(本発明の基礎となった知見)
特許文献1には、バッテリによりバックアップされる第1サブコンセントと、バッテリによりバックアップされない第2サブコンセントとを備える無停電電源装置が開示されている。この無停電電源装置では、停電発生時に、バッテリからの電力が第1サブコンセントには供給されるが、第2サブコンセントには供給されない。
そして、特許文献2には、切り替えスイッチ及び蓄電池を備えるマルチタップが開示されている。このマルチタップでは、停電発生時に、切り替えスイッチによって商用電源から蓄電池に電力供給源が切り替えられる。
ところで、配電システムにおいては、分散型電源のコスト及び設置場所等の制約から、設置された全ての負荷機器を単独で駆動できるだけの電力供給能力を持つ分散型電源を用意することは困難な場合がある。従って、分散型電源により駆動する負荷機器を特定の機器に限定して、分散型電源が過負荷にならないようにする必要がある。
また、停電時に、負荷機器に対して電力が供給されない状態が長時間続き、例えば負荷機器が停止してしまうことがないように、電力系統から分散型電源への切り替えは速やかに行われる必要がある。従って、電力系統から分散型電源への切り替えは誰でも簡単に行えるものである必要がある。
これらの問題に対し、特許文献1の無停電電源装置では、バックアップする必要のない負荷機器について第2サブコンセントに接続し、バックアップする必要のある負荷機器のみを第1サブコンセントに接続することで、負荷機器を限定してバックアップすることができる。また、電力系統から分散型電源への切り替えは、制御部が停電を検出してスイッチを切り替えることにより行われるため、切り替えを速やかに行うこともできる。
しかしながら、特許文献1の無停電電源装置では、第1サブコンセント及び第2サブコンセントの2つのコンセントを設ける必要があるため、コンセント面積が増大し、装置の大型化という新たな問題が生じる。例えば、第1サブコンセント及び第2サブコンセントの2つのコンセントを1セットとしてコンセントを複数配置すると、1つのコンセントを単純に複数配置する場合と比較してコンセント面積が2倍となる。
また、特許文献2のマルチタップでは、負荷機器を限定してバックアップする構成は備えられていない。また、電力系統から分散型電源への切り替えは停電が発生してから手動で行われるため、電力系統から分散型電源への切り替えに時間(例えば、数十秒〜数分オーダの時間)を要する。さらに、手動での切り替えには煩わしさも伴う。そのため、連続運転したい負荷機器であっても電力供給が一時的に停止してしまう。
なお、前述の配電システムとは別にHEMS(Home Energy Management System)制御により負荷機器のバックアップを行う構成も考えられるが、全ての負荷機器がHEMSに対応する機器であるとは限られない。従って、HEMSに非対応の負荷機器については、それが停電時でも電力を供給し続けたい重要な機器であったとしてもバックアップすることができない。
そこで、本発明の一態様に係る電力制御装置は、商用電源である第一の電力系統と、商用電源とは独立した電源である第一の電力供給部とからの電力供給を制御する装置であって、前記第一の電力系統と接続され、前記第一の電力系統の電力を供給するための第一の電線と、前記第一の電力供給部及び前記第一の電力系統と接続され、前記第一の電力供給部の電力又は前記第一の電力系統の電力を供給するための第二の電線とから電力の供給を受ける第一のコンセントと、前記第一の電線及び前記第二の電線と前記第一のコンセントとの間に挿入され、前記第一のコンセントを前記第一の電線及び前記第二の電線のいずれに接続するかを選択する第一のスイッチとを備えることを特徴とする。
本態様によると、第二の電線には第一の電力系統だけでなく第一の電力供給部も接続されている。従って、第一のコンセントに第二の電線を接続している場合、第一の電力系統からの電力供給が停止する停電が発生していない時つまり通常時では、第一のコンセントは第一の電力系統から電力の供給を受ける。その結果、第一のコンセントは負荷機器に対して必要とする十分な電力を供給することができる。一方、停電時では、第一のコンセントが第一の電力供給部から電力の供給を受けて自立運転が自動的に開始される。従って、このときにも第一のコンセントは負荷機器に対して電力を供給することができる。よって、停電が発生してから自立運転を開始させるための特別な操作を行うことなく、自動的に自立運転を開始させることができるので、第一の電力系統から第一の電力供給部への電力供給源の切り替えを速やかに行うことができる。
ここで、自立運転時には第一の電力供給部が第一のコンセントに電力を供給するが、第一の電力供給部のコスト又は配置場所等の制約から、第一のコンセントが必要とする電力を第一の電力供給部が全て賄えずに、第一の電力供給部が過負荷となることがある。しかし、第一のスイッチにより第一のコンセントに第一の電線を接続することで、停電時でも自立運転が開始されない状態を選択することができる。従って、第一の電力供給部から供給される電力を減らすため、ユーザーは一部の第一のコンセントについて事前に自立運転を行わないように設定することで、第一の電力供給部がどの負荷機器に電力を供給し、どの負荷機器に電力を供給しないかを決定することができる。その結果、第一の電力供給部の過負荷を抑えることができる。
また、1つの第一のコンセントで自立運転を行う状態と自立運転を行わない状態との2つの状態を実現することができるので、特許文献1のようにコンセントの数を増やすことなく、第一の電力供給部により電力供給を行う負荷機器を限定することができる。
また、コンセントに対し、単に第一のスイッチを設ける構成であるので、簡易な構成の装置を実現することができる。
例えば、前記第一の電力系統は、2つの電力系統から構成され、前記第一の電線は、前記2つの電力系統の一方に接続された、前記一方の電力を供給するための電線であり、前記第二の電線は、前記2つの電力系統の他方に接続された、前記他方の電力を供給するための電線であってもよい。
本態様によると、第一の電力系統を1つの単相3線式の電力系統で実現することができ、簡素な構成の装置を実現することができる。
例えば、前記第一の電線及び前記第二の電線は、1つの共通電線を介して前記第一の電力系統と接続され、前記電力制御装置は、さらに、前記第二の電線における前記共通電線と前記第一の電力供給部との間の部分に挿入され、前記第一の電線と前記第一の電力供給部とを接続するか否かを決定する第一の接続部を備えてもよい。
本態様によると、第一の電線及び第二の電線をまとめて共通電線として第一の電力系統に接続することができるので、簡素な構成の装置を実現することができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、前記第一の電力系統の電力を検出し、検出した結果に基づいて前記第一の接続部を制御する検出器を備え、前記検出器は、前記第一の電力系統の電力が所定値より小さくなった場合に、前記第一の電線と前記第一の電力供給部との接続を切断するように、前記第一の接続部を制御してもよい。
本態様によると、第一の接続部により、停電時において意に反して第一の電力供給部が第一の電線に電力を供給することを回避することができる。
例えば、前記第一の電力供給部は、蓄電池又は燃料電池から構成されてもよい。
本態様によると、第一の電力供給部を蓄電池又は燃料電池により実現することができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、前記第二のスイッチ及び第二のコンセントを備え、前記第二のコンセントは、前記第一の電線と前記第二の電線とから電力の供給を受け、前記第二のスイッチは、前記第一の電線及び前記第二の電線と前記第二のコンセントとの間に挿入され、前記第二のコンセントを前記第一の電線及び前記第二の電線のいずれに接続するかを選択してもよい。
本態様によれば、第一の電力供給部から供給される電力を減らすため、ユーザーは第一のスイッチ及び第二のスイッチを切り替えることで、第一のコンセント及び第二のコンセントのいずれかについて事前に自立運転を行わないように設定することができる。従って、第一の電力供給部の過負荷を抑えることができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、前記第二の電線に接続され、前記第二の電線を介して供給される電力を監視する消費電力監視部を備えてもよい。
ユーザーは事前に自立運転時に第一の電力供給部がどの負荷機器に電力を供給し、どの負荷機器に電力を供給しないかを決定できるが、自立運転時に第一の電力供給部が電力を供給すると決定した負荷機器の消費電力が、第一の電力供給部が実際に供給できる電力を超えることがある。この場合、負荷機器に十分な電力が供給されないため、負荷機器が停止してしまい、ユーザーは不便を被る。しかしながら、本態様によると、停電前の通常時に、ユーザーは第一のコンセントに供給されている電力を監視することにより、どのコンセントについて自立運転を行わないように設定すれば、第一の電力供給部で負荷機器の消費電力を賄えるかを知ることができる。
例えば、前記消費電力監視部は、監視された電力が、前記第一の電力供給部が供給可能な電力を超えるとき、電力を超えることをユーザーに通知してもよい。
本態様によると、ユーザーは消費電力監視部により、第一の電力供給部が供給可能な電力が自立運転時に電力供給を必要とする負荷機器の消費電力を全て賄えるかどうかを知ることができる。
