JP2013511708A - 骨発生マーカーとしてのhla−gのアイソフォームの使用 - Google Patents

骨発生マーカーとしてのhla−gのアイソフォームの使用 Download PDF

Info

Publication number
JP2013511708A
JP2013511708A JP2012539468A JP2012539468A JP2013511708A JP 2013511708 A JP2013511708 A JP 2013511708A JP 2012539468 A JP2012539468 A JP 2012539468A JP 2012539468 A JP2012539468 A JP 2012539468A JP 2013511708 A JP2013511708 A JP 2013511708A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hla
subject
isoform
concentration
bone
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012539468A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5695073B2 (ja
Inventor
デシャソー,フレデリック
センセベ,ルク
ルアス−フレイス,ナタリー
ナジ,アブダラヒム
デルフィノ カロセッラ,エドガルド
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Francais du Sang Ets
Commissariat a lEnergie Atomique et aux Energies Alternatives CEA
Original Assignee
Francais du Sang Ets
Commissariat a lEnergie Atomique et aux Energies Alternatives CEA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Francais du Sang Ets, Commissariat a lEnergie Atomique et aux Energies Alternatives CEA filed Critical Francais du Sang Ets
Publication of JP2013511708A publication Critical patent/JP2013511708A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5695073B2 publication Critical patent/JP5695073B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • G01N33/6893Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids related to diseases not provided for elsewhere
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/68Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving proteins, peptides or amino acids
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/74Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving hormones or other non-cytokine intercellular protein regulatory factors such as growth factors, including receptors to hormones and growth factors

Abstract

本発明は、哺乳動物における骨発生を評価するためのマーカーとしての、少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの使用に関する。

