JP2013237903A - ボルト用鋼材 - Google Patents

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【課題】焼き戻し後の引張強さのばらつきが極めて小さく、かつ、1200MPa以上の引張強さを有する高強度ボルト用鋼材を提供することを目的とする。
【解決手段】鋼材の化学組成が、質量%で、C:0.30〜0.40%、Si:0.01〜0.40%、Mn:0.10〜1.0%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.005〜0.10%、Cr:0.90〜1.8%、Mo:0.10〜2.0%およびN:0.003〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、円相当径0.5μm以上の炭化物のうち円相当径1.0μm以上の炭化物の個数比率が10%以下となる組織を有するボルト用鋼材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボルト用鋼材に係り、特に、焼入れ焼戻し後に1200MPa以上の引張強さを有するとともに引張強さのばらつきが極めて小さいボルト用鋼材に関する。
近年、自動車および各種産業機械の軽量化ならびに建築構造物の大型化に伴い、高い安全性を有する高強度ボルトが求められるようになってきた。そのため、締結に必要な所定の軸力をばらつきなくボルトに付与するために、引張強さのばらつきが小さいボルト用鋼材の開発が急務の課題となっている。
特に、高い軸力を得るために、塑性域締付けを行うボルトでは、ボルトの引張強さに応じた軸力が付与されるため、ボルトの引張強さのばらつきが軸力のばらつきの主要因となる。したがって、ボルトの安全性を向上させるためには、ボルトの引張強さのばらつきを厳密に抑制する必要がある。
ボルト用鋼材、すなわちボルトの素材となる鋼としては、例えば、JIS G 4053(2008)に規定されたSCM435等のクロムモリブデン鋼が用いられる。熱間圧延後に、冷間加工性を向上させる目的で球状化焼鈍を施し、その後、伸線加工または引抜加工した後、冷間鍛造によってボルト形状に仕上げるのが一般的である。そして、最終的に所定の強度を確保するために焼入れ焼戻し処理を施してボルト製品となる。以下、伸線加工と引抜加工とを単に「伸線加工」という。
特許文献1および2には、連続冷却および恒温変態によって熱間圧延後の組織をベイナイト単一とすることで、球状化焼鈍に要する処理時間を短縮する方法が記載されている。また、特許文献3には、炭化物の球状化率を制限することによって、焼入れ前の熱処理用鋼材の加工性を良好なものとするとともに、焼入れに際しての加熱工程において炭化物の固溶を促進させることができ、低温かつ短時間の加熱でも十分に焼きが入り、高強度の成型品を製造できる性能を有する、熱処理の素材に好適な熱処理用鋼材が開示されている。
特開昭48−26618号公報 特開昭60−9832号公報 特開2011−195957号公報
特許文献1および2に記載の発明は、焼入れ焼戻し後の鋼材の引張強さのばらつきを抑制するという観点での検討は一切行われておらず、引張強さを厳密に管理する必要がある高強度のボルト用鋼材として必ずしも適当とはいえない。また、特許文献3に記載の発明は、低温かつ短時間で加熱後に焼入れが施されたとしても高い強度を得ることが可能な熱処理用鋼材に関するものである。しかしながら、焼入れ焼戻し後の鋼材の引張強さのばらつきを抑制して、塑性域締付けを行うボルトの素材として用いるには、改良の余地も残されている。
ボルト用鋼材の中でも、圧延ままの強度が高いために、冷間加工性が低い鋼材を用いる場合、冷間鍛造用の金型の寿命が低下しないよう、熱間圧延後に球状化焼鈍(以下、「1次焼鈍」ともいう。)を施し、伸線加工した後、さらに球状化焼鈍(以下、「2次焼鈍」ともいう。)を施す工程を設けて強度を十分に低減させた後、最終伸線加工および冷間鍛造を行うことが多い。
