JP2013237576A - グラフェン製造用銅箔、グラフェン製造用銅箔の製造方法、及びグラフェンの製造方法 - Google Patents

グラフェン製造用銅箔、グラフェン製造用銅箔の製造方法、及びグラフェンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大面積のグラフェンを低コストで生産可能なグラフェン製造用銅箔及びそれを用いたグラフェンの製造方法を提供する。
【解決手段】水素を20体積%以上含有し残部アルゴンの雰囲気中で1000℃で1時間加熱後において、表面の単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μm以下であるグラフェン製造用銅箔である。
【選択図】図1

Description

本発明は、グラフェンを製造するための銅箔、グラフェン製造用銅箔の製造方法、及びグラフェンの製造方法に関する。
グラファイトは平らに並んだ炭素6員環の層がいくつも積み重なった層状構造をもつが、その単原子層〜数原子層程度のものはグラフェン又はグラフェンシートと呼ばれる。グラフェンシートは独自の電気的、光学的及び機械的特性を有し、特にキャリア移動速度が高速である。そのため、グラフェンシートは、例えば、燃料電池用セパレータ、透明電極、表示素子の導電性薄膜、無水銀蛍光灯、コンポジット材、ドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアなど、産業界での幅広い応用が期待されている。
グラフェンシートを製造する方法として、グラファイトを粘着テープで剥がす方法が知られているが、得られるグラフェンシートの層数が一定でなく、大面積のグラフェンシートが得難く、大量生産にも適さないという問題がある。
そこで、シート状の単結晶グラファイト化金属触媒上に炭素系物質を接触させた後、熱処理することによりグラフェンシートを成長させる技術(化学気相成長(CVD)法)が開発されている(特許文献1)。この単結晶グラファイト化金属触媒としては、Ni、Cu、Wなどの金属基板が記載されている。
同様に,NiやCuの金属箔やSi基板上に形成した銅層上に化学気相成長法でグラフェンを製膜する技術が報告されている。なお,グラフェンの製膜は1000℃程度で行われる(非特許文献1)。
特開2009−143799号公報
SCIENCE Vol.324 (2009) P1312-1314
しかしながら、特許文献1のように単結晶の金属基板を製造することは容易でなく極めて高コストであり、又、大面積の基板が得られ難く、ひいては大面積のグラフェンシートが得難いという問題がある。一方,非特許文献1には、Cuを基板として使用することが記載されているが,Cu箔上では短時間にグラフェンが面方向に成長せず,Si基板上に形成したCu層を焼鈍で粗大粒として基板としている。この場合、グラフェンの大きさはSi基板サイズに制約され,製造コストも高い。
そこで、本発明者が銅箔を基板としてグラフェンを製造したところ、銅箔中の結晶粒界の長さが長いとグラフェンの製造歩留が低下することが判明した。これは、銅箔中にグラフェンの成長を妨げる粒界が増えるためと考えられる。一方、単結晶の銅箔は粒界が少ないものの、高コストであると共に寸法も限られてしまう。
すなわち、本発明は、大面積のグラフェンを低コストで生産可能なグラフェン製造用銅箔及びその製造方法、並びにそれを用いたグラフェンの製造方法の提供を目的とする。
本発明のグラフェン製造用銅箔は、水素を20体積%以上含有し残部アルゴンの雰囲気中で1000℃で1時間加熱後において、表面の単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μm以下である。
本発明のグラフェン製造用銅箔は、JIS-H3100に規格するタフピッチ銅、JIS−H3100に規格する無酸素銅、JIS−H3510に規格する無酸素銅、又は前記タフピッチ銅若しくは前記無酸素銅に対してSn及びAgの群から選ばれる1種以上の元素を合計で0.001質量%以上0.15質量%以下含有する組成からなることが好ましい。
前記結晶粒界長さの合計が0.00020μm/μm以下であることが好ましい。
本発明のグラフェン製造用銅箔の製造方法は、前記グラフェン製造用銅箔の製造方法であって、銅箔基材を、最終冷間圧の加工度80〜99.9%、最終冷間圧延時の油膜当量13000〜24000で高光沢圧延する。
但し、(油膜当量)={(圧延油粘度、40℃の動粘度;cSt)×(圧延速度;m/分)}/{(材料の降伏応力;kg/mm2)×(ロール噛込角;rad)}
