JP2013500940A - Aβオリゴマーに特異的に結合する抗体およびその利用 - Google Patents

Aβオリゴマーに特異的に結合する抗体およびその利用 Download PDF

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Abstract

本発明者らは生理的分子である可溶性Aβモノマーを認識せず、可溶性Aβオリゴマーのみに特異的なモノクローナル抗体を作製することに成功した。当該抗体は、アルツハイマー病に対する診断・治療用モノクローナル抗体として有用であることが実証された。

Description

優先権
本出願は2009年8月6日提出の米国特許仮出願第61/231,797号、および2010年2月26日提出の米国特許仮出願第61/282,550号の恩典を主張し、これらの全内容は参照として本明細書中に組み入れられる。
技術分野
本発明は、Aβオリゴマーに特異的に結合する抗体およびその用途に関する。
アルツハイマー病(Alzheimer’s disease;AD)の患者数は2006年において世界中で約2600万人を超えており、高齢化に伴い今後も増加の一途をたどると予測される(非特許文献1)。しかしながら、現在のところアルツハイマー病の進行を遅延させる治療薬は上市されているものの進行を停止もしくは改善させる根本的な治療薬は存在しない。
さまざまな証拠により、記憶力低下は可溶性Aβ(amyloid β)オリゴマーによって引き起こされるシナプス機能不全に起因することが示されている(非特許文献2および3参照)。Aβオリゴマーの過度の蓄積および沈着は、アルツハイマー病に至る一連の病的カスケードの引き金となっている可能性がある。従って、Aβオリゴマーを標的とする治療的介入はこの病的カスケードを遮断するのに有効と考えられる(非特許文献4および5参照)。
近年、Aβをターゲットとした抗体医薬品の開発が進められている。しかし、これまでに報告された抗Aβオリゴマー抗体は、Aβオリゴマーに特異的に結合するものではなく、Aβモノマー、オリゴマー、線維の3形態全てに結合する。そのため、体内に投与された場合にAβオリゴマーに結合する抗体の量が希釈されると考えられ、効果を得るためには投与量を増やさなければならない可能性がある。また、Aβモノマーは健常人の脳にも存在するため、Aβモノマーへの抗体の結合により副作用が誘発される恐れもある。
また、Aβオリゴマー量はアルツハイマー病の指標となり得ると考えられるが、従来の抗Aβ抗体ではAβオリゴマーのみを測定することは困難であった。
なお本発明に関連する先行技術文献情報としては以下のものがある。
Brookmeyer R et al., Alzheimers Dement. 2007 Jul; 3(3):186-91. Klein WL, Trends Neurosci 24: 219-224, 2001. Selkoe DJ, Science 298: 789-791, 2002. Haass C et al : Nat Rev Mol Cell Biol. 8: 101-12, 2007. Lee EB, et al: J Biol Chem. 281: 4292-4299, 2006.
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、Aβオリゴマーに特異的に結合する抗体およびその用途を提供することを課題とする。より詳細には、Aβオリゴマーに特異的に結合する抗体、該抗体を用いたAβオリゴマーを測定する方法、該抗体を用いたアルツハイマー病を診断する方法、該抗体を含む医薬組成物または薬剤、Aβオリゴマーを測定するための薬剤またはキット、ならびにアルツハイマー病を診断するための薬剤またはキットを提供することを目的とする。
本発明者らは単離したAβテトラマーを抗原として用いて、生理的分子である可溶性アミロイドβ(Aβ)モノマーを認識せず、可溶性Aβオリゴマーのみに特異的なモノクローナル抗体を複数得ることに成功した。
このため、これら複数の抗体が、アルツハイマー病を治療・予防するための治療用抗体またはアルツハイマー病を診断するための診断用抗体の有望な候補であることを提示する。
即ち本発明は、以下を提供する。
〔1〕 単離したAβオリゴマーを抗原として認識する抗体であって、Aβモノマーに結合しないことを特徴とする、抗体、
〔2〕 以下の(1)〜(12)のいずれかに記載の抗体である、〔1〕に記載の抗体、
(1)配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(2)配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(3)配列番号:102に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(4)配列番号:104に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(5)配列番号:106に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(6)配列番号:108に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(7)配列番号:110に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(8)配列番号:112に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(9)配列番号:114に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(10)配列番号:116に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(11)配列番号:118に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(12)配列番号:120に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
〔3〕 以下の(1)〜(38)のいずれかに記載の抗体である、〔1〕に記載の抗体、
(1)CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(2)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(3)(1)に記載のH鎖、および(2)に記載のL鎖を含む抗体
(4)VHとして配列番号:98に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(5)VLとして配列番号:100に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(6)(4)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体
(7)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(8)CDR1として配列番号:28に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:32に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(9)(7)に記載のH鎖、および(8)に記載のL鎖を含む抗体
(10)VHとして配列番号:102に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(11)VLとして配列番号:104に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(12)(10)に記載のH鎖、および(11)に記載のL鎖を含む抗体
(13)CDR1として配列番号:38に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:40に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:42に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(14)CDR1として配列番号:44に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:46に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:48に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(15)(13)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体
(16)VHとして配列番号:106に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(17)VLとして配列番号:108に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(18)(16)に記載のH鎖、および(17)に記載のL鎖を含む抗体
(19)CDR1として配列番号:54に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:56に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:58に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(20)CDR1として配列番号:60に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:62に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:64に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(21)(19)に記載のH鎖、および(20)に記載のL鎖を含む抗体
(22)VHとして配列番号:110に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(23)VLとして配列番号:112に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(24)(22)に記載のH鎖、および(23)に記載のL鎖を含む抗体
(25)CDR1として配列番号:70に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:74に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(26)CDR1として配列番号:76に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:78に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:80に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(27)(25)に記載のH鎖、および(26)に記載のL鎖を含む抗体
(28)VHとして配列番号:114に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(29)VLとして配列番号:116に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(30)(28)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体
(31)CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:88に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:90に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(32)CDR1として配列番号:92に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:94に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:96に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(33)(31)に記載のH鎖、および(32)に記載のL鎖を含む抗体
(34)VHとして配列番号:118に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(35)VLとして配列番号:120に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(36)(34)に記載のH鎖、および(35)に記載のL鎖を含む抗体
(37)(1)から(36)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(36)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体
(38)(1)から(36)のいずれかに記載の抗体が結合するエピトープに結合する抗体
〔4〕 抗体がキメラ抗体またはヒト化抗体であることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の抗体。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体の抗原結合断片、
〔6〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体または〔5〕に記載の抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、
〔7〕 抗認知機能障害剤、アルツハイマー病治療剤、アルツハイマー病進行抑制剤、老人斑形成抑制剤、Aβ蓄積抑制剤、抗神経毒性剤、Aβアミロイド線維形成阻害剤、または、抗シナプス毒性剤である、〔6〕に記載の組成物、
〔8〕 試料に含まれるAβオリゴマーを、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体または〔5〕に記載の抗原結合断片を用いて検出する工程を含む、Aβオリゴマーを測定する方法、
〔9〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体または〔5〕に記載の抗原結合断片を用いて、被験者から採取された試料におけるAβオリゴマーを検出することを特徴とする、被験者がアルツハイマー病候補であるか否か診断する方法、
〔10〕 以下の工程を含む、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法であって、工程(b)に記載の量が健常者と比較して高い場合に、被験者がアルツハイマー病候補であると判定される方法:
(a)被験者から採取した試料を、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体または請求項5に記載の抗原結合断片と接触させる工程、および
(b)前記試料中におけるAβオリゴマーの量を測定する工程。
〔11〕 以下の工程を含む、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法であって、工程(b)に記載の比が健常者と比較して高い場合に、被験者がアルツハイマー病候補であると判定される方法:
(a)被験者から採取した試料を、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体または〔5〕に記載の抗原結合断片、およびAβモノマーに結合する抗体と接触させる工程、ならびに
(b)前記試料中におけるAβモノマーに対するAβオリゴマーの比を測定する工程。
〔12〕 試料が血液もしくは脳脊髄液である、〔8〕〜〔11〕のいずれかに記載の方法、
〔13〕 〔8〕〜〔12〕のいずれかに記載の方法に用いるための剤、
〔14〕 〔8〕〜〔12〕のいずれかに記載の方法に用いるためのキット。
さらに本発明は、以下を提供する。
〔15〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の抗認知症機能障害剤、アルツハイマー病治療剤、アルツハイマー病進行抑制剤、老人斑形成抑制剤、Aβ蓄積抑制剤、抗神経毒性剤、Aβアミロイド線維形成阻害剤、または、抗シナプス毒性剤の製造のための使用、
〔16〕 認知機能障害の予防および治療のいずれか、または両方に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔17〕 アルツハイマー病の予防および治療のいずれか、または両方に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔18〕 アルツハイマー病進行抑制に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔19〕 老人斑形成抑制に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔20〕 Aβ蓄積抑制に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔21〕 神経毒性活性中和(抑制)に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔22〕 Aβアミロイド線維形成阻害に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔23〕 シナプス毒性活性中和(抑制)に使用するための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔24〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、認知機能障害の予防および治療のいずれか、または両方のための方法、
〔25〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、アルツハイマー病の予防および治療のいずれか、または両方のための方法、
〔26〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、アルツハイマー病の進行を抑制する方法、
〔27〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、老人斑形成を抑制する方法、
〔28〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、Aβの蓄積を抑制する方法、
〔29〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、神経毒性を中和する方法、
〔30〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、Aβアミロイド線維の形成を阻害する方法、
〔31〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体もしくは〔5〕に記載の抗原結合断片の治療的有効量を投与する工程を含む、シナプス毒性を中和する方法、
〔32〕 認知機能障害の予防および治療のいずれか、または両方のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の使用、
〔33〕 アルツハイマー病の予防および治療のいずれか、または両方のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片、
〔34〕 アルツハイマー病進行抑制のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の使用、
〔35〕 老人斑形成抑制のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の使用、
〔36〕 Aβ蓄積抑制のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の使用、
〔37〕 神経毒性活性中和(抑制)のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の使用、
〔38〕 Aβアミロイド線維形成阻害のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の使用、
〔39〕 シナプス毒性活性中和(抑制)のための、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の抗体、または〔5〕に記載の抗原結合断片の使用。
本発明によって提供される抗体によって、アルツハイマー病の病態惹起性責任分子選択的な予防・治療法確立と早期診断マーカー確立への貢献が期待される。
図1は、IR-003、IR-091、IR-099、IR-103、IR-130、IR-148の各抗体に関する、ドットブロット解析結果の写真である。 図2は、6抗体に関する、競合ELISAの結果を示した図である。縦軸は450nm波長の吸光度、横軸はインヒビター(inhibitor)として用いたAβオリゴマーあるいはAβモノマーの濃度(mg/ml)を示している。各グラフの破線はAβオリゴマーをインヒビターとして用いた抗体結合活性、実線はAβモノマーをインヒビターとして用いた時の抗体結合活性を示している。 図3は、インヒビターの濃度をモル濃度で示した、6抗体の競合ELISAの結果を示した図である。縦軸は450nm波長の吸光度、横軸はインヒビター(inhibitor)として用いたAβオリゴマーあるいはAβモノマーのモル濃度(mol/L)を示している。Aβオリゴマーのモル濃度(mol/L)は、Aβオリゴマーをモノマーのmol数に換算して算出した。 図4は、6抗体に関する、Biacore3000によるAβオリゴマーに対する親和性解析を示した図である。 図5は、各抗体を用いた、Aβにより誘導される細胞障害活性に対する中和アッセイの結果を示す。 図6は、各抗体を用いた、Aβ線維形成に対する阻害アッセイの結果を示す。 図7は、各抗体がヒトAPPに結合するかどうかを評価するためのイムノブロッティングアッセイの結果を示す。ヒトAPPは、コントロール抗体6E10を用いたTg2576の結果において検出された(矢印で示した)。
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、上述のように、Aβオリゴマーに特異的に結合しAβモノマーに結合しない抗体を得ることに成功した。即ち本発明は、Aβオリゴマーに結合し、Aβモノマーに結合しない抗体を提供する。さらに、本発明は、Aβオリゴマーに結合するが、Aβモノマーおよびアミロイド前駆体タンパク質(APP)に結合しない抗体を提供する。このような抗体は、単離された抗体または精製された抗体であることが好ましい。
