JP2013256562A - ハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材 - Google Patents

ハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材 Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチックフィルムのような厚みの薄いプラスチック基材に好適に用いることができる、透明性とアンチブロッキング性に優れたハードコート膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のハードコート膜形成用組成物は、多官能重合性モノマーと平均一次粒子径が80nm以上かつ500nm以下の有機微粒子を含有するハードコート膜形成用組成物において、7官能以上のウレタンアクリレートと、溶媒と、を含有してなる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材に関する。
プラスチック基材は、透明性が高く軽量であるため、家電業界や自動車業界等を始めとして、包装用、光学用等の多くの用途に使用されている。
プラスチック基材はガラスの代替品として用いられることも多いが、プラスチック基材はガラスに比べて傷つき易いため、傷つき防止用のハードコート膜を表面に形成されることが一般的である。
一方で、ハードコート膜を形成されたプラスチック基材は表面が平滑であるために、プラスチック基材のハードコート膜面同士を重ね合わせて長く接触させた場合には、互いに密着して簡単に剥離できなくなるブロッキング現象が生じる。
そのため、製造工程でブロッキング現象が起こった場合には、生産性の低下や製品不良の原因となる場合があった。また、製造後であっても、プラスチック基材のハードコート面同士が接触してブロッキング現象が起こった場合には、プラスチック基材同士を引き離すことが難しく、そのプラスチック基材を使用できなくなる場合があった。
上記問題を解決するため、多官能重合性モノマーと平均一次粒子径が80〜500nmの有機微粒子とを含有する組成物が提案されている(特許文献1参照)。この組成物を塗工することで、プラスチックフィルムの表面に微細な凹凸を形成され、ブロッキング現象を防止し、かつハードコート性を有するプラスチックフィルムを得ることができる。
特開2007−238732号公報
しかしながら、特許文献1で提供されたハードコート剤では、ブロッキング現象を防止するアンチブロッキング性には優れていたが、有機微粒子を含有させたことにより、ハードコート膜のヘーズ値が高くなり、透明性が損なわれるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、プラスチックフィルムのような厚みの薄いプラスチック基材に好適に用いることができる、透明性とアンチブロッキング性に優れたハードコート膜を形成することができるハードコート膜形成用組成物と、透明性とアンチブロッキング性に優れたハードコート膜及びこれを備えたプラスチック基材を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、多官能重合性モノマーと平均一次粒子径が80〜500nmの有機微粒子を含有するハードコート膜形成用組成物に、7官能以上のウレタンアクリレートを混合することにより、透明性とアンチブロッキング性を両立できるハードコート膜形成用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、多官能重合性モノマーと平均一次粒子径が80nm以上かつ500nm以下の有機微粒子を含有するハードコート膜形成用組成物において、7官能以上のウレタンアクリレートと、溶媒と、を含有してなるハードコート膜形成用組成物であることを特徴とする。
前記溶媒は、ケトン系の溶媒と高沸溶媒とからなり、これらの質量比が1:1〜4:1の範囲内であることが好ましい。
前記溶媒はケトン系の溶媒を含有することが好ましい。
さらに、前記溶媒は沸点が100℃以上である高沸溶媒を含有することが好ましい。
本発明のハードコート膜は、本発明のハードコート膜形成用組成物により形成されてなることを特徴とする。
本発明のプラスチック基材は、本発明のハードコート膜を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、透明性とアンチブロッキング性を両立することができるハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得ることができる。
以下、本発明のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を実施するための形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り本発明を限定するものではない。
[ハードコート膜形成用組成物]
本実施形態のハードコート膜形成用組成物は、多官能重合性モノマーと平均一次粒子径が80nm以上かつ500nm以下の有機微粒子を含有するハードコート膜形成用組成物において、7官能以上のウレタンアクリレートと、溶媒と、を含有してなる。
「多官能重合性モノマーと有機微粒子を含有するハードコート膜形成用組成物」
多官能重合性モノマーと有機微粒子を含有するハードコート膜形成用組成物(以下、「第1の組成物」と略記する場合がある)としては、平均一次粒子径が80nm以上かつ500nm以下の有機微粒子が、多官能重合性モノマー又は多官能重合性モノマーと希釈溶媒とを含む分散媒中に分散されたハードコート膜形成用組成物であれば特に限定されない。
