JP2013242340A - 反射防止フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大掛かりな設備を必要とせず、簡易的な方法で、表面強度の高い反射防止フィルムを製造することのできる製造方法を提供すること。
【解決手段】透明基材上に、バインダーと高沸点溶剤とを含む2種以上の塗工液を同時重層塗工することで2層以上の層が積層されてなる塗工層を形成する塗工工程と、同時重層塗工が行われた塗工層を加熱する加熱工程とを備え、最上層用塗工液には低沸点溶剤が含まれ、隣接層用塗工液には低沸点溶剤が含まれていないか、或いは、最上層用塗工液に含まれる低沸点溶剤よりも少ない配合量で低沸点溶剤が含有されており、加熱工程では、塗工層を、低沸点溶剤の沸点以上の温度であって、高沸点溶剤の沸点未満の温度で加熱し、低沸点溶剤を突沸させることで、塗工層中にマイクロボイドが形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルムの製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って、フラットパネルディスプレイの需要が増加している。また、最近においては、家庭用の薄型テレビの普及率も高まっており、益々フラットパネルディスプレイの市場は拡大する状況にある。さらに、近年普及しているフラットパネルディスプレイは大画面化の傾向があり、特に家庭用の液晶テレビに関しては、その傾向が強くなってきている。このようなフラットパネルディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、さらには有機ELディスプレイ等の種々の表示方式のものが知られている。ところで、このようなディスプレイを外光の当たる場所で見た場合には、ディスプレイの前面で外光が反射するために見づらいといった問題があり、外光反射への対策が望まれていた。
このような状況下、各種ディスプレイの前面に反射防止フィルムを配置することで外光に対する反射防止効果を図る試みがなされており、反射防止フィルムについて種々の研究がなされている。
このような反射防止フィルムとしては種々の形態のものが知られており、例えば、特許文献1には、基板の表面に、入射光の最短波長よりも小さい周期の凹凸パターンが形成された反射防止フィルム(反射防止剤)が提案されている。このような方法は、いわゆるモスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、基板に入射した光に対する屈折率を連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を防止するものである。しかしながら、この構成の反射防止フィルムは、先端が細いため凹凸パターンが壊れやすいといった欠点を有していた。
この点に対し、例えば、特許文献2には、複数の層を有する低反射フィルムにおいて、各層にマイクロボイドの充填差を設けること、換言すればマイクロボイド勾配を設けることで、屈折率を単調増加せしめた低反射率フィルムが提案されている。この方法では、フィルム表面に凹凸パターンが存在しないことから、凹凸パターンの欠損等による反射防止効果の低減等の問題が生じ得ない点で有利といえる。
しかしながら、このようなマイクロボイド勾配を有する反射防止フィルムの製造にあたっては、例えば、特許文献2に提案がされているように、ハロゲン化銀乳剤を多層塗布し、露光・現像して銀像を形成した後に、銀像を漂白して銀塩を形成する等、工程数が多く、大掛かりな設備が必要となり、この点が製造上のネックとなっていた。したがって、大掛かりな設備を必要とせず、簡易的にマイクロボイドの勾配を有する反射防止フィルムを製造することができる製造方法が望まれている。
特許第4368384号公報 特開2004−334033号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大掛かりな設備を必要とせず、簡易的な方法で、表面強度の高い反射防止フィルムを製造することのできる製造方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、反射防止フィルムの製造方法であって、透明基材上に、バインダーと高沸点溶剤とを含む2種以上の塗工液を同時重層塗工することで2層以上の層が積層されてなる塗工層を形成する塗工工程と、前記同時重層塗工が行われた前記塗工層を加熱する加熱工程と、を備え、前記塗工工程において用いられる2種以上の塗工液のうち、前記透明基材から最も遠い位置に設けられる最上層を形成するための最上層用塗工液には、さらに低沸点溶剤が含まれ、前記2種以上の塗工液のうち、前記最上層と隣接する隣接層を形成するための隣接層用塗工液には、前記低沸点溶剤が含まれていないか、或いは、前記最上層用塗工液に含まれる前記低沸点溶剤よりも少ない配合量で前記低沸点溶剤が含有されており、前記加熱工程では、前記最上層、及び前記隣接層を含む塗工層を、前記低沸点溶剤の沸点以上の温度であって、前記高沸点溶剤の沸点未満の温度で加熱し、前記低沸点溶剤を突沸させることで、前記塗工層中にマイクロボイドが形成されることを特徴とする。
