JP2013519613A - セリウムの塩化水素処理に基づく、水素を熱化学的に製造する方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、第1の反応スキームに従って、以下の反応:(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;(C)2CeCl3+4H2O=2CeO2+6HCl+H2が行われるか、または、第2の反応スキームに従って、以下の反応:(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;(B’)2CeCl3+2H2O=2CeOCl+4HCl;(C’)2CeOCl+2H2O=2CeO2+2HCl+H2;が行われる、セリウム−塩素サイクルに基づき、水から熱化学的経路を介して水素を製造する方法であって、酸化セリウム塩素化反応(B)を液相において行い、塩化セリウムを溶液とし、反応(B)をフッ化物イオンによって触媒する、セリウム−塩素サイクルに基づき、水から熱化学的経路を介して水素を製造する方法に関する。
Description
本発明は、セリウムの塩化水素処理サイクルに基づく、熱化学的経路により水素を製造する方法に関する。
本発明の技術分野は包括的に、熱化学的サイクルを適用して水から水素を製造する技術分野と定義することができる、言い換えれば、本発明は、「熱力学的触媒」によって補助される水の熱分解に基づく水素製造の分野にある。
熱化学的サイクルの利用による水素の製造は、1960年代の終わりから広く研究されてきた分野であり、関与する可能性のある元素の体系的評価を前提としてきた。
これらの熱化学的サイクルの中でも、セリウムの酸化−還元、特にセリウム−塩素系に基づく水素の製造サイクルが注目されている。
セリウムの酸化−還元に基づく熱化学的サイクルは、第1の代替形態によれば、以下の反応:
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(C)2CeCl3+4H2O=2CeO2+6HCl+H2
によって表され得る。
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(C)2CeCl3+4H2O=2CeO2+6HCl+H2
によって表され得る。
第2の代替形態によれば、この熱化学的サイクルは、以下の反応:
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(B’)2CeCl3+2H2O=2CeOCl+4HCl;
(C’)2CeOCl+2H2O=2CeO2+2HCl+H2
によって表され得る。
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(B’)2CeCl3+2H2O=2CeOCl+4HCl;
(C’)2CeOCl+2H2O=2CeO2+2HCl+H2
によって表され得る。
非特許文献1は、1975年10月〜1977年9月の出版物の主題となった129の熱化学的サイクルのリストを示している。この文献は、非特許文献2に1976年に掲載された72の熱化学的サイクルの最初のリストを補足するものである。
これらの129のサイクルの中には、2つの言及した代替形態による、塩化セリウムを伴うサイクル(BAMBERGERの第1の文献(非特許文献1)のサイクル番号30およびサイクル番号31(173頁))が挙げられている。
非特許文献3は、塩化セリウムを伴うサイクルの詳細な研究を示す。
C.M.HOLLABAUGHの文献(非特許文献3)は、上述した、塩化セリウムのサイクルの第2の代替形態、特にサイクルの3つの最後の反応である(B)、(B’)および(C’)に着目している。
これらの反応は全て、気体(HClまたはH2O)が固体(CeO2、CeCl3またはCeOCl)と接触し、それと反応して、それを固体生成物(CeCl3、CeOClまたはCeO2)へと変換させる不均一反応である。HOLLABAUGHの文献(非特許文献3)では研究されていない第1の反応(A)については、該反応(A)は気体のみを伴う。
この文献に記載される、関与する反応が全て、固体−気体相または気体−気体相で行われるという事実は、とりわけ、以下の難題および問題をもたらす:
表面の表面安定化処理による反応進行度の制限、このため、HOLLABAUGHらにより実行される研究(非特許文献3)は、せいぜい、0.3という反応進行係数が50分後に達成されることを示す;
固体内における気体種の拡散による反応速度の制限;
実現することが時に難しい固体粒子の加熱;
1つのリアクタから他のリアクタへ化学種を運ぶために実行される、固体の複数の輸送;
2つの間で260%の増大を伴う、固体CeO2と固体CeCl3とのモル体積の大きな変化、その結果、変換リアクタの安定性を維持することが困難となる。
表面の表面安定化処理による反応進行度の制限、このため、HOLLABAUGHらにより実行される研究(非特許文献3)は、せいぜい、0.3という反応進行係数が50分後に達成されることを示す;
固体内における気体種の拡散による反応速度の制限;
実現することが時に難しい固体粒子の加熱;
1つのリアクタから他のリアクタへ化学種を運ぶために実行される、固体の複数の輸送;
2つの間で260%の増大を伴う、固体CeO2と固体CeCl3とのモル体積の大きな変化、その結果、変換リアクタの安定性を維持することが困難となる。
同様の問題が、同じ反応(A)および(B)を伴う、セリウムの熱化学的サイクルの第1の代替形態に関してももたらされる。
その第1の代替形態およびその第2の代替形態の両方において、反応性およびプロセスの制御という観点から、セリウムの酸化−還元サイクルの適用中に本質的な問題が提起されるという結論が導き出される。
