以下に、添付の図面に基づいて実施例を詳細に説明する前に、実施例の概要を図31〜図34を参照して説明する。
実施例の概要(図31〜図34):
図31を参照して、本発明に従う光学センサ1(図31(III)参照)は、例えばステンレスなどの金属筐体2を有し、この金属筐体2は、金属成型品で構成された主筐体3と、この主筐体3と合体されるサブ筐体4とで構成されている。サブ筐体4も主筐体3と同様にステンレスなどの金属から作られている。図示のサブ筐体4は平面形状の金属プレートで構成されているが、サブ筐体4が立体形状を有していてもよい。サブ筐体4は主筐体3に対して典型的には溶接という固定手段によって主筐体3と一体化される。
金属成型品である主筐体3は、その前面に光通過窓5を有し、この光通過窓5に臨んで配置される光学部材6の周囲は主筐体3の中に充填されるホットメルトで包囲され、この充填されたホットメルトで光学部材6が主筐体3の所定位置に位置決めされる。ここに、ホットメルトとは、熱可塑性の合成樹脂、ゴムからなり常温で固体の接着剤の総称であり、光電スイッチ等の耐環境性能を考慮するとポリアミド系ホットメルトあるいはポリエステル系ホットメルトが好適である。ポリエステル系のホットメルトは耐油性、耐水性の観点で言えばポリアミド系ホットメルトよりも優れた特性を有することから、耐油性、耐水性を高める上でポリエステル系のホットメルトを選択するのがよい。
図31は、主筐体3にホットメルトを充填し、次いで、サブ筐体4を後付する一連の工程を説明するための図である。図中、(イ)は主筐体3の正面図であり、(ロ)は主筐体3の断面を示す図であり、(ハ)は主筐体3を後方から見た図である。
図31の(I)は、光学部材6を位置決めした主筐体3を金型のキャビティに入れ、主筐体3の開口3aにホットメルト充填機のノズル7を嵌合させ、そしてノズル7のゲート口9を通じてホットメルトを主筐体3の中に充填する工程を示す。図31の(II)は、充填したホットメルトが固化した主筐体3をホットメルト充填機から取り出して、この主筐体3の開口3aに組み付けるサブ筐体4を準備する工程を示す。図31の(III)は、主筐体3の開口にサブ筐体4を組み付けて、矩形平板状のサブ筐体4の例えば四隅を溶接することで主筐体3に固定する工程を示す。図31の(II)、(III)に示すHMはホットメルトを示す。
図31の(I)を参照して、ゲート口9を通じてホットメルトが主筐体3の中に充填されるときにゲート部と光学部材6との間に電子回路基板8が位置し、この電子回路基板8の後面8aには、ゲート口9から充填されるホットメルトが直接的に光学部材6に当るのを回避する邪魔面の役割が与えられている。ゲート口9の配置位置の設定に関し、ゲート入口9の指向方向が光学部材6の重心Gを通る直線と一致するようにゲート口9が位置決めされるのが好ましい。
図面から分かるように、光学部材6が前方に向けて突出した凸部6aを備えているときには、主筐体3の光通過窓5の形状の少なくとも一部を、光学部材6の凸部6aのこれに対応する部分の外形と相補的な形状に設定するのが好ましい。例えば光通過窓5を正面から見たときに矩形の形状であれば、その互いに対抗する一対の辺を光学部材6の凸部6aのこれに対応する一対の辺と一致するように設定して、この互いに対向する一対の辺同士が嵌合するようにするのがよい。光学部材6の凸部6aの少なくとも一部が、光通過窓5のこれに対応する部分と嵌合する構成を採用したときには、ゲート入口9の配置位置を光通過窓5の投影領域Ar(図31(I))に臨む位置、好ましくは光通過窓5の中心部分と対抗する位置に設定すればよい。これによれば、電子回路基板8の後面8aは、ゲート入口9から流入するホットメルトを受ける受圧面として機能し、ホットメルトの充填によって光学部材6の凸部6aを光通過窓5の所定の位置に押し込むことができる。
また、好ましくは電子回路基板8には投光素子及び/又は受光素子が実装される。投光素子又は受光素子の少なくともいずれか一方を実装している場合には、電子回路基板8と光学部材6との相対的な位置決めが行われた状態で主筐体3に組み込まれ、そして、ゲート口9を通じて電子回路基板8の後面8aに向けて、この後面8aと直交する方向にホットメルトの充填が行われる。電子回路基板8に光学部材6を位置固定した場合には、電子回路基板8に結線されるケーブル(図示せず)を含む内蔵物の重心を通る直線と一致するようにゲート口9を位置決めするのが更に好ましい。勿論、光学部材6が前方に向けて突出した凸部6aを有している場合には、そして、この凸部6aの外形輪郭の少なくも一部が、光通過窓5のこれに対応する部分と嵌合する構成を採用した場合には、ゲート入口9からホットメルトが主筐体3の中に充填されるゲート部の位置、つまりゲート入口9が主筐体3の中を臨む位置を、光通過窓5の投影領域Ar(図31(I))に臨む位置、好ましくは光通過窓5の中心部分と対抗する位置に設定すればよい。
図31の(III)の参照符号HMは、前述したように、電子回路基板8及び光学部材6の周囲を満たすホットメルトを示す。この図31の(III)を参照して、電子回路基板8は、主筐体3及びサブ筐体4からなる筐体2の内壁から離間した状態であり、この電子回路基板8はホットメルトHMによって位置固定される。更に、光学部材6はその周囲のホットメルトHM及び電子回路基板8によって位置固定される。
光学部材6は一般的に合成樹脂で作られているため熱変形により光学特性が変化し易い。ホットメルト充填時にホットメルトが直接的に光学部材6に当たって光学部材6が変形するのを防止するために、ゲート口9を通じて充填される溶融状態のホットメルトHMを電子回路基板8の後面8aに当てるようになっている。
図32は変形例としてゲート口9を筐体2に形成した一例を示す図であり、図32の(イ)は筐体2の正面図であり、(ロ)は断面図である。筐体2は一体構造の後壁2aを有し、この後壁2aにゲート口9が形成されている。このゲート口9は、その配置位置が光学部材6の重心Gを通る直線と一致するように位置決めされるのが好ましく、また、ゲート口9は光通過窓5の投影領域Ar(図31(I))に臨む位置であってもよく、また、光通過窓5の中心部分と対抗する位置であってよい。図32の(ロ)の参照符号11は電子回路基板8に実装された表示灯であり、また、参照符号12は光透過性合成樹脂の成型品からなる表示灯カバー部材を示し、表示灯カバー部材12には導光路12aが一体成形されている。