本発明の反射防止フィルムの製造方法によれば、塗工液中に含まれる低沸点溶剤を利用して、塗工層中にマイクロボイドの勾配を形成することから、大掛かりな設備を必要とせず、簡易的な方法で反射防止フィルムを製造することができる。また、反射防止フィルムの表面を平坦な構造としつつも反射防止性能を発揮せしめることができ、表面強度を向上させることができる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法の一例を示すフローチャートである。 塗工工程を説明するための概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムの製造方法によって得られる反射防止フィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の反射防止フィルムの製造方法によって得られる反射防止フィルムの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の反射防止フィルムの製造方法(以下、単に本発明の製造方法という場合がある。)について図面を用いて具体的に説明する。なお、図1は、本発明の製造方法を説明するための工程図である。
<<反射防止フィルムの製造方法>>
図1の工程図に示すように、本発明の製造方法は、塗工工程(S1)、加熱工程(S2)を含む。以下、各工程について具体的に説明する。
<塗工工程(S1)>
塗工工程(S1)は、図2に示すように、透明基材1上に、バインダーと高沸点溶剤とを含む2種以上の塗工液を同時重層塗工することで2層以上の層(図2に示す場合にあっては層10A、層10B)が積層されてなる塗工層10を形成する工程である。
そして、本発明では、2種以上の塗工液のうち、透明基材1から最も遠い位置に設けられる最上層を形成するための最上層用塗工液には、さらに低沸点溶剤が含まれ、2種以上の塗工液のうち、最上層と隣接する隣接層を形成するための隣接層用塗工液には、低沸点溶剤が含まれていないか、或いは、最上層用塗工液に含まれる前記低沸点溶剤よりも少ない配合量で低沸点溶剤が含有されている。
本工程では、同時重層塗工によって2種以上の層が積層されてなる塗工層が形成されることから、塗工層を構成する各層には溶剤が残存しており、塗工層を構成する各層の界面で溶剤が混じり合う。ここで、本工程で用いられる2種以上の塗工液は、(1)低沸点溶剤が含まれる最上層用塗工液と、(2)低沸点溶剤が含まれない、或いは低沸点溶剤の配合量が最上層用塗工液よりも少なく配合された隣接層用塗工液を含むことから、これらの塗工液を同時重層塗工することで、最上層用塗工液に含まれる溶剤と、隣接層用塗工液に含まれる溶剤とがその界面で混ざり合い、上記最上層用塗工液に含まれる低沸点溶剤の一部が、隣接層用塗工液側に移行し、最上層用塗工液と、隣接層用塗工液との間で、低沸点溶剤の配合勾配を生じせしめることができる。換言すれば、各塗工液を同時重層塗工することで得られる最上層と、隣接層用塗工液層とが積層されてなる塗工層に、透明基材側に向かって低沸点溶剤の配合量が段階的に低減するような低沸点溶剤の配合勾配を生じさせることができる。
低沸点溶剤の配合勾配について図2を用いて具体的に説明する。なお、図2は、低沸点溶剤の配合勾配を示す図であり、図中の「×」が多い箇所は、塗工液中における低沸点溶剤の配合量が多いことを示している。
低沸点溶剤が含まれる最上層用塗工液と、低沸点溶剤が含まれない隣接層用塗工液を透明基材1上に同時重層塗工して、最上層用塗工液によって形成される層10Aと、隣接層用塗工液によって形成される層10Bとが積層されてなる塗工層10を形成した場合には、層10Aと層10Bの界面において、層10A中に含まれる低沸点溶剤が層10B側に移行し、図2に示すように低沸点溶剤の配合勾配が形成される。換言すれば、塗工層10において、透明基材1側にむかって低沸点溶剤の配合量が段階的に低減するような配合勾配が形成される。
