JP2013252219A - 弾球遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作線付き遊技球による不正行為を規制することが可能な弾球遊技機の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の弾球遊技機10は、発射球供給装置40における発射球供給孔45の近傍に配置されると共に、1対の刃部84A,84Bを略V字形に配置してなる切込部84を有し、不正用の操作線付き遊技球B1の操作線W1が発射球供給孔45に通された状態で、発射装置60にて発射された場合に、操作線W1が切込部84の奥部に向かって進入して、1対の刃部84A,84Bにて切断されるか又は1対の刃部に食い込まれて捕捉されるようにした不正防止部材80を備えている。不正防止部材80は、1枚の板金90を第1の折り曲げ線L1で折り曲げて形成されると共に、その第1の折り曲げ線L1の両側に位置する第1平板部93と第2平板部94のエッジ同士が、1対の刃部84A,84Bとして略V字形に配置されて切込部84が形成されている。
【選択図】図18

Description

本発明は、弾球遊技機に関する。
従来の弾球遊技機として、発射装置によって遊技領域に打ち込まれた遊技球が遊技領域を流下する途中で入賞口に入賞することで遊技者に利益を付与するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−89902号公報(段落[0042]〜[0050])
ところで近年、遊技球に糸やピアノ線等の操作線を取り付けた操作線付き遊技球を、正規の遊技球と同様に発射装置によって遊技領域に打ち込み、遊技機の外側から遊技領域内の操作線付き遊技球を操って不正に利益を得ようとする不正行為が頻発している。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、操作線付き遊技球による不正行為を規制することが可能な弾球遊技機の提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る弾球遊技機は、発射球貯留部に貯留された遊技球を、発射装置にて遊技領域に発射して遊技を行う弾球遊技機であって、遊技球が1球ずつ通過可能な発射球供給孔を有し、発射球貯留部から取り込んだ遊技球を、発射装置が遊技球を発射する度に発射球供給孔を通して1つずつ発射装置に供給する発射球供給装置と、発射球供給孔又はその近傍に配置されると共に、1対の刃部を略V字形に配置してなる切込部を有し、不正用の操作線付き遊技球の操作線が発射球供給孔に通された状態で、その操作線付き遊技球が発射装置にて発射された場合に、操作線が切込部の奥部に向かって進入して、1対の刃部にて切断されるか又は1対の刃部に食い込まれて捕捉されるようにした不正防止部材とを備え、不正防止部材は、1枚の板部材を折り曲げ部で折り曲げて形成されると共に、その折り曲げ部の両側に位置する1対の板片のエッジ同士が、1対の刃部として略V字形に配置されて切込部が形成されているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の弾球遊技機において、板部材のうち前記折り曲げ部の両側に位置する1対の板片同士が一部で重なり合うと共に、それら1対の板片のうち互いに重なり合っていない部分のエッジ同士が、1対の板片の重ね合わせ面と同一平面内で略V字形に配置されて切込部が形成されているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項2に記載の弾球遊技機において、不正防止部材のうち切込部の側方位置には、操作線付き遊技球が発射されたときに操作線が摺接して、その操作線を切込部に誘導する導入部が設けられたところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の弾球遊技機において、不正防止部材は、折り曲げ部が発射球供給装置のうち発射球供給孔を備えた第1外面に形成された溝部に挿し込まれた状態で、発射球供給装置に取り付けられたところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項4に記載の弾球遊技機において、不正防止部材は、主板部から側板部を折り曲げた構造をなすと共に、主板部が1対の板片同士を折り重ねた構成をなし、主板部のうち側板部から離れた端部に折り曲げ部が配置されて、その折り曲げ部が溝部に挿し込まれた状態で、側板部が発射球供給装置に取り付けられたところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機において、板部材は、切込部を構成するために折り曲げ部で折り曲げられる帯板部を備えると共に、帯板部の幅方向の一側縁部に開放した切り欠き部が形成され、切込部は、帯板部のうち切り欠き部より先端側の平板部を切り欠き部側に折り曲げ、その折り曲げられた平板部のエッジと切り欠き部のエッジとを略V字形に配置して形成されたところに特徴を有する。
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機において、発射球供給装置の後側に発射装置が配置され、発射球供給装置のうち発射装置側に不正防止部材が取り付けられたところに特徴を有する。
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機において、切込部は、遊技球の発射方向の前方に向かうに従って徐々に幅狭になるように形成されているところに特徴を有する。
[請求項1及び2の発明]
請求項1の発明によれば、操作線付き遊技球が発射球供給孔を通って発射装置に供給され、発射装置によって発射された場合に、発射球供給孔又はその近傍に配置された不正防止部材の切込部に操作線を進入させて、その切込部における刃部にて操作線を切断するか又は捕捉することができる。これにより、操作線付き遊技球によって不正に利益を得るという不正行為を規制することが可能となる。
また、本発明によれば、1枚の板部材を折り曲げ部で折り曲げることで、操作線を切断又は捕捉することが可能な略V字形の切込部が形成されているから、不正防止部材を比較的容易に製造することが可能となる。
ここで、本発明に係る切込部は、板部材を折り曲げ部でV字形に折り曲げて、折り曲げ部の両側の板片のエッジを刃部として備えた構成にしてもよいが、請求項2の発明のように、板部材のうち折り曲げ部の両側に位置する1対の板片同士の一部を重ね合わせると共に、重なり合っていない部分のエッジ同士を1対の板片の重ね合わせ面と同一平面内で略V字形に配置して切込部を形成すると、より効果的である。
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、発射装置から発射された操作線付き遊技球の軌道が多少ばらついたとしても、操作線を確実に切込部に誘導することが可能となる。
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、不正防止部材のうち折り曲げ部が溝部に挿し込まれているから、折り曲げ部が拡開変形して操作線を切断又は捕捉する性能が低下することを防止することが可能となる。