本発明の物質(抗体等)において使用される「単離された」および「精製された」という用語は、その物質が、天然供給源に含まれているかもしれない少なくとも一つの他の物質を実質的に含まないことを示す。従って、「単離された抗体」または「精製された抗体」とは、その抗体(タンパク質)が由来する細胞または組織供給源からの炭化水素、脂質、もしくはその他の混入タンパク質のような細胞材料を実質的に含まないか、または、化学合成された場合には、化学前駆物質もしくはその他の化学物質を実質的に含まない抗体を指す。好ましい態様において、本発明の抗体は、単離または精製されている。
「抗体」とは、同一の構造的特徴を有する糖タンパク質である。抗体は、特定の抗原に対し結合特異性を示す。ここで「抗原」とは、対応する抗体との結合能力を有しており、かつ抗原-抗体反応をインビボで誘導するタンパク質を指す。
なお、本明細書では、抗体の重鎖をH鎖、軽鎖をL鎖、重鎖可変領域をVH、軽鎖可変領域をVL、重鎖定常領域をCH、軽鎖定常領域をCL、フレームワーク領域をFR、相補性決定領域をCDRと表すことがある。
アミロイドの主要構成成分であるAβタンパク質とは、40-42アミノ酸からなるペプチドで、アミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein; APP)という前駆体タンパク質から、プロテアーゼの作用によって産生されることが知られている。APPから生成されるアミロイド分子には、超遠心沈査画分に回収されるアミロイド線維とは別に、可溶性のモノマーに加えオリゴマーの非線維性重合体がある。本発明における「Aβオリゴマー」とは、非線維性重合体を指すものである。本発明の「Aβオリゴマー」はAβの重合量は特に限定されないが、典型的な重合量は2〜150である。本発明における「Aβオリゴマー」には、例えばAβ40(Aβ1-40)オリゴマー、Aβ42(Aβ1-42)オリゴマー、及びAβ40Aβ42オリゴマー(Aβ40とAβ42が重合したオリゴマー)が含まれる。例えば本発明における「Aβオリゴマー」は、典型的には、SDS-PAGEでは分子量45〜160 kDa、Blue Native-PAGEでは分子量22.5〜1,035 kDaの分子である。分子篩では主に>100 kDa保持液に回収され、原子間力顕微鏡で高さ1.5-3.1 nmの粒状分子、数珠状分子、輪状分子が混在した形態を呈す。
本発明で用いられる抗体は、Aβオリゴマーに結合しAβモノマーに結合しない抗体、あるいは、Aβオリゴマーに結合するがAβモノマーおよびアミロイド前駆体タンパク質に結合しない抗体であればよく、その由来および形状については制限されない。
本発明の抗体は、Aβオリゴマーに結合しAβモノマーに結合しない、あるいは、Aβオリゴマーに結合するがAβモノマーおよびアミロイド前駆体タンパク質に結合しないという性質により特徴付けることができ、好ましくは以下の性質を有している。
・ドットブロット解析において、Aβ40モノマーには反応せず、Aβ40オリゴマーおよびAβ42オリゴマーには反応する。
・固層化Aβオリゴマーを用いた競合ELISA解析において、抗体の固層化Aβオリゴマーへの結合に対する50%阻害濃度(IC50)がAβオリゴマーよりもAβモノマーの方が高い。
・固層化Aβオリゴマーを用いた競合ELISA解析において、抗体の固層化Aβオリゴマーへの結合に対するAβモノマーのIC50が500nmol/L以上、好ましくは1000nmol/L以上、より好ましくは1500nmol/L以上、さらに好ましくは2000nmol/L以上。
・固層化Aβオリゴマーを用いた競合ELISA解析において、抗体の固層化Aβオリゴマーへの結合に対するAβオリゴマーのIC50が100nmol/L以下、好ましくは50nmol/L以下、より好ましくは25nmol/L以下、さらに好ましくは20nmol/L以下。
・固層化Aβオリゴマーを用いた競合ELISA解析において、抗体の固層化Aβオリゴマーへの結合に対するAβオリゴマーとAβモノマーのIC50から求められる抗原選択性(AβモノマーのIC50/AβオリゴマーのIC50)が50以上、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上。
・Biacore(Biacore3000)を用いたAβオリゴマーに対する親和性解析において、結合速度定数(ka)が1.0E+04 M-1s-1以上、好ましくは2.0E+04 M-1s-1以上、より好ましくは5.0E+04 M-1s-1以上、さらに好ましくは1.0E+05 M-1s-1以上。
・Biacore(Biacore3000)を用いたAβオリゴマーに対する親和性解析において、解離速度定数(kd)が0.5 s-1以下、好ましくは0.2 s-1以下、より好ましくは0.1 s-1以下、さらに好ましくは0.05 s-1以下、さらに好ましくは0.01 s-1以下、さらにより好ましくは6.0E-03 s-1以下。
・Biacore(Biacore3000)を用いたAβオリゴマーに対する親和性解析において、解離定数(KD)が5.0E-06 M以下、好ましくは1.0E-06 M以下、より好ましくは7.0E-07 M以下、さらに好ましくは1.0E-07 M以下、さらにより好ましくは5.0E-08 M以下。
・イムノブロット解析において、ヒトアミロイド前駆体タンパク質と反応しない。
本発明の抗体は、上記の少なくとも1つの性質により特徴付けることができる。さらに、上記の2以上の性質を組み合わせて特徴付けることもできる。
本発明における「抗体」には、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方が含まれる。また、本発明の抗体には、非ヒト動物抗体、ヒト化抗体、キメラ化抗体、ヒト抗体、後述の低分子化抗体、アミノ酸配列が改変された抗体、他の分子(例えば、ポリエチレングリコールなどの高分子等)が結合した修飾抗体、糖鎖が改変された抗体など如何なる抗体も含まれる。
本明細書における「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質の抗体の集団から入手される抗体を指す。即ち、集団を構成する個々の抗体は、微量存在するかもしれない起こりうる天然変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対応するものである。さらに、異なる抗原決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含んでいる従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対応する。
上述の特異性に加え、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンが混入していないハイブリドーマ培養物によって合成され得るという点で有利である。従って、「モノクローナル」とは、実質的に均質な抗体集団から入手されるような抗体の特徴を示し、かつ、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とすると解釈されてはならない。
モノクローナル抗体の作製は、基本的には公知技術を使用して作成が可能である。例えばKohlerおよびMilstein(Nature 256:495-7, 1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよいし、または組み換えDNA法(Cabilly et al., Proc Natl Acad Sci USA 81:3273-7, 1984)によって作製されてもよいが、これら方法によって限定されるものではない。例えばハイブリドーマ法を用いる場合、Aβオリゴマーを感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
本願発明におけるモノクローナル抗体は、例えば、以下のようにして作成することができる。まず合成Aβ1-42(ペプチド研、大阪)を蒸留脱イオン水または10 mM リン酸緩衝液中に溶解させ、それを37℃で18時間インキュベート後、4-12% SDS-PAGEにてペプチドを分離し、CBB染色にて可視化後、Aβ1-42モノマーの混入のないAβ1-42テトラマーのみを切り出す。次いでBALB/cマウスの肉趾に対して、完全フロイントアジュバントにより乳化させた2.5μgのAβ1-42テトラマーによる免疫処置を行い、続いてさらに6回の追加免疫を行う。鼠径リンパ節を用いて、ポリエチレングリコール1500を用いたSp2/O-Ag14細胞との融合によってハイブリドーマを作製する。
本発明において、感作抗原で免疫される動物は、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択すればよく、一般に、げっ歯類、ウサギ目、または霊長類が使用される。げっ歯類には、例えばマウス、ラット、およびハムスターが含まれる。ウサギ目には、例えばウサギが含まれる。霊長類には、例えばカニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル(Macaca mulatta)、マントヒヒ、およびチンパンジーなどの狭鼻猿類(旧世界)サルが含まれる。
感作抗原を動物に免疫する方法は、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内や皮下に注射することにより行われる。
前記免疫細胞と融合を行う他方の親細胞として、後述の実施例に記載されるSp2/O-Ag14細胞が例示されるが、他にも公知の種々の細胞株を用いることができる。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler G. and Milstein C., Methods Enzymol.(1981)73, 3-46)等に準じて行うことができる。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、通常、数日から数週間、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
その後、得られたハイブリドーマをマウスの腹腔に移植して、目的のモノクローナル抗体を含む腹水を抽出する。例えば、アフィニティクロマトグラフィー、濾過、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動などを含むがこれらに限定されない。カラムクロマトグラフィーの選択された組み合わせを含む、従来のタンパク質分離法および/または精製法によって、抗体を腹水から精製することができる(Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and David, Lane (edit.), Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。
プロテインAカラムおよびプロテインGカラムをアフィニティカラムとして使用することができる。使用される例示的なプロテインAカラムには、Hyper D、POROS、およびSepharose F.F.(Pharmacia)が含まれる。
クロマトグラフィー(アフィニティクロマトグラフィーを除く)には、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、および吸着クロマトグラフィーが含まれる("Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual" Daniel R Marshak et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1996)。HPLCやFPLCなどの液相クロマトグラフィーの手順に従って、クロマトグラフィーを実施することができる。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養が可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
また抗体産生用の免疫原を用いて任意の哺乳動物を免疫化することができる。しかしながら、ハイブリドーマを産生することによりモノクローナル抗体を調製する場合には、ハイブリドーマ産生用の細胞融合において用いる親細胞との適合性を考慮することが好ましい。
一般に、そのような免疫化には、げっ歯類、ウサギ目、または霊長類が使用される。げっ歯類には、例えばマウス、ラット、およびハムスターが含まれる。ウサギ目には、例えばウサギが含まれる。霊長類には、例えばカニクイザル(Macaca fascicularis)、アカゲザル(Macaca mulatta)、マントヒヒ、およびチンパンジーなどの狭鼻猿類(旧世界)サルが含まれる。
ヒト抗体遺伝子のレパートリーを含むトランスジェニック動物の使用は、当技術分野において公知である(Ishida I, et al., Cloning and Stem Cells 4: 91-102, 2002)。その他の動物と同様に、ヒトモノクローナル抗体を入手するためには、トランスジェニック動物を免疫化し、次いで、抗体産生細胞を動物から収集し、骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを得て、これらのハイブリドーマから抗タンパク質ヒト抗体を調製し得る(国際公報第92-03918号、第94-02602号、第94-25585号、第96-33735号、および第96-34096号参照)。
または、癌遺伝子により不死化されたリンパ球が、モノクローナル抗体産生のために使用され得る。例えば、EBウイルス等により感染されたヒトリンパ球が、免疫原によりインビトロで免疫化され得る。次いで、免疫化されたリンパ球を、無限に分裂し得るヒト由来骨髄腫細胞(U266等)と融合させ、このようにして、所望のヒト抗体を産生するハイブリドーマを入手する(日本国特許出願公開公報(JP-A)昭 63-17688)。
一旦、前記の方法のうちのいずれかを介してモノクローナル抗体を得ることができれば、それは、遺伝子操作法を使用しても調製され得る(例えば、Borrebaeck CAK and Larrick JW, Therapeutic Monoclonal Antibodies, MacMillan Publishers, UK, 1990参照)。例えば、組換え抗体は、抗体を産生するハイブリドーマまたは免疫化されたリンパ球のような抗体産生細胞から目的の抗体をコードするDNAをクローニングし、次いで、クローニングされたDNAを適切なベクターに挿入し、ベクターを適当な宿主細胞に形質転換することにより調製され得る。そのような組換え抗体も本発明に包含される。
本発明におけるモノクローナル抗体としては、例えばIR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体を挙げることができる。
本発明におけるIR-003抗体の
H鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号:98、塩基配列を配列番号:97、
L鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号:100、塩基配列を配列番号:99、
H鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:6、塩基配列を配列番号:5、
H鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:8、塩基配列を配列番号:7、
H鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:10、塩基配列を配列番号:9、
L鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:12、塩基配列を配列番号:11、
L鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:14、塩基配列を配列番号:13、
L鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:16、塩基配列を配列番号:15に示す。
本発明におけるIR-091抗体の
H鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号:102、塩基配列を配列番号:101、
L鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号:104、塩基配列を配列番号:103、
H鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:22、塩基配列を配列番号:21、
H鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:24、塩基配列を配列番号:23、
H鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:26、塩基配列を配列番号:25、
L鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:28、塩基配列を配列番号:27、
L鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:30、塩基配列を配列番号:29、
L鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:32、塩基配列を配列番号:31に示す。
本発明におけるIR-099抗体の
H鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号:106、塩基配列を配列番号:105、
L鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号:108、塩基配列を配列番号:107、
H鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:38、塩基配列を配列番号:37、
H鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:40、塩基配列を配列番号:39、
H鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:42、塩基配列を配列番号:41、
L鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:44、塩基配列を配列番号:43、
L鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:46、塩基配列を配列番号:45、
L鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:48、塩基配列を配列番号:47に示す。
本発明におけるIR-103抗体の
H鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号:110、塩基配列を配列番号:109、
L鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号:112、塩基配列を配列番号:111、
H鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:54、塩基配列を配列番号:53、
H鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:56、塩基配列を配列番号:55、
H鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:58、塩基配列を配列番号:57、
L鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:60、塩基配列を配列番号:59、
L鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:62、塩基配列を配列番号:61、
L鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:64、塩基配列を配列番号:63に示す。
本発明におけるIR-130抗体の
H鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号:114、塩基配列を配列番号:113、
L鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号:116、塩基配列を配列番号:115、
H鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:70、塩基配列を配列番号:69、
H鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:72、塩基配列を配列番号:71、
H鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:74、塩基配列を配列番号:73、
L鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:76、塩基配列を配列番号:75、
L鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:78、塩基配列を配列番号:77、
L鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:80、塩基配列を配列番号:79に示す。
本発明におけるIR-148抗体の
H鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号:118、塩基配列を配列番号:117、
L鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号:120、塩基配列を配列番号:119、
H鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:86、塩基配列を配列番号:85、
H鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:88、塩基配列を配列番号:87、
H鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:90、塩基配列を配列番号:89、
L鎖CDR1のアミノ酸配列を配列番号:92、塩基配列を配列番号:91、
L鎖CDR2のアミノ酸配列を配列番号:94、塩基配列を配列番号:93、
L鎖CDR3のアミノ酸配列を配列番号:96、塩基配列を配列番号:95に示す。