この図32に図示の実施形態では、前述した図31に図示の実施形態と同様に、電子回路基板8の後面8aが邪魔面の役割を担っており、後壁2aのゲート口9を通じて筐体2の中に充填されるホットメルトHMが、電子回路基板8の後面8aに対して、その鉛直方向に当たることで、ホットメルト充填時のホットメルトが直接的に光学部材6に当たるのを回避することができる。そして、これによりホットメルト充填時における光学部材6の熱変形を防止することができる。
この図32に図示の実施形態では、筐体2の中に光学部材6や電子回路基板8を組み込むために、筐体2を分割構造にし、ホットメルトHMを充填する前又は後で分割筐体同士を溶接などにより一体化すればよい。
図33は他の実施形態を示す。この図33の実施形態は、筐体2の上端壁2bにゲート口9が形成されている。このゲート口9は、筐体2の後壁2aと基板8と間の隙間に向けて且つ基板8の後面8aと平行となるように指向されている。この実施形態では、基板8の後面8aに沿ってホットメルトの充填が行われるため、基板8の後面8aが仕切り板の機能を発揮して、ホットメルト充填時のホットメルトが直接的に光学部材6に当たるのを回避することができる。
図34は更に別の実施形態を示す。図34に図示の実施形態は、筐体2の下端壁2cにゲート口9が形成されている。また、筐体2は、下端壁2cのゲート口9の近傍に、ゲート口9に臨んで位置する邪魔壁13を有している。この実施形態では、邪魔板13は、光通過窓5を備えた前壁2dから後壁2aに向けて延びて基板8の近傍位置で終端し、下端壁2cと並行に延びている。この図34に図示の実施形態では、光学部材6及び基板8は、その厚さ方向に延びる邪魔壁13によって、ゲート口9から充填されるホットメルトが光学部材6及び基板8に直接的に当ることが阻止される。邪魔壁13は、ゲート口9から流入するホットメルトを受け止める受圧部材として機能する。換言すると、筐体下端壁2cのゲート口9から充填されたホットメルトは邪魔壁13のゲート口9と対面する邪魔面13aに衝突することにより、この邪魔壁13によってホットメルトが受け止められ、光学部材6に対して、ホットメルト充填時のホットメルトが直接的に当たるのを防止することができる。
後に本発明に従う2つ具体例を図面に従って説明するが、この2つの具体例のうち第1の実施例のスリム型光学センサ100が図1に図示されている。また、第2の実施例のフラット型光学センサ200が図2に図示されている。これらスリム型の光学センサ100及びフラット型の光学センサ200は共に透過型と反射型の2種類がある。透過型光学センサの構成を図3に示す。この図3は例示的にスリム型光学センサ100で透過型の構成を図示してある。図3を参照して、透過型の光学センサ100は投光ユニット300と、これとは別体の受光ユニット400とで構成される。同様に、フラット型光学センサ200にあっても図示を省略したが投光ユニットと、これとは別体の受光ユニットとで構成される。
図4は反射型光学センサを示す。この図4は例示的にスリム型光学センサ100で反射型の構成を図示してある。図4を参照して、反射型の光学センサ500は投光素子と受光素子とを内蔵しており、単一の光学センサ500によって投光及び受光が可能である。同様に、フラット型光学センサ200にあっても図示を省略したが単一の光学センサによって検出光の投光及び受光が可能である。
図5は透過型光学センサにおける投光ユニット(例えば図3の参照符号300)と受光ユニット(例えば図3の参照符号400)のブロック図であり、図6は投光ユニット300及び受光ユニット400の相互に関連した動作を説明するためのタイミングチャートを示す。
図5を参照して、透過型の投光ユニット300は外部からの直流電源の供給を受けて動作する。投光ユニット300はLED等の投光素子302とLED駆動回路304とを有し、投光制御回路306からの投光信号に基づいて投光素子302はパルス発光する。図中、参照符号308は投光レンズを示す。
図5を引き続き参照して、透過型の受光ユニット400は外部からの直流電源の供給を受けて動作する。受光ユニット400は、フォトダイオード(PD)などの受光素子402と増幅回路404を有する。投光ユニット300が発したパルス光を受光素子402が受けると、受光素子402は光電変換して受光量に応じた受光信号を出力し、これを増幅回路404で増幅した信号が制御回路406に入力される。制御回路406では、受光信号と所定のしきい値とを比較して、受光信号の大小により外部にON信号又はOFF信号を出力する。この実施例では、遮光時ONタイプの検出出力と、入光時ONタイプの検出出力の2系統の検出出力とを備えている。すなわち、遮光時ONタイプの検出出力では、受光信号がしきい値よりも小さい場合にON信号が出力され、受光信号がしきい値よりも大きい場合にOFF信号が出力される。他方、入光時ONタイプの検出出力では、受光信号がしきい値よりも大きい場合にON信号が出力され、受光信号がしきい値よりも小さい場合にOFF信号が出力される。
受光ユニット400は出力表示灯408と安定表示灯410を更に有する。出力表示灯408は、遮光時ONタイプの検出出力に対応した点灯表示をする。つまり、受光信号がしきい値よりも小さい場合に点灯し、大きい場合に消灯するように設定されている。図中、参照符号Wは検出対象物を示し、参照符号412は受光レンズを示す。
安定表示灯410は、受光信号がしきい値に対してマージンのある状態かどうかを表示する機能が与えられている。受光信号がしきい値よりも所定量以上大きいか又は所定量以上小さい場合に点灯し、しきい値を挟んで所定量以内の大小であれば消灯するように設定されている。
なお、受光ユニット400の機能に関する変形例として、検出出力を一種類に限定し、ユーザの設定により遮光時ONと入光時ONとを切り替えることができるようにしてもよい。また、この場合、出力表示灯408は、検出出力の設定変更に連動して遮光時点灯と入光時点灯とが切り替わるようにするのが好ましい。なお、受光ユニット400の感度を実質的に調整可能にするために、マニュアル操作が可能なトリマなどの手段を受光ユニット400に設けて、トリマを操作することで、しきい値の調整及び/又は増幅回路404の増幅率を調整できるようにするのが好ましい。
図7は、スリム型光学センサ100(図1)における反射型500のブロック図であり、図8は、その動作を説明するためのタイミングチャートを示す。なお、フラット型の光学センサ200(図2)においても、その反射型の内部構造のブロック図及びその動作のタイミングチャートは図7、図8と実質的に同じであると理解されたい。
