JP2013504595A - 抗癌剤に対する応答の可能性が増加した患者を同定するための方法 - Google Patents

抗癌剤に対する応答の可能性が増加した患者を同定するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗癌剤に対する応答の可能性の増加、及び転移を受ける可能性が増加している患者を同定する方法を提供する。本発明はまた、抗癌剤に対する患者の応答をモニタリングする方法を提供する。本発明はまた、本方法で使用するためのキット及び製造品を提供する。

Description

(関連出願)
本出願は、2009年9月11日に出願された米国特許仮出願番号61/241769の優先権を主張し、この内容全体を出典明記により本明細書に援用する。
(発明の分野)
本発明は、どの患者が抗癌剤による治療の恩恵を受けるかを同定し、及び抗癌剤による治療に対するそれらの感受性及び反応性について患者をモニタリングするための方法に向けられている。
癌はヒトの健康に最も致命的な脅威の一つである。米国だけでも、癌は毎年約130万人の新規患者に影響を及ぼし、心臓病に続く死亡原因の第2位であり、死者4人に約1人を占める。固形腫瘍は、これらの死亡の大半に関連する。特定の癌の治療に大きな進歩があったものの、全ての癌の5年生存率は全体的に過去20年間におよそ10%向上しているにすぎない。癌、又は悪性腫瘍は、転移、制御不能な形で急速に成長し、時宜を得た検出と治療を非常に難しくしている。
癌の種類に応じて、患者は通常、化学療法、放射線及び抗体ベースの治療薬を含めた患者に利用可能ないくつかの治療オプションを有する。異なる治療計画から臨床転帰を予測するための有用な診断方法はこれらの患者の臨床管理に大きく役立つであろう。
従って、患者がどの治療に反応するかを決定するためのより有効な方法、及びそうした判断を、単一薬剤として使用されるか又は他の薬剤と併用されようが、患者のために抗癌療法によるより有効な治療計画へ組込む必要性がある。
本発明は、抗癌剤による治療に反応する患者を同定するための方法を提供する。
本発明の一実施態様は抗癌剤に感受性である可能性が高い患者を同定する方法を提供する。本方法は、(a)抗癌剤の少なくとも一回の投与量を受けた患者に造影剤を投与すること、(b)患者の腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管のリンパ脈動周波数を検出し、及び(c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管の脈動周波数と比較することを含み、リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が抗癌剤に反応する可能性が増加している患者を同定する。いくつかの実施態様では、リンパ管は、鼠径リンパ節を腋窩リンパ節へ接続する。いくつかの実施態様において、造影剤は、蛍光色素(例えば、Alexafluor680)を含む。いくつかの実施態様では、リンパ脈動周波数は、蛍光顕微鏡を用いて検出される。いくつかの実施態様では、患者はヒトである。いくつかの実施態様では、患者は結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、腎癌、及びそれらの組み合わせから選択された癌と診断されている。いくつかの実施態様では、本方法はさらに(d)リンパ管のリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が検出される場合、患者に抗癌剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様においては、抗癌剤は、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施態様では、NRP2アンタゴニストは抗NRP2抗体である。いくつかの実施態様では、VEGF−Cアンタゴニストは抗VEGF−C抗体である。いくつかの実施態様では、本方法はさらに(e)患者に第二の抗癌剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様では、第二の抗癌剤は、VEGFアンタゴニストである。いくつかの実施態様では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である。いくつかの実施態様においては、抗VEGF抗体はベバシズマブである。
本発明の別の実施態様は、転移を受ける可能性が増加している患者を同定する方法を提供する。本方法は、(a)抗癌剤の少なくとも一回の投与量を受けた患者に造影剤を投与すること、(b)患者の腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管のリンパ脈動周波数を検出し、及び(c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管の脈動周波数と比較することを含み、リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の増加が、転移を受ける可能性が増加している患者を同定する。いくつかの実施態様では、リンパ管は、鼠径リンパ節を腋窩リンパ節へ接続する。いくつかの実施態様において、造影剤は、蛍光色素を含む。いくつかの実施態様において、蛍光色素はAlexafluor680である。いくつかの実施態様では、リンパ脈動周波数は、蛍光顕微鏡を用いて検出される。いくつかの実施態様では、患者はヒトである。いくつかの実施態様では、患者は結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、腎癌、及びそれらの組み合わせから選択された癌と診断されている。いくつかの実施態様にて、本方法はさらに(d)リンパ管のリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の増加が検出される場合、患者に抗癌剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様においては、抗癌剤は、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施態様では、NRP2アンタゴニストは抗NRP2抗体である。いくつかの実施態様では、VEGF−Cアンタゴニストは抗VEGF−C抗体である。いくつかの実施態様では、本方法はさらに(e)患者に第二の抗癌剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様では、第二の抗癌剤は、VEGFアンタゴニストである。いくつかの実施態様では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である。いくつかの実施態様においては、抗VEGF抗体はベバシズマブである。
本発明の更なる実施態様は、抗癌剤治療の有効性をモニタリングするための方法を提供する。本方法は、(a)抗癌剤の少なくとも一つの投与を受けた患者に造影剤を投与すること、(b)患者における腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管のリンパ脈動周波数を検出し、及び(c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管の脈動周波数と比較することを含み、リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が有効な抗癌剤を同定する。いくつかの実施態様では、リンパ管は、鼠径リンパ節を腋窩リンパ節へ接続する。いくつかの実施態様において、造影剤は蛍光色素を含む。いくつかの実施態様において、蛍光色素はAlexafluor680である。いくつかの実施態様では、リンパ脈動周波数は、蛍光顕微鏡を用いて検出される。いくつかの実施態様では、患者はヒトである。いくつかの実施態様では、患者は結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、腎癌、及びそれらの組み合わせから選択された癌と診断されている。いくつかの実施態様にて、本方法はさらに(d)リンパ管のリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が検出される場合、患者に抗癌剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様においては、抗癌剤は、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである。いくつかの実施態様では、NRP2アンタゴニストは抗NRP2抗体である。いくつかの実施態様では、VEGF−Cアンタゴニストは抗VEGF−C抗体である。いくつかの実施態様では、本方法はさらに(e)患者に第二の抗癌剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様では、第二の抗癌剤は、VEGFアンタゴニストである。いくつかの実施態様では、VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体である。いくつかの実施態様においては、抗VEGF抗体はベバシズマブである。
本発明の別の実施態様は、抗癌剤の投与量を最適化する方法を提供する。本方法は、(a)抗癌剤の少なくとも一つの投与を受けた患者に造影剤を投与すること、(b)患者における腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管のリンパ脈動周波数を検出し、及び(c)抗癌剤による治療に先立ち、リンパ脈動周波数をリンパ管の脈動周波数と比較することを含み、リンパ管のリンパ脈動周波数の変化は最小有効用量としての投与量を同定し、リンパ脈動周波数の無変化は最大有効用量としての投与量を同定する。いくつかの実施態様においては、抗癌剤は、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせから選択される。
これら及び他の実施態様は、さらに以下の詳細な説明により記載される。
図1は、リンパ脈動周波数を測定するリンパ機能アッセイの結果を示す。図1Aは、色素15μlボーラス注射後の管を通じた脈動リンパの動きの代表的な時間経過画像を示す。図1Bは、〜24事象/5分間、n=6匹におけるベースラインの活性を示す。 図2はイメージングの開始時に尾の付け根の近くに、5μL/分で15分間、色素を注入後に、鼠径リンパ節へのバルクリンパ輸送を測定するリンパ機能アッセイの結果を示す。図2Aは、鼠径リンパ節、続く腋窩リンパ節の初期負荷を示す代表的な時間経過画像を示す。図2Bは、n=4匹において、ベースラインの負荷速度及び鼠径リンパ節の最大シグナル強度に至る時間を示す。 図3は、リンパ機能アッセイの結果を示し、バルクリンパ輸送がリンパネットワークに付随した腫瘍においてアップレギュレートされていることを実証している。図3Aは、n=6匹/群の腫瘍を移植したマウスにおいて、リンパ脈動周波数が〜50%アップレギュレートされていることを実証するデータを示す。図3Bは、n=4匹/群の腫瘍を移植したマウスにおいて、バルクリンパ輸送もまたアップレギュレートされていることを実証するデータを示す。図3Cは、N=12匹/群の腫瘍移植マウスにおけるリンパ脈動アップレギュレーションの経時変化を実証するデータを示す。 図4は、VEGF−C経路の阻害は、腫瘍に結びついたネットワークにおいてリンパ輸送を減少させることを実証するデータを示す。図4Aは、n=6匹/群の担癌マウスにおいて、抗NRP2、抗VEGF−C、又は抗VEGF−Aによる長期的治療は、有意にリンパ脈動周波数を減少させたことを実証するデータを示す。図4Bは、n=6匹/群の担癌マウスにおいて、抗NRP2、抗VEGF−C、又は抗VEGF−Aによる長期的治療は、有意にバルクリンパ輸送を減少させたことを実証するデータを示す。 図5は、VEGF−C経路の阻害は、非腫瘍担癌マウスにおけるリンパ管機能を有意には変化させなかったことを実証するデータを示す。図5Aは、n=6匹/群で、3週間にわたって測定した場合、非担腫瘍マウスにおける抗VEGF−Cによる長期的治療がリンパ脈動周波数を有意には変化させなかったことを実証するデータを示す。図5Bは、n=4匹/群で、3週間にわたって測定した場合、非担腫瘍マウスにおける抗NRP2による長期的治療がリンパ脈動周波数を有意には変化させなかったことを実証するデータを示す。 図6は、抗癌剤の急性注入がリンパ機能を変更しないことを実証するデータを示す。図6Aは、n=6匹/群で、担腫瘍マウスにおける抗NRP2、抗VEGF−C又は抗VEGF−Aの急性注入がリンパ脈動周波数に有意な変化をもたらさないことを実証するデータを示す。図6Bは、n=6匹/群で、非担腫瘍マウスにおける組換えVEGF−Cタンパク質又は組換えVEGF−A蛋白質の急性注入がリンパ脈動周波数に有意な変化をもたらさないことを実証するデータを示す。 図7は、尾及び背中に腫瘍を持つマウスにおいてリンパ脈動周波数がアップレギュレートされるが、耳に腫瘍のあるマウスではアップレギュレートされないことを実証するデータを示す。
好ましい実施態様の詳細な記述
1.序論
本発明は、抗癌剤に応答する可能性が増加しているか又は転移を受ける可能性が増加している患者を同定する方法を提供する。また、本発明は、抗癌剤に対する患者の応答をモニタリングする方法を提供する。本発明は、腫瘍流入領域リンパ管のリンパ機能(例えば、脈動周波数又はバルクリンパ輸送)の測定は、抗癌剤による治療に対して感受性があるか又は反応する患者を同定するために、又は転移を受ける可能性が増加している患者を同定するために使用することができるという発見に基づいている。
II.定義
「リンパ輸送」なる用語はリンパ管を介したリンパ液の移動を指す。リンパ管は、組織に始まり、リンパ液を局所リンパ節(例えば、頸部リンパ節、腋窩リンパ節、鎖骨上リンパ節、縦隔リンパ節、腸間膜リンパ節、鼠径リンパ節及び大腿部のリンパ節)へ運搬し又は「排出」し、そこで液体は濾過され、処理され、腺の下流の次のリンパ節(例えば、頸部リンパ節、腋窩リンパ節、鎖骨上リンパ節、縦隔リンパ節、腸間膜リンパ節、鼠径リンパ節及び大腿部のリンパ節)へと送られ、液が血流に入る胸管にまで到達する。全てのリンパ節は流入領域リンパ節であり得る。「腫瘍流入領域リンパ節」は腫瘍からリンパ液を受け取る任意のリンパ節である。リンパ輸送は、例えば、「リンパ脈動」、及び「バルクリンパ輸送」を含む。「リンパ脈動」とは、それがリンパ管を介してポンピングされるときのリンパ液の推進力を指す。
ある実施態様では、「増加」なる用語は、抗癌剤による治療前のリンパ管のリンパ脈動周波数と比較して、本明細書に記載の方法によって検出されたリンパ管のリンパ脈動周波数における、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の全体的な増加を指す。ある実施態様では、増加なる用語は、リンパ管のリンパ脈動周波数の増加を指し、該増加は抗癌剤による治療前のリンパ管のリンパ脈動周波数の少なくともおよそ1.5倍、1.75倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、25倍、50倍、75倍、又は100倍である。
ある実施態様では、「減少」なる用語は、抗癌剤による治療前のリンパ管のリンパ脈動周波数と比較して、本明細書に記載の方法によって検出されたリンパ管のリンパ脈動周波数における、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の全体的減少を指す。ある実施態様では、減少なる用語は、本明細書に記載の方法によって検出されたリンパ管のリンパ脈動周波数の減少を指し、該減少は抗癌剤による治療前のリンパ管のリンパ脈動周波数の少なくともおよそ0.9倍、0.8倍、0.7倍、0.6倍、0.5倍、0.4倍、0.3倍、0.2倍、0.1倍、0.05倍、又は0.01倍である。
「造影剤」は、励起光にさらされた場合、近赤外の波長での蛍光を示す任意の化合物を指す。造影剤の例として、例えば、インドールを含有する色素、カルボシアニンを含有する色素、ポリメチン色素、アクリジン、アントラキノン、ベンズイミダゾール、インドレニン、ナフタルイミド、オキサジン、オキソノール、ポリエン、ポルフィン、スクアライン、スチリル、チアゾ−ル、キサンチン、当業者に公知の他のNIR色素、又はそれらの組み合わせを含む。造影剤は、通常、近赤外領域で励起波長を持つ。特に、造影剤は、約550nmから約1000nm、約600nmから約950nm、約700nmから約900nm、又は約750nmから約850nmの励起波長を有し得る。
「ニューロピリン2」、「NRP2」又は「NRP2」は、同義で使用され、Rossignol et al. (2000) Genomics 70:21 1-222に記載されるように、ニューロピリン2(NRP2、NRP2)及びそのアイソフォーム及びその変異体を総称する。ニューロピリンは120kDaから130kDaの非チロシンキナーゼレセプターである。複数のNRP−2のスプライス変異体と可溶性アイソフォームがある。ニューロピリンの基本構造は3つの細胞外ドメイン(ala2、blb2及び、c)、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインの5つのドメインを含む。ala2ドメインは、相補成分であるCIr及びCIs(CUB)に相同であり、一般に2つのジスルフィド結合を形成する4つのシステイン残基を含む。blb2ドメインは、凝固因子V及びVIIIに相同である。Cドメインの中央部分はメプリン、A5及びレセプターチロシンフォスファターゼμタンパク質と相同であるため、MAMと名付けられる。ala2及びblb2ドメインはリガンド結合に関与し、一方cドメインはホモ二量体化又はヘテロ二量体化のために重要である。Gu et al. (2002) J. Biol Chem. 211; 18069-76; He and Tessier-Lavigne (1997) Cell 90:739-51。
「ニューロピリン媒介生物学的活性」は一般に生理学的又は病理学的事象を指し、そこではニューロピリン−1及び/又はニューロピリン−2が、実質的な役割を果たしている。そのような活性の非限定的な例として、胚の神経系の発達や神経細胞の再生中の軸索ガイダンス、血管新生(血管のモデリングを含む)、腫瘍形成、及び腫瘍転移がある。
本明細書中で使用される「ニューロピリ−2媒介生物学的活性」又は「Nrp2を介した生物活性」は生理学的又は病理学的事象を一般的に指し、そこではNrp2が、例えば、VEGFレセプターの活性化の増強、及び特にリンパ内皮細胞(EC)への移行を調節する能力、成人リンパ管新生における役割、特に腫瘍リンパ管新生及び腫瘍の転移など、実質的な役割を果たしている。
「血管内皮増殖因子−C」、「VEGF−C」、「VEGFC」、「VEGF関連タンパク質」、「VRP」、「VEGF2」及び「VEGF−2」なる用語は同じ意味で用いられ、VEGFファミリーのメンバーを言い、チロシンキナーゼVEGFレセプター及びニューロフィリン(Nrp)レセプターといった少なくとも2つの細胞表面レセプターファミリ−を結合することが知られている。3つのVEGFレセプターのうち、VEGF−CはVEGFR2(KDRレセプター)及びVEGFR3(Flt−4レセプター)を結合し、レセプター二量体化(Shinkai et al., J Biol Chem 273, 31283-31288 (1998))、キナーゼ活性化及び自己リン酸化(Heldin, Cell 80, 213-223 (1995);Waltenberger et al., J. Biol Chem 269, 26988-26995 (1994))を引き起こしうる。リン酸化されたレセプターは、複数の基質の活性化を誘導し、脈管形成及びリンパ管形成を引き起こす(Ferrara et al., Nat Med 9, 669-676 (2003))。腫瘍細胞におけるVEGF−Cの過剰発現は、腫瘍関連リンパ管形成を促し、その結果として局所のリンパ節への転移が亢進されることが示された(Karpanen et al., Faseb J 20, 1462-1472 (2001);Mandriota et al., EMBO J 20, 672-682 (2001);Skobe et al., Nat Med 7, 192-198 (2001);Stacker et al., Nat Rev Cancer 2, 573-583 (2002);Stacker et al., Faseb J 16, 922-934 (2002))。また、VEGF−C発現は多くのヒトの癌についての腫瘍関連リンパ管形成及びリンパ節転移と相関していた(上掲のAchen et al., 2006に概説される)。加えて、VEGF−Cが媒介するシグナル伝達の遮断は、マウスにおける腫瘍リンパ管形成とリンパ節転移を抑制することが示されている(Chen et al., Cancer Res 65, 9004-9011 (2005);He et al., J. Natl Cancer Inst 94, 8190825 (2002);Krishnan et al., Cancer Res 63, 713-722 (2003);Lin et al., Cancer Res 65, 6901-6909 (2005))。
「血管内皮増殖因子−C」、「VEGF−C」、「VEGFC」、「VEGF関連タンパク質」、「VRP」、「VEGF2」及び「VEGF−2」なる用語は、完全長ポリペプチド及び/又は完全長ポリペプチドの活性断片を指す。一実施態様では、活性断片には、米国特許第6451764号の配列番号3に示す完全長アミノ酸配列の全419アミノ酸より少ない完全長アミノ酸配列の何れかの部分が含まれる。この開示内容の全体は出典明記によって明示的にここに援用される。このような活性断片には、VEGF−C生物学的活性が含まれ、限定するものではないが、成熟したVEGF−Cが含まれる。一実施態様では、完全長VEGF−Cポリペプチドは、蛋白質加水分解処理されて、成熟VEGF−Cとも称されるVEGF−Cポリペプチドの成熟形態を生産する。このようなプロセシングには、シグナルペプチドの切断及びアミノ末端ペプチドの切断及びカルボキシル末端ペプチドの切断が含まれ、十分にプロセシングされた成熟形態を生産する。実験的所見は、完全長VEGF−C、VEGF−Cの部分的プロセシング型及びVEGF−Cの完全プロセシング成熟型はVEGFR3(Flt−4レセプター)を結合することができる。しかしながら、VEGFR2への高い結合親和性はVEGF−Cの完全プロセシング成熟型にしか生じない。
