JP2015067461A - グラフェンシート製造基板用銅箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】グラフェン製膜後のエッチング性に優れた銅箔を提供する。
【解決手段】材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、200面への配向度が80%以上となる銅箔からなるグラフェンシート製造用銅箔。
200面への配向度(%)=I(200)/ΣI(hkl)×100
但し、I(hkl):各面の回折強度積分値
【選択図】なし

Description

本発明はグラフェンシートを製造するための基板となる銅箔に関する。また、本発明は当該銅箔を用いたグラフェンシートの製造方法に関する。
グラファイトは平らに並んだ炭素6員環の層がいくつも積み重なった層状構造をもつが、その各層はグラフェン又はグラフェンシートと呼ばれる。グラフェンシートは独自の電気的、光学的及び機械的特性を持ち、特に電子の移動速度が高速であるという特性を持つ。そのため、例えば、燃料電池用セパレータ、透明電極、表示素子の導電性薄膜、無水銀蛍光灯、コンポジット材、ドラッグデリバリーシステム(DDS)のキャリアーなど、産業界での幅広い応用が期待されている物質である。
グラフェンシートを製造する方法としてグラファイトを粘着テープで剥がす方法が知られているが、得られるグラフェンシートの層数が一定でないという問題があることから、最近ではグラファイト化金属触媒上に又は基板上にシート状に形成したグラファイト化金属触媒上に炭素系物質を接触させた後、所定の条件で熱処理することによりグラフェンシートを成長させる方法が知られている(特開2009−143799号公報)。
特開2009−143799号公報では、使用可能な基板の例として、Si基板、ガラス基板、GaN基板、シリカ基板などの無機物基板や、Ni、Cu、Wなどの金属基板、又はこれらの組み合わせなどが記載されている。また、グラファイト化金属触媒は単結晶構造を有するニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ケイ素(Si)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ウラン(U)、バナジウム(V)、及びジルコニウム(Zr)からなる群より選択される少なくとも1種の金属またはこれらの合金が記載されている。
特開2009−143799号公報
しかし、特許文献1に具体的に実施例として記載されているグラファイト化金属触媒はNi単結晶のみである。グラフェンの実用化にあたっては大面積の製膜が必要となる。その際に使用する基板としてはNiやCuが入手し易く、かつ、取扱いも容易である。更に、製膜後はこれら基板が不要となるため、除去する必要がある。現状では製膜したグラフェンを基板上から剥離することができないため、エッチングにより基板を除去する必要がある。
しかし、Ni単結晶を用いる場合、グラフェンを大きくするためには大きなNi単結晶が必要になり、かつ、グラフェン製膜後のエッチングによる除去にコストと時間を必要とするため、グラフェンの量産化の観点では不適当となる。一方、銅箔を用いる場合は、銅の触媒作用により表面にカーボンが付着すると単層グラフェンが製膜される。その後のエッチングによる除去も比較的容易に行うことができるため、大面積のグラフェン製膜に適切な基板としての機能を有している。特に、Cuはエッチング性に優れており、Niと比較して除去しやすい基板といえる。
そこで、本発明の一課題は、グラフェン製膜後のエッチング性に優れた銅箔を提供することである。また、本発明の別の一課題は、上記銅箔を用いたグラフェンシートの製造方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、所定の熱処理を施した後、箔表面に対するX線回折の配向度を測定したときに200面への配向度が高くなるような銅箔が有意であることを見出した。すなわち、熱処理と加工度とを調整することにより、銅箔の再組織を制御して配向度をコントロールできることを見出したものである。更に、熱処理後の銅箔表面にはファセットと呼ばれる階段状の段差が発生しており、結晶方位によって段差の向きや密度が異なることを見出した。配向度を高めることにより、ファッセットが揃い、エッチング性が向上すると考えられる。
上記の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、200面への配向度が80%以上となる銅箔からなるグラフェンシート製造用銅箔である。
200面への配向度(%)=I(200)/ΣI(hkl)×100
但し、I(hkl):各面の回折強度積分値、すなわちΣI(hkl)=I(111)+I(200)+I(220)+I(311)
本発明に係るグラフェンシート製造用基板を構成する銅箔は一実施形態において、材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面をEBSP法により観察し、〔001〕方向と15度以上異なる方位を有する結晶粒で長径が30μmを超えるものの個数密度が20個/mm2以下である。