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、不正防止部材の主板部のうち、側板部から離れた側の端部を発射球供給装置の第1外面に形成された溝部に挿し込んで、不正防止部材を発射球供給装置の第1外面に仮止めした状態で、側板部を発射球供給装置に取り付けることが可能となる。また、不正防止部材の主板部と側板部をそれぞれ、発射球供給装置に固定することができるから、不正防止部材のぐらつきを防止することが可能となる。
また、例えば、主板部のうち側板部から離れた端部を溝部に挿し込むのではなく、発射球供給装置の第1外面に突き当てた構成とした場合、主板部の端部と発射球供給装置の第1外面との間に操作線が入り込んで、切込部による操作線の切断又は捕捉を回避されてしまうという不具合が生じ得る。このような不具合を防止するには、主板部の端部を第1外面にぴったりと突き当てる必要があり、高度な部品精度や組み付け精度が要求される。これに対し、本発明によれば、主板部の端部が第1外面の溝部に挿し込まれているから、さほど高い精度を必要とせずに、上記した不具合を防止することが可能となる。
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、切込部を形成するには、板部材の帯板部のうち、切り込み部の奥側に残された幅狭な部分を折り曲げればよく、折り曲げ操作を比較的容易に行うことが可能となる。
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、不正防止部材を無力化するような不正行為(取り外しや破壊等)を防止することが可能となる。
[請求項8の発明]
本発明に係る切込部は操作線付き遊技球が発射装置にて発射された場合に、操作線が切込部の奥部に向かって進入し得る配置になっていればよい。具体的には、例えば、請求項8の発明のように、切込部を発射方向の前方に向かうに従って幅狭になるように配置することで、操作線を切込部に進入させて切断又は捕捉し易く構成することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る弾球遊技機の正面図 弾球遊技機の斜視図 ガラス枠及び下皿付きカバーを開放した弾球遊技機の斜視図 遊技機本体の正面図 遊技機本体の下部の斜視図 発射機構ユニットの正面図 発射機構ユニットを前面側から見た分解斜視図 発射機構ユニットを後面側から見た分解斜視図 発射球供給装置の分解斜視図 発射球供給装置の分解斜視図 発射球供給装置の分解斜視図 発射球供給装置の供給動作を表す斜視図 不正防止部材の斜視図 不正防止部材を展開した板金の平面図 ケース本体における発射球供給孔の近傍部分の斜視図 遊技球がセットされた状態の発射機構ユニットの斜視図 操作線付き遊技球が発射された直後の発射機構ユニットの斜視図 操作線が切込部の奥部に進入した状態の発射機構ユニットの斜視図の操作線が切込部に進入した状態の斜視図 (A)変形例に係る不正防止部材の平面図、(B)その不正防止部材を折り曲げる前の板金の平面図 (A)変形例に係る不正防止部材の平面図、(B)その不正防止部材を折り曲げる前の板金の平面図 変形例に係る不正防止部材の斜視図 (A)変形例に係る不正防止部材の斜視図、(B)その不正防止部材を折り曲げる前の板金の平面図
以下、本発明を適用した弾球遊技機10(具体的には、パチンコ遊技機)に係る一実施形態を、図1〜図18に基づいて説明する。図1に示すように、弾球遊技機10の遊技盤11のうち、遊技者と対向する前面には、ガイドレール12が設けられており、そのガイドレール12で囲まれた遊技領域R1が弾球遊技機10の前面の窓31Wを通して視認可能となっている。後述する発射装置60から発射された遊技球は、遊技盤11の左側部を通って上端寄り位置から遊技領域R1に進入する。
遊技領域R1の中央には、表示装置13が設けられている。表示装置13の下方には、第1と第2の始動入賞口14A,14B、大入賞口15が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。第1の始動入賞口14Aの左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。また、表示装置13の左側には、始動ゲート18と風車19が設けられている。なお、図示しないが、遊技領域R1には多数の障害釘が植設されている。
図2に示すように、弾球遊技機10の前面のうち、窓31Wの周囲には装飾ランプ36が設けられている。また、弾球遊技機10の上端両角部にはスピーカ35が設けられている。なお、図2〜図5では、遊技盤11の前面に備えた表示装置13等の図示を省略してある。
図2に示すように、窓31Wの下方には、上皿27及び下皿28が上下2段にして設けられている。これら上皿27及び下皿28は、弾球遊技機10の前方に膨出している。上皿27の右側方には球抜きボタン22を含む各種操作ボタンが設けられている。球抜きボタン22を押下すると、上皿27から下皿28に遊技球が移動する。
下皿28の底部には、図示しない球排出口が貫通形成されており、その球排出口が常には、シャッター部材23によって塞がれている。シャッター部材23を水平にスライドさせて球排出口を開放すると、遊技球を下皿28の下方に排出することができる。
弾球遊技機10の前面における右下角部には操作ノブ24が備えられている。操作ノブ24は、弾球遊技機10の前面から突出しており、その突出方向と平行な水平回転軸回りで回動操作をすることが可能となっている。操作ノブ24を回動操作すると、上皿27に貯留された遊技球が、後述する発射球供給装置40によって発射装置60に1球ずつ供給され、発射装置60が1球ずつ遊技領域R1に向けて遊技球を弾き出す。そして、遊技領域R1を流下する途中で遊技球が上記した各入賞口14A,14B,15,20(図1参照)に入球すると、賞球として所定数の遊技球が上皿27に払い出される。なお、上皿27は、本発明の「発射球貯留部」に相当する。
以下、遊技盤11の前面に備えた表示装置13等について詳説する。表示装置13は、液晶モジュール(詳細には、TFT−LCDモジュール)で構成され、遊技盤11の中央部に貫通形成された図示しない表示取付孔に対し、遊技盤11の後面側から取り付けられている。また表示取付孔には、遊技盤11の前面側から枠形構造の表示装飾枠21が取り付けられ、その表示装飾枠21によって表示装置13の周囲が囲まれている。
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなしている。始動ゲート18を遊技球が通過する毎に当否判定が行われ、普通図柄表示部(図示せず)にて判定結果が表示される。
普通図柄表示部は、例えば、表示装置13の表示画面の一角部に設けられている。始動ゲート18を遊技球が通過すると、普通図柄表示部にて普通図柄が変動表示した後に停止表示される。例えば、普通図柄としての「○」と「×」の図柄が所定時間に亘って交互に表示され、当否判定が当たり(以下、適宜「小当たり」という)の場合は、当たり図柄である「○」が停止表示され、当否判定が外れの場合は外れ図柄である「×」が停止表示される。そして、次の変動表示が開始されるまで普通図柄の停止表示を継続する。なお、表示装置13の表示画面の一角部に普通図柄表示部を設ける替わりに、普通図柄専用の表示装置を設けてもよい。
