本願は、参照することによりその全体が本願に援用される、「低損失光ファイバ(Low Loss Optical Fiber)」という発明の名称で2009年11月25日に出願した米国特許出願第12/626,305号の利益および優先権を主張する。
これから、添付の図面に実施例が例証される本発明の好ましい実施の形態について詳細に述べる。
「屈折率プロファイル」とは、屈折率または相対屈折率と導波管ファイバの半径との関係である。
「相対屈折率パーセント」は、Δ%=100×(ni 2−nc 2)/2ni 2として定義され、ここで、niは、他に特に規定されない限り、領域iにおける最大屈折率であり、ncは、クラッディングの最外領域の平均屈折率である。本明細書では、相対屈折率はΔで表わされ、その数値は、他に特に規定されない限り、単位「%」で与えられる。
本明細書において「色分散」とは、特に断りのない限り、材料分散、導波路分散および多モード分散の合計である、導波ファイバの「分散」を意味する。単一モード導波管ファイバの場合には、多モード分散はゼロである。分散勾配は、波長に関する分散の変化率である。
として定義され、ここで、積分限界は0〜∞であり、fは導波路を伝搬する光に関する電界の水平成分である。本明細書において「実効断面積」または「Aeff」とは、特に断りのない限り、波長1550nmにおける光学的実効断面積のことをいう。
「α−プロファイル」または「アルファプロファイル」とは、「%」単位のΔ(r)で表した相対屈折率プロファイルを意味し(rは半径)、次式に従う:
ここで、roは、が最大値であるアルファプロファイルに沿った点であり、r1はΔ(r)が最小値であるアルファプロファイルに沿った点であり、rは、ri<r<rf の範囲にあり、ここで、Δは先に定義された通りであり、riはα−プロファイルの初期点であり、rfはα−プロファイルの最終点であり、αは実数の指数である。
モードフィールド径(MFD)はピーターマンII法を用いて測定され、ここで、2w=MFDであり、w2=(2∫f2 r dr/∫[df/dr]2 r dr)であり、積分限界は0〜∞である。
導波管ファイバの曲げ抵抗は、例えば 、規定の直径のマンドレルの周囲にファイバを配置または巻きつけるなど、規定の試験条件下で減衰を誘起することによって測定することができる。
曲げ試験の1つの方法は、水平荷重のマイクロ曲げ試験である。このいわゆる「水平荷重」試験では、2枚の平らなプレートの間に規定の長さの導波管ファイバが設置される。プレートの1つに70番の金網が取り付けられる。既知の長さの光導波ファイバがプレートの間に挟まれ、30ニュートンの圧力がプレートに印加されると同時に、参照減衰が測定される。次に、70ニュートンの力がプレートに印加され、dB/m単位の減衰の増加が測定される。減衰の増加は、導波管の水平荷重の減衰である。
光導波ファイバの相対的な曲げに関する耐性を比較するために、「ピン・アレイ」曲げ試験が用いられる。この試験を行うため、基本的に曲げ損失が誘起されない導波管ファイバについて、減衰損失が測定される。次に、ピン・アレイを中心にして光導波ファイバが形成され、この場合も同様に減衰が測定される。曲げによって誘起される損失は、2つの測定減衰の差である。ピン・アレイは、単列で配置され、平面上の固定された垂直位置に保持された10本の円筒形のピンのセットである。ピンの間隔は、中心から中心までの距離で5mmである。ピンの直径は0.67mmである。試験中、光導波ファイバをピン表面の一部に合わせるのに十分な張力が印加される。
所定のモードについて、理論的ファイバカットオフ波長、または「理論的ファイバカットオフ」、または「理論的カットオフ」とは、それより上の波長では誘導された光がそのモードにおいて伝播できない波長のことである。数学的定義は、Single Mode Fiber Optics, Jeunhomme, pp.39-44, Marcel Dekker, New York, 1990に示されており、理論的ファイバカットオフは、モード伝搬定数が外側クラッディングの平面波伝搬定数と等しくなる波長として説明されている。この理論的波長は、直径変動を有しない、無限長の完全に直線のファイバに適している。
実効ファイバカットオフは、曲げおよび/または機械的圧力によって誘起される損失に起因して、理論的カットオフよりも低くなる。これに関連して、カットオフとは、LP11モードとLP02モードのうち、高い方のことをいう。LP11とLP02は、一般に、測定では識別されないが、両者は、スペクトル測定の工程につれて明らかになる、すなわち、測定カットオフより長波長のモードでは電力が観測されない。実際のファイバカットオフは、標準的な2mファイバカットオフ試験であるFOTP−80(EIA−TIA−455−80)によって測定することができ、「2mのファイバカットオフ」または「測定カットオフ」としても知られる「ファイバカットオフ波長」を生じる。FOTP−80標準試験は、制御量の曲げを用いてより高次のモードをストリッピングするか、またはファイバのスペクトル応答を多重モードファイバのものに正規化するために行われる。
ケーブルカットオフ波長、まはた「ケーブルカットオフ」は、ケーブル環境において受ける、より厳しい曲げおよび機械的圧力に起因して、実測ファイバカットオフよりさらに低くなる。EIA-TIA Fiber Optics Standards、すなわちFOTPとして広く知られている、米国電子工業会−米国電気通信工業会のFiber Optics Standardsの一部であるEIA-445 Fiber Optic Test Proceduresに記載されるケーブルカットオフ試験により、実際のケーブル化条件を予測することができる。ケーブルカットオフの測定は、EIA-455-170 Cable Cutoff Wavelength of Single-mode Fiber by Transmitted Power、すなわち「FOTP−170」に記載されている。
本明細書において特に断りのない限り、光学特性(分散、分散勾配など)は、LP01モードについて報告される。本明細書において特に断りのない限り、1550nmの波長は、参照波長である。
