なお、コンピュータ/サーバベースの成果物管理システムについて以下に説明するが、様々な代替となる構成も適していると思われ、サーバ、インターフェース、システム、データベース、エンジン、コントローラ、または個々にまたは集合的に動作する他の種類のコンピューティング装置を含む様々なコンピューティング装置を使用してもよい。コンピューティング装置は、具体的で一時的でないコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、ハードドライブ、固体ドライブ、RAM、フラッシュ、ROM)上に保存されたソフトウェア命令を実行するように構成されたプロセッサを備えるものと理解すべきである。ソフトウェア命令は、好ましくは、後述する開示された装置としての役割、任務、または他の機能を提供するようにコンピューティング装置を構成する。特に好ましい実施形態において、様々なサーバ、システム、データベース、またはインターフェースは、HTTP、HTTPS、AES、公開−秘密鍵交換、ウェブサービスAPI、周知の金融取引プロトコル、または他の電子情報交換方法に基づいて、標準プロトコルまたはアルゴリズムを使用してデータ交換する。データ交換は、好ましくは、パケット交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、または他の種類のパケット交換ネットワーク上で行われる。
開示された技術は、クライアントによって使用されるプラント成果物を保存する外部コンピュータシステムの提供を含む数多くの有利な技術効果を提供することを理解すべきである。本インフラストラクチャは、プロジェクトに依存しない(agnostic)情報を、コンピュータシステム上に構築されたクライアントに固有の知識ベースに変換する。
本明細書において用いられるように、そして文脈に反しない限り、「結合された(coupled to)」という用語は、直接結合(互いに結合される2つの要素が互いに接触する)および間接結合(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素間にある)の両方を含むものとされる。したがって、「結合された(coupled to)」および「結合された(coupled with)」という用語は同義語として使用される。
図1において、プラント成果物管理システム100は、建設会社110によって運営される。例えばFLUOR社のような大規模建設会社は、大陸を跨ぐほど地理的に広い距離にわたっていることを理解すべきである。そのような地球を跨ぐような企業に鑑み、建設会社110の内部ネットワーク115は、建設会社110の内部とみなされても、地理的に広い距離にわたっているともみなされ得るべきである。建設会社110は、ほとんどいかなる管轄またはほとんどいかなる地理的な位置における大規模プラント建設(例えば、発電所、処理プラント、製造プラント)を引き受けるのに相応しい会社を表す。
建設会社110は、プラント建設のために建設会社110に従事したクライアントに対して適切なプラント成果物管理システム100を提供する、共に動作する1つ以上のコンピュータベースのコンポーネントを含むことができる。システム100は、成果物テンプレートエンジン140と、成果物インターフェース130と、成果物ライブラリ160と、成果物エンジン150とを含み得る。システム100の様々なコンポーネントには、内部ユーザ120または外部ユーザ170さえも成果物インターフェース130を介してアクセス可能である。なお、各コンポーネントは、クライアントまたはサーバとして機能し所期の役割または任務を提供するコンピュータシステムとみなされる。
建設会社110の構成員を表す内部ユーザ120は、システム100のコンポーネントに内部ネットワーク115を介してアクセス可能である。内部ネットワーク115は、建設会社110によって所有または運営される企業ネットワークを含むことができる。ある実施形態においては、内部ネットワーク115は、インターネットのインフラストラクチャ上に重ねて動作するようなWAN、VPN、または他の種類の通信ネットワークを含み得る。
同様に、独立した第三者の構成員を表す外部ユーザ170は、外部ネットワーク175上でシステム100のコンポーネントにアクセス可能である。外部ネットワーク175は、外部ネットワーク175が建設会社110の管理から主に外れる場所であるインターネットを含むこともできると理解すべきである。それでも、建設会社110は、要望により、成果物インターフェース130を外部ユーザ170にアクセス可能にすることもできる。例えば、成果物インターフェース130は、ウェブベースのインフラストラクチャを備え、ウェブページ、ウェブサービスAPI、サービス、または他の種類のインターフェースを外部ユーザ170に提示することもできる。