反射型の光学センサ500は、外部から供給される直流電源によって駆動される。図7を参照して、反射型光学センサ500は、LED等の投光素子502とフォトダイオード(PD)などの受光素子504とを有している。投光素子502は制御回路506からの信号に基づくLED駆動回路508からの信号に基づいてパルス発光する。検出対象Wから反射されたパルス光を受光素子504が受けると、光電素子504は光電変換して受光量に応じた受光信号を出力し、増幅回路510で増幅した受光信号が制御回路506に入力される。制御回路506では、受光信号と所定のしきい値とを比較して、その大小によりON信号又はOFF信号を出力する。変形例として、受光素子504として分割フォトダイオード(分割PD)、PSD、CMOSリニアセンサ等から任意の検出素子を採用し、パルス光の受光位置に応じた距離と所定のしきい値とを対比して、その大小によりON信号又はOFF信号を出力するようにしてもよい。
なお、第1実施例のスリム型光学センサ100(図1)及び第2実施例のフラット型光学センサ200(図2)における反射型では、所定のしきい値と検出距離とを対比して、その大小に応じてON信号又はOFF信号を出力する距離固定タイプの光学センサが採用されており、所定のしきい値よりも検出距離が小さい場合にON信号を出力し、検出距離がしきい値よりも大きい場合にOFF信号を出力するNear側ONタイプの検出出力と、所定のしきい値よりも検出距離が大きい場合にON信号を出力し、小さい場合にOFF信号を出力するFar側ONタイプの検出出力との2種類の検出出力を備えている。
再び図7を参照して、反射型光学センサ500は出力表示灯512と安定表示灯514とを備えている。出力表示灯512は、Near側ONタイプの検出出力に対応した点灯表示をするように設定されている。つまり、出力表示灯512は検出距離が所定のしきい値よりも小さい場合に点灯し、検出距離がしきい値よりも大きい場合に消灯する。
安定表示灯514は、受光信号が、所定のしきい値に対してマージンのある状態かどうかを表示するものであり、検出距離がしきい値よりも所定量以上大きいか又は所定量以上小さい場合に点灯し、しきい値を挟んで所定量内の受光量であれば消灯するように設定されている。
なお、反射型光学センサ500の検出出力を1種類に限定し、Near側ONとFar側ONとを設定により切り替え可能に構成してもよい。この場合、出力表示灯512は検出出力の設定に応じて自動的にNear側点灯とFar側点灯とが切り替わるようにするのが好ましい。
反射型の光学センサ500は前述したように、しきい値を固定としているが、ユーザが操作可能なトリマなどの調整手段によってしきい値を調整できるようにしても良い。これにより、反射型光学センサ500の感度を実質的に調整することができる。なお、図7中、参照符号516は投光レンズを示し、参照符号518は受光レンズを示す。
第1実施例(図1、図9〜図19):
図1は第1実施例のスリム型光学センサ100の斜視図であり、図9は、その分解斜視図である。図9を参照して、スリム型光学センサ100は、ステンレスの成型品である金属筐体102と、この中に組み込まれる内蔵部品104と、内蔵部品104に結線されたケーブル106とを含み、ケーブル106を通じてスリム型光学センサ100に電源が供給されると共にスリム型光学センサ100の検出信号が出力される。
引き続き図9を参照して、スリム型光学センサ100の筐体102は概略直方体の外形輪郭を有し、その大きさは縦約25mm、横約7mm、厚み約12mmである。筐体102はステンレスなどの防錆性に優れた金属の成型品であり、その上端面が大きく開放された上端開口102aを有している。
金属筐体102の前壁102bには、前記上端開口102aに連なる前方窓108が形成されている。また、筐体102の下端壁には、下方に向けて突出した円筒状のスリーブ110が形成され、このスリーブ110に嵌挿される可撓性グロメット(ケーブルブッシュ)112にケーブル106を貫通させることで、ケーブル106は光学センサ100の内外に延びている。ケーブル106を通じて光学センサ100に直流電源が供給され、また、このケーブル106を通じて光学センサ100の検出信号が出力される。
内蔵部品104には合成樹脂製の導光部品114が含まれており、この導光部材114は、筐体102の上端開口102aに位置決めされ、そして、筐体102の上端開口102aは光透過性樹脂製の表示灯カバー116で閉塞される。内蔵部品104には電子回路基板119が含まれ、この電子回路基板119には、図5、図7を参照して説明した各種の回路の他に、投光素子302(502)、受光素子402(504)、出力表示灯408(512)、安定表示灯410(514)が所定位置に実装される。
スリム型光学センサ100は、前述したように、筐体102を共通にした反射型と透過型との2種類が用意されている。図10は、反射型の光学センサ100に組み込まれる光学部材118と電子回路基板119を示す。図11は、透過型且つ投光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材118と電子回路基板119を示し、図12は、透過型且つ受光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材118と電子回路基板119を示す。説明の都合上、各型式の光学センサ100に関する光学部材及び電子回路基板を識別するために、図10の反射型に組み込まれる光学部材118及び電子回路基板119に符号Reを付記し、図11の透過型且つ投光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材118及び電子回路基板119に符号Per(FL)を付記し、図12の透過型且つ受光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材118及び電子回路基板119に符号Per(RE)を付記して図示してある。
反射型を図示した図10を参照して、光学部材118Reは、前方に向けて突出した凸部を構成するレンズカバー120と、スリット部材122と、を含む。レンズカバー120と前記スリット部材122は、共に樹脂成型品である。光学部材118Reの一部を構成する投光素子(LED)502(図7)と受光素子(分割フォトダイオード)504(図7)は電子回路基板119Reに実装されている。図中、参照符号512は前述した出力表示灯であり、参照符号514は前述した安定表示灯である。出力表示灯512は赤色発光LEDで構成され、他方、安定表示灯514は緑色発光LEDで構成され、これらも電子回路基板119Reに実装されている。
