JP2013243215A - 焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、希少金属の使用量を低減した焼結磁石の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】Fe、Mnおよび非希少金属Mの酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩を原料として用い、スピノーダル分解を利用して微細な角柱状の磁性相と角柱状の非磁性相とが交互に配列された構造を有する焼結磁石を得ることにより、上記の課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、焼結磁石の製造方法およびこの製造方法によって得られる焼結磁石に関する。
フェライト磁石に代表される焼結磁石は、酸化鉄などの金属化合物を原料として用い、これらを粉砕および混合した後に成型して焼成し、得られた焼成物を強力な磁場の印加により着磁させることで得られる。また、Fe‐Cr‐Co系合金やCu‐Ni‐Fe系合金などを原料とする合金磁石は、原料の合金に磁場を印加しながら熱処理することによりスピノーダル分解させて磁気特性を高めた後、さらに着磁する工程を経て得られる。このように、磁石の製造には着磁工程が必須であるが、この工程に用いられる着磁用装置は強力な磁場を発生させるために大量の電力を必要とし、装置自体も高価である。
これまでに、本発明者らは、外部から磁場を印加する方法とは異なった磁性化手段としてスピノーダル分解に着目して、着磁工程を必要としない新規な焼結磁石の製造方法を開発している(特許文献1参照)。この製造方法では、Fe、CoおよびMnの酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩を原料に用いて、良好な磁気特性を有する焼結磁石が得られる。
特開2010−278054号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、焼結磁石の原料として、希少金属であるコバルトを含む化合物が用いられている。ここで、希少金属とは、地殻中の埋蔵量が少ないことや精錬のコストが高いことなどの理由により、産出量の少ない非鉄金属として知られている。近年、産業界においては、生産コストの削減および製品の安定供給の観点から、そのような希少金属の使用を避けることが求められている。
そこで、本発明者らは、希少金属の使用量を低減した焼結磁石の製造方法を提供することを目的とした。
本発明者らは、鋭意研究の結果、Fe、Mnおよび所定の非希少金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩を原料とする焼成物をスピノーダル分解することにより、良好な磁気特性を有する焼結磁石が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
Fe、Mnおよび非希少金属M(但し、MgおよびZnを除く)から選択される1種または2種以上の元素を含む酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩を混合して、Fe、MnおよびMを含む原料混合物を得る工程と、
上記の工程で得られた原料混合物を仮焼きする工程と、
上記の工程で得られた仮焼き物を粉砕して成型する工程と、
上記の工程で得られた成型物を焼成する工程と、
上記の工程で得られた焼成物をスピノーダル分解に付す工程と
を含む、焼結磁石の製造方法を提供する。
本発明はまた、上記の製造方法により得られ、角柱状の磁性相と角柱状の非磁性相とが交互に配列された構造を有することを特徴とする焼結磁石を提供する。
本発明の製造方法によれば、希少金属であるコバルトに替えて、所定の非希少金属を含む原料物質を用いて、良好な磁気特性を有する焼結磁石の製造を可能にする。
本発明の焼結磁石の構造を示す模式図である。 本発明の焼結磁石の微細構造(x−y面)を示す電子顕微鏡写真、および電子回折図である。 本発明の焼結磁石の磁気特性を示す磁気ヒステリシス曲線である。 本発明の焼結磁石における、温度に対する磁化の大きさをプロットしたグラフである。 比較例の焼結物の微細構造(x−y面)を示す電子顕微鏡写真、および電子回折図である。
