JP2013510197A - 「熱回収型」コークス炉からの煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法 - Google Patents

「熱回収型」コークス炉からの煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法に関し、複数のコークス炉チャンバが1のコークス炉バンクを構成すべく接合されており、当該コークス炉バンクは1または複数の煙道ガス導管を介して1または複数のボイラーに接続されており、前記コークス炉チャンバの運転はコークス塊を除去するときに所定期間中断され、個々のコークス炉チャンバは1以上の外部加熱された付加的なバーナーにより運転中断中の熱が保たれて、付加的なバーナーの煙道ガスから生ずる熱い煙道ガスが運転中断時にも供給され、通常運転時と比較して減少した熱流は、前記コークス炉チャンバの外部に設けられた1以上の付加的な補償バーナーにより補償され、これにより前記ボイラーに通常運転時と比較して変わらない熱量が供給される。この方法により、一般にスチーム生成に用いられるボイラーを経済的に運転することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭の炭化中に放出する煙道ガスから蒸気または熱水を回収する「熱回収型」コークス炉からの煙道ガスエンタルピー損失の補償方法に関し、コークス炉のチャンバにコークスがなくなるか少量となり、コークス炉の運転を所定期間中断するとき、前記運転中断時にコークス炉を過熱し続ける追加のバーナー手段により、コークス炉の望まない冷却を回避し、煙道ガスの減少した熱量がコークス炉のチャンバ外に配置された1以上の追加のバーナー手段により補償され、ボイラーが一定の熱量を供給するようにした方法に関する。
コークス炉のチャンバの運転は周期的に行われる。すなわちコークス炉は周期的に補充され、石炭が熱されてコークスとなり、最終的なコークスがコークスチャンバから押し出されて炭化後のさらなる利用へと回される。利用可能な貯蔵量がないか、製品の要求に生産を適合させるため、しばしばコークスが押し出されてからコークス炉のチャンバが自動的に補充されないことがある。その結果、コークス炉のチャンバがある期間空となるか、コークスの補充量が少なくなる。コークス炉のチャンバの冷却は、コークス炉のチャンバの構造材料を損傷してしまうため、回避する必要がある。また、コークス炉のチャンバの再加熱は相当のエネルギが必要であり、高くついてしまう。
原理的に、コークス炉のチャンバにバーナーを装備して外部ソースから加熱して、コークス炉のチャンバの運転中断時または遅延時に冷却しないようにすることが可能である。しかしながら、往々にしてかなり低温の煙道ガスが生産されてしまう。「熱回収型(Heat Recovery)」コークス炉として設計されたコークス炉チャンバからの煙道ガスは、スチームや熱水を生成する所謂ボイラーに用いられる。煙道ガスの温度がコークス炉の通常運転時から異なって高下したら、ボイラーは経済的に運転できなくなる。コークス炉チャンバの追加的なバーナーの能力では、煙道ガス導管内の煙道ガスのさらなる暖気に不十分となることが多い。
従来技術において、コークス炉チャンバの煙道ガスを暖める方法が知られている。US4045299Aは、側部コークス炉チャンバ壁と、前部コークス炉チャンバドアと、天井の充填口と、石炭の炭化のためにコークス塊が載せられるコークス炉床部とを具えるコークス炉チャンバ構造を開示する。床部の下には、コークス炉チャンバの側部に構成された導管を介してコークス塊の上の炉の自由な気体に接続された第2のエアソール(air soles)がある。第2のエアソールは、別個に加熱されるバーナーを設けた加熱チャンバに連結され、コークスガス内に残った未燃焼ガスが回収熱交換器に供給される前に完全燃焼させることができる。必要なときに、炉の自由なガススペースからコークスガスを加熱チャンバに供給し、これにより煙道ガスが着実に完全燃焼し、煙道ガス燃焼に適した温度が提供される。この建設的な設計は、しかしながら、「非回収型」のコークス炉にのみ適しており、煙道ガスの適切な高温を保つために連続運転する必要がある。スチームの回収や煙道ガスの温度を保つ可能性についての記載はない。
このため、本発明の目的は、コークス炉チャンバの運転中断時に一定の高温の煙道ガスを供給してスチームまたは温水を生成し、同時にコークス炉チャンバの望まない冷却を回避する方法を提供することにある。
本発明は、コークス炉チャンバの外に配置された1以上の補償バーナーで、煙道ガス導管に加熱した煙道ガスを導入することによりこの課題を解決するものであり、予定された、または予定されていないコークス炉チャンバの運転中断により生じる熱エンタルピー損失が追加供給される煙道ガスにより補償される。これにより、変わらない温度の煙道ガスがボイラーに供給されて、ボイラーを経済的に運転することができる。
補償バーナーは、コークス炉の外側の任意の場所に設けることができる。しかしながら、ボイラーへの煙道ガス分配器の入口近くの上流が好ましい。