なお本発明の抗体の一つの態様として、低分子化抗体を挙げることもできる。低分子化抗体は、全長抗体の一部分が欠損している抗体断片を含み、抗原への結合能を有していれば特に限定されない。抗体断片としては、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvなどを挙げることができる。また、低分子化抗体としては、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv(single chain Fv)、Diabody、sc(Fv)2(single chain (Fv)2)などを挙げることができる。
このような低分子化抗体は、例えば、抗体を酵素で処理して抗体断片を生成させることによって得ることができる。抗体断片を生成する酵素として、例えばパパイン、ペプシン、あるいはプラスミンなどが公知である。あるいは、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させることができる(例えば、Co, M.S. et al., J. Immunol.(1994)152, 2968-2976、Better, M. and Horwitz, A. H. Methods in Enzymology(1989)178, 476-496、Plueckthun, A. and Skerra, A. Methods in Enzymology(1989)178, 476-496、Lamoyi, E., Methods in Enzymology(1989)121, 652-663、Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology(1989)121, 663-669、Bird, R. E. et al., TIBTECH(1991)9, 132-137参照)。
本明細書において、「抗原結合断片」とは、上記のような抗原結合能を有する抗体断片または抗原結合能を有する抗体断片を含む低分子化抗体をいう。Aβオリゴマーに結合しAβモノマーに結合しない抗原結合断片、あるいは、Aβオリゴマーに結合するがAβモノマーおよびアミロイド前駆体タンパク質に結合しない抗原結合断片もまた本発明に包含される。以下、本明細書において「抗体」という場合には、上記「抗原結合断片」も包含し得る。
本発明におけるポリクローナル抗体は、以下の方法によって得ることができる。Aβオリゴマー(例えばAβテトラマー)を感作抗原として従来方法により哺乳動物を免疫し、血清中の所望の抗体レベルが上昇したことを確認した後、抗原を感作した哺乳動物の血液を取り出す。この血液から公知の方法により血清を分離する。ポリクローナル抗体としては、ポリクローナル抗体を含む血清を使用してもよいし、必要に応じこの血清からポリクローナル抗体を含む画分をさらに単離して、これを使用してもよい。例えば、Aβオリゴマーをカップリングさせたアフィニティーカラムを用いて、Aβオリゴマーのみを認識する画分を得て、さらにこの画分をプロテインAあるいはプロテインGカラムを利用して精製することにより、免疫グロブリンGあるいはMを調製することができる。
また本発明は、本発明の抗体が結合するAβオリゴマーを提供する。抗体としては、好ましくはIR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体を挙げることができる。このようなAβオリゴマーは、抗体を調製するための抗原や、ワクチンとして利用できる。
換言すれば、本発明において、Aβオリゴマーは、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体が結合する抗原である。
また、本発明の抗体には、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体が結合する抗原と結合する抗体も包含される。
また、本発明は、以下の(1)〜(12)のいずれかに記載の抗体を提供するものである。
(1)配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(2)配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(3)配列番号:102に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(4)配列番号:104に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(5)配列番号:106に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(6)配列番号:108に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(7)配列番号:110に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(8)配列番号:112に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(9)配列番号:114に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(10)配列番号:116に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
(11)配列番号:118に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
(12)配列番号:120に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
上記「CDR1、CDR2およびCDR3」は、当業者に周知の方法(例えばKabat, Elvin A., Sequences of proteins of immunological interest 5th ed., National Institutes of Health, 1991; Chothia et al, J Mol Biol 196:901-917,1987)に基づき決定されたCDRを意味する。当業者に周知の方法に基づき、CDR1、CDR2およびCDR3を含む領域のアミノ酸配列からCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を特定できることは当該分野における技術常識である。以下の抗体の各態様においては、一例としてKabatの定義に従って決定したCDRのアミノ酸配列を示す。
本発明における抗体の好ましい態様として、例えば以下の(1)〜(38)のいずれかに記載の抗体を挙げることができる。
IR-003抗体
(1)CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(2)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(3)(1)に記載のH鎖、および(2)に記載のL鎖を含む抗体
(4)VHとして配列番号:98に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(5)VLとして配列番号:100に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(6)(4)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体
IR-091抗体
(7)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(8)CDR1として配列番号:28に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:32に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(9)(7)に記載のH鎖、および(8)に記載のL鎖を含む抗体
(10)VHとして配列番号:102に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(11)VLとして配列番号:104に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(12)(10)に記載のH鎖、および(11)に記載のL鎖を含む抗体
IR-099抗体
(13)CDR1として配列番号:38に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:40に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:42に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(14)CDR1として配列番号:44に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:46に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:48に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(15)(13)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体
(16)VHとして配列番号:106に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(17)VLとして配列番号:108に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(18)(16)に記載のH鎖、および(17)に記載のL鎖を含む抗体
IR-103抗体
(19)CDR1として配列番号:54に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:56に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:58に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(20)CDR1として配列番号:60に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:62に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:64に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(21)(19)に記載のH鎖、および(20)に記載のL鎖を含む抗体
(22)VHとして配列番号:110に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(23)VLとして配列番号:112に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(24)(22)に記載のH鎖、および(23)に記載のL鎖を含む抗体
IR-130抗体
(25)CDR1として配列番号:70に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:74に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(26)CDR1として配列番号:76に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:78に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:80に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(27)(25)に記載のH鎖、および(26)に記載のL鎖を含む抗体
(28)VHとして配列番号:114に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(29)VLとして配列番号:116に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(30)(28)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体
IR-148抗体
(31)CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:88に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:90に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(32)CDR1として配列番号:92に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:94に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:96に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(33)(31)に記載のH鎖、および(32)に記載のL鎖を含む抗体
(34)VHとして配列番号:118に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
(35)VLとして配列番号:120に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
(36)(34)に記載のH鎖、および(35)に記載のL鎖を含む抗体
(37)(1)から(36)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(36)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体
(38)(1)から(36)のいずれかに記載の抗体が結合するエピトープに結合する抗体
IR-003抗体
また、上記(1)に記載の「CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:98に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のVHの配列)を含むVHが例示できる。
また、上記(2)に記載の「CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むVLが例示できる。より好ましい例としては、配列番号:100に記載のアミノ酸配列(IR-003抗体のVLの配列)を含むVLが例示できる。
IR-091抗体
また、上記(7)に記載の「CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:102に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のVHの配列)を含むVHが例示できる。
また、上記(8)に記載の「CDR1として配列番号:28に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:30に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:32に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:20に記載のアミノ酸配列を含むVLが例示できる。より好ましい例としては、配列番号:104に記載のアミノ酸配列(IR-091抗体のVLの配列)を含むVLが例示できる。
IR-099抗体
また、上記(13)に記載の「CDR1として配列番号:38に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:40に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:42に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:106に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のVHの配列)を含むVHが例示できる。
また、上記(14)に記載の「CDR1として配列番号:44に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:46に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:48に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:36に記載のアミノ酸配列を含むVLが例示できる。より好ましい例としては、配列番号:108に記載のアミノ酸配列(IR-099抗体のVLの配列)を含むVLが例示できる。
IR-103抗体
また、上記(19)に記載の「CDR1として配列番号:54に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:56に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:58に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:110に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のVHの配列)を含むVHが例示できる。
また、上記(20)に記載の「CDR1として配列番号:60に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:62に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:64に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:52に記載のアミノ酸配列を含むVLが例示できる。より好ましい例としては、配列番号:112に記載のアミノ酸配列(IR-103抗体のVLの配列)を含むVLが例示できる。
IR-130抗体
また、上記(25)に記載の「CDR1として配列番号:70に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:74に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:114に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のVHの配列)を含むVHが例示できる。
また、上記(26)に記載の「CDR1として配列番号:76に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:78に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:80に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:68に記載のアミノ酸配列を含むVLが例示できる。より好ましい例としては、配列番号:116に記載のアミノ酸配列(IR-130抗体のVLの配列)を含むVLが例示できる。
IR-148抗体
また、上記(31)に記載の「CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のH鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:88に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のH鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:90に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のH鎖CDR3の配列)を有するH鎖」におけるVHとしては、配列番号:118に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のVHの配列)を含むVHが例示できる。
また、上記(32)に記載の「CDR1として配列番号:92に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のL鎖CDR1の配列)、CDR2として配列番号:94に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のL鎖CDR2の配列)、およびCDR3として配列番号:96に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のL鎖CDR3の配列)を有するL鎖」におけるVLとしては、配列番号:84に記載のアミノ酸配列を含むVLが例示できる。より好ましい例としては、配列番号:120に記載のアミノ酸配列(IR-148抗体のVLの配列)を含むVLが例示できる。
上記H鎖、L鎖、VH、VLは、それぞれ、本発明の抗体の作製において利用できる。本発明は、上記H鎖、L鎖、VH、VLにも関する。
上記(1)から(38)に記載の抗体には、一価抗体だけでなく、二価以上の多価抗体も含まれる。本発明の多価抗体には、全て同じ抗原結合部位を有する多価抗体、または、一部もしくは全て異なる抗原結合部位を有する多価抗体が含まれる。
上記(37)に記載の抗体の好ましい態様は、CDRに改変が生じていない抗体である。一例として、上記(37)に記載の抗体のうち、「(1)に記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)に記載の抗体と同等の活性を有する抗体」の好ましい態様は、「(1)に記載の抗体と同等の活性を有し、(1)に記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体」である。上記(37)に記載の抗体のうち、その他の抗体の好ましい態様も同様に表現することができる。
ただし、上記(37)に記載の抗体はCDRに改変が生じている抗体を排除するものではない。当業者であれば、同等の活性を失わないようにCDRのアミノ酸配列を改変することができる。同等の活性を失わないようなアミノ酸変異は、例えば、分子モデリング技術を用いて予測することができる。
よって、上記(37)に記載の抗体のうち、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体のH鎖CDRおよび/またはL鎖CDRを有する抗体と同等の活性を有する抗体については、以下のように表現することができる。
CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列または配列番号:aに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列または配列番号:bに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列または配列番号:cに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
CDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列または配列番号:dに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列または配列番号:eに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列または配列番号:fに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、または、
CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列を有するH鎖、ならびにCDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列または配列番号:aに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列または配列番号:bに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列または配列番号:cに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するH鎖、ならびにCDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列または配列番号:dに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列または配列番号:eに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列または配列番号:fに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体。
上記「a」に上記各抗体のH鎖CDR1のアミノ酸配列番号、「b」に上記各抗体のH鎖CDR2のアミノ酸配列番号、「c」に上記各抗体のH鎖CDR3のアミノ酸配列番号、「d」に上記各抗体のL鎖CDR1のアミノ酸配列番号、「e」に上記各抗体のL鎖CDR2のアミノ酸配列番号、「f」に上記各抗体のL鎖CDR3のアミノ酸配列番号を引用することで、上記各抗体についての(37)に記載の抗体を表現できる。例えば、IR-003抗体のH鎖CDRおよび/またはL鎖CDRを有する抗体と同等の活性を有する抗体についての(37)に記載の抗体は、以下のように表現できる。
CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列または配列番号6に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列または配列番号:8に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列または配列番号:10に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列または配列番号12に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列または配列番号:14に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列または配列番号:16に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、または、
CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖、ならびにCDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列または配列番号6に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列または配列番号:8に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列または配列番号:10に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するH鎖、ならびにCDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列または配列番号:12に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列または配列番号:14に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列または配列番号:16に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体。
なお、以下の抗体の各態様についての記載も上記と同様に、「a」〜「h」にIR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体のVH、VLのアミノ酸配列番号や各CDRのアミノ酸配列番号を引用することで、前記各抗体についての(37)に記載の抗体を表現できる。
上記CDRが改変された抗体について、「複数」とは、好ましくは5アミノ酸以内であり、より好ましくは4アミノ酸以内であり、さらに好ましくは3アミノ酸以内であり、さらにより好ましくは2アミノ酸である。なお、2つのアミノ酸配列間において、置換、欠失、付加および/または挿入がされたアミノ酸の数は、配列解析プログラムを用いてアミノ酸配列のアライメントを行うことにより特定することができる。アライメントを行うための配列解析プログラムとしては、例えば、FASTA(Lipman DJ, Pearson WR (1985) Science 227 (4693):1435-1441; Pearson, WR.,Lipman, DJ (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (8): 2444-2448)、BLAST(Altschul et al (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410;Altschulet al (1997) Nucleic Acids Res. 25: 3389-402)等が挙げられる。
抗体の抗原に対する結合特異性/親和性においては、CDR3が特に重要な役割を果たしていることは当業者に公知である。そのため、上記(37)に記載の抗体においては、CDR3のアミノ酸配列が保存されていることが好ましい。よって、上記(37)に記載の抗体の好ましい態様は、以下のように表現することができる。
CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列または配列番号:aに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列または配列番号:bに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体、
CDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列または配列番号:dに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列または配列番号:eに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体、または、
CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列を有するH鎖、ならびにCDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、CDR1として配列番号:aに記載のアミノ酸配列または配列番号:aに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:bに記載のアミノ酸配列または配列番号:bに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:cに記載のアミノ酸配列を有するH鎖、ならびにCDR1として配列番号:dに記載のアミノ酸配列または配列番号:dに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、CDR2として配列番号:eに記載のアミノ酸配列または配列番号:eに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:fに記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体。
上記(37)に記載の抗体のうち、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体のVHおよび/またはVLを有する抗体と同等の活性を有する抗体については、以下のように表現することができる。
配列番号:gに記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:gに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVHを有する H鎖を含む抗体、
配列番号:hに記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:hに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:gに記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖、および、配列番号:hに記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:gに記載のアミノ酸配列または配列番号:gに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖を、および、配列番号:hに記載のアミノ酸配列または配列番号:hに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体。
上記「g」に上記各抗体のVHのアミノ酸配列番号、「h」に上記各抗体のVLのアミノ酸配列番号を引用することで、上記各抗体についての(37)に記載の抗体を表現できる。例えば、IR-003抗体のVHおよび/またはVLを有する抗体と同等の活性を有する抗体についての(37)に記載の抗体は、以下のように表現できる。
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVH有するH鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:98に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVH有する H鎖を含む抗体、
配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVL有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:100に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列含むVLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖、および、配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:98に記載のアミノ酸配列または配列番号:98に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖、および、配列番号:100に記載のアミノ酸配列または配列番号:100に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体。
上記VHおよび/またはVLが改変された場合において、「複数」とは、好ましくは50アミノ酸以内、30アミノ酸以内、20アミノ酸以内、15アミノ酸以内、または10アミノ酸以内である。より好ましくは9アミノ酸、8アミノ酸、7アミノ酸、6アミノ酸、5アミノ酸、4アミノ酸、3アミノ酸、または2アミノ酸である。同等の活性を有する限り、改変されるアミノ酸の位置は特に限定されないが、FRのアミノ酸が改変されることが好ましい。
したがって、上記(37)に記載の抗体のうち、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体のVHおよび/またはVLを有する抗体と同等の活性を有する抗体の好ましい態様については、以下のように表現することもできる。
配列番号:aに記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:aに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVHであって、CDR1として配列番号:bに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:cに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:dに記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖を含む抗体、
配列番号:eに記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:eに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVLであって、CDR1として配列番号:fに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:gに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:hに記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:aに記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖、および、配列番号:eに記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:aに記載のアミノ酸配列を含むVHまたは配列番号:aに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVHであって、CDR1として配列番号:bに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:cに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:dに記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖、ならびに、配列番号:eに記載のアミノ酸配列を含むVLまたは配列番号:eに記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVLであって、CDR1として配列番号:fに記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:gに記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:hに記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体。
上記「a」に上記各抗体のVHのアミノ酸配列番号、「b」に上記各抗体のH鎖CDR1のアミノ酸配列番号、「c」に上記各抗体のH鎖CDR2のアミノ酸配列番号、「d」に上記各抗体のH鎖CDR3のアミノ酸配列番号、「e」に上記各抗体のVLのアミノ酸配列番号、「f」に上記各抗体のL鎖CDR1のアミノ酸配列番号、「g」に上記各抗体のL鎖CDR2のアミノ酸配列番号、「h」に上記各抗体のL鎖CDR3のアミノ酸配列番号を引用することで、上記各抗体についての(199)に記載の抗体を表現できる。例えば、IR-003抗体のVHおよび/またはVLを有する抗体と同等の活性を有する抗体についての(37)に記載の抗体は、以下のように表現できる。
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:98に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVHであって、CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖を含む抗体、
配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:100に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVLであって、CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖、および、配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体と同等の活性を有する抗体であって、配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHまたは配列番号:98に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVHであって、CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を含むVHを有するH鎖、ならびに、配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLまたは配列番号:100に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を含むVLであって、CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を含むVLを有するL鎖を含む抗体。
IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体のH鎖CDRおよび/またはL鎖CDRを有する抗体、あるいは、VHおよび/またはVLを有する抗体のいずれの改変抗体の場合においても、アミノ酸配列の改変は、下記に詳述される保存的アミノ酸置換により行われることが好ましい。よって、上記(37)に記載の抗体のより好ましい態様は、上記に記載した抗体の各態様において、「置換、欠失、付加および/または挿入」を「保存的アミノ酸置換」に置き換えることにより表現することができる。
あるポリペプチドと同等の活性を有するポリペプチドを調製するための、当業者によく知られた方法としては、ポリペプチドに変異を導入する方法が知られている。例えば、当業者であれば、部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, T. et al. (1995) Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) Methods Enzymol. 100, 468-500、Kramer, W. et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Proc Natl Acad Sci USA. 82, 488-492、Kunkel (1988) Methods Enzymol. 85, 2763-2766)などを用いて、本発明の抗体に適宜変異を導入することにより、該抗体と同等の活性を有する抗体を調製することができる。また、アミノ酸の変異は自然界においても生じうる。このように、本発明の抗体のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が変異したアミノ酸配列を有し、該抗体と同等の活性を有する抗体もまた本発明の抗体に含まれる。
変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。あるアミノ酸がアミノ酸側鎖の性質が保存された別のアミノ酸に置換されることを「保存的アミノ酸置換」という。上記(37)に記載の抗体においては、抗体のアミノ酸配列における変異は「保存的アミノ酸置換」であることが好ましい。
一般に、あるアミノ酸配列における一つまたは複数個のアミノ酸残基により修飾(欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換)されたアミノ酸配列を有するポリペプチドは、その生物学的活性(機能)を維持することは公知である。
上述の修飾に加え、本発明の抗体は、活性を保持している限り、他の物質にさらに連結されていてもよい。他の物質としては、例えばペプチド、脂質、糖および糖鎖、アセチル基、天然および合成のポリマー等が挙げられる。これらの修飾は、付加的な機能を付与するか、または抗体を安定化するために実施され得る。
本発明の抗体のアミノ酸配列に複数個のアミノ酸残基が付加された抗体には、これら抗体を含む融合タンパク質が含まれる。融合タンパク質とは、これら抗体と他のペプチド又はタンパク質とが融合したものである。融合タンパク質を作製する方法は、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドと他のペプチド又はポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをフレームが一致するように連結してこれを発現ベクターに導入し、宿主で発現させればよく、当業者に公知の手法を用いることができる。本発明の抗体との融合に付される他のペプチド又はポリペプチドとしては、例えば、FLAG(Hopp, T. P. et al., BioTechnology (1988) 6, 1204-1210 )、6個のHis(ヒスチジン)残基からなる6×His、10×His、インフルエンザ凝集素(HA)、ヒトc-mycの断片、VSV-GPの断片、p18HIVの断片、T7-tag、HSV-tag、E-tag、SV40T抗原の断片、lck tag、α-tubulinの断片、B-tag、Protein C の断片等の公知のペプチド、GST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)、イムノグロブリン定常領域、β−ガラクトシダーゼ、MBP(マルトース結合タンパク質)等が挙げられる。市販されているこれらペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドと融合させ、これにより調製された融合ポリヌクレオチドを発現させることにより、融合ポリペプチドを調製することができる。
本発明の抗体は、産生する細胞や宿主あるいは精製方法により、アミノ酸配列、分子量、糖鎖の有無や形態などが異なり得る。しかしながら、得られた抗体が、本発明の抗体と同等の活性を有している限り、本発明に含まれる。