Description

本発明は、新規な骨発生(osteogenesis)マーカー、および、哺乳動物の骨発生の評価方法におけるその使用に関する。
骨発生は、骨組織が形成し発達することによるプロセスである。骨は以下のものから形成されている:
- 骨細胞外マトリックス(約22%〜25%)。これは実質的にI型コラーゲンと、さらにオステオネクチンおよびオステオカルシンなどのその他のタンパク質から構成されている有機マトリックスである、
- カルシウムに非常に富むミネラルマトリックス(約70%)、
- 2種類の骨の細胞:骨芽細胞性細胞(骨芽細胞、骨細胞およびライニング細胞。これらは間葉系幹細胞に由来する)および破骨細胞(造血幹細胞に由来する細胞)、ならびに
- 水(5%〜8%)。
骨芽細胞は立方形状または円柱形状の単核の類上皮細胞であり、増殖している骨組織に存在する。それらは、特徴として、I型コラーゲン、アルカリフォスファターゼ(ALPまたはALPL)、上皮小体ホルモン受容体1(PTHR1)、オステオネクチン(SPARC)、オステオカルシン、オステリックス転写因子(OSX)およびα-アクチン(ASMA)を発現している(Cohen, 2006)。
骨細胞は分化した骨芽細胞であり、高度に分岐しており分裂することができる。これらは骨細胞外マトリックスを維持している。
ライニング細胞は、扁平で細長い形状を有する休止細胞であり、骨形成(bone formation)も骨吸収もなされていない不活性な区画における骨の表面に存在している。該細胞が刺激されると、それらは骨芽細胞に分化することができる。
破骨細胞は直径20〜100μmの多核細胞である。これらは骨吸収を担っている。
骨発生マーカーを有することは、骨格変性(例えば骨粗鬆症)に罹患している個体における骨折のリスクを評価することと、骨折後の骨格の再形成をモニタリングすること、および骨腫瘍の進行をモニタリングすることの両方にとって重要である。このリスク評価とこのモニタリングは、それらが早期であれば、有効な治療を計画するのに極めて重要である。
一例として、脛骨骨折している成人の10〜30%は、例えば、骨折後に生じた二つの骨断片の連結の欠損のような偽関節を呈する。フランスでは、これは、年間およそ3000症例が現れている。偽関節の治療(自家移植、骨髄の注射、増殖因子の注射など)は非常に大変で高価であり、そして患者の自立を急速に取り戻すことはない。フランスでは、脛骨の不完全な連結にかかる年間コストは、300万ユーロから3000万ユーロの間と見積もることができる。それゆえ、偽関節の早期発見は、この状態にある患者をより効果的に治療することを可能にする。
現在は、上市されている骨形成(骨発生)のマーカーはわずかである。これらのマーカーは、本質的には、骨アルカリフォスファターゼ、オステオカルシンおよびプロコラーゲン拡張ペプチドである(Srivastava, 2005およびVesper, 2005):
- アルカリフォスファターゼ(ALPまたはALPL)は偏在酵素である。ヒトでは、6種のアイソエンザイム:肝臓、腸、骨、腎臓、胎盤および腫瘍のアイソエンザイムに分類することができる。正常な肝機能を有する成人では、ALPの血清活性のおよそ60〜70%は肝臓に由来し、30〜40%は骨に由来し、5%未満は腸に由来する。骨ALPの血中レベル(circulating level)は、骨芽細胞の活性のみならず、その肝臓での除去にも依存している;したがって、肝臓の状態により、血中の骨ALPのレベルが変化しうる;
- オステオカルシン(OC)は、骨芽細胞により分泌される5.7 kDaのタンパク質である。血流中では、オステオカルシンは急速に分解されて除去される(血中のオステオカルシンの1/3は全タンパク質として存在し、2/3は様々な大きさのフラグメントとして存在している)。これにより、骨形成マーカーとしてのその臨床的応用が制限されている;
- I型コラーゲンは骨芽細胞によりプロコラーゲンの形態で合成される。この前駆体は、N末端およびC末端に2つのペプチド、PINP(N末端伸長ペプチド)およびPICP(C末端伸長ペプチド)をそれぞれ含み、これらは、プロコラーゲンの集まりから三重らせんへの間にプロテアーゼにより切断されて血流に放出される。それゆえ、血清中のこれらのペプチドの分析は、I型コラーゲンの形成を評価することを可能にする。しかしながら、この分析は、骨中のI型コラーゲンの合成だけではなく、他の組織のものも反映する。
このように、現在用いられている骨発生マーカーはまったく満足できるものではない。このことにより、新たな骨発生マーカーを同定する必要が生じる。
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)抗原は、いくつかのクラスに分類されている:3つの球状領域(α1、α2およびα3)を有し、該α3領域はβ2-ミクログロブリンと会合するクラスI抗原(HLA-A、HLA-BおよびHLA-C)、クラスII抗原(HLA-DP、HLA-DQおよびHLA-DR)およびクラスIII抗原(補体)である。クラスI抗原は、上記の抗原に加えて、非通常(unconventional)クラスI抗原(クラスIb)と称される他の抗原、特にHLA-E、HLA-FおよびHLA-G抗原を含む。
HLA-G遺伝子(HLA-6.0遺伝子)のヌクレオチド配列は、Geraghtyら(1987) により記述されている:これは4396塩基対を含み、HLA-A、-Bおよび -C遺伝子のものと相同なイントロン/エキソン構成を有している。この遺伝子は、8つのエキソン、7つのイントロンおよび非翻訳3'末端を含んでいる。HLA-G遺伝子は、インフレーム翻訳ストップコドンがエキソン6の第2コドンに位置する点で他のMHCクラスI遺伝子と異なっている。したがって、このHLA-6.0遺伝子によりコードされているタンパク質の細胞質領域は、HLA-A、-Bおよび-Cタンパク質の細胞質領域のそれよりも短い。
IshitaniおよびGeraghty (1992)は、HLA-G遺伝子の一次転写産物がいくつかの方法でスプライシングされて、少なくとも3つの別個の成熟mRNAが産生されることを示した: HLA-Gの一次転写産物は、1200 bpの全長コピー(G1)、900 bpの断片(G2)および600 bpの断片(G3)を与える。G1転写産物はエキソン7を含まず、Ellisら(1990)により記述された配列に相当する。すなわち、これは、シグナル配列、3つの細胞外球状領域(α1、α2およびα3)、膜貫通領域および細胞質内領域を含むタンパク質をコードしている。G2 mRNAはエキソン3(α2領域をコードしている)を含まず、α1およびα3領域が直接連結されているアイソフォームをコードしている。G3 mRNAはエキソン3もエキソン4(α3領域をコードしている)も含まず、それゆえ、この転写産物は、α1領域および膜貫通領域が直接連結されているアイソフォームをコードしている。HLA-G2を得るために優勢であるスプライシングにより、アデニン(A)(α1コーディングドメインに由来する)がアデニン-シトシン(AC)配列(α3コーディングドメインに由来する)と連結されて、AAC (アスパラギン)コドンが、HLA-G1のα3領域をコードする配列の5'位に存在するGAC (アスパラギン酸)コドンの位置に創出される。HLA-G3を得るために生じるスプライシングでは、スプライシング領域における新たなコドンの形成に至ることはない。
本発明者らの幾人かは、HLA-G mRNAの他のスプライシングされた形態の存在を示した:HLA-G4転写産物。これはエキソン4を含まない;HLA-G5転写産物。これはエキソン4と5との間にイントロン4を含み、これによりこの転写産物の翻訳の間にリーディングフレームの変化が生じ、特にイントロン4のアミノ酸21の後にストップコドンが出現する;HLA-G6転写産物。これはイントロン4を含むが、エキソン3を消失している;HLA-G7転写産物。これはイントロン2を含み、これによりこの転写産物の翻訳の間にリーディングフレームの変化が生じ、イントロン2のアミノ酸2の後にストップコドンが出現する(Kirszenbaumら、1994および1995;Moreauら、1995;欧州出願EP 0 677 582)。
それゆえ、HLA-Gの7種のアイソフォームをコードする少なくとも7種の異なるHLA-G mRNAが存在する。該アイソフォームのうち4種は膜アイソフォーム(HLA-G1、-G2、-G3および-G4)であり、3種は膜貫通領域を含まない可溶性アイソフォーム(HLA-G5、-G6および-G7)である(検討のためにCarosellaら、2008aを参照されたい)。
HLA-G遺伝子(HLA-6.0遺伝子)のヌクレオチド配列およびそのエキソン/イントロン構成、並びにHLA-Gの種々のアイソフォームのアミノ酸配列は、当業者に公知である。それらは特に上記のGeraghtyら(1987)およびCarosellaら(2008a)により記述されている。
HLA-Gタンパク質発現は、通常、(母体-胎児間の境界での)トロホブラスト、胸腺、角膜、内皮前駆体および赤芽球前駆体、並びに間葉系幹細胞に限定されている(Carosellaら、2008a)。しかしながら、HLA-G mNRAは、実質的には全ての体の細胞において、増幅できる基底レベルにて検出されており、タンパク質への翻訳は、DNA脱メチル化剤、インターフェロン(IFN)のようなサイトカイン、ストレス因子または低酸素の影響の下に誘導される(Carosellaら、2008b)。よって、組織の移植、所定の腫瘍の進行または炎症反応のような特定の条件下で、HLA-Gタンパク質が、通常の条件下ではそれを発現しない組織において発現されうる。
血液中では、可溶性アイソフォームと膜アイソフォームの両方が膜から分離して、例えば、HLA-G1(「HLA-G1放出」というHLA-G1sとしても知られている)が見出される。
HLA-Gのいくつかの生物学的特性:NK細胞性およびCTL性細胞溶解の阻害、アロ増殖性T応答の阻害、CD8+ NK細胞およびT細胞でのアポトーシスの誘導、並びに免疫系のB細胞に対する抗増殖作用が同定された(Carosellaら、2008aおよび2008b)。
近年、本発明者らの幾人かは、培養中の間葉系幹細胞(MSC)がHLA-G5を分泌し、それにより、TおよびNK(ナチュラルキラー)免疫反応について免疫抑制活性を発揮することを示した(Selmaniら、2008)。
成人骨髄に由来する間葉系幹細胞は、骨芽細胞の前駆体、軟骨芽細胞の前駆体および脂肪細胞の前駆体である多能性細胞である(Friedensteinら、1976;Pittengerら、1999)。
これらの研究の関係において、本発明者らは、MSCからの培養物において得られた骨芽細胞、軟骨芽細胞および脂肪細胞が、またMSC自体も、HLA-Gを発現しているかどうかを調査した。驚くべきことに、本発明者らは、骨芽細胞のみが可溶性HLA-Gフォームを発現していることをELISA法により示した。彼らはまた、骨芽細胞がHLA-G1、-G2、-G3、-G4および-G5のmRNAを発現していることをRT-PCR技術により示した。また、本発明者らは、骨形成(骨発生)の間のみ、正常または病態(特に腫瘍)にある骨芽細胞によりHLA-Gが発現されていることをヒトにおいてインビボで観察した。