上述した非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3に記載される方法の問題を解決することが可能である、セリウムの酸化−還元、より具体的にはセリウム−塩素サイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法が、特許文献1に提案されている。
特許文献1の方法では、反応(b)が、CeO2を固体形態で導入する液相中、より具体的には塩酸溶液中で行われる。
しかしながら、反応スキームの各々の塩化水素処理反応(B)が、使用される大部分の酸化セリウムバッチに依存すること、また、或る特定のバッチが優れた結果をもたらす場合には、反対に他のバッチが、CeO2の溶解の観点から芳しくない結果、またはさらには悪い結果をもたらすことが見出された。
言い換えれば、或る特定のバッチについては、存在するものの、CeO2の溶解が、非常に遅く、またそれ故、これによって方法の効率および全収率が著しく制限されることが観測された。
C.E.BAMBERGER 「熱化学的サイクルによる水からの水素の製造(Hydrogen Production from Water by Thermochemical Cycles)」、Cryogenics, March 1978, p. 170−182
BAMBERGER C.E., RICHARDSON D.M., Cryogenics, 16 (1976), p. 197
C.M.HOLLABAUGH, E.I.ONSTOTT, T.C.WALLACE Sr.,およびM.G.BOWMAN, 「水素の熱化学的な製造のためのセリウム−塩素系の研究(A study of the cerium−chlorine system for thermochemical production of hydrogen)」
前述のものについて、結果として、反応(B)または溶解反応の反応速度の全体的な改善を可能とし、またこの溶解反応が効果的かつ信頼性のあるものであることを確実なものとする、特許文献1に記載のように液相において酸化セリウムの塩化水素処理反応(B)が行われる塩素−セリウムサイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法の必要性が存在している。
CeO2の起源および使用される酸化セリウムバッチにかかわりなく、高い信頼性および優れた再現性を伴って溶解反応(B)が実際に適用され得るこのような方法の必要性が依然として存在している。
言い換えれば、後に広く記載される、特許文献1の主題の方法の利点を全て有するが、工程(B)中のCeO2の溶解の反応速度の不規則性、および、反応(B)中に度々観測される酸化セリウムの非常に遅い溶解速度に本質的に関係付けられるそれらの欠点は有しない、特許文献1に記載のように液相において酸化セリウムの塩化水素処理のための反応(B)が行われる塩素−セリウムサイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法の必要性が存在している。
本発明の目的は、とりわけ上記に挙げた必要性を満たす、特許文献1に記載のように液相において酸化セリウムの塩化水素処理のための反応(B)が行われる塩素−セリウムサイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法を提供することである。
この目的およびさらなる他の目的は、第1の反応スキームに従って、以下の反応:
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(C)2CeCl3+4H2O=2CeO2+6HCl+H2;
が行われるか、または、第2の反応スキームに従って、以下の反応:
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(B’)2CeCl3+2H2O=2CeOCl+4HCl;
(C’)2CeOCl+2H2O=2CeO2+2HCl+H2;
が行われる、セリウム/塩素サイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法であって、
酸化セリウムの塩化水素処理のための反応(B)を液相において行い、塩化セリウムを溶液に移し;反応(B)をフッ化物イオンによって触媒する、セリウム/塩素サイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法による本発明によって達成される。
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(C)2CeCl3+4H2O=2CeO2+6HCl+H2;
が行われるか、または、第2の反応スキームに従って、以下の反応:
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(B’)2CeCl3+2H2O=2CeOCl+4HCl;
(C’)2CeOCl+2H2O=2CeO2+2HCl+H2;
が行われる、セリウム/塩素サイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法であって、
酸化セリウムの塩化水素処理のための反応(B)を液相において行い、塩化セリウムを溶液に移し;反応(B)をフッ化物イオンによって触媒する、セリウム/塩素サイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法による本発明によって達成される。
反応(B)を触媒するために、反応(B)が行われる溶液にフッ化物イオンを添加する形態の制限はない。