本発明は別の一側面において、箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、200面への配向度が90%以上である再結晶組織に調質された銅箔からなるグラフェンシート製造用銅箔である。
200面への配向度(%)=I(200)/ΣI(hkl)×100
但し、I(hkl):各面の回折強度積分値
本発明に係るグラフェンシート製造用基板を構成する再結晶組織に調質された銅箔は一実施形態において、表面をEBSP法により観察し、〔001〕方向と15度以上異なる方位を有する結晶粒で長径が30μmを超えるものの個数密度が20個/mm2以下である。
本発明に係るグラフェンシート製造用基板を構成する銅箔は更に別の一実施形態において、Agを0.01〜0.05質量%含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる、タフピッチ銅ベースの圧延銅箔または無酸素銅ベースの圧延銅箔である。
本発明に係るグラフェンシート製造用基板を構成する銅箔は更に別の一実施形態において、Snを0.001〜0.15質量%含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる、無酸素銅ベースの圧延銅箔である。
本発明に係るグラフェンシート製造用基板を構成する銅箔は更に別の一実施形態において、15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液をエッチャントとして、1000℃で60分間の熱処理を行って、6×8cmに切断して得られた銅箔をポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り付けて得た積層物の銅箔部分をエッチャントの液温40℃でエッチングしたときに、エッチング速度が0.05g/min以上であるグラフェンシート製造用基板である。
本発明は更に別の一側面において、本発明に係る銅箔の表面に炭素系物質を接触させた後に、当該銅箔を不活性雰囲気又は還元性雰囲気下で熱処理することを含むグラフェンシートの製造方法である。
本発明によれば、グラフェン製膜後のエッチング性に優れた銅箔が提供され、さらに、上記銅箔を用いたグラフェンシートの製造方法が提供される。
<銅箔>
本発明に係るグラフェンシート製造用基板を構成する銅箔は主として圧延銅箔である。一般的には、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。
また、このような銅箔は、材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、200面への配向度が80%以上となるものである。
200面への配向度(%)=I(200)/ΣI(hkl)×100
但し、I(hkl):各面の回折強度積分値、すなわちΣI(hkl)=I(111)+I(200)+I(220)+I(311)
銅箔の材料としてはタフピッチ銅(JIS−1100)や無酸素銅(JIS−1020)といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr、Fe、Zn又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
従って、本発明に係る銅箔は一実施形態において、Sn、Ag、Cr、Zr、Fe、Zn及びMgよりなる群から選択される合金元素の1種又は2種以上を合計で0〜1質量%含有し残部が銅及び不可避的不純物からなるタフピッチ銅ベースまたは無酸素銅ベースの圧延銅箔である。
無酸素銅溶湯の酸素濃度は通常0.001質量%以下であり、タフピッチ銅溶湯の酸素濃度は通常0.01〜0.05質量%である。Cuよりも酸化しやすいSn、Cr、Zr、Fe、ZnおよびMgのいずれか1種以上の元素を採用する場合は、添加元素が銅箔中で酸化物を形成し屈曲性を低下させることを避けるために、無酸素銅溶湯中に添加するのが好ましい。AgはCuより酸化しにくいので、タフピッチ銅溶湯中、無酸素銅溶湯中ともに添加できる。なお、鋳造工程での酸素濃度の調整は、溶湯のカーボンシール、大気解放等の当業者公知の技術により行うことができる。
本発明に係る銅箔は別の一実施形態において、Agを0.01〜0.05質量%含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる、タフピッチ銅ベースの圧延銅箔または無酸素銅ベースの圧延銅箔である。
本発明に係る銅箔は更に別の一実施形態において、Snを0.001〜0.01質量%含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる、無酸素銅ベースの圧延銅箔である。
また、本発明では銅又は銅合金を圧延銅箔として使用するが、これらは圧延仕上がりの硬質状態であってもよく、又はこれを更に焼鈍して再結晶組織に調質した軟質状態であってもよい。当然にこれら以外の状態であってもよい。