よって、骨形成の間における骨芽細胞によるHLA-G発現を示すこれらの結果に基づいて、個体における骨発生の評価は、骨折後の骨再形成の間であろうと、あるいは骨腫瘍の進行のモニタリングの関連であろうと、骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を分析するかまたは測定することによって、実施されうる:少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度または発現の増加は骨発生を示す。
したがって、本発明の主題は、以下の工程:
a)骨折と診断された対象からの生物学的液体の検体における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度を測定する工程と、
b)工程a)で測定したHLA-Gのアイソフォームの濃度を、健常対象の生物学的液体における該HLA-Gのアイソフォームの基準濃度と比較する工程と
を含み、上記対象からの上記生物学的液体の検体において、該基準濃度よりも高い、少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度が、上記対象の骨再形成(骨発生)を示す、
骨折と診断された対象の骨再形成のインビトロでのモニタリング方法である。
用語「骨折」とは、ひと続きの骨における破断を意味することを意図している。これは特に骨の亀裂(骨のずれを伴わない骨折)または粉砕骨折(いくつかの骨断片を含む;複細片骨折(multisplintered fracture))であってもよい。骨折は、例えば放射線撮影、シンチグラフィまたは断層濃度測定(tomodensitometry)により診断することができる。
本発明の目的のために、用語「対象」とは、哺乳動物を意味することを意図しており、好ましくはヒトである。
本発明の目的のために、用語「健常対象」とは、骨の損傷のない、すなわち骨折していない対象を意味することを意図している。
本発明の目的のために、用語「生物学的液体」とは、血液およびその派生物(例えば血漿および血清)、並びに滑液も意味することを意図しており、好ましくは血液である。
本発明の目的のために、用語「HLA-Gのアイソフォーム」とは、HLA-Gの膜アイソフォーム(HLA-G1、-G2、-G3および-G4)および可溶性アイソフォーム(HLA-G5、-G6および-G7)から選択されるHLA-Gのアイソフォームを意味することを意図している。
当然に、生物学的液体におけるHLA-Gの膜アイソフォームの濃度を測定する場合、これは、このアイソフォームが(例えばタンパク質分解により)細胞膜から分離し、且つ上記の生物学的液体に含まれていることを意味する。
上記の骨再形成のモニタリング方法の好ましい実施形態によれば、HLA-G1、HLA-G5、HLA-G6およびHLA-G7から選択される少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度を測定する。
上記の骨再形成のモニタリング方法の別の好ましい実施形態によれば、2種の異なるHLA-Gのアイソフォーム、好ましくはHLA-G1およびHLA-G5、またはHLA-G5およびHLA-G6の濃度を測定する。
上記の骨再形成のモニタリング方法の別の好ましい実施形態によれば、上記で定義された少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォーム、好ましくはHLA-G1、HLA-G5、HLA-G6およびHLA-G7から選択されるか、または、より好ましくは2種の異なるHLA-Gのアイソフォーム、例えばHLA-G1およびHLA-G5、並びにHLA-G5およびHLA-G6の血漿濃度または血清濃度を、血液検体を用いて測定する。
血液検体を用いるHLA-Gのアイソフォームの血漿濃度の測定は当業者に公知である。これは、該HLA-Gのアイソフォームに特異的な少なくとも1種の抗体を用いた適切な免疫学的方法(例えばELISA、RIA、免疫蛍光法、免疫組織化学法)を実施することにより行うことができる。
本発明の目的のために、用語「抗体」とは、ヒトまたは非ヒトのポリクローナルまたはモノクローナル抗体、例えばマウスのヒト化キメラのもの、組換え型または合成のもの、あるいは、元の抗体の標的抗原を認識するその元の抗体のドメインを含む抗体フラグメント(例えば、Fab'2またはFabフラグメント)を意味することを意図している。
1種以上のHLA-Gのアイソフォームに特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体の多くは当業者に公知である。市販の抗ヒトHLA-Gモノクローナル抗体の一例として、4H84クローン(McMasterら、1998)から得られた抗HLA-G抗体(全てのHLA-Gのアイソフォームを認識する)、MEM-G/4クローン(MEM-G/04とも呼ばれる;Menierら、2003)から得られた抗HLA-G1、-G2、-G5およびG6抗体(すなわち、アイソフォームHLA-G1、-G2、-G5およびG6を認識する)、MEM-G/9クローン(MEM-G/09とも呼ばれる;Menierら、2003)または87Gクローン(Rebmannら、1999;Hackmonら、2004)から得られた抗HLA-G1および抗HLA-G5抗体(すなわち、アイソフォームHLA-G1および-G5を認識する)、5A6G7クローン(Le Rondら、2004)から得られた抗HLA-G5および抗HLA-G6抗体(すなわち、アイソフォームHLA-G5および-G6を認識する)を挙げることができる。
上記で定義された生物学的液体におけるHLA-Gのアイソフォームの基準濃度は、所定のHLA-Gのアイソフォームのみならず、濃度測定に用いた方法にも依存する。
MEM-G/9クローンから得られたモノクローナル抗体を用いたELISAにより測定された、骨折していない個体である健常個体におけるアイソフォームHLA-G1(HLA-G1s)およびHLA-G5の基準血漿濃度は、20 ng/ml未満である(Ugurelら、2001;Le Rondら、2006;Najiら、2007)。
したがって、この実施形態における特定の規定によれば、骨折であると診断された上記のヒト対象からの血液検体を用いて、抗HLA-G1および抗HLA-G5の両方である抗体(例えば、MEM-G/9クローンから得られたモノクローナル抗体)を用いた適切な免疫学的方法により、好ましくはELISAにより測定された20 ng/mlより大きい、好ましくは50 ng/mlより大きい、より好ましくは100 ng/mlより大きいアイソフォームHLA-G1(HLA-G1s)およびHLA-G5の血漿濃度は、該対象の骨再形成を示す。
5A6G7クローンから得られたモノクローナル抗体を用いたELISAにより測定された、上記の健常個体におけるアイソフォームHLA-G5およびHLA-G6の基準血漿濃度は、10 ng/ml未満である(Le Rondら、2006;Najiら、2007)。
したがって、この実施形態における別の特定の規定によれば、骨折であると診断された上記のヒト対象からの血液検体を用いて、抗HLA-G5および抗HLA-G6の両方である抗体(例えば、5A6G7クローンから得られたモノクローナル抗体)を用いた適切な免疫学的方法により、好ましくはELISAにより測定された10 ng/mlより大きい、好ましくは50 ng/mlより大きい、より好ましくは100 ng/mlより大きいアイソフォームHLA-G5およびHLA-G6の血漿濃度は、該対象の骨再形成を示す。
MEM-G/9クローンから得られたモノクローナル抗体を用いたELISAにより測定された、上記の健常個体におけるアイソフォームHLA-G1(HLA-G1s)およびHLA-G5の基準血清濃度は、約20 ng/mlである(Rouas-Freissら、2005)。
したがって、この実施形態における別の特定の規定によれば、骨折であると診断された上記のヒト対象からの血液検体を用いて、抗HLA-G1および抗HLA-G5の両方である抗体(例えば、MEM-G/9クローンから得られたモノクローナル抗体)を用いた適切な免疫学的方法により、好ましくはELISAにより測定された25 ng/mlより大きい、好ましくは50 ng/mlより大きい、より好ましくは100 ng/mlより大きいアイソフォームHLA-G1(HLA-G1s)およびHLA-G5の血漿濃度は、該対象の骨再形成を示す。
本発明は、時刻t0および時刻t1にて得た(骨折と診断された)対象からの生物学的検体を用いる、該対象の骨腫瘍の変化(進行または寛解)のインビトロでのモニタリング方法にも関連し、この方法は、上記の生物学的検体における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度を測定するか、または発現を定量的に測定する工程を含み、
- 時刻t0およびt1の間における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度または発現レベルの増加が、上記の対象における骨腫瘍の進行を示し、
- 時刻t0およびt1の間における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度または発現レベルの減少が、上記の対象における骨腫瘍の寛解(または軽減)を示す。
本発明の目的のために、用語「生物学的検体」とは、上記で定義された生物学的液体の検体、または、腫瘍の骨生検により得られた、骨芽細胞を含む生物学的検体を意味することを意図している。
生検材料は、例えば脊椎、骨盤、大腿骨、脛骨、上腕骨、肩甲骨、頭蓋骨などの骨格のいずれの部位から得られた検体であってもよい。
骨腫瘍は、骨肉腫、骨芽細胞腫、ユーイング肉腫および巨細胞腫からなる群より選択される。
このインビトロでの骨腫瘍の評価方法の好ましい実施形態によれば、上記で定義された少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの血漿濃度または血清濃度を、例えば、上記のヒト対象からの血液検体を用いて、上記で定義された適切な免疫学的方法により測定する。
この実施形態の有利な規定によれば、2種の異なるHLA-Gのアイソフォーム、好ましくはHLA-G1およびHLA-G5、またはHLA-G5およびHLA-G6の濃度を測定する。
このインビトロでの骨腫瘍の評価方法の別の好ましい実施形態によれば、上記で定義された少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの骨芽細胞による発現を、骨芽細胞を含む生物学的検体であって上記の腫瘍の骨生検により得られた該検体を用いて定量的に測定する。
この実施形態の有利な規定によれば、骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を、上記で定義された免疫学的方法、好ましくは、上記で定義された該HLA-Gのアイソフォームに特異的な少なくとも1種の抗体を用いた適切な免疫組織化学的方法によりインビトロで測定する。