本明細書に開示される実施の形態に従って、図1に示すように、光導波ファイバ10は、コア12、および、コア12を取り囲む少なくとも1つのクラッディング14を備える。好ましい実施の形態では、クラッディング14は純シリカであり、コア12は1種類以上のドーパントをドープされたシリカである。特に好ましい実施の形態では、コア12は、所望の相対屈折率変化を得るためにGeなどの屈折率上昇ドーパントをドープされる(例えば、3.5〜4.2モル%のGe)。コア12はまた、ホウ素またはフッ素など1種類以上の屈折率低下ドーパントを随意的にドープされて差し支えない。好ましくは、コア12の直径は、約9〜約16μmの範囲で変化する。好ましくは、光ファイバ10のクラッディング14の外径は約125μmである。好ましくは、クラッディング領域14は、少なくとも約40μmの外半径を有する。慣例として、ファイバは、ポリマーコーティング16および18の層でコーティングされて差し支えない。
光導波ファイバ10のコア12は、中心線から半径R1に至るまで半径方向に外側に伸び、最大相対屈折率パーセントΔ1MAXを有する、%単位で表わされる相対屈折率プロファイルΔ(r)を有する。R1は、Δ(r)が最初にΔ1MAXから半径方向に外側に向かって0.02%の位置に達する場合の半径において生じるように定義される。
本明細書に開示される光ファイバの典型的な実施の形態の屈折率プロファイル(プロファイル1)が図2に示され、これは、ターゲットプロファイル20およびターゲットプロファイルに対応させるように製造された実際のコアケーンプロファイル22を示している。図2に示される実施の形態のプロファイルパラメータは表1に記載されている。
図2に示される実施の形態のモデル化(予測)性能パラメータは表2に記載されている。
本明細書に開示される光ファイバの追加の典型的な実施の形態の屈折率プロファイルは、図3に、24(プロファイル2)、26(プロファイル3)、28(プロファイル4)、および30(プロファイル5)として示されている。図3に示される実施の形態のプロファイルパラメータが表3に記載されている。
図3に示される実施の形態のモデル化(予測)性能パラメータが表4に記載されている。表4に記載される減衰値は、以下に詳細に説明する処理区域にファイバを通過させる工程を含む、処理方法から得られた予測値である。
本明細書に開示される光ファイバは、アルファ(α)が2.5より大きいアルファプロファイルを有し、例えば、アルファ(α)が2.5より大きく3.0未満のアルファプロファイル、さらに例えば、アルファ(α)が2.5より大きく2.7未満のアルファプロファイル、さらに例えば、アルファ(α)が2.6より大きく2.9未満のアルファプロファイル、さらに例えば、アルファ(α)が2.6より大きく2.7未満のアルファプロファイルを有する。これらの範囲内のアルファ値は、別の方法で達成されるよりも低いレベルの減衰を提供することができる。
アルファプロファイルの初期点riは1μm未満の半径におけるものであり、アルファプロファイルの最終点rfは少なくとも3μmの半径におけるものであることが好ましく、例えば、初期点riが0.5μm未満の半径におけるものであり、最終点rfが少なくとも4μmの半径におけるものであるアルファプロファイル、さらに例えば、初期点riが0.25μm未満の半径におけるものであり、最終点rfが少なくとも5μmの半径におけるものであるアルファプロファイルが挙げられる。図2に例証する実施の形態では、riにおけるΔ(r)は0.35%より大きく、rfにおけるΔ(r)は0.05%未満である。図3に示される実施の形態では、riにおけるΔ(r)は少なくとも0.35%であり、rfにおけるΔ(r)は少なくとも0.20%であり、少なくとも0.25%を含み、さらには少なくとも0.30%を含む。図3に示される実施の形態では、rf+0.5μmにおけるΔ(r)は、rfにおけるΔ(r)よりも少なくとも0.10%小さく、例えば、rfにおけるΔ(r)よりも少なくとも0.15%小さく、さらに例えば、rfにおけるΔ(r)よりも少なくとも0.20%小さく、さらに例えば、rfにおけるΔ(r)よりも少なくとも0.25%小さい。図3に例証されるものに対応する好ましい実施の形態は、アルファ(α)が2.5より大きく3.0未満のものを含み、riは0〜0.5μmであり、rfは3.5〜4.5μmであり、riにおけるΔ(r)は0.35%〜0.40%であり、rfにおけるΔ(r)は0.20%〜0.33%であり、およびrf+0.5μmにおけるΔ(r)は0.02%および0.10%である。
本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは0.30%より大きいΔ1MAXを有し、また、好ましくは0.40%未満のΔ1MAXを有し、例えば0.30%<Δ1MAX<0.40%であり、さらに例えば0.35%<Δ1MAX<0.40%であり、さらに例えば、0.36%<Δ1MAX<0.39%である。
本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは約4〜12μmのR1を有し、例えば5μm<R1<10μmであり、さらに例えば6μm<R1<8μmである。
本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは、10μmを超えるすべての半径について0.01%未満のΔ(r)を有し、例えば8μmを超えるすべての半径について0.01%未満のΔ(r)を有し、さらに例えば、7μmを超えるすべての半径について0.01%未満のΔ(r)を有する。
図2および3に示される実施の形態に相当する光ファイバは、製造が比較的容易であり、コーニング社のSMF−28(登録商標)およびSMF−28e(登録商標)の光ファイバが満たす工業規格の性能要件を満たすことができると同時に、それらファイバと比較してさらに低い減衰および曲げ損失を提供することができる。
