JP2013245807A - ピストンダンパー - Google Patents
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Abstract
【課題】特に、成形性に優れると共に、目詰まりの虞を解消して安定した動作特性を維持できるようにする。
【解決手段】シリンダ1と、ピストン2と、シリンダの一端側に取り付けられたバルブ部材4とを備え、シリンダ1及びピストン2に連結される部材20のいずれか一方の側を制動対象物に取り付けることで、その制動対象物の移動ないしは相対的な移動に制動力を付与するピストンダンパー6において、バルブ部材4の内面に設けた軸部43、及びシリンダの一端内側に設けた板状の仕切壁17、並びに仕切壁に形成されて軸部により閉塞される孔18aとを有し、仕切壁17がピストン2のバルブ部材4から離れる方向への移動に起因したシリンダ内の負圧により少なくとも孔の周縁が撓み変形可能な弾性を有し、その弾性変形により、軸部と孔の周縁との間に制動用の空気通路を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダ1と、ピストン2と、シリンダの一端側に取り付けられたバルブ部材4とを備え、シリンダ1及びピストン2に連結される部材20のいずれか一方の側を制動対象物に取り付けることで、その制動対象物の移動ないしは相対的な移動に制動力を付与するピストンダンパー6において、バルブ部材4の内面に設けた軸部43、及びシリンダの一端内側に設けた板状の仕切壁17、並びに仕切壁に形成されて軸部により閉塞される孔18aとを有し、仕切壁17がピストン2のバルブ部材4から離れる方向への移動に起因したシリンダ内の負圧により少なくとも孔の周縁が撓み変形可能な弾性を有し、その弾性変形により、軸部と孔の周縁との間に制動用の空気通路を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、第1部材(本体や固定体など)に対する第2部材(扉や引出など)の移動速度を制動するような場合に好適なピストンダンパーに関する。
図8は特許文献1に開示のピストンダンパーを示している。このピストンダンパー10は、シリンダ20、及びシリンダの一端側に取り付けられたシールキャップ(本願のバルブ部材に相当)60と、シリンダ内に摺動可能に設けられたピストン50とを備え、シリンダ20及びピストン50に連結されたロッド40のいずれか一方の側を扉などの制動対象物に取り付けることで、その制動対象物の移動ないしは相対的な移動に制動力を付与する。なお、ピストン50には、ロッド40に代えて、実用新案登録第2594979号公報に開示されるような線条材や紐などが連結されることもある。
ここで、シリンダ20は縮径部31の一端側に拡径した延長筒24を有している。延長筒24には、シールキャップ60を位置決めしたり係合する不図示の切欠部及び係止孔が設けられている。ピストン50は、閉塞端面51、閉塞端面後方に形成された最外周の円筒52、円筒52の外周に形成された第1シール突起56及び第2シール突起57などを有している。シールキャップ60は、内面に設けられて延長筒24内の段差に当接するシールフランジ64と、中央部に設けられたオリフィス65とを有している。
以上の構造では、図8(a)のごとくロッド40を最大限に押し込んだ状態で、第1シール突起56が拡径部30内周に位置し、第2シール突起57が縮径部31の内周に位置している。そして、同(b)のごとくロッド40の矢印方向への移動において、第1シール突起56は縮径部31に挿入されて縮径部内周に圧接されるため、シールキャップ60とピストン50との間の空間が減圧ないしは負圧となって、オリフィス65を通して空気が流入しつつ、ピストン50が移動する。その結果、引き出されるロッド40に強い制動力が作用する。また、ロッド40の逆矢印方向への移動において、第1シール突起56は縮径部31内周に圧接されているため、シールキャップ60とピストン50との間の空間が圧縮され加圧される。このとき、シールフランジ64がめくれ上がるよう変形し段部25から離れて隙間を形成するため、シリンダ20内の空気がオリフィス65のみでなく、シールフランジ64周縁に形成される隙間を通して流出するため制動力が軽く作用する。
上記したようなピストンダンパーにおいて、オリフィスは、制動用の空気通路であるため孔径がかなり径小(例えば、用途が自動車のグローブボックスだと、0.1〜0.4mm程度)となっている。このため、この製造では、成形用金型の耐久性に難があり、量産性に乏しく、またバリが発生し易く動作特性がばらつく原因となる。加えて、外部に露出されているためオリフィスが目詰まりする虞もある。
本発明の目的は、以上のような問題を解消して、構成部材を増やすことなく簡易性を維持しながら、成形性に優れると共に、目詰まりの虞を解消して安定した動作特性を維持できるようにしたピストンダンパーを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、シリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられたピストンと、前記シリンダの一端側に取り付けられたバルブ部材とを備え、前記シリンダ及び前記ピストンに連結される部材のいずれか一方の側を制動対象物に取り付けることで、その制動対象物の移動ないしは相対的な移動に制動力を付与するピストンダンパーにおいて、前記バルブ部材の内面に設けた軸部、及び前記シリンダの一端内側に設けた板状の仕切壁、並びに前記仕切壁に形成されて前記軸部により閉塞される孔とを有し、前記仕切壁が前記ピストンの前記バルブ部材から離れる方向への移動に起因した前記シリンダ内の負圧(つまり仕切壁とピストンとの間の空間が負圧になること)により少なくとも前記孔の周縁が撓み変形可能な弾性を有し、その弾性変形により、前記軸部と前記孔の周縁との間に制動用の空気通路(つまりオリフィス))を形成することを特徴としている。
以上の本発明は、以下のように具体化又は展開されることがより好ましい。すなわち、
(1)前記軸部は、軸周面から先端に向かうに従って軸先端中央部へ傾斜する傾斜部を有し、前記傾斜部が前記孔の周縁に当接する構成である(請求項2)。
(2)前記仕切壁は、前記孔の周縁側を外周側の肉厚より薄い薄肉部に形成している構成である(請求項3)。
(4)前記ピストンが前記バルブ部材から離れる方向へ移動するときに発生する負圧により、外部の空気が前記バルブ部材の前記シリンダに対する取付部の隙間から流入し、前記孔の周縁の撓み変形にて形成される前記空気通路を通って前記シリンダ内へ流入する構成である(請求項4)。
(1)前記軸部は、軸周面から先端に向かうに従って軸先端中央部へ傾斜する傾斜部を有し、前記傾斜部が前記孔の周縁に当接する構成である(請求項2)。
(2)前記仕切壁は、前記孔の周縁側を外周側の肉厚より薄い薄肉部に形成している構成である(請求項3)。
(4)前記ピストンが前記バルブ部材から離れる方向へ移動するときに発生する負圧により、外部の空気が前記バルブ部材の前記シリンダに対する取付部の隙間から流入し、前記孔の周縁の撓み変形にて形成される前記空気通路を通って前記シリンダ内へ流入する構成である(請求項4)。
(5)前記バルブ部材は、前記軸部を円盤状の内面略中央より突出していると共に、外周に設けられて前記シリンダの周囲に設けられた取付孔に係止する係合部と、内面に設けられて前記軸部の突出方向と同じ方向に突出し前記薄肉部に当接する当接壁とを有している構成である(請求項5)。
(6)前記軸部が前記孔を閉塞した状態において、前記軸部の先端が前記当接壁よりも前記シリンダ内側に突出している構成である(請求項6)。
(7)前記当接壁は、前記軸部と間隔を保って突出した略筒状からなると共に、その筒状の内外を連通して前記空気流路の一部を形成する切欠部を有している構成である(請求項7)。
(6)前記軸部が前記孔を閉塞した状態において、前記軸部の先端が前記当接壁よりも前記シリンダ内側に突出している構成である(請求項6)。
(7)前記当接壁は、前記軸部と間隔を保って突出した略筒状からなると共に、その筒状の内外を連通して前記空気流路の一部を形成する切欠部を有している構成である(請求項7)。
請求項1の発明では、シリンダ側仕切壁の孔は通常だとバルブ部材側の軸部により閉塞されており、図1のごとくバルブ部材から離れる方向へのピストンの移動に起因したシリンダ内の負圧により、仕切壁のうち少なくとも孔の周縁が撓み変形して、軸部と孔の周縁との間に制動用の空気通路つまりオリフィスを形成する。従って、この発明では、外部の空気がそのオリフィスを通してシリンダ内に流入しつつ、ピストンが移動するため、ピストンに連結される部材(形態例のロッド、或いは上記した線条材など)に強い制動力が作用する。なお、ピストンのバルブ部材側への移動において、図2のごとくピストンとバルブ部材との間の前室の空気は前記孔からの流出されることなく、形態の例だとピストンのオリフィスを介して後室側へ流出される。
以上の本発明のピストンダンパーは特許文献1に比べて次のような点で優れている。
第1に、オリフィス構造としては、シリンダ内の負圧により、仕切壁のうち少なくとも孔の周縁が撓み変形して軸部と孔の周縁との間に制動用の空気通路を形成するため、オリフィス用孔の孔径を大きく設定でき、それにより成形用金型の耐久性、良好な量産性を維持でき、またバリの発生も防ぎ易くなる。
第2に、孔がバルブ部材ではなくシリンダ側の仕切壁に設けられているため外部に露出されないと共に、通常時はバルブ部材側の軸部により閉塞されているため目詰まりの虞を解消できる。
第3に、以上の各利点を部材数を増やすことなく実現できる。
第1に、オリフィス構造としては、シリンダ内の負圧により、仕切壁のうち少なくとも孔の周縁が撓み変形して軸部と孔の周縁との間に制動用の空気通路を形成するため、オリフィス用孔の孔径を大きく設定でき、それにより成形用金型の耐久性、良好な量産性を維持でき、またバリの発生も防ぎ易くなる。
第2に、孔がバルブ部材ではなくシリンダ側の仕切壁に設けられているため外部に露出されないと共に、通常時はバルブ部材側の軸部により閉塞されているため目詰まりの虞を解消できる。
第3に、以上の各利点を部材数を増やすことなく実現できる。
請求項2の発明では、軸部先端側の傾斜部と仕切壁側の孔を形成している弾性縁部とが当接することにより、非動作時には確実に密封されて目詰まりを防ぎ、作動時には接触面積を少なくしているため孔周縁の撓み変形を確実に得られる。また、軸部先端側の傾斜部により寸法ばらつきを吸収したり、作動時の孔周縁の安定した弾性変形つまり変形軌道も形成し易くなる。
請求項3の発明では、仕切壁が孔の周縁側を外周側の肉厚より薄い薄肉部に形成しているため、剛性確保と撓み作用を両立できる。
請求項4の発明では、図1(b)のごとくピストンがバルブ部材から離れる方向へ移動するときに発生する負圧により、外部の空気が取付部の隙間から請求項1の制動用の空気通路を通ってシリンダ内へ流入することで、簡易性や外観特性を維持できる。
請求項5の発明では、シリンダ側仕切壁とバルブ部材が係合支持する部位と撓む部位とを両立させており、ピストンがバルブ部材に近づく方向へ移動するときは孔を軸部で閉塞しつつ、ピストンがバルブ部材から離れる方向へ移動するときには孔周縁の撓み変形にて制動用の空気通路を形成し易くなる。
請求項6の発明では、軸部による仕切壁の孔の閉塞を確実に得られると共に、制動用の空気通路を孔周縁の微量な撓みで確実に形成されるようにする。
請求項7の発明は、図7の変形例を特定したものであり、当接壁が空気流路の一部を形成する切欠部を有しているため、例えば当接部形状として外部の空気の流入を損なわずに形状及び突出寸法を設定できる。
以下、本発明の形態を図面を参照し説明する。この説明では、図1〜図6に示したピストンダンパーの構造例及び作動を明らかにした後、図7の変形例について述べる。
(構造例)形態のピストンダンパー6は、図5に示されるごとく、筒状(有底筒状)のシリンダ1と、シリンダ1内に往復ないしは前後動可能に配置されるピストン2と、シリンダ1の一端側に取り付けられるバルブ部材4と、シリンダ1の他端側に取り付けられるキャップ35、ピストン2の外周に設けられた収容溝25に嵌合される0リング5と、ピストン2に連結されてシリンダ1内よりキャップ35の中心孔を通って出没されるロッド20と、ロッド20の先端に装着される衝撃吸収用の弾性体28と、ロッド20を突出方向へ付勢する付勢部材Sと、ロッド20を付勢力に抗し没入状態で係止し、かつ更に没入方向へ押されて該押し力が解放されると係止解除して突出方向へ移動可能にするプッシュ・プッシュ係止機構とを備えている。なお、プッシュ・プッシュ係止機構は、ロッド外周に設けられたカム溝27と、シリンダ1に揺動可能に支持されてカム溝27をトレースするピン3と、ピン3を揺動可能に付勢する板ばね30とからなり、ピストン2及びロッド20を付勢力に抗して没状態で係止し、次の押し操作により係止解除するものである。この詳細は特願2012−093342号を参照されたい。
構成部材の材質は、シリンダ1、ピストン2、バルブ部材4、ロッド20、キャップ35が樹脂製、0リング5がゴム製、付勢部材S、ピン3、板ばね30が金属製である。但し、材質はこの例に限られず何でもよい。用途は、特許文献1に挙げられているようなグローブボックスの開閉移動を制動したり、扉や引出などの移動を制動したり、それ以外の他の用途でもよい。
次に、ピストンダンパー6の構成部材の詳細を明らかにする。まず、シリンダ1は、図5及び図6に示されるごとく有底ないしは一端側の仕切壁17付きの筒体10からなり、筒体内にあって仕切壁17の内面に小筒形に突設されかつ等間隔のスリットにより分割された複数の片部19と、外周にあって左右略中間に設けられた略矩形枠状の台座部12と、台座部12の両側に突設された取付板部12aと、両取付板部12の間にあって台座部12から先端までを平らに形成している凹所12bと、台座部12の枠内側の一段低い凹所12cと、台座部12の両側に設けられて一段低くなった板ばね取付用の嵌合部12dと、両嵌合部12dの略中央部に突設された爪14とを有している。
凹所12cには、ピン用軸孔15aと、ピン3の揺動範囲を規制する規制孔15bと、軸孔15aと規制孔15bとの間に設けられたガイド用リブ15cとが設けられている。なお、シリンダ1には、ピストン2及びロッド20を筒内に配置した状態で、ピン3及び板ばね30が組み付けられる。ピン3は、略U形に折り曲げられており、一端側である基端3bが軸孔15aに揺動可能に枢支され、中間部がリブ15cに支持された状態で、他端側である先端3aが規制孔15bからロッド側のカム溝27に差し込まれる。板ばね30は、中間板部31と、中間板部31の両側を下向きに折り曲げた係合孔32a付きの側板部32と、中間板部31の前後縁に設された片部33,34とからなる。そして、板ばね30は、各側板部32を対応する嵌合部12dに配置すると、爪14が係合孔32に係合して台座部12に装着される。この装着状態で、片部33と34がピン3を適度なテンションで下向きに押圧する。
また、前記仕切壁17は、筒体10の一端側にあって、バルブ部材5が一端側内周に配置されるスペース分だけ内側に後退した箇所に設けられていると共に、中央に設けられたオリフィス形成用孔18aの周縁側が外周側の肉厚よりかなり薄く形成した薄肉部18となっている。換言すると、薄肉部18は、図6(c)及び図7(b)の拡大図に示されるごとく仕切壁17のうち、外周側を除いた中央側に位置して、中心の孔18aと、内面にあって孔18aと同心円上に設けられた前記した複数の片部19とを有しており、孔18aの周縁、つまり孔18aと各片部19との間の部分が撓み変形可能ないしは弾性揺動可能となっている。また、筒体10のうち、一端と仕切壁17との間の筒部には、図7に示されるごとくバルブ部材4を配置し易くするため内径が筒端末に向かって次第に大きくなるよう形成されていると共に、対向したスリット16aにより区画された揺動片部16が複数箇所に設けられている。各揺動片部16には取付孔16bが設けられている。
バルブ部材4は、概略円盤状をなし、内面側に設けられた当接部41及び中心の軸部43と、外面側に設けられた補強用リブ42と、外周に設けられた複数の凸状係合部45とを有し、各係合部45が対応する取付孔16bに係合することにより筒体10の一端内側に取り付けられる。なお、取付孔16bは、係合部45が係合した状態で外部の空気が流入するよう隙間を保っている。
バルブ部材4の内面は外周40の内端面よりも少し低くなっている。このため、外周40の内面側には複数箇所に切欠部40aが設けられている。当接部41は、外周40の内面よりも前方へ突出しており、バルブ部材4が係合部45を取付孔16bに係止して筒体10に取り付けられた状態で、仕切壁17の内周側を形成している薄肉部18のうち、撓み変形ないしは弾性揺動を損なわない外周側に当接してバルブ部材4のがたつきなどを防ぐ。この状態で、外周40の内面側は、仕切壁17の厚くなった外周側に当接している。また、当接部41は、壁軸部43を中心とした筒形からなると共に、その筒形の内外を連通して空気流路の一部を形成する切欠部41aを形成している。但し、当接部41は、例えば、筒形を等間隔のスリットにより分割した複数の当接片として形成してもよく、その場合は切欠部41aは省かれる。この点は外周40の内面側の切欠部40aも同じ。
軸部43は、仕切壁の孔18aを閉塞するものであり、軸周面の途中から先端に向かうに従って軸先端中央部へ傾斜する円錐台形の傾斜部43aを形成している。また、軸部43の全寸は、孔18aを閉塞した状態において、軸先端が当接壁41よりも若干高く、傾斜部43aが孔18aからシリンダ内側に突出している。傾斜部43aは、軸先端側に位置して、孔18aの周縁に当接することで孔18aの閉塞を確実に得られるようにする。同時に、傾斜部43aは、図2(b)のごとく孔18に差し込まれて閉塞した状態から、図1のごとくピストン2がバルブ部材10から離れる方向へ移動するときに発生する負圧により、薄肉部18のうち、孔18aの周縁の微量な撓みで制動用の空気通路つまりオリフィスを確実に形成されるようにする。
これに対し、シリンダ1の後端は開口している。該開口付近には、キャップ35をワンタッチで装着可能にするため、対の係合孔13と、各係合孔13を形成している壁部分の両側にあるスリット13aとが設けられている。各係合孔13は、凹所12bとそれと対向する箇所に設けられている。各スリット13aは、係合孔13を形成している壁部分を揺動可能にして、キャップ18との係合を容易にする。
すなわち、キャップ35は、シリンダの後端開口内に挿入される筒部50と、筒部50の端部に一体化されてシリンダの開口端面に重ねられるフランジ部51とからなり、筒部50内及びフランジ部51の孔からロッド20を出没可能となっている。筒部50には、各係合孔13に係合される対の爪54と、各スリット13aに係合される53とが設けられている。そして、キャップ35は、後述するごとくロッド20及び付勢部材Sなどをシリンダ1に挿入した状態から、筒部50がシリンダ1の開口に差し込まれると、各爪54が対応する係合孔13と係合し、各リブ53が対応するスリット13aと係合してシリンダ1に対し装着される。
ピストン2は、図1及び図2の各(c)に示されるごとく略円盤状をなし、シリンダの筒体10内に摺動自在に配置されると共に、後側端面に突設したロッド20を有している。ピストン2には、外周に周回されている断面略凹形の収容溝25と、収容溝25の溝底面25aから後室に連通している通気溝26とが設けられている。このピストン2は、減衰効果が、ロッド20を図1のごとく後方移動するときにOリング5を介して前室と後室との間の隙間を閉じ、バルブ部材4の孔18aの周縁を撓み変形して外部の空気を流入することで強い制動力が得られるようにする一例である。
詳述すると、収容溝25は、前フランジ部25bと後フランジ部25cと溝底面25aとにより、又は溝底面25aを挟んで対向している前・後フランジ部25b,25cにより区画されている。収容溝25の溝幅は、Oリング4の軸方向への移動量などを考量した幅寸法に設定される。Oリング4は、収容溝25内に適度な弾性でかつ軸方向に移動可能に嵌め付けられ、図2のごとくシリンダの筒体10内を前室と後室に分ける。
通気溝26は、Oリング4と共にオリフィス、つまりピストン2が一方向へ移動するときにダンパー(減衰)を効かさないようにするワンウェイ効果を得るための通気穴である。また、通気溝26は、溝底面25a及び後フランジ部25cの対応部分を切り欠いた溝である。なお、この通気溝については、例えば、本出願人の特願2011−285271号などを参照されたい。
一方、ロッド20は、図5及び図6(b)に示されるごとく、ピストン2の後端面に突設されて細長い筒状となっており、筒内にあって略左右中間にドーナツ状の内壁21と、図2(b)のごとく後端内周に設けられたリング状リブ22と、前後方向の略中間より後端までを少し径小に形成した段部23と、段部23ではない外周に設けられたカム溝27とを有している
このうち、内壁21は、図1のごとくロッド20がシリンダの筒体10内に挿入された状態で、シリンダ側仕切壁17の薄肉部18との間に付勢部材Sとしてのコイルばねを伸縮自在に支持する。リブ22は、ロッド20の後端ないしは突出端に装着される衝撃吸収用の弾性体28を抜け止め係止する。すなわち、弾性体28は、一体化された略U形の差込部29、及び差込部29に設けられた爪29aを有している。そして、弾性体28は、差込部29がロッド20の後端側に押し込まれると、爪29がリブ22に係合することによりロッド20に装着される。
カム溝27は、ピン3と共にプッシュ・プッシュ係止機構を構成しており、ロッド外周に設けられた平坦状の台座上にあって、図6(d)のごとくハート形島の廻り設けられていると共に直線状カム溝27fを有している。カム溝27は、カム溝27fの付近から右側へ傾斜状に延びる誘導溝27aと、誘導溝27aの右側に位置して左右に別れている係止用誘導溝27b及び解除用誘導溝27dと、誘導溝27b,27dの間の下側に位置した凹状係止溝27cと、誘導溝27dからカム溝27f側である左側へ延びる復帰溝27eなどからなる。誘導溝27a及び復帰溝27eはカム溝28に通じている。
そして、上記したピン3の先端3aは、図1のロッド20の突出状態において、カム溝27fの的位置に嵌合しており、ロッド20がピストン2と共に図1のごとく付勢部材Sの付勢力に抗して前方移動される過程において、カム溝28から誘導溝27a、更に係止用誘導溝5bに入り、ロッド20に対する押圧力を解放したときに、係止溝27cに係止される。この係止により、ロッド20は没入状態に係止(ロック)される。また、ロッド20を以上の係止を解除して再び図1の突出状態に切り換えるときは、ロッド20を押し、該押し力を解放する。すると、先端3aは、上記した係止溝27cから解除用誘導溝27d、復帰溝27eを経て再び直線のカム溝27fに戻ることになる。
(作動)次に、以上のピストンダンパー6の主な作動を説明する。
(1)まず、ピストンダンパー6は、ピストン2(及びロッド20)が付勢部材Sの付勢力によりシリンダ1から突出する方向ないしは後方移動、すなわちピストン20がバルブ部材4から離れる方向への移動すると、図1のごとくOリング5が収容溝25の溝幅内で前移動して各通気溝26と前室との間に形成される通路(オリフィス)を塞ぐためピストン2として後室の空気が前室に対して流れ難くなって、仕切壁17とピストン2との間の空間(前室)が減圧ないしは負圧になる。これにより、薄肉部18のうち少なくとも孔18aの周縁が撓み変形して、軸部43と孔18aの周縁との間に制動用の空気通路つまりオリフィスを形成する。その結果、この構造では、外部の空気がそのオリフィスを通してシリンダ1の前室に流入しつつ、ピストン2(及びロッド20)が移動するため強い制動力が作用して遅い速度で後方ないしは突出方向へ移動される。
(1)まず、ピストンダンパー6は、ピストン2(及びロッド20)が付勢部材Sの付勢力によりシリンダ1から突出する方向ないしは後方移動、すなわちピストン20がバルブ部材4から離れる方向への移動すると、図1のごとくOリング5が収容溝25の溝幅内で前移動して各通気溝26と前室との間に形成される通路(オリフィス)を塞ぐためピストン2として後室の空気が前室に対して流れ難くなって、仕切壁17とピストン2との間の空間(前室)が減圧ないしは負圧になる。これにより、薄肉部18のうち少なくとも孔18aの周縁が撓み変形して、軸部43と孔18aの周縁との間に制動用の空気通路つまりオリフィスを形成する。その結果、この構造では、外部の空気がそのオリフィスを通してシリンダ1の前室に流入しつつ、ピストン2(及びロッド20)が移動するため強い制動力が作用して遅い速度で後方ないしは突出方向へ移動される。
(2)ピストンダンパー6は、ピストン2(及びロッド20)がシリンダ1に付勢部材Sの付勢力に抗して没入ないしは仕切壁17に近づく前方移動すると、図2のごとくOリング5が収容溝25の溝幅内で後フランジ部25cに当たるまで後移動して、通気溝26と前室との間に形成される通路を開放する。このため、ピストン2としては、前室の空気が後室に対し通気溝26及び収容溝25並びに前フランジ部25bとシリンダ内面との間の隙間、いわゆるオリフィスを通じて流れる。その結果、ピストン2(及びロッド20)はほとんど制動されることなく前方移動される。換言すると、ピストン2のバルブ部材4側への移動において、図2のごとくピストン2とバルブ部材4との間の前室の空気は軸部43で閉塞された孔18aから流出されることなく、ピストン2自体に設けられ前記のオリフィスを介して後室側へ流出されることになる。
(3)以上の構造では、バルブ部材側のオリフィスが通常時にバブル部材側の軸部43で閉塞された仕切壁側薄肉部18の孔18aの周縁の撓み変形で形成される隙間であり、ピストン20がバルブ部材4から離れる方向への移動すると、ピストン20と仕切壁17との間の空間(図の前室)が減圧ないしは負圧となって、薄肉部18のうち少なくとも孔18aの周縁が撓み変形し、軸部43ないしは傾斜部43aと孔18aの周縁との間に制動用のオリフィスとしての空気通路を形成するため、特許文献1の単純なオリフィスとしての孔に比べ、部材数を増やすことなくオリフィス用孔の孔径を大きく設定できる。それにより、この構造では、成形用金型の耐久性、良好な量産性を維持可能となり、またバリの発生も防ぎ易くなる。加えて、孔18aは、バルブ部材4ではなくシリンダ側の仕切壁17に設けられているため外部に露出されず、通常時はバルブ部材側の軸部43により閉塞されているため目詰まりの虞も確実に解消される。
(変形性)図7はバブル部材4の変形例を示している。この説明では、上記形態と同じ部位に同一の符号を付し、重複した記載を極力省く。この変形例では、当接壁41が軸部43と間隔を保って突出した略筒状からなると共に、その筒状の内外を連通して空気流路の一部を形成する複数の切欠部41aを形成している。従って、この構造では、当接壁41が空気流路の一部を形成する切欠部41aを有しているため、例えば、当接部形状としては外部の空気の流入を損なわずに形状及び突出寸法を設定できて設計自由度を拡大できる。
なお、本発明は、上記形態例に制約されるものではなく、請求項で特定される技術要素を備えておればよく、要部以外については種々変形したり展開可能である。その例には、ピストンに連結される部材としてロッドに代えて上記した線条材や紐類にする構成、特許文献1のごとく付勢部材やピン及びカム溝からなるラッチ手段を廃止する構成、ピストン自体のオリフィス構成については特許文献1や他の公知構造を採用するようにしても差し支えない。
1…シリンダ(10は筒体、12aは取付板部、18はキャップ)
2…ピストン(25は収容溝、25aは溝底面、25bs25cは前後フランジ)
3…ピン
4…バルブ部材(40は外周、41は当接部、45は係合部)
5…Oリング
6…ピストンダンパー
20…ロッド(26は通気溝、27はカム溝)
43…軸部(43aは傾斜部)
S…付勢部材
2…ピストン(25は収容溝、25aは溝底面、25bs25cは前後フランジ)
3…ピン
4…バルブ部材(40は外周、41は当接部、45は係合部)
5…Oリング
6…ピストンダンパー
20…ロッド(26は通気溝、27はカム溝)
43…軸部(43aは傾斜部)
S…付勢部材
Claims (7)
- シリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に設けられたピストンと、前記シリンダの一端側に取り付けられたバルブ部材とを備え、前記シリンダ及び前記ピストンに連結される部材のいずれか一方の側を制動対象物に取り付けることで、その制動対象物の移動ないしは相対的な移動に制動力を付与するピストンダンパーにおいて、
前記バルブ部材の内面に設けた軸部、及び前記シリンダの一端内側に設けた板状の仕切壁、並びに前記仕切壁に形成されて前記軸部により閉塞される孔とを有し、
前記仕切壁が前記ピストンの前記バルブ部材から離れる方向への移動に起因した前記シリンダ内の負圧により少なくとも前記孔の周縁が撓み変形可能な弾性を有し、その弾性変形により、前記軸部と前記孔の周縁との間に制動用の空気通路を形成することを特徴とするピストンダンパー。 - 前記軸部は、軸周面から先端に向かうに従って軸先端中央部へ傾斜する傾斜部を有し、前記傾斜部が前記孔の周縁に当接することを特徴とする請求項1に記載のピストンダンパー。
- 前記仕切壁は、前記孔の周縁側を外周側の肉厚より薄い薄肉部に形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載のピストンダンパー。
- 前記ピストンが前記バルブ部材から離れる方向へ移動するときに発生する負圧により、外部の空気が前記バルブ部材の前記シリンダに対する取付部の隙間から流入し、前記孔の周縁の撓み変形にて形成される前記空気通路を通って前記シリンダ内へ流入することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のピストンダンパー。
- 前記バルブ部材は、前記軸部を円盤状の内面略中央より突出していると共に、外周に設けられて前記シリンダの周囲に設けられた取付孔に係止する係合部と、内面に設けられて前記軸部の突出方向と同じ方向に突出し前記薄肉部に当接する当接壁とを有していることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のピストンダンパー。
- 前記軸部が前記孔を閉塞した状態において、前記軸部の先端が前記当接壁よりも前記シリンダ内側に突出していることを特徴とする請求項5に記載のピストンダンパー。
- 前記当接壁は、前記軸部と間隔を保って突出した略筒状からなると共に、その筒状の内外を連通して前記空気流路の一部を形成する切欠部を有していることを特徴とする請求項5又は6に記載のピストンダンパー。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012122053A JP2013245807A (ja) | 2012-05-29 | 2012-05-29 | ピストンダンパー |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107658824A (zh) * | 2017-10-31 | 2018-02-02 | 河南理工大学 | 一种基于空气的快速阻尼泄放器 |
CN108317205A (zh) * | 2017-01-17 | 2018-07-24 | 东莞市祥昱实业有限公司 | 一种阻尼结构 |
JP7482823B2 (ja) | 2021-04-13 | 2024-05-14 | 株式会社ニフコ | 衝撃吸収装置及び車両 |
-
2012
- 2012-05-29 JP JP2012122053A patent/JP2013245807A/ja active Pending
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