JP2015001624A - 赤外線反射フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】反射層と保護層の密着性、及び、耐塩水性に優れた赤外線反射フィルムを提供する。
【解決手段】基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、前記反射層と前記保護層との間に接着層を有し、前記接着層は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂を含み、前記接着層の水膨潤度は、1.0〜2.0である赤外線反射フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、前記反射層と前記保護層との間に接着層を有し、前記接着層は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂を含み、前記接着層の水膨潤度は、1.0〜2.0である赤外線反射フィルム。
【選択図】図1
Description
本発明は、可視光領域において高い透過性を有し且つ赤外光領域において高い反射性を有する赤外線反射フィルムに関する。
赤外線反射フィルムは、主に、放射される太陽光の熱影響を抑制するために用いられる。例えば、建物や自動車等の窓ガラスに赤外線反射フィルムを貼ることで、窓ガラスを通って室内に入射される赤外線(特に近赤外線)を遮蔽し、室内の温度上昇を抑制し、これにより、冷房の消費電力を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
赤外線の反射には、金属や金属酸化物の積層構造による赤外線反射層が用いられる。しかしながら、金属や金属酸化物は耐擦傷性が低い。そのため、赤外線反射フィルムでは、赤外線反射層の上に保護層を設けるのが一般的である。例えば、特許文献1には、ポリアクリロニトリル(PAN)を保護層の材料として用いることが開示されている。ポリアクリロニトリルのような高分子は、赤外線の吸収率が低く、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽できることから、冬期や室外の温度が低下する様な夜間での断熱効果による省エネルギー化も図ることができる。
ポリアクリロニトリルのような高分子を保護層の材料として用いる場合、保護層は、まず、高分子を溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を赤外線反射層の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。
ところで、この種の赤外線反射フィルムは、保護層が表側となるように建物や自動車等の窓ガラスに貼られる。従って、赤外線反射層と保護層との密着性が悪いと、施工の際に保護層が反射層から剥離してしまうことがある。このように剥離すると、耐擦傷性が低い赤外線反射層が露出し、ダメージを受け易くなり、外観不良にもつながる。また、保護層の表面には、時間が経過するほどに汚れ等が付着していく。汚れを除去するためには、保護層の表面を布等を用いて清掃すればよい。しかしながら、上記密着性が悪いと、拭き取り時に赤外線反射層から保護層が剥離する、という問題が生じる。また、大気中や人体には多くの塩分が含まれているので、耐塩水性も赤外線反射フィルムには求められている。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、反射層と保護層の密着性、及び、耐塩水性に優れた赤外線反射フィルムを提供することを課題とする。
本発明に係る赤外線反射フィルムは、
基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、
前記反射層と前記保護層との間に接着層を有し、
前記接着層は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂を含み、
前記接着層の水膨潤度は、1.0〜2.0である。
基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、
前記反射層と前記保護層との間に接着層を有し、
前記接着層は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂を含み、
前記接着層の水膨潤度は、1.0〜2.0である。
ここで、本発明に係る赤外線反射フィルムの一態様として、前記接着層の厚さは、500nm以下であるようにすることができる。
また、本発明に係る赤外線反射フィルムの一態様として、前記保護層は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子同士の架橋構造を有する層である、ようにすることができる。
この場合、前記架橋構造は、前記保護層への電子線の照射により形成される、ようにすることができる。
また、本発明に係る赤外線反射フィルムの一態様として、前記接着層は、前記反射層に接している、ようにすることができる。
また、本発明に係る赤外線反射フィルムの一態様として、
可視光線透過率が50%以上であり、
前記保護層側表面の修正放射率が0.20以下である、ようにすることができる。
可視光線透過率が50%以上であり、
前記保護層側表面の修正放射率が0.20以下である、ようにすることができる。
本発明によれば、密着性及び耐塩水性に優れた赤外線反射フィルムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る赤外線反射フィルムについて説明する。なお、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、従来の赤外線反射フィルムが持つ遮熱特性(近赤外線の反射特性)に加え、断熱特性(遠赤外線の反射特性)を併せ持つ赤外線反射フィルムである。
本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、図1に示す如く、基材1の一方の面1aに、反射層2、接着層5及び保護層3をその順に積層し、他方の面1bに粘着層4を設けた層構造となっている。
基材1は、ポリエステル系フィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート、あるいはこれらを2種以上組み合わせた混合樹脂からなるフィルムが用いられる。なお、これらの中で、性能面から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好適である。