例えば、図2および3に示される実施の形態を含めた本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは約8.8〜9.6μm、さらに好ましくは約9.0〜9.4μmの、1310nmの波長におけるモードフィールド径を提供する。 本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは約9.8〜11.0μm、さらに好ましくは約10.0〜10.8μmの、1550nmの波長におけるモードフィールド径を提供する。本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは約60〜70μm2、さらに好ましくは約62〜68μm2の、1310nmの波長における実効断面積を提供する。本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは約75〜90μm2、さらに好ましくは約78〜86μm2の、1550nmの波長における実効断面積を提供する。本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは、約1300〜1335nm、さらに好ましくは約1302〜1322nmのゼロ分散波長λ0を有する。本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは、約0.089ps/(nm2・km)以下のゼロ分散勾配を有する。本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは、18.0 ps/(nm・km)未満の、1550nmの波長における分散を有する。本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは、1300nm以下のケーブルカットオフ波長を有し、例えば1260nm以下のケーブルカットオフ波長、さらに例えば、1220nm以下のケーブルカットオフ波長、さらに例えば、1200nm以下のケーブルカットオフ波長、なおさらに例えば、1180nm以下のケーブルカットオフ波長を有する。
図2および3に示される実施の形態を含めた、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.331dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.328dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.270dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.190dB/km未満の減衰を有する。
好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.325dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.323dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.264dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.186dB/km未満の減衰を有する。
さらに好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.324dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.322dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.263dB/km未満の減衰、および、1550nmの波長における0.185dB/km未満の減衰を有する。
さらになお好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.323dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.310dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.260dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.184dB/km未満の減衰を有する。
さらになお好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.323dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.300dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.255dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.182dB/km未満の減衰を有する。
さらに好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.327dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.303dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.259dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.187dB/km未満の減衰を有する。
さらになお好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.327dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.303dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.259dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.185dB/km未満の減衰を有する。
さらになお好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.326dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.302dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.258dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.184dB/km未満の減衰を有する。
さらになお好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、1310nmの波長における0.324dB/km未満の減衰、1383nmの波長における0.300dB/km未満の減衰、1410nmの波長における0.256dB/km未満の減衰、および1550nmの波長における0.183dB/km未満の減衰を有する。