プラント成果物管理システム100の様々なコンポーネントは、クライアントのプラント建設のための成果物パッケージの作成に協働するよう構成される。例えば、内部ユーザ120または外部ユーザ170が成果物データを、成果物インターフェース130を介して登録すると、テンプレートエンジン140からのテンプレートに従って、成果物データは統合され得る。統合された情報は、成果物ライブラリ160内のプラント成果物として保存され得る。成果物ライブラリ160では、プラント成果物は、建設されたプラントのクライアントへの引渡しを完了するために必要なまたは要求された文書を含むものとされる。成果物エンジン150は、成果物ライブラリ160からプラント成果物を取得し、クライアントが好むフォーマットに従ってクライアント用にそれらを成果物パッケージにまとめることができる。ある実施形態において、成果物エンジン150は、プラント成果物をクライアント成果物コンピュータシステム190に提供することができる。例えば、コンピュータシステム190は、クライアントのプラント成果物書類を保存するデータベースと、所望のインデクシングスキームに従って当該データベースに問い合わせるように構成された検索エンジンとを有するように構成され得る。
どの時点においても、プラント成果物管理システム100は、1つ以上の異なるプラント建設または一以上のクライアントに対してプラント成果物サービスを提供可能である。建設会社110が数多くの異なるクライアントにわたって建設サービスを提供できるという点に鑑み、システム100の様々なコンポーネントは、好ましくは、建設プロジェクトに依存しない(agnostic)方法で動作することができる。
図2は、プラント成果物管理システム内に内蔵し得るテンプレートエンジン240のより詳細な図を示す。テンプレートエンジン240は、複数のプロジェクトに依存しない(agnostic)プラント成果物テンプレート247を保存するように構成されており、各テンプレート247は、テンプレート属性を有し得る。テンプレートエンジン240は、1つ以上の成果物テンプレート247を保存するテンプレートデータベース245を含み得、テンプレート247は、一人以上の遠隔ユーザが成果物データを登録するのに活用され得る。1つ以上のテンプレート247に従って成果物データを統合すれば、実際のプラント成果物を作成することができる。なお、別個の各プラント建設が異なる組のテンプレート247を活用することができ、あるプラント建設に使用されたセットは、次の異なるプラント建設のテンプレートと同様のテンプレートを活用する場合もあればそうでない場合もある。
テンプレート247は、プラント建設に依存しない(agnostic)方法で構築することができ、各テンプレート247は、あるプラント建設から他に活用され得る。テンプレート247は、対応する成果物に関する様々な情報を含み得る。例えば、テンプレート247は、すべてのプロジェクトにわたって標準化された1つ以上のテンプレート属性を含み得る。標準属性は、標準名または、例えば、システムの構成員が適切にデータ、情報等を混乱せずに交換できるような値を有するテンプレートのためのデータを表す。
標準属性の組は、様々なスキーマに従ってまとめられ得る。例えば、標準属性は属性名の各部分が階層内のレベルに対応する階層的ネーム空間にまとめられ得る。運営団体の構成員は、必要があれば、標準属性をテンプレート247に割り当てることができ、クライアント主体の属性から標準属性へのマッピングを提供することもできるだろう。標準属性がどのように構築されるかにかかわらず、標準属性はプラント建設に依存しない(agnostic)ものとみなされ、複数の別個のプロジェクトにわたって適用することができる。
テンプレート247は、対応するプラント成果物にとって利用可能であるべき成果物データに関するインターフェース情報も含み得る。インターフェース情報は、ユーザインターフェースを構築するために使用可能であり、ユーザはインターフェース情報を介してプラント開発可能データを登録可能である。テンプレート247は、その関連する成分要素(例えば、属性、インターフェース情報)と共に、互いにリンクする管理可能なオブジェクトとしてテンプレートデータベース245内に保存可能である。ある実施形態において、様々なテンプレートオブジェクトまたはデータベース内の他のオブジェクトを、汎用で一般的な中間フォーマットを表すXMLデータストラクチャとして保存可能である。テンプレート247がプラント建設に有用とみなされると、システムの他のコンポーネントは、XMLデータを解釈して、テンプレートの対応する成果物に関連した成果物データを取得するのに適切なインターフェースをどのように構築するかを決定する事ができる。