この際、二度の焼鈍を施すため、焼鈍によって球状化された炭化物が粗大化しやすくなり、粗大化した炭化物は、その後の焼き入れのための加熱時にマトリックス中に完全に溶かすことが困難になることがある。また、通常の焼き入れ炉では、炉内の温度が均一でなく、場所によって焼入れ温度に差が生じるため、炭化物の溶け残りの度合いにも差が生じ、結果的に焼戻し後のボルト製品の引張強さのばらつきが大きくなる。
さらに、一般に量産されているボルトの焼き入れ炉は、均熱温度が860〜900℃の連続炉であり、保持温度を900℃以上に上げて炭化物の固溶を促進させることは、設備制約上、困難な場合が多い。そのため、860〜900℃加熱の焼入れでも炭化物を十分に固溶させることが可能なボルト用鋼材に対する要望が強い。
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、860〜900℃加熱の焼入れにおいても、炭化物が均一に十分固溶し、焼き戻し後の引張強さのばらつきが極めて小さく、かつ、1200MPa以上の引張強さを有する高強度ボルト用鋼材を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示すボルト用鋼材にある。
(1)鋼材の化学組成が、質量%で、C:0.30〜0.40%、Si:0.01〜0.40%、Mn:0.10〜1.0%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.005〜0.10%、Cr:0.90〜1.8%、Mo:0.10〜2.0%およびN:0.003〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、円相当径0.5μm以上の炭化物のうち円相当径1.0μm以上の炭化物の個数比率が10%以下となる組織を有することを特徴とするボルト用鋼材。
(2)鋼材の化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、さらにNb:0.10%以下を含有することを特徴とする上記(1)に記載のボルト用鋼材。
本発明の高強度ボルト用鋼材は、焼入れ焼戻し後に1200MPa以上の引張強さを有するとともに引張強さのばらつきが極めて小さいので、例えば、自動車エンジン部等の重要な機械構造物の締結に用いられ、高強度かつ締結に必要な所定の軸力をばらつきなくボルトに付与することが求められるボルトの素材として好適である。
1.鋼の化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において、各元素の含有量の「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.30〜0.40%
Cは、焼入れ性を高めて強度を向上させる作用を有する。十分な焼入れ性を得て1200MPa以上の引張強さを安定かつ確実に得るためには、0.30%以上のCを含有させる必要がある。しかしながら、0.40%を超える量のCを含有させても、炭化物が粗大化しやすくなり、焼入れ時の炭化物の固溶が困難となる。したがって、Cの含有量を0.30〜0.40%とした。なお、Cの強度向上作用を十分に発揮させるためには、C含有量の下限を0.32%とすることが望ましく、この場合には1300MPa以上の引張強さを安定かつ確実に確保することができる。一方、炭化物の粗大化を確実に防止するには、C含有量の上限を0.38%とすることが望ましい。
Si:0.01〜0.40%
Siは脱酸に有効な元素であり、この効果を十分に発揮させるためには、0.01%以上を含有させる必要がある。一方、0.40%を超えて含有させると、冷間鍛造によるボルトへの成形性が著しく低下する。したがって、Siの含有量を0.01〜0.40%とした。Siの脱酸作用をより十分に発揮させるためには、0.05%以上含有させることが望ましい。冷間鍛造法でのボルト成形を容易にするためには、Si含有量の上限を0.28%とすることが望ましい。
Mn:0.10〜1.0%
Mnは焼入れ性を高めて強度を向上させる作用を有する。この効果を十分に発揮させるためには0.10%以上含有させる必要がある。一方、1.0%を超えて含有させると、炭化物への濃化が著しく、焼入れ時の炭化物の固溶を延滞させる。したがって、Mnの含有量を0.10〜1.0%とした。安定した焼入れ性を得るためには0.25%以上含有させることが望ましい。焼入れ時に炭化物を十分に固溶させるには、Mn含有量の上限は0.59%とすることが望ましく、0.55%とすることがより望ましい。
