〜50μg、15μg〜45μg、20μg〜40μg、又は25〜35μgである。他の実施態様では、fluポリペプチド(複数可)の例示的な用量の範囲は、1用量当たり、約1μg〜50mg、5μg〜50mg、1μg〜100mg、5μg〜100mg、15μg〜50mg、15μg〜25mg、15μg〜10mg、15μg〜5mg、15μg〜1mg、15μg〜100μg、15μg〜75μg、5μg〜50μg、10μg〜50μg、15μg〜45μg、20μg〜40μg、又は25〜35μgのfluポリペプチド(複数可)である。ある実施態様では、fluポリペプチド(複数可)の例示的な用量は、1用量当たり、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50μgのfluポリペプチド(複数可)を含む。ある実施態様では、fluポリペプチド(複数可)の例示的な用量は、1用量当たり、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100μgのfluポリペプチド(複数可)を含む。
感染性ウイルスベクターの用量は、1用量当たり、ビリオン数が10〜100個、又はそれより多くまで様々であることができる。いくつかの実施態様では、ウイルスベクターの好適な投薬量は、102、5×102、103、5×103、104、5×104、105、5×105、106、5×106、107、5×107、108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011、又は1012pfuであり、必要とされるだけの間隔で、1回、2回、3回、又はそれより多くの回数、対象に投与することができる。
ある実施態様では、VLPの例示的な用量の範囲は、患者1kg当たり、約0.01μg〜約100mg、約0.1μg〜約100mg、約5μg〜約100mg、約15μg〜約50mg、約15μg〜約25mg、約15μg〜約10mg、約15μg〜約5mg、約15μg〜約1mg、約15μg〜約100μg、約15μg〜約75μg、約5μg〜約50μg、約10μg〜約50μg、約15μg〜約45μg、約20μg〜約40μg、又は約25〜約35μgである。他の実施態様では、fluポリペプチドの例示的な用量の範囲は、1用量当たり、約1μg〜約50mg、約5μg〜約50mg、約1μg〜約100mg、約5μg〜約100mg、約15μg〜約50mg、約15μg〜約25mg、約15μg〜約10mg、約15μg〜約5mg、約15μg〜約1mg、約15μg〜約100μg、約15μg〜約75μg、約5μg〜約50μg、約10μg〜約50μg、約15μg〜約45μg、約20μg〜約40μg、又は約25〜約35μgのfluポリペプチド(複数可)であり、必要とされるだけの間隔で、1回、2回、3回、又はそれより多くの回数、対象に投与することができる。
一実施態様では、不活化ワクチンは、それが約5μg〜約50μg、約10μg〜約50μg、約15μg〜約100μg、約15μg〜約75μg、約15μg〜約50μg、約15μg〜約30μg、約20μg〜約50μg、約25μg〜約40μg、約25μg〜約35μgのfluポリペプチド(複数可)を含むように製剤化される。そのようなワクチンは、1以上の異なるfluポリペプチド、例えば、A型インフルエンザウイルス由来の1以上のfluポリペプチドとB型インフルエンザウイルス由来の1以上のfluポリペプチドの組合せを含むことができる。一実施態様では、弱毒化生インフルエンザワクチン(LAIV)は、0.2mL用量が少なくとも1つのfluポリペプチドを発現する3種の株に由来する、106.5〜7.5蛍光焦点単位の弱毒化生インフルエンザウイルスを含むように製剤化される。
ある実施態様では、活性化合物又は組成物は、単一用量として1回、対象に投与される。ある実施態様では、活性化合物又は組成物は、単一用量として、次いで3〜6週間後に2回目の用量として、対象に投与される。これらの実施態様に従って、2回目の接種の後に6〜12カ月間隔で、追加免疫接種を対象に投与することができる。ある実施態様では、追加免疫接種は、異なる活性化合物又は組成物を利用することができる。いくつかの実施態様では、同じ活性化合物又は組成物の投与を繰り返すことができ、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月の間隔を空けることができる。ある実施態様では、活性化合物又は組成物は、単一用量として1年に1回、対象に投与される。
小児への投与のための具体的な実施態様では、少なくとも1カ月間隔で与えられる、活性化合物又は組成物の2用量が小児に投与される。成人への投与のための具体的な実施態様では、単一用量が与えられる。別の実施態様では、少なくとも1カ月間隔で与えられる、活性化合物又は組成物の2用量が成人に投与される。別の実施態様では、若年小児(6カ月〜9歳)には、1カ月間隔で与えられる2用量の活性化合物又は組成物を初めて投与することができる。特定の実施態様では、その最初のワクチン接種の年に1用量だけ投与された小児には、その翌年に2用量が投与されるべきである。いくつかの実施態様では、インフルエンザワクチン、例えば、本明細書に記載の免疫原性製剤を初めて投与される2〜8歳の小児には、4週間の間隔で投与される2用量が好ましい。ある実施態様では、3歳を超える対象に好ましい可能性がある0.5mlとは対照的に、生後6〜35カ月の小児には、半用量(0.25ml)が好ましい場合がある。
特定の実施態様では、活性化合物又は組成物は、秋又は冬に、すなわち、各半球のインフルエンザシーズンの前又はその期間中に、対象に投与される。一実施態様では、2回目の用量をインフルエンザシーズンのピークの前に与えることができるように、小児には、該シーズンの初め、例えば、9月下旬又は10月初旬に1回目の用量が投与される。
ある実施態様では、活性化合物又はその組成物は、2、3、4、5、又はそれより多い用量で、2週間、3週間、4週間、5週間、又は6週間の間隔で対象に投与される。いくつかの実施態様では、2、3、4、5、又はそれより多い用量の活性化合物又はその組成物は、1μg〜20mg、10μg〜20mg、500μg〜20mg、1mg〜20mg、又は5mg〜20mgの投薬量で、2週間、3週間、4週間、5週間、又は6週間の間隔で対象に投与される。ある実施態様では、投与される活性化合物又はその組成物は、毎回同じものである。ある実施態様では、投与されるfluポリペプチド又はその組成物は、毎回違うものである。
fluポリペプチドに結合する抗体による受動免疫について、投薬量の範囲は、患者の体重1kg当たり、約0.0001〜100mg、より一般的には0.01〜5mgである。例えば、投薬量は、体重1kg当たり、1mgもしくは10mg、又は1〜10mgの範囲、すなわち、70kgの患者の場合、それぞれ、70mgもしくは700mg、又は70〜700mgの範囲であることができる。例示的な治療レジメンは、1年もしくは数年の間、又は数年間隔で、2週間毎に1回、又は月に1回、又は3〜6カ月毎に1回の投与を必要とする。いくつかの方法では、異なる結合特異性を有する2種以上のモノクローナル抗体が同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投薬量は示された範囲に含まれる。抗体は、通常、複数の機会に投与される。単一の投薬の間隔は、毎週、毎月、又は毎年であることができる。間隔は、患者でfluポリペプチドに対する抗体の血液レベルを測定することにより示されるように、不規則であることができる。
(5.13 生物学的アッセイ)
(5.13.1 インフルエンザfluポリペプチドの活性を試験するためのアッセイ)
本明細書に開示されているベクターでfluポリペプチドの発現を試験するためのアッセイは、当技術分野で公知の任意のアッセイを用いて実施することができる。例えば、ウイルスベクターへの組込みについてのアッセイは、この節又は第5.4節もしくは第5.5節に記載されているように、ウイルスを増殖させること、ショ糖クッションに通す遠心分離によってウイルス粒子を精製すること、及び当技術分野で周知の方法を用いるイムノアッセイ、例えば、ウェスタンブロットによるfluポリペプチド発現についてのその後の解析を含む。
一実施態様では、本明細書で開示されているfluポリペプチドは、当技術分野で公知の抗体抗原相互作用のアッセイを用いてfluポリペプチドに対する抗体に特異的に結合するその能力を試験することにより、適切なフォールディング及び機能性についてアッセイされる。そのようなアッセイで用いられる抗体としては、例えば、Wangらの文献(2010)「異なる血球凝集素による連続免疫後のH3インフルエンザウイルスに対する広範防御性モノクローナル抗体(Broadly Protective Monoclonal Antibodies against H3 Influenza Viruses following Sequential Immunization with Different Hemagglutinins)」(PLOS Pathogens 6(2):1-9)、国際公開PCT/US2010/036170号、及びU.S.12/778,103号に記載されている中和抗体が挙げられる。