又、本発明のグラフェンの製造方法は、前記グラフェン製造用銅箔を用い、所定の室内に、加熱した前記グラフェン製造用銅箔を配置すると共に、水素ガスと炭素含有ガスを供給し、前記グラフェン製造用銅箔の前記銅めっき層の表面にグラフェンを形成するグラフェン形成工程と、前記グラフェンの表面に転写シートを積層し、前記グラフェンを前記転写シート上に転写しながら、前記グラフェン製造用銅箔をエッチング除去するグラフェン転写工程と、を有する。
本発明によれば、大面積のグラフェンを低コストで生産可能とする銅箔が得られる。
本発明の実施形態に係るグラフェンの製造方法を示す工程図である。 実施例4の試料の表面の組織写真及び結晶粒界をソフトウェア上の作画機能でなぞって強調した状態を示す図である。 実施例2の試料の表面の組織写真及び結晶粒界をソフトウェア上の作画機能でなぞって強調した状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るグラフェン製造用銅箔及びグラフェンの製造方法について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
<銅箔の組成>
銅箔としては、JIS-H3100(合金番号:C1100)に規格するタフピッチ銅(TPC)、又はJIS-H3510(合金番号:C1011)若しくはJIS−H3100(合金番号:C1020)に規格する無酸素銅(OFC)を用いることができる。上記TPC又はOFCを用いることで、銅箔が比較的高純度となり、熱処理後に後述する結晶粒界長さの合計が小さくなる。
なお、銅箔の純度が99.999%を超える高純度の場合、常温で軟化し、熱処理後の結晶粒界の長さが短くなり難いという傾向にある。
又、これらタフピッチ銅又は無酸素銅に対し、Sn及びAgの群から選ばれる1種以上の元素を合計で0.15質量%以下含有する組成を用いることもできる。上記元素を含有すると、銅箔の強度が向上し適度な伸びを有すると共に、結晶粒界の長さを短くすることができる。上記元素の含有割合が合計で0.15質量%を超えると強度は更に向上するものの、伸びが低下して加工性が悪化すると共に結晶粒界の長さを短くする効果が小さくなる場合がある。より好ましくは上記元素の含有割合が合計で0.10質量%以下であり、更に好ましくは合計で0.050質量%以下であり、最も好ましくは合計で0.040質量%以下である。
なお、上記元素を合計した含有割合の下限は特に制限されないが、例えば0.001質量%を下限とすることができる。上記元素の含有割合が0.001質量%未満であると、含有割合が小さいためその含有割合を制御することが困難になる場合がある。好ましくは、上記元素の含有割合の下限値は0.003質量%以上、更に好ましくは0.004質量%以上、最も好ましくは0.005質量%以上である。また、結晶粒界の長さに大きな影響を与えない範囲で、Ni、Si、P、Mg、Zr、Cr、Mn、Co、Zn、Tiなどの元素を一種以上添加しても良い。
<銅箔の厚み>
銅箔の厚みは特に制限されないが、一般的には5〜150μmである。さらに、ハンドリング性を確保しつつ、後述するエッチング除去を容易に行うため、銅箔基材の厚みを12〜50μmとすると好ましい。銅箔基材の厚みが12μm未満であると、破断し易くなってハンドリング性に劣る場合があり、厚みが50μmを超えるとエッチング除去がし難くなる場合がある。
<結晶粒界長さ>
水素を20体積%以上含有し残部アルゴンの雰囲気中で1000℃で1時間加熱後において、表面の単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μm以下である。
本発明者らは、多結晶の銅箔について検討し、単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μm以下であれば結晶粒界が減少し、グラフェンの成長を妨げないことを見出した。ここで、銅箔は、結晶粒界を境にして銅原子の原子配列の向きが異なるが、銅原子の原子配列に応じて銅箔上に炭素原子が配列して吸着し、炭素原子同士が共有結合してグラフェンが成長する。このため、銅原子の原子配列の向きが異なる場合、それに応じて銅箔上に吸着する炭素原子の配列の向きが異なる。その結果、結晶粒界を跨いでの炭素原子同士の共有結合が困難になり、結晶粒界はグラフェンの成長を阻害すると考えられる。すなわち、銅箔の単位面積当たりの結晶粒界の長さの合計が短い場合、グラフェンの成長を妨げる要因が小さくなると考えられる。そこで、本発明では単位面積当たりの結晶粒界長さの合計という指標を用いている。