ここで、「同等の活性」とは、対象となる抗体が本発明の抗体と同様の生物学的あるいは生化学的活性を有することを指す。本発明における「活性」としては、例えば、Aβオリゴマーに特異的に結合しAβモノマーに結合しない活性、Aβオリゴマーに特異的に結合するがAβモノマーおよびアミロイド前駆体タンパク質に結合しない活性、抗神経毒性活性、Aβアミロイド線維形成抑制活性、抗シナプス毒性活性、抗記憶障害活性、抗Aβ沈着活性、抗チオフラビン-S陽性斑形成活性、抗Aβオリゴマー蓄積活性を例示することができる。
好ましい態様においては、本発明における「活性」は、Aβオリゴマーに特異的に結合しAβモノマーに結合しない活性である。「Aβオリゴマーに特異的に結合しAβモノマーに結合しない活性」は、実施例に記載のように、ドットブロット、競合ELISAを用いて評価することが好ましい。ドットブロットおよび競合ELISAの具体的な方法としては、実施例に記載の方法が例示される。また、AβオリゴマーおよびAβモノマーに対する結合活性は、例えば吸光度測定法、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)、酵素免疫アッセイ法(EIA)、放射免疫アッセイ法(RIA)、免疫蛍光法等の他の免疫検定法を用いて行うこともできる。例えば、ELISAでは、抗体をプレート上に固定し、それに対する抗原をプレートに添加し、次いで、抗体を産生する細胞の培養上清または精製抗体などの所望の抗体を含む試料を添加する。次に、一次抗体を認識しかつアルカリホスファターゼなどの酵素でタグ付加された二次抗体を添加し、プレートをインキュベーションする。洗浄後に、p-ニトロフェニルリン酸などの酵素基質をプレートに添加し、吸光度を測定して、目的試料の抗原結合能力を評価する。なお、Aβオリゴマーに対する結合性とAβモノマーに対する結合性は同一の方法で測定されることが好ましいが、別々の方法で測定してもよい。例えば、Aβオリゴマーに対する結合性は、Biacore(GEヘルスケアサイエンス)により解析してもよい。
本発明における「活性」が、Aβオリゴマーに特異的に結合するがAβモノマーおよびアミロイド前駆体タンパク質に結合しない活性である場合には、該活性は、上記の方法または実施例に記載の方法により評価することができる。
本発明における「活性」が抗神経毒性活性である場合には、抗神経毒性活性は、例えば神経細胞を抗体の存在下または非存在下でAβとともに培養し、抗体によって阻害されたAβ誘発性細胞毒性レベルを測定することにより評価することができる。Aβ誘発性細胞毒性は、例えば、Live/Dead二色蛍光アッセイ、培地中に放出された死細胞由来のLDH量の測定等により評価することができる。LDH量の測定には、例えば、CytoTox96(Promega)等が使用可能である。抗神経毒性活性を測定するための具体的な方法は、実施例に記載の方法が例示される。
本発明における「活性」がAβアミロイド線維形成抑制活性である場合には、Aβアミロイド線維形成抑制活性は、例えば、Aβ溶液を抗体の存在下または非存在下で反応させ、抗体によって抑制されたAβアミロイド線維形成レベルを検出することにより評価することができる。Aβアミロイド線維量は、例えば、ThT(ThioflavinT)溶液を培養液に添加してアミロイド線維に結合したThT量をThT蛍光で測定することにより評価することができる。Aβアミロイド線維形成抑制活性を測定するための具体的な方法は、実施例に記載の方法が例示される。
本発明における「活性」が抗シナプス毒性活性である場合には、抗シナプス毒性活性は、例えば、変異型ヒトAPP遺伝子発現マウス(例えばTg2576マウス(Taconics, USA))において、抗体投与によるシナプス毒性抑制効果を検出することにより評価することができる。シナプス毒性の評価は、マウスの記憶障害試験、抗シナプトフィジン抗体によるシナプトフィジン陽性腫大変性神経突起数の解析、抗シナプトフィジン抗体やドレブリン抗体等を用いたマウス脳切片の免疫染色分析により行うことができる。本発明における「活性」が抗記憶障害活性である場合にも、変異型APP遺伝子発現マウスを用いた記憶障害試験により抗記憶障害活性を求めることができる。また、本発明における「活性」が抗Aβ沈着活性、抗チオフラビン-S陽性斑形成活性、抗Aβオリゴマー蓄積活性である場合にも、変異型APP遺伝子発現マウスを用いた抗体投与試験により、これらの活性を求めることができる。
抗記憶障害活性、抗シナプス毒性活性、抗Aβ沈着活性、抗チオフラビン-S陽性斑形成活性および抗Aβオリゴマー蓄積活性を測定するための具体的な方法を以下に例示する。
家族性ADのSwedish二重変異(K670N;M671L)を有するヒトAPP遺伝子を保有しかつ過剰発現するTg2576マウス(Taconics社、Germantown, NY, USA)および比較対照用の雌性非トランスジェニックマウス(非Tg)に、本発明の抗体(投与量:0.4 から5.0mg/kg/週の範囲)またはPBSを尾静脈内投与する。投与開始時のマウス月齢は、治療効果検討には記憶学習障害が発現する6ヶ月齢以降、予防効果を検討するには4ヶ月齢とする。抗体投与期間は、治療効果検討には2ヶ月間、予防効果検討には9ヶ月とする。抗記憶障害活性測定のためには、上記抗体投与期間後に3通りの行動パラダイムに関して計測する(Mouri A, FASEB J, 21: 2135-2148, 2007:(1)Y迷路試験における短期記憶;(2)新規物体認識試験;(3)手がかりつき恐怖条件付け試験)。他の活性を評価するためには、行動解析終了後のマウスを屠殺し、脳の半球を、凍結ミクロトーム(RM 2145;Leica, Wetzlar, Germany)を用いて、10-30μm厚切片として切断する。チオフラビン-S陽性斑形成を観察するためには、例えば、Wyss-Coray et al, 2001に記載の方法によりチオフラビン-S染色を行う。シナプトフィジン陽性腫大変性神経突起形成観察はシナプトフィジン抗体(Chemicon, Temecula, CA)を用いて行う。各マウスに関して、脳の半球1つにつき4〜5枚の切片におけるチオフラビン-S陽性斑とシナプトフィジン陽性腫大変性神経突起数を倍率40倍で算定する。Aβ沈着観察は連続切片を、ギ酸またはプロテアーゼ-Kによる短時間の前処理の後にAβ免疫染色キット(Sigma, St. Louis, MO)もしくは抗Aβポリクローナル抗体(Biosource社)で行い、免疫陽性シグナルをABC eliteキット(Vector Laboratories)を用いて描出する。大脳皮質および海馬の画像を顕微鏡に接続したデジタルカメラを用いて取り込み、簡単なPCIソフトウエア(Compix Imaging System, Lake Oswego, OR)を用いて解析する。チオフラビン-S陽性斑とシナプトフィジン陽性腫大変性神経突起数定量は、二重盲検様式で行う。シナプス変性の観察は、抗シナプトフィジン抗体および抗ドレブリン抗体を用いた免疫染色により行う。抗Aβオリゴマー蓄積活性を評価するためには、同マウスの残りの脳半球より瓦林等の方法(Kawarabayashi, et al, J. Neuroscience 2001)に従い脳ホモジェネートを調整し、SDS-PAGEとイムノブロット解析により、Aβオリゴマー量を測定する。検出用の抗体には、市販の抗Aβオリゴマーモノクローナル抗体(例えば6E10(Covance Immuno-Technologies, Dedham, MA))もしくはポリクローナル抗体(例えばA11(Biosouce, Carmarillo, CA))を用いることができる。
なお、「同等の活性」における「同等」とは、生物学的あるいは生化学的活性として求められた値が、比較対象となる2つの抗体の間で、20%以内の範囲で異なる場合を含む。活性として求められた値の差は、15%以内、10%以内、5%以内、または2.5%以内であることが好ましい。
(1)から(36)のいずれかに記載の抗体が結合するエピトープに結合する抗体は当業者に公知の方法により得ることが可能である。例えば、(1)から(36)のいずれかの抗体が結合するエピトープを通常の方法により決定し、該エピトープに含まれるアミノ酸配列を有するポリペプチドを免疫原として抗体を作製する方法や、通常の方法で作製された抗体のエピトープを決定し、(1)から(36)のいずれかの抗体とエピトープが同じ抗体を選択する方法などにより得ることができる。
上記(1)から(38)に記載の抗体には、上述の低分子化抗体、ヒト化抗体やキメラ化抗体などのアミノ酸配列が改変された抗体、非ヒト動物抗体、ヒト抗体、他の分子(例えば、ポリエチレングリコールなどの高分子等)が結合した修飾抗体、糖鎖が改変された抗体、など如何なる抗体も含まれる。
本発明における抗体の好ましい態様の一つとして、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体、を挙げることができる。これらの抗体は、実施例に記載の方法で得ることができる。また、これらの抗体は、その配列情報をもとに作製することもできる。
また、本発明における抗体の好ましい態様の一つとして、キメラ抗体又はヒト化抗体等の改変抗体を挙げることができる。より好ましい態様としては、可変領域がIR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体由来の可変領域であり、かつ定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするキメラ抗体、CDRがIR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体由来のCDRであり、FRがヒトイムノグロブリン由来のFRであり、かつ定常領域がヒトイムノグロブリン由来の定常領域であることを特徴とするヒト化抗体、を挙げることができる。
上記キメラ抗体は、以下の形式で表現することもできる。
配列番号:aに記載のアミノ酸配列を含むVH、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖を含む抗体、
配列番号:bに記載のアミノ酸配列を含むVL、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:aに記載のアミノ酸配列を含むVH、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖、ならびに、配列番号:bに記載のアミノ酸配列を含むVL、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体。
上記「a」に上記各抗体のVHのアミノ酸配列番号、「b」に上記各抗体のVLのアミノ酸配列番号を引用することで、上記各抗体のキメラ抗体における好ましい態様を表現できる。例えば、IR-003抗体のキメラ抗体は、以下のように表現できる。
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVH、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖を含む抗体、
配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVL、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVH、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖、ならびに、配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVL、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体。
また上記ヒト化抗体は、以下の形式で表現することもできる。
配列番号:aに記載のアミノ酸配列を含むVHのCDR、ヒト抗体のVHのFR、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖を含む抗体、
配列番号:bに記載のアミノ酸配列を含むVLのCDR、ヒト抗体のVLのFR、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:aに記載のアミノ酸配列を含むVHのCDR、ヒト抗体のVHのFR、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖、ならびに、配列番号:bに記載のアミノ酸配列を含むVLのCDR、ヒト抗体のVLのFR、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体。
上記「a」に上記各抗体のVHのアミノ酸配列番号、「b」に上記各抗体のVLのアミノ酸配列番号を引用することで、上記各抗体のヒト化抗体を表現できる。例えば、IR-003抗体のヒト化抗体は、以下のように表現できる。
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHのCDR、ヒト抗体のVHのFR、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖を含む抗体、
配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLのCDR、ヒト抗体のVLのFR、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体、または、
配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHのCDR、ヒト抗体のVHのFR、および、ヒト抗体のCHを有するH鎖、ならびに、配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLのCDR、ヒト抗体のVLのFR、および、ヒト抗体のCLを有するL鎖を含む抗体。
なおこれらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体やヒト化抗体はヒト体内における抗原性が低下しているため、治療目的などでヒトに投与する場合に有用である。
キメラ抗体は、異なる動物由来の配列を組み合わせて作製される抗体であり、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体などである。キメラ抗体の作製は公知の方法を用いて行うことができる(例えば、Jones et al., Nature 321:522-5, 1986;Riechmann et al., Nature 332:323-7, 1988;およびPresta, Curr Opin Struct Biol 2:593-6, 1992参照)。例えば、まず、関心対象の抗体の可変領域またはCDRをコードする遺伝子が、抗体産生細胞のRNAからポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等によって調製される(例えば、Larrick et al., "Methods: a Companion to Methods in Enzymology", Vol. 2: 106, 1991;Courtenay-Luck, "Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies" in Monoclonal Antibodies: Production, Engineering and Clinical Application;Ritter et al. (eds.), page 166, Cambridge University Press, 1995, and Ward et al., "Genetic Manipulation and Expression of Antibodies" in Monoclonal Antibodies: Principles and Applications;Birch et al. (eds.), page 137, Wiley-Liss, Inc., 1995参照)。また、AL-201〜AL-233のいずれかの抗体に由来するキメラ抗体を作製する場合には、本明細書に開示された各抗体の配列情報に基づいて、可変領域またはCDRをコードする遺伝子を合成してもよい。調製された可変領域またはCDRをコードする遺伝子を、定常領域(例えばヒト抗体の定常領域)またはフレームワーク領域(例えばヒト抗体のフレームワーク領域)をコードする遺伝子と連結する。定常領域またはフレームワーク領域をコードする遺伝子は、可変領域またはCDRをコードする遺伝子と同様に決定され得、または既存の抗体の配列情報に基づき、それらを調製することも可能である。キメラ産物およびCDRグラフト産物をコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成技術を使用して、完全にまたは部分的に合成され得る。例えば、Jonesら(Nature 321:522-5, 1986)によって記載されたようなオリゴヌクレオチド用の合成が使用され得る。さらに、一部の場合には、部位特異的突然変異誘発およびポリメラーゼ連鎖反応の技術が、適宜、使用され得る。Verhoeyenら(Science 239: 1534-6, 1988)またはRiechmannら(Nature 332: 323-7, 1988)によって記載された既存の可変領域のオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発のための技術が、可変領域の配列を修飾して、例えば、キメラ抗体の結合能力を増強するために利用され得る。さらに、必要であれば、例えば、Queenら(Proc Natl Acad Sci USA 86: 10029-33, 1989;WO 90/07861)によって記載されたような、T4 DNAポリメラーゼを使用した、ギャップを有するオリゴヌクレオチドの酵素的フィルイン(filling in)が使用され得る。
例えばCDRグラフト技術は、当技術分野において公知である("Immunoglobulin genes", Academic Press (London), pp260-74, 1989;Michael A et al., Proc Natl Acad Sci USA 91: 969-73, 1994)。この技術によると、ある抗体のCDRが、別の抗体のCDRと交換される。そのような交換を通して、前者の抗体の結合特異性が、後者の抗体のものへと変化する。そのようなキメラ抗体のうち、フレームワークアミノ酸がヒト抗体に由来するものは、「ヒト化抗体(CDRグラフト抗体)」と呼ばれる。ヒトの処置に抗体を使用する場合には、ヒト抗体またはヒト化抗体を使用することが好ましい。
一般的に、キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域とからなる。一方、ヒト化抗体は、ヒト以外の哺乳動物由来抗体のCDR(相補性決定領域)と、ヒト抗体由来のフレームワーク領域および定常領域とからなる。
なお、キメラ抗体やヒト化抗体を作製した後に、可変領域(例えば、FR)や定常領域中のアミノ酸を他のアミノ酸で置換等してもよい。
キメラ抗体における可変領域、又はヒト化抗体におけるCDRの由来は特に限定されない。
また、キメラ抗体およびヒト化抗体のC領域には、ヒト抗体のものが使用され、例えばH鎖としては、Cγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cμ、Cδ、Cα1、Cα2、Cεが、L鎖としてはCκ、Cλが使用できる。これらの配列は公知である。また、抗体またはその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾することができる。
また本発明は、上記本発明の抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明のポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードする限り特に限定されず、DNAであってもRNAであってもよい。また非天然の塩基を含んでいてもよい。本発明のポリヌクレオチドは、本発明の抗体を遺伝子工学的な手法により製造するために使用することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、実施例に記載のように、本発明の抗体を産生する抗体産生細胞からmRNAを単離して逆転写反応によりcDNAを取得し、取得されたcDNAをPCR等により増幅することによって得ることができる。本発明のポリヌクレオチドの好ましい態様としては、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体のH鎖CDRおよび/またはL鎖CDRを含む抗体、あるいは、その抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
また、別の態様としてはIR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体のVHおよび/またはVLを含む抗体、あるいは、その抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
上記各態様のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の上記各抗体のアミノ酸配列情報に基づいてポリヌクレオチドを合成することにより得ることができる。
また本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。本発明のベクターは、宿主細胞での本発明の抗体の発現を目的とした発現ベクターであることが好ましい。本発明のベクターは、本発明の抗体を製造するために使用することができる。
本発明のベクターは、本発明のポリヌクレオチドのほか、宿主細胞での発現を可能とするためのプロモーター配列を含んでいることが好ましい。また、本発明の抗体を分泌させるためのシグナル配列を含んでいてもよい。さらに、本発明のベクターが導入された宿主細胞を選択するためのマーカー遺伝子を含むこともできる。本発明のベクターが含み得る構成要素はこれらに限定されず、当業者が適宜選択して適切な構成要素を含ませることができる。
例えば、大腸菌で発現させるための発現ベクターとしては、大腸菌で増幅されるための「ori」を有し、プロモーターとしてlacZプロモーター(Wardら, Nature (1989) 341, 544-546;FASEB J. (1992) 6, 2422-2427)、araBプロモーター(Betterら, Science (1988) 240, 1041-1043)、またはT7プロモーター等を有し、マーカー遺伝子としてアンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、クロラムフェニコール等の薬剤耐性遺伝子を有するベクターが挙げられる。そのようなベクターとしては例えば、、M13系ベクター、pUC系ベクター、pBR322、pBluescript、pCR-Script等が挙げられる。また、シグナル配列としては、pelBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol. (1987) 169, 4379)等を利用可能である。