言い換えれば、フッ化物イオンと結合する対カチオンは、反応(B)の触媒プロセスにも、全体として考慮される本発明による方法にも影響を及ぼさない。フッ化物イオンによる触媒作用は、フッ素と結合するカチオンにかかわらず実証されている。多くの試験が種々のタイプのフッ化物を伴って行われてきた。このため、LiF、NaF、MgF2およびCaF2を用いて同様の結果が得られている。
フッ化物イオンは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のフッ化物等の金属フッ化物から選択される少なくとも1つのフッ化物の形態で存在することが有益である。
しかしながら、本発明による方法は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のフッ化物に制限されず、アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物に加えて、全ての金属フッ化物を使用することができる。
化学安定性および熱安定性の理由から、フッ化カルシウムが1400℃を超える融点を有するため、好ましいフッ化物は蛍石とも称されるフッ化カルシウムCaF2である。しかし、任意の他のフッ化化合物を使用してもよい。
この(これらの)フッ化物は、反応(B)が起こり、かつ、CeO2を固体形態で導入する塩酸溶液に添加される。
有益には、フッ化物イオンの量が、CeO2 1グラム当たり少なくとも1.5mg、好ましくは1.5mg〜4mg、さらに好ましくは1.5mg〜2.5mg、より好ましくはCeO2 1グラム当たり1.7mg〜2mgである。
CaF2の場合、CaF2の量は概して、CeO2 1グラム当たり、5mg〜10mg、例えば6mgであり得る。
有益には、塩素を還元するための反応(A)が、反応の化学量論組成に比して過剰な水を伴って行われ得る。
有益には、反応(A)において水が化学量論組成に比して過剰であってもよく、これは、20倍以上まで、好ましくは1倍〜10倍の範囲をとり得る。
反応(A)は概して、500℃〜1000℃、例えば700℃の温度で気相において行う。
有益には、反応(A)をUV照射により補助することができ得る。
有益には、第1の反応スキームにおいて、反応(B)を過剰なHClを伴って行う。
有益には、第1の反応スキームにおいて、反応(B)を、対応する化学反応式に記載される化学量論組成に比して、1倍〜4倍、例えば1.5倍の過剰な塩酸を伴って行う。
有益には、反応(B)を、30℃〜110℃、例えば110℃の温度とした塩酸の水溶液中で行う。CeO2を、固体形態で上記溶液中に導入する。
第1の反応スキームにおいて反応(B)により生成される塩化セリウムの酸性水溶液は、反応(C)で霧状にされるか、または加圧蒸気によって噴霧、例えば散布され、これにより、塩化セリウムが固体CeO2へと加水分解される。
第1の反応スキームによれば、反応(C)は有益には、600℃〜1000℃、例えば750℃の温度で行う。
反応(B)によって生成される塩化セリウムの酸性水溶液は、固体セリウムオキシクロライドCeOClをもたらすために、第2の反応スキームにおいて、反応(B’)で蒸発、例えば気化される。
有益には、反応(B’)を100℃〜300℃、例えば130℃の温度で行う。
有益には、セリウムオキシクロライドの加水分解のための反応(C’)を、蒸気、任意に加圧蒸気を用いて行い、これにより、セリウムオキシクロライドを固体CeO2へと加水分解する。
第1の反応スキームの反応(C)または第2の反応スキームの反応(C’)では、凝縮により水素が有益には分離される、気体、すなわち、HClおよびH2と固体CeO2との混合物を生成する。上記凝縮前に、気体から固体CeO2を分離するための気体−固体分離操作を任意に実行することが可能である。
有益には、気体を凝縮して、反応(B)に送る塩酸溶液、および、固体CeO2をもたらす。
有益には、反応(C)および反応(C’)を、化学量論組成に比して過剰な水を伴って行う。
第1の反応スキームおよび第2の反応スキームの反応(A)では、凝縮により分離された酸素が、HClと酸素との気体混合物を生成する。
有益には、反応(B)中に形成される水を蒸留により分離する。
有益には、蒸留により分離される水を、形成された塩素気体、および、任意の過剰な塩酸とともに凝縮工程へと運び、その終わりに、一方では塩素を回収し、他方では水および任意の過剰な塩酸を回収する。
有益には、前述の凝縮工程において回収される水が反応(C)または反応(C’)に送り込まれ、塩素および考え得る過剰な塩酸が反応(A)に送り込まれる。
有益には、凝縮中に回収されるエネルギーが、気化および蒸留を確実なものとするために、また利用可能なエネルギーの残りが依然として存在すれば、任意にタービンに動力を供給するのに使用される。
本発明による方法は、特許文献1に記載されている方法の変更、または、どちらかと言えば改善として規定することができ、ここでは、むしろCeCl3へのCeO2の還元性溶解(reducing dissolution)と記載されることがある、酸化セリウムCeO2を溶解するための反応の触媒作用が、例えば、フッ化カルシウムCaF2の形態のフッ化物イオンの添加によってもたらされる。
以下の連続的な反応(B’’)および反応(B’’’)を含む以下の反応スキームに適合する、フッ化物イオンによって触媒される、酸性媒体にCeO2を溶解するための機構を提案している。
(B’’)CeO2+4H++2CaF2+2Cl−=[Ce(CaF2)2(Cl−)2]2+ aq+2H2O
(B’’)CeO2+4H++2CaF2+2Cl−=[Ce(CaF2)2(Cl−)2]2+ aq+2H2O
ヒドロクロロフッ素(hydrochlorofluoric)錯体化により安定化するCe4+イオンはその後、以下の反応(B’’’)に従って塩化物イオンにより還元される。
