JP2013235856A5 - - Google Patents

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スパークプラグ
本発明は、内燃機関等に使用されるスパークプラグに関する。
内燃機関等の燃焼装置に使用されるスパークプラグは、例えば、軸線方向に延びる中心電極と、中心電極の外周に設けられる絶縁体と、絶縁体の外側に組付けられる筒状の主体金具と、基端部が主体金具の先端部に接合される接地電極とを備える。接地電極は、その先端部が中心電極の先端部と対向するように、自身の略中間部分が曲げ返して配置され、これにより中心電極の先端部及び接地電極の先端部の間に火花放電間隙が形成される。
また近年では、中心電極や接地電極の先端部のうち、火花放電間隙を形成する部位に貴金属チップを設け、耐消耗性の向上を図る技術が知られている。貴金属チップと接地電極等の接合に際しては、一般的にYAGレーザーによるレーザー溶接が用いられる(例えば、特許文献1等参照)。すなわち、貴金属チップと接地電極等との境界部分の外周にレーザービームを間欠的に照射し、それぞれの成分が溶融されてなる溶融部を形成することで、貴金属チップと接地電極等とが接合される。
特開2003−17214号公報
しかしながら、十分な接合強度を維持すべく、溶融部をより接地電極等の内側に入り込ませるためには、照射エネルギーの増大が必要とされるが、YAGレーザーを用いた場合には、溶融部のボリュームが比較的大きなものとなってしまう。そのため、溶融部が火花放電間隙側に露出してしまったり、また、溶融部を形成する際に貴金属チップが比較的多量に溶融してしまい、貴金属チップが極めて薄肉になってしまったりするおそれがある。その結果、貴金属チップを設けたことによる耐消耗性の向上という作用効果が十分に発揮されないおそれがある。
そこで、本願発明者が鋭意検討したところ、YAGレーザーに代えてファイバーレーザー等の高エネルギーレーザービームを用いることで、接地電極等と貴金属チップとの間に十分に広い溶融部を形成しつつ、そのボリュームを比較的小さくすることができ、耐消耗性の向上効果が十分に発揮されることが見出された。
ところが、本願発明者が更なる検討を行ったところ、ファイバーレーザー等を用いた場合には、溶融部が全体的に薄肉となってしまうため、熱膨張に伴う接地電極等と貴金属チップとの間で生じる応力差を溶融部で吸収することが困難となってしまい、ひいては貴金属チップの剥離が生じ得ることが判明した。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、貴金属チップを設けることによる耐消耗性の向上効果を十分に発揮させつつ、貴金属チップの剥離を効果的に抑制することができるスパークプラグを提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
参考例1.のスパークプラグは、軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記中心電極の外周に設けられた筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
基端が前記主体金具に溶接され、先端が前記中心電極と対向する接地電極と、
貴金属合金により形成されるとともに、前記中心電極及び前記接地電極の少なくとも一方の対象部分に設けられた柱体の貴金属チップとを備え、
前記貴金属チップは、自身の一端面側が、自身の側面側からレーザービーム又は電子ビームが照射されることで形成された溶融部を介して前記対象部分に接合されたスパークプラグであって、
前記溶融部は、
前記貴金属チップの周方向に沿って、前記貴金属チップの前記一端面と前記対象部分との境界部位にレーザービーム又は電子ビームが照射されることで形成された第1溶融部と、
前記第1溶融部を形成する際におけるレーザービーム又は電子ビームが照射された側からレーザービーム又は電子ビームが照射されることで形成され、前記第1溶融部と交差する第2溶融部とを備えることを特徴とする。
尚、第1溶融部や第2溶融部は、連続的に形成されていてもよいし、間欠的に形成されていてもよい。
上記参考例1によれば、貴金属チップと対象部分(接地電極や中心電極)との間に形成された第1溶融部に加えて、当該第1溶融部と交差するようにして第2溶融部が形成されている。すなわち、第2溶融部の存在により、溶融部の少なくとも一部において、第1溶融部よりも厚肉な部位が形成されている。従って、第1溶融部よりも応力差の吸収能力に優れる前記厚肉部位により、第1溶融部では吸収しきれなかった、熱膨張に伴う貴金属チップと対象部分との間における応力差を効果的に吸収することができる。
さらに、溶融部と貴金属チップや対象部分との間の境界面に沿った方向で生じる応力差により、前記境界面において溶融部が対象部分や貴金属チップに対して相対的にずれ動いてしまい、貴金属チップの剥離が生じてしまうおそれがあるが、第2溶融部を設けることで、境界面の少なくとも一部が突状とされる。従って、当該突状部分が、いわばクサビのように機能することとなり、境界面における溶融部の相対的なずれ動きをより確実に抑制することができる。