テンプレート247は、手動で作成することも、自動で作成することもできる。ある実施形態において、運営団体がテンプレート247の形式を決定し、基準と適合するか、標準命名法(例えば、標準属性)に適合する要素を有するか、またはそうでなければテンプレートデータベース245内の他のオブジェクトと矛盾しないか確認する。また、テンプレート247を、以前のプロジェクトの資産に基づいて構築することもでき、この構築は自動であってもよい。
1つ以上の以前のプロジェクトについての資産レベルの情報を保存する資産ライブラリは、各プロジェクトの資産についての情報をシステムに提供する。資産は、プラント建築の物理的な構成要素を含むものとされ、ボルトから処理部、建設現場に至るまでを範囲とし得る。プロジェクトが完成すると、あるプロジェクトからの資産を他のプロジェクトと比較して、共通性を判断することができる。これは、テンプレート247とともに使用された同一のネーム空間と適合する標準属性を介してもよい。テンプレート247が資産に対して存在しない場合、システムは、推奨テンプレートを構築して、資産に関連した成果物を提供するという要求を満たすことができる。推奨テンプレートは、以前作成されたプラント成果物に基づいた特徴を有して構築することができる。例えば、ポンプ場などの資産には、トレーニング教材がない場合がある。成果物エンジンは、標準属性「トレーニング」によって特定された、以前提供されたトレーニング教材を特定することができよう。そして、エンジンは、トレーニング教材フォーマット(例えば、目次、索引)を使用して、ポンプ場トレーニング教材成果物用のテンプレートを構築することができる。
テンプレート247は、数多くの異なる種類のプラント成果物を表すことができる。各プラント成果物は、ある建設プロジェクトの異なる局面において必要とされ得るであろうことを理解すべきである。プラント成果物の種類の例としては、設計成果物、技術工学成果物、建設成果物、運営成果物、または寿命または閉鎖(decommissioning)成果物さえもある。例えば、設計局面の成果物は、設備リスト、器具リスト、ループシート、レイアウトまたは配置図面、仕様書、要件書類、または他の種類の文書を含み得る。さらに成果物は、工学的または技術的な文書の範囲を超えることがあることを理解すべきである。例えば、運営成果物(すなわち、プラントを稼働するための書類)は、トレーニング教材、人材要件(例えば、技能要件、雇用要件)、検査スケジュール、教室テスト(classroom test)、またはプラントを運営するのに有用と思われる他の教材を含み得る。
テンプレート247は、時間の経過とともに修正され得る、生きたテンプレートであるとみなされる。あるプラント建設から他へ教えが習得されると、テンプレートに最善の実務が組み込まれて、改良の継続を確保することができる。安定すると、または許可が得られると、テンプレート247は利用可能となるか、そうでなければテンプレートデータベース245を介して公開することができる。
プラント建設が進行すると、プロジェクトの局面にかかわりなく、ユーザは、成果物データをプラント成果物管理システムに提供することができる。図3は、成果物インターフェース330を示す。成果物インターフェース330は、テンプレートエンジンに結合し、遠隔ユーザが、プラント建設に関連したプラント成果物テンプレートに従ってプラント成果物データを登録できるように構成されている。成果物インターフェース330は、遠隔ユーザの要求に沿うように、数多くの異なる形式を取り得る。本例では、成果物インターフェース330は、遠隔コンピュータ上にユーザインターフェースを描画可能なウェブサーバとして構築されているように示されている。しかしながら、成果物インターフェース330は、コンピュータが呼び出し可能な、1つ以上のアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を提供可能であってもよい。そのような実施形態において、遠隔コンピュータは、ソフトウェア上のローカルアプリケーションまたはソフトウェアを実行して、ユーザインターフェースを作成することができ、ユーザインターフェースは、プラント成果物管理システムの他のコンポーネントとさらに結合する。
成果物インターフェース330は、テンプレートトランスレータ332を含み得る。テンプレートトランスレータ332は、成果物についてのテンプレート情報を取得することができる。テンプレートトランスレータ332は、テンプレート内に保存された様々なデータ(例えば、標準属性、XML、HTLM等)を解釈して、テンプレートに対応する成果物についてのユーザインターフェースを描画するための命令を生成することができる。例えば、チェックリスト用のテンプレートは、クライアントが望む命名法または言語に従ってユーザが名付けるべき複数のフィールドを含むこともあろう。その結果、テンプレートトランスレータ332は、ユーザが必要なフィールドに対応する名称または値を登録する複数の入力フィールドを有するユーザインターフェースを構築することもあろう。