この実施形態の別の有利な規定によれば、骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を、少なくとも1種のHLA-GのアイソフォームをコードするmRNAを測定することによって、インビトロで測定する。mRNAの検出は、該mRNAに特異的な(例えばバイオチップに設置されている)ヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、または該mRNAに特異的なヌクレオチドプライマーを用いた増幅により(例えばRT-PCRにより)実施することができる。HLA-G mRNAの増幅に適するプライマーの一例としては、配列番号15および16のヌクレオチド配列からなるプライマー対、およびLe Discordeら、2005により記載されたものが挙げられる。
本発明の主題は、骨発生を調節する(増強させるか、または減弱させる)剤のインビトロでのスクリーニング方法でもあり、この方法は、以下の工程:
a)骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を定量的に測定する工程、
b)該骨芽細胞を被験剤と接触させる工程、および
c)該骨芽細胞による上記少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を定量的に測定する工程
を含み、工程a)およびc)との間における該骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現レベルの差違が、上記の剤が骨発生を調節することを示す。
上記の工程a)およびc)との間における上記の骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォーム発現レベルの増大は、上記の剤が骨発生の進行を誘導することを示す。
上記の工程a)およびc)との間における上記の骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォーム発現レベルの減少は、上記の剤が骨発生の進行を抑制することを示す。
骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現の定量的測定は、上述した方法、すなわち免疫学的方法またはHLA-GのアイソフォームをコードするmRNAの測定により実施することができる。
上記のスクリーニング方法の好ましい実施形態によれば、骨芽細胞はヒト起源のものである。
上記のスクリーニング方法の別の好ましい実施形態によれば、HLA-G1およびHLA-G5の発現、またはHLA-G5およびHLA-G6の発現を測定する。
本発明の主題は、対象から、好ましくはヒトから単離され、該対象における骨発生のためのマーカー、好ましくは血液マーカーとして使用するためのHLA-GのアイソフォームまたはHLA-Gのアイソフォームをコードする核酸分子(例えばmRNA)でもある。
本発明の好ましい実施形態によれば、上記のHLA-Gのアイソフォームは、HLA-G1、HLA-G5およびHLA-G6から選択される。
上記の規定に加えて、本発明は、本発明の主題である方法の実施例および添付の図面を参照する以下の記載から明らかとなる他の規定も含む。添付の図面では:
図1は、新生児の骨増殖区画(A)および成人の骨折後の仮骨(B)の骨芽細胞によるHLA-Gの発現を示す。過剰指の薄切片、ならびに初期および後期の仮骨の薄切片を、抗HLA-G5および抗HLA-G6抗体(クローン5A6G7)と、次いでペルオキシダーゼ結合抗マウス二次抗体とインキュベートした。そして、スライドを光学顕微鏡で観察した。骨増殖区画においては、骨芽細胞は骨梁に沿って位置しており、骨膜が抗HLA-G5/-G6抗体で標識された(黒矢印を参照されたい)。骨の仮骨では、新たに形成された骨梁において凝集した骨芽細胞も抗HLA-G5/-G6抗体で標識された。(C):非病態の成人骨髄では、HLA-G+細胞は観察されなかった。 図2は、骨腫瘍におけるHLA-Gの検出を示す。骨肉腫(A)、骨芽細胞腫(B)、ユーイング肉腫および巨細胞腫(C)を原因とする骨腫瘍の生検材料の薄切片を、抗HLA-G5/-G6抗体(クローン5A6G7)とインキュベートした。骨肉腫および骨芽細胞腫の腫瘍骨芽細胞は標識されたが(AおよびB)、一方で、ユーイング肉腫または巨細胞腫の腫瘍微環境の正常骨芽細胞のみがHLA-G5/-G6発現陽性であった(C)。 図3は、インサイチュ免疫蛍光法によるSaOs2株におけるHLA-Gの検出を示す。SaOs2骨肉腫株の細胞を、ウェルを有する培養チャンバ内で培養し、そして固定して、FITCと結合した抗HLA-G1および抗HLA-G5抗体(クローン87G)とインキュベートした。細胞核をDAPIで標識した。倍率はX400。 図4は、MSCから得られた骨芽細胞によるHLA-G mRNAの発現を示す。骨芽細胞を溶解して、mRNAを回収した。逆転写の後、cDNAをPCRにより増幅した。(A):骨芽細胞に特徴的な転写産物(BSP、ALP、PTHR1、SPARC、オステリックスおよびASMA mRNA)を、骨発生培地中で培養した細胞について探索した。GAPDH(グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ;構成遺伝子)mRNAを対照として用いた。(B):MSC(MSC1、MSC2、MSC3)から得られた3種の異なる骨芽細胞培養物における種々のフォームのHLA-G(G1、G2、G3、G4およびG5)の発現を調べた。 図5は、インサイチュ免疫蛍光法を介した、MSCから得られた骨芽細胞によるHLA-Gの発現を示す。MSCを、ウェルを有する培養チャンバ内で培養し、コンフルエントにおいて、骨芽細胞に分化するように誘導した。用いた誘導剤はBMP-2、BMP-4およびBMP-7である。非誘導培地(拡張用培地)中で培養したMSCを陰性対照(WOBMP)として用いた。培養の10日後、骨芽細胞を固定し透過処理をして、抗コラーゲン1(CO1)抗体、抗オステオポンチン(OPN)抗体、抗オステオカルシン(OSC)抗体および抗HLA-G1/-G5抗体(クローン87G)とインキュベートした。反応培地にDAPIを添加することで細胞核を標識した。そして、エピ蛍光顕微鏡で蛍光を検出した。ウェル内に存在する細胞の数に相関する探索分子の発現レベルを考慮するべく、抗体の存在により放出される蛍光を、DAPIにより放射される蛍光と対応させた(「観察蛍光の相対値」)。 図6は、骨発生の間における、フローサイトメータによるHLA-Gの発現を示す。MSCを骨発生培地で培養し、フローサイトメータにより、培養の2週目(A)および4週目(B)でのHLA-G5/-G6およびアルカリフォスファターゼ(ALP)の二変数の発現をモニターした。HLA-G+細胞の数は66%(第2週)から10%(第4週)に減少した。この図は4回の独立実験の代表物であり、与えられた値は全ての実験で観察された平均値である。 図7は、MCSから得られた骨芽細胞の培養上清中の可溶性HLA-Gの分析を示す。MSCを、骨発生分化(BPM4、デキサメタゾン)、軟骨発生分化(Chondro、TGF-β)、脂肪生成分化(Adipo)および血管形成分化(VEGF)を誘導する培地中で、または、いずれの誘導もなし(対照)で培養した。インキュベーションの4日後、上清の一部を取り、その中のHLA-G5および-G6をELISAにより分析した。結果をng/mlで報告する。 図8は、小塊培養(micromass culture)後の軟骨細胞におけるHLA-Gの発現の探索を示す。MSCを小塊条件下で軟骨発生培地中に培養した。培養の4週間後、小塊を回収し、固定してパラフィン包埋した。再水和した薄切片を、抗HLA-G抗体(クローン5A6G7)または対照抗体(アイソタイプコントロール)のいずれかとインキュベートした。洗浄後、切片をヘマトキシリン/エオシン染色し、そして光学顕微鏡で観察した。 図9は、骨肉腫(OS)に由来するヒト骨芽細胞株CAL72、MG-63、HOSおよびU2OSによるHLA-G1およびHLA-G5の発現を示す。WB =ウェスタンブロット。 図10は、骨芽細胞に分化するように誘導されたヒト骨髄間葉系幹細胞におけるGAPDH、ALPL、SPARC、COL1α1、HLA-G1およびHLA-G5の発現に対するDLX5遺伝子またはRUNX遺伝子の阻害効果を示す。この解析はRT-PCRにより行われた。 図11は、RUNX2を過剰発現しているヒト起源の骨芽細胞株Δ4A5およびΔ6A2によるHLA-G1および-G5、COL1α1ならびにALPLの発現を示す。A:qPCRによる解析。B:ウェスタンブロットによる解析;アイソフォームHLA-G1およびHLA-G5を検出し、アクチンのβアイソフォームを内部陽性対照として用いた。C:フローサイトメータによる解析;HLA-G1および-G5の発現を太線のヒストグラムにより示し、陰性閾値をアイソタイプコントロールのヒストグラムにより(灰色で)示した。
実施例1: 骨芽細胞によるHLA-Gの発現の証明
1)材料および方法
細胞および細胞培養:
成人ヒト骨髄(BM)検体を、整形外科手術を受けている健常ボランティアから収集した。フランス、トゥールのトルソーCHU[大学付属教育病院]の倫理委員会の提言にしたがって、これらの検体を取り扱った。10%ウシ胎仔血清(FCS)(Perbio Hyclone社;ローガン)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(InVitrogen Ltd社;ペーズリー、UK)を添加したアルファ-MEM培地(MEM)に単核細胞(MNC)を播種した。14日目において、80%コンフルエントで、間葉系幹細胞(MSC)を二つに分けて増殖させた。全ての実験は、少なくとも3人の異なる提供者について行った。
SaOs2骨肉腫株(ECECC社、ソールズベリー、UK)をMSCの拡張と同じ条件下で培養した。
骨芽細胞および軟骨芽細胞への誘導:
Pittengerら、1999に記載のプロトコールにしたがって、MSCを骨芽細胞および軟骨芽細胞へ誘導した。
簡潔には、骨発生の誘導のために、培地は、DMEM 4.5 g/lグルコース、3mM NaH2PO4(InVitrogen社)、25 mg/lアスコルビン酸(Sigma社)および10-7 Mデキサメタゾン (InVitrogen社)からなる。この培地により、培養14日後に細胞を骨芽細胞へと分化させることができる。
軟骨発生の誘導のために、細胞を遠心分離して小塊培養した。すなわち、細胞をペレットの状態で再懸濁せずに培養した。用いた分化培地は、DMEM 3Mグルコース(InVitrogen社)、2mMピルビン酸ナトリウム(Sigma社、サン・カンタン・ファラヴィエ、フランス)、0.17 mMアスコルビン酸2リン酸塩(Sigma社)、10-7 Mデキサメタゾン(InVitrogen社)、0.35 mMプロリン(Sigma社)および1×インスリン・トランスフェリン・セレン(ITS)サプリメント(Sigma社)からなる。形質転換増殖因子ベータ1型(TGFβ1)(AbCys社)を、培地交換の際に10 ng/mlの濃度で添加した。この培地により、培養21日後に軟骨芽細胞への分化が可能となる。
フローサイトメトリによる解析:
膜および細胞質内の抗原の検出のために、200,000個の細胞を、蛍光色素と連結した特異的抗体で標識した。膜の標識は、暗闇において4℃で30分のインキュベーションでなされた。次いで、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)ですすぎ、そしてCellFIX(登録商標)(Becton Dickinson社、エーレムボーデゲム、ベルギー)で固定した。細胞質内の標識のために、CytoFix/CytoPermキットを用いて細胞を固定し透過処理した。次いで、488 nmの波長を射出するアルゴンレーザを搭載したフローサイトメータ(FACS Calibur(登録商標)、Becton Dickinson社)に細胞をかけた。データをCellQuest 3.1(登録商標)ソフトウェア(Becton Dickinson社)を用いて解析した。その結果を、検出シグナルの平均蛍光強度(RMFI)のバックグラウンドノイズのそれに対する比として示した。以下のモノクローナル抗体(mAb)を用いた:Alexa 488結合抗HLA-G1/-G5 mAb(クローン87G)(Exbio社、ベステツ、チェコ共和国)、抗HLA-G5/-G6 mAb(クローン5A6G7、Exbio社)およびフィコエリスリン(PE)結合抗アルカリフォスファターゼ(ALP)。
ELISA(酵素結合免疫吸着法)による解析:
骨芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞および血管への誘導後のMSC培養物の濾過上清における可溶性HLA-Gの濃度を測定した。M8-HLA-G5株の細胞の培養上清を陽性対照として用いた(Le Rondら、2006)。用いたELISA法は、吸着抗体として抗HLA-G5/-G6抗体(クローン5A6G7、Exbio社)およびHLAクラスIa分子の検出用抗体としての全HLAクラスI W6/32(Bettsら、2003)(Rebmannら、2005)の使用を含む。
インサイチュ免疫蛍光法による解析:
3つの新鮮腫瘍から選択された細胞を、1cm2の表面積のウェルを有する培養チャンバ(Labteks(登録商標)、Nunc International社、ロチェスター、ニューヨーク、USA)に10000個/ウェルで播種した。増殖培地での培養の48時間後、それらを3.7%ホルムアルデヒド(Sigma社)または純メタノール(InVitrogen社)で10分間固定した。PBS、0.5% FCSおよび0.2% Tween 20(BioRad社、ハーキュリーズ、カリフォルニア、US)の溶液による周囲温度での30分間の透過処理工程が、細胞内タンパク質の同定のために必要であった。次いで、細胞を4℃で1時間、モノクローナル一次抗体、および、一次抗体を認識し、Alexa 488または594型の蛍光色素(InVitrogen社)が結合した二次抗体と連続的にインキュベートした。すすいだ後、4,6-ジ-アミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)(Vector Cliniscience社、モンルージュ、フランス)を含む封入剤を添加して、細胞核を視覚化した。抗体溶液のないウェルを陰性対照とした。カメラ(DMX 1200、Nikon Europe社、バトヒューフェドルプ、オランダ)を搭載したエピ蛍光顕微鏡(Leica(登録商標)社、ゾルムス、ドイツ)の下でスライドを読み取った。画像処理はLuciaソフトウェアを用いて行った。以下の抗体を用いた:抗HLA-G1/-G5モノクローナル抗体(クローン87G、Exbio社)、抗オステオカルシン(Santa Cruz社、Tebu、ル・ペレ・アン・イヴリン、フランス)、抗オステオポンチン(RnD)および抗コラーゲン1a1(Santa Cruz社)ポリクローナル抗体。
免疫組織化学的解析:
生検検体を10%ホルムアルデヒド(Sigma社)で固定した。次いで、それらを、連続した75%、90%および100%のエタノールバス(Merck and Carbo Erba社、サン・テルブラン、フランス)を用いて脱水した。最後に、それらをキシレンバス中に4℃で30分間置いた後、パラフィン包埋(InVitrogen社)して、マイクロトーム上で切片を切った。そして、切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。抗原検出のための免疫標識化は、抗HLA-G5/-G6抗体(クローン5A6G7)およびペルオキシダーゼ結合抗マウスポリクローナル抗体を用いて行った。
RT-PCRによる解析:
Trizol(登録商標)(InVitrogen社)での細胞溶解の後、200μlのクロロホルム(Sigma社)を添加して、細胞およびタンパク質デブリス、上清中に含まれているデオキシリボ核酸(DNA)並びにリボ核酸(RNA)を分離した。次いで、回収したRNAを500μlのイソプロパノール(Sigma社)で沈殿させ、そして75℃で1mlのエタノール(Merck and Carbo Erba社)ですすぎ、外気下で30分間乾燥させて、DNアーゼおよびRNアーゼフリーDEPC水50 mlに再溶解させた。
Takara PrimeScript(商標)1stストランドcDNA合成キット(Takara Bio Inc.社)を用いて、RNAからの逆転写により相補DNA(cDNA)合成を行った。
1μgのRNAの溶液を、1μlのオリゴdTプライマー、1μlのdNTP混合物およびRNアーゼフリー水からなる第1反応混合物に添加して、合計10μlの混合物量とした。65℃で5分間の変性後、新しい反応混合物を添加した。これは、4μlのバッファー、1μlのPrime Script(商標)逆転写酵素、0.5μlのRNアーゼ酵素阻害剤および4.5μlのDEPC水からなる。
そして、20μlの最終混合物をサーモサイクラー(Applied Biosystems社、フォスターシティ、CA、USA)に置いた。用いた条件は、30℃で10分間のプライマー/RNAハイブリダイゼーション、42℃で60分間のcDNA合成、および95℃で5分間の酵素変性である。
TaKaRa Ex Taq(商標)キット(Takara Bio Inc.社)を用いて所望のDNA配列の増幅を行った。
50 ng/μlのcDNA溶液を、2.5μlのバッファー、2μlのdNTP混合物、2μlの検討されるDNAに対するプライマー、0.125μlのTaqポリメラーゼ酵素、およびDEPC水からなる反応混合物に添加して、合計25μlの混合物量とした。RT-PCRを、次のプログラムにしたがって行った:94℃で5分、(94℃で45秒、55℃で45秒、72℃で1分)を35サイクル、70℃で7分。
骨発生分化、未分化および細胞腫瘍形成性に特徴的な種々の遺伝子の増幅用プライマーを、以下の表Iに示した。
2)結果
a)骨形成時の骨芽細胞によるHLA-Gのインビボ発現
抗HLA-G5/-G6抗体(クローン5A6G7)で得られた骨芽細胞染色によって立証されているように(図1A参照)、新生児において、海綿質骨(または骨髄)の骨梁の内側を覆う骨芽細胞は、HLA-G5および-G6を発現している。反対に、増殖性肥大性軟骨細胞は、HLA-G5/-G6を発現しない。さらに、(抗HLA-G5/-G6抗体で標識された)HLA-G+骨芽細胞に近接した特定の血管周囲の細胞もこのタンパク質を発現していることに留意すべきである。
健常成人においては、骨折後の骨再形成時のような活発な骨発生の間にHLA-G5および-G6が検出された。骨折後の骨再形成時では、骨の連結の初期段階の間に、間葉細胞が凝集して、骨を形成できる骨芽細胞が生じるようになる。この骨折後の初期段階において、骨芽細胞はHLA-G5および-G6を弱く発現しているが、一方で、骨再形成の後期段階では、骨の仮骨内の骨の新合成(neosynthesis)を担う骨芽細胞は、抗HLA-G5/-G6抗体で非常に強く標識されている(図1B参照)。また、HLA-G5および-G6は、対象の非病態正常骨髄では検出されなかった(図1C参照)。
これらの結果は、骨芽細胞がHLA-Gを発現できることを示している。しかしながら、HLA-G+細胞は非病態の成人骨髄では見られなかった。したがって、これらの結果から、ヒトにおいてインビボでは、骨形成(骨発生)の間に骨芽細胞はHLA-Gを発現していることがわかる。さらに、骨芽細胞に密接に関連した血管周囲の細胞もそれら自体でHLA-Gを発現している。
b)正常および病態の骨芽細胞はHLA-Gを発現している
骨肉腫、骨芽細胞腫、ユーイング肉腫または巨細胞腫(GCT)から生じたヒト病態の骨髄の切片に基づいてHLA-G5および-G6発現プロファイルを検討した。
図2に表された結果は、検討した病態の骨髄に関係なく、骨芽細胞が抗HLA-G5/-G6抗体で標識されていること(HLA-G+)を示している。しかしながら、HLA-G5および-G6の発現は病態の状態に依存して増減する。
より詳細には、骨肉腫および骨芽細胞腫から生じた異常骨芽細胞、また、正常であるが腫瘍の周辺にある骨芽細胞は、HLA-G+である(図2Aおよび2B参照)。
巨細胞腫(GCT)またはユーイング肉腫から生じた骨髄の切片では、腫瘍環境の骨芽細胞においてのみHLA-G5および-G6が検出された(図2C参照)。
HLA-Gの発現を、骨芽細胞の骨肉腫に由来するSaOs2腫瘍株を検討することにより確認した。図3に表されているこの結果は、該細胞が、HLA-G5(HLA-Gの可溶性フォーム)およびHLA-G1(HLA-Gの膜フォーム)を認識する87G抗体で標識されることを示している。
これらの結果から、正常骨芽細胞、および病態の、特に腫瘍の骨芽細胞はHLA-Gを発現していることがわかる。
c)間葉系幹細胞からの培養で生じた正常骨芽細胞はHLA-Gを発現している
間葉系幹細胞からの培養で生じた正常骨芽細胞によるHLA-Gの発現を検討した。間葉系幹細胞(MSC)の培養物を、デキサメタゾンおよび骨形成タンパク質(BMP)のような種々の骨芽細胞の誘導剤とともにインキュベートした。
アルカリフォスファターゼ(ALP)、骨サイアロタンパク質(BSP)、上皮小体ホルモン受容体1(PTHR1)、オステオネクチン(SPARC)、オステリックス転写因子(OSX)、α-平滑筋アクチン(ASMA)のmRNAの発現を、間葉系起源の培養細胞中で検出した(図4A参照)。これらの種々の転写産物の組み合わせが骨芽細胞に特徴的であることが知られている(Cohen、2006)。
得られた骨芽細胞も、HLA-G1、HLA-G2、HLA-G3、HLA-G4およびHLA-G5のmRNAを発現していた(図4B参照)。
図5に、抗HLA-G1/-G5抗体(クローン87G)でのインサイチュ免疫蛍光技術を用いて得られた結果を示した。骨芽細胞マーカーを発現している細胞はまた、HLA-G1/-G5陽性であった。しかしながら、HLA-Gの発現は、他のBMP(BMP-2およびBMP-7)に比べて、BMP-4で骨芽細胞を誘導したときに顕著に高いことに留意すべきである。
図6に、フローサイトメトリ技術を用いて得られた結果を示した。HLA-Gおよびアルカリフォスファターゼ(ALP)の共同表示によって表されているように、骨芽細胞の大多数はHLA-G1/-G5を発現している。しかし、この発現は時間経過により減少する:誘導の2週間後には66%のHLA-G+骨芽細胞が検出されたが、誘導の4週間後では10%のHLA-G+骨芽細胞が検出された。
MSCは、骨芽細胞および軟骨芽細胞、ならびに脂肪細胞を生み出すことができるので、HLA-Gがこれら他の細胞種により発現されうるかを調べた。可溶性フォームHLA-G5および-G6をELISAにより、骨芽細胞培養物(BMP-4およびデキサメタゾンで誘導された細胞)の上清においてのみ検出した。軟骨芽細胞形成性、脂肪細胞形成性および血管形成性の培養物では、可溶性HLA-Gは、ほとんど検出されなかったか、または全く検出されなかった(図7)。
