JP2013237754A - 固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液及び切削加工方法 - Google Patents

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Hirotaka Kinoshita
裕貴 木下
Kazufumi Okumura
和史 奥村
Masahiko Takamura
雅彦 高村
Hitoshi Shimada
仁志 嶋田
Seiichi Magota
誠一 孫田
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Abstract

【課題】潤滑性および浸透性に優れた固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液およびこれを用いた切削加工方法を提供する。
【解決手段】酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、モノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B2)、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物(B3)および2〜3価アルコール(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水と、を含有する固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
【選択図】なし

Description

本発明は、固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液及びこれを用いた切削加工方法に関する。
近年、ワイヤに砥粒を固定させた固定砥粒ワイヤソーが開発され、シリコンインゴット等の切削加工に用いられるようになっている。固定砥粒ワイヤソーを用いて切削加工を行う際には、潤滑、冷却、洗浄等のために、加工液が用いられている。該加工液としては従来、鉱油、合成油、油脂などの潤滑性基油を含む加工油が主に用いられてきた。しかし、加工油には環境問題や安全性の問題があるために、最近は水含有率の高い水系の加工液が望まれている。
このような要望に対し、例えば、特許文献1〜3には、グリコール類、カルボン酸、塩基性化合物および水を含有する水溶性加工液が開示されている。特許文献4では、有機アミンのアルキレンオキシド付加物、脂肪族カルボン酸、塩基性物質および水を含有する水溶性加工油剤が開示されている。特許文献5では、数平均分子量500以下のポリオキシアルキレン付加物および炭素数4〜10の1価〜2価の脂肪族カルボン酸またはその塩を含む水溶性切削液が開示されている。
特開2003−82334号公報 特開2003−82335号公報 特開2011−21096号公報 特開2009−57423号公報 特開2011−68884号公報
しかし、特許文献1〜5に開示されるような加工液は、水分を多くした場合に潤滑性や浸透性が低下して切削性能が低下する問題がある。加工液の潤滑性が低いと、被加工材料の加工部位とワイヤとの間の摩擦が増大し、固定砥粒の剥離、ワイヤの磨耗が生じやすい。また、浸透性が低いと、加工液がワイヤや加工部位に到達しにくくなり、潤滑性、冷却効率、洗浄性等が不十分となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、潤滑性および浸透性に優れた固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液およびこれを用いた切削加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、以下の態様を有する。
(1) 酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、モノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B2)、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物(B3)および2〜3価アルコール(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水と、を含有する固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
(2) 前記化合物(A)が、下記一般式(a1)で表される酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
[RO−(RO)−PO(OH)3−x …(a1)
[式(a1)中、xは1または2を表し;yは0〜14の数を表し、xが2である場合、二つのyは同一でも異なっていてもよく;Rは炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル基を表し、xが2である場合、二個のRは同一でも異なっていてもよく;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、x×yが2以上である場合、式中のx×y個のROは同一でも異なっていてもよい。]
(3) 前記水を75〜99.8質量%含有する、(1)または(2)に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
(4) 前記化合物(B)が、下記一般式(b1)で表される化合物、下記一般式(b2)で表される化合物、下記一般式(b3)で表される化合物および下記一般式(b4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
Figure 2013237754
[式(b1)中、pは2〜25の数を表し;Rは炭素数1〜22の炭化水素基を表し;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、p個のROは同一でも異なっていてもよい。式(b2)中、rは2〜6の数を表し;qは0〜15の数を表し、r個のqは同一でも異なっていてもよいがr個のqが全て0であることはなく;q×rは30以下であり;Rは多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、q×r個のROは同一でも異なっていてもよい。式(b3)中、Rは炭素数1〜18の鎖状のアルキル基、炭素数5〜18の環状のアルキル基、炭素数2〜18の鎖状のアルケニル基、炭素数5〜18の環状のアルケニル基または炭素数2〜8の鎖状のヒドロキシアルキル基を表し;RO、ROはそれぞれ炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し;s、tはそれぞれ0〜20の数を表し、s、tは同一でも異なっていてもよいが両方とも0であることはない。式(b4)中、uは2または3を表し;R10は炭素数2〜6の炭化水素基を表す。]