P:0.030%以下
Pは鋼中に不純物として含有され、粒界に偏析して靱性および耐遅れ破壊性を低下させ、特に、その含有量が0.030%を超えると、靱性および耐遅れ破壊性の低下が顕著になる。したがって、Pの含有量を0.030%以下とした。Pの含有量は極力低い方が望ましい。
S:0.030%以下
Sは鋼中に不純物として含有され、粒界に偏析して靱性および耐遅れ破壊性を低下させ、特に、その含有量が0.030%を超えると、靱性および耐遅れ破壊性の低下が顕著になる。したがって、Sの含有量を0.030%以下とした。Sの含有量は極力低い方が望ましい。
Al:0.005〜0.10%
AlはNと結びついて窒化物を形成し、ピンニング効果により細粒化に有効に働き、耐遅れ破壊性を改善する。その効果を十分に発揮させるためには、0.005%以上含有させる必要がある。しかしながら、Alを0.10%を超えて含有させても前記の効果は飽和し、靭性が劣化する。したがって、Alの含有量を0.005〜0.10%とした。また、より良好な靭性を確保するためには、Al含有量の上限を0.06%とすることが望ましい。なお、本発明のAl含有量とは酸可溶Al(いわゆる「sol.Al」)を指す。
Cr:0.90〜1.8%
Crは焼入れ性を高めて強度を向上させる作用を有する。1200MPa以上の引張強さを得るためには、Crを0.90%以上含有させる必要がある。しかしながら、Crを1.8%を超えて含有させても炭化物に濃化し、焼入れ時の炭化物の固溶を延滞させる。したがって、Crの含有量を0.90〜1.8%とした。さらに焼入れ時に炭化物を十分に固溶させるには、Cr含有量の上限を1.5%とすることが望ましい。
Mo:0.10〜2.0%
Moは焼入れ性を高めて強度を向上させる作用を有する。また、Moには炭化物を形成することによって析出強化に寄与し、焼戻し温度を下げることなく強度を向上させる作用もある。1200MPa以上の引張強さを得るためには、Moを0.10%以上含有させる必要がある。しかしながら、Moを2.0%を超えて含有させてもその効果は飽和してコストが嵩み、また、炭化物に濃化し、焼入れ時の炭化物の固溶を延滞させる。したがって、Moの含有量を0.10〜2.0%とした。なお、Moの強度向上作用を十分に発揮させるためには、Mo含有量の下限を0.31%とすることが望ましく、0.33%とすることがより望ましい。この場合には1300MPa以上の引張強さを確実に確保することができる。さらに焼入れ時に炭化物を十分に固溶させるには、Mo含有量の上限を1.8%とすることが望ましく、1.5%とすることがより望ましい。
N:0.003〜0.030%
NはNb、Alと結びついてNbの窒化物および炭窒化物ならびにAlの窒化物を形成し、ピンニング効果により細粒化に有効に働き、耐遅れ破壊特性を改善する。その効果を十分に発揮させるためには、0.003%以上含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が過剰になり、0.030%を超えると溶製時に窒素ブローホールが生成して加工時の疵発生の原因となりやすい。したがって、Nの含有量を0.003〜0.030%とした。なお、より良好な耐遅れ破壊特性を確保するためにはN含有量の下限を0.005%とすることが望ましい。
本発明に係るボルト用鋼材は、上記の各元素を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。ここで「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。本発明に係るボルト用鋼材は、Feの一部に代えて、さらに以下に示す量のNbを含有させても良い。
Nb:0.10%以下
Nbは、C、Nと結びついて炭化物、窒化物および炭窒化物を形成し、ピンニング効果により細粒化に有効に働き、耐遅れ破壊特性を改善するので必要に応じて含有させても良い。しかしながら、0.10%を超えて含有させるとこれらの効果が飽和するので、Nbを含有させる場合の量の上限を0.10%とする。なお、この効果を安定して発現させるためには、Nbを0.005%以上含有させるのが望ましい。