本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは1550nmの波長における10dB未満のピン・アレイのマクロ曲げ損失を有し、さらになお好ましくは1550nmの波長における9.5dB未満のピン・アレイのマクロ曲げ損失、さらになお好ましくは1550nmの波長における9dB未満のピン・アレイのマクロ曲げ損失を有する。
本明細書に開示される光ファイバは、好ましくは、1550nmの波長において0.7dB/m未満の水平荷重のマイクロ曲げ損失を有し、さらに好ましくは1550nmの波長において0.65dB/m未満、さらになお好ましくは1550nmの波長において0.6dB/m未満の水平荷重のマイクロ曲げ損失を有する。
好ましい実施の形態では、本明細書に開示される光ファイバは、室温空気(すなわち、約25℃の空気)におけるファイバの冷却速度より遅い速度でファイバを冷却する、ドロー加熱炉よりも下流の領域として定義される処理区域にファイバを通すことによって製造される。好ましくは、処理区域を出るファイバの表面温度は少なくとも約1,000℃である。
処理区域におけるファイバの平均冷却速度は、処理区域内へのファイバの入口点におけるファイバ表面温度(ファイバ入口表面温度)から処理区域外のファイバの終点におけるファイバの表面温度(ファイバ出口表面温度)を差し引き、処理区域におけるファイバの全滞留時間で割ったものとして定義される。好ましい実施の形態では、処理区域におけるファイバの平均冷却速度は、例えばファイバの温度が1,250℃〜1,750℃の場合など、ファイバの温度が少なくとも1,000℃の場合に、5,000℃/秒未満であり、2,500℃/秒未満を含み、さらには1,000℃/秒未満を含む。
少なくとも1つの実施の形態では、処理区域は処理加熱炉を含む。1つの実施の形態では、処理加熱炉は、ドロー加熱炉の実質的にすぐ下流に配置される。しかしながら、本発明は、処理加熱炉がドロー加熱炉の実質的にすぐ下流に配置される実施の形態に限定されない。好ましい実施の形態では、処理加熱炉は、ドロー加熱炉の端部のファイバが出てくる位置に、好ましくはそれらの間に封止が形成されるように、直接取り付けられる。これは、ドロー加熱炉への空気の望ましくない侵入を最小限に抑える。
図4は、本明細書に開示される光ファイバの製造に使用することができる光ファイバ形成装置300を例証している。装置300は、一般に、ドロー加熱炉112、処理加熱炉350、および、ドロー・ファイバに張力を印加するためのトラクタ組立体として示される張力ステーション(tensioning station)128を備える。装置300は、例えば、ドープされたガラス・プリフォーム110からむき出しの光ファイバ10を加工するために用いられる。さらに具体的には、むき出しの光ファイバ10を形成するためにドロー加熱炉112が用いられて差し支えなく、その後、ドロー・ファイバ10を加工するために処理加熱炉350が用いられうる。張力ステーション128は、ファイバ10における所望の張力を制御および維持する役割をする。追加の従来の工程段階には、例えば、非接触式の直径測定装置、さらなるファイバ冷却装置、一次的および二次的ファイバコーティングを施用および硬化するためのファイバコーティング装置および硬化装置、および管巻装置(spool winding apparatus)などが含まれうる。このような追加の工程段階は従来技術を利用したものであり、明快性の観点から示されていない。さらには、処理加熱炉の底部には、処理加熱炉に入る空気の量を最小限に抑えるため、アイリスドアまたは可動性のドア機構が用いられうる。
ガラス・プリフォーム110は、好ましくはドープされたシリカガラスから形成され、さらに好ましくは、少なくともゲルマニウムがドープされたシリカガラスから形成される。プリフォーム110を形成するための方法および装置は周知であり、当業者によって容易に認識される。このような方法として、IVD、VAD、MCVD、OVD、PCVDなどが挙げられる。
ドロー加熱炉112は、プリフォームを取り囲み、その下端に固定されたフランジ323を有する筺体322を備えることが好ましく、前記フランジ323はドロー加熱炉112の出口壁としての役割を果たす。軸方向開口部324は、ファイバ10が通過し、かつ、先にドロップしたガラス塊が通過するであろうフランジ323に画成される。環状スリーブ様のサセプタ326(例えば、グラファイトから作られうる)はドロー加熱炉112まで延在し、その中の通路330を画成する。通路330は光ファイバプリフォーム110を受け入れて保持するように適合された上部と、ガラスが溶融して、プリフォーム110からドローされる際に内部をドロー・ファイバ10が通過する下部とを備える。ドローの初期に形成されるガラス塊もまた、この部位を通過する。通路330の下部は、開口部324と連通する。開口部324の上に中空の出口コーン339が配置されることが好ましい。環状の絶縁体332および誘導コイル336はサセプタ326を取り囲む。
ヘリウムなどの適切な不活性フォーミングガスFGは、適切なフロー注入口338を通じて約1気圧の圧力で通路330へと導入されて差し支えなく、下流に流れ、開口部324を通じてドロー加熱炉112の外に流出する。開示および例証されるドロー加熱炉112は、単に適切なドロー加熱炉の典型例であり、例えば、他の種類の加熱機構、サセプタおよび絶縁体などを使用する、他の設計および構成のドロー加熱炉が用いられてもよいことは、当業者に認識されよう。
再び図4を参照すると、対向する流路348は、フランジ323を通じて半径方向に伸び、その上部表面323Aの開口部で終わる。流路348はまた、フランジ323を通じて垂直に伸び、コーン339の円周に近接して終わる。フォーミングガスFGは、さらに、流路348の開口部を通じて供給され、コーン339の周りを流れるように登り、コーン339の中央開口部を通じて外へ出る。フォーミングガスFGは、例えば、ヘリウムガス(He)、窒素ガス(N2)、アルゴンガス(Ar)、または他の適切な不活性ガスでありうる。