(5) 脆性材料の切削加工に用いられるものである、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
(6) 前記脆性材料がシリコンである、(5)に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
(7) 脆性材料を固定砥粒ワイヤソーにより切削加工する方法であって、
前記切削加工を、酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、モノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B2)、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物(B3)および2〜3価アルコール(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水と、を含有する固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液を用いて行うことを特徴とする切削加工方法。
(8) 前記脆性材料がシリコンである、(7)に記載の切削加工方法。
本発明によれば、潤滑性および浸透性に優れた固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液およびこれを用いた切削加工方法を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液(以下、単に「水溶性加工液」という。)は、固定砥粒ワイヤソーにより被加工材料を切削加工する際に用いられるものである。
本発明において「水溶性」とは、本発明の水溶性加工液を水で希釈した場合に水に溶解することを意味する。
本発明の水溶性加工液は、酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)(以下、「(A)成分」という。)と、モノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)(以下、「(B1)成分」という。)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B2)(以下、「(B2)成分」という。)、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物(B3)(以下、「(B3)成分」という。)および2〜3価アルコール(B4)(以下、「(B4)成分」という。)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)(以下、「(B)成分」という。)と、水と、を含有する。
水を含有することで安全性が向上し、環境に対する悪影響が少なくなる。
水に加えて(B)成分を含有することで浸透性が向上し、さらに(A)成分を含有することで、浸透性がより高まるとともに潤滑性が向上し、水の含有率が多い場合でも、優れた浸透性、潤滑性が発揮される。そのため切削加工時に、固定砥粒ワイヤソーや被加工材料の加工部位に水溶性加工液が到達しやすくなり、また、固定砥粒ワイヤソーの固定砥粒の剥離、ワイヤの磨耗等が抑制される。そのため、切削加工時の冷却効率等が向上し、優れた切削性で切削加工を行うことができ、また、切削加工時に生じる切り屑の洗浄性も向上する。
(A)成分において、「酸性リン酸エステル」とは、リン酸(P(=O)(OH))の3つの水酸基のうちの1つまたは2つがエステル化された化合物(リン酸モノエステルまたはリン酸ジエステル)である。
(A)成分としては、潤滑性の点で、炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル基を有する酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル基を有する酸性リン酸エステルは、下記一般式(a1)で表すことができる。
[RO−(RO)−PO(OH)3−x …(a1)
[式(a1)中、xは1または2を表し;yは0〜14の数を表し、xが2である場合、二つのyは同一でも異なっていてもよく;Rは炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル基を表し、xが2である場合、二個のRは同一でも異なっていてもよく;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、x×yが2以上である場合、式中のx×y個のROは同一でも異なっていてもよい。]
一般式(a1)中、Rの炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル基の具体例としては、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2一エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、ドコセニル基などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数6〜12であるn−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2一エチル−ヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基が特に好ましい。
Oの炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。これらの中でも、浸透性を向上させる効果に優れることから、オキシエチレン基が好ましい。
yは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示し、0〜14である。Rの種類にもよるが、潤滑性、浸透性と水溶性とを向上させる効果に優れることから、yは2〜12が好ましく、4〜10が特に好ましい。