好ましくは、表面の単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00020μm/μm以下である。なお、上記した加熱条件は、グラフェンを製造する際、グラフェン製造用銅箔を炭素含有ガスの分解温度以上に加熱する条件を模したものである。
銅箔の単位面積当たりの結晶粒界長さの合計を0.00800μm/μm以下とする方法としては、最終冷間圧延として後述する「高光沢圧延」を行うことが挙げられる。
なお、結晶粒界長さの下限は特に限定されないが、例えば0.00001μm/μm、例えば0.00005μm/μm以上、例えば0.00007μm/μm以上である。
ここで、上記した結晶粒界長さは、銅箔表面の組織写真を取得し、その写真の所定面積の領域内に存在する粒界の長さの合計を画像解析ソフトウェアを用いて測定して求めることができる。具体的には、例えば、コンフォーカル顕微鏡(レーザーテック社製HD100D)を使用して銅箔表面の組織写真を取得し、所定面積の領域を指定する。次いで、ソフトウェア上の作画機能(例えば、表計算ソフトのExcel(登録商標)のフリーフォーム)を使用して上記領域内のすべての粒界をなぞり、この粒界に対し、画像解析ソフトウェア(例えば、オリンパス社製の製品名:analySIS FIVE)を用いて粒界長さの合計を測定する。
<銅箔の60度光沢度>
銅箔表面の圧延平行方向及び圧延直角方向の60度光沢度(JIS Z 8741)が共に200%以上であることが好ましい。
後述するように、本発明のグラフェン製造用銅箔を用いてグラフェンを製造した後、銅箔から転写シートへグラフェンを転写する必要があるが、銅箔の表面が粗いと転写がし難く、グラフェンが破損することがわかった。そこで、銅箔の表面凹凸が平滑である必要がある。
なお、圧延平行方向及び圧延直角方向の60度光沢度の上限は特に制限されないが、500%未満とすれば銅箔基材の製造時に圧延加工度等の製造条件を厳密に規定しなくてもよく、製造の自由度が高くなるので好ましい。又、圧延平行方向及び圧延直角方向の60度光沢度の上限は実用上、800%程度である。
又、このように転写シートへグラフェンを転写し易くするため、圧延平行方向の銅箔表面の算術平均粗さRaが0.13μm以下であることが好ましい。
以上のように規定したグラフェン製造用銅箔を用いることで、大面積のグラフェンを低コストで、かつ高い歩留りで生産することができる。
<グラフェン製造用銅箔の製造>
本発明の実施形態に係るグラフェン製造用銅箔は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、所定の組成の銅インゴットを製造し、熱間圧延を行った後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、圧延板を得る。この圧延板を焼鈍して再結晶させ,所定の厚みまで最終冷間圧延して銅箔基材を得る。
特に、最終冷間圧延として「高光沢圧延」を行うと、単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00020μm/μm以下となり、グラフェンの製造歩留が大幅に向上するので好ましい。ここで、「高光沢圧延」は、最終冷間圧延の加工度を80〜99.9%(好ましくは95〜99.8%)とし、最終冷間圧延時の油膜当量を13000〜24000とすることで行う。
このような高い加工度の高光沢圧延を行うことにより、加工ひずみの導入とその後の熱処理で結晶粒界が消失しやすく、結晶粒界長さの合計が小さくなるので好ましい。
油膜当量={(圧延油粘度[cSt])×(通板速度[mpm]+ロール周速度[mpm])}/{(ロールの噛み込み角[rad])×(材料の降伏応力[kg/mm2])}で求められる。
又、圧延油粘度[cSt]は40℃での動粘度である。
油膜当量を13000〜24000とするためには、低粘度の圧延油を用いたり、通板速度を遅くしたりする等、公知の方法を用いればよい。
<グラフェンの製造方法>
次に、図1を参照し、本発明の実施形態に係るグラフェンの製造方法について説明する。
