JP2013511127A - リン−硫黄化合物を含有する電池電解質溶液 - Google Patents

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Abstract

電池電解質溶液は、0.001から20重量%の特定のリン−硫黄化合物を含有する。該リン−硫黄化合物は、固体電解質界面相(SEI)形成物質として有効に機能する。該リン−硫黄化合物は、電池の電気的特性にほとんど悪影響を与えず、場合によっては、電池性能を実際に改善する。該電解質溶液を収容する電池は、初期形成サイクルの間に高レートで充電される場合でさえも強固で安定なSEIを形成する。

Description

本発明は、添加剤としてリン−硫黄化合物を含有する非水電解質溶液に関する。
リチウム電池は、乗り物および多くの種類の電子機器のための一次および二次電池として広く使用されている。これらの電池は、高いエネルギーおよび出力密度を有する傾向があり、このため、多くの用途で好まれている。リチウム電池で用いられる電解質は、一般に有機溶媒または有機溶媒の混合物中リチウム塩の高誘電率溶液である。
リチウム電池が充電されるとき、特定の成分が分解し、リチウム種と反応して、アノードの表面に被膜を形成し得る。この被膜は、固体電解質界面相(solid electrolyte interphase)、すなわち、SEIとして知られている。
電池性能には、適切に形成されたSEIが非常に重要である。SEIを形成する分解反応は、アノードからの電子の供給を必要とする。SEIが形成された後で、電子の供給が継続して利用できると、分解反応は電解質溶液中に広がり、電池性能を損なうことがある。したがって、残りの電解質を保護するために、SEIは良好な電子絶縁体でなければならない。同時に、電池の動作は、アノードとカソードの間のLiイオンの往復輸送に依存するので、SEIは、リチウムイオンの良好な伝導体でなければならない。SEIは、Liイオンのこの動きを妨げてはならず、したがって、Liイオンが電解質からアノードの表面に動くとき、LiイオンがSEIを通って容易に移動することを可能にしなければならない。SEIが電池性能において果たす重要な役割のために、初期充電過程は通常、安定で強固なSEIの形成を促進するように行われる。
さらに、電解質溶液中には、SEI形成を促進する添加剤を含めることが一般的である。これらの種類のいくつかの添加剤が、「A review on electrolyte additives for lithium-ion batteries」、J. Power Sources 162(2006年)1379〜1394頁においてZhangにより記載されている。これらの添加剤の多くは、重合することができるビニル基を含有する。他の種類には、SO、多硫化物、環状亜硫酸アルキル(亜硫酸エチレンおよび亜硫酸プロピレンなど)、および亜硫酸アリールなどの硫黄含有還元剤が含まれる。ラジカルアニオン捕捉剤が有用である。これらには、二酸化炭素、ピロ炭酸ジアルキル、カルボキシルフェノール、芳香族エステルおよび無水物、スクシンイミド、N−ベンジルオキシカルボニルオキシスクシンイミド、ならびに種々のホウ素化合物などの物質が含まれる。SEI促進剤の別の種類は、アノードの炭素表面に強い親和性を有する。これらの例には、ハロゲン化有機化合物、ポリジメチルシロキサンおよびシランが含まれる。さらに、アルカリ金属塩が、SEI形成を改善する目的で添加されている。これらのSEI添加剤の多くは、重大な欠点を有する。一部のものは、充電または放電中に気体を発生させ得る気体または揮発性物質である。他のものは、電池性能に支障を来す。さらに他のものは、高濃度でのみ有効である。それらの多くは、良好なSEIを形成するために、形成サイクルの間に電池が若干ゆっくりと充電されることを必要とする。
安定で強固なSEIを形成し、良好な電池性能をもたらし、初期の電池充電サイクルが速いレートで行われることを可能にする電池電解質溶液を提供することが望ましい。
リチウム電池に対する別の懸念は、有機電解質溶液が、特定の状況下で、発熱暴走反応に関与しまたはさらには燃焼し始め得ることである。リチウム電池は、過充電、過放電、短絡状態、および機械的または熱的酷使のために、出火することが知られている。燃焼は問題外として、かなりの電池寿命短縮を含む他の問題が起こり得る。このため、電解質を安定化するのに役立つように、リチウム電池の電解質溶液中に添加剤が組み入れられている。いくつかのリン化合物が、電池電解質溶液用の難燃剤または「熱的暴走抑制剤」として提案されている。これらには、種々の酸化ホスフィン(O:PR)、亜ホスフィン酸エステル(P(OR)R)、亜ホスホン酸エステル(P(OR)R)、亜リン酸エステル(P(OR))、ホスフィン酸エステル(O:P(OR)R)、ホスホン酸エステル(O:P(OR)R)、リン酸エステル(O:P(OR))およびホスファゼン(−N=PR−)の化合物が含まれる。