プレゼンテーションエンジン335は、テンプレートトランスレータ332からの命令を使用して、所望のユーザインターフェースを描画することができる。プレゼンテーションエンジン335は、ウェブページを描画するHTTPサーバとして提示されるが、プレゼンテーションエンジン335は2種類以上のインターフェースを生成するようにも構成され得る。例えば、プレゼンテーションエンジン335は、HTMLコード、スプレッドシート、データベーススキーマ、アプリケーションインターフェース、API、または他の種類のユーザインターフェース構成体を作成することもできよう。ユーザインターフェースの種類は、テンプレートによって表される成果物の種類に大きく依存し得る。成果物によっては、スプレッドシート登録に適したもの(例えば、設備リスト、チェックリスト等)、データベース登録に適したもの(例えば、ワークフロー、検査結果等)、未処理データ登録またはファイル登録に適したもの(例えば、ビデオ検査、音声データ等)がある。
ユーザは、成果物インターフェース330とやり取りをして、成果物データを成果物管理システムに登録する。成果物データは、多様な情報を含み得る。特に好ましい情報の種類として、特定の建設プロジェクトの物理的なオブジェクトまたは資産に特に関連する、資産レベルの情報がある。資産レベルの情報は、プロジェクトについての特定の資産に関するものであり、数多くの異なる種類のデータを包含しうる。例として、予防的保守/予測管理データ、較正スケジュール、負荷レベル、ジョブ計画、建設自動化、パーツの寿命情報を伴うBOM設備パーツリスト、またはプラントの特定の物理的な資産に関する他の種類のデータが挙げられる。
成果物インターフェース330は、システムに登録された成果物データを検証するように構成され得る検証器334も含み得る。検証器334は、当該プラント建設に関連した要件について、要件データベース333を調査することで、成果物データの要件を理解することができる。要件は、クライアントが好むフォーマット、言語要件、法的要件(例えば、認証、公証、承認等)、安全要件、または他の種類の要件を含み得る。稀な例として、検証器334は、情報が正確な言語で登録されるか検証することもできよう。本システムの他のコンポーネントと同様に、要件データベース333は、複数の別個のプラント建設にわたる要件を保存することができる。
要件データベース333に加えて、検証器334は、テンプレートから検証情報を取得することもできる。ユーザインターフェースはテンプレートトランスレータ332を介してテンプレートから構築されたとき、検証器334は、登録されたデータがテンプレート内に略述された基準に本当に合致しているか判断することができる。例えば、あるテンプレートは、あるフィールドが音声ファイルへのポインタを含むことを要求する場合もあろう。検証器334は、音声ファイルをチェックして、1つ以上の認識可能な音声ファイルフォーマットであるかを判断することができる。データ型検証は、テンプレート要件を調査することによって実現され得る検証の一形態を表す。他の種類の検証としては、ユーザまたはユーザが構成員であるエンティティについての認証情報、スケジュール要件の検証、登録された登録データが標準属性への有効なマッピングを有することの認証、または他の種類の認証が含まれ得る。
検証器334がテンプレート、プラント建設要件、標準属性、またはクライアントの好み(例えば、クライアント言語、フォーマット、属性等)の有効な使用に関する情報にアクセス可能なことに鑑みれば、検証器334は、また、成果物データを登録するユーザに対して、できればリアルタイムで推奨を行うことができる。本推奨は、成果物データがデータ登録要件に適合するように成果物データに対して可能な修正を反映させる。データ登録要件は、要件データベース333内のプラント建設要件、プラント建設に関連するまたは成果物に対応するテンプレート、または他の要件であってもよい。ユーザが検査場所の未処理画像データをアップロードする場合を考える。検証器334は、例えば第1のフォーマットであるJPEGから、例えば第2のフォーマットであるPNGへ画像データを変換すべきであると提案するフィードバックをユーザに提供することができよう。さらに、検証器334は、プレゼンテーションエンジン335を介して、画像データを自動的に変換するような選択肢をユーザに提供することもできよう。このような場合、検証器334または成果物インターフェース330は、データフォーマット変換ユーティリティを含み得る。