酸性リン酸エステルとしては、上記の中でも、潤滑性の点で、炭素数6〜12のアルキル基またはアルケニル基を有する酸性リン酸エステル(前記一般式(a1)においてRが炭素数6〜12のアルキル基またはアルケニル基であるもの)が特に好ましい。
酸性リン酸エステルの塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなどのアルキルアミン塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などが挙げられる。
アルキルアミン塩におけるアルキル基、アルカノールアミン塩におけるアルカノール基(ヒドロキシアルキル基)の炭素数はそれぞれ1〜6が好ましい。
酸性リン酸エステルの塩としては、被切削加工物への影響が少ないことや、浸透性、水溶性を向上させる効果に優れることから、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩が好ましい。
(A)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の水溶性加工液への配合量(複数種を配合する場合はそれらの総量)は、水溶性加工液の総質量に対し、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%が特に好ましい。0.01質量%未満では充分な切削性を発揮できない懸念がある。5質量%を超えると充分な切削性を保持することが難しくなる懸念がある。
(B1)成分において、モノアルコールのアルキレンオキサイド付加物とは、モノアルコールの水酸基にモノアルコール1モルに対してアルキレンオキサイドを2モル以上付加した化合物である。
(B1)成分としては、浸透性、潤滑性、洗浄性の向上効果に優れることから、炭素数1〜22の炭化水素基を有するモノアルコールのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
該モノアルコールにおいて、炭素数1〜22の炭化水素基の炭素数は1〜16が特に好ましい。該炭化水素基は、鎖状の炭化水素基が好ましい。
該炭化水素基を有するモノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、トリデカノール、ペンタデカノール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなどが挙げられる。
(B1)成分は、モノアルコールにアルキレンオキサイドを付加することによって得ることができる。アルキレンオキサイドの付加は、モノアルコールにアルキレンオキサイドを付加する通常の方法によって実施できる。
モノアルコールに付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のものが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブチレンオキサイドなどが挙げられる。これらの中でも、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが好ましい。
モノアルコールに付加するアルキレンオキサイドは1種でも2種以上でもよく、2種以上のアルキレンキサイドを付加する場合には、その付加の形態はブロック付加、ランダム付加のいずれでもよく、付加の順序も特に問わない。
モノアルコールへのアルキレンオキサイド付加モル数は、浸透性、潤滑性の観点から、モノアルコール1モルに対して2〜25モルが好ましい。
(B1)成分としては、特に、下記一般式(b1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013237754
[式(b1)中、pは2〜25の数を表し;Rは炭素数1〜22の炭化水素基を表し;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、p個のROは同一でも異なっていてもよい。]
式(b1)中、Rの炭化水素基としては、前記炭素数1〜22の炭化水素基を有するモノアルコールのアルキレンオキサイド付加物における炭素数1〜22の炭化水素基と同様であり、炭素数が1〜16であることが特に好ましい。
Oの炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、モノアルコール(ROH)に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加することにより生成するオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられ、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基が好ましい。
pは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示し、2〜25であり、2〜20が好ましい。
(B2)成分において、多価アルコールとは、分子中に水酸基を2個以上持つアルコールであり、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物とは、多価アルコールの水酸基に、多価アルコール1モルに対してアルキレンオキサイドを1モル以上付加した化合物である。
(B2)成分としては、浸透性、潤滑性、洗浄性の向上効果に優れることから、2〜6価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、2〜4価の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物がより好ましい。
2〜6価の多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等);4価のアルコール(例えば、ペンタエリスリトール等);5価のアルコール(例えば、キシリトール等);6価のアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等)などが挙げられる。
(B2)成分は、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加することによって得ることができる。アルキレンオキサイドの付加は、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加する通常の方法によって実施できる。
