JP2013254652A - X線管装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁油に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置を提供する。
【解決手段】X線管装置は、X線管と、ハウジングと、絶縁油と、鉛部材と、ゴム部材2aと、溶出防止膜3aと、を備える。ゴム部材2aは、硫黄加硫ゴムで形成され、絶縁油の存在する空間に位置している。溶出防止膜3aは、ゴム部材2aの表面に設けられ、絶縁油に接し、ゴム部材から絶縁油中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。
【選択図】図2
【解決手段】X線管装置は、X線管と、ハウジングと、絶縁油と、鉛部材と、ゴム部材2aと、溶出防止膜3aと、を備える。ゴム部材2aは、硫黄加硫ゴムで形成され、絶縁油の存在する空間に位置している。溶出防止膜3aは、ゴム部材2aの表面に設けられ、絶縁油に接し、ゴム部材から絶縁油中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、X線管装置に関する。
X線管装置は、医療診断用途や、非破壊検査用途など、多くの用途に利用されている。X線管装置は、X線管、ハウジング及び絶縁油を備えている。ハウジングは、X線管を収容している。絶縁油は、X線管とハウジングとの間の空間に充填されている。絶縁油は、X線管が発生する熱を吸収し、X線管を冷却している。X線管の発熱量が多い場合、X線管装置は循環冷却システムをさらに備えている場合がある。
上記ハウジングは、X線管を収容するための開口部を有している。開口部には、閉塞部材が設けられている。開口部と閉塞部材との間には、Oリングが設けられ、絶縁油を液密にシールしている。ハウジングの開口部を閉塞部材及びOリングで閉塞した後、ハウジング内部に脱気された絶縁油が充填される。
また、X線管装置は、鉛を利用したX線遮蔽材を備えている。X線遮蔽材は、ハウジング内部に取付けられ、ハウジング外部への不要なX線の漏洩を遮蔽する。少なくともX線遮蔽材の表面の一部は、絶縁油に浸っている。
ところで、X線遮蔽材が絶縁油に浸っている状態にあると、X線遮蔽材を形成している鉛が使用中に徐々に腐食してしまう。これにより、絶縁油中に悪影響を及ぼす異物が形成されてしまう。絶縁油中に鉛を主成分の1つとする浮遊異物が生成されたり、鉛を主成分の1つとする堆積物がX線管の外面の金属表面に形成されたりする。
浮遊異物は比較的高いX線吸収率を有している。このため、利用X線束が透過する絶縁油中に浮遊異物が存在すると、X線画像にアーチファクトが生じる恐れがある。その他、X線管やハウジングがベリリウムなどの金属で形成されたX線放射窓を有している場合、X線放射窓に鉛を主成分の1つとする堆積物が形成され易い。このため、利用X線の透過度が低下する恐れがある。堆積物の厚みが不均一である場合にはX線画像にアーチファクトが生じる恐れがある。
そこで、上記問題を解決するため、鉛表面に保護皮膜を形成する手法が考えられる。
例えば、X線遮蔽材の表面にエポキシ樹脂等の有機皮膜をコーティングすることが考えられる。しかしながら、上記手法を採る場合、X線遮蔽材のハウジングに接着される側の表面への有機皮膜のコーディングを施すことが困難であり、又、使用中に有機皮膜が剥離し易くなる問題がある。さらに又、製造コストが高くなってしまう問題がある。
その他、上記問題を解決するため、X線遮蔽材の両面に錫などを利用して予め電気メッキを施し、X線遮蔽材をハウジング内面に接着させる技術が開示されている。上記技術は上記問題を解決する手法の1つではあるが、X線遮蔽材の切り口に鉛が露出してしまう問題がある。また、製造コストが高くなってしまう問題がある。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、絶縁油に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置を提供することにある。
一実施形態に係るX線管装置は、
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油の存在する空間に位置したゴム部材と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
前記ゴム部材の表面に設けられ、前記絶縁油に接し、前記ゴム部材から前記絶縁油中への硫黄の溶出を防止する溶出防止膜と、を備えていることを特徴としている。
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油の存在する空間に位置したゴム部材と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
前記ゴム部材の表面に設けられ、前記絶縁油に接し、前記ゴム部材から前記絶縁油中への硫黄の溶出を防止する溶出防止膜と、を備えていることを特徴としている。
また、一実施形態に係るX線管装置は、
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
天然の石油系ワックス、天然の石油系ワックスの加工ワックス若しくは変性ワックス、又は石油系合成ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴としている。
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
天然の石油系ワックス、天然の石油系ワックスの加工ワックス若しくは変性ワックス、又は石油系合成ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴としている。
また、一実施形態に係るX線管装置は、
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
耐オゾン老化防止剤を含有した硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴としている。
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
耐オゾン老化防止剤を含有した硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴としている。
また、一実施形態に係るX線管装置は、
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
有機過酸化物架橋、キノイド架橋、フェノール樹脂架橋、アミン架橋、金属酸化物架橋、トリアジンチオール架橋、ポリオール架橋のうち少なくとも一つで架橋されたゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴としている。
X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
有機過酸化物架橋、キノイド架橋、フェノール樹脂架橋、アミン架橋、金属酸化物架橋、トリアジンチオール架橋、ポリオール架橋のうち少なくとも一つで架橋されたゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴としている。
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
始めに、本願発明者は、絶縁油に接する鉛部材に腐食が生じ、絶縁油中に異物が形成される原因について鋭意調査研究を進めた。本願発明者は、調査研究を進めた結果、上記原因がハウジング中で絶縁油に接する加硫ゴムから溶け出した硫黄に起因していることをつき止めた。
始めに、本願発明者は、絶縁油に接する鉛部材に腐食が生じ、絶縁油中に異物が形成される原因について鋭意調査研究を進めた。本願発明者は、調査研究を進めた結果、上記原因がハウジング中で絶縁油に接する加硫ゴムから溶け出した硫黄に起因していることをつき止めた。