VEGF−Cポリペプチドに関して、「生物学的活性」及び「生物学的に活性な」なる用語は、完全長の及び/又は成熟したVEGF−Cに関連付けられた物理的/化学的性質及び生物学的機能を指す。ある実施態様にて、「生物学的活性」はFlt−4レセプター(VEGFR3)に結合し、そのリン酸化を刺激する能力を有することを意味する。一般に、VEGF−Cは、FLT−4レセプターの細胞外ドメインに結合し、それによって、その細胞内チロシンキナーゼドメインを活性化又は阻害する。その結果、レセプターへのVEGF−Cの結合は、インビボ又はインビトロでVEGF−CのFLT−4受容体を有する細胞の増殖及び/又は分化及び/又は活性化を増強又は阻害する可能性がある。FLT−4レセプターへのVEGF−Cの結合は、RIA、ELISA法、及び他の競合的結合アッセイなどの競合的結合方法を含む従来の技法を用いて決定することができる。リガンド/レセプター複合体は、ろ過、遠心分離、フローサイトメトリーなどの分離方法を用いて同定することができる(例えば、Lyman et al., Cell, 75:1157-1167 [1993]; Urdal et al., J. Biol. Chem., 263:2870-2877 [1988]; 及びGearing et al., EMBO J., 8:3667-3676 [1989]を参照)。結合試験の結果はスキャッチャード分析(Scatchard, Ann. NY Acad. Sci.,51:660-672 [1949]; Goodwin et al., Cell, 73:447-456 [1993])など、結合データのいずれかの従来のグラフ表示を用いて分析することができる。VEGF−Cは、FLT−4レセプターのリン酸化を誘導するので、従来のチロシンリン酸化アッセイはまた、FLT−4レセプター/VEGF−C複合体の形成の指標として使用することができる。別の実施態様では、VEGF−C「生物学的活性」はKDRレセプター(VEGFR2)に結合する能力、血管透過性、並びに血管内皮細胞の遊走及び増殖を有することを意味する。ある実施態様では、KDRレセプターへのVEGF−Cの結合が血管透過性の増強又は抑制、並びにインビボ又はインビトロにおけるVEGF−CのKDRレセプターを持つ血管内皮細胞の移行及び/又は増殖及び/又は分化及び/又は活性化をもたらす結果となり得る。
「VEGF−Cアンタゴニスト」なる用語は、VEGF−Cの活性を中和、遮断、阻害、無効化、低減又は干渉することができる分子を指すために本明細書中で用いられる。所定の実施態様において、VEGF−Cアンタゴニストは、血管新生、リンパの内皮細胞(EC)移動、増殖又は成体リンパ管形成、特に腫瘍性リンパ管形成及び腫瘍転移を調整するVEGFの能力を中和、遮断、阻害、無効化、低減又は干渉することができる分子を指す。VEGF−Cアンタゴニストには、抗VEGF−C抗体及びその抗原結合性断片、VEGF−Cに特異的に結合しそれによって一又は複数のレセプターへの結合を隔離するレセプター分子及びその誘導体、抗VEGF−Cレセプター抗体、及びVEGFR2及びVEGFR3の小分子インヒビターといったVEGF−Cレセプターアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中の「VEGF−Cアンタゴニスト」なる用語には、具体的に、VEGF−Cに結合し、VEGF−Cの活性を中和、遮断、阻害、無効化、低減又は干渉することができる、抗体、抗体断片、他の結合ポリペプチド、ペプチド及び非ペプチド小分子を含む分子が含まれる。ゆえに、「VEGF−C活性」なる用語には特に、VEGF−CのVEGF−Cが媒介する生物学的活性(先に定義する)が含まれる。
「抗VEGF−C抗体」又は「VEGF−Cに結合する抗体」なる用語とは、抗体が
VEGF−Cを標的とする診断薬及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性でVEGF−Cに結合することが可能な抗体を意味する。抗VEGF−C抗体は、例えば、代理人明細書PR4391に記載されており、その特許出願の内容全体が明示的に参照により本明細書に援用される。一実施態様では、関係のない、非VEGF−Cタンパク質に対する抗VEGF−C抗体の結合の程度は、ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定される場合、VEGF−Cに対する抗体の結合の約10%未満である。ある実施態様では、VEGF−Cに結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。ある実施態様では、抗VEGF−C抗体は異なる種に由来するVEGF−C間で保存されているVEGF−Cのエピトープに結合する。
本明細書中で用いる「VEGF」又は「VEGF-A」なる用語は、Leung et al. Science, 246:1306 (1989)、及びHouck et al. Mol. Endocrin., 5:1806 (1991)によって記載されているように、165アミノ酸の血管内皮細胞増殖因子と、関連した121-、189-、及び206-アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子、並びにそれらの天然に生じる対立遺伝子型及びプロセシング型を意味する。また、「VEGF」は、マウス、ラット又は霊長類などの非ヒト動物腫由来のVEGFも意味する。時には、特定の種由来のVEGFは、ヒトVEGFはhVEGF、マウスVEGFはmVEGFなどの用語で表される。また、「VEGF」なる用語は、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8〜109、又は1〜109を含むポリペプチドの切断型を意味するために用いられる。そのようなVEGF型を指すときは、本明細書では、例えば、「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」又は「VEGF165」と表す。「切断した(切断型の)」天然のVEGFのアミノ酸位置は、天然のVEGF配列に示される数で示す。例えば、切断型の天然VEGFのアミノ酸位置17(メチオニン)は、天然のVEGF中の位置17(メチオニン)でもある。切断型の天然VEGFは天然のVEGFに匹敵するKDR及びFlt−1レセプター結合親和性を有する。
「VEGF生物学的活性」には、任意のVEGFレセプターへの結合又は任意のVEGFシグナル伝達活性、例えば正常及び異常な血管形成及び脈管形成の調節(Ferrara and Davis-Smyth (1997) Endocrine Rev. 18: 4-25;Ferrara (1999) J. Mol. Med. 77: 527-543)、胚性の脈管形成及び血管形成の促進(Carmeliet et al. (1996) Nature 380:435-439;Ferrara et al. (1996) Nature 380:439-442)、及び雌生殖管における、及び骨の成長及び軟骨形成のための周期的血管増殖の調節(Ferrara et al. (1998) Nature Med. 4: 336-340;Gerber et al. (1999) Nature Med. 5: 623-628)が含まれる。血管形成及び脈管形成における血管新生因子であることに加えて、多面発現増殖因子としてのVEGFは、他の生理的過程、例えば内皮細胞生存、脈管透過性及び血管拡張、単球走化性、及びカルシウム流入において複数の生物学的効果を示す(上掲のFerrara and Davis-Smyth (1997)、及びCebe-Suarez et al. Cell. Mol. Life Sci. 63: 601-615 (2006))。さらに、近年の研究では、わずかな内皮性以外の細胞種、例えば網膜色素上皮細胞、膵管細胞及びシュワン細胞に対するVEGFの分裂促進効果が報告されている。Guerrin et al. (1995) J. Cell Physiol. 164:385-394;Oberg-Welsh et al. (1997) Mol. Cell. Endocrinol. 126:125-132;Sondell et al. (1999) J. Neurosci. 19:5731-5740。
「VEGFアンタゴニスト」又は「VEGF特異的アンタゴニスト」は、VEGFへ結合し、VEGF発現レベルを低減させ、又は一又は複数のVEGFレセプターへの結合、VEGF媒介性の血管新生及び血管内皮細胞生存又は増殖を含むがこれに限定されないVEGFの生物学的活性を中和、遮断、阻害、無効化、低減又は干渉することができる分子を指す。本発明の方法において有用なVEGF特異的アンタゴニストとして含まれるのは、VEGF、抗VEGF抗体、及びその抗原結合断片、VEGFに特異的に結合しそれによって一又は複数のレセプターへの結合を隔離するレセプター分子及びその誘導体、融合タンパク質(例えばVEGF−Trap(Regeneron))、及びVEGF121−ゲロニン(Peregrine)に特異的に結合するポリペプチドが含まれる。VEGF特異的アンタゴニストはまた、VEGFポリペプチドのアンタゴニスト変異体、VEGFに対するアンチセンス核酸塩基オリゴマー、VEGFに対する低分子RNA分子、RNAアプタマー、ペプチボディ(peptibodies)、及びVEGFに対するリボザイムを含む。VEGF特異的アンタゴニストには、VEGFに結合し、VEGFの生物学的活性を遮断、阻害、無効化、低減又は干渉することができる非ペプチド性小分子をも含む。ゆえに、「VEGF活性」なる用語はVEGFのVEGF媒介生物活性を明確に含む。ある実施態様では、VEGFアンタゴニストは、VEGFの発現レベル又は生物学的活性を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれ以上低減するか又は阻害する。
「抗VEGF抗体」は、十分な親和性と特異性を有してVEGFに結合する抗体である。ある実施態様では、選択された抗体は通常、VEGFに対して十分に強い結合親和性を有しており、例えば該抗体は100nM〜1pMのKd値を有してhVEGFを結合しうる。抗体親和性は、例えば、表面プラスモン共鳴ベースのアッセイ(例えばPCT出願公開番号WO2005/012359に記載される、BIAcoreアッセイ)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び競合アッセイ(例えばRIAのもの)で測定されてもよい。
ある実施態様では、抗VEGF抗体は、VEGF活性が伴う疾患又は症状を標的及び干渉する際の治療用薬剤として用いられうる。また、抗体は、例えばその治療上の有効性を評価するために、他の生物学的活性アッセイの対象とされうる。このようなアッセイは従来技術において周知であり、標的抗原と抗体の使用目的に依存する。例として、HUVEC阻害アッセイ、腫瘍細胞増殖阻害アッセイ(例えば国際公開89/06692にて説明される)、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)及び補体媒介性細胞障害活性(CDC)アッセイ(米国特許第5500362号)、及びアゴニスト活性又は造血アッセイ(国際公開95/27062を参照)などがある。抗VEGF抗体は通常、VEGF−B又はVEGF−Cなどの他のVEGFホモログにも、PIGF、PDGF又はbFGFなどの他の増殖因子にも結合しないであろう。一実施態様では、抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB10709によって産生されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。他の実施態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ(BV;AVASTIN(登録商標))として知られる抗体を含むがこれに限定されない組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体(Presta et al. (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599を参照)である。
「rhuMAb VEGF」又は「アバスチン(登録商標)」としても知られる抗VEGF抗体「ベバシズマブ(BV)」は、 Presta et al. (1997) Cancer Res. 57:4593-4599に従って生成された組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。それは、変異したヒトIgG1フレームワーク領域及びヒトVEGFのそのレセプターへの結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域を含有する。ほとんどのフレームワーク領域を含む、ベバシズマブのおよそ93%のアミノ酸配列はヒトIgG1由来のものであり、配列のおよそ7%はマウス抗体A4.6.1由来である。ベバシズマブは、およそ149000ダルトンの分子量であり、グリコシル化されている。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は2005年2月26日発行の米国特許第6884879号にさらに記載されており、その開示内容の全体は出典明記によって明示的に本明細書中に援用される。
2つの最も良好に特徴付けられたVEGFレセプターは、VEGFR1(別名Flt−1)及びVEGFR2(別名マウスホモログのKDR及びFLK−1)である。各々のVEGFファミリメンバーの各々のレセプターの特異性は変化するが、VEGF−AはFlt−1及びKDRに結合する。完全長Flt−1レセプターは、7つのIgドメイン、膜貫通ドメイン、及びチロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインを有する細胞外ドメインを含む。細胞外ドメインはVEGFの結合に関与しており、細胞内ドメインはシグナル伝達に関与している。
VEGFに特異的に結合するVEGFレセプター分子又はその断片は、VEGFタンパク質に結合して補足し、それによってシグナル伝達を妨げるVEGFインヒビターとして用いられうる。ある実施態様では、VEGFレセプター分子又はそのVEGF結合断片は、可溶型、例えばsFlt−1である。レセプターの可溶型は、VEGFに結合して標的細胞の表面上に存在する天然のレセプターへのその結合を妨げることによって、VEGFタンパク質の生物活性に対して阻害作用を及ぼす。また、VEGFレセプター融合タンパク質も包含され、その例を後述する。
キメラVEGFレセプタータンパク質は、少なくとも2つの異なるタンパク質由来のアミノ酸配列を有するレセプター分子であり、そのうちの少なくとも一つはVEGFレセプタータンパク質(例えばflt−1又はKDRレセプター)であり、VEGFに結合してVEGFの生物活性を阻害することができる。ある実施態様では、本発明のキメラVEGFレセプタータンパク質は、2つの異なるVEGFレセプター分子だけから得られるアミノ酸配列からなるが、flt−1及び/又はKDRレセプターの細胞外リガンド結合領域の1、2、3、4、5、6又は7つすべてのIg様ドメインを含むアミノ酸配列は、他の無関係なタンパク質、例えば免疫グロブリン配列のアミノ酸配列に連結されうる。Ig様ドメインが結合される他のアミノ酸配列は、当業者に容易に明らかであろう。キメラVEGFレセプタータンパク質の例には、限定するものではないが、可溶性Flt−1/Fc、KDR/Fc又はFLt−1/KDR/Fc(別名VEGF Trap)が含まれる。(例としてPCT出願公開番号WO97/44453を参照のこと)。
本発明の可溶性VEGFレセプタータンパク質又はキメラVEGFレセプタータンパク質には、膜貫通ドメインを介して細胞の表面に固定されていないVEGFレセプタータンパク質が含まれる。そのようなものとして、キメラレセプタータンパク質を含むVEGFレセプター可溶型は、VEGFに結合してVEGFを不活性化することができるが、膜貫通領域を含んでおらず、したがって一般に、この分子が発現される細胞の細胞膜に結合したものとならない。
他のVEGFインヒビターは、例えば国際公開99/24440、PCT国際出願PCT/IB99/00797、国際公開95/21613、国際公開99/61422、米国特許第6534524号、米国特許第5834504号、国際公開98/50356、米国特許第5883113号、米国特許第5886020号、米国特許第5792783号、米国特許第6653308号、国際公開99/10349、国際公開97/32856、国際公開97/22596、国際公開98/54093、国際公開98/02438、国際公開99/16755、及び国際公開98/02437に記載されており、これらすべては出典明記によってその全体がここに援用される。
ここで使用される「B20シリーズポリペプチド」なる用語は、VEGFに結合する抗体を含むポリペプチドを意味する。B20シリーズポリペプチドには、限定するものではないが、米国特許出願公開第20060280747号、米国特許出願公開第20070141065号及び/又は米国特許出願公開第20070020267号に記載されたB20抗体又はB20誘導抗体の配列に由来する抗体が含まれ、これらの特許出願の内容は出典明示により明示的にここに援用される。一実施態様では、B20シリーズポリペプチドは、米国特許出願公開第20060280747号、米国特許出願公開第20070141065号及び/又は米国特許出願公開第20070020267号に記載されたB20−4.1である。他の実施態様では、B20シリーズポリペプチドは米国特許出願第60/991302に記載されたB20-4.1.1であり、この開示内容の全体は出典明示により明示的にここに援用される。
ここで使用される「G6シリーズポリペプチド」は、VEGFに結合する抗体を含むポリペプチドを指す。G6シリーズポリペプチドには、限定するものではないが、米国特許公開第20060280747号、米国特許公開第20070141065号及び/又は米国特許公開第20070020267号に記載されたG6抗体又はG6由来の抗体の配列から由来する抗体が含まれる。米国特許公開第20060280747号、米国特許公開第20070141065号及び/又は米国特許公開第20070020267号に記載されたG6シリーズポリペプチドには、限定するものではないが、G6-8、G6-23及びG6-31が含まれる。
更なる抗体については、米国特許第7060269号、同第6582959号、同第6703020号;同第6054297号;国際公開98/45332;国際公開96/30046;国際公開94/10202;欧州特許第0666868号B1;米国特許公開2006009360、20050186208、20030206899、20030190317、20030203409及び20050112126;及びPopkov et al., Journal of Immunological Methods 288:149-164 (2004)を参照のこと。ある実施態様では、他の抗体には、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、I91、K101、E103及びC104を含むか、あるいは残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、I83及びQ89を含むヒトVEGF上の機能的エピトープに結合するものを含む。
他の抗VEGF抗体もまた知られており、例えば、Liang et al., J Biol Chem 281, 951-961 (2006)に記載されている。
抗癌剤による治療に対する、患者の「有効な応答」又は患者の「応答」又は「感受性」は、抗VEGF抗体、抗VEGF−C抗体、又は抗NRP2抗体などの抗癌剤による治療の結果、又は治療により、癌のリスクがあるか、又は癌に罹患している患者に付与された臨床的又は治療上の利益を言う。このような利点は、細胞性応答又は生物学的応答、完全寛解、部分寛解、安定した疾患(進行又は再発なし)、又はアンタゴニストによる治療により、又は治療の結果、患者の後に再発した応答を含む。例えば、有効な応答は、少なくとも抗癌剤による一回の治療後に、腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管におけるリンパ脈動周波数の減少を有すると診断された患者の腫瘍の大きさ又は無増悪生存期間を減少させることができる。リンパ脈動周波数の低下は、そうした効果的な応答を効果的に予測したり、高感度に予測する。
本明細書中で使用されるアンタゴニストは、それらが結合する分子の生物学的活性を阻害又は低下させる化合物又は薬剤を言う。アンタゴニストは、VEGFに結合し、場合によっては他の分子に結合し又は融合した、合成によるペプチド又は天然配列のペプチド、イムノアドヘシン、及び小分子アンタゴニストを含む。「ブロッキング」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は阻害又はそれが結合する抗原の生物学的活性を減少させるものである。
本明細書中で使用される「アゴニスト抗体」は、部分的又は完全に目的のポリペプチドの機能的活性の少なくとも1つを模倣する抗体である。
本明細書中の「抗体」は最も広義に用いられ、具体的にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性を表す限りにおける抗体断片を包含する。
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、抗体の研究、診断又は治療的な使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。ある実施態様では、抗体又は、(1)例えばローリー法で測定した場合95%を超える抗体又は他のポリペプチド、ある実施態様では99重量%を超えるまで、(2)例えばスピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに十分なほど、あるいは、(3)例えばクーマシーブルーあるいは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで十分なほど精製される。その自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツでの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体又は他のポリペプチドは少なくとも一の精製工程により調製される。
「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なった免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の中で変化する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に離間した鎖間ジスルフィド結合を有している。各重鎖は、多くの定常ドメインが続く可変ドメイン(V)を一端に有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を、他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間のインターフェイスを形成すると考えられている。
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを意味する。重鎖の可変ドメインは「VH」と称されうる。軽鎖の可変ドメインは「VL」と称されうる。これらのドメインは一般に抗体の最も可変の部分であり、抗原結合部位を含む。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なっており、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合性及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の高頻度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つのHVRにより連結されたβシート配置を主にとる4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖のHVRは、FRによって近接して結合され、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabatら, Sequence of Proteins ofImmunological Interest, 5th Ed. National Institutes of Health, BEthesda, MD. (1991))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞毒性における抗体の関与を示す。