第1と第2の始動入賞口14A,14Bは、共に遊技盤11から突出した部材の上面に開口を備えたポケット構造をなしている。各始動入賞口14A,14Bに入った遊技球は、遊技盤11の裏側(図示せず)に回収される。
上側に配置された第1の始動入賞口14Aは、遊技球が1つだけ入る開口幅を有している。一方、下側に配置された第2の始動入賞口14Bは、第1の始動入賞口14Aの真下に配置され、その開口の左右両側には可動翼片14C,14Cが備えられている。これら両可動翼片14C,14Cは、常には起立状態になっており、両可動翼片14C,14Cに挟まれた第2の始動入賞口14Bの開口幅は、遊技球が1つだけ入る大きさとなっている。また、第2の始動入賞口14Bの上方空間は、常には、第1の始動入賞口14Aを構成する部材と可動翼片14C,14Cとで囲まれて、遊技球が入らないようになっている。そして、上述した「小当たり」(普通図柄が当たり図柄で停止)となった場合に、可動翼片14C,14Cが所定期間に亘って横に倒される。すると、第2の始動入賞口14Bの上方空間が側方に開放し、第1の始動入賞口14Aの両脇を通過した遊技球が可動翼片14Cに受け止められて第2の始動入賞口14Bに案内されるようになる(図1の状態)。
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、予め定められた所定数の遊技球(賞球)が上皿27に払い出されると共に、当否判定が行われる。その判定結果は、表示装置13の表示画面において特別図柄13A,13B,13Cの組み合わせで表示される。
具体的には、表示装置13の表示画面には、図1に示すように、通常、3つの左、中、右の特別図柄13A,13B,13Cが横並びに停止表示されている。これら各特別図柄13A,13B,13Cは、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄13A,13B,13Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、第1及び第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄13A,13B,13Cが、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄13A,13B,13Cが停止表示される。そして、当否判定結果が当り(以下、「大当り」という)の場合には、各特別図柄13A,13B,13Cが全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、遊技が「大当り遊技状態」に移行する。これに対し、当否判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、「大当り遊技状態」ではない通常遊技状態が続く。
大入賞口15は、遊技盤11の前面に開放して横長形状をなしており、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。そして、上記したように特別図柄13A,13B,13Cがゾロ目で停止表示した場合に、可動扉15Tが前側に倒れて大入賞口15が開放し(図1に示す状態)、可動扉15Tをガイドにして大入賞口15に遊技球が入賞可能になる。大入賞口15に遊技球が入賞すると予め定められた所定数の遊技球(賞球)が上皿27に払い出される。以上が、遊技盤11の前面に関する説明である。
図3に示すように、弾球遊技機10は、遊技盤11が嵌め込まれた遊技機本体30の前面に、ガラス枠扉31及び下皿扉32を備えている。同図に示すように、ガラス枠扉31及び下皿扉32は、遊技機本体30の一側部(正面視左側部)にヒンジを介して連結されており、遊技機本体30に対して開閉可能となっている。
ガラス枠扉31には、ガラス板31Gで塞がれた略円形の窓31Wが設けられ、ガラス板31G越しに遊技領域R1を視認することができる。また、ガラス枠扉31の前面のうち、窓31Wより下側には、前記上皿27が一体に設けられている。
下皿扉32は、横長構造をなしており、遊技機本体30の前面のうち、遊技盤11より下方部分を覆っている。下皿扉32の前面には前記下皿28が一体に設けられている。
下皿扉32の上辺とガラス枠扉31の下辺は、遊技機本体30に対する閉止状態において互いに重なるように配置されている。つまり、ガラス枠扉31を開放しないと下皿扉32を開放することができず、下皿扉32を閉めないとガラス枠扉31を閉めることができない構造となっている。
ガラス枠扉31と遊技機本体30とを連結したヒンジとは反対側の側部(正面視右側部)には、遊技機本体30に対してガラス枠扉31を閉止状態に保持する係合部(図示せず)が備えられている。また、操作ノブ24の上方位置には、キーシリンダ25が備えられており、そのキーシリンダ25に対するキー操作により、係合部の係合が解除される。
図4に示すように、遊技機本体30の前面のうち遊技盤11の下方には、下皿扉32によって前方から覆われた発射機構ユニット34及び戻り球回収ダクト33が設けられている。発射機構ユニット34は、遊技機本体30の前面のうち左右方向のほぼ中央部に配設され、その左側方に戻り球回収ダクト33が配設されている。図5に示すように、発射機構ユニット34は、発射球供給装置40と発射装置60とから構成されており、操作ノブ24の回動操作に伴って上皿27の遊技球を取り込んで遊技領域R1に向けて打ち出す。戻り球回収ダクト33は、発射装置60に備えた発射レール62(図5参照)とガイドレール12との間に配置されており、勢いが弱過ぎてガイドレール12まで到達しなかった遊技球や、遊技領域R1まで到達せずガイドレール12を逆戻りした遊技球を受け入れて下皿28に排出するようになっている。
図5に示すように、発射機構ユニット34は、発射装置60の一部を構成する板金製の台盤61に、発射球供給装置40、発射レール62、打撃槌63等の種々の部品を組み付けて構成されている。図7に示すように、台盤61は横長の長方形をなしており、その四隅を貫通した螺子(図示せず)によって遊技機本体30の前面に固定されている。また、発射球供給装置40と台盤61は、左右方向の一側部(正面視右側部)でヒンジピン40H及びヒンジブラケット61Hによって連結されており、発射球供給装置40を発射装置60に対して回動させることが可能となっている。また、その回動を禁止するために、発射球供給装置40のうちヒンジピン40Hから離れた位置にナイラッチ40Nが設けられており、そのナイラッチ40Nのプランジャが台盤61から突出した円筒ボス61Aの内側に係合するように構成されている。
図7に示すように、台盤61の前面のうち、ヒンジブラケット61Hとは反対の側部(正面視左側部)寄り位置には発射レール62が固定されている。発射レール62は水平面に対して約45度の角度で左斜め上方に向かって延びている。また、発射レール62は断面M字形をなしており、その上面に形成されたV字形の溝で遊技球を案内するように構成されている。
