JP2013144426A - 赤外線反射フィルム - Google Patents

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潤一 藤澤
Motoko Kawasaki
元子 河▲崎▼
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Abstract

【課題】耐擦傷性に優れた赤外線反射フィルムを提供する。
【解決手段】かかる赤外線反射フィルムは、基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、保護層は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層であり、反射層と保護層との間に、活性エネルギー線の照射により保護層と反応する易接着層が形成されている。該易接着層は、(メタ)アクリル系シランカップリング剤又はビニル系シランカップリング剤である。
【化1】
Figure 2013144426

【選択図】図1

Description

本発明は、可視光領域において高い透過性を有し且つ赤外光領域において高い反射性を有する赤外線反射フィルムに関する。
赤外線反射フィルムは、主に、放射される太陽光の熱影響を抑制するために用いられる。例えば、建物や自動車等の窓ガラスに赤外線反射フィルムを貼ることで、窓ガラスを通って室内に入射される赤外線(特に近赤外線)を遮蔽し、室内の温度上昇を抑制し、これにより、冷房の消費電力を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
赤外線の反射には、金属や金属酸化物の積層構造による赤外線反射層が用いられる。しかしながら、金属や金属酸化物は耐擦傷性が低い。そのため、赤外線反射フィルムでは、赤外線反射層の上に保護層を設けるのが一般的である。例えば、特許文献1には、ポリアクリロニトリル(PAN)を保護層の材料として用いることが開示されている。ポリアクリロニトリルのような高分子は、赤外線の吸収率が低く、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽できることから、冬期や室外の温度が低下する様な夜間での断熱効果による省エネルギー化も図ることができる。
ポリアクリロニトリルのような高分子を保護層の材料として用いる場合、保護層は、まず、高分子を溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を赤外線反射層の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。
特公昭61−51762号公報
ところで、この種の赤外線反射フィルムは、保護層が表側となるように建物や自動車等の窓ガラスに貼られる。従って、保護層の表面は、常に外部からストレスを受けることとなる。そして、そのストレスがあまりにも強かったり、あるいは小さいストレスながらもそれが蓄積されていくと、赤外線反射層の上への保護層の塗布状態や溶液の乾燥状態によっては反射層と保護層との密着性が悪く、保護層が赤外線反射層から剥離されてしまうことがある。そうなると、耐擦傷性の低い赤外線反射層が露出し、赤外線反射層がダメージを受けやすくなる。また、保護層の表面には、時間が経過するほどに汚れ等が付着していく。汚れ等を除去するためには、保護層の表面を例えば洗浄液を用いて清掃すればよい。しかしながら、洗浄液には各種の有機溶剤が含まれていることが多い。そして、洗浄液に含まれる少なくとも一部の有機溶剤が保護層に含まれる高分子を可溶な溶剤である場合、洗浄時に保護層が溶出し、耐擦傷性の低い赤外線反射層が露出してしまう、という問題が生じる。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、反射層と保護層との密着性を向上させた赤外線反射フィルムを提供することを課題とする。
本発明に係る赤外線反射フィルムは、
基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、
保護層は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層であり、
前記反射層と前記保護層との間に、活性エネルギー線の照射により前記保護層と反応する易接着層が形成され、
該易接着層は、(メタ)アクリル系シランカップリング剤又はビニル系シランカップリング剤である。
Figure 2013144426
ここで、本発明に係る赤外線反射フィルムの一態様として、前記保護層は、前記高分子の架橋構造を有する、ようにすることができる。
この場合、前記架橋構造は、前記保護層への電子線の照射により形成される、ようにすることができる。
また、本発明に係る赤外線反射フィルムの他態様として、前記保護層側表面の垂直放射率が0.20以下である、ようにすることができる。
本発明によれば、反射層と保護層との密着性、及び耐溶剤性を向上させた赤外線反射フィルムを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る赤外線反射フィルムの積層構造を説明するための概要図を示す。
以下、本発明の一実施形態に係る赤外線反射フィルムについて説明する。なお、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、従来の赤外線反射フィルムが持つ遮熱特性(近赤外線の反射特性)に加え、断熱特性(遠赤外線の反射特性)を併せ持つ赤外線反射フィルムである。
本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、図1に示す如く、基材1の一方の面1aに、反射層2及び保護層3をその順に積層し、他方の面1bに粘着層4を設けた層構造となっている。