従来、絶縁油中の鉛に生じる腐食は、絶縁油中の硫黄、絶縁油に溶存した酸素や水、又は熱やX線による絶縁油の劣化生成物が原因であろうと考えられてきた。しかしながら、実際には、上記のように絶縁油に接する加硫ゴムが存在しない場合、問題となる腐食が発生しないことを確かめた。
鉛腐食に伴って生成された浮遊異物は、鉛と硫黄(加硫ゴムから溶け出した硫黄、または硫黄化合物を起源とする硫黄)とを主成分とする針状もしくは繊維状の反応物であった。この反応物が部分的に集合して綿状の集合体となって浮遊異物を構成していることが分かった。
X線管の絶縁油に浸るゴム部材には、耐油性の高いゴムであるアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が一般的に使用されている。そこで、本願発明者は、まず、NBRを利用して形成されたゴム部材(以下、NBR部材と称する)について調査研究を行った。ハウジング中にて絶縁油にNBR部材が鉛部材とともに接している場合、絶縁油中に発生する異物の量が製造メーカのNBR部材ごとに差があり、異物の発生が全くないNBR部材もあった。
ゴムの加硫処理を行うと、添加した加硫剤や加硫促進剤の働きによって、ゴム分子間に硫黄によって架橋された網目状の三次元構造ができ、ゴムに弾性が付与される。加硫剤として、一般的に実績・コスト・性能の面から硫黄が用いられている。また、加硫剤や加硫促進剤として有機硫黄化合物が使用される場合もある。加硫処理によって硫黄は生ゴムの炭素間で結合して架橋点を作るが、この結合に関与しなかった余剰の硫黄は、ゴム部材の内部に残されたままとなる。加硫剤や加硫促進剤として有機硫黄化合物が添加される場合、その硫黄化合物の一部もゴム部材の内部に残されたままとなる。この未反応の遊離硫黄や硫黄化合物が使用中にゴム部材から絶縁油中に溶け出し、鉛との反応を引き起こすものと推定される。
上記のことから、製造メーカのNBR部材ごとに絶縁油中に発生する異物の量に差がついたことは、製造メーカごとに独自の製造条件でNBR部材を製造しているためであると推定される。上記独自の製造条件とは、配合材料の違い(加硫剤の種類の違い、加硫剤の添加量の違い、加硫促進剤の種類の違い、加硫促進剤の添加量の違いなど)や、加硫温度の違い、加硫にかかる時間の違いなどに起因し、互いに異なる製造条件となるものと推定される。
そこで、本願発明者は、次に挙げる対策が、NBR部材などのゴム部材の製造条件を最適化すること無しに、ゴム部材から絶縁油中への遊離硫黄や硫黄化合物の溶け出しを防止することに有効であることを実証した。
対策1:硫黄加硫ゴムで形成されたゴム部品の表面(絶縁油に接する表面)に、溶出防止膜(保護皮膜)を設ける。溶出防止膜により、ゴム部材から絶縁油中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。なお、本対策は後述する第1の実施形態に係るX線管装置で採っている。
対策2:硫黄加硫ゴムに非極性ワックスである石油系ワックスを含有させてゴム材を形成する。上記石油系ワックスを含有させることにより、ゴム部材から絶縁油中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。その他、本体策では、オゾン対策やゴム部材の劣化防止を兼ねている。なお、本対策は後述する第2の実施形態に係るX線管装置で採っている。
対策3:硫黄加硫ゴムに耐オゾン老化防止剤を含有させてゴム材を形成する。上記耐オゾン老化防止剤を含有させることにより、ゴム部材から絶縁油中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。言うまでもないが、本体策はオゾン対策でもある。その他、本体策では、ゴム部材の劣化防止を兼ねている。なお、本対策は後述する第3の実施形態に係るX線管装置で採っている。
対策4:硫黄を除く加硫剤や加硫促進剤を用いて架橋されたゴムでゴム部材を形成する。硫黄を除く加硫剤や加硫促進剤を用いることにより、絶縁油中への硫黄や硫黄化合物の溶出の恐れを解消する。なお、本対策は後述する第4の実施形態に係るX線管装置で採っている。
以下、図面を参照しながら第1の実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線管装置を概略的に示す断面図である。
図1に示すように、X線管装置10は、大まかにハウジング20と、ハウジング20内に収納された回転陽極型のX線管30と、X線管30とハウジング20との間の空間に充填された絶縁油7と、高電圧絶縁部材6と、回転駆動部としてのステータコイル9と、リセプタクル300、400とを備えている。
X線管装置10は、図示しない循環冷却システムをさらに備えていてもよい。この場合、ハウジング20には、図示しない絶縁油7の導入口及び排出口が形成されている。循環冷却システムは、例えば、ハウジング20内の絶縁油7を放熱及び循環させる冷却器と、冷却器をハウジング20の導入口及び排出口に液密及び気密に連結する導管(ホースなど)とを備えている。冷却器は、循環ポンプ及び熱交換器を有している。循環ポンプは、ハウジング20側から取り入れた絶縁油7を熱交換器に吐出し、絶縁油7の流れをハウジング20内に作り出す。熱交換器は、ハウジング20及び循環ポンプ間に連結され、絶縁油7の熱を外部に放出する。
ハウジング20は、筒状に形成されたハウジング本体20eと、蓋部(側板)20f、20g、20hとを有している。ハウジング本体20eは、金属材料で形成されている。この実施形態において、ハウジング本体20eはアルミニウムを用いた鋳物で形成されている。蓋部20f、20g、20hは金属又は樹脂材料で形成されている。樹脂材料を使用する場合でも、ネジ部など強度を必要とする個所や、樹脂の射出成形で成形し難い個所、またハウジング20の外部への電磁気ノイズの漏洩を防止する図示しない遮蔽層など、部分的に金属を併用しても良い。
後述する高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部には、環状の段差部が形成されている。上記段差部の内周面には、環状の溝部が形成されている。X線管装置の管軸に沿った方向において、蓋部20fの周縁部はハウジング本体20eの段差部に接触している。ハウジング本体20eの上記溝部にはC形止め輪20iが嵌合されている。
C形止め輪20iは、管軸に沿った方向における、ハウジング本体20eに対する蓋部20fの位置を規制している。この実施形態において、蓋部20fのがたつきを防止するため、蓋部20fの位置は固定されている。高電圧供給端子44が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20f及びC形止め輪20iなどにより液密に閉塞されている。
図2は、図1に示したX線管装置10の一部を拡大して示す図であり、ハウジング本体20eと蓋部20fとの間に設けられた被シール部1aがゴム部材2aで液密にシールされ、ゴム部材2aの表面に溶出防止膜3aが設けられている状態を示す図である。
図1及び図2に示すように、ハウジング20は、被シール部1aを有している。この実施形態において、被シール部1aは、ハウジング本体20eと蓋部20fとの間に設けられている。被シール部1aは、環状である。
ゴム部材2aは被シール部1cを液密にシールしている。この実施形態において、ゴム部材2aはOリングで形成されている。ゴム部材2aはハウジング本体20eと蓋部20fとの間に設けられている。ゴム部材2aは、ハウジング20外部への絶縁油7の漏れを防止する機能を有している。なお、絶縁油7は、蓋部20fの周縁部とハウジング本体20eの段差部との間の隙間から被シール部1aに流出し得る。ゴム部材2aは絶縁油7の存在する空間に位置している。
ゴム部材2aは硫黄加硫ゴムで形成されている。
ゴム部材2aは硫黄加硫ゴムで形成されている。