別の実施態様では、本明細書に開示されているfluポリペプチドは、例えば、NMR、X線結晶学的方法、又は二次構造予測法、例えば、円二色性などの、当技術分野で公知の任意の方法を用いるfluポリペプチドの構造又は立体構造の決定により、適切なフォールディングについてアッセイされる。
(5.13.2 インフルエンザfluポリペプチドを用いて作製された抗体の活性を試験するためのアッセイ)
本明細書に記載の抗体は、当業者に公知の種々の方法(例えば、ELISA、表面プラズモン共鳴ディスプレイ(BIAcore)、ウェスタンブロット、免疫蛍光、免疫染色、及び/又は微量中和アッセイ)で特徴付けることができる。いくつかの実施態様では、抗体は、fluポリペプチド、又は該ポリペプチドを含むベクターに特異的に結合する能力についてアッセイされる。そのようなアッセイは、溶液中で(例えば、Houghtenの文献(1992, Bio/Techniques 13:412 421))、ビーズ表面で(Lamの文献(1991, Nature 354:82 84))、チップ表面で(Fodorの文献(1993, Nature 364:555 556))、細菌を用いて(米国特許第5,223,409号)、胞子を用いて(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;及び第5,223,409号)、プラスミドを用いて(Cullらの文献(1992, Proc Natl. Acad. Sci. USA 89:1865 1869))、又はファージを用いて(Scott及びSmithの文献(1990, Science 249:386 390);Cwirlaらの文献(1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378 6382);及びFeliciの文献(1991, J. Mol. Biol. 222:301 310))実施することができる(その各々は、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている)。
fluポリペプチドに対する抗体の特異的結合及び他の抗原との交差反応性は、当技術分野で公知の任意の方法で評価することができる。特異的結合及び交差反応性を解析するために用いることができるイムノアッセイには、少し例を挙げれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどの技術を用いる、競合的及び非競合的アッセイ系が含まれるが、これらに限定されない。そのようなアッセイはルーチンであり、かつ当技術分野で周知である(例えば、引用によりその全体が本明細書中に組み込まれている、Ausubelら編の文献(1994,分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), 1巻, John Wiley & Sons社, New York)を参照されたい)。
fluポリペプチドに対する抗体の結合親和性及び抗体抗原相互作用の解離速度は、競合的結合アッセイによって測定することができる。競合的結合アッセイの一例は、漸増する量の非標識抗原の存在下での標識抗原(例えば、3H又は125I)と関心対象の抗体とのインキュベーション、及び標識抗原に結合した抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。fluポリペプチドに対する抗体の親和性及び結合解離速度は、スキャッチャードプロット解析によるデータから測定することができる。二次抗体との競合もラジオイムノアッセイを用いて測定することができる。この場合、fluポリペプチドは、漸増する量の非標識二次抗体の存在下で、標識化合物(例えば、3H又は125I)と結合させた試験抗体とともにインキュベートされる。
ある実施態様では、抗体結合親和性及び速度定数は、KinExA 3000システム(Sapidyne Instruments、Boise、ID)を用いて測定される。いくつかの実施態様では、fluポリペプチドに対する抗体の結合及び解離速度を測定するために、表面プラズモン共鳴(例えば、BIAcore動態)解析を用いる。BIAcore動態解析は、その表面にfluポリペプチドに対する抗体が固定されたチップからのfluポリペプチドの結合及び解離を解析することを含む。典型的なBIAcore動態試験は、fluポリペプチドが固定されているセンサーチップ表面への、0.005%のTween20を含むHBS緩衝液中の様々な濃度の250μLの抗体試薬(mAb、Fab)の注入を含む。流速は、75μL/分で一定に保たれる。解離データは、必要に応じて15分間又はそれより長く収集される。各注入/解離サイクルの後、結合抗体は、希酸、通常、10〜100mM HClの短い1分間の投入を用いて、fluポリペプチド表面から除去されるが、状況が許せば、他の再生剤を用いる。より具体的には、結合速度kon及び解離速度koffの測定のために、ポリペプチドを、標準的なアミンカップリング化学、すなわち、EDC/NHS法(EDC=N-ジエチルアミノプロピル)-カルボジイミド)を用いて、センサーチップ表面に直接固定する。簡潔に述べると、pH4又はpH5の10mM NaOAc中のポリペプチドの5〜100nM溶液を調製し、約30〜50RU相当のポリペプチドが固定されるまで、EDC/NHS活性化表面に流す。この後、1MのEt-NH2を注入して、未反応の活性エステルの「キャップ」を外す。参照目的のために、同一の固定条件下で、ポリペプチドを含まないブランク表面を調製する。適当な表面が調製されたら、抗体試薬のそれぞれの好適な希釈系列をHBS/Tween-20中に調製し、直列につながれたポリペプチドセル表面と参照セル表面の両方に流す。調製される抗体濃度の範囲は、平衡結合定数KDの推定値によって異なる。上記のように、結合した抗体は、適当な再生剤を用いて、各注入/解離サイクル後に除去される。
抗体の中和活性は、当業者に公知の任意のアッセイを用いて決定することができる。本明細書に記載の抗体は、当業者に公知の技術を用いて、その宿主細胞受容体(すなわち、シアル酸)へのインフルエンザウイルスの結合を阻害するその能力についてアッセイすることができる。例えば、インフルエンザウイルス受容体を発現する細胞は、抗体の存在下又は非存在下でインフルエンザウイルスを含む組成物と接触させることができ、インフルエンザウイルスの結合を阻害する抗体の能力を決定することができる。或いは、インフルエンザウイルスのその受容体への結合を阻害する抗体の能力は、無細胞アッセイで決定することができる。
他の実施態様では、本明細書に記載の方法で用いるのに好適な抗体は、インフルエンザウイルスの受容体結合を阻害しないが、それでもなお本明細書に記載のアッセイで中和することが分かっている。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の方法に従って用いるのに好適な抗体は、当技術分野で公知又は本明細書に記載のアッセイでウイルスと宿主膜との融合を低減又は阻害する。
一実施態様では、ウイルスと宿主膜との融合は、レポーターを含むインフルエンザウイルスと、ウイルスに感染することができる宿主細胞とを用いるインビトロアッセイでアッセイされる。レポーター活性が、陰性対照(例えば、対照抗体の存在下又は抗体の不在下でのレポーター活性)と比較して阻害されるか又は低減する場合、抗体は融合を阻害する。
(5.13.3 刺激された細胞の活性を試験するためのアッセイ)
本明細書に記載の方法に従って刺激された細胞は、例えば、関心対象のポリヌクレオチド又は遺伝子(複数可)の組込み、転写、及び/又は発現、組み込まれた遺伝子のコピー数、並びに組込みの位置について解析することができる。そのような解析は、いつでも実施することができ、かつ当技術分野で公知の任意の方法によって実施することができる。他の実施態様では、本明細書に記載のfluポリペプチドによる標的細胞の良好な刺激は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の方法を用いて、fluポリペプチドに対する中和抗体の産生を検出することにより決定される。
ある実施態様では、刺激された細胞、例えば、DCが投与される対象を、細胞の位置、ベクターによって送達されるfluポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくは遺伝子の発現、免疫応答の刺激(例えば、fluポリペプチドに対する中和抗体の産生)について解析し、かつ/又は当技術分野で公知もしくは本明細書に記載の任意の方法によって、インフルエンザウイルス感染もしくはそれと関連する疾患と関連する症状についてモニタリングすることができる。