特許請求の範囲は、特に「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法に関し:
・複数のコークス炉チャンバが、1以上のボイラーに接続されたコークス炉バンクに接続されており、ボイラーは前記コークス炉バンクからの熱い煙道ガスをスチームまたは熱水の生成に使用し、
・コークス炉の運転は周期的に中断され、コークス炉チャンバからコークスが除去され、
・通常運転時にコークスガスは、空気と燃焼させることによりコークス塊を加熱するためと、石炭の炭化に必要な熱を供給して熱い煙道ガスを生成するために用いられ、
・個々のコークス炉チャンバは、計画的または計画外の運転中断時に、1以上の外で点火される追加のバーナーで保温され、当該バーナーの煙道ガスから生じる熱い煙道ガスが前記運転中断時または遅延時にも提供され、
そして、
・通常運転時と比較して減少した熱流は、コークス炉チャンバの外部に配置された1以上の付加的な補償バーナーにより補償され、これにより通常運転時と比較して変わらない熱流がボイラーに供給されることを特徴とする。
コークス炉チャンバの外部に設けられた付加的な補償バーナーなしでは、運転中断時または遅延中に、煙道ガスの熱流は一般に50%まで減少し、これがホットアイドルモードと呼ばれる。ただしこれは単なる参考値である。その理由は、コークス炉チャンバの付加的なバーナーの能力は、しばしば煙道ガスを変わらず高温に保つのに十分ではなくなる。本発明の有利な実施例では、補償バーナーは、ボイラーの上流に配置された煙道ガス分配器の上流に設けられる。
補償バーナーの構造の種類により、煙道ガスの熱流は、通常運転で得られる熱流の100%またはほぼ100%に戻る。これが途切れずに生じる。構造種類により、補償バーナーのパフォーマンスレートは、温度センサの機能として自動化することができる。
コークス炉チャンバの外部の補償バーナーは、炭化水素を含む燃料で運転されるのが好ましい。好適な実施例では、この燃料は天然ガスである。本発明の方法の一実施例では、しかしながら、付加的な補償バーナーをコークス炉ガスで運転することも可能である。本発明の方法の別の実施例では、さらに、付加的な補償バーナーを蒸発させた液体炭化水素または、炭化水素を含む蒸発させた燃料で運転することも可能である。プロセスの別の実施例では、さらに、付加的な補償バーナーを液化ガスで運転することも可能である。これは、例えば、LPG(液化石油ガスまたは低圧ガス)である。このガスは、圧力か低温により液体に留めておくことができる。
煙道ガスの熱流またはエンタルピーは、通常ボイラー手段によりスチームを生成するのに用いられる。スチームはその後電流を生成するため活用される。
本発明の一実施例では、補償バーナーはボイラーの上流に直接設けられる。別の実施例では、ロック装置を設けたロック可能な非常用煙突(emergency chimney)を、煙道ガス回収ダクトとボイラーの間に配設する。付加的な補償ボイラーは、非常用煙突の上流に直接配置する。本発明の別の実施例では、補償バーナーは、コークス炉とボイラーの間の煙道ガス排出ダクトに設けられる。補償バーナーは任意の数で、補償バーナーの構成に関して任意の組み合わせで設けることができる。
本発明は、コークス炉チャンバの運転中断時に変わらず高温の煙道ガスを供給し、同時にコークス炉チャンバの望まない冷却を回避する方法を提供する利点を有する。結果として、ボイラーを経済的に運転することができる。
本発明を2つの図面を用いて説明するが、これらの図面は本発明の単なる実施例である。
図1は、4つのコークス炉チャンバの構成を示す図である。 図2は、同じ4つのコークス炉チャンバの構成を示す図である。
図1は、コークス炉バンク(2)を構成すべく結合されている4つのコークス炉チャンバ(1)の構成を示す。これらのコークス炉チャンバ(1)は、付加的なバーナー(3)が設けられている。コークス炉チャンバ(1)は、コークス塊が押し出されると空となる。熱い煙道ガス(4)が、共通の煙道ガス導管(6)を介して最終的にボイラー(7)で終端する煙道ガス導管(5)に送られる。共通の煙道ガス導管(6)においてボイラー(7)の上流に、煙道ガス分配器(8)が設けられている。熱い煙道ガス(4)はボイラー(7)に活用されてスチームが生成され、これが電気(9)の生成に用いられる。ボイラー(7)には、全期間を通して変わらない温度の煙道ガス(4)を供給する必要がある。本発明によると、共通の煙道ガス導管(6)に付加的な煙道ガスを供給する補償バーナー(10)が、共通の煙道ガス導管(6)の煙道ガス分配器(8)の上流に設けられている。ボイラー(7)を通過した後に、冷却された煙道ガス(11)が排出される。
