JP2013242038A - 管継手、閉鎖バルブ及び弛緩用工具 - Google Patents

管継手、閉鎖バルブ及び弛緩用工具 Download PDF

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Abstract

【課題】汎用工具を用いてもフェルールによる気密性能が失われず、必要が生じたときにフェルールによる気密を解除できるようにする。
【解決手段】管継手Jaは、固定部材66aを締め付け方向に回転させてねじ込んだときに、固定部材66aから軸方向の押圧力を受けることで、継手本体部16の内周とパイプPの外周との間を気密状にシールするフェルール33と、固定部材66aの外周に形成され、継手本体部16と固定部材66aのねじ込み方向とは逆ねじれの弛緩用雄ネジ部68と、弛緩用雄ネジ部68にねじ込み可能な弛緩用工具130と、弛緩用工具130を弛緩用雄ネジ部68にねじ込んで固定部材66aを締付け方向とは逆向きに回転させたときに、弛緩用工具130を当接させてそれ以上のねじ込みを規制する受圧部39(ねじ込み規制部)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、管継手及び閉鎖バルブに関するものである。
エア・コンディショナーのように、熱交換機器の間をパイプで接続して構成した循環路に冷媒を流動させるようにした熱交換装置においては、熱交換機器とパイプとを接続するための閉鎖バルブが設けられている。この閉鎖バルブは、冷媒の流路が形成されたハウジングと、流路を開閉するバルブ機能部と、パイプを接続するための管継手(継手機能部)とを備えている。
現状の管継手は、流路の一方の端部を構成する筒状の継手本体部に、テーパ状のシール面を形成した形態であり、このテーパ状シール面に、パイプのフレア状に拡径変形させた接続端部を密着させてナットで締め付ける構造となっている。しかし、このテーパ状シール面とフレア状の接続端部とによる接続構造は、冷媒(フロンガス等)が漏出し易い。冷媒の漏出は、地球温暖化やオゾン層破壊などの地球環境破壊の原因となるため、熱交換装置における冷媒の漏出防止対策は重要課題である。
そこで本願出願人は、冷媒の漏出量を飛躍的に抑える管継手を備えた閉鎖バルブとして、特許文献1に記載されたものを提案した。この管継手は、流路の一方の端部を構成する筒状の継手本体部と、継手本体部にねじ込まれる筒状の締付部材と、締付部材と継手本体部に挿入したパイプを包囲する金属製のフェルールと、縮径手段とを備えている。
縮径手段は、パイプ挿入方向に向かって縮径するテーパ面を有している。締付部材を螺進させると、フェルールが、テーパ面によって縮径方向へ塑性変形し、継手本体部の内周に気密状に密着するとともに、パイプの外周に遊動規制状態に食い込み且つ気密状に密着する形態で締め付けるようになっている。このように、フェルールを縮径させてパイプを接続する構造は、冷媒の漏出防止という観点からは非常に有効である。
特開2005−325872号公報
上記の管継手では、締付部材が、スパナやモンキーレンチ等の汎用工具を用いてねじ込むことによって継手本体部に取り付けられているため、誤って締付部材が緩み方向へ回される虞がある。この場合、フェルールによるシール性能が低下し、冷媒が漏出することが懸念される。この対策としては、締付部材が汎用工具では緩み方向へ回せないようにする緩み防止手段を講じることが考えられる。しかし、その一方で、熱交換装置を移設、交換しようとする場合には、フェルールによる気密を解除してパイプを外すために、締付部材を緩み方向へ回さなければならない。しかし、緩み防止手段を講じると、締付部材を緩み方向へ回すことができなくなる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、汎用工具を用いてもフェルールによる気密性能が失われず、必要が生じたときにフェルールによる気密を解除することができる管継手を提供することを目的とする。
本発明の管継手は、
熱交換機器の冷媒の流路と連通可能な形態であり、パイプが挿入される筒状の継手本体部と、
前記継手本体部にねじ込みにより取り付けられる筒状の固定部材と、
前記固定部材を締め付け方向に回転させてねじ込んだときに、前記固定部材から軸方向の押圧力を受けることで、前記継手本体部の内周と前記パイプの外周との間を気密状にシールするフェルールと、
外周に形成した嵌合部に汎用工具を嵌合して回転させることにより、前記固定部材に締付け方向の回転力を付与することが可能な締付けナットとを備えたものであって、
前記固定部材の外周に形成され、前記継手本体部と前記固定部材のねじ込み方向とは逆ねじれの弛緩用ネジ部と、
弛緩用工具を前記弛緩用ネジ部にねじ込んで前記固定部材の締付け方向とは逆向きに回転させたときに、前記弛緩用工具を当接させてそれ以上のねじ込みを規制するねじ込み規制部とを備えているところに特徴を有する。
本発明の閉鎖バルブは、
熱交換機器に取り付けられるハウジングと、
前記ハウジング内に形成された冷媒の流路と、
前記流路を開閉する弁体と、
前記流路と連通するように前記ハウジングに形成され、パイプが挿入される筒状の継手本体部と、
前記継手本体部にねじ込みにより取り付けられる筒状の固定部材と、
前記固定部材を締め付け方向に回転させてねじ込んだときに、前記固定部材から軸方向の押圧力を受けることで、前記継手本体部の内周と前記パイプの外周との間を気密状にシールするフェルールと、
外周に形成した嵌合部に汎用工具を嵌合して回転させることにより、前記固定部材に締付け方向の回転力を付与することが可能な締付けナットとを備えたものであって、
前記固定部材の外周に形成され、前記継手本体部と前記固定部材のねじ込み方向とは逆ねじれの弛緩用ネジ部と、
弛緩用工具を前記弛緩用ネジ部にねじ込んで前記固定部材の締付け方向とは逆向きに回転させたときに、前記弛緩用工具を当接させてそれ以上のねじ込みを規制するねじ込み規制部とを備えているところに特徴を有する。
本発明の管継手及び閉鎖バルブによれば、嵌合部に汎用工具を嵌合して締付ナットから固定部材へ締付け方向の回転力を付与すると、固定部材がフェルールを押圧し、継手本体部の内周とパイプの外周との間が気密状にシールされ、流路とパイプが接続される。尚、本発明において汎用工具とは、スパナやモンキーレンチ等のように正六角形の外周形状に嵌合可能な工具を意味する。
また、フェルールによる気密を解除してパイプを外す際には、弛緩用工具を、弛緩用ネジ部にねじ込んで固定部材の締付け方向とは逆向きに回転させ、ねじ込み規制部に当接させる。すると、弛緩用工具は、それ以上のねじ込み動作、つまり固定部材に対する相対回転が規制される。したがって、この状態から更に弛緩用工具の回転を続けると、固定部材が弛緩用工具と一体となって、締付け方向とは逆の向き、つまり緩み方向に回転させられるので、フェルールによる気密が解除される。本発明によれば、専用の弛緩用工具を用いることによって、フェルールによる気密を解除することができる。
実施例1の管継手においてハウジングに離脱規制部材を取り付けた状態をあわらす断面図 緩んだ締付ナットが、離脱規制部材によって継手本体部からの離脱を規制されている状態をあらわす断面図 ハウジングから離脱規制部材を外した状態をあらわす断面図 継手本体部に挿入したパイプを保持した状態をあらわす断面図 管継手にパイプを正しく接続した状態をあらわす断面図 パイプが接続された状態において、締付ナットが外れても、固定部材が緩まない様子をあらわす断面図 締付けナットを外し、カバーを後方へずらし、弛緩用工具をパイプに通した状態をあらわす断面図 弛緩用工具を固定部材にねじ込んだ状態をあらわす断面図 弛緩用工具によって固定部材を継手本体部から外した状態をあらわす断面図 ロック部材の断面図 弛緩用工具の背面図 実施例2の管継手において、パイプを接続した状態をあらわす断面図 実施例2の管継手において、締付けナットとカバーを固定部材から外した状態をあらわす断面図 実施例3の管継手において、パイプを接続した状態をあらわす断面図 実施例3の管継手において、締付けナットとカバーを固定部材から外した状態をあらわす断面図 実施例4の管継手において、締付けナットとカバーを固定部材から外した状態をあらわす断面図 実施例5の管継手において、締付けナットとカバーを固定部材から外した状態をあらわす断面図 実施例6の管継手において、締付けナットとカバーを固定部材から外した状態をあらわす断面図 実施例7の管継手において、パイプを接続した状態をあらわす断面図 参考例1の管継手においてハウジングに離脱規制部材を取り付けた状態をあらわす断面図 緩んだ締付ナットが、離脱規制部材によって継手本体部からの離脱を規制されている状態をあらわす断面図 ハウジングから離脱規制部材を外した状態をあらわす断面図 継手本体部に挿入したパイプを保持した状態をあらわす断面図 管継手にパイプを正しく接続した状態をあらわす断面図 パイプが接続された状態において、締付ナットが緩んでも、固定部材が緩まない様子をあらわす断面図 閉鎖バルブと管継手を分解した状態をあらわす断面図 ロック部材の断面図 管継手にパイプを正しく接続した状態をあらわす部分拡大断面図 参考例2の一部切欠正面図 参考例3の構成図 参考例4の側面図 参考例5の一部切欠側面図 参考例6の正面図 参考例7の断面図 参考例8の断面図 参考例9の断面図