レポーターアッセイを用いて、fluポリペプチドのターゲッティングの特異性を決定することができる。例えば、骨髄細胞の混合集団を対象から得て、インビトロで培養することができる。fluポリペプチドを骨髄細胞の混合集団に投与することができ、fluポリペプチドと関連するレポーター遺伝子の発現を培養細胞でアッセイすることができる。いくつかの実施態様では、混合細胞集団中の刺激された細胞の少なくとも約50%、より好ましくは、少なくとも約60%、70%、80%、又は90%、さらにより好ましくは、少なくとも約95%は、樹状細胞である。
(5.13.4 ウイルス活性アッセイ)
本明細書に記載の抗体又はその組成物は、抗ウイルス活性についてインビトロで評価することができる。一実施態様では、抗体又はその組成物は、インフルエンザウイルスの増殖に対するその効果についてインビトロで試験される。インフルエンザウイルスの増殖は、当技術分野で公知又は本明細書に記載の任意の方法で(例えば、細胞培養で)評価することができる。具体的な実施態様では、細胞は、0.0005及び0.001、0.001及び0.01、0.01及び0.1、0.1及び1、もしくは1及び10のMOI、又は0.0005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、もしくは10のMOIで感染させられ、補充された無血清培地とともにインキュベートされる。ウイルス力価は、血球凝集素プラーク又は本明細書に記載の任意の他のウイルスアッセイによって上清中で測定される。ウイルス力価を評価することができる細胞としては、EFK-2細胞、Vero細胞、MDCK細胞、初代ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)、H292ヒト上皮細胞株、及びHeLa細胞が挙げられるが、これらに限定されない。インビトロアッセイには、当技術分野で周知又は本明細書に記載の方法を用いて、インビトロで、培養細胞におけるウイルス複製の変化(例えば、プラーク形成で測定される)、或いはウイルスタンパク質の産生(例えば、ウェスタンブロット解析で測定される)又はウイルスRNAの産生(例えば、RT-PCRもしくはノーザンブロット解析で測定される)を測定するものが含まれる。
非限定的な例では、標的哺乳動物細胞株の単層を様々な量(例えば、3プラーク形成単位(pfu)又は5pfuの多重度)のウイルス(例えば、インフルエンザ)に感染させ、その後、様々な希釈の抗体(例えば、0.1μg/ml、1μg/ml、5μg/ml、又は10μg/ml)の存在下又は非存在下で培養する。感染した培養物を感染から48時間後又は72時間後に回収し、適当な標的細胞株(例えば、Vero細胞)に対する当技術分野で公知の標準的なプラークアッセイによって力価を測定する。
血球凝集アッセイの非限定的な例では、細胞を抗体と接触させ、同時に又はその後(例えば、1のMOIで)ウイルスに感染させ、ウイルス複製を可能にする条件下で(例えば、20〜24時間)ウイルスをインキュベートする。抗体は、感染の全過程で存在することが好ましい。次に、ウイルスの複製及びウイルス粒子の放出を、0.5%のニワトリ赤血球を用いる血球凝集アッセイで決定する。例えば、Kashyapらの文献(PNAS USA 105:5986-5991)を参照されたい。いくつかの実施態様では、化合物は、それが、ウイルス力価の約75%低下に相当する少なくとも2ウェルのHAだけウイルスの複製を低減させる場合、ウイルス複製の阻害剤とみなされる。具体的な実施態様では、阻害剤は、このアッセイで、ウイルス力価を50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上低下させる。他の具体的な実施態様では、阻害剤は、対象において、インフルエンザウイルス力価の約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2log〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logの低下をもたらす。インフルエンザウイルス力価のlog低下は、陰性対照と比較したもの、別の治療と比較したもの、又は抗体投与前の患者における力価と比較したものであることができる。
(5.13.5 細胞傷害性アッセイ)
当技術分野で周知の多くのアッセイを用いて、活性化合物又はその組成物への曝露後の細胞(感染もしくは未感染)又は細胞株の生存率を評価し、それにより、該化合物又は組成物の細胞傷害性を決定することができる。例えば、細胞増殖は、ブロモデオキシウリジン(BrdU)の取込み(例えば、Hoshinoらの文献(1986, Int. J. Cancer 38, 369);Campanaらの文献(1988, J. Immunol. Meth. 107:79)を参照されたい)、(3H)チミジンの取込み(例えば、Chen, J.の文献(1996, Oncogene 13:1395-403);Jeoung, J.の文献(1995, J. Biol. Chem. 270:18367 73)を参照されたい)を測定することによるか、直接的な細胞カウントによるか、又は既知の遺伝子、例えば、癌原遺伝子(例えば、fos、myc)もしくは細胞周期マーカー(Rb、cdc2、サイクリンA、D1、D2、D3、Eなど)の転写、翻訳、もしくは活性の変化を検出することによってアッセイすることができる。そのようなタンパク質及びmRNA及び活性のレベルは、当技術分野で公知の任意の方法で測定することができる。例えば、市販の抗体を含む抗体を用いる公知の免疫診断方法、例えば、ELISA、ウェスタンブロッティング、又は免疫沈降によって、タンパク質を定量することができる。当技術分野で周知かつルーチンの方法を用いて、例えば、ノーザン解析、RNアーゼ保護、又は逆転写と関連したポリメラーゼ連鎖反応を用いて、mRNAを定量することができる。細胞生存率は、トリパンブルー染色又は当技術分野で公知の他の細胞生死マーカーを用いて評価することができる。具体的な実施態様では、細胞のATPレベルを測定して、細胞生存率を決定する。
具体的な実施態様では、細胞生存率は、細胞内ATPレベルを測定する、当技術分野で標準的なアッセイ、例えば、CellTiter-Gloアッセイキット(Promega)を用いて、3日及び7日の期間で測定される。細胞ATPの低下は細胞傷害効果を示す。別の具体的な実施態様では、細胞生存率は、ニュートラルレッド取込みアッセイで測定することができる。他の実施態様では、形態変化の目視観察には、肥大、粒状度、ギザギザの縁を有する細胞、薄膜状の外観、円形化、ウェル表面からの剥離、又は他の変化が含まれ得る。こうした変化には、観察された細胞傷害性の程度に従って、T(100%毒性)、PVH(部分的毒性-非常に強い-80%)、PH(部分的毒性-強い-60%)、P(部分的毒性-40%)、Ps(部分的毒性-わずか-20%)、又は0(毒性なし-0%)という呼称が与えられる。50%細胞阻害(細胞傷害)濃度(IC50)は、これらのデータの回帰分析により決定される。
具体的な実施態様では、細胞傷害性アッセイで用いられる細胞は、初代細胞及び細胞株を含む動物細胞である。いくつかの実施態様では、細胞はヒト細胞である。ある実施態様では、細胞傷害性は、以下の細胞株のうちの1つ又は複数で評価される:U937、ヒト単球細胞株;初代末梢血単核細胞(PBMC);Huh7、ヒト肝芽細胞腫細胞株;293T、ヒト胚性腎細胞株;及びTHP-1、単球細胞。ある実施態様では、細胞傷害性は、以下の細胞株のうちの1つ又は複数で評価される:MDCK、MEF、Huh 7.5、Detroit、又はヒト気管気管支上皮(HTBE)細胞。
活性化合物又はその組成物は、動物モデルでインビボ毒性について試験することができる。例えば、活性化合物の活性を試験するために用いられる、本明細書に記載の動物モデル及び/又は当技術分野で公知の他のものを用いて、これらの化合物のインビボ毒性を測定することもできる。例えば、動物に様々な濃度の活性化合物を投与する。その後、この動物を、致死率、体重減少もしくは体重増加失敗、及び/又は組織損傷を示し得る血清マーカーのレベル(例えば、全般的な組織障害の指標としてのクレアチンホスホキナーゼレベル、肝障害の可能性の指標としてのグルタミン酸シュウ酸トランスアミナーゼ又はピルビン酸トランスアミナーゼのレベル)について経時的にモニタリングする。これらのインビボアッセイは、投薬量の他に、様々な投与様式及び/又はレジメンの毒性を試験するように適合させることができる。
活性化合物の毒性及び/又は効力は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%で治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比が治療指数であり、それは、比LD50/ED50と表すことができる。大きい治療指数を示す活性化合物が好ましい。毒性のある副作用を示す活性化合物を用いてもよいが、感染していない細胞に対する潜在的な障害を最小限に抑え、それにより、副作用を低下させるために、そのような薬剤を罹患組織の部位にターゲッティングする送達系を設計するよう、注意を払うべきである。