本発明は、一態様において、少なくとも1種のリチウム塩および該リチウム塩が可溶性である非水溶媒を含む電池電解質溶液であって、該電池電解質溶液の重量の0.001から20%が、構造I:
(式中、Xは、酸素または硫黄であり、Tは、共有結合、酸素または硫黄であり、但し、XおよびTの少なくとも一方は硫黄であることを条件とし、各X’は、独立に、酸素または硫黄であり、各mは、独立に、X’が酸素である場合には0または1であり、X’が硫黄である場合には0、1または2であり、nは、少なくとも1、好ましくは少なくとも2であり、各Rは、独立に、非置換のもしくは不活性に置換されたヒドロカルビル基であるか、または前記R基は、一緒になって、非置換のもしくは不活性に置換された二価有機基を形成し、Aは、有機連結基である)
で表される少なくとも1種のリン−硫黄添加剤である電池電解質溶液である。
構造(I)によるリン−硫黄化合物は、リチウム電池用の非常に有効なSEI促進剤であることがわかった。これらのリン−硫黄化合物は、電池電解質溶液中で低濃度でも有効である。これらのリン−硫黄化合物の存在により、電池が、その形成サイクルの間に10C程度の大きさのCレートでサイクルすることが可能になる。さらに、リン−硫黄添加剤は、電池性能にあまりまたはまったく悪影響を与えず、電池の電池容量利用率(capacity utilization)、放電レート容量(discharge rate capacity)および/またはサイクル安定性を増加させることさえできることが分かっている。
本発明はまた、アノード、カソード、該アノードとカソードの間に配置されたセパレータ、ならびに該アノードおよびカソードと接触している非水電池電解質溶液を備える電池であって、該電池電解質溶液が、少なくとも1種のリチウム塩、該リチウム塩が可溶性である非水溶媒を含み、該電池電解質溶液の重量の約0.001から20重量%が、構造Iによる少なくとも1種のリン−硫黄化合物である電池である。
本発明による電池(実施例1)および3つの比較電池の4C放電曲線のグラフである。 本発明による電池(実施例2)および3つの比較電池の4C放電曲線のグラフである。 本発明による電池(実施例3)および3つの比較電池の4C放電曲線のグラフである。 本発明による電池(実施例4)および3つの比較電池の4C放電曲線のグラフである。 本発明の電池(実施例5)および2つの比較電池の100回の充電/放電サイクルにわたる容量保持率を示すグラフである。
リン−硫黄添加剤は、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の硫黄または酸素原子(但し、これらの原子の少なくとも1個は硫黄原子であることを条件にする)に結合したリン原子を含有する少なくとも1つのリン−硫黄基を有することを特徴とする。該基は、以下の型(構造II):
の部分のように、1個の硫黄原子を含有し得る。
リン−硫黄基は、以下の型(構造III):
の部分のように、リン原子に結合した2個の硫黄原子を含有し得る。
リン−硫黄基は、構造IV:
に示されるように、リン原子に結合した3または4個の硫黄原子を含有し得る。
さらに、リン−硫黄基は、構造V:
に示されるような、リン原子が炭素原子(前記A基および/またはR基の)に直接結合している部分を含む。
したがって、適切なリン−硫黄添加剤の特定の有用な種類は、構造VI、VIIおよびVIII:
(式中、R、X、T、A、およびnは、前に記載されたとおりであり、XおよびTの少なくとも一方は硫黄である)
で表すことができる。構造I、VI、VIIおよびVIIIにおいて、Tは、好ましくは酸素または硫黄、最も好ましくは硫黄である。Xは、好ましくは硫黄であり、nは、好ましくは少なくとも2である。
構造I、VI、VII、またはVIIIにおいて、R基は、例えば、非置換のまたは不活性に置換された脂肪族、脂環式または芳香族基であり得る。
この適用において、「不活性な」置換基は、添加剤のSEI−形成特性を実質的に妨げないものである。不活性置換基だけを含有する化合物は、「不活性に置換されている」と言われる。不活性置換基は、例えば、酸素含有基、例えば、エーテル、エステル、カルボニルまたはオキシラン基などであり得る。不活性置換基は、窒素含有基、例えば、第一級、第二級もしくは第三級アミン基、イミン基、アミド基またはニトロ基であり得る。不活性置換基は、他のヘテロ原子、例えば、硫黄、リンなどを含有し得る。
本発明の目的のために、ヒドロカルビル基は、水素および炭素原子だけを含有する基である。ヒドロカルビル基は、脂肪族、脂環式、芳香族またはそれらの種類の2種以上の何らかの組合せであり得る。