(B’’’)[Ce(CaF2)2(Cl−)2]2+ aq=[Ce3+]aq+1/2Cl2+Cl−+2CaF2
(B’’’)[Ce(CaF2)2(Cl−)2]2+ aq=[Ce3+]aq+1/2Cl2+Cl−+2CaF2
その後、溶液中のCe3+イオンは、本発明による方法の第1の反応スキームまたは第2の反応スキームに従い反応(C)または反応(C’)において再酸化される。
上記特許文献1の方法の範囲内の第1の反応スキームまたは第2の反応スキームにおいて、液相で行われる、酸化セリウムCeO2の塩化水素処理反応(B)を触媒するためのフッ化物イオンの適用は、前述の従来技術、より詳細には特許文献1に述べられている従来技術に記載も、示唆もされていない。
本発明による方法に従って、フッ化物イオンの添加により第1の反応スキームまたは第2の反応スキームの反応(B)を触媒することによって、驚くべきことに、特許文献1の方法で行われる反応(B)の欠点が克服され、またその結果として、総じて特許文献1の方法によって示される欠点も克服される。
本発明による方法は、特許文献1の方法の欠点および欠陥を有さずに、特許文献1の方法によりもたらされる問題を解決する。
それ故、本発明による方法では、触媒としてのフッ化物イオンの適用のために、CeO2の起源および使用される酸化セリウムバッチにかかわりなく、高い信頼性、および、優れた再現性を伴って溶解反応(B)が現に行われ得る。
言い換えれば、本発明による方法は、特許文献1に記載され、また後に広く記載される方法の利点を全て有するが、工程(B)中のCeO2を溶解する反応速度の不規則性、および、反応(B)中に度々観測される酸化セリウムの非常に遅い溶解速度に本質的に関係付けられるそれらの欠点は有しない。
本発明による方法では、反応(B)の速度が比較的速い。例えば、反応Bにより示されるものの2倍の化学量論組成を伴う20%のHCl溶液の使用は、約10分での全体の進行を可能にする。さらに、反応速度は、使用されるCeO2にかかわりなく(どのようなCeO2を使用しても)速いため、本発明による方法は、常に全体的に信頼性があり、再現性があり、速くかつ高い収率を伴う。
本発明による方法の反応(B)中、化合物CeCl3は形成するにつれて徐々に溶解する。
特許文献1の方法と同様に、本発明による方法は、単に、水性経路を介する熱化学的なセリウム−塩素サイクルに基づき水素を製造する「セルヒドロクロリン(cer hydrochlorine)」方法と記載してもよい。本発明による方法はさらに、塩化水素処理反応中の「触媒」方法と規定してもよい。
事実、本発明による方法は、第1の反応スキームおよび第2の反応スキームの両方において、反応(B)が固体−気体相でなく液相で行われるという意味で、同様のセリウム−塩素系を適用する従来技術(非特許文献3)の方法と基本的に異なる。
第1の反応スキームに関与する他の反応、すなわち、反応(A)および反応(C)は気相における反応である。
したがって、第1の反応スキームにおける本発明による方法は、これが含む欠点を全て伴う、固体−気体相における反応を全く伴わない。
第2の反応スキームの場合、反応(B’)は、固体−気体反応であるが、固体の不動態化が制限され、反応速度は許容可能である。
本発明による方法は、液相における反応および気相における反応の同様のプロセススキーム内における結合のためにサイクルの各々に関与する反応の最大進行を確実なものとする、水素を製造するための熱化学的サイクルを規定するものである。
本発明による方法、特に特許文献1の方法と同様の第1の反応スキームを伴う方法は、従来技術、例えば非特許文献1〜非特許文献3の主題の方法、とりわけHOLLABAUGHの文献(非特許文献3)に記載されている方法の欠点、欠陥、制限および不利益を有しない。
事実、反応(B)は液相において行われるため、系へ供給される固体(CeO2)の完全な消耗が確実とされる。
この反応は本発明の方法においてフッ化物イオンにより触媒され、その対カチオンは何ら影響を及ぼさない。
したがって、その後の工程、すなわち第1の反応スキームの場合には塩化セリウムの加水分解反応(C)または第2の反応スキームの場合には加水分解反応(B’)への、反応(B)中に形成される塩化セリウムの輸送も、液相において行われ、これは極めて単純に実行することができる。
本発明に従い、液相において反応(B)を実行することによって、不動態化を防ぎ、かつ、進行係数を1程度とする、反応(B)における反応生成物の可溶化がもたらされる。
固体内への気体の拡散は、反応(A)および反応(B)において存在しないため、制限要因とはならない。
反応(C)の場合、加圧蒸気により補助される酸性塩化セリウム溶液の噴霧を介して加水分解が直接成し遂げられる。この噴霧は、例えば、反応温度へと至る炉内における、ミクロンサイズの小滴の形成を含む。局所的な蒸気圧は、気体の反応環境を保つことを可能にするため、気体−固体拡散が著しく制限される。
反応(C)または反応(B’)中における水の部分的な蒸留は、噴霧および反応の加水分解を確実なものとするのに必要な水の生成を可能にし得る。
水素と酸素との分離は、H2O−HCl混合物を凝縮することによって成し遂げられ得るため、膜系を設ける必要性が低減される。
該方法において生成される固体は周期的に溶解されるため、表面不動態化は存在しない。
固体の輸送は、反応Cから、CeO2を再利用する反応Bへの移行に制限される。
塩化セリウムCeCl3は常に溶液中にあり、結果として、モル体積の変化の問題がもはや存在しない。
第2の反応スキームの場合、CeCl3をCeOClへと変換する蒸発工程(B’)によって、固体の輸送と、固体内への気体の拡散により制限され得ると確信することができると考えられる固体−気体反応とが追加される。
CeO2へのCeOClの変換により生じる収縮(striction)は、固体試薬の不動態化を制限し、許容可能な反応速度を可能なものとする。