以下、本工程で用いられる、透明基材、最上層用塗工液、隣接層用塗工液について具体的に説明する。
(透明基材)
透明基材1について特に限定はなく、反射防止フィルムの分野で公知のあらゆるものを使用可能である。例えば、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものを挙げることができる。なお、「主体とする」とは、透明基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
透明基材の厚みについて特に限定はないが、透明基材が薄膜の柔軟性に富んだフィルム状態として使用される場合、その厚さは、通常、20μm以上300μm以下、好ましくは30μm以上100μm以下である。また、透明基材は、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマー剤等の塗工処理が施されたものであってもよい。
(最上層用塗工液)
塗工層を構成する層のうち、透明基材から最も遠い位置に設けられる最上層を形成するための最上層用塗工液は、バインダーと、高沸点溶剤と、低沸点溶剤とを含む。
「溶剤」
最上層用塗工液に含まれる高沸点溶剤、低沸点溶剤について特に限定はなく、最上層用塗工液に含まれる沸点差がある2つの溶剤のうち、沸点の高いものを高沸点溶剤、該高沸点溶剤よりも沸点が低いものを低沸点溶剤とすればよい。換言すれば、2つの溶剤のうち後述する加熱工程において、突沸する溶剤が低沸点溶剤となり、突沸しない溶剤が高沸点溶剤となる。なお、最上層用塗工液には、2つ以上の溶剤が含有されていてもよく、この場合には、後述する加熱工程において、突沸する溶剤を低沸点溶剤、突沸しない溶剤を高沸点溶剤とすればよい。
高沸点溶剤、低沸点溶剤としては、例えば、アセトン(沸点;56.5℃)、ジエチルエーテル(沸点;35℃)、酢酸エチル(沸点;77.1℃)、酢酸メチル(沸点;56.9℃)、ジクロルメタン(沸点;40℃)、テトラヒドロフラン(沸点;66℃)、メタノール(沸点;64.7℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点;120℃)、メチルイソブチルケトン(沸点;116℃)、イソプロピルアルコール(沸点82℃)、シクロヘキサノン(沸点;156℃)、メチルエチルケトン(沸点;80℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点;146℃)等の従来公知の溶剤を挙げることができる。例えば、アセトンを低沸点溶剤として用いる場合には、該沸点以上の溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等を高沸点溶剤として使用することができる。
なお、高沸点溶剤と、低沸点溶剤との沸点差が小さい場合には、後述する加熱工程において、低沸点溶剤の沸点以上、高沸点溶剤の沸点未満の温度で加熱を行う際の加熱制御が困難となる場合がある。この点を考慮すると、低沸点溶剤と、高沸点溶剤との沸点差は、30℃以上であることが好ましい。
「バインダー」
最上層用塗工液に含まれるバインダーについて特に限定はなく、例えば、可視光、紫外線、電子線等の電磁波又はエネルギー線に感応して硬化する光硬化性バインダー成分や、熱に感応して硬化する熱硬化性バインダー成分、乾燥又は冷却により固化する熱可塑性樹脂等に代表される非反応性バインダー成分等従来公知のバインダーを使用可能である。これらのバインダーの中でも、塗工適性に優れ、均一な大面積塗膜を形成しやすく、かつ硬化後に高い強度の膜が得られるとの観点から、光硬化性バインダー成分、特に電離放射線硬化性バインダー成分を好ましく使用可能である。
電離放射線硬化性バインダー成分としては、電離放射線の照射を受けた時に、直接、又は開始剤の作用を受けて間接的に、重合や二量化等の反応を起こす重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーを用いることができる。具体的には、アクリル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性のものや、エポキシ基含有化合物のような光カチオン重合性のものを用いることができる。また、耐擦傷性の観点からは、1分子中に光硬化性基を2個以上有する多官能モノマーが好ましく、多官能モノマーとしては、特にペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート及びポリエステルトリアクリレート等が好ましく用いられる。上記多官能モノマー以外にも、例えば、特開2008−165040号公報記載のポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー等を用いることができる。