例えば、前記消費電力監視部は、監視された電力が、前記第一の電力供給部が供給可能な電力以下であるとき、前記監視された電力と前記供給可能な電力との差をユーザーに通知してもよい。
本態様によると、ユーザーは第一の電力供給部が賄える電力にどれだけ余裕があるかの通知を受けることにより、余裕がある場合には自立運転を行わないように設定されている第一のコンセントについて自立運転を行うように設定を変更することができる。従って、より多くの負荷機器に対して、停電時でも電力供給を行うことができ、ユーザーの利便性を向上させることができる。
例えば、前記消費電力監視部は、監視された電力が、前記第一の電力供給部が供給可能な電力以下であるとき、前記第一の電力供給部が電力を供給可能な時間をユーザーに通知してもよい。
本態様によると、ユーザーは消費電力監視部により、第一の電力供給部が自立運転時に電力供給をどれだけの時間行えるかを事前に知ることができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、前記第一のコンセントが消費する電力を表示する第一の消費電力表示部を備えてもよい。
本態様によると、ユーザーは第一の消費電力表示部を確認することにより、第一の電力供給部が供給可能な電力が自立運転時に電力供給を必要とする負荷機器の消費電力を全て賄えるかどうかを視覚的に知ることができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、消費電力を所定の消費電力の範囲に対応する複数の消費電力区分に分類し、前記第一のコンセントが消費する電力が前記消費電力区分のいずれに対応しているかをユーザーに通知する第二の消費電力表示部を備えてもよい。
本態様によると、ユーザーは第二の消費電力表示部に表示される消費電力区分を確認することにより、第一のコンセントの消費電力を数値計算することなく、より容易に視覚的に知ることができる。従って、どのコンセントについて自立運転を行わないように設定すれば、第一の電力供給部で負荷機器の消費電力を賄えるかをより容易に知ることができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、第二のスイッチ及び第二のコンセントを備え、前記第二のコンセントは、第二の電力系統と接続され、前記第二の電力系統の電力を供給するための第三の電線と、前記第二の電力系統及び第二の電力供給部と接続され、前記第二の電力供給部の電力及び前記第二の電力系統の電力を選択的に供給するための第四の電線とから電力の供給を受け、前記第二のスイッチは、前記第三の電線及び前記第四の電線と前記第二のコンセントとの間に挿入され、前記第二のコンセントを前記第三の電線及び前記第四の電線のいずれに接続するかを選択してもよい。
本態様によると、第一のコンセント及び第二のコンセントに対して独立した2つの電力供給部から別々に電力供給を行うことができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、前記第一の電力供給部の消費電力と前記第二の電力供給部の消費電力とをバランスさせるバランサを備えてもよい。
本態様によると、ユーザーは第一のコンセント及び第二のコンセントの消費電力のバランスを意識することなく、各電力供給部の電力を使用することができる。
例えば、前記電力制御装置は、さらに、第二のスイッチ及び第二のコンセントを備え、前記第二のコンセントは、第二の電力系統と接続され、前記第二の電力系統の電力を供給するための第三の電線と、前記第一の電力供給部及び前記第二の電力系統と接続され、前記第一の電力供給部の電力及び前記第二の電力系統の電力を選択的に供給するための第四の電線とから電力の供給を受け、前記第二のスイッチは、前記第三の電線及び前記第四の電線と前記第二のコンセントとの間に挿入され、前記第二のコンセントを前記第三の電線及び前記第四の電線のいずれに接続するかを選択し、前記電力制御装置は、さらに、前記第二の電線と前記第四の電線とを接続するか否かを決定する第二の接続部を備えてもよい。
本態様によると、第一のコンセント及び第二のコンセントが共通の電力供給部から電力供給を受ける構成とし、簡素な構成の装置を実現することができる。
また、本発明の一態様に係る電力制御方法は、商用電源である第一の電力系統と、商用電源とは独立した電源である第一の電力供給部とからの電力供給を制御する方法であって、第一のコンセントを、前記第一の電力系統と接続され、前記第一の電力系統の電力を供給するための第一の電線と、前記第一の電力供給部及び前記第一の電力系統と接続され、前記第一の電力供給部の電力又は前記第一の電力系統の電力を供給するための第二の電線とのいずれに接続するかを選択することを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置又は接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。また、図面において、実質的に同一の構成、動作及び効果を表す要素については、同一の符号を付す。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る電力制御装置1の構成について、図1〜図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る電力制御装置1の概略構成を示す図である。図2は、本実施の形態に係る電力制御装置1のコンセント装置の構成を示す外観図である。なお、図1の(a)〜(c)ではスイッチ22及び61の切り替え状態のみが異なっている。
電力制御装置1は、電力系統30及び電力供給部40から負荷機器10への電力供給を制御する装置であり、図1に示されるように、コンセント装置20と、第一の電線51と、第二の電線52と、接地線54と、停電検出器60と、スイッチ61とを備えている。
コンセント装置20は、図2に示されるように、コンセント21及びスイッチ22と、これらが内部に配設される筐体としてのコンセントボックス27とから構成されている。コンセント装置20は、コンセント21の差し込み口21aと、スイッチ22の可動部22aとが負荷機器10が配設される空間で露出するように、例えば壁面の凹部に嵌め込まれる。
コンセント21は、本発明の第一のコンセントの一例であり、負荷機器10からのプラグが差し込まれる差し込み口21aを有し、差し込み口21aに差し込まれたプラグと接続された負荷機器10に電力を供給する。
スイッチ22は、本発明の第一のスイッチの一例である。スイッチ22は、端子a側に閉じて(端子aを選択して)第一の電線51とコンセント21とを電気的に接続する状態と、端子b側に閉じて(端子bを選択して)第二の電線52とコンセント21とを電気的に接続する状態との2つの状態を切り替える3端子の切り替え部である。この2つの状態の切り替えは、スイッチ22の可動部22aの位置を変化させることにより行われ、例えば可動部22aを左端に移動させることで端子aを選択した状態とされ、右端に移動させることで端子bを選択した状態とされる。
電力系統30は、本発明の第一の電力系統の一例であり、通常時においてコンセント21に交流電力を供給する電力供給源である。電力系統30は、電力会社が所有する電力系統(商用電源)であり、例えば、一線が接地された単相2線式の商用電力系統、中性点が接地された単相3線式の商用電力系統、一つの相が接地された三相3線式の商用電力系統、又は中性点が接地された三相4線式の商用電力系統である。
第一の電線51は、電力系統30の電力のみをコンセント21に供給するための非接地線であり、一端が電力系統30の非接地側に接続され、他端がスイッチ22の端子aと接続されている。
第二の電線52は、電力系統30及び電力供給部40の電力を選択的にコンセント21に供給するための非接地線であり、一端が電力系統30の非接地側に接続され、他端がスイッチ22の端子bと接続されている。
これら第一の電線51及び第二の電線52は、1つの共通電線53となって電力系統30の非接地側に接続されている。
接地線54は、一端が電力系統30の接地側に接続され、他端がコンセント21に接続され、第一の電線51及び第二の電線52に対して共通に設けられた接地線である。
電力供給部40は、本発明の第一の電力供給部の一例であり、商用電源とは独立した分散型電源である。電力供給部40は、停電時において第二の電線52を介してコンセント21に交流電力を供給する非常用の電力供給源であり、第二の電線52及び接地線54と接続されている。電力供給部40には、充放電の制御部が備えられており、例えば通常時は蓄電され、停電時に放電されるように制御されている。
なお、電力供給部40は、電力系統30に系統連系されていてもよい。これにより、電力供給部40は、通常時及び停電時のいずれかに係らず、必要なときにコンセント21に電力を供給することができる。この場合、第二の電線52は、電力系統30及び電力供給部40の両方の電力をコンセント21に供給することができる。しかし、電力供給部40が供給する交流電力は、電力系統30の交流電力に対して電圧、周波数及び位相が合わせられる必要がある。
電力供給部40は、太陽電池、蓄電池又は燃料電池等から構成されている。電力供給部40は、さらに、電池で発生する直流電力を交流電力に変換する変換器等を含んで構成されている。例えば、電力供給部40が蓄電池により構成される場合、電力供給部40は電力系統30の電力を取り込んで充電することができる。