検証器334は、データ登録に関する提案を提供することもできる。ユーザがデータを登録する際、検証器334は、成果物データにとって利用可能であると思われる標準属性への有効なマッピングを有する推奨属性を提供することができる。例えば、ポンプに関する検査データを入力する際、ポンプ資産と対応し、運営団体によって承認されているであろう有効な標準属性をユーザに促すことができる。よって、検証器334は、無数の独立した第三者ユーザにわたって、データ登録の整合性を確保することができる。
成果物データが成果物インターフェース330を介して登録される、または検証器334を介して検証されると、成果物データは送出され、保存エージェント336を介して保存される。保存エージェント336は、成果物データを成果物ライブラリデータベースとやり取りするように構成されたモジュールを表す。保存エージェント336は、適切なクエリ言語、API、または他のデータベース手法に従ってデータベースとやり取り可能である。例えば、保存エージェント336は、SQLコマンドまたは他の種類のクエリ言語を介して遠隔データベースと接続するように構成できる。
ある実施形態において、保存エージェント336およびプレゼンテーションエンジン335は、バージョン制御システムに対するインターフェースを形成する。よって、成果物データは、時間の経過とともに送出されて、信号成果物は複数のバージョンを有することになろう。使用のために適用可能な適切なバージョン制御システムの例としては、CVS、Subversion、Git、Perforce(商標)、または他の既存のバージョン制御システムがある。
成果物インターフェース330は、当該システムのユーザを認証するようにさらに構成されてもよい。ユーザが成果物インターフェース330にアクセスすると、ユーザは、建設会社に関連する権利を有する内部ユーザか、本システムのオペレータか、または成果物データを登録するための適切な制限付き権限を有する外部ユーザかを判断するために認証されてもよい。より好ましい実施形態において、成果物インターフェース330は、2人以上の第三者ユーザが各エンティティの構成員として認証された際に、これらのユーザがプラント成果物を登録可能なようにする。例えば、あるユーザが、政府の検査機関の構成員として認証される場合もあるし、他のユーザがベンダーの構成員として認証される場合もある。各ユーザは、そのエンティティの役割または任務に基づいて成果物データを登録できるだけであるという制限を受ける場合もあろう。
成果物データは、図4に示すような成果物ライブラリへ送出されてもよい。成果物ライブラリ460は、好ましくは、プラント建設に関する複数のプラント成果物を保存し、クライアントが好むフォーマットにアクセスするように構成される。プラント成果物は、プラント成果物データおよびプラント成果物テンプレートから導出され得る。成果物ライブラリ460は、異なるクライアントに対しても複数のプラント建設にわたって成果物を保存することができる。
成果物ライブラリ460は、プラント建設成果物についてのクライアントの好みを保存するクライアントフォーマットデータベース462を含み得る。例えば、クライアントフォーマットデータベース462は、第1のプラント建設に関連した第1のクライアントについてのフォーマット記述463Aを保存するとともに、第2の異なるプラント建設に関連した第2のクライアントについてのフォーマット記述463Bを保存することもできる。第1および第2のクライアントは異なったクライアントでもよいが、それぞれのプラント建設についての要件がわずかに異なる同一のクライアントであってもよいだろう。
フォーマット記述463Aから463Bは、各クライアントがどのようにしてそれぞれの成果物465Aから465Bとのインターフェースをとりたいかを規定する情報を表す。フォーマット記述463Aおよび463Bは、所望のデータファイルフォーマット、標準属性への属性マッピングと、ユーザ認証、または他の情報を含み得る。データファイルフォーマットの例としては、Microsoft Office(登録商標)フォーマット、OpenOffice(商標)フォーマット、ビデオフォーマット(例えば、DIVX、MPEG4等)、音声フォーマット(例えば、MP3、OGG等)、または他の種類のデータフォーマットが挙げられよう。当然ながら、各フォーマット記述は、異なる所望のフォーマットを含み得る。加えて、属性マッピングは、標準属性への変換および標準属性からクライアントが好む属性への変換のための規則を含み得る。そのような対処法は、1つ以上の言語に従って地球上の様々な管轄地用に成果物データをローカライズする場合には有利と考えられる。属性マッピングは、単なる1対1マッピングを越える、非常に複雑なものである場合があることに注意すべきである。例えば、クライアントが好む属性の組は、1つ以上の種類の標準属性が規定のマッピング規則に従って単一のクライアントレベルの属性にマッピングするように、標準属性によって表されるレベルよりも高い抽象レベルを伴う場合がある。