処理加熱炉350は、フランジ323の下に配置され、好ましくはフランジ323と相互接続される。処理加熱炉350は、1つ以上の環状の加熱素子368を内蔵した加熱ユニット360を備える。加熱素子は、例えば、電気抵抗または誘導加熱コイルでありうる。開口部352Aおよび354Aは、それぞれ、処理加熱炉の上端352および下端354に画成される。ドロー通路に沿った開口部は、ドローを開始する際にガラス塊がドロップすることができるように十分に大きい。端部352、354およびスリーブ346は、処理加熱炉350の筺体としての役割をする。しかしながら、他の筺体の構成および要素も用いられうることが認識されよう。処理加熱炉350は、締め具などの適切な手段によってドロー加熱炉112のフランジ323に固定されることが好ましい。
一般に、加熱ユニット360には円筒状のスプールまたは管362が配置される。スプールまたは管362は、実質的に純粋なシリカ石英ガラス、セラミック、および/または炭素材料から作ることができ、通路362Aを画成し、その反対側の終端に配置された一対のフランジ(すなわち、石英フランジ)362Bを有する。フランジ362Bは、例えば、管の終端に溶接されてスプール362を形成するフレーム(flame)でありうる。第1のグラファイトガスケット364は、フランジ352の下面と上部フランジ362Bとの間に入る。第2のグラファイトガスケット364は、下部フランジ354と下部フランジ362Bの間に入る。
供給通路366Aを有するガスリング366はグラファイトガスケット364を取り囲み、パージガスPGをグラファイトガスケット364の方へ方向づけるように適合された小さいミシン目を有する。グラファイトガスケット364の空気への曝露を低減または防ぐためにパージガスPGが提供され、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、または他の適切な不活性ガスでありうる。
パージガス部材359は、フランジ354の下面に装着される。空気が下方から通路362Aに入るのを防ぐために、パージガスPGがパージ管状通路359A内に注入される。
管362の通路362Aは、ドローの初期に形成されるガラス塊がそこを通って容易に落下できるように、その長さに沿ったすべての位置において、12mmを超える直径寸法Dを有することが好ましく、好ましくは約12mm〜80mm、さらに好ましくは45mm〜80mmの直径寸法Dを有する。
張力ステーション128は、ドロー・ファイバ10における張力を調節するのに適した任意のデバイスであって差し支えない。好ましくは、張力ステーション128は、1つ以上のファイバ張力および/または直径センサ(図示せず)から入力データを継続的に受け入れ、必要に応じてファイバ10の張力を印加するよう機能する、マイクロプロセッサを備える。好ましい実施の形態では、張力は、直径を記録装置に保存された指定直径に等しくなるように調節することに基づいたコマンド指令を受ける。
装置300は、処理した光ファイバ10を製造するための以下の方法に用いられうる。加熱炉誘導コイル336は、光ファイバプリフォーム110の先端302Aを、あらかじめ選択したドロー温度TDまで加熱するように操作される。ドロー温度TDは約1,800℃〜2,200℃の範囲内であることが好ましい。ドロー温度TDは約1,900℃〜2,050℃の範囲内であることがさらに好ましい。プリフォームの先端302Aは、ドロー・ファイバ10が、先端302Aから好ましくは垂直下向きであるドロー方向Vに連続的にドローされるように、選択ドロー温度TDに維持される。ファイバ10は、ファイバの指定直径(典型的には125μm)が所定の許容幅(tolerance band)以内になるように、張力装置370または他の適切な張力印加装置によって上述のように計算されたドロー張力FDで維持される。フォーミングガスFG(例えば、ヘリウム)は、上部注入口338から注入され、通路330、324、352A、362A、354Aを通り、パージ管状通路359Aを通じて外へ出る。
処理デバイス350は、好ましくは実質的にドロー加熱炉112の開口部324に直接隣接して固定されることから、ドロー・ファイバ10は、ファイバ10がドロー加熱炉112を出るときに、より冷たい周囲空気によって急冷されないことが好ましい。さらには、ドロー加熱炉に酸素が入る可能性が低減され、したがって、グラファイトサセプタ326の劣化の可能性が最小限に抑えられる。むき出しの光ファイバ10は通路324を通過し、加熱ユニット360によって実質的にすぐに加熱される。加熱ユニット360は、ファイバ10の温度を選択温度範囲T1〜T2内の処理温度TTに維持する。下部温度T1は、約1,100℃〜1,400℃であることが好ましく、上部温度T2は、約1,200℃〜1,800℃であることが好ましい。さらに好ましくは、下部温度T1は約1,150℃〜1,350℃であり、上部温度T2は約1,300℃〜1,700℃である。また、ファイバ10は通路362Aを通過することからファイバ10は選択処理張力FTで維持される。処理張力FTは約25〜200グラムであることが好ましい。さらに好ましくは、処理張力FTは約75〜175グラムである。処理区域の長さLは、ドロー・ファイバ10が、選択滞留処理時間tTの間、選択温度範囲T1〜T2で維持されるように選択される。処理ファイバ10は、下部開口部354Aを通じて処理加熱炉350から出て、好ましくは、追加の処理ステーション(追加の冷却、測定、コーティングなど)まで下方に進み続ける。好ましくは、ドロー加熱炉112および処理加熱炉350は相対的に構成および固定され、ガスは、通路330から開口部359Aに至るまで気密通路を提供するように供給される。
好ましい実施の形態では、処理加熱炉350は、処理加熱炉350の軸長に沿って間隔をあけた複数の個別の加熱器を含む。各加熱器はファイバを取り囲み、それぞれが好ましくは個別に制御装置によって制御される。熱処理のステップの間、ファイバは多重加熱区域に由来する熱に晒される;多重加熱区域のうち少なくとも1つの加熱区域(各区域はおおよそ加熱器の物理的大きさに対応する)は、別の多重加熱区域と比較して異なる温度に設定される。好ましくは、各加熱器の壁の温度は、少なくとも1つの加熱区域が600℃〜1,500℃の通路温度を有するように、制御装置によって制御される。好ましい動作モードでは、ドロー加熱炉112に近い第1の区域は、600℃〜1,200℃の中心通路温度を有するように制御されると同時に、ドロー加熱炉から離れた第2の区域は900℃〜1,500℃の通路温度を有するように制御される。実際の壁温は、所望のファイバ出口表面温度条件が達成されて所望の冷却速度を提供するように設定される。使用するガスがヘリウム以外の場合は、例えば、アルゴンおよびアルゴンとヘリウムの混合物の熱伝導率がより低い熱伝導率を有し、したがって、同一の冷却速度を達成するためには、加熱炉の通路温度とファイバ温度との間にいっそう大きい温度差が必要とされるであろうことから、壁温はより低い温度に設定されるであろう。