停電検出器60は、本発明の検出器の一例である。停電検出器60は、電力系統30からの電力供給が停止する停電を検出する検出器であり、共通電線53及び接地線54と接続されている。停電検出器60は、共通電線53の電圧を監視することにより停電を検出し、例えば共通電線53の電圧が所定値より小さいときに停電が発生していると判断する。停電検出器60は、自身による停電の検出結果に基づいてスイッチ61の切り替えを制御する。
スイッチ61は、本発明の第一の接続部の一例である。スイッチ61は、第二の電線52における電力供給部40との接続点と共通電線53との間の部分に設けられ、停電検出器60による制御のもとで、第一の電線51と電力供給部40とが非導通状態となるように、導通状態及び非導通状態が切り替えられる2端子の接続部である。具体的に、停電検出器60により停電が検出されると、スイッチ61は非導通状態とされ、そうでないときは導通状態とされている。
上記構成を有する電力制御装置1では、スイッチ22及び61を切り替えることにより、異なる経路でコンセント21に電力を供給する3つの状態、つまり図1の(a)〜(c)に示す3つの状態を実現することができる。すなわち、図1の(a)に示す経路Aで電力を供給する状態と、図1の(b)に示す経路Bで電力を供給する状態と、図1の(c)に示す経路Cで電力を供給する状態との3つの状態を実現することができる。
図1の(a)の状態は通常時においてスイッチ22で端子aが選択されているときに実現され、この状態では第一の電線51を介して電力系統30の電力がコンセント21に供給される。この状態で、停電が発生すると、停電検出器60によりスイッチ61が非導通状態とされて電力供給部40は第一の電線51から電気的に切り離される。従って、スイッチ22で端子aが選択されている図1の(a)の状態では、停電発生時にコンセント21に対して電力供給部40の電力を供給することができず、コンセント21をバックアップすることができない。
一方、図1(b)の状態は通常時においてスイッチ22で端子bが選択されているときに実現され、この状態では第二の電線52を介して電力系統30の電力が供給される。この状態で、停電が発生すると停電検出器60によりスイッチ61が非導通状態とされて電力供給部40は第一の電線51から電気的に切り離される。しかし、スイッチ61が非導通状態となっても、電力供給部40と第二の電線52とは電気的に接続されたままである。従って、スイッチ22で端子bが選択されている図1の(b)の状態では、停電発生時に電力の供給経路が自動的に図1(c)の状態となって、コンセント21に対して電力供給部40の電力を供給することができ、コンセント21をバックアップすることができる。
以上より、本実施の形態の電力制御装置1では、スイッチ22の切り替えにより、コンセント21を自動的にバックアップする状態(バックアップモード)とバックアップしない状態(非バックアップモード)との2つの状態(モード)を切り替えることができる。そして、バックアップモードにおいては、電力供給部40によってのみ電力供給が行われるため、電力系統30に依存することのない自立運転が実現される。
以上のように、本実施の形態の電力制御装置1は、商用電源である電力系統30と、商用電源とは独立した電源である電力供給部40とからの電力供給を制御する装置である。そして、電力制御装置1は、電力系統30と接続され、電力系統30の電力を供給するための第一の電線51と、電力供給部40及び電力系統30と接続され、電力供給部40の電力又は電力系統30の電力を供給するための第二の電線52とのいずれかから電力の供給を受けるコンセント21を備える。そして、電力制御装置1は、さらに、第一の電線51及び第二の電線52とコンセント21との間に挿入され、コンセント21を第一の電線51及び第二の電線52のいずれに接続するかを選択するスイッチ22を備える。これにより、バックアップモードを選択し、第二の電線52をコンセント21に接続しておけば、停電時に電力供給源が電力系統30から電力供給部40に自動的に切り替わる。従って、電力系統30から電力供給部40への電力供給源の切り替えを速やかに行うことができる。
また、非バックアップモードを選択し、第一の電線51をコンセント21に接続しておけば、停電時でも電力供給部40による電力供給は行われない。従って、ユーザーは一部のコンセント21について非バックアップモードを選択することで、電力供給部40がどの負荷機器10に電力を供給し、どの負荷機器10に電力を供給しないかを決定することができる。その結果、電力供給部40の過負荷を抑えることができる。
また、1つのコンセント21で自立運転を行う状態と自立運転を行わない状態との2つの状態を実現することができるので、コンセントの数を増やすことなく、電力供給部40により電力供給を行う負荷機器を限定することができる。
また、コンセント21に対し、単にスイッチ22を設ける構成であるので、簡易な構成の装置を実現することができる。
また、本実施の形態の電力制御装置1では、第一の電線51及び第二の電線52は、1つの共通電線53を介して電力系統30と接続されている。そして、電力制御装置1は、第二の電線52における共通電線53と電力供給部40との間の部分に挿入され、第一の電線51と電力供給部40とを接続するか否かを決定するスイッチ61を備える。これにより、第一の電線51及び第二の電線52をまとめて共通電線53として電力系統30に接続することができるので、簡素な構成の装置を実現することができる。
また、本実施の形態の電力制御装置1は、電力系統30の電力を検出し、検出した結果に基づいてスイッチ61を制御する停電検出器60を備える。そして、停電検出器60は、電力系統30の電力が所定値より小さくなった場合に、第一の電線51と電力供給部40との接続を切断し、電力系統30の電力が所定値以上の場合に、第一の電線51と電力供給部40とを接続するようにスイッチ61を制御する。これにより、停電時において意に反して電力供給部40が第一の電線51に電力を供給することを回避することができる。
また、本実施の形態の電力制御装置1では、電力供給部40は、蓄電池又は燃料電池から構成される。これにより、電力供給部40を蓄電池又は燃料電池により実現することができる。
また、本実施の形態の電力制御装置1による電力制御方法は、商用電源である電力系統30と、商用電源とは独立した電源である電力供給部40とからの電力供給を制御する方法であって、コンセント21を、電力系統30と接続され、電力系統30の電力を供給するための第一の電線51と、電力供給部40及び電力系統30と接続され、電力供給部40の電力又は電力系統30の電力を供給するための第二の電線52とのいずれに接続するかを選択する。これにより、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
(実施の形態1の変形例1)
次に、本発明の実施の形態1の変形例1に係る電力制御装置1の構成について、図3を用いて説明する。図3は、本変形例に係る電力制御装置1の概略構成を示す図である。なお、図3の(a)〜(b)ではスイッチ22及び61の切り替え状態のみが異なっている。
実施の形態1の電力制御装置1において、スイッチ61の切り替えは停電検出器60により行われるとしたが、スイッチ61の切り替えをスイッチ22の切り替えと連動して行っても実施の形態1の電力制御装置1と同様の効果を得ることができる。従って、本変形例の電力制御装置1は、図3に示されるように、実施の形態1の電力制御装置1に対し、停電検出器60を取り除き、スイッチ22及び61の切り替えを連動して行ったものである。以下、実施の形態1の電力制御装置1と異なる点を中心に詳述する。
スイッチ61は、スイッチ22の切り替えに連動して接続状態が切り替わり、スイッチ22で端子aが選択されているときに非導通状態となり、端子bが選択されているときに導通状態となるように切り替わる。
上記構成を有する電力制御装置1では、単にスイッチ22を切り替えることにより、バックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
そして、非バックアップモードはスイッチ22で端子aが選択されているときに実現され、このモードでは、図3の(a)の経路Aに示されるように、第一の電線51を介して電力系統30の電力がコンセント21に供給される。このモードでは、スイッチ22に連動してスイッチ61が非導通状態となっているため、停電の発生のいかんによらず、電力供給部40は第一の電線51から電気的に切り離されている。従って、非バックアップモードでは、停電発生時にコンセント21に対して電力供給部40の電力を供給することができず、コンセント21をバックアップすることができない。
一方、バックアップモードはスイッチ22で端子bが選択されているときに実現され、このモードでは、スイッチ22に連動してスイッチ61が導通状態となっているため、図3の(b)の経路Bに示されるように、第二の電線52を介して電力系統30の電力がコンセント21に供給される。このモードで、停電が発生すると、コンセント21に対して自動的に電力供給部40の電力を供給することができ、コンセント21をバックアップすることができる。