反射層2は、基材1の表面(一方の面)1aに蒸着により形成される蒸着層である。該蒸着層の形成方法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)がある。ここで、真空蒸着においては、真空中で抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザ光加熱、アーク放電等の方法で蒸着物質を加熱蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。また、スパッタリングにおいては、アルゴン等の不活性ガスが存在する真空中で、グロー放電等により加速されたAr+等の陽イオンをターゲット(蒸着物質)に撃突させて蒸着物質をスパッタ蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。イオンプレーティングは、真空蒸着とスパッタリングとを組み合わせた形態の蒸着法である。この方法では、真空中において、加熱により放出された蒸発原子を、電界中でイオン化と加速を行い、高エネルギー状態で基材1上に付着させることで、反射層2が形成される。
反射層2は、半透明金属層2aを一対の金属酸化物層2b,2cで挟み込んだ複層構造となっており、上記蒸着層の形成方法を用い、まず、基材1の表面(一方の面)1aに金属酸化物層2bを蒸着し、次に、金属酸化物層2b上に半透明金属層2aを蒸着し、最後に、半透明金属層2a上に金属酸化物層2cを蒸着して形成される。半透明金属層2aは、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銀合金(MgAg、Ag−Pd−Cu合金(APC)、AgCu、AgAuCu、AgPd、AgAu等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、あるいはこれらを2種以上組み合わせた金属材料を用いて形成される。また、半透明金属層2aは2層以上であってもよい。金属酸化物層2b,2cは、反射層2に透明性を付与し、半透明金属層2aの劣化を防止するためのものであり、原料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムチタン(IT)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化ガリウムインジウム(IGO)等の酸化物が用いられる。
また、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、反射層2と後述する保護層3との間に接着層5を備える。該接着層5は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂を含み、前記接着層5の水膨潤度は、1.0〜2.0である。該接着層5は、例えば、アニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物を接着剤として反射層上に塗布し、次いで乾燥させることにより得られる。
なお、アニオン性水系ポリウレタン樹脂とは、分子内にアニオン性基を有し、水系溶媒にウレタン樹脂が乳化されてなる水分散体から形成される樹脂をいう。
なお、アニオン性水系ポリウレタン樹脂とは、分子内にアニオン性基を有し、水系溶媒にウレタン樹脂が乳化されてなる水分散体から形成される樹脂をいう。
ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する高分子化合物の総称であり、工業的にはポリイソシアネートとポリオールとの重合付加反応によって得られる。また、ウレタン結合の他にウレア結合を有していてもよく、該ウレア結合は、ポリイソシアネートとポリアミンとの重合付加反応や、水を介したてポリイソシアネート同士の反応によって得られる。
ポリウレタン樹脂の基本構造は、ソフトセグメントとハードセグメントから構成されている。ソフトセグメントは、主にポリオールに由来する非晶質性部分であり、ポリウレタン樹脂に可撓性、柔軟性や屈曲性を与える。一方、ハードセグメントは、主にウレタン結合、ウレア結合に由来する結晶性部分であり、ポリウレタン樹脂に強靭性、耐溶剤性や耐熱性を与える。これらソフトセグメント及びハードセグメントの量や比率を適宜設定することによって、所望の性質を有するポリウレタン樹脂が得られる。
ポリウレタン樹脂は、その形成材料(すなわち形成方法)によって、溶剤系と水系とに大まかに分類される。これらのうち、水系ポリウレタン樹脂は、溶剤を要しないため、環境負荷を低減できるという点で、好ましい。
水系ポリウレタン樹脂は、水系溶媒中に乳化されたポリウレタン樹脂が乳化されてなる水系分散体から形成される樹脂である。
水系分散体は、反応型と非反応型とに分類される。
反応型水系分散体は、ブロック剤でブロックされたイソシアネート基(反応性基)を有するポリウレタン樹脂を、水系溶媒中に乳化させたものである。
反応型水系分散体は、さらに、自己乳化型と強制乳化型とに分類される。自己乳化型の反応型水系分散体は、親水性のブロック剤でイソシアネート基がブロックされたポリウレタン樹脂を、水系溶媒中に自己乳化させたものである。一方、強制乳化型の反応型水系分散体は、疎水性のブロック剤でブロックされたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂を、界面活性剤等によって強制的に水系溶媒中に乳化させたものである。
一方、非反応型水系分散体は、イソシアネート基(反応性基)を有しないポリウレタン樹脂(非反応性ポリウレタン樹脂)を、水系溶媒中に乳化させたものである。
非反応型水系分散体は、さらに、自己乳化型と強制乳化型とに分類される。自己乳化型の非反応型水系分散体は、親水性の非反応性ポリウレタン樹脂を、水系溶媒中に自己乳化させたものである。一方、強制型の非反応型水系分散体は、疎水性の非反応性ポリウレタン樹脂を、界面活性剤等によって水系溶媒中に強制的に乳化させたものである。
上記した親水性の付与は、例えば、親水基や親水性セグメント等を導入することによって行うことができる。
反応型水系分散体は、ブロック剤でブロックされたイソシアネート基(反応性基)を有するポリウレタン樹脂を、水系溶媒中に乳化させたものである。
反応型水系分散体は、さらに、自己乳化型と強制乳化型とに分類される。自己乳化型の反応型水系分散体は、親水性のブロック剤でイソシアネート基がブロックされたポリウレタン樹脂を、水系溶媒中に自己乳化させたものである。一方、強制乳化型の反応型水系分散体は、疎水性のブロック剤でブロックされたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂を、界面活性剤等によって強制的に水系溶媒中に乳化させたものである。
一方、非反応型水系分散体は、イソシアネート基(反応性基)を有しないポリウレタン樹脂(非反応性ポリウレタン樹脂)を、水系溶媒中に乳化させたものである。
非反応型水系分散体は、さらに、自己乳化型と強制乳化型とに分類される。自己乳化型の非反応型水系分散体は、親水性の非反応性ポリウレタン樹脂を、水系溶媒中に自己乳化させたものである。一方、強制型の非反応型水系分散体は、疎水性の非反応性ポリウレタン樹脂を、界面活性剤等によって水系溶媒中に強制的に乳化させたものである。
上記した親水性の付与は、例えば、親水基や親水性セグメント等を導入することによって行うことができる。
これらのうち、水系分散体は、自己乳化型の非反応型水系分散体が好ましい。