また、上記参考例1によれば、単に第1溶融部を厚肉に形成する場合と比較して、溶融部のボリュームを十分に小さなものとすることができる。このため、貴金属チップのうち接合時に溶融してしまう部分を減少させることができ、溶融部が火花放電間隙側に露出してしまったり、貴金属チップが過度に薄肉になってしまったりするといった事態をより確実に防止できる。
以上のように、上記参考例1によれば、貴金属チップを設けることによる耐消耗性の向上効果を十分に発揮させつつ、第2溶融部を設けることによる、応力差の効果的な吸収効果と、溶融部のずれ動き防止効果とが相乗的に作用し、貴金属チップの剥離を極めて効果的に防止することができる。
参考例2.のスパークプラグは、上記参考例1において、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極の内側面に接合されるとともに、前記接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも1つの面側から前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記溶融部が形成されており、
前記接地電極のうち前記レーザービーム又は電子ビームが照射された面側から前記貴金属チップ及び前記溶融部を見たときにおいて、
前記溶融部のうち前記接地電極と前記貴金属チップとの間に位置する部位を、前記貴金属チップの幅方向に沿って3つの領域に均等に分割したとき、前記3分割された領域のうち少なくとも中央の領域で前記第1溶融部と前記第2溶融部とが接触していることを特徴とする。
尚、「前記レーザービーム又は電子ビームが照射された側の前記接地電極の側面側から見たとき」とあるのは、「前記レーザービーム又は電子ビームが照射された側の前記接地電極の側面と直交する方向に沿って見たとき」と言うことができる。
上記参考例2によれば、溶融部の中央に第2溶融部が設けられているため、第1溶融部で吸収しきれない応力差が、応力差の吸収能力に優れる溶融部の厚肉部位(第2溶融部が存在する部位)に対してより確実に加わることとなる。その結果、応力差を一層効果的に吸収することができ、貴金属チップの剥離を一層確実に防止することができる。
尚、溶融部による応力差の吸収効果をより高めるために、レーザービーム等の照射側から見たときにおいて、第1溶融部が貴金属チップの幅方向全域に形成されていることが望ましい。
参考例3.のスパークプラグは、上記参考例1又は2において、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、前記接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも1つの面側から前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記溶融部が形成されており、
前記接地電極のうち前記レーザービーム又は電子ビームが照射された面側から前記貴金属チップ及び前記溶融部を見たときにおいて、
前記溶融部のうち前記接地電極と前記貴金属チップとの間に位置する部位を、前記貴金属チップの幅方向に沿って3つの領域に均等に分割したとき、前記3分割された領域のうち少なくとも両端の領域で前記第1溶融部と前記第2溶融部とが接触していることを特徴とする。
上記参考例3によれば、レーザービーム等の照射側から見て、溶融部の両端側に第2溶融部が位置している。そのため、第1溶融部で吸収しきれない応力差が、溶融部の厚肉部位に対して均等に加わることとなり、応力差をより一層効果的に吸収することができる。また、クサビとしての機能がより強固に発揮され、溶融部のずれ動きをより一層確実に抑制することができる。その結果、貴金属チップの剥離防止効果をより向上させることができる。
参考例4.のスパークプラグは、上記参考例1乃至3のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記接地電極の先端面及び両側面側のそれぞれから前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記接地電極の先端面側及び両側面側のそれぞれに前記第2溶融部が形成されることを特徴とする。
上記参考例4によれば、接地電極の先端面及び両側面に対応して少なくとも3つの第2溶融部が設けられることとなり、応力差の吸収効果等を一層高めることができる。
参考例5.のスパークプラグは、上記参考例1乃至4のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記第2溶融部は、複数形成されており、
前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記第2溶融部は、前記貴金属チップの中心軸を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする。