以上のように、本変形例の電力制御装置1によれば、実施の形態1の電力制御装置1と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本変形例の電力制御装置1によれば、実施の形態1のように停電検出器60を設ける必要がなくなるので、装置の構成を簡素にすることができる。
(実施の形態1の変形例2)
次に、本発明の実施の形態1の変形例2に係る電力制御装置1の構成について、図4を用いて説明する。図4は、本変形例に係る電力制御装置1の概略構成を示す図である。
実施の形態1の電力制御装置1において、第二の電線52に2端子の接続部であるスイッチ61を設けるとしたが、第二の電線52に3端子の切り替え部であるスイッチ62を設けても実施の形態1の電力制御装置1と同様の効果を得ることができる。従って、本変形例の電力制御装置1は、図4に示されるように、実施の形態1の電力制御装置1に対し、スイッチ61をスイッチ62に置き換えたものである。以下、実施の形態1の電力制御装置1と異なる点を中心に詳述する。
スイッチ62は、本発明の第一の接続部の一例であり、第二の電線52における電力供給部40との接続点と共通電線53との間の部分に設けられている。スイッチ62は、停電検出器60による制御のもとで、第一の電線51と電力供給部40とが非導通状態となるように、接続状態が切り替えられる3端子の切り替え部である。具体的に、停電検出器60により停電が検出されるとスイッチ61で端子bが選択され、そうでないときは端子aが選択されている。
上記構成を有する電力制御装置1では、スイッチ22を切り替えることにより、バックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
そして、非バックアップモードはスイッチ22で端子aが選択されているときに実現され、このモードでは第一の電線51を介して電力系統30の電力がコンセント21に供給される。このモードで、停電が発生すると、停電検出器60によりスイッチ62の端子bが選択されて電力供給部40は第一の電線51から電気的に切り離される。従って、非バックアップモードでは、停電発生時にコンセント21に対して電力供給部40の電力を供給することができず、コンセント21をバックアップすることができない。
一方、バックアップモードはスイッチ22で端子bが選択されているときに実現され、この状態では第二の電線52を介して電力系統30の電力がコンセント21に供給される。このモードでは、停電が発生してスイッチ62の端子bが選択されても、電力供給部40と第二の電線52とは電気的に接続されたままである。従って、バックアップモードでは、停電発生時にコンセント21に対して電力供給部40の電力を供給することができ、コンセント21をバックアップすることができる。
以上のように、本変形例の電力制御装置1によれば、実施の形態1の電力制御装置1と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
(実施の形態1の変形例3)
次に、本発明の実施の形態1の変形例3に係る電力制御装置1の構成について、図5を用いて説明する。図5は、本変形例に係る電力制御装置1の概略構成を示す図である。なお、図5の(a)〜(c)ではスイッチ22及び61の切り替え状態のみが異なっている。
実施の形態1の電力制御装置1において、接地線54は第一の電線51及び第二の電線52に対して共通に1つだけ設けられるとした。しかし、第一の電線51及び第二の電線52に対して別々に2つの接地線54及び55を設けても実施の形態1の電力制御装置1と同様の効果を得ることができる。従って、本変形例の電力制御装置1は、図5に示されるように、実施の形態1の電力制御装置1に対し、2つの接地線54及び55を設け、かつ、接地線54及び55とコンセント21との間にスイッチ28を設けたものである。以下、実施の形態1の電力制御装置1と異なる点を中心に詳述する。
スイッチ28は、端子aを選択して一方の接地線54とコンセント21とを電気的に接続する状態と、端子bを選択して他方の接地線55とコンセント21とを電気的に接続する状態との2つの状態を切り替える3端子の切り替え部である。この2つの状態の切り替えはスイッチ22の切り替えと連動して行われ、スイッチ22で端子aが選択されているときはスイッチ28でも端子aが選択され、スイッチ22で端子bが選択されているときはスイッチ28でも端子bが選択されるように切り替えられる。従って、スイッチ28の切り替えは、スイッチ22の可動部22aの位置を変化させることにより行われる。
一方の接地線54は、一端が電力系統30の接地側に接続され、他端がスイッチ28の端子aと接続されている。そして、他方の接地線55は、一端が電力系統30の接地側に接続され、他端がスイッチ28の端子bと接続されている。
上記構成を有する電力制御装置1では、スイッチ22及び28を切り替えることにより、バックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
そして、非バックアップモードはスイッチ22及び28で端子aが選択されているときに実現され、このモードでは、図5の(a)の経路Aに示されるように、第一の電線51を介して電力系統30の電力がコンセント21に供給される。このモードで、停電が発生すると、停電検出器60によりスイッチ61が非導通状態とされて電力供給部40は第一の電線51から電気的に切り離される。従って、非バックアップモードでは、停電発生時にコンセント21に対して電力供給部40の電力を供給することができず、コンセント21をバックアップすることができない。
一方、バックアップモードはスイッチ22及び28で端子bが選択されているときに実現され、このモードでは、図5の(b)の経路Bに示されるように、第二の電線52を介して電力系統30の電力がコンセント21に供給される。このモードで停電が発生すると、図5の(c)の経路Cに示されるように、第二の電線52を介して自動的に電力供給部40の電力がコンセント21に供給されるので、コンセント21をバックアップすることができる。
以上のように、本変形例の電力制御装置1によれば、実施の形態1の電力制御装置1と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る電力制御装置2の構成について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る電力制御装置2の概略構成を示す図である。なお、図6の(a)〜(b)ではスイッチ22及び61の切り替え状態のみが異なっている。
電力制御装置2は、図6に示されるように、電力系統30が2つの電力系統31及び32から構成されており、第一の電線51及び第二の電線52は別々に対応する電力系統31及び32に接続されている点で実施の形態1の電力制御装置1と異なっている。従って、停電時に電力供給部40を第一の電線51から分離するためのスイッチ61を設ける必要がなく、電力制御装置2は、実施の形態1の電力制御装置1に対し、スイッチ61が取り除かれている。以下、実施の形態1の電力制御装置1と異なる点を中心に詳述する。
電力制御装置2は、電力系統30及び電力供給部40から負荷機器10への電力供給を制御する装置であり、コンセント装置20と、電力系統30と、第一の電線51と、第二の電線52と、接地線54とを備えている。
電力系統30を構成する2つの電力系統31及び32は、双方共に通常時においてコンセント21に交流電力を供給する電力供給源であって、電力会社が所有する電力系統である。電力系統31及び32は、例えば、一線が接地された単相2線式の商用電力系統、中性点が接地された単相3線式の商用電力系統、一つの相が接地された三相3線式の商用電力系統、又は中性点が接地された三相4線式の商用電力系統である。具体的に、電力系統31及び32が単相3線式の商用電力系統である場合、電力系統31は中性線とそれ以外の2つの電圧線の一方との間の電力系統とされ、電力系統31は2つの電圧線の他方と中性線との間の電力系統とされる。
第一の電線51は、電力系統31の電力のみをコンセント21に供給するための非接地線であり、一端が電力系統31の非接地側に接続され、他端がスイッチ22の端子aと接続されている。
第二の電線52は、電力系統32及び電力供給部40の電力を選択的にコンセント21に供給するための非接地線であり、一端が電力系統32の非接地側に接続され、他端がスイッチ22の端子bと接続されている。
接地線54は、一端が電力系統31及び32の接地側に接続され、他端がコンセント21に接続され、電力系統31及び32つまり第一の電線51及び第二の電線52に対して共通に設けられた接地線である。
上記構成を有する電力制御装置1では、単にスイッチ22を切り替えることにより、バックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
そして、非バックアップモードはスイッチ22で端子aが選択されているときに実現され、このモードでは、図6の(a)の経路Aに示されるように、第一の電線51を介して電力系統31の電力がコンセント21に供給される。しかし、電力供給部40は第一の電線51から電気的に切り離されているため、このモードで停電が発生すると、コンセント21に対して電力供給部40の電力を供給することができず、コンセント21をバックアップすることができない。