自己乳化型の非反応型水系分散体は、以下のようにして形成される。すなわち、親水基を有しないポリオール、親水基を有するポリオール、及び、ポリイソシアネートからウレタンプレポリマーを合成し、該ウレタンプレポリマーを水系媒体中に乳化させた後、イソシアネートの鎖伸長によってウレタンプレポリマー同士を架橋することによって、内部架橋構造体を有するポリウレタン樹脂が水系媒体に乳化されてなる上記水系分散体が形成される。
内部架橋構造が形成されることによって、水系ポリウレタン樹脂は、網目構造を有し、しかも高分子量化される。これにより、ポリウレタン樹脂の耐溶剤性が向上する。
また、自己乳化型の非反応型水系分散体が対象物の表面に塗布され、雰囲気が最低造膜温度(例えば40℃)以上でポリウレタン樹脂の粒子が融着し、水系ポリウレタン樹脂の均一な塗膜(層)が形成される。
また、上記親水基としては、アニオン性、カチオン性及びノニオン性が挙げられるが、これらのうち、反射層2と、後述する保護層4との密着性を向上させる観点から、該親水基は、カルビキシル基等のアニオン性基である。
すなわち、水系ポリウレタン樹脂は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂である。
また、親水基がアニオン性基であることによって、特に、後述する保護層4が水素化ニトリルゴムである場合には、該水素化ニトリルゴムと反射層2の金属酸化物との密着性を一層向上させることができる。
自己乳化型の非反応型水系分散体は、以下のようにして形成される。すなわち、親水基を有しないポリオール、親水基を有するポリオール、及び、ポリイソシアネートからウレタンプレポリマーを合成し、該ウレタンプレポリマーを水系媒体中に乳化させた後、イソシアネートの鎖伸長によってウレタンプレポリマー同士を架橋することによって、内部架橋構造体を有するポリウレタン樹脂が水系媒体に乳化されてなる上記水系分散体が形成される。
内部架橋構造が形成されることによって、水系ポリウレタン樹脂は、網目構造を有し、しかも高分子量化される。これにより、ポリウレタン樹脂の耐溶剤性が向上する。
また、自己乳化型の非反応型水系分散体が対象物の表面に塗布され、雰囲気が最低造膜温度(例えば40℃)以上でポリウレタン樹脂の粒子が融着し、水系ポリウレタン樹脂の均一な塗膜(層)が形成される。
また、上記親水基としては、アニオン性、カチオン性及びノニオン性が挙げられるが、これらのうち、反射層2と、後述する保護層4との密着性を向上させる観点から、該親水基は、カルビキシル基等のアニオン性基である。
すなわち、水系ポリウレタン樹脂は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂である。
また、親水基がアニオン性基であることによって、特に、後述する保護層4が水素化ニトリルゴムである場合には、該水素化ニトリルゴムと反射層2の金属酸化物との密着性を一層向上させることができる。
このように、アニオン性水系ポリウレタン樹脂が、分子内にアニオン性基を有するポリウレタン樹脂が乳化されてなる自己乳化型の非反応型水系分散体によって形成されていることによって、アニオン性水系ポリウレタン樹脂内に内部架橋構造が形成され易くなるため、耐溶剤性や耐薬品性が向上する。また、カチオン性及びノニオン性水系ポリウレタン樹脂よりも、反射層2と後述する保護層4との密着性を向上させることができる。
上記のようなアニオン性水系ポリウレタン樹脂組成物としては、スーパーフレックス800、スーパーフレックス150HS、スーパーフレックス130などの第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス」シリーズなどが挙げられる。
接着層5の厚さは、上限値としては、500nm以下が好ましく、より好ましくは、450nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。また、下限値としては、10nm以上が好ましく、より好ましくは、50nm以上である。接着層の厚さが500nm以上であると、断熱機能が低下する可能性があり、また、10nmより薄いと、十分な接着力を付与できない可能性がある。これに対し、接着層5の厚さが10nm以上500nm未満であることによって、密着性をより十分に発揮させつつ、断熱機能をより十分に発揮させることができる。
また、接着層5は、反射層2に接していてもよい。また、接着層5と反射層2との間に、必要に応じてチタン(Ti)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属層や、これら金属やケイ素の酸化物層,窒化物層または酸窒化物層や、樹脂層などが配されていてもよい。
上記乾燥温度としては、60℃以上、好ましくは、100℃以上の温度で乾燥を行うようにすることが好ましい。
保護層3は、遠赤外線の吸収の少ない樹脂を含む層が好ましく、このような樹脂として、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、または、ポリアクリロニトリル等の樹脂を用いることができる。シクロオレフィン系樹脂としては、日本ゼオン社製「ゼオノア」シリーズ、JSR社製「アートン」シリーズ等が挙げられる。
また、保護層3は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層が好ましい。化学式I中のR1として、Hやメチル基を用いることができる。また、化学式I中のR2〜R5として、H、炭素数が1〜4のアルキル基又はアルケニル基を用いることができる。ちなみに、繰り返し単位A、B及びCで構成され、R1〜R5としてHを用いたものは、水素化ニトリルゴム(HNBR)である。
また、保護層3は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層が好ましい。化学式I中のR1として、Hやメチル基を用いることができる。また、化学式I中のR2〜R5として、H、炭素数が1〜4のアルキル基又はアルケニル基を用いることができる。ちなみに、繰り返し単位A、B及びCで構成され、R1〜R5としてHを用いたものは、水素化ニトリルゴム(HNBR)である。
これらの高分子を得るためのモノマー成分としては、例えば、化学式IIで示すようなアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、炭素数が4のアルキル(繰り返し単位E)及びその誘導体、並びに、ブタジエン(繰り返し単位F1又はF2)及びそれらの誘導体の共重合体等が挙げられる。ここで、R6は、H又はメチル基、R7〜R18は、H又は炭素数が1〜4のアルキル基を示す。なお、F1,F2のそれぞれは、ブタジエンが重合する繰り返し単位を示しており、F1がメインの繰り返し単位となっている。また、これらの高分子は、化学式IIのアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)及びその誘導体の共重合体であるニトリルゴムや、ニトリルゴム中に含まれる二重結合の一部又は全部が水素化された水素化ニトリルゴムであってもよい。