スリット部材122には、投光素子502に対応した投光用の光通過通路122aと、受光素子504に対応した受光用の光通過通路122bとが互いに独立して形成された平面視略長方形の立体形状を有しており、この立体形状のスリット部材122は周囲壁面122cを有している。スリット部材122は不透明のブロック状の樹脂成形品であり、少なくとも光通過通路122a、122bを規定する通路壁面の色として、光を吸収する色を採用するのがよい(典型的には黒色)。勿論、スリット部材122を構成する樹脂を黒色又は暗色にすることで光通過通路122a、122bの通路壁面を黒色又は暗色にしてもよいし、光通過通路122a、122bを規定する通路壁面を黒色又は暗色塗料で着色してもよい。投光用の光通過通路122aを規定する、検出光が不透過な通路壁面を好ましくは黒色又は暗色の壁面にすることで迷光の発生を抑制できる。他方、受光用の光通過通路122bを規定する通路壁面を黒色又は暗色にすることで、検出対象物Wから戻って来る光の迷光を吸収することができる。
立体ブロック形状のスリット部材122の周囲壁面には、スリット部材122の厚さ方向に延びる縦溝124と、同様に厚さ方向に延びる縦突条126が形成されている。これに対応してレンズカバー120のスカート部132の内壁面に縦突条と縦溝とが形成されており、この縦溝124と縦突条126との組み合わせによるガイド且つ位置決め手段によって、後に詳しく説明するレンズカバー120とスリット部材122とが正規の相対関係で組み付けられるのを確かなものにしている。
図14はスリム型光学センサ100の正面図であり、図16は図14のX16−X16線に沿った断面図であり、図17は図14のX17−X17線に沿った断面図であり、図18は図14のX18−X18線に沿った断面図である。これら図16〜図18の断面図をも参照して、レンズカバー120は、平面視略長方形のカバー部130と、このカバー部130の周囲から後方つまり基板119Re側に向けて延びるスカート部132とを有し、スカート部132は周囲方向に連続している。これらカバー部130とスカート部132を含むレンズカバー120は合成樹脂製の一体成形品である。ここに、合成樹脂としては、透明性と耐環境性能を考慮すると、ポリカーボネート(PC)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、PMMA(アクリル樹脂)、環状オレフィン、COP(シクロオレフィンポリマー)等の熱可塑性樹脂が好適である。なお、合成樹脂は、合成樹脂の荷重たわみ温度と充填されるホットメルトの軟化点とを考慮して選択されることが好ましい。例えば、軟化点が120℃〜160℃程度のホットメルトを選択するときには、荷重たわみ温度が170℃以上(曲げ応力1.81MPa)の合成樹脂材料を選択するのがよい。また、耐油性、耐薬品性の観点を含めて合成樹脂材料を選択するのが好ましく、この観点に立脚するときにはポリサルフォンなどが好適である。
スカート部132はその外周面が凹凸形状を有している。図10を参照して具体的に説明すると、スカート部132の外周面にはその周囲方向に延びる溝132aと隣接する溝132aと132aとの間に位置する突条132bとで凹凸形状が形成されている。変形例として、スカート部132の外周面にドット状の突起又は凹部を形成してもよいし、周囲溝132aを間欠的に設けてもよいし、周囲溝132aを千鳥状に設けてもよい。図10の例では、溝132aはスカート部132の全周に亘って連続して延びてはいないが、この溝132aはスカート部132の全周に亘って連続して延びていてもよい。このように、光学部材118の外周面を構成する前記スカート部132の周面に凹凸を形成することにより、後に説明するホットメルトとの境界の面積を拡大することができる。
平面視略長方形のレンズカバー120は赤色透明の樹脂の成形品であり、レンズカバー120の前面を構成するカバー部130の表面は平らであり、その対向面つまり後面には、投光素子502及び受光素子504に夫々対応した位置に投光用と受光用の2つの凸レンズ面が形成され、この凸レンズ面で、投光素子502からの検出光を外部に導き、また、外部からの検出光を受光素子504に導く光透過部の主要部分が構成されている(図16)。また、レンズカバー120の両側部及び下端部には、連続して延びる水平フランジ134が形成され、この水平フランジ134は、レンズカバー120の前面の近傍つまりスカート部132の基端部に形成されている。
図18から最も良く分かるように、レンズカバー120の中にブロック形状のスリット部材122が嵌挿される。平面視略長方形の立体形状を有するスリット部材122の少なくとも両側面は、レンズカバー120のスカート部132の内面と当接した状態になる。すなわち、レンズカバー120のスカート部132の内面と、ブロック形状のスリット部材122の外面とは、少なくとも一部が相補的な形状を有し、これにより、レンズカバー120のスカート部132は、この中に嵌挿された立体ブロック形状のスリット部材122によって支持されている。換言すると、スリット部材122は、その外周側に位置するスカート部132を支持する機能を有している。なお、スリット部材122が、レンズカバー120のスカート部132の内面と当接した状態で、その外周に位置するスカート部132を支持する機能を有する例を示したが、例えば、荷重たわみ温度の高い合成樹脂を選択する、或いは、スカート部132が厚肉で十分な強度がある場合などは、必ずしもスリット部材122をスカート部132の内面と当接させる必要は無い。
図11の透過型且つ投光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材118Per(FL)、電子回路基板119Per(FL)及び図12の透過型且つ受光側の光学センサ100に組み込まれる光学部材118Per(RE)、電子回路基板119Per(RE)の基本的な構成及び構造は、図10を参照した上記の反射型の光学部材118Re、電子回路基板119Reと実質的に同じであるので、図10の説明で使用した参照符号を図11、図12に使用することにより詳しい説明を省略する。なお、図11の透過型且つ投光側の電子回路基板119Per(FL)には運転表示灯140が実装され、この運転表示灯140は緑色発光LEDで構成されている。