そして、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、上記構成に加えて、反射層2と保護層3との間に、易接着層5が形成されている。該易接着層5は、紫外線や電子線といった活性エネルギー線の照射により保護層3と反応するようになっている。
基材1は、ポリエステル系フィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート、あるいはこれらを2種以上組み合わせた混合樹脂からなるフィルムが用いられる。なお、これらの中で、性能面から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好適である。
反射層2は、基材1の表面(一方の面)1aに蒸着により形成される蒸着層である。該蒸着層の形成方法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)がある。ここで、真空蒸着においては、真空中で抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザ光加熱、アーク放電等の方法で蒸着物質を加熱蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。また、スパッタリングにおいては、アルゴン等の不活性ガスが存在する真空中で、グロー放電等により加速されたAr+等の陽イオンをターゲット(蒸着物質)に撃突させて蒸着物質をスパッタ蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。イオンプレーティングは、真空蒸着とスパッタリングとを組み合わせた形態の蒸着法である。この方法では、真空中において、加熱により放出された蒸発原子を、電界中でイオン化と加速を行い、高エネルギー状態で基材1上に付着させることで、反射層2が形成される。
反射層2は、半透明金属層2aを一対の金属酸化物層2b,2cで挟み込んだ複層構造となっており、上記蒸着層の形成方法を用い、まず、基材1の表面(一方の面)1aに金属酸化物層2bを蒸着し、次に、金属酸化物層2b上に半透明金属層2aを蒸着し、最後に、半透明金属層2a上に金属酸化物層2cを蒸着して形成される。半透明金属層2aは、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銀合金(MgAg、Ag−Pd−Cu合金(APC)、AgCu、AgAuCu、AgPd、AgAu等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、あるいはこれらを2種又は2層以上組み合わせた金属材料が用いられる。金属酸化物層2b,2cは、反射層2に透明性を付与し、半透明金属層2aの劣化を防止するためのものであり、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムチタン(IT)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化ガリウムインジウム(IGO)等の酸化物が用いられる。
保護層3は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層である。化学式I中のR1として、Hやメチル基を用いることができる。また、化学式I中のR2〜R5として、H、炭素数が1〜4のアルキル基又はアルケニル基を用いることができる。ちなみに、繰り返し単位A、B及びCで構成され、R1〜R5としてHを用いたものは、水素化ニトリルゴム(HNBR)である。
Figure 2013144426
これらの高分子を得るためのモノマー成分としては、例えば、化学式IIで示すようなアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、炭素数が4のアルキル(繰り返し単位E)及びその誘導体、並びに、ブタジエン(繰り返し単位F1又はF2)及びそれらの誘導体の共重合体等が挙げられる。ここで、R6は、H又はメチル基、R7〜R18は、H又は炭素数が1〜4のアルキル基を示す。なお、F1,F2のそれぞれは、ブタジエンが重合する繰り返し単位を示しており、F1がメインの繰り返し単位となっている。また、これらの高分子は、化学式IIのアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)及びその誘導体の共重合体であるニトリルゴムや、ニトリルゴム中に含まれる二重結合の一部又は全部が水素化された水素化ニトリルゴムであってもよい。
Figure 2013144426
上記共重合体を部分的に切り出した化学式IIIを用いて、アクリロニトリル、ブタジエン及びアルキルが重合された共重合体と、それぞれの繰り返し単位A、B及びCとの関係を説明する。化学式IIIは、保護層3に用いられる高分子鎖の一部を切り出しており、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)、アクリロニトリル(繰り返し単位D)、及び1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)が順に結合されている。なお、化学式IIIはR7,R11〜R14がHの結合例を示している。化学式IIIは、左側のブタジエンにはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合された側が結合しており、アクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない側に右側のブタジエンが形成されている。この様な結合例においては、1個の繰り返し単位A、1個の繰り返し単位B、及び2個の繰り返し単位Cが含まれている。この中で、繰り返し単位Aは左側のブタジエンの右側の炭素原子とアクリロニトリルのシアノ基(−CN)とが結合した炭素原子を含んでおり、繰り返し単位Bはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない炭素原子と右側のブタジエンの左側の炭素原子とを含んだ組合せである。そして、左側のブタジエンの一番左側の炭素原子と、右側のブタジエンの一番右側の炭素原子は、結合する分子の種類により繰り返し単位Aまたは繰り返し単位Bの一部の炭素原子となる。