このような銅箔では、950〜1000℃に加熱後、10〜60分間保持するというグラフェン製膜条件において、表面をSEM観察すると結晶粒表面に階段状のファセットが観察される。なお、ファセットは結晶方位によって向きや段差の密度が異なるものであり、グラフェンはこのファセット上に製膜されることになる。
グラフェン製膜条件下の銅箔表面(圧延銅箔であれば圧延面)における結晶方位を制御することが重要であり、具体的には、前述したように材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、200面への配向度が80%以上となるように結晶方位を制御する。「材料温度1000℃×60分間の熱処理」とは、グラフェンシート製造(グラフェン製膜)時の熱処理を想定した代表的な加熱条件に対応する再結晶焼鈍の条件である。
このように銅箔表面の結晶方位において、200面の配向性を高めることによって、グラフェンが成長する方向が揃うものと考えられる。結晶方位がランダムな電解箔等では成長方向も異なるため、グラフェン製膜にバラツキが生じると考えられる。また、特定の配向性を高めることで、結晶粒のファセットも揃うことになり、グラフェン製膜後に銅箔をエッチング除去する際に、早く、均一に除去できる。
また、最終冷間圧延の加工度と、焼鈍条件とを適宜調整することにより、銅箔においてさらに200面の配向性を高めた銅箔を得ることができ、例えば圧延上がりの硬質状態又はこれと実質的に同等の状態にある銅箔であれば材料温度1000℃×60分間の再結晶焼鈍を行った後において、または再結晶組織に調質された銅箔であればその状態において、箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、好ましくは200面への配向度が90%以上、さらに好ましくは200面への配向度が95%以上である。前述したように、200面の回折強度の積分値をI(200)、各方位の回折強度の積分値和をΣI(hkl)とすると、200面の配向度(%)は次式で表される。
200面の配向度(%)=I(hkl)/ΣI(hkl)×100
材料温度1000℃として60分間加熱する再結晶焼鈍の条件は、グラフェンシート製造時の熱処理を想定した代表的な加熱条件である。
また、圧延上がりの硬質状態又はこれと実質的に同等の状態にある銅箔であれば材料温度1000℃×60分間の再結晶焼鈍を行った後において、または再結晶組織に調質された銅箔であればその状態において、銅箔表面をEBSP法により観察したときに、〔001〕方向と15度以上異なる方位を有する結晶粒で長径が30μmを超えるものの個数密度を20個/mm2以下に制御することが好ましい。これにより、グラフェンの集合体で構成されるドメインが、銅箔上に均一に成長することから、形成されるグラフェンに欠陥が少なくなると考えられる。当該個数密度は好ましくは15個/mm2以下である。結晶粒の長径とは、各結晶粒を取り囲むことのできる最小円の直径を指す。
EBSP(Electron Backscattering Pattern)法では、試料表面上の点に電子線を入射させ、このときに発生する反射電子から菊地パターンを得る。この菊地パターンを解析することにより、電子線入射位置の結晶方位を知ることができる。電子線を試料表面に2次元で走査させ、所定のピッチごとに結晶方位を測定することにより、試料表面の方位分布を測定する(石橋直哉:材料科学、Vol.37、No.3(2000)、pp.116−122)。
結晶方位を揃える方法としては、例えば圧延銅箔では最終冷間圧延時の加工度を高く(例えば90%以上、更には99%以上)して再結晶焼鈍する方法や結晶粒の成長を抑制する元素を添加する方法、最終焼鈍後の結晶粒径を小さく制御する方法などが知られている。特に、〔001〕方向と15度以上異なる方位を有する結晶粒で長径が30μmを超えるものの個数密度を上述したレベルまで制御するためには、このような一般的な方法に加えて更に、溶解鋳造後、熱間圧延、第一焼鈍、冷間圧延、第二焼鈍及び冷間圧延の順に製造する圧延銅箔の工業的な連続製造工程において、各冷間圧延時の厚さを調整することによりそれぞれの冷間圧延の加工度を調整してから熱処理することにより同一ロット内における材料の熱履歴を均一化することが重要である。
本発明に係る銅箔の厚みは特に制限されるものではないが、製膜後のエッチング及び銅箔コストの理由により50μm以下の厚さが好ましく、6〜35μmの厚さがより好ましい。
また、本発明に係る銅箔は、グラフェン製膜後において、エッチング性に優れる。
具体的には、15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液をエッチャントとして、1000℃で60分間の熱処理を行って、6×8cmに切断して得られた銅箔をポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り付けて得た積層物の銅箔部分をエッチャントの液温40℃でエッチングしたときに、エッチング速度が0.05g/min以上、好ましくは0.06g/min以上、さらに好ましくは0.08g/min以上である。
<グラフェンシートの製造方法>