本発明の弛緩用工具は、
熱交換機器の冷媒の流路と連通可能な形態であり、パイプが挿入される筒状の継手本体部と、
前記継手本体部にねじ込みにより取り付けられる筒状の固定部材と、
前記固定部材を締め付け方向に回転させてねじ込んだときに、前記固定部材から軸方向の押圧力を受けることで、前記継手本体部の内周と前記パイプの外周との間を気密状にシールするフェルールと、
外周に形成した嵌合部に汎用工具を嵌合して回転させることにより、前記固定部材に締付け方向の回転力を付与することが可能な締付けナットと、
前記固定部材の外周に形成され、前記継手本体部と前記固定部材のねじ込み方向とは逆ねじれの弛緩用ネジ部と、
ねじ込み規制部とを備えた管継手に用いられ、
前記弛緩用ネジ部にねじ込んで前記固定部材の締付け方向とは逆向きに回転させたときに、前記ねじ込み規制部に当接することでそれ以上のねじ込みを規制されるようになっている弛緩用工具であって、
全体として略C字形をなす単一部品からなり、
前記弛緩用ネジ部にねじ込み可能な弛緩用雌ネジ部と、
周方向における一部を切欠して外周と内周とを連通させた形態であり、切欠寸法が前記パイプの外径よりも大きく設定された連通部とを備えていてもよい。
この構成によれば、弛緩用工具を弛緩用ネジ部にねじ込む際には、パイプを切断しなくても、連通部にパイプを通過させることにより、弛緩用工具を弛緩用ネジ部と同軸状に配置することができる。
本発明の管継手は、
前記固定部材に、前記弛緩用ネジ部を覆い隠す位置と、前記弛緩用ネジ部を露出させる位置との間で移動可能なカバーが取り付けられていてもよい。
この構成によれば、弛緩用ネジ部に弛緩用工具がねじ込まれていないときに、弛緩用ネジ部をカバーによって保護しておくことができる。
本発明の管継手及び閉鎖バルブは、
汎用工具を用いて前記固定部材に回転力を付与したときに、前記固定部材の緩み方向への回転を規制して、前記フェルールによる気密シール状態を維持する緩み止め手段を備えていてもよい。
この構成によれば、パイプを接続した状態において汎用工具で固定部材に回転力を付与しても、緩み止め手段により、固定部材はフェルールへの押圧を解除する緩み方向へ回転することが規制される。したがって、本発明によれば、フェルールによる気密シール性能の信頼性に優れている。
<実施例1>
本発明を具体化した実施例1を図1乃至図11を参照して説明する。
<管継手Jaの適用対象>
本実施例1の管継手Jaは、圧縮機及び凝縮器を備えた室外機B(請求項に記載の熱交換機器)と、膨張弁及び蒸発器を備えた図示しない室内機(請求項に記載の熱交換機器)とを、金属(銅又は銅合金)製のパイプPで接続した家庭用エア・コンディショナー(熱交換装置)に適用したものである。室外機Bと室内機とパイプPとによって循環経路が構成され、この循環経路の中を冷媒(フロンガス)が循環することで、熱交換が行われる。管継手Jaは、室外機Bの閉鎖バルブAにパイプPを接続するためのものである。管継手Jaは、閉鎖バルブAを構成する継手機能部として、閉鎖バルブAに一体的に設けられている。
<閉鎖バルブAの全体構成>
図1に示すように、閉鎖バルブAは、構造的には、バルブ本体10とロック部材11とを備えて構成されている。閉鎖バルブAは、機能的には、管継手Jaと、第1バルブ機能部13及び第2バルブ機能部14とを備えて構成されている。管継手Jaは、バルブ機能部13,14から切り離すことで、単機能の管継手として機能し得るものである。
<バルブ本体10>
バルブ本体10は、黄銅製のハウジング15と、第1バルブ機能部13(開閉バルブ)と、第2バルブ機能部14(サービスバルブ)と、継手本体部16とを備えて構成される。ハウジング15内には、略L字形(略直角)に屈曲し、両端がハウジング15の外面に開口した流路17と、流路17に連通してハウジング15の外面に開口する分岐路18とが形成されている。閉鎖バルブAは、室外機Bの外面に露出した形態で固定される。流路17の一方の端部は、室外機Bの圧縮機(図示省略)の接続管19にロウ付け等の手段で気密状に固着される。
第1バルブ機能部13の第1弁体20(請求項に記載の弁体)を手動操作すると、流路17における冷媒の流動を許容する開弁状態と、流路17における冷媒の流動を規制する閉弁状態との間で切り換えることができる。また、第2バルブ機能部14の第2弁体21(請求項に記載の弁体)を手動操作すると、分岐路18内、及びこれに連なる挿入空間23内とパイプP内を真空引きすることができる。
<管継手Ja>
図1,9に示すように、管継手Jaは、筒状の継手本体部16と、継手機能部12とを備えて構成されている。継手機能部12は、後部テーパ面31(図9を参照)を含む縮径手段22と、筒状のロック部材11とを備えて構成される。管継手Jaの中空内は、流路17の端部に連通するともに継手本体部16の後端面(先端面)に開放された形態であって、パイプPを挿入するための挿入空間23となっている。継手本体部16は、ハウジング15に一体形成され、ハウジング15の外面から円筒状に突出している。
尚、この後の説明では、方向に関して、管継手Ja(挿入空間23)に対するパイプPの挿抜方向と平行な方向を前後方向とする。パイプPの挿抜方向は、締付部材32が回転しながら移動する方向と平行である。管継手Jaに対するパイプPの挿入方向前方(図1〜10における左方)を単に「前方」と記載し、管継手Jaに対するパイプPの挿入方向後方を単に「後方」と記載する。また、「前後方向」と、管継手Ja(継手本体部16)の「軸方向」とを同義で用いる。
継手本体部16の後端部外周には、第2雄ネジ部24が形成され、継手本体部16の外周における第2雄ネジ部24より前方の位置には、同心円形の拡径部25が形成されている。拡径部25の後端面は、軸方向と直交する平坦面からなる検知用受け部26となっている。継手本体部16の後端面は、パイプPの挿抜方向と直角をなす平坦面となっている。図9に示すように、平坦面の内周縁(即ち、後述する後部テーパ面31との境界となる周縁)は、エッジ状の角縁部27となっている。
図9に示すように、継手本体部16の内周面は、その前端部から後端部に向かって順に、第3雌ネジ部28と、前部テーパ面29と、定径面30と、後部テーパ面31とによって構成されている。前部テーパ面29は前方に向かって次第に縮径するようなテーパ状をなしている。前部テーパ面29の前端の内径はパイプPの外径より小さく、前部テーパ面29の後端の内径はパイプPの外径より僅かに大きい。定径面30は、前端から後端まで一定の内径寸法である。後部テーパ面31は前方に向かって次第に縮径しており、後部テーパ面31の前端の内径は、定径面30及び前部テーパ面29の最大内径と同じ寸法とされている。
<ロック部材11、締付部材32>
図10に示すように、ロック部材11は、筒状をなす締付部材32と、同じく筒状をなすフェルール33と、円形の弾性リング34と、筒状をなすカバー110a(請求項に記載の緩み止め手段)とを組み付けて構成されている。締付部材32は、黄銅製の固定部材66aと、黄銅製の締付ナット36との2部品から構成されている。
<固定部材66a>
固定部材66aの内周における前端側領域には、螺旋の向きが右ネジとなっている第2雌ネジ部37が形成されている。ここで、右ネジとは、その右ネジの形成されている部材(固定部材66a)を作業者側から見て時計回り方向へ回転(以下、右回転という)させながら相手部材(継手本体部16の第2雄ネジ部24)にねじ込んだときに、その部材(固定部材66a)が作業者から前方へ遠ざかるように移動する螺旋形態と定義する。固定部材66aは、継手本体部16に対し後方から同軸状に外嵌して第2雌ネジ部37を第2雄ネジ部24に嵌め、後方から見て右回転させながらねじ込むことで継手本体部16に組み付けられている。したがって、第2雄ネジ部24の螺旋の向きも右ネジである。
固定部材66aの外周の後端部には、第2雌ネジ部37と同じく螺旋の向きが右ネジとなっている第1雄ネジ部38が形成されている。固定部材66aの外周における第1雄ネジ部38よりも前方の位置には、軸方向に対して直角な平面状をなし、後方に臨む受圧部39(請求項に記載の規制部)が形成されている。固定部材66aのうち受圧部39よりも前方の領域は、第1雄ネジ部38よりも外径寸法の大きい大径部67となっている。