熱硬化性バインダー成分としては、加熱によって同一の官能基又は他の官能基との間で重合又は架橋等を進行させて硬化させることができる硬化反応性基を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーを用いることができる。具体的には、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、水素結合形成基等を有するモノマー、オリゴマーが挙げられる。上記熱硬化性バインダー成分及び熱硬化性バインダー成分としては、バインダー成分間で架橋結合ができるように、一分子内に重合性官能基を2個以上有する多官能性であることが好ましい。
この他、フッ素含有バインダー成分等も好適に使用可能である。フッ素含有バインダー成分としては、フッ素原子を含有する電離放射線硬化性基を有する重合性化合物が好ましく、特にエチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。また、フッ素原子を含有する熱硬化性極性基を有する重合性化合物を用いることもできる。
上記非反応性バインダー成分としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等を挙げることができる。
最上層用塗工液の調製方法としては、上記で説明したバインダーを、高沸点溶剤、及び低沸点溶剤に溶解あるいは分散することで調製することができる。最上層用塗工液中における低沸点溶剤の配合量については、最上層に要求される屈折率に応じて適宜配合することができる。具体的には、低沸点溶剤の配合量が多くなるにつれて、最上層中に存在するマイクロボイドの量が多くなり、屈折率は低くなる。一方、低沸点溶剤の配合量が少なくなるにつれて、最上層中に存在するマイクロボイドの量は少なくなり、屈折率は高くなる。したがって、最上層用塗工液の調製においては、要求される屈折率となる範囲で低沸点溶剤を配合せしめればよい。
(隣接層用塗工液)
塗工層を構成する層のうち、上記最上層と隣接する隣接層を形成するための隣接層用塗工液は、バインダーと、高沸点溶剤とを含み、かつ、(a)低沸点溶剤が含まれない、或いは(b)低沸点溶剤の配合量が最上層用塗工液よりも少なくなるような配合量で低沸点溶剤が含まれる。
隣接層用塗工液に含まれるバインダー、高沸点溶剤は、上記で説明した最上層用塗工液で説明したものをそのまま使用することができ、ここでの詳細な説明は省略する。なお、隣接層用塗工液に含まれるバインダー、高沸点溶剤は、上記最上層用塗工液に含まれるものと同じであってもよく、異なるものであってもよい。なお、高沸点溶剤が最上層用塗工液に含まれるものと異なる場合には、少なくとも、最上層用塗工液に含まれる低沸点溶剤よりも沸点が高いとの条件を満たす必要がある。
隣接層用塗工液に低沸点溶剤が含まれる場合における低沸点溶剤についても同様であり、上記最上層用塗工液に含まれる低沸点溶剤と同じであってもよく、異なるものであってもよい。なお、後述する加熱工程における温度管理の容易さを考慮すると、上記最上層用塗工液に含まれる低沸点溶剤と同じであることが好ましい。
また、隣接層用塗工液に低沸点溶剤が含まれる場合における低沸点溶剤の配合量は、少なくとも、最上層用塗工液に含まれる低沸点溶剤の配合量よりも少ないものであればよいが、隣接層用塗工液に含まれる低沸点溶剤の配合量が、同時重層塗工を行った際に、最上層用塗工液から移行する低沸点溶剤の量よりも多い場合には、低沸点溶剤の配合勾配を、透明基材側に向かって、段階的に低減するような構成とできない。したがって、隣接層用塗工液に含まれる低沸点溶剤の配合量は、最上層用塗工液から移行する低沸点溶剤の量よりも少なくなるように配合されていることが好ましい。
最上層用塗工液と、隣接層用塗工液を含む2種以上の塗工液を同時重層塗工する方法について特に限定はなく、スロットダイコーター、カーテンコーター、スライドコーター、ロールコーター等の従来公知の各種装置を適宜用いて塗工することができる。この方法は、同時多層塗布と称される場合もある。なお、本発明の製造方法で言う同時重層塗工には、1つの塗工液を塗工し、乾燥工程を経ることなく、順次他の塗工液を塗工していくいわゆるWet on Wetと称される方法も含まれる。