ステンレスの成型品である筐体102に光学部材118を組み込む前に、レンズカバー120とスリット部材122のサブアッセンブリ及びレンズカバー120を電子回路基板119に固定する作業が行われる。この固定は、スリット部材122を組み込んだ後のレンズカバー120を電子回路基板119に接着する作業を含んでいる。具体的には、例えば一液性のエポキシ等の接着剤を使ってレンズカバー120のスカート部132の自由端が電子回路基板119の所定位置に固定される。スカート部132を電子回路基板119の所定位置に位置決めするために、例えば凹凸をスカート部132の自由端面と電子回路基板119の表面に形成するのが好ましい。
また、接着剤を使ってスカート部132の自由端と電子回路基板119との界面をシールし、レンズカバー120と回路基板119とによって投光素子及び/又は受光素子を包囲することで、金属筐体102の中に充填されるホットメルトHMが投光素子及び/又は受光素子の光学経路に侵入してしまうのを防止するようにしてもよい。この際、回路基板119に貫通孔などの孔が形成されている等、ホットメルトが侵入してしまう虞のある経路が存在する場合には、その該当箇所をテープや接着剤などにより予め目止めを施すのがよい。
変形例として、投光及び/又は受光の検出光が通過する光通路を備えた立体ブロック形状のスリット部材122を電子回路基板119の所定位置に固定し、このスリット部材122に対してレンズカバー120を位置決めするようにしてもよい。
レンズカバー120を電子回路基板119に位置固定することにより、レンズカバー120に嵌挿されたスリット部材122も電子回路基板119に対して位置決めされた状態になる。そして、基板119に実装された投光素子302(502)、受光素子402(504)などの主要な部品はレンズカバー120、スリット部材122によって密閉された状態となる。すなわち、投光素子302(502)、受光素子402(504)はレンズカバー120、スリット部材122,電子回路基板119によって覆われ、このレンズカバー120、スリット部材122,電子回路基板119の周囲はホットメルトHMで包囲されている。
なお、スリット部材122を導電性樹脂材料で成形し、あるいは、スリット部材122の外表面に導電性塗料をコーティングすることで、スリット部材122に電磁的なシールド機能を付与するのが好ましい。この場合には、スリット部材122を導電性接着剤を使って基板119に接着することで基板119のGNDに導通させるのが好ましい。
図10を参照して、電子回路基板119Reには、その下端部の前面及び後面に、夫々、横並びに2つのランド142が配置され、合計4つのランド142はケーブル106の4本の配線144(図16、図19)を半田付けするのに用いられる(図10には、後面のランドは現れていない)。なお、図11の透過型且つ投光側の電子回路基板119Per(FL)のランド142は2つであり、回路基板119Per(FL)の表面に横並びに配置されている。他方、図12の透過型且つ受光側の電子回路基板119Per(RE)は合計4つのランド142を有し、表面に2つ、後面に2つ配置されている(図12には、後面のランドは現れていない)。
図15は、スリム型光学センサ100を斜め後方から見た斜視図であり、図16はスリム型光学センサ100の縦断面図であり、図18はスリム型光学センサ100の横断面図である。筐体102の後壁102dにはゲート口150が一体成形され、そして、後壁102dの後面にはゲート口150を囲んで周方向に延びる円周隆起158が一体成形されている。ゲート口150の周囲に隆起158を設けることにより、後に説明するホットメルト充填機のノズルが当接する面圧を高めることができ、これによりゲート口150の周囲にバリが発生するのを抑制することができる。筐体後壁102dのゲート口150は、その軸線が、光学部材118の重心Gを通る直線Lと一致するように位置決めされるのが好ましく(図16、図18)、最も好ましくは、ケーブル160を結線した回路基板119とレンズカバー120、スリット部材122の重心を通る直線と一致するようにゲート口150を位置決めするのがよい。ゲート口150は次に説明するホットメルト充填口を構成するものである。
図13は、回路基板119に光学部材118を固定し、また、回路基板119にケーブル106を結線した組立体152を示す。この組立体152は筐体102の上端開口102aから筐体102の中に挿入される。筐体102には、前述したレンズカバー120の両側部の水平フランジ134(図13)を受け入れる水平溝つまりスライド溝が筐体102の両側壁の内面に形成されている(図18)。また、水平フランジ134の下端部つまり横方向に延びる部分を受け入れる凹所156が筐体前方窓(光通過窓)108の下端縁近傍に形成されている(図16)。
組立体152は、筐体102の上端開口102aから挿入すると、レンズカバー120の水平フランジ134の両側に位置する部分が筐体102の両側壁のスライド溝に受け入れられて、このスライド溝によって組立体152が筐体102の中に案内され、また、水平フランジ134の下端部が凹所156(図16)に受け止められることにより組立体152が実質的に筐体102に位置決めされた状態になる。
レンズカバー120の水平フランジ134よりも前方に突出した部分は前記凸部を構成し、この凸部は筐体前方窓(光通過窓)108の左右の側縁及び下端縁と相補的な形状を有し、そして、筐体前方窓(光通過窓)108に嵌合する。レンズカバー120が筐体前方窓108に嵌合することにより、筐体102の前面と、レンズカバー120の前面(凸部の前面)とが面一の状態になる。この嵌合は緩い嵌合であってもよいし密な嵌合であってもよい。
次の工程では、筐体102の上端開口102に、導光部品114、表示灯カバー116が装着される。導光部品114は光透過性合成樹脂の成形品であり、回路基板119に実装した出力表示灯408、安定表示灯410、運転表示灯140の光を誘導する機能を有している。
