JP2013257391A - 赤外線反射フィルムの製造方法 - Google Patents

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潤一 藤澤
Motoko Kawasaki
元子 河▲崎▼
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裕 大森
Yoshihiro Kondo
義弘 近藤
Akihiro Kiriyama
招大 桐山
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Abstract

【課題】ブロック状の高分子であっても保護層を容易に形成することができる赤外線反射フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムの製造方法であって、反射層が形成された基材を準備するステップと、ブロック状の高分子をシート状に圧延するステップと、圧延された高分子を溶剤に溶解させて、高分子組成物溶液を調製するステップと、該高分子組成物溶液を反射層上に塗布し、次いで乾燥させて、保護層を形成するステップとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、可視光領域において高い透過性を有し且つ赤外光領域において高い反射性を有する赤外線反射フィルムの製造方法に関する。
赤外線反射フィルムは、主に、放射される太陽光の熱影響を抑制するために用いられる。例えば、建物や自動車等の窓ガラスに赤外線反射フィルムを貼ることで、窓ガラスを通って室内に入射される赤外線(特に近赤外線)を遮蔽し、室内の温度上昇を抑制し、これにより、冷房の消費電力を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
赤外線の反射には、金属や金属酸化物の積層構造による赤外線反射層が用いられる。しかしながら、金属や金属酸化物は耐擦傷性が低い。そのため、赤外線反射フィルムでは、赤外線反射層の上に保護層を設けるのが一般的である。例えば、特許文献1には、ポリアクリロニトリル(PAN)を保護層の材料として用いることが開示されている。ポリアクリロニトリルのような高分子は、赤外線の吸収率が低く、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽できることから、冬期や室外の温度が低下する様な夜間での断熱効果による省エネルギー化も図ることができる。
ポリアクリロニトリルのような高分子を保護層の材料として用いる場合、保護層は、まず、高分子を溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を赤外線反射層の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。
特公昭61−51762号公報
ところで、ポリアクリロニトリルは、粉状で流通しているが、一方でブロック状(塊状)で流通する高分子(例えば、ゴム成分を含む樹脂組成物からなる高分子)がある。このようなブロック状の高分子をそのまま溶剤に溶解させようと試みると、溶媒に接触する高分子の表面積が粉状の高分子に比べて少ないため、高分子の大半が溶解しないか、全ての高分子を溶解させるまでに時間がかかる。また、高分子を溶剤に溶解させる際には、撹拌翼を有する撹拌手段を用いて、必要に応じて加熱しながら溶解を試みるが、ブロック状の高分子が撹拌翼又は容器に衝突するという問題が生じる。このように、ブロック状の高分子を利用する際には、溶液の調製が困難となることがある。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、ブロック状の高分子であっても保護層を容易に形成することができる赤外線反射フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る赤外線反射フィルムの製造方法は、
基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムの製造方法であって、
反射層が形成された基材を準備するステップと、
ブロック状の高分子をシート状に圧延するステップと、
圧延された高分子を溶剤に溶解させて、高分子組成物溶液を調製するステップと、
該高分子組成物溶液を反射層上に塗布し、次いで乾燥させて、保護層を形成するステップとを備える。
ここで、本発明に係る赤外線反射フィルムの製造方法の一態様として、前記高分子は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つの繰り返し単位を含む、ようにすることができる。
Figure 2013257391
また、本発明に係る赤外線反射フィルムの製造方法の他態様として、前記保護層に電子線を照射するステップをさらに備える、ようにすることができる。
また、本発明に係る赤外線反射フィルムの製造方法の別の態様として、前記保護層側表面の垂直放射率が0.20以下である、ようにすることができる。
本発明によれば、ブロック状の高分子であっても保護層を容易に形成することができる赤外線反射フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る赤外線反射フィルムの積層構造を説明するための概要図を示す。 同実施形態に係る赤外線反射フィルムの製造方法を説明するためのフローチャートを示す。
以下、本発明に係る赤外線反射フィルムの製造方法の一実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る赤外線反射フィルムについて説明する。なお、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、従来の赤外線反射フィルムが持つ遮熱特性(近赤外線の反射特性)に加え、断熱特性(遠赤外線の反射特性)を併せ持つ赤外線反射フィルムである。