有機微粒子としては例えば、アクリル系樹脂からなるアクリルビーズ、スチレン系樹脂からなるスチレンビーズ、スチレン−アクリル系共重合樹脂からなるスチレン−アクリルビーズ等が挙げられる。
これらの有機微粒子は、乳化重合法により作製するのが好ましい。
有機微粒子の平均一次粒子径は、80nm以上かつ500nm以下であり、好ましくは80nm以上かつ400nm以下である。
有機微粒子の平均一次粒子径を上記範囲とすることにより、アンチブロッキング性と透明性を両立させた組成物を得ることができる。
有機微粒子の含有量は、多官能重合性モノマー100質量部に対して、0.5質量部以上かつ50質量部未満であることが好ましい。
有機微粒子の含有量を上記範囲とすることで、アンチブロッキング性と、透明性と、ハードコート性(鉛筆硬度や耐擦傷性等)のバランスのとれた組成物を得ることができる。
多官能重合性モノマーは、透明性が高く、光硬化性を有する官能基を2個以上有しているモノマーであれば特に限定されず、同種の官能基が2個以上であってもよく、2種以上の官能基がそれぞれ1個以上であってもよい。このような官能基としては例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、アリルエーテル基、スチリル基等が挙げられる。
2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能重合性モノマーの具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
第1の組成物に含まれる希釈溶媒は、有機微粒子と多官能重合性モノマーとの相溶性が良いものであれば特に限定されない。上記希釈溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン等のケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤等が挙げられる。
上記希釈溶媒により、第1の組成物における不揮発分を40質量%以上かつ55質量%以下、かつ第1の組成物の粘度を1mPa・s以上かつ50mPa・s以下に調整することが好ましい。
ここで「不揮発分」とは、熱風乾燥法で107℃、1時間乾固させたときに残存する質量割合を意味し、高沸点の添加剤等を含有させた場合を除き、有機微粒子と多官能重合性モノマーの第1の組成物中における合計質量割合を意味する。
上記第1の組成物中には、分散剤、重合開始剤、帯電防止剤、屈折率調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、レベリング剤、消泡剤、無機充填剤、カップリング剤、防腐剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤等の一般的な各種添加剤が適宜含有されていてもよい。
分散剤としては例えば、硫酸エステル系、カルボン酸系、ポリカルボン酸系等のアニオン型界面活性剤、高級脂肪族アミンの4級塩等のカチオン型界面活性剤、高級脂肪酸ポリエチレングリコールエステル系等のノニオン型界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アマイドエステル結合を有する高分子系界面活性剤等が挙げられる。
光重合開始剤の種類や量は使用する多官能重合性モノマーに応じて適宜選択すればよい。例えば、ベンゾフェノン系、ジケトン系、アセトフェノン系、ベンゾイン系、チオキサントン系、キノン系、ベンジルジメチルケタール系、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、フェニルフォスフィンオキサイド系等の公知の光重合開始剤を用いることができる。
なお、上記第1の組成物としては、市販品の有機微粒子含有混合物を用いてもよい。市販品の有機微粒子含有混合物としては、アイカ工業社製のアイカアイトロンZ−739UNが挙げられる。また、綜研化学社製のビーズ分散液ケミスノーMS−300K、ガンツ化成社製のビーズ分散液スタフィロイドEA−1135に、上記多官能重合性モノマーを適宜混合したものを用いても良い。
「7官能以上のウレタンアクリレート」
本実施形態のハードコート膜形成用組成物に添加されるウレタンアクリレートは、その官能基数が多いほうが好ましい。具体的には、8官能以上のウレタンアクリレートであることが好ましく、10官能以上のウレタンアクリレートであることがより好ましい。
また、取扱いの容易性から、15官能以下のウレタンアクリレートを用いることが好ましく、上限は20官能程度である。
本実施形態に係るウレタンアクリレートにおいては、アクリロイル基以外に、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等の架橋反応性の官能基等が含まれていてもよい。ウレタンアクリレート中の上記官能基の合計が7官能以上であればよい。
また、本実施形態のウレタンアクリレートは、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、モノマーとオリゴマーが混合されていてもよい。
本実施形態の7官能以上のウレタンアクリレートは、市販品のウレタンアクリレートを用いてもよい。市販品のウレタンアクリレートとしては、例えば、日本合成化学工業(株)製のUV1700B(10官能)、UV6300B(7官能)及びUV7640B(7官能)や、日本化薬(株)製のDPHA40H(8官能)、UX5001T(8官能)や、根上工業(株)製のUN3320HS(15官能)及びUN904(10官能)、並びに新中村化学工業(株)製のUA−33H(9官能)及びUA−53H(15官能)等を挙げることができる。
「溶媒」