2.鋼材の組織
本発明のボルト用鋼材は、1次焼鈍、伸線加工および2次焼鈍を施した後において、円相当径0.5μm以上の炭化物のうち円相当径1.0μm以上の炭化物の個数比率が10%以下となる組織を有するものである。
炭化物の円相当径は、以下の方法によって測定することができる。ピクラールエッチングした鋼線の横断面のR/2の位置(「R」は鋼線の半径)を、走査型電子顕微鏡を用いて5000倍の倍率で観察し、無作為に選んだ6視野について撮像する。撮像された画像に対して2値化処理を施し、その画像データより炭化物の面積を求め、円相当の直径に換算した。2値化画像を用いるに際して、円相当径0.5μm以上の炭化物であれば、組織の微細な腐食むらがあっても、適正かつ正確に判別することが可能であるため、円相当径0.5μm以上の炭化物を測定対象とした。
円相当径が1.0μm以上の炭化物は、860〜900℃加熱の焼入れにおいて、特に固溶しにくく、引張強さのばらつきに与える影響が著しいため、本発明においては、円相当径が1.0μm以上の炭化物を粗大な炭化物とする。
測定対象である円相当径0.5μm以上の炭化物のうち、1.0μm以上の粗大な炭化物の個数比率は、10%以下とする必要がある。焼入れ時に炭化物を十分固溶させるためには、粗大な炭化物は少ないほど良く、粗大な炭化物の個数比率は5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
3.ボルトの製造方法
本発明に係るボルト用鋼材は、上記の化学組成および組織を満足すれば良く、その製造方法については特に制限はない。例えば、鋼材が鋼線の場合には、以下の方法で製造することによって粗大な炭化物の個数比率を低減させることができる。
上記の化学成分を有する鋼を熱間仕上げ圧延後、捲き取り、ステルモア冷却装置を用いて冷却する。その際の捲き取り温度は850℃、ステルモアコンベア終点温度は550℃とするのが望ましく、双方ともに±100℃の誤差を許容し得るものである。捲き取り温度からステルモア終点温度までの冷却速度は、2〜10℃/秒とすることが望ましい。
上記の条件で冷却することによって、圧延後の鋼材を、ベイナイトの面積率が60%以上であり、残部がフェライトおよびパーライトからなる組織とすることができる。微細な炭化物が均一に析出したベイナイトの面積率を60%以上にすることによって、球状化焼鈍した際の炭化物の粗大化を抑制することが可能となる。
球状化焼鈍に伴う炭化物の粗大化を防止するためには、1次焼鈍を2次焼鈍より低い温度条件で行うのが良い。具体的には、650℃以上720℃未満で1〜10時間保持して1次焼鈍を行い、その後、減面率5〜40%で伸線加工し、さらに、720〜780℃で1〜10時間保持して2次焼鈍を行うことが望ましい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学成分を有する鋼A〜Gの7種の鋼をいずれも転炉で溶製し、連続鋳造機で鋳片を製造した。それらの鋳片を160mm角の鋼片に分塊圧延後、1120℃で加熱し、熱間圧延によって直径18mmの線材とした。その後、850℃で捲き取り、ステルモア冷却装置によってステルモアコンベア終点温度である550℃まで、表2に示す冷却速度で風冷し、その後常温まで放冷して各試験番号について1つずつ圧延コイルを作製した。
Figure 2013237903
Figure 2013237903
なお、表1に示す化学組成を有する鋼A〜Cは、化学組成が本発明で規定する範囲内にある鋼であり、鋼D〜Gは、化学組成が本発明の規定範囲外の比較例の鋼である。
上記の熱間圧延後の各コイル端部から鋼線を5本ずつ採取した後、ナイタールエッチングしたそれぞれの鋼線の横断面のR/2部を、光学顕微鏡を用いて500倍の倍率でそれぞれの鋼線ごとに無作為に6視野観察し、計30視野におけるベイナイト面積率の平均値を求め、各試験番号におけるベイナイト面積率とした。その結果を表2に合わせて示す。