本発明の焼結磁石の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう)で得られる焼結磁石の構造を、図1において模式的に示す。本発明の製造方法によれば、原料混合物の焼成物をスピノーダル分解させることにより、図1のAに示すような角柱状の磁性相と角柱状の非磁性相とが交互に配列された構造(以下、「角柱状CB構造」ともいう)を有する焼結磁石が得られる。ここで、「スピノーダル分解」とは、二成分系または多成分系の固溶体において、核形成および結晶成長の過程を経ないで起こる相分離の現象を意味する。
上記の構造を有する本発明の焼結磁石のx−y面は、図1のBに示すように、磁性相と非磁性相とがチェッカーボード(CB)のように配置された構造(以下、「CB構造」ともいう)として観察される。
本発明の焼結磁石は、以下に説明する本発明の製造方法により得ることができる。なお、本発明の製造方法によれば、角柱状CB構造を部分的に有さない焼結磁石も得られるが、このような場合も本発明の範囲に含まれる。
上述のとおり、本発明では、希少金属のコバルトに替えて非希少金属を用いるが、本発明者らは、非希少金属のうちマグネシウム(Mg)および亜鉛(Zn)は、本発明の製造方法には好ましくないことをこれまでに見出している。
本明細書においては、上記の点と金属の取引価格の観点とから、「非希少金属」とは、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ストロンチウム(Sr)および鉛(Pb)をいう。本発明の好ましい実施形態では、非希少金属は銅またはクロムである。
以下、「非希少金属M(但し、MgおよびZnを除く)」を単に「M」と称する。
本発明の製造方法では、第1工程として、Fe、MnおよびMから選択される1種または2種以上の元素を含む酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩を混合して、Fe、MnおよびMを含む原料混合物を得る。
本発明の実施形態において、原料物質の組み合わせは、得られる原料混合物がFe、MnおよびMの3種の元素を含む限り、特に限定されない。原料物質としては、例えば、Fe、MnおよびMの元素をそれぞれ1種ずつ含むか、あるいは、Fe、MnおよびMから選択される2種以上の元素を含む酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩が挙げられる。なお、これらの原料物質は、無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
FeおよびMnをそれぞれ1種ずつ含む酸化物としては、例えばFeO、Fe23、Fe34、MnO、MnO2などが挙げられ、水酸化物としては、例えばFe(OH)2、Fe(OH)3、Mn(OH)2などが挙げられ、炭酸塩としては、例えばFeCO3、MnCO3などが挙げられ、硝酸塩としては、例えばFe(NO32、Fe(NO33、Mn(NO32などが挙げられる。また、Mを含む酸化物、水酸化物、炭酸塩および硝酸塩は、選択した非希少金属について公知の化合物から適宜選択すればよい。例えば、MがCuである場合、CuO、Cu2O、Cu(OH)2、CuCO3、Cu(NO32などが挙げられる。
また、Fe、MnおよびMから選択される2種以上の元素を含む原料物質としては、MがCuである場合、例えばCuFe24、CuMn24などが挙げられる。
原料物質の混合割合は、原料混合物を焼成した際に予測される化学反応に基づいて、後述する焼成工程で得られる焼成物が組成式M0.6FexMn2.4-x4(0.84≦x≦1.1)で表わされる組成(モル比)となるように、各原料物質の分量を計算することによって決定できる。例えば、原料物質として、Fe23、CuOおよびMnO2を用いる場合では、それぞれx/2:0.6:(2.4−x)の化学量論比(モル比;ただし、0.84≦x≦1.1)となる分量を計算する。
本発明の実施形態において、原料物質の形状は特に限定されないが、混合のしやすさから粉末であることが好ましい。また、原料粉末の粒径は特に限定されないが、一般に0.1〜5.0μmが好ましい。なお、該粉末が水分を含んでいる場合は、秤量前に加熱して水分を除去することが望ましい。