Figure 2013144426
かかる保護層3は、上述した高分子を(必要に応じて架橋剤とともに)溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を反射層2の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。本実施形態においては、保護層3は、反射層2の上に形成された易接着層5を介して(に密着して)形成されている。溶剤は、上述した高分子を可溶な溶剤であり、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、塩化メチレン(ジクロロメタン)等の溶剤が用いられる。なお、メチルエチルケトンや塩化メチレンは、低沸点の溶剤(メチルエチルケトンは79.5℃、塩化メチレンは40℃)である。従って、これらの溶剤を用いると、低い乾燥温度で溶剤を揮発させることができるため、基材1(や反射層2)が熱ダメージを受けることはない
保護層3の厚さは、下限値としては、1μm以上である。好ましくは、3μm以上である。また、上限値としては、20μm以下である。好ましくは、15μm以下である。より好ましくは、10μm以下である。保護層3の厚さが小さいと、赤外線の反射特性は高くなるものの、耐擦傷性が損なわれ、保護層3としての機能を十分に発揮することができない。保護層3の厚さが大きいと、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。保護層3の厚さが上記範囲内であれば、赤外線の吸収が小さく且つ反射層2を適切に保護することができる保護層3が得られる。
なお、垂直放射率とは、JIS R3106で規定される通り、垂直放射率(εn)=1−分光反射率(ρn)で表わされる。分光反射率ρnは、常温の熱放射の波長域5〜50μmで測定される。5〜50μmの波長域は遠赤外線領域であり、遠赤外線の波長域の反射率が高くなるほど、垂直放射率は小さくなる。
また、化学式I中のkとlとmの比率は、k:l:m=5〜50重量%:25〜85重量%:0〜60重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)となるのが好ましい。より好ましくは、k:l:m=15〜40重量%:55〜85重量%:0〜20重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)である。さらに好ましくは、k:l:m=25〜40重量%:55〜75重量%:0〜10重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)である。
ところで、保護層3に良好な耐溶剤性を付与する観点から、保護層3は、高分子同士の架橋構造を有することが好ましい。高分子同士を架橋させることにより、保護層3の耐溶剤性が向上するため、高分子を可溶な溶剤が保護層3に接触した場合であっても、保護層3が溶出するのを防止することができる。
高分子同士に架橋構造を付与する手段としては、溶液を乾燥させた後に、電子線を照射することが挙げられる。電子線の積算照射線量は、下限値としては、50kGy以上である。好ましくは、100kGy以上である。より好ましくは、200kGy以上である。また、上限値としては、1000kGy以下である。好ましくは、600kGy以下である。より好ましくは、400kGy以下である。なお、積算照射線量とは、電子線を1回照射する場合であれば、その照射線量をいい、電子線を複数回照射する場合であれば、その照射線量の合計をいう。電子線の1回の照射線量は、300kGy以下であるのが好ましい。電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、高分子同士の十分な架橋を得ることができる。また、電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、電子線の照射によって発生する高分子や基材1の黄変を最小限に抑えることができ、着色の少ない赤外線反射フィルムを得ることができる。なお、これら電子線の照射条件は、加速電圧が150kVでの照射条件である。
また、高分子を溶剤に溶解させる際に、あるいは、高分子を溶剤に溶解させた後に、ラジカル重合型モノマー等の多官能モノマーといった架橋剤を添加することが好ましい。特に、(メタ)アクリレート系モノマーのラジカル重合型モノマーが好ましい。多官能モノマーを添加すると、多官能モノマーに含まれる官能基がそれぞれの高分子鎖と反応(結合)することにより、高分子同士が(多官能モノマーを介して)架橋されやすくなる。従って、電子線の積算照射線量を(50kGy程度に)引き下げても高分子同士の十分な架橋を得ることができる。そのため、電子線の積算照射線量を低照射線量で済ませることができる。また、電子線の積算照射線量が低下することで、高分子や基材1の黄変をさらに抑制することができ、しかも、生産性を向上させることができる。
しかしながら、添加剤の添加量が多くなれば、赤外線反射フィルムの(反射層2を基準とした)保護層3側表面の垂直放射率が悪化する。垂直放射率が悪化すると、赤外線反射フィルムにおける赤外線の反射特性が低下し、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。そのため、添加剤の添加量は、高分子に対して1〜35重量%であるのが好ましい。より好ましくは、高分子に対して2〜25重量%である。