任意の脊椎動物種からの抗体(イムノグロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つが割り当てられる。
ここで使用するIgG「アイソタイプ」又は「サブクラス」は、その定常領域の化学的及び抗原的特徴によって定義される免疫グロブリンの何れかのサブクラスを意味する。その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、抗体(免疫グロブリン)は異なるクラスが割り当てられる。免疫グロブリンには5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、更にそれらは、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgA等のサブクラス(アイソタイプ)に分かれる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られており、例えば、Abbas等.Cellular and Mol. Immunology, 第4版(2000)(W.B. Saunders, Co., 2000)に概説されている。抗体は、抗体と1以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合性又は非共有結合性の会合により形成された融合大分子の一部であり得る。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、実質的にインタクトな形態の抗体を指す。この用語は、特にFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
本明細書中の「ネイキッド抗体」は、細胞障害性部分又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体である。
「抗体断片」は、好ましくは抗原結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多特異性抗体が含まれる。
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。一実施態様では、二本鎖Fv種は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、柔軟なペプチドリンカーによって1の重鎖及び1の軽鎖可変ドメインは共有結合性に連結することができ、よって軽鎖及び重鎖は、二本鎖Fv種におけるものと類似の「二量体」構造に結合することができる。この配置において、各可変ドメインの3つのHVRは相互作用し、VH-VL二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つのHVRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
またFab断片は、重鎖及び軽鎖の可変ドメインを含み、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常ドメイン(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。また、抗体断片の他の化学結合も知られている。
「一本鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。通常、scFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。scFvの概説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York,頁 269-315 (1994)のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ」なる用語は、2つの抗原結合部位を持つ抗体断片を指し、その断片は同一のポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に重鎖可変ドメイン(VH)が結合してなる。非常に短いために同一鎖上で2つのドメインの対形成ができないリンカーを使用して、ドメインを他の鎖の相補ドメインと強制的に対形成させ、2つの抗原結合部位を創製する。ダイアボディは二価でも二特異性であってもよい。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404097号;国際公開第1993/11161号;Hudson等 (2003) Nat. Med. 9:129-134;及びHollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90:6444-6448 (1993)に更に詳細に記載されている。トリアボディ及びテトラボディもまたHudson等 (2003) Nat. Med. 9:129-134に記載されている。
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在しうる可能性がある突然変異、例えば自然に生じる突然変異を除いて同一である。従って、「モノクローナル」との形容は、別々の抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。ある実施態様では、このようなモノクローナル抗体は、通常、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、この場合、標的に結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスにより得られる。例えば、この選択プロセスは、雑種細胞クローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールのような複数のクローンからの、唯一のクローンの選択とすることができる。選択された標的結合配列は、例えば標的への親和性の向上、標的結合配列のヒト化、細胞培養液中におけるその産生の向上、インビボでの免疫原性の低減、多選択性抗体の生成等のために更に変化させることができ、変化させた標的結合配列を含む抗体もまた、本発明のモノクローナル抗体である。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体の調製物は、それらが他の免疫グロブリンで通常汚染されていないという点で有利である。
「モノクローナル」との形容は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないと解釈されるべきものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は様々な技術によって作製することができ、それらの技術には、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein, Nature, 256:495-97 (1975);Hongo等, Hybridoma, 14 (3): 253-260 (1995);Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerling等: Monoclonal Antibodies and T-Cell hybridomas 563-681 (Elsevier, N. Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991);Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597 (1992);Sidhu等, J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004);Lee等, J. Mol. Biol. 340(5);1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);及びLee等, J. Immounol. Methods 284(1-2): 119-132 (2004))、並びに、ヒト免疫グロブリン座位の一部又は全部、又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子を有する動物にヒト又はヒト様抗体を生成する技術(例えば、国際公開第98/24893号;国際公開第96/34096号;国際公開第96/33735号;国際公開第91/10741号;Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362: 255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immunol. 7:33 (1993);米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号; Marks等, Bio.Technology 10: 779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature 368: 812-813 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnol. 14: 845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnol. 14: 826 (1996)及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)参照)が含まれる。
ここでモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体を含み、重鎖及び/又は軽鎖の一部は、特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致するか又は相同であり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、他の種由来又は他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体、並びにそのような抗体の断片において、対応する配列に一致するか又は類似するものである(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。キメラ抗体には、抗体の抗原結合領域が例えば対象の抗原をマカクザルに免疫投与することによって作製される抗体に由来する、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれる。
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施態様では、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRが、ヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも一又は典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、例えばJones等, Nature 321:522-525(1986);Riechmann等, Nature 332:323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596(1992)を参照のこと。また例としてVaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994);米国特許第6982321号及び同第7087409号も参照のこと。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもので、及び/又はここで開示されたヒト抗体を製造するための何れかの技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当該分野で知られている様々な技術を使用して生産することが可能である。Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)。また、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, 頁77 (1985);Boerner et al., J. Immunol., 147(1): 86-95 (1991)において記述される方法は、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用できる。van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol., 5: 368-74 (2001)も参照のこと。ヒト化抗体は、抗原刺激に応答して抗体を産生するように修飾されているが、その内在性遺伝子座が無効になっているトランスジェニック動物、例えば免疫化ゼノマウスに抗原を投与することによって調製することができる(例として、XENOMOUSETM技術に関する米国特許第6075181号及び同第6150584号を参照)。また、例えば、ヒトのB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されるヒト抗体に関するLi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562 (2006)も参照のこと。
ここで使用される「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つの高頻度可変領域を含み;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。天然の抗体では、H3及びL3は6つの高頻度可変領域のうちで最も高い多様性を示す、特にH3は抗体に良好な特異性を与える際に特有の役割を果たすように思われる。例としてXu等 (2000) Immunity 13:37-45;Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo, ed., Human Press, Totowa, NJ)のJohnson and Wu (2003)を参照。実際、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ科の抗体は機能的であり、軽鎖が無い状態で安定である。例としてHamers-Casterman等 (1993) Nature 363:446-448;Sheriff等 (1996) Nature Struct. Biol. 3:733-736を参照。
多数のHVRの描写が使用され、ここに含まれる。Kabat相補性決定領域(CDR)であるHVRは配列変化に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM HVRは、KabatのCDR及びChothiaの構造的ループの間の折衷を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」HVRは、利用できる複合体結晶構造の分析に基づく。これらのHVRのそれぞれに由来する残基を以下に示す。
HVRは、次のような「拡大HVR」を含むことができる、即ち、VLの24−36又は24−34(L1)、46−56又は50−56(L2)及び89−97又は89−96(L3)と、VHの26−35(H1)、50−65又は49−65(H2)及び93−102、94−102、又は95−102(H3)である。可変ドメイン残基には、これら拡大HVRの各々を規定するために、上掲のKabat等に従って番号を付した。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここで定義する高頻度可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基である。
「Kabatによる可変ドメイン残基番号付け」又は「Kabatに記載のアミノ酸位番号付け」なる表現及びその異なる言い回しは、上掲のKabat等の抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はHVRの短縮又はFR又はHVRへの挿入に対応する2、3のアミノ酸又は付加的なアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインには、H2の残基52の後に単一アミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えばカバットによる残基82a、82b及び82cなど)を含んでもよい。残基のKabat番号は、「標準の」カバット番号付け配列による抗体の配列の相同領域でアライメントすることによって与えられる抗体について決定してもよい。
「親和性成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、その一又は複数のHVRにおいて一又は複数の改変を持つものである。一実施態様では、親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はさらにピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られているある手順を用いて生産される。例えば、Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘導は、例としてBarbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
「増殖阻害性」抗体は、抗体が結合する抗原を発現している細胞の増殖を妨げるか又は低減するものである。
「アポトーシスを誘導する」抗体とは、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞の縮み、小胞体の拡張、細胞断片化、及び/又は膜小胞の形成(アポトーシス性本体と呼ばれる)といった、標準的なアポトーシスアッセイにより決定される、プログラムされた細胞死を誘導するものである。
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異体Fc領域)に帰する生物学的活性を意味し、抗体のアイソタイプにより変わる。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合及び補体依存性細胞障害;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);貪食作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。
本明細書の「Fc領域」なる用語は、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化し得るが、通常、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226の位置のアミノ酸残基又はPro230から、Fc領域のカルボキシル末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムによれば残基447)は、例えば、抗体の産生又は精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え遺伝子操作することによって取り除かれてもよい。従って、インタクトな抗体の組成物は、すべてのK447残基が除去された抗体群、K447残基が除去されていない抗体群、及びK447残基を有する抗体及び有さない抗体の混合を含む抗体群を含みうる。
本明細書中で特に明記しない限り、免疫グロブリン重鎖の残基の番号付けは、上掲のKabatらによるEUインデックスのそれである。「KabatによるEUインデックス」はヒトIgG1のEU抗体の残基番号付けを指す。
「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合、補体依存性細胞障害作用(CDC)、Fcレセプター結合、ADCC、食作用、細胞表面レセプター(例えばB細胞レセプター;BCR)の下方制御などが含まれる。そのようなエフェクター機能は、通常、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わさることを必要とし、例えば本明細書中の定義に開示される様々なアッセイを使用して評価される。
「天然配列のFc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を包含する。天然配列のヒトFc領域は、天然配列のヒトIgG1Fc領域(非A-及びA-アロタイプ);天然配列のヒトIgG2Fc領域;天然配列のヒトIgG3Fc領域;及び天然配列のヒトIgG4Fc領域;並びに、これらの自然に生じる変異体が含まれる。
「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは一又は複数のアミノ酸置換により、天然配列のFc領域とは異なるアミノ酸配列を包含するものである。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列のFc領域もしくは親ポリペプチドのFc領域と比較した場合、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列のFc領域又は親のポリペプチドのFC領域におよそ1からおよそ10のアミノ酸置換、好ましくはおよそ1からおよそ5のアミノ酸置換を有する。本明細書中の変異体Fc領域は、好ましくは、天然配列のFc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と、少なくともおよそ80%の同一性を有するか、最も好ましくは少なくともおよそ90%の配列同一性を、より好ましくは少なくともおよそ95%の配列又はそれ以上の同一性を有するものであろう。
「Fc領域含有抗体」なる用語は、Fc領域を含む抗体を指す。Fc領域のC末端リジン(EU番号付けシステムに従うと残基447)は、例えば、抗体の精製中又は抗体をコードする核酸を組み換え操作することによって除去してもよい。従って、本発明のFc領域を有する抗体を含んでなる組成物は、K447を有する抗体、すべてのK447が除去された抗体、又はK447残基を有する抗体とK447残基を有さない抗体の混合を包含しうる。