添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明を読めば、本発明はより理解されるであろう。
図1には、上述の第1の反応スキームに相当するサイクルを適用する本発明による方法の図が表されている。
該方法は、先に述べた反応(A)、反応(B)、反応(C)を伴う工程を含む。
反応(B)は、フッ化触媒、より具体的にはフッ化物イオンの存在下で、酸化セリウムの塩化水素処理が液相において確実とされるリアクタ内で適用される。
塩酸を消費して水を生成するこの塩化水素処理反応は、30℃〜110℃、例えば、110℃の温度の上記リアクタの下部1で実行される。
水は、100℃の温度で一般に操作し、かつ、概してリアクタの上部を構成する還流カラム2を用いて連続的に蒸留される。
蒸留カラムの最上部において、水、塩素および微量のHClを含む流れ、すなわち、組成Cl2+(4+x)H2O+εHClを有する流れ(ここで、xは反応AのH2Oの化学量論組成を超える分を表す)が凝縮器3へと運ばれる。
反応(A)は、可能な限り純粋な水を有することを要するため、本発明の方法が好ましく利用されるH2O−HCl相図の領域が網掛けによって示される図2に示されるように、H2O−HCl共沸混合物の水の豊富な側で操作される。蒸留は、一方で、反応Aへと運ばれることが可能となる組成(図2の気化曲線上のA地点)を有する気体がカラムの最上部で得られること、他方、反応Cへと導かれ得る共沸溶液へと向かう液体のHClの濃縮(図2の露点曲線(dew curve)上のC地点)を確実なものとする。
該方法は、反応B中に使用されるHCl化学量論組成によって制御される。
本発明によれば、第1の反応スキームにおける反応(B)は概して、化学量論組成に比して過剰なHClを伴って行われる。好ましくは、第1の反応スキームにおいて、反応(B)は、化学量論組成に比して1倍〜4倍、例えば、1.5倍の過剰な塩酸を伴って行われる。
経験から、反応Bにより示されるものの2倍の化学量論組成で20%のHCl溶液を使用することによって、約10分のうちに完全な進行を得ることが可能となることが示された。
共沸溶液(33.9質量%のHClを含む:図2参照)または任意に準共沸(sub-azeotropic)溶液を使用することによって、反応Cの最大進行に必要とされるH2Oの過剰化学量論組成(図1の方法図またはフローチャートに示される)を有することが可能となる。
O2/Cl2分離システムの任意の設置を不要とするよう反応Aの最大進行を確実なものとするために、H2Oの高い過剰化学量論組成(フローチャート上のx)を伴って操作することが必要であり、これは、係数20以上に達してもよく、好ましくは1〜10の範囲内にある。
事実、該方法における過剰な水は、水溶液における塩化セリウムの可溶化と関連付けられ、反応(A)によっては定められない。したがって、過剰化学量論組成を有するということは、反応Bと関連付けられる。CeCl3の溶解度限界は約1kg/Lであり、これは、55モルの水に対する約4モルのCeCl3に相当する。それ故、包括的に、反応(B)によりもたらされる最小の水比率を有することとなる。この最小比率は13.75molのH2Oに対して1molのCeCl3である。よって、水の最小過剰化学量論組成は反応(C)に比して7となる。しかしながら、準共沸混合物を反応(B)に使用する必要があるため、過剰化学量論組成はより大きいものとなる。共沸混合物を水中で33.9質量%のHClに設定すると、例えば、1.5の過剰化学量論組成が反応(B)においてHClについてもたらされ、これは、例えば反応(C)に比して約12への水の過剰化学量論組成の上昇をもたらす。それ故、反応(B)におけるHClの枯渇は、水が完全に反応(A)に送られるのであれば、20よりもかなり大きい過剰化学量論組成を表す一定量の水を蒸留させる可能性を残す。
言い換えれば、水の過剰化学量論組成は、CeCl3の溶解度(1kg/L)によって、また共沸混合物を介して最小量の水を与える反応(B)において選択されたHClの化学量論組成によってもたらされる。
反応性は、等方性解離を可能にするUV線を用いて改善され得る。
O2とCl2とを分離し得る膜を有することが可能であるという仮定の下、この過剰化学量論組成は係数10だけ下げることができる。
反応(A)に由来する過剰な水は、反応(A)および反応(B)それぞれに関するリアクタ60とリアクタ1との間で循環される。リアクタ1内で、それは反応(B)に由来する水と併せて蒸留2に供される。
蒸留カラム2から生じる流れは、水((4+x)H2O)、塩素(Cl2)および微量の塩酸(εHCl)を含有し、概して70℃〜100℃の温度で操作する凝縮器3へと運ばれ、これはH2O(液体)からCl2(気体)を分離することを可能とする。
分離された液体の水はエバポレータ4へと移され、そこで水を概して150℃の温度まで加熱することにより、概して4.5バールに近い圧力を有する蒸気が発生する。
組成xH2O+εHClの気体流であるこの水の一部は、エバポレータ4からエキスパンダ/ミキサ5に運ばれ、これは水素を生成するのに必要な付加的な水の液体流および凝縮器3から生じる塩素の気体流も受け取る。
組成Cl2+(x+1)H2O+εHClの気体流は、エキスパンダ/ミキサ5から出て、リアクタ6へと導入され、そこでHClの生成反応(A)が行われる。この反応は、概して500℃〜1000℃、例えば、700℃の温度で行われる気相における反応である。
凝縮器8に送り込まれる組成xH2O+(2+ε)HCl+1/2O2の気体流は、反応(A)のためのリアクタ6から流出する。
考え得る代替形態は、輸送される気体体積を制限するための、リアクタ6への液体形態の水の導入であると考えられる。