多価アルコールに付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のものが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブチレンオキサイドなどが挙げられる、これらの中でも、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが好ましい。
多価アルコールに付加するアルキレンオキサイドは1種でも2種以上でもよく、2種以上のアルキレンキサイドを付加する場合には、その付加の形態はブロック付加、ランダム付加のいずれでもよく、付加の順序も特に問わない。
多価アルコールへのアルキレンオキサイド付加モル数は、浸透性、潤滑性の観点から、多価アルコール1モルに対して2〜30モルが好ましい。
(B2)成分としては、特に、下記一般式(b2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013237754
[式(b2)中、rは2〜6の数を表し;qは0〜15の数を表し、r個のqは同一でも異なっていてもよいがr個のqが全て0であることはなく;q×rは30以下であり;Rは多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、q×r個のROは同一でも異なっていてもよい。]
式(b2)中、Rにおける多価アルコールは、水酸基をr個有する多価アルコール(R(OH))であり、前記で挙げた2〜6価の多価アルコールと同様のものが挙げられる。rは2〜4が好ましい。
Oの炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、多価アルコール(R(OH))に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加することにより生成するオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられ、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基が好ましい。
qは、アルキレンオキサイドの付加モル数を示し、0〜15である。ただし式中のr個のqが全て0であることはない。つまり、r個のqのうち、少なくとも1つは1〜15である。qとしては、1〜12が好ましい。
(B2)成分としては、水溶性、潤滑性の点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量200〜400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどを好ましく用いることができる。
(B3)成分において、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物とは、モノアミン分子中のアミノ基またはイミノ基が有する活性水素のところにアルキレンオキサイドをモノアミン1モルに対して1モル以上付加した化合物である。活性水素は、アミノ基またはイミノ基の窒素原子に結合した水素原子であり、アミノ基には2個の活性水素が、イミノ基には1個の活性水素が含まれる。
(B3)成分としては、浸透性、潤滑性、洗浄性の向上効果に優れることから、炭素数1〜18の鎖状のアルキル基、炭素数5〜18の環状のアルキル基、炭素数2〜18の鎖状のアルケニル基、炭素数5〜18の環状のアルケニル基または炭素数2〜8の鎖状のヒドロキシアルキル基を有する第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
炭素数1〜18の鎖状のアルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、好ましくはラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基などの炭素数12〜18の直鎖アルキル基である。炭素数が18を超えると水溶性が不足する懸念がある。
炭素数5〜18の環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数が18を超えると水溶性が不足する懸念がある。
炭素数2〜18の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、アリル基、ヘキセニル基、オレイル基などが挙げられ、好ましくはオレイル基である。炭素数が18を超えると水溶性が不足する懸念がある。
炭素数5〜18の環状のアルケニル基としては、シクロヘキセニル基などが挙げられる。炭素数が18を超えると水溶性が不足する懸念がある。
炭素数2〜8の鎖状のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシヘキシル基などが挙げられ、好ましくはヒドロキシエチル基およびヒドロキシプロピル基である。炭素数が8を超えると水溶性が不足する懸念がある。
前記第1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミンなどの炭素数1〜18のアルキルアミン;シクロヘキシルアミンなどの炭素数5〜18のシクロアルキルアミン;ヘキセニルアミン、オレイルアミンなどの炭素数2〜18のアルケニルアミン;シクロヘキセニルアミンなどの炭素数5〜18のシクロアルケニルアミン;モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノオクタノールアミンなどの炭素数2〜8のアルカノールアミンなどが挙げられる。
(B3)成分は、モノアミンにアルキレンオキサイドを付加することによって得ることができる。アルキレンオキサイドの付加は、モノアミンにアルキレンオキサイドを付加する通常の方法によって実施できる。
モノアミンに付加するアルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のものが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブチレンオキサイドなどが挙げられる、これらの中でも、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが好ましい。
モノアミンに付加するアルキレンオキサイドは1種でも2種以上でもよく、2種以上のアルキレンキサイドを付加する場合には、その付加の形態はブロック付加、ランダム付加のいずれでもよく、付加の順序も特に問わない。