発射レール62の下端部の上方には、球止め部材66が取り付けられている。球止め部材66のうち発射レール62側を向いた面は、発射レール62の上面との間隔が斜め下方に向かうに従って徐々に狭くなるテーパー面となっている。そして、テーパー面と発射レール62の上面との間隔が最も狭くなった左下端部には、斜め下方に開放した打撃口62Wが形成されている。発射球供給装置40から発射レール62上に供給された遊技球は、発射レール62の下端部で球止め部材66に当接し、打撃口62Wに臨んだ打撃待機位置で停止する。
図7に示すように、台盤61の前面中央には打撃槌63が設けられている。打撃槌63は、台盤61を前後方向に貫通した回転軸63Jによって回動可能に支持されている。打撃槌63は、回転軸63Jから斜め下方に向かって延びた打撃アーム63Aとその反対側に延びたストッパアーム63Bとを備え、打撃アーム63Aの先端は、発射レール62に向かってL字形に屈曲した槌先端部63Cとなっている。槌先端部63Cは、打撃アーム63Aに一体形成された芯棒(図示せず)の外側を金属製のスプリング63Dで包囲した構造となっている。打撃槌63が回転軸63Jを中心にして往復回動することで、槌先端部63Cが打撃口62Wに対して進退する。
台盤61の前面のうち、打撃アーム63Aの側方位置及びストッパアーム63Bの側方位置には、それぞれストッパ67,68が設けられている。これらストッパ67,68と打撃アーム63A及びストッパアーム63Bとの当接により、打撃槌63の回動範囲が規制されている。具体的には、打撃アーム63Aの側面がストッパ67に当接することで、槌先端部63Cが打撃口62Wから離れた後端位置(図7に示す位置)に配置され、ストッパアーム63Bの側面がストッパ68に当接することで、槌先端部63Cが打撃口62Wに突入した打撃位置に配置される。
図8に示すように、台盤61の後面中央には、機構ハウジング69が組み付けられている。機構ハウジング69は扁平な矩形箱状をなしており、その内部には、図示しない発射モータ及び弾発エレメントが収容されている。弾発エレメントは、操作ノブ24と連結されており、操作ノブ24に対する回動操作量に応じて、打撃槌63による遊技球の打撃強度を変更することが可能となっている。また、発射モータは、操作ノブ24に触れることで作動し、単位時間当たりに所定数(例えば、1分間に100個)の遊技球を打ち出すように一定速度で回転する。
即ち、操作ノブ24を回動操作すると、発射モータの駆動力を受けて打撃槌63が図7に示す後退位置から打撃位置に向かって(時計回り方向に)回動して、槌先端部63Cが打撃口62Wに突入する。すると、打撃待機位置にセットされた遊技球が槌先端部63Cによって弾かれて、発射レール62に沿って斜め上方に打ち出される。
図7に示すように、台盤61の前面には、発射レール62や打撃槌63等を台盤61との間で挟むようにして発射球供給装置40が取り付けられている。発射球供給装置40は、上記した発射装置60の発射動作に連動して、遊技球を発射レール62上に1球ずつ供給する。図9に示すように、発射球供給装置40は樹脂製のケース41の内部に、発射球通過路47、球送りレバー51、球抜きスライダ50、ソレノイド56等を備えてなる。
ケース41は、前後方向で扁平な箱形構造をなしており、その扁平方向でケース本体42とカバー体46とに分解可能となっている。ケース41のうち、台盤61側に配置されたケース本体42は、台盤61と平行な横長の垂直壁42Aを備え、その垂直壁42Aの外縁部から台盤61側にスペーサ壁42Bが起立している。スペーサ壁42Bは台盤61の前面に突き当てられていて、台盤61と発射球供給装置40(垂直壁42)との間に、前記した発射レール62、打撃槌63等の配置スペースが確保されている。また、垂直壁42Aからスペーサ壁42Bとは反対のカバー体46側に帯状壁部42Dが起立しており、その帯状壁部42Dがカバー体46の垂直壁46Aに突き合わされて、発射球通過路47が形成されている。
カバー体46の垂直壁46Aの外縁部からは、ケース本体42に向かって囲壁46Bが起立しており、その囲壁46がケース本体42の垂直壁42Aを包囲している。囲壁46Bの複数箇所には片持ち梁状の係止片46Cが形成され、それらがケース本体42の垂直壁42Aの外縁部に係止することで、ケース本体42とカバー体46とが合体状態に保持されている(図8参照)。なお、ケース本体42の垂直壁42Aのうち、発射球通過路47の上辺に沿った複数位置にはフック42Fが形成されている。これらフック42Fはソレノイド56から延びた図示しない配線を拘束するために設けられている。
図9に示すように、ケース本体42のうち、帯状壁部42Dの下方にはインナーカバー44が係脱可能に組み付けられている。図11に示すように、インナーカバー44は、ケース本体42の垂直壁42Aに宛がわれた後面が開放した略直方体形状をなし、その後面開口縁から突出した複数の係止爪44Aが、ケース本体42の垂直壁42Aに貫通形成された係止孔42Cの縁部に係止されている(図8参照)。
インナーカバー44の内部には、球抜きスライダ50及びコイルバネ49が収容されている。コイルバネ49は、球抜きスライダ50の基端部とインナーカバー44の側壁との間で圧縮状態にされて、球抜きスライダ50を一方に付勢している。その付勢方向の前方に位置するインナーカバー44の側壁には進退孔44C(図10及び図11参照)が形成されており、その進退孔44Cに球抜きスライダ50の先端部が挿通されている。
図10に示すように、ケース本体42の垂直壁42Aには遊技球が1つずつ通過可能な縦長の発射球供給孔45が貫通形成されている。発射球供給孔45は、ケース41の左右方向の一側部(左端)寄り位置に設けられている。また、発射球供給孔45は、発射レール62の下端部(打撃口62W)寄り位置に側方から臨んでおり、ここから発射レール62上に遊技球を供給するように構成されている。
図9に示すように、ケース41の内部には、発射球供給孔45の上方からケース41の左右方向の他側部(右端)に向かって延びた発射球通過路47が設けられている。発射球通過路47は、発射球供給孔45の近傍でクランク状に屈曲した屈曲路47Aと、屈曲路47Aから離れるに従って緩やかに上方に向かうように傾斜して延びた傾斜路47Bとから構成されている。また、傾斜路47Bの上端部は、カバー体46の垂直壁46Aを貫通した略矩形状の球入口46Dと連通しており、その球入口46Dを介して、発射球通過路47と上皿27とが連絡している。上皿27に貯留されている遊技球は、球入口46Dを通って発射球通過路47に流入し、その発射球通過路47を自重で発射球供給孔45に向かって移動する。ここで、カバー体46の垂直壁46Aの中央部分はヒンジ46Hを中心にして開閉することが可能な扉体46G(図6参照)となっており、発射球通過路47で球詰まり等の不具合が生じた場合に、迅速に対処することが可能となっている。