図2は、コークス炉バンク(2)を構成すべく結合されている4つのコークス炉チャンバ(1)の同じ構成を示す。熱い煙道ガス(4)が、共通の煙道ガス導管(6)を介して最終的にボイラー(7)で終端する煙道ガス導管(5)に伝えられる。共通の煙道ガス導管(6)においてボイラー(7)の上流に、非常用煙突(12)が設けられ、これは補償バーナー(10a−c)の運転時に適切な装置(12a)でロック可能である。ここで、補償バーナー(10a)は、非常用煙突(12)の上流と、ボイラー(7)のすぐ上流(10b)と、同様に(10c)煙道ガスを煙道ガス導管(6)に供給する煙道ガス(11)の排出ダクト(5)に設けられる。ボイラー(7)を通過した後に、冷却された排気ガス(11)が排出される。
1 コークス炉チャンバ
2 コークス炉バンク
3 付加的なバーナー
4 熱した煙道ガス
5 煙道ガス導管
6 共通の煙道ガス導管
7 ボイラー
8 煙道ガス分配器
9 電気
10 補償バーナー
10a−c いくつかの補償バーナー
11 煙道ガス排出ダクト
12 非常用煙突
12a 非常用煙突のロック装置

Claims (11)

  1. 「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、
    ・複数のコークス炉チャンバ(1)が、1以上のボイラー(7)に接続された1のコークス炉バンク(2)に接続されており、ボイラーは前記コークス炉バンク(2)からの熱い煙道ガス(4)をスチームまたは熱水の生成に使用し、
    ・コークス炉チャンバ(1)の運転は周期的に中断され、コークス炉チャンバ(1)からコークスが除去され、
    ・通常運転時にコークスガスは、空気と燃焼させることによりコークス塊を加熱するためと、石炭の炭化に必要な熱を供給して熱い煙道ガス(4)を生成するために用いられ、
    ・個々のコークス炉チャンバ(1)は、計画的または計画外の運転中断時に、1以上の外で点火される追加のバーナー(3)で保温され、当該バーナー(3)の煙道ガスから生じる熱い煙道ガス(4)が前記運転中断時または遅延時にも提供され、
    そして、
    ・通常運転時と比較して減少した熱流は、コークス炉チャンバの外部に配置された1以上の付加的な補償バーナー(3)により補償され、これにより通常運転時と比較して変わらない熱流がボイラーに供給されることを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記コークス炉チャンバ(1)の外部に設けた付加的な補償バーナー(3)なしでは、運転中断時または遅延中に、煙道ガス(4)の熱流はほぼ50%まで減少することを特徴とする方法。
  3. 請求項1または2に記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記コークス炉チャンバ(1)の外部に設けられた付加的な補償バーナー(3)により、前記煙道ガス(4)の熱流は、時間により変わらない態様で、通常運転の熱流の100%またはほぼ100%に戻ることを特徴とする方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記コークス炉チャンバ(1)の外部の補償バーナー(3)は、炭化水素を含む燃料で作動することを特徴とする方法。
  5. 請求項4に記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記コークス炉チャンバ(1)の外部の補償バーナー(3)は、天然ガスで作動することを特徴とする方法。
  6. 請求項4に記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記コークス炉チャンバ(1)の外部の補償バーナー(3)は、コークス炉ガスで作動することを特徴とする方法。
  7. 請求項4に記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記コークス炉チャンバ(1)の外部の補償バーナー(3)は、液化ガスで作動することを特徴とする方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記煙道ガス(4)の熱流は、ボイラー(7)によりスチームを生成するのに用いられ、当該スチームは電流(9)を生成するため活用されることを特徴とする方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記補償バーナー(3)はボイラー(7)のすぐ上流に設けられることを特徴とする方法。
  10. 請求項1乃至8のいずれかに記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、ロック可能な非常用煙突(12)が、煙道ガス回収導管(6)とボイラー(7)の間に配設されており、前記付加的な補償ボイラー(3)は、前記非常用煙突(12)のすぐ上流に配置されることを特徴とする方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の「熱回収型」コークス炉から煙道ガスのエンタルピー損失を補償する方法において、前記付加的な補償バーナー(3)は、コークス炉(1)とボイラー(7)の間の煙道ガス導管(5)に設けられることを特徴とする方法。
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