少なくとも1つの好ましい実施の形態では、処理加熱炉350の加熱素子は、好ましくは、Kanthalから市販されるモリブデンシリサイドの高温加熱素子である。
少なくとも別の実施の形態では、処理区域はパッシブ処理組立体を含む。1つの実施の形態では、パッシブ処理組立体は、ドロー加熱炉の実質的にすぐ下流に配置されているが、本発明は、パッシブ処理組立体がドロー加熱炉の実質的にすぐ下流に配置される実施の形態に限定されない。好ましい実施の形態では、パッシブ処理組立体は、ドロー加熱炉の端部のファイバが出てくる位置に、好ましくはその間に封止が形成されるように、直接取り付けられる。これは、ドロー加熱炉への空気の望ましくない侵入を最小限に抑える。
図5は、本明細書に記載される光ファイバの製造に使用することができる別の光ファイバ形成装置400を例証している。光ファイバ形成装置400は、前記ドロー加熱炉112に対応するドロー加熱炉112を備えている。装置400は、処理加熱炉350の代わりに、パッシブ処理組立体450を備えている。この組立体450は、そのいずれかの部分に加熱モジュール360に対応する加熱デバイスを具備していないという点において「受動的」である。言い換えれば、ファイバは、アクティブ加熱モジュールの補助なしに、制御速度で冷却される。
装置400は、それぞれ、前記ドロー加熱炉112および前記張力ステーション128に対応するドロー加熱炉112および張力ステーション128を備えている。ドロー加熱炉112はグラファイトサセプタを有するタイプのものであることが好ましい。パッシブ処理組立体450は上部フランジ454を有する管状のマッフル452を備えている。マッフル452は、フランジ454の穴を通じて延在し、かつ端壁423を嵌合するボルトまたは他の締め具(明確にするために図示せず)によって、加熱炉112の下部端壁423に直接取り付けられる。マッフル452は、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属でできていることが好ましい。
マッフル452は、第1の端における上部開口部456、第2の端における対向する下部開口部458、およびそれらの間に延在する通路452Aを画成する。通路452Aの直径Eは実質的に均一であり、12mmを超えることが好ましく、さらに好ましくは約12mm〜80mmであり、最も好ましくは45〜80mmである。上部開口部456はドロー加熱炉112の下部開口部424と連通している。複数の軸方向に間隔をあけた供給ポート459がマッフル452の側壁に形成され、その長さに沿って通路452Aと連通する。
処理ガスフローシステム460は、マッフル452に動作可能かつ流動的に接続される。処理ガスフローシステム460は、マニホルドまたは導管462によってポート459のそれぞれに流動的かつ動作可能に接続された処理ガス供給461を備える。処理ガス供給ステーション461は、選択処理ガスTGの供給部、および、処理ガスTGを導管462および供給ポート459を通って通路452A内へと強いるのに十分に加圧するように動作可能なポンプまたは同様のものを備える。処理ガス供給ステーション461は、随意的に、処理ガスTGを加熱するための加熱ユニットを備えていてもよい。しかしながら、処理ガスは約20℃で供給されることが好ましい。
装置400は、処理光ファイバ10を形成するための以下の方法に使用されうる。光ファイバ10は、ドロー加熱炉112および張力ステーション128を使用して、装置300に関する上述の方法で、熱老化欠陥を導入するのに十分なドロー温度およびドロー張力で、プリフォーム110からドローされる。ファイバ10がドローされる際に、図4に示すものと同一の注入口を通じてフォーミングガスFGが導入される。フォーミングガスは、通路430を通じてプリフォーム110およびファイバ10の周りを流れ、加熱炉の端壁423の開口部424を通り、開口部456を通じて通路452Aの第1の端内へと流れる。
ドロー・ファイバ10は、加熱炉112を出るとすぐにマッフル452の通路452Aに入る。ファイバ10が通路452Aを通過する際、処理ガスTGが処理ガス供給部461から、図5における矢印によって示されるように、少なくとも2つの軸方向に間隔をあけた供給ポート459を通じて、通路452Aへと送り出される。処理ガスは、さまざまな段階およびフォーミングガスFGとの混合で通路452Aへと流れる。好ましくは、処理ガスTGは、25℃において、約120×10-6cal/(秒)(cm)2(℃/cm)未満、さらに好ましくは約65×10-6cal/(秒)(cm)2(℃/cm)未満の熱伝導率Kを有する。処理ガスTGとフォーミングガスFGの混合物は、通路452Aを貫流し、第2の端部開口部458を通じて外に出る。
処理ガスTGは、フォーミングガスFGよりも低い熱伝導率を有する。好ましくは、処理ガスTGの熱伝導率は、フォーミングガスFGの40%未満、さらに好ましくはフォーミングガスFGの20%未満の熱伝導率を有する。処理ガスTGは窒素またはアルゴンであることが好ましいが、クリプトンまたはキセノンを含んでいてもよい。
ドロー・ファイバ10が通路452Aを通じてドローされる際に、ドロー・ファイバ10は選択処理張力FTおよびファイバ10の処理温度TTで維持される一方、通路452Aでは、装置300に関して上述の選択滞留時間tTの間、選択温度範囲T1〜T2に維持される。装置300に関する上述の方法では、選択処理張力FT、温度範囲T1〜T2および滞留時間tTは、ファイバ10の熱老化欠陥を低減または排除し、それによって、処理済みのむき出しの光ファイバ10を提供するように、協同的に選択される。装置400の事例では、パッシブ処理デバイス450の通路452Aの長さMは、ファイバ10のドロー速度を考慮して所望の滞留時間tTを提供するように選択される。