さらに、小塊技術による培養で生じた軟骨芽細胞はHLA-Gを発現していなかった(図8)。また、脂肪細胞ではHLA-Gは検出されなかった。
実施例2: 骨肉腫由来の骨芽細胞によるHLA-Gの発現の証明
1)材料および方法
細胞:
骨肉腫株:HOS-154732(McAllisterら、1971)、U2OS(Pontenら、1967)、MG-63(Billiauら、1977)、SaOS2(Foghら、1975)、CAL72(Rochetら、1999)およびSaOS2 RUNX2 DNN(Ghaliら、2010)。
検討した種々の生検材料は、トゥールのトルソー中央病院大学(Centre Hospitalier Universitaire:CHU)[大学付属病院教育センター]の病理解剖学科(フランス)から入手した。
間葉系幹細胞(MSC):
用いたMSCは、トゥールのCHUの整形・災害外科部門(フランス)にて処置され、股関節全置換移植のため入院している健常ドナーから入手した。患者のインフォームド・コンセントは書面で得た。処置の際に後部腸骨稜から骨髄を20 ml取得した。これらの細胞を、この研究で実施された全ての試験の対照として用いた。
細胞培養:
- 標準培養:種々の株の細胞を、5000個/cm2の密度で、培養フラスコ(Falcon(登録商標)、BD Biosciences社、VWR、ストラスブール、フランス)中で培養した。培養培地は、10% (v/v)ウシ胎仔血清(FCS)(Perbio Hyclone社、ローガン、USA)、1% (v/v) L-グルタミン、1%ペニシリンおよびストレプトマイシン(InVitrogen社)ならびに100μMファンギゾン(Bristol Myers Squibb社、リュエーユマルメゾン、フランス)を添加したアルファ-MEM最小必須培地からなる。培養培地は2〜3日ごとに交換した。
- MSCを、FGF2(AbCys社、パリ、フランス)を1ng/mlでさらに含む同じ培地を用いた同一方法で培養した。
- 分化培地:骨細胞分化のために、培地は、2% (v/v) FCSおよび50 ng/mlのBMP4(Peprotech社、ロンドン、UK)を添加したアルファMEMからなる。この培地の持続期間は8〜10日である。
フローサイトメトリ:
蛍光色素フィコエリスリン(PE)またはフルオロセイン・イソシアネート(FITC)が結合した抗体を用いて200000個の細胞を標識した。単離された生細胞を、これらの抗原を認識する抗体とともに45分間インキュベートして洗浄し、そしてCell Fix(商標)(Becton Dickinson社、エーレムボーデゲム、フランス)で固定して、細胞の表面に発現している抗原を明らかにした。細胞内抗原を明らかにするために、免疫標識の前に細胞透過処理の前工程が必要であった。非特異的免疫グロブリンを用いて陰性対照を得た。
そして、細胞を、488 nmの波長を射出するアルゴンレーザを有するサイトメータ(FACS Calibur(商標)、Becton Dickinson社)にかけた。結果をCellQuest 3.1(商標)ソフトウェアを用いて分析した。
alexa 488結合抗HLA-G1および-G5抗体87G、およびAPC結合MEM/G9、または4H84(Exbio社;プラハ、チェコ共和国)、および抗ALPL抗体(R&D Systems社)を用いた。
RT-PCRによる解析:
・Trizol(登録商標)抽出:
Trizol(登録商標)(InVitrogen社)を用いて細胞を溶解した後、200μlのクロロホルム(Sigma社)を添加して遠心分離し、タンパク質を含んでいる下層、デオキシリボ核酸(DNA)を含んでいる中間層、およびリボ核酸(RNA)を含んでいる上層の三層を得た。該上層を抽出し、次いで500μlのイソプロパノール(Sigma社)で沈殿させ、1mlの75%エタノール(Merck and Carbo Erba社)ですすぎ、完全に透明になるまで外気中に放置して乾燥させた。最終的に、RNAをジエチルピロカーボネート(DEPC−RNアーゼ阻害用)水50 mlに再溶解させた。
・RNA分析:
2μlのRNAを98μlのDEPC水に希釈し、これを、ブランク(水のみ)の用意をした後、Gene Quant II線量計(Amersham Pharmacia社、Sarclay、オルセー、フランス)の石英キュベットに入れた。この分析は、260 nmで照射するレーザを用いて光学密度を測定することにより行った。
・逆転写:
1μgのRNAをDEPC水で8μlとなるまで希釈した。ランダムヘキサマーおよびdNTP(Takara PrimeScript(商標)1stストランドcDNA合成キット(Takara Bio Inc.社))を添加した。サーモサイクラー(Applied Biosystems社、フォスターシティ、CA、USA)での変性(65℃で5分)の後、Prime Script(商標)逆転写酵素を添加した。この溶液を、次のプログラムにしたがってサーモサイクラーでインキュベートした:30℃で10分間の第1ステップ、42℃で60分間の第2ステップ、そして95℃で5分間の第3ステップ。得られた相補DNA(cDNA)を−20℃で保存した。
・ポリメラーゼ連鎖反応(PCR):
25 ngのcDNAを、dNTP、興味対象の配列を標的とするプライマー(下記の表II参照)およびTaqポリメラーゼ酵素(TaKaRa(商標)Ex Taqキット)と混合した。そして、全混合物を、35サイクルからなる次のプログラムにしたがってサーモサイクラーでインキュベートした。各サイクルは、98℃で1分、続いて55℃で30秒、続いて72℃で1分からなる。
・アガロースゲルでの移動:
PCR産物を、0.01%のエチジウムブロマイド(Sigma社)を含む1%アガロース(Sigma社)ゲルに載せた。次いで、紫外線ランプ(Vilbert Lourmat社、エバーハルツェル、ドイツ)を用いて、ゲルを視覚化した。そして、Chemicapt(商標)ソフトウェア(BioRad社、CA、USA)を用いて、バンドを解析した。
・定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR):
50 ngのcDNAを、蛍光分子(Syber Green、InVitrogen社)を含む溶液と混合した。次いで、この溶液を、あらかじめプライマーを入れたウェル(96ウェルプレート)に入れた。
プレートをサーモサイクラー(BioRad社)に置いた。次のプログラムを用いた:95℃で30秒、56℃で30秒、72℃で30秒を39サイクル。融解曲線をプロットして、増幅DNAの質を確認した。
以下の式を用いて、DNAの量を求めた。
-(遺伝子のC(t)-C(t)GAPDH) または2-Δc(t)
・ウェスタンブロット:
細胞をはがして円心分離し、そして0.1% (v/v) Triton X-100(Sigma社)からなる500μlの溶解バッファー中に回収した。円心分離後、上清を取り出して、そしてタンパク質抽出物をレムリ(Laemmli)バッファーで希釈して2分間煮沸した。
サンプルを、ブラッドフォード技術にしたがって、MRX II(Dynex technologies社、シャンティイ、USA)を用いて光学密度により分析した。
興味対象のタンパク質に応じた様々な濃度のポリアクリルアミドゲル(アルカリフォスファターゼおよびHLA-Gには10%)で、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS − Biorad社)バッファー中で電気泳動を行った。タンパク質をポリフッ化ビニリデン膜上にブロットし、そしてミルクタンパク質で飽和させ、興味対象の抗体とともに一晩インキュベートした。二次抗体を用いた後、化学発光(ECLキット、Amersham社)により視覚化を行った。
・トランスフェクション
RUNX2を標的とするsiRNA(Select RNAi(商標)、siRNA、カタログNo. 1299003)またはDLX5標的とするsiRNA(Stealth Select RNAi(商標)、siRNA、カタログNo. 1299003)の3種の異なるsiRNA(InVitrogen社)を細胞にトランスフェクションした。非特異的siRNAを対照として用いた(InVitrogen社)。20 nMのsiRNAをトランスフェクションに用い、これはAmaxa Nucleofactorキット(Lonza社、フランス)を供給元の説明書に従って用いて行った。24時間後、細胞を骨発生分化培地中で誘導して分化させた。2、4および6日後、細胞を回収し、それらについて、骨芽細胞に特徴的である遺伝子またはHLA-Gをコードする遺伝子の発現を分析した。
2)結果
ヒト起源の種々の骨芽細胞株CAL72、MG-63、HOSおよびU2OSにおけるアイソフォームHLA-G1(膜HLA-G)およびHLA-G5(細胞内HLA-G)の発現を、フローサイトメトリおよび免疫標識化(ウェスタンブロット法)により検討した。結果を図9に示した。全ての株においてアイソフォームHLA-G1およびHLA-G5が検出されたが、発現の程度には違いがあった。HLA-G5は常に強く発現していたが、一方で、HLA-G1についてはCAL72およびMG-63株においてのみであり、それを発現しているHOSおよびU2OSは非常に少なかったことが観察された。
以下の表IIIに、ヒト(成人)起源の(骨増殖区画の)正常骨組織および病態の骨組織における免疫組織化学法によるHLA-G(HLA-G1およびHLA-G5)発現の調査の結果を示した。この表から、正常または腫瘍骨芽細胞、および特定の肥大軟骨細胞がHLA-G1および-G5を発現していることがわかる。
骨発生誘導に関与するDLX5遺伝子およびRUNX2遺伝子の発現をRNA干渉により阻害して、骨芽細胞によるHLA-G発現の特異性を確認した。ヒト起源の骨髄間葉系幹細胞へのDLX5またはRUNX2を標的とするsiRNAのトランスフェクションの後、細胞を骨発生培地(BMP4添加)で培養した。6日間、骨芽細胞に特徴的な遺伝子(アルカリフォスファターゼまたはALPL、オステオネクチンまたはSPARC、コラーゲン1α1またはCOL1α1)およびHLA-Gの発現を検討した。DLX5およびRUNX2の発現の減少により、ALPL、SPARC、およびCOL1α1遺伝子の発現のみならずHLA-Gの発現も減少するがことが観察された(図10参照)。
これらの結果を確認するために、RUNX2の不活性型(RUNX2ドミナントネガティブまたはDNN)を発現しているSaOS2株であるΔ6A2株およびΔ4A5株を用いた。RUNX2 DNNを含まない形質転換株を対照株(C-)として用いた。Δ4A5ではDNN RUNX2が強く発現しているが、一方でΔ6A2ではその発現はより緩やかである。結果を図11に示す。
COL1α1の発現はRUNX2により誘導されるので、まずCOL1α1の発現を定量的PCR(qRT-PCR)およびウェスタンブロットにより検討した。そして、RNAレベルおよびタンパク質レベルでのCOL1α1発現の減少が、RUNX2 DNN株において検出された。これらの減少は、Δ6A2よりもΔ4A5株において非常に大きかった。
次いで、HLA-G(アイソフォームHLA-G1およびHLA-G5)の発現を、フローサイトメトリおよびウェスタンブロットにより検討した。HLA-Gの発現は、Δ4A5において実質的に失われ、Δ6A2では対照株C-よりもさらに弱い発現となることがわかった。