溶媒は、上記第1の組成物(有機微粒子含有混合物)と、上記7官能以上のウレタンアクリレートと相溶性のよい溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、例えば、アルコール系、ケトン系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭素水素系、エステル系、セロソルブ系、ハロゲン化炭化水素系の溶媒等が挙げられる。
溶媒の種類は、上記第1の組成物と、上記7官能以上のウレタンアクリレートとの相溶性を勘案して選択される。
本実施形態に係る溶媒は、ケトン系溶媒を含むものであることが好ましい。ケトン系溶媒としは、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アノン等を用いることができる。
さらに、沸点が100℃以上、好ましくは110℃以上、より好ましくは150℃以上の高沸溶媒を添加された溶媒であることが好ましい。このような高沸溶媒としては、例えば、ジアセトンアルコール、1−ブタノール、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等を用いることができる。
高沸溶媒を添加する場合には、全溶媒量に対する添加量が15質量%以上かつ45質量%以下、好ましくは、20質量%以上かつ40質量%以下となるように添加するのが好ましい。上記範囲で高沸溶媒を添加することにより、アンチブロッキング性能に優れ、生産性のよい組成物が得られるため好ましい。
溶媒は、ケトン系溶媒と高沸溶媒とからなり、質量比が1:1〜4:1の範囲内となるように調整して用いるのが最も好ましい。溶媒の種類と質量比を上記範囲とすることにより、よりアンチブロッキング性能に優れた本実施形態の組成物が得られる。
本実施形態において、第1の組成物(有機微粒子含有混合物)とウレタンアクリレートの混合比率は、所望のアンチブロッキング性と透明性を得られるように適宜調節すればよい。例えば、有機微粒子と多官能重合性モノマーとの合計質量と、ウレタンアクリレートの質量比が、3:2〜1:8の範囲内、好ましくは、3:2〜1:2の範囲内となるように混合させる。
本実施形態のハードコート膜形成用組成物により、アンチブロッキング性と透明性を両立できる理由の詳細は不明であるが、次のように考えられる。
従来、第1の組成物は単独でハードコート膜形成用組成物として用いられていた。多官能重合性モノマーと有機微粒子とを含有する第1の組成物を用いてハードコート膜を形成した場合、有機微粒子はハードコート膜中に均一に分散した状態となっていた。
このようなハードコート膜において、その表面に所望の凹凸形状を付与するためには、ハードコート膜の表層部にある程度の数の有機微粒子を存在させる必要がある。ここで、有機微粒子は膜中に均一に分散するため、多くの有機微粒子を膜の表層部に押し出すためには、膜の内部にも十分な量の有機微粒子を存在させる必要がある。この膜中に埋没させた有機微粒子が、透明性を低下させる要因となっていた。
つまり、第1の組成物を単独で用いたハードコート膜では、表面の凹凸を大きくしてアンチブロッキング性を向上させようとすると、ハードコート膜中に埋没させる有機微粒子の数も増さなければならなかったために、透明性が損なわれていた。
それに対して本実施形態の組成物中には、7官能以上のウレタンアクリレートが添加されているため、架橋点が多く、網目構造が密に形成されたハードコート膜を形成させることができる。
そして、このような密な網目構造が形成される際には、多官能重合性モノマー及びウレタンアクリレートの反応が優先的に進行するために、有機微粒子はハードコート膜の表面側に押し出される。その結果、有機微粒子がハードコート膜の表面側に配置され、凹凸を形成しやすくなっていると考えられる。
このように本実施形態のハードコート膜形成用組成物によれば、7官能以上のウレタンアクリレートが添加されたことにより、有機微粒子をハードコートの表面に効率よく配置させて、凹凸を形成することができると考えられる。そのため、従来の組成物と比較して、アンチブロッキング性を発現させるために必要な有機微粒子の量を減少させることができ、透明性を向上させることができる。その結果、アンチブロッキング性と透明性を両立させたハードコート膜を得ることができる。
[ハードコート膜形成用組成物の製造方法]
本実施形態のハードコート形成用組成物の製造方法は、第1の組成物と、7官能以上のウレタンアクリレートと、溶媒とを均一に混合できる方法であれば特に限定されない。本実施形態の製造方法に適用できる混合装置としては、例えば、撹拌機、自公転式ミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられる。
[ハードコート膜]
本実施形態のハードコート膜は、本実施形態のハードコート膜形成用組成物により形成されてなる。
このハードコート膜の膜厚は、用途に応じて適宜調整すればよいが、通常0.1μm以上かつ20μm以下が好ましく、1μm以上かつ10μm以下がより好ましい。膜厚を上記範囲とすることで、ハードコート性とアンチブロッキング性と透明性に優れたハードコート膜を得ることができる。
本実施形態のハードコート膜の製造方法は、上記ハードコート膜形成用組成物を被塗布物上に塗工することで塗膜を形成する工程と、上記塗膜を硬化させる工程とを含む。
塗膜を形成する工程における塗工方法としては例えば、バーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法、グラビアコート法、吸上げ塗工法、はけ塗り法等、通常のウェットコート法を用いることができる。
塗膜を硬化させる工程における硬化方法としては、塗膜にエネルギー線を照射して光硬化させる。光硬化に用いるエネルギー線は塗膜が硬化すれば特に限定されず、例えば、紫外線、遠赤外線、近紫外線、赤外線、X線、γ線、電子線、プロトン線、中性子線等のエネルギー線を用いることができる。これらのエネルギー線の中でも、硬化速度が速く、装置の入手が容易である紫外線照射による硬化が好ましい。