モノアミンへのアルキレンオキサイド付加モル数は、浸透性、潤滑性の観点から、モノアミン1モルに対して2〜15モルが好ましい。
(B3)成分としては、特に、下記一般式(b3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013237754
[式(b3)中、Rは炭素数1〜18の鎖状のアルキル基、炭素数5〜18の環状のアルキル基、炭素数2〜18の鎖状のアルケニル基、炭素数5〜18の環状のアルケニル基または炭素数2〜8の鎖状のヒドロキシアルキル基を表し;RO、ROはそれぞれ炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し;s、tはそれぞれ0〜20の数を表し、s、tは同一でも異なっていてもよいが両方とも0であることはない。]
式(b3)中、Rにおける鎖状のアルキル基、環状のアルキル基、鎖状のアルケニル基、環状のアルケニル基、鎖状のヒドロキシアルキル基はそれぞれ前記第1級アミンの説明で挙げたものと同様である。
O、ROの炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、第1級アミン(RNH)に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加することにより生成するオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられ、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基が好ましい。
s個のRO、t個のROはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合には、その付加の形態はブロック付加、ランダム付加のいずれでもよく、付加の順序も特に問わない。
s、tはそれぞれアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、0〜20である。ただしs、tが両方とも0であることはない。つまり、s、tのうち、少なくとも一方は1〜20である。s、tのいずれか一方または両方が20を超えるとスラリーの粘度が高くなり安定に供給することができなくなる懸念がある。s、tはそれぞれ0〜10が好ましい。
(B3)成分としては、上記の中でも、水溶性の点から、モノエタノールアミンのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
(B4)成分の2〜3価アルコールとしては、例えば、前記(B2)成分の説明で挙げた多価アルコールのうち、2〜3価のアルコールと同様のものが挙げられる。
(B4)成分としては、炭素数2〜6の炭化水素の水素原子の2つ又は3つを水酸基で置換した化合物が好ましい。該化合物は、下記一般式(b4)で表すことができる。
Figure 2013237754
[式(b4)中、uは2または3を表し;R10は炭素数2〜6の炭化水素基を表す。]
式(b4)中、R10の炭化水素基の炭素数は2または3が好ましい。
該炭化水素基としては、鎖状の炭化水素基が好ましい。
(B4)成分の好ましい具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコールなどの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコールが挙げられ、特に、浸透性、潤滑性の向上効果に優れることから、プロピレングリコール、グリセリンが好ましい。
(B)成分としては、上記(B1)成分、(B2)成分、(B3)成分および(B4)成分のいずれを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、上記の中でも、前記一般式(b1)で表される化合物、前記一般式(b2)で表される化合物、前記一般式(b3)で表される化合物および前記一般式(b4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。中でも、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量200〜300のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールの炭素数1〜3のモノアルキルエーテルが好ましい。これらの(B)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の水溶性加工液への配合量(複数種を配合する場合はそれらの総量)は、水溶性加工液の総質量に対し、0.1〜20質量%が好ましく、0.15〜10質量%が特に好ましい。0.1質量%未満では浸透性が不足して加工液が切削面まで充分に到達しない懸念がある。20質量%を超えると加工液が増粘することによって冷却効率や切削性を低下させる懸念がある。
本発明の水溶性加工液が含有する水は、特に制限はないが、精製水、特に脱イオン水が好ましい。
水溶液加工液中、水の含有率は、安全性、環境などを考慮すると、水溶性加工液の総質量に対し、75〜99.8質量%が好ましく、80〜99質量%が特に好ましい。
本発明の水溶性加工液においては、(A)成分を0.01〜5質量%、(B)成分を0.1〜20質量%、水を75〜99.8質量%含有するものであることが好ましい。このような組成を有することで、潤滑性、浸透性が特に優れたものとなり、冷却性が向上して、固定砥粒ワイヤソーによる切削加工を優れた切削性で実施できる。
本発明の水溶性加工液においては、本発明の目的に反しない範囲で防錆剤、消泡剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、pH調整剤、および殺菌剤・防腐剤など、従来用いられている添加剤を配合することができる。例えば、防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステルなどが挙げられる。消泡剤としては、シリコーン油、フルオロシリコーン油およびフルオロアルキルエーテルなどが挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸化防止剤などが挙げられる。金属不活性化剤としては、イミダソリン、ピリジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。pH調整剤としては、酢酸、ホウ酸、クエン酸、炭酸、重曹、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。殺菌剤・防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、p−トルエンスルホン酸およびそれらの塩類、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