「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記載するものである。ある実施態様では、FcRは天然のヒトFcRである。ある実施態様では、FcRはIgG抗体(ガンマレセプター)と結合するもので、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含み、これらのレセプターの対立遺伝子変異体、選択的にスプライシングされた形態のものも含まれる。FcγRIIレセプターには、FcγRIIA(「活性型レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害型レセプター」)が含まれ、主としてその細胞質ドメインは異なるが、類似のアミノ酸配列を有するものである。活性型レセプターFcγRIIAは、細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif ;ITAM)を含んでいる。阻害型レセプターFcγRIIBは、細胞質ドメインにチロシン依存性免疫レセプター阻害性モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif;ITIM)を含んでいる(例としてDaeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照)。FcRに関しては、例としてRavetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9:457-492 (1991);Capel等, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haas等, J.Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)に概説されている。将来的に同定されるものも含む他のFcRはここでの「FcR」という言葉によって包含される。
「Fcレセプター」又は「FcR」なる用語もまた、母性IgGの胎児への移送(Guyer等, J. Immunol. 117:587 (1976) Kim等, J. Immunol.24:249 (1994))、及び免疫グロブリンのホメオスタシスの調節を担う新生児性レセプターFcRnも含まれる。FcRnへの結合の測定方法は公知である(例としてGhetie and Ward., Immunol. Today 18(12):592-598 (1997);Ghetie et al., Nature Biotechnology, 15(7):637-640 (1997);Hinton et al., J. Biol. Chem. 279(8):6213-6216 (2004):国際公開第2004/92219号(Hinton et al.)を参照)。
インビボでのヒトFcRnへの結合とヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質転換されたヒト細胞株、又は変異体Fc領域を有するポリペプチドを投与された霊長類動物においてアッセイすることができる。国際公開公報00/42072(Presta)にFcRへの結合を向上又は減弱させた抗体変異型が述べられている。例としてShields等, J. Biol. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)も参照のこと。
「ヒトエフェクター細胞」とは、一又は複数のFcRsを発現し、エフェクター機能を実行する白血球のことである。ある実施態様では、その細胞が少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行することが望ましい。ADCCを媒介するヒト白血球の例として、末梢血液単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞障害性T細胞及び好中球が含まれる。エフェクター細胞は天然源、例えば血液から単離してもよい。
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害」又は「ADCC」とは、ある種の細胞障害細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)と結合した分泌Igにより、これらの細胞障害エフェクター細胞が抗原-担持標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒性により標的細胞を死滅させることを可能にする細胞障害性の形態を意味する。ADCCを媒介する主要な細胞NK細胞はFcγRIIIのみを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFcRの発現は、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)の464頁の表3に要約されている。対象の分子のADCC活性をアッセイするために、米国特許第5500362号又は同第5821337号、又は米国特許第6737056号(Presta)に記載されているようなインビトロADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイにおいて有用なエフェクター細胞には、末梢血液単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)が含まれる。代わりとして、もしくは付加的に、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al. PNAS(USA) 95:652-656 (1998)において開示されているような動物モデルにおいて、インビボで評価することが可能である。
「補体依存性細胞障害」もしくは「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解することを意味する。典型的な補体経路の活性化は補体系(Clq)の第1補体が、同族抗原と結合した(適切なサブクラスの)抗体に結合することにより開始される。補体の活性化を評価するために、CDCアッセイを、例えばGazzano-Santoro等, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているように実施することができる。Fc領域アミノ酸配列を変更して(変異体Fc領域を有するポリペプチド)C1q結合能力が増大又は減少したポリペプチド変異体は、例として米特許第6194551号B1及び国際公開第1999/51642号に記述される。また例としてIdusogie等 J. Immunol. 164: 4178-4184 (2000)を参照のこと。
一般的に「結合親和性」は、分子(例えば抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総合的な強度を意味する。特に明記しない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する内因性結合親和性を意味する。一般的に、分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(Kd)として表される。親和性は、本明細書中に記載のものを含む当業者に公知の共通した方法によって測定することができる。低親和性抗体は抗原にゆっくり結合して素早く解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は抗原により密接により長く結合したままとなる。結合親和性の様々な測定方法が当分野で公知であり、それらの何れかを本発明のために用いることができる。以下に結合親和性を測定するための具体的な例示的実施態様を記載する。
一実施態様では、本発明の「Kd」又は「Kd値」は、以下のアッセイにより説明される目的の抗体のFab型(バージョン)で実施される放射性標識した抗原結合アッセイ(RIA)で測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、段階的な力価の非標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)-標識抗原にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって測定される(例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999)を参照)。アッセイの条件を決めるために、ミクロタイタープレート(Dynex)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2〜5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)に、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した目的のFabと混合する(例えば、Presta等, (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599の抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致する)。ついで目的のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは確実に平衡状態に達するまでに長時間(例えば65時間)かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。そして、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTween20TM界面活性剤を含むPBSにて8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint−20TM; Packard)を加え、プレートをTopcountγ計測器(Packard)にて10分間計測する。最大結合の20%か又はそれ以下濃度のFabを選択してそれぞれ競合結合測定に用いる。
他の実施態様によると、Kd又はKd値は、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcore(登録商標)−2000又はBIAcore(登録商標)−3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いて表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%TWEEN20TM界面活性剤(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one−to−one Langmuir binding model)(BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(kon)及び解離速度(koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をkoff/kon比として算出した。例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293:865-881 (1999)を参照。上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop−flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM−AMINCOTM分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定することができる。
また、本発明の「結合速度」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」は、BIACORE(登録商標)−2000又はBIACORE(登録商標)−3000システム(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を用いて上記のように表面プラズモン共鳴アッセイにて測定される。
本明細書で用いる「実質的に類似」、「実質的に同じ」なる用語は、当業者が2つの数値(例えば、本発明の抗体に関連するもの、及び参照/比較抗体に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値)によって測定される生物学的性質上わずかに又は全く生物学的及び/又は統計学的有意差がないと認められるほど、2つの数値が有意に類似していることを意味する。前記2つの値間の差異は、参照/比較抗体についての値の好ましくは約50%以下、好ましくは約40%以下、好ましくは約30%以下、好ましくは約20%以下、及び/又は好ましくは約10%以下である。
本明細書で用いる「実質的に減少」、又は「実質的に異なる」という句は、当業者が2つの数値(一般に、本発明の抗体に関連するもの、及び参照/比較抗体に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値)によって測定される生物学的性質上統計学的に有意であると認められるほど、2つの数値が有意に異なっていることを意味する。前記2つの値間の差異は、例えば、参照/比較抗体に対する値に応じて、約10%より大きく、約20%より大きく、約30%より大きく、約40%より大きく、及び/又は約50%より大きい。
所定の実施態様において、本明細書にて有用なヒト化抗体はさらにIgGのFcにアミノ酸改変を含み、ヒト化FcRnに対して、更に野生型IgGのFcを有する抗体に対して、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、更に好ましくは少なくとも100倍、好ましくは少なくとも125倍、更により好ましくは少なくとも150倍から約170倍増加した結合親和性を示す。
「疾病」又は「疾患」は、本発明の物質/分子又は方法を用いた治療によって恩恵を得る任意の症状である。これには、問題とする疾患に哺乳動物がかかりやすくなる病理学的症状を含む慢性及び急性の疾病又は疾患を含む。ここで治療されるべき疾患の限定されない例として、悪性及び良性の腫瘍;非白血病及びリンパ系悪性腫瘍;神経、グリア、アストロサイト、視床下部、及び他の腺、マクロファージ、上皮、間質と割腔、疾患、及び炎症、免疫学的及び他の血管新生関連の疾患を含む。
「細胞増殖性疾患」及び「増殖性疾患」なる用語は、ある程度の異常な細胞増殖と関係している疾患を指す。一実施態様では、細胞増殖性疾患は癌である。一実施態様では、細胞増殖性疾患は血管形成である。
本明細書中の「腫瘍」とは、悪性か良性かにかかわらず、すべての腫瘍性細胞成長及び増殖と、すべての前癌性及び癌性細胞及び組織を指す。「癌」、「癌性」「細胞増殖性疾患」、「増殖性疾患」及び「腫瘍」なる用語は、本明細書に参照される場合互いに排他的でない。
「癌」及び「癌性」なる用語は、一般的に調節不可能な細胞増殖に特徴がある哺乳動物の生理学的状態を指すか又は表す。癌の例には、上皮癌、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病が含まれる。このような癌のより具体的な例には、扁平細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、及び肺の扁平癌腫(squamous carcinoma)を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃(gastric)又は腹部(stomach)癌(消化器癌を含む)、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路の癌、肝癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)又は腎(renal)癌、肝臓癌、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝細胞癌、及び様々なタイプの頭頸部癌、並びにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小非分割細胞NHL;バルキー疾患NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;及びワルデンストロームのマクログロブリン病を含む);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;及び移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、並びに、母斑症と関係する異常な血管性増殖、浮腫(脳腫瘍と関係するものなど)、メイグス症候群が含まれる。
「抗新生物性組成物」、「抗癌組成物」、又は「抗癌剤」なる用語は、少なくとも一の活性な治療剤、例えば「抗癌剤」を含む癌の治療に有用な組成物を指す。治療剤(抗癌剤)の例には、限定するものではないが、例えば化学療法剤、増殖阻害剤、細胞障害性剤、放射線療法において使用する薬剤、抗血管新生剤、抗リンパ脈管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、毒素、及び癌を治療するための他の薬剤、例えば抗HER-2抗体、抗CD20抗体、上皮性増殖因子レセプター(EGFR)アンタゴニスト(例えば、チロシンキナーゼインヒビター)、HER1/EGFRインヒビター(例えば、エルロチニブ(TarcevaTM)、血小板由来増殖因子インヒビター(例えば、GleevecTM(メシル酸イマチニブ))COX-2インヒビター(例えば、セレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、ErbB2、ErbB3、ErbB4又はVEGFレセプターの一又は複数に結合するアンタゴニスト(例えば、中和抗体)を含み、それらは以下のターゲット、ErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR−beta、BlyS、APRIL、BCMA VEGF、又はVEGFレセプター、TRAIL/Apo2、及び他のバイオ活性がある有機化学的薬剤の一以上に結合する。それらの組合せも本発明に包含される。
「血管形成因子又は薬剤」は、血管の発達を刺激するのに伴う、例えば脈管形成、血管内皮細胞増殖、血管の安定性及び/又は脈管形成などを促進する増殖因子又はそのレセプターである。例えば、血管形成因子には、例えば、VEGF及びVEGFファミリのメンバー及びそれらのレセプター(VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2及びVEGFR3)、PlGF、PDGFファミリー、線維芽細胞増殖因子ファミリー(FGF)、TIEリガンド(アンギオポイエチン、ANGPT1、ANGPT2)、TIE1、TIE2、エフリン、Bv8、デルタ様リガンド4(DLL4)、Del-1、線維芽細胞増殖因子:酸性(aFGF)及び塩基性(bFGF)、FGF4、FGF9、BMP9、BMP10、ホリスタチン、顆粒性コロニー刺激因子(G−CSF)、GM−CSF、肝細胞増殖因子(HGF)/スキャッター因子(SF)、インターロイキン-8(IL-8)、CXCL12、レプチン、ミドカイン、ニューロフィリン、NRP1、NRP2、胎盤増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD−ECGF)、血小板由来増殖因子、特にPDGF−BB、PDGFR−α又はPDGFR−β、プレイオトロフィン(PTN)、Progranulin、Proliferin、形質転換増殖因子-α(TGF-α)、形質転換増殖因子-β(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNFα)、Alk1、CXCR4、Notch1、Notch4、Sema3A、Sema3C、Sema3F、Robo4などが含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、ESM1及びパールカンのような、血管新生を促進する因子が含まれる。また、成長ホルモン、インスリン様増殖因子-I(IGF−I)、VIGF、上皮細胞増殖因子(EGF)、CTGF及びそのファミリのメンバー、及びTGF−α及びTGF−βなどの、創傷治癒を促進する因子を含むであろう。例として、Klagsbrun and D'Amore(1991)Annu. Rev. Physiol. 53:217-39;Streit and Detmar (2003) Oncogene 22:3172-3179;Ferrara & Alitalo (1999) Nature Medicine 5(12): 1359-1364;Tonini et al. (2003) Oncogene 22:6549-6556(例えば、公知の血管形成因子の一覧を示す表1);及びSato (2003) Int. J. Clin. Oncol. 8:200-206を参照。
本明細書中で用いる「VEGF」なる用語は、Leung et al. Science, 246:1306 (1989)、及びHouck et al. Mol. Endocrin., 5:1806 (1991)によって記載されているように、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子及び、関連した121-、189-、及び206-アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子、並びにそれらの天然に生じる対立遺伝子型及びプロセシング型を意味する。また、「VEGF」は、マウス、ラット又は霊長類などの非ヒト動物腫由来のVEGFも意味する。ときには、特定の種由来のVEGFは、ヒトVEGFはhVEGF、マウスVEGFはmVEGFなどの用語で表される。また、「VEGF」なる用語は、165アミノ酸のヒト血管内皮細胞増殖因子のアミノ酸8〜109、又は1〜109を含むポリペプチドの切断型を意味するために用いられる。そのようなVEGF型を指すときは、本明細書では、例えば、「VEGF(8−109)」、「VEGF(1−109)」又は「VEGF165」と表す。「切断した(切断型の)」天然のVEGFのアミノ酸位置は、天然のVEGF配列に示される数で示す。例えば、切断型の天然VEGFのアミノ酸位置17(メチオニン)は、天然のVEGF中の位置17(メチオニン)でもある。切断型の天然VEGFは天然のVEGFに匹敵するKDR及びFlt−1レセプター結合親和性を有する。好ましい実施態様によれば、VEGFはヒトVEGFである。
「VEGFアンタゴニスト」は、VEGF又は一又は複数のVEGFレセプター、又はそれらをコードする核酸への結合を含む、VEGF活性を中和、遮断、阻害、無効化、低減又は干渉することができる分子を指す。好ましくは、VEGFアンタゴニストは、VEGF又はVEGFレセプターに結合する。VEGFアンタゴニストは、抗VEGF抗体及びその抗原結合断片、VEGF及びVEGFレセプターに結合し、リガンド−レセプター相互作用(例えば、イムノアドヘシン、ペプチボディ(peptibodies))をブロックするポリペプチド、抗VEGFレセプター抗体、及びVEGFRチロシンキナーゼの小分子阻害剤などのVEGFレセプターアンタゴニスト、VEGFに結合するアプタマー、ストリンジェントな条件下でVEGF又はVEGFレセプターをコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸(例えば、RNAi)を含む。
好ましい一実施態様によれば、VEGFアンタゴニストはVEGFに結合し、インビトロでVEGF誘導性血管内皮細胞増殖を阻害する。好ましい一実施態様によれば、VEGFアンタゴニストは、非VEGF又は非VEGFレセプターよりも大きい親和性を有するVEGF又はVEGFレセプターに結合する。好ましい一実施態様によれば、VEGアンタゴニストは、1uMと1pMの間のKdを持つVEGF又はVEGFレセプターに結合する。別の好ましい実施態様によれば、VEGFアンタゴニストは、VEGF又はVEGFレセプターに500nMから1pMの間で結合する。