塗膜を光硬化させることで、上記多官能重合性モノマーとウレタンアクリレートが重合して、耐擦傷性等の強度に優れ、アンチブロッキング性に優れた膜を得ることができる。
紫外線硬化させる場合には、200nm〜500nmの波長帯域の光を発する高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ等を用いて、100〜3,000mJ/cmのエネルギーにて照射する方法等が挙げられる。
[ハードコート膜を備えたプラスチック基材]
本実施形態のハードコート膜を備えたプラスチック基材は、本実施形態のハードコート膜を備えている。
このハードコート膜を備えたプラスチック基材は、本実施形態のハードコート膜形成用組成物を公知の塗工法を用いてプラスチック基材上に塗工することで塗膜を形成し、その塗膜を光硬化させることにより得ることができる。
プラスチック基材は、プラスチック製の基材であれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、アクリル、アクリル−スチリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、塩化ビニル等により形成されたものを用いることができる。
プラスチック基材は、シート状であってもよく、フィルム状であってもよいが、フィルム状であることが好ましい。
本実施形態のハードコート膜を備えたプラスチック基材は、空気を基準として測定した場合に、ヘーズ値が1.5以下であることが好ましく、1.1以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
また、ハードコート膜面同士を擦り合わせ場合は、滑らかに滑ることが好ましい。ハードコート膜面同士を押し付けあった場合には、ひっかかり感を感じることなく、滑らかに滑ることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態のハードコート膜形成用組成物によれば、アンチブロッキング性と透明性を両立できるハードコート膜とそれを備えたプラスチック基材を得ることができる。
本実施形態の溶媒がケトン系溶媒と高沸溶媒とからなり、質量比が1:1〜4:1の範囲内である場合には、よりアンチブロッキング性が向上するため好ましい。
本実施形態のハードコート膜によれば、アンチブロッキング性と透明性に優れたハードコート膜を得ることができる。
本実施形態のプラスチック基材によれば、アンチブロッキング性と透明性に優れたハードコート膜を備えたプラスチック基材を得ることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
「ハードコート膜形成用組成物」
有機微粒子含有混合物(アイカ工業社製、Z−739UN)を、有機微粒子と多官能重合性モノマー換算で15質量部、10官能のウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製、UV−1700B)を、ウレタンアクリレート換算で15質量部、光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア127)を0.45質量部、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合して、実施例1のハードコート膜形成用組成物を得た。実施例1の組成物の粘度をB型粘度計で測定したところ、2.8mPa・sであった。
「膜形成」
得られたハードコート膜形成用組成物を、100μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに、乾燥膜厚が3〜5μmとなるように、バーコーティング法で塗布し、80℃で加熱して乾燥した。次いで高圧水銀灯(120W/cm)で紫外線を300mJ/cmのエネルギーとなるように露光して硬化させて膜を形成させることで、実施例1のハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[実施例2]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、ジアセトンアルコールを10質量部、メチルイソブチルケトンを40質量部混合した以外は同様にして、実施例2のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例2の組成物の粘度は2.6mPa・sであった。
[実施例3]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールの替わりにプロピレングリコールモノメチルエーテルを用いた以外は同様にして、実施例3のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例3の組成物の粘度は3.0mPa・sであった。
[実施例4]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールの替わりに1−ブタノール(20質量部)を用いた以外は同様にして、実施例4のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例4の組成物の粘度は2.5mPa・sであった。
[実施例5]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに15官能のウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、UA−53H)を用いた以外は同様にして、実施例5のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例5の組成物の粘度は3.5mPa・sであった。