細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトで用いるための活性化合物の投薬量の範囲を定める際に用いることができる。そのような薬剤の投薬量は、循環濃度の範囲内にあることが好ましく、この範囲には、ほとんど又は全く毒性のないED50が含まれる。投薬量は、利用される剤形及び利用される投与経路によって、この範囲内で異なり得る。本明細書に記載の方法で用いられるどの活性化合物についても、有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。用量を動物モデルで定めて、循環血漿濃度範囲を得ることができ、この循環血漿濃度範囲には、細胞培養で測定されるIC50(すなわち、症状の半最大阻害を達成する試験化合物の濃度)が含まれる。そのような情報を用いて、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。投薬量の決定に関するさらなる情報が本明細書で提供される。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを用いて、例えば、ウイルス感染又はそれと関連する状態もしくは症状を測定することにより、本明細書に記載の活性化合物及び組成物の予防的及び/又は治療的有用性を評価することができる。
(5.13.6 免疫応答を誘導するfluポリペプチドの能力を評価するためのアッセイ)
複数のインフルエンザウイルス株と交差反応し、かつ好ましくは、それを防御することができる対象の免疫応答を生じさせるfluポリペプチドの能力は、当業者に公知又は本明細書に記載の任意の手法を用いて評価することができる。いくつかの実施態様では、複数のインフルエンザウイルス株と交差反応し、かつ好ましくは、それを防御することができる対象の免疫応答を生じさせるfluポリペプチドの能力は、対象(例えば、マウス)又は対象の組を本明細書に記載のfluポリペプチドで免疫し、かつさらなる対象(例えば、マウス)又は対象の組を対照(PBS)で免疫することによって評価することができる。その後、該対象又は対象の組を複数の病原性インフルエンザウイルス株に曝露させることができ、かつ該対象又は対象の組においてインフルエンザウイルス疾患を引き起こす病原性インフルエンザウイルス株の能力を決定することができる。当業者であれば、対照で免疫された対象又は対象の組は、病原性インフルエンザウイルス株への曝露後にインフルエンザウイルス疾患に罹患するが、本明細書に記載のfluポリペプチドで免疫された対象又は対象の組が、インフルエンザウイルス疾患に罹患しないならば、fluポリペプチドは、複数のインフルエンザウイルス株と交差反応することができる対象の免疫応答を生じさせることができることを認識するであろう。さらに、ある実施態様では、fluポリペプチドで免疫された対象又は対象の組が、対照で免疫された対照と比べて、より短い期間、インフルエンザウイルス疾患に罹患するか、より短い入院時間を経験するか、インフルエンザウイルス疾患と関連する1以上の症状の軽減/欠如を示すか、又はより短い期間現われる症状を有するならば、本明細書に記載のfluポリペプチドは、複数のインフルエンザウイルス株と交差反応することができる免疫応答を生じさせることができる。対象がインフルエンザウイルス疾患に罹患しているかどうかを決定する方法は当技術分野で公知であり、かつ本明細書に記載されている。例えば、以下の第5.13.7節及び第6.3節を参照されたい。複数のインフルエンザウイルス株と、又は複数の血球凝集素亜型と簡単に交差反応する抗血清を誘導するfluポリペプチドの能力は、イムノアッセイ、例えば、ELISAによって試験することができる。
(5.13.7 動物におけるインフルエンザ活性をアッセイする方法)
活性化合物及びその組成物は、ヒトで用いる前に所望の治療的又は予防的活性についてインビボでアッセイすることが好ましい。例えば、インビボアッセイを用いて、活性化合物又はその組成物及び/又は別の療法を投与することが好ましいかどうかを決定することができる。例えば、インフルエンザウイルス疾患を予防するための活性化合物又はその組成物の使用を評価するために、動物をインフルエンザウイルスに感染させる前に組成物を投与することができる。或いは、又はさらに、動物をインフルエンザウイルスに感染させるのと同時に、活性化合物又はその組成物を動物に投与することができる。インフルエンザウイルス感染又はそれと関連する疾患を治療するための活性化合物又はその組成物の使用を評価するために、動物をインフルエンザウイルスに感染させた後に化合物又は組成物を投与することができる。具体的な実施態様では、活性化合物又はその組成物は、動物に2回以上投与される。
活性化合物及びその組成物は、限定するものではないが、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ウサギ、モルモットなどを含む動物モデル系で、抗ウイルス活性について試験することができる。具体的な実施態様では、活性化合物及びその組成物は、マウスモデル系で試験される。そのようなモデル系は広く用いられており、かつ当業者に周知である。具体的な実施態様では、活性化合物及びその組成物は、マウスモデル系で試験される。インフルエンザウイルスのための動物モデルの非限定的な例がこの節で提供される。
一般に、動物をインフルエンザウイルスに感染させ、同時に又はその後に、活性化合物もしくはその組成物、又はプラセボで処置する。或いは、動物を、活性化合物もしくはその組成物、又はプラセボで処置し、その後、インフルエンザウイルスに感染させる。これらの動物から得られる試料(例えば、血清、尿、痰、精液、唾液、血漿、又は組織試料)は、当技術分野で周知の方法、例えば、ウイルス力価の変化(例えば、プラーク形成で測定される)、ウイルスタンパク質の産生(例えば、ウェスタンブロット、ELISA、もしくはフローサイトメトリー解析で測定される)、又はウイルス核酸の産生(例えば、RT-PCRもしくはノーザンブロット解析で測定される)を測定する方法によって、ウイルス複製について試験することができる。組織試料中のウイルスの定量のために、組織試料を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中でホモジナイズし、透明になったホモジネートの希釈物を、細胞(例えば、Vero、CEF、又はMDCK細胞)の単層上へ37℃で1時間吸着させる。他のアッセイでは、組織病理学的評価、好ましくは、ウイルスが感染の標的にすることが知られている器官(複数可)の評価を感染後に実施する。ウイルス特異的モノクローナル抗体を用いて、ウイルス免疫組織化学検査を実施することができる。
活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象におけるウイルスの力価、活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象の生存期間、活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象における免疫応答、活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象における症状の数、持続時間、及び/もしくは重症度、並びに/又は活性化合物もしくはその組成物が投与される感染対象における1以上の症状の開始までの時間が評価されるインビボアッセイを用いて、ウイルスの病原性に対する活性化合物又はその組成物の効果を決定することもできる。当業者に公知の技術を用いて、そのような効果を測定することができる。ある実施態様では、活性化合物又はその組成物は、未処置の対象と比べて、0.5倍、1倍、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、75倍、100倍、125倍、150倍、175倍、200倍、300倍、400倍、500倍、750倍、もしくは1,000倍、又はそれより大きいインフルエンザウイルスの力価の低下をもたらす。いくつかの実施態様では、活性化合物又はその組成物は、未処置の対象と比べて、約1log以上、約2log以上、約3log以上、約4log以上、約5log以上、約6log以上、約7log以上、約8log以上、約9log以上、約10log以上、1〜3log、1〜5log、1〜8log、1〜9log、2〜10log、2〜5log、2〜7log、2log〜8log、2〜9log、2〜10log、3〜5log、3〜7log、3〜8log、3〜9log、4〜6log、4〜8log、4〜9log、5〜6log、5〜7log、5〜8log、5〜9log、6〜7log、6〜8log、6〜9log、7〜8log、7〜9log、又は8〜9logのインフルエンザウイルスの力価の低下をもたらす。
インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス剤の試験用に開発された、インフルエンザウイルス動物モデル、例えば、フェレット、マウス、モルモット、リスザル、マカク、及びニワトリが記載されている。例えば、Sidwellらの文献(Antiviral Res., 2000, 48:1-16);Lowen A.C.らの文献(PNAS., 2006, 103:9988-92);及びMcCauleyらの文献(Antiviral Res., 1995, 27:179-186)及びRimmelzwannらの文献(Avian Diseases, 2003, 47:931-933)を参照されたい。インフルエンザのマウスモデルについて、インフルエンザ感染マウスに投与される活性化合物の抗ウイルス活性をアッセイするために用いることができるパラメータの非限定的な例としては、肺炎関連死、血清α1酸糖タンパク増加、動物体重、血球凝集素によってアッセイされる肺ウイルス、プラークアッセイによってアッセイされる肺ウイルス、及び肺の組織病理学的変化が挙げられる。統計解析を実施して、有意性(例えば、0.05以下のP値)を計算する。
他のアッセイでは、動物モデル対象の感染後に、組織病理学的評価を行なう。鼻甲介及び気管を、上皮変化及び上皮下炎症について調べることができる。肺を、細気管支上皮の変化、及び大、中、小、又は末端細気管支における細気管支周囲炎症について調べることができる。肺胞を、炎症性変化についても評価する。中細気管支は、以下のように、0〜3+のスコアで等級付けられる:0(正常:繊毛性頂端境界及び基底偽重層核を有する中位から高い円柱状の上皮細胞により裏打ちされている;最小限の炎症);1+(輪郭が円柱状かつ均一で増殖がわずかに増加した上皮層;繊毛がなおも多くの細胞に見られる);2+(減弱から顕著な増殖までの範囲の上皮層における顕著な変化;破壊された細胞及び管腔境界での不規則な層輪郭);3+(著しく破壊され、無秩序になった上皮層、内腔には壊死細胞が見られる;減弱した細気管支もあれば、反応性増殖が顕著な細気管支もある)。
気管は、以下のように、0〜2.5+のスコアで等級付けられる:0(正常:繊毛性頂端境界、基底偽重層核を有する中位から高い円柱状の上皮細胞により裏打ちされている。頂端境界と核との間に明らかな細胞質。時折見られる扁平上皮細胞の小さな増殖巣);1+(上皮層の限局的扁平上皮化生);2+(上皮層の大部分の広範囲の扁平上皮化生、繊毛は限局的に明白な場合がある);2.5+(明白な繊毛が極めて少ない広範囲の扁平上皮化生)。
ウイルス免疫組織化学は、ウイルス特異的モノクローナル抗体(例えば、NP-、N-、又はHN-特異的モノクローナル抗体)を用いて行なわれる。染色は、以下のように、0〜3+に等級付けられる:0(感染細胞なし);0.5+(ほとんど感染細胞なし);1+(ほとんど感染細胞なし、広く離れた個々の細胞として);1.5+(ほとんど感染細胞なし、広く離れた単体として、及び小クラスターで);2+(通常、上皮層が裏打ちする細気管支の一部の、又は肺胞内の小さな小葉下病巣(sublobular foci)の、隣接細胞のクラスターを侵す、適度な数の感染細胞);3+(細気管支の上皮層の大部分を侵すか、又は肺胞内の大きな小葉下病巣に広がる、多数の感染細胞)。
一例では、ウイルス感染の動物モデルで肺病変を誘導し、感染を引き起こす能力を、野生株ウイルス及び模擬ウイルスを用いて比較する。肺病変は、目視検査で健康である肺葉の割合として評価することができる。ペントバルビタールの静脈内投与によって感染5日後に動物を安楽死させ、その肺全体を取り出す。肉眼的病変に侵された各肺葉の表面の割合を目視で見積もる。割合を平均化して、各動物の7つの肺葉についての平均値を得る。他のアッセイでは、鼻スワブを検査して、ウイルス負荷量又は力価を測定することができる。検死時に鼻スワブを採取して、感染後のウイルス負荷量を測定することができる。
一実施態様では、ウイルスを組織試料中で定量する。例えば、組織試料をリン酸緩衝食塩水(PBS)中でホモジナイズし、透明になったホモジネートの希釈物を、細胞(例えば、MDCK細胞)の単層上へ37℃で1時間吸着させる。次に、感染させた単層に、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.01%DEAE-デキストラン、0.1%NaHCO3、及び1%寒天を含む最小必須培地の溶液を重層する。プラークを可視化することができるまで、プレートを2〜3日インキュベートする。PR8感染試料由来のウイルスの力価を測定する(titrate)ための組織培養感染量(TCID)アッセイを以下のように実施する。96ウェルプレート中の細胞(例えば、MDCK細胞)のコンフルエントな単層を、培地中の透明になった組織ホモジネートの対数希釈物とともにインキュベートする。接種の2〜3日後に、血球凝集アッセイ(HAアッセイ)で、各ウェルからの0.05mlのアリコートをウイルス増殖について評価する。
(5.13.8 ヒトにおけるインフルエンザ活性をアッセイする方法)
一実施態様では、活性化合物又はその組成物を感染ヒト対象で評価する。この実施態様に従って、活性化合物又はその組成物をヒト対象に投与し、ウイルス複製及び/又は生存に対する活性化合物又は組成物の効果を、例えば、生物学的試料(例えば、血清又は血漿)中のウイルス又はウイルス核酸のレベルを解析することにより決定する。ウイルス複製及び/又は生存を変化させる活性化合物又はその組成物は、対照で処置した対象又は対象群におけるウイルス複製及び/又は生存のレベルを、活性化合物又はその組成物で処置した対象又は対象群におけるウイルス複製及び/又は生存のレベルと比較することによって同定することができる。或いは、ウイルス複製及び/又は生存の変化は、活性化合物又はその組成物の投与の前後で対象又は対象群におけるウイルス複製及び/又は生存のレベルを比較することによって同定することができる。当業者に公知の技術を用いて、生物学的試料を得て、mRNA又はタンパク質の発現を解析することができる。
別の実施態様では、インフルエンザウイルス感染/疾患と関連する1以上の症状の重症度に対する活性化合物又はその組成物の効果を感染対象で評価する。この実施態様に従って、活性化合物もしくはその組成物又は対照をインフルエンザウイルス感染に罹患しているヒト対象に投与し、ウイルス感染の1以上の症状に対する活性化合物又は組成物の効果を決定する。1以上の症状を軽減する活性化合物又はその組成物は、対照で処置した対象を活性化合物又は組成物で処置した対象と比較することによって同定することができる。別の実施態様では、活性化合物又はその組成物を健康なヒト対象に投与し、ワクチンとしての効力についてモニタリングする(例えば、対象を、インフルエンザウイルス感染の症状の開始;入院の減少、対象に感染するインフルエンザウイルスの能力;並びに/又はインフルエンザウイルス感染と関連する1以上の症状及び/もしくは症状の持続時間の低減/欠如についてモニタリングする)。感染性疾患を熟知している医師に公知の技術を用いて、活性化合物又はその組成物がインフルエンザウイルス疾患と関連する1以上の症状を軽減するかどうか決定することができる。
(5.14 キット)
本明細書に記載の医薬組成物の1以上の成分、例えば、本明細書で提供される1以上の活性化合物を充填した1以上の容器を含む医薬パック又はキットが本明細書で提供される。医薬又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する行政機関によって規定された形式での通知を、そのような容器(複数可)に任意で関連付けることができ、その通知は、この機関による、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の承認を示している。
本明細書に包含されるキットは、上記の方法で用いることができる。一実施態様では、キットは、1以上の容器中に、本明細書に記載の活性化合物、好ましくは1以上のインフルエンザfluポリペプチドを含む。ある実施態様では、キットは、本明細書に記載のワクチン、例えば、スプリットウイルスワクチン、サブユニットワクチン、不活化インフルエンザウイルスワクチン、又はインフルエンザ生ウイルスワクチンを含む。
(6.実施例)
(6.1 モノクローナル抗体12D1)
この実施例は、抗インフルエンザウイルス抗体のモノクローナル抗体12D1が、HA2の長いα-ヘリックスと反応することを示す。
(6.1.1 材料及び方法)
(6.1.1.1 切断型血球凝集素サブユニット2(HA2))
A/HK/1/68 HAの全コード領域をウイルスRNAから逆転写して、増幅し、その後、pCAGGs発現ベクターにサブクローニングした。切断型のHA2部分をpCAGGs-HK68 HAからのPCR増幅で生成させ、pCAGGs-緑色蛍光タンパク質(GFP)発現プラスミドにサブクローニングした。したがって、得られたプラスミドは、切断型HA2の一部に融合されたGFPをコードする発現ベクターからなる。全てのコンストラクトをシークエンシングし、確認した。
(6.1.1.2 ウェスタンブロット)