Claims (19)

  1. 以下の工程:
    a)骨折と診断された対象からの生物学的液体の検体における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度を測定する工程と、
    b)工程a)で測定したHLA-Gのアイソフォームの濃度を、健常対象の生物学的液体における該アイソフォームの基準濃度と比較する工程と
    を含むことを特徴とし、
    前記対象からの前記生物学的液体の検体において、前記基準濃度よりも高い、少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度が、前記対象の骨再形成を示す、
    骨折と診断された対象の骨再形成のインビトロでのモニタリング方法。
  2. 前記対象がヒトであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記生物学的液体の検体が血液検体であり、且つ、少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの血漿濃度または血清濃度を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの血漿濃度または血清濃度を、適切な免疫学的方法により測定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. HLA-G1およびHLA-G5の濃度、またはHLA-G5およびHLA-G6の濃度を測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記対象がヒトであり、且つ、前記対象からの血液検体を用いて適切な免疫学的方法により測定された、20 ng/mlよりも大きいHLA-G1およびHLA-G5アイソフォームの血漿濃度が、前記対象の骨再形成を示すことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記対象がヒトであり、且つ、前記対象からの血液検体を用いて適切な免疫学的方法により測定された、10 ng/mlよりも大きいHLA-G5およびHLA-G6アイソフォームの血漿濃度が、前記対象の骨再形成を示すことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. 前記対象がヒトであり、且つ、前記対象からの血液検体を用いて適切な免疫学的方法により測定された、25 ng/mlよりも大きいHLA-G1およびHLA-G5アイソフォームの血清濃度が、前記対象の骨再形成を示すことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  9. 時刻t0および時刻t1にて得た対象からの生物学的検体を用いて、前記生物学的検体における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度を測定するか、または発現を定量的に測定する工程を含むことを特徴とし、
    - 時刻t0およびt1の間における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度または発現レベルの増加が、前記対象における骨腫瘍の進行を示し、
    - 時刻t0およびt1の間における少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度または発現レベルの減少が、前記対象における骨腫瘍の寛解を示す、
    対象の骨腫瘍の変化のインビトロでのモニタリング方法。
  10. 前記対象がヒトであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの血漿濃度または血清濃度を、前記対象からの血液検体を用いて測定することを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
  12. 骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を、骨芽細胞を含む生物学的検体を用いて定量的に測定することを特徴とし、該生物学的検体が前記腫瘍の骨生検により得られたものである請求項9または10に記載の方法。
  13. 前記生物学的検体における前記少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの濃度または発現を、適切な免疫学的方法により測定することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を、少なくとも1種のHLA-GのアイソフォームをコードするmRNAを測定することによって定量的に測定することを特徴とする請求項12に記載の方法。
  15. 前記骨腫瘍が、骨肉腫、骨芽細胞腫、ユーイング肉腫および巨細胞腫から選択されることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. HLA-G1およびHLA-G5の濃度もしくは発現、またはHLA-G5およびHLA-G6の濃度もしくは発現を測定することを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 以下の工程:
    a)骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を定量的に測定する工程、
    b)前記骨芽細胞を被験剤と接触させる工程、および
    c)前記骨芽細胞による前記少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現を定量的に測定する工程
    を含むことを特徴とし、
    工程a)およびc)との間における前記骨芽細胞による少なくとも1種のHLA-Gのアイソフォームの発現レベルの差違が、前記剤が骨発生を調節することを示す、
    骨発生の調節剤のインビトロでのスクリーニング方法。
  18. HLA-G1およびHLA-G5の発現、またはHLA-G5およびHLA-G6の発現を測定することを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. 対象から単離され、前記対象における骨発生マーカーとして使用するためのHLA-GのアイソフォームまたはHLA-Gのアイソフォームをコードする核酸分子。
JP2012539468A 2009-11-23 2010-11-23 骨発生マーカーとしてのhla−gのアイソフォームの使用 Expired - Fee Related JP5695073B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR0905624A FR2953023B1 (fr) 2009-11-23 2009-11-23 Utilisation d'une isoforme d'hla-g comme marqueur de l'osteogenese
FR0905624 2009-11-23
PCT/IB2010/055380 WO2011061726A1 (fr) 2009-11-23 2010-11-23 Utilisation d'une isoforme d'hla-g comme marqueur de l'osteogenese