一方、バックアップモードはスイッチ22で端子bが選択されているときに実現され、このモードでは、図6の(b)の経路Bに示されるように、第二の電線52を介して電力系統32の電力がコンセント21に供給される。そして、電力供給部40は第二の電線52とは接続されているため、このモードで停電が発生すると、図6の(b)の経路Cに示されるように、第二の電線52を介して自動的に電力供給部40の電力がコンセント21に供給されるので、コンセント21をバックアップすることができる。
以上のように、本実施の形態の電力制御装置2によれば、実施の形態1の電力制御装置1と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本実施の形態の電力制御装置2によれば、電力系統30は、2つの電力系統31及び32から構成されている。そして、第一の電線51は、2つの電力系統31及び32の一方である電力系統31に接続された、電力系統31の電力を供給するための電線であり、第二の電線52は、2つの電力系統31及び32の他方である電力系統32に接続された、電力系統32の電力を供給するための電線である。これにより、非バックアップモードで電力を供給する第一の電線51を電力供給部40から分離しつつ、バックアップモードで電力を供給する第二の電線52を電力供給部40及び電力系統32に接続することができる。従って、第一の電線51を電力供給部40から分離するためのスイッチを不要にすることができ、簡素な構成の装置を実現することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る電力制御装置3の構成について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る電力制御装置3の概略構成を示す図である。
電力制御装置3は、図7に示されるように、コンセント21による消費電力を監視する消費電力監視部70が設けられている点で実施の形態1の電力制御装置1と異なっている。以下、実施の形態1の電力制御装置1と異なる点を中心に詳述する。
電力制御装置3は、電力系統30及び電力供給部40から負荷機器10への電力供給を制御する装置であり、コンセント装置20と、第一の電線51と、第二の電線52と、接地線54と、停電検出器60と、スイッチ61と、消費電力監視部70とを備えている。
消費電力監視部70は、電力系統30及び電力供給部40から第二の電線52を介してコンセント21に供給されている電力を測定し、停電時に電力供給部40の電力がコンセント21の消費電力を賄えるかを判定する装置である。消費電力監視部70は、放電可能量判定部71と、電力演算部72と、電流測定装置80とから構成されている。
電流測定装置80は、第二の電線52における共通電線53とスイッチ22との間に設けられ、第二の電線52を流れる電流を測定し、測定結果を電力演算部72に無線又は有線の通信によりアナログ信号又はデジタル信号として送信する。電流測定装置80は、コンセント装置20の一部として設けられてコンセントボックス27内部に配設される。
電力演算部72は、コンセント21の消費電力を導出し、放電可能量判定部71に出力する演算部である。電力演算部72による消費電力の導出は、電流測定装置80により導出された第二の電線52の電流量と、電力系統30の電圧とを乗じることで行われる。このとき用いられる電力系統30の電圧は、例えば予め設定された所定の電圧(例えば100V)、電力制御装置3外部の計測装置により実際に計測され、通信等により取得された電圧、又は電力演算部72により実際に測定された電圧で設定される。
放電可能量判定部71は、電力演算部72により出力された消費電力が電力供給部40の供給可能な電力を超えるか否かを判定し、超える場合には、ユーザーにその旨を知らせる。電力供給部40の供給可能な電力は、例えば電力供給部40が自身で計測した値を通信等により受信する、又はユーザーが放電可能量判定部71に入力することにより取得される。また、ユーザーへの通知は、例えば音声、画面表示又はブザー警告等により行われ、画面表示の場合には例えば「過負荷です」又は「○○kWオーバーです」等と画面に表示することにより行われる。
上記構成を有する電力制御装置1では、スイッチ22を切り替えることにより、バックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。なお、各モードでの電力の供給経路は、実施の形態1の電力制御装置1と同様である。
以上のように、本実施の形態の電力制御装置2によれば、実施の形態1の電力制御装置1と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本実施の形態の電力制御装置3によれば、電力制御装置3は、第二の電線52に接続され、第二の電線52を介して供給される電力を監視する消費電力監視部70を備える。そして、消費電力監視部70は、監視された電力が、電力供給部40が供給可能な電力を超えるとき、電力を超えることをユーザーに通知する。これにより、電力供給部40でコンセント21の消費電力を賄うことができるかを事前に知ることができる。その結果、バックアップモードを選択しているにも関わらず、停電時に負荷機器10が停止すること等を回避することができる。
なお、本実施の形態の電力制御装置3において、図8に示されるように、電流測定装置80はコンセント装置20(コンセントボックス27)の外部に設けられてもよい。
また、本実施の形態の電力制御装置3において、消費電力監視部70は、監視された電力と電力供給部40が供給可能な電力との差をユーザーに通知してもよい。特に、消費電力監視部70(放電可能量判定部71)は、監視された電力が、電力供給部40が供給可能な電力以下であるときに、監視された電力と供給可能な電力との差をユーザーに通知してもよい。これにより、ユーザーは電力供給部40が賄える電力にどれだけ余裕があるかを知って非バックアップモードとされているコンセントについてバックアップモードに変更することができる。従って、より多くの負荷機器に対して、停電時でも電力供給を行うことができ、ユーザーの利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態の電力制御装置3において、消費電力監視部70は、電力供給部40が電力を供給可能な時間をユーザーに通知してもよい。特に、消費電力監視部70(放電可能量判定部71)は、監視された電力が、電力供給部40が供給可能な電力以下であるとき、電力供給部40が電力を供給可能な時間をユーザーに通知してもよい。これにより、ユーザーは電力供給部40が停電時に電力供給をどれだけの時間行えるかを事前に知ることができる。この場合、消費電力監視部70は、電力供給部40に充電された電力量を取得し、これと監視された電力で除することで電力供給部40が電力を供給可能な時間を導出する。
また、本実施の形態の電力制御装置3において、電力系統30及び電力供給部40に並列に接続された複数のコンセント装置20に対して共通に1つの消費電力監視部70が設けられてもよい。この場合、消費電力監視部70は複数のコンセント装置20について供給されている電力の総和を測定し、停電時に電力供給部40の電力が複数のコンセント21の消費電力を賄えるかを判定する。
(実施の形態3の変形例1)
次に、本発明の実施の形態3の変形例1に係る電力制御装置3の構成について、図9を用いて説明する。図9は、本変形例に係る電力制御装置3の概略構成を示す図である。図10A及び図10Bは、本実施の形態に係る電力制御装置3の電流測定装置80及び消費電力表示部29の概略構成を示す図である。
実施の形態3の電力制御装置3において、放電可能量判定部71及び電力演算部72を設けて停電時に電力供給部40がコンセント21の消費電力を賄えるかを判定するとした。しかし、判定まで行うことなく、単にコンセント21に供給されている電力を表示することでも、ユーザーが表示されている電力に基づいて停電時に電力供給部40がコンセント21の消費電力を賄えるかの判定を行うことで、実施の形態3の電力制御装置3と同様の効果を得ることができる。従って、本変形例の電力制御装置3は、図9に示されるように、実施の形態3の電力制御装置3に対し、放電可能量判定部71及び電力演算部72を取り除き、コンセント21に供給されている電力を表示する消費電力表示部29を設けたものである。以下、実施の形態3の電力制御装置3と異なる点を中心に詳述する。
消費電力表示部29は、コンセント装置20の一部として、その表示面が外部に露出するようにコンセントボックス27に配設されている。消費電力表示部29は、電流測定装置80による第二の電線52を流れる電流の測定結果を受け、それを基に導出された、第二の電線52を介して供給されている電力つまりコンセント21の電力を値として表示する。このときの電力の導出は、例えば電力演算部72と同様の導出方法により行うことができる。
次に、電流測定装置80及び消費電力表示部29の構成の詳細について説明する。
電流測定装置80及び消費電力表示部29は、図10Aの構成の場合、第二の電線52の電流量に応じて磁束が変化するように配置されたコイル83と、コイル83の両端に並列接続された3組のダイオード及び抵抗体とから構成される。
電流測定装置80及び消費電力表示部29の3組のダイオード及び抵抗体は、それぞれ直列接続された抵抗R1の抵抗体81a及び発光ダイオード82aの組と、直列接続された抵抗R2の抵抗体81b及び発光ダイオード82bの組と、直列接続された抵抗R3の抵抗体81c及び発光ダイオード82cの組とから構成されている。このとき、抵抗R1、抵抗R2及び抵抗R3は異なる値に設定されており、具体的にそれらの関係はR1<R2<R3を満たすように設定されている。これに対して、発光ダイオード82a、82b及び82cは同じ特性、例えば同じ閾値電流を持つように設定されている。