ブロットを、以前に記載されている方法で作製した(Towbinらの文献(Proc Natl Acad Sci U S A, 1979. 76(9):4350-4))。試料を、SDSと0.6M DTTを含むローディング緩衝液中、100℃で5分間煮沸した。免疫沈降した複合体、細胞ライセート、又は精製ウイルスを、4-20%Tris-HCl SDS-PAGEゲル(Bio-Rad社)で分離し、試料をProtranニトロセルロース膜(Whatman)にブロッティングした。GFP及び融合GFP-HA切断型ペプチドを、ウサギ抗GFP(Santa Cruz Biotechnology社)及び/又はmAb 12D1を用いて検出した。二次抗体は、抗ウサギIgG HRP(Dako)及び抗マウスIg(GE Healtchare社)であった。
(6.1.1.3 免疫沈降)
293T細胞に、Lipofectamine 2000(Invitrogen社)を用いて、GFP-切断型HA2融合タンパク質をコードする様々なpCAGGをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液を用いて溶解させ、切断型融合ペプチドを、プロテインG-アガロース(Roche社)に結合した1〜5μgのmAb 12D1を用いて、4℃で一晩、免疫沈降した。免疫沈降物を、還元及び変性条件下のウェスタンブロッティングにより解析した。
(6.1.1.4 ELISA)
96ウェルプレート(Nunc Immulon 2)に、PBS中、4℃で一晩、2ug/mlのHApep-KLHコンジュゲート(図2B)又は精製HA(図2A、C)をコーティングした。プレートを、室温で30分間、1%BSA/PBSでブロッキングし、PBS/.025%Tweenで2回洗浄した。抗体又は抗血清を1%BSA/PBSに連続希釈し、プレートに添加し、その後、37℃で3時間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、1:2000希釈した抗マウス-AP(Southern Biotech)をウェルに添加し、その後、37℃で3時間インキュベートした。その後、P-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)基質をウェルに添加し、室温で20〜30分間、発色させておいた。光学密度測定値を405nmで記録した。
(6.1.2 結果)
図1に示すように、mAb 12D1は、HA2分子のアミノ酸76-130の領域内で反応する;この領域は、HA2の「長いα-ヘリックス」を含む。mAb 12D1は、(ウイルス曝露前のmAb 12D1の受動移入によって示される)H3ウイルス感染に対するインビボでの防御活性を有することが知られている。
(6.2 fluポリペプチドの設計及び産生)
HA2の76-130領域による免疫は、H3亜型又は複数の亜型のインフルエンザウイルスに対する同様に防御的な免疫応答を誘発し得るという仮説を立てた。
HA2の76-130ペプチドの免疫原性を増大させるために、8つのアミノ酸と、それに続くシステイン残基からなる、C末端スペーサードメインを有するコンストラクトを設計した。このシステイン残基は、一級アミンを介するキャリアタンパク質キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)との結合を促進する。血清半減期を増大させるために、このペプチドをN末端でアセチル化した。
KLHコンジュゲート内の長いα-ヘリックスの構造的完全性を確認するために、このコンジュゲートに対するmAb 12D1の結合を直接結合ELISAで試験し、12D1結合領域が無傷であることを見出した(図1B)。
(6.2.1 mAb 12D1のHA2結合領域)
12D1モノクローナル抗体(mAb)と同様の抗体を誘発し得るH3血球凝集素の領域の内容(identity)を検討した。抗H3 mAbの存在下でのA/HK/1968ウイルスの16回の継代は、結合エピトープの同定を助けたかも知れないエスケープ変異体を生じさせなかった。プラークアッセイでA/HK/1968ウイルスを50ug/mlのmAb 12D1とインキュベートした後に存在した6つのプラークの血球凝集素をシークエンシングし、野生型血球凝集素からの変化は全く見られなかった。mAb 12D1は、インビボでインフルエンザ疾患からの防御を仲介し、ウェスタンブロットによる変性した血球凝集素単量体との反応性からも明らかなように、ウイルス血球凝集素の連続的エピトープと反応する(三量体構造は必要とされない)ので、12D1結合エピトープに焦点を合わせた。GFPに融合した様々な長さの血球凝集素セグメントからなる切断型血球凝集素コンストラクトを作製した。GFP発現を利用して、トランスフェクトされた293T細胞でのコンストラクトの発現を評価した。切断型血球凝集素コンストラクトの解析により、12D1パラトープは、アミノ酸30〜106の領域でHA2サブユニットと優先的に相互作用することが明らかになった。76-184及び91-184切断体におけるGFP発現の減少を伴わない12D1結合の減少は、106-184切断体との結合の喪失と併せて、12D1結合がHA2 76-106領域内のアミノ酸との接触に依存することを示唆した(図1)。12D1の最小結合部位をさらに絞り込むために、さらなる切断型HAを設計及び構築した。その中で、HA2の長いα-ヘリックスに相当する、aa 76からaa 130に及ぶ領域は、ウェスタンブロットで12D1によって検出されただけでなく、免疫沈降でも陽性であった。
これらの30アミノ酸は、HA2の長いα-ヘリックスの膜遠位半分に含まれる。12D1パラトープは、ウェスタンブロットによる結合に必要でない(HA1又はHA2中の)この領域の外側のアミノ酸とさらに接触する可能性がある。
(6.3. fluポリペプチドによって誘導された血清抗体は、複数のHA亜型と反応する)
(6.3.1 材料及び方法)
ウェスタンブロット及びELISAを上の第6.1.1節に記載の通りに実施した。
(6.3.2 結果)
図3に示すように、fluポリペプチド(76-130)-KLH(「HApep-KLH」)は、強力な免疫原として作用し、HApep-KLHによって誘発された血清抗体は、複数の血球凝集素亜型と反応する。
HApep-KLHコンストラクトの免疫原としての効力を評価するために、一次免疫及び二次免疫の10日後にマウスから血清を採取した。これらの血清を、組換えで発現され、精製された異なる亜型の血球凝集素との反応性について試験した。まず、HApep-KLHワクチンコンストラクトは、精製された血球凝集素タンパク質と反応する血清抗体を実際に誘発することが分かった。次に、二次免疫後の抗HA力価の顕著な増加が明らかであり、このコンストラクトが、実際にマウスで強力な液性免疫応答を誘発するように作用することを示した。最後に、HApep-KLH抗血清の異種亜型反応性が興味深かった。免疫マウス由来の血清は、H3、H1、H2、H9、及びH7亜型の血球凝集素との結合活性を示した。
(6.4 fluポリペプチドによる免疫は、マウスを致死的ウイルス曝露から防御する)
(6.4.1.材料及び方法)
6〜8週齢のBALB/Cマウス(Jackson Laboratories)を、皮下投与により、完全フロイントアジュバント(Sigma)中の25ugのHApep-KLH又はKLHのみで免疫した。一次免疫の3週間後、マウスを、不完全フロイントアジュバント中の25ugのHApep-KLH又はKLHのみで追加免疫した。追加免疫の2〜3週間後、マウスをウイルスに曝露させた。ウイルス感染前に、ケタミン(75mg/kg体重)/キシラジン(15mg/kg体重)混合物の腹腔内投与によりマウスに麻酔した。ウイルスを合計50ugのPBSに入れて鼻腔内投与し;曝露用量は、40,000pfuのX31又は500pfuのPR8からなっていた。体重を毎日モニタリングした。
(6.4.2.結果)
図4に示すように、fluポリペプチド(76-130)-KLH(「HApep-KLH」)による免疫は、マウスを致死的曝露から防御する。
マウスを、プライム-ブースト免疫スケジュールでの皮下投与により、25ugのHApep-KLHで免疫した。免疫に3週間の間隔を空け、二次免疫の2〜3週間後に、マウスをウイルスに曝露させた。ウイルス曝露後、疾患重症度の出力としてマウス重量を毎日記録した。HApep-KLHによる免疫は、香港/1/1968(H3)由来のHA及びNAを発現するマウス適合性ウイルスであるX31の致死的曝露から100%のマウスを防御することが分かった(図3B)。HApep-KLHコンストラクトで免疫したマウス又はPBSを投与したマウスの平均重量は、全ての日で有意に異なっていた(図3A)。
同様の曝露実験において、マウスに致死用量のマウス適合性PR/8ウイルス(H1)を投与した。曝露の7日後までに、PBSを投与されたマウスは全て疾患で死んでいたが、HApep-KLHワクチンを投与されたマウスの80%は防御された(図4A)。H1亜型血球凝集素に対する血清抗体力価は、ウイルス曝露後の日々の体重変化と相関することが分かった(4B)。