好ましい実施態様によると、VEGFアンタゴニストは、抗体、ペプチボディ(peptibody)、イムノアドヘシン、小分子又はアプタマーなどのポリペプチドなどから選択される。好ましい実施態様では、抗体は、AVASTIN(登録商標)抗体又は抗VEGFR2又は抗VEGFR3抗体などの抗VEGFレセプター抗体などの抗VEGF抗体である。VEGFアンタゴニストの他の例は、VEGF−Trap、Mucagen、PTK787、SU11248、AG−013736、Bay439006(ソラフェニブ)、ZD−6474、CP632、CP−547632、AZD−2171、CDP−171、SU−14813、CHIR−258、AEE−788、SB786034、BAY579352、CDP−791、EG−3306、GW−786034、RWJ−417975/CT6758及びKRN−633を含む。
「抗VEGF抗体」は、十分な親和性と特異性を有してVEGFと結合する抗体である。好ましくは、本発明の抗VEGF抗体が、VEGF活性を伴う疾患又は症状を標的として妨げる際の治療薬として用いることができる。抗VEGF抗体は、通常、VEGF-B又はVEGF-Cなどの他のVEGFホモログにも、PlGF、PDGF又はbFGFなどの他の成長因子にも結合しない。好ましい抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709により生産されるモノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープと結合するモノクローナル抗体である。より好ましい抗VEGF抗体は、Presta et al. (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体であり、限定するものではないがベバシズマブ(bevacizumab)(BV;アバスチン(登録商標))として知られる抗体が含まれる。別の実施態様によれば、使用することができる抗VEGF抗体は、限定されないが、国際公開第2005/012359号に開示された抗体を含む。一実施態様によれば、抗VEGF抗体は、国際公開第2005/012359号の図24、25、26、27及び29に開示されている抗体のいずれか1つの可変重鎖及び可変軽領域を含む(例えば、G6、G6−23、G6−31、G6−23.1、G6−23.2、B20、B20−4及びB20.4.1)。別の好ましい実施態様では、ラニビズマブとして知られている抗VEGF抗体は、糖尿病性神経障害及びAMDなどの眼疾患に対して投与するVEGFアンタゴニストである。
「rhuMAb VEGF」又は「アバスチン(登録商標)」としても知られる抗VEGF抗体「ベバシズマブ(BV)」は、Presta等(1997) Cancer Res. 57: 4593-4599に従って生成される組み換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、変異したヒトIgG1フレームワーク領域及びヒトVEGFのそのレセプターへの結合をブロックするマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域を含有する。ほとんどのフレームワーク領域を含む、ベバシズマブのおよそ93%のアミノ酸配列はヒトIgG1由来のものであり、配列のおよそ7%はマウス抗体A4.6.1由来である。ベバシズマブは、およそ149,000ダルトンの分子質量であり、グリコシル化される。他の抗VEGF抗体は、米国特許第6884879号及び国際公開第2005/044853号に記載の抗体を含む。
抗VEGF抗体ラニビズマブ又はLUCENTIS(登録商標)抗体又はrhuFab V2は、ヒト化、親和性成熟した抗ヒトVEGF Fab断片である。ラニビズマブは、大腸菌の発現ベクター及び細菌発酵の標準的な組換え技術の方法によって製造される。ラニビズマブは、グリコシル化されておらず、〜48000ダルトンの分子量を有する。国際公開第98/45331号及び米国特許出願公開第20030190317号を参照。
血管形成調節不全により、異常な血管形成につながる可能性があり、例えば、病態において、新しい血管の過度の、不十分な、あるいは不適切な成長(例えば、医学的見地から好ましくない血管形成の場所、時期又は開始)、又は血管形成疾患などの病態を引き起こす。病気の状態の悪化に寄与したり、病気の状態を引き起こす新しい血管の成長がある場合、過度の、不適切な又は調節できない血管新生が発生する。新しい血管は、病変組織を供給する正常組織を破壊し、癌の場合には、新しい血管は、腫瘍細胞が循環へと逃れ、他の臓器にとどまる(腫瘍転移)ことを可能とする。異常な血管形成(すなわち、脈管形成疾患)を含む疾患の状態は、非腫瘍性及び腫瘍性の条件の両方を含み、例えば、癌、特に血管固形腫瘍及び転移性腫瘍(大腸癌、乳癌、肺癌(特に小細胞肺癌)、脳腫瘍(特に神経膠芽腫)や前立腺癌を含む)、望ましくない又は異常な肥大、関節炎、慢性関節リウマチ(RA)、乾癬、乾癬の斑、サルコイドーシス、アテローム性動脈硬化、アテローム動脈硬化性斑、未熟児の網膜症を含む糖尿病性及び他の増殖性の網膜症、水晶体後繊維増殖、血管新生緑内障、年齢関連性黄斑変性、糖尿病性黄斑浮腫、角膜血管新生、角膜移植片血管新生、角膜移植片拒絶、網膜/脈絡叢血管新生、虹彩前面(ルベオーシス)の血管新生、眼性新生血管疾患、脈管再狭窄、動静脈奇形(AVM)、髄膜腫、血管腫、血管線維腫、甲状腺の過形成(グレーブズ病を含む)、角膜及び他の組織移植、慢性炎症、肺炎症、急性肺損傷/ARDS、敗血症、原発性肺高血圧症、悪性の肺滲出、大脳浮腫(例えば、急性脳卒中/非開放性頭部損傷/外傷と関連している)、滑液炎症、RAのパンヌス形成、筋炎骨化、高親和性骨形成、骨関節炎(OA)、抵抗性腹水、多嚢胞性卵巣の疾患、子宮内膜症、液体性疾患の第3の間隔(3rd spacing)(膵炎、コンパートメント症候群、熱傷、腸疾患)、子宮類線維腫、早産、慢性炎症、例えばIBD(クローン病及び潰瘍性大腸炎)、腎臓同種異系移植片拒絶反応、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群、望ましくない又は異常な組織塊成長(癌以外)、血友病関節、肥大した瘢痕、体毛成長の抑制、Osler-Weber症候群、化膿性肉芽腫水晶体後繊維増殖、強皮症、トラコーマ、脈管粘着力、関節滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水、心嚢貯留液(例えば心外膜炎と関連しているもの)及び胸水が含まれる。
ここで使用される「治療」とは、治療される個体又は細胞の自然の経過を変化させる試みにおける臨床的介入を意味し、予防のため、又は臨床病理経過中に実施することができる。治療の所望する効果には、疾患の発症又は再発の予防、症状の緩和、疾病の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減少、転移の予防、疾病の進行速度の低減、病状の回復又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。ある実施態様では、本発明の抗体は、疾患又は疾病の進行を遅らせるために用いられる。
「有効量」とは、所望される治療的又は予防的結果を達成するのに必要な期間、必要な用量での有効量を意味する。
個体に所望する反応を引き出すために、本発明の物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの「治療的有効量」は、病状、年齢、性別、個体の体重、及び、物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの能力等の要因に応じて変わり得る。また、治療的有効量とは、物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの任意の毒性又は有害な影響を、治療的に有益な効果が上回る量である。「治療的有効量」なる用語は、哺乳動物(別名患者)における疾患又は障害を「治療」するために有効な、本発明の抗体、ポリペプチド又はアンタゴニストの量を指す。癌の場合には、薬剤の治療的有効量は、癌細胞の数を減らし、腫瘍の大きさや重量を減少させ、末梢器官へのの癌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度ゆっくりと好ましくは停止させ)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度ゆっくりと、好ましくは停止させ)、ある程度、腫瘍の成長を阻害し、及び/又は、ある程度癌に伴う症状の一又は複数の症状を緩和する。薬が既存の癌細胞の成長を防ぐか及び/又は死滅させることができる程度に、それは細胞増殖抑制性及び/又は細胞傷害性であり得る。一実施態様では、治療上有効な量は、増殖阻害量である。別の実施態様では、治療的有効量は患者の生存期間を延長させるする量である。別の実施態様では、治療的有効量は患者の無増悪生存期間を改善する量である。
「予防的有効量」は、所望する予防的結果を達成するのに必要な期間、用量で有効な量を意味する。必ずではないが、典型的には、しかし必ずではないが、予防的用量は、疾病の前又は初期の段階に患者に使用されるので、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
ここで用いられる「細胞障害性剤」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞死又は破壊を生ずる物質を意味する。この用語は、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射性同位元素)、化学治療薬、例えばメトトレキセート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド類(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素、抗生物質、及び毒素、例えばその断片及び/又は変異体を含む小分子毒素又は細菌、糸状菌、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素、そして下記に開示する種々の抗腫瘍又は抗癌剤を含むように意図されている。他の細胞毒性剤を以下に記載する。殺腫瘍性剤は、腫瘍細胞の破壊を引き起こす。
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標登録))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(ドロナビロール、MARINOL(登録商標));β−ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン(HYCAMTIN(登録商標)、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレチン、及び9−アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;ドゥオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばAngew. Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)参照);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;エスペラマイシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorbicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えばメトトレキセート、及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリンアナログ、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone);抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー(replenisher)、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidainine);メイタンシノイド(maytansinoid)類、例えばメイタンシン(maytansine)及びアンサミトシン(ansamitocine);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidanmol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特にT-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(ELIDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners, シャンバーグ、イリノイ州)及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhome-Poulene Rorer, Antony, France);クロランブシル;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナアナログ、例えばシスプラチン、及びカルボプラチン;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標))、オキサリプラチン、ロイコボビン、ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン(novantrone);エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロナート(ibandronate);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン(XELODA(登録商標));上述したものの薬学的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体、並びに、上記のうちの2つ以上の組み合わせ、例えば、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略称)、及びFOLFOX(5−FU及びロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATINTM)を用いる治療計画の略称)が含まれる。追加の化学療法剤は、メイタンシノイド(DM1など)、例えばアウリスタチン(auristatins)MMAE及びMMAF、などの抗体薬物結合体として有用な細胞傷害性薬剤が含まれる。
本明細書中に定義される化学療法剤には、癌の成長を促しうるホルモンの作用を調節、低減、遮断又は阻害するように働く、「抗ホルモン剤」が含まれ、しばしば全身性の、又は全身治療の形態であってもよい。それらはそれ自体がホルモンであってよい。例として、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)を含み、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、EVISTA(登録商標)ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びFARESTON(登録商標)トレミフェン;抗プロゲステロン、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(ERD);卵巣を抑制又は活動停止することに機能する薬剤、例えば、LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標)酢酸ロイプロリド、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン及びトリプトレリン(tripterelin)などの黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)などの他の抗アンドロゲン;及び副腎のエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾールを含む。更に、化学療法剤のその定義では、ビスフォスフォネートを含み、例えば、クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、DIDROCAL(登録商標)エチドロネート、NE−58095、ZOMETA(登録商標)ゾレドロン酸/ゾレドロネート、FOSAMAX(登録商標)アレンドロネート、AREDIA(登録商標)パミドロネート、SKELID(登録商標)チルドロネート、又はACTONEL(登録商標)リセドロネート、並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に接着細胞の増殖に結びつくシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えばPKC−α、Raf、H−Ras、及び上皮成長因子レセプター(EGF−R)、THERATOPE(登録商標)ワクチン及び遺伝子治療ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標)などのワクチン、LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1インヒビター、ABARELIX(登録商標)rmRH、ラパチニブジトシラート(またGW572016として知られているのErbB−2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤)、及び上記何れかの薬学的に許容可能な塩類、酸類及び誘導体類を含む。
ここで用いられる際の「増殖阻害剤」は、細胞の成長及び/又は増殖を阻害する化合物又は組成物を意味する。増殖阻害剤の例は、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)阻害する薬剤、例えばG1停止又はM期停止を誘発する薬剤を含む。古典的なM期ブロッカーは、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキサン類、及びトポイソメラーゼII阻害剤、例えばアントラサイクリン系抗生物質ドキソルビシン((8S-シス)-10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキ-α-L-リキソ-ヘキサピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシル-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-5,12-ナフタセンジオン)、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンを含む。またG1停止させるこれらの薬剤は、S期停止にも波及し、例えば、DNAアルキル化剤、例えば、タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びアラ-Cである。更なる情報は、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael,編, 第一章, 表題「Cell cycle regulation, oncogene, and antineoplastic drugs」,Murakami et al., (WB Saunders: Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。タキサン類(パクリタキセル及びドセタキセル)は、共にイチイに由来する抗癌剤である。ヨーロッパイチイに由来するドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、ローン・プーラン ローラー)は、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、ブリストル−マイヤー スクウィブ)の半合成類似体である。パクリタキセル及びドセタキセルは、チューブリン二量体から微小管の集合を促進し、細胞の有糸分裂を阻害する結果となる脱重合を防ぐことによって微小管を安定化にする。
本明細書において使用される用語「患者」は、任意の一動物、より好ましくは哺乳動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウサギ、動物園の動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、及びヒト以外の霊長類いった非ヒト哺乳動物を含む)を意味する。最も好ましくは、本明細書の患者はヒトである。
本明細書中における「被検体」は、血管新生疾患の1つ以上の徴候、症状又は他の指標を経験しているか又は経験した治療の資格のある患者を含む、任意の単一のヒト被験体である。被検体として含まれると意図されるのは、疾患の臨床的兆候を見せていない臨床研究臨床試験に関与している任意の被検体、又は、疫学研究に関与している被検体、又はコントロールとして一度使用された被検体である。被検体は、以前は抗癌剤で治療されたか、又はそのように治療されていない場合があり得る。被検体は、本明細書の治療が開始されるとき、使用されている第二の医薬に対してナイーブである可能性があり、すなわち、「ベースライン」で(すなわち、本明細書中の治療における抗癌剤の最初の用量の投与前の設定時点において、例えば、治療が開始される前に被検体を検診する日に)、被検体は、例えば、抗腫瘍剤、化学療法剤、成長阻害剤、細胞傷害性薬剤で以前に治療されていない可能性がある。このような「ナイーブ」な被験者は、一般的に、第二の医薬による治療の候補と見なされる。
「有効量」なる用語は、例えば、癌を含む血管障害又はリンパ管疾患の治療に有効である医薬の量を指す。
「薬学的製剤」なる用語は、医薬の生物学的活性を有効にする形態で存在し、製剤を投与する被検体にとって許容できない毒性がある他の成分を含まない無菌の調製物を指す。
「無菌の」製剤は、防腐性であるか、又は生きているすべての微生物及びそれらの胞子を含まない。
「パッケージ挿入物」という用語は、効能、用法、用量、投与、禁忌、そのパッケージ製品と組み合わされる他の治療製品、及び/又は治療製品又は医薬の使用に関する警告についての情報を含む、治療製品又は医薬の商業的包装に慣習的に含まれた指示書を指す。
「キット」は、少なくとも一の試薬、例えば、血管新生障害の治療のための医薬、又は本発明のバイオマーカー遺伝子又はタンパク質を特異的に検出するためのプローブを含む任意の製造品(例えば、パッケージ又は容器)である。製造品は、本発明の方法を行うためのユニットとして宣伝され、流通され、又は市販されることが好ましい。
薬剤に対する非応答のために、一又は複数の医薬による以前又は現在の治療から「毒性の臨床的に容認できないほど高いレベル」を経験した患者は、経験豊かな臨床医により重大であると見なされたそれに関連する負の副作用又は有害事象、例えば、重篤な感染症、うっ血性心不全、脱髄(多発性硬化症につながる)、重要な過敏症、神経病理学的事象、高度の自己免疫、子宮内膜癌、非ホジキンリンパ腫、乳癌、前立腺癌、肺癌、卵巣癌などの癌、又は黒色腫、結核(TB)などを経験する。
「負の副作用のリスクを軽減する」により、以前に投与した薬剤により同じ患者又は他の患者の治療に起因する観察されたリスクよりも低い程度で、本明細書のアンタゴニストによる治療に起因する副作用のリスクを減らすことを意味する。そのような副作用は、毒性に関する上述したものを含み、好ましくは感染症、癌、心不全、又は脱髄である。