表示灯カバー116を装着した筐体102は金型のキャビティに載置され、ホットメルト充填機で、筐体102のゲート口150から筐体102の中にホットメルトが充填されることになるが、充填時、ホットメルトは回路基板119によって受け止められる。すなわち、回路基板119は邪魔板の役割を奏し、回路基板119の後面がゲート口150から流入するホットメルトを受け止める受圧面として機能する。このことから、充填時、ホットメルトによって回路基板119は前方に付勢され、この結果、レンズカバー120も前方に押し付けられて、レンズカバー120は筐体前方窓(光通過窓)108の正規の位置に位置決めされた状態となる。また、ホットメルト充填時に、回路基板119は、筐体102の中に入り込んでくるホットメルトに対して邪魔部材としての役割を奏するため、充填時のホットメルトが直接的に光学部材118に当たることはない。また、光学部材118の一部を構成するレンズカバー120は、この中に嵌挿されたスリット部材122によって支持されているため、レンズカバー120の熱変形を抑制することができる。図16〜図19の参照符号HMは、金属筐体102の中に充填したホットメルトを示す。
ホットメルトHMは耐油性、耐水性、耐薬性を確保するのに用いられていることから、このホットメルトHMで回路基板119と筐体102との間の隙間を埋めることで電子回路を保護することができる。回路基板119は筐体102から離間しているため、この回路基板119の全体をホットメルトHMで覆うことで電子部品への油等の異物侵入を防止することができる。
レンズカバー120は回路基板119まで延びるスカート部132を備え、このスカート部132の後端面が予め回路基板119に接着され、この接着した部分もホットメルトHMで包囲されることから、ホットメルトを筐体102の中に充填することに伴って光学部材118の内部にホットメルトが侵入してしまうのをレンズカバー120のスカート部132によって防止することができる。
また、レンズカバー120のスカート部132の外面に凹凸132a、132bを設けたことにより、ホットメルトHMとの接触面積を増やすことができると共に、固化したホットメルトHMとの機械的な係合によってレンズカバー120を確実に位置固定することができる。
金属製の筐体102の後壁102dに形成されているゲート口150の軸線を、最も好ましくはケーブル106が結線された基板119と、これに接着されたレンズカバー120と、レンズカバー120の中に嵌挿されたスリット部材122の重心を通る直線Lと一致するように位置決めした場合や、筐体102の前述した筐体前方窓(光通過窓)108の中心部分と対抗する位置に位置決めした場合には、ホットメルト充填時に筐体102の中に流入するホットメルトでケーブル付の基板119及びレンズカバー120を前方に安定的に押し付けることができ、これら内蔵部品104の位置決め状態を維持した安定した充填が可能になる。
金属筐体102の中に充填したホットメルトHMによってレンズカバー120及び回路基板119並びにレンズカバー120と回路基板119との接着部分が包囲されて、このホットメルトHMによってレンズカバー120と回路基板119が金属筐体102と一体化されると共にホットメルトHMによって包囲された状態となる。また、表示灯カバー116もホットメルトHMによって金属筐体102に接着された状態なる。スリム型光学センサ100の設置環境の下で、仮に金属筐体102内に液状の異物が侵入したとしても、そのことによって直ちには誤動作を生じる虞は殆ど無い。すなわち、回路基板119の周囲は基本的にホットメルトHMで包囲されている。液状異物が侵入する可能性のある界面は、外界に接している金属筐体102とレンズカバー120との境界部や、それに続くレンズカバー120とその回りのホットメルトとの境界部に過ぎない。
なお、図面に見られる参照符号160は光学センサ100を検出環境の所定位置に設置するための設置孔を示し、光学センサ100は、この設置孔160に挿入したボルトを使って位置固定される。上記例では、レンズカバー120が、投光素子からの検出光、或いは、受光素子への検出光を透過し、そしてレンズ面を主体とする光透過部を含むカバー部130とスカート部132とが一体的に成形され、スリット部材122がレンズカバー120とは別パーツである例を示したが、本発明はこれに限られず、例えば、レンズが別体で構成されるものや、光透過部を含むカバー部130とスカート部132が別体で構成されるものにも適用可能である。また、投光素子あるいは受光素子の形状やレンズ形状により必ずしもスリット部材122を必要としない光学系を採用してもよい。この場合、スカート部132を厚肉にする、荷重たわみ温度の高い合成樹脂を選択する、或いは、スリット機能を有しないスカート部補強部材をスカート部132の内面と当接させるなどしてスカート部132に十分な強度を持たせることができる。
第2実施例(図2、図20〜図30)
図2は第2実施例のフラット型光学センサ200の正面図であり、図20はフラット型光学センサ200の分解斜視図である。図20を参照して、フラット型光学センサ200は、筐体202と、この中に組み込まれる内蔵部品204と、内蔵部品204に結線されたケーブル206とを含み、ケーブル206を通じてフラット型光学センサ200に電源が供給されると共にフラット型光学センサ200の検出信号が出力される。
図21はステンレスの成型品である筐体202をその内側から見た斜視図である。フラット型光学センサ200の筐体202は、周囲壁202aを備えた平面視概略矩形のトレーの形状を有し、その大きさは縦約27mm、横約14mm、厚み約5mmである。筐体202はステンレスなどの防錆性に優れた金属の成形品であり、その中間部分に光通過窓208を有し、また、上端部に表示灯カバー210を装着するためのカバー装着開口212が形成されている。
ステンレスの成型品である筐体202の下端部には、前記第1実施例と同じ設置孔160が左右に離間して一対形成され、この左右の設置孔160で挟まれたネック溝214にケーブル206が設置され、このケーブル206は筐体周囲壁202aの下端部に形成された切欠き216を通じて内外に延出している。このケーブル206が通過するネック溝214は幅狭であり、ネック溝214の幅は、ケーブル206に含まれる複数本の配線206aの各配線の幅W1(図30)よりも大きいがケーブル206の幅W2(図20)よりも小さい。