溶出防止膜(保護皮膜)3aは、ゴム部材2aの表面に設けられ、絶縁油7に接している。この実施形態において、溶出防止膜3aは、ゴム部材2aの表面全体に設けられているが、ゴム部材2aの表面のうち少なくとも絶縁油7に接する恐れのある領域に設けられていればよい。溶出防止膜3aは、ゴム部材2aから絶縁油7中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。
溶出防止膜3aは基材に対する高い密着性を有し、溶出防止膜3aの膜厚は10μm以下と薄い。このため、溶出防止膜3aがゴム部材2aの機械的特性に悪影響を及ぼすことはない。例えば、ゴム部材2aは溶出防止膜3aとともに、ハウジング20外部への絶縁油7の漏れを防止する機能を保持することができる。
溶出防止膜3aを形成する際、ゴム部材2aの表面に塗料を塗布し、塗料を乾燥(自然乾燥又は加熱乾燥)させることで溶出防止膜3aを形成することができる。塗料としては、エポキシ系の材料やガラス系の材料、フッ素ゴム材料などを利用することができる。
低粘度の塗料を使用することによりゴム部材2aに塗り易く、溶出防止膜3aを薄く形成することができる。また、これらの材料は、ゴム部材2aに対する密着度が高いため、ゴム部材2aから絶縁油7中への硫黄や硫黄化合物の溶出を長期にわたって防止することのできる信頼性に優れた溶出防止膜3aを得ることができる。さらにまた、溶出防止膜3aは非粘着性を有しているため、取り扱いが容易となる。例えば、ハウジング本体20eへの蓋部20fの押し込みや、ハウジング本体20eからの蓋部20fの取り外しが容易になる。
例えば、溶出防止膜3aは、エポキシ樹脂で形成され得る。溶出防止膜3aの主成分はエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂の例としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズのシリコーン樹脂接着用のプライマであるME151を挙げることができる。ME151は、アルコールやトルエンでエポキシ樹脂を希釈した低粘度液体であるため、作業性に非常に優れたコーティングを実施することができる。コーティングの手法としては、例えば、ゴム部材2aの表面にME151をはけで塗布する手法が挙げられる。その他、ゴム部材2aをME151(液体)に浸漬して引き上げる手法が挙げられる。
その他、溶出防止膜3aは、エポキシシランカップリング剤で形成され得る。溶出防止膜3aの主成分はエポキシシランカップリング剤である。エポキシシランカップリング剤の例としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズのエポキシシラン系カップリング剤であるA−1871や信越化学工業株式会社のエポキシシラン系カップリング剤であるKBE−403などを挙げることができる。エポキシシランカップリング剤は、原液またはアルコールなどで希釈した溶液が低粘度液体であるため、作業性に非常に優れたコーティングを実施することができる。コーティングの手法としては、ゴム部材2aの表面にエポキシシランカップリング剤をはけで塗布する手法やゴム部材2aをエポキシシランカップリング剤(液体)に浸漬して引き上げる手法などが挙げられる。
その他、溶出防止膜3aは、ガラスコーティング剤で形成され得る。溶出防止膜3aの主成分はシリカガラスである。ガラスコーティング剤の例としては、株式会社第一のOlamZなどを挙げることができる。OlamZは低粘度液体であるため、作業性に非常に優れたコーティングを実施することができる。コーティングの手法としては、ゴム部材2aの表面にガラスコーティング剤をはけで塗布する手法やゴム部材2aをガラスコーティング剤(液体)に浸漬して引き上げる手法などが挙げられる。
その他、溶出防止膜3aは、フッ素ゴムコーティング剤で形成され得る。溶出防止膜3aの主成分はフッ素ゴムである。フッ素ゴムコーティング剤の例としては、ダイキン工業株式会社のダイエルラテックスなどを挙げることができる。専用プライマであるGLP−102NRをはけで塗布し、60℃〜80℃で10分間乾燥させる。その後ダイエルラテックスをはけで塗布し、150℃で30分間乾燥させることにより、溶出防止膜3aを形成することができる。ダイエルラテックスは低粘度液体であるため、作業性に非常に優れたコーティングを実施することができる。
後述する高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部の内周面には、環状の溝部が形成されている。蓋部20gはハウジング本体20eの内部に位置している。蓋部20hは蓋部20gに対向している。蓋部20gは、絶縁油7が出入りする開口部20kを有している。蓋部20hには、雰囲気としての空気が出入りする通気孔20mが形成されている。
ハウジング本体20eの上記溝部にはC形止め輪20jが嵌合されている。C形止め輪20jは、蓋部20hがゴム部材2bの周縁部(シール部)へ応力を加えている状態を保持している。ゴム部材2bのシール部はOリングのように形成されている。上記のことから、高電圧供給端子54が位置する側のハウジング本体20eの開口部は、蓋部20g、蓋部20h、C形止め輪20j及びゴム部材2bなどにより液密に閉塞されている。
図3は、図1に示したX線管装置10の一部を拡大して示す他の図であり、ハウジング本体20eと蓋部20gと蓋部20hとの間に設けられた被シール部1bがゴム部材2bの周縁部でシールされ、ゴム部材2bの表面に溶出防止膜3bが設けられている状態を示す図である。
図1及び図3に示すように、ハウジング20は、被シール部1bを有している。この実施形態において、被シール部1bは、ハウジング本体20eと蓋部20gと蓋部20hとの間に設けられている。被シール部1bは環状である。
ゴム部材2bのシール部は、被シール部1bを液密にシールしている。ゴム部材2bのシール部は、ハウジング本体20eと蓋部20gと蓋部20hとの間に設けられている。ゴム部材2bは、ハウジング20外部への絶縁油7の漏れを防止する機能を有している。なお、ゴム部材2bは絶縁油7の存在する空間に位置している。
この実施形態において、ゴム部材2bはゴムベローズ(ゴム膜)であり、絶縁油7に接している。ゴム部材2bは、ハウジング20内において、蓋部20g及び蓋部20hで囲まれた領域を、第1空間と、第2空間とに仕切っている。第1空間は、開口部20kと繋がった空間であり、絶縁油7が存在する空間である。第2空間は、通気孔20mと繋がった空間であり、外気が存在する空間である。ゴム部材2bは、絶縁油7の体積変化を吸収し、絶縁油7の圧力調整を行っている。
ゴム部材2bは硫黄加硫ゴムで形成されている。
ゴム部材2bは硫黄加硫ゴムで形成されている。
溶出防止膜(保護皮膜)3bは、絶縁油7に接する側のゴム部材2bの表面全体に設けられている。溶出防止膜3bは、ゴム部材2bのシール部の表面全体にも設けられているが、シール部の表面のうち少なくとも絶縁油7に接する恐れのある領域に設けられていればよい。溶出防止膜3bは、ゴム部材2bから絶縁油7中への硫黄の溶出を防止する。
溶出防止膜3bは基材に対する高い密着性を有し、溶出防止膜3bの膜厚は10μm以下と薄いため、基材の曲げ、変形に対してクラックや剥離を起こし難い。溶出防止膜3bを形成する際、ゴム部材2bの表面に塗料を塗布し、塗料を乾燥(自然乾燥)させることで溶出防止膜3bを形成することができる。塗料としては、エポキシ系の材料を利用することができる。
図4は、図1に示したX線管装置10の一部を拡大して示す他の図であり、ハウジング本体20eとX線放射窓20wとの間に設けられた被シール部1cがゴム部材2cでシールされ、ゴム部材2cの表面に溶出防止膜3cが設けられている状態を示す図である。
図1及び図4に示すように、ハウジング本体20eは、X線透過領域R1に対向したX線放射口20oを有している。X線放射口20oは、ハウジング本体20eの一部を貫通して形成されている。ハウジング20は、X線放射窓20wを有している。X線放射窓20wは、X線を透過しハウジング20外部に放射する。