大径部67の外周後端部には、弛緩用雄ネジ部68(請求項に記載の弛緩用ネジ部)が形成されている。弛緩用雄ネジ部68の螺旋の向きは、第2雌ネジ部37とは逆に左ネジとなっている。ここで、左ネジとは、その左ネジの形成されている部材(固定部材66a)に、相手部材(後述する弛緩用工具130の弛緩用雌ネジ部133)を作業者側から見て反時計回り方向へ回転(以下、左回転という)させながらにねじ込んだときに、その相手部材(弛緩用工具130)が作業者から前方へ遠ざかるように移動する螺旋形態と定義する。
大径部67のうち、その前端部と弛緩用雄ネジ部68とを除いた領域は、円周面領域40となっている。円周面領域40の軸方向と直角な断面形状は、真円形となっている。円周面領域40の外径寸法は、弛緩用雄ネジ部68の最大外径寸法と同じ寸法である。この円周面領域40は、固定部材66aがフェルール33への押圧を解除する方向へ変位するのを規制するための緩み止め手段41を構成する。大径部67の外周の前端部には、全周に亘って連続する周方向の位置決め溝69が形成されている。
固定部材66aの前端面(軸方向において継手本体部16の検知用受け部26と対向する面)は、軸方向と直交する平面状の突当部42となっている。この突当部42は、固定部材66aを締付け方向へねじ込んで軸方向に移動させる過程で、検知用受け部26に対し接近・離間するとともに、検知用受け部26に面当たり(面接触)状態で当接するようになっている。
図10に示すように、固定部材66aの内周における第2雌ネジ部37よりも後方の領域には、全周に亘って内側へ同心状に突出する係止部43が形成されている。固定部材66aの内周における第2雌ネジ部37と係止部43との間の位置には、前方に臨む平面状の押圧面44が形成されている。押圧面44は、パイプPの挿抜方向と直角であって、固定部材66aを継手本体部16に組み付けたときにフェルール33のリング状本体部51を挟んで受圧面55と対向するように位置する。固定部材66aの内周の後端部には、前方に向かって縮径するようなテーパ状をなし、固定部材66aの後端面に開放された形態の切欠部45が形成されている。
<締付ナット36>
締付ナット36は、全周に亘って連続したリング状をなす。締付ナット36の内周の前端部には、螺旋の向きが右ネジとなっている第1雌ネジ部46が形成されている。締付ナット36の内周の後端部には、第1雌ネジ部46よりも内径の小さい小径部47が同心状に形成されている。小径部47の内径は、パイプPの外径と同じかそれよりも僅かに大きい寸法である。締付ナット36の外周は、正六角形をなす嵌合部48となっている。この嵌合部48には、汎用工具120を嵌合することができるようになっている。汎用工具120とは、スパナやモンキーレンチ等のように正六角形の外周形状に嵌合して、その嵌合対象部材を回転させることが可能な工具を意味する。また、締付ナット36の前端面は、軸方向に対して直角な平面状をなし、前方に臨む押圧部49となっている。
締付ナット36は、その第1雌ネジ部46を、後方から見て右回り(締付け方向)に回転させながら第1雄ネジ部38にねじ込むことで、固定部材66aに対して後方から組み付けられている。締付ナット36と固定部材66aを組み付けた状態では、切欠部45と小径部47とにより、締付部材32の内周に臨む保持溝50が構成される。
<弾性リング34>
保持溝50には弾性リング34が取り付けられる。弾性リング34は、ゴム製であり、全周に亘って繋がった円環状をなしている。弾性リング34の弾性変形していない状態における内径寸法は、パイプPの外径寸法とほぼ同じ寸法である。つまり、弾性リング34の内径は、パイプPの外径と同じ寸法、パイプPの外径より大きい寸法、パイプPの外径より小さい寸法のいずれでもよい。
パイプPを管継手Jaに接続する前の状態では、図1〜3に示すように、締付ナット36は初期位置にある。締付ナット36が初期位置にあるとき、弾性リング34は、切欠部45や小径部47に接触していても、弾性変形していないか、弾性変形してもその変形量は小さい。また、締付ナット36が初期位置にあるときは、締付ナット36の押圧部49と固定部材66aの受圧部39との間に軸方向の間隔が空き、固定部材66aの後端面と小径部47の前面との間にも間隔が空いている。
<フェルール33>
フェルール33は、黄銅製であり、固定部材66aの中空内において継手本体部16及び締付部材32と同軸状に配される。以下、パイプPが管継手Jaに接続されていない状態(フェルール33がパイプPと接触していない状態)におけるフェルール33の形態を説明する。フェルール33は、管継手Ja(挿入空間23)に挿入されたパイプPを囲むような円筒状をなしている。フェルール33の最小内径は、パイプPの外径より大きく、定径面30とほぼ同じ内径寸法である。
図10に示すように、フェルール33は、肉厚のリング状本体部51と、リング状本体部51より肉薄であってリング状本体部51から前方へ延出する筒状締付部52と、リング状本体部51より肉薄であってリング状本体部51から後方へ延出する保持部53とからなる。リング状本体部51の外周部は、筒状締付部52及び保持部53の外周から段差状に拡径している。リング状本体部51の前面は、軸線方向と直角に近い角度であるが前方に向かって縮径した形態のシール面54となっている。リング状本体部51の後面は、軸方向と直角をなす受圧面55となっている。
筒状締付部52の外周面は、前方に向かって縮径するように傾斜している。筒状締付部52の内周における前端縁は、第1食い込み部56となっている。筒状締付部52の内周のうち第1食い込み部56よりも後方の位置には、斜め前内向きに尖ったエッジ状の第2食い込み部57が形成されている。保持部53の後端部は、径方向外向きに斜め後方へ拡径するように片持ち状に延出した形態の外向き突部58となっている。保持部53の外面のうち外向き突部58の前方の領域は、保持部53の外径が最も小さい凹部59となっている。
フェルール33は、外向き突部58を径方向外向きに曲げ加工する前の状態で前方から固定部材66a内に収容される。この状態で、治具(図示省略)を使って保持部53の後端部を曲げ加工すると、外向き突部58と凹部59が形成され、凹部59と係止部43とが係止状態となり、フェルール33と固定部材66aは前後両方向への離脱を規制された状態に組み付けられる。尚、外向き突部58を形成するときには、固定部材66aから締付ナット36を外しておく。
図1に示すように、ロック部材11は、第2雌ネジ部37を第2雄ネジ部24にねじ込むことで、後方から継手本体部16に組み付けられている。この第2雄ネジ部24と第2雌ネジ部37の螺旋ピッチは、第1雄ネジ部38と第1雌ネジ部46の螺旋ピッチよりも大きい。管継手JaにパイプPを接続する前の状態では、図3に示すように、フェルール33が変形せず、検知用受け部26と突当部42との間に隙間が空き、受圧部39と押圧部49との間に隙間が空き、押圧面44と受圧面55との間に隙間が空いている。
<カバー110a>
カバー110aは、合成樹脂製であり、全体として円筒状をなす。カバー110aは、緩み規制手段41としての機能と、弛緩用雄ネジ部68を保護する機能とを兼ね備えたものである。図10に示すように、カバー110aの前後方向の寸法は、大径部67の全長よりも少し大きい寸法である。カバー110aの内径は、大径部67(弛緩用雄ネジ部68の最大外径及び円周面領域40)と同じか、それよりも僅かに大きい寸法である。カバー110aの内周の前端部には、全周に亘って径方向内側へ突出する円形の位置決めリブ111aが形成されている。
カバー110aは、常には、位置決めリブ111aを位置決め溝69に係止させることにより、弛緩用雄ネジ部68の全領域を覆い隠す保護位置(図1〜6,10を参照)に保持されている。保護位置にあるカバー110aは、固定部材66aを包囲した状態で、固定部材66aの周囲を空転し得るようになっている。また、カバー110aは合成樹脂製であるから、径方向に弾性変形可能である。したがって、保持位置に保持されているカバー110aは、位置決めリブ111aと位置決め溝69との係止力を上回る操作力を付与すると、保護位置よりも前方の露出位置(図7,8を参照)に移動させることができる。カバー110aが露出位置にあるときには、大径部67の外周のうち、少なくとも弛緩用雄ネジ部68の全体が露出するようになっている。
<弛緩用工具130>
弛緩用工具130は、締付ナット36の締付け作業によってパイプPを管継手Jaに接続した状態において、フェルール33による気密シール状態を解除してパイプPを管継手Jaから外すための専用工具である。弛緩用工具130は、管継手Ja(閉鎖バルブA)の付属部品又は構成部品として製造販売されるものであってもよいが、管継手Ja(閉鎖バルブA)とは別売りの部品であってもよい。