上記共重合体を部分的に切り出した化学式IIIを用いて、アクリロニトリル、ブタジエン及びアルキルが重合された共重合体と、それぞれの繰り返し単位A、B及びCとの関係を説明する。化学式IIIは、保護層3に用いられる高分子鎖の一部を切り出しており、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)、アクリロニトリル(繰り返し単位D)、及び1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)が順に結合されている。なお、化学式IIIはR7,R11〜R14がHの結合例を示している。化学式IIIは、左側のブタジエンにはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合された側が結合しており、アクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない側に右側のブタジエンが形成されている。この様な結合例においては、1個の繰り返し単位A、1個の繰り返し単位B、及び2個の繰り返し単位Cが含まれている。この中で、繰り返し単位Aは左側のブタジエンの右側の炭素原子とアクリロニトリルのシアノ基(−CN)とが結合した炭素原子を含んでおり、繰り返し単位Bはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない炭素原子と右側のブタジエンの左側の炭素原子とを含んだ組合せである。そして、左側のブタジエンの一番左側の炭素原子と、右側のブタジエンの一番右側の炭素原子は、結合する分子の種類により繰り返し単位A又は繰り返し単位Bの一部の炭素原子となる。
かかる保護層3は、上述した高分子を(必要に応じて架橋剤とともに)溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を反射層2の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。溶剤は、上述した高分子を可溶な溶剤であり、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、塩化メチレン(ジクロロメタン)等の溶剤が用いられる。なお、メチルエチルケトンや塩化メチレンは、低沸点の溶剤(メチルエチルケトンは79.5℃、塩化メチレンは40℃)である。従って、これらの溶剤を用いると、低い乾燥温度で溶剤を揮発させることができるため、基材1(や反射層2)が熱ダメージを受けることはない。
保護層3の厚さは、下限値としては、1μm以上である。好ましくは、3μm以上である。また、上限値としては、20μm以下である。好ましくは、15μm以下である。より好ましくは、10μm以下である。保護層3の厚さが小さいと、赤外線の反射特性は高くなるものの、耐擦傷性が損なわれ、保護層3としての機能を十分に発揮することができない。保護層3の厚さが大きいと、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。保護層3の厚さが上記範囲内であれば、赤外線の吸収が小さく且つ反射層2を適切に保護することができる保護層3が得られる。
化学式I中のkとlとmの比率は、kとlとmの合計を100としたとき、k:l:m=3〜30:20〜95:0〜60であることが好ましく、k:l:m=5〜25:60〜90:0〜20であることがより好ましく、k:l:m=15〜25:65〜85:0〜10であることがさらに好ましい。
また、化学式Iの繰り返し単位AとBとCの各総重量の比率は、A:B:C=5〜50重量%:25〜85重量%:0〜60重量%(但し、AとBとCの合計は100重量%)となるのが好ましい。より好ましくは、A:B:C=15〜40重量%:55〜85重量%:0〜20重量%(但し、AとBとCの合計は100重量%)である。さらに好ましくは、A:B:C=25〜40重量%:55〜75重量%:0〜10重量%(但し、AとBとCの合計は100重量%)である。
また、化学式Iの繰り返し単位AとBとCの各総重量の比率は、A:B:C=5〜50重量%:25〜85重量%:0〜60重量%(但し、AとBとCの合計は100重量%)となるのが好ましい。より好ましくは、A:B:C=15〜40重量%:55〜85重量%:0〜20重量%(但し、AとBとCの合計は100重量%)である。さらに好ましくは、A:B:C=25〜40重量%:55〜75重量%:0〜10重量%(但し、AとBとCの合計は100重量%)である。
ところで、保護層3に良好な耐溶剤性を付与する観点から、保護層3は、高分子同士の架橋構造を有することが好ましい。高分子同士を架橋させることにより、保護層3の耐溶剤性が向上するため、高分子を可溶な溶剤が保護層3に接触した場合であっても、保護層3が溶出するのを防止することができる。
高分子同士に架橋構造を付与する手段としては、溶液を乾燥させた後に、電子線を照射することが挙げられる。電子線の積算照射線量は、下限値としては、50kGy以上である。好ましくは、100kGy以上である。より好ましくは、200kGy以上である。また、上限値としては、1000kGy以下である。好ましくは、600kGy以下である。より好ましくは、400kGy以下である。なお、積算照射線量とは、電子線を1回照射する場合であれば、その照射線量をいい、電子線を複数回照射する場合であれば、その照射線量の合計をいう。電子線の1回の照射線量は、300kGy以下であるのが好ましい。電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、高分子同士の十分な架橋を得ることができる。また、電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、電子線の照射によって発生する高分子や基材1の黄変を最小限に抑えることができ、着色の少ない赤外線反射フィルムを得ることができる。なお、これら電子線の照射条件は、加速電圧が150kVでの照射条件である。
また、高分子を溶剤に溶解させる際に、あるいは、高分子を溶剤に溶解させた後に、ラジカル重合型モノマー等の多官能モノマーといった架橋剤を添加することが好ましい。特に、(メタ)アクリレート系モノマーのラジカル重合型モノマーが好ましい。多官能モノマーを添加すると、多官能モノマーに含まれる官能基がそれぞれの高分子鎖と反応(結合)することにより、高分子同士が(多官能モノマーを介して)架橋されやすくなる。従って、電子線の積算照射線量を(50kGy程度に)引き下げても高分子同士の十分な架橋を得ることができる。そのため、電子線の積算照射線量を低照射線量で済ませることができる。また、電子線の積算照射線量が低下することで、高分子や基材1の黄変をさらに抑制することができ、しかも、生産性を向上させることができる。
しかしながら、添加剤の添加量が多くなれば、赤外線反射フィルムの(反射層2を基準とした)保護層3側表面の修正放射率が悪化する。修正放射率が悪化すると、赤外線反射フィルムにおける赤外線の反射特性が低下し、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。そのため、添加剤の添加量は、高分子に対して1〜35重量%であるのが好ましい。より好ましくは、高分子に対して2〜25重量%である。