本実施形態においては、易接着層5として、シランカップリング剤等が用いられる。本実施形態においては、易接着層5として、シランカップリング剤等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、有機物とケイ素から構成される有機ケイ素化合物であり、一つの分子中に異なる反応基を有する。より具体的には、シランカップリング剤は、一つの分子中に有機物との反応や相互作用を生じることができる有機官能基(例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、スチリル基、スルフィド基等)と、加水分解性基とを有する。シランカップリング剤は、この反応基の構造を利用して、有機官能基を介して有機物と化学結合を形成するとともに、加水分解性基を加水分解、反応させることにより無機物表面等と化学結合を形成することで、化学的性質の異なる化合物を強固に結合させることができる。以下に示す実施例においては、(メタ)アクリル系、ビニル系等の各シランカップリング剤が用いられる。実施例においては、(メタ)アクリル系、ビニル系等の各シランカップリング剤が用いられるが、シランカップリング剤は、実施例に使用されているシランカップリング剤に限定されるものではない。
易接着層5は、上述した化合物を溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を反射層2の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させ(溶剤を揮発させ)、活性エネルギー線としての電子線を保護層3の表面側から照射する、という手順で形成される。なお、活性エネルギー線とは、化学反応又は物理的変化を促進するエネルギー線であり、本実施形態においては、活性エネルギー線は、保護層3と易接着層5との間の化学結合の形成を促進するように作用する。より具体的には、溶液を反射層2の上に塗布し、溶液を乾燥させた(溶剤を揮発させた)状態で、電子線等の活性エネルギー線を保護層3の表面側から照射することで、保護層3と易接着層5との間に架橋構造等の化学結合が形成され、保護層3と易接着層5とが結合される。そうすることで、反射層2と保護層3との間に易接着層5を形成することにより、保護層3と反射層2との間の密着性が高められるため、保護層3が反射層2から剥離して耐擦傷性の低い反射層2が露出しにくくなる。
以上の構成からなる本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、反射層2上の層構造の厚み、即ち、保護層3の厚みを少なくすることで、(反射層2を基準とした)保護層3側表面の垂直放射率が小さくなっている。また、特に、遠赤外線を吸収しにくく、透過しやすいニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、完全水素化ニトリルゴムなどを保護層3に用いれば、それによっても垂直放射率は小さくなる。これにより、遠赤外線は、保護層3に入射されても保護層3に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することができ、これにより、冬季や室内の温度が低下する夜間での断熱効果が期待できる。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、保護層3側表面の垂直放射率が0.20以下に設定される。より好ましくは、垂直放射率が0.15以下である。
また、本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、可視光線透過率(JIS A5759参照)を高くすることで、透光性部材の透光性が阻害されることはない。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、可視光線透過率が50%以上に設定される。
また、近赤外線は、(粘着層4及び)基材1に入射されても(粘着層4及び)基材1に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、窓ガラス等の透光性部材を通って室内に入射される近赤外線を遮蔽することができ、これにより、従来の赤外線反射フィルムと同様、夏季での遮熱効果が期待できる。
そして、本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、上述の如く、反射層2と保護層3との間に、活性エネルギー線としての電子線の照射により保護層3と反応する易接着層5が形成されているため、易接着層5が保護層3と化学的に結合され、反射層2と保護層3とが易接着層5を介して接着されることで、反射層2と保護層3との間の接着性が高まり、保護層3が外部からストレスを受けた場合でも、保護層3が反射層2から剥離しにくい。従って、保護層3の剥離により耐擦傷性の低い反射層2が露出し、反射層2がダメージを受ける、といった事態が生じるのを防止することができる。
そして、本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、上述の如く、保護層3に良好な耐溶剤性が付与されている。即ち、保護層3における高分子同士を架橋することで、保護層3の耐溶剤性が向上している。これにより、高分子を可溶な溶剤が保護層3に接触した場合であっても、保護層3が溶出するのを防止することができ、そのため、赤外線反射層が露出することによって耐擦傷性が低下するのを防止することができる。
ここで、本発明者らは、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを作製し(実施例)、併せて、比較用の赤外線反射フィルムを作製した(比較例)。