まず、室(真空チャンバ等)100内に、上記した本発明のグラフェン製造用銅箔10を配置し、グラフェン製造用銅箔10をヒータ104で加熱すると共に、室100内を減圧又は真空引きする。そして、ガス導入口102から室100内に炭素含有ガスGを水素ガスと共に供給する(図1(a))。炭素含有ガスGとしては、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン、アルコール等が挙げられるがこれらに限定されず、これらのうち1種又は2種以上の混合ガスとしてもよい。又、グラフェン製造用銅箔10の加熱温度は炭素含有ガスGの分解温度以上とすればよく、例えば1000℃以上とすることができる。又、室100内で炭素含有ガスGを分解温度以上に加熱し、分解ガスをグラフェン製造用銅箔10に接触させてもよい。このとき、グラフェン製造用銅箔10を加熱することで、銅めっき層が半溶融状態になって銅箔基材表面の凹部に流動し、グラフェン製造用銅箔10の最表面の凹凸が小さくなる。そして、このように平滑となったグラフェン製造用銅箔10の表面に分解ガス(炭素ガス)が接触し、グラフェン製造用銅箔10の表面にグラフェン20を形成する(図1(b))。
そして、グラフェン製造用銅箔10を常温に冷却し、グラフェン20の表面に転写シート30を積層し、グラフェン20を転写シート30上に転写する。次に、この積層体をシンクロール120を介してエッチング槽110に連続的に浸漬し、グラフェン製造用銅箔10をエッチング除去する(図1(c))。このようにして、所定の転写シート30上に積層されたグラフェン20を製造することができる。
さらに、グラフェン製造用銅箔10が除去された積層体を引き上げ、グラフェン20の表面に基板40を積層し、グラフェン20を基板40上に転写しながら、転写シート30を剥がすと、基板40上に積層されたグラフェン20を製造することができる。
転写シート30としては、各種樹脂シート(ポリエチレン、ポリウレタン等のポリマーシート)を用いることができる。グラフェン製造用銅箔10をエッチング除去するエッチング液としては、例えば硫酸溶液、過硫酸ナトリウム溶液、過酸化水素、及び過硫酸ナトリウム溶液又は過酸化水素に硫酸を加えた溶液を用いることができる。又、基板40としては、例えばSi、 SiC、Ni又はNi合金を用いることができる。
<試料の作製>
表1、表2に示す組成の銅インゴットを製造し、800〜900℃で熱間圧延を行った後、300〜800℃の連続焼鈍ラインで焼鈍と冷間圧延を繰り返して1〜2mm厚の圧延板を得た。この圧延板を300〜800℃の連続焼鈍ラインで焼鈍して再結晶させ,表1、表2の厚みまで最終冷間圧延し、銅箔を得た。
ここで、最終冷間圧延の総加工度、及び最終冷間圧延の最終パスの油膜当量を表1、表2に示す値に調整した。
油膜当量は下記式で表される。
(油膜当量)={(圧延油粘度、40℃の動粘度;cSt)×(圧延速度;m/分)}/{(材料の降伏応力;kg/mm2)×(ロール噛込角;rad)}
<光沢度の測定>
各実施例及び比較例の銅箔の最終冷間圧延後の表面の60度光沢度を測定した。
60度光沢度は、JIS−Z8741に準拠した光沢度計(日本電色工業製、商品名「PG-1M」)を使用して測定した。なお、表中のG60RD,G60TDはそれぞれ圧延平行方向、圧延直角方向の60度光沢度である。
<結晶粒界長さの測定>
各実施例及び比較例の銅箔を、水素を20体積%以上含有し残部アルゴンの雰囲気中で1000℃で1時間加熱した。
次に、コンフォーカル顕微鏡(レーザーテック社製HD100D)を使用して銅箔表面の組織写真を取得し、所定面積の領域を指定した。次いで、ソフトウェア上の作画機能(表計算ソフトのExcel(登録商標)のフリーフォーム)を使用して上記領域内のすべての粒界をなぞり、この粒界に対し、画像解析ソフトウェア(オリンパス社製の製品名:analySIS FIVE)を用いて粒界長さの合計を測定した。
図2は、実施例4の試料の表面のコンフォーカル顕微鏡による組織写真(図2(a))、及び所定面積の領域内の結晶粒界をソフトウェア上の作画機能でなぞって強調した図(図2(b)を示す。なお、図2の例では、領域の面積は2000×2000μmであり、それぞれ図2(a)、(b)の写真内の太枠がこの領域を示す。
図3は、実施例2の試料の表面のコンフォーカル顕微鏡による組織写真(図3(a))、及び所定面積の領域内の結晶粒界をソフトウェア上の作画機能でなぞって強調した図(図3(b)を示す。なお、図3の例では、領域の面積は50000×50000μmであり、それぞれ図3(a)、(b)の写真内の太枠がこの領域を示す。又、図3の試料の場合、図2の試料に比べて結晶粒が大きいために、測定領域を広くする必要がある。このため、コンフォーカル顕微鏡のパッチワーク観察機能を使用し、それぞれ微小な領域(倍率50倍)の像を張り合わせて1つの画像を作成し、結晶粒長を測定した。ここで、倍率50倍の微小領域は、それぞれ図3(a)、(b)の写真内の小さなマス目である。