弛緩用工具130は、金属材料からなり、図11に示すように、全体として略C字形に形成されている。弛緩用工具130には、その内周から外周に連通するように切欠した形態の連通部131が形成されている。この連通部131の周方向の開口寸法は、パイプPの外径よりも大きい寸法とされている。弛緩用工具130の外周には、正六角形をなす弛緩用嵌合部132が形成されている。弛緩用嵌合部132には、締付ナット36を回転させるために用いられるものと同じく汎用工具120を嵌合できるようになっている。
弛緩用工具130の内周の前端側領域には、弛緩用雌ネジ部133が形成されている。弛緩用雌ネジ部133の螺旋の向きは、弛緩用雄ネジ部68と同じく左ネジとされている。また、弛緩用工具130の内周における後端部には、径方向内側へリブ状に突出した形態の規制用突当部134(請求項に記載のねじ込み規制部)が、全周に亘って形成されている。規制用突当部134の内径は、第1雄ネジ部38の最大外径よりも大きく、大径部67の外径よりも小さい寸法に設定されている。
<離脱規制部材60>
図1,2に示すように、閉鎖バルブAには、管継手JaにパイプPを接続する前の状態で、締付部材32が緩んで継手本体部16から離脱するのを防止するための手段として、離脱規制部材60が設けられている。この離脱規制部材60は、管継手Ja(挿入空間23)における冷媒の流動を規制するための封止部材としての機能も兼ね備えている。離脱規制部材60は、管継手Jaへの取付けと管継手Jaからの取外しが可能である。
離脱規制部材60は、黄銅製であり、筒状本体部61と、ストッパ62と、第3雄ネジ部63とを一体に形成したものである。筒状本体部61の内部には、その後端面に開放された正六角形の嵌合孔64が形成されている。筒状本体部61の外径寸法は、変形していない状態のフェルール33の最小内径よりも小さい。ストッパ62は、筒状本体部61の後端部外周に位置し、筒状本体部61と同心の円形をなすフランジ状に形成されている。ストッパ62の外径寸法は、筒状本体部61の外径、及び締付ナット36の小径部47の内径より大きい。
第3雄ネジ部63は、筒状本体部61の前端部外周に形成されている。第3雄ネジ部63と第3雌ネジ部28の螺旋の向きは、第1雄ネジ部38、第1雌ネジ部46、第2雄ネジ部及び第2雌ネジ部37と同じく、右ネジに設定されている。第3雄ネジ部63と第3雌ネジ部28の螺旋ピッチは、第1雄ネジ部38と第1雌ネジ部46の螺旋ピッチよりも小さい。筒状本体部61の外周のうち第3雄ネジ部63の後方に隣接する領域は、全周に亘って連続した形態で段差状に形成された封止用当接部65となっている。封止用当接部65の外径は、前部テーパ面29の前端の最小内径寸法及び第3雄ネジ部63の外径寸法より大きい。
<管継手Jaの組付け>
管継手Jaの組付けは、次の手順で行う。継手本体部16に対し、第2雌ネジ部37を第2雄ネジ部24にねじ込むことによって、ロック部材11を後方から組み付ける。このとき、固定部材66aの外周を指で摘み、汎用工具120を使わずに手の力だけで右回り(締付け方向)にねじ込む。また、締付ナット36は初期位置にある。固定部材66aの回転が停止したところで、ロック部材11の組付けが完了し、ロック部材11は仮組み状態となる。
図3に示すように、仮組み状態では、フェルール33(筒状締付部52)の前端が継手本体部16の後部テーパ面31に軽く当接するが、フェルール33は殆ど変形は生じていない。また、ロック部材11の前端の突当部42は継手本体部16の検知用受け部26に対して後方に離間して対向するように位置する。
この後、図1に示すように、管継手Ja(挿入空間23)内に後方から離脱規制部材60を組み付ける。組み付けるときには、筒状本体部61を挿入空間23に挿入し、ストッパ62を摘んで、汎用工具120を使わずに手の力だけで第3雄ネジ部63を第3雌ネジ部28にねじ込む。
そして、封止用当接部65が前部テーパ面29に当接した後は、嵌合孔64に汎用工具(図示省略)を嵌めて、更に離脱規制部材60をねじ込んでいく。この汎用工具を用いた更なるねじ込みにより、封止用当接部65が前部テーパ面29に対し全周に亘って気密状に食い込むように密着する。これにより、継手本体部16の内周と離脱規制部材60の外周との隙間が気密状にシールされ、流路17内の冷媒が挿入空間23を通って外部へ漏出することが規制される。以上で、管継手Jaの組付けが完了する。
このようにして管継手Jaの組付けが完了した閉鎖バルブAは、熱交換装置の室外機Bに取り付けられる。また、室外機B内には冷媒が充填されるが、流路17が第1弁体20で閉弁されているので、室外機B内の冷媒が管継手Ja側へ漏出する虞はない。万一、冷媒が第1弁体20を通過して管継手Ja側へ流出しても、管継手Ja内は、離脱規制部材60のシール作用によって気密状に封止されているので、冷媒が管継手Jaを通過して大気中へ漏出することはない。
離脱規制部材60が管継手Jaに組み付けられている状態では、作業者が誤ってロック部材11を緩み方向(継手本体部16から外れる方向)へ回転させたとしても、固定部材66aが継手本体部16から外れる前に、図2に示すように、締付ナット36の後端(小径部47の後面)が離脱規制部材60のストッパ62に当接する。これにより、締付ナット36のそれ以上の後方移動が規制されるので、締付ナット36(締付部材32)が継手本体部16から離脱することはない。
また、ロック部材11がストッパ62に当接して離脱規制されている状態において、締付ナット36が強い力で緩み方向へ回されたときに、締付ナット36とストッパ62との間の摩擦によって離脱規制部材60が緩み方向へ連れ周りすることが懸念される。しかし、第1雄ネジ部38と第1雌ネジ部46の螺旋ピッチは、第3雄ネジ部63と第3雌ネジ部28の螺旋ピッチよりも大きいので、離脱規制部材60は、連れ回りすることなく回転不能にロックされる。これにより、ロック部材11の離脱と離脱規制部材60の緩みが確実に防止される。
<パイプPの接続>
管継手JaにパイプPを接続する際には、予め、図3に示すように、離脱規制部材60を継手本体部16から外しておく。そして、作業者は、一方の手でハウジング15を掴み、他方の手でパイプPを掴んで挿入空間23内に挿入し、パイプPの前端を前部テーパ面29に当接させて、パイプPを前止まり状態とする。この後、一旦ハウジング15から手を離し、その手で締付ナット36を右回転させて締付け方向(前方)へねじ込んでいく。
締付ナット36をねじ込むと、保持溝50の前後寸法が小さくなり、弾性リング34が、切欠部45と小径部47との間で前後に潰され、弾性リング34の内径が小さくなっていく。これにより、弾性リング34が、パイプPの外周に対し全周に亘って弾性的に当接する。この弾性的な当接に起因する摩擦抵抗により、パイプPが、ロック部材11に対して前後方向への相対移動を規制され、図4に示すように、継手本体部16に対して離脱を規制された状態で保持される。
パイプPを保持した後は、締付ナット36の嵌合部48とハウジング15の外面に汎用工具120を嵌め、締付ナット36を前方(締付け方向)へ移動するように右回転させていく。このとき、締付けナット36の小径部47が固定部材66aの後端面に当接しているので、固定部材66aは、直接回転力を付与されなくても、締付ナット36と一体となって回転する。このようにして、締付部材32が締付け方向にねじ込まれ、このねじ込み作業は、図5に示すように、突当部42が検知用受け部26に突き当たって、締付部材32のねじ込みが規制されるまで続けられる。
締付部材32のねじ込みが進む過程で、固定部材66aの押圧面44がフェルール33の受圧面55に当接し、それ以降は、押圧面44が受圧面55を軸方向に押圧することにより、フェルール33が、継手本体部16に対して相対的に前方へ押し動かされる。これに伴い、筒状締付部52が、後部テーパ面31上を摺接しながらその傾斜によって縮径するように塑性変形していく。
そして、筒状締付部52が縮径変形すると、第1食い込み部56と第2食い込み部57が、パイプPの外周に対し、全周に亘って楔のように食い込んで軸方向への相対変位を規制する。この食い込み作用により、フェルール33の内周とパイプPの外周との間が、軸方向(パイプPの長さ方向)に間隔を空けた前後2箇所おいて気密状にシールされるとともに、パイプPの後方への抜けを規制された状態にロックされる。
また、筒状締付部52の外周面における前端部が、塑性変形した状態で後部テーパ面31に対し全周に亘って気密状に密着するとともに、継手本体部16の角縁部27が、フェルール33のシール面54に対し全周に亘って塑性変形(潰れ変形)した状態で気密状に密着する。この密着作用によって、フェルール33の外周と継手本体部16の内周との間が、軸方向に間隔を空けた前後2箇所おいて気密状にシールされる。
上記の気密状の食い込み状態と気密状の密着状態は、縮径手段22が、管継手JaとパイプPとを正しく接続した正規シール状態(正規の締付け状態)を意味する。正規シール状態では、食い込み部分及び密着部分において、互いに当接し合う部位が塑性変形するので、パイプPと管継手Jaとの間における冷媒の漏れが確実に阻止される。