粘着層4としては、従来公知の粘着層を採用することができる。かかる粘着層4は、例えば、従来公知の粘着剤を基材1の上記他方の面1bに塗布し、適宜乾燥することによって形成される。
以上の構成からなる本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、反射層2上の層構造の厚さ、即ち、保護層3の厚さを少なくすることで、(反射層2を基準とした)保護層3側表面の修正放射率が小さくなっている。また、特に、遠赤外線を吸収しにくく、透過しやすいニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、完全水素化ニトリルゴムなどを保護層3に用いれば、それによっても修正放射率は小さくなる。これにより、遠赤外線は、保護層3に入射されても保護層3に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することができ、これにより、冬季や室内の温度が低下する夜間での断熱効果が期待できる。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、保護層3側表面の修正放射率が0.20以下に設定されることが好ましい。より好ましくは、修正放射率が0.15以下である。
なお、修正放射率は、JIS A5759の係数を垂直放射率に乗じることにより、計算により算出することができる。
垂直放射率とは、JIS R3106で規定される通り、垂直放射率(εn)=1−分光反射率(ρn)で表される。分光反射率ρnは、常温の熱放射の波長域5〜50μmで測定される。5〜50μmの波長域は遠赤外線領域であり、遠赤外線の波長域の反射率が高くなるほど、垂直放射率は小さくなる。これに伴って、修正放射率も小さくなる。
垂直放射率とは、JIS R3106で規定される通り、垂直放射率(εn)=1−分光反射率(ρn)で表される。分光反射率ρnは、常温の熱放射の波長域5〜50μmで測定される。5〜50μmの波長域は遠赤外線領域であり、遠赤外線の波長域の反射率が高くなるほど、垂直放射率は小さくなる。これに伴って、修正放射率も小さくなる。
また、本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、可視光線透過率(JIS A5759参照)を高くすることで、透光性部材の透光性が阻害されることはない。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、可視光線透過率が50%以上に設定される。
また、近赤外線は、(粘着層4及び)基材1に入射されても(粘着層4及び)基材1に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、窓ガラス等の透光性部材を通って室内に入射される近赤外線を遮蔽することができ、これにより、従来の赤外線反射フィルムと同様、夏季での遮熱効果が期待できる。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、(反射層2を基準とした)基材1側表面から光を入射させたときの日射透過率(JIS A5759参照)が60%以下に設定される。
そして、本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、上述の如く、反射層2と保護層3との間に接着層5を有し、該接着層5が、アニオン性水系ポリウレタン樹脂を含み、該接着層5の水膨潤度が、1.0〜2.0であるため、密着性及び耐塩水性に優れた赤外線反射フィルムが提供される。
ここで、本発明者らは、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを作製し(実施例1〜3)、併せて、比較用の赤外線反射フィルムを作製した(比較例1〜4)。
実施例1〜3、比較例1〜4ともに作製方法は次のとおりである。厚さが50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製 商品名「ダイアホイル T602E50」)を基材1として用いた。この基材1の一方の面1aに巻取式スパッタ装置を用いて反射層2を形成した。
詳しくは、DCマグネトロンスパッタ法を用い、基材1をロールトゥロールで巻き取りながら、基材1の一方の面1aにインジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)からなる金属酸化物層(第1金属酸化物層)2bを30nmの厚さで形成し、その上にAg−Pd合金からなる半透明金属層2aを15nmの厚さで形成し、その上にIZOからなる金属酸化物層(第2金属酸化物層)2cを30nmの厚さで形成し、これを反射層2とした。
金属酸化物層2b、2cの形成においては、酸化インジウムと酸化亜鉛とが90:10の重量比で焼結されて形成された酸化物ターゲットを用い、電力密度:4W/cm2、Arガス/O2ガス導入量:300sec/3sec、プロセス圧力:0.4Paの条件を用いてスパッタを行った。
半透明金属層2aの形成においては、銀:パラジウムを99.5:0.5の重量比で含有するAg−Pd合金ターゲットを用い、電力密度:4W/cm2、Arガス/O2ガス導入量:300sec/3sec、プロセス圧力:0.4Paの条件を用いてスパッタを行った。
そして、この反射層2の上に塗工法により接着層5を形成し、さらに接着層5の上に塗工法により保護層3を形成した。なお、接着層5及び保護層3の詳細な形成条件は、それぞれ実施例、比較例の説明において詳述する。
詳しくは、DCマグネトロンスパッタ法を用い、基材1をロールトゥロールで巻き取りながら、基材1の一方の面1aにインジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)からなる金属酸化物層(第1金属酸化物層)2bを30nmの厚さで形成し、その上にAg−Pd合金からなる半透明金属層2aを15nmの厚さで形成し、その上にIZOからなる金属酸化物層(第2金属酸化物層)2cを30nmの厚さで形成し、これを反射層2とした。
金属酸化物層2b、2cの形成においては、酸化インジウムと酸化亜鉛とが90:10の重量比で焼結されて形成された酸化物ターゲットを用い、電力密度:4W/cm2、Arガス/O2ガス導入量:300sec/3sec、プロセス圧力:0.4Paの条件を用いてスパッタを行った。
半透明金属層2aの形成においては、銀:パラジウムを99.5:0.5の重量比で含有するAg−Pd合金ターゲットを用い、電力密度:4W/cm2、Arガス/O2ガス導入量:300sec/3sec、プロセス圧力:0.4Paの条件を用いてスパッタを行った。
そして、この反射層2の上に塗工法により接着層5を形成し、さらに接着層5の上に塗工法により保護層3を形成した。なお、接着層5及び保護層3の詳細な形成条件は、それぞれ実施例、比較例の説明において詳述する。
<実施例1>