本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、図1に示す如く、基材1の一方の面1aに、反射層2及び保護層3をその順に積層し、他方の面1bに粘着層4を設けた層構造となっている。
基材1は、ポリエステル系フィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート、あるいはこれらを2種以上組み合わせた混合樹脂からなるフィルムが用いられる。なお、これらの中で、性能面から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好適である。
反射層2は、基材1の表面(一方の面)1aに蒸着により形成される蒸着層である。該蒸着層の形成方法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)がある。ここで、真空蒸着においては、真空中で抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザ光加熱、アーク放電等の方法で蒸着物質を加熱蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。また、スパッタリングにおいては、アルゴン等の不活性ガスが存在する真空中で、グロー放電等により加速されたAr+等の陽イオンをターゲット(蒸着物質)に撃突させて蒸着物質をスパッタ蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。イオンプレーティングは、真空蒸着とスパッタリングとを組み合わせた形態の蒸着法である。この方法では、真空中において、加熱により放出された蒸発原子を、電界中でイオン化と加速を行い、高エネルギー状態で基材1上に付着させることで、反射層2が形成される。
反射層2は、半透明金属層2aを一対の金属酸化物層2b,2cで挟み込んだ複層構造となっており、上記蒸着層の形成方法を用い、まず、基材1の表面(一方の面)1aに金属酸化物層2bを蒸着し、次に、金属酸化物層2b上に半透明金属層2aを蒸着し、最後に、半透明金属層2a上に金属酸化物層2cを蒸着して形成される。半透明金属層2aは、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銀合金(MgAg、Ag−Pd−Cu合金(APC)、AgCu、AgAuCu、AgPd、AgAu等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、あるいはこれらを2種又は2層以上組み合わせた金属材料が用いられる。金属酸化物層2b,2cは、反射層2に透明性を付与し、半透明金属層2aの劣化を防止するためのものであり、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムチタン(IT)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化ガリウムインジウム(IGO)等の酸化物が用いられる。
保護層3は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層である。化学式I中のR1として、Hやメチル基を用いることができる。また、化学式I中のR2〜R5として、H、炭素数が1〜4のアルキル基又はアルケニル基を用いることができる。ちなみに、繰り返し単位A、B及びCで構成され、R1〜R5としてHを用いたものは、水素化ニトリルゴム(HNBR)である。
Figure 2013257391
これらの高分子を得るためのモノマー成分としては、例えば、化学式IIで示すようなアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、炭素数が4のアルキル(繰り返し単位E)及びその誘導体、並びに、ブタジエン(繰り返し単位F1又はF2)及びそれらの誘導体の共重合体等が挙げられる。ここで、R6は、H又はメチル基、R7〜R18は、H又は炭素数が1〜4のアルキル基を示す。なお、F1,F2のそれぞれは、ブタジエンが重合する繰り返し単位を示しており、F1がメインの繰り返し単位となっている。また、これらの高分子は、化学式IIのアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)及びその誘導体の共重合体であるニトリルゴムや、ニトリルゴム中に含まれる二重結合の一部又は全部が水素化された水素化ニトリルゴムであってもよい。
Figure 2013257391
上記共重合体を部分的に切り出した化学式IIIを用いて、アクリロニトリル、ブタジエン及びアルキルが重合された共重合体と、それぞれの繰り返し単位A、B及びCとの関係を説明する。化学式IIIは、保護層3に用いられる高分子鎖の一部を切り出しており、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)、アクリロニトリル(繰り返し単位D)、及び1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)が順に結合されている。なお、化学式IIIはR7,R11〜R14がHの結合例を示している。化学式IIIは、左側のブタジエンにはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合された側が結合しており、アクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない側に右側のブタジエンが形成されている。この様な結合例においては、1個の繰り返し単位A、1個の繰り返し単位B、及び2個の繰り返し単位Cが含まれている。この中で、繰り返し単位Aは左側のブタジエンの右側の炭素原子とアクリロニトリルのシアノ基(−CN)とが結合した炭素原子を含んでおり、繰り返し単位Bはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない炭素原子と右側のブタジエンの左側の炭素原子とを含んだ組合せである。そして、左側のブタジエンの一番左側の炭素原子と、右側のブタジエンの一番右側の炭素原子は、結合する分子の種類により繰り返し単位Aまたは繰り返し単位Bの一部の炭素原子となる。