(6.5 fluポリペプチドによるワクチン接種は、異なるウイルス亜型に対する防御を提供する)
この実施例は、fluポリペプチドが、構造的に分岐した亜型H3N2、H1N1、及びH5N1のインフルエンザウイルスに対するマウスにおける防御を提供することができることを示す。
(6.5.1 材料及び方法)
(6.5.1.1 ウイルス及び精製血球凝集素)
使用したウイルスは:X31ウイルス(A/香港/1/1968の血球凝集素及びノイラミニダーゼ、残りの6つのセグメントはPR8由来)、A/プエルトリコ/8/34(PR8)ウイルス、A/USSR/90/1977ウイルス、A/ジョージア/81ウイルス、HAloウイルス(ポリ塩基性切断部位を除去するよう修飾された血球凝集素を有するA/ベトナム/4/2005ウイルス)であった。使用した精製血球凝集素は:A/香港/1/1968;A/ブリスベン/10/2007;A/ベトナム/12032004(H5);A/シンガポール/1/57(H2);A/コガモ(teal)/HK/312/97(H6);A/オランダ/219/2003(H7);A/HK/1073/99(H9);及びA/カリフォルニア/04/2009(H1)由来のものであった。
(6.5.1.2 ウェスタンブロット)
ブロットを、以前に記載されている方法で作製した(Towbinらの文献((1979)Proc Natl Acad Sci U S A 76(9):4350-4354)を参照されたい)。試料を、SDSと0.6M DTTを含むローディング緩衝液中、100℃で5分間煮沸した。免疫沈降した複合体、細胞ライセート、又は精製ウイルスを、4-20%Tris-HCl SDS-PAGEゲル(Bio-Rad社)で分離し、試料をProtranニトロセルロース膜(Whatman)にブロッティングした。GFP及び融合GFP-HA切断型ペプチドを、ウサギ抗GFP(Santa Cruz Biotechnology社)及び/又はmAb 12D1を用いて検出した。二次抗体は、抗ウサギIgG HRP(Dako)及び抗マウスIg(GE Healtchare社)であった。
(6.5.1.3 免疫沈降)
A/HK/1/68 HA2の76-130(LAH)領域をウイルスRNAのPCR増幅で作製し、pCAGG-緑色蛍光タンパク質(GFP)プラスミドにサブクローニングした(Baslerらの文献(2001)Proc Natl Acad Sci U S A 98(5):2746-2751を参照されたい)。GFPは、HA2切断体のN末端に存在していた。293T細胞に、Lipofectamine 2000(Invitrogen社)を用いて、GFP-LAHコンストラクトをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を、放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液を用いて溶解させ、GFP-LAH融合タンパク質を、プロテインG-アガロース(Roche社)に結合した1〜5μgのmAb 12D1を用いて、4℃で一晩、免疫沈降した。
(6.5.1.4 長いαヘリックス-KLHワクチン)
使用したA/HK/1/68 HA2 LAHポリペプチド(アミノ酸76-130)配列は:
であった。このコンストラクトはN末端でアセチル化されており、かつH3 A/香港/1/1968 HA2分子のアミノ酸76-130と、それに続くFLAG-タグ
と、それに続くシステインからなっていた。このポリペプチドを、チオールと一級アミンの共役によって、キャリアタンパク質キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させた。このコンジュゲートは、CHI Scientific社(Maynard, MA USA)により製造された。
(6.5.1.6 ELISA)
96ウェルプレート(Nunc Immulon 2)に、PBS中、4℃で一晩、2μg/mlのLAH-KLHコンジュゲート(図7B)、精製血球凝集素(図7A、C)、又はインフルエンザウイルスワクチン(BEI Resourcesから入手した、FLUVIRON(R))精製表面抗原(Novartis Vaccines)をコーティングした。プレートを、室温で30分間、1%BSA/PBSでブロッキングし、PBS/.025%Tweenで2回洗浄した。抗体、抗血清、又は2008〜2009年の三価不活化インフルエンザウイルスワクチン(TIV)をワクチン接種した個体由来の血清を1%BSA/PBSに連続希釈し、プレートに添加し、その後、37℃で3時間インキュベートした。抗flag抗体(Sigma)を、LAH-KLHコンジュゲートをコーティングしたウェル中で陽性対照として用いた。プレートを3回洗浄し、1:2000希釈した抗マウスアルカリホスファターゼ(AP)(Southern Biotech)をウェルに添加し、その後、37℃で3時間インキュベートした。ヒト血清については、抗ヒトIgG(Fc特異的)-AP(Sigma)抗体を1:500希釈で用いた。1:500希釈の抗ウサギIg-AP(Southern Biotech)を抗flag抗体の二次抗体として用いた。その後、P-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)基質をウェルに添加し、室温で20〜30分間、発色させておいた。光学密度測定値を405nmで記録した。
(6.5.1.6 マウス免疫及び曝露実験)
6〜8週齢のBALB/Cマウス(Jackson Laboratories)を、皮下投与により、完全フロイントアジュバント(Sigma)中の25μgのLAH-KLH、HA2、KLHのみ、又はPBSで免疫した。一次免疫の3週間後、マウスを、不完全フロイントアジュバント中の25μgの同じ免疫原又はPBSで追加免疫した。追加免疫の2〜3週間後、マウスをウイルスに曝露させた。ウイルス感染前に、ケタミン(75mg/kg体重)/キシラジン(15mg/kg体重)混合物の腹腔内投与によりマウスに麻酔した。ウイルスを合計50μlのPBSに入れて鼻腔内投与し;曝露用量は、4×105pfuのX31又は500pfuのPR8もしくはHAloウイルスからなっていた。体重を毎日モニタリングした。受動移入実験のために、KLHもしくはLAH-KLHによる最後の免疫の2週間後、又はPR8ウイルスもしくはA/香港/1/1968ウイルスの感染から3週間後に、マウスから採血した。マウス由来の血清をワクチン接種抗原又はウイルス感染に従ってプールし、200μlの血清を、50pfuのPR8ウイルス又は3700pfuのジョージア/81ウイルスのいずれかに感染させる2時間前に腹腔内投与によって、各レシピエントマウスに移入した。感染の2日後に、肺力価をプラークアッセイで評価した。
(6.5.2 結果)
マウスモノクローナル抗体12D1は、HA2分子の連続的部分に結合し、H3亜型のインフルエンザウイルスに対する広範な中和活性を有する。HA2分子の短い領域を発現するように設計されたコンストラクトを作製することにより、mAb 12D1が、このタンパク質の高度に保存された「長いα-ヘリックス」(LAH)領域内のアミノ酸に結合することが明らかにされた。mAb 12D1と相互作用する血球凝集素の部分は、当初は、様々な長さの複数のHA2切断を用いた結合データの解釈によって同定された。累積的な切断データに基づいて、mAb 12D1は、HA2の76-106領域内で結合することが明らかにされた(Wangらの文献(2010)PLoS Pathog 6(2):e1000796を参照されたい)。しかしながら、その後の研究から、H3ウイルスA/香港/1/1968のLAH全体(アミノ酸76-130)に相当するペプチドが、mAb 12D1による最大結合のための必要な構造エレメントを提供することが明らかになった(図7A)。HA2のこの領域、アミノ酸76-130を293T細胞で発現させ、mAb 12D1でプルダウンした(図7B)。HA2の76-130領域による免疫が、mAb 12D1の抗体レパートリーとの機能的類似性を有する抗体レパートリーを誘発し、かつH3亜型又は複数の亜型のインフルエンザウイルスに対する防御を提供することができるかどうかをこのようにして決定した。
LAHと、8アミノ酸のC末端スペーサードメイン(FLAG-タグ)と、それに続くシステイン残基からなるコンジュゲートワクチンを設計することにより、76-130ポリペプチド(LAH)の抗原性を増強させた。システイン残基は、チオールと一級アミンを介したキャリアタンパク質キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)への結合を促進する。血清半減期を延長させるために、LAHペプチドをN末端でアセチル化した(Werle及びBernkop-Schnurchの文献(2006)Amino Acids 30(4):351-367を参照されたい)。このコンジュゲート中のmAb 12D1結合領域の構造完全性を直接結合ELISAにより確認した(図7C)。