「相関」又は「相関する」は、任意の方法で、第一の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果を、第二の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第二のプロトコルを行う際に第一の分析又はプロトコルの結果を用いてもよいし、及び/又は第一の分析又はプロトコルの結果を用いて、第二の分析又はプロトコルを行うかどうかを決定してもよい。遺伝子発現分析又はプロトコルの実施態様に関し、遺伝子発現分析又はプロトコルの結果を用いて、特定の治療投薬計画を実行するかどうかを決定してもよい。本明細書の様々な実施態様に関して、抗VEGF抗体などの抗癌剤を使用して、特定の治療計画を実行すべきかどうかを判断するために、分析アッセイの結果を用いても良い。
III.方法
本発明は、抗癌剤に感受性である可能性が高い患者を同定するための方法、抗癌剤治療の有効性をモニタリングするための方法、転移を受ける可能性が増加している患者を同定するための方法、及び抗癌剤の投与量を最適化するための方法を提供する。本方法は、(a)抗癌剤の少なくとも一回の投与量を受けた患者に造影剤を投与すること、(b)患者における腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管のリンパ脈動周波数を検出し、及び(c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管の脈動周波数と比較することを含む。リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が抗癌剤に応答する可能性が増加している患者を同定する。リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の増加が転移を受ける可能性が増加している患者を同定する。リンパ管のリンパ脈動周波数の変化は有効用量としての投与量を同定する。リンパ脈動周波数の無変化は最大有効用量としての投与量を同定する。いくつかの実施態様において、本方法はさらに、患者への抗癌剤の有効量を投与することを含む。いくつかの実施態様において、方法はさらに、患者に対する第二、第三、又は第四の抗癌剤の有効量を投与することを含む。
A.イメージング方法
開示された方法及びアッセイは、リンパ管の機能(例えば、リンパ脈動周波数又はバルクリンパ輸送)を検出することにより、患者を治療するための適切な又は効果的な治療法を評価する上で有用なデータと情報を得るための簡便で、効率的で、潜在的に費用対効果の高い手段を提供する。本方法は、様々な造影剤及びデバイスを用いて実施され得る。適切な検出方法及びデバイスが例えば、Sharma et al., Am. J. Physiol. Heart. Circ. Physiol. 292:H3109-3118 (2007); Sharma et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 1131:13-36 (2008), Rasmussen et al., Curr. Opin. Biotech. 20: 74-78 (2009)、及びPCT国際公開第2008//025005号及び国際公開第2008/02500号に記載される。本明細書に記載の方法を使用して、例えば、組織又皮膚表面下の少なくとも約1cm、2cm、又は3cmの深さに位置するリンパ管を含む、組織又皮膚表面の奥深くにあるリンパ管を撮像することができる。
造影剤が腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管に到達し、当該分野で公知の方法及び装置を用いて検出することができるように、造影剤が患者に投与される。造影剤は、注射器又はカテーテルを含む任意の適切な手段を通じて、及び皮内、皮下、又は筋肉内を含む任意の適切な経路を介して個々に投与することができる。造影剤は例えば、生理食塩水などの溶液中に適切な濃度に希釈することができる。例えば、溶液中で変更される造影剤の濃度は約1μMから約400μM、約10μMから約200μM、又は約25μMから約100μMであり得る。任意の適切な量の造影剤を投与することができる。例えば、投与量は約1μgから約100μg、約1μgから約75mg、約1μgから約50mg、約1μgから約25mg、約1μgから約10mg、約1μgから約5mg、又は約1μgから約1mgであり得る。
リンパ系で造影剤を励起するために、励起光源により励起光が目的の標的領域上の組織表面に照射され得る。適切な光源の例としては、例えば、レーザーダイオード、半導体レーザー、ガスレーザー、発光ダイオード(LED)、又はそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施態様では、励起光源は、連続波光源、すなわち、光の連続的な強度を発する光源である。光源は、約550nmから約1000nm、約600nmから約950nm、約700nmから約900nm、又は約750nmから約850nmの波長を有する光を発しうる。あるいは、励起光源は、時間的に変化する光源、すなわち、変化する光の強度を発する光源であり得る。励起光源の強度変調は、例えば正弦波、方形波、ランプ波変調であり得る。いくつかの実施態様では、励起光源は、特定の周波数及び繰り返し率でパルス化され得る。周波数及び繰り返し率も時間とともに可変させることができる。励起光源の時間変化は、本明細書中に記載の方法と組み合わせて使用される造影剤の寿命の大きさの約1桁から約3桁であり得る。
励起光による組織表面のイルミネーションにより、患者に投与された造影剤は、蛍光を発する。センサーが、蛍光造影剤からの発光を検出又は感知するために使用することができる。センサーは、好ましくは、蛍光ターゲットから発光した蛍光を検出でき、及び媒体から反射された励起光を検出することができる。実施態様では、センサーは電荷結合カメラ(CCD)を含み得る。適切なセンサーの他の例は、限定されないが、ゲート又は非ゲート電子倍増(EM)-CCDカメラ又は増感(ICCD)カメラを含む。センサーは、さらに蛍光光トモグラフィー及びイメージングに必要な光の適切な波長を測定するために必要な任意の適切なフィルター又は偏光板を含み得る。
一実施態様では、リンパ構造を介するリンパ推進力の一連のリアルタイム画像(すなわち、映画又はビデオ)を作成するために、造影剤から放出される光の画像を連続的に撮るか又は取得することで、造影剤からの蛍光発光が連続的に検出され得る。画像は、例えば、約100ミリ秒から約30分、約1分から約20分、又は約5分から約15分の期間取り込まれ得る。更に画像は、例えば約1ミリ秒から約5秒、約10ミリ秒から約1秒、又は約100ミリ秒から約800ミリ秒の任意の適正な積分時間で取り込まれるか又は記録され得る。したがって、時間間隔及びフレームレートに応じて、収集された画像は100画像から1000画像を越える範囲となり得る。リンパ構造を介してポンピングされる造影剤を追跡することによって、リンパ推進力及び機能を定量的かつ正確に測定することができる。加えて、記録された画像の配列がリンパ構造(例えば、リンパ管)を介して推進され又は輸送される造影剤の一又は複数のパケット又は塊の永久的な光学的記録を与え、それについて、更なる分析がリンパ機能(例えば、リンパ脈動周波数又はバルクリンパ輸送などのリンパ輸送)を評価するために実施され得る。リンパ脈動周波数を定量化するために、静止標的領域又は目的の領域が蛍光リンパ管で同定され得る。標的領域又は目的の領域は、測定が具体的に行われうるリンパ管に沿った点である。特定の標的領域又は目的の領域での蛍光強度はその後一定の期間にわたって連続的に測定することができる。造影剤のパケットがリンパ管を通過すると、蛍光強度において対応するスパイク又はピークを測定することができる。リンパ管のリンパ脈動周波数は、測定したパルスの数を測定期間で割ることによって定量化することができる。例えば、8つの強度ピークが5分の期間にわたって測定された場合、パルス周波数はおよそ1.6パルス/分に等しくなる。したがって、上記に開示される方法は、リンパ脈動周波数を評価するための定量的及び非侵襲的な方法である。
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、断層撮影と組み合わせて使用され得る。
当技術分野で公知の任意の適切な造影剤を本発明の方法において使用することができる。適切な造影剤の例として、例えば、トリカルボシアニン色素、ビス(カルボシアニン)色素、カルボシアニン色素、インドール含有色素、ポリメチン染料、アクリジン、アントラキノン、ベンズイミダゾール、インドレニン、ナフタルイミド、オキサジン、オキソノール、ポリエン、ポルフィン、スクアライン、スチリル、チアゾ−ル、キサンチン、又はそれらの組み合わせを含む。適切な造影剤の例としてはまた、例えば、インドシアニングリーン、AlexaFluor(登録商標)色素(インビトロジェン);Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700及びAlexa Fluor 750、y色素(GE)、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、IRDyes(Li−Cor);IRDye700、IRDye800、Quantum dots(インビトロジェン);Qdot565、Qdot585、Qdot605、Qdot625、Qdot655、Qdot705、Qdot800、AngioSense680及び750、AngioSpark680及び750、VivoTag680及び750(VisEn)、IRdye(シグマ);IRdye740、IRdye707、IRdye743、IRdye648、IRdye814、IRdye638、IRdye762、IRdye711、IRdye784、IRdye701、IRdye712、IRdye768、IRdye683、IRdye695、IRdye668、ジピコリルシアニン(dipicolylcyanine)(DIPCY)、蛍光タンパク質:mCherry、IFP1.4、DsRed、HcRed、mPlum、mRFP(Wang et al 2008にレビューされる), X−Sight色素(Carestream Health);X−Sight 640、X−Sight 670、X−Sight 549ナノ粒子、X−Sight 650ナノ粒子 X−Sight 691ナノ粒子、X−Sight 761ナノ粒子,ローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、DyLight(ThermoFishcer);DyLight549、DyLight594、DyLight633、DyLight649 DyLight680、DyLight750、DyLight800、ナイルレッド、CF色素(Biotium);CF680、CF750、CF770、XenoLight(Caliper);XenoLightCF680、XenoLightCF750、XenoLightCF770、XenoFluor680、XenoFluor750、TransFluoSpheres(Molecular Probes):543/620、633/720、633/760、FluoSpheres(Molecular Probes):橙色、赤橙色、赤、カルミン、深紅色、緋色、暗赤色。
いくつかの実施態様では、造影剤は、例えば、ポリエチレングリコール、メトキシポリ(エチレングリコール)、デキストラン、又はアルブミンを含めむ担体に結合される。
当該分野で公知の任意の適切な検出装置を、本明細書中に記載の方法において使用することができる。
好ましくは、検出装置は、1mmの最小視野を有し、及び3)フレームレートが0.5Hzで、個々のリンパ管を可視化する分解能を有する。適切な装置の一般的なコンポーネントは、例えば、光源(LED、白色光、レーザー等)、フィルター、レンズ(複数)、検出器(CCD、ICCD、EMCCD、PMT等)及び、フレームグラバーを搭載したコンピュータが含まれる。適切な検出装置は、例えば、蛍光内視鏡、落射蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、及び2光子顕微鏡、マクロイメージングシステム及び動物全体のイメージングシステムが含まれる。
当該分野で公知の他の非蛍光ベースのイメージングの方法論は、本明細書中に記載の方法において使用することができる。いくつかの実施態様において、発光剤は適切な担体に結合したり、又は発光イメージング機器によりリンパ脈動及びリンパ輸送を視覚化し及び測定するために遊離型薬剤(free agents)として使用される。適切な発光イメージング薬剤は、例えば、ルシフェラーゼ及びBRET−Qdotsを含む(Kosaka et al., Contrast Media and Mol. Im. DOI:10.1002/cmmi.395 (2010)。
いくつかの実施態様において、光音響イメージングによりリンパ脈動及び輸送を視覚化し、測定するために、光音響イメージング剤は、適当な担体に結合されるか又は遊離型薬剤として使用される(Song et al., Med. Phys. 36:3724-9 (2009), Erpelding et al., Radiology 256:102-10 (2010), Kim et al., Radiology 255:442-50 (2010))。適切な光音響イメージング剤は、例えばエバンスブルー (Song et al., Med. Phys. 36:3724-9 (2009))、メチレンブルー (Erpelding et al., Radiology 256:102-10 (2010))及びインドシアニングリーン(Kim et al., Radiology 255:442-50 (2010))を含む。
いくつかの実施態様では、リンパ管は、光コヒーレンス・トモグラフィー(McLaughlin et al., Cancer Res. 70:2579-84 (2010))、及び光周波数領域イメージング(OFDI)(Vakoc et al., Nat. Med. 15:1219-24 (2009))を含む、当該分野で公知の他のイメージング方法を用いて直接観察することができる。検出及び感度を高めるために、コントラスト剤をこれらの方法で使用することができる。
当該分野で公知の他の非光学に基づく検出装置は、本明細書中に記載の方法で使用され得る(Clement and Luciani Eur. Radiol. 14:1498-1507 (2004), Barrett et al. Contrast Media and Mol. Img. 1:230-245 (2006))。いくつかの実施態様では、磁気共鳴イメージング(MRI)剤は、MRIによってリンパ脈動及び輸送を視覚化し測定するために使用される(Motoyama et al., Surgery 141:736-47 (2007), Ruddel et al. Neoplasia 10:706-13 (2008)及びNotohamiprodjo et al., Eur. Radiol. 19:2771-8 (2009))。適切な造影剤は、例えば、酸化鉄粒子(Motoyama et al., Surgery 141:736-47 (2007))、ナノチューブ(Ananta et al., Nano Lett. 9:1023-27 (2009))、ガドリニウムジメグルミン(Notohamiprodjo et al., Eur. Radiol. 19:2771-8 (2009))、及びガドリニウムベースのナノチューブ(Sitharaman and Wilson J. Nanomed. 1:291-5 (2006))を含む。MRI薬剤は、適切な担体に結合したり、又は遊離型薬剤として使用することができる。
いくつかの実施態様では、超音波造影剤が、超音波イメージングによるリンパ脈動及び輸送を視覚化し及び測定するために使用される(Curry et al., Ann. Otol Rhinol Laryngol. 118:645-50 (2009))。適切な超音波造影剤は、例えば、パーフルオロブタンマイクロバブル(Sonazoid、アマシャム)を含む。超音波造影剤は、適切な担体に結合したり、又は遊離型薬剤として使用することができる。
いくつかの実施態様では、放射性ヌクレオチドが、陽電子放出型断層撮影(PET)、単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)又は時間分解X線撮影イメージングにより、リンパ脈動及び輸送を視覚化し及び測定するために使用される(Weiss et al., Eur. J. Nuc. Med. Mol. Img. 30:202-6 (2003), Mar et al., J. Nuc. Med. Tech 35:10-16 (2007))。適切な放射性核種は、例えば、Tc-99、F-18、Cu-64I-124、Br-76、Br77、C-11、In-111、I-123、Y-86、Cu-60、Cu-61、及びZr-89を含む。放射性核種は、適切な担体に結合したり、又は遊離型薬剤として使用することができる。
いくつかの実施態様では、コンピュータ断層撮影(CT)造影剤が、コンピュータ断層撮影イメージングによるリンパ脈動及び輸送を視覚化し及び測定するために使用される(Suga et al., Radiology 230:543-552 (2004), Suga et al., Radiology 237:952-60 (2005))。適切なCT造影剤は、例えば、イオパミドールを含む(Suga et al., Radiology 230:543-552 (2004))。CT造影剤は適切な担体に結合したり、又は遊離型薬剤として使用することができる。
B.更なる方法
造影剤を使用する本明細書の上記記載の方法に加えて、臨床医は、抗癌剤の特定の投与方式の有効性を測るために、当技術分野で知られているいくつかの方法のいずれかを使用することができる。例えば、インビボでのイメージング(例えば、MRI)は、治療に対して相対的に効果的な反応性を決定するために、腫瘍の大きさを決定し、任意の転移を同定するために使用することができる。投薬計画は、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調整することができる。例えば、一服用量を投与されてよく、いくつかの分割用量が時間をかけて投与されてもよく、又は治療状況の緊急性により示される通りに、その用量は比例して減少されるか又は増加させることができる。
当該技術分野における通常の技術を有する医師は、抗癌剤の特定の種類などの要因に応じて、必要な薬学的組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば、医師は、薬学的組成物で用いられる抗NRP2抗体、抗VEGF−C抗体、又は抗VEGF抗体などの抗癌剤の投与量を、望ましい治療効果を達成するために必要な用量よりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増加させることができる。アンタゴニストの与えられた用量の有効性又は治療計画は、例えば、有効性の標準的な指標を用いて、患者の兆候又は症状を評価することによって、決定することができる。
更に別の実施態様では、被験体は、少なくとも二回、抗NRP2抗体、抗VEGF−C抗体、又は抗VEGF抗体等の同一の抗癌剤で治療される。従って、初回及び第二回目のアンタゴニストの曝露は、同じアンタゴニストによるのが好ましく、及びより好ましくはアンタゴニストの曝露の全ては、同じアンタゴニストにより、すなわち、最初の2回の曝露、及び好ましくは全ての曝露に対する治療は、一種類の型の抗癌剤により、例えば、抗VEGF抗体などのVEGFに結合するアンタゴニストにより、例えば全てはベバシズマブによる。
本明細書に定めるすべての本発明の方法では、抗癌剤は(例えばVEGFに結合する抗体など)、ネイキッド抗体など非結合型であって良く、又は更なる有効性のため、例えば半減期を向上するために、別の分子に結合されても良い。
本明細書における一つの好ましい抗癌剤は、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体、例えば、抗VEGF抗体であり、好ましくはベバシズマブである。
別の実施態様では、VEGFアンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)は被験体に投与する唯一の医薬である。
一実施態様では、アンタゴニストは抗VEGF抗体であり、約100mg又は400mgの投与量を毎週、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに投与され、もしくは1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、又は20mg/kgの投与量を毎週、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに投与される。投与量は注入などによる単回投与又は複数回の投与(例えば、2回又は3回の投与)で投与され得る。
更に別の態様において、本発明は、診断ステップの後に、癌と診断された被検体に抗癌剤(例えば、抗VEGF抗体)の投与を続けるかどうかを決定する方法を提供し、該方法は、最初にアンタゴニストを投与した後に、X線及び/又はMRIなどのイメージング技術を用いて、腫瘍の大きさの縮小を測定することを含み、2回目にアンタゴニストを投与した後に、X線及び/又はMRIなどのイメージング技術を用いて、腫瘍の大きさの縮小を測定することを含み、初回及び2回目の被検体における画像上の知見を比較し、もしそのスコアが初回よりも2回目で小さい場合には、アンタゴニストの投与を続行することを含む。
更に別の実施態様では、投与段階後に治療に対する患者の応答を試験し、その応答のレベルが血管新生疾患の治療に有効であることを決定するために、一段階が治療方法に含まれる。例えば、一段階は投与後のイメージング(X線及び/又はMRI)スコアを試験し、それを投与前に得た基準のイメージング結果と比較し、それが変化しているか、及びどの程度変化しているかを測定することにより、治療が効果的であるかを決定することを含む。この試験は、部分的又は完全な寛解の維持を確定するため、投与後に、定期に又は不定期に様々な時間間隔で繰り返され得る。
本発明の一実施態様では、VEGFアンタゴニスト、例えば抗VEGF抗体以外の医薬は、癌を治療するために被験体に投与されない。
本明細書のいずれかの方法では、抗癌剤は、第二の医薬の有効量と組み合わせて投与され得る。適切な第二の医薬は、例えば、抗リンパ管新生剤、抗血管新生剤、抗新生物剤、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞毒性剤、又はそれらの組み合わせを含む。
これらのすべての第二の医薬は、第一の医薬とともにお互いに組み合わせるか又は単独で使用され得、本明細書で使用される「第二の医薬」なる表現は、それが第一の医薬に加えて唯一の医薬であることを意味しない。従って、第二の医薬は単一の医薬である必要はなく、複数のそうした薬物を構成するか又は含み得る。
本明細書に記載のこれらの第二の医薬は、一般的には本明細書の以上で使用されるのと同じ用量でかつ同じ投与経路によるか、又は従来用いられる投与量の約1%から99%で使用される。仮にそうした第二の医薬が使用される場合、好ましくは、第一の医薬が存在していなかった場合、それによって引き起こされる副作用を除去又は減少させるように、特に第一の医薬の初回投薬後の続く投薬におけるよりも低量で使用される。