凝縮の効果は、その気体を凝縮器8へと導くのに十分なものであろう。しかしながら、昇圧ポンプ7はおそらく必要である。
凝縮器8内において、一方ではこの段階で放出される唯一の気体である酸素の流れ、および他方ではリアクタ1に送り込まれる組成(2+ε)HCl+xH2Oの混合物からなる液体流が、生成される。
凝縮器8内に設けられた交換器は、達成された冷却から生じたカロリーをリアクタ1およびエバポレータ4へと移行することを可能にする。
凝縮器8内で回収される酸素の流れ(1/2O2)は、貯蔵槽9へと送り込まれる。
エバポレータ4から生じる水の他の部分は組成4H2Oの気体流を形成し、それは、圧力(1バールを超える圧力)の下、反応(C)が行われるリアクタ10へと運ばれる。
リアクタ10は、触媒として使用されるフッ化化合物、例えばCaF2の形態のフッ化物イオンを含有する酸性(acid)CeCl3溶液からなる液体流も受け取る。組成2CeCl3+yH2O+aHCl+εCaF2のこの液体流は、リアクタ1から生じ、ポンプ12を用いてリアクタ10へと液体形態で運ばれる。
より具体的には、加圧水流が、リアクタ10の底部に設けられた噴霧器11に送り込まれ、上記噴霧器にはCeCl3溶液も供給される。
噴霧器11内における液体−蒸気結合は、概して600℃〜1000℃、例えば700℃〜750℃の温度に加熱されるリアクタ10内への溶液の非常に細かい分散を可能にする。
リアクタ10から放出される気体は、組成yH2O+(6+a)HCl+H2の流れを形成し、凝縮器13に送り込まれ、そこで一方では水素気体流および他方では組成(6+a)HCl+yH2Oの液体流へと分離される。
凝縮器13内で回収される水素気体流(H2)は貯蔵槽14に送り込まれる。
凝縮器13は、カロリーをリアクタ1およびリアクタ4へと移行することを可能にする交換器を備える。
凝縮器13から生じる液体流は、ポンプ15を介してリアクタ1へと送り戻される。
リアクタ10内で行われる反応(C)はまた、概して気体から分離しなければならない固体、すなわち固体CeO2および固体CaF2(2CeO2+εCaF2)を生成する。リアクタ10の出口における気体−固体分離は、例えばサイクロン型の装置により行われ得る。
この段階で、リアクタ10内で生成される固体および気体は全て、水素を除いてリアクタ1に送り戻されるため、この気体−固体分離は任意のものであってもよい。
したがって、リアクタ10の出口で固体−液体分離を進めることなく、リアクタ10から生じる気体−固体混合物から水素を単に凝縮することが可能である。
結論として、本発明による方法を適用するための設備の中核を構成するリアクタ1にはこのように、組成(8+a+ε)HCl+(x+y)H2Oの液体流、組成2CeO2+εCaF2の固体流が供給されるとともに、組成Cl2+(4+x)H2O+εHClの気体流、および、組成2CeCl3+yH2O+aHCl+εCaF2の液体流または酸性水溶液がリアクタ1から、またはより具体的には、気体流に関しては上記リアクタの最上部に位置する蒸留カラム2から流出する。
リアクタ10内において塩酸を可能な限り少なく含有する溶液を使用するという要件は、生成される水素の流量に応じて、並列接続させた複数のリアクタ1、例えば2個〜n個のリアクタを稼動させることによって満たすことができる。
図1において、凝縮器8および凝縮器13内で回収される熱は、水の蒸留を達成させるためのリアクタ1に、またエバポレータ4および任意でタービン16に熱を供給するのに使用される。
図3には、上述の第2の反応スキームに相当するサイクルを適用する本発明による方法の図が示されている。
それは、図1に記載される第1の反応スキームに相当するサイクルを適用する方法の図との多くの類似点を有する。
リアクタ1内で行われる反応(B)は、図1の第1の反応スキームの場合に生成されるものよりもはるかに酸性の低いCeCl3溶液を生成する化学量論組成に近い物質の量を伴って操作することを唯一の違いとして、図1の図の場合に記載されたものと同一である。
この溶液は、エバポレータ17に送り込むために、リアクタ1から流出する組成2CeCl3+yH2O+εCaF2の液体流を形成し、エバポレータ17の出口で、一方では、組成2CeOCl+εCaF2の固体流が回収され、他方では、組成(y−2)H2O+4HClの酸性水溶液からなる、場合によっては気化される液体流が回収される。
エバポレータ17の出口で回収される組成2CeOCl+εCaF2の固体流は、ポンプ12を介してリアクタ10に移される。リアクタ10内において、それは、エバポレータ17から生じる組成(y−2)H2O+4HClの気流と、エバポレータ4から生じる組成4H2Oの流れとの組合せに由来する、組成(2+y)H2O+4HClの組み合わされた蒸気流により処理される。気体流から任意に分離される固体(組成2CeO2+εCaF2の流れ)は、図1と同様の経路をたどり、リアクタ1に送り込まれる。
上記組成(2+y)H2O+4HClの流れは、拡散器11を用いてリアクタ10に導入される。
蒸留カラム2の最上部において、組成Cl2+(4+x)H2Oの気体流(もはや図1に記載のようなCl2+(4+x)H2O+εHClではない)が生成され、Cl2(気体)を分離するために凝縮器3へと運ばれる。
リアクタ1内で反応(B)を実施するのに過剰化学量論組成のHClを使用しないため、図1と関連して与えられるものに関してそれ相応に流れの組成を修正しなければならない。よって、エバポレータ4から圧力低減バルブ5への気体流は組成xH2Oを有し、圧力低減バルブ5からリアクタ6への気体流は組成Cl2+(x+1)H2Oを有し、リアクタ6からポンプ7を介する凝縮器8への気体流は組成xH2O+2HCl+1/2O2を有し、リアクタ10から凝縮器13への気体流は組成yH2O+6HCl+H2を有し、凝縮器13からリアクタ1への液体流は組成6HCl+yH2Oを有し、凝縮器8からリアクタ1への液体流は組成2HCl+xH2Oを有する。