Figure 2013257391
かかる保護層3は、上述した高分子を(必要に応じて架橋剤とともに)溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を反射層2の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。溶剤は、上述した高分子を可溶な溶剤であり、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、塩化メチレン(ジクロロメタン)等の溶剤が用いられる。なお、メチルエチルケトンや塩化メチレンは、低沸点の溶剤(メチルエチルケトンは79.5℃、塩化メチレンは40℃)である。従って、これらの溶剤を用いると、低い乾燥温度で溶剤を揮発させることができるため、基材1(や反射層2)が熱ダメージを受けることはない。
高分子中に含まれる化学式Iの繰り返し単位が高分子全体に占める割合は、下限値としては、5重量%以上である。好ましくは、15重量%以上である。より好ましくは、25重量%以上である。また、上限値としては、100重量%以下である。好ましくは、60重量%以下である。より好ましくは、40重量%以下である。上記範囲であれば、赤外線反射フィルムに良好な断熱特性を付与することができる。
保護層3の厚さは、下限値としては、1μm以上である。好ましくは、3μm以上である。また、上限値としては、20μm以下である。好ましくは、15μm以下である。より好ましくは、10μm以下である。保護層3の厚さが小さいと、赤外線の反射特性は高くなるものの、耐擦傷性が損なわれ、保護層3としての機能を十分に発揮することができない。保護層3の厚さが大きいと、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。保護層3の厚さが上記範囲内であれば、赤外線の吸収が小さく且つ反射層2を適切に保護することができる保護層3が得られる。
なお、垂直放射率とは、JIS R3106で規定される通り、垂直放射率(εn)=1−分光反射率(ρn)で表わされる。分光反射率ρnは、常温の熱放射の波長域5〜50μmで測定される。5〜50μmの波長域は遠赤外線領域であり、遠赤外線の波長域の反射率が高くなるほど、垂直放射率は小さくなる。
また、化学式I中のkとlとmの比率は、k:l:m=5〜50重量%:25〜85重量%:0〜60重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)となるのが好ましい。より好ましくは、k:l:m=15〜40重量%:55〜85重量%:0〜20重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)である。さらに好ましくは、k:l:m=25〜40重量%:55〜75重量%:0〜10重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)である。
ところで、保護層3に良好な耐溶剤性を付与する観点から、保護層3は、高分子同士の架橋構造を有することが好ましい。高分子同士を架橋させることにより、保護層3の耐溶剤性が向上するため、高分子を可溶な溶剤が保護層3に接触した場合であっても、保護層3が溶出するのを防止することができる。
高分子同士に架橋構造を付与する手段としては、溶液を乾燥させた後に、電子線を照射することが挙げられる。電子線の積算照射線量は、下限値としては、50kGy以上である。好ましくは、100kGy以上である。より好ましくは、200kGy以上である。また、上限値としては、1000kGy以下である。好ましくは、600kGy以下である。より好ましくは、400kGy以下である。なお、積算照射線量とは、電子線を1回照射する場合であれば、その照射線量をいい、電子線を複数回照射する場合であれば、その照射線量の合計をいう。電子線の1回の照射線量は、300kGy以下であるのが好ましい。電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、高分子同士の十分な架橋を得ることができる。また、電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、電子線の照射によって発生する高分子や基材1の黄変を最小限に抑えることができ、着色の少ない赤外線反射フィルムを得ることができる。なお、これら電子線の照射条件は、加速電圧が150kVでの照射条件である。
また、高分子を溶剤に溶解させる際に、あるいは、高分子を溶剤に溶解させた後に、ラジカル重合型モノマー等の多官能モノマーといった架橋剤を添加することが好ましい。特に、(メタ)アクリレート系モノマーのラジカル重合型モノマーが好ましい。多官能モノマーを添加すると、多官能モノマーに含まれる官能基がそれぞれの高分子鎖と反応(結合)することにより、高分子同士が(多官能モノマーを介して)架橋されやすくなる。従って、電子線の積算照射線量を(50kGy程度に)引き下げても高分子同士の十分な架橋を得ることができる。そのため、電子線の積算照射線量を低照射線量で済ませることができる。また、電子線の積算照射線量が低下することで、高分子や基材1の黄変をさらに抑制することができ、しかも、生産性を向上させることができる。
しかしながら、添加剤の添加量が多くなれば、赤外線反射フィルムの(反射層2を基準とした)保護層3側表面の垂直放射率が悪化する。垂直放射率が悪化すると、赤外線反射フィルムにおける赤外線の反射特性が低下し、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。そのため、添加剤の添加量は、高分子に対して1〜35重量%であるのが好ましい。より好ましくは、高分子に対して2〜25重量%である。