なお、後述するX線遮蔽部520は、X線放射口20oにおけるハウジング20外部へのX線の放射を妨げることのないように設けられている。このため、X線遮蔽部520の一部は、X線放射口20oの側縁に設けられている。
X線放射窓20wは、ハウジング20の外側に位置している。X線放射窓20wは、機械的強度の高い材料を利用して形成することができる。この実施形態において、X線放射窓20wは、アルミニウムを利用して形成されているが、他の金属材料や樹脂などを利用して形成することも可能である。X線放射窓20wは凹型形状を有し、X線管30とX線放射窓20wとの間隔の低減を図っている。
X線放射窓20wに対向したハウジング本体20eの外壁には、取付け面が形成されている。X線放射口20oを囲むようにハウジング本体20eの取付け面には枠状の溝部が形成されている。X線放射窓20wは、上記取付け面に対向した状態で、上記取付け面に接触され、締め具としてのねじ20sによりハウジング本体20eに締め付けられている。ねじ20sは、X線放射窓20wに形成された貫通孔を通り、ハウジング本体20eに形成されたねじ穴に締め付けられている。X線放射窓20wはX線放射口20oを閉塞している。
ハウジング20は、被シール部1cを有している。この実施形態において、被シール部1cは、ハウジング本体20eとX線放射窓20wとの間に設けられている。被シール部1cは、枠状である。
ゴム部材2cは被シール部1cを液密にシールしている。この実施形態において、ゴム部材2cはOリングで形成されている。ゴム部材2cは、ハウジング本体20eの取付け面に形成された溝部に設けられている。ゴム部材2cは、ハウジング20外部への絶縁油7の漏れを防止する機能を有している。なお、絶縁油7は、ハウジング本体20eとX線放射窓20wとの間の隙間から被シール部1cに流出し得る。ゴム部材2cは絶縁油7の存在する空間に位置している。
ゴム部材2cは硫黄加硫ゴムで形成されている。
ゴム部材2cは硫黄加硫ゴムで形成されている。
溶出防止膜(保護皮膜)3cは、ゴム部材2cの表面に設けられ、絶縁油7に接している。この実施形態において、溶出防止膜3cは、ゴム部材2cの表面全体に設けられているが、ゴム部材2cの表面のうち少なくとも絶縁油7に接する恐れのある領域に設けられていればよい。溶出防止膜3cは、ゴム部材2cから絶縁油7中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。
溶出防止膜3cは基材に対する高い密着性を有し、溶出防止膜3cの膜厚は10μm以下と薄い。このため、溶出防止膜3cがゴム部材2cの機械的特性に悪影響を及ぼすことはない。例えば、ゴム部材2cは溶出防止膜3cとともに、ハウジング20外部への絶縁油7の漏れを防止する機能を保持することができる。
溶出防止膜3cを形成する際、ゴム部材2cの表面に塗料を塗布し、塗料を乾燥(自然乾燥又は加熱乾燥)させることで溶出防止膜3cを形成することができる。塗料としては、エポキシ系の材料を利用することができる。
図5は、図1に示したX線管30を示す断面図である。
図1及び図5に示すように、X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、真空容器32を有している。真空容器32は、例えば、ガラス、又は銅、ステンレス及びアルミニウム等の金属で形成されている。この実施形態において、真空容器32はガラスで形成されている。なお、真空容器32を金属で形成する場合、真空容器32は、X線透過領域R1に対向した開口を有している。そして、真空容器32の開口は、X線を透過する材料としてのベリリウムで形成されたX線透過窓で気密に閉塞されている。真空外囲器31の一部は、高電圧絶縁部材50で形成されている。本実施形態において、高電圧絶縁部材50は、電気絶縁性のセラミクスで形成されている。
図1及び図5に示すように、X線管30は、真空外囲器31を備えている。真空外囲器31は、真空容器32を有している。真空容器32は、例えば、ガラス、又は銅、ステンレス及びアルミニウム等の金属で形成されている。この実施形態において、真空容器32はガラスで形成されている。なお、真空容器32を金属で形成する場合、真空容器32は、X線透過領域R1に対向した開口を有している。そして、真空容器32の開口は、X線を透過する材料としてのベリリウムで形成されたX線透過窓で気密に閉塞されている。真空外囲器31の一部は、高電圧絶縁部材50で形成されている。本実施形態において、高電圧絶縁部材50は、電気絶縁性のセラミクスで形成されている。
X線管30は、陽極ターゲット35及び陰極36を有している。
陽極ターゲット35は、真空外囲器31内に設けられている。陽極ターゲット35は、円盤状に形成されている。陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられた傘状のターゲット層35aを有している。ターゲット層35aは、陰極36から照射される電子が衝突されることによりX線を放出する。陽極ターゲット35は、モリブデンなどの金属で形成されている。
陽極ターゲット35は、真空外囲器31内に設けられている。陽極ターゲット35は、円盤状に形成されている。陽極ターゲット35は、この陽極ターゲットの外面の一部に設けられた傘状のターゲット層35aを有している。ターゲット層35aは、陰極36から照射される電子が衝突されることによりX線を放出する。陽極ターゲット35は、モリブデンなどの金属で形成されている。
陽極ターゲット35の外側面や、陽極ターゲット35でのターゲット層35aとは反対側の表面には、黒色化処理が施されている。ターゲット層35aは、モリブデン、モリブデン合金、タングステン合金等の金属で形成されている。陽極ターゲット35は、管軸を中心に回転自在である。このため、陽極ターゲット35の軸線は、管軸と平行である。
陰極36は、真空外囲器31内に設けられている。陰極36は、陽極ターゲット35に照射する電子を放出する。陰極36には相対的に負の電圧が印加される。低膨張合金であるKOV部材55は、真空外囲器31内で高電圧供給端子54を覆っている。ここでは、高電圧供給端子54と高電圧絶縁部材50の間と、KOV部材55と高電圧絶縁部材50の間は、それぞれろう付けされている。KOV部材55には、陰極支持部材37が取付けられている。陰極36は、陰極支持部材37に取付けられている。
高電圧供給端子54は、陰極支持部材37の内部を通って陰極36に接続されている。高電圧供給端子54は、陰極36に相対的に負の電圧を印加するともに陰極36の図示しないフィラメント(電子放出源)にフィラメント電流を供給するものである。
X線管30は、固定軸11、回転体12、軸受け13及びロータ14を備えている。固定軸11は、円柱状に形成されている。固定軸11の外周の一部には突出部が形成され、突出部は真空外囲器31に気密に取付けられている。固定軸11には、高電圧供給端子44が電気的に接続されている。固定軸11は回転体12を回転可能に支持する。回転体12は、筒状に形成され、固定軸11と同軸的に設けられている。回転体12の外面にロータ14が取り付けられている。回転体12には、陽極ターゲット35が取付けられている。軸受け13は、固定軸11と回転体12の間に形成されている。回転体12は、陽極ターゲット35とともに回転可能に設けられている。高電圧供給端子44は、固定軸11、軸受け13及び回転体12を介して陽極ターゲット35に相対的に正の電圧を印加する。この実施形態において、高電圧供給端子44及び高電圧供給端子54は、金属端子である。
X線管30の固定軸11は高電圧絶縁部材6にも固定されている。高電圧絶縁部材6はハウジング20に、直接又はステータコイル9などを介して間接的に固定されている。高電圧絶縁部材6は、一端が円錐形をし、他端が閉塞した管状に形成されている。高電圧絶縁部材6は、固定軸11と、ハウジング20及びステータコイル9との間を電気的に絶縁するものである。