[実施例6]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに15官能のウレタンアクリレート(ウレタンアクリレート換算で15質量部)を用い、ジアセトンアルコールを用いる替わりに1−ブタノール(20質量部)を用いた以外は同様にして、実施例6のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例6の組成物の粘度は3.6mPa・sであった。
[実施例7]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに15官能のウレタンアクリレート(ウレタンアクリレート換算で15質量部)を用い、ジアセトンアルコール20質量部とメチルイソブチルケトン30質量部の替わりに、メチルイソブチルケトンを50質量部用いた以外は同様にして、実施例7のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例7の組成物の粘度は3.0mPa・sであった。
[実施例8]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに15官能のウレタンアクリレート(ウレタンアクリレート換算で15質量部)を用い、ジアセトンアルコール20質量部とメチルイソブチルケトン30質量部の替わりに、トルエンを50質量部用いた以外は同様にして、実施例8のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例8の組成物の粘度は2.8mPa・sであった。
[実施例9]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに15官能のウレタンアクリレート(ウレタンアクリレート換算で15質量部)を用い、ジアセトンアルコール20質量部とメチルイソブチルケトン30質量部の替わりに、メチルエチルケトンを50質量部用いた以外は同様にして、実施例9のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例9の組成物の粘度は3.2mPa・sであった。
[実施例10]
実施例1の作製手順において、有機微粒子含有混合物は9質量部、10官能のウレタンアクリレートは21質量部、光重合開始剤は0.63質量部、メチルイソブチルケトンは35質量部用いた以外は同様にして、実施例10のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例10の組成物の粘度は2.9mPa・sであった。
[実施例11]
実施例1の作製手順において、有機微粒子含有混合物は18質量部、10官能のウレタンアクリレートは12質量部、光重合開始剤は0.36質量部、メチルイソブチルケトンは28質量部用いた以外は同様にして、実施例11のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。実施例11の組成物の粘度は3.0mPa・sであった。
[実施例12]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、ジアセトンアルコールを2質量部、メチルイソブチルケトンを48質量部混合した以外は同様にして、実施例12のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[実施例13]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、ジアセトンアルコールを5質量部、メチルイソブチルケトンを45質量部混合した以外は同様にして、実施例13のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[実施例14]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、アノンを5質量部、メチルイソブチルケトンを45質量部混合した以外は同様にして、実施例14のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[実施例15]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、アノンを10質量部、メチルイソブチルケトンを40質量部混合した以外は同様にして、実施例15のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[実施例16]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、アノンを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合した以外は同様にして、実施例16のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[実施例17]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、メチルエチルケトンを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合した以外は同様にして、実施例17のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[実施例18]