次に、ブロック状の高分子を用いる赤外線反射フィルムの製造方法について、図2のフローチャートを参酌しつつ説明する。
まず、上記のように、表面(一方の面)1aに反射層2が形成された基材1を準備する(ステップS1)。基材1を準備するステップは、基材1の一方の面1aに反射層2を形成するステップであってよい。あるいは、基材1を準備するステップは、基材1の一方の面1aに反射層2が既に形成された、本フローチャートとは別途製造された基材1を、保護層3の形成用に用意するステップであってよい。
次に、基材1の一方の面1aに形成された反射層2に保護層3を積層する。保護層3を形成するために、ブロック状の高分子が圧延装置を利用して圧延される(ステップS2)。ブロック状の高分子は、圧延装置として、例えば、オープンロール、ミキシングロールを利用して圧延される。また、ブロック状の高分子は、バンバリミキサや加圧ニーダ等の密閉型2軸混合機で素練りされ、圧延、押出しされてもよい。ブロック状の高分子は、圧延されることで、シート状に成形される。
シート状の高分子は、溶剤に溶解しやすい厚さであることが好ましい。そこで、例えば、圧延装置としてミキシングロールを利用する際には、ミキシングロールのロール間ギャップは、5mmから0mmの範囲に設定されるのが好ましい。また、高分子の分子量が切れることによる物性の変化を防止すべく、ブロック状の高分子は、1回から3回程度を限度にロールに通されるのが好ましい。
なお、ブロック状の高分子が圧延装置で圧延できない程度の大きさの塊である場合、ブロック状の高分子が圧延装置を利用して圧延されるステップの前に、ブロック状の高分子が分割されるステップを設けてもよい。ブロック状の高分子を圧延装置で圧延可能にすべく、例えば方形状に形成されたブロック状の高分子は、所定の厚さで複数のブロックに分割される。分割は、例えばブロック状の高分子を裁断することによって行われる。
シート状に成形された高分子は、溶剤に溶解されて高分子組成物溶液に調製される(ステップS3)。その後、高分子組成物溶液が反射層2上に塗布され、乾燥されることで、保護層3が形成される(ステップS4)。
以上のステップからなる本実施形態に係る赤外線反射フィルムの製造方法によれば、ブロック状の高分子をそのまま溶剤に溶解するのに比べ、溶解性を高めることができる。また、ブロック状の高分子が容器内で振動して、容器に衝突することを防止できる。これにより、ブロック状の高分子であっても、粉末状の高分子を用いる場合と同様の赤外線フィルムを製造することができる。
ここで、本発明者らは、ブロック状の高分子を複数用意し、それぞれを溶液に溶解させて、高分子の溶解性を測定した(実施例1乃至4)。併せて、比較用のブロック状の高分子を複数用意し、それぞれを溶液に溶解させて、高分子の溶解性を測定した(比較例1乃至4)。
<実施例1>
水素化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン5005」〔k:33.3、l:66.7、m:0、R1〜R5:H〕)の25kgを切断機を用いて適当な大きさに裁断した。裁断した完全水素ニトリルゴムを10インチのミキシングロール(Gap:2mm,10rpm,2回通し)でシート状に加工した。加工後、ディスパーを用いて10%メチルエチルケトン(MEK)溶液になるよう撹拌した。
<実施例2>
水素化ニトリルゴム(ランクス社製 商品名「テルバン5065」〔k:33.3、l:63、m:3.7、R1〜R5:H〕)を、実施例1と同様に裁断、加工及び撹拌した。
<実施例3>
水素化ニトリルゴム(ランクス社製 商品名「テルバン4367」〔k:27.4、l:69.1、m:3.5、R1〜R5:H〕)を、実施例1及び実施例2と同様に裁断、加工及び撹拌した。
<実施例4>
水素化ニトリルゴム(ランクス社製 商品名「テルバン3467」〔k:20.5、l:68.7、m:10.8、R1〜R5:H〕)を、実施例1乃至実施例3と同様に裁断、加工及び撹拌した。
<比較例1>
水素ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン5005」〔k:33.3、l:66.7、m:0、R1〜R5:H〕)の25kgを切断機を用いて適当な大きさに裁断した。裁断後、ディスパーを用いて10%メチルエチルケトン(MEK)溶液になるよう撹拌した。
<比較例2>
水素化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン5065」〔k:33.3、l:63、m:3.7、R1〜R5:H〕)を、比較例1と同様に裁断及び撹拌した。
<比較例3>
水素化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン4367」〔k:27.4、l:69.1、m:3.5、R1〜R5:H〕)を、比較例1及び比較例2と同様に裁断及び撹拌した。
<比較例4>
水素化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン3467」〔k:20.5、l:68.7、m:10.8、R1〜R5:H〕)を、比較例1乃至比較例3と同様に裁断及び撹拌した。
これらの結果を表1に示す。なお、溶解性の高い場合を○で示し、溶解性の低い場合を×で示す。
Figure 2013257391
上記実施例1乃至4によれば、比較例1乃至4に比べて、ブロック状の高分子をシート状に加工することで十分な溶解性を得られることがわかった。
次に、実施例1で調製した溶液を利用して、3種類の赤外線反射フィルムを製造した(実施例5乃至7)。そして、電子線の照射条件を変更して、赤外線反射フィルムの特性を測定した。作製方法は、次の通りである。