まず、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス800」)を、固形分が4重量%となるように水で希釈して水溶液(4重量%水溶液)を調製した。得られた4重量%水溶液の2重量部とイソプロパノール(IPA)1重量部とを混合して、溶液を得た。そして、この溶液を反射層2の上にアプリケーターを用いて塗布し、空気循環式の乾燥オーブンに入れ、120℃で4分間乾燥を行った。これにより、厚さが約100nmの接着層5を形成した。
次に、完全水素化ニトリルゴム(HNBM:ランクセス社製 商品名「テルバン5005」〔k:33.3、l:66.7、m:0、R1〜R3:H〕)10重量部とメチルエチルケトン(MEK、和光純薬工業株式会社製)90重量部とを混合し、撹拌溶解を80℃の温度で5時間行うことによって、完全水素化ニトリルゴムをメチルエチルケトンの溶剤に溶解させ、溶液を調製した。そして、この溶液を接着層5の上にアプリケーターを用いて塗布し、空気循環式の乾燥オーブンに入れ、120℃で4分間乾燥を行った。これにより、厚さが4μmの保護層3を形成した。その後、電子線照射装置(岩崎電気株式会社製 製品名「EC250/30/20mA」)を用いて保護層3の表面側から電子線を照射し、実施例1に係る赤外線反射フィルムを得た。電子線の照射条件は、ライン速度を3m/min、加速電圧を150kV、積算照射線量を200kGyとした。
まず、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス800」)を、固形分が4重量%となるように水で希釈して水溶液(4重量%水溶液)を調製した。得られた4重量%水溶液の2重量部とイソプロパノール(IPA)1重量部とを混合して、溶液を得た。そして、この溶液を反射層2の上にアプリケーターを用いて塗布し、空気循環式の乾燥オーブンに入れ、120℃で4分間乾燥を行った。これにより、厚さが約100nmの接着層5を形成した。
次に、完全水素化ニトリルゴム(HNBM:ランクセス社製 商品名「テルバン5005」〔k:33.3、l:66.7、m:0、R1〜R3:H〕)10重量部とメチルエチルケトン(MEK、和光純薬工業株式会社製)90重量部とを混合し、撹拌溶解を80℃の温度で5時間行うことによって、完全水素化ニトリルゴムをメチルエチルケトンの溶剤に溶解させ、溶液を調製した。そして、この溶液を接着層5の上にアプリケーターを用いて塗布し、空気循環式の乾燥オーブンに入れ、120℃で4分間乾燥を行った。これにより、厚さが4μmの保護層3を形成した。その後、電子線照射装置(岩崎電気株式会社製 製品名「EC250/30/20mA」)を用いて保護層3の表面側から電子線を照射し、実施例1に係る赤外線反射フィルムを得た。電子線の照射条件は、ライン速度を3m/min、加速電圧を150kV、積算照射線量を200kGyとした。
<実施例2>
接着層に用いる材料として、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス150HS」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
接着層に用いる材料として、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス150HS」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<実施例3>
保護層に用いる材料として、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス150HS」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
保護層に用いる材料として、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス150HS」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<実施例4>
実施例1の接着層の厚みを520nmとした以外は、実施例1と同様に赤外線反射フィルムを得た。
実施例1の接着層の厚みを520nmとした以外は、実施例1と同様に赤外線反射フィルムを得た。
<比較例1>
接着層に用いる材料として、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス210」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
接着層に用いる材料として、アニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス210」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<比較例2>
接着層に用いる材料として、ノニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックスR5002」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
接着層に用いる材料として、ノニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックスR5002」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<比較例3>
接着層に用いる材料として、ノニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス500M」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
接着層に用いる材料として、ノニオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス500M」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<比較例4>
接着層に用いる材料として、カチオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス650」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
接着層に用いる材料として、カチオン性水系ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製 商品名「スーパーフレックス650」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<評価>
そして、実施例1〜4及び比較例1〜4について、赤外線反射フィルムの可視光透過率(透過率)、及び修正放射率を以下の方法によって測定した。また、それぞれについて、赤外線反射フィルムにおける反射層と保護層との密着性を以下の方法によって評価した。これらの結果を表1に示す。
そして、実施例1〜4及び比較例1〜4について、赤外線反射フィルムの可視光透過率(透過率)、及び修正放射率を以下の方法によって測定した。また、それぞれについて、赤外線反射フィルムにおける反射層と保護層との密着性を以下の方法によって評価した。これらの結果を表1に示す。