実施例1の作製手順において、ジアセトンアルコールを20質量部、メチルイソブチルケトンを30質量部混合する替わりに、1−ブタノールを30質量部、メチルイソブチルケトンを20質量部混合した以外は同様にして、実施例18のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[比較例1]
実施例1の作製手順において、有機微粒子含有混合物を15質量部、10官能のウレタンアクリレートを15質量部、光重合開始剤を0.45質量部用いる替わりに、有機微粒子含有混合物を30質量部用いてウレタンアクリレートを含有させなくした以外は同様にして、比較例1のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[比較例2]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに3官能のアクリレート(新中村化学工業社製、A−TMM−3LM−N)を用いた以外は同様にして、比較例2のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[比較例3]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに4官能のウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、U−4HA)を用いた以外は同様にして、比較例3のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
[比較例4]
実施例1の作製手順において、10官能のウレタンアクリレートの替わりに6官能のウレタンクリレート(新中村化学工業社製、U−6LPA)を用いた以外は同様にして、比較例4のハードコート膜形成用組成物、ハードコート膜及びそれを備えたプラスチック基材を得た。
実施例1〜11及び比較例1〜16各々で得られたプラスチック基材の、アンチブロッキング性、透明性、鉛筆硬度、耐スチールウール性、密着性の各特性について、下記の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
(1)アンチブロッキング性
[a]滑り性
プラスチック基材の塗布面同士を擦り合わせ、非常によく滑るものを◎、滑るものを○、あまり滑らないものを△、滑らないものを×として評価した。
[b]押し付け性
プラスチック基材の塗布面同士を強く押し付け、ひっかかり感がなく非常によく滑るものを◎、滑るものを○、ひっかかり感があり、かつあまり滑らないものを△、滑らないものを×として評価した。
(2)透明性
プラスチック基材のヘーズ値を、空気を基準として、ヘイズメーターNDH−2000(日本電色社製)を用い、日本工業規格JIS−K−7105に基づいて測定した。
(3)鉛筆硬度
JIS K−5600−5−4に基づき、750gf荷重で測定を行った。
(4)耐擦傷性
プラスチック基材に形成されたハードコート膜上で、#0000のスチールウールを250g/cmの加重下にて10往復摺動させた。往復後のハードコート膜の表面を目視で観察し、次の基準で耐擦傷性の評価を行った。
A;傷0本
B:傷1−10本
C:傷11−20本
D:傷20本以上
(5)密着性
日本工業規格JISK5600−5−6に準拠し、剥がれがないものを○、剥がれがあるものを×として、密着性の評価を行った。
Figure 2013256562
実施例1〜18と、比較例2〜4の結果より、官能基数が多いウレタンアクリレートが混合されたハードコート膜形成用組成物によれば、アンチブロッキング性に優れたハードコート膜を形成できることが確認された。
また、実施例1と比較例1により、官能基数が多いウレタンアクリレートが混合されたハードコート膜形成用組成物は、官能基数の多いウレタンアクリレートを含まない組成物と比較して組成物中の有機微粒子の量が少ないにも関わらず、良好なアンチブロッキング性を示し、かつ、透明性に優れるハードコート膜を形成可能であることが確認された。
また、ケトン系溶媒と高沸溶媒の含有比率が1:1〜4:1の質量比の範囲内である溶媒を組成物中に混合させることにより、ハードコート膜においてより良好なアンチブロッキング性が得られやすいことが確認された。
なお、実施例12の条件で、溶媒をジアセトンアルコールとメチルイソブチルケトンの混合溶媒を用いる替わりに、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルをそれぞれ単独で用いてハードコート膜を形成したところ、アンチブロッキング性や透明性等は、実施例12のハードコート膜とほぼ同等の性能であった。

Claims (6)

  1. 多官能重合性モノマーと平均一次粒子径が80nm以上かつ500nm以下の有機微粒子を含有するハードコート膜形成用組成物において、
    7官能以上のウレタンアクリレートと、溶媒と、を含有してなることを特徴とするハードコート膜形成用組成物。
  2. 前記溶媒が、ケトン系溶媒と100℃以上の沸点を有する高沸溶媒とからなり、前記ケトン系溶媒と前記高沸溶媒の質量比が1:1〜4:1の範囲内であることを特徴とする、請求項1記載のハードコート膜形成用組成物。
  3. 前記溶媒が、ケトン系溶媒を含有することを特徴とする、請求項1記載のハードコート膜形成用組成物。
  4. 前記溶媒が、さらに沸点が100℃以上の高沸溶媒を含有することを特徴とする、請求項3記載のハードコート膜形成用組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項記載のハードコート膜形成用組成物により形成されてなることを特徴とする、ハードコート膜。
  6. 請求項5記載のハードコート膜を備えていることを特徴とする、プラスチック基材。
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