JP2013248654A - 金属のプラズマ切断方法及び金属のプラズマ切断装置 - Google Patents

金属のプラズマ切断方法及び金属のプラズマ切断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属に対するプラズマ切断技術において、ノズルの耐久性を更に向上させることが可能な金属のプラズマ切断方法及び金属のプラズマ切断装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係るプラズマを利用して金属を切断する金属のプラズマ切断方法では、プラズマ化したガスに対して、酸素分子及び電子、又は、酸素負イオンを供給する。これにより、プラズマ切断処理の切断性を向上させることが可能となり、ノズルの耐久性を更に向上させることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、金属のプラズマ切断方法及び金属のプラズマ切断装置に関する。
金属を切断する際に、プラズマ作動ガスとして酸素を用いた酸素プラズマ切断技術が用いられている。この技術は、電気エネルギーに酸化エネルギーを併用した切断技術であり、高速切断においても良好な切断品質を提供するものである。近年、生産効率の向上を図るために、更なる切断速度の向上が求められている一方で、コストの削減を図るために、プラズマ切断技術に用いられるノズルや電極の寿命向上が求められている。
例えば、下記の特許文献1では、プラズマ作動ガスの周囲に酸素ガスを噴出させる酸素カーテンプラズマ切断方法が提案されている。酸素カーテンガスによりアーク部への空気中窒素の巻き込みを抑え、プラズマの熱エネルギーに加え酸素による金属の酸化エネルギーを有効に利用し、ガス切断に比べドロス付着のない高速切断を行うことが可能な方法が実現されるとしている。
また、下記の特許文献2では、非酸化性ガスを用いたプラズマガスの周囲に二次ガスとして非酸化性ガスを供給するプラズマ切断方法が提案されている。この方法では、プラズマの熱エネルギーを利用した切断において、ノズル出口付近を非酸化雰囲気とすることで、電極の損耗を防止した高耐久性の切断方法が実現されるとしている。
特開昭59−229282号公報 特開平8−215856号公報
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、プラズマの熱エネルギーを如何にして有効利用するかに着目してなされたものであり、プラズマ切断技術に用いられるノズルの耐久性を充分に向上させることができないという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、金属に対するプラズマ切断技術において、ノズルの耐久性を更に向上させることが可能な、金属のプラズマ切断方法及び金属のプラズマ切断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、プラズマを利用して金属を切断する金属のプラズマ切断方法において、プラズマ化したガスに対して、酸素分子及び電子、又は、酸素負イオンを供給する金属のプラズマ切断方法が提供される。
前記酸素分子及び電子、又は、酸素負イオンは、前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルの外部から供給されてもよい。
前記酸素分子及び電子、又は、酸素負イオンは、前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルのカーテンガスとして供給されてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、プラズマを利用して金属を切断する金属のプラズマ切断装置において、電子、又は、酸素負イオンの少なくとも何れか一方を発生させる発生装置を備え、プラズマ化したガスに対して、前記発生装置で発生した前記電子及び酸素分子、又は、前記酸素負イオンを供給する金属のプラズマ切断装置が提供される。
前記発生装置は、酸素ガスを供給する酸素ガス供給ライン上に設置されることが好ましい。
前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルを更に備え、前記電子及び酸素分子、又は、酸素負イオンは、前記ノズルの外部から供給されてもよい。
前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルを更に備え、前記電子及び酸素分子、又は、酸素負イオンは、前記ノズルのカーテンガスとして供給されてもよい。
以上説明したように本発明によれば、プラズマ化したガスに対して、電子及び酸素分子、又は、酸素負イオンを供給することにより、金属に対するプラズマ切断技術において、ノズルの耐久性を更に向上させることが可能となる。
プラズマ切断メカニズムについて説明するための説明図である。 プラズマ切断メカニズムについて説明するためのグラフ図である。 鉄の高温酸化メカニズムについて説明するための説明図である。 本発明に係る酸化反応促進メカニズムについて説明するための説明図である。 本発明に係る酸化反応促進メカニズムについて説明するための説明図である。 本発明に係る酸化反応促進メカニズムについて説明するための説明図である。 本発明の第1の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法における反応機構の一例について示した流れ図である。 同実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の一例について示した説明図である。 同実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の一例について示した説明図である。 同実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の一例について示した説明図である。 同実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の一例について示した説明図である。 同実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の一例について示した説明図である。 同実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の一例について示した説明図である。 実験例1の結果について示したグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(プラズマ切断処理に関して得られた知見)
以下では、本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置について説明するに先立ち、本発明者らが得たプラズマ切断処理に関する知見について、まず説明する。本発明者らは、以下で説明するような知見に基づいて更なる検討を行った結果、以下で詳述する本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置に想到したのである。
金属のプラズマ切断処理は、作動ガスが陽イオンと電子とに電離したプラズマとなることで生成されるプラズマアークの有する熱エネルギーを利用して金属を加熱することで、当該金属に切断溝を形成していき、この切断溝を金属の厚み方向に沿って形成していくことで、被溶削体である金属を切断する処理である。従って、プラズマ切断処理においては、プラズマアークの有する熱エネルギー(エネルギー密度)が、被溶削体の溶融切断に対して第一に寄与する要因であるといえる。
このようなプラズマ切断処理において、本発明者らは、被溶削材である金属の酸化発熱が、被溶削体の溶融切断に際して第二の要因として寄与することに着目した。その上で、本発明者らは、金属の酸化促進を促す酸素負イオン(酸素負イオンについては、後述する。)によって金属の昇温速度が格段に上昇し、その結果、切断性能を更に向上させることができ、ひいては、プラズマトーチに設けられるノズルの耐久性を向上させることが可能となることに想到した。
なお、プラズマ状態とは作動ガスが電子と陽イオンとに電離した状態であり、酸素負イオンとプラズマ状態の作動ガス(例えば酸素の陽イオン)とは異なるものである。
以下では、図1A〜図4Bを参照しながら、プラズマ切断処理に対して、本発明者らが得た知見について、実証実験の結果を示しながら具体的に説明する。
<酸化発熱のプラズマ切断への寄与>
以下では、まず、金属の酸化発熱のプラズマ切断への寄与について述べる。
本発明者は、金属の酸化発熱のプラズマ切断への寄与について調査するために、図1A及び図1Bに示したような実証実験を実施した。図1Aは、本発明に係るプラズマ切断メカニズムについて検証する装置の説明図であり、図1Bは、本発明に係る金属の酸化発熱への影響について説明するためのグラフ図である。
本発明者は、厚み12mmの極低炭素(Interstitial Free:IF)鋼を利用して、図1Aに示したような実証実験を行った。すなわち、IF鋼の鋼板のある1箇所に対して、Arプラズマ切断装置により貫通孔を形成する処理を行うとともに、鋼板の裏側に設けた放射温度計を用いて、貫通孔形成部位の温度上昇の様子を測定した。ここで、貫通孔形成部位の温度上昇の様子は、Arプラズマ切断装置からIF鋼に対して電子を供給する条件とし、プラズマトーチの横から酸素ガスを貫通孔形成部位に供給する構造とした。酸素ガスは、プラズマ処理開始後、貫通孔形成部位の測温温度が800℃の時点で、供給ノズルから供給を開始した。
なお、上記実証実験において、プラズマトーチに40リットル/分のArガスを供給し、失火しない限界出力においてIF鋼の穿孔を試みた。酸素ガス供給量は、25、40、60、80(単位は、各々リットル/分)とした。
図1Bは、得られた実験結果を示したグラフ図である。酸素供給量の増加と共に、鋼板裏面温度が急激に上昇する傾向が明らかとなった。酸素ガス供給量が25(リットル/分)では、横軸102秒経過後にIF鋼に穿孔を形成したが、酸素ガス供給量を80(リットル/分)まで増加させると、50秒経過後にIF鋼に穿孔を形成することができた。
以上のように、プラズマ切断処理において、切断部位の酸素ガスの供給量を増加させる、すなわち酸素濃度を高めることによって、切断時間(穿孔時間)を顕著に短縮できる程度の金属の酸化発熱が得られることがわかった。
<酸化反応促進メカニズムについて>
続いて、酸素による酸化反応促進メカニズムについて述べる。
本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及び金属のプラズマ切断装置について説明するに先立ち、本発明者が見出し、本発明の実施形態において着目する酸化反応促進メカニズムについて、図2〜図4Bを参照しながら具体的に説明する。
プラズマ切断処理のような熱切断処理により被溶削材である金属を切断する場合、金属は、熱エネルギーによる溶融と、被溶削材の酸化(いわゆる高温酸化)による酸化発熱で母材部分から取り除かれていき、最終的に金属が切断されることとなる。ここで、高温酸化とは、高温の状態にある鉄などの金属が酸素等の酸化性の気体と接触することで進行する酸化反応である。以下では、被溶削材である金属材料の一例として鉄(Fe)に着目し、熱切断の際に進行する鉄の高温酸化メカニズムについて簡単に説明する。図2は、鉄の高温酸化メカニズムについて説明するための説明図である。
鉄の高温酸化メカニズムは、図2に示したように、母材である鉄が存在する領域(金属領域)、外部環境として取り扱われる酸化性気体の存在する領域(気体領域)、及び、金属領域と気体領域との間に位置し、酸化反応によって生成される酸化皮膜が存在する領域という、3つの領域を考慮した3相モデルで説明することが可能である。
一般的な熱切断処理において、加熱された鉄(金属領域に存在する鉄)は、加熱による熱エネルギーによって、以下の反応式1のようにイオン化し、鉄イオン及び電子が生成される。
生成した鉄イオン及び電子は、図2に示したように、金属領域及び酸化皮膜領域を、酸化皮膜領域と気体領域との間に位置する界面に向かって拡散していくこととなる。
一方、気体領域に存在する酸素は、気体領域と酸化皮膜領域との間に位置する界面に接触し、この界面を通過して、酸化皮膜領域の中へと拡散していく。ここで、酸化皮膜中を拡散している電子と、酸素とが下記反応式2に示した反応を起こすことにより、酸化物イオンが生成されることとなる。
生成した酸化物イオンと、酸化皮膜領域中を拡散している鉄イオンとが、下記反応式3に示した反応を起こすことで、酸化鉄FeO(ウスタイト)が生成され、酸化皮膜領域が拡大する(換言すれば、酸化皮膜が成長する)こととなる。
以上説明したような鉄の高温酸化メカニズムにおいて、外部の熱環境が高温である場合(より詳細には、鉄の燃焼温度に到達した場合)には、生成した酸化鉄が燃焼して、溶融することとなる。鉄の溶融物は、機器から噴出されるガス流によって吹き飛ばされて、切断溝が生成することとなる。
Fe → Fe2+ + 2e ・・・(反応式1)
(1/2)O + 2e → O2− ・・・(反応式2)
Fe2+ + O2− → FeO ・・・(反応式3)
また、熱切断処理ではなく、鉄を高温酸化させて鉄の表面に酸化皮膜層を形成し、この酸化皮膜層に含まれる成分を分析した。その結果、酸化皮膜層の表面(外界である空気と接触している層)に近づくほど、生成される酸化鉄を構成する鉄の酸化数が高い状態にあり、酸化皮膜層の表面から母材側に向かって、Fe(ヘマタイト、鉄の酸化数+3)、Fe(マグネタイト)、FeO(ウスタイト、鉄の酸化数+2)が分布していることが明らかになった。このような結果は、熱切断処理を含む鉄の高温酸化反応において、酸化皮膜層の表面ほど鉄イオンと結合した酸化物イオンの量が多いことを示しており、酸素や酸化物イオンの供給(すなわち、酸化皮膜層と環境(気体)との界面における酸素や酸化物イオン)が、酸化反応の律速になっていることを示唆している。
図3は、本発明に係る酸化反応促進メカニズムについて説明するための説明図である。本発明者は、以上説明したような知見をもとに鋭意検討を行った結果、図3に示したように、電子及び酸素、又は、O やOのような酸素負イオンの少なくとも何れか一方を気体領域に更に供給することに想到した。気体領域に対し、電子や酸素負イオン等の高い反応性を有するものを供給することで、酸化皮膜領域−気体領域界面における酸素と電子との反応を更に生じさせたり、酸化物イオンO2−の量を増加させたりすることが可能となると考えられる。その結果、酸化反応の律速になっていると考えられる酸化物イオンの拡散度合いを増加させ、酸化皮膜領域−気体領域界面(換言すれば、酸化反応界面)における鉄の酸化反応を促進させることが可能となると考えられる。
本発明者は、上記した電子や酸素負イオン等による鉄の酸化反応促進の知見について検証するために、図4A及び図4Bに示したような実証実験を実施した。図4Aは、本発明に係る酸化反応促進メカニズムについて説明するための説明図であり、図4Bは、本発明に係る酸化反応促進メカニズムについて説明するためのグラフ図である。
本発明者は、厚み12mmの極低炭素(IF)鋼を利用して、図4Aに示したような実証実験を行った。すなわち、IF鋼の鋼板をガスバーナーで加熱するとともに、鋼板の裏側に設けた放射温度計を用いて、加熱位置の温度上昇の様子を測定した。また、電子銃と酸素供給ノズルとを組み合わせた電子発生装置を作製し、鋼板のガスバーナーと同じ側に設置した。電子発生装置は、真空に保たれた電子を発生させる電子発生源と、当該発生源から発生される電子線のみを大気中に取り出せる電子線透過膜とを備えた電子銃を用い、電子銃先端のスリット前段部位に酸素ガスを供給し、孔周囲を耐火材で覆われたスリットより、酸素負イオンが鋼板の加熱位置に向けて放出されることとなる。なお、かかる実験において、ガスバーナーの出力は一定とした。
図4Bは、得られた実験結果を示したグラフ図である。図4Bから明らかなように、ガスバーナー加熱のみの場合と比較して、加熱位置に対して酸素を供給した場合には、裏面温度がより早く上昇していることがわかる。また、加熱位置に対して酸素及び電子を供給した場合には、ガスバーナー加熱のみの場合や酸素のみを供給した場合と比べて、格段に速く温度が上昇していることがわかる。
この結果から、電子及び酸素、又は、O やOのような酸素負イオンの少なくとも何れか一方を加熱位置に供給することで、加熱位置で生じている詳細な反応機構は明らかではないものの、加熱位置における金属の昇温速度が格段に上昇することが明らかとなった。
上記2種類の実証実験から明らかなように、電子、又は、O やOのような酸素負イオンの少なくとも何れか一方を高温酸化部位に供給することで、当該部位で生じている詳細な反応機構は明らかではないものの、切断部位における金属の昇温速度が格段に上昇することが明らかとなった。
従って、プラズマの熱エネルギーを主として用いるプラズマ切断処理において、切断を促進する金属の高温酸化が可能な供給酸素について、電子、又は、O やOのような酸素負イオンの少なくとも何れか一方を含ませたり、あるいは供給したりすることで、切断部位における金属の昇温速度を、より一層向上させることが可能となると考えられる。
そこで、本発明者は、以上のようにして得られた知見に基づき更なる検討を行った結果、以下で説明するような、本発明に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置について想到した。
(第1の実施形態)
<金属のプラズマ切断方法について>
以下では、図5を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法について、詳細に説明する。
なお、以下では、被溶削材である金属材料の一例として、プラズマ切断処理を適用可能な鋼板を例に挙げて説明を行うが、本発明に係るプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置が適用可能な金属材料が鋼板に限定されるわけではなく、アルミニウム、銅、チタン等といった鉄以外の金属材料やこれらの合金についても、同様に適用することが可能であることは言うまでもない。
本実施形態に係る金属のプラズマ切断方法では、プラズマ切断処理で用いられるプラズマ化したガス(すなわち、プラズマ化した作動ガス)に対して、(i)O,O 、O2−等の酸素負イオン、又は、(ii)酸素分子O及び電子e、を供給する。
価数が−1である酸素の負イオンであるOや、スーパーオキシドとも呼ばれるO 等の酸素負イオンは、その化学式からも明らかなように電子(e)を帯電しており、鉄イオンとイオン結合しやすい状態のイオン種である。また、酸素分子及び電子を共に供給することで、電子を帯電した酸素負イオンを形成させることができる。このように、酸素負イオンや酸素分子及び電子は負に帯電している物質であって、被溶削材である金属に対して電子を供給する正極性条件を実現するための物質である。以下、本明細書では、O,O 等の酸素負イオンや、酸素分子及び電子を総称して、酸素負イオン類と称することとする。
本実施形態に係るプラズマ切断方法では、上記のような酸素負イオン類が、プラズマ化したガスを金属に噴射するノズルの外部から供給されてもよいし、上記のような酸素負イオン類が、ノズルのカーテンガスとして供給されてもよい。
本実施形態に係るプラズマ切断方法における切断メカニズムについて、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る金属のプラズマ切断方法における反応機構の一例について示した流れ図である。
プラズマトーチの内部に設けられた電極に例えば数kV以上の高電圧を印加すると、絶縁破壊が起こり、電極と母材である鋼板との間でアーク放電が発生する(ステップS101)。続いて、プラズマトーチ内に作動ガスが供給されると、作動ガスがプラズマ化して、プラズマアークが発生する(ステップS103)。ここで、作動ガスには、酸素ガスを利用してもよいし、窒素、空気、アルゴン、水等といった非酸素ガスを利用してもよい。
プラズマアークの構成要素としては、電離した荷電粒子である電子(負の電荷を有する。)及びガスイオン(正の電荷を有する。)と、電離していない状態の中性粒子(ガス分子や原子)とが共存し、プラズマジェット全体として電気的中性を保ったまま存在している。作動ガスとして例えば酸素を用いた場合、酸素プラズマアークの中には、電子と、正の電荷を有する酸素陽イオンと、酸素分子又は酸素原子とが共存し、電気的中性を保っている。また、作動ガスとして例えばアルゴンを用いた場合、アルゴンプラズマアークの中には、電子と、正の電荷を有するアルゴン陽イオンと、アルゴン原子とが共存し、電気的中性を保っている。
その後、プラズマトーチにおいて電極を包み込むように配設されたノズルによって、上記プラズマアークが絞り込まれることにより、プラズマアークは高温高速の噴流であるプラズマジェットとなって、被溶削材の表面に噴射される(ステップS105)。噴射され鋼板表面にぶつかったプラズマジェット有する熱エネルギーにより、母材である鉄が溶融することとなる(ステップS107)。
ここで、本実施形態に係るプラズマ切断方法では、上記のような酸素負イオン類が、プラズマ化されたガス(すなわち、プラズマジェット)に更に供給されている。これにより、被溶削材に対して電子が供給されることとなり、切断性が向上することとなる。また、切断部位における被溶削材(鉄)では、プラズマジェットの有する熱エネルギーによる溶融・酸化反応に加えて、ノズルの外部やカーテンガスから供給される酸素負イオン類による酸化反応が急激に進行することとなる。これにより、プラズマ化されたガスの有する熱エネルギーに加えて、酸素負イオン類に起因する酸化発熱反応のエネルギーを利用することが可能となるため、プラズマ切断処理の切断性を更に向上させることが可能となる。また、切断部位に対して反応性の高い酸素負イオン類が供給されることで、鉄とより多くの酸素とが反応し、通常はFeOへと酸化されるFeが、FeやFeへと酸化されると考えられる。ここで、Feが、FeO、Fe、Feへと酸化される場合の反応熱は、下記の反応式4〜6に示した値であるため、切断部位に対して酸素負イオン類が供給されることで、FeOが生成する場合に比べてより多くの酸化発熱量が発生する。その結果、発生した熱エネルギーを利用して、更に効率良く切断部位の温度が上昇する。また、酸素ガスで覆われた切断部位に対して電子を供給することで、電子に帯電した酸素ガス(すなわち、酸素負イオン)を更に形成させることも可能となる。
Fe+(1/2)O→FeO+64kcal ・・・(反応式4)
3Fe+2O→Fe+266.9kcal ・・・(反応式5)
2Fe+(3/2)O→Fe+190.7kcal ・・・(反応式6)
なお、作動ガスとして酸素ガスを用いた酸素プラズマ切断処理では、酸素プラズマの有する熱エネルギーに加えて、金属の酸素による酸化・発熱エネルギーを利用するものであるが、一般的な酸素プラズマ切断処理では、プラズマ化したガス(酸素ガス)は電気的に中性となっている。一方で、本実施形態に係るプラズマ切断処理では、電気的に中性の状態であるプラズマ化したガスに対して、被溶削材の酸化反応を更に促進させるべく、金属とイオン結合し易く金属酸化物になり易い負に帯電した酸素負イオン、又は、酸素分子とあわせて電子を、ノズルの外部やカーテンガスから供給するものである。従って、本実施形態に係るプラズマ切断処理は、一般的に行われている酸素プラズマ切断処理とは異なるものである。また、本実施形態に係るプラズマ切断処理では、プラズマ化したガスに対して、更に、酸素負イオン類を供給するものであるため、作動ガスとして非酸素ガスを利用した場合であっても、酸素と被溶削材との反応に起因する酸化反応エネルギー(例えば、上記反応式4〜反応式6に示した酸化反応エネルギー)を利用可能となる。
その後、溶融した母材や溶融酸化鉄は、プラズマジェットにより切断部位から除去されて、切断溝が形成される(ステップS109)。以後、上記ステップS105〜ステップS109の現象が繰り返し発生することで、被溶削材である鉄の切断処理が進行していき、最終的には被溶削材が切断されることとなる。
以上のようなメカニズムでプラズマ切断処理が進行することにより、本実施形態に係る金属のプラズマ切断方法では、プラズマ化したガスの有する熱エネルギーに加えて、酸素負イオン類に起因する酸化反応エネルギーを利用することが可能となる。その結果、プラズマ切断処理の切断性を更に向上させることが可能となる。また、プラズマ切断処理の切断性が向上することで、切断に要する時間を変えることなくプラズマ化のために要する電力を抑制することが可能となるため、ノズルの耐久性を向上させることが可能となる。
<金属のプラズマ切断装置について>
続いて、図6A〜図7Cを参照しながら、本実施形態に係る金属のプラズマ切断装置について詳細に説明する。図6A〜図7Cは、本実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の一例について示した説明図である。
本実施形態に係る金属のプラズマ切断装置は、熱プラズマの有する熱エネルギーを利用して金属を切断するものであって、電子、又は、酸素負イオンを発生させる発生装置を有しており、プラズマ化したガスに対して、発生装置で発生した電子及び酸素分子、又は、酸素負イオンを供給する。また、本実施形態に係る金属のプラズマ切断装置では、プラズマ化したガスに加えて、切断部位に対しても発生装置で発生した電子及び酸素分子、又は、酸素負イオンを供給してもよい。
ここで、電子、又は、酸素負イオンの少なくとも何れか一方を発生させる発生装置としては、真空に保たれた電子を発生させる電子発生源と、当該発生源から発生される電子線のみを大気中に取り出せる電子線透過膜とを備えた電子銃等を用い、これら電子銃等と酸素ガス供給装置を組み合わせた電子発生装置を利用することが可能である。また、これ以外の電子発生源として、例えば、コロナ放電式、電子放射式、放射性物質利用式、レナード式等の電子発生装置を利用してもよい。
このような発生装置は、プラズマ切断装置に対して酸素ガスを供給する酸素ガス供給ライン上に設置されることが好ましい。
[プラズマ切断装置の構成例−その1]
以下では、図6A〜図6Cを参照しながら、本実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の第1の構成例について説明する。
第1の構成例に係るガス切断装置では、図6A及び図6Bに示したように、ノズルの設けられたプラズマトーチに対して作動ガスを供給する作動ガス供給ラインと、プラズマトーチとは別に設けられた供給ノズルに対して酸素負イオン類を含む酸素ガスを供給する酸素負イオン類供給ラインと、が設けられており、酸素負イオン類供給ラインを介して、プラズマ化したガス(場合によっては更に切断部位)に酸素負イオン類を含む酸素ガスが供給される。
図6Aは、作動ガスとして、窒素、空気、アルゴン、水等の非酸素ガスが利用され、これらのガスがプラズマ化する場合について示した図である。
プラズマトーチに対して作動ガスを供給する作動ガス供給ラインには、可燃ガスのガス圧を制御するための減圧弁と、可燃ガスの流量を調整するための弁と、圧力計とが設置されている。
また、酸素負イオン類を供給する供給ノズルに酸素負イオン類を供給する酸素負イオン類供給ラインには、酸素ガスのガス圧を制御するための減圧弁と、酸素ガスの流量を調整するための弁と、圧力計とが設置されている。また、酸素負イオン類供給ラインには、上記の発生装置が配設されている。これにより、酸素負イオン類供給ノズルに供給される酸素ガスの中に、電子、又は、酸素負イオンが混合されることとなる。
図6Bは、作動ガスとして、酸素ガスが利用され、酸素ガスがプラズマ化する場合について示した図である。
作動ガスとして酸素を利用する場合、例えば、酸素ガスは、供給ライン上に設けられた減圧弁により酸素ガス圧が制御された上で、プラズマトーチに作動ガスである酸素ガスを供給するための作動ガス供給ラインと、供給ノズルに酸素負イオン類を供給する酸素負イオン類供給ラインと、の2系統に分岐される。酸素負イオン類供給ラインには、酸素ガス圧を更に制御するための減圧弁が設けられており、作動ガス供給ライン及び酸素負イオン類供給ラインのそれぞれには、酸素ガスの流量を調整するための弁と、圧力計とが設置されている。また、酸素負イオン類供給ラインには、上記の発生装置が配設されている。これにより、酸素負イオン類供給ラインにより供給ノズルへと供給される酸素ガスの中に、酸素負イオンや電子等が混合されることとなる。
図6Cは、プラズマトーチの先端に設置されたノズルの近傍を拡大して示した模式図である。
図6Cに示したように、ノズルの内部には、所定の電圧が印加される電極が設けられており、電極の周囲を覆うように作動ガスの流路が設けられている。かかるプラズマトーチでは、作動ガス供給ラインから供給された非酸素ガスがプラズマ化する。プラズマ化した非酸素ガスは、先端が細められたノズルによって絞り込まれてプラズマジェットとなり、母材に向けて噴射されることとなる。
また、本構成例に係るプラズマ切断装置では、プラズマトーチの近傍に、酸素負イオン類供給ラインからの酸素負イオン類を含む酸素ガスをプラズマ化したガスに供給する供給ノズルが設けられている。供給ノズルは、図6Cに示したように、ノズルの切断方向上流側に設けられていても良いし、切断方向下流側に設けられていても良い。また、ノズルの切断方向上流側及び下流側の双方に供給ノズルを配置してもよく、ノズルの周囲に複数の供給ノズルを配置してもよい。
供給ノズルからプラズマ化したガスや切断部位に対して酸素負イオン類が供給されることにより、先だって説明したような、被溶削材に対して電子が供給される条件が満たされることとなり、切断性が向上することとなる。また、酸素負イオン類に起因して母材の酸化反応が進行することで生じる熱エネルギーも、切断処理に利用することが可能となる。熱プラズマの有する熱エネルギーと、酸化反応によって生じる熱エネルギーの双方により、被溶削材である鉄や酸化鉄が溶融し、溶融した酸化鉄及び母材(Fe、FeO、Fe、Fe等)がスラグとして除去される。また、スラグの除去された部分には、図6Cに示したように、ドラグラインが形成される。
図6A〜図6Cに示したように、本構成例に係るガス切断装置は、酸素負イオン類がプラズマトーチに設けられたノズルの外部から供給される場合の装置構成例となっている。
[プラズマ切断装置の構成例−その2]
続いて、図7A〜図7Cを参照しながら、本実施形態に係る金属のプラズマ切断装置の第2の構成例について説明する。
本構成例に係るプラズマ切断装置は、図7A及び図7Bに示したように、ノズルの設けられたプラズマトーチに対して作動ガスを供給する作動ガス供給ラインと、プラズマトーチに対してカーテンガスを供給するカーテンガス供給ラインと、が設けられている。本構成例では、プラズマ化したガス(場合によっては更に切断部位)に対し、酸素負イオン類を含む酸素ガスがカーテンガスとして供給される。
図7Aは、作動ガスとして、窒素、空気、アルゴン、水等の非酸素ガスが利用され、これらのガスがプラズマ化する場合について示した図である。
プラズマトーチに対して作動ガスを供給する作動ガス供給ラインの構成は、第1の構成例に係る作動ガス供給ラインと同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、ノズルにカーテンガスを供給するカーテンガス供給ラインには、酸素ガスのガス圧を制御するための減圧弁と、酸素ガスの流量を調整するための弁と、圧力計とが設置されている。また、カーテンガス供給ラインには、上記の発生装置が配設されている。これにより、カーテンガス供給ノズルに供給される酸素ガスの中に、電子、又は、酸素負イオンが混合されることとなる。
図7Bは、作動ガスとして、酸素ガスが利用され、酸素ガスがプラズマ化する場合について示した図である。
作動ガスとして酸素を利用する場合、例えば、酸素ガスは、供給ライン上に設けられた減圧弁により酸素ガス圧が制御された上で、プラズマトーチに作動ガスである酸素ガスを供給するための作動ガス供給ラインと、ノズルにカーテンガスを供給するカーテンガス供給ラインと、の2系統に分岐される。カーテンガス供給ラインには、酸素ガス圧を更に制御するための減圧弁が設けられており、作動ガス供給ライン及びカーテンガス供給ラインのそれぞれには、酸素ガスの流量を調整するための弁と、圧力計とが設置されている。また、カーテンガス供給ラインには、上記の発生装置が配設されている。これにより、カーテンガス供給ラインによりノズルへ供給される酸素ガス(カーテンガス)の中に、酸素負イオンや電子等が混合されることとなる。
図7Cは、プラズマトーチの先端に設置されたノズルの近傍を拡大して示した模式図である。
図7Cに示したように、ノズルの内部には、所定の電圧が印加される電極が設けられており、電極の周囲を覆うように作動ガスの流路が設けられている。また、本構成例に係るプラズマトーチでは、作動ガスの流路を更に覆うようにカーテンガスの流路が設けられている。
本構成例に係るプラズマトーチでは、作動ガス供給ラインから供給された酸素ガスがプラズマ化する。プラズマ化した酸素ガスは、先端が細められたノズルによって絞り込まれてプラズマジェットとなり、母材に向けて噴射されることとなる。また、本構成例に係るプラズマ切断装置では、カーテンガス供給ラインから供給される酸素負イオン類を含む酸素ガスが、カーテンガスとしてプラズマジェットの周囲に噴射される。
プラズマ化したガスや切断部位に対して酸素負イオン類がカーテンガスとして供給されることにより、先だって説明したような、被溶削材に対して電子が供給される条件が満たされることとなり、切断性が向上することとなる。また、酸素負イオン類に起因して母材の酸化反応が進行することで生じる熱エネルギーも、切断処理に利用することが可能となる。熱プラズマの有する熱エネルギーと、酸化反応によって生じる熱エネルギーの双方により、被溶削材である鉄や酸化鉄が溶融し、溶融した酸化鉄及び母材(Fe、FeO、Fe、Fe等)がスラグとして除去される。また、スラグの除去された部分には、図6Cに示したように、ドラグラインが形成される。
以上、図6A〜図7Cを参照しながら、本実施形態に係るプラズマ切断装置の構成例について詳細に説明した。
なお、本実施形態に係るプラズマ切断装置の構成は、図6A〜図7Cに示した各種の供給ラインやプラズマトーチ、供給ノズルに限定されるわけではなく、プラズマトーチ内の電極に電圧を印加するための電源装置や、ノズルを含むプラズマトーチを冷却するための冷却装置等といった装置が適宜設けられている。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置では、酸素負イオン類をプラズマ化したガスに供給して、プラズマ切断処理を行うことで、切断性を更に向上させることができる。そのため、切断サイクルタイム内で切断可能な金属材料においては、切断性が向上することにより、切断時間を維持しつつプラズマの発生に要する電力を低下させることが可能となり、プラズマトーチに設けられるノズルの耐久性を向上させとともに、省エネルギーを図ることが可能となる。
また、本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置では、作動ガスとして非酸素ガスを用いた場合であっても、酸素負イオン類による酸化反応エネルギーにより低プラズマ出力時においても同等の切断性を確保することが可能であるため、ノズルの耐久性を向上させることが可能となる。
更に、切断性能の向上を図ることが可能となることから、鋼板や、特殊合金鋼入り鋼板等の切断しにくく所定時間内での切断が完了しない切断工程においては、切断速度が向上し、切断サイクルタイム内での鋼板の切断を行うことが可能となる。これにより、各種金属材の切断効率を向上させることができる。
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置のあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置が、下記に示す実施例に限定されるわけではない。
(実験例1)
以下では、板厚12mmのIF鋼を利用して、かかる鋼板に対してプラズマ切断処理により貫通孔を形成する処理を実施した。この際、鋼板の裏面(プラズマジェットが噴射される面とは逆側の面)に放射温度計を設置し、鋼板裏面温度の上昇度合いを測定した。
本実験例に使用したプラズマ切断装置は、図6A及び図6Cに示した切断装置であり、作動ガスとしては、アルゴンガスを利用した。また、発生装置として、図4Aに示した電子発生装置を利用した。酸素負イオン類供給ラインに設置した発生装置から発生する酸素負イオン類の量は、JIS B9929(2006)「空気中のイオン密度測定方法」に記載されている方法に則して簡易の平板式イオン測定機で測定し、250万個/cc以上であることを別途確認した。
作動ガスの流量及び酸素負イオン類供給ラインで供給する酸素ガスの流量等については、以下の表1のように制御した。なお、下記の表1において、比較例1及び比較例2は、酸素負イオン類供給ラインには、発生装置を設置しなかった場合の例である。
Figure 2013248654
得られた結果を、図8に示した。図8は、実験例1の結果について示したグラフ図である。図8における実施例1と比較例1及び比較例2とを比較すると明らかなように、プラズマ化したアルゴンガスに対して酸素分子及び電子を供給することで、鋼板裏面温度の上昇速度が上昇することが明らかとなった。また、本発明の実施形態に係るプラズマ切断方法は、比較例2に対応する一般的な酸素プラズマ切断処理に比べても、鋼板裏面温度の上昇速度が速いことがわかる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る金属のプラズマ切断方法及びプラズマ切断装置では、酸素負イオン類をプラズマ化したガスに供給することで、切断性能を更に向上させることができる。これにより、プラズマトーチに設けられるノズルの耐久性を向上させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (7)

  1. プラズマを利用して金属を切断する金属のプラズマ切断方法において、
    プラズマ化したガスに対して、酸素分子及び電子、又は、酸素負イオンを供給する
    ことを特徴とする、金属のプラズマ切断方法。
  2. 前記酸素分子及び電子、又は、酸素負イオンは、前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルの外部から供給される
    ことを特徴とする、請求項1に記載の金属のプラズマ切断方法。
  3. 前記酸素分子及び電子、又は、酸素負イオンは、前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルのカーテンガスとして供給される
    ことを特徴とする、請求項1に記載の金属のプラズマ切断方法。
  4. プラズマを利用して金属を切断する金属のプラズマ切断装置において、
    電子、又は、酸素負イオンを発生させる発生装置を備え、
    プラズマ化したガスに対して、前記発生装置で発生した前記電子及び酸素分子、又は、前記酸素負イオンの少なくとも何れか一方を供給する
    ことを特徴とする、金属のプラズマ切断装置。
  5. 前記発生装置は、酸素ガスを供給する酸素ガス供給ライン上に設置される
    ことを特徴とする、請求項4に記載の金属のプラズマ切断装置。
  6. 前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルを更に備え、
    前記電子及び酸素分子、又は、酸素負イオンは、前記ノズルの外部から供給される
    ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の金属のプラズマ切断装置。
  7. 前記プラズマ化したガスを前記金属に噴射するノズルを更に備え、
    前記電子及び酸素分子、又は、酸素負イオンは、前記ノズルのカーテンガスとして供給される
    ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の金属のプラズマ切断装置。
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