図10Aの構成の場合、第二の電線52の電流量に比例してコイル83の両端間に発生する電圧が変化する。そして、コイル83の両端間の電圧と抵抗体81a、81b及び81cとの関係により、発光ダイオード82a、82b及び82cのいずれが発光するかが決まる。コイル83の両端間の電圧が大きいと、発光する発光ダイオード82a、82b及び82cの数が増えるため、発光する発光ダイオード82a、82b及び82cの数により第二の電線52の電流量つまりコンセント21の消費電力を確認することができる。
また、抵抗体81aは最も抵抗が低く、これと組み合わされた発光ダイオード82aには複数の発光ダイオード82a、82b及び82cの中で最も大きな電流が印加される。これに対し、抵抗体81cは最も抵抗が高く、これと組み合わされた発光ダイオード82cには複数の発光ダイオード82a、82b及び82cの中で最も小さな電流が印加される。従って、第二の電線52の電流量が小さい場合には発光ダイオード82aが発光して発光ダイオード82cが発光せず、第二の電線52の電流量が大きい場合には発光ダイオード82a及び82cの両方が発光する。よって、複数の発光ダイオード82a、82b及び82cのいずれが発光しているかによっても第二の電線52の電流量を確認することができる。
一方、電流測定装置80及び消費電力表示部29は、図10Bの構成の場合、第二の電線52の電流量に応じた電圧等のパラメータを出力する電流センサ86と、電流センサ86の出力から第二の電線52の電流量を導出する電流計測回路87と、電流計測回路87により導出された第二の電線52の電流量を変換して電力値で表示する数値表示部84と、第二の電線52及び接地線54と接続されて電力系統30の電力から電流計測回路87及び数値表示部84の電源を生成するAC/DCコンバータ85とを有する。電流測定装置80は、例えばCT(Current Transformer)変換器等から構成される。
図10Aの構成の場合、図10Bの構成と比較して構成が複雑化するが、コンセント21が消費している電力を数字で表示し、正確に求めることができる。
上記構成を有する電力制御装置3では、スイッチ22を切り替えることにより、バックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。なお、各モードでの電力の供給経路は、実施の形態3の電力制御装置3と同様である。
以上のように、本変形例の電力制御装置3によれば、実施の形態3の電力制御装置3と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本変形例の電力制御装置3によれば、コンセント21が消費する電力を表示する消費電力表示部29を備える。これにより、ユーザーは停電時に電力供給部40がコンセント21の消費電力を全て賄えるかどうかを視覚的に知ることができる。
また、本変形例の電力制御装置3によれば、実施の形態3のように放電可能量判定部71及び電力演算部72を設けず、単に消費電力表示部29を設ける構成であるので、装置の構成を簡素にすることができる。
なお、本変形例の電力制御装置3は、消費電力を所定の消費電力の範囲に対応する複数の消費電力区分に分類し、コンセント21が消費する電力が消費電力区分のいずれに対応しているかをユーザーに通知する第二の消費電力表示部を備えてもよい。この第二の消費電力表示部は、消費電力表示部29と共に設けることもできるし、消費電力表示部29とは別に設けることもできる。これにより、コンセント21の消費電力を数値計算することなく、より容易に視覚的に知ることができる。
なお、本変形例の電力制御装置3では、消費電力表示部29がコンセント装置20の一部として設けられるとしたが、電流測定装置80と通信可能な通信端末に設けられてもよい。
また、本変形例の電力制御装置3において、電流測定装置80及び消費電力表示部29はコンセント装置20の一部として設けられるとしたが、コンセント装置20とは別に設けられてもよい。この場合、電力系統30及び電力供給部40に並列に接続された複数のコンセント装置20に対して共通に電流測定装置80及び消費電力表示部29を設けることができ、複数のコンセント21で消費されている電力の総和を知ることができる。
また、本変形例の電力制御装置3において、放電可能量判定部71及び電力演算部72を取り除き、消費電力表示部29を設けるとしたが、放電可能量判定部71及び電力演算部72を取り除くことなく残した状態で消費電力表示部29をさらに追加してもよい。この場合、電力系統30及び電力供給部40に並列に接続された複数のコンセント装置20の消費電力表示部29の表示結果と、放電可能量判定部71による判定結果とに基づいて、ユーザーは各コンセント装置20についてモードの切り替えを行うことができる。従って、ユーザーは、適切なコンセント装置20について非バックアップモードを選択し、停電時に電力供給部40が複数のコンセント21の消費電力を賄えるように設定することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4に係る電力制御装置4の構成について、図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態に係る電力制御装置4の概略構成を示す図である。
電力制御装置4は、図11に示されるように、電力系統30及び電力供給部40に並列に接続された複数のコンセント装置20及び23と、第二の電線52を流れる電流を測定する電流測定装置80とを備える点で実施の形態1の電力制御装置1と異なっている。以下、実施の形態1の電力制御装置1と異なる点を中心に詳述する。
電力制御装置4は、電力系統30及び電力供給部40から負荷機器10及び11への電力供給を制御する装置であり、コンセント装置20及び23と、第一の電線51と、第二の電線52と、接地線54と、停電検出器60と、スイッチ61と、電流測定装置80とを備えている。
コンセント装置23は、コンセント装置20と同様に、コンセント24及びスイッチ25と、これらが内部に配設される筐体としてのコンセントボックス(図外)とから構成されている。コンセント装置23は、コンセント24の差し込み口(図外)と、スイッチ25の可動部(図外)とが負荷機器11が配設される空間で露出するように、例えば壁面の凹部に嵌め込まれる。
コンセント24は、本発明の第二のコンセントの一例であり、負荷機器11からのプラグが差し込まれる差し込み口を有し、差し込み口に差し込まれたプラグと接続された負荷機器11に電力を供給する。
スイッチ25は、本発明の第二のスイッチの一例である。スイッチ25は、端子aを選択して第一の電線51とコンセント24とを電気的に接続する状態と、端子bを選択して第二の電線52とコンセント24とを電気的に接続する状態との2つの状態を切り替える3端子の切り替え部である。この2つの状態の切り替えは、スイッチ25の可動部の位置を変化させることにより行われる。
電力系統30は、通常時において自身と並列に接続された全てのコンセントつまりコンセント21及び24に交流電力を供給する。そして、電力供給部40も同様に、停電時において自身と並列に接続された全てのコンセントに交流電力を供給する。
第一の電線51は、電力系統30の電力のみをコンセント21及び24に供給するための非接地線であり、一端が電力系統30の非接地側に接続され、他端がスイッチ22及び24の端子aと接続されている。
第二の電線52は、電力系統30及び電力供給部40の電力を選択的にコンセント21及び24に供給するための非接地線であり、一端が電力系統30の非接地側に接続され、他端がスイッチ22及び25の端子bと接続されている。
接地線54は、一端が電力系統30の接地側に接続され、他端がコンセント21及び24に接続されている。
電流測定装置80は、第二の電線52における共通電線53とスイッチ22及び25(第二の電線52の各コンセント装置への分岐点)との間に設けられ、第二の電線52を流れる電流を測定する。なお、電力制御装置4には、実施の形態3の電力制御装置3と同様の手法により、電流測定装置80による電流の測定結果からコンセント21及び24の消費電力を算出してユーザーに通知する構成等が備えられてもよい。
上記構成を有する電力制御装置4では、スイッチ22を切り替えることにより、コンセント21についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。そして、これとは別にスイッチ25を切り替えることにより、コンセント24についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
コンセント21及び24のモードの切り替えは独立して行われるため、一方のコンセント24のみをバックアップモードに設定することもできる。これは、スイッチ22で端子aが選択され、スイッチ25で端子bが選択されているときに実現される。この場合、通常時で、コンセント21に第一の電線51を介して電力系統30の電力が供給され、コンセント24に第二の電線52を介して電力系統30の電力が供給される。そして、停電時で、コンセント21に電力が供給されず、コンセント24に第二の電線52を介して電力供給部40の電力が供給される。従って、負荷機器11はバックアップされるが、負荷機器10はバックアップされない。