図9に示すように、発射球通過路47の屈曲路47Aの下方には、上方と前方とに開放した遊技球排出路48が形成されている。遊技球排出路48の上方開口は屈曲路47Aと連通し、遊技球排出路48の前方開口は垂直壁46Aに貫通形成された排出口46Fを介して下皿28と連通している。屈曲路47Aと遊技球排出路48との間は、常には、球抜きスライダ50によって遮断されている。即ち、球抜きスライダ50は、発射球通過路47における傾斜路47Bの下方に配置されており、傾斜路47Bと平行な方向にスライド可能となっている。球抜きスライダ50のうち、前記したインナーカバー44の進退孔44Cに挿通された先端部は、帯板状の閉塞壁50Aとなっていて、この閉塞壁50Aが、常には、コイルバネ49の付勢力によって発射球供給路47内に突出している。このとき、閉塞壁50Aが、発射球通過路47における屈曲路47Aの一部を構成すると共に、屈曲路47Aと遊技球排出路48との間が遮断される。即ち、上皿27の遊技球は、発射球通過路47を通って発射球供給孔45へと案内される。一方、上記した球抜きボタン22(図1参照)が押下されると、球抜きスライダ50がコイルバネ49の付勢力に抗してスライドして、閉塞壁50Aが発射球供給路47内から退避する。すると、屈曲路47Aと遊技球排出路48との間が連通状態になって、上皿27の遊技球が、発射球通過路47、遊技球排出路48及び排出口46Fを通って下皿28に移動する。なお、球抜きスライダ50の基端側部分からは、スライド方向と直交した水平方向に連結軸部50Jが突出している。連結軸部50Jは、インナーカバー44に形成された長孔44B及び、カバー体46の垂直壁46Aに形成された長孔46Eを貫通してケース41の前面から突出している。そして、図示しないが、連結軸部50Jと球抜きボタン22とが下皿扉32の内部で連結可能となっている。
球送りレバー51は前後方向に突出した回動軸51Jを備え、その回動軸51Jがケース41の垂直壁42A,46Aの間に差し渡されて上下に回動可能となっている。球送りレバー51のうち、回動軸51Jから離れた端部には、遊技球が丁度1つ入る大きさの球受容部52が形成されている。球受容部52は、回転軸51Jと平行な略水平方向(前後方向)に開放して、発射球供給孔45と連通可能であると共に、回動半径方向の外側に開放して、発射球通過路47の終端開口47X(図10参照)と連通可能となっている。球送りレバー51のうち、球受容部52の上側部分は終端開口47Xと対向可能な球当接部53となっており、球受容部52の下側部分は発射球供給孔45の内側で上下動する球転動部54となっている。また、球送りレバー51の上面には、金属製の吸着部材55が備えられている。球送りレバー51は常には下端位置に配置されている。このとき、球当接部53が終端開口47Xと対向して、発射球通過路47内の遊技球を堰き止める。また、球受容部52が発射球供給孔45と整合して、球受容部52内の遊技球を発射球供給孔45から外部に放出することが可能になる(図12(A)に示す状態)。
ケース41のうち球送りレバー51の上方にはソレノイド56が組み付けられている。ソレノイド56が励磁されると吸着部材55が吸引されて球送りレバー51が自重に抗して上方に回動する。すると、図12(B)に示すように、球受容部52と発射球通過路47の終端開口47Xとが連絡し、発射球通過路47内の遊技球のうち、球当接部53に当接していた先頭の遊技球が、球受容部52に受け入れられる。このとき、球転動部54が上方に移動して、発射球供給孔45の開口縁と球転動部54との間の開口面積を狭めるので、発射球供給孔45から発射レール62へと遊技球が放出されることはない。
ソレノイド56が消磁して、図12(C)に示すように球送りレバー51が下端位置に戻されると、球受容部52に取り込まれた遊技球の後続の遊技球が球当接部53によって堰き止められると共に、球受容部52に取り込まれた遊技球が、球転動部54の上面の下り傾斜によって発射球供給孔45から発射レール62上に放出される。つまり、球送りレバー51が上下に一度回動する度に遊技球が1つ発射レール62上に供給される。ここで、球送りレバー51の回動動作は、発射装置60の打撃槌63の打撃動作と連動しており、打撃槌63が往復回動して遊技球を1つ打ち出すごとに、発射球供給装置40は発射レール62上に遊技球を1つ供給する。
さて、遊技球に糸やピアノ線等の操作線W1を取り付けた「操作線付き遊技球」による不正行為を規制するために、発射球供給装置40には、図13に示す不正防止部材80が取り付けられている。
不正防止部材80は、例えば、板金などの板部材で構成されていて、主板部81から側板部82を直角に折り曲げた構造をなしている。主板部81及び側板部82は共に平板状をなしており、側板部82のうち主板部81から離れた側の端部寄り位置には、螺子挿通孔83が貫通形成されている。不正防止部材80は、螺子挿通孔83に通された螺子89などの取付部材によって発射球供給装置40の外面に固定されている(図8参照)。
主板部81のうち、側板部82から離れた端部81A寄り位置には、切込部84が形成されている。切込部84は、主板部81と平行な同一平面内に配置された1対の刃部84A,84Bを略V字形に配置してなる。切込部84は、主板部81の下辺に開放すると共に上方に向かうに従って幅狭になっている。1対の刃部84A,84Bのうち、側板部82から離れた側(端部81A寄り位置)に配置された刃部84Bは、側板部82と平行に延びている。一方、側板部82側に配置された刃部84Aは、上方に向かうに従って側板部82から離れるように(刃部84Bに接近するように)傾斜して延びている。
主板部81のうち刃部84Aに連続した下辺は、側板部82から刃部84Aに近づくに従って上方に向かうように傾斜しており、本発明の導入部85Aとなっている。また、刃部84Bと主板部81の下辺とが交差した角部は略円弧状に湾曲しており、この角部も本発明の導入部85Bとなっている。
不正防止部材80は、プレスによって所定の形状に打ち抜いた板金90(ブランク材)を折り曲げてなり、その折り曲げられる前の板金90が図14に示されている。同図に示すように、板金90は、不正防止部材80の主板部81を構成する第1帯板部91と、側板部82を構成する第2帯板部92とから構成されている。
第2帯板部92のうち、第1帯板部91から離れた端部には、螺子挿通孔83が貫通形成されている。螺子挿通孔83は、プレスによって板金90を打ち抜く際に同時に形成される。また、第1帯板部91と第2帯板部92との間に設定された第2折り曲げ線L2により第1帯板部91と第2帯板部92とが直角になるように折り曲げると、第2帯板部92がそのまま不正防止部材80の側板部82となる。
第1帯板部91は、第2折り曲げ線L2から離れる方向に延びた帯板状をなしている。第1帯板部91には、その幅方向(第2折り曲げ線L2と平行な方向)の一側縁部に開放した湾部96(本発明の「切り欠き部」に相当する)が形成されている。湾部96は、第1帯板部91のうち第2帯板部92から離れた先端寄り位置に設けられている。湾部96は奥に向かうに従って幅狭になっており、湾部96の奥側に残されたネック部95によって、湾部96の両側の平板部93,94が一体に繋がっている。また、ネック部95のうち平板部94側の端部には、幅方向の両側を切り欠いてなる括れ部95Aが形成されている。以下、湾部96の両側の平板部93,94を区別するために、湾部96より基端側(第2帯板部92側)の平板部93を「第1平板部93」といい、湾部96より先端側(湾部96を挟んで第1平板部93と反対側)の平板部94を「第2平板部94」という。なお、第2平板部94は、本発明の「切り欠き部より先端側の平板部」に相当する。