さらに、上記の圧延コイルを、それぞれ表2に示す温度で4.5時間保持して1次焼鈍を行い、直径15.8mmに伸線加工した後、755℃で4.5時間保持して2次焼鈍を行った。2次焼鈍後のコイル端部から鋼線を5本ずつ採取した後、ピクラールエッチングした鋼線の横断面のR/2部を、走査型電子顕微鏡を用いて5000倍の倍率でそれぞれの鋼線ごとに無作為に6視野について撮像し、得られた画像を2値化処理した後、計30視野における粗大な炭化物の個数比率の平均値を求め、各試験番号における粗大炭化物個数比率とした。測定結果を表2に合わせて示す。なお、測定対象は、円相当径0.5μm以上の炭化物であり、粗大炭化物とは、円相当径1.0μm以上の炭化物である。
その後、さらにコイル端部から直径15.8mm、長さ150mmの鋼線を30本採取し、設定温度に対して炉内で±30℃の温度分布を持つ熱処理内に無作為に配置し、表2に示す設定温度で30分加熱した後に油中で急冷する焼入れ処理を施した。そして、表2に示す温度で30分加熱して焼戻しを行い、引張強さ1200MPa以上の鋼線を作製した。
上記の焼入れ焼戻し処理後の鋼線から、JIS14A号引張試験片を採取し、室温での引張強さを測定した。引張試験は、30本の鋼線全てについて行い、引張強さの平均値、標準偏差および相対標準偏差(%:(標準偏差/平均値)×100)を求めた。
表2から、本発明例である試験番号1〜3は、化学組成が本発明で規定する範囲内であり、円相当径0.5μm以上の炭化物のうち円相当径1.0μm以上の粗大炭化物の個数比率が本発明で規定する条件を満たすため、引張強さの相対標準偏差が0.41〜0.54%と非常に低く、引張強さのばらつきが極めて小さいことが分かる。
一方、比較例である試験番号4〜7は、それぞれC、Mn、Cr、Moの含有量が本発明で規定する上限を超えており、その全てで粗大炭化物の個数比率が本発明の規定範囲外であるため、引張強さの相対標準偏差が0.93〜1.13%と高くなっており、十分な強度安定性が得られない結果となった。
また、比較例である試験番号8は、化学組成は本発明で規定される範囲内であるものの、圧延後の冷却速度が遅く、ベイナイトの面積率が低いことに起因して、粗大炭化物の個数比率が本発明で規定する条件を満足していない。そのため、引張強さの相対標準偏差が1.27%と高い値となった。さらに、試験番号9も、化学組成は本発明で規定される範囲内であるものの、1次焼鈍温度が高いことに起因して、粗大炭化物の個数比率が本発明で規定する条件を満足していない。そのため、試験番号8と同様に、引張強さの相対標準偏差が1.16%と高い値となった。
以上の結果から、粗大炭化物の個数比率の低い本発明例は、比較例に比べて、焼入れ焼戻し後の引張強さのばらつきを厳密に抑制できていることが明らかとなった。
本発明の高強度ボルト用鋼材は、焼入れ焼戻し後に1200MPa以上の引張強さを有するとともに引張強さのばらつきが極めて小さいので、自動車、各種産業機械および建築構造物などに使用するのに好適である。特に、自動車エンジン部等の重要な機械構造物の締結に用いられ、高強度かつ締結に必要な所定の軸力をばらつきなくボルトに付与することが求められるボルトの素材として好適である。

Claims (2)

  1. 鋼材の化学組成が、質量%で、C:0.30〜0.40%、Si:0.01〜0.40%、Mn:0.10〜1.0%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Al:0.005〜0.10%、Cr:0.90〜1.8%、Mo:0.10〜2.0%およびN:0.003〜0.030%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、円相当径0.5μm以上の炭化物のうち円相当径1.0μm以上の炭化物の個数比率が10%以下となる組織を有することを特徴とするボルト用鋼材。
  2. 鋼材の化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、さらにNb:0.10%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載のボルト用鋼材。
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