<グラフェンの製造>
各実施例のグラフェン製造用銅箔(縦横100X100mm)を真空チャンバーに設置し、1000℃に加熱した。真空(圧力:0.2Torr)下でこの真空チャンバーに水素ガスとメタンガスを供給し(供給ガス流量:10〜100cc/min)、銅箔を1000℃まで30分で昇温した後、1時間保持し、銅箔表面にグラフェンを成長させた。
各実施例について、上記条件でグラフェンの製造を10回行い、銅箔表面のグラフェンの有無を原子間力顕微鏡(AFM)で観察して評価した。AFMにより、表面全体にうろこ状の凹凸が観察されたものをグラフェンが製造されたものとみなし、10回の製造のうちグラフェンが製造された回数により以下の基準で歩留を評価した。評価が◎、○であれば実用上問題はない。
◎:10回の製造のうち、5回以上グラフェンが製造された
○:10回の製造のうち、4回グラフェンが製造された
△:10回の製造のうち、3回グラフェンが製造された
×:10回の製造のうち、グラフェンが製造された回数が2回以下
<亜酸化銅の個数>
圧延平行方向の断面が観察できる様に切断した銅箔を重ね合わせて1mm×1mmの測定面積を確保し、この重ねた箔を埋め込み樹脂で固着した後に鏡面研磨を行い、FE−SEM(PHILIPS社製XL30SFEG)の粒子解析機能を使用し、1×1mmの面積中の亜酸化銅の個数を自動測定した。
得られた結果を表1、表2に示す。
表1、表2から明らかなように、単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μm以下である各実施例の場合、グラフェンの製造歩留が優れていた。
特に、単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00020μm/μm以下である実施例1〜6の場合、他の実施例よりグラフェンの製造歩留がさらに優れていた。
一方、上述の「高光沢圧延」を行わなかった比較例1〜5の場合、単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μmを超え、グラフェンの製造歩留が劣った。
特に、「高光沢圧延」を行わなかったと共に、銅箔の厚みが12μm未満である比較例5の場合、単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μmを超え、グラフェンの製造歩留が最も劣った。
10 グラフェン製造用銅箔
20 グラフェン
30 転写シート

Claims (5)

  1. 水素を20体積%以上含有し残部アルゴンの雰囲気中で1000℃で1時間加熱後において、表面の単位面積当たりの結晶粒界長さの合計が0.00800μm/μm以下であるグラフェン製造用銅箔。
  2. JIS-H3100に規格するタフピッチ銅、JIS−H3100に規格する無酸素銅、JIS−H3510に規格する無酸素銅、又は前記タフピッチ銅若しくは前記無酸素銅に対してSn及びAgの群から選ばれる1種以上の元素を合計で0.001質量%以上0.15質量%以下含有する組成からなる請求項1に記載のグラフェン製造用銅箔。
  3. 前記結晶粒界長さの合計が0.00020μm/μm以下である請求項1又は2に記載のグラフェン製造用銅箔。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のグラフェン製造用銅箔の製造方法であって、
    銅箔基材を、最終冷間圧の加工度80〜99.9%、最終冷間圧延時の油膜当量13000〜24000で高光沢圧延するグラフェン製造用銅箔の製造方法。
    但し、(油膜当量)={(圧延油粘度、40℃の動粘度;cSt)×(圧延速度;m/分)}/{(材料の降伏応力;kg/mm2)×(ロール噛込角;rad)}
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のグラフェン製造用銅箔を用いたグラフェンの製造方法であって、
    所定の室内に、加熱した前記グラフェン製造用銅箔を配置すると共に水素ガスと炭素含有ガスを供給し、前記グラフェン製造用銅箔の前記銅めっき層の表面にグラフェンを形成するグラフェン形成工程と、
    前記グラフェンの表面に転写シートを積層し、前記グラフェンを前記転写シート上に転写しながら、前記グラフェン製造用銅箔をエッチング除去するグラフェン転写工程と、を有するグラフェンの製造方法。
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