本発明の製造方法では、第2工程として、上記の工程で得られた原料混合物を仮焼きする。本発明の実施形態においては、原料混合物を仮焼きした後、空気焼入れすることにより仮焼き物を得ることができる。仮焼きは、通常、空気中のような酸素含有雰囲気中で行われる。
本発明の実施形態において、仮焼き温度は、一般に850〜1150℃であり、好ましくは900〜1100℃、より好ましくは950〜1050℃である。また、仮焼き温度の保持時間は、一般に0.5〜25時間であり、好ましくは1〜20時間、より好ましくは5〜15時間である。なお、得られた仮焼き物の空気焼入れの際の冷却は、例えば、放冷、衝風冷却などにより行われる。
上記の仮焼きは1回だけ行ってもよいし、複数回行ってもよい。仮焼きを複数回行なう場合、仮焼き温度および保持時間は、毎回同じでもよいし、異なっていてもよい。さらに、先の仮焼きで得られた仮焼き物を一旦粉砕して混合し、この粉砕混合物を一軸プレス機などによりペレット成型してから、後の仮焼きを行ってもよい。このような操作を繰り返し行えば、焼結密度を高めることができる。なお、ペレット成型する場合の成型時の圧力および加圧時間は特に限定されないが、20kg/mm2の圧力で60秒間加圧するのが好ましい。
本発明の製造方法では、第3工程として、上記の工程で得られた仮焼き物を粉砕し、所望の形状に成型する。
本発明の実施形態において、仮焼き物の粉砕は、一般に粗粉砕、および、それに続く微粉砕と段階的に行われる。粗粉砕工程では、仮焼き物が振動ミルなどによって粉砕される。得られる粗粉砕物の平均粒径は特に限定されないが、好ましくは2.0〜5.0μmである。次いで、微粉砕工程では、上記の粗粉砕物がボールミルやジェットミルなどにより、さらに微細に粉砕される。得られる微粉砕物の平均粒径は特に限定されないが、好ましくは0.1〜2.0μmである。
本発明の実施形態において、微粉砕物の成型は、乾式成型または湿式成型により行われる。乾式成型では、一軸加圧法や冷間静水圧法などの公知の方法により、微粉砕物を所望の形状に成型することができる。また、湿式成型では、水またはトルエンやキシレンなどの有機溶媒を分散媒として微粉砕物を湿式成型用のスラリとし、これを押出し法や加圧鋳込み法などの公知の方法により所望の形状に成型することができる。上記の湿式成型用のスラリには、任意に、グルコン酸、ソルビトール、オレイン酸などの界面活性剤を分散剤として添加してもよい。なお、加圧成型時の圧力は特に限定されないが、一般に0.1〜2.0t/cm2の圧力、好ましくは0.2〜1.0t/cm2の圧力が適用される。
本発明の製造方法では、第4工程として、上記で得られた成型物を焼成する。本発明の実施形態においては、成型物を焼成した後、水焼入れすることにより焼成物が得られる。得られた焼成物は、通常、組成式M0.6FexMn2.4-x4(0.84≦x≦1.1)で表わされる組成(モル比)を有する。
本発明の実施形態において、焼成は、通常、空気中のような酸素含有雰囲気中で行われる。焼成時の温度は、一般に1050〜1400℃であり、好ましくは1100〜1300℃、より好ましくは1100〜1200℃である。また、焼成温度の保持時間は、一般に10〜40時間であり、好ましくは15〜35時間、より好ましくは20〜30時間である。
湿式成型により得られる成型物を焼成する場合は、焼成時の割れを防ぐために、該成型物を焼成前に十分に乾燥させて、水分や成型時に添加された界面活性剤などを除去しておくのが好ましい。この乾燥は、通常、室温から100〜500℃まで2〜10℃/時間の昇温速度で加熱することにより行われる。
本発明の実施形態においては、上記の焼成により得られた焼成物を水中に入れて焼入れする。焼入れに用いる水の温度は0℃(氷水)〜10℃が好ましい。特に、氷水を用いて水焼入れすることが好ましい。
本発明の製造方法では、第5工程として、上記で得られた焼成物をスピノーダル分解に付す。本発明の実施形態において、スピノーダル分解は、焼成物をスピノーダル分解温度まで加熱し、該温度で保持することにより行われる。
スピノーダル分解時の温度は、通常300〜600℃の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは330〜500℃、より好ましくは350〜400℃である。また、その際の昇温速度は特に限定されないが、好ましくは1〜5℃/分、より好ましくは2〜4℃/分である。スピノーダル分解温度での保持時間は、通常10〜80時間であればよく、特に限定されないが、好ましくは15〜60時間、より好ましくは20〜40時間である。