大腸菌発現ベクター以外の本発明のベクターとしては、例えば、哺乳動物由来の発現ベクター(例えば、pcDNA3 (インビトロゲン社製)、pEGF-BOS (Nucleic Acids. Res.1990, 18(17),p5322)、pEF 、pCDM8)、昆虫細胞由来の発現ベクター(例えば「Bac-to-BAC baculovirus expression system」(ギブコBRL社製)、pBacPAK8)、植物由来の発現ベクター(例えばpMH1、pMH2)、動物ウィルス由来の発現ベクター(例えば、pHSV、pMV、pAdexLcw)、レトロウィルス由来の発現ベクター(例えば、pZIPneo)、酵母由来の発現ベクター(例えば、「Pichia Expression Kit」(インビトロゲン社製)、pNV11、SP-Q01)、枯草菌由来の発現ベクター(例えば、pPL608、pKTH50)等が挙げられる。
CHO細胞、COS細胞、NIH3T3細胞等の動物細胞で発現させるための発現ベクターとしては、プロモーターとしてSV40プロモーター(Mulliganら, Nature (1979) 277, 108)、MMTV-LTRプロモーター、EF1αプロモーター(Mizushimaら, Nucleic Acids Res. (1990) 18, 5322)、CMVプロモーター等を有し、マーカー遺伝子としてネオマイシン、G418等の薬剤耐性遺伝子を有するベクターが挙げられる。このようなベクターとしては、例えば、pMAM、pDR2、pBK-RSV、pBK-CMV、pOPRSV、pOP13等が挙げられる。シグナル配列としては、例えば実施例に記載のいずれかのシグナル配列を利用してもよい。
また本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合断片を産生する宿主細胞を提供する。本発明の宿主細胞としては、本発明のポリヌクレオチド、または本発明のベクターを有する細胞が挙げられる。本発明の宿主細胞は、本発明の抗体または抗原結合断片の製造に使用することができる。
本発明の宿主細胞は、本発明の抗体を産生するハイブリドーマに限定されず、本発明のベクターを導入した真核細胞または原核細胞であってもよい。真核細胞を宿主細胞として使用する場合には、例えば、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を宿主細胞に用いることができる。動物細胞としては、哺乳類細胞(CHO(J. Exp. Med. (1995) 108, 945)、COS、3T3、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Vero等)、両生類細胞(アフリカツメガエル卵母細胞(Valle, et al., Nature (1981) 291, 358-340)等)、昆虫細胞(Sf9、Sf21、Tn5等)等が挙げられる。植物細胞としては、例えば、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞がタンパク質生産系として知られており、これをカルス培養して用いることができる。真菌細胞としては、例えば、酵母(例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属(サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)等))、糸状菌(例えばアスペルギルス(Aspergillus)属(アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等))等が挙げられる。原核細胞としては、例えば大腸菌、枯草菌等が挙げられる。宿主細胞へのベクターの導入は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、カチオニックリボソームDOTAP(ベーリンガーマンハイム社製)を用いた方法、エレクトロポーレーション法、リポフェクション等の方法で行うことができる。
また、本発明は、上記宿主細胞から産生される抗体もまた提供するものである。
また、本発明は、上記本発明の抗体または抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む組成物を提供する。
本発明者らによって、後述のように、IR-003抗体、IR-091抗体、IR-099抗体、IR-103抗体、IR-130抗体、またはIR-148抗体の各抗体が、アルツハイマー様表現型を予防するための治療用抗体の有望な候補であることが強く示唆された。例えば、記憶力低下は可溶性Aβオリゴマーによって引き起こされるシナプス機能不全に相当することが示されている[Klein WL, 2001, Trends Neurosci;Selkoe DJ, 2002, Science]。Aβオリゴマーの過度の蓄積および沈着は、アルツハイマー病を結果として引き起こす複雑な下流カスケードの引き金を引く可能性がある。そのため、上記本発明の抗体または抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む組成物を用いた治療的介入は、この病的カスケードを遮断するのに有効な可能性があり、それはアルツハイマー病を治療することを可能にすると考えられる(WO2009/051220、WO2009/099176、US12/533,294、US12/533,348)。
本発明において「治療」または「予防」とは、疾患あるいは疾病による症状を呈する臓器、組織に対して、必ずしも完全な治療効果または予防効果を有する必要はなく、部分的な効果または症状の進行を抑制する効果を有する場合であってよい。
本発明における「アルツハイマー病の治療」とは、アルツハイマー病によって生じ得る少なくとも1つの症状を改善または症状の進行を抑制することであり、例えば、認知機能障害の改善や抑制、老人斑形成の改善や抑制、シナプス機能不全の改善や抑制、脳組織中または血液中等におけるAβ蓄積の減少や抑制、等が挙げられる。ここで「認知機能障害」には、例えば、記憶障害とされる、長期/短期記憶障害、物体認識記憶障害、空間記憶障害、および連合情緒記憶障害が含まれる。また、本発明における「アルツハイマー病の予防」とは、アルツハイマー病によって生じ得る少なくとも1つの症状の発症を抑制することであり、例えば、認知機能障害の発症抑制、老人斑形成の抑制、シナプス機能不全の発症抑制、脳組織中または血液中等におけるAβ蓄積抑制、等が挙げられる。
即ち、本発明は、上記本発明の抗体または抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む組成物を有効成分として含有する、医薬組成物あるいは薬剤を提供する。上記本発明の医薬組成物あるいは薬剤は、本発明の抗体または抗原結合断片を有効成分として含有する、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物あるいは薬剤と表現することもできる。
本発明において、「上記本発明の抗体または抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む組成物を有効成分として含有する」または「上記本発明の抗体または抗原結合断片を有効成分として含有する」とは、上記本発明の抗体または抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む組成物、または上記本発明の抗体または抗原結合断片を主要な成分として、または生理活性もしくは薬理作用を示す成分として含むという意味であり、含有率を制限するものではない。
上記医薬組成物としては、例えば抗認知機能障害剤、アルツハイマー病治療剤、アルツハイマー病進行抑制剤、老人斑形成抑制剤、Aβ蓄積抑制剤、抗神経毒性剤(神経毒性中和剤)、Aβアミロイド線維形成阻害剤、抗シナプス毒性剤(シナプス毒性中和剤)等が挙げられる。
本発明における上記医薬組成物は、上記本発明の抗体または抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む組成物を対象(個体)に投与する工程を含む、例えば、「アルツハイマー病を抑制する方法」と表現することもできる。あるいは、上記本発明の抗体または抗体結合断片の治療的有効量を対象に投与する工程を含む、例えば、「アルツハイマー病を抑制する方法」と表現することもできる。他の態様としては、認知機能障害を抑制する方法、アルツハイマー病の進行を抑制する方法、老人斑形成を抑制する方法、Aβの蓄積を抑制する方法、神経毒性活性を中和する(抑制する)方法、Aβアミロイド線維形成を阻害する方法、またはシナプス毒性活性を中和する(抑制する)方法も挙げることができる。さらに他の態様として、認知機能障害の予防および治療のいずれか、または両方のための方法、アルツハイマー病の予防および治療のいずれか、または両方のための方法も挙げることができる。
または、上記医薬組成物の製造のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片および薬学的に許容される担体を含む組成物の使用、と表現することもできる。また、上記医薬組成物の製造のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用、と表現することもできる。
また本発明は、以下の各抗体または抗原結合断片に関する。
・認知機能障害の予防および治療のいずれか、または両方に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
・アルツハイマー病の予防および治療のいずれか、または両方に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
・アルツハイマー病進行抑制に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
・老人斑形成抑制に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
・Aβ蓄積抑制に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
・神経毒性活性中和(抑制)に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
・Aβアミロイド線維形成阻害に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
・シナプス毒性活性中和(抑制)に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片
また本発明は、以下の各使用に関する。
・認知機能障害の予防および治療のいずれか、または両方のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
・アルツハイマー病の予防および治療のいずれか、または両方のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
・アルツハイマー病進行抑制のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
・老人斑形成抑制のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
・Aβ蓄積抑制に使用するための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
・神経毒性活性中和(抑制)のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
・Aβアミロイド線維形成阻害のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
・シナプス毒性活性中和(抑制)のための、上記本発明の抗体または抗原結合断片の使用
上記本発明の医薬組成物または薬剤は、ヒトまたはその他動物に投与可能である。本発明において、医薬組成物または薬剤を投与するヒト以外の動物には、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サル、ヒヒ、およびチンパンジーが含まれ得る。これらの動物は、例えば認知機能障害、老人斑形成、シナプス機能不全、脳組織中または血液中におけるAβ蓄積、等の症状のうち少なくとも1つの症状を呈する動物であることが好ましい。
本発明の医薬組成物に含有される抗体または抗原結合断片は、上記本発明の抗体または抗原結合断片である限り特に制限はなく、例えば本明細書中に記載された抗体または抗原結合断片が例示できる。
上記本発明の抗体または抗原結合断片を医薬組成物として用いる場合には、当業者に公知の方法で製剤化することが可能である。例えば必要に応じて、水または他の任意の薬学的に許容される液体で無菌性溶液もしくは懸濁液にすることによって、非経口的に投与されうる注射可能な形態へと調製することができる。例えば、医薬組成物に含まれるべき抗体または抗原結合断片を、薬学的に許容される担体または溶媒、具体的には滅菌水、生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、溶剤、保存剤、結合剤などと混合して、薬剤としての使用に必要な一般に許容される単位用量にすることができる。「薬学的に許容される」という用語は、その物質が不活性であり、かつ薬物用の希釈剤またはビヒクルとして使用される従来物質を含むことを示す。適切な賦形剤およびその製剤は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed. (1980) Mack Publishing Co., ed. Oslo et al.に記載されている。
生理食塩水、グルコース、およびアジュバント(D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、および塩化ナトリウムなど)を含む他の等張性溶液を、注射用水溶液として使用することができる。これらは、アルコール、具体的にはエタノールおよびポリアルコール(例えばプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、ならびに非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80(商標)またはHCO-50)などの適切な可溶化剤とともに使用することができる。
ゴマ油またはダイズ油を油性液体として用いることができ、これらと共に可溶化剤として安息香酸ベンジルまたはベンジルアルコールを用いてもよい。緩衝液(リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、鎮痛薬(塩酸プロカインなど)、安定剤(ベンジルアルコール、フェノールなど)、および抗酸化剤を製剤に用いることができる。調製した注射液は適切なアンプルに充填することができる。
投与は好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。
医薬組成物は、薬学的に有効な量または治療的に有効な量の活性成分(上記本発明の抗体)を含む。化合物の「薬学的に有効な量」または「治療的に有効な量」とは、上記本発明の抗体に対する抗原が重要な役割を果たしている障害を処置および/または予防するのに十分な量である。薬学的に有効な量または治療的に有効な量の例は、上記本発明の抗体または抗原結合断片が個体(患者)に投与された場合に、例えばAβの蓄積を減少、Aβ誘発性の毒性を中和、またはAβ原線維形成を減少させ、それによりアルツハイマー病によって生じる障害を処置または予防するために必要な量であり得る。減少あるいは中和は、例えば、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%、80%、90%、95%、99%、または100%の減少あるいは中和であり得る。
上記本発明の抗体または抗原結合断片のそのような薬学的に有効な量を決定するための査定は、組織病理学的な診断を含む標準的な臨床プロトコールを使用してなされ得る。
また、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。抗体を含有する医薬組成物の投与量としては、例えば、一回につき体重1 kgあたり0.0001 mgから1000 mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000 mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができるが、これらの数値に必ずしも制限されるものではない。投与量、投与方法は、患者の体重や年齢、症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。例えば、免疫グロブリン大量静注療法(400 mg/Kg)に準じて投与量を選択してもよい。
本発明において、本発明の抗体または抗原結合断片を含む医薬組成物または薬剤は、対象の病理学的状態を処置するために有用な材料を含有している製品およびキットに含まれ得る。製品は、ラベルを含む化合物のうちのいずれかの容器を含み得る。適当な容器には、ボトル、バイアル、および試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックのような多様な材料から形成されていてよい。容器表面のラベルは、疾患の一つまたは複数の状態を処置または予防するために組成物が使用されることを示しているべきである。ラベルは、投与のための説明等も示し得る。
上記の容器に加え、本発明の抗体または抗原結合断片を含む医薬組成物または薬剤を含むキットは、任意で、薬学的に許容される希釈剤を収納している第二の容器を含み得る。これは、その他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器、および使用のための説明を含む包装挿入物を含む、商業上および使用者の見地から望ましいその他の材料をさらに含んでいてもよい。
必要に応じて、医薬組成物を、活性成分を含む一つまたは複数の単位用量剤形を含みうるパックまたはディスペンサー装置内に提供してもよい。パックは例えば、金属またはブリスタパックのようなプラスチックホイルを含んでもよい。パックまたはディスペンサー装置には、投与のための説明書を添付してもよい。
上記の薬剤やキットにおいては、有効成分である上記本発明の抗体または抗原結合断片以外に、例えば、滅菌水、生理食塩水、植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤、緩衝剤、タンパク質安定剤(BSAやゼラチンなど)、保存剤、ブロッキング溶液、反応溶液、反応停止液、試料を処理するための試薬等が必要に応じて混合されていてもよい。
また本発明は、試料(サンプル)中のAβオリゴマー(例えばAβ40(Aβ1-40)オリゴマー、Aβ42(Aβ1-42)オリゴマー、Aβ40Aβ42オリゴマーが挙げられる)を測定する方法を提供する。本発明における「試料」としては、例えば被験者から採取された試料、細胞培養上清、細胞抽出物、被験動物から採取された試料等が挙げられるが、Aβオリゴマーを含む限り特に限定されるものではない。本方法には、具体的には、試料(例えば被験者から採取された試料)に含まれるAβオリゴマーを、本発明の抗体または抗原結合断片を用いて検出する工程が含まれる。試料中のAβオリゴマーの測定は、一般的な免疫学的検定の手法により行うことができ、例えばELISA(化学発光を利用するサンドイッチ固相酵素免疫アッセイ(化学発光-ELISA)による方法等)、RIA、免疫沈降法、イムノブロット、フローサイトメトリー、質量分析法、免疫組織化学法などの方法を用いることができる。
上記測定方法によって、被験者から採取された試料中にAβオリゴマーが検出される場合に、被験者はアルツハイマー病候補であると考えられる(WO2009/051220、WO2009/099176、US12/533,294、US12/533,348)。よって本発明は、被験者がアルツハイマー病候補であるか否か診断する方法も提供する。例えば、被験者と健常者のそれぞれから採取された試料中におけるAβオリゴマー量を比較し、被験者のAβオリゴマー量が健常者のAβオリゴマー量と比較して多いと判定される場合に、被験者がアルツハイマー病候補であると判断される。被験者がアルツハイマー病候補であるか否かの診断は、通常、医師(医師の指示を受けた者も含む。以下同じ。)によって行われるが、本診断方法によって得られる、被験者と健常者のそれぞれから採取された試料中におけるAβオリゴマー量に関するデータは、医師による診断に役立つものである。よって、本診断方法は、医師による診断に役立つデータを収集し、提示する方法とも表現しうる。また、「被験者がアルツハイマー病候補であるか否か診断する方法」は「被験者がアルツハイマー病に罹患しているか、またはそれを発症するリスクがあるか否か診断する方法」とも表現しうる。
即ち、本発明は、本発明に記載の抗体または抗原結合断片を用いて、被験者から採取された試料におけるAβオリゴマーを検出することを特徴とする、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法を提供する。
より具体的には、以下の工程を含む、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法を提供する。
(a)被験者から採取した試料を、本発明の抗体またはその抗原結合断片と接触させる工程
(b)前記試料中におけるAβオリゴマーの量を測定する工程
上記(b)の工程において想定されたAβオリゴマーの量が健常者と比較して高い場合に、被験者はアルツハイマー病候補であると判定される。なお、上記(b)の工程は、前記試料中のAβオリゴマーに結合した本発明の抗体または抗原結合断片を介して、前記試料中のAβオリゴマーを検出する工程と表現することもできる。
また本発明は、以下の工程を含む、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法であって、工程(b)に記載の比が健常者と比較して高い場合に、被験者がアルツハイマー病候補であると判定される方法を提供する。
(a)被験者から採取した試料を、本発明に記載の抗体または抗原結合断片、およびAβモノマーに結合する抗体または抗原結合断片と接触させる工程
(b)前記試料中におけるAβモノマーに対するAβオリゴマーの比を測定する工程