構造I、II、またはIIIにおけるR基は、好ましくは非置換のまたは不活性に置換された低級アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどである。他の好ましい実施形態において、2個のR基は一緒になって、例えば、以下の構造IXに示されるように、それぞれ、−(X’)−P−(X’)−、−O−P−O−、−S−P−Oまたは−S−P−S連結部と共に環構造を完成する二価有機基を形成する。
特に好ましいリン−硫黄添加剤は、構造IX:
(式中、X、n、およびAは、前に記載されたとおりであり(Xは、好ましくは硫黄である)、各Rは、独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、Rは、共有結合または二価連結基である)
で表される化合物である。構造IXにおいて、R基は、好ましくは水素または低級アルキル、より好ましくは水素である。Rは、好ましくは直鎖もしくは分岐のヒドロカルビル基、−O−、または共有結合である。より好ましいR基は、RC基に直接結合している炭素原子(単数)または炭素原子(複数)上でgem−二置換されているヒドロカルビル基である。R基が(ジメチル)メチレンである場合のように、R基は、最も好ましくはジアルキル−置換メチレンである。
リン−硫黄添加剤の特に好ましい種類は、構造X:
(式中、X、nおよびAは、前の場合と同じである)
で表される。Xは、好ましくは硫黄である。
構造I、VI、VII、VIII、IXおよびXにおけるA基は、有機連結基である。有機連結基は、多種多様の可能な構造を有し得る。有機連結基は、−T−連結部(構造I、VI、VII、およびVIIIにおける)または−S−原子(構造IXおよびXにおける)に共有結合している。−T−または−S−連結部は、有機連結基A上の炭素原子またはヘテロ原子に結合していてもよいが、好ましくは炭素原子に結合している。その炭素原子は、好ましくは第一級または第二級炭素原子(すなわち、2個以下の他の炭素原子に結合している)であるが、第三級炭素原子(すなわち、3個の他の炭素原子に結合したもの)はあまり好ましくない。
有機連結基Aの種類の一つは、非置換のまたは不活性に置換されたヒドロカルビル基である。有機連結基Aは、任意の数の炭素原子を含有してもよいが、リン原子1個当たりの分子量は、約1000ダルトンを超えず、より好ましくは約750ダルトンを超えず、特には500ダルトン未満であることが好ましい。リン−硫黄添加剤は、重量で5から50%以上の硫黄を含有し得る。有機連結基Aは、脂肪族(直鎖または分岐の)、脂環式、芳香族、またはこれらの何らかの組合せであり得る。有機連結基Aの原子価は、nに等しい。
構造I、VI、VII、VIII、IX、およびXについての連結基Aの好ましい種類の一つは、ベンジル位炭素原子を介して−T−または−S−連結部(場合によって)に結合している。この種類のA基を含有するリン−硫黄添加剤の具体的な例は、以下の構造XI〜XX:
に示される。
リン−硫黄基が、A基の芳香族環に直接結合していることも可能である。
さらなる適切なリン−硫黄化合物は、WO08/88487に記載されており、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
リン−硫黄化合物は、電池電解質溶液の全重量の約0.001から最大20%を構成し得る。リン−硫黄化合物は、好ましくは電池電解質溶液の全重量の5%以下、より好ましくは2%以下を構成する。特に好ましい量は、電池電解質溶液の全重量の最大0.5%である。好ましいより低い量は、全電解質溶液重量の少なくとも0.01%であり、より好ましい量は、少なくとも0.1%である。
電池電解質溶液の他の主な成分は、リチウム塩、およびリチウム塩用の非水溶媒である。
リチウム塩は、無機リチウム塩、例えば、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiBF、LiClO、LiBrO、およびLiIO、ならびに有機リチウム塩、例えば、LiB(C、LiSOCH、LiN(SOおよびLiSOCFを含めて、電池用途に適切な任意のものであってよい。LiPF、LiB(C、LiBF、LiBF、LiAsF、およびLiN(SOCFは、好ましい種類であり、LiPFは、特に好ましいリチウム塩である。
リチウム塩は、適切には、電解質溶液1リットル当たり少なくとも0.5モル、好ましくは1リットル当たり少なくとも0.75モル、1リットル当たり最大3モル、より好ましくは1リットル当たり最大1.5モルの濃度で存在する。
非水溶媒は、例えば、1種または複数の直鎖アルキル炭酸エステル、環状炭酸エステル、環状エステル、直鎖エステル、環状エーテル、アルキルエーテル、ニトリル、スルホン、スルホラン、シロキサン、およびスルトンが含み得る。上記の種類の任意の2種以上の混合物を用いることができる。環状エステル、直鎖アルキル炭酸エステルおよび環状炭酸エステルが、非水溶媒の好ましい種類である。