また、締付部材32が締付け方向にねじ込まれる過程では、突当部42が検知用受け部26に到達する直前に、縮径手段22が正規シール状態となる。縮径手段22が、不完全シール状態(筒状締付部52がパイプPに気密状に食い込まない状態)から正規シール状態へ移行した時点では、作業者は、外観上、正規の締め付け状態になっていることを視認することはできない。しかし、作業マニュアルでは、突当部42が検知用受け部26に突き当たるまで、目視確認しながら締付部材32(締付ナット36)の締付けを続けるように定められている。したがって、非熟練者であっても、作業マニュアルに従って締付部材32の締付け作業を行えば、パイプPを正規シール状態となるように接続することができる。
<実施例1の作用、効果>
上述のように、本実施例1の管継手Ja(閉鎖バルブA)は、継手本体部16にねじ込みにより取り付けられる筒状の固定部材66aと、固定部材66aを締め付け方向に回転させてねじ込んだときに、固定部材66aから軸方向の押圧力を受けることで、継手本体部16の内周とパイプPの外周との間を気密状にシールするフェルール33と、外周に形成した嵌合部48に汎用工具120を嵌合して回転させることにより、固定部材に締付け方向の回転力を付与することが可能な締付けナット36とを備えている。したがって、嵌合部48に汎用工具120を嵌合して締付ナット36を回転させ、締付ナット36から固定部材66aへ締付け方向の回転力を付与すると、固定部材66aがフェルール33を押圧し、継手本体部16の内周とパイプPの外周との間が気密状にシールされ、流路17とパイプPが接続される。
パイプPを管継手Jaに接続した後、誤って、締付ナット36に緩み方向への回転力を付与した場合、締付ナット36は緩み方向へ回転するが、固定部材66aに関しては、金属同士の食い込みによる緩み止め手段41が設けられているので緩み方向へ回転することはない。緩み止め手段41として機能する金属同士の食い込み構造は、継手本体部16の角縁部27とフェルール33のシール面54との間の食い込み構造、フェルール33の受圧面55と固定部材66aの押圧面44との間の食い込み構造、継手本体部16の前部テーパ面29とパイプPの前端部との間の食い込み構造、及びパイプPの外周とフェルール33の第1食い込み部56及び第2食い込み部57との間の食い込み構造である。したがって、締付ナット36に付与された回転力が固定部材66aに伝達されても、上記の食い込み構造により、固定部材66aの緩みが確実に防止される。
しかも、固定部材66aの外周は、空転可能なカバー110aで包囲されているので、汎用工具120をカバー110aの外周に嵌めて緩み方向の回転力を付与しても、カバー110aが空回りするだけであって、固定部材66aに汎用工具120の回転力が伝達されることはない。尚、汎用工具120によってカバー110aが破壊されて固定部材66aから離脱したり、カバー110aが後方へ大きく移動していた場合には、固定部材66aの外周が露出することになる。しかし、固定部材66aの外周は、真円形の円周面領域40と真円形の弛緩用雄ネジ部68と真円形の第1雄ネジ部38で構成されている。したがって、固定部材66aの外周に汎用工具120を直接、嵌めて緩み方向の回転力を付与しようとしても、汎用工具120は滑ってしまう。この真円形の滑り作用に加えて、金属同士の食い込みによる緩み止め手段41により、固定部材66aを回転させることはできない。
上述のように、本実施例1の管継手Ja(閉鎖バルブA)は、汎用工具120を用いて固定部材66aに回転力を付与したときに、固定部材66aの緩み方向への回転を規制して、フェルール33による気密シール状態を維持する緩み止め手段41を備えている。したがって、パイプPを接続した状態において汎用工具120で固定部材66aに回転力を付与しても、緩み止め手段41により、固定部材66aはフェルール33への押圧を解除する緩み方向へ回転することが規制される。本実施例1によれば、フェルール33による気密シール性能の信頼性に優れている。
<ロック部材11とパイプPの離脱>
本実施例1の管継手Ja(閉鎖バルブA)は、ロック部材11とパイプPを管継手Ja(継手本体部16)から外してフェルール33による気密シール状態を解除するための手段として、継手本体部16と固定部材66aのねじ込み方向とは逆ねじれであって固定部材66aの外周に形成された弛緩用雄ネジ部68と、弛緩用雄ネジ部68にねじ込み可能な弛緩用工具130と、弛緩用工具130を弛緩用雄ネジ部68にねじ込んで固定部材66aの締付け方向とは逆向きに回転させたときに、弛緩用工具130を当接させてそれ以上のねじ込みを規制する受圧部39とを設けている。
離脱作業の際には、まず、汎用工具120を用い、図6に示すように、締付けナット36を緩めて固定部材66aから外し、後方へスライドさせておく。締付けナット36を緩める時には、汎用工具120と締付けナット36の回転力が固定部材66aに付与されるが、固定部材66aは、緩み止め手段41によって緩まずに継手本体部16に固定された状態に保たれる。締付けナット36を固定部材66aから外した後は、図7に示すように、カバー110aを露出位置へスライドさせて弛緩用雄ネジ部68を露出させるとともに、弛緩用工具130を固定部材66aの後方に同軸状に待機させる。このとき、弛緩用工具130には連通部131が形成されているので、弛緩用工具130を上下左右のいずれかの方向からパイプPに接近させて、連通部131にパイプPを通過させればよい。したがって、パイプPを切断する必要がない。
この後、弛緩用工具130を、左向き(固定部材66aの締付け時の回転方向とは逆の向き)に回転させながら弛緩用雄ネジ部68にねじ込んで前方へ移動させ、規制用突当部134を受圧部39に当接させる(図8を参照)。弛緩用工具130を回転させる作業は、弛緩用工具130を直接手で掴んで行ってもよく、汎用工具120を弛緩用嵌合部132に嵌めて行ってもよい。受圧部39に当接した弛緩用工具130は、それ以上のねじ込み動作、つまり固定部材66aに対する相対回転と軸方向(前方)への相対移動が規制される。
この状態から、弛緩用嵌合部132に汎用工具120を嵌めて、緩み止め手段41による回転規制力を上回る左向きの回転力を弛緩用工具130に付与する。すると、弛緩用工具130が更に左向き(規制用突当部134を受圧部39に押し付ける方向)に回転し、固定部材66aは、弛緩用工具130と一体となって、左向き(締付け方向とは逆の緩み方向)に回転させられる。固定部材66aが緩み方向に回転すると、フェルール33が固定部材66aによる押圧状態から解放されるので、フェルール33による気密シール状態が解除される。弛緩用工具130によって固定部材66aを更に緩み方向へ回転させると、図9に示すように、固定部材66aとフェルール33と弛緩用工具130とパイプPが、一体となって継手本体部16から離脱される。カバー110aは継手本体部16側に残される。
上述のように、本実施例1の管継手Jaによれば、汎用工具120だけを用いてもフェルール33による気密性能が失われず、必要が生じたときには弛緩用工具130と汎用工具120とを併用することにより、フェルール33による気密を解除することができる。
また、本実施例1の管継手Jaは、弛緩用工具130が、全体として略C字形をなす単一部品からなっていて、弛緩用工具130の内周には、弛緩用雄ネジ部68にねじ込み可能な弛緩用雌ネジ部133が形成されている。また、弛緩用工具130には、周方向における一部を切欠して外周と内周とを連通させた形態であり、切欠寸法がパイプPの外径よりも大きく設定された連通部131が形成されている。この構成によれば、弛緩用工具130を弛緩用雄ネジ部68にねじ込む際には、パイプPを切断しなくても、連通部131にパイプPを通過させることにより、弛緩用工具130を弛緩用雄ネジ部68と同軸状に配置することができる。
また、本実施例1の管継手Jaは、固定部材66aの外周には、弛緩用雄ネジ部68を覆い隠す保護位置と、弛緩用雄ネジ部68を露出させる露出位置との間で移動可能なカバー110aが取り付けられている。したがって、弛緩用雄ネジ部68に弛緩用工具130をねじ込まない状態では、弛緩用雄ネジ部68をカバー110aによって保護しておくことができる。
本実施例1の管継手Ja(閉鎖バルブA)は、挿入空間23に挿入されたパイプPに当接することでパイプPを抜止め状態に保持可能な保持手段として弾性リング34を備えている。この構成によれば、挿入空間23に挿入されたパイプPを抜止め状態に保持することができる。したがって、挿入空間23にパイプPを挿入してから締付部材32の締付け作業を開始するまでの間に、パイプPが挿入空間23から抜け出る虞がなく、作業性に優れている。また、弾性リング34は、挿入空間23内に臨む位置に配されていて、管継手の外面に露出していないので、異物の干渉から保護されている。