まず本方法においては、被験者から採取した試料、本発明に記載の抗体または抗原結合断片、およびAβモノマーに結合する抗体または抗原結合断片とを接触させる。ここで「接触」とは、例えば、試験管内における被験者から採取した試料に、上記各抗体または抗原結合断片を添加することにより行われうる。この場合において、添加される抗体または抗原結合断片の形状としては、溶液又は凍結乾燥等により得られる固体等の形状が適宜使用できる。水溶液として添加される場合にあっては純粋に抗体のみを含有する水溶液であってもよいし、例えば界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等を含む溶液であってもよい。抗体の添加する濃度は特に限定されない。例えば、ヒト免疫グロブリン製剤と同様に凍結乾燥状態で、500 mg, 1000 mg, 2,500 mg製剤などが好適に使用されうる。また、「接触」は、例えば、上記抗体または抗原結合断片が固層化された担体に試料を添加することによっても行われうる。抗体または抗原結合断片が固層化される担体の好ましい例としては、例えば、マイクロプレート、ビーズ(磁気ビーズ、セファロースビーズ等)等が挙げられる。
次に、前記試料中におけるAβモノマーに対するAβオリゴマーの比(本願明細書では、「O/M指数」と記載する場合もある)を測定する。当該比の測定については、例えば、同一検体から得られたオリゴマーとモノマーELISA値の比等の方法を用いて実施することができる。
次に、この比を、健常者の場合における比と比較する。そして健常者と比較して被験者の比が高い場合に、被験者がアルツハイマー病候補であると判定する。
本発明の診断方法はin vitro又はin vivoのどちらでも行なうことが可能であるが、in vitroで行なわれることが好ましい。
なお本発明における「被験者から採取された試料」とは、好ましくは被験者由来の組織であれば特に制限されない。例えば被験者の脳(脳実質等)、臓器、体液(血液、脳脊髄液等)を挙げることができる。本発明において好ましくは血液(より好ましくは血漿)と脳脊髄液である。「被験者から採取された試料」には、採取された試料に酵素処理、カラム処理、遠心分離処理、抽出処理等の各種処理を行ったものも含まれる。
試料が脳組織である場合には、脳組織の凍結組織試料を緩衝液中でホモジネートし、超遠心等行うことにより、緩衝液可溶性画分と緩衝液不溶性画分に分けてAβオリゴマーの測定を行ってもよい。たとえば、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む9倍量のTris-食塩水(TS)緩衝液中で脳組織をホモジネート化し、このホモジネートを265,000×gで20分間超遠心後回収した上清を脳組織の可溶性画分としてイムノブロット、ELISA、RIA、免疫沈降等の試料に供することができる。緩衝液不溶性画分はギ酸抽出(例えば70%ギ酸)によって可溶化し、イムノブロット、ELISA、RIA、免疫沈降等の試料とすることができる。ギ酸抽出物は緩衝液(例えば1 M Tris-HCl(pH 8.0))で適宜中和・希釈してもよい。
また、免疫組織化学法等により脳組織中に存在するAβオリゴマーを可視化して測定を行う場合には、被験者の脳組織切片を試料として用いることができる。免疫反応性を増強するために、脳組織切片はプロテアーゼKで前処理してもよい。免疫組織化学法においては、脳組織中のAβオリゴマーを必ずしも定量する必要はなく、例えばAβ沈着が観察された場合に被験者をアルツハイマー病候補であると判定し得る。
Aβオリゴマー測定の精度を上げるために、被験者由来試料中のリポタンパク質の除去を行ってもよい。リポタンパク質の除去は、例えば、超遠心、限外濾過、及びアフィニティークロマトグラフィーを組み合わせて用いることにより行うことができる。試料中のリポタンパク質を除去するための具体的な方法を以下に例示するが、これに限定されない。
試料の密度をKBrにて1.25 g/mlに調整し、100,000 rpm、16℃にて8時間にわたり超遠心を行う。密度1.25 g/mlにおける浮遊リポタンパク質とその除去をおこなった下澄み液の両者を3 kDaカットオフ膜(Microcon 3;Arnicon, Inc)を用いる限外濾過に供し、使用時まで凍結下または4℃で保存する。さらにPHML-LIPOSORB(Calbiochem, La Jolla, CA)を用いたアフィ二ティークロマトグラフィーにおいてもリポタンパク質の除去を行う。試料1.5に対してPHML-LIPOSORB(Calbiochem, La Jolla, CA)1の割合で60秒間混合後、3,000 rpmで10分間遠心で得られた上清をリポタンパク質除去試料として用いることができる。なお、PHML-LIPOSORBと結合したリポタンパク質結合サンプルの溶出は、20 mMデオキシコール酸ナトリウムで行うことができ、特異的リポタンパク質除去の確認は、1%アガロースゲル電気泳動後のFAST-RED 7B(Wako, Japan)染色で行うことができる。
さらに、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過等により試料中のAβオリゴマーをサイズ分画した後、本発明の抗体または抗原結合断片を用いて各分画に含まれるAβオリゴマーを検出することにより、試料中に含まれるAβオリゴマー量を各サイズ毎に測定することができる。サイズ排除クロマトグラフィーによる分画は、例えば、被験者由来試料をMicrocon 3 kDa分子量カットオフフィルター(Millipore Corp.)を用いて約10倍に濃縮後、リン酸緩衝溶液によって平衡化したSuperose 12サイズ排除カラム(1 cm×30 cm、Pharmacia Biotech., Uppsala, Sweden、流速0.5 ml/分)に供することにより行うことができる。また、限外濾過による分画は、例えば、Microcon 3 kDa、10 kDa、30 kDa、および100 kDaカットオフ膜を用いる連続的な限外濾過により行うことができる。各画分に含まれるAβオリゴマー量の測定は、ELISA、RIA、イムノブロット、免疫沈降等により行うことができる。
本発明のAβオリゴマーを測定する方法は、本発明の抗体または抗原結合断片を用いて試料中のAβオリゴマーを検出する工程を含む限り特に限定されないが、好ましい方法としてはサンドイッチELISAを挙げることができる。サンドイッチELISAを行う場合には、本発明の抗体または抗原結合断片は固層化抗体として用いてもよく、標識抗体として用いてもよい。また、本発明の抗体または抗原結合断片を一次抗体として用い、標識化した二次抗体を結合させてもよい。サンドイッチELISAに使用する他方の抗体には、本発明の抗体または抗原結合断片を用いてもよいが市販の抗Aβ抗体を用いることもできる。サンドイッチELISAにより試料中のAβオリゴマーを検出するための具体的な方法を以下に例示するが、これに限定されない。
マイクロプレートを本発明の抗体または抗体結合断片でコーティングし、100μlの試料とともに4℃で24時間連続インキュベートした上で、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合BA27Fab'断片(抗Aβ1-40、Aβ40に対して特異的、Wako pure chemical, Osaka, Japan)または西洋ワサビペルオキシダーゼ結合BCO5 Fab'断片(抗Aβ35-43、Aβ42に対して特異的、Wako pure chemical, Osaka, Japan)とともに4℃で24時間インキュベートする。SuperSignal ELISA Pico化学発光基質(Pierce, Rockford, IL, USA)を用いて発生させた化学発光をVeritasマイクロプレート照度計(Promega)により定量する。
また、本発明の抗体を用いて試料の免疫沈降を行った後イムノブロット解析を行えば、サイズ排除クロマトグラフィー、限外濾過等によるサイズ分画を行うことなく、試料中に含まれるAβオリゴマーのサイズを特定することができる。具体的な方法を以下に例示するが、これに限定されない。
試料を本発明の抗体およびプロテイン-G-Sepharoseとインキュベートすることにより免疫沈降を行う。免疫沈降させたAβオリゴマーはNuPAGE 4-12% Bis-トリス-グリシンゲルによって分離し、10%メタノールを含む10 mM 3-シクロヘキシルアミノ-1-プロパンスルホン酸(pH 11)を用いて、ニトロセルロース膜またはImmobilon P(Millipore)上に400 mAで1時間転写する。膜上の非特異結合部位を5%低脂肪乳、1% BSA及び0.05%Tween-20を含有するリン酸緩衝液にて室温で3時間ブロッキングする。その後、本発明の抗体または市販の抗Aβ抗体(例えば4G8,6E10(Covance Immuno-Technologies, Dedham, MA))を反応させてAβオリゴマーの検出を行う。
なお、本発明の方法により試料中のAβオリゴマー量を定量するために、既知濃度のAβオリゴマーを含む標準試料により検量線を作成してもよい。標準試料の調製に使用するAβオリゴマーは、例えば、塩酸溶液に溶解させた合成Aβ(HCl form)をPBS等で適切な濃度(例えば0.1mg/ml)に希釈し、37℃で1時間保温することにより調製することができる。合成Aβの培養温度および時間は適宜選択可能である。また、本発明の方法において、Aβモノマーに対するAβオリゴマーの比を求める場合には、Aβモノマーについても同様に検量線を作成してもよい。Aβモノマー標準試料の調製に使用するAβモノマーは、例えば、TFA(trifluoroacetic acid)に溶解した合成Aβ(TFA form)をPBS等により適切な濃度(例えば0.1mg/ml)に希釈することにより調製することができる。なお、合成AβとしてはAβ1-40、Aβ1-42等が使用できる。
また本発明は、上述の試料中のAβオリゴマーを測定する方法、あるいは被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法に用いるための剤(試薬)またはキットを提供する。
上記Aβオリゴマーを測定する方法、あるいは被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法に用いるための剤としては、本発明の抗体または抗原結合断片を含む剤を挙げることができる。本剤の好ましい形態としては、抗体溶液または固層化抗体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本剤の形態が抗体溶液である場合には、本発明の抗体または抗原結合断片は適切な溶媒に溶解された状態で存在する。当業者であれば、本発明の抗体または抗原結合断片を溶解するための適切な溶媒(例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝液、Tris緩衝液等)を選択可能である。上記本発明の抗体溶液は、本発明の抗体以外に、緩衝剤、タンパク質安定剤、保存剤、ブロッキング剤、界面活性剤、溶解補助剤等を必要に応じて含んでもよい。
本発明の剤が、固層化抗体である場合には、本発明の抗体または抗原結合断片は適切な担体に担持された状態で存在する。そのような担体の例としては、例えば、マイクロプレート、ビーズ(磁気ビーズ、セファロースビーズ等)、ニトロセルロース膜等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の抗体を固層化するための適切な担体を選択可能である。本発明の抗体または抗原結合断片の担体への結合は、公知の方法に従って行うことができる。
なお、本剤に含まれる本発明の抗体または抗原結合断片は、酵素標識、放射性標識、蛍光標識、色素標識、化学発光標識等の適切な標識がされていてもよい。
上記Aβオリゴマーを測定する方法、あるいは被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法に用いるためのキットとしては、本発明の抗体または抗原結合断片を含む剤を含むキットが挙げられる。本発明の抗体または抗原結合断片を含む剤の好ましい例は上述の通りである。また、本キットは、本発明の抗体または抗原結合断片を凍結乾燥粉末の形態で含んでいてもよい。この場合、キット使用者は、抗体または抗原結合断片の凍結乾燥粉末を適切な溶媒に溶解して使用する。本キットは、そのような抗体または抗原結合断片の凍結乾燥粉末を溶解するための溶媒を含んでいてもよい。さらに、上述のような抗体溶液を希釈するための希釈液をさらに含んでいてもよい。
本キットは、本発明の抗体または抗原結合断片を含む剤の他に、ブロッキング剤、発色試薬、発色基質、反応停止液、洗浄液、緩衝液、一次抗体、二次抗体等の試薬を必要に応じて含んでいてもよい。当業者であれば、Aβオリゴマー測定の方法に応じて、適切な試薬を適宜選択し得る。例えば、本抗体が固層化されたマイクロプレートを含むサンドイッチELISAキットであれば、他に標識化抗Aβ抗体、発色基質、反応停止液、洗浄液、プレートシール等を含ませることができる。また、例えば、本発明の抗体溶液を含むサンドイッチELISAキットであれば、他に抗Aβ抗体を固層化したマイクロプレート、発色基質、反応停止液、洗浄液、プレートシール、標識化二次抗体(本発明の抗体が標識化されていない場合)等を含ませることができる。
本キットは、さらに、Aβオリゴマーの検量線を作成するための標準試料を含んでいてもよい。標準試料は既知濃度のAβオリゴマーを含む溶液であってもよく、さらに標準試料を段階希釈するための希釈液を含んでいてもよい。あるいは、Aβオリゴマーの凍結乾燥粉末であってもよく、さらに凍結乾燥粉末を溶解するための溶媒を含んでいてもよい。あるいは、Aβモノマー溶液またはAβモノマーの凍結乾燥粉末を含み、キット使用者がAβモノマー溶液をインキュベーションすることによりAβモノマーを重合させてAβオリゴマー標準試料を調製するようにしてもよい。
また、本キットが、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法に用いるためのキットである場合には、健常者から採取されたサンプル(脳組織、脳髄液、血液、血漿等)をネガティブコントロールとして含んでもよく、AD脳患者から採取されたサンプルをポジティブコントロールとして含んでもよい。
また、本キットは、さらに、商業上及び使用者の見地から望ましい他の構成要素、例えば、緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器、および使用説明を含む添付文書(説明書、CD-ROM等)を含んでいてもよい。キットに含まれるこれらの剤等は、ラベルの付いた容器に収められていてもよい。そのような容器としては、ボトル、バイアル、試験管、マイクロチューブ等が挙げられる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
方法
抗原の作製
合成したAβ1-40ペプチド(ペプチド研)のN末端に蛍光色素6-Carboxytetramethylrhodamine(6-TAMRA)(SIGMA)を化学結合した修飾Aβを合成した。この修飾Aβを,合成したAβ 1-40ペプチドとともに重合反応させることにより,オリゴマーを多く含む標品(Aβ1-40オリゴマー)を調整した。このときの条件として,後述のThTアッセイ(Yamamoto N, et al: J Biol Chem, 282: 2646-2655, 2007)を用いて測定した蛍光強度が,修飾Aβを混入させなかったものと比較して少なくとも1/4以下になることが望ましく,より具体的には,修飾Aβと合成Aβ1-40ペプチドを100μMずつ混合し,20時間重合させたものが好ましい。
抗体産生ハイブリドーマの作製
上述の方法で作製した抗原をBalb-cマウスの肉趾または腹腔に対して、免疫処置を行い、続いてさらに6回の追加免疫を行った。鼠径リンパ節細胞または脾臓細胞を用いて、ポリエチレングリコール1500を用いたSp2/O-Ag14細胞との融合によってハイブリドーマを作製した。
ELISAスクリーニング(1次スクリーニング)
Aβオリゴマーを固相化したELISAプレートにハイブリドーマ培養上清を添加・反応させ、HRP標識抗マウスIgG抗体とTMB溶液を用い発色反応を行った。本方法に用いたAβオリゴマーは、1時間インキュベートしたAβ1-40(HCl form)または上記Aβ1-42テトラマー抽出抗原である。
ドットブロット解析(2次スクリーニング)
1次スクリーニングで陽性となったハイブリドーマに対して、ドットブロット解析を行った。本解析では、Aβモノマーとして合成Aβ1-40(TFA form)、Aβオリゴマーとして1時間インキュベートした合成Aβ1-40(HCl form)および合成Aβ1-42の計3種のAβを各0.1μg/ドットずつ固相化したニトロセルロース膜を用いた。本膜を5%低脂肪乳、0.05%Tween-20を含有するトリス緩衝液でブロッキング後、ハイブリドーマ培養上清と反応させ、HRP標識抗マウスIgG抗体および化学発光キット(ECL)により検出した。
抗体アイソタイプ判定
精製免疫グロブリンのアイソタイプ判定は、Serotec(Oxford, UK)マウスモノクローナル抗体アイソタイプ判定キットを用いて行った。
抗体の配列同定
上述の方法で産生したハイブリドーマ(1x106 cells)よりFastPure RNA Kit(TaKaRa, Japan)を使用してRNAを精製した。当該RNAを鋳型として、5' RACE System(Invitrogen, USA)を使用し、各ハイブリドーマが産生する抗体のH鎖またはL鎖に特異的なプライマーを用いてcDNA合成を行った。cDNA合成に用いた3'側プライマー配列を以下に示す。
H鎖(G1) mIGC1Rv:AAGGCTTACAACCACAATCCCT(配列番号:131)
H鎖(G2a) mIGC2aRv:TGCTGGGCATTTGCATGGA(配列番号:132)
H鎖(G2b) mIGC2bRv:TGGGCATTTGTGACACTCC(配列番号:133)
H鎖(G3) mIGC3Rv:ACTGGGCTTGGGTATTCTAGG(配列番号:134)
L鎖(κ) mIKCNRv1: GTCCAACTGTTCAGGACGCCATTTTGTCGTT(配列番号:135)
L鎖(λ) mILCNRv1:TCCACAGTGTGACCTTCATGAGTGACC(配列番号:136)
さらに、当該cDNAを用いて、VH、VL領域をPCR法で増幅させた。PCRに用いたH鎖、L鎖に特異的な3'側プライマー配列を以下に示す。
H鎖mIGCNRv:ACAGGGATCCAGAGTTCCA(配列番号:137)
L鎖(κ) mIKCNRv2:TAACTGCTCACTGGATGG(配列番号:138)
L鎖(λ) mILCNRv2:AGTGTGGCCTTGTTAGTCTCGAGC(配列番号:139)
cDNA合成反応およびその後のPCRは上記5' RACE Systemの製品添付書に従って行い、5'側プライマーには製品添付のプライマー(AAP:GGCCACGCGTCGACTAGTACGGGGGGGGGG(配列番号:140), AUAP:GGCCACGCGTCGACTAGTAC(配列番号:141))を使用した。なお、PCRにはTaq DNA polymerase High Fidelity(invitorgen,USA)を用いた。
PCRにより増幅されたVH、VL領域断片は、直鎖状ベクター(pGEMTM-T Easy Vector (Promega, USA))と1時間ライゲーション反応を行い、大腸菌DH5α株に形質転換した。出現したコロニーを選択液体培地で一晩培養後、High Purity Plasmid Miniprep System(MARIGEN BIOSCIENCES, USA)でプラスミドを精製した。当該プラスミドに対してBigDyeTerminator V3.1 Cycle Sequence Kit(Applied Biosystems)および3730xl DNA Analyzers(Applied Biosystems)を用いた遺伝子配列解析により、抗体の配列を同定した。配列解析には以下の2種類のプライマーを使用した。
SP6:CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC(配列番号:142)
M13Rv:TCACACAGGAAACAGCTATGAC(配列番号:143)
コントロール抗体
本発明の抗体と対比するためのコントロール抗体として抗Aβ抗体 6E10を使用した。抗Aβ抗体6E10(Covance Immuno-Technologies, Dedham, MA)はAβ1-16内の配列をエピトープとして認識するマウスモノクローナル抗体であり、Aβオリゴマーへの選択性はない(Aβモノマーとも結合する)。
競合 ELISA
本方法で用いるAβオリゴマー抗原は、合成Aβ1-40(HCl form)をPBSにより0.1mg/mlの濃度に希釈し37℃で1時間保温することにより調製した。また、Aβモノマーは合成Aβ1-40(TFA form)をPBSにより0.1mg/mlの濃度に希釈することにより調製した。最初に、96well-immuno-plateにAβオリゴマー400ng/wellを固相化し、続いてBSAを用いてブロッキングを行った。次に、本発明の抗体またはコントロール抗Aβ抗体(6E10)を100pg/ml〜100μg/mlの範囲で段階希釈したAβモノマーあるいはAβオリゴマーとそれぞれ混合し2時間インキュベートの後、上記96well-immuno-plateにそれぞれ添加し室温にて10分間インキュベートした。固層化Aβオリゴマーと各抗体の結合力は、HRP標識抗マウスIgG抗体とTMB溶液を用いた発色反応を450nmの吸光度を測定することで検出した。本方法では、まったくの同一配列でありながら構造の違いおよびそこから生じる重合の有無のみが異なる2つのAβ1-40(Aβ1-40モノマーおよびAβ1-40オリゴマー)を競合物として比較した。そのため、本方法では両Aβ1-40の重合の有無のみに起因する抗体の結合性の差を比較することができ、非常に信頼度の高い結果を得ることができる。
Aβオリゴマーへの親和性解析
本解析は、Biacore3000(GEヘルスケアサイエンス)を用いた表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance=SRP)により行った。Aβオリゴマーをリガンドとしてセンサーチップ(CM5)に固定し、本発明の抗体およびコントロール6E10抗体をアナライトとしてカイネティクス解析を行った。アナライト抗体の濃度は、1.25, 2.50, 5.00, 10.00, 20.00 μg/mlの5段階で行い、BiaEvaluationソフトウエアを用いて結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)および解離定数(KD)を算出した。本解析で使用したAβオリゴマーは、合成Aβ1-40(HCl form)をPBSにより0.1mg/mlの濃度に希釈し37℃で1時間保温することにより調製した。
Aβ誘発性神経毒性アッセイ
ヒト神経芽種細胞(SH-SY5Y)を24well plateに150,000個/wellの密度で10%FBSを含むDMEM中で24時間培養した後、培地を抗体添加または無添加のAβ1-42(12.5μM)を含む血清不含培地に置き換えてさらに24時間培養する。Aβ1-42が惹起する細胞毒性は、培地中に放出された死細胞由来のLDHの量をCytoTox96キット(Promega社製)により測定する。
Aβアミロイド線維形成抑制活性