第2平板部94は、湾部96の内辺である側辺94Cと、第1帯板部91の先端である側辺94Aとを1対の平行な長辺として備えた長方形状をなしている。また、その長方形の各角部は、全て丸みを帯びた形状をなしている。
第1平板部93は、第2平板部94よりも面積が大きい非対称な四角形状をなしている。第1平板部93のうち、湾部96の内辺である側辺93Aは、湾部96の開放端に向かうに従って第2平板部94から離れるように傾斜している。側辺93Aには、第1帯板部91の一側縁部を構成する側辺93Bが鈍角に交差しており、その交差角部93Cは丸みを帯びた形状をなしている。
そして、第1帯板部91を、その幅方向で湾部96を横切る第1の折り曲げ線L1で折り重ねる(180度折り曲げる)と、不正防止部材80の主板部81が形成される。
詳細には、第1の折り曲げ線L1は、ネック部95のうち第2平板部94側の端部、即ち、ネック部95の中でも特に幅狭な括れ部95Aを横切るように設定されており、その第1の折り曲げ線L1で第1帯板部91を折り重ねると、第2平板部94が、ネック部95及び湾部96と、第1平板部93の一部とに重なった状態になる。つまり、主板部81は、第1帯板部91のうち、第1の折り曲げ線L1(折り曲げ部86)の両側に位置する「1対の板片」としての第1平板部93及びネック部95と、第2平板部94とを折り重ねた構造となっている。
第1帯板部91を第1の折り曲げ線L1で折り重ねると、第1平板部93と第2平板部94の互いに重なり合わなかった部分で、切込部84が形成される。詳細には、第2平板部94のうち湾部96に重なった側辺94Aのエッジ(展開状態の第1帯板部91における先端のエッジ)と、第1平板部93のうち湾部96の内辺である側辺93Aのエッジとが、第1平板部93と第2平板部94の重ね合わせ面と同一平面内で略V字形に配置され、それら両エッジを1対の刃部84A,84Bとして備えた切込部84が形成される。また、第2平板部94のうち、側辺94Aに連続して丸みを帯びた角部94Bは、不正防止部材80における導入部85Bとなり、第1平板部93のうち、丸みを帯びた交差角部93Cとこれに連続した側辺93Bは、不正防止部材80における導入部85Aとなる。
図8に示すように、不正防止部材80は、発射球供給装置40のうち発射球供給孔45が開口した外面、即ち、発射装置60側を向いた垂直壁42Aの後面(本発明の「第1外面」に相当する)に取り付けられている。より詳細には、図15及び図16に示すように、垂直壁42Aの後面のうち、発射レール62及び発射球供給孔45よりも上方に取り付けられている。
垂直壁42Aの後面には、台盤61に向かって起立した壁状の支持壁70が形成されている。支持壁70は、発射球供給孔45の上方から斜め上方に向かって延びている。詳細には、支持壁70は、発射レール62の上面と平行に延びかつ、発射レール62の上面との間に遊技球1個分以上の隙間を空けて配置されている(図16参照)。支持壁70の上下方向における中間部には、段付凹部70Aが形成されている。段付凹部70Aは、不正防止部材80の側板部82を上下方向で挟んで保持している。
図15に示すように、垂直壁42Aの後面のうち、支持壁70の下向斜面に隣接した位置には、斜めに延びた溝部72が形成されている。溝部72は、垂直壁42Aの後面側から見て、段付凹部70Aの側方位置に配置されている。また、溝部72の水平面に対する傾斜角は、支持壁70の水平面に対する傾斜角よりも大きくなっている。例えば、支持壁70の傾斜角は、発射レール62と平行な約45度であるのに対し、溝部72の傾斜角は約60度となっている。このため、溝部72は上方に向かうに従って支持壁70の下向斜面に接近している。
図16に示すように溝部72には、不正防止部材80の主板部81のうち、側板部82から離れた端部81A(図13参照)が挿し込まれている。これにより、支持壁70の下向斜面と、不正防止部材80の主板部81との間には、比較的鋭い鋭角の楔形領域が形成されている。
ここで、主板部81の端部81Aのうち、上側部分は第1の折り曲げ線L1による折り曲げによって形成された折り曲げ部86で構成されており、下側部分は第2平板部94で構成されている。即ち、主板部81の端部81は上側部分が下側部分の約2倍の肉厚になっている。溝部72の断面形状は、主板部81の端部81Aの断面形状と略一致しているので、折り曲げ部86が拡開変形することを溝部72によって防止することができる。
図15に示すように、ケース本体42の垂直壁42Aには、発射球供給孔45と連続した楔形スリット71が形成されている。楔形スリット71は、発射球供給孔45の上端一角部から、支持壁70の下向斜面と不正防止部材80の主板部81との間に形成された楔形領域内まで延びており、上方に向かうに従って幅狭になっている。
ケース本体42の垂直壁42Aのうち、発射球供給孔45の上方には、取付支柱73が設けられている。取付支柱73は、垂直壁42Aから台盤61に向かって突出した円柱状をなし、中心部に螺子孔73Aが形成されている。取付支柱73と支持壁70との間は複数の補強リブ73Rによって連結されている。取付支柱73の先端面と段付凹部70Aの底面は面一になっており、それら先端面及び底面に不正防止部材80の側板部82が宛がわれている。そして、側板部82の螺子挿通孔83を貫通した螺子89が螺子孔73Aに締め付けられている(図16参照)。
つまり、不正防止部材80を発射球供給装置40に取り付ける場合には、発射球供給装置40の後面と直交する方向から不正防止部材80を近づけて、主板部81の端部81Aを溝部72に挿し込むと共に、側板部82を段付凹部70Aに嵌め込む。この時点で、不正防止部材80が発射球供給装置40の後面に対して仮止めされる。その状態で、発射球供給装置40の後面と直交する方向から近づけた螺子89を側板部82の螺子挿通孔83に通して、取付支柱73の螺子孔73Aに締め付ける。これで、発射球供給装置40の後面に不正防止部材80が固定される。主板部81を溝部72に挿し込む作業と、側板部82の螺子止め作業とを同一方向から行うことができるので、不正防止部材80の取り付けや交換の作業性が向上する。また、溝部72及び螺子89によって不正防止部材80の主板部81及び側板部82を固定することができるから、不正防止部材80のぐらつきを防止することができる。
発射球供給装置40の後面に固定された不正防止部材80は、側板部82がケース本体42の垂直壁42Aと平行に配置され、主板部81(即ち、1対の刃部84A,84Bを含む平面)がケース本体42の垂直壁42Aに対して直角に配置されている。また、主板部81は、発射球供給孔45よりも遊技球の発射方向の前方側(発射球供給孔45の斜め上方)に配置される。さらに、主板部81は、発射レール62の上端部に向かうに従って発射レール62との間隔が広がるように水平方向に対して傾斜して配置される。具体的には、発射レール62の水平面に対する傾斜角が約45度であるのに対し、主板部81の水平面に対する傾斜角は約60度となっていて、その約15度の角度差によって、主板部81と発射レール62との間隔が上方に向かうに従って徐々に広がっている。