処理ガスTGの低い熱伝導率は、通路452A内に存在する間、ファイバ10が選択温度範囲T1〜T2内に維持されるように、ドロー・ファイバ10からの熱伝導または冷却を遅らせる。処理ガスTGの流速、乱流および温度は、所望の冷却速度を提供するのに適切に選択されうる。本発明のこの実施の形態によれば、処理区域における所望の冷却速度は、1,200℃〜1,500℃の温度範囲において、1,000℃/秒〜3,500℃/秒でありうる。
特に好ましい実施の形態では、ドロー加熱炉112および処理区域130(例えば、図4に示す処理加熱炉または図5に示すパッシブ処理組立体450を備えうる)は、図6に示す光ファイバを生産するためのシステム108に導入される。ひとたび、光ファイバ10が処理区域130を離れると、光ファイバは少なくとも1つの固定された流体ベアリング116(複数の流体ベアリングとして図6に示す)と接触し、実質的に第1の、すなわち垂直の経路(Y)に沿って第2の経路(Z)へと移動する。図に示すように、第2の経路(Z)は第1の進路に対して水平または直角に方向づけられるが、本明細書に記載のシステムおよび方法は、保護コーティングを施用する前に、光ファイバを非直線的な経路に沿って方向を向け直すことができることが理解されるべきである。
図6に示す実施の形態では、光ファイバ10は流体ベアリング116を通過し、光ファイバ10の外表面に第1の保護コーティング層121が施用されたコーティングユニット120に晒される。コーティングユニット120を離れた後、保護層121を有する光ファイバ(むき出しではない)はシステム内のさまざまな他の処理段階(図示せず)を通過しうる。ドロー装置128は、光ファイバが図6に示すシステム全体を通じてドローされて、最終的にはファイバ貯蔵スプール(図示せず)に巻かれるように、光ファイバに必要な張力を印加するのに用いられる。
光ファイバ10が流体ベアリング116(後述する)上を輸送される際に、各流体ベアリング116上の流体クッションの領域が光ファイバ10を冷却する。例えば、図6を参照すると、処理区域130を出た光ファイバ10は、流体ベアリング116に入る際に約500℃〜1500℃の温度を有しうる。一部の好ましい実施の形態では、光ファイバ10は、ファイバ温度が1,300℃未満、さらに好ましくは1,200℃未満、一部の実施の形態では1,100℃未満の地点で、流体ベアリング116に入る。流体ベアリングは光ファイバを支持する動流体の流れを採用することから、光ファイバは、該ファイバがドロー加熱炉のすぐ外に存在する移動しない室温空気で冷却されるよりも速い速度で冷却される。光ファイバと流体ベアリング中の流体(好ましくは室温空気)との温度の差異が大きいほど、流体ベアリングが光ファイバ10を冷却する能力も大きくなる。別の実施の形態では、流体ベアリング116を通じて放出された流体は、実際、光ファイバが均一な速い速度で冷却されるように冷却されうる。流体クッションの領域に関係する流体は、コーティングユニット120へ直接輸送可能になるように十分な冷却を光ファイバ10に提供することができ、光ファイバ10の外表面に保護層が施用され、コーティングファイバ121を生成することができる。1つの実施の形態では、流体ベアリング116の流体クッションの領域は、光ファイバ10に対して非反応性の流体(例えば、空気、ヘリウムなど)を含みうる。
図7は、本明細書に記載の光ファイバの製造に使用されうるベアリング組立体216の実施の形態を例証している。図7に示される実施の形態では、ベアリング組立体216(しばしば「流体ベアリング」と称される)は、第1のプレート230、第2のプレート232、内側部材236および、第1および第2のプレートの少なくとも1つにおける少なくとも1つの開口部234を備える。第1のプレート230および第2のプレート232は、金属で作られていて差し支えなく、アーチ型の外表面238、239を含み、互いに反対側に配置されうる。第1のプレート230および第2のプレート232は、流体がベアリング組立体216を通過するように、プレート230、232に一緒に連結するために締め具(例えば、ボルト240)によって接続される。各プレート230、232のアーチ型の外表面238、239は、一般に、各プレート230、232のそれぞれの外周に沿って配置される。第1のプレート230および第2のプレート232は、それぞれ、内面242、244および外面243、245を有し、ここで、プレート230、232の内面242、244は互いに位置合わせされる。陥凹部247は、流量についてプレナムを提供するために、第1のプレート230または第2のプレート232のいずれかの内面242、244の周りに少なくとも部分的に延在する。別の実施の形態では、陥凹部は、本明細書において後述するように、均一な流れをファイバ支持チャネル250に提供するためのさまざまな構成を含む。
図示する実施の形態では、第1のプレート230および第2のプレート232のアーチ型の外表面238、239は、好ましくは、実質的に位置合わせされて、第1のプレート230および第2のプレート232の両方の外表面238、239の間の領域を形成する。この領域は、ベアリング組立体の回転なしに光ファイバがこの領域に沿って移動できるように、光ファイバを受け入れるように構成される。このファイバ支持チャネル250は、図8に示す実施の形態にさらに明確に示されている(本明細書で後述する)。少なくとも1つの開口部234は、第1のプレート230および第2のプレート232のうち少なくとも1つを通過する。図7に示されるように、第1のプレート230および第2のプレート232の開口部234は、第1のプレート230と第2のプレート232の間に形成されるファイバ支持チャネル250において、流体がベアリング組立体216から出られるように、ベアリング組立体216を通じて流体(例えば、空気、ヘリウムまたは他の所望される気体または液体)を供給可能にする。
加えて、図7の実施の形態に示されるように、ベアリング組立体216は、第1のプレート230と第2のプレート232の間に配置された内側部材236を含んでいてもよい。この内側部材236(例えば、シム237)は、所定の流れ方向を有するファイバ支持チャネル250から流体が流出するように、第1のプレート230と第2のプレート232の外表面238、239 の間の領域に流体を方向づけるのに役立つように構成される。内側部材236は、第1のプレート230と第2のプレート232の間に配置されて、その間にギャップを提供する。内側部材236は、所定の流れ方向を有するファイバ支持チャネル250から流体が流出するように方向づける。必要に応じて、内側部材236は、非放射状の流れを抑えることにより流量をさらに制御するための複数のフィンガー(図示せず)を備えていてもよい。加えて、内側部材236は、第1のプレート230と第2のプレート232との実質的な接触を提供するための封止部分としての役割をする。内側部材は、光ファイバの進入および排出を促進するためのノッチを備えていてもよい。