適切な直鎖アルキル炭酸エステルには、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルエチルなどが含まれる。適切である環状炭酸エステルには、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレンなどが含まれる。適切な環状エステルには、例えば、γ−ブチロラクトンおよびγ−バレロラクトンが含まれる。環状エーテルには、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどが含まれる。アルキルエーテルには、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンなどが含まれる。ニトリルには、モノニトリル(アセトニトリルおよびプロピオニトリルなど)、ジニトリル(グルタロニトリルなど)、およびそれらの誘導体が含まれる。スルホンには、対称スルホン(ジメチルスルホン、ジエチルスルホンなど)、不斉スルホン(エチルメチルスルホン、プロピルメチルスルホンなど)、およびこのようなスルホンの誘導体、特にそれらのフッ素化誘導体が含まれる。スルホランには、テトラメチレンスルホランなどが含まれる。
一部の好ましい溶媒混合物には、15:85から40:60の重量比の環状炭酸エステルと直鎖アルキル炭酸エステルの混合物;20:80から60:40の重量比の環状炭酸エステル/環状エステル混合物;20〜48:50〜78:2〜20の重量比の環状炭酸エステル/環状エステル/直鎖アルキル炭酸エステル混合物;70:30から98:2の重量比の環状エステル/直鎖アルキル炭酸エステル混合物が含まれる。
特に重要な溶媒混合物は、15:85から40:60の重量比の炭酸エチレンと炭酸プロピレンの混合物;15:85から40:60の重量比の炭酸エチレンと炭酸ジメチルの混合物;20〜48:50〜78:2〜20の重量比の炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよび炭酸ジメチルの混合物;15:85から40:60の重量比の炭酸エチレンと炭酸エチルメチルの混合物;ならびに15:85から40:60の重量比の炭酸プロピレンと炭酸ジメチルの混合物である。
既に述べた成分に加えて種々の他の添加剤が電池電解質溶液中に存在し得る。これらの添加剤は、例えば、黒鉛電極の表面における固体電解質界面相の形成を促進させる添加剤;種々のカソード保護剤;リチウム塩安定剤;リチウム析出改善剤;イオン溶媒和促進剤(ionic solvation enhancer);腐食防止剤;湿潤剤および粘度低下剤を含み得る。これらの種類の多くの添加剤は、「A review on electrolyte additives for lithium-ion batteries」、J. Power Sources 162(2006年)1379〜1394頁においてZhangにより記載されている。
適切なカソード保護剤には、N,N−ジエチルアミノトリメチルシランおよびLiB(Cなどの物質が含まれる。リチウム塩安定剤には、LiF、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスファイト、1−メチル−2−ピロリジノン、フッ素化カルバメート(fluorinated carbamate)およびヘキサメチルホスホラミドが含まれる。リチウム析出改善剤の例には、二酸化硫黄、多硫化物、二酸化炭素、界面活性剤(塩化テトラアルキルアンモニウムなど)、ペルフルオロオクタンスルホン酸のリチウムおよびテトラエチルアンモニウム塩、種々のペルフルオロポリエーテルなどが含まれる。種々のボレート(borate)、ホウ素およびボロール化合物と同様に、クラウンエーテルが、適切なイオン溶媒和促進剤であり得る。LiB(CおよびLiFは、アルミニウム腐食防止剤の例である。シクロヘキサン、リン酸トリアルキルおよび特定のカルボン酸エステルは、湿潤剤および粘度低下剤として有用である。一部の物質(LiB(Cなど)は、電池電解質溶液中で複数の機能を果たし得る。
熱安定性および/または難燃性を与える物質も、電池電解質溶液中に存在し得る。これらの例には、酸化ホスフィン(O:PR)、亜ホスフィン酸エステル(P(OR)R)、亜ホスホン酸エステル(P(OR)R)、亜リン酸エステル(P(OR))、ホスフィン酸エステル(O:P(OR)R)、ホスホン酸エステル(O:P(OR)R)、リン酸エステル(O:P(OR))およびホスファゼン(−N=PR−)の化合物が含まれる。適切な難燃剤の一つは、構造XXI:
(式中、Aは、1つまたは複数の芳香族環を含有する基であり;各Rは、独立に、アルキレン二価基(これは、1、2または3個の炭素原子を含有してもよく、かつA基の芳香族環の炭素原子に直接結合している)であり、各Rは、独立に、水素、ハロゲン、OH、最大12個の炭素原子を有するヒドロカルビル基もしくは最大12個の炭素原子を有するアルコキシル基であるか、またはリン原子に結合した2個のR基は、一緒になって、該リン原子を含む環構造を形成してもよく;xは、少なくとも2である)
で表される芳香族リン化合物である。
種々の他の添加剤が合わさって、電池電解質溶液の全重量の最大20%、好ましくは最大10%を構成し得る。
電池電解質溶液は、リチウム塩、リン−硫黄化合物、および使用できる任意の他の添加剤を、非水溶媒に溶解または分散させることによって都合よく調製される。混合の順序は一般に重要でない。得られる電池電解質溶液の含水量は、可能な限り低くなければならない。50ppm以下の含水量が望ましく、より好ましい含水量は30ppm以下である。電解質溶液を形成する前に種々の成分を個別に乾燥させることができ、および/または調製された電解質溶液を乾燥させて残存水を除去することができる。選択される乾燥方法は、電解質溶液の種々の成分を劣化または分解させてはならず、またはそれらの間の望ましくない反応を促進させてもならない。モレキュラーシーブなどの乾燥剤と同様に、熱的方法および/または真空処理を用いることができる。
本発明の電池電解質溶液を収容する電池は、任意の有用な構造のものであり得る。典型的な電池構造は、アノードおよびカソードを、イオンが該アノードと該カソードの間の電解質溶液を通って移動できるように該アノードとカソードの間に置かれたセパレータおよび電解質溶液とともに含む。アセンブリは一般にケース中に納める。電池の形状は、限定されない。例えば、電池は、らせん状に巻かれたシート電極およびセパレータを収容する円筒型であってもよく、電池は、ペレット電極およびセパレータの組合せを含むインサイドアウト構造(inside-out structure)を有する円筒型であってもよく、電池は、重ね合わされた電極およびセパレータを収容するプレート型であってもよい。
適切なアノード材料には、例えば、天然または人造黒鉛、炭化ピッチ、炭素繊維、黒鉛化メソフェーズ小球体、ファーネスブラック、アセチレンブラック、および種々の他の黒鉛化材料などの炭素質材料が含まれる。炭素質材料は、ポリ(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、イソプレンゴム、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリエチレンまたはニトロセルロースなどの結合剤を用いて一緒に結合させてもよい。適切な炭素質アノードおよびそれを構築する方法は、例えば、米国特許第7,169,511号に記載されている。
他の適切なアノード材料には、リチウム金属、リチウム合金および他のリチウム化合物(チタン酸リチウムアノードなど)が含まれる。
適切なカソード材料には、遷移金属酸化物、遷移金属/リチウム複合酸化物、リチウム/遷移金属複合リン酸塩、遷移金属硫化物、金属酸化物、および遷移金属ケイ酸塩などの無機化合物が含まれる。遷移金属酸化物の例には、MnO、V、V13およびTiOが含まれる。遷移金属/リチウム複合酸化物には、リチウム/コバルト複合酸化物(その基本組成は、ほぼLiCoOである)、リチウム/ニッケル複合酸化物(その基本組成は、ほぼLiNiOである)、およびリチウム/マンガン複合酸化物(その基本組成は、ほぼLiMnまたはLiMnOである)が含まれる。これらの場合のそれぞれにおいて、コバルト、ニッケルまたはマンガンの一部を、1種または2種の金属、例えば、Al、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、またはZrで置き換えることができる。リチウム/遷移金属複合リン酸塩には、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸コバルトリチウム、リン酸マンガン鉄リチウムなどが含まれる。有用な金属酸化物の例には、SnOおよびSiOが含まれる。有用な金属ケイ酸塩の例には、オルトケイ酸鉄リチウムが含まれる。
電極は、それぞれ一般に、集電板と電気的に接触しているかまたはその上に形成される。アノード用の適切な集電板は、金属または金属合金、例えば、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼などである。カソード用の適切な集電板には、アルミニウム、チタン、タンタル、これらの2種以上の合金などが含まれる。