タービン16は、図1に記載されたものと同一の機能を提供する。
添付の図面と関連する先の説明は、上記に既に挙げた本発明による方法の利点を全て示すものである。
特許文献1で既に実証されている本発明による方法の他の利点はさらに:
凝縮工程による輸送される物質の体積の制限(事実、気体の体積と液体の体積との間に1000の比率が存在する);
輸送される固体の量の制限;
凝縮により形成される気体の分離、膜の使用を回避するかまたはこれにより膜の使用を制限すること;
蒸留2並びに加水分解リアクタ10内で実行される加水分解(C)および(C’)において方法の制御をより柔軟なものとする、過剰な水を含む共沸溶液の使用;
リアクタ1およびエバポレータに熱を供給するのに十分な、凝縮器における熱量を回収するためのシステム
である。残りのカロリーは、サイクルに関連するタービン16への熱の供給を可能にし得る。
凝縮工程による輸送される物質の体積の制限(事実、気体の体積と液体の体積との間に1000の比率が存在する);
輸送される固体の量の制限;
凝縮により形成される気体の分離、膜の使用を回避するかまたはこれにより膜の使用を制限すること;
蒸留2並びに加水分解リアクタ10内で実行される加水分解(C)および(C’)において方法の制御をより柔軟なものとする、過剰な水を含む共沸溶液の使用;
リアクタ1およびエバポレータに熱を供給するのに十分な、凝縮器における熱量を回収するためのシステム
である。残りのカロリーは、サイクルに関連するタービン16への熱の供給を可能にし得る。
本発明による方法は、工業的に容易に適用することができ、大規模での水素の生成を可能にする。本方法においてもたらされる温度レベルは、様々な熱源によって、本方法を適用する設備に熱を供給することを可能にし得る。
これらの熱源は、例えば、電気への変換中に失われる70%の熱エネルギーの一部を使用するために、本発明の方法を適用する設備と、例えばHTR型またはVHTR型の原子炉との直接的な結合を設けることによる、原子力源とすることができる。
また、これらの熱源は、2つの高温反応(AおよびC)に供給することができる伝熱流体の加熱をもたらすために、太陽源であってもよい。
ここで、例示として挙げられるものであって限定として挙げられるものではない以下の実施例を参照して本発明を説明する。
以下の実施例では、フッ化物イオンを用いた反応(B)(本発明による実施例1)および関連する蒸留(実施例2)、反応(B’)(実施例3)、並びに反応(C)(実施例4)に関して試験を行った。
実施例1
本実施例では、フッ化物イオンを触媒として添加する本発明による方法に従って反応(B)を適用するための試験を行った。
本実施例では、フッ化物イオンを触媒として添加する本発明による方法に従って反応(B)を適用するための試験を行った。
これらの試験は、還流カラムが搭載される、110℃に加熱した三つ口フラスコ内に、セリウムの完全な塩素化に必要な化学量論組成の1.5倍に相当する、7.5グラムのCeO2を含む47ミリリットルの共沸HCl溶液を入れること、および、試験毎に異なる量の触媒CaF2を添加することからなるものとした。
これらの試験に使用されるCaF2は、5μmを中心とする粒径分布を有する。
試験は、0.25mgのCaF2の基準量(基準量は、試験に使用されるCeO2の量、すなわち7.5mgに対するCaF2の導入量に相当する)に、異なる乗数、すなわち3、6、8、13、50、100、200(50mgのCaF2)、および、400(100mgのCaF2)をその都度乗じたものに相当するCaF2の量を用いて行った。試験の結果は、7.5gのCeO2を適用する反応に対する触媒CaF2を添加する効果が示される図4にプロットする。これらの結果は、7.5mgのCeO2に対して50mgのCaF2の量、すなわち6.6mg/gのCeO2の場合に、反応速度が最適なものとなることを示す。
ここに示される試験は、フッ素を全く含まないCeO2バッチで行われ、フッ化物イオンを触媒として使用する必要性を示す。それらは、使用される触媒の閾値を決定するために重要である。
実施例2
本実施例では、反応Bに関連する蒸留を適用するための試験を行う。
本実施例では、反応Bに関連する蒸留を適用するための試験を行う。
これらの試験は、ビグリューカラムが搭載される、110℃に加熱した三つ口フラスコ内に、全CeO2が塩化物イオンと反応するような化学量論組成の混合物に相当する、8ミリグラムのCeO2を含む31ミリリットルの共沸HCl溶液を入れることからなるものとした。
この試験から、酸化セリウムの塩素化中に形成される水の95%を回収する可能性が実証された。
その際、回収された水のpHは2であったため、溶液中の非常に少量のHCl(リアクタ内で6.6mol・L−1に対して10−2mol・L−1、すなわち660の比率)が実証され、これは反応(A)をごく僅か妨げるものとされる。
実施例3
本実施例では、反応(B’)を適用するための試験を行った。
本実施例では、反応(B’)を適用するための試験を行った。
これらの試験は、150℃に加熱したフラスコ内で、40ミリリットルの水に約4gのCeCl3を溶解させること、および、完全に蒸発するまで混合物を沸騰させることからなるものとした。
回収された不溶性の残渣はセリウムオキシクロライドCeOClに相当する。
この反応全体は、蒸発時間によって制限される反応速度を有する。
実施例4
本実施例では、反応(C)を適用するための試験を行った。
本実施例では、反応(C)を適用するための試験を行った。
これらの試験は、700℃に加熱した管状リアクタ内に、0.2MのCeCl3溶液を噴霧することからなるものとした。
噴霧は約2バールの圧力下における蒸気の噴射を用いて成し遂げる。