図1に示すように、X線管装置10は、X線遮蔽部510、520、530をさらに備えている。X線遮蔽部510は、管軸に沿った方向にターゲット層35aと対向したハウジング20の一端側に設けられている。X線遮蔽部510は、ターゲット層35aから放射されるX線を遮蔽するものである。X線遮蔽部510は、X線不透過材を含む材料で形成されている。X線遮蔽部510は、第1遮蔽部511及び第2遮蔽部512を有している。
第1遮蔽部511は、管軸に沿った方向にターゲット層35aと対向した側の蓋部20gに貼り付けられている。第1遮蔽部511は、蓋部20g全体を覆っている。第1遮蔽部511は、開口部20kと対向した個所が開口して形成され、開口部20kによる絶縁油7の出入りを維持している。第2遮蔽部512は、第1遮蔽部511上に設けられている。第2遮蔽部512は、開口部20k付近からハウジング20の外部に出射する恐れのあるX線を遮蔽するものである。
X線遮蔽部520はX線不透過材を含む材料で円筒状に形成されている。X線遮蔽部520の一端部は、第1遮蔽部511に近接している。このため、X線遮蔽部510及びX線遮蔽部520間の隙間から出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
X線遮蔽部520は、管軸に沿って第1遮蔽部511から陽極ターゲット35(ターゲット層35aの表面の延長線上)を越える位置まで延出している。この実施形態において、X線遮蔽部520は、第1遮蔽部511からステータコイル9の手前まで延出している。X線遮蔽部520は、必要に応じてハウジング20に固定されている。ここでは、X線遮蔽部520は、ハウジング本体20eの内壁に形成された突出部に固定されている。なお、上記突出部は、X線遮蔽部520の位置決めにも利用されている。
X線遮蔽部530はX線不透過材を含む材料で円筒状に形成されている。X線遮蔽部530は、ハウジング20の筒部20r内に設けられている。X線遮蔽部530の一端部は、X線遮蔽部520に近接している。X線遮蔽部530は、必要に応じて筒部20rに固定されている。ここでは、X線遮蔽部530は、筒部20rの内壁に形成された突出部に固定されている。なお、上記突出部は、X線遮蔽部530の位置決めにも利用されている。このため、筒部20rから出射する恐れのあるX線を遮蔽することができる。
なお、この実施形態において、X線遮蔽部510、520、530は鉛で形成されている。
なお、この実施形態において、X線遮蔽部510、520、530は鉛で形成されている。
X線管30とハウジング20との間に保持部材8、及びゴム部材2d、2eが設けられている。X線管装置10は、複数のゴム部材2d、2eを有している。この実施形態において、X線管装置10は、3個のゴム部材2dと3個のゴム部材2eとを有している。ゴム部材2dは等間隔に位置し、ゴム部材2eも等間隔に位置している。
保持部材8は、環状に形成され、X線管30及びハウジング20にそれぞれ離間して位置している。保持部材8は、機械的強度の高い材料として例えば金属で形成されている。
保持部材8は、環状に形成され、X線管30及びハウジング20にそれぞれ離間して位置している。保持部材8は、機械的強度の高い材料として例えば金属で形成されている。
ゴム部材2dは、保持部材8に取付けられ、ハウジング20の内壁に接触している。この実施形態において、ゴム部材2dはX線遮蔽部520に接触している。ゴム部材2eは、保持部材8に取付けられ、X線管30(真空外囲器31)の外面に接触している。保持部材8及びゴム部材2d、2eは、管軸に直交した方向におけるハウジング20に対するX線管30の位置ずれを防止している。ゴム部材2d、2eは、X線管30に生じる振動のハウジング20への伝達量を軽減する。ゴム部材2d、2eは絶縁油7の存在する空間に位置している。
ゴム部材2d、2eはそれぞれ硫黄加硫ゴムで形成されている。
ゴム部材2d、2eはそれぞれ硫黄加硫ゴムで形成されている。
溶出防止膜(保護皮膜)3dは、ゴム部材2dの表面全体に設けられている。溶出防止膜3dは、ゴム部材2dから絶縁油7中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。溶出防止膜(保護皮膜)3eは、ゴム部材2eの表面全体に設けられている。溶出防止膜3eは、ゴム部材2eから絶縁油7中への硫黄の溶出を防止する。
溶出防止膜3d、3eは基材に対する高い密着性を有し、溶出防止膜3d、3eの膜厚は10μm以下と薄いため、基材の曲げ、変形に対してクラックや剥離を起こし難い。溶出防止膜3dを形成する際、ゴム部材2dの表面に塗料を塗布し、塗料を乾燥(自然乾燥又は加熱乾燥)させることで溶出防止膜3dを形成することができる。溶出防止膜3eを形成する際、ゴム部材2eの表面に塗料を塗布し、塗料を乾燥(自然乾燥又は加熱乾燥)させることで溶出防止膜3eを形成することができる。塗料としては、エポキシ系の材料を利用することができる。
ステータコイル9は、複数個所でハウジング20に固定されている。ステータコイル9は、高電圧絶縁部材6に対してX線管30の反対側に位置している。ステータコイル9は、ロータ14の外面に対向して真空外囲器31の外側を囲んでいる。
ステータコイル9は、ロータ14、回転体12及び陽極ターゲット35を回転させるものである。ステータコイル9に所定の電流が供給されることでロータ14に与える磁界を発生するため、陽極ターゲット35などが所定の速度で回転される。
絶縁油7は、X線管30が発生する熱の少なくとも一部を吸収するものである。
絶縁油7は、X線管30が発生する熱の少なくとも一部を吸収するものである。
X線管装置10は、陽極用のリセプタクル300及び陰極用のリセプタクル400を有している。リセプタクル300は、ハウジング20の筒部20qの内部に位置し、筒部20qに取付けられている。リセプタクル400は、ハウジング20の筒部20rの内部に位置し、筒部20rに取付けられている。
リセプタクル300は、電気絶縁部材としてのハウジング301と、高電圧供給端子としての端子302とを有している。
ハウジング301は、筒部20q(ハウジング20)の外側に開口した桶状に形成されている。ハウジング301は、ほぼ軸対称なコップ形状であると言うことができる。また、ハウジング301のプラグ差込口がハウジング20の外側に開口していると言うことができる。
ハウジング301は、筒部20q(ハウジング20)の外側に開口した桶状に形成されている。ハウジング301は、ほぼ軸対称なコップ形状であると言うことができる。また、ハウジング301のプラグ差込口がハウジング20の外側に開口していると言うことができる。
ハウジング301の開口側の端部において、ハウジング301の外面には、環状の突出部が形成されている。ハウジング301は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子302は、ハウジング301の底部に液密に取付けられ、上記底部を貫通している。端子302は高電圧配線を介して高電圧供給端子44と接続されている。
筒部20qの段差部には、雌ねじの加工がなされている。リングナット310は、側面に雄ねじの加工がなされている。リングナット310は、筒部20qの段差部に締め付けられ、ハウジング301を押圧している。
リセプタクル300及びリセプタクル300に挿入される図示しないプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル300に連結した状態で、プラグから端子302に高電圧(例えば、+70〜+80kV)が供給される。
リセプタクル400は、リセプタクル300と同様に形成されている。
リセプタクル400は、電気絶縁部材としてのハウジング401と、高電圧供給端子としての端子402とを有している。
リセプタクル400は、電気絶縁部材としてのハウジング401と、高電圧供給端子としての端子402とを有している。