以上のように、本実施の形態の電力制御装置4によれば、実施の形態1の電力制御装置1と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本実施の形態の電力制御装置4は、スイッチ25及びコンセント24を備える。そして、コンセント24は、第一の電線51と第二の電線52とから電力の供給を受け、スイッチ25は、第一の電線51及び第二の電線52とコンセント24との間に挿入され、コンセント24を第一の電線51及び第二の電線52のいずれに接続するかを選択する。これにより、電力供給部40から供給される電力を減らすため、ユーザーはスイッチ22及び25を切り替えることで、コンセント21及び24のいずれかのみについて事前に非バックアップモードに設定することができる。従って、電力供給部40の過負荷を抑えることができる。
また、本実施の形態の電力制御装置4によれば、2つのコンセント21及び24に対して共通に電流測定装置80が設けられる。これにより、2つのコンセント21及び24に流れる電流の総和を測定して、2つのコンセント21及び24での消費電力の総和を容易に測定することができる。
なお、本実施の形態の電力制御装置4において、2つのコンセント21及び24に対して共通に電流測定装置80が設けられとしたが、別々に2つの電流測定装置80を設けてもよい。これにより、2つのコンセント21及び24での消費電力を別々に測定することができる。そして、2つのコンセント21及び24に個別の消費電力表示部を設けることにより、各コンセントの消費電力を個別に表示することができる。
また、本実施の形態の電力制御装置4において、1つの電力系統30(電力供給部40)に対して並列に接続されたコンセントのそれぞれがバックアップモード及び非バックアップモードの切り替えが可能であるとした。しかし、電力制御装置4は、さらに、バックアップモード及び非バックアップモードの切り替えが可能なコンセントと共に、1つの電力系統30に対して並列に接続され、バックアップモード及び非バックアップモードのいずれかしか設定できないコンセントを備えてもよい。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5に係る電力制御装置5の構成について、図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る電力制御装置5の概略構成を示す図である。
電力制御装置5は、図12に示されるように、別々の電力系統30及び33から電力が供給される複数のコンセント装置20及び23を備える点で実施の形態1の電力制御装置1と異なっている。以下、実施の形態1の電力制御装置1と異なる点を中心に詳述する。
電力制御装置5は、電力系統30及び33並びに電力供給部40及び41から負荷機器10及び11への電力供給を制御する装置であり、コンセント装置20及び23と、第一の電線51と、第二の電線52と、第三の電線56と、第四の電線57と、接地線54及び59と、停電検出器60及び63と、スイッチ61及び62とを備えている。
コンセント装置23は、コンセント装置20と同様に、コンセント24及びスイッチ25と、これらが内部に配設される筐体としてのコンセントボックス(図外)とから構成されている。コンセント装置23は、コンセント24の差し込み口(図外)と、スイッチ25の可動部(図外)とが負荷機器11が配設される空間で露出するように、例えば壁面の凹部に嵌め込まれる。
コンセント24は、本発明の第二のコンセントの一例であり、負荷機器11からのプラグが差し込まれる差し込み口を有し、差し込み口に差し込まれたプラグと接続された負荷機器11に電力を供給する。
スイッチ25は、本発明の第二のスイッチの一例である。スイッチ25は、端子aを選択して第三の電線56とコンセント24とを電気的に接続する状態と、端子bを選択して第四の電線57とコンセント24とを電気的に接続する状態との2つの状態を切り替える3端子の切り替え部である。この2つの状態の切り替えは、スイッチ25の可動部の位置を変化させることにより行われる。
電力系統33は、本発明の第二の電力系統の一例であり、通常時においてコンセント24に交流電力を供給する電力供給源である。電力系統33は、電力会社が所有する電力系統である。電力系統30及び33は、例えば、一線が接地された単相2線式の商用電力系統、中性点が接地された単相3線式の商用電力系統、一つの相が接地された三相3線式の商用電力系統、又は中性点が接地された三相4線式の商用電力系統である。具体的に、電力系統30及び33が単相3線式の商用電力系統である場合、電力系統30は中性線とそれ以外の2つの電圧線の一方との間の電力系統とされ、電力系統33は2つの電圧線の他方と中性線との間の電力系統とされる。
第三の電線56は、電力系統33の電力のみをコンセント24に供給するための非接地線であり、一端が電力系統33の非接地側に接続され、他端がスイッチ25の端子aと接続されている。
第四の電線57は、電力系統33及び電力供給部41の電力を選択的にコンセント24に供給するための非接地線であり、一端が電力系統33の非接地側に接続され、他端がスイッチ25の端子bと接続されている。
これら第三の電線56及び第四の電線57は、1つの共通電線58となって電力系統33の非接地側に接続されている。
接地線59は、一端が電力系統33の接地側に接続され、他端がコンセント24に接続され、第三の電線56及び第四の電線57に対して共通に設けられた接地線である。なお、2つのコンセント21及び24に対応して接地線54及び59の2つの接地線が設けられているが、2つのコンセント21及び24に対して1つの接地線が共用されてもよい。
電力供給部41は、本発明の第二の電力供給部の一例であり、商用電源とは独立した分散型電源である。電力供給部41は、停電時において第四の電線57を介してコンセント24に交流電力を供給する非常用の電力供給源であり、第四の電線57及び接地線59と接続されている。電力供給部41には、充放電の制御部が備えられており、例えば通常時は蓄電され、停電時に放電されるように制御されている。なお、電力供給部41は、電力系統33に系統連系されていてもよい。
電力供給部41は、太陽電池、蓄電池又は燃料電池等から構成されている。電力供給部41は、さらに、電池で発生する直流電力を交流電力に変換する変換器等を含んで構成されている。なお、電力供給部40及び41は、3線出力の電池とすることもできる。
停電検出器63は、本発明の検出器の一例である。停電検出器63は、電力系統33からの電力供給が停止する停電を検出する検出器であり、共通電線58及び接地線59と接続されている。停電検出器63は、共通電線58の電圧を監視することにより停電を検出し、例えば共通電線58の電圧が所定値より小さいときに停電が発生していると判断する。停電検出器63は、自身による停電の検出結果に基づいてスイッチ62の切り替えを制御する。
スイッチ62は、本発明の第二の接続部の一例である。スイッチ62は、第四の電線57における電力供給部41との接続点と共通電線58との間の部分に設けられ、停電検出器63による制御のもとで、第三の電線56と電力供給部41とが非導通状態となるように、導通状態及び非導通状態が切り替えられる2端子の接続部である。具体的に、停電検出器63により停電が検出されると、スイッチ62は非導通状態とされ、そうでないときは導通状態とされている。
上記構成を有する電力制御装置5では、スイッチ22を切り替えることにより、コンセント21についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。そして、これとは別にスイッチ25を切り替えることにより、コンセント24についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
コンセント21及び24のモードの切り替えは独立して行われるため、一方のコンセント24のみをバックアップモードに設定することもできる。これは、スイッチ22で端子aが選択され、スイッチ25で端子bが選択されているときに実現される。この場合、通常時で、コンセント21に第一の電線51を介して電力系統30の電力が供給され、コンセント24に第四の電線57を介して電力系統33の電力が供給される。そして、停電時で、コンセント21に電力が供給されず、コンセント24に第四の電線57を介して電力供給部41の電力が供給される。従って、負荷機器11はバックアップされるが、負荷機器10はバックアップされない。
以上のように、本実施の形態の電力制御装置5によれば、実施の形態1の電力制御装置1と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本実施の形態の電力制御装置5は、スイッチ25及びコンセント24を備える。そして、コンセント24は、電力系統33と接続され、電力系統33の電力を供給するための第三の電線56と、電力供給部41及び電力系統33と接続され、電力供給部41の電力及び電力系統33の電力を選択的に供給するための第四の電線57とから電力の供給を受ける。また、スイッチ25は、第三の電線56及び第四の電線57とコンセント24との間に挿入され、コンセント24を第三の電線56及び第四の電線57のいずれに接続するかを選択する。これにより、電力供給部40から供給される電力を減らすため、ユーザーはスイッチ22及び25を切り替えることで、コンセント21及び24のいずれかのみについて事前に非バックアップモードに設定することができる。従って、電力供給部40の過負荷を抑えることができる。また、停電時において、コンセント21及び24に対して独立した2つの電力供給部40及び41から別々に電力供給を行うことができる。