セパレータは、アノードとカソードの間に置かれて、アノードおよびカソードが互いに接触するおよび短絡することを防止する。セパレータは、都合よくは非導電性材料である。それは、動作条件下で電解質溶液もしくは電解質溶液の成分のいずれかと反応性であってはならず、またはそれらに可溶性であってはならない。ポリマーセパレータが、一般に適切である。セパレータを形成する適切なポリマーの例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルスルホンなどが含まれる。
電解質溶液は、セパレータを透過することができなければならない。このため、セパレータは一般に多孔質であり、多孔質シート、不織布または織布などの形態である。セパレータの多孔率は一般に、20%以上、最大90%程度である。好ましい多孔率は、30から75%である。細孔は一般に、最長断面寸法が0.5ミクロン以下、好ましくは最大0.05ミクロンである。セパレータは、典型的には少なくとも1ミクロン厚であり、最大50ミクロン厚であってもよい。好ましい厚さは5から30ミクロンである。
電池は、好ましくは二次(再充電可能な)リチウム電池である。このような電池において、放電反応は、アノードから電解質溶液へのリチウムイオンの溶解または脱リチウム化、およびカソード中へのリチウムイオンの同時取込みを伴う。反対に、充電反応は、電解質溶液からアノード中へのリチウムイオンの取込みを伴う。充電時に、リチウムイオンは、アノード側で還元され、同時に、カソード材料中のリチウムイオンは、電解質溶液中に溶解する。
リン−硫黄化合物は、電池電解質溶液中に非常に低濃度で存在する場合でさえ、有効なSEI促進剤である。本発明の重要な利点は、高い充電レートが用いられる場合でさえも、初期電池サイクルの間に、強固で安定なSEIがしばしば形成されることである。リチウム電池の初期形成サイクルは、通常は低レート、例えば、1C未満で行われる(「C」は、1時間で電池の設計容量を充電または放電する電流レートを表す)。従来の電池の場合、このレートはC/10以下であることが多い。しかし、本発明のリン−硫黄化合物が電解質溶液中に存在する場合には、SEIが形成されつつある形成サイクルの間に相当に速い充電/放電レートを使用できること、および比較的高い充電/放電レートを使用する場合であっても、安定で強固なSEIが形成されることがわかった。したがって、例えば、初期形成サイクルは、1C以上のレートで行うことができ、しばしば2から5Cまたはさらにそれを超えるレートで行うことができる。これは、初期SEI形成を行うために必要な時間をかなり短縮する。さらに、強固で安定なSEI形成は、多くの場合、リン−硫黄化合物が存在しない場合と比べて、電池の電池容量利用率、放電レート容量および/またはサイクル安定性の増加をもたらす。
本発明の電池は、電気自動車、ハリブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、航空宇宙、電動自転車などの産業用途に使用され得る。本発明の電池は、多数の電気および電子装置、例えば、とりわけ、コンピュータ、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、PDA、MP3および他の音楽プレイヤ、テレビ、玩具、テレビゲームプレイヤ、家庭電化製品、動力工具、医療機器(ペースメーカーおよび除細動器など)を作動させるためにも有用である。
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、その範囲を限定することは意図しない。特に断りのない限り、部およびパーセントのすべては重量による。
以下のリン−硫黄化合物を、以下の実施例において添加剤として評価する。
実施例1〜4および比較試料A〜C
炭酸エチレンおよび炭酸ジエチルの容量比50/50の混合物中LiPFの1.0M溶液からなる対照電池電解質溶液を、LiCoOカソード、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)黒鉛アノードおよびポリオレフィンセパレータを有する2025ボタンセル(button cell)中に導入する。このセルを最初に4Cレートで充電して、SEIを形成し、次いで、電圧が2.5Vに降下するまで、同じレートで放電する。このボタンセルを比較電池Aと呼ぶ。形成サイクルが終了した後、形成サイクル後に周囲温度で5回の4Cサイクルを用いて、比較電池Aの4C放電曲線を作成する。その試験からの代表的な放電曲線を、図1〜図4のそれぞれに曲線「A」として示す。電池サイクルは、Maccor 4000電池テスターを用いて行う。
比較電池Bは、C/10レートで電池を充電および次いで放電することによって形成サイクルを行う以外、比較電池Aと同様に作製し、試験する。その試験からの代表的な放電曲線を、図1〜図4のそれぞれに曲線「B」として示す。