本実施形態の構成の説明は以上であって、次に動作を説明する。弾球遊技機10の操作ノブ24を回動操作すると、発射球供給装置40から発射レール62上に1つずつ遊技球が供給される。その発射球供給装置40の供給動作に同期して打撃槌63が打撃動作を行い、打撃槌63によって弾かれた遊技球が、発射レール62及びガイドレール12によって遊技領域R1へと案内される。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、各入賞口14A,14B,15,20及び始動ゲート18等へ入球すると、その入球に応じた遊技が進行する。
ところで、不正行為者によって上皿27に投入された操作線付き遊技球B1は、正規の遊技球と同様に、上皿27から発射球供給装置40を経て発射レール62へと供給され、発射レール62にセットされる(図7参照)。このとき、操作線W1は、発射球供給装置40の内部(発射球供給孔45、発射球通過路47、球入口46D)を通って上皿27に導出され、不正行為者によって保持されている。
この状態で、操作ノブ24が操作されると、操作線付き遊技球B1が打撃槌63によって弾かれ、正規の遊技球と同様に発射レール62に沿って斜め上方に打ち出される。このとき、操作線付き遊技球B1は、発射球供給孔45の側方を通過して斜め上方に向かい、図17に示すように、操作線W1が発射球供給孔45から楔形スリット71に進入する。図17から図18への変化に示すように、操作線付き遊技球B1がさらに上方に移動すると、操作線W1は不正防止部材80の切込部84に進入する。ここで、発射装置60から発射された操作線付き遊技球B1の軌道が多少ばらついたとしても、切込部84の側方に形成された導入部85A,85Bによって操作線W1を確実に切込部84に誘導することができる。
そして、図18に示すように、操作線付き遊技球B1が遊技領域R1に到達する前に、操作線W1は切込部84の奥部において1対の刃部84A,84B(図14参照)に食い込まれて捕捉される。或いは、操作線W1が刃部84A,84Bによって切断される。このとき、刃部84A,84Bは遊技球の進行方向の前側から操作線W1に対して斜めに食い込む。
操作線W1が切断された場合、操作線付き遊技球B1はガイドレール12の途中又はガイドレール12の手前で失速して、戻り球回収ダクト33に回収される。操作線W1が切断されれば、その操作線付き遊技球B1は、不正行為に使用することはできなくなる。また、仮に、操作線W1が切断されてそのまま遊技領域R1に進入したとしても、その操作線付き遊技球B1は弾球遊技機10の外部から操作を行うことができる状態ではないから問題とならない。
操作線W1が切込部84によって捕捉された場合、操作線付き遊技球B1は戻り球回収ダクト33に入る。戻り球回収ダクト33に入った操作線付き遊技球B1は、切込部84による捕捉が解除されない限り、下皿28に出てくることはない。仮に、操作線付き遊技球B1が下皿28に出てきて再度、不正行為が行われたとしても、上記した通り、不正防止部材80によって操作線W1が捕捉又は切断されることになる。
このように、本実施形態の弾球遊技機10によれば、操作線付き遊技球B1が発射球供給孔45を通って発射装置60に供給され、発射装置60によって発射された場合に、発射球供給孔45の近傍に配置された不正防止部材80の切込部84に操作線W1を進入させて、その切込部84における1対の刃部84A,84Bにて操作線W1を切断するか又は捕捉することができる。これにより、操作線付き遊技球B1によって不正に利益を得ようとする不正行為を規制することができる。
また、1枚の板金90を第1の折り曲げ線L1で折り曲げることで、切込部84が形成されているから、不正防止部材80を比較的容易に製造することができる。
即ち、切込部は、板金をV字形に剪断して形成することも考えられるが、操作線W1を切断又は捕捉するには、切込部を比較的鋭い鋭角にする必要があり、そのような切込部を剪断だけで形成することは非常に困難である。また、2枚の板金をずらして貼り合わせて切込部を形成すれば、比較的鋭い鋭角の切込部を形成することができるが、作製に手間がかかるという問題がある。
これに対し、本実施形態によれば、切込部84は、1枚の板金90(正確には、第1帯板部91)を第1の折り曲げ線L1で折り重ねることで形成されているから、従来のように複数の板金を貼り合わせて切込部を形成する必要が無く、不正防止部材80を構成する部品点数を少なくしてかつ、比較的容易に作製することが可能になる。
また、第1の折り曲げ線L1で板金90の第1帯板部91を折り曲げる場合、湾部96の奥側に残された幅狭なネック部95を折り曲げればよいから、第1帯板部91の折り曲げ操作を比較的容易に行うことができる。
また、不正防止部材80は、発射球供給装置40の後面に設けられているから、不正防止部材80を無力化するような不正行為(例えば、取り外しや破壊等)を防止することができる。
また、不正防止部材80の主板部81のうち第1の折り曲げ線L1による折り曲げ部86が、発射球供給装置40の外面(垂直壁42Aの後面)に形成された溝部72に挿し込まれているから、折り曲げ部86が拡開変形して操作線W1を切断又は捕捉する性能が低下することを防止することができる。
ここで、例えば、主板部81の端部81Aを、発射球供給装置40の外面に付き当てた構成とした場合、主板部81の端部81Aと発射球供給装置40の外面との間に操作線W1が入り込んで、切込部84による操作線W1の捕捉又は切断が回避されてしまうという不具合が生じ得る。このような不具合を防止するには、主板部81の端部81Aを発射球供給装置40の外面にぴったりと突き当てる必要があり、高度な部品精度や組み付け精度が要求される。これに対し、本実施形態によれば、主板部81の端部81Aを発射球供給装置40の外面の溝部72に挿し込んだ構成にしたから、さほど高い精度を必要とせずに、上記した不具合を防止することができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記一実施形態では、弾球遊技機10の一例としてパチンコ遊技機を例示したが、本発明はこれに限られず、アレンジボールやスマートボール等、遊技球を使用する他の弾球遊技機に適用してもよい。
(2)発射球供給装置の第1外面(具体的には、上記実施形態における垂直壁42の後面)に不正防止部材(具体的には、上記実施形態における主板部81)を敷設して、切込部が発射球供給孔の開口縁に配置されるようにしてもよい。即ち、切込部における1対の刃部を含む平面を、発射球供給装置の第1外面と平行になるように配置してもよい。
(3)本発明に係る不正防止部材は、操作線W1を捕捉又は切断することが可能な略V字形の切込部を有した構造であればよく、上記一実施形態で例示したもの以外に、例えば、図19(A)及び図20(A)に示すような構造のものでもよい。即ち、図19(B)及び図20(B)に示すように、所定の形状に打ち抜いた板金110を、第1の折り曲げ線L1で折り曲げて、その両側に位置する1対の板金片101,102(本発明の「板片」に相当する)同士を一部で折り重ねて図19(A)及び図20(A)に示す不正防止部材100とし、1対の板金片101,102のうち、互いに折り重なっていない部分101A,102Aのエッジ101E,102E同士が、1対の板金片101,102の重ね合わせ面と同一平面内で略V字形に配置されて切込部100Vが形成された構成としてもよい。