最上層用塗工液、隣接層用塗工液の塗工量についても特に限定はなく、所望の屈折率となるような範囲内で適宜設定すればよい。
<加熱工程(S2)>
加熱工程(S2)は、上記同時重層塗工が行われた塗工層を、最上層用塗工液、及び隣接層用塗工液に含まれる低沸点溶剤のうち、沸点の高い方の低沸点溶剤の沸点以上の温度、かつ最上層用塗工液、及び隣接層用塗工液に含まれる高沸点溶剤のうち、沸点の低い方の沸点未満の温度で加熱する工程である。
本工程では、上記塗工工程において低沸点溶剤の配合勾配が形成された塗工層を、該低沸点溶剤の沸点以上の温度で加熱することで、塗工層中の低沸点溶剤を突沸させてマイクロボイドを形成させ、これにより、図3に示すように、2層以上の層20A、20Bが積層され、かつマイクロボイド30の勾配が形成された塗工層20が得られる。なお、高沸点溶剤の沸点未満と規定しているのは、高沸点溶剤の沸点を超える温度で加熱を行うと、高沸点溶剤も突沸してマイクロボイドが形成されてしまい、塗工層にマイクロボイドの勾配を形成することができなくなるためである。
低沸点溶剤の沸点以上の温度で加熱し、低沸点溶剤の突沸を誘発させるための、加熱手段について特に限定はなく、紫外線照射装置、電子線照射装置、熱源ヒーター等の従来公知の加熱手段を適宜選択して加熱することができる。
形成されるマイクロボイドの粒径は、加熱手段や、用いられる溶剤によって決定されるが、φ10nm〜φ100nmの範囲内となるような加熱手段、低沸点溶剤を用いることが好ましい。
上記加熱工程後、塗工層中に残存している高沸点溶剤、低沸点溶剤を揮発させることで、透明基材上に、マイクロボイド勾配を有する塗工層が形成された反射防止フィルムを得ることができる。塗工層中に残存している高沸点溶剤や、低沸点溶剤を揮発させる方法としては、自然乾燥、風乾燥、沸点未満の温度で乾燥する加熱乾燥等、従来公知の乾燥方法を用いることができる。なお、沸点以上の温度での乾燥は、塗工層中に残存している溶剤が、再突沸を起こしてしまうことから好ましくない。
また、上記乾燥後、必要に応じてバインダー成分を硬化させてもよい。例えば、バインダーとして、紫外線硬化型樹脂等を用いる場合には、乾燥後、紫外線を照射してバインダーを硬化させることができる。
以上、本発明の反射防止フィルムの製造方法について、最上層用塗工液、隣接層用塗工液の2種の塗工液を中心に説明を行ったが、これに限定されることはなく、3種以上の塗工液を用いて、図4に示すようなマイクロボイド勾配を有する塗工層を形成することもできる。例えば、最上層用塗工液にのみ低沸点溶剤を含ませ、隣接層用塗工液、及び隣接層よりも基材側に位置する層を形成する塗工液には低沸点溶剤を含ませない構成として、これらの塗工液を同時重層塗工することで、3層からなる塗工層に、図4に示すようなマイクロボイド勾配を生じさせることもできる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りの内限り質量基準である。
(実施例1)
厚み50μmのPETフィルム上に、下記組成の最上層用塗工液1、最下層用塗工液1を、スライド塗布装置を用いて同時重層塗工し、PETフィルム上に、最下層用塗工層1、最上層用塗工層1がこの順で積層された塗工層Aを形成した。なお、各層の厚みは1.5μmであり、塗膜の総厚みは3μmとした。
(最上層用塗工液1)
・UV硬化型多官能アクリレート樹脂 100部
(A−DPH 新中村化学工業(株)製)
・アセトン(低沸点溶剤として) 20部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(高沸点溶剤として) 80部
(最下層用塗工液1)
・UV硬化型多官能アクリレート樹脂 100部
(A−DPH 新中村化学工業(株)製)
・アセトン(低沸点溶剤として) 4部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(高沸点溶剤として) 96部
次いで、紫外線照射装置を用いて、上記塗工層Aに含まれるアセトンが突沸し、かつプロピレングリコールモノメチルエーテルが突沸しない照射条件で、エネルギー照射を行い、その後、10分間自然乾燥を行うことで、実施例1の反射防止フィルムを得た。
(実施例2)