(可視光透過率)
分光光度計「U−4100」(日立ハイテック社製)を用いて、JIS A 5759‐2008(建築窓ガラスフィルム)に準じて、可視光線透過率を測定した。
分光光度計「U−4100」(日立ハイテック社製)を用いて、JIS A 5759‐2008(建築窓ガラスフィルム)に準じて、可視光線透過率を測定した。
(厚さ)
接着層5の厚さは、マルチチャンネル分光光度計(大塚電子株式会社製 商品名「瞬間マルチ測光システムMCPD−3700」)を用いて測定した。なお、保護層3の厚さも同様に測定した。
接着層5の厚さは、マルチチャンネル分光光度計(大塚電子株式会社製 商品名「瞬間マルチ測光システムMCPD−3700」)を用いて測定した。なお、保護層3の厚さも同様に測定した。
(修正放射率)
保護層3側から垂直放射率を下記の測定により求め、次いで、得られた垂直放射率にJIS A5759の係数を乗じて、修正放射率を算出した。
垂直放射率の測定方法は、次の通りである。
角度可変反射アクセサリを装着したフーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置(Varian社製)を用いて、波長5μm〜25μmの赤外光の正反射率を測定し、JIS R3106−2008(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)に準じて求めた。
保護層3側から垂直放射率を下記の測定により求め、次いで、得られた垂直放射率にJIS A5759の係数を乗じて、修正放射率を算出した。
垂直放射率の測定方法は、次の通りである。
角度可変反射アクセサリを装着したフーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置(Varian社製)を用いて、波長5μm〜25μmの赤外光の正反射率を測定し、JIS R3106−2008(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)に準じて求めた。
(密着性試験)
赤外線反射フィルムにおける反射層2と保護層3との密着性については、JIS K5600‐5‐6:1999に準じて、碁盤目剥離試験によって評価した。より具体的には、保護層3の塗膜表面に1mm間隔で縦横10本ずつの切込みを入れて100個の碁盤目を作成し、この上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、テープの一端を保護層3の表面に対して瞬間的に引き離し、碁盤目内の塗膜が剥がれた碁盤目の個数により、以下の分類0〜5に従って評価した。すなわち、分類0〜4に含まれる赤外線反射フィルムを良好と評価し(○と表示)、分類3〜5に含まれる赤外線反射フィルムを不良と評価した(「×」と表示)。
分類0:切込みの縁が完全に滑らかで、どの碁盤目内の塗膜にも剥がれがない。
分類1:切込みの交差点における塗膜の小さな剥がれがある。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜が切れ込みの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが、15%を上回ることはない。
分類3:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は碁盤目の色々な部分が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが、35%を上回ることはない。
分類4:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数箇所の碁盤目が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に35%を上回ることはない。
分類5:剥がれの程度が分類4を超える場合である。
赤外線反射フィルムにおける反射層2と保護層3との密着性については、JIS K5600‐5‐6:1999に準じて、碁盤目剥離試験によって評価した。より具体的には、保護層3の塗膜表面に1mm間隔で縦横10本ずつの切込みを入れて100個の碁盤目を作成し、この上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、テープの一端を保護層3の表面に対して瞬間的に引き離し、碁盤目内の塗膜が剥がれた碁盤目の個数により、以下の分類0〜5に従って評価した。すなわち、分類0〜4に含まれる赤外線反射フィルムを良好と評価し(○と表示)、分類3〜5に含まれる赤外線反射フィルムを不良と評価した(「×」と表示)。
分類0:切込みの縁が完全に滑らかで、どの碁盤目内の塗膜にも剥がれがない。
分類1:切込みの交差点における塗膜の小さな剥がれがある。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜が切れ込みの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが、15%を上回ることはない。
分類3:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は碁盤目の色々な部分が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが、35%を上回ることはない。
分類4:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数箇所の碁盤目が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に35%を上回ることはない。
分類5:剥がれの程度が分類4を超える場合である。
表1の結果、密着性が良好であった実施例1〜4及び比較例1について、水膨潤度を以下の方法によって測定すると共に、各水膨潤度での耐塩水性を以下の方法によって評価した。なお、耐塩水性の評価としては、塩水浸漬や塩温水浸漬などによる評価が一般的であり、下記では、塩水浸漬を用いた耐塩水試験を用いた。
(水膨潤度の測定)
直径4.5cmのアルミ製カップに各実施例及び比較例で用いた水系ポリウレタン樹脂の原液を3gずつ注ぎ、金網メッシュバットに乗せ、この状態で、130℃に設定された空気循環式の乾燥オーブン内で15分間乾燥させて、フィルムを得た。得られたフィルムをデシケーターに入れ、室温で9時間保存した。各フィルムについて、目視により完全に乾燥していると判断された部分を約0.1g採取して、試験片とした。試験片をチャック付ポリ袋に蒸留水50gと共に入れ、金網メッシュバットに乗せ、50℃に設定された上記乾燥オーブンに5時間入れた。その後、ポリ袋内で不溶残分を回収し、回収した不溶残分の表面に付着している水滴を不織布(旭化成せんい社製 商品名「ベンコット」)で吸い取った後、不溶残分をアルミカップに入れ、室温下でその重量を秤量した。この秤量結果を総水膨潤重量(Wsw)とした。その後、不溶残分を120℃に設定された上記乾燥オーブンに入れ、2時間乾燥させた後、乾燥後の不要残分を秤量した。この秤量結果を総乾重量(Wd)とした。