実施例、比較例ともに作製方法は次のとおりである。厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製 商品名「ダイアホイル T602E50」)を基材1として用いた。この基材1の一方の面1aにDCマグネトロンスパッタ法により反射層2を形成した。詳しくは、DCマグネトロンスパッタ法を用い、基材1の一方の面1aに酸化インジウム錫からなる金属酸化物層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAg−Pd−Cu合金からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム錫からなる金属酸化物層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。
<実施例1>
上記作製方法により作製した反射層2の上にメタクリル系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−503」の10%エタノール溶液をワイヤーバーで塗工し、80℃で4分間乾燥を行った。これにより、易接着層5を形成した。そして、水素化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン5065」の10%メチルエチルケトン(MEK)溶液をアプリケータを用いて易接着層5の上に塗布し、空気循環式の乾燥オーブンに入れ、100℃で4分間乾燥を行った。これにより、厚さが5μmの保護層3を形成した。その後、電子線照射装置(岩崎電気株式会社製 製品名「EC250/30/20mA」)を用いて保護層3の表面側から電子線を照射し、実施例1に係る赤外線反射フィルムを得た。電子線の照射条件は、ライン速度を3m/min、加速電圧を150kV、積算照射線量を600kGyとした。本実施例においては、1回の照射線量が200kGyの電子線を3回照射した。
<実施例2>
易接着層5に用いる材料として、メタクリル系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−503」の代わりに、ビニル系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−1003」を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<比較例1>
易接着層5を形成しない点以外は、実施例1と同じである。
<比較例2>
易接着層5に用いる材料として、メタクリル系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−503」の代わりに、エポキシ系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−403」を用いた点以外は、比較例1と同じである。
<比較例3>
電子線を照射しない点以外は、実施例1と同じである。
<比較例4>
電子線を照射しない点以外は、実施例2と同じである。
<評価>
そして、実施例1及び2、比較例1〜4のそれぞれについて、上記実施形態に係る赤外線反射フィルムの反射層2と保護層3との密着性、及び赤外線反射フィルムの垂直放射率を以下の方法によって測定した。これらの結果を表1に示す。
赤外線反射フィルムにおける反射層2と保護層3との密着性については、JIS K5600‐5‐6:1999に準じて、碁盤目剥離試験によって評価した。より具体的には、保護層3の塗膜表面に1mm間隔で縦横10本ずつの切込みを入れて100個の碁盤目を作成し、この上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、テープの一端を保護層3の表面に対して瞬間的に引き離し、碁盤目内の塗膜が剥がれた碁盤目の個数により、以下の分類0〜3に従って評価した。すなわち、分類0〜2に含まれる赤外線反射フィルムを○、分類3〜5に含まれる赤外線反射フィルムを×とした。
分類0:切込みの縁が完全に滑らかで、どの碁盤目内の塗膜にも剥がれがない。
分類1:切込みの交差点における塗膜の小さな剥がれがある。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜が切れ込みの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが、15%を上回ることはない。
分類3:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は碁盤目の色々な部分が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが、35%を上回ることはない。
分類4:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数箇所の碁盤目が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
分類5:剥がれの程度が分類4を超える場合である。
垂直放射率の測定方法は、次のとおりである。角度可変反射アクセサリを装着したフーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置(Varian社製)を用いて、波長5ミクロン〜25ミクロンの赤外光の正反射率を測定し、JIS R 3106−2008(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)に準じて求めた。
Figure 2013144426