なお、本実施の形態の電力制御装置5において、停電検出器60及び63の2つの検出器を設けるとした。しかし、電力系統30及び33が単相3線式の商用電力系統で構成される場合には、電力系統30及び33は同時に停電するため、この場合には停電検出器60及び63のいずれかのみが設けられ、2つのスイッチ61及び62を制御してもよい。
(実施の形態5の変形例1)
次に、本発明の実施の形態5の変形例1に係る電力制御装置5の構成について、図13を用いて説明する。図13は、本変形例に係る電力制御装置5の概略構成を示す図である。
実施の形態5の電力制御装置5において、2つの電力供給部40及び41の消費電力のバランスをとることで、コンセント21及び24の消費電力のバランスを意識することなく、等しい消費電力で電力供給部40及び41の電力を使用することができる。そのため、本変形例の電力制御装置5は、図13に示されるように、実施の形態5の電力制御装置5に対し、電力供給部40及び41の消費電力のバランスをとるバランサ96を設けたものである。以下、実施の形態5の電力制御装置5と異なる点を中心に詳述する。
バランサ96は、電力供給部40及び41の消費電力をバランス(等しい値に調整)させて略同じにするものであり、コイル92及び94とスイッチ91及び93から構成されている。このとき、コイル92及び94は、相互に誘導結合され、その巻き数は同じである。
コイル92及びスイッチ91は、直列接続されている。そして、この接続体の一端は接地線54と接続され、他端は第二の電線52と接続されている。従って、接地線54及び第二の電線52がコイル92及びスイッチ91を介して接続されている。
コイル94及びスイッチ93は、直列接続されている。そして、この接続体の一端は接地線59と接続され、他端は第四の電線57と接続されている。従って、接地線59及び第四の電線57がコイル94及びスイッチ93を介して接続されている。さらには、コイル92及びスイッチ91とコイル94及びスイッチ93とが接地線54及び59を介して接続されている。
スイッチ91は、停電検出器60による制御のもとで、接地線54と第二の電線52とが導通状態となるように、導通状態及び非導通状態が切り替えられる2端子の接続部である。具体的に、停電検出器60により停電が検出されると、スイッチ91は導通状態とされ、そうでないときは非導通状態とされている。
スイッチ93は、停電検出器63による制御のもとで、接地線59と第四の電線57とが導通状態となるように、導通状態及び非導通状態が切り替えられる2端子の接続部である。具体的に、停電検出器63により停電が検出されると、スイッチ93は導通状態とされ、そうでないときは非導通状態とされている。
上記構成を有する電力制御装置5では、スイッチ22を切り替えることにより、コンセント21についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。そして、これとは別にスイッチ25を切り替えることにより、コンセント24についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
スイッチ22で端子bを選択し、スイッチ25で端子bを選択することでコンセント21及び24の両方をバックアップモードに設定することができる。この場合、通常時で、コンセント21に第二の電線52を介して電力系統30の電力が供給され、コンセント24に第四の電線57を介して電力系統33の電力が供給される。そして、停電時で、コンセント21に第二の電線52を介して電力供給部40の電力が供給され、コンセント24に第四の電線57を介して電力供給部41の電力が供給される。従って、負荷機器10及び11は共にバックアップされる。このとき、スイッチ91及び93は共に導通状態となるため、コイル94及び94により電力供給部40及び41で消費電力のバランスがとられる。
以上のように、本変形例の電力制御装置5によれば、実施の形態5の電力制御装置5と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本変形例の電力制御装置5によれば、電力供給部40の消費電力と電力供給部41の消費電力とをバランスさせるバランサ96を備える。これにより、ユーザーは負荷機器10及び11のバランスを意識することなく、電力供給部40及び41の電力を使用することができる。
(実施の形態5の変形例2)
次に、本発明の実施の形態5の変形例2に係る電力制御装置5の構成について、図14を用いて説明する。図14は、本変形例に係る電力制御装置5の概略構成を示す図である。
実施の形態5の電力制御装置5において、2つのコンセント21及び24に対して個別の電力供給部を設けるとした。しかし、2つのコンセント21及び24に対して共通の1つの電力供給部を設け、さらに第二の電線52及び第四の電線57を短絡させても実施の形態5の電力制御装置5と同様の効果を得ることができる。従って、本変形例の電力制御装置5は、図14に示されるように、実施の形態5の電力制御装置5に対し、電力供給部41を取り除き、第二の電線52及び第四の電線57を短絡させるスイッチ95を設けたものである。以下、実施の形態5の電力制御装置5と異なる点を中心に詳述する。
スイッチ95は、本発明の第二の接続部の一例であり、停電検出器60及び63の少なくともいずれかによる制御のもとで、第二の電線52と第四の電線57とが導通状態となるように、導通状態及び非導通状態が切り替えられる2端子の接続部である。具体的に、停電検出器60及び63の少なくともいずれかにより停電が検出されると、スイッチ95は導通状態とされ、そうでないときは非導通状態とされている。
上記構成を有する電力制御装置5では、スイッチ22を切り替えることにより、コンセント21についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。そして、これとは別にスイッチ25を切り替えることにより、コンセント24についてバックアップモードと非バックアップモードとの2つのモードを切り替えることができる。
スイッチ25で端子bを選択することでコンセント24をバックアップモードに設定することができる。この場合、通常時で、コンセント24に第四の電線57を介して電力系統33の電力が供給される。そして、停電時で、スイッチ95が導通状態となるので、コンセント24に第二の電線52及び第四の電線57を介して電力供給部40の電力が供給される。従って、負荷機器11はバックアップされる。
以上のように、本変形例の電力制御装置5によれば、実施の形態5の電力制御装置5と同様の理由により、電力系統から分散型電源への切り替えを速やかに行うことができ、かつ、コンセントの数を増やさずに分散型電源の過負荷を抑えることができる。
また、本変形例の電力制御装置5は、スイッチ25及びコンセント24を備える。そして、コンセント24は、電力系統33と接続され、電力系統33の電力を供給するための第三の電線56と、電力供給部40及び電力系統33と接続され、電力供給部40の電力及び電力系統33の電力を選択的に供給するための第四の電線57とから電力の供給を受ける。さらに、スイッチ25は、第三の電線56及び第四の電線57とコンセント24との間に挿入され、コンセント24を第三の電線56及び第四の電線57のいずれに接続するかを選択する。さらにまた、電力制御装置5は、第二の電線52と第四の電線57とを接続するか否かを決定するスイッチ95を備える。これにより、コンセント21及び24が共通の電力供給部40から電力供給を受ける構成とし、簡素な構成の装置を実現することができる。
以上、本発明の電力制御装置及び電力制御方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、複数の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、本発明は、上記実施の形態の電力制御装置と、電力系統及び電力供給部の少なくも1つとを含めて電力供給システムとして構成されることもできる。
また、上記実施の形態において、同じ電力系統の非接地側と接続された2つの電線を設け、これら2つの電線のいずれかを選択的にコンセントに接続するスイッチを設けることで、バックアップモード及び非バックアップモードを切り替え可能なコンセントを実現するとした。しかし、図15に示されるように、同じ電力系統30の接地側と接続された2つの接地線を設け、スイッチ22により、これら2つの接地線のいずれかを選択的にコンセント21に接続することでも同様のコンセントが実現できることは言うまでもない。なお、図15の(a)〜(c)では電力制御装置6のスイッチ22及び61の切り替え状態のみが異なっている。そして、図15の(a)は非バックアップモードが選択されているときの通常時の状態を、図15の(b)はバックアップモードが選択されているときの通常時の状態を、図15の(c)はバックアップモードが選択されているときの停電時の状態を示している。