フラット型光学センサ200の内蔵部品204は、前述したスリム型光学センサ100(図1)と同様に、筐体202を共通にした反射型と透過型との2種類が用意されている。この内蔵部品204に含まれる光学部材に関しては、スリム型光学センサ100の光学部材118と実質的に同じであることから、フラット型光学センサ200に含まれる光学部材に関連した部材にはスリム型光学センサ100の光学部材118と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図22は、透過型且つ投光側のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材と電子回路基板を示す。図23は、透過型且つ受光側のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材と電子回路基板を示し、図24は、反射型のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材と電子回路基板を示す。フラット型光学センサ200の光学部材118は、スリム型光学センサ100と同様にレンズカバー120とスリット部材122を含む。説明の都合上、各型式のフラット型光学センサ200に関する光学部材118及び電子回路基板219を識別するために、図22の透過型且つ投光側のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材118及び電子回路基板219に符号Per(FL)を付記して図示してある。図23の透過型且つ受光側のフラット型光学センサ200に組み込まれる光学部材118及び電子回路基板219に符号Per(RE)を付記して図示してある。図24の反射型に組み込まれる光学部材118及び電子回路基板219に符号Reを付記して図示してある。
なお、フラット型光学センサ200の電子回路基板219の下端部には、その前面に前述した複数のランド142が設けられ、後面にはランド142が設けられていない。すなわち、電子回路基板219の前面にだけランド142を設けることで、ランド142を後面に設けることに比べて実質的な厚さ寸法を小さくすることができる。
図22に図示の透過型投光側のスイッチ200は、出力線が存在しないためケーブル206に含まれる配線206aは電源線の2本だけで構成されている。したがって、これが半田付けされるランド142は2つである。図23に図示の透過型受光側のスイッチ200は、受光素子402だけでなく制御回路が電子回路基板219Per(RE)に組み込まれており、また、出力表示灯408、安定表示灯410も実装されているため、ケーブル206は2本の電源線と2本の出力線2本の合計4本の配線206aで構成される。
図24に図示の反射型の回路基板219Reには、投光素子502、受光素子504、制御回路が実装されており、レンズカバー120Re及びスリット部材122Reは投光素子502、受光素子504に対応した構成となっている。反射型に採用する受光素子504は、透過型で採用可能な1つのフォトダイオード(PD)で構成されてもよいが、この実施例では図25に示すように3個の分割フォトダイオード(PD)で受光素子504が構成されている。図25において、一番上のフォトダイオード(PD)側と真ん中のフォトダイオード(PD)は、その出力を合算して使用される。したがって、この実施例の受光素子504は実質的に2分割フォトダイオード(PD)の構成となっている。
引き続き図25を参照して、近距離(Near)での反射光は図中最も上(投光素子502から遠い側)のフォトダイオード(PD)で受光される。他方、遠距離(Far)での反射光は図中の最も下(投光素子502に近い側)のフォトダイオード(PD)で受光される。近距離側に対応するために2つのフォトダイオード(PD)を採用することの利点は次のとおりである。
検出対象物Wが近づく方向又は遠ざかる方向に移動したときに、受光素子502の面上での反射光の移動量は、近距離側の方が遠距離側よりも大きい。例えば、近接した検出対象物Wからの反射光が、受光素子502よりも上方に変位して近距離側及び遠距離側の双方のフォトダイオード(PD)で反射光を受光できなかった場合には、検出対象物Wが存在しないのか、それとも検出対象物Wが極めて遠方のために近距離側・遠距離側双方のフォトダイオード(PD)が反射光を受光できなかったのかの区別がつかなくなってしまう。その結果、検出対象物Wが基準距離よりも近距離側に存在しているにも関わらず「近距離側には検出対象物Wが存在しない」との誤った判定をしてしまうことになる。この現象を、実施例のように近距離側に対応するために2つのフォトダイオード(PD)を採用することで防止することができる。
実施例では、近距離(Near)側のフォトダイオード(PD)が2つの正方形のフォトダイオード(PD)で構成されているが、1つの長方形のフォトダイオード(PD)で構成しても良い。要するに、近距離(Near)側の受光素子502は、基準距離よりも近距離側からの反射光を受光できる形状で且つこの反射光を受光できる位置に配置されていれば良い。
筐体202に光学部材118を組み込む前に、前述した第1実施例と同様に、レンズカバー120とスリット部材122のサブアッセンブリ及びレンズカバー120を電子回路基板219に位置固定する作業が行われる。この固定は、第1実施例と同様に接着剤を用いて行われる。すなわち、スリット部材122を組み込んだレンズカバー120を電子回路基板219に接着する作業を含んでいる。具体的には、例えば一液性のエポキシ等の接着剤を使ってレンズカバー120のスカート部132の自由端が電子回路基板219の所定位置に固定される。
レンズカバー120を電子回路基板219に接着することで、スリット部材122も基板219に対して位置決めされ、また、回路基板219に実装されている投光素子302(502)、受光素子402(504)及び主要な電子部品を含む電子回路がレンズカバー120及びスリット部材122によって密閉された状態になる。
変形例として、スリット部材122を電子回路基板219の所定位置に固定し、このスリット部材122に対してレンズカバー120を位置決めするようにしてもよい。
図26は、回路基板219に光学部材118を固定し、また、電子回路基板219にケーブル206を結線した組立体222を示す。この組立体222は、後方に向けて開放したトレー状の筐体202に対して、筐体202の後方から組み付けられる(図20)。
レンズカバー120の水平フランジ134よりも前方に突出した部分は凸部を構成しているのは前述した通りであるが、この凸部の輪郭に一致するように筐体202の光通過窓208の輪郭が設定されている。組立体222を筐体202に組み付ける際に、レンズカバー120を筐体前方窓108に嵌合することにより、筐体202の前面と、レンズカバー120の前面(凸部の前面)とが面一の状態になる。この嵌合は緩い嵌合であってもよいし密な嵌合であってもよい。レンズカバー120の水平フランジ134によってレンズカバー120は金属筐体202に位置決めされる。また、筐体202のカバー装着開口212に表示灯カバー210が装着される。
上記の仮組み付け状態で金型のキャビティに載置され、金型に形成したゲート口を通じてホットメルト充填機により金属筐体202の中にホットメルトが充填される。図28に図示した矢印から理解できるように、筐体202にホットメルトを充填する方法は、図31を参照して説明した方法に従って行われる。すなわち、後方に向けて開放した筐体202の後方から、電子回路基板219の後面、より詳しくは金属筐体202の光通過窓208の中心部分と対抗する部分に向けてホットメルトの充填が行われ、この充填が終わると、筐体202の後方開口はステンレスプレートからなるサブ筐体224の四隅を溶接することにより筐体202が密閉される。
金属筐体202の中にホットメルトを充填することにより、レンズカバー120及び回路基板219並びにレンズカバー120と回路基板219との接着部分が金属筐体202とホットメルトHMによって一体化された状態となり、また、表示灯カバー210が金属筐体202に接着された状態となる。
図31を参照して説明したように、充填時のホットメルトは回路基板219によって受け止められる。すなわち、回路基板219は邪魔板の役割を奏し、回路基板219の後面に直交する方向に流入するホットメルトを受け止める受圧面として回路基板219の後面が機能する。このことから、充填時、ホットメルトによって回路基板219は前方に付勢され、この結果、レンズカバー120も前方に押し付けられて、レンズカバー120は筐体光通過窓208の正規の位置に押し付けられた状態となる。また、ホットメルト充填時に、回路基板219は、筐体202の中に入り込んでくるホットメルトに対して邪魔部材としての役割を奏するため、充填時のホットメルトが直接的に光学部材118に当たることはない。また、光学部材118の一部を構成するレンズカバー120は、第1実施例と同様に、レンズカバー120の中に嵌挿されたスリット部材122によって支持されているため、レンズカバー120の熱変形を抑制することができる。
なお、回路基板219から延びるケーブル206の端部では、剥き出しになった配線206aが横並びの状態で回路基板219に半田付けされるが、図20、図24から分かるように、複数の配線206aの端部は90度ひねられて上下に一列に重なり合った状態に形作られ、この縦一列の状態で筐体202のネック溝214に装着される。この状態を図30に図示してある。なお、図30は図2のX30−X30線に沿った断面図である。図30に示すドットHMはホットメルトであり、ネック溝214に流入したホットメルトによって配線206aが固定される。
図28はフラット型光学センサ200の縦断面図であり、図2のX28−X28線に沿って切断した図である。また、図29はフラット型光学センサ200の横断面図であり、図2のX29−X29線に沿って断面した図である。図28、図29に示すドットHMはホットメルトである。
前述した第1実施例でも説明したが、ホットメルトHMで回路基板219と筐体202との間の隙間を埋めることで電子回路を保護することができる。回路基板219は筐体202から離間しているため、この回路基板219の全体をホットメルトHMで覆うことで電子部品への油等の異物侵入を防止することができる。
また、レンズカバー120のスカート部132の端面を予め電子回路基板219に接着してあることから、ホットメルトを筐体202の中に充填することに伴って光学部材118の内部にホットメルトが侵入してしまうのをレンズカバー120のスカート部132によって防止することができる。
また、レンズカバー120のスカート部132の外面に凹凸132a、132bを設けたことにより、ホットメルトHMとの接触面積を増やすことができると共に、固化したホットメルトHMとの機械的な係合によってレンズカバー120を確実に位置固定することができる。
金属筐体202の中に充填したホットメルトHMによって、フラット型光学センサ200の設置環境の下で、仮に金属筐体202内に液状の異物が侵入したとしても、回路基板219の周囲がホットメルトHMで包囲されているため誤動作を生じる虞は殆ど無い。
この第2実施例においても、第1実施例と同様に、スリット部材122が、レンズカバー120のスカート部132の内面と当接した状態で、その外周に位置するスカート部132を支持する機能を有する例を示したが、例えば、スカート部132が厚肉で十分な強度がある場合などは、必ずしもスリット部材122をスカート部132の内面と当接させる必要は無い。
また、上記例では、レンズカバー120が投光素子からの検出光、或いは、受光素子への検出光を透過しレンズ面が形成された透過部とスカート部132とが一体的に成型され、スリット部材122がレンズカバー120とは別パーツである例を示したが、本発明はこれに限られず、例えば、レンズが別体で構成されるものや、透過部とスカート部132が別体で構成されるものにも適用可能である。
さらに、投光素子502あるいは受光素子504の形状やレンズ形状により必ずしもスリット部材122を必要としない光学系を採用してもよい。この場合、スカート部132を厚肉にする、或いは、スリット機能を有しないスカート部補強部材をスカート部132の内面と当接させるなどしてスカート部132に十分な強度を持たせることができる。
第1、第2実施例において、受光素子として分割フォトダイオード(PD)を用いた距離式反射型光電スイッチや、受光素子として単一フォトダイオード(PD)を用いた透過型光電スイッチの例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、受光素子504にフォトダイオード(PD)を用いた光量式反射型光電スイッチや、受光素子にCCD、CMOS等の撮像素子も設けた反射型光学変位センサ、エリア状の光を投受するや透過型エリア光学センサなど光電スイッチをはじめとする種々の光学センサに適用可能である。
また、第1、第2実施例において、光学部材、ケーブル並びにホットメルトによって回路基板を包囲することで耐油性、耐水性などの耐環境性能を確保していることから、金属筐体は必ずしも気密又は水密である必要は無く、金属筐体それ自身は、外部からの水や油などの侵入をある程度許容する構造を有していてもよい。