このコンストラクトをインビボで試験するために、免疫と免疫の間を3週間空けるプライム-ブーストスケジュールで、マウスをLAH-KLHコンジュゲートで免疫した。一次免疫と二次免疫の10日後に、マウスから血清を採取した。このコンジュゲートを関連する特異性の抗体の産生を誘発するその能力について評価するために、抗血清を、異なる亜型の精製血球凝集素タンパク質との反応性について試験した。まず、LAH抗血清は、ELISAとウェスタンブロットの両方で血球凝集素タンパク質と反応することが分かった(図8A〜C)。次に、二次免疫後の抗HA力価の顕著な増加は、このコンストラクトがマウスで生産的な免疫原として作用することを示した(図8A及び8B)。最後に、免疫マウス由来の血清は、実質的な異種亜型結合活性を有していた。抗LAH血清は、ELISAで、1968パンデミックH3ウイルスA/香港/1/1968、2009パンデミックH1ウイルスA/カリフォルニア/04/09由来の血球凝集素、並びにH2、H5、及びH7亜型の血球凝集素との活性を示した(図8D)。これらの亜型由来の血球凝集素の76-130領域のアラインメントは、アミノ酸配列及びアミノ酸種類における高度の保存を示している(図8E)。さらなる血清学的解析は、LAH-KLHワクチン接種で生成された抗体が、ウイルス血球凝集素に特異的な血清IgM及びIgG亜型を増加させることを示した。IgG亜型の顕著な増加は、T細胞依存的抗体産生を示し、かつ親和性成熟した抗血球凝集素応答を示唆している(図8F)(Jumperらの文献(1994)J Immunol 152(2):438-445を参照されたい)。
二次免疫の2〜3週間後、4×105pfuの、1968パンデミックH3インフルエンザウイルスの血球凝集素及びノイラミニダーゼを発現するマウス適合性ウイルスX31を鼻腔内投与により、マウスに投与した。LAH-KLHコンストラクトで免疫したマウスは、アジュバントとともにPBSを投与したマウスよりも、全ての時点において有意に体重の減少が少なかった。さらに、免疫マウスは全て曝露を切り抜けて生き残ったが、対照マウスは、感染のために4日目までに死亡した(図9A及び9B)。
次に、免疫マウスを、ヒトインフルエンザ疾患を引き起こすが、H3亜型ウイルスとは異なる系統発生学的クラスに属する他のウイルス亜型に曝露させた(Fields BN, Knipe DM, & Howley PMの文献(2007) フィールズのウイルス学(Fields' virology)(Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia)第5版pp 2 v.(xix, 3091, I-3086 p.)を参照されたい)。マウスに、500pfu(10〜15mLD50)のマウス適合性H1ウイルスPR8、又はウイルス血球凝集素のポリ塩基性切断部位を除去するように修飾された500pfuの高病原性鳥インフルエンザウイルスH5を感染させた(Steelらの文献(2009)J Virol 83(4):1742-1753を参照されたい)。LAH-KLHコンジュゲートのワクチン接種は、感染の間ほぼ毎日、極めて有意な程度まで、H1及びH5インフルエンザ疾患によって引き起こされる体重減少から防御した。ワクチンを接種し、PR8に感染させたマウスは、体重減少の動態の有意な遅延を示したが、ワクチンを接種し、H5鳥ウイルスに感染させたマウスの60%は、致死的曝露を切り抜けて、感染後10日まで生き残った(図9C〜F)。
後にPR8に感染させたマウス由来の曝露前血清の解析により、血球凝集素特異的抗体力価と感染後の日々の体重増加との間の正の相関が明らかになった(図10A)。(抗H1血清抗体で)生産的に免疫した動物は、感染後1〜3日の間、体重を増やしたが、H1特異的抗体を持たない動物は、この臨界期(critical period)に体重を落とした。これらのデータにより、LAH-KLHワクチン接種によって誘導される抗体は、疾患からのマウスの防御における必要不可欠な成分であることが示唆された。
防御における抗LAH抗体の役割をさらに調べるために、インビボ受動移入実験を行なった。感染の2時間前に、レシピエントマウスに、H1もしくはH3ウイルスに感染させたか、KLHのみをワクチン接種したか、又はLAH-KLHワクチンをワクチン接種したドナーマウス由来の200μlの血清を腹腔内投与により投与した。その後、レシピエントマウスに、ヒト季節性H3ウイルスのA/ジョージア/81、又はH1ウイルスPR8を感染させた。感染2日後、肺力価を評価した。LAH-KLH抗血清の移入は、ヒト季節性H3ウイルス(p=.0009)又はH1(p=.0008)ウイルスのいずれかに感染させた動物で肺力価を有意に低下させることが分かった(図10B及び10C)。この移入実験は、LAHコンストラクトが、ワクチン接種したマウスで中和抗体を誘導することを示唆している。
次に、ヒトにおける季節性インフルエンザワクチン接種が血球凝集素のLAH領域に特異的な抗体を誘導するかどうかを調べた。この可能性を探るために、2008〜2009年の三価不活化インフルエンザウイルスワクチン(TIV)による免疫の前後に採取されたヒト血清中の結合活性を評価した。この季節性ワクチン組成物は、A/ブリスベン/59/2007(H1N1)様ウイルス、A/ブリスベン/10/2007(H3N2)様ウイルス、及びB/フロリダ/4/2006様ウイルスを含んでいた(Administration UFaD(2010)2008〜2009年シーズンのためのインフルエンザウイルスワクチン(Influenza Virus Vaccine for the 2008-2009 Season)を参照されたい)。ヒト患者由来の血清試料を、ワクチン応答の尺度としての季節性TIV組成物に対するIgG抗体力価のワクチン接種後の上昇について評価した。LAHペプチドに特異的な最小量の血清抗体は、季節性ワクチン接種に対する最も高い応答を示す対象でも検出された(図10D及び10E)。
図8Dに示すように、LAH-KLH抗血清に見られる反応性の幅は、以前に血球凝集素ストークワクチンコンストラクトの研究で記載されたものよりも大きい(Bommakantiらの文献(2010)Proc Natl Acad Sci U S A;及びSteelの文献(2010)mBio 1(1):1-9を参照されたい)。この幅広い応答の誘発におけるコンジュゲート複合体の設計の重要性を調べるために、LAH-KLHコンストラクトのワクチン接種によって誘発される血清活性を、無傷のHA2分子のワクチン接種によって誘発される血清活性と比較した。A/香港/1/1968 HA2タンパク質の細胞外ドメインを以前に記載されているように組換えで発現させた(Chenらの文献(1999)Proc Natl Acad Sci U S A 96(16):8967-8972を参照されたい)。マウスにLAH-KLHをワクチン接種するために用いるのと同じ方法で、マウスに、何も結合していない、純粋なHA2タンパク質をワクチン接種した。LAH-KLH又はHA2タンパク質の二次ワクチン接種の10日後に採取された20匹のマウス由来のプール抗血清を、組換えで発現させた血球凝集素のパネルに対する結合活性について評価した。LAH-KLH抗血清は、試験した全ての血球凝集素亜型と反応したが、HA2抗血清は、グループ2血球凝集素タンパク質としか反応しない抗体を含んでいた(図11A〜H及び表1)。LAH構造はHA2タンパク質中に存在するので、LAH-KLH抗血清に見られる幅広い反応性は、LAHがコンジュゲート複合体内で抗原として提示される様式の結果であるに違いない。HA2の免疫優勢領域の排除が、LAH-KLHワクチンに、血球凝集素亜型間の幅広い反応性を仲介するより的を絞った抗LAH免疫応答を誘導させるのかも知れない。或いは、幅広い反応性の抗体の誘導は、LAHをC末端でキャリアタンパク質に固定し、それにより、そうでなければ、無傷のHA2タンパク質の状況において抗原としてサイレントであるLAHの領域を免疫原性にすることの結果であるのかも知れない。
(6.5.3 結論)
KLHに連結されたこのLAHコアポリペプチドは、現在ヒトにおいて季節性疾患とパンデミック疾患を引き起こす抗原性が多様なインフルエンザウイルス亜型に対する防御活性を有する。さらに、KLHに連結されたLAHコアポリペプチドは、ヒトにおいてパンデミックインフルエンザ疾患を引き起こす可能性がある亜型である、鳥H5N1ウイルスに対する防御活性を有する。したがって、KLHに連結されたLAHコアポリペプチドは、製造するのが安価でかつ簡単なペプチドベースのインフルエンザウイルスワクチンである。
本明細書で引用されている全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が引用により組み込まれていることが具体的にかつ個別に示されているかのように、引用により本明細書に組み込まれている。上の発明は理解の明快さの目的のために図及び実施例によって少し詳細に記載されているが、本発明の教示に照らし、添付の請求項の精神又は範囲を逸脱することなく、一定の変更及び修正をそれに加えることができることが、当業者には容易に明らかであろう。