そして、上記式に従って水膨潤度を求めた。水膨潤度が1.7以下を良好と評価し(「○」と表示)、1.7未満を不良と評価した(「×」と表示)。
不溶残分の水膨潤度は下記式で定義した。
Sw=Wsw/Wd
ここで、Swは、水膨潤度(倍)であり、Wswは、不溶残分の水膨潤状態での重量(g)であり、Wdは、不溶残分の総乾重量(g)である。
直径4.5cmのアルミ製カップに各実施例及び比較例で用いた水系ポリウレタン樹脂の原液を3gずつ注ぎ、金網メッシュバットに乗せ、この状態で、130℃に設定された空気循環式の乾燥オーブン内で15分間乾燥させて、フィルムを得た。得られたフィルムをデシケーターに入れ、室温で9時間保存した。各フィルムについて、目視により完全に乾燥していると判断された部分を約0.1g採取して、試験片とした。試験片をチャック付ポリ袋に蒸留水50gと共に入れ、金網メッシュバットに乗せ、50℃に設定された上記乾燥オーブンに5時間入れた。その後、ポリ袋内で不溶残分を回収し、回収した不溶残分の表面に付着している水滴を不織布(旭化成せんい社製 商品名「ベンコット」)で吸い取った後、不溶残分をアルミカップに入れ、室温下でその重量を秤量した。この秤量結果を総水膨潤重量(Wsw)とした。その後、不溶残分を120℃に設定された上記乾燥オーブンに入れ、2時間乾燥させた後、乾燥後の不要残分を秤量した。この秤量結果を総乾重量(Wd)とした。
そして、上記式に従って水膨潤度を求めた。水膨潤度が1.7以下を良好と評価し(「○」と表示)、1.7未満を不良と評価した(「×」と表示)。
不溶残分の水膨潤度は下記式で定義した。
Sw=Wsw/Wd
ここで、Swは、水膨潤度(倍)であり、Wswは、不溶残分の水膨潤状態での重量(g)であり、Wdは、不溶残分の総乾重量(g)である。
(耐塩水試験)
上記した密着性試験で作製したサンプルを、幅5cm×長さ5cm×厚さ1.1mmの矩形状のガラス基板に粘着剤を介して貼り付けて積層体を作製し、得られた積層体の修正放射率(第1修正放射率)を、放射率計(DEVICES&SERVICES COMPANY社製)を用いて測定した。測定後、積層体を、ほうろう製の容器内に入れられた5重量%塩水中に完全に浸漬させた。そして、容器を密閉し、50℃に設定された空気循環式の乾燥オーブンに10日間投入した後、積層体の修正放射率(第2修正放射率)を上記と同様に測定した。その結果、第1修正放射率に対する第2修正放射率の上昇率(第2修正放射率−第1修正放射率)が0.03以下の場合を良好とし(○と表示)、0.03よりも大きい場合を不良として(×と表示)。
上記した密着性試験で作製したサンプルを、幅5cm×長さ5cm×厚さ1.1mmの矩形状のガラス基板に粘着剤を介して貼り付けて積層体を作製し、得られた積層体の修正放射率(第1修正放射率)を、放射率計(DEVICES&SERVICES COMPANY社製)を用いて測定した。測定後、積層体を、ほうろう製の容器内に入れられた5重量%塩水中に完全に浸漬させた。そして、容器を密閉し、50℃に設定された空気循環式の乾燥オーブンに10日間投入した後、積層体の修正放射率(第2修正放射率)を上記と同様に測定した。その結果、第1修正放射率に対する第2修正放射率の上昇率(第2修正放射率−第1修正放射率)が0.03以下の場合を良好とし(○と表示)、0.03よりも大きい場合を不良として(×と表示)。
水膨潤度の測定結果及び耐塩水試験の結果を表2に示す。
表1、表2の結果、接着層が、ノニオン性水系ポリウレタン樹脂またはカチオン性水系ポリウレタン樹脂を含有する比較例2〜4は、密着性にも耐塩水性にも劣ることが示された。また、接着層が、所定の水膨潤度を有さないアニオン性水系ポリウレタン樹脂を含有する比較例1は、密着性には優れるが、耐塩水性に劣ることが示された。これに対し、所定の膨潤度を有するアニオン性水系ポリウレタン樹脂を含有する実施例1〜4は、密着性にも耐塩水性にも優れることが示された。
なお、本発明に係る赤外線反射フィルムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位からなる高分子について説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。これら繰り返し単位以外の他の繰り返し単位についても、保護層に必要な特性を損なわない範囲で含ませることができる。他の繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、高分子全体に対する割合が10重量%以下であるのが好ましい。
また、上記実施形態においては、反射層2を蒸着により形成した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、反射性フィルムを用いる等、反射層を基材とは別に用意し、反射性フィルムを基材に貼着することにより反射層を形成してもよい。
また、上記実施形態に係る赤外線反射フィルムは、遮熱特性と断熱特性とを併せ持つ赤外線反射フィルムである。しかしながら、これに限定されるものではない。本発明に係る赤外線反射フィルムは、従来の遮熱特性のみを持つ赤外線反射フィルムにも適用できることは言うまでもない。
1…基材、1a…一方の面、1b…他方の面、2…反射層、2a…半透明金属層、2b,2c…金属酸化物層、3…保護層、4…粘着層、5…接着層
Claims (6)
- 基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、
前記反射層と前記保護層との間に接着層を有し、
前記接着層は、アニオン性水系ポリウレタン樹脂を含み、
前記接着層の水膨潤度は、1.0〜2.0である
赤外線反射フィルム。 - 前記接着層の厚さは、500nm以下である請求項1に記載の赤外線反射フィルム。
- 前記架橋構造は、前記保護層への電子線の照射により形成される請求項3に記載の赤外線反射フィルム。
- 前記接着層は、前記反射層に接している、請求項1〜4のいずれかに記載の赤外線反射フィルム。
- 可視光線透過率が50%以上であり、
前記保護層側表面の修正放射率が0.20以下である請求項1〜5のいずれかに記載の赤外線反射フィルム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108749218A (zh) * | 2018-04-28 | 2018-11-06 | 中山市朗斯卫浴有限公司 | 一种负离子安全防爆金刚膜 |
-
2013
- 2013-06-14 JP JP2013126033A patent/JP2015001624A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108749218A (zh) * | 2018-04-28 | 2018-11-06 | 中山市朗斯卫浴有限公司 | 一种负离子安全防爆金刚膜 |
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