成果物ライブラリ460は、各プラント建設に必要な成果物を表す成果物465Aから465Bを保存する1つ以上のデータベースをも含み得る。成果物465Aから465Bのそれぞれは、建設されたプラントの運営をクライアントが引き継ぐ前に、クライアントによって要求または必要とされた書類を備える。
成果物465Aから465Bのそれぞれは、プラント建設が存続する間中およびプラント建設の寿命サイクル(例えば、開始、設計、工学、建設、コミッショニング、運営、閉鎖)の様々な局面を通じて、様々な文書がいつでも修正が可能な生きた倉庫であるとみなすべきである。さらに、成果物465Aから465Bに対するバージョン制御は、成果物パッケージの構築中に個々の書類、書類集、または成果物パッケージ全体を出し入れできるように行われてもよい。
成果物ライブラリ460は、成果物465Aから465Bを収容するが、成果物465Aから465Bがフォーマット記述463Aから463Bと適合しているという要件はない。それは、成果物465Aから465Bは、クライアントに公開されるまでは作業進行中であるとみなされるためである。ある実施形態において、成果物465Aから465Bは、クライアントまたはプラント建設プロジェクトに依存しない(agnostic)、例えばXMLなどの汎用の一般的な共通フォーマットで保存され得る。さらに、所望であれば、成果物465Aから465Bは、クライアントが好むフォーマットに準拠してもよいだろう。
図5は、成果物エンジン550を示す。成果物エンジン550は、成果物ライブラリと結合して、フォーマット記述552によって概略されたクライアントが好むフォーマットに従って保存されたプラント建設成果物を備える成果物パッケージ595を、成果物コンピュータシステム590へ自動的に提供するよう構成される。図示の例では、成果物エンジン550は、すべての必要または要求された書類を成果物パッケージ595として表す成果物データベース555を構築する。成果物データ555は、様々な成果物を保存するディレクトリを有するファイルシステムのように単純な場合も、または、複雑なスキーマに従うリレーショナルデータベースのように複雑な場合もある。成果物エンジン550は、成果物ライブラリから取得したフォーマット記述552、テンプレートライブラリからのテンプレート557、または他の情報を利用して、成果物データベース555を構築する。
特に注意すべきなのは、成果物エンジン550は、成果物ライブラリに保存されているような汎用の一般的なフォーマットから、所望のフォーマットに成果物を変換できるということである。フォーマット記述552によって必要とされる場合、各書類は、フォーマット記述552内における規則に従って変換され得る。例えば、各成果物は、XMLデータオブジェクトとして成果物ライブラリに保存されてもよいだろう。成果物データベース555を構築する際、成果物を、例えばWord文書またはスプレッドシートなどの適切なファイルフォーマットに変換することができる。同様の対処法において、成果物エンジン550は、各成果物の属性を、標準属性からクライアントが望む属性にマッピングすることもできる。よって、成果物データベース555は、クライアントの期待または要求に応えるものである。
成果物データベース555が適切に準備されると、クライアントの成果物コンピュータシステム590が提供可能となる。成果物データベース555は、成果物エンジン550からコンピュータシステム590へ移行させることができ、コンピュータシステム590は数多くの異なる形式を取り得る。ある実施形態において、成果物コンピュータシステム590は、クライアントに発送され得る単独で別個のコンピュータであってもよい。他の実施形態において、成果物コンピュータシステム590は、クライアントの施設に設置され、外部ネットワーク上に提供された遠隔のアプリオリ(a priori)に存在するコンピュータであってもよい。さらに他の実施形態において、成果物コンピュータシステムは、建設会社によって運営され得るようなプラント建設管理システム上でホストとして機能してもよい。成果物コンピュータシステム590を構築するための数多くの可能な対処法には、それぞれ、単独で、または組み合わせで、どの対処法が最も目的に合致するかをクライアントが決定可能であるという利点がある。