比較電池Cは、電池電解質溶液が3重量%の炭酸ビニリデン(既知のSEI促進剤)を含有する以外、比較電池Aと同様に作製し、試験する。その試験からの代表的な放電曲線を、図1〜図4のそれぞれに曲線「C」として示す。
電池実施例1は、電解質溶液が3重量パーセントの化合物1を含有する以外、比較電池Aと同様に作製し、試験する。その試験からの代表的な放電曲線を、図1に曲線1として示す。
電池実施例2は、電解質溶液が3重量パーセントの化合物2を含有する以外、比較電池Aと同様に作製し、試験する。その試験からの代表的な放電曲線を図2に曲線2として示す。
電池実施例3は、電解質溶液が3重量パーセントの化合物3を含有する以外、比較電池Aと同様に作製し、試験する。その試験からの代表的な放電曲線を図3に曲線3として示す。
電池実施例4は、電解質溶液が1.5重量パーセントの化合物1を含有し、かつ初期形成の充電/放電サイクルをC/10のレートで行う以外、比較電池Aと同様に作製し、試験する。形成サイクル後、電池を4C充電/放電レートで5サイクルについて試験した。その試験からの代表的な放電曲線を図4に曲線4として示す。
図1〜図4における放電曲線は、電極材料(この場合は、LiCoOカソード)の全量により標準化された、供給された充電容量、すなわち、いわゆる「比容量」に対する、電池が消費される場合に電池により生じた電圧の変化を示す。所望の性能は、セルが比電圧枠内(この場合は2.5から4.2ボルトである)で消費される場合に、電池が可能な限り大きな比容量を供給することである。図1〜図4において、曲線Aは、SEI形成性添加剤を含まずに対照電解質溶液を収容する比較電池Aにより生じた電圧が、約50〜55mAh/gの比容量が供給された後に、2.5ボルトに降下することを示す。
比較電池Bは、より良好に動作する。曲線Bは、約80mAh/gの比容量が供給された後に、比較電池Bにより生じた電圧が2.5ボルトに降下することを示す。これは、比較電池Aと比較してより遅い初期充電レートに起因し、したがって、初期充電レートに対する電池性能の感度を示す。比較電池Aと比較して、ここでのより良好な性能は、より低い初期充電レートにおけるより強固なSEI形成に起因する。
比較電池Cは、比較電池Aと同様に動作し、これは、SEI促進剤(炭酸ビニリデン)の存在がより良好な性能を提供でき、若干高い初期充電レートの使用を可能にし得ることを実証している。
電池実施例1は、この放電試験で、比較電池A、BおよびCのいずれよりもはるかに良好に動作する。4C放電レートにおいて、より多いその100mAh/gの比容量が、電圧枠内で電池により供給される。この優れた性能は、非常に強固で安定なSEIの形成に起因する。
電池実施例2は、電池実施例1と同様に動作する。電池実施例3は、放電試験での動作が、電池実施例1および2よりごくわずかに劣るが、比較電池A、BまたはCよりはかなり良好である。電池実施例3は、電圧枠内で約90mAh/gの比容量を供給する。より少ないSEI促進剤を含有し、異なった方法で充電されている電池実施例4は、すべての中で最良に動作し、電圧枠内で約110mAh/gの比容量を供給する。
実施例5ならびに比較電池DおよびE
電池実施例5ならびに比較電池DおよびEは、前の実施例に記載されたのと同じ一般的方法で作製する。二重反復試料を各電池から作製する。比較電池Dは、比較電池Aと同じ電解質を含有する対照である。比較電池Eの電解質は、構造
を有する5重量%の芳香族リン化合物をさらに含有する。
この芳香族リン化合物は、難燃性添加剤として機能すると考えられる。
電池実施例5は、5重量%の同じ芳香族リン添加剤と0.2重量%の化合物4とを含有する。
電池のすべては、初期にC/10充電レートで充電し、次いで、電圧が2.5Vに降下するまでそのレートで放電させる。
電池5ならびに比較電池DおよびEのそれぞれの1つの試料を、アルゴングローブボックス中で分解する(初期充電後に)。アノードを取り出し、X線光子分光法による表面分析のために密封ビンに納める。分析は、225ワット(14kV、15mA)のX線源出力で単色Al Kα X線源(1486.6eV)を備えた、Kratos Axis 165X線光子分光計を用いて行う。サーベイスペクトルは80eVのパスエネルギー(pass energy)での磁気レンズモードで記録し、高分解能スペクトルは40eVのパスエネルギーで得る。スペクトルはすべて、試料表面に対して90°の取り出し角(take-off angle)で得る。試料は、分光計の基底面と独立して浮かせる。データ分析は、CASA XPSバージョン2.3.13ソフトウェアを用いて行う。
3つの電池からのアノードの表面組成を、表1に示す。