また、締付部材32が、フェルール33に当接して押圧力を付与する筒状の固定部材66aと、固定部材66aにねじ込まれ、締付け方向のねじ込み力を付与されることで固定部材66aにフェルール33側への押圧力を付与する締付ナット36とを備えて構成されている。そして、弾性リング34が、固定部材66aと締付ナット36との間で軸線方向に挟まるように配され、締付ナット36を締付け方向にねじ込むことで縮径変形してパイプPの外周に密着するようになっている。したがって、パイプPを挿入する前は、弾性リング34を縮径しない状態にしておけば、パイプPの挿入時の摩擦抵抗が低減されるので、作業性が良好となる。パイプPを挿入した後は、締付ナット36を締付け方向にねじ込めば、弾性リング34によってパイプPを抜止め状態に保持することができる。
また、継手本体部16の内周には、パイプPの挿入方向前方に向かって縮径した形態であって、挿入空間23に正規挿入されたパイプPの先端を当接させる前部テーパ面29が形成され、弾性リング34が、パイプPの挿入方向において前部テーパ面29よりも後方に配されている。この構成によれば、挿入空間23に正規挿入されたパイプPは、その先端を前部テーパ面29に当接させるとともに、弾性リング34によって抜止め状態に保持される。前部テーパ面29への当接位置と弾性リング34による保持位置は、パイプPの挿入方向に間隔を空けているから、パイプPは、軸線に対して傾くことなく安定した姿勢に保たれる。
本実施例1の閉鎖バルブAは、締付部材32がフェルール33に押圧力を付与しない状態で、締付部材32が継手本体部16から離脱するのを規制するための離脱規制部材60を備えている。したがって、締付部材32は、緩み方向の外力を受けても、継手本体部16から離脱することはない。また、離脱規制部材60の筒状本体部61は、パイプPが挿入される挿入空間23内に収容される。したがって、挿入空間23への異物の侵入が阻止され、異物によるフェルール33の傷付きが防止される。また、離脱規制部材60は、流路17内の冷媒が挿入空間23を通って外部へ漏出することを防止する封止部材として機能するので、封止部材を離脱規制部材60とは別に設ける場合に比べると、部品点数が少なくなっている。
<実施例2>
図12,13には、本発明の実施例2の管継手Jbを示す。本実施例2の管継手Jbは、室内機D(請求項に記載の熱交換機器)に取り付けられる単機能タイプの継手手段であり、パイプPを介すことにより、実施例1の閉鎖バルブAの管継手Jaに接続される。管継手Jbを構成する継手本体部16bは、室内機Dの冷媒用の流通路に接続される。管継手Jbを構成する固定部材66bとカバー110bは、実施例1のものとは異なっている。本実施例2の固定部材66bは、カバー110bが固定部材66bに対して前方へ相対変位するのを規制する手段として、円周面領域40bが前方に向かって次第外径寸法が大きくなるようなテーパ状に形成されている。
カバー110bの前端部内周面には、テーパ状の円周面領域40bと面当たり可能なテーパ状位置決め面111bが形成されている。また、カバー110bが固定部材66bに対して後方へ相対変位するのを規制する手段として、締付ナット36の外周に形成した段差状受け部36bを、カバー110bに対して後方から当接又は接近して対向させている。パイプPを管継手Jbから外すために、締付ナット36を固定部材66bから外すと、カバー110bは固定部材66bに対して後方へ変位し、これにより、弛緩用雄ネジ部68が露出する。尚、上記以外の構成及び作用、効果については、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
<実施例3>
図14,15には、実施例3の管継手Jc示す。本実施例3の管継手Jcも、実施例2と同じく、室内機Dに取り付けられる。この管継手Jcを構成する固定部材66cとカバー110cは、実施例1のものとは異なっている。本実施例3では、カバー110cを前後方向に位置決めする手段として、固定部材66cの大径部67cの後端面と、締付ナット36の段差状受け部36cとの間で、カバー110cの後端部内周に形成した周方向の位置決めリブ111cを挟む構成となっている。締付ナット36を固定部材66cから外すと、カバー111cは固定部材66cに対して後方へ変位し、これにより、弛緩用雄ネジ部68が露出する。尚、上記以外の構成及び作用、効果については、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
<実施例4>
図16には、実施例4の管継手Jdを示す。本実施例4の管継手Jdも、実施例2,3と同じく、室内機Dに取り付けられる。本実施例4の管継手Jdを構成する固定部材66dは、弛緩用雄ネジ部68dが、大径部67dの外周の全長に亘って形成されている。本実施例4のカバー110dは、実施例3のカバー110cと同一の形態であり、位置決めリブ110dを有する。尚、上記以外の構成及び作用、効果については、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
<実施例5>
図17には、実施例5の管継手Jeを示す。本実施例5の管継手Jeも、実施例2〜4と同じく、室内機Dに取り付けられる。本実施例5の管継手Jeを構成する固定部材66eとカバー110eは、実施例1と同一形態のものであるが、継手本体部16eは実施例1とは異なる。本実施例5の継手本体部16eの拡径部25eの外周前端部、つまり弛緩用雄ネジ部68よりも前方の位置には、周方向に沿ってリブ状に突出した形態の前止まり部26eが形成されている。
継手本体部16eの外周のうち前止まり部26e(拡径部25e)よりも前方の領域は、拡径部25eよりも細い治具嵌合部140eとなっている。この治具嵌合部140eの外周には、汎用工具(図示省略)を嵌合させるための周知形態の平行2面(図示省略)を有している。締付ナット36を固定部材66eから外すと、カバー110eは、固定部材66eに対しその拡径部25eを覆い隠すように前方へ変位する。そして、カバー110eが前止まり部140eに突き当たるまで前進すると、カバー110eで覆い隠されていた弛緩用雄ネジ部68が露出する。尚、上記以外の構成及び作用、効果については、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
<実施例6>
図18には、実施例6の管継手Jfを示す。本実施例6の管継手Jfも、実施例2〜5と同じく、室内機Dに取り付けられる。本実施例6の管継手Jfを構成する固定部材66fとカバー110fは、実施例1,5と同一形態のものであるが、継手本体部16fは実施例1,5とは異なる。本実施例6の継手本体部16fの拡径部25fの外周には、カバー110fの前進を阻止するための前止まり部26fが形成されている。前止まり部26fは、前後方向における拡径部25fのほぼ中央位置、つまり、弛緩用雄ネジ部68よりも前方の位置に形成され、拡径部25fの外周を段差状に成形したものである。
拡径部25fの外周のうち前止まり部26fよりも前方の領域は、汎用治具(図示省略)を嵌合させるための正六角形断面をなす治具嵌合部140fとなっている。締付ナット36を固定部材66fから外すと、カバー110fは、固定部材66fに対しその拡径部25fのうちの前止まり部26fよりも後方の領域を覆い隠すように前方へ変位する。そして、カバー110fが前止まり部26fに突き当たるまで前進すると、カバー110fで覆い隠されていた弛緩用雄ネジ部68が露出する。尚、上記以外の構成及び作用、効果については、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
<実施例7>
図19には、実施例7の管継手Jgを示す。本実施例7の管継手Jgは、実施例1の室外機Bに接続したパイプPと、実施例2〜6の室内機Dに接続したパイプPとを中継するための継手手段として適用したものである。本実施例7の管継手Jgは、内部が貫通形態の流路17gとなっている継手本体部16gを有する。継手本体部16gの外周には、汎用工具(図示省略)を嵌合させるための治具嵌合部140gが形成されている。継手本体部16gの上流端側の開口と下流端側の開口には、夫々、実施例1と同じ形態の継手機能部12が組み付けられてる。この継手本体部16gと一対の継手機能部12とにより、本実施例7の管継手Jgが構成されている。そして、これらの継手機能部12に、夫々、パイプPが接続される。
尚、本実施例7の管継手Jgの変形例としては、継手本体部16gの流路17gを複数に分岐した形態の管継手(図示省略)とすることができる。この場合のパイプPの接続形態としては、例えば、室外機B側のパイプPの接続本数を1本とし、室内機D側のパイプPの接続本数を複数本とし、管継手を分岐配管用の継手手段として使用することも可能である。尚、上記以外の構成及び作用、効果については、実施例1と同様であるから、説明を省略する。