細胞培養用の培地にて12.5μMの濃度に希釈したAβ1-42溶液を本発明の抗体の存在下または非存在下にて37℃で24時間インキュベートした後、ThT(ThioflavinT)溶液(5μM ThT,50 mMグリシン-NaOH pH 8.5)と混合し、Aβアミロイド線維量と相関のあるThT蛍光強度を蛍光分光光度計(RF-5300PC)(Shimadzu Co., Kyoto, Japan)を用いて測定する。励起波長および発光波長は、それぞれ446 nmおよび490 nmに設定する。
蛍光強度は混合物を調製した直後に測定する。
イムノブロッティング
Tg2576または野生型マウスの脳ホモジネートをAPP結合アッセイのために用いた。ホモジネートをNuPAGE Tris-Glycine 4-12% gelにおいて電気泳動し、PVDF膜に転写した。PVDFブロッキング試薬(TOYOBO)によりブロッキングした後、膜を各抗体と反応させた。結合能は、HRP標識抗マウスIgG抗体および化学発光試薬(Immobilon western, Millipore)により検出した。
結果
抗Aβオリゴマー抗体の選出
46匹のマウスにAβ1-40オリゴマー抗原を免疫後、各マウスより鼠径リンパ節または脾臓を摘出した。各臓器由来の細胞は、ミエローマ(Sp2/O-Ag14)と融合し、1匹当たり7枚の96well plateに分注培養した。目的の抗体を産生している融合細胞(ハイブリドーマ)の選別は、Aβオリゴマーを固相化したELISA plateに96well培養上清を添加・反応させた解析により行った。その結果、30912well(46匹x7枚x96well)から507個の陽性細胞を選出した。
上記のELISAスクリーニングでは、Aβオリゴマーと特異的に結合していない抗体(ELISA plateのAβオリゴマー以外の部分に結合している抗体)も選択してしまう。ドットブロット解析では、それら非特異的な抗体を排除できる。そこで、ELISA陽性細胞の培養上清を用いたドットブロット解析を行った。ドットブロット解析では、2種類のAβオリゴマーおよびAβモノマーをスポットし、非特異的な抗体を排除する(スポットしたAβオリゴマーへの結合が見られない抗体を除く)のと同時に、Aβオリゴマーへの特異性の確認(Aβモノマーへ結合しないことの確認)も行った。その結果、507個のELISA陽性細胞から6個の陽性抗体を選出した(図1)。
抗体の配列同定
上記ドットブロット解析で選出された6個抗体(IR-003, IR-091, IR-099, IR-103, IR-130, IR-148)について、上述の方法により、可変領域の配列解析を行った。その結果、VHのCDR1、CDR2、CDR3を含む領域の塩基配列として配列番号:1(IR-003)、配列番号:17(IR-091)、配列番号:33(IR-099)、配列番号:49(IR-103)、配列番号:65(IR-130)、および配列番号:81(IR-148)に記載の塩基配列が得られた。これらの塩基配列から、配列番号:2(IR-003)、配列番号:18(IR-091)、配列番号:34(IR-099)、配列番号:50(IR-103)、配列番号:66(IR-130)、および配列番号:82(IR-148)に記載のアミノ酸配列が得られた。
また、VLのCDR1、CDR2、CDR3を含む領域の塩基配列として、配列番号:3(IR-003)、配列番号:19(IR-091)、配列番号:35(IR-099)、配列番号:51(IR-103)、配列番号:67(IR-130)、および配列番号:83(IR-148)に記載の塩基配列が得られた。これらの塩基配列から、配列番号:4(IR-003)、配列番号:20(IR-091)、配列番号:36(IR-099)、配列番号:52(IR-103)、配列番号:68(IR-130)、および配列番号:84(IR-148)に記載のアミノ酸配列が得られた。
上記アミノ酸配列から、Kabatの定義(Kabat, Elvin A., Sequences of proteins of immunological interest 5th ed., National Institutes of Health, 1991)に従ってCDR配列を決定した。各抗体のCDR配列を表1に示す。なお、表1において、「Name」は各抗体の名称、「class」は各抗体のIgGサブクラス、「chain」はH鎖またはL鎖の別、「(na)」は核酸を示す。
Figure 2013500940
上記で得られたVHおよびVLの配列はシグナルペプチドを含むものやN末端もしくはC末端配列が欠けているものがあった。そのため、配列が欠けているものはその部分の配列を補ったうえで、これまでに報告された抗体配列との相同性に基づいてシグナルペプチドを除くVHおよびVLのアミノ酸配列を決定した。
シグナルペプチドを除く各抗体のVHおよびVLのアミノ酸配列を表2に示す。
Figure 2013500940
また、各抗体のH鎖シグナルペプチドのアミノ酸配列を配列番号:122(IR-003)、配列番号:124(IR-091)、配列番号:126(IR-099, IR-103, IR-148)、および配列番号:128(IR-130)に示す。H鎖シグナルペプチドをコードする塩基配列を配列番号:121(IR-003)、配列番号:123(IR-091)、配列番号:125(IR-099, IR-103, IR-148)、および配列番号:127(IR-130)に示す。
また、各抗体のL鎖シグナルペプチドのアミノ酸配列を配列番号:130(IR-003, IR-091, IR-099, IR-103, IR-130, IR-148)に示す。L鎖シグナルペプチドをコードする塩基配列を配列番号:129(IR-003, IR-091, IR-099, IR-103, IR-130, IR-148)に示す。
競合ELISA解析
ドットブロット解析は、ニトロセルロース膜上に固定したAβモノマーおよびオリゴマーへの反応性を調べる解析法である。しかしながら、生体内ではそれらは間質液、脳脊髄液、血液などの液中に可溶化されている。そこで、本解析は、溶液中のAβオリゴマーへの特異的結合を調べること、および、Aβモノマーとの選択性の差を詳細に調べる目的で行った。競合ELISAは、測定したい抗体を、段階希釈したAβモノマーあるいはオリゴマーと溶液中で前もって反応させておき、その反応液をAβオリゴマー固相化プレートに添加しELISAを行うことでオリゴマー特異性を判定する手法である。Aβオリゴマー特異的な抗体である場合は、Aβオリゴマーと反応させた溶液ではAβオリゴマー濃度依存的にELISA反応が減少するが、Aβモノマーではその反応が減少しないあるいはオリゴマーと比較してAβ濃度がより高くなったときに反応が減少する。上記6抗体の解析を行い図2の結果を得た。全ての抗体において、溶液中においてもAβオリゴマーへの特異的結合性が高いことが判明した。なお、コントロールとして用いたAβモノマーおよびオリゴマーの両方と反応する抗体(6E10)では、モノマーおよびオリゴマーに対して同様なELISA反応性を示した。またインヒビターの濃度をモル濃度で示したときの競合ELISAの結果を図3に示す。図3による競合ELISAによって算出されたIC50とAβモノマーに対するAβオリゴマーの選択性(AβモノマーIC50/AβオリゴマーIC50)を表3に示す。
Figure 2013500940
Aβオリゴマーへの親和性解析
本発明抗体のAβオリゴマーへの結合力を調べる目的で、親和性解析を行った(方法の項参照)。上記6抗体の解析を行い図4の結果を得た。算出された各抗体の結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)および解離定数(KD)を表4に示す。
Figure 2013500940
抗Aβオリゴマー抗体の、Aβにより誘導される細胞障害活性に対する中和能のアッセイ
Aβオリゴマーはニューロン細胞に対する細胞障害活性を生じる。抗Aβオリゴマー抗体がAβにより誘導される細胞障害活性を中和するかどうか評価するため、ヒト神経芽細胞腫細胞(SH-SY5Y細胞)を用いたin vitroアッセイを行った。ほとんどの抗体は、Aβにより誘導される細胞障害活性に対する中和能を示した。中和能を示す抗体の例を図5に示す。グラフにおいて、Y軸の値は、Aβのみ(抗体無し)による細胞障害活性に対する相対値を示す。
Aβ線維形成に対する抗Aβオリゴマー抗体の阻害能のアッセイ
Aβモノマーは、中性pHバッファーにおいてインキュベートされた場合、多量体化により線維を形成する。抗体が線維形成を阻害するかどうか評価するため、抗体とAβとを混合して24時間インキュベートし、この混合物を、線維量を反映するチオフラビンTの蛍光により測定した。ほとんどの抗体は、Aβ線維形成に対する阻害能を示した。阻害能を示す抗体の例を図6に示す。グラフにおいて、Y軸の値は、Aβのみ(抗体無し)による線維形成に対する相対値を示す。
抗Aβオリゴマー抗体がAPP(アミロイド前駆タンパク質)に結合しないことを確認するためのイムノブロッティング
健康体において発現している生理的タンパク質であるAPPに対して抗Aβ抗体が結合しないことは、副作用の回避のために重要である。抗Aβオリゴマー抗体は、APPには存在しないAβオリゴマーの立体構造ドメインを認識するため、APPに結合しないことが期待される。したがって、本願の抗Aβオリゴマー抗体がAPPに結合しないかどうかを評価するため、イムノブロッティングを行った。これらが(コントロールの6E10抗体の結果と比較して)ヒトAPPに結合しないことが確認された。イムノブロッティング解析の例を図7に示す。このデータはまた、(コントロールの6E10抗体の結果と比較して)本願の抗体がAβオリゴマー以外のタンパク質に対して低い結合親和性を有し、該抗体の特異性が高いことをも示す。
産業上の利用可能性
本発明によって提供される抗体によって、アルツハイマー病の病態惹起性責任分子選択的な予防・治療法確立と早期診断マーカー確立への貢献が期待される。

Claims (14)

  1. 単離したAβオリゴマーを抗原として認識する抗体であって、Aβモノマーに結合しないことを特徴とする、抗体。
  2. 以下の(1)〜(12)のいずれかに記載の抗体である、請求項1に記載の抗体:
    (1)配列番号:98に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
    (2)配列番号:100に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
    (3)配列番号:102に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
    (4)配列番号:104に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
    (5)配列番号:106に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
    (6)配列番号:108に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
    (7)配列番号:110に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
    (8)配列番号:112に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
    (9)配列番号:114に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
    (10)配列番号:116に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体
    (11)配列番号:118に記載のアミノ酸配列を含むVHから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するH鎖を含む抗体
    (12)配列番号:120に記載のアミノ酸配列を含むVLから特定されるCDR1、CDR2およびCDR3を有するL鎖を含む抗体。
  3. 以下の(1)〜(38)のいずれかに記載の抗体である、請求項1に記載の抗体:
    (1)CDR1として配列番号:6に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:8に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:10に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (2)CDR1として配列番号:12に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:14に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:16に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (3)(1)に記載のH鎖、および(2)に記載のL鎖を含む抗体
    (4)VHとして配列番号:98に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (5)VLとして配列番号:100に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (6)(4)に記載のH鎖、および(5)に記載のL鎖を含む抗体
    (7)CDR1として配列番号:22に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:24に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:26に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (8)CDR1として配列番号:28に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:30に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:32に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (9)(7)に記載のH鎖、および(8)に記載のL鎖を含む抗体
    (10)VHとして配列番号:102に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (11)VLとして配列番号:104に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (12)(10)に記載のH鎖、および(11)に記載のL鎖を含む抗体
    (13)CDR1として配列番号:38に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:40に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:42に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (14)CDR1として配列番号:44に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:46に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:48に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (15)(13)に記載のH鎖、および(14)に記載のL鎖を含む抗体
    (16)VHとして配列番号:106に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (17)VLとして配列番号:108に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (18)(16)に記載のH鎖、および(17)に記載のL鎖を含む抗体
    (19)CDR1として配列番号:54に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:56に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:58に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (20)CDR1として配列番号:60に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:62に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:64に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (21)(19)に記載のH鎖、および(20)に記載のL鎖を含む抗体
    (22)VHとして配列番号:110に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (23)VLとして配列番号:112に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (24)(22)に記載のH鎖、および(23)に記載のL鎖を含む抗体
    (25)CDR1として配列番号:70に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:72に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:74に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (26)CDR1として配列番号:76に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:78に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:80に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (27)(25)に記載のH鎖、および(26)に記載のL鎖を含む抗体
    (28)VHとして配列番号:114に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (29)VLとして配列番号:116に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (30)(28)に記載のH鎖、および(29)に記載のL鎖を含む抗体
    (31)CDR1として配列番号:86に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:88に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:90に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (32)CDR1として配列番号:92に記載のアミノ酸配列、CDR2として配列番号:94に記載のアミノ酸配列、およびCDR3として配列番号:96に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (33)(31)に記載のH鎖、および(32)に記載のL鎖を含む抗体
    (34)VHとして配列番号:118に記載のアミノ酸配列を有するH鎖を含む抗体
    (35)VLとして配列番号:120に記載のアミノ酸配列を有するL鎖を含む抗体
    (36)(34)に記載のH鎖、および(35)に記載のL鎖を含む抗体
    (37)(1)から(36)のいずれかに記載の抗体において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加および/または挿入された抗体であって、(1)から(36)のいずれかに記載の抗体と同等の活性を有する抗体
    (38)(1)から(36)のいずれかに記載の抗体が結合するエピトープに結合する抗体。
  4. 抗体がキメラ抗体またはヒト化抗体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体の抗原結合断片。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体または請求項5に記載の抗原結合断片、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  7. 抗認知機能障害剤、アルツハイマー病治療剤、アルツハイマー病進行抑制剤、老人斑形成抑制剤、Aβ蓄積抑制剤、抗神経毒性剤、Aβアミロイド線維形成阻害剤、または、抗シナプス毒性剤である、請求項6に記載の組成物。
  8. 試料に含まれるAβオリゴマーを、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体または請求項5に記載の抗原結合断片を用いて検出する工程を含む、Aβオリゴマーを測定する方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体または請求項5に記載の抗原結合断片を用いて、被験者から採取された試料におけるAβオリゴマーを検出することを特徴とする、被験者がアルツハイマー病候補であるか否か診断する方法。
  10. 以下の工程を含む、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法であって、工程(b)に記載の量が健常者と比較して高い場合に、被験者がアルツハイマー病候補であると判定される方法:
    (a)被験者から採取した試料を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体または請求項5に記載の抗原結合断片と接触させる工程、および
    (b)前記試料中におけるAβオリゴマーの量を測定する工程。
  11. 以下の工程を含む、被験者がアルツハイマー病候補であるか否かを診断する方法であって、工程(b)に記載の比が健常者と比較して高い場合に、被験者がアルツハイマー病候補であると判定される方法:
    (a)被験者から採取した試料を、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体または請求項5に記載の抗原結合断片、およびAβモノマーに結合する抗体と接触させる工程、ならびに
    (b)前記試料中におけるAβモノマーに対するAβオリゴマーの比を測定する工程。
  12. 試料が血液もしくは脳脊髄液である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法に用いるための剤。
  14. 請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法に用いるためのキット。
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