上記最上層用塗工液1、下記組成の中間層用塗工液1、下記組成の最下層用塗工液2を用い、これら3種の塗工液を同時重層塗工して、PETフィルム上に、最下層用塗工層2、中間層用塗工層1、最上層用塗工層1がこの順で積層された塗工層Bを形成し、この塗工層Bを、上記実施例1と同様の条件でエネルギー照射した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例2の反射防止フィルムを得た。なお各層の厚みは1μmであり、塗膜の総厚みは3μmとした。
(中間層用塗工液1)
・UV硬化型多官能アクリレート樹脂 100部
(A−DPH 新中村化学工業(株)製)
・アセトン(低沸点溶剤として) 12部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(高沸点溶剤として) 88部
(最下層用塗工液2)
・UV硬化型多官能アクリレート樹脂 100部
(A−DPH 新中村化学工業(株)製)
・アセトン(低沸点溶剤として) 2部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル(高沸点溶剤として) 98部
(比較例1)
最上層用塗工液1のみを、PETフィルム上に塗工して単層の塗工層Cを形成し、この塗工層Cを上記実施例1と同様の条件でエネルギー照射した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例1の反射防止フィルムを得た。
(比較例2)
表面に凹凸が賦型された反射防止フィルム(特開2012−48239号公報の図1参照)を準備し、これを比較例2の反射防止フィルムとした。
(反射率評価)
各実施例、及び比較例の反射防止フィルムの反射率を下記の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
「評価基準」
分光光度計にて反射Y値を測定
○・・・1%以下
△・・・1〜2%
×・・・2%以上
(色ムラ評価)
各実施例、及び比較例の反射防止フィルムの色ムラを下記の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
「評価基準」
3波長型蛍光灯の反射光にて、目視評価
○・・・虹ムラなし
△・・・虹ムラわずかに見える
×・・・虹ムラ多数
(塗膜硬さ評価)
各実施例、及び比較例の反射防止フィルムの塗膜硬さを下記の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
「評価基準」
鉛筆硬度試験
○・・・H以上
△・・・HB
×・・・B以下
Figure 2013242340
表1からも明らかなように、本発明の発明特定事項を全て充足する製造方法によって得られた実施例の反射防止フィルムによれば、反射率評価、色ムラ評価、塗膜硬さ評価の全てにおいて良好な評価を得ることができた。一方、1つの塗工液のみを用いて製造された比較例1の反射防止フィルムでは、実施例の反射防止フィルムと比較して、反射率評価、色ムラ評価が劣る結果となった。また、比較例2の反射防止フィルムでは、塗膜硬さ評価が実施例に劣る結果となった。このことからも、本発明の製造方法の優位性は明らかである。
10・・・塗工層
10A・・・最上層
10B・・・隣接層
20・・・マイクロボイド勾配形成後の塗工層
30・・・マイクロボイド

Claims (1)

  1. 反射防止フィルムの製造方法であって、
    透明基材上に、バインダーと高沸点溶剤とを含む2種以上の塗工液を同時重層塗工することで2層以上の層が積層されてなる塗工層を形成する塗工工程と、
    前記同時重層塗工が行われた前記塗工層を加熱する加熱工程と、
    を備え、
    前記塗工工程において用いられる2種以上の塗工液のうち、前記透明基材から最も遠い位置に設けられる最上層を形成するための最上層用塗工液には、さらに低沸点溶剤が含まれ、
    前記2種以上の塗工液のうち、前記最上層と隣接する隣接層を形成するための隣接層用塗工液には、前記低沸点溶剤が含まれていないか、或いは、前記最上層用塗工液に含まれる前記低沸点溶剤よりも少ない配合量で前記低沸点溶剤が含有されており、
    前記加熱工程では、前記最上層、及び前記隣接層を含む塗工層を、前記低沸点溶剤の沸点以上の温度であって、前記高沸点溶剤の沸点未満の温度で加熱し、前記低沸点溶剤を突沸させることで、前記塗工層中にマイクロボイドが形成されることを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
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