これらの添加剤の配合量は、その目的により量を決定すればよいが、通常、水溶性加工液全量に対して0.01〜5質量%程度である。
本発明の水溶性加工液は、pHが4〜10であることが好ましく、5〜8であることが特に好ましい。pHが4未満では加工装置を錆びさせる懸念があり、pHが10を超えると被加工材料のシリコンを腐食させる懸念がある。
このpHの調整には、pH調整剤を添加してもよい。
なお、該pHは20℃における値である。
本発明の水溶性加工液は、水を75〜99.8質量%含有することが好ましいが、(A)成分の含有量および(B)成分の含有量を多くして、水の含有量が少ない原液を調整しておき、使用する時に、各成分の含有量が好ましい含有量になるように水で希釈して切削加工に用いることにも問題はない。
本発明の水溶性加工液は、固定砥粒ワイヤソーにより被加工材料を切削加工する際に用いられる。本発明の水溶性加工液は、潤滑性および浸透性に優れているため、固定砥粒ワイヤソーにより被加工材料を切削加工する際に優れた切削性を発揮し、高い加工精度で切削加工を行うことができる。
固定砥粒ワイヤソーとしては、公知のものが使用できる。
切削加工は、加工液として本発明の水溶性加工液を用いる以外は、公知の方法により実施できる。
被加工材料としては、固定砥粒ワイヤソーによる切削加工が可能なものであればよく、特に限定はされないが、脆性材料が好適である。すなわち、本発明の水溶性加工液は、脆性材料、特にシリコンインゴットの切削加工において優れた切削性を発揮することから、脆性材料を固定砥粒ワイヤソーにより切削加工する方法に好適に用いられる。
本発明の水溶性加工液は、シリコンインゴットをワイヤソーで切削加工する際に好適に用いられるが、シリコン以外の脆性材料である水晶、カーボン、ガラス等を切削加工する際にもそのまま用いることができる。
以下に、本発明について実施例でもって更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
以下、「部」は、特に限定しない限り、質量部を示す。
後述する実施例および比較例で使用した原料をまとめて以下に示す。
A−1:リン酸2−エチルヘキシルエステル(モノエステル体:ジエステル体のモル比=1:1の混合物)。
A−2:リン酸ラウリルエステル(モノエステル体:ジエステル体のモル比=1:1の混合物)。
A−3:2−エチルヘキシルアルコールのエチレンオキサイド5モル付加物のリン酸エステル(モノエステル体:ジエステル体のモル比=1:1の混合物)。
A−4:トリデカノールのエチレンオキサイド7モル付加物のリン酸エステル(モノエステル体:ジエステル体のモル比=1:1の混合物)。
A−5:セチルアルコールのエチレンオキサイド8モル付加物のリン酸エステル(モノエステル体:ジエステル体のモル比=1:1の混合物)。
A−6:ステアリルアルコールのエチレンオキサイド10モル付加物のリン酸エステル(モノエステル体:ジエステル体のモル比=1:1の混合物)。
b1−1:ジエチレングリコールモノメチルエーテル。
b1−2:トリデカノールのプロピレンオキサイド7モル・エチレンオキサイド7モルブロック付加物。
b1−3:炭素数12〜14の第2級アルコールのエチレンオキサイド7モル付加物。
b2−1:ジエチレングリコール。
b2−2:ポリエチレングリコール(分子量:200)。
b2−3:グリセリンのエチレンオキサイド9モル付加物。
b3−1:モノエタノールアミンのエチレンオキサイド7モル付加物。
b4−1:プロピレングリコール。
b4−2:グリセリン。
[実施例1]
(A−1)0.2部、(b1−2)5部およびトリエタノールアミン(以下、TEAと略記する。)0.2部を均一に混合した中に、水94.6部を加えて均一に混合溶解することにより水溶性加工液を調製した。
この水溶性加工液を用いて下記往復摩擦試験、表面張力試験および切断性試験を行った。結果を表1に示す。
1.往復摩擦試験:
表面試験機(トライボステーションType32、新東科学(株)製)を用い、該表面試験機の取扱説明書に従い、下記試験条件で500往復の動摩擦試験を行い、摩擦係数(動摩擦係数)を測定した。
該動摩擦係数が小さいほど、潤滑性が高いことを示す。固定砥粒ワイヤソー用の加工液用途において、該動摩擦係数は、好ましくは0.05〜0.20、より好ましくは0.07〜0.15である。動摩擦係数が大きすぎると潤滑性が不足し、動摩擦係数が小さすぎると切削時にワイヤの滑り等が生じ、切削性が低下するおそれがある。
(試験条件)
・球:直径6mmのSUJ2
・荷重:400g
・摺動距離:10mm
・摺動速度:500mm/分
・試験板:単結晶シリコン
・測定温度:20℃
2.表面張力試験:
100mLのガラスビーカーに、調製した固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液を50mL入れて、SURFACE TENSIOMETER CBVP−A3(協和界面科学社製)を用いて20℃における表面張力(mN/m)を測定した。
該表面張力が小さいほど、浸透性が高いことを示す。該表面張力は、好ましくは50mN/m以下、より好ましくは40mN/m以下である。
3.切断性試験:
切断装置(マルチウェーハメーカー PV500D、コマツNTC株式会社製)を用い、下記の試験条件でワークの切断試験を行い、ウェーハを作製した。得られたウェーハの精度(Ra、Rz、SORI)を表面粗さ測定機(サーフコーダSE500−18D(株)小坂研究所製)により測定した。
Ra、Rz、SORIは、それぞれの値が小さいほどウェーハ精度が高いことを示す。Raは、1μm以下であることが必要であり、0.5μm以下が好ましい。Rzは、4μm以下であることが必要であり、2μm以下が好ましい。SORIは、70μm以下であることが必要であり、40μm以下が好ましい。
(試験条件)
・ワイヤー:芯線直径120μm、ダイヤ径15−20μm
・切断装置:コマツNTC株式会社製マルチウェーハメーカー PV500D
・ワーク:単結晶シリコンインゴット(125mm×125mm×190mmの直方体)
