以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
先ず、本発明に係る露点温度計測システムの実施の形態の説明に入る前に、この露点温度計測システムに用いる鏡面冷却式露点計について説明する。
〔鏡面冷却式露点計〕
図1はこの鏡面冷却式露点計の単体の概略構成図である。この鏡面冷却式露点計201はセンサ部201Aとコントロール部201Bとを有している。
〔センサ部〕
センサ部201Aにおいて、11は鏡であり、その表面11−1が鏡面とされている。鏡11は、例えばシリコンチップとされており、鏡11の裏面11−2側に第1の熱電冷却素子(ペルチェ素子)2の冷却面2−1が取り付けられている。また、鏡11と第1の熱電冷却素子2の冷却面2−1との間には、例えば白金による第1の温度センサ12が設けられている。第1の温度センサ12は鏡11の裏面11−2の温度を鏡面温度tPpvとして検出する。
また、第1の熱電冷却素子2は、その加熱面2−2を底面として、センサボディ13の先端部13aの傾斜面13bに取り付けられている。傾斜面13bはセンサボディ13の中心軸に対して30゜〜45゜の傾斜角とされている。したがって、第1の熱電冷却素子2の冷却面2−1に第1の温度センサ12を挟んで取り付けられた鏡11の鏡面11−1もセンサボディ13の中心軸に対して30゜〜45゜の角度で傾けられている。
センサボディ13の先端部13aにつながる後端部13cは円柱状とされている。この後端部13cには、その先端面を鏡面11−1に対向させて、投受光一体型の光ファイバ14が保持されている。投受光一体型の光ファイバ14の投光軸および受光軸はセンサボディ13の中心軸と平行とされている。なお、この例では、後端部13cから鏡面11−1に向かって突き出ている投受光一体型の光ファイバ14の光ファイバ14−1,14−2のうち、14−1を投光側の光ファイバ、14−2を受光側の光ファイバとしている。
センサボディ13の後端部13cの後部には冷却ブロック15が接合されている。また、冷却ブロック15の後部には、冷却板16が接合されている。センサボディ13、冷却ブロック15、冷却板16はいずれも熱伝導性の部材とされており、このセンサボディ13と冷却ブロック15と冷却板16とによって熱伝導体17が構成されている。
冷却板15の後部には第2の熱電冷却素子(ペルチェ素子)18が設けられている。第2の熱電冷却素子18は、その冷却面18−1を冷却板16側として、熱伝導体17に取り付けられている。すなわち、熱伝導体17の一端に第1の熱電冷却素子2の加熱面2−2が取り付けられ、熱伝導体17の他端に第2の熱電冷却素子18の冷却面18−1が取り付けられている。この鏡面冷却式露点計201において、第2の熱電冷却素子18の冷却能力は、そのサイズを比較しても分かるように、第1の熱電冷却素子2の冷却能力よりも遙かに大きいものとされている。
第2の熱電冷却素子18の加熱面18−2にはヒートシンク19が放熱体として接合されている。ヒートシンク19には多数の放熱フィン19aが形成されている。このヒートシンク19も熱伝導体17と同様、熱伝導性の部材とされている。また、ヒートシンク19の後方には冷却ファン20が設けられており、冷却板16には第2の温度センサ21が設けられている。第2の温度センサ21は、第2の熱電冷却素子18の冷却面18−1の温度をサブクーラ温度tSpvとして検出する。
この鏡面冷却式露点計201では、冷却板16と第2の熱電冷却素子18とヒートシンク19と冷却ファン20とを合わせた構成を補助冷却器(サブクーラ)と呼ぶが、補助冷却器(サブクーラ)の主要構成は第2の熱電冷却素子18であり、第2の熱電冷却素子18単体を補助冷却器(サブクーラ)と呼んでもよい。ここでは、冷却板16と第2の熱電冷却素子18とヒートシンク19と冷却ファン20とを合わせた構成をサブクーラSCとする。
また、この鏡面冷却式露点計201において、第1の熱電冷却素子2や鏡11,第1の温度センサ12,投光側の光ファイバ14−1,受光側の光ファイバ14−2などを含む検出部DTは、被測定気体が引き込まれるサンプリングチャンバ31内に断熱材32を通して設けられている。また、サンプリングチャンバ31に対しては、図2に示すように、このサンプリングチャンバ31に被測定気体を導くための仕切り弁40と吸引ポンプ41が設置されている。
また、センサ部201Aには、光電変換器22が設けられている。光電変換器22は、コントロール部201Bからの電気信号を光信号に変換して投光側の光ファイバ14−1へ与えたり、受光側の光ファイバ14−2からの光信号を電気信号に変換してコントロール部201Bへ与えたりする。光電変換器22とコントロール部201Bとの接続関係については後述する。また、センサ部201Aに対しては、冷却ファン20が吸い込む外気の温度をtoutとして検出する外気温度センサ23が設けられている。外気温度センサ23が検出する外気温度toutはコントロール部201Bへ送られる。
〔コントロール部〕
コントロール部201Bには、メインコントローラ24と、サブコントローラ25と、電源26と、電源スイッチ27と、露点計測ON/OFFスイッチ28と、サブクーラ制御ON/OFFスイッチ29と、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30とが設けられている。
メインコントローラ24は、CPU24−1と、第1のA/D変換器24−2と、第2のA/D変換器24−3と、露点温度出力部24−4と、RAM24−5と、ROM24−6とを備えている。CPU24−1は、外部からの各種入力情報を得て、RAM24−5にアクセスしながら、ROM24−6に格納されたプログラムに従って動作する。ROM24−6には露点計測プログラムが格納されている。
なお、メインコントローラ24において、第1のA/D変換器24−2は、光電変換器22からの電気信号に変換された受光側の光ファイバ14−2からの光信号(信号S4)をデジタル信号に変換してCPU24−1へ与える。また、第2のA/D変換器24−3は、第1の温度センサ12からの鏡面温度tPpv(信号S2)をデジタル信号に変換して露点温度出力部24−4およびCPU24−1へ与える。露点温度出力部24−4は第1の温度センサ12からのデジタル信号に変換された鏡面温度tPpvを露点温度として上位装置へ送る。
サブコントローラ25は、CPU25−1と、第1のA/D変換器25−2と、第2のA/D変換器25−3と、RAM25−4と、ROM25−5とを備えている。CPU25−1は、外部からの各種入力情報を得て、RAM25−4にアクセスしながら、ROM25−5に格納されたプログラムに従って動作する。ROM25−5にはサブクーラ制御プログラムが格納されている。
なお、サブコントローラ25において、第1のA/D変換器25−2は、第2の温度センサ21からのサブクーラ温度tSpv(信号S6)をデジタル信号に変換してCPU25−1へ与える。また、第2のA/D変換器25−3は、外気温度センサ23からの外気温度tout(信号S8)をデジタル信号に変換してCPU25−1へ与える。また、CPU25−1には、メインコントローラ24における第2のA/D変換器24−3を介して、第1の温度センサ12からの鏡面温度tPpvが与えられる。また、サブコントローラ25のCPU25−1は、図2に示されるように、メインコントローラ24のCPU24−1からの指令を受けて、仕切り弁40の開閉および吸引ポンプ41の運転/停止も制御する。
〔サブクーラ低温/高温/連動の切替設定〕
この鏡面冷却式露点計201では、サブクーラSCに対して、「低温(例えば、−5℃固定)」で動作させるのか、「高温(例えば、25℃固定)」で動作させるのか、「連動(鏡面温度+α)」で動作させるのかについて、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を用いてその動作モードを選択的に設定することが可能である。
〔動作モードを「低温」としての露点計測〕
今、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を「低温」に設定して、露点計測を開始するものとする。なお、この場合、電源スイッチ27は既にONとされており、メインコントローラ24およびサブコントローラ25には電源が供給された状態にあるものとする。
露点計測を開始させる場合、露点計測ON/OFFスイッチ28とサブクーラ制御ON/OFFスイッチ29とを共にONとする。なお、先に、サブクーラ制御ON/OFFスイッチ29をONとし、ある程度時間が経った後に露点計測ON/OFFスイッチ28をONとするようにしてもよいが、ここでは露点計測ON/OFFスイッチ28とサブクーラ制御ON/OFFスイッチ29とを同時にONとするものとする。
メインコントローラ24のCPU24−1は、サブクーラ制御ON/OFFスイッチ29がONとされると、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30の現在の設定状態と合わせて、サブクーラ制御ON/OFFスイッチ29がONとされた旨をサブコントローラ25のCPU25−1に知らせる。
〔サブコントローラ側での動作〕
サブコントローラ25のCPU25−1は、メインコントローラ24からサブクーラ制御ON/OFFスイッチ29がONとされた旨の知らせを受けると(図3:ステップS101のYES)、仕切り弁40を開とし(ステップS102)、吸引ポンプ41の運転を開始して(ステップS103)、サンプリングチャンバ31への被測定気体の流入を開始すると共に、冷却ファン20の運転を開始する(ステップS104、信号S5)。なお、電源スイッチ27がONとされたときにサンプリングチャンバ31への被測定気体の導入(仕切り弁40の開、吸引ポンプ41の運転)および冷却ファン20の運転を開始するように構成してもよい。
また、サブコントローラ25のCPU25−1は、メインコントローラ24から知らされるサブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30の現在の設定状態をチェックする(ステップS105)。この場合、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30の設定状態は「低温」とされているので、ステップS108を経てステップS109へ進み、サブクーラの設定目標温度Tspを低温(例えば、−5℃)とする。