図19(A)に示す不正防止部材100では、同図(B)に示す板金110における第1の折り曲げ線L1の両側の板金片101,102同士を重ね合わせることで、一方の板金片101に形成された略V字形の第1切り欠き部101Vと、他方の板金片102に形成された略V字形の第2切り欠き部102Vとが一部で重なり合って、第1切り欠き部101Vの縁部であるエッジ101Eと、第2切り欠き部102Vの縁部であるエッジ102Eとの間に第1切り欠き部101V及び第2切り欠き部102Vよりも鋭角な略V字形の切込部100Vが形成されている。
(4)図19(A)及び図20(A)に示した不正防止部材100は、その一端部(例えば、第1の折り曲げ線L1による屈曲部が形成された端部)を、上記実施形態における主板部81のように、発射球供給装置40の第1外面(具体的には、発射球供給孔45が開口した垂直壁42Aの後面)に形成された溝部72に挿し込んで取り付けてもよい。即ち、切込部100Vにおける1対の刃部(エッジ101E,102E)を含む平面が、発射球供給装置40の第1外面に対して直角になるように配置してもよい。
(5)或いは、上記した変形例(2)と同様に、発射球供給装置の第1外面(具体的には、上記実施形態における垂直壁42Aの後面)に不正防止部材100を敷設して、切込部100Vが発射球供給孔の開口縁に配置されるようにしてもよい。即ち、切込部における1対の刃部を含む平面を、発射球供給装置40の第1外面と平行になるように配置してもよい。
(6)上記実施形態では、板金90を第1の折り曲げ線L1で折り重ねて(180度折り曲げて)切込部84が形成されていたが、例えば、図21に示す不正防止部材200のように、板金が第1の折り曲げ線L1で鋭角曲げされると共に、第1の折り曲げ線L1の両側に配置された板金片201,202のエッジ201E,202Eが略V字形に配置されて切込部200Vが形成された構成としてもよい。
(7)また、図22(B)に示すように、帯板状の板金310に、その幅方向の一側縁部に開放したV形断裂部303を形成すると共に、板金310の幅方向でV形断裂部303の最奥部を横切る第1の折り曲げ線L1にて板金310を略直角に折り曲げて同図(A)に示す不正防止部材300とし、第1の折り曲げ線L1の両側に位置する板金片301,302のエッジ301E,302Eが略V字形に配置されて切込部300Vが形成された構成にしてもよい。
10 弾球遊技機
27 上皿(発射球貯留部)
40 発射球供給装置
45 発射球供給孔
60 発射装置
72 溝部
73 螺子止支柱
80,100,200,300 不正防止部材
81 主板部
82 側板部
84,100V,200V,300V 切込部
84A,84B 刃部
85A,85B 導入部
86 折り曲げ部
90,110,310 板金(板部材)
91 第1帯板部(帯板部)
93 第1平板部(板片)
94 第2平板部(板片、切り欠き部より先端側の平板部)
96 湾部(切り欠き部)
101,102,201,202,301,302 板金片(板片)
101E,102E,201E,202E,301E,302E エッジ
L1 第1の折り曲げ線
B1 操作線付き遊技球
W1 操作線

Claims (8)

  1. 発射球貯留部に貯留された遊技球を、発射装置にて遊技領域に発射して遊技を行う弾球遊技機であって、
    遊技球が1球ずつ通過可能な発射球供給孔を有し、前記発射球貯留部から取り込んだ遊技球を、前記発射装置が遊技球を発射する度に前記発射球供給孔を通して1つずつ発射装置に供給する発射球供給装置と、
    前記発射球供給孔又はその近傍に配置されると共に、1対の刃部を略V字形に配置してなる切込部を有し、不正用の操作線付き遊技球の操作線が前記発射球供給孔に通された状態で、その操作線付き遊技球が前記発射装置にて発射された場合に、前記操作線が前記切込部の奥部に向かって進入して、前記1対の刃部にて切断されるか又は1対の刃部に食い込まれて捕捉されるようにした不正防止部材とを備え、
    前記不正防止部材は、1枚の板部材を折り曲げ部で折り曲げて形成されると共に、その折り曲げ部の両側に位置する1対の板片のエッジ同士が、前記1対の刃部として前記略V字形に配置されて前記切込部が形成されていることを特徴とする弾球遊技機。
  2. 前記板部材のうち前記折り曲げ部の両側に位置する前記1対の板片同士が一部で重なり合うと共に、それら1対の板片のうち互いに重なり合っていない部分の前記エッジ同士が、前記1対の板片の重ね合わせ面と同一平面内で略V字形に配置されて前記切込部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
  3. 前記不正防止部材のうち前記切込部の側方位置には、前記操作線付き遊技球が発射されたときに前記操作線が摺接して、その操作線を前記切込部に誘導する導入部が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の弾球遊技機。
  4. 前記不正防止部材は、前記折り曲げ部が前記前記発射球供給装置のうち前記発射球供給孔を備えた第1外面に形成された溝部に挿し込まれた状態で、前記発射球供給装置に取り付けられたことを特徴とする請求項2又は3に記載の弾球遊技機。
  5. 前記不正防止部材は、主板部から側板部を折り曲げた構造をなすと共に、前記主板部が前記1対の板片同士を折り重ねた構成をなし、
    前記主板部のうち前記側板部から離れた端部に前記折り曲げ部が配置されて、その折り曲げ部が前記溝部に挿し込まれた状態で、前記側板部が前記発射球供給装置に取り付けられたことを特徴とする請求項4に記載の弾球遊技機。
  6. 前記板部材は、前記切込部を構成するために前記折り曲げ部で折り曲げられる帯板部を備えると共に、前記帯板部の幅方向の一側縁部に開放した切り欠き部が形成され、
    前記切込部は、前記帯板部のうち前記切り欠き部より先端側の平板部を前記切り欠き部側に折り曲げ、その折り曲げられた平板部のエッジと前記切り欠き部のエッジとを略V字形に配置して形成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機。
  7. 前記発射球供給装置の後側に前記発射装置が配置され、前記発射球供給装置のうち前記発射装置側に前記不正防止部材が取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機。
  8. 前記切込部は、遊技球の発射方向の前方に向かうに従って徐々に幅狭になるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1の請求項に記載の弾球遊技機。
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