表1に示すように、実施例1及び2の結果において、赤外線反射フィルムにおける保護層3が反射層2から剥離せず、且つ、垂直放射率が0.20以下(0.11)であり、反射層2と保護層3との密着性、垂直放射率共に良好な結果を得た。従って、本実施例に係る赤外線反射性フィルムでは、保護層3が反射層2から剥離して耐擦傷性の低い反射層が露出しにくくなる。その結果、反射層と保護層との密着性が良好となり、それに伴って耐溶剤性が良好な赤外線反射フィルムが得られる。
また、本実施例に係る赤外線反射フィルムでは、垂直放射率が0.20以下(0.11)であることから、遠赤外線は、保護層3側から反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に貼っておくことで、室内から窓ガラス等を通って室外に出射される遠赤外線を効率よく遮蔽することができ、断熱効果を期待できる。そして、近赤外線は、基材1に入射されても該基材1に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に貼っておくことで、窓ガラス等の透光性部材を通って室内に入射される近赤外線を遮蔽することができ、夏季での遮熱効果が期待できる。なお、易接着層5の厚みが0.2μm程度であれば、反射層2と保護層3との間に易接着層5を形成した場合でも、垂直放射率に影響することはない。
それに対して、比較例1の結果においては、垂直放射率は0.20以下(0.11)であるものの、易接着層5を形成しないことで、反射層2と保護層3との接着性が悪い。
また、比較例2の結果においては、易接着層5に用いる材料として、エポキシ系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−403」を用いたことで、電子線を照射した場合でも、垂直放射率共は良好な値を示すものの、電子線照射により発生するラジカルによってはエポキシ基との反応が進まないため、反射層2と保護層3との間に設けられた易接着層5(シランカップリング剤)が、保護層3と反応することができず、それに伴って、反射層2と保護層3との接着性が悪いと推測される。
また、比較例3の結果においては、易接着層5に用いる材料として、アクリル系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−503」を用いた場合でも、電子線を照射しないと、反射層2と保護層3との間に設けられた易接着層5(シランカップリング剤)が、保護層3と反応することができず、それに伴って、反射層2と保護層3との接着性が悪い。
そして、比較例4の結果においても、易接着層5に用いる材料として、ビニル系シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 製品名「KBM−1003」を用いた場合でも、電子線を照射しないと、反射層2と保護層3との間に設けられた易接着層5(シランカップリング剤)が、保護層3と反応することができず、それに伴って、反射層2と保護層3との接着性が悪い。
なお、本発明に係る赤外線反射フィルムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位からなる高分子について説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。これら繰り返し単位以外の他の繰り返し単位についても、保護層に必要な特性を損なわない範囲で含ませることができる。他の繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、高分子全体に対する割合が10重量%以下であるのが好ましい。
また、上記実施形態においては、反射層2を蒸着により形成した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、反射性フィルムを用いる等、反射層を基材とは別に用意し、反射性フィルムを基材に貼着することにより反射層を形成してもよい。
また、上記実施形態に係る赤外線反射フィルムは、遮熱特性と断熱特性とを併せ持つ赤外線反射フィルムである。しかしながら、これに限定されるものではない。本発明に係る赤外線反射フィルムは、従来の遮熱特性のみを持つ赤外線反射フィルムにも適用できることは言うまでもない。
1…基材、1a…一方の面、1b…他方の面、2…反射層、2a…半透明金属層、2b,2c…金属酸化物層、3…保護層、4…粘着層、5…易接着層

Claims (4)

  1. 基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、
    保護層は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層であり、
    前記反射層と前記保護層との間に、活性エネルギー線の照射により前記保護層と反応する易接着層が形成され、
    該易接着層は、(メタ)アクリル系シランカップリング剤又はビニル系シランカップリング剤である
    赤外線反射フィルム。
    Figure 2013144426
  2. 前記保護層は、前記高分子の架橋構造を有する請求項1に記載の赤外線反射フィルム。
  3. 前記架橋構造は、前記保護層への電子線の照射により形成される請求項2に記載の赤外線反射フィルム。
  4. 前記保護層側表面の垂直放射率が0.20以下である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の赤外線反射フィルム。
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JP2015124170A (ja) * 2013-12-26 2015-07-06 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物

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