そして、第2の温度センサ21からのサブクーラ温度tSpvを取り込み(ステップS114、信号S6)、サブクーラ温度tSpvと設定目標温度Tspとが一致するように、第2の熱電冷却素子18へ供給する電流をON/OFF制御する(ステップS115、信号S7)。
〔メインコントローラ側での動作〕
一方、メインコントローラ24のCPU24−1は、露点計測ON/OFFスイッチ28がONとされると、光電変換器22へ信号S3を送り、投光側の光ファイバ14−1の先端面より、鏡面11−1に対して所定の周期で光を照射させる(図4(a)参照)。なお、電源スイッチ27がONされると投光側の光ファイバ14−1の先端面より光を照射させるように光電変換器22を構成してもよい。
鏡面11−1は被測定気体に晒されており、鏡面11−1に結露が生じていなければ、投光側の光ファイバ14−1の先端から照射された光はそのほゞ全量が正反射し、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される鏡面11−1からの反射光(散乱光)の量は極微量である。したがって、鏡面11−1に結露が生じていない場合、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される反射光の強度は小さい。受光側の光ファイバ14−2を介して受光される反射光は、光電変換器22によって電気信号に変換され、メインコントローラ24の第1のA/D変換器24−2へ送られ、デジタル信号に変換されてCPU24−1に取り込まれる。
CPU24−1は、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される反射光の上限値と下限値との差を反射光の強度として求める。この場合、反射光の強度はほゞ零であり、予め定められている閾値(結露判定用の設定値)に達していないので、CPU24−1は、第1の熱電冷却素子2への電流を増大させる(信号S1)。これにより、第1の熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が下げられて行く。
第1の熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度、すなわち鏡面11−1の温度を下げて行くと、被測定気体に含まれる水蒸気が鏡面11−1に結露し、その水の分子に投光側の光ファイバ14−1の先端から照射された光の一部が吸収されたり、乱反射したりする。これにより、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される鏡面11−1からの反射光(散乱光)の強度が増大する。
ここで、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される反射光の強度が閾値を超えると、CPU24−1は、第1の熱電冷却素子2への電流を減少させる。これにより、第1の熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度の低下が抑えられ、結露の発生が抑制される。この結露の抑制により、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される反射光の強度が小さくなり、閾値を下回ると、CPU24−1は、第1の熱電冷却素子2への電流を増大させる。
この動作の繰り返しによって、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される反射光の強度が閾値とほゞ等しくなるように、第1の熱電冷却素子2の冷却面2−1の温度が調整される。この調整された温度、すなわち鏡面11−1に生じた結露が平衡状態に達した温度(露点温度)が、露点温度出力部24−4に送られる。
この露点の検出動作において、第1の熱電冷却素子2の加熱面2−2は熱伝導体17を介して、第2の熱電冷却素子18を含むサブクーラSCによって冷却される。図5に特性IとしてサブクーラSCの冷却曲線を示し、特性IIとして第1の熱電冷却素子2の冷却曲線を示す。また、参考として、サブクーラSCを用いず、鏡面冷却用の熱電冷却素子を大型の多段ペルチェとした場合の冷却曲線を特性IIIとして示す。
特性IIと特性IIIとを比較して分かるように、鏡面冷却用の熱電冷却素子を大型の多段ペルチェとした場合には、鏡面周りの熱容量が大きくなるので、応答性が悪化する。これに対して、サブクーラSCを用いた場合には、鏡面周りの熱容量を小さなままとすることができるので、応答性が悪化することがない。
このようにして、この鏡面冷却式露点計201では、サブクーラSCを用いることによって、第1の熱電冷却素子2として冷却能力が比較的小さい小型の素子(冷却スピードの速いペルチェ)を用いることができている。このため、応答性が犠牲になることがなく、鏡面周りのサイズの大型化も避けられる。また、サブクーラSCにペルチェ式の冷却器を採用していることから、冷媒式の冷却器や配管が不要であり、装置が複雑化せず、小型となる。また、冷媒漏れの心配もない。
〔動作モードを「連動」としての露点計測〕
次に、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を「連動」に設定して、露点計測を開始する場合について説明する。この場合も、露点計測ON/OFFスイッチ28とサブクーラ制御ON/OFFスイッチ29とを同時にONとするものとする。
メインコントローラ24のCPU24−1は、サブクーラ制御ON/OFFスイッチ29がONとされると、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30の現在の設定状態と合わせて、サブクーラ制御ON/OFFスイッチ29がONとされた旨をサブコントローラ25のCPU25−1に知らせる。
〔サブコントローラ側での動作〕
サブコントローラ25のCPU25−1は、メインコントローラ24からサブクーラ制御ON/OFFスイッチ29がONとされた旨の知らせを受けると(図3:ステップS101のYES)、仕切り弁40を開とし(ステップS102)、吸引ポンプ41の運転を開始して(ステップS103)、サンプリングチャンバ31への被測定気体の流入を開始すると共に、冷却ファン20の運転を開始する(ステップS104、信号S5)。
また、サブコントローラ25のCPU25−1は、メインコントローラ24から知らされるサブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30の現在の設定状態をチェックする(ステップS105)。この場合、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30の設定状態は「連動」とされているので、第1の温度センサ12からの鏡面温度tPpvを取得し(ステップS106)、サブクーラの設定目標温度Tspを鏡面温度tPpv+αとする(ステップS107)。
そして、外気温度センサ23からの外気温度toutを取り込み(ステップS111)、ステップS107で定めた設定目標温度Tspと外気温度toutとを比較する(ステップS112)。ここで、設定目標温度Tspが外気温度tout以下であれば(ステップS112のYES)、第2の温度センサ21からのサブクーラ温度tSpvを取り込み(ステップS114)、サブクーラ温度tSpvと設定目標温度Tspとが一致するように、第2の熱電冷却素子18へ供給する電流をON/OFF制御する(ステップS115)。
これに対し、設定目標温度Tspが外気温度toutよりも高い場合には(ステップS112のNO)、設定目標温度Tspを外気温度toutとし(ステップS113)、すなわち設定目標温度Tspの上限値を外気温度toutで規制し、サブクーラ温度tSpvと設定目標温度Tspとが一致するように、第2の熱電冷却素子18へ供給する電流をON/OFF制御する(ステップS114、S115)。
〔メインコントローラ側での動作〕
メインコントローラ24側での動作は、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を「低温」に設定した場合と同じであるので、ここでの説明は省略する。
サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を「低温」に設定した場合、すなわちサブクーラの設定目標温度Tspを低温(例えば、−5℃)に固定するものとした場合、その固定された設定目標温度Tspよりも高い露点は測定することができない。また、測定範囲の上限付近の露点を測定する際でも、設定目標温度Tspが固定であるので、多くのエネルギーを消費してしまう。
これに対して、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を「連動」に設定すると、すなわちサブクーラの設定目標温度Tspを鏡面温度tPpv+αとすると、鏡面温度tPpvが上昇すると設定目標温度Tspも上昇することになるので、周囲温度と同じ温度まで露点計測を行うことが可能となる。また、設定目標温度Tspは、常に鏡面温度tPpv+αで変動しているため、消費されるエネルギーも必要最小限となる。
〔鏡面のメンテナンス(1)〕
例えば、動作モードを「低温」としての露点計測中、鏡面11−1のメンテナンスを行いたいものとする。この場合、露点計測ON/OFFスイッチ28をOFFとし、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を「高温」に設定する。
すると、メインコントローラ24のCPU24−1は、第1の熱電冷却素子2による鏡面11−1の冷却動作を中断すると共に、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30が「高温」に設定された旨をサブコントローラ25のCPU25−1に知らせる。
サブコントローラ25のCPU25−1は、メインコントローラ24からサブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30が「高温」に設定された旨の知らせを受けると、サブクーラの設定目標温度Tspを高温(例えば、25℃)とする(図3:ステップS108,S110)。
そして、第2の温度センサ21からのサブクーラ温度tSpvを取り込み(ステップS114)、サブクーラ温度tSpvと設定目標温度Tspとが一致するように、第2の熱電冷却素子18へ供給する電流をON/OFF制御する(ステップS115)。この場合、設定目標温度Tspがサブクーラ温度tSpvよりも高いので、第2の熱電冷却素子18へは逆電流がかけられる。これにより、サブクーラSCが加熱器として利用され、鏡面周りが短時間で常温に戻される。
〔鏡面のメンテナンス(2)〕
例えば、動作モードを「連動」としての露点計測中、鏡面11−1のメンテナンスを行いたいものとする。この場合、動作モードを「低温」としての露点計測中と同様にして、露点計測ON/OFFスイッチ28をOFFとし、サブクーラ低温/高温/連動切替セレクタスイッチ30を「高温」に設定するようにしてもよいが、露点計測ON/OFFスイッチ28をOFFとするだけとしてもよい。
露点計測ON/OFFスイッチ28がOFFにされると、メインコントローラ24のCPU24−1は、第1の熱電冷却素子2による鏡面11−1の冷却動作を中断する。この場合、サブコントローラ25のCPU25−1は、サブクーラの設定目標温度Tspを鏡面温度tPpv+αとする制御を続ける。これにより、鏡面11−1の冷却動作の中断による温度の上昇に伴って、サブクーラの設定目標温度Tspも上昇して行く。
このようにして、動作モードを「連動」としての露点計測中でれば、露点計測ON/OFFスイッチ28をOFFとするのみで、サブクーラの設定目標温度Tspを高温に切り替えることなく、自動的に鏡面周りを常温に戻すようにすることができる。
〔メインコントローラおよびサブコントローラの性能〕
この鏡面冷却式露点計201において、鏡面11−1上での結露の生成スピードは非常に速く、また鏡面温度tPpvや鏡面からの反射光の光量は高精度に測定する必要がある。その一方で、サブクーラSCの制御は、熱容量が大きいため制御スピードが遅く、また、サブクーラ温度tSpvの検出はあまり精度を必要としない。
そこで、この鏡面冷却式露点計201では、メインコントローラ24は、高速制御と高精度測定が必要であるので、高性能・高価格コントローラを用い、サブコントローラ25は、制御性能・計測精度はあまり必要としないので、低性能・低価格のコントローラを用いるようにして、メインコントローラ24とサブコントローラ25のコストと性能をバランスさせ、製品コストを安くしている。
この点について、さらに具体的に述べる。メインコントローラ24は、受光側の光ファイバ14−2が受光する反射光の光量をA/D変換し、そのA/D変換値に基づいて第1の熱電冷却素子2へ供給する電流を所定の制御周期で制御する。また、第1の温度センサ12が検出する鏡面温度tPpvをA/D変換し、その刻々の鏡面温度tPpvを表示する。そして、鏡面11−1に生じた結露が平衡状態に達した時の温度を露点温度として表示する。一方、サブコントローラ25は、第2の温度センサ21が検出するサブクーラ温度tSpvをA/D変換し、そのA/D変換値に基づいて第2の熱電冷却素子18へ供給する電流を所定の制御周期で制御する。
メインコントローラ24において、受光側の光ファイバ14−2が受光する反射光の光量のA/D変換は第1のA/D変換器24−2で行われ、そのA/D変換値に基づく第1の熱電冷却素子2への供給電流の所定の制御周期での制御はCPU24−1で行われる。また、第1の温度センサ12が検出する鏡面温度tPpvのA/D変換は第2のA/D変換器24−3で行われる。一方、サブコントローラ25において、第2の温度センサ21が検出するサブクーラ温度tSpvのA/D変換は第1のA/D変換器25−2で行われ、そのA/D変換値に基づく第2の熱電冷却素子18への供給電流の所定の制御周期での制御はCPU25−1で行われる。
ここで、メインコントローラ24とサブコントローラ25のコストと性能をバランスさせるために、メインコントローラ24における第1のA/D変換器24−2や第2のA/D変換器24−3のA/D変換の精度は、サブコントローラ25における第1のA/D変換器25−2のA/D変換の精度よりも高くされている。また、メインコントローラ24における第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御周期は、サブコントローラ25における第2の熱電冷却素子18への供給電流の制御周期よりも短周期とされている。
なお、サブコントローラ25において、第2のA/D変換器24−3のA/D変換の精度は、第1のA/D変換器25−2と同程度とされている。この例では、説明上、第1のA/D変換器25−2と第2のA/D変換器25−3とを別々に設けるものとしたが、第1のA/D変換器25−2と第2のA/D変換器25−3とを1つとし、その1つのA/D変換器を時分割で用いるようにしてもよい。
また、この鏡面冷却式露点計201において、メインコントローラ24からの第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御周期はサブコントローラ25からの第2の熱電冷却素子18への供給電流の制御周期よりも短周期とされているが、メインコントローラ24からの第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御を比例制御、サブコントローラ25からの第2の熱電冷却素子18への供給電流の制御をON/OFF制御とするようにしてもよい。
すなわち、結露を平衡状態に制御するメインコントローラ24は、高速で緻密な制御を必要とするので比例制御を採用し、サブクーラの温度を制御するサブコントローラ25は、比較的アバウトな制御でよいので、制御性能が高くなく低価格で実現可能なON/OFF制御を採用するというように、その制御方式を異ならせるようにしてもよい。勿論、メインコントローラ24/サブコントローラ25ともに、その供給電流の制御を比例制御で行うようにしてもよい。
〔受光量基準範囲を用いての鏡面の状態の正常/異常判断〕
メインコントローラ24のCPU24−1は、定期的な割り込み処理動作として、鏡面11−1に生じる結露の増減がなくなる平衡状態になるような第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御(露点温度計測制御)を中断する(図6:ステップS201)。
そして、所定時間の経過を待って(ステップS202のYES)、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される鏡面11−1からの反射光の光量(受光量)Rpvを求める(ステップS203)。そして、この求めた受光量Rpvが予め定められている受光量基準範囲に入っているか否かをチェックする(ステップS204)。
すなわち、CPU24−1は、露点温度計測制御の中断後(ステップS201)、所定時間の経過を待つことによって(ステップS202)、鏡面11−1に結露が生じていない状態を作り出し、この時の鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求め(ステップS203)、この求めた受光量Rpvが予め定められている受光量基準範囲に入っているか否かをチェックする(ステップS204)。
ここで、受光量Rpvが受光量基準範囲に入っていれば(ステップS204のYES)、CPU24−1は、鏡面11−1の状態が正常であると判断し、露点温度計測制御を再開する(ステップS205)。
〔自動クリーニング制御への移行〕
これに対して、受光量Rpvが受光量基準範囲から外れていれば(ステップS204のNO)、CPU24−1は、鏡面11−1の状態が異常であると判断し、鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるべく、鏡面11−1の温度を上昇させるように第1の熱電冷却素子2へ供給する電流を制御する(ステップS206)。すなわち、露点温度計測制御を中止して、鏡面11−1の温度を上昇させるような第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御(自動クリーニング制御)に移行する。この例では、第1の熱電冷却素子2へ供給する電流を予め定められた所定の電流値まで増大し、鏡面11−1の温度を上昇させる。
そして、所定時間の経過を待って(ステップS207のYES)、N(初期値0)をN=N+1とし(ステップS208)、N>Nmaxではないことを確認のうえ(ステップS209のNO)、ステップS203の処理へ戻る。すなわち、所定時間の経過を待つことにより、鏡面11−1の温度をステップS206でアップした電流値に対応する値まで上昇させるものとし、その上昇させた温度で再度、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求める。
この場合、鏡面11−1に付着していた汚れが凝縮物質であって、その凝縮物質が鏡面11−1の温度上昇によって蒸発又は昇華して除去されれば、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvは受光量基準範囲に入るものとなり(ステップS204のYES)、CPU24−1は、鏡面11−1の状態が正常に戻ったと判断し、露点温度計測制御を再開する(ステップS205)。
これに対して、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvが受光量基準範囲から外れていれば(ステップS204のNO)、CPU24−1は、鏡面11−1の状態が正常に戻らなかったと判断し、第1の熱電冷却素子2へ供給する電流を所定量アップし(ステップS206)、鏡面11−1の温度をさらに上昇させる。
そして、所定時間の経過を待って(ステップS207のYES)、N=N+1とし(ステップS208)、N>Nmaxではないことを確認のうえ(ステップS209のNO)、ステップS203の処理へ戻り、その上昇させた温度で再度、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求める。
以下同様にして、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvが受光量基準範囲に入っているか否かをチェックし(ステップS204)、受光量基準範囲に入っていれば鏡面11−1の状態が正常に戻ったと判断して(ステップS204のYES)、露点温度計測制御を再開し(ステップS205)、受光量基準範囲から外れていれば鏡面11−1の状態が正常に戻らなかったと判断して(ステップS204のNO)、第1の熱電冷却素子2へ供給する電流を所定量アップし(ステップS206)、鏡面11−1の温度をさらに上昇させる、という処理動作を繰り返す。
このようにして、この鏡面冷却式露点計201では、鏡面11−1に凝縮物質が付着していた場合、その凝縮物質が鏡面11−1の温度上昇によって速いスピードで蒸発又は昇華するものとなり、人手による鏡面の清掃が不要となり、凝縮物質を除去する装置を別途設ける必要もなくなる。また、この鏡面冷却式露点計201では、鏡面11−1に付着していた汚れが凝縮物質であった場合、その凝縮物質の種類が分からなくても、鏡面11−1の温度の上昇過程の途中でその凝縮物質が蒸発又は昇華するものとなる。したがって、事前に凝縮物質を特定しなくても、鏡面11−1の状態を正常な状態に戻すことが可能となる。
なお、ステップS206〜S209の繰り返し処理中、N>Nmaxとなると(ステップS209のYES)、CPU24−1は、鏡面11−1の汚れが温度上昇では回復することができない異常であると判断し、警報を発する(ステップS210)。例えば、鏡面11−1にゴミが付着していたり、検出系の劣化などが生じていた場合、鏡面11−1の温度上昇では回復することができないので、警報が発せられる。この警報は露点温度出力部24−4を介して上位装置へ送られる。
なお、図6に示したフローチャートでは、露点温度計測制御を中断した後、所定時間経過後の鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求めるようにしたが、第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御を中断した後、第1の温度センサ12からの鏡面温度tPpvの変化をチェックし、鏡面温度tPpvの変化が生じなくなった時の鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求めるようにしてもよい。
図7にこの場合のフローチャートを例示する。このフローチャートは図6に対応するフローチャートであり、ステップS202−1において鏡面温度tPpvの変化をチェックし、ステップS202−2において鏡面温度tPpvの変化が生じなくなった時点を判断する。なお、鏡面温度tPpvの変化が生じなくなった時点は、鏡面温度tPpvの変化する割合が所定値を下回ったタイミングとして判断する。
また、図8に示すように、ステップS202−1において鏡面温度tPpvの変化をチェックする代わりに、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvをチェックし、ステップS202−2においてその受光量Rpvの変化が生じなくなった時点を判断するようにしてもよい。なお、受光量pvの変化が生じなくなった時点は、受光量Rpvの変化する割合が所定値を下回ったタイミングとして判断する。
なお、この鏡面冷却式露点計201では、鏡面11−1に生じる結露(露点)を検出するようにしているが、同様の構成によって鏡面11−1に生じる結霜(霜点)を検出することもできる。すなわち、鏡面11−1に生じる結霜の増減がなくなる平衡状態になるように第1の熱電冷却素子2への供給電流を制御することによって、鏡面11−1に生じる結霜(霜点)を検出することも可能である。
また、この鏡面冷却式露点計201では、露点計測ON/OFFスイッチ28とサブクーラ制御ON/OFFスイッチ29とを別個に設けるようにしているが、露点計測ON/OFFスイッチ28とサブクーラ制御ON/OFFスイッチ29とを1つのスイッチで構成するようにしてもよい。この場合、露点計測のONとサブクーラの制御のONが同時に行われ、露点計測のOFFとサブクーラの制御のOFFが同時に行われるものとなる。
また、この鏡面冷却式露点計201では、第1の熱電冷却素子2を1段のペルチェとしているが、2段のペルチェとするなどしてもよい。すなわち、鏡面回りのサイズや応答性に余裕があれば、多段のペルチェとサブクーラとを組み合わせた構成としても構わない。また、この鏡面冷却式露点計201では、第2の熱電冷却素子18を設けるようにしているが、第2の熱電冷却素子18は必ずしも設けなくてもよく、第1の熱電冷却素子2のみを設けた構成であっても構わない。
また、この鏡面冷却式露点計201では、例えば図6におけるステップS206〜S209の処理で示されるように、鏡面11−1の温度を徐々に上昇させるようにしているが、適切な温度(例えば、100℃)を定めて、その温度に一気に上昇させるようにしてもよい。この場合、例えば、所定時間が経過しても鏡面11−1正常な状態に戻らなければ、警報を発するようにする。
また、この鏡面冷却式露点計201では、自動クリーニング制御として、 鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるべく、鏡面11−1の温度を上昇させるように熱電冷却素子2へ供給する電流を制御するようにしたが、鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるべく、サンプリングチャンバ31内の圧力を減圧制御するようにしてもよい。
鏡面11−1を加熱して鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるようにした場合、ヒートショックによって、ダメージを受ける。これに対し、サンプリングチャンバ31内の圧力の減圧によって鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させると、加熱する場合のようなヒートショックがなく、ダメージを与えないようにすることが可能となる。
図9に、鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるべく、サンプリングチャンバ31内の圧力を減圧制御する場合の図6に対応するフローチャートを示す。このフローチャートにおいて、ステップS301〜S304までの処理は図6のステップS201〜204までの処理と同じであるので、その説明を省略する。
CPU24−1は、受光量Rpvが受光量基準範囲から外れていれば(ステップS304のNO)、鏡面11−1の状態が異常であると判断し、鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるべく、仕切り弁40を閉とし、吸引ポンプ41の運転を継続させることにより、サンプリングチャンバ31内の圧力を減圧させる(ステップS306)。すなわち、吸引ポンプ41の運転を継続させた状態で、仕切り弁40を閉とすることにより、サンプリングチャンバ31内の圧力を低下させて行くような減圧制御(自動クリーニング制御)に移行する。なお、仕切り弁40の閉は、サブコントローラ25のCPU25−1を経由して行われる。
そして、所定時間の経過を待って(ステップS307のYES)、N(初期値0)をN=N+1とし(ステップS309)、N>Nmaxではないことを確認のうえ(ステップS309のNO)、ステップS303の処理へ戻る。すなわち、所定時間の経過を待つことにより、サンプリングチャンバ31内の圧力を所定の値まで低下させるものとし、この圧力を低下させた状態で再度、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求める。
この場合、鏡面11−1に付着していた汚れが凝縮物質であって、その凝縮物質がサンプリングチャンバ31内の圧力の低下によって蒸発又は昇華して除去されれば、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvは受光量基準範囲に入るものとなり(ステップS304のYES)、CPU24−1は、鏡面11−1の状態が正常に戻ったと判断し、吸引ポンプ41の運転を継続させた状態で、仕切り弁40を開とし、露点温度計測制御を再開する(ステップS305)。
これに対して、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvが受光量基準範囲から外れていれば(ステップS304のNO)、CPU24−1は、鏡面11−1の状態が正常に戻らなかったと判断し、仕切り弁40を閉としたままの状態で所定時間の経過を待ち(ステップS307のYES)、サンプリングチャンバ31内の圧力をさらに低下させる。なお、この場合のステップS307での経過時間は、1回目の経過時間よりも短いものとし、サンプリングチャンバ31内の圧力の低下量は少ないものとする。これにより、サンプリングチャンバ31内の圧力は、1回目は所定値PLまで低下し、2回目はPL−αまで低下するものとなる。
そして、CPU24−1は、N=N+1とし(ステップS308)、N>Nmaxではないことを確認のうえ(ステップS309のNO)、ステップS303の処理へ戻り、その上昇させた温度で再度、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求める。
以下同様にして、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvが受光量基準範囲に入っているか否かをチェックし(ステップS304)、受光量基準範囲に入っていれば鏡面11−1の状態が正常に戻ったと判断して(ステップS304のYES)、露点温度計測制御を再開し(ステップS305)、受光量基準範囲から外れていれば鏡面11−1の状態が正常に戻らなかったと判断して(ステップS304のNO)、サンプリングチャンバ31内の圧力を所定量α低下させる(ステップS306,307)、という処理動作を繰り返す。
ステップS306〜S309の繰り返し処理中、N>Nmaxとなると(ステップS309のYES)、CPU24−1は、鏡面11−1の汚れが減圧では回復することができない異常であると判断し、警報を発する(ステップS310)。
図9に示したフローチャートでは、第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御を中断した後、所定時間経過後の鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求めるようにしたが、図7のフローチャートに対応する図10のフローチャートが示すように、第1の熱電冷却素子2への供給電流の制御を中断した後、第1の温度センサ12からの鏡面温度tPpvの変化をチェックし、鏡面温度tPpvの変化が生じなくなった時の鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvを求めるようにしてもよい。
また、図11に示すように、ステップS302−1において鏡面温度tPpvの変化をチェックする代わりに、鏡面11−1からの反射光の受光量Rpvをチェックし、ステップS302−2においてその受光量Rpvの変化が生じなくなった時点を判断するようにしてもよい。なお、受光量pvの変化が生じなくなった時点は、受光量Rpvの変化する割合が所定値を下回ったタイミングとして判断する。
〔鏡面冷却式露点計の要部の機能ブロック図〕
図12に上述した鏡面冷却式露点計201の要部の機能ブロック図を示す。同図において、図1,図2と同一符号は図1,図2を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。この鏡面冷却式露点計201において、コントロール部201Bは露点温度計測制御部34と、鏡面異常状態判断部35と、自動クリーニング制御部36と、制御モード選択部37とを備えている。なお、露点計測を開始するにあたって、吸引ポンプ41が運転され、仕切り弁40が開とされるが、この仕切り弁40および吸引ポンプ41に対する制御部は示していない。
コントロール部201Bにおいて、露点温度計測制御部34は、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される鏡面11−1からの反射光の光量に基づいて熱電冷却素子2へ供給する電流を鏡面11−1に生じる結露もしくは結霜の増減がなくなる平衡状態になるように制御し、その平衡状態において温度センサ12が検出する鏡面11−1の温度tx1を取り込み、露点温度の計測値tx1として制御モード選択部37へ送る。
コントロール部201Bにおいて、鏡面異常状態判断部35は、受光側の光ファイバ14−2を介して受光される鏡面11−1からの反射光の光量に基づいて鏡面11−1の状態の正常/異常を判断し、その判断結果を制御モード選択部37へ送る。
コントロール部201Bにおいて、自動クリーニング制御部36は、鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるべく、鏡面11−1の温度を上昇させるように熱電冷却素子2へ供給する電流を制御する。なお、この例では、温度センサ12が検出する鏡面11−1の温度tx1を自動クリーニング制御部36に与えているが、この例では熱電冷却素子2へ供給する電流値をアップさせる方法をとっているので、温度センサ12が検出する鏡面11−1の温度tx1は必ずしも必要とはしない。
コントロール部201Bにおいて、制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34に対して露点温度計測制御を常時実行するように指示すると共に、この露点温度計測制御を定期的に中断させて、鏡面異常状態判断部35による鏡面11−1の状態の正常/異常の判断を実行させ、鏡面11−1の状態が異常であった場合、自動クリーニング制御部36による鏡面11−1の自動クリーニングを実行させる。この自動クリーニングによって鏡面11−1の状態が正常に戻った場合、制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御を再開させる。また、制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御中、露点温度計測制御部34からの露点温度の計測値tx1を上位装置に出力する。
図13はこの鏡面冷却式露点計201における制御モードの変化を示すタイムチャートである。制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御を常時実行させる。露点温度計測制御中(期間T1)、制御モード選択部37は、この露点温度計測制御を定期的に中断させて、鏡面異常状態判断部35による鏡面11−1の状態の正常/異常の判断を実行させる(t1,t2,t3点)。ここで、例えば、t3点において、鏡面11−1の状態が異常であると判断されると、制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御を中止させて、自動クリーニング制御部36による自動クリーニング制御に移行させる。そして、この自動クリーニング制御への移行後、鏡面異常状態判断部35によって鏡面11−1の状態が正常に戻ったことが確認されると(t4点)、制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御を再開させる。
この鏡面冷却式露点計201では、鏡面11−1の状態が異常であると判断された場合、鏡面11−1に付着しているであろう凝縮物質を除去させるべく、自動クリーニング制御が行われるので、人手による鏡面11−1の清掃を不要とし、凝縮物質を除去する装置を別途設ける必要をなくすことができる。しかしながら、この鏡面冷却式露点計201単体では、自動クリーニング制御を行うために、露点温度計測制御を一度中止(停止)させて、鏡面11−1を加熱しなければならない。このため、図13に期間T2として示されるように、露点温度を計測することができない期間が生じる。
〔露点温度計測システム〕
そこで、本実施の形態の露点温度計測システムでは、鏡面冷却式露点計(露点計1)と、この鏡面冷却式露点計とは異なる方式で露点温度を計測する非鏡面冷却式露点計(露点計2)とを設け、鏡面冷却式露点計は、その露点温度計測値が常に有効な露点温度計測値(被測定気体の正式な露点温度計測値)として用いられる主要センサとし、非鏡面冷却式露点計は、主要センサが自動クリーニング制御中である時にその露点温度計測値が有効な露点温度計測値(被測定気体の正式な露点温度計測値)として用いられる補助センサとするようにする。これにより、通常は主要センサ(鏡面冷却式露点計)により高精度な露点温度計測が行われ、主要センサの鏡面が汚れるなどして計測精度が落ちたような場合には、補助センサ(非鏡面冷却式露点計)により露点温度計測が行われ、途切れることなく連続して露点温度計測が行われるものとなる。すなわち、露点温度を計測することができない期間T2が生じないようになる。
〔実施の形態1〕
図14に本発明に係る露点温度計測システムの第1の実施の形態(実施の形態1)の要部の機能ブロック図を示す。この露点温度計測システムでは、鏡面冷却式露点計201とは別に、鏡面冷却式露点計(露点計1)201とは異なる方式で露点温度を計測する非鏡面冷却式露点計(露点計2)202を設けている。
鏡面冷却式露点計201において、コントロール部201Bは露点温度計測制御部34と、鏡面異常状態判断部35と、自動クリーニング制御部36と、制御モード選択部37とを備えている。
非鏡面冷却式露点計202は、感湿素子202Aと、検出信号生成部202Bと、露点温度変換部202Cとを備えており、検出信号生成部202Bは感湿素子202Aが検出する湿度に応じた信号を検出信号として生成し、露点温度変換部202Cは検出信号生成部202Bが生成する湿度に応じた信号を露点温度に変換する。
なお、鏡面冷却式露点計201に対しては仕切り弁40−1と吸引ポンプ41−1とが設けられ、非鏡面冷却式露点計202に対しては仕切り弁40−2と吸引ポンプ41−2とが設けられている。これら仕切り弁40−1,40−2および吸引ポンプ41−1,41−2に対する制御部は示していないが、露点温度計測を開始するにあたって、吸引ポンプ41−1,41−2が運転され、仕切り弁40−1,40−2が開とされることにより、鏡面冷却式露点計201のサンプリングチャンバ31および非鏡面冷却式露点計202の感湿素子202Aへ被測定気体が分岐して供給される。すなわち、本実施の形態では、鏡面冷却式露点計201と非鏡面冷却式露点計202とを並列に設置し、供給源を同一とする被測定気体をサンプリングチャンバ31および感湿素子202Aに同時に送るようにしている。
また、この露点温度計測システムにおいて、鏡面冷却式露点計201および非鏡面冷却式露点計202に対しては、統括コントローラ300が設けられている。統括コントローラ300は、露点計制御モード指定部301と、露点温度計測値選択部302と、露点計現在制御モード認識部303と、鏡面状態判断結果認識部304とを備えている。
鏡面冷却式露点計201において、制御モード選択部37は、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301からの制御モードの指定(信号D1)を受け、鏡面冷却式露点計201における現在の制御モードを露点温度計測制御モードとするか、自動クリーニング制御モードとするかを選択する。また、制御モード選択部37は、現在選択している制御モード(信号B1)を統括コントローラ300の露点計現在制御モード認識部303に送る。また、制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34からの露点温度の計測値tx1(信号A1)を統括コントローラ300の露点温度計測値選択部302に送る。また、鏡面冷却式露点計201において、鏡面状態判断部35は、鏡面11−1の状態の正常/異常の判断結果(信号C1)を自己の制御モード選択部37ではなく、統括コントローラ300の鏡面状態判断結果認識部304へ送る。
非鏡面冷却式露点計202において、感湿素子202Aは、鏡面冷却式露点計201へ分岐して与えられる被測定気体の露点温度を検出し、検出信号生成部202Bは、感湿素子202Aが検出する露点温度に応じた信号を検出信号として生成する。この検出信号生成部202Bが生成した検出信号は非鏡面冷却式露点計202が計測する被測定気体の露点温度計測値tx2(信号A2)として統括コントローラ300の露点温度計測値選択部302へ送られる。
統括コントローラ300の露点計現在制御モード認識部303は、鏡面冷却式露点計201から送られてくる現在選択している制御モード(信号B1)を認識し、その認識結果を露点計制御モード指定部301へ送ると共に、上位装置へ通知する。
統括コントローラ300の鏡面状態判断結果認識部304は、鏡面冷却式露点計201から送られてくる鏡面状態の判断結果(信号C1)を認識し、その認識結果を露点計制御モード指定部301へ送ると共に、上位装置へ通知する。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、露点計現在制御モード認識部303からの鏡面冷却式露点計201において現在選択されている制御モードの認識結果(B1)と、鏡面状態判断結果認識部304からの鏡面冷却式露点計201における鏡面状態の正常/異常の認識結果(C1)とから、鏡面冷却式露点計201に対して指定する制御モード(D1)を決定すると共に、現在の有効なセンサ(計測された露点温度を有効な露点温度計測値として選択すべきセンサ(鏡面冷却式露点計201/非鏡面冷却式露点計202)を露点温度計測値選択部302へ通知する(信号E)。
統括コントローラ300の露点温度計測値選択部302は、鏡面冷却式露点計201からの露点温度計測値(第1の露点温度計測値)tx1と、非鏡面冷却式露点計202からの露点温度計測値(第2の露点温度計測値)tx2とを入力とし、露点計制御モード指定部301から通知される有効なセンサからの露点温度計測値を有効な露点温度計測値として選択し、その選択した露点温度計測値を被測定気体の正式な露点温度計測値(露点温度計測システムの計測露点温度)として上位装置に通知する(信号F)。
なお、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、鏡面冷却式露点計201を、その露点温度計測値を常に有効な計測値として用いる主要センサとし、非鏡面冷却式露点計202を、主要センサが自動クリーニング制御中である時にその露点温度計測値を有効な計測値として用いる補助センサとし、鏡面冷却式露点計201に対して制御モードとして露点温度計測制御モードを指定している場合には、露点温度計測値選択部302に対して鏡面冷却式露点計201を有効なセンサとして通知し、鏡面冷却式露点計201に対して制御モードとして自動クリーニング制御モードを指定している場合には、露点温度計測値選択部302に対して非鏡面冷却式露点計202を有効なセンサとして通知する。但し、特別な条件として、露点計制御モード指定部301は、自動クリーニング制御モードから露点温度計測制御モードへの移行時、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1の間は、露点温度計測値選択部302に対して非鏡面冷却式露点計202を有効なセンサとして通知する。
〔運用〕
図15(a)および(b)はこの実施の形態1の露点温度計測システムの運用中の鏡面冷却式露点計201における制御モードの変化および非鏡面冷却式露点計202の計測状態を示すタイムチャートである。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、最初に、鏡面冷却式露点計201を主要センサとし、非鏡面冷却式露点計202を補助センサとし、露点温度計測値選択部302に対して鏡面冷却式露点計201を有効なセンサとして通知する。すなわち、鏡面冷却式露点計201は、その計測方式から非鏡面冷却式露点計202よりも高精度に露点計測を行うことが可能であり、この高精度に露点計測を行うことが可能な鏡面冷却式露点計201を有効なセンサとして通知する。以下、主要センサとする鏡面冷却式露点計201をメインセンサと呼び、補助センサとする非鏡面冷却式露点計202をサブセンサと呼ぶ。
メインセンサ201の制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御を常時実行させ、サブセンサ202は計測中の状態を常時続ける。
図16に実施の形態1の露点温度計測システムにおけるメインセンサ201の制御フローチャートを示し、図17に統括コントローラ300の制御フローチャートを示す。
メインセンサ201の制御モード選択部37は、露点温度計測制御中、この露点温度計測制御を定期的に中断させて、鏡面異常状態判断部35による鏡面11−1の状態の正常/異常の判断を実行させる(t1,t2,t3点)。すなわち、制御モード選択部37は、現在の自己の制御モードを確認し(図16:ステップS401)、現在の自己の制御モードが露点温度計測制御であるので(ステップS402のYES)、鏡面状態の確認タイミングか否かをチェックし(ステップS403)、鏡面状態の確認タイミングであれば(ステップS403のYES)、露点温度計測制御を中断させて、鏡面11−1の状態(正常/異常)を確認させる(ステップS404)。
メインセンサ201の鏡面異常状態判断部35は、鏡面11−1の状態が正常であることを確認すると(ステップS405のYES)、その旨を統括コントローラ300に通知し(ステップS407)、 鏡面11−1の状態が異常であることを確認すると(ステップS405のNO)、その旨を統括コントローラ300に通知する(ステップS406)。また、この露点温度計測制御中、鏡面状態の確認タイミングにない場合(ステップS403のNO)、メインセンサ201の制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34からの露点温度計測値tx1を統括コントローラ300に通知する(ステップS408)。
一方、サブセンサ202は、メインセンサ201へ分岐して与えられる被測定気体の露点温度の検出を続け、その露点温度計測値tx2を統括コントローラ300の露点温度計測値選択部302へ送り続ける。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、露点計現在制御モード認識部303からの認識結果から、メインセンサ201の現在の制御モードを確認する(図17:ステップS501)。この場合、メインセンサ201の現在の制御モードは露点温度計測制御モードであるので(ステップS502のYES)、鏡面状態判断結果認識部304からの認識結果から、メインセンサ201の鏡面11−1の状態を確認する(ステップS503)。
〔メインセンサの鏡面の状態が正常である場合〕
今、図15(a)に示すt1点,t2点にあって、メインセンサ201から鏡面11−1の状態が正常である旨の判断結果が送られてくれば(ステップS504のYES)、露点計制御モード指定部301は、露点温度計測値選択部302に対してメインセンサ201を有効なセンサとして通知する。これにより、露点温度計測値選択部302は、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1を有効な露点温度計測値として選択し、この選択した露点温度計測値tx1を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し続ける(ステップS505)。
〔メインセンサの鏡面の状態が異常である場合〕
今、図15(a)に示すt3点にあって、メインセンサ201から鏡面11−1の状態が異常である旨の判断結果が送られてくれば(ステップS504のNO)、露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201に対して制御モードを自動クリーニング制御モードに移行するように切換指令を送る(ステップS506)。
メインセンサ201の制御モード選択部37は、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301からの自動クリーニング制御モードへの切換指令を受けて、制御モードをそれまでの露点温度計測制御モードから自動クリーニング制御モードに切り換える(図15(a)に示すt3点)。すなわち、それまでの露点温度計測制御を中止させて、自動クリーニング制御に移行させる。
露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201の制御モードを自動クリーニング制御モードに切り換えた後、露点温度計測値選択部302に対してサブセンサ202を有効なセンサとして通知する。これにより、露点温度計測値選択部302は、サブセンサ202からの露点温度計測値tx2を有効な露点温度計測値として選択し、この選択した露点温度計測値tx2を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し始める(ステップS507)。
メインセンサ201の制御モード選択部37は、自動クリーニング制御として、定期的に鏡面11−1の自動クリーニングを実行させると共に、鏡面異常状態判断部35によってそのクリーニング後の鏡面11−1の状態の正常/異常の判断を行わせる。鏡面異常状態判断部35は、その正常/異常の判断結果を統括コントローラ300に通知する(ステップS409)。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、露点計現在制御モード認識部303からの認識結果から、メインセンサ201の現在の制御モードを確認する(ステップS501)。この場合、メインセンサ201の現在の制御モードが自動クリーニング制御モードであるので(ステップS502のNO)、露点計制御モード指定部301は、露点温度計測値選択部302に対してサブセンサ202を有効なセンサとして通知する。これにより、露点温度計測値選択部302は、サブセンサ202からの露点温度計測値tx2を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知する(ステップS508)。
このメインセンサ201の自動クリーニング制御中、露点計制御モード指定部301は、鏡面状態判断結果認識部304からの認識結果から、メインセンサ201の鏡面11−1の状態を確認しながら(ステップS509,510)、露点温度計測値選択部302に対してサブセンサ202を有効なセンサとして通知し続ける(ステップS508)。
〔メインセンサの鏡面の状態が正常に戻った場合〕
今、図15(a)に示すt4点にあって、メインセンサ201から鏡面11−1の状態が正常となった旨の判断結果が送られてくれば(ステップS510のYES)、露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201に対して制御モードを露点温度計測制御モードに移行するように切換指令を送る(ステップS511)。
メインセンサ201の制御モード選択部37は、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301からの露点温度計測制御モードへの切換指令を受けて、制御モードをそれまでの自動クリーニング制御モードから露点温度計測制御モードに切り換える(図15(a)に示すt4点)。すなわち、それまでの自動クリーニング制御を中止させて、露点温度計測制御に復帰させる。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201の制御モードを自動クリーニング制御モードから露点温度計測制御モードに切り換えた後、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過するまで(ステップS512のYES)、露点温度計測値選択部302に対してサブセンサ202を有効なセンサとして通知し続ける。これにより、露点温度計測値選択部302は、メインセンサ201の自動クリーニング制御の終了後も、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過するまでの間、サブセンサ202からの露点温度計測値tx2を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し続ける(ステップS513)。
露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過すると(ステップS512のYES)、露点計制御モード指定部301は、露点計現在制御モード認識部303からの認識結果から、メインセンサ201の現在の制御モードを確認する(ステップS501)。この場合、メインセンサ201の現在の制御モードが露点計測制御モードに戻されており(ステップS502のYES)、鏡面11−1の状態も正常であることから(ステップS504のYES)、露点計制御モード指定部301は、露点温度計測値選択部302に対してメインセンサ201を有効なセンサとして通知する。これにより、露点温度計測値選択部302は、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1を有効な露点温度計測値として選択し、その選択した露点温度計測値tx1を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し始める(ステップS505)。
このようにして、この実施の形態1では、通常はメインセンサ201により高精度な露点温度計測が行われ、メインセンサ201の鏡面11−1の状態が異常であると判断されると、すなわちメインセンサ201による露点温度計測値tx1の信頼性が否定されると、メインセンサ201とは異なる方式で露点温度を計測するサブセンサ202による露点温度計測が行われ、途切れることなく連続して露点温度計測が行われるものとなる。
また、この実施の形態1では、自動クリーニング制御の終了後、メインセンサ201が露点温度計測制御に復帰し(ステップS511)、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過して(ステップS512のYES)、鏡面状態判断結果認識部304において鏡面11−1の状態が正常に戻されたことが確認されると(ステップS504のYES)、すなわちメインセンサ201による露点温度計測値tx1の信頼性が肯定されると、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1が有効な露点温度計測値として用いられ、メインセンサ201による高精度の露点温度計測が続けられる。
すなわち、メインセンサ201において自動クリーニング制御が行われている間、および自動クリーニング制御から露点温度計測制御への移行後露点温度計測制御が安定するまでの間は、サブセンサ202による露点温度計測が行われ、その他の期間はメインセンサ201による高精度の露点温度計測が行われ、全体として常に高精度の露点温度計測が続けられるものとなる。
〔実施の形態2〕
図18に本発明に係る露点温度計測システムの第2の実施の形態(実施の形態2)の要部の機能ブロック図を示す。同図において、図14と同一符号は図14を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
この実施の形態2の実施の形態1と異なる点は、鏡面冷却式露点計201から鏡面状態判断部35を無くし、統括コントローラ300の鏡面状態判断結果認識部304に代えて鏡面状態判断部305を設けた点にある。鏡面状態判断部305は、鏡面冷却式露点計201からの露点温度計測値(第1の露点温度計測値)tx1と非鏡面冷却式露点計202からの露点温度計測値(第2の露点温度計測値)tx2とを入力とし、この露点温度計測値tx1とtx2との差に基づいて鏡面冷却式露点計201の鏡面11−1の状態の正常/異常を判断し、その判断結果を露点計制御モード指定部301へ送る。
また、この実施の形態2の露点温度計測システムにおいて、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、鏡面冷却式露点計201を、その露点温度計測値が常に有効な露点温度計測値(被測定気体の正式な露点温度計測値)として用いられる主要センサとし、非鏡面冷却式露点計202を、主要センサが自動クリーニング制御中である時に露点温度計測値が有効な露点温度計測値(被測定気体の正式な露点温度計測値)として用いられる補助センサとし、鏡面冷却式露点計201に対して制御モードとして露点温度計測制御モードを指定している場合には、露点温度計測値選択部302に対して鏡面冷却式露点計201を有効なセンサとして通知し、鏡面冷却式露点計201に対して制御モードとして自動クリーニング制御モードを指定している場合には、露点温度計測値選択部302に対して非鏡面冷却式露点計202を有効なセンサとして通知する。但し、特別な条件として、露点計制御モード指定部301は、自動クリーニング制御モードから露点温度計測制御モードへの移行時、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1の間は、露点温度計測値選択部302に対して非鏡面冷却式露点計202を有効なセンサとして通知する。
〔運用〕
図19(a)および(b)はこの実施の形態2の露点温度計測システムの運用中の鏡面冷却式露点計201における制御モードの変化および非鏡面冷却式露点計202の計測状態を示すタイムチャートである。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、最初に、鏡面冷却式露点計201を主要センサとし、非鏡面冷却式露点計202を補助センサとし、露点温度計測値選択部302に対して鏡面冷却式露点計201を有効なセンサとして通知する。すなわち、鏡面冷却式露点計201は、その計測方式から非鏡面冷却式露点計202よりも高精度に露点計測を行うことが可能であり、この高精度に露点計測を行うことが可能な鏡面冷却式露点計201を有効なセンサとして通知する。以下、主要センサとする鏡面冷却式露点計201をメインセンサと呼び、補助センサとする非鏡面冷却式露点計202をサブセンサと呼ぶ。
メインセンサ201の制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御を常時実行させ、サブセンサ202は計測中の状態を常時続ける。
〔メインセンサの鏡面の状態が正常である場合〕
メインセンサ201の制御モード選択部37は、露点温度計測制御部34による露点温度計測制御を常時実行させる。一方、サブセンサ202は、メインセンサ201へ分岐して与えられる被測定気体の露点温度の検出を続け、その露点温度計測値tx2を統括コントローラ300の露点温度計測値選択部302へ送り続ける。
メインセンサ201の露点温度計測制御中、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、露点温度計測値選択部302に対してメインセンサ201を有効なセンサとして通知する。これにより、露点温度計測値選択部302は、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1を有効な露点温度計測値として選択し、この選択した露点温度計測値tx1を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知する。
また、統括コントローラ300の鏡面状態判断部305は、メインセンサ201の露点温度計測制御中、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1とサブセンサ202からの露点温度計測値tx2とを入力とし、この露点温度計測値tx1とtx2との差に基づいてメインセンサ201の鏡面11−1の状態の正常/異常を判断する。この例では、露点温度計測値tx1の露点温度計測値tx2に対する乖離を求め、この乖離が所定値を超えた場合にメインセンサ201の鏡面11−1の状態が異常であると判断する。
鏡面冷却式露点計は他の計測方式が異なる露点計よりも高精度に露点温度計測が可能である反面、鏡面の汚れによる計測精度の劣化は他の計測方式が異なる露点計よりも速い。このため、鏡面冷却式露点計であるメインセンサ201による露点温度計測値tx1と他の計測方式が異なる露点計であるサブセンサ202からの露点温度計測値tx2の計測値とを比較することで、メインセンサ201の劣化の程度が簡単に確認できる。このような知見に基づき、本実施の形態では、露点温度計測値tx1の露点温度計測値tx2に対する乖離を求め、この乖離が所定値を超えた場合にメインセンサ201の鏡面11−1の状態が異常であると判断するようにしている。
〔メインセンサの鏡面の状態が異常である場合〕
今、図19(a)に示すt1点にあって、統括コントローラ300の鏡面状態判断部305においてメインセンサ201の鏡面11−1の状態が異常であると判断されると、露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201に対して制御モードを自動クリーニング制御モードに移行するように切換指令を送る。
メインセンサ201の制御モード選択部37は、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301からの自動クリーニング制御モードへの切換指令を受けて、制御モードをそれまでの露点温度計測制御モードから自動クリーニング制御モードに切り換える(図19(a)に示すt1点)。すなわち、それまでの露点温度計測制御を中止させて、自動クリーニング制御に移行させる。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201の制御モードを自動クリーニング制御モードに切り換えた後、露点温度計測値選択部302に対してサブセンサ202を有効なセンサとして通知する。これにより、露点温度計測値選択部302は、サブセンサ202からの露点温度計測値tx2を有効な露点温度計測値として選択し、この選択した露点温度計測値tx2を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し始める。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201の制御モードの自動クリーニング制御モードへの切り換え後、所定時間Tが経過した時点で(図19(a)に示すt2点)、メインセンサ201に対して制御モードを露点温度計測制御モードに移行するように切換指令を送る。
なお、この場合の所定時間Tは、メインセンサ201の鏡面11−に付着しているであろう凝縮物質を除去させるに充分な所定時間Tとして定めておく。
露点計制御モード指定部301は、所定時間Tが経過する間、露点温度計測値選択部302に対してサブセンサ202を有効なセンサとして通知し続ける。これにより、メインセンサ201が自動クリーニング制御を実行している間中、露点温度計測値選択部302は、サブセンサ202からの露点温度計測値tx2を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し続ける。
〔メインセンサの鏡面の状態が正常に戻った場合〕
メインセンサ201の制御モード選択部37は、統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301からの露点温度計測制御モードへの切換指令を受けて、制御モードをそれまでの自動クリーニング制御モードから露点温度計測制御モードに切り換える(図19(a)に示すt2点)。すなわち、それまでの自動クリーニング制御を中止させて、露点温度計測制御に復帰させる。
統括コントローラ300の露点計制御モード指定部301は、メインセンサ201の制御モードを自動クリーニング制御モードから露点温度計測制御モードに切り換えた後、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過するまで、露点温度計測値選択部302に対してサブセンサ202を有効なセンサとして通知し続ける。これにより、露点温度計測値選択部302は、メインセンサ201の自動クリーニング制御の終了後も、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過するまでの間、サブセンサ202からの露点温度計測値tx2を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し続ける。
露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過すると、露点計制御モード指定部301は、露点計現在制御モード認識部303からの認識結果から、メインセンサ201の現在の制御モードを確認する。この場合、メインセンサ201の現在の制御モードが露点計測制御モードに戻されているので、露点計制御モード指定部301は、鏡面状態判断部305からのメインセンサ201の鏡面11−1の状態が正常に戻された旨の判断結果を確認のうえ、露点温度計測値選択部302に対してメインセンサ201を有効なセンサとして通知する。これにより、露点温度計測値選択部302は、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1を有効な露点温度計測値として選択し、その選択した露点温度計測値tx1を露点温度計測システムの計測露点温度として上位装置に通知し始める。
このようにして、この実施の形態2では、通常はメインセンサ201により高精度な露点温度計測が行われ、メインセンサ201の鏡面11−1の状態が異常であると判断されると、すなわちメインセンサ201による露点温度計測値tx1の信頼性が否定されると、メインセンサ201とは異なる方式で露点温度を計測するサブセンサ202により露点温度計測が行われ、途切れることなく連続して露点温度計測が行われるものとなる。
また、この実施の形態2では、所定時間Tの自動クリーニング制御の終了後、メインセンサ201が露点温度計測制御に復帰し、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1が経過して、鏡面状態判断部305において鏡面11−1の状態が正常に戻されたことが確認されると、すなわちメインセンサ201による露点温度計測値tx1の信頼性が肯定されると、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1が有効な露点温度計測値として用いられ、メインセンサ201による高精度の露点温度計測が続けられる。
すなわち、メインセンサ201において自動クリーニング制御が行われている間、および自動クリーニング制御から露点温度計測制御への移行後露点温度計測制御が安定するまでの間は、サブセンサ202による湿度計測が行われ、その他の期間はメインセンサ201による高精度の露点温度計測が行われ、全体として常に高精度の露点温度計測が続けられるものとなる。
また、この実施の形態2では、メインセンサ201において、メインセンサ201からの露点温度計測値tx1とサブセンサ202からの露点温度計測値tx2との差に基づいてメインセンサ201の鏡面11−1の状態の正常/異常を判断するようにしているので、露点温度計測制御中も中断させることなく露点温度計測を行うことが可能となる。
なお、上述し実施の形態1,2では、鏡面冷却式露点計201における自動クリーニング制御を鏡面を加熱する加熱制御方式としたが、サンプリングチャンバ内の圧力を減圧させる減圧制御方式としてもよい。
また、上述した実施の形態1,2では、サンプリングチャンバ31の上流側に仕切り弁40−1を設け、下流側に吸引ポンプ41−1を設け、仕切り弁40−1を開とし、吸引ポンプ41−1を運転することによって、サンプリングチャンバ31内に被測定気体を流入させるような構成としたが、吸引ポンプを設けずに、上流側の圧力を高くして、サンプリングチャンバ31内に被測定気体を流入させるような構成としてもよい。このような構成では、例えば、サンプリングチャンバ31の上,下流に弁を設け、サンプリングチャンバ31の近くに減圧用ポンプをポンプを設け、上,下流の弁を閉じ、減圧用ポンプを運転することによって、サンプリングチャンバ31内の圧力を減圧させるようにすることが可能である。
また、上述した実施の形態1,2では、鏡面冷却式露点計201と非鏡面冷却式露点計202とを並列に設置したが、直列に設置するようにしてもよい。図20に鏡面冷却式露点計201と非鏡面冷却式露点計202とを直列に設置した場合の構成例を示す。直列に設置するようにした場合、鏡面冷却式露点計201における自動クリーニング制御は加熱制御方式とする。
また、上述した実施の形態1,2では、鏡面冷却式露点計201と非鏡面冷却式露点計202に対して統括コントローラ300を設けるようにしたが、統括コントローラ300の機能を鏡面冷却式露点計201に持たせるようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1,2において、本発明でいう信頼性判定手段は鏡面状態判断部35(図14)や鏡面状態判断部305(図18)がそれに相当するが、鏡面冷却式露点計201による露点温度計測値tx1の信頼性の判定は必ずしも鏡面状態に基づくものでなくてもよい。例えば、実施の形態2における鏡面状態判断部305では、鏡面冷却式露点計201の鏡面11−1の状態が正常な場合であっても、他の要因で露点温度計測値tx1とtx2との乖離が大きくなることがあり得る。この場合、鏡面11−1の状態が正常であっても、鏡面冷却式露点計201の計測精度が落ちたとみなされ、非鏡面冷却式露点計202からの露点温度計測値tx2が有効な露点温度計測値として選択されるものとなる。
また、上述した実施の形態1,2では、自動クリーニング制御から露点温度計測制御への移行後に、露点温度計測制御が安定するまでの所定時間T1を設け、この所定時間T1の間も非鏡面冷却式露点計202からの露点温度計測値tx2を有効な露点温度計測値として用いるようにしたが、露点温度計測制御が安定するまでの時間が問題とならない場合もあり、必ずしも所定時間T1を設けるようにしなくてもよい。また、鏡面11−1からの反射光の受光量から露点温度計測制御が安定したことを確認し、鏡面冷却式露点計メインセンサ201からの露点温度計測値tx1を有効な露点温度計測値として用いるようにしてもよい。