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製 商品名「ダイアホイル T602E50」)を基材1として用いた。この基材1の一方の面1aにDCマグネトロンスパッタ法により反射層2を形成した。詳しくは、DCマグネトロンスパッタ法を用い、基材1の一方の面1aに酸化インジウム錫からなる金属酸化物層2bを40nmの厚みで形成し、その上にAg−Pd−Cu合金からなる半透明金属層2aを16nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム錫からなる金属酸化物層2cを40nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。そして、この反射層2の上に塗工法により保護層3を形成した。
保護層3の形成について、具体的に、水酸化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン5005」〔k:33.3、l:66.7、m:0、R1〜R5:H〕)の10%メチルエチルケトン(MEK)溶液をアプリケータを用いて反射層2上に塗布した。そして、赤外線反射フィルムを空気循環式の乾燥オーブンに入れ、120℃で2分間乾燥させた。これにより、反射層2上に厚さ5μmの保護層3を形成した。
製造された赤外線反射フィルムに対して、耐溶剤性試験を実施するとともに、垂直放射率を測定した。耐溶剤性試験は、次のとおりである。まず、保護層100mgをテフロン(登録商標)膜で包んだものを用意した。それをメチルエチルケトンの溶剤に浸漬させた。浸漬期間は1週間とした。その後、110℃で2時間乾燥させた。そして、乾燥後、それぞれの重量を測定し、溶剤浸漬前後の重量変化からゲル分率を算出した。算出式は次のとおりである。
ゲル分率(%) = (溶剤浸漬後の重量(g)/溶剤浸漬前の重量(g)) × 100
垂直放射率の測定方法は、次のとおりである。角度可変反射アクセサリを装着したフーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置(Varian社製)を用いて、波長5ミクロン〜25ミクロンの赤外光の正反射率を測定し、JIS R 3106−2008(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)に準じて求めた。
<実施例5>
上記のように製造された赤外線反射フィルムに対して、電子線照射装置(岩崎電気株式会社製 製品名「EC250/30/20mA」)を用いて保護層3の表面側から電子線を照射した。電子線の照射条件は、ライン速度を3m/min、加速電圧を150kV、照射線量を100kGyとした。
<実施例6>
照射線量を200kGyとした点以外は、実施例5と同様である。
<実施例7>
電子線を照射しなかった点以外は、実施例5と同様である。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2013257391
上記実施例5乃至実施例7のいずれの方法で製造された赤外線反射フィルムであっても、垂直反射率0.11とすることができることがわかった。
なお、本発明に係る赤外線反射フィルムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位からなる高分子について説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。これら繰り返し単位以外の他の繰り返し単位についても、保護層に必要な特性を損なわない範囲で含ませることができる。他の繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、高分子全体に対する割合が10重量%以下であるのが好ましい。
また、上記実施形態においては、反射層2を蒸着により形成した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、反射性フィルムを用いる等、反射層を基材とは別に用意し、反射性フィルムを基材に貼着することにより反射層を形成してもよい。
また、上記実施形態に係る赤外線反射フィルムは、遮熱特性と断熱特性とを併せ持つ赤外線反射フィルムである。しかしながら、これに限定されるものではない。本発明に係る赤外線反射フィルムは、従来の遮熱特性のみを持つ赤外線反射フィルムにも適用できることは言うまでもない。
また、上記実施形態に係るブロック状の高分子は、方形状に限らず、球状や方錘状等、種々の形状であってよい。
1…基材、1a…一方の面、1b…他方の面、2…反射層、2a…半透明金属層、2b,2c…金属酸化物層、3…保護層、4…粘着層

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムの製造方法であって、
    反射層が形成された基材を準備するステップと、
    ブロック状の高分子をシート状に圧延するステップと、
    圧延された高分子を溶剤に溶解させて、高分子組成物溶液を調製するステップと、
    該高分子組成物溶液を反射層上に塗布し、次いで乾燥させて、保護層を形成するステップとを備える
    赤外線反射フィルムの製造方法。
  2. 前記高分子は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む請求項1に記載の赤外線反射フィルムの製造方法。
    Figure 2013257391
  3. 前記保護層に電子線を照射するステップをさらに備える請求項1又は請求項2に記載の赤外線反射フィルムの製造方法。
  4. 前記保護層側表面の垂直放射率が0.20以下である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の赤外線反射フィルムの製造方法。
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