本発明のグラフェンシートの製造方法は、上述した銅箔を基板として、グラフェンシートを製造する方法であり、すなわち上述したグラフェンシート製造用基板の表面に炭素系物質を接触させた後に、当該銅箔を不活性雰囲気又は還元性雰囲気下で熱処理することを含む方法である。
ここで、炭素系物質としては、グラフェンシートを製造する際の加熱温度、例えば950〜1000℃にて分解するガス、例えば二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン、アルコール等が挙げられるがこれらに限定されず、これらのうち1種又は2種以上の混合ガスとしてもよい。
不活性雰囲気下とは、銅箔を熱処理する場を真空状態にした後に、不活性ガス、例えばアルゴンガスを導入した状態をいう。
還元性雰囲気下とは、銅箔を熱処理する場を真空状態にした後に、還元性ガス、例えば水素ガス、アルゴンおよび水素ガスの混合ガスを導入した状態をいう。
また、不活性雰囲気又は還元性雰囲気下とした後で、前述した炭素系物質を炭素源として導入することにより、銅箔表面に炭素原子(C)のみが付着し、グラフェンが製膜される。
また、グラフェン製膜は熱化学蒸着(熱CVD)にて進行すると考えられ、その条件としては、例えば950〜1000℃に加熱後、10〜60分間保持するという条件が挙げられる。
熱CVDにて銅箔の表面に炭素の単分子膜が形成されるメカニズムであるが、炭素系材料としてメタンガスを用いた場合、950〜1000℃に加熱した際に、メタンガスが炭素(C)と水素(H)とに分解し、この炭素が銅箔表面に付着して、グラフェンを形成すると考えられる。また、上述したように配向性が制御された銅箔表面では、一度炭素で覆われた部分にはさらに炭素が付着しないと考えられるため、単層のグラフェン膜を形成しやすいと考えられる。
さらに、銅箔は、他の金属基板と比べると比較的加工がしやすいことが知られていて、さらにグラフェン製膜後に基板を除去するために行うエッチング特性も良好であり、除去しやすいという利点を備える。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
<銅箔>
表1に示す組成の銅インゴットを製造し、700〜900℃で熱間圧延を行った後、300〜800℃の連続焼鈍ラインで焼鈍と冷間圧延を繰り返して1〜3mm厚の圧延板を得た。この圧延板を500〜900℃の連続焼鈍ラインで焼鈍して再結晶させ、表1に示したように、7〜50μmの厚みまで圧下率を95〜99.7%として最終冷間圧延し、実施例1〜14の銅箔を得た。また、比較例1〜9の銅箔については300〜800℃の連続焼鈍ラインで焼鈍と冷間圧延を適宜繰り返して1〜3mm厚の圧延板を得た。この圧延板を500〜900℃の連続焼鈍ラインで焼鈍して再結晶させ,7〜50μmの厚みまで圧下率を95〜99.7%として最終冷間圧延した。
ここで、最終冷間圧延の最終パスと最終冷間圧延の最終パスの1つ前のパスの両方の油
膜当量をいずれも表1に示す値に調整した。具体的には、圧延油の温度と油量とを調節した。
なお、油膜当量は圧延時に材料とロールとの間に入り込む圧延油の量を指し、下記式で表される。
(油膜当量)={(圧延油粘度、40℃の動粘度;cSt)×(圧延速度;m/分)}/{(材料の降伏応力;kg/mm2)×(ロール噛込角;rad)}
(60度光沢度の評価)
得られた圧延銅箔について、最終冷間圧延後、及びその後に1000℃で60分間加熱後のそれぞれにおいて、銅箔表面の圧延平行方向(RD)および圧延直角方向(TD)のそれぞれの60度光沢度を測定した。
60度光沢度は、JIS−Z8741に準拠した光沢度計(日本電色工業製、商品名「PG−1M」)を使用して測定した。なお、60度光沢度は、銅箔表面の平滑性を示す指標であり、高い光沢度を示すことは平滑な表面を呈することを示している。また、銅箔の表面が平滑であることにより、グラフェン製膜において、欠陥を少なくすることが期待される。
(表面粗さの評価)
得られた圧延銅箔について、最終冷間圧延後、及びその後に1000℃で60分間加熱後のそれぞれにおいて、表面粗さを測定した。
接触粗さ計(小坂研究所製、商品名「SE−3400」)を使用し、JIS−B0601に準拠した算術平均粗さ(Ra;μm)を測定し、オイルピット深さRzはJIS B0601−1994に準拠して十点平均粗さを測定した。測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.8mm、送り速さ0.1mm/秒の条件で圧延方向と平行に測定位置を変えて10回行ない、各方向で10回の測定での値を求めた。また凹凸の平均間隔(Rsm;mm)は、測定基準長さ0.8mm、評価長さ4mm、カットオフ値0.8mm、送り速さ0.1mm/秒の条件で圧延方向と平行に測定位置を変えて10回行ない、10回の測定での値を求めた。なお、Smは表面性状を輪郭曲線方式で表すJIS B0601−2001(ISO4287−1997準拠)において、凹凸の「凹凸の平均間隔」と規定されており、基準長さ内での各凹凸の輪郭長さの平均をいう。
<銅箔表面における200面の配向度(200I/I0)の評価>
1000℃で60分間保持した後の200面の配向度(%)を、上述したEBSP法により測定した。
<結晶粒径の評価>