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013511708A true JP2013511708A (ja) 2013-04-04
JP5695073B2 JP5695073B2 (ja) 2015-04-01

Family

ID=42199768

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012539468A Expired - Fee Related JP5695073B2 (ja) 2009-11-23 2010-11-23 骨発生マーカーとしてのhla−gのアイソフォームの使用

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20130109020A1 (ja)
EP (1) EP2504707B1 (ja)
JP (1) JP5695073B2 (ja)
CN (1) CN102822677B (ja)
DK (1) DK2504707T3 (ja)
FR (1) FR2953023B1 (ja)
WO (1) WO2011061726A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013544250A (ja) * 2010-11-23 2013-12-12 エタブリスモン フランセ ドュ サン 骨吸収に付随する疾患の治療におけるhla−gアイソフォームの使用
JP2015507197A (ja) * 2012-02-03 2015-03-05 シャリテ−ウニヴェルズィテートメディツィーン ベルリン 骨折治癒の遅延を予測するマーカーとしてのcd8+t細胞サブセット

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109295202A (zh) * 2018-09-29 2019-02-01 中国航天员科研训练中心 预测失重骨丢失i型前胶原羧基端前肽picp下降风险的方法与dna甲基化标志物
CN114058570A (zh) * 2021-11-29 2022-02-18 广东普罗凯融生物医药科技有限公司 一种用于诱导牙髓干细胞向软骨细胞分化的培养基及其应用
CN114605543B (zh) * 2021-12-17 2023-11-07 台州恩泽医疗中心(集团) 一种抗hla-g异构体分子hla-g5及hla-g6的单克隆抗体及其用途

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11503320A (ja) * 1995-04-07 1999-03-26 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア Hla−g検出用抗体
JP2003517267A (ja) * 1998-02-25 2003-05-27 ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,コーク Hla連鎖子癇前症および流産感受性遺伝子
JP2005312435A (ja) * 2004-03-29 2005-11-10 Kazuhito Rokutan うつ病の評価方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2717498B1 (fr) 1994-03-18 1996-05-03 Commissariat Energie Atomique Transcrits du gène de CMH de classe I HLA-G et leurs applications.
EP1616026A1 (en) * 2003-04-14 2006-01-18 Novartis AG Gene expression associated with osteoblast differentiation
WO2007104724A2 (en) * 2006-03-10 2007-09-20 Universitá Degli Studi Di Siena Identification of osteoblast cells differentiation and bone tumor markers and uses thereof
CA2688121A1 (en) * 2007-03-12 2008-09-18 National University Of Ireland, Galway Markers, antibodies and recombinant scfvs for mesenchymal stem cell-sub-populations and osteoclasts

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11503320A (ja) * 1995-04-07 1999-03-26 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア Hla−g検出用抗体
JP2003517267A (ja) * 1998-02-25 2003-05-27 ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,コーク Hla連鎖子癇前症および流産感受性遺伝子
JP2005312435A (ja) * 2004-03-29 2005-11-10 Kazuhito Rokutan うつ病の評価方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013544250A (ja) * 2010-11-23 2013-12-12 エタブリスモン フランセ ドュ サン 骨吸収に付随する疾患の治療におけるhla−gアイソフォームの使用
JP2015507197A (ja) * 2012-02-03 2015-03-05 シャリテ−ウニヴェルズィテートメディツィーン ベルリン 骨折治癒の遅延を予測するマーカーとしてのcd8+t細胞サブセット
US11639935B2 (en) 2012-02-03 2023-05-02 Charité Universitatsmedizin Berlin CD8+T-cell subsets as markers for prediction of delayed fracture healing

Also Published As

Publication number Publication date
FR2953023B1 (fr) 2011-12-09
CN102822677B (zh) 2016-04-27
DK2504707T3 (en) 2018-09-03
CN102822677A (zh) 2012-12-12
JP5695073B2 (ja) 2015-04-01
EP2504707B1 (fr) 2018-06-13
FR2953023A1 (fr) 2011-05-27
US20130109020A1 (en) 2013-05-02
WO2011061726A1 (fr) 2011-05-26
EP2504707A1 (fr) 2012-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Karpus et al. Colonic CD90+ crypt fibroblasts secrete semaphorins to support epithelial growth
Couchourel et al. Altered mineralization of human osteoarthritic osteoblasts is attributable to abnormal type I collagen production
Paquet-Fifield et al. A role for pericytes as microenvironmental regulators of human skin tissue regeneration
Ge et al. Requirement of the NF-κB pathway for induction of Wnt-5A by interleukin-1β in condylar chondrocytes of the temporomandibular joint: functional crosstalk between the Wnt-5A and NF-κB signaling pathways
Nakayama et al. A novel chordin-like BMP inhibitor, CHL2, expressed preferentially in chondrocytes of developing cartilage and osteoarthritic joint cartilage
Miggitsch et al. Human bone marrow adipocytes display distinct immune regulatory properties
Yao et al. MIF plays a key role in regulating tissue-specific chondro-osteogenic differentiation fate of human cartilage endplate stem cells under hypoxia
Massicotte et al. Modulation of insulin-like growth factor 1 levels in human osteoarthritic subchondral bone osteoblasts
JP5695073B2 (ja) 骨発生マーカーとしてのhla−gのアイソフォームの使用
Jones et al. Potential of human fetal chorionic stem cells for the treatment of osteogenesis imperfecta
Rad et al. The role of dentin matrix protein 1 (DMP1) in regulation of osteogenic differentiation of rat dental follicle stem cells (DFSCs)
Dmitriev et al. Dux4 controls migration of mesenchymal stem cells through the Cxcr4-Sdf1 axis
Huang et al. The Rho-GEF Kalirin regulates bone mass and the function of osteoblasts and osteoclasts
Xiao et al. BMPER enhances bone formation by promoting the osteogenesis-angiogenesis coupling process in mesenchymal stem cells
Xu et al. Induction of osteogenesis by bone-targeted Notch activation
Platas et al. Anti-senescence and Anti-inflammatory Effects of the C-terminal Moiety of PTHrP Peptides in OA Osteoblasts
Qin et al. A human chondrocyte-derived in vitro model of alcohol-induced and steroid-induced femoral head necrosis
Jin et al. HSPB7 regulates osteogenic differentiation of human adipose derived stem cells via ERK signaling pathway
US20130078718A1 (en) Conversion of vascular endothelial cells into multipotent stem-like cells
Shiga et al. Characteristic phenotype of immortalized periodontal cells isolated from a Marfan syndrome type I patient
Singh et al. Latent transforming growth factor β binding protein 3 controls adipogenesis
Gousopoulou et al. Evaluation of stemness properties of cells derived from granulation tissue of peri‐implantitis lesions
Chen et al. Bone marrow mesenchymal stem cell-derived extracellular vesicles containing miR-497-5p inhibit RSPO2 and accelerate OPLL
Xie et al. Thrombospondin-1 inhibits ossification of tissue engineered cartilage constructed by ADSCs
Class et al. Patent application title: USE OF AN ISOFORM OF HLA-G AS AN OSTEOGENESIS MARKER Inventors: Frédéric Deschaseaux (Tours, FR) Luc Sensebe (Joue Les Tours, FR) Nathalie Rouas-Freiss (Paris, FR) Abderrahim Naji (Carlsbad, CA, US) Edgardo Delfino (Paris, FR)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130927

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140225

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140519

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140526

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140620

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140819

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5695073

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees