JP2013245330A - 機能性ネットワークポリマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ポリマー合成の分野において化学合成分野で盛んに報告されているクリックケミストリー反応をさらに発展させた技術を用いて、反応と同時に共有結合により生成する電子ドナーアクセプター構造を有する極めて安定性の高いネットワークポリマーの合成に関するものである。ポリマー同士の反応によるネットワークポリマーの合成と相当するネットワークポリマー自体、およびその薄膜作製と同時に有機半導体、有機導電体のようなドナーアクセプター構造からくる光電子機能性を付与する技術に関するものである。
【解決手段】電子供与基を含む電子豊富アルキンポリマーと電子アクセプター基として1,1−ジシアノエチレン骨格を含むTCNQ類を含む電子アクセプターポリマーをクリックケミストリー反応してなるネットワークポリマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、近年ポリマー合成の分野において化学合成分野で研究が進んでいるクリックケミストリー反応をさらに発展させた技術を用いた、反応と同時に共有結合により生成する電子ドナーアクセプター構造を有するネットワークポリマーの合成に関するものである。
詳しくは、ポリマー同士の反応によるネットワークポリマーの合成方法及びその方法により得られるネットワークポリマー並びにそのネットワークポリマーを用いた薄膜及びその作成方法、さらには、有機半導体、有機導電体のようなドナーアクセプター構造に基づく光電子機能性を付与する技術に関するものである。
また、センサー材料分野における、上記ネットワークポリマー及びその薄膜が有する光電子機能に基づく化学センサーへのネットワークポリマーの応用、さらには、抗菌・殺菌材料分野における抗菌性組成物への応用に関するものである。
有機導電体、有機半導体の分野では、従来型の静電相互作用や超分子的な弱い分子間力から離れ、共有結合による強い連結を利用した交互積層膜が注目されている。また、銅触媒存在下でのアルキンとアジドの付加環化反応に代表されるクリックケミストリー反応は高効率・精製が容易・高選択性・副生成物が生じない、などの理由から有機合成から生物化学まで幅広い分野で利用されており、生理活性を示す化合物の合成、タンパク質やポリヌクレオチドの修飾機能化、色素の合成、ポリマーの高機能化、新規ポリマーの合成、刺激応答材料の創出、共有結合による表面構造修飾など、枚挙に暇がないが、アルキンとアジドの付加環化反応生成物である1,4−トリアゾール環自体は求める機能性を有していないという問題点がある。
さらに、静電相互作用を利用したポリマー薄膜では、強酸や強塩基中で容易に分解してしまうことが問題となっていた。
しかし近年、温和な条件下で進行する定量的な付加反応と定義されるクリックケミストリーの反応を用いれば、共有結合によるネットワークポリマー及びその薄膜形成が可能であり、加水分解しない結合の場合にはとくに化学的な安定性を保持できることが分かってきた。
例えば、Caruso(豪メルボルン大)らは、ポリマーそれぞれの側鎖にクリックケミストリーの代表であるアルキンとアジドを有したものの付加環化反応による1,4−トリアゾール環の生成を特長とする交互積層膜の作製を初めて発表した(非特許文献1)。しかし残念なことに1,4−トリアゾール環自体は求める機能を有していない。また最近ではチオールとアルケン付加やDiels−Alder反応等のクリックケミストリー反応を利用した機能性薄膜の作製も近年数多く報告されており、一大潮流となっている(非特許文献2〜10、特許文献13、14)。
このような方法で作製された薄膜は、静電相互作用や超分子的相互作用で集積された従来型の交互積層膜よりも化学的に安定かつ高い機械強度を有している。しかし、これら積層膜に機能性を持たせるためには、ポリマー中にクリックケミストリー反応の反応性官能基と機能性官能基あるいは部位とを予め組み込む必要がある。このために多段階反応の分子設計が要求され、合成の困難さ、多段階反応に伴う収率の低下も問題となっており、高効率・精製が容易・高選択性・副生成物が生じないというクリックケミストリー反応の利点を生かしきれていないのが現状である。
一方、他の分野では、移動を含めた衣食住の生活分野において、原材料や製品の腐敗を
防ぐ、あるいは生活環境中の菌類の増殖を防ぐ、さらに医療・介護分野では様々な病気感染を防ぐために種々の抗菌・殺菌剤が使用されている。
これらは害となる各種の微生物に対して優れた抗菌活性を有し、かつ微量で効果を発揮することが望まれる。近年、銀イオンを利用した殺菌剤、抗菌剤、防腐剤等が開発され、生活用品に幅広く普及している。銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等が抗菌性を示すことは以前からよく知られており、水溶液をはじめ、いろいろな形態で殺菌剤または消毒剤として各種分野で広く用いられている。
例えば、銀イオンを支持体に担持する検討がなされており、具体的にはゼオライト(特許文献1〜5)、非晶質アルミノ珪酸塩(特許文献6〜7)、チタン、マグネシウム、アルミニウム等の金属酸化物(特許文献8)などの無機粉体に銀などの抗菌性金属イオンを担持した物が開発されている。
しかしながら、抗菌活性が銀などの金属イオンに由来するものであるため、使用中にイオンが消失してもそれを明示する手段を有しておらず、抗菌性が失活しているか否かが外部からは判断できないため、抗菌性能残存の有無にかかわらず、定期的に全てを取り替える必要があった。ただ、一部に情報記録分野では抗菌層が摩滅し抗菌作用が喪失しつつあることを確認できるようにし、使用者の注意を喚起する方法が提案されている例(特許文献9)もあるが、再利用する場合は回収して再コーティングする必要があり、その手間や回収コストを考えると現実的ではない。さらに光安定させた銀含有の、親水性、両性および陰イオンポリマーの新しい製造法が開示されている(特許文献10)。また銀含有コポリマーと有機系抗菌剤や過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウムとの組み合わせによる水性(特に中性からアルカリ性)抗菌剤組成物が提案されている(特許文献11)。しかしながらこれらは主に水溶性あるいは水膨潤性ゲル等をターゲットとしていることから、水や他の有機溶剤、酸・アルカリへの耐性も無く、さらには吸収スペクトルによる抗菌活性の表示には全く触れておらず、本発明の目的には適していない。
また、金属イオンに依らない抗菌性化合物として、4級アンモニウム塩が挙げられる。4級アンモニウム化合物のなかで、特に長鎖アルキル基を含んでいるものは逆性石鹸とも称されて、抗菌剤や消毒薬に使われる。たとえば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、セトリモニウム、塩化ドファニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、臭化ドミフェンなどがある。これらは真菌、アメーバ、エンベロープを持つウイルスに対しても細胞膜を破壊することにより作用する。官能基としての4級アンモニウムを持つことにより殺菌、抗菌効果を発現することができ、高分子の側鎖に4級アンモニウム基を導入することによって抗菌性を持たせることも提案されている(特許文献12)。しかしながらこの場合に4級アンモニウム基の量はあらかじめ仕込みの該当するモノマー量によって決まるため、塗装後、あるいは使用時に使用条件と環境に適した必要量に4級アンモニウム基の量を調整することは難しく、使用条件と環境に合わせたポリマーをそれぞれに調整する必要がある。
特開昭60−100504号公報 特開昭60−181002号公報 特開昭63−79719号公報 特開昭63−239205号広報 特開昭63−265809号公報 特開昭63−23960号公報 特開昭63−222058号公報 特開昭63−88109号公報 特開平10−44651号公報 特表2004−514505号公報 特開2008−120812号公報 特開2011−511103号公報 特開2011−094066号公報 特開2009−270011号公報
共有結合による交互積層膜:
G. K. Such, J. F. Quinn, A. Quinn, E. Tjipto, F. Caruso, J. Am. Chem. Soc., 128, 9318, 2006. X. Zhang, H. Chen, H. Zhang, Chem. Commun., 1395, 2007 J. F. Quinn, A. P. R. Johnston, G. K. Such, A. N. Zelikin, F. Caruso, Chem. Soc. Rev., 36, 707, 2007.アルキン−TCNQ付加反応: T. Michinobu, Chem. Soc. Rev. 40, 2306, 2011. S.-i. Kato, F. Diederich, Chem. Commun. 46, 1994, 2010. Y. Washino, K. Murata, M. Ashizawa, S. Kawauchi, T. Michinobu, Polym. J.43, 364, 2011.シアノ基による金属イオン認識: Y. Li, M. Ashizawa, S. Uchida, T. Michinobu, Macromol. RapidCommun. 32, 1804, 2011. G. B. Gardner, D. Venkataraman, J. S. Moore, S. Lee, Nature 274, 792, 1995. D. Venkataraman, G. B. Gardner, S. Lee, J. S. Moore, J. Am. Chem. Soc. 117, 11600, 1995. K. A. Hirsch, S. R. Wilson, J. S. Moore, J. Am. Chem. Soc.119, 10401, 1997. T. Michinobu, Chem. Soc. Rev. 40, 2306, 2011 Y. Washino, K. Murata, M. Ashizawa, S. Kawauchi, T. Michinobu, Polym. J. 43, 364, 2011
ドナーアクセプター構造に基づく光電子機能性を有するポリマーを得るにあたり、静電相互作用に基づいたポリマーのように酸塩基に分解されることなく、さらにはアルキンとアジドの付加環化反応のような目的とする機能に寄与しない副生物である1,4-トリアゾール環を生成しないクリックケミストリー反応の利用、これらを高分子同士の直接反応で機能化と耐久性を一反応で実現することにあるが、これについては困難な点がいくつかある。高分子―高分子反応の場合、反応基同士の接触は多くは偶然に頼っており、定量的な反応が困難であること、反応基は一般的に高分子一次元鎖の端部に存在し、三次元化が困難であること、が挙げられる。
一方で抗菌性を有するポリマーについては沢山の事例、提案がなされているが、光電子機能性を有したものについては事例が無い。また抗菌性ポリマーについては、ポリリジンのように自身が抗菌性を有するものもあるが、これらの抗菌性を有するポリマーは耐水性や耐溶剤性に欠けている。また有機系・無機系の抗菌剤をポリマーに練りこんだりすることにより抗菌性を発現させ、耐久性についてはポリマー自身の物性に依る物も多く市販されている。ただこれらは添加されている抗菌剤が使用によって徐々に放出され、抗菌性の維持がなされているか、判断ができないものが殆どである。
本発明者らは、図1に示す、電子供与基を含む電子豊富アルキンと強力アクセプター分子の高収率付加反応に着目した。ここで、EDGは電子供与基を示す。
以前、本発明者らは、電子供与基を含む電子豊富アルキンを繰返し単位に含む高分子に低分子化合物である、1,1-ジシアノエチレン骨格を含んだテトラシアノエチレン(TCNE)やテトラシアノキノジメタン(TCNQ)及びその誘導体を付加させてドナーアクセプター部位を構築できることを見出した(先の非特許文献11および特許文献13、14)。
さらに最近、TCNQ部位を繰返し単位に含む高分子に電子豊富アルキンの低分子化合物を付加させてドナーアクセプター部位を構築できることも明らかにした(先の非特許文献12、特許文献13)。
その内容は、電子供与基として芳香族アミンが置換したアルキンとTCNQとの反応は、低温では反応が進行しないものの、穏やかな加熱(20〜100℃)により反応させることができること、すなわち、温度条件によって反応の生起を制御できることを見出したものである。
これらのことから、本発明者らは、高分子と低分子の反応で可溶性高分子を得る従来法ではなく、高分子と高分子の反応で不溶性高分子を得るアプローチを用いれば、交互積層膜やキャスト膜の高機能化が実現できる可能性があると考え、その開発に鋭意取り組み本発明を完成したものである。
高分子同士の反応は、反応基同士の偶然の接触に頼っており、定量的な反応が困難であること、反応基は一般的に高分子一次元鎖の端部に存在し、三次元化が困難であること等から、一般的ではない。これに対して、本発明の反応基は高分子一次元鎖内に修飾が可能であり、反応基同士はπ-πスタックによる精密な集積を可能とし、かつその後に加熱してクリックケミストリー反応を進めることで三次元化ができる点で画期的である。また一般的なクリックケミストリー反応であるアルキンとアジドの反応は、高選択性、高収率ではあるが、その際に生成する1,4−トリアゾール環は必ずしも求められる機能性を示さない。これに対して本発明の反応基は、目的とする光電子機能、配位機能といった機能性をあらかじめ有しているのでより優れており、有用性の高い高分子を得ることができる。
このようにして得られた三次元ポリマー、いわゆるネットワークポリマーは、電子ドナーアクセプター構造に伴う電荷移動吸収バンドを有している。また、電子ドナー部に電子供与基として芳香族アミンを用いている場合は、これにブレンステッド酸を作用させることによりアミン部を4級化することで、ネットワークポリマー自身に抗菌性を発現させることができる。さらにアクセプターとしてのTCNQは金属イオンの配位子として働くため、例えばトリフルオロメタンスルホン酸銀で処理することで殺菌、抗菌効果の高い銀イオンをネットワークポリマー自身に配位することができる。これらの、プロトン、金属イオンの配位は、本発明のネットワークポリマーの電荷移動吸収バンドに影響を及ぼすため、プロトン、金属イオンの配位量、すなわち抗菌性能が吸収スペクトルの変化により知ることができる。その内容は以下のとおりである。
本発明は、第1に化学合成分野で注目されているクリックケミストリー反応をさらに発展させた技術を用いた共有結合により生成するネットワークポリマーの合成に関するものである。具体的には、電子供与基を有する電子豊富アルキンを複数含むポリマーと電子アクセプターとして1,1−ジシアノエチレン骨格を有するテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類を複数含むポリマーとの、ポリマー同士の反応によるネットワークポリマーの合成方法、該方法により製造されたネットワークポリマー、及び該ネットワークポリマーを用いた薄膜作製と同時に有機半導体、有機導電体のような光電子機能性をポリマーに付与する技術に関する。
上記ネットワークポリマーの合成では、2種のポリマーをあらかじめ混合した後そのまま加熱してネットワークポリマーとする方法、あるいはそのネットワークポリマーの薄膜を作製するだけでなく、交互積層法を用いて2種のポリマーによるさらに機能の優れたネットワークポリマー膜を製造する方法及び該方法により得られる交互積層ネットワークポリマー膜にも関するものである。
本発明は、第2に合成時に共有結合して得られたネットワークポリマー及びその薄膜が、優れた強度と電気化学特性や酸・アルカリに対する耐久性を持つことに着目した独自の用途に関するものである。
すなわち、ネットワークポリマーが有する特定金属イオンやpHに応答して吸収スペクトルが変化する光電子機能に基づく化学センサーとしての(光電子機能)ネットワークポリマーに関するものである。
本発明は、第3に抗菌性組成物としても広範な抗細菌と抗真菌活性を有し、かつ抗菌性能をポリマー自身の官能基の変化によるもの、およびまたはこれに配位させる金属イオンにより得ることを特長とする機能性ネットワークポリマー組成物に関するものである。
本発明は、第4に化学センサー機能を有し、その吸収スペクトルの変化等で容易に抗菌活性の変化を判別できる抗菌性ポリマーに関するものである。
(電子供与基を有する電子豊富アルキンを複数含むポリマー)
電子豊富アルキンを複数含むポリマーとしては、ポリフェニルアセチレン誘導体、例えば、本発明者らがMacromolecules 43,5277(2010)に発表した4-[(4-Ethynylphenyl)ethynyl]-N,N-dihexadecylanilineを重合して得られるポリマー、または特許文献13に示したアジド−アルキン反応から得られるポリマー、または特許文献14に示した共役高分子化合物等が挙げられる。
ここでアジド基(−N)を有する前駆体高分子化合物としては、ポリ(4−アジドメチルスチレン)等のポリスチレン、ポリ(2,2-ビス(アジドメチル)-1,3-プロパンジオールグルタラート)等のポリエステル、ポリ(アジド化カプロラクトン)等のポリアミド、グリシジルアジドポリウレタン等のポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(6-アジドヘキシル(メタ)アクリレート)等のポリアクリル、そしてポリフェニレンビニレン、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリフルオレン、ポリフェナンスレン、ポリアセチレン等の共役高分子等が挙げられ、末端アルキンを含有する前駆体高分子化合物としては、ポリ(4−プロパギルオキシスチレン)等のポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(プロピイニル(メタ)アクリレート)等のポリアクリル、そしてポリフェニレンビニレン、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリフルオレン、ポリフェナンスレン、ポリアセチレン等の共役高分子等が挙げられる。
これらの組み合わせによる電子豊富アルキンポリマー(以下、ポリマー1と称する)の電子供与基としては、縮合多環芳香族炭化水素であるナフタレン、アントラセン、ピレン、トリフェニレン、クリセン、テトラセンなどを含む、あるいはそれらの誘導体を含む基やアミン類、例えばアニリン、ジエチルアニリン、インドール、トリプトファン、セロトニン、イミダゾール、ビイミダゾールを含む、あるいはそれらの誘導体を含む基、さらにはアジン系のシアニン、カルバゾール、アクリジン、フェノチアジンやTTF系、TTP系、TIF系電子供与基、遷移金属配位錯塩系電子供与基(金属フタロシアニン、金属ポルフィリン、メタロセンなど)が挙げられる。これらのうちでアミン類、中でも芳香族アミン類はさらに高度な機能を発揮することができる。
ポリマー1の一例として、式[1](a)の構成単位を持つポリマーを挙げることができ、なかでも置換基R’がC−フェニル基であるポリスチレン誘導体(b)が好ましい。このポリマーの分子量としては、通常数平均分子量は3,000〜100,000であり、多分散指数は通常1.0〜3.0である。好ましくは、数平均分子量が30,000〜70,000程度のものを用いることができる。また、式[1](a)、(b)を構成単位として他のモノマーと任意に共重合したものも用いることができる。
式[1]
R;C原子、あるいはエステルもしくはアミドのカルボニルを含む骨格、もしくはカルバゾール系化合物
R’:C原子もしくはN原子若しくはC‐フェニル基若しくはN‐フェニル基
n:任意の整数
EDG:電子供与基
(電子アクセプターとしてのテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類を含むポリマー)
ここでテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類とは電子アクセプターとしての1,1−ジシアノエチレン骨格を含むポリマー化合物であり、例えばヘキサシアノブタジエン(HCBD)誘導体や、シアノキノジメタン骨格を含む、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)とその置換誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン(TCAQ)、ベンゾテトラシアノキノジメタン(ベンゾ−TCNQ)、テトラシアノナフトキノジメタン(TNAP)、ヘテロTCNQと称されるチオフェンテトラシアノキノジメタン(チオフェン−TCNQ)、セレノフェンテトラシアノキノジメタン(セレノフェン−TCNQ)、並びに、それらのハロゲン化、特に弗素化誘導体、アルコキシル化誘導体及びアルキル化誘導体を言い、ポリマーとしてはそれらの骨格を主鎖に持つ電子アクセプターポリマー、もしくはそれら誘導体を側鎖に持つ電子アクセプターポリマー(以下、ポリマー2と称する)であればこの限りでない。とくに1,1−ジシアノキノジメタン骨格を含む誘導体が式[2]で示す化合物であり、ABCDのうちいずれかの置換基を介して結合する電子アクセプターポリマーが望ましい。また、これら誘導体骨格のホモポリマーのみならず、共縮合、共重合反応で得られるポリマーも使用することが可能であり、本発明を何ら限定するものではない。
式[2]

A,B,C,Dは水素またはハロゲン原子もしくは水酸基、アルコキシル基、アルキル基を表す
上記式[2]を含むポリマー2の一例としては、式[3]のポリマーのうち、構造1〜4のうちのいずれかの構造をもつものを挙げることができ、これらのポリマーの分子量としては、通常1,000から50,000の数平均分子量を持ち、多分散指数は1.0〜3.0の範囲のものであり、好ましくは、数平均分子量3,000〜7,000で多分酸指数2.5以下のものを用いることができる。
式[3]
A,B,C,D:H、C、O、N、またはハロゲン原子もしくは水酸基、アルコキシル基、アルキル基を表す
R,R’:エーテル、エステルもしくはアミド結合を含むアルキル鎖を表す
R”:エーテル、エステル、アミド結合もしくはフェニル基またはトリアゾール環を含む
アルキル鎖、もしくはフェニル基を表す
n:任意の整数
本発明では、ネットワークポリマーの合成法として以下の方法を提示し新規なネットワークポリマーを提供する。
第1の方法としては、ポリマー1とポリマー2を溶媒中で混合し、均一溶液とした後に加熱反応してネットワークポリマーを得る方法を挙げることができる。
第2の方法としては、先に示した加熱前の均一溶液を基板表面に塗布することにより薄膜を作製したのち、加熱することでアルキン−TCNQ付加反応を生起させネットワークポリマー薄膜とする方法を挙げることができる。
薄膜法は塗布の条件を変えて膜厚を調節でき、そこで決定した膜厚が最終的な薄膜の厚さとなる。基板の種類を選ばず、穏やかな条件下で作製できることを特徴とする。塗布方法としてはスピンコート、キャスト、あるいはスプレーコートなどが挙げられる。また場合によってはスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェットによる印刷塗布方法などを用いることも考えられる。これらは特に限定されること無く、要求性能や塗布対象によって選択することができる。さらに複数の塗布方法を組み合わせることもできる。
第3の方法としては、交互積層法が挙げられる。この方法では、基板表面にポリマー1の溶液を塗布して薄膜作製した後、その上にポリマー2の溶液を塗布して積層する。引き続き、穏やかに加熱することで、界面でのアルキン−TCNQ付加反応を進行させた後、未反応の最表面ポリマーを洗い流す。この操作を繰り返すことで、膜厚を徐々に増やすことができ、すなわち、交互積層ネットワークポリマーを得ることができる。もちろん、ポリマー1とポリマー2のどちらを先に塗布するかは目的に応じて変えることができる。
途布方法としてはスピンコート、キャスト、あるいはスプレーコートなどが挙げられる。また場合によってはスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェットによる印刷塗布方法などを用いることも考えられる。これらは特に限定されること無く、要求性能や塗布対象によって選択することができる。さらに複数の塗布方法を組み合わせることもできる。
いずれの方法でも、ドナーアクセプター構造からなるネットワークポリマーもしくはネットワークポリマーや交互積層ネットワークポリマーの薄膜を希望の厚さで得ることができる。生成するドナーアクセプター構造はpHや金属イオン認識によって吸収スペクトルが変化するため、吸収スペクトルの変化を追跡すれば化学センサーとして利用できる。ここで化学センサーとは、pH(水素イオン濃度)又は金属イオン濃度に応答して紫外可視吸収スペクトルが変化するものを言う。
ここで得られるネットワークポリマー及び交互積層ネットワークポリマーは、前述するように化学センサーとして機能するが、さらにドナー側にアルキルアミンなどの官能基を有する場合は、ブレンステッド酸でプロトン化することができ、この場合にブレンステッド酸としては、ドナーアクセプター構造を有するネットワークポリマーであることから強い酸化性のあるもの以外は使用できる。例えば、塩酸や酢酸、クエン酸などのカルボン酸も使用でき、さらに好ましくは、揮発性あるいは昇華性の酸、例えばトリフルオロ酢酸、酢酸、などが工程数も省けるため都合がよい。昇華性の有機酸としては比較的強酸性を示す2H-Pyran-2-one-4,6-dicarboxylic acid(PDC)を用いることもできる。
さらに、ハロゲン化アルキルなどのルイス酸でドナー側のアルキルアミンなどの官能基をアルキル化し、4級アルキルアンモニウムとすることにより抗菌性機能を付与することもできる。
また、得られたネットワークポリマー及び交互積層ネットワークポリマーは、内部に生成するドナーアクセプター構造から金属イオンを配位することができる。既に本発明者らは可溶性ポリマーの研究において、シアノアクセプター部位が銀イオンを特異的に認識す
ることを見出している(Y. Li, M. Ashizawa, S. Uchida, T. Michinobu, Macromol. Rapid Commun. 32, 1804, 2011.)が、他の金属イオンも配位することも確認しており、目的に応じて金属イオンの種類と量を変えることが可能となる。例えば、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hgなどが配位金属イオンとして挙げられる。
これら以外にもランタノイド、アクチノイド系列の金属が考えられる。また金属イオンを配位するために用いる金属化合物としては、金属のハロゲン化物等の無機塩類、金属酸化物、金属の有機酸塩などが挙げられる。
場合によっては配位する金属イオンの酸化数を制御するために複数の金属塩などを用いることもできる。配位する各種金属イオンの種類と濃度に応答して紫外可視吸収スペクトルが変化するため、金属イオンセンサーとして用いることができる。さらには銅イオンや銀イオンは強力な殺菌作用を有しているため、抗菌性ネットワークポリマー(膜)として応用できる。
本発明では、新しいクリックケミストリーとして提唱している電子供与基を含む電子豊富アルキンと電子アクセプターとしての1,1−ジシアノエチレン骨格を含むテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類の付加反応により、共有結合で形成された優れた物理化学的耐久性を持ち、かつ反応後の生成物が電子ドナーアクセプター型構造となるため、電荷移動吸収バンドを持ち、強く着色する。
さらにこの機能を用いて電子豊富アルキンポリマーと電子アクセプターとしての1,1−ジシアノエチレン骨格を含むテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類を含むポリマーの反応を利用して作製したネットワークポリマー及びネットワークポリマー薄膜もしくは交互積層ネットワークポリマー薄膜は様々なルイス酸を認識してスペクトル変化を起こすため、化学センサーとして用いることが可能である。
さらに、得られた高分子を特定の金属イオンや酸で処理することによって得られたネットワークポリマーに抗菌活性を発現させることができる。
さらには化学センサー機能からくる吸収スペクトルの変化等で容易に抗菌活性の変化を判別できる抗菌性ネットワークポリマーを提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
4-エチニルスチレンは文献に従い合成した(J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 14942-14949)。4−ヨード−N,N−ジヘキシルアニリンは文献に従い合成した(Helv. Chim. Acta Vol.87, No.5, 1130-1157, 2004)。他の試薬は市販薬品(東京化成、関東化学、和光純薬、Aldrich製品)を使用した。
(合成例1)
Ar風船を装着した100ml三口フラスコに4-エチニルスチレン(603.5mg,4.709mmol)、4−ヨード−N,N−ジヘキシルアニリン(2.709g,6.998mmol)、ジイソプロピルアミン(70ml)を仕込み、Arバブリングしながら超音波脱気した。その後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(49.0mg,0.07mmol)、ヨウ化第一銅(27.0mg,0.142mmol)、を加え、20℃で18時間反応させた。反応終了後、フィルターで濾過し、塩を除去した。ろ液の溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラム(ヘキサン→ヘキサン/酢酸エチル=5:1)により精製し、目的物N,N−ジヘキシル−4−[(4−ビニルフェニル)エチニル]アニリンを得た(1.55g,収率84.9%)。
1H NMR (400 MHz; C6D6) δ 0.89 (t, J = 6.0 Hz, 6 H), 1.18 (m, 12 H), 1.39 (m, 4 H), 2.99 (t, J = 8.0 Hz, 4 H), 5.05 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 5.53 (d, J = 16.0 Hz, 1 H), 6.47 (m, 1 H), 6.54 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.09 (d, J = 8.0 Hz, 2 H),7.53 (d, J = 8.0 Hz, 2 H), 7.65 ppm (d,J = 12.0 Hz, 2 H); 13C NMR (100 MHz; C6D6) d
14.31, 23.08, 27.08, 27.54, 32.06, 51.08, 88.22, 92.73, 109.97, 111.89, 114.03,
124.48, 126.61, 131.86, 133.50, 136.79, 136.90, 148.35 ppm;IR (neat) n 3088, 3040, 3004, 2953, 2926, 2855, 2206, 2164, 1909, 1871, 1820, 1714, 1608, 1598, 1520, 1465, 1421, 1401, 1367, 1316, 1294, 1254, 1227, 1196, 1178, 1135, 1110, 1027, 1014, 1004, 986, 950, 930, 904, 840, 811, 744, 725, 642, 615, 583, 570, 537, 526, 510 cm-1; MALDI-TOF MS calcd for C28H37N+ ([M]+): 387.29; found 387.08 ([M]+)。
(合成例2:ポリマー1)
10mlのアンプル管に合成例1で得た、N,N−ジヘキシル−4−[(4−ビニルフェニル)エチニル]アニリン(496.2mg,1.280mmol)、アゾビスイソブチルニトリル(2.10mg,0.0128mmol)、脱水ベンゼン(1.19ml)を仕込んだ。真空ラインに繋いで十分に脱気した後、溶封して60℃で60時間重合した。重合終了後、反応液をメタノールに注ぎ、沈殿を回収した。少量のジクロロメタンを加えて溶解させた後、メタノールで再沈殿精製した。沈殿をろ過、回収して目的物を得た。(404.0mg、収率81.42%)
GPC測定は日本分光製分子量分布測定システム(インテリジェントHPLCポンプPU−2080、三連デガッサDG−2080−53、インテリジェントオートサンプラAS−2055、インテリジェント紫外可視検出器UV−2075、インテイリジェントカラムオーブンCO−2065、クロマトグラフィーデータステーションChromNAV)で測定し、溶媒はテトラヒドロフラン、流出速度は1.0mL・min−1とした。[化1]に化学式と分子量、多分散指数(Polydispersity index)を示す。このとき、多分散指数は平均重量分子量/平均数分子量である。
GPC (THF) Mn 51,000; 1H NMR (400 MHz; C6D6) d 0.92 (br, 6 H), 1.28 (br, 18 H), 2.02 (br, 1 H), 3.05 (br, 4 H), 6.53 (br, 4H), 7.69 (br, 4H); IR (neat) n 3092, 3080, 3042, 3029, 2952, 2925, 2855, 2208, 2166, 1907, 1873, 1601, 1520, 1465, 1399, 1367, 1294, 1254, 1227, 1195, 1135, 1107, 1017, 1004, 983, 887, 827, 811, 724,646, 617, 586, 562, 527, 519 cm-1。
(合成例3:ポリマー2)
2,2’−[2,5−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサ-2,5-ジエン-1,4-ジイリデン]ジプロパンジニトリル(302mg、0.932mmol)とセバシン酸ジクロライド(0.200ml、0.937mmol)を脱水ジメチルアセトアミド(10ml)中、20℃で48時間撹拌した。得られた溶液をメタノールに注ぎ、沈殿を回収した。メタノールで再精製してTCNQポリエステル(302mg、収率92%)を得た。[化2]に化学式と分子量、多分散指数(Polydispersity index)を示す。
1H NMR (300MHz, CDCl3, 293K) d 1.27 (s, 8n H), 1.59 (m, 4n H), 2.36 (t,
J1/47.5Hz, 4n H), 4.00-4.80 (m, 8n H), 6.45 p.p.m. (s, 2n H); 13C NMR
(75MHz, CDCl3, 293K) d 24.6, 28.9, 29.0, 33.9, 60.6, 68.8, 82.8, 103.6, 112.7,
113.2, 147.6, 154.9, 173.5 p.p.m.; IR (neat): n 2915, 2849, 2359, 2217, 1727,
1562, 1527, 1457, 1369, 1332, 1239, 1173, 1153, 1042, 993, 843, 801, 719cm1;
elemental analysis calcd. (%) for (C26H26N4O6)n: C 63.66, H 5.34, N 11.42;
found: C 62.82, H 5.22, N 11.42.
(実施例1:混合製膜法)
合成例2と合成例3で得た2つのポリマーをテトラヒドロフランに均一溶解させ、0.2μmのフィルターを通してガラス基板上にスピンコートした。1,000rpmで60秒の条件でスピンコートすると約50nmの膜厚となった。室温ではアルキンとTCNQ部位は反応しないため(あるいは非常に反応速度が遅いため)、ガラス基板上の薄膜は黄色である。100℃に加熱するとアルキン−TCNQ間の付加反応が進行し始め、ポリマー1に由来する330nm付近のピーク、ポリマー2に由来する420nm付近のピークが減少し、680nm付近に極大を有する電荷移動吸収バンドが現れた(図.2)。ネットワークポリマーの吸光度は、透明基板(ガラス、ITO、石英など)上に混合製膜法、交互積層法ともに成膜(スピンコート、キャスト、スプレーコートなど)した後に加熱して架橋させたものについて、紫外可視近赤外分光光度計V−670(日本分光社製)を用いて吸収スペクトルを測定した。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)で薄膜表面を観察したところ、反応時間が長くなるにつれて凹凸の大きさを表す平均二乗偏差(RMS値:Root Mean Square value)が徐々に減少した(図.3)。これは、反応が進行すると共に膜内部の空隙が少なくなり、緻密膜が形成されていることを示唆している。
この時、AFMはSII社製Nanotechnology Nanocuteを用いて、カンチレバーPRC−DF40Pで測定した。
図.2 電子豊富アルキンポリマーとTCNQポリエステルの混合薄膜の加熱(100℃)による吸収スペクトル変化、および加熱時間と反応率の相関
図.3 電子豊富アルキンポリマーとTCNQポリエステルの混合薄膜を加熱(100℃)する時間と原子間力顕微鏡(AFM)像の関係
図.4に混合製膜法による薄膜作製法のスキームをイメージで示す。
図.4 混合法による薄膜作製のスキームのイメージ図
(実施例2:交互積層法)
ITOガラス基板上に合成例3で得られたTCNQポリエステルのジメチルアセトアミド溶液(10mM repeat unit−1)を1,000rpm、60秒の条件でスピンコートした。次に合成例2で得られた電子豊富アルキンポリマーのトルエン溶液(10mM repeat unit−1)を同様の条件でスピンコートした後、100℃で10分間加熱して付加反応を進行させた。その後、未反応の電子豊富アルキンポリマーをトルエンで洗浄して除去した。さらに、TCNQポリエステルのジメチルアセトアミド溶液(10mM repeat unit−1)をスピンコートした後、100℃で10分間加熱して付加反応を進行させた。未反応のTCNQポリエステルをジメチルアセトアミドで洗浄除去した。この操作を繰り返すことで20層まで膜厚を増やした。
付加反応の進行は紫外可視近赤外吸収スペクトルから確かめた。図5(a)に実際の吸収スペクトルを示す。330nmの吸収は主に電子豊富アルキンポリマーに由来する吸収である。420nmの吸収は主にTCNQポリエステルに由来する吸収である。680nmの吸収は生成物であるドナーアクセプター構造に由来する吸収である。また、図5(b)に各吸収の強度と積層数の相関を示す。電子豊富アルキンは偶数層の時、隣接奇数層より330nmの強度が強く、最表面に十分な量の反応性アルキン部位が存在していることを意味している。同様に、TCNQポリエステルは奇数層の時、隣接偶数層より420nmの強度が強く、最表面に十分な量の反応性TCNQ部位が存在していることを意味している。一方、680nmの吸収強度は積層数が増えるにつれて増加している。これは電荷移動吸収バンドに相当し、ドナーアクセプターの付加反応が進行し、徐々に膜厚が増加していることを示唆している。20層積層した際の膜厚は約90−100nmであり、1層あたりの膜厚は4.5−5.0nmであった。
図.5 TCNQポリエステルを奇数層、電子豊富アルキンポリマーを偶数相としてITO基板上に積層した交互積層膜の(a)紫外可視近赤外吸収スペクトル変化および(b)積層数と吸収強度の相関
また、付加反応の進行はサイクリックボルタモグラムによる電気化学分析によっても確かめた。図6に交互積層膜の積層毎のサイクリックボルタモグラムを示した。交互積層膜の還元波は積層数が増加すると共に負電位にシフトし、準可逆的な挙動を示しており、応答電流も大きくなっている。これは、積層数が多くなり、付加反応が進行していることを示している。
図6 交互積層膜(1層〜10層)のサイクリックボルタモグラム
(実施例3 :膜の安定性)
<耐溶剤性>
実施例1(混合製膜法)および実施例2(交互積層法)で加熱・架橋して作成したネットワークポリマーは、試料作製に用いた溶媒には全て不溶となった。実際、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等、各種有機溶媒にあらためて浸漬しても膜が剥がれることはなく、極めて強力に基板表面に密着していることは明らかで、それぞれの方法で作製した膜の耐溶剤性は著しく高いことがわかる。
<電気化学的安定性>
実施例1について、サイクリックボルタモグラムと紫外可視吸収スペクトルの測定を同時に行い、電気化学的な安定性を評価した。ネットワークポリマーの繰返しサイクリックボルタモグラムを図7(a)に、吸光度変化の測定結果を図7(b)(c)に示した。サイクリックボルタモグラムの結果から、0.2〜−0.5Vまで繰り返し掃引しても還元波のピークに変化は現れない。また、電位を繰り返し掃引しても、電荷移動吸収バンドの730nm、822nmのピークの変化は可逆的である。これらの結果からアクセプター部位が可逆に還元された後、元の中性状態へ戻っていることが見て取れる。極めて電気化学的安定性の高いネットワークポリマーであることがわかる。
図7 混合製膜法によるネットワークポリマーの繰返しサイクリックボルタモグラム(a)と電位掃引したときの吸光度波長の変化(b)と730nm、822nmの吸光度変化
(応用例1)
(センサー機能1)
実施例1で得られた薄膜をクロロホルム中に浸し、pH応答を調査した。有機酸であるトリフルオロ酢酸(TFA)を添加していくと、徐々に680nm付近の電荷移動吸収バンドの強度が減少していき、31.0mM TFA溶液ではほぼ完全に消失した(図8(a))。これは、ジアルキルアニリン部位がプロトン化されて電子供与性が無くなったことを示唆している。
これらのことから、スペクトル測定を行うことで酸に対するセンサーとして機能することが確認できた。同時にジアルキルアニリン部位がプロトン化されることで、4級アンモニウム塩となるが、4級アンモニウム塩は抗菌性を示すことが知られている。これらの結果から、4級アンモニウム塩の割合、すなわち抗菌性が吸収スペクトルで判定することが可能となる。
(応用例2)
(センサー機能2)
応用例1で示した、実施例1で得られた薄膜を浸し、TFAを加えたクロロホルム溶液に、塩基であるトリエチルアミン(TEA)を添加すると、徐々に電荷移動吸収バンドが回復し、中性〜塩基性条件下ではほぼ完全に元の強度に戻った(図.8(b))。これは、4級アンモニウム塩となっていたジアルキルアニリン部位が脱プロトン化され、電子供与性が回復したことを示している。 すなわち、680nm吸収の強度により、pHセンサーとして利用できる。また、静電相互作用で作製した薄膜では破壊されてしまうような
応用例1に示す強酸条件下でも、高い化学的安定性を有していた。
図8 (a)クロロホルムに浸した架橋薄膜にトリフルオロ酢酸(TFA)を添加した際の紫外可視近赤外吸収スペクトル変化および(b)その後、トリエチルアミン(TEA)を添加した際の吸収スペクトル変化
(応用例3)
(センサー機能3)
実施例1で得られたポリマー膜をトリフルオロメタンスルホン酸銀の0.2mM濃度の1,2-ジクロロエタン溶液に浸漬し、紫外可視吸収スペクトルの変化を観察した。測定間隔は5秒で600秒間測定した。得られた結果を図9に示す。トリフルオロメタンスルホン酸銀溶液への浸漬時間によって680nmの電荷移動吸収バンドが長波長側へシフトしている。これは、アクセプター側のTCNQのシアノ基が銀イオンに配位することで、電荷移動のバンド幅が変化したことを示している。
図9 紫外可視吸収スペクトル変化
この結果から、吸収スペクトルによって銀イオン濃度が判別できる 化学センサーとしての機能性膜として用いることができ、さらに架橋反応を行っていることから、1,2-ジクロロエタンのような有機溶媒中でも使用できる。
(応用例4)
(抗菌性評価)
実施例1で得られたポリマー膜をトリフルオロメタンスルホン酸銀それぞれ0.02mM(4−1)、0.2mM(4−2)、2.0mM(4−3)濃度の1,2−ジクロロエタン溶液に30分浸漬した後、溶液から取り出して1,2−ジクロロエタンで洗浄し、3
種類の銀担持ポリマー膜を得た。表1に各ポリマー膜の誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES分析)による銀イオン濃度を示す。この時、装置はLeeman Labs社製 Prodigy ICPを使用した。
これらから銀イオンの量を任意にポリマーに担持できることがわかる。これらの銀担持膜(4−1〜3)と応用例1で作成したジアルキルアニリン部位を酸で処理して4級化したポリマー膜(応用例4−4)を用いて、大腸菌に対する抗菌試験を行った。結果を表2に示す。
コントロールとしてのガラス板、未処理の架橋ポリマーは抗菌、殺菌活性を示さなかったが、銀イオン担持処理した応用例4−1〜3、酸処理(応用例4−4)は抗菌、殺菌活性を示した。
なお、参考例として、0.002mM、0.0002mM Agについても抗菌試験を行なったが、それらの試験例では有利な抗菌・殺菌活性を得ることができなかった。
〈活性値の計算方法〉
・生菌数の計算
各サンプルの生菌数を求める。
N=C×D×V
N:生菌数(試験片1個当たり)
C:コロニー数
D:希釈倍数
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(ml)
・抗菌活性値の計算
上記で求めた生菌数より、抗菌活性値を求める。
・殺菌活性値の計算
上記で求めた生菌数より、殺菌活性値を求める。
R:抗菌活性値
L:殺菌活性値
A:無加工(ブランク)試験片の接種直後の生菌数(個)
B:無加工(ブランク)試験片の24時間後の生菌数(個)
C:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数(個)
なお、応用例、参考例で使用した各トリフルオロメタンスルホン酸銀濃度溶液で処理した後のポリマー膜の銀濃度をICP−AES分析で調べた結果を表3に示す。
以上のとおり、応用例4と参考例の結果から、単位面積あたりのポリマー中の銀濃度が少なくとも2.26×10−5mg/mm、好ましくは4.24×10−5mg/mm以上であれば、実用的な抗菌・殺菌活性を得ることができる。
本発明では、ドナーアクセプター構造を有する光電子機能を持ったネットワークポリマーを合成するに際し、クリックケミストリー反応を用いた高分子と高分子の反応により、共有結合を介した物理化学的安定性の高いものが得られる。その結果、これまでの材料が酸・アルカリに対して耐性が無く、物理化学的な強度面で実用的でなかったのに対し、本発明は、有機系の光電子機能を有するポリマーとして実用化への道を開くものである。
また、ドナーアクセプター構造から化学センサー材料として用いることができ、さらには、ドナー側のアミン構造をプロトン化すること、アクセプター側に金属イオンを配位することにより、抗菌性機能ネットワークポリマーとすることも可能である。さらには、化学センサー機能と合わせて抗菌活性を、紫外可視吸収スペクトルを用いて、あるいは可視領域であれば目視でも抗菌活性レベルを検知することができ、抗菌性の再生、あるいはポリマー自体の交換時期を的確に判断できるツールを提供するものである。

Claims (11)

  1. 電子供与基を含む電子豊富アルキンポリマーと電子アクセプターとしての1,1−ジシアノエチレン骨格を含むテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類含有ポリマーとをクリックケミストリー反応させて得られることを特徴とするネットワークポリマー。
  2. 電子供与基を含む電子豊富アルキンポリマーと電子アクセプターとしての1,1−ジシアノエチレン骨格を含むテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類含有ポリマーとを混合した後基材に塗布し、基材上で両ポリマーをクリックケミストリー反応させて得られることを特徴とする膜状のネットワークポリマー。
  3. 電子供与基を含む電子豊富アルキンポリマーを基材に塗布した後、電子アクセプターとしての1,1−ジシアノエチレン骨格を含むテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類含有ポリマーを塗布し、引き続き両ポリマーをクリックケミストリー反応させ膜状ネットワークポリマーとする工程を繰り返すことにより得られることを特徴とする多層交互積層膜状ネットワークポリマー。
  4. 電子供与基を含む電子豊富アルキンポリマーが、式[1]で示す構造を有するポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のネットワークポリマー。
    式[1]
    R;C原子、あるいはエステルもしくはアミドのカルボニルを含む骨格、もしくはカルバゾール系化合物
    R’:C原子もしくはN原子若しくはC‐フェニル基若しくはN‐フェニル基
    n:任意の整数
    EDG:電子供与基
  5. 電子アクセプターとしての1,1−ジシアノエチレン骨格を含むテトラシアノキノジメタン(TCNQ)類が式[2]で示す化合物であり、かつ置換基ABCDのうち1つもしくは2つのいずれかの置換基を介して結合する電子アクセプターポリマーであり、式[3]の構造1〜4のうちいずれかの構造を取ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のネットワークポリマー。
    式[2]
    A,B,C,Dは水素またはハロゲン原子もしくは水酸基、アルコキシル基、アルキル基を表す
    式[3]
    A,B,C,D:H、C、O、N、またはハロゲン原子もしくは水酸基、アルコキシル基、アルキル基を表す
    R,R’:エーテル、エステルもしくはアミド結合を含むアルキル鎖を表す
    R”:エーテル、エステル、アミド結合もしくはフェニル基またはトリアゾール環を含むアルキル鎖、もしくはフェニル基を表す
    n:任意の整数
  6. 電子供与基を含む電子豊富アルキンポリマーの電子供与基が、芳香族アミン類であることを特徴とする請求項4に記載のネットワークポリマー。
  7. 請求項1〜6に記載のいずれかのネットワークポリマーを単独もしくは組合せて用い、ネットワークポリマーにおける紫外可視吸収スペクトルの測定又は色の変化により、プロトン、金属イオンの配位量を検知することを特徴とする化学センサー。
  8. 請求項1〜6に記載のいずれかのネットワークポリマーに金属イオンを配位してなることを特徴とする抗菌性材料。
  9. 請求項1〜6に記載のいずれかのネットワークポリマーに配位する金属が銀及び/又は
    銅であることを特徴とする請求項8に記載の抗菌性材料。
  10. 請求項6に記載のネットワークポリマーをブレンステッド酸、ルイス酸で処理してなることを特徴とする抗菌性材料。
  11. ネットワークポリマーにおける紫外可視吸収スペクトルの測定又は色の変化を目視することにより抗菌効果の経時変化を確認することができることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の抗菌性材料。
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