第二医薬がアンタゴニストの曝露により効果的な量で投与される、本明細書に記載の再治療法において、第二医薬は例えば一回の曝露によるのみか又は複数の曝露によるかなど、任意の曝露で投与され得る。一実施態様において、第二の医薬は、初回の曝露により投与される。その他の実施態様において、第二の医薬は、初回及び2回目の曝露により投与される。更に他の実施態様では、第二の医薬は、全ての曝露により投与される。ステロイド等の初回曝露後に、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びシクロホスファミド等の副作用を持つ薬剤に対する被検体の曝露を減少させるように、そうした第二の医薬の量は減少され又は除去されるのが望ましい。
第二の医薬の併用投与は共投与(同時投与)を含み、別々の製剤か又は単一の薬学的製剤、及び何れかの順番による連続投与を用い、好ましくは両方(又は全て)の活性薬剤(医薬)が同時にその生物学的活性を発揮する期間がある。
抗癌剤は、非経口、局所、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、及び/又は病巣内投与を含む任意の適当な手段によって投与される。非経口注入は、静脈内(i.v.)、動脈内、腹腔内、又は皮下投与を含む。髄腔内投与もまた考慮される。更に、抗癌剤は、例えば抗癌剤の用量を減少させつつ、パルス注入により、適切に投与することができる。好ましくは、投薬は、静脈内又は皮下に与えられ、より好ましくは静脈内注入で与えられる。
抗癌剤の複数の曝露が与えられる場合は、それぞれの曝露は同一か又は異なる投与手段を用いて与えられ得る。一実施態様では、各曝露は、静脈内投与によるものである。別の実施態様では、各暴露は皮下投与で与えられる。更に別の実施態様では、曝露は静脈内及び皮下投与の両方で与えられる。
一実施態様では、抗VEGF抗体などの抗癌剤は静脈内プッシュ又はボーラス投与よりも遅い静脈内注入として投与される。例えば、プレドニゾロン又はメチルプレドニゾロン等のステロイド(例えば、約80−120mgの静脈内投与、より好ましくは約100mgの静脈内投与)が、抗VEGF抗体の任意の注入前の約30分に投与される。抗VEGF抗体は、例えば、専用ラインを介して注入される。
抗VEGF抗体に対する複数投与量暴露の初回投与において、又は曝露は一投与量のみを含む場合の単回投与において、そうした注入は、好ましくは約50mg/時間の速度で開始される。これは例えば約30分ごとに約50mg/時間の増分速度で最大で約400mg/時間まで増大させることができる。しかしながら、もし被検体が注入に関連した反応を経験している場合には、注入速度は好ましくは、例えば現在の速度の半分に、例えば100mg/時間から50mg/時間に減少される。好ましくは抗VEGF抗体のそうした投与量の注入は(例えば、約1000mgの総投与量)、約255分(4時間15分)で完結する。場合によっては、被検体はアセトアミノフェン/パラセタモール(例えば約1g)の予防的治療及びジフェンヒドラミン塩酸(例えば、約50mg又は類似薬の等価な投与量)を注入開始前の約30分から60分に口から受ける。
抗VEGF抗体の複数の注入(投与量)が、総曝露量を達成するために与えられる場合は、この注入の実施態様の2回目又はそれに続く抗VEGF抗体注入は、好ましくは、最初の注入よりも速い速度で、例えば約100mg/時間で開始される。この速度は、例えば約30分ごとに約100mg/時間の増分で、最大400mg/時間まで増大させることができる。注入に関連した反応を経験している被検体は、注入速度を好ましくは、例えば100mg/時間から50mg/時間に減少させる。好ましくは抗VEGF抗体のそうした第2回目又はそれに続く投与量の注入は(例えば、約1000mgの総投与量)、約195分(3時間15分)で完結する。
好ましい実施態様では、抗癌剤は、抗VEGF抗体であり、約0.4から4グラムの用量で投与され、より好ましくは、抗体は、約一ヶ月の期間内に1回からに4回までの頻度で、0.4から1.3グラムの用量で投与される。更により好ましくは、投与量は約500mgから1.2mgであり、他の実施態様では約750mgから1.1グラムである。そのようなの態様では、アンタゴニストは、好ましくは2回から3回投与され、及び/又は約2週間から3週間の期間内に投与される。
1つの態様において、被検体は、癌を治療するために、以前に任意の薬剤(複数)を投与されていない。別の実施態様では、被験体又は患者は以前に癌を治療する1つ又は複数の医薬を投与されている。更なる実施態様では、被験体又は患者は以前に投与された医薬の1つ又は複数に対して応答はなかった。被験体が応答しないかもしれない薬剤としては、例えば、抗悪性腫瘍薬、化学療法剤、細胞傷害性剤、及び/又は増殖阻害剤が含まれる。より具体的には、被検体には応答しないような薬は抗VEGF抗体などのVEGFアンタゴニストが含まれ得る。更なる態様では、そうした抗癌剤は、抗体又はイムノアドヘシンを含み、被検体が以前には非応答性であった本発明による一つ又は複数の抗体又はイムノアドヘシンによる再治療が熟考される。
IV.抗癌剤による治療
アンタゴニストによる治療に最も応答し又は感受性のある患者集団が同定されると、単独で又は他の医薬との併用した抗癌剤による治療は、癌の好転の結果をもたらす。例えば、そのような治療は、腫瘍の大きさ又は無増悪生存期間の減少を結果としてもたらし得る。更に、抗癌剤及び少なくとも一つの第二の医薬の組み合わせによる治療は、好ましくは相加的、より好ましくは相乗的な(あるいは相加的より大きい)患者への治療効果を得る結果となる。好ましくは、この組み合わせ法において、第二の医薬の少なくとも一回の投与及び抗癌剤の少なくとも一回の投与の間のタイミングは約1ヶ月以内、より好ましくは約2週間以内である。
抗癌剤に対する患者の応答可能性の診断後に、前記患者に抗癌剤の治療的有効量を投与する正確な方法は、主治医の裁量であることが医療分野における当業者によって理解されるであろう。投与量、他の薬剤との併用、タイミング及び投与の頻度などを含む投与方式は、このような抗癌剤に対する患者の応答可能性の診断、並びに患者の状態や病歴によって影響を受ける可能性がある。従って、障害と診断され、抗癌剤に対して比較的無反応であることが予測される患者でさえもなお、特に、抗癌剤に対する患者の応答を変えうる薬剤を含む他の薬剤と組み合わせて、それによる治療の恩恵を受ける可能性がある。
抗癌剤を含む組成物が調剤され、投薬され、良好な医療行為と一致した方式で投与されるであろう。この文脈において考慮すべき要因は、治療される疾患の特定の型、治療される疾患の哺乳動物、薬の送達部位、可能性のある副作用、アンタゴニストの型、投与方法、投与のスケジュール、及び医療従事者に知られている他の要因を含む。投与されるべき抗癌剤の有効量はそのような考え方に支配され得る。
一般的な提案として、投与量あたり非経口で投与される抗癌剤の有効量は、1回又は複数の投薬により、約20mgから約5000mgの範囲であろう。抗VEGF抗体などの抗体における例示的な投薬レジメンは、毎週、2週間ごと、3週間ごと又は4週間ごとに100mg又は400mgを含み、あるいは、毎週、2週間ごと、3週間ごと又は4週間ごとに約1mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、又は20mg/kgの投与量が投与される。投与量は、注入などによる単回投与として、又は複数回投与(例えば、2回又は3回投与)として投与され得る。
上述したように、しかしながら、抗癌剤のこれらの提案された量は、治療の裁量に大きく依存する。適切な投与量及びスケジューリングを選択する上で重要な要因が、上に示されるように、得られた結果である。いくつかの実施態様において、抗癌剤はできるだけ最初の徴候、診断、所見、又は障害の発生に忠実に投与される。
抗癌剤は、非経口、局所、皮下、腹腔内、肺内、鼻腔内、及び/又は病巣内投与を含む任意の適当な手段によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、腹腔、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。髄腔内投与もまた考慮される。更に、アンタゴニストは、例えばアンタゴニストの用量を減少させるパルス注入により、適切に投与され得る。最も好ましくは、投薬は静脈注射で与えられる。
上記のように、本明細書に記載の抗癌剤と共に、第二の医薬を投与することができる。併用投与は、別々の調剤又は単一の薬学的製剤、及び何れかの順番の連続投与を用いた共投与を含み、好ましくは両方(又は全て)の活性剤が同時にその生物学的活性を発揮する期間がある。
上記のような従来の経路による抗癌剤の患者への投与の他に、本発明は遺伝子治療による投与を考察する。抗癌剤をコードする核酸のそのような投与は「抗癌剤の有効量を投与する」という表現に含まれる。細胞内抗体を産生する遺伝子治療の使用に関しては、例えば国際公開第1996/07321号を参照。
核酸(場合によってはベクター内に含まれたもの)を患者の細胞に入れるために、インビボ及びエキソビボという2つの主要な方法がある。インビボ送達では、核酸は患者に直接、通常はアンタゴニストが必要とされている部位に注入される。エキソビボ処置では、患者の細胞を取り出し、核酸がこれらの単離された細胞に導入され、修飾された細胞が患者に直接に、又は例えば患者に埋め込まれる多孔性膜にカプセル化して投与される(米国特許第4892538号及び第5283187号参照)。核酸を生細胞に導入するために利用可能な種々の技術がある。これらの技術は、核酸が培養された細胞にインビトロで移入されるか、又は対象とする宿主にインビボで移入されるかによって異なる。哺乳動物細胞にインビトロで核酸を移入するのに適した技術は、リポソーム、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAE-デキストラン、リン酸カルシウム沈降法などの使用を含む。遺伝子のエキソビボ送達に通常用いられるベクターはレトロウイルスである。
現在好適なインビボでの核酸移入技術には、ウイルスベクター(アデノウイルス、単純ヘルペスIウイルス、又はアデノ随伴ウイルスなど)及び脂質ベースのシステム(遺伝子の脂質介在移入のために有用な脂質は例えばDOTMA、DOPE及びDC-Cholである)によるトランスフェクションが含まれる。場合によっては、標的細胞に特異的な薬剤、例えば標的細胞上の細胞表面膜タンパク質に特異的な抗体、標的細胞上のレセプターに対するリガンドなどにより核酸供給源を提供するのが好ましい。リポソームを用いる場合、エンドサイトーシスに関係する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質、例えば、特定の種類の細胞に対するキャプシドタンパク質ないしはその断片、循環への内部移行を起こすタンパク質に対する抗体、並びに、細胞内局在化を標的とし細胞内半減期を上げるタンパク質は、ターゲティングのため及び/又は取込を促すために用いられてもよい。レセプターが媒介するエンドサイトーシスの技術は、例えば、Wu等, J. Biol. Chem. 262:4429-4432 (1987)、及びWagner等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:3410-3414 (1990)に記載されている。遺伝子マーキング及び遺伝子治療プロトコールは、例えばAnderson等, Science 256:808-813 (1992)及び国際公開第1993/25673号に記載されている。
抗癌剤は、医薬の組み合わせ製剤で、又は抗癌特性を有する少なくとも1つの追加の化合物とともに、併用療法としての投与計画において組み合わせることができる。薬学的組合せ製剤又は投与計画の少なくとも一つの追加の化合物は、好ましくは互いに悪影響を及ぼさないようなVEGFアンタゴニスト組成物に対する相補的な活性を有する。
少なくとも一つの追加の化合物は、化学療法剤、細胞傷害剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、抗血管新生剤、抗リンパ管新生剤、及びそれらの組み合わせであり得る。このような分子は、意図する目的のために有効である量で組み合わせて適切に存在している。VEGFアンタゴニストを含有する薬学的組成物(例えば、抗VEGF抗体)は、抗腫瘍剤、化学療法剤、成長阻害剤、細胞毒性剤、又はそれらの組み合わせの治療的有効量を含み得る。
一態様では、第一の化合物は、抗VEGF抗体であり、少なくとも1つの追加の化合物は、抗VEGF抗体以外の治療用抗体である。一実施態様では、少なくとも1つの追加の化合物は癌細胞表面マーカーを結合する抗体である。一実施態様では、少なくとも一つの追加の化合物は、抗HER2抗体のトラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標)、ジェネンテック・インク、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)である。一実施態様では、少なくとも一つの追加の化合物は、抗HER2抗体のペルツズマブ(オムニターグTM、ジェネンテック・インク、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ、米国特許第6949245号参照)である。一実施態様では、少なくとも一つの追加の化合物は抗体であり(ネイキッド抗体ないしはADC)、追加の抗体は、第2、第3、第4、第5、第6、又はそれ以上の抗体であり、第2、第3、第4、第5、第6、又はそれ以上の追加の抗体(ネイキッド抗体ないしはADC)を組み合わせることが、血管形成性疾患の治療に効果的である。
本発明に従った他の治療的投薬計画は、限定されないが放射線療法及び/又は骨髄及び末しょう血液移植、及び/又は細胞障害剤、化学療法剤又は増殖阻害剤を含む、VEGFアンタゴニスト抗癌剤の投与を含み得る。そうした実施態様の一つにおいて、化学療法剤は、例えば、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチン(オンコビンTM)、プレドニゾロン、CHOP、CVPないしはCOP、又は抗PSCA、抗HER2(例えばハーセプチン(登録商標)、オムニターグTM)などの薬剤又は薬剤の組合せである。併用療法は同時又は連続的な投薬計画として投与されてもよい。連続して投与される場合、組合せは2以上の投与で投与されてもよい。組合せ投与には、別々の製剤又は単一の製薬的製剤を用いての同時投与や、いずれかの順序での連続投与が含まれ、このとき、両方(又はすべて)の活性剤が同時にその生物学的活性を及ぼす一定時間があるのが好ましい。
一実施態様では、抗VEGFによる治療は、本明細書において同定される抗癌剤、及び異なる化学療法剤の混合物の同時投与を含む一又は複数の化学療法剤又は増殖阻害性剤の併用投与を伴う。化学療法剤には、タキサン(例えばパクリタキセル及びドセタキセル)及び/又はアントラサイクリン抗生物質が含まれる。このような化学療法剤のための調製や投薬計画は、製造業者の指示従って使われてもよいし、又は熟練した専門家によって経験的に決定されうる。このような化学療法の調製や投薬計画は、“Chemotherapy Service”, (1992)Ed., M.C. Perry, Williams & Wilkins, Baltimore, Mdにも記載される。
上記いずれかの同時に投与される薬剤の適切な用量は現在用いられている通りでもよいし、新規に同定される薬剤及び他の化学療法剤ないしは治療の組み合わされる作用(相乗)に応じて低くしてもよい。
併用療法により「相乗効果」を与えることがあり、「相乗的」、すなわち、一緒に用いた活性成分が別々に該化合物を用いて生じる作用の和よりも多い場合に得られる効果を証明し得る。活性成分が、(1)組み合わせた単位用量製剤において同時に処方され、投与されるか、又は同時に送達される場合、(2)別々の製剤として交互に又は同時に送達される場合、又は、(3)他の投薬計画による場合に、相乗効果が達成されうる。交互療法で送達される場合、例えば別々の注射器での異なる注入によって、化合物が順次投与されるか又は送達される場合に、相乗効果が達成されてもよい。一般に、交互療法の間、各々の活性成分の有効用量は順次、すなわち連続的に投与されるのに対して、併用療法では、2つ以上の活性成分の有効用量が一緒に投与される。
病気の予防又は治療のため、追加の治療剤の適切な投与量は、治療すべき疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、VEGFアンタゴニスト及び追加の薬剤が予防又は治療の目的で投与されるのかどうか、以前の治療、患者の病歴及びVEGFアンタゴニスト及びその他の薬剤への応答、及び主治医の裁量に依存する。VEGFアンタゴニスト及びその他の薬剤が一度に、又は一連の治療において患者に適切に投与される。VEGFアンタゴニストは、通常、上記のように投与される。疾患の種類や重症度に応じて、追加剤の約20mg/mから600mg/mが、例えば、1回又は複数の別々の投与によるか、又は連続注入によるに関わらず、患者への投与における初回候補投与量である。上記の因子に依存して、典型的な毎日の投与量は、約20mg/m、85mg/m、90mg/m、125mg/m、200mg/m、400mg/m、500mg/mかそれ以上かの範囲である可能性がある。数日間か又はより長きにわたる反復投与については、状況に応じて、病気の症状の所望の抑制がおきるまで、その治療が継続される。約20mg/m、85mg/m、90mg/m、125mg/m、200mg/m、400mg/m、500mg/m、600mg/m(又はその組合わせ)の一回又は複数の投与量が患者に投与され得る。そうした投与量は断続的に投与される場合があり、例えば、毎週、又は2週間ごとに、3週間ごとに、4回,5回,又は6回(例えば、患者が追加の薬剤を約2回から約20回まで、例えば約6回の投与量を受けるように)。最初の高い負荷投与量の後に1回又は複数の低投与量が投与されても良い。しかし、他の投与計画が有用である場合もある。この治療の進捗は従来の技術及びアッセイにより容易にモニタリングされる。
V.薬学的製剤
本発明にしたがって使用されるアンタゴニストの治療用製剤は、所望の純度を持つアンタゴニストを、任意で薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤を混合することにより、凍結乾燥又は水溶液の形態で保存のために調製される。製剤に関する一般的な情報については、Gilman et al.,(eds.) (1990), The Pharmacological Bases of Therapeutics, 8th Ed., Pergamon Press;A. Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, (1990), Mack Publishing Co., Eastori, Pennsylvania.;Avis et al., (eds.) (1993) Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications Dekker, New York;Lieberman et al.., (eds.) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets Dekker, New York;及びLieberman et al., (eds.) (1990), Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems Dekker, New York、Kenneth A. Walters (ed.) (2002) Dermatological and Transdermal Formulations (Drugs and the Pharmaceutical Sciences), Vol 119, Marcel Dekkerを参照のこと。
許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度においてレシピエントに非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン等のアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が含まれる。
例示的な抗VEGF抗体製剤は、米国特許第6884879号に記載されている。ある実施態様において、抗VEGF抗体は、単回使用バイアル25mg/mLにて処方される。ある実施態様において、100mgの抗VEGF抗体が、米国薬局方による、140mgのα,α−トレハロース二水和物、23.2mgリン酸ナトリウム(一塩基性、一水和物)、4.8mgリン酸ナトリウム(二塩基性で無水)、1.6mgポリソルベート20、及び注射用の水に処方される。ある実施態様においては、400mgの抗VEGF抗体が、米国薬局方による、960mgのα,α−トレハロース二水和物、92.8mgリン酸ナトリウム(一塩基性、一水和物)、19.2mgリン酸ナトリウム(二塩基性で無水)、6.4mgポリソルベート20、及び注射用の水に処方される。
皮下投与に適した凍結乾燥製剤は、例えば、米国特許第6267958(Andya et al.)において記述される。このような凍結乾燥製剤は適切な希釈液により高タンパク濃度に再編成され得、再構成された製剤は本明細書中において治療されるべき哺乳動物の皮下に投与され得る。
アンタゴニストの結晶化形態もまた考えられる。例えば米国特許公開公報第2002/0136719(A1)号(Shenoy et al.)を参照。
本明細書に記載の製剤はまた、二以上の活性化合物(上述したような第二の医薬)、好適には互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含み得る。このような医薬の種類及び有効量は、例えば製剤中に存在するVEGFアンタゴニストの量及びタイプ、及び被検体の臨床上のパラメーターに依存する。このような第二医薬の好適なものは上述したとおりである。
また、活性成分は、例えばコアセルベーション技術又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばコロイド薬剤送達システム(例えばリポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンにおいて、それぞれ、ヒドリキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル、及びポリ-(メチルメタアシレート)マイクロカプセルに封入されうる。このような技術は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
持続放出調製物が調製され得る。適切な持続放出調製物の例は、アンタゴニストを含む固体疎水性ポリマーの半透明マトリックスを含み、該マトリックスは、形成品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-ビニル酢酸塩、非分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(−)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなくてはならない。これは滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