<参考例1>
図20〜28には、本発明の参考例1の管継手Jhを示す。本参考例1の管継手Jhと上記実施例1の管継手Jaとは、以下の点で相違する。実施例1の管継手Jaの固定部材には、左ネジの弛緩用雄ネジ部68と位置決め溝69が形成されていたのに対し、本参考例1の管継手Jhの固定部材35には、弛緩用雄ネジ部68と位置決め溝69が形成されていない。実施例1の管継手Jaには、固定部材66aを相対回転可能に包囲するカバー110aが設けられていたのに対し、本参考例1の管継手Jhには、固定部材35を包囲するカバー110aは設けられていない。
上記の相違点を有する本参考例1の作用効果は、次の通りである。パイプPを管継手Jh(継手機能部12)に接続した後、誤って、締付ナット36に緩み方向への回転力を付与した場合、図25に示すように締付ナット36は緩み方向へ回転するが、固定部材35に関しては、金属同士の食い込みによる緩み止め手段41が設けられているので緩み方向へ回転することはない。また、汎用工具を固定部材35に嵌めても、固定部材35の外周面は円形断面の円周面領域40であることに加え、金属同士の食い込みによる緩み止め手段41により、固定部材35に回転力を付与することはできない。
図28に示すように、緩み止め手段41として機能する金属同士の食い込み構造は、継手本体部16の角縁部27とフェルール33のシール面54との間の食い込み構造、フェルール33の受圧面55と固定部材35の押圧面44との間の食い込み構造、図24に示す継手本体部16の前部テーパ面29とパイプPの前端部との間の食い込み構造、及び図28に示すパイプPの外周とフェルール33の第1食い込み部56及び第2食い込み部57との間の食い込み構造である。これらの食い込み構造により、固定部材35の緩みが確実に防止される。
このように、本参考例1の管継手Jhによれば、パイプPを接続した状態で締付ナット36が緩み方向に回転しても、固定部材35は、緩み止め手段41によってフェルール33への押圧を解除する方向へ変位することが規制されている。したがって、フェルール33によるシール状態が維持され、シール性能の信頼性に優れている。
<参考例2>
図29には、本発明の参考例2を示す。締付ナット70の外周は、正六角形ではなく、全体として円形をなすため、汎用工具(図示省略)では締付ナット70を回転させることはできない。締付ナット70の外周には、周方向に間隔を空けた複数の凹み部71が形成されている。この凹み部71には、専用工具72の凸部73が嵌合される。凹み部71に凸部73を嵌合して専用工具72を旋回させると、締付ナット70を締め付けたり緩めたりすることができる。本参考例2では、汎用工具を用いることができないので、締付ナット70が不用意に緩められる虞はない。尚、凹み部71は、固定部材(図示省略)の外周に形成してもよい。
<参考例3>
図30には、本発明の参考例3を示す。締付ナット74の外周は、正六角形ではなく、全体として楕円形をなすため、汎用工具(図示省略)では締付ナット74を回転させることはできない。締付ナット74の外周には、周方向に間隔を空けた複数の凹み部75が形成されている。この凹み部75には、専用工具76の凸部77が嵌合される。凹み部75に凸部77を嵌合して専用工具76を旋回させると、締付ナット74を締め付けたり緩めたりすることができる。
また、専用工具76に替えて、リング形の専用アダプタ78を用いることができる。専用アダプタ78の内周には、凸部79が形成されている。専用アダプタ78の外周は正六角形をなしている。凹み部75に凸部79を嵌合することによって、専用アダプタ78を、締付ナット74に一体回転し得るように組み付け、専用アダプタ78の外周に汎用工具(図示省略)を嵌合すれば、締付ナット74を締め付けたり緩めたりすることができる。
締付ナット74の締付けを行った後、専用アダプタ78を締付ナット74から外しておけば、締付ナット74が不用意に緩められる虞はない。尚、凹み部75を固定部材(図示省略)の外周に形成し、専用工具76又は専用アダプタ78を用いて固定部材を締め付けたり緩めたりしてもよい。
<参考例4>
図31には、本発明の参考例4の締付部材80を示す。締付部材80は、フェルール(図示省略)に当接して押圧力を付与する固定部材81と、固定部材81の後端に同軸状に繋がった形態の締付ナット82とを一体に形成した形態である。締付ナット82の外周は正六角形をなしている。汎用工具(図示省略)を締付ナット82に嵌合することにより、締付部材80を締付け方向に回転させることができる。
管継手とパイプが接続されて固定部材81の突当部(図示省略)が継手本体部(図示省略)の検知用受け部に突き当たった状態から、更に締付ナット82に締付け方向の回転力を付与すると、固定部材81と締付ナット82とを繋ぐ肉薄の連結部83が破壊され、締付ナット82が固定部材81から離脱するようになっている。締付ナット82には、その周方向における一部を切欠した形態であって、締付ナット82の内周と外周とを連通させる連通部(図示省略)が形成されているので、固定部材81から離脱した締付ナット82は、パイプ(図示省略)から外すことができる。
<参考例5>
図32には、本発明の参考例5の締付部材84を示す。締付部材84は、フェルール(図示省略)に当接して押圧力を付与する固定部材85と、固定部材85に同軸状に繋がった形態の締付ナット86とを一体に形成した形態である。締付ナット86の前端部は、固定部材85の外周に繋がっている。締付ナット86の外周は正六角形をなしている。汎用工具(図示省略)を締付ナット86に嵌合することにより、締付部材84を締付け方向に回転させることができる。
管継手とパイプが接続されて固定部材85の突当部(図示省略)が継手本体部(図示省略)の検知用受け部に突き当たった状態から、更に締付ナット86に締付け方向の回転力を付与すると、固定部材85と締付ナット86とを繋ぐ肉薄の連結部87が破壊され、締付ナット86が固定部材85から離脱するようになっている。締付ナット86には、その周方向における一部を切欠した形態であって、締付ナット86の内周と外周とを連通させる連通部(図示省略)が形成されているので、固定部材85から離脱した締付ナット86は、パイプ(図示省略)から外すことができる。
<参考例6>
図33には、本発明の参考例6を示す。締付ナット88の外周は、120°の角度をなして隣り合うように配した6つの平面89を有し、全体として概ね正六角形をなす。各平面89には、その周方向における一方の端部(図33の時計回り方向における後方の端部)には、径方向外向きに突出するストッパ90が形成されている。各平面89の周方向における他方の端部は、隣り(図33の時計回り方向における前方)に位置する平面89のストッパ90と面一状に繋がっている。
締付ナット88の外周には、互いに平行な一対の嵌合面92を有する汎用工具91を嵌合する。図33における上側の嵌合面92は、図33における上向きの平面89に面当たり状態で嵌合する。また、図33における下側の嵌合面92は、図33における下向きの平面89に対して隙間を空けるとともに、この下向きの平面89から突出するストッパ90の突出端に当接した状態となる。
この状態で、汎用工具91を締付け方向(図33の反時計回り方向)に旋回させると、汎用工具91の先端が上向きの平面89から突出するストッパ90に突き当たるので、締付ナット88を締付け方向に回転させることができる。汎用工具91を緩み方向(図33における時計回り方向)に旋回させた場合は、下向きの平面89と下側の嵌合面92との間に隙間があるので、下向きの平面89のストッパ90の突出端を支点として、汎用工具91が回転する。このとき、上側の嵌合面92が上向きの平面89から離間しながら、汎用工具91が滑ってしまうので、締付ナット88を緩めることはできない。尚、この締付ナット88の外周形状は、固定部材(図示省略)の外周に適用してもよい。
<参考例7>
図34には、本発明の参考例7を示す。固定部材93には、合成樹脂製の締付ナット94がねじ込まれている。締付ナット94の外周は正六角形をなす。汎用工具(図示省略)を用いて締付ナット94を回転させると、締付ナット94と固定部材93が一体となって締付け方向へ回転させることができる。そして、管継手とパイプが接続されて固定部材93の突当部(図示省略)が継手本体部(図示省略)の検知用受け部に突き当たった状態から、更に締付ナット94に締付け方向の回転力を付与すると、合成樹脂製の締付ナット94が破壊して固定部材93から離脱するようになっている。固定部材93の外周は円形なので、汎用工具によって固定部材93を緩めることはできない。
<参考例8>