このスピノーダル分解温度での加熱処理は、アニール処理とも呼ばれ、通常、空気中のような酸素含有雰囲気中で行われる。このアニール処理によって相分離現象が起こり、焼成物において角柱状CB構造が形成される。
上記の構造中の磁性相および非磁性相の組成(モル比)は、それぞれ組成式M0.6FexMn2.4-x4(1.2≦x≦1.6)および組成式M0.6FexMn2.4-x4(0.2≦x≦0.6)で表わすことができる。なお、この組成は、透過型電子顕微鏡を用いるEDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)分析により測定することができる。
本発明の実施形態においては、スピノーダル分解温度での保持時間が10時間より短いと、角柱状CB構造が十分に形成されていないため、所望の保磁力を有する焼結磁石が得られ難い。反対に、上記の保持時間が80時間よりも長いと、角柱状CB構造が崩壊して、焼結磁石の保磁力が著しく低下する恐れがあるので好ましくない。
本発明の実施形態においては、アニール処理後の焼結磁石を水中に入れて冷却することが好ましい。冷却水の温度は0℃(氷水)〜10℃が好ましい。
本発明の製造方法によって得られる焼結磁石は、良好な残留磁化および優れた保磁力を有する。本発明の焼結磁石においては、角柱状CB構造により磁壁のピンニングが起こり、その結果として保磁力が増加したと考えられる。なお、上記の残留磁化や保磁力などの磁気特性の測定は、SQUID(Superconducting Quantum Interference Device)磁束計を用いる公知の方法により行うことができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1: Fe、MnおよびCuを含む本発明の焼結磁石の製造
(1)原料物質の混合
原料物質として、Fe23、CuOおよびMnO2の各粉末を用いた。まず、化学量論比から算出した量のFe23(高純度化学社製)を600℃で加熱して水分を除去した。そして、このFe23の粉末に、それぞれ化学量論比から算出した量のCuO粉末(高純度化学社製)およびMnO2粉末(高純度化学社製)を添加して、1時間撹拌混合した。
(2)仮焼き
上記で得た原料粉末混合物を、ニュートンプレス(NPaシステム製)を用いて20kg/mm2の圧力で60秒間加圧してペレット化した。この原料ペレットをマフッル炉(ISUZU製)に入れて、室温から950℃の仮焼き温度まで加熱し、該温度で5時間保持した。得られた仮焼き物を空気中で放冷して焼入れした。次いで、この仮焼き物を粉砕し、1時間撹拌混合した後、上記と同様にペレット化して、室温から1000℃の仮焼き温度まで加熱し、該温度で10時間保持した。そして、得られた仮焼き物を空気中で放冷して焼入れした。さらに、この仮焼き物を上記と同様にして粉砕、混合後、ペレット化して室温から1050℃の仮焼き温度まで加熱し、該温度で10時間保持した。そして、得られた仮焼き物を空気中で放冷して焼入れした。
(3)成型
上記で得られた仮焼き物を粉砕および混合し、得られた粉砕物をニュートンプレスにより20kg/mm2の圧力で加圧して成型した。
(4)焼成
上記で得られた成型物をボートSSA−H(ニッカト製)に入れて、室温から1150℃の焼成温度まで加熱し、該温度で24時間保持した後、氷水中に入れて冷却した。得られた焼成物を、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子社製)を用いたEDS分析により測定したところ、組成式Cu0.6Fe0.9Mn1.54で表わされる組成(モル比)であった。
(5)アニール処理
上記で得られた焼成物をカンタル炉に入れて、昇温速度2.5℃/分で室温から375℃のスピノーダル分解温度まで加熱し、該温度を10、15、30または80時間保持した後、氷水中に入れて冷却し、焼結磁石を得た。