成果物コンピュータシステム590は、成果物パッケージ595を含むことができる。成果物パッケージ595は、成果物データベース555と対応している。成果物パッケージ595は、プラント建設の成果物の公開版をクライアントに示すものである。加えて、成果物パッケージ595は、クライアントの所望のフォーマットに従って成果物を保存するデータベースを示すものである。さらに、成果物エンジン550は、変換された属性を利用して、クライアント向けのクライアントインデクシングスキームを構築することができ、成果物に対してこのインデクシングスキームに準拠する属性を付すことができる。
クライアントインデクシングスキームは、クライアントが好む成果物フォーマットおよびテンプレート属性から導出することができる。このインデクシングスキームは、汎用フォーマットからクライアントが所望するフォーマットへ成果物を変換する処理中に構築することができる。各成果物が分析されると、その標準属性は、テンプレート557またはフォーマット記述552において発見されたマッピングに従ってクライアントが好む属性に変換され得る。成果物が完成すると、クライアント専用の属性でタグ付けできる。さらに、クライアント属性のネーム空間の配置またはインデクシングスキームの構成を反映しているトポロジは、クライアントが建設会社によって使用される標準属性の規則に従う必要なく、マッピング規則に従って構築し得る。
インデクシングスキームは、クライアントがプラント成果物を検索可能な検索インフラストラクチャを提供する。成果物が資産レベルの情報を含むことに鑑み、インデクシングスキームを、各成果物資産属性から直接導出可能である。例えば、インデクシングスキームは、「ポンプ」という属性によってすべてのポンプをグループ化することができ、資産と成果物との関係を確立することができよう。他の例としては、トレーニング教材を対応する資産に基づいてインデクシングすることが挙げられる。
また、成果物エンジン550は、成果物コンピュータシステム590に対して検索エンジン593を提供することができる。検索エンジン593は、好ましくは、クライアントまたは場合によりアプリケーションがクエリを検索エンジンに送出して適切な成果物を見つけられるインターフェースを提供する。検索エンジン593は、成果物エンジン550によって生成されたインデクシングスキームに従ってクエリ(例えば、SQLコマンド)を構築するように構成することができる。クエリは、ユーザインターフェースを介して、APIまたは他の適切なインターフェースを介して送出されてもよい。
成果物エンジン550の他の任務には、将来の使用のために、システムに対して、テンプレート557に対する更新を推奨することを含み得る。成果物エンジン550は、公開された成果物と対応テンプレートとを比較して、相違点があるか判断することができる。もしあれば、プラント建設間の相違が生じる頻度に基づくなどして、成果物エンジン550が、対応テンプレート557を修正するように推奨することができる。推奨された修正には、テンプレートに追加された追加の特徴、テンプレートから削除された特徴、テンプレートの標準属性に対する変更、またはプラント建設の資産データから導出された新規作成のプラント成果物テンプレートをも含み得る。
プラント成果物は、プラント建設の物理的な資産についての情報を反映する資産レベルのデータを備えることに注意されたい。各プラント建設は、それぞれ独自の問題を有していることを考えれば、プラント建設についての成果物がアプリオリ(a priori)に規定されるテンプレート557を有しないことがあることが予期される。したがって、資産レベルのデータをプラント建設について見直して、新規のテンプレートを作成することができる。新規のテンプレートは、属性、フィールド、または成果物からの他の特徴を継承することができる。さらに、特徴は、システムによって使用された標準形式に変換し直すことができる。例えば、新規のテンプレートの標準属性は、資産データから導出することもできる。新規に作成されたテンプレートは、必要な承認が得られれば、将来のプロジェクトのため即座に利用可能にできる。
既に述べた以外の数多くのさらなる修正が本発明の概念から逸脱せずに可能であることは、当業者に自明であろう。したがって、発明の主題は、添付の請求項の範囲以外には制限されない。さらに、本明細書および請求項の両者を解釈する際、すべての用語は、文脈と矛盾のないような、可能な限り最も広く解釈されるべきである。特に、「備える(comprises)」および「備える(comprising)」という用語は、要素、構成要素、またはステップを非排他的な方法で述べているものと解釈されるべきであり、参照された要素、構成要素、またはステップは、明示的に参照されてない他の要素、構成要素、またはステップと共に提示または利用または組み合わされてもよい。本明細書がA、B、C…Nからなる群から選択されたもののうち少なくとも1つについて主張言及する場合、本文は、AとNとを加えたものまたはBとNと加えたもの等ではなく、当該グループから1つの要素のみを要するものとして解釈されるべきである。