図35には、本発明の参考例8を示す。継手本体部95の外周のうち第2雄ネジ部96の前端と検知用受け部97との間の領域は、第2雄ネジ部96の最大外径よりも小径となっている。固定部材98の前端部内周の溝部99には、弾性変形可能な略C字形をなす係止リング100が取り付けられている。係止リング100の弾性変形していない状態の最小内径は、第2雄ネジ部96の最大外径よりも小さい寸法である。固定部材98の前端の突当部101が検知用受け部97に突き当たって、管継手とパイプが接続された状態では、係止リング100が第2雄ネジ部96の前端に対して前方から係止する。この係止作用により、固定部材98は、後方、つまり緩み方向への移動を規制される。
<参考例9>
図36には、本発明の参考例9を示す。管継手Cは室内機Dに取り付けられている。この管継手Cは、パイプPを介すことにより、実施例1の閉鎖バルブAの管継手Jaに接続される。この管継手Cは、実施例1と同じ継手機能部12と、締付部材32の締付けを行う前にパイプPを継手本体部に保持するための弾性リング34と、パイプPを接続した後で固定部材66が緩まないようにするための緩み止め手段41とを有する。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、第2雄ネジ部と第2雌ネジ部を右ネジとし、弛緩用雄ネジ部と弛緩用雌ネジ部を左ネジとしたが、第2雄ネジ部と第2雌ネジ部を左ネジとし、弛緩用雄ネジ部と弛緩用雌ネジ部を右ネジとしてもよい。
(2)上記実施例1では、弛緩用工具を単一部品としたが、弛緩用工具は、独立部品である2つの半割体を合体させたものであってもよい。この場合、2つの半割体をヒンジで連結してもよい。
(3)上記実施例1〜7では、弛緩用雄ネジ部を固定部材の外周に形成したが、これに限らず、固定部材の外周部を筒状にして、この筒状部の内周に雌ネジからなる弛緩用ネジ部を形成してもよい。この場合、弛緩用工具には、外周に雄ねじを形成すればよい。
(4)上記実施例1では、弛緩用工具の外周を、汎用工具を嵌合させるために多角形に形成したが、これに限らず、弛緩用工具の外周に、径方向に突出するレバー状の操作部を一体に形成してもよい。このようにすれば、操作部を掴むことによって弛緩用工具を弛緩用ネジ部にねじ込むことができるので、汎用工具が不要となる。
(5)上記実施例1〜7では、弛緩用雄ネジ部を覆い隠すカバーが空転するようにしたが、カバーは空転しない形態であってもよい。
(6)上記実施例1〜7では、弛緩用雄ネジ部を覆い隠すための手段としてカバーを用いたが、弛緩用雄ネジ部は、締付ナットで覆い隠すようにしてもよい。
(7)上記実施例1〜7では、弛緩用雄ネジ部を、不使用時にはカバーで覆い隠したが、弛緩用雄ネジ部は、常時、露出させておいてもよい。
(8)上記実施例1では、締付ナットの外周の嵌合部の断面形状を正六角形としたが、締付ナットの外周の断面形状は、汎用工具の嵌合が可能であれば、正六角形以外の正多角形(例えば、正三角形)であってもよい。
(9)上記実施例1〜7では、締付ナットを固定部材にねじ込み、固定部材を継手本体部にねじ込むようにしたが、締付ナットを継手本体部に直接ねじ込んでもよい。この場合、締付ナットを固定部材にねじ込まなくてもよい。
(10)上記実施例1〜7では、継手本体部(ハウジング)、フェルール、固定部材、締付ナットの材料を、黄銅製としたが、これらの部材の少なくとも一部は、黄銅以外の金属(例えば、アルミニウム、アルミ合金)としてもよい。
(11)上記実施例1では、離脱規制部材の材料を黄銅としたが、離脱規制部材60は、黄銅以外の金属(例えば、アルミニウム、アルミ合金)製でもよく、合成樹脂製でもよく、金属部材と合成樹脂部材とを組み合わせたものでもよい。
(12)上記実施例1では、第2雄ネジ部と第2雌ネジ部の螺旋ピッチを、第1雄ネジ部と第1雌ネジ部の螺旋ピッチより大きくしたが、双方の螺旋ピッチの大小関係は実施例1,2とは逆であってもよく、双方の螺旋ピッチが同じであってもよい。
(13)上記実施例1では、第1雄ネジ部と第1雌ネジ部の螺旋ピッチを、第3雄ネジ部と第3雌ネジ部の螺旋ピッチより大きくしたが、双方の螺旋ピッチの大小関係は実施例1と逆であってもよく、双方の螺旋ピッチが同じであってもよい。
(14)上記実施例1では、第2雄ネジ部と第2雌ネジ部の螺旋ピッチを、第3雄ネジ部と第3雌ネジ部の螺旋ピッチより大きくしたが、双方の螺旋ピッチの大小関係は実施例1と逆であってもよく、双方の螺旋ピッチが同じであってもよい。
(15)上記実施例2〜6では、室内機用の管継手について説明したが、この実施例2〜6における固定部材とカバーの構造は、実施例1のような室外機用の閉鎖バルブを構成する管継手として適用することが可能であるとともに、実施例7のような中継用の継手手段として適用することも可能である。
A…閉鎖バルブ
B…室外機(熱交換器)
C,Ja,Jb,Jc,Jd,Je,Jf,Jg,Jh…管継手
D…室内機(熱交換器)
P…パイプ
15…ハウジング
16,16b,16e,16f,16g…継手本体部
17,17g…流路
20…第1弁体(弁体)
21…第2弁体(弁体)
33…フェルール
35,66a,66b,66c,66d,66e,66f…固定部材
66,81,85,93…固定部材
36,82,86,88,94…締付ナット
39…受圧部(ねじ込み規制部)
41…緩み止め手段
48…嵌合部
68,68d…弛緩用雄ネジ部(弛緩用ネジ部)
110a,110b,110c,110d,110e,110f…カバー(緩み止め手段)
120…汎用工具
130…弛緩用工具
131…連通部
133…弛緩用雌ネジ部
134…規制用突当部(ねじ込み規制部)

Claims (5)

  1. 熱交換機器の冷媒の流路と連通可能な形態であり、パイプが挿入される筒状の継手本体部と、
    前記継手本体部にねじ込みにより取り付けられる筒状の固定部材と、
    前記固定部材を締め付け方向に回転させてねじ込んだときに、前記固定部材から軸方向の押圧力を受けることで、前記継手本体部の内周と前記パイプの外周との間を気密状にシールするフェルールと、
    外周に形成した嵌合部に汎用工具を嵌合して回転させることにより、前記固定部材に締付け方向の回転力を付与することが可能な締付けナットとを備えた管継手であって、
    前記固定部材の外周に形成され、前記継手本体部と前記固定部材のねじ込み方向とは逆ねじれの弛緩用ネジ部と、
    弛緩用工具を前記弛緩用ネジ部にねじ込んで前記固定部材の締付け方向とは逆向きに回転させたときに、前記弛緩用工具を当接させてそれ以上のねじ込みを規制するねじ込み規制部とを備えていることを特徴とする管継手。
  2. 前記固定部材に、前記弛緩用ネジ部を覆い隠す保護位置と、前記弛緩用ネジ部を露出させる露出位置との間で移動可能なカバーが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の管継手。
  3. 汎用工具を用いて前記固定部材に回転力を付与したときに、前記固定部材の緩み方向への回転を規制して、前記フェルールによる気密シール状態を維持する緩み止め手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管継手。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の前記管継手と、
    前記流路を有し、前記熱交換機器に取り付けられるハウジングと、
    前記流路を開閉する弁体とを備え、
    前記継手本体部が前記ハウジングに形成されていることを特徴とする閉鎖バルブ。
  5. 熱交換機器の冷媒の流路と連通可能な形態であり、パイプが挿入される筒状の継手本体部と、
    前記継手本体部にねじ込みにより取り付けられる筒状の固定部材と、
    前記固定部材を締め付け方向に回転させてねじ込んだときに、前記固定部材から軸方向の押圧力を受けることで、前記継手本体部の内周と前記パイプの外周との間を気密状にシールするフェルールと、
    外周に形成した嵌合部に汎用工具を嵌合して回転させることにより、前記固定部材に締付け方向の回転力を付与することが可能な締付けナットと、
    前記固定部材の外周に形成され、前記継手本体部と前記固定部材のねじ込み方向とは逆ねじれの弛緩用ネジ部と、
    ねじ込み規制部とを備えた管継手に用いられ、
    前記弛緩用ネジ部にねじ込んで前記固定部材の締付け方向とは逆向きに回転させたときに、前記ねじ込み規制部に当接することでそれ以上のねじ込みを規制されるようになっている弛緩用工具であって、
    全体として略C字形をなす単一部品からなり、
    前記弛緩用ネジ部にねじ込み可能な弛緩用雌ネジ部と、
    周方向における一部を切欠して外周と内周とを連通させた形態であり、切欠寸法が前記パイプの外径よりも大きく設定された連通部とを備えていることを特徴とする弛緩用工具。
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