・ワイヤー線速度:900m/min
・フィード速度:1mm/min
・ワイヤー張力:25N
[実施例2〜20、比較例1〜8]
表1〜3に示す配合比となるように、使用する原料の種類および配合量を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜20、比較例1〜8の水溶性加工液を調整した。
得られた水溶性加工液について、上記往復摩擦試験、表面張力試験および切断性試験を行った。結果を表1〜表3に示す。
表1〜表3の結果に示すとおり、実施例1〜20の水溶性加工液は、水を大量に含んでいても適度な潤滑性と良好な浸透性を有していた。従って、これらの水溶性加工液を用いることにより、固定砥粒ワイヤソーによる切断加工を良好な切削性で行うことができ、実際、これらの水溶性加工液を用いた切断性試験では高精度なウェーハが得られた。また、洗浄性にも優れ、切り屑の除去を良好に行うことができる。また、該水溶性加工液は、水を大量に含むことから、作業環境や安全性の点でも優れた状態で切削加工を行うことができる。
Figure 2013237754
Figure 2013237754
Figure 2013237754
本発明の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液は、固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴット等の脆性材料の切削加工において良好な切削性を示し、切り屑の洗浄性にも優れる。また、本発明の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液は、水分を大量に含むことが可能で、この場合、作業環境や安全性の点でも優れた状態での切削加工を可能になる。

Claims (8)

  1. 酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、モノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B2)、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物(B3)および2〜3価アルコール(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水と、を含有する固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
  2. 前記化合物(A)が、下記一般式(a1)で表される酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
    [RO−(RO)−PO(OH)3−x …(a1)
    [式(a1)中、xは1または2を表し;yは0〜14の数を表し、xが2である場合、二つのyは同一でも異なっていてもよく;Rは炭素数4〜22のアルキル基またはアルケニル基を表し、xが2である場合、二個のRは同一でも異なっていてもよく;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、x×yが2以上である場合、式中のx×y個のROは同一でも異なっていてもよい。]
  3. 前記水を75〜99.8質量%含有する、請求項1または2に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
  4. 前記化合物(B)が、下記一般式(b1)で表される化合物、下記一般式(b2)で表される化合物、下記一般式(b3)で表される化合物および下記一般式(b4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
    Figure 2013237754
    [式(b1)中、pは2〜25の数を表し;Rは炭素数1〜22の炭化水素基を表し;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、p個のROは同一でも異なっていてもよい。式(b2)中、rは2〜6の数を表し;qは0〜15の数を表し、r個のqは同一でも異なっていてもよいがr個のqが全て0であることはなく;q×rは30以下であり;Rは多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し;ROは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、q×r個のROは同一でも異なっていてもよい。式(b3)中、Rは炭素数1〜18の鎖状のアルキル基、炭素数5〜18の環状のアルキル基、炭素数2〜18の鎖状のアルケニル基、炭素数5〜18の環状のアルケニル基または炭素数2〜8の鎖状のヒドロキシアルキル基を表し;RO、ROはそれぞれ炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し;s、tはそれぞれ0〜20の数を表し、s、tは同一でも異なっていてもよいが両方とも0であることはない。式(b4)中、uは2または3を表し;R10は炭素数2〜6の炭化水素基を表す。]
  5. 脆性材料の切削加工に用いられるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
  6. 前記脆性材料がシリコンである、請求項5に記載の固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液。
  7. 脆性材料を固定砥粒ワイヤソーにより切削加工する方法であって、
    前記切削加工を、酸性リン酸エステルおよびその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物(A)と、モノアルコールのアルキレンオキサイド付加物(B1)、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(B2)、モノアミンのアルキレンオキサイド付加物(B3)および2〜3価アルコール(B4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)と、水と、を含有する固定砥粒ワイヤソー用水溶性加工液を用いて行うことを特徴とする切削加工方法。
  8. 前記脆性材料がシリコンである、請求項7に記載の切削加工方法。
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