溶液を噴霧する可能性を実証した後、炉から下流の測定により、水素の非常に急速な生成が観察される可能性がもたらされた。
反応の生成物は、急速な反応速度で得られる純粋な酸化セリウムであると特定された。
Claims (22)
- 第1の反応スキームに従って、以下の反応:
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(C)2CeCl3+4H2O=2CeO2+6HCl+H2;
が行われるか、または、第2の反応スキームに従って、以下の反応:
(A)H2O+Cl2=2HCl+1/2O2;
(B)8HCl+2CeO2=2CeCl3+Cl2+4H2O;
(B’)2CeCl3+2H2O=2CeOCl+4HCl;
(C’)2CeOCl+2H2O=2CeO2+2HCl+H2;
が行われる、セリウム−塩素サイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法であって、
酸化セリウムの塩化水素処理のための該反応(B)を液相において行い、該塩化セリウムを溶液に移し、該反応(B)をフッ化物イオンによって触媒する、セリウム−塩素サイクルに基づき、熱化学的経路により水から水素を製造する方法。 - 前記フッ化物イオンが、アルカリ金属フッ化物およびアルカリ土類金属フッ化物、例えば、蛍石とも称されるフッ化カルシウムCaF2等の金属フッ化物から選択される少なくとも1つのフッ化物の形態で存在する、請求項1に記載の方法。
- フッ化物イオンの量が、CeO2 1グラム当たり少なくとも1.5mg、好ましくは1.5mg〜4mg、さらに好ましくは1.5mg〜2.5mg、より好ましくはCeO2 1グラム当たり1.7mg〜2mgである、請求項1または2に記載の方法。
- 塩素を還元するための前記反応(A)を、該反応の化学量論組成に比して過剰な水を伴って行う、請求項1に記載の方法。
- 前記反応(A)を500℃〜1000℃、例えば、700℃の温度で気相において行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記反応(A)をUV照射により補助する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第1の反応スキームにおいて、前記反応(B)を過剰なHClを伴って行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第1の反応スキームにおいて、前記反応(B)を、該対応する化学反応式に記載される化学量論組成に基づき、1倍〜4倍、例えば、1.5倍の過剰な塩酸を伴って行う、請求項7に記載の方法。
- 前記反応(B)を、30℃〜110℃、例えば、110℃の温度とした塩酸の水溶液中で行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記反応(B)が、前記第1の反応スキームにおいて前記反応(C)で霧状にされるかまたは加圧蒸気により噴霧される、塩化セリウムの酸性水溶液を生成し、これにより、該塩化セリウムを固体CeO2へと加水分解する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記反応(C)を600℃〜1000℃、例えば、750℃の温度で行う、請求項10に記載の方法。
- 前記反応(B)が、前記第2の反応スキームにおいて固体セリウムオキシクロライドCeOClをもたらすために前記反応(B’)で蒸発させる、塩化セリウムの酸性水溶液を生成する、請求項1に記載の方法。
- 前記反応(B’)を100℃〜300℃、例えば、130℃の温度で行う、請求項12に記載の方法。
- セリウムオキシクロライドの加水分解のための前記反応(C’)を、蒸気、任意に加圧蒸気を用いて行い、これにより、セリウムオキシクロライドを固体CeO2へと加水分解する、請求項12または13に記載の方法。
- 前記第1の反応スキームの前記反応(C)または前記第2の反応スキームの前記反応(C’)が、任意の気体からの固体CeO2の分離後に、凝縮により水素が分離される、気体と固体CeO2との混合物を生成する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
- 前記気体を凝縮して、反応(B)に送る塩酸溶液、および、固体CeO2をもたらす、請求項15に記載の方法。
- 前記反応(C)および前記反応(C’)を、化学量論組成に比して過剰な水を伴って行う、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
- 前記反応(A)が、凝縮により酸素が分離される、HClと酸素との気体混合物を生成する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
- 反応(B)中に形成される水を蒸留により分離する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
- 蒸留により分離される水を、形成された塩素気体および任意の過剰な塩酸とともに凝縮工程へと運び、その終わりに、一方では塩素、ならびに、他方では水および任意の過剰な塩酸を回収する、請求項19に記載の方法。
- 前記回収した水を前記反応(C)または前記反応(C’)に送り込み、前記塩素および任意の前記過剰な塩酸を反応(A)に送り込む、請求項20に記載の方法。
- 凝縮中に回収されるエネルギーを、気化および蒸留を確実なものとするために、ならびに、任意にタービンに動力を供給するために使用する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
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