ハウジング401は、筒部20r(ハウジング20)の外側に開口した桶状に形成されている。ハウジング401は、ほぼ軸対称なコップ形状であると言うことができる。また、ハウジング401のプラグ差込口がハウジング20の外側に開口していると言うことができる。
ハウジング401の開口側の端部において、ハウジング401の外面には、環状の突出部が形成されている。ハウジング401は、絶縁性の材料として、例えば樹脂で形成されている。端子402は、ハウジング401の底部に液密に取付けられ、上記底部を貫通している。端子402は高電圧配線を介して高電圧供給端子54と接続されている。
筒部20rの段差部には、雌ねじの加工がなされている。リングナット410は、側面に雄ねじの加工がなされている。リングナット410は、筒部20rの段差部に締め付けられ、ハウジング401を押圧している。
リセプタクル400及びリセプタクル400に挿入される図示しないプラグは、非面圧式であり、着脱可能に形成されている。プラグをリセプタクル400に連結した状態で、プラグから端子402に高電圧(例えば、−70〜−80kV)が供給される。
図6は、図1に示したX線管装置10の一部を拡大して示す他の図であり、筒部20qとリセプタクル300との間に設けられた被シール部1fがゴム部材2fでシールされ、ゴム部材2fの表面に溶出防止膜3fが設けられている状態を示す図である。
図1及び図6に示すように、被シール部1fは、筒部20qとリセプタクル300との間に設けられている。被シール部1fは、枠状である。ゴム部材2fは被シール部1fを液密にシールしている。この実施形態において、ゴム部材2fはOリングで形成されている。ゴム部材2fは、ハウジング20外部への絶縁油7の漏れを防止する機能を有している。なお、絶縁油7は、ハウジング301と筒部20qとの間の隙間から被シール部1fに流出し得る。ゴム部材2fは絶縁油7の存在する空間に位置している。
ゴム部材2fは硫黄加硫ゴムで形成されている。
ゴム部材2fは硫黄加硫ゴムで形成されている。
溶出防止膜(保護皮膜)3fは、ゴム部材2fの表面に設けられ、絶縁油7に接している。この実施形態において、溶出防止膜3fは、ゴム部材2fの表面全体に設けられているが、ゴム部材2fの表面のうち少なくとも絶縁油7に接する恐れのある領域に設けられていればよい。溶出防止膜3fは、ゴム部材2fから絶縁油7中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止する。
溶出防止膜3fは基材に対する高い密着性を有し、溶出防止膜3fの膜厚は10μm以下と薄い。このため、溶出防止膜3fがゴム部材2fの機械的特性に悪影響を及ぼすことはない。例えば、ゴム部材2fは溶出防止膜3fとともに、ハウジング20外部への絶縁油7の漏れを防止する機能を保持することができる。
溶出防止膜3fを形成する際、ゴム部材2fの表面に塗料を塗布し、塗料を乾燥(自然乾燥又は加熱乾燥)させることで溶出防止膜3fを形成することができる。塗料としては、エポキシ系の材料を利用することができる。
なお、ゴム部材2gは、ゴム部材2fと同様に硫黄加硫ゴムで形成されている。ゴム部材2gは、筒部20rとリセプタクル400との間に設けられた被シール部を液密にシールしている。ゴム部材2gの表面には、エポキシ系の材料を利用した溶出防止膜が設けられている。
上記のように本実施形態に係るX線管装置が形成されている。
このように構成されたX線管装置では、ステータコイル9に所定の電流を印加することでロータ14が回転し、陽極ターゲット35が回転する。次に、リセプタクル300、400に所定の高電圧を印加する。
リセプタクル300に印加された高電圧は、高電圧供給端子44、固定軸11、軸受け13及び回転体12を介して陽極ターゲット35に供給される。リセプタクル400に印加された高電圧は、高電圧供給端子54を介して陰極36に供給される。
これにより、陰極36から放出された電子は陽極ターゲット35のターゲット層35aに衝突し、陽極ターゲット35からX線が放射される。X線は、真空容器32(又はX線透過窓)及びX線放射窓20wを通ってハウジング20の外部へ放射される。
上記のように構成された第1の実施形態に係るX線管装置10によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、絶縁油7と、絶縁油7に接する鉛部材と、ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gと、溶出防止膜3a、3b、3c、3d、3e、3fと、を備えている。鉛部材としては、X線遮蔽部510、520などを挙げることができる。
ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gは、硫黄加硫ゴムで形成され、絶縁油7の存在する空間に位置している。しかしながら、この実施形態において、上記ゴム部材の表面に、溶出防止膜3a、3b、3c、3d、3e、3fが設けられている。溶出防止膜はゴム部材の表面に比較的短時間で設けることができ、溶出防止膜を設けてもゴム部材(硫黄加硫ゴム)の一般的な性状にほとんど影響を及ぼすことはない。
絶縁油7中に溶け出す未反応の遊離硫黄や硫黄化合物の量が多いゴム部材(硫黄加硫ゴム)を使用する場合であっても、溶出防止膜により、ゴム部材から絶縁油中7への硫黄の溶出を防止することができる。これにより、絶縁油7に接する(浸る)鉛部材の腐食を防止することができる。絶縁油7中に鉛を主成分の1つとする浮遊異物が生成されたり、鉛を主成分の1つとする堆積物が金属部材に形成されたりすることを防止できる。このため、X線画像へのアーチファクトの発生や、利用X線の透過度の低下を防止することができる。
上記効果は、鉛部材の表面への保護皮膜の形成無しに得ることができるため、製造コストの高騰を抑制することができ、鉛部材の腐食をより安定して防止することができる。
上記のことから、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
上記のことから、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
次に、第2の実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。この実施形態において、上述した第1の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図7は、第2の実施形態に係るX線管装置を概略的に示す断面図である。
図7に示すように、ゴム部材2aは、石油系ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成されている。ゴム部材2aは絶縁油7に接している。この実施形態において、ゴム部材2aの表面に溶出防止膜3a(図2)は設けられていない。
石油系ワックスとしては、天然の石油系ワックス、天然の石油系ワックスの加工ワックス若しくは変性ワックス、又は石油系合成ワックスを挙げることができる。硫黄加硫ゴムに添加されたワックスが石油系ワックスである場合に、ゴム部材2aから絶縁油7中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止することができる。これは、石油系ワックスが未反応の硫黄や硫黄化合物が絶縁油7に溶け出すことを防止するバリア機能を有するためと推測される。また、石油系ワックスが非極性であることと関係があると推測される。例えば、精工化学株式会社のサンタイト、サンタイトRや、川口化学工業株式会社のオゾガードGなどの石油系ワックスを利用することができる。
また、ゴム部材2aが天然の石油系ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成されている場合、天然の石油系ワックスを、例えばマイクロクリスタリンワックスで形成することができる。
ゴム部材2aが石油系合成ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成されている場合、石油系合成ワックスを、例えばポリプロピレンワックス又はポリエチレンワックスで形成することができる。