表1の結果は、リン−硫黄化合物の存在が、アノードの表面組成に有意な差をもたらすことを示す。特に、炭素、酸素およびリンの比率はすべて、かなり増加するのに対して、フッ素の量は、ほぼ半分減少する。比較電池DおよびEからのアノードで検出されたケイ素は、混入に起因する。このデータは、非常に少量のリン−硫黄化合物が、SEI形成に非常に著しい効果を有することを示す。
電池実施例5ならびに比較電池DおよびEのそれぞれの他の試料は、100サイクルが終了するまで、1C放電/充電レートで充電/放電サイクルにかける。電池の理論容量負荷について放電容量保持率を図5にグラフで示す。
図5からわかるように、対照電池(比較電池D)は、100サイクルを通してのサイクル後にその初期容量の約78%を保持する。芳香族リン化合物の添加は、悪影響を及ぼし;比較電池Eは、その容量の60%しか保持しない。しかし、わずか0.2%のリン−硫黄化合物を含有する電池5は、それが、この試験で性能を害する芳香族リン化合物も含有していても、100サイクル後にその容量の約92%を保持する。

Claims (12)

  1. 少なくとも1種のリチウム塩および前記リチウム塩が可溶性である非水溶媒を含む電池電解質溶液であって、前記電池電解質溶液の重量の0.001から20%が、構造I:
    (式中、Xは、酸素または硫黄であり、Tは、共有結合、酸素または硫黄であり、但し、XおよびTの少なくとも一方は硫黄であることを条件とし、各X’は、独立に、酸素または硫黄であり、各mは、独立に、X’が酸素である場合には0または1であり、X’が硫黄である場合には0、1または2であり、nは、少なくとも1であり、各Rは、独立に、非置換のもしくは不活性に置換されたヒドロカルビル基であるか、または前記R基は、一緒になって、非置換のもしくは不活性に置換された二価有機基を形成し、Aは、有機連結基である)
    で表される少なくとも1種のリン−硫黄添加剤である電池電解質溶液。
  2. 前記リン−硫黄添加剤が、構造VI、VIIおよびVIII:
    (式中、各Rは、独立に、非置換のもしくは不活性に置換されたヒドロカルビル基であるか、または前記R基は、一緒になって、非置換のもしくは不活性に置換された二価有機基を形成し、Xは、酸素または硫黄であり、Tは、共有結合、酸素または硫黄であり、但し、XおよびTの少なくとも一方は硫黄であることを条件とし、Aは有機連結基であり、nは少なくとも1である)
    のいずれかで表される、請求項1に記載の電池電解質溶液。
  3. 前記A基が、ベンジル位炭素原子を介してT連結部に結合している、請求項1または2に記載の電池電解質溶液。
  4. 前記リン−硫黄化合物が、構造IX:
    (式中、Xは、酸素または硫黄であり、Aは有機連結基であり、nは少なくとも1であり、各Rは、独立に、水素、アルキルまたは不活性に置換されたアルキルであり、Rは、共有結合または二価連結基である)
    で表される、請求項1から3のいずれか一項に記載の電池電解質溶液。
  5. 前記リン−硫黄化合物が、構造XI〜XX:
    のいずれかを有する、請求項1に記載の電池電解質溶液。
  6. 前記溶媒が、直鎖アルキル炭酸エステル、環状炭酸エステル、エステル、アルキルエーテル、ニトリル、スルホン、スルホラン、シロキサンおよびスルトンから選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の電池電解質溶液。
  7. 前記溶媒が、少なくとも1種の直鎖アルキル炭酸エステル、少なくとも1種の環状炭酸エステル、またはそれらの混合物を含む、請求項6に記載の電池電解質溶液。
  8. 前記リチウム塩が、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSOおよびLi[(CFSON]の少なくとも1種である、請求項1から7のいずれか一項に記載の電池電解質溶液。
  9. カソード保護剤、リチウム塩安定剤、リチウム析出改善剤、イオン溶媒和促進剤、腐食防止剤、湿潤剤および粘度低下剤から選択される少なくとも1種の他の添加剤をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の電池電解質溶液。
  10. アノード、カソード、前記アノードとカソードの間に配置されたセパレータ、ならびに前記アノードおよびカソードと接触している電解質溶液を備える電池であって、前記電解質溶液が、請求項1から9のいずれか一項に記載の電池電解質溶液である電池。
  11. 二次電池である、請求項10に記載の電池。
  12. リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム金属電池またはリチウムポリマー電池である、請求項10または11に記載の電池。
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