VI.キット
リンパ機能の検出に使用するために、本発明ではキット又は製造品も提供される。このようなキットは、癌を有する被験体が抗癌剤に対して効果的に対応するかどうかを決定するために使用することができる。このようなキットは、ガラス瓶、チューブなどの一ないし複数の容器内に厳重な管理下で収容するために区分けされている運搬容器を含み得、それぞれの容器には本方法に使用する別個の成分の何れか一つを含む。例えば、容器の一つには造影剤を含み得る。
そのようなキットは典型的には、上記の容器及び商業的及び使用者の観点からみて望ましい物質、例えばバッファー、希釈液、フィルター、針、注射器、及び使用のための指示書を有するパッケージ挿入物を収容する一ないし複数のその他の容器とを具備する。特定の用途に該組成物が使用されることを示すために容器上にラベルがあってもよく、またそのラベルは上記のようなインビボの使用又はインビトロの使用の何れかについての指導を示すものであってもよい。
本発明のキットは多くの実施態様を有する。典型的な実施態様は、容器、前記容器上のラベル、及び前記容器内に収容される組成物を具備するキットであり、組成物は造影剤を含み、及び該容器のラベルは組成物がリンパ脈動周波数に使用可能であることを示しており、及びキットはリンパ脈動周波数を検出のため造影剤の使用説明書を含んでいる。キットは、さらに準備して造影剤の調製及び投与のための説明書及び材料のセットを含むことができる。
キットの他の任意の組成物は一以上のバッファー(例えば、希釈バッファー)、担体(例えば、デキストラン、アルブミン)などの他の薬剤を含む。キットはまたキットを用いて得られた結果を解釈するための説明書を含めることができる。
実施例
次の例は、例示するために提供されるが、現在の請求項に係る発明を限定するものではない。
実施例1:材料及び方法
動物:
チャールズリバー研究所(Charles River Laboratory)由来のメスのBalb−cヌードマウスが6−8週齢で使用された。ベースラインの脈動周波数及びリンパ節の負荷率を確立するために我々は、非担腫瘍マウスを撮像した。幾つかの場合、マウスは脈動について長期的に撮像され、すなわち同じマウスが7日間以上毎日撮像された。マウスは2%イソフルランで麻酔され、実験の間37℃に維持された。PulseOxプローブが脈動アッセイを実行する前の心拍数をモニターするために、大腿部(注射部位の反対)に取り付けられた。
造影剤:
全ての実験に対して蛍光色素の注入が1mlの無菌PBS中でデキストラン70kd(MolecularProbes)に結合した5mgのAlexaFluor680により行われた。
リンパ脈動周波数アッセイ:
色素は28 1/2ゲージ針の付いた3/10ccシリンジを使用して送達された(Beckton Dickinson)。15μlのボーラス投与が尾の付け根近く、直腸の横5ミリメートルで皮内注入された。注射部位はわずかに隆起し、次いでリンパ管を通じて流れだし5分以内に鼠径リンパ節に至った。
落射蛍光顕微鏡による脈動流の活性が、Cy5.5 Redフィルターセット(Chroma)、ハロゲン光源(ExFo Excite Series 120)、4倍の対物レンズ(Olympus)及び電荷結合素子(CCD)カメラ(S97827,Olympus)を装備した落射蛍光顕微鏡を用いて観察された。マウスは色素注入後直ちに対物レンズの下の加熱したプラットフォームに移された。動物は、横方向に横たわるように配置され、鼠径リンパ節から腋窩リンパ節にわたる色素を充填したリンパ管を露出させた。血管に沿って〜5ミリメートルの切片が、脈動リンパ流(すなわち、リンパ脈動周波数)のイメージングに対する目的領域として同定された。次いで、この切片は、平らな表面を提供し、かつ呼吸による人為現象を低減するために、可動スライドガラスでそっと覆われた。脈動及び心拍数は、ビデオキャプチャの前に10分間、安定のためにをモニターされた(PulseOx)。ステージは麻酔のために垂直にされ(plumbed)、動物の温度を37℃で維持するために熱調節された。
脈動のデジタルビデオ(5分)がタイムラプス設定(282ミリ秒の露出、フレーム間の遅延無し、5分の合計取得時間)を使用して、PictureFrameソフトウェア(オプトロニクス)で得られた。データは記録されたタイムラプスビデオからオフラインで分析された。
バルクリンパ輸送アッセイ:
色素は、尾の付け根近くの、直腸の横5ミリメートルの皮内注射部位に埋め込まれたカテーテルに取り付けられた輸液ポンプによって送達された。カテーテルは、28 1/2ゲージ針の付いた3/10ccシリンジの針の先端を切断し、75μlの色素を負荷されたMicro−Renathane(Braintree Scientific)チューブ中へ設置され準備された。
鼠径リンパ節へのバルクリンパ輸送の動物全体の近赤外蛍光(NIRF)イメージングは、コダック4000FX Pro NIRFイメージングシステムを用いて観察された。カテーテルを埋め込んだ後、マウスはコダックイメージングプラットフォームに移され、カテーテルは、外の注入ポンプへ送られた。
マウスは、それらの側面が接した撮像面上に配置され、視野(FOV)の中で鼠径リンパ節、及び腋窩リンパ節に至る管を捉えた。
注射部位から鼠径リンパ節、次いで腋窩リンパ節への輸送は、コダックのイメージングソフトウェアを使用して捉えた。タイムラプス設定は、2秒露光、15秒間隔で、21.5mmのFOV、ex650nm/em700nm、30分総収集時間)に設定された。輸送の記録は注入ポンプ開始と同時に開始された(5μL/min)。データは記録されたタイムラプス画像からオフラインで分析された。
画像解析/定量化:
コダックのシステムで収集された画像は、Matlabのカスタムルーチンを使用してTIFF形式に変換された。脈動周波数及びバルクリンパ輸送の両方の測定について、NIH ImageJのソフトウェアが分析のために使用された。
脈動周波数を決定するために、注目画像領域(ROI)が、視野を介してリンパの動きを明瞭に示した血管の切片上に描かれた。リンパがROIを通して、内へ/外へ流れるときの強度の変化は、TimeSeriesAnalyzer(NIH ImageJを通じて利用可能なプラグイン)を使用して、スタック全体にわたって測定された。生じた平均強度の値は、Excelにエクスポートし、時間についてプロットした。得られた脈動トレースは5分の撮像シーケンスに存在するピークの数を数えることによって定量化された。
色素のバルク負荷速度を決定するために、ROIは鼠径リンパ節の上に直接描かれた。強度の変化は、TimeSeriesAnalyzer(NIH ImageJを通じて利用可能なプラグイン)を使用して、画像スタック全体にわたって測定された。生じた平均強度の値は、Excelにエクスポートし、時間についてプロットした。ピークに至る時間、最大負荷速度及びdF/Fが平均強度の値から計算された。
図1は、リンパ脈動周波数を測定するリンパ機能アッセイの結果を示す。図1Aは、色素15μlのボーラス注入後の管を通じた脈動リンパの動きの代表的な時間経過画像を示す。図1Bは、〜24事象/5分間、n=6匹におけるベースラインの活性を示す。
図2は、イメージングの開始時に尾の付け根の近くに、5μL/分で、15分間、色素を注入後に、鼠径リンパ節へのバルクリンパ輸送を測定するリンパ機能アッセイの結果を示す。図2Aは、鼠径リンパ節、続く腋窩リンパ節の初期負荷を示す代表的な時間経過の画像を示す。図2Bは、n=4匹において、ベースラインの負荷速度及び鼠径リンパ節の最大シグナル強度に至る時間を示す。
実施例2:抗癌剤の有効性をモニタリングするためのリンパ管機能の測定
この例では、リンパ管の機能(例えば、リンパ脈動周波数及びバルクリンパ輸送)を測定することによって、抗癌剤(例えば、抗VEGF−C又は抗NRP2)の有効性のモニタリングを示す。
メスのBalb−cヌードマウスは、以下のように治療群に無作為に割り付けられた。
1)コントロール−腫瘍無し
2)コントロール−腫瘍
3)抗VEGFC 40mg/kg、腹腔内(IP)、100μl、1回/週
4)抗VEGF 10mg/kg、腹腔内(IP)、100μl、1回/週
5)抗NRP2 40mg/kg、腹腔内(IP)、100μl、1回/週
C6ラット神経膠芽腫細胞(200μLのPBS中に5.0×10細胞)をマウスの尾の付け根、マウスの右耳、又は尾の注入部位の付け根の上およそ20mmの背中の中央に皮下移植した。続いてマウスは治療を受けないか、又は移植後第3週の週に一度、腹腔内に、抗VEGF−C(10mg/kg)、抗VEGF−A(10mg/kg)、又は抗Nrp2(10mg/kg)投与で治療された。マウスは、画像化の前にほとんど同一の平均腫瘍サイズを与えるようにソートされ、移植後第7日、第14日及び/又は第21日に画像化された。上記実施例1に記載のようにマウスは画像化され、そのデータは図3、図4、図5、図6及び図7に示される。
図3は、マウスのリンパ機能アッセイの結果を示し、バルクリンパ輸送がリンパネットワークに付随した腫瘍においてアップレギュレートされていることを実証している。図3Aは、n=6匹/群の腫瘍を移植したマウスにおいて、リンパ脈動周波数が〜50%アップレギュレートされていることを実証するデータを示す。図3Bは、n=4匹/群の腫瘍を移植したマウスにおいて、バルクリンパ輸送もまたアップレギュレートされていることを実証するデータを示す。図3Cは、N=12匹/群の腫瘍移植マウスにおけるリンパ脈動アップレギュレーションの経時変化を実証するデータを示す。マウス腫瘍の大きさのため21日後に屠殺された。
図4は、VEGF−C経路の阻害は、腫瘍に結びついたネットワークにおいてリンパ輸送を減少させることを実証するデータを示す。図4Aは、n=6匹/群の担癌マウスにおいて、抗NRP2、抗VEGF−C、又は抗VEGF−Aによる長期的治療は、有意にリンパ脈動周波数を減少させたことを実証するデータを示す。図4Bは、n=6匹/群の担癌マウスにおいて、抗NRP2、抗VEGF−C、又は抗VEGF−Aによる長期的治療は、有意にバルクリンパ輸送を減少させたことを実証するデータを示す。
図5は、VEGF−C経路の阻害は、非腫瘍担癌マウスにおけるリンパ管機能を有意には変化させなかったことを実証するデータを示す。図5Aは、n=6匹/群で、3週間にわたって測定した場合、非担腫瘍マウスにおける抗VEGF−Cによる長期的治療がリンパ脈動周波数を有意には変化させなかったことを実証するデータを示す。図5Bは、n=4匹/群で、3週間にわたって測定した場合、非担腫瘍マウスにおける抗NRP2による長期的治療がリンパ脈動周波数を有意には変化させなかったことを実証するデータを示す。
図6は、抗癌剤の急性注入がリンパ機能を変更しないことを実証するデータを示す。図6Aは、n=6匹/群で、担腫瘍マウスにおける抗NRP2、抗VEGF−C又は抗VEGF−Aの急性注入がリンパ脈動周波数に有意な変化をもたらさないことを実証するデータを示す。図6Bは、n=6匹/群で、非担腫瘍マウスにおける組換えVEGF−Cタンパク質又は組換えVEGF−A蛋白質の急性注入がリンパ脈動周波数に有意な変化をもたらさないことを実証するデータを示す。
図7は、リンパ脈動周波数のアップレギュレーションの特異性を実証するデータを示す。えデータはリンパ脈動周波数は尾及び背中に腫瘍を持つマウスにおいてアップレギュレートされるが、耳に腫瘍のあるマウスではアップレギュレートされないことを実証している。
実施例3:投与量を決定するためのリンパ脈動の測定
この例では、前臨床的に、例えば、最小有効用量(MiED)又は最大有効用量(MxED)を含み、治療剤(例えば、抗癌剤)の投与量を決定するためのリンパ脈動の測定について説明する。担腫瘍マウスは、投与量の広い範囲(例えば、1mg/kgから200mg/kg−1、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、40mg/kg、80mg/kg、150mg/kg、200mg/kg)で3週間、プラセボ及び可能性のある治療薬で治療される。造影剤が、腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管に到達するようにマウスに投与される。脈動周波数が測定される。プラセボ処置群の脈動周波数に比べて、脈動周波数における統計的に有意な変化を与える最低用量はMiEDとして定義される。プラセボ処置値群の脈動周波数に比べて、脈動周波数の最大の変化(すなわち、更なる増加が脈動周波数に更なる変化を与えない投与量)を与える最低用量はMxEDとして定義される。
MiED及びMxEDにおいて可能性のある治療薬の動態解析は、曲線(AUC)の下の領域、これらの用量の両方でのCmax及びCtroughで定義される曝露を決定するための、例えば、Bagri et al., Clin Cancer Res. 16(15):3887-900 (2010))に記載の方法を含む当該分野で公知の方法を用いて行われる。MiEDで決定された曝露は最小の曝露であり、MxEDで決定された曝露は標的とする曝露である。
治療薬を受けている患者の臨床試験において、リンパ管の脈動速度は、本明細書に記載の通りに測定される。測定は、治療薬の初回投与前、及び治療薬の各投与後の適切な時期(例えば、1日、2日、3日、又はそれ以上の数日間又は数週間)行われる。平均脈動速度及び脈動速度の平均変化が決定される。同じ患者の治療前の周波数に比べて「治療中及び治療後」の脈動周波数における統計的に有意な変化を与える最低用量はMiEDとして定義される。治療前の脈動周波数に比べて「治療中及び治療後」の脈動周波数における最大変化を与える最低用量(すなわち、更なる増加が脈動周波数に更なる変化を与えない投与量)はMxEDとして定義される。
更に、薬剤の薬物動態解析が行われ、平均AUC、Cmax及びCtroughが各投与量群について決定される。脈動速度の平均変化は、前臨床解析を検証する前臨床実験で決定された最小かつ標的とする曝露と同等の暴露で評価されるであろう。
前述の発明は、理解を明確にする目的のために例示及び実施例により詳細に記載されているが、説明及び例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書中に引用される全ての特許、特許出願、科学的な文献、及びGenbank受入番号は、各特許、特許出願、科学的な文献、及びGenbank受入番号が具体的かつ個々に参照として援用されるかのように、全ての目的のためにその全体が出典明示により明示的に援用される。

Claims (49)

  1. 抗癌剤に応答する可能性がある患者を同定する方法であって、
    (a)抗癌剤の少なくとも一回の投与量を受けた患者に造影剤を投与し、
    (b)患者の腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管におけるリンパ脈動周波数を検出し、及び、
    (c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管における脈動周波数と比較することを含み、
    リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が、抗癌剤に応答している可能性が増加している患者を同定する方法。
  2. リンパ管が鼠径リンパ節を腋窩リンパ節へ接続する、請求項1に記載の方法。
  3. 造影剤が蛍光色素を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 蛍光色素がAlexafluor680である、請求項3に記載の方法。
  5. リンパ脈動周波数が蛍光顕微鏡を用いて検出される、請求項3に記載の方法。
  6. 患者がヒトである、請求項1に記載の方法。
  7. 患者が、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、腎癌、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された癌と診断されている、請求項1に記載の方法。
  8. (d)少なくとも約10%のリンパ管におけるリンパ脈動周波数の減少が検出された場合、患者へ抗癌剤の有効量を投与すること
    を更に含む請求項1に記載の方法。
  9. 抗癌剤が、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項8に記載の方法。
  10. NRP2アンタゴニストが抗NRP2抗体である、請求項9に記載の方法。
  11. VEGF−Cアンタゴニストが抗VEGF−C抗体である、請求項9に記載の方法。
  12. (e)患者へ第二の抗癌剤の有効量を投与すること
    を更に含む請求項8に記載の方法。
  13. 第二の抗癌剤がVEGFアンタゴニストである、請求項12に記載の方法。
  14. VEGFアンタゴニストが抗VEGF抗体である、請求項13に記載の方法。
  15. 抗VEGF抗体がベバシズマブである、請求項14に記載の方法。
  16. 転移を受ける可能性が増加している患者を同定する方法であって、
    (a)抗癌剤の少なくとも1回の投与量を受けた患者に造影剤を投与し、
    (b)患者の腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管におけるリンパ脈動周波数を検出し、及び
    (c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管における脈動周波数と比較する
    ことを含み、
    リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の増加が、転移を受ける可能性が増加している患者を同定する方法。
  17. リンパ管が、鼠径リンパ節を腋窩リンパ節へ接続する、請求項16に記載の方法。
  18. 造影剤が、蛍光色素を含む、請求項16に記載の方法。
  19. 蛍光色素がAlexafluor680である、請求項18に記載の方法。
  20. リンパ脈動周波数が、蛍光顕微鏡を用いて検出される、請求項18に記載の方法。
  21. 患者がヒトである、請求項16に記載の方法。
  22. 患者が、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、腎癌、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された癌と診断されている、請求項16に記載の方法。
  23. (d)リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の増加が検出された場合、患者へ抗癌剤の有効量を投与すること
    を更に含む請求項1に記載の方法。
  24. 抗癌剤が、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項23に記載の方法。
  25. NRP2アンタゴニストが抗NRP2抗体である、請求項24に記載の方法。
  26. VEGF−Cアンタゴニストが抗VEGF−C抗体である、請求項24に記載の方法。
  27. (e)患者へ第二の抗癌剤の有効量を投与すること
    を更に含む請求項23に記載の方法。
  28. 第二の抗癌剤がVEGFアンタゴニストである、請求項27に記載の方法。
  29. VEGFアンタゴニストが抗VEGF抗体である、請求項28に記載の方法。
  30. 抗VEGF抗体がベバシズマブである、請求項29に記載の方法。
  31. 抗癌剤療の有効性をモニタリングする方法であって、
    (a)抗癌剤の少なくとも1回の投与量を受けた患者に造影剤を投与し、
    (b)患者の腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管におけるリンパ脈動周波数を検出し、及び
    (c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管における脈動周波数と比較する
    ことを含み、
    リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が、有効な抗癌剤を同定する方法。
  32. リンパ管が、鼠径リンパ節を腋窩リンパ節へ接続する、請求項31に記載の方法。
  33. 造影剤が、蛍光色素を含む、請求項31に記載の方法。
  34. 蛍光色素がAlexafluor680である、請求項33に記載の方法。
  35. リンパ脈動周波数が、蛍光顕微鏡を用いて検出される、請求項33に記載の方法。
  36. 患者がヒトである、請求項31に記載の方法。
  37. 患者が、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、神経膠芽腫、腎癌、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された癌と診断されている、請求項31に記載の方法。
  38. (d)リンパ管におけるリンパ脈動周波数の少なくとも約10%の減少が検出された場合、患者へ抗癌剤の有効量を投与すること
    を更に含む請求項31に記載の方法。
  39. 抗癌剤が、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項38に記載の方法。
  40. NRP2アンタゴニストが抗NRP2抗体である、請求項39に記載の方法。
  41. VEGF−Cアンタゴニストが抗VEGF−C抗体である、請求項39に記載の方法。
  42. (e)患者へ第二の抗癌剤の有効量を投与すること
    を更に含む請求項38に記載の方法。
  43. 第二の抗癌剤が、VEGFアンタゴニストである、請求項42に記載の方法。
  44. VEGFアンタゴニストが抗VEGF抗体である、請求項43に記載の方法。
  45. 抗VEGF抗体がベバシズマブである、請求項44に記載の方法。
  46. 抗癌剤の投与量を最適化する方法であって、
    (a)抗癌剤の少なくとも1回の投与量を受けた患者に造影剤を投与し、
    (b)患者の腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管におけるリンパ脈動周波数を検出し、及び
    (c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管における脈動周波数と比較する
    ことを含み、
    リンパ管におけるリンパ脈動周波数の変化が、有効な投与量を同定する方法。
  47. 抗癌剤が、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項46に記載の方法。
  48. 抗癌剤の投与量を最適化する方法であって、該方法が、
    (a)抗癌剤の少なくとも1回の投与量を受けた患者に造影剤を投与し、
    (b)患者の腫瘍流入領域リンパ節に付随するリンパ管におけるリンパ脈動周波数を検出し、及び
    (c)リンパ脈動周波数を抗癌剤による治療前のリンパ管における脈動周波数と比較する
    ことを含み、
    リンパ管におけるリンパ脈動周波数の変化が無いことが、最大有効投与量としての投与量を同定する方法。
  49. 抗癌剤が、NRP2アンタゴニスト、VEGF−Cアンタゴニスト、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーである、請求項48に記載の方法。
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