図2に、アニール処理前の焼成物および80時間アニール処理した焼結磁石の微細構造(x−y面)を示す電子顕微鏡写真と、電子回折図とを示す。図2Aより、アニール処理前の焼成物ではCB構造が形成されていないが、図2Cより、アニール処理した焼結磁石ではナノスケールのCB構造が形成されていることがわかる。また、図2Bより、アニール処理前の焼成物で観察された透過電子線のスポットは、アニール処理した焼結磁石では、図2Dに示されるように、分裂していた。これは、磁性相による透過スポットが分裂していることを示している。これは、アニール処理した焼結磁石では、磁性相と非磁性相とが共存していることを示す。
上記のアニール処理した焼結磁石の磁性相および非磁性相をEDS分析した。その結果、磁性相は組成式Cu0.6Fe1.6Mn0.84で表わされる、Feに富む組成であり、非磁性相は組成式Cu0.6Fe0.2Mn2.24で表わされる、Mnに富む組成であることがわかった。
SQUID磁束計(Quantum Design社製)を用いて測定した本発明の焼結磁石の磁気特性を表わす磁気ヒステリシス曲線を、図3に示す。測定は、アニール処理前の焼成物および種々の時間でアニール処理をした本発明の焼結磁石を試料として用い、室温(300K)で行った。図3より、本発明の焼結磁石は3〜7μB/f.u.の残留磁化を有することがわかる。また、アニール処理前の焼成物は保磁力をほとんど有していないが、アニール処理後の本発明の焼結磁石は0.5〜1.0Tの保磁力を有することがわかる。
アニール処理前の焼成物および種々の時間でアニール処理をした本発明の焼結磁石について、試料振動型磁力計(東陽テクニカ社製)を用いて種々の温度における磁化の測定を行った。結果を図4に示す。図4より、アニール処理を行うことにより、磁化の大きさは増大した。また、磁気転移温度は、アニール処理前の焼成物では420Kであったが、80時間アニール処理した焼結磁石では450Kまで上昇した。これは、本発明の焼結磁石においては、CB構造が形成されていることに起因すると考えられる。
比較例1: Ga、MnおよびZnを含む焼結磁石の製造
原料物質として、ZnO、Ga23およびMnO2の各粉末を用いたこと以外は、上記の実施例1と同様にして、組成式ZnMnGaO4で表わされる焼結物を得た。図5に、30時間アニール処理した焼結物の微細構造(x−y面)を示す電子顕微鏡写真と、電子回折図とを示す。図5より、得られた焼結物において、CB様の構造が形成されていることがわかる。
しかし、得られた焼結物の磁気特性を、SQUID磁束計(Quantum Design社製)を用いて測定したところ、該焼結物は磁性を示さなかった。

Claims (7)

  1. Fe、Mnおよび非希少金属M(但し、MgおよびZnを除く)から選択される1種または2種以上の元素を含む酸化物、水酸化物、炭酸塩または硝酸塩を混合して、Fe、MnおよびMを含む原料混合物を得る工程と、
    前記工程で得られた原料混合物を仮焼きする工程と、
    前記工程で得られた仮焼き物を粉砕して成型する工程と、
    前記工程で得られた成型物を焼成する工程と、
    前記工程で得られた焼成物をスピノーダル分解に付す工程と
    を含む、焼結磁石の製造方法。
  2. 非希少金属Mが、Na、K、Ca、Ti、Cr、Cu、SrおよびPbからなる群より選択される請求項1に記載の製造方法。
  3. 非希少金属Mが、CuまたはCrである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 焼成する工程で得られた焼成物が、組成式M0.6FexMn2.4-x4(0.84≦x≦1.1)で表わされる組成からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. スピノーダル分解が、300〜600℃の温度で10〜80時間加熱することにより行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られ、角柱状の磁性相と角柱状の非磁性相とが交互に配列された構造を有することを特徴とする焼結磁石。
  7. 角柱状の磁性相が、組成式M0.6FexMn2.4-x4(1.2≦x≦1.6)で表わされる組成からなり、
    角柱状の非磁性相が、組成式M0.6FexMn2.4-x4(0.2≦x≦0.6)で表わされる組成からなる請求項6に記載の焼結磁石。
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