材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面をEBSP法により観察し、〔001〕方向と15度以上異なる方位を有する結晶粒で長径が30μmを超えるものの個数をカウントして、1mm2単位の個数を得て、個数密度とした。
<エッチング特性>
グラフェン製膜後を想定した銅のエッチング特性は、以下の方法で評価した。
すなわち、1000℃で60分間加熱後の銅箔を、6×8cmに切断して、PETフィルムに貼り付けた。続いて、15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液をエッチャントとして、液温を40℃に保つように恒温槽に入れて、銅箔部分を撹拌することでエッチングを行い、銅箔の溶出質量を測定した。以下のように段階的に評価した。
AA 0.08g/min以上
BB 0.06g/min以上、0.08g/min未満
CC 0.05g/min以上、0.06g/min未満
DD 0.05g/min未満
得られた結果を表1に示す。なお、表1のTPCはタフピッチ銅(JIS H3100 C1100)を表す。OFCは無酸素銅(JIS H3100 C1020)を表す。又、例えばTPC+190ppmAgは、TPCにAgを190質量ppm添加した組成を表す。
Figure 2015067461
<グラフェンの製造>
各実施例の銅箔(縦横100×100mm)を真空チャンバーに設置し、1000℃に加熱した。真空(圧力:0.2Torr)下でこの真空チャンバーにメタンガスを供給し(供給ガス流量:10〜100cc/min)、銅箔を1000℃まで30分で昇温した後、1時間保持し、銅箔表面にグラフェンを成長させた。
各実施例について、上記条件でグラフェンの製造を10回行い、銅箔表面のグラフェンの有無を原子間力顕微鏡(AFM)で観察して評価した。AFMにより、表面全体にうろこ状の凹凸が観察されたものをグラフェンが製造されたものとみなした。
比較例の銅箔を用いてグラフェン製膜を行った結果、安定した単層グラフェンの形成が見られなかったもの(比較例9)、単層のグラフェン製膜が見られてもその後に銅箔をエッチングにより取り除くための時間を要したもの(比較例6)があり、実施例の銅箔の方がグラフェン製膜の好適であったことが確認された。

Claims (8)

  1. 材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、200面への配向度が80%以上となる銅箔からなるグラフェンシート製造用銅箔。
    200面への配向度(%)=I(200)/ΣI(hkl)×100
    但し、I(hkl):各面の回折強度積分値
  2. 材料温度1000℃×60分間の熱処理を行った後に、箔表面をEBSP法により観察し、〔001〕方向と15度以上異なる方位を有する結晶粒で長径が30μmを超えるものの個数密度が20個/mm2以下である請求項1に記載のグラフェンシート製造用銅箔。
  3. 箔表面に対してX線回折で111面、200面、220面、及び311面の回折強度の積分値を測定した時に、200面への配向度が90%以上である再結晶組織に調質された銅箔からなるグラフェンシート製造用銅箔。
    200面への配向度(%)=I(200)/ΣI(hkl)×100
    但し、I(hkl):各面の回折強度積分値
  4. 箔表面をEBSP法により観察し、〔001〕方向と15度以上異なる方位を有する結晶粒で長径が30μmを超えるものの個数密度が20個/mm2以下である請求項3に記載のグラフェンシート製造用銅箔。
  5. 銅箔はAgを0.01〜0.05質量%含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる、タフピッチ銅ベースの圧延銅箔または無酸素銅ベースの圧延銅箔である請求項1〜4の何れか一項に記載のグラフェンシート製造用銅箔。
  6. 銅箔はSnを0.001〜0.15質量%含有し残部が銅及び不可避的不純物からなる、無酸素銅ベースの圧延銅箔である請求項1〜4の何れか一項に記載のグラフェンシート製造用銅箔。
  7. 15質量%の過硫酸ナトリウム水溶液をエッチャントとして、1000℃で60分間の熱処理を行って、6×8cmに切断して得られた銅箔をポリエチレンテレフタレートフィルムに貼り付けて得た積層物の銅箔部分をエッチャントの液温40℃でエッチングしたときに、エッチング速度が0.05g/min以上である請求項1〜6の何れか一項に記載のグラフェンシート製造用銅箔。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載のグラフェンシート製造用銅箔の表面に炭素系物質を接触させた後に、当該銅箔を不活性雰囲気又は還元性雰囲気下で熱処理することを含むグラフェンシートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105819429A (zh) * 2016-03-10 2016-08-03 北京大学 一种无褶皱石墨烯的制备方法

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