図8に示されるように、ファイバ支持チャネル250は第1のプレート230の外表面238、239の間に形成され、第2のプレート232はテーパ型であって差し支えなく、流体は、第1のプレート230と第2のプレート232の間から流出する。しかしながら、別の実施の形態では、ファイバ支持チャネル250は、例えば、平行または逆テーパ型の形状を備えていてもよい。加えて、テーパ型のファイバ支持チャネル250内の開口部260は、光ファイバ10が垂直に配置される場所に応じて可変である。好ましくは、開口部260およびファイバ支持チャネル250は、用いられる特定のドロー張力およびドロー速度、および開口部260を通じて流れる流体の流速において、光ファイバが、125μmの典型的な外径を有するファイバで、500未満、さらに好ましくは400未満、さらに好ましくは300、最も好ましくは200μm未満の幅のファイバ支持チャネル250の区分に維持されるように構成される。よって、ファイバは、好ましくは、ファイバ直径の1〜2倍、さらに好ましくはファイバの直径の1〜1.75倍、最も好ましくはファイバの直径の1〜1.5倍のチャネル250の領域内に保持される。好ましくは、ファイバは、外側ファイバと各壁との距離がファイバ直径の0.05〜0.5倍になるように、チャネルの領域内に配置される。
本明細書に記載される流体ベアリングは、光ファイバとベアリング組立体との実際の機械的接触を防ぐ、または実質的に防ぐために、光ファイバを流体クッションの領域に沿って移動可能にする。例えば、ファイバは、プレート230または232のいずれかと接触することなく、ファイバ支持チャネル250内を移動する。加えて、領域の大きさおよび構成の理由から、流体ベアリングは、流量をアクティブ制御することなく、さまざまな範囲のドロー張力を通じて、機械的接触することなく、ファイバを領域内に維持することができる。図8を参照すると、流量は、光ファイバ10がファイバ支持チャネル250の底部の方向に移動して、シム237またはファイバ支持チャネル250の側面と接触するのを防ぐために、重要でありうる。このことは、ファイバの品質がベアリング組立体との機械的接触による危険にさらされないために、光ファイバがむき出しになっている場合に特に重要である。
ファイバ支持チャネル250内のファイバの位置に影響を与える他の因子には、ドロー張力がある。例えば、200gの張力で引っ張られるファイバは、同一の流量では、ファイバ支持チャネル250内の100gの張力で引っ張られるファイバよりも低い位置に浮かぶ。このように、流体ベアリングの領域から出る流体は、光ファイバを、用いられる特定のファイバドロー速度およびドロー張力にとって望ましい位置に維持するのに十分であることが重要である。
流体ベアリング116の半径は重要ではない。一部の実施の形態では、各流体ベアリングは、約8〜16cmのファイバ回転半径を生じるように構成される。より大きいまたはより小さい半径の流体ベアリングを用いることもでき、あるいは、例えばより大幅な冷却が望ましいか否か(より大きい半径の流体ベアリングが好ましいような場合)またはファイバドロー工程の制限に応じて、追加の流体ベアリング(例えば図1に例証される)を用いることもできる。
好ましい実施の形態では、光ファイバは、15m/秒以上、好ましくは25m/秒以上、さらに好ましくは35m/秒以上のドロー速度でドローされ、その後、前記光ファイバを処理区域に維持することによって前記光ファイバを加熱処理すると同時に、前記光ファイバを、5,000℃/秒未満の前記処理区域における平均冷却速度に供する。平均冷却速度は、例えば500℃/秒〜5,000℃/秒などであり、500℃/秒〜2,500℃/秒の平均冷却速度を含み、さらには、500℃/秒〜1,000℃/秒の平均冷却速度を含む。
図6に例証される実施の形態では、処理区域130の長さは、好ましくは約2m〜10mであり、さらに好ましくは約3m〜8mであり、例えば約4m〜6mである。好ましい長さはファイバ10のドロー速度に応じて決まり、ドロー速度の範囲の例としては、約5m/秒〜約45m/秒であり、例えば約10m/秒〜約35m/秒などであり、約15m/秒〜約25m/秒を含む。処理区域130より下流の流体ベアリング116(図6に示す)の存在は、処理区域130がより長い長さを有することを可能にする。より長い長さを有する処理加熱炉350は、すなわち、より長い減衰を有する光ファイバの生産を可能にする。
好ましい実施の形態では、処理区域130における光ファイバ10の滞留時間は、0.05秒〜0.50秒の範囲であり、例えば0.10秒〜0.35秒であり、さらには、例えば0.15秒〜0.25秒である。
本明細書が記載するように処理区域を光ファイバが通過することを含む方法は、図4に示すアクティブ加熱組立体、または図5に示すパッシブ加熱組立体を含んで差し支えなく、ここで、アクティブまたはパッシブ加熱組立体は、単独で、または図6に示すベアリング組立体と組み合わせて用いられうる。本明細書に記載される加工段階に従って、当技術分野で既知の方法を用いた標準的重水素処理などの追加の加工段階も用いられうる。
本明細書に開示される実施の形態は、以下の実施例によってさらに明確になる。
実施例1
図2に例証されるプロファイルに対応する屈折率プロファイルを有するように、約430kmの光ファイバを製造した。光ファイバは、図4に例証されるものに類似した光ファイバ形成装置を用いて製造され、ここで、処理加熱炉は、ドロー加熱炉の下流に配置され、処理加熱炉の加熱部は、約1.5メートルの長さおよび約600℃の壁温設定点を有していた。ファイバは、約150グラムのドロー張力において、約14m/秒のドロー速度でドローされた。光ファイバの測定性能パラメータは、表5に記載されている。表5から分かるように、測定減衰値は、表2に記載されたモデル化(予測)値より低い。
本発明の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな変更および変動がなされうることは当業者にとって明白であろう。