天然の石油系ワックスの加工ワックス若しくは変性ワックスとしては、原料となる天然の石油系ワックスを薬品や空気中の酸素で酸化させた酸化ワックスや、天然の石油系ワックスを原料として化学的・物理的手段で加工若しくは変性させたものを挙げることができる。
上記石油系ワックスは、常温及び使用時の温度で固体であるため、ワックスが液体となってゴム部材2aから絶縁油7中に溶け出す恐れは少ない。ゴム部材2a(絶縁油7に接するゴム部材)の温度は、使用時に75℃を超えることは殆どない。このため、ゴム部材2aは、75℃以上の融点を有していると好ましい。
その他のゴム部材2b、ゴム部材2c(図4)、ゴム部材2d、ゴム部材2e、ゴム部材2f、ゴム部材2gも、石油系ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成されている。ゴム部材2b、2c、2d、2e、2f、2gは絶縁油7に接している。この実施形態において、ゴム部材2b、2c、2d、2e、2f、2gの表面に溶出防止膜は設けられていない。
上記のように構成された第2の実施形態に係るX線管装置10によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、絶縁油7と、絶縁油7に接する鉛部材と、ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gと、を備えている。鉛部材としては、X線遮蔽部510、520などを挙げることができる。
ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gは、石油系ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成され、絶縁油7に接している(浸っている)。ゴム部材には石油系ワックスが添加されているため、ゴム部材から絶縁油中7への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止することができる。これにより、絶縁油7に接する(浸る)鉛部材の腐食を防止することができる。絶縁油7中に鉛を主成分の1つとする浮遊異物が生成されたり、鉛を主成分の1つとする堆積物が金属部材に形成されたりすることを防止できる。このため、X線画像へのアーチファクトの発生や、利用X線の透過度の低下を防止することができる。
上記効果は、鉛部材の表面への保護皮膜の形成無しに得ることができるため、製造コストの高騰を抑制することができ、鉛部材の腐食をより安定して防止することができる。
上記のことから、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
上記のことから、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
次に、第3の実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。この実施形態において、上述した第2の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ゴム部材2aは、耐オゾン老化防止剤を含有した硫黄加硫ゴムで形成されている。ゴム部材2aは絶縁油7に接している。この実施形態において、ゴム部材2aの表面に溶出防止膜3a(図2)は設けられていない。
硫黄加硫ゴムに耐オゾン老化防止剤が添加されている場合に、ゴム部材2aから絶縁油7中への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止することができる。これは、耐オゾン老化防止剤が未反応の硫黄や硫黄化合物が絶縁油7に溶け出すことを防止するバリア機能を有するためと推測される。例えば、精工化学株式会社のオゾノン3C、オゾノンEX、オゾノンEX−SKや、川口化学工業株式会社のアンテージ3C、アンテージAW、アンテージNBCなどの耐オゾン老化防止剤を利用することができる。
上記耐オゾン老化防止剤は、常温及び使用時の温度で固体であるため、耐オゾン老化防止剤が液体となってゴム部材2aから絶縁油7中に溶け出す恐れは少ない。ゴム部材2a(絶縁油7に接するゴム部材)の温度は、使用時に75℃を超えることは殆どない。このため、ゴム部材2aは、75℃以上の融点を有していると好ましい。
その他のゴム部材2b、ゴム部材2c(図4)、ゴム部材2d、ゴム部材2e、ゴム部材2f、ゴム部材2gも、耐オゾン老化防止剤を含有した硫黄加硫ゴムで形成されている。ゴム部材2b、2c、2d、2e、2f、2gは絶縁油7に接している。この実施形態において、ゴム部材2b、2c、2d、2e、2f、2gの表面に溶出防止膜は設けられていない。
上記のように構成された第3の実施形態に係るX線管装置10によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、絶縁油7と、絶縁油7に接する鉛部材と、ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gと、を備えている。鉛部材としては、X線遮蔽部510、520などを挙げることができる。
ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gは、耐オゾン老化防止剤を含有した硫黄加硫ゴムで形成され、絶縁油7に接している(浸っている)。ゴム部材には耐オゾン老化防止剤が添加されているため、ゴム部材から絶縁油中7への硫黄や硫黄化合物の溶出を防止することができる。これにより、絶縁油7に接する(浸る)鉛部材の腐食を防止することができる。絶縁油7中に鉛を主成分の1つとする浮遊異物が生成されたり、鉛を主成分の1つとする堆積物が金属部材に形成されたりすることを防止できる。このため、X線画像へのアーチファクトの発生や、利用X線の透過度の低下を防止することができる。
上記効果は、鉛部材の表面への保護皮膜の形成無しに得ることができるため、製造コストの高騰を抑制することができ、鉛部材の腐食をより安定して防止することができる。
上記のことから、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
上記のことから、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を低コストで低減することができ、長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
次に、第4の実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。この実施形態において、上述した第2の実施形態と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gは、硫黄加硫以外の方法で架橋したゴムで形成されている。ゴム部材は、絶縁油7に接するため耐油性が必要である。このため、ゴム部材は、例えば、フッ素ゴム(FKM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、及びウレタンゴムの何れか1つを架橋する前の生ゴムに利用することが好ましい。
硫黄加硫以外の架橋方法としては、例えば、有機過酸化物を使用した架橋方法A、キノイドを使用した架橋方法B、フェノール樹脂を使用した架橋方法C、アミンを使用した架橋方法D、金属酸化物を使用した架橋方法E、トリアジンチオールを使用した架橋方法F、及びポリオールを使用した架橋方法Gの少なくとも1つを利用することができる。
ここで、生ゴムと架橋方法の好ましい組合せの例をいくつか例示的に列挙する。
・生ゴムにFKMを利用する場合、架橋方法A、架橋方法D及び架橋方法Gの何れかを利用することが好ましい。
・生ゴムにFKMを利用する場合、架橋方法A、架橋方法D及び架橋方法Gの何れかを利用することが好ましい。
・生ゴムにNBRを利用する場合、架橋方法A、架橋方法B及び架橋方法Cの何れかを利用することが好ましい。
・生ゴムにHNBRを利用する場合、架橋方法A、架橋方法B及び架橋方法Cの何れかを利用することが好ましい。
・生ゴムにACMを利用する場合、架橋方法A、架橋方法D及び架橋方法Fの何れかを利用することが好ましい。
・生ゴムにエピクロルヒドリンゴム(ECO)を利用する場合、架橋方法A、架橋方法D及び架橋方法Fを利用することが好ましい。
・生ゴムにウレタンゴム(AU/EU)を利用する場合、架橋方法Aを利用することが好ましい。
上記のように構成された第4の実施形態に係るX線管装置10によれば、X線管装置10は、X線管30と、ハウジング20と、絶縁油7と、絶縁油7に接する鉛部材と、ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gと、を備えている。鉛部材としては、X線遮蔽部510、520などを挙げることができる。
ゴム部材2a、2b、2c、2d、2e、2f、2gは、硫黄架橋以外の方法で架橋されたゴムで形成され、絶縁油7に接している(浸っている)。硫黄元素を含有せずにゴム部材を形成することができるため、絶縁油7に接する(浸る)鉛部材の腐食を防止することができる。絶縁油7中に鉛を主成分の1つとする浮遊異物が生成されたり、鉛を主成分の1つとする堆積物が金属部材に形成されたりすることを防止できる。このため、X線画像へのアーチファクトの発生や、利用X線の透過度の低下を防止することができる。
上記効果は、鉛部材の表面への保護皮膜の形成無しに得ることができるため、製造コストの高騰を抑制することができ、鉛部材の腐食をより安定して防止することができる。
上述したように、上記対策4を採ることにより、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を上記第1乃至第3の実施形態より低コストで低減することができ、上記第1乃至第3の実施形態より長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
上述したように、上記対策4を採ることにより、絶縁油7に接する鉛部材の腐食を上記第1乃至第3の実施形態より低コストで低減することができ、上記第1乃至第3の実施形態より長期にわたって高い信頼性を維持することができるX線管装置10を得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記対策1、2、3の中から、複数の対策を同時に実施しても、上述した効果を得ることができる。
また、ゴム部材は、上述した例に限定されるものではない。絶縁油7に接する各種のゴム部材が上記対策1、2、3、4の何れかを採ることにより、上述した効果を得ることができる。
本発明の実施形態は、上述したX線管装置10に限定されるものではなく、固定陽極型のX線管装置など、各種のX線管装置に適用可能である。
2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g…ゴム部材、3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g…溶出防止膜、7…絶縁油、10…X線管装置、20…ハウジング、20e…ハウジング本体、20f,20g,20h…蓋部、20w…X線放射窓、20r…筒部、20q…筒部、30…X線管、300,400…リセプタクル、510,520,530…X線遮蔽部。
Claims (14)
- X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油の存在する空間に位置したゴム部材と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
前記ゴム部材の表面に設けられ、前記絶縁油に接し、前記ゴム部材から前記絶縁油中への硫黄の溶出を防止する溶出防止膜と、を備えていることを特徴とするX線管装置。 - 前記溶出防止膜は、エポキシ樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
- 前記溶出防止膜は、エポキシシランカップリング剤で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
- 前記溶出防止膜は、ガラスコーティング剤で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
- 前記溶出防止膜は、フッ素ゴムで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線管装置。
- X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
天然の石油系ワックス、天然の石油系ワックスの加工ワックス若しくは変性ワックス、又は石油系合成ワックスを含有した硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴とするX線管装置。 - 前記ゴム部材は、前記天然の石油系ワックスを含有した前記硫黄加硫ゴムで形成され、
前記天然の石油系ワックスは、マイクロクリスタリンワックスで形成され、75℃以上の融点を有していることを特徴とする請求項6に記載のX線管装置。 - 前記ゴム部材は、前記石油系合成ワックスを含有した前記硫黄加硫ゴムで形成され、
前記石油系合成ワックスは、ポリプロピレンワックス又はポリエチレンワックスで形成され、75℃以上の融点を有していることを特徴とする請求項6に記載のX線管装置。 - X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
耐オゾン老化防止剤を含有した硫黄加硫ゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴とするX線管装置。 - X線を放射するX線管と、
前記X線管を収容するハウジングと、
前記X線管と前記ハウジングとの間の空間に充填される絶縁油と、
該絶縁油の存在する空間に位置した鉛部材と、
有機過酸化物架橋、キノイド架橋、フェノール樹脂架橋、アミン架橋、金属酸化物架橋、トリアジンチオール架橋、ポリオール架橋のうち少なくとも一つで架橋されたゴムで形成され、前記絶縁油に接したゴム部材と、を備えていることを特徴とするX線管装置。 - 前記ゴム部材は、フッ素ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、及びウレタンゴムの何れか1つを生ゴムに利用していることを特徴とする請求項10に記載のX線管装置。
- 前記ハウジングは、開口部が形成されたハウジング本体と、前記開口部に位置した蓋部と、前記開口部及び蓋部の間に設けられた被シール部と、を有し、
前記ゴム部材は、前記被シール部を液密にシールすることを特徴とする請求項1、6、9及び10の何れか1項に記載のX線管装置。 - 前記ゴム部材は、前記絶縁油が存在する第1空間と外気が存在する第2空間とに仕切り、前記絶縁油の体積変化を吸収することを特徴とする請求項1、6、9及び10の何れか1項に記載のX線管装置。
- 前記ゴム部材は、前記X線管と前記ハウジングとの間に設けられ、前記X線管に生じる振動の前記ハウジングへの伝達量を軽減することを特徴とする請求項1、6、9及び10の何れか1項に記載のX線管装置。
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CN112103159A (zh) * | 2019-06-17 | 2020-12-18 | 通用电气精准医疗有限责任公司 | 带有整体式热交换器的x射线管壳体 |
-
2012
- 2012-06-07 JP JP2012129758A patent/JP2013254652A/ja active Pending
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