尚、「対称」とあるのは、前記中心軸を挟んだ厳密な対称位置に第2溶融部を形成する場合のみならず、対称位置から若干ずれた位置に第2溶融部を形成する場合も含む。従って、例えば、貴金属チップの他端面側から見て、一方の第2溶融部の外表面(レーザービーム等の被照射面)の中心を、前記中心軸を挟んだ対称位置に仮想的に移動させたとき、当該移動させた中心に対して他方の第2溶融部の外表面の中心が若干(例えば、0.1mm程度)ずれていてもよい。
上記参考例5によれば、第2溶融部(溶融部の厚肉部位)が貴金属チップの中心軸を挟んだ対称位置に存在しているため、前記厚肉部位により応力差を均等に吸収することができる。従って、溶融部により応力差をより一層確実に吸収することができ、貴金属チップの耐剥離性をより向上させることができる。
参考例6.のスパークプラグは、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記第2溶融部は、複数形成されており、
前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記第2溶融部は、前記接地電極の長手方向に沿って延びるとともに、前記貴金属チップの中心軸と通過する直線(基準直線)を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする。
尚、「対称」とあるのは、前記基準直線を挟んだ厳密な対称位置に第2溶融部を形成する場合だけでなく、対称位置から若干ずれた位置に第2溶融部を形成する場合も含む。従って、例えば、貴金属チップの他端面側から見て、一方の第2溶融部の外表面の中心を、前記基準直線を挟んだ対称位置に仮想的に移動させたとき、当該移動させた中心に対して他方の第2溶融部の外表面の中心が若干(例えば、0.1mm程度)ずれていてもよい。
上記参考例6によれば、第2溶融部(溶融部の厚肉部位)が前記基準直線を挟んだ対称位置に存在しているため、前記厚肉部位により応力差を均等に吸収することができ、貴金属チップの耐剥離性を一層向上させることができる。
参考例7.のスパークプラグは、上記参考例1乃至5のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記第2溶融部は、複数形成されており、
前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記第2溶融部は、前記接地電極の長手方向と直交する方向に沿って延び、前記貴金属チップの中心軸を通過する直線(直交基準直線)を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする。
尚、「対称」とあるのは、前記直交基準直線を挟んだ厳密な対称位置に第2溶融部を形成する場合だけでなく、対称位置から若干ずれた位置に第2溶融部を形成する場合も含む。従って、例えば、貴金属チップの他端面側から見て、一方の第2溶融部の外表面の中心を、前記直交基準直線を挟んだ対称位置に仮想的に移動させたとき、当該移動させた中心に対して他方の第2溶融部の外表面の中心が若干(例えば、0.1mm程度)ずれていてもよい。
上記参考例7によれば、前記厚肉部位により応力差を均等に吸収することができ、貴金属チップの耐剥離性をより一層向上させることができる。
参考例8.のスパークプラグは、上記参考例1において、前記貴金属チップは、少なくとも前記中心電極に接合され、
前記第1溶融部は、前記貴金属チップの周囲全周に亘って形成されるとともに、
前記第2溶融部は、複数形成されており、
前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記第2溶融部は、前記貴金属チップの中心軸を中心とした対称位置に形成されることを特徴とする。
尚、「前記第2溶融部は、前記貴金属チップの中心軸を中心とした対称位置に形成される」とあるのは、「第2溶融部を貴金属チップの周方向に沿って等間隔に複数設けたもの」を含む。
また、「対称」とあるのは、第2溶融部を厳密な対称位置に形成する場合のみならず、対称位置から若干ずれた場合も含む。従って、前記中心軸を中心とした厳密な対称位置に第2溶融部を形成した場合、貴金属チップの他端面側から見たときにおいて、一の第2溶融部の外表面の中心及び前記中心軸を結んだ直線と、前記一の第2溶融部に隣接する第2溶融部の外表面の中心及び前記中心軸を結んだ直線とのなす角度は、360°/n(nは、第2溶融部の個数を示す)となるが、前記角度が360°/nから若干(例えば、10°程度)ずれるようにして各第2溶融部を形成することとしてもよい。
上記参考例8によれば、貴金属チップの周囲全周に亘って第1溶融部が形成されているため、第1溶融部による応力差の吸収効果を高めることができる。また、貴金属チップの他端面側から見たとき、第2溶融部が貴金属チップの中心軸を中心とした対称位置に形成されているため、第2溶融部により形成された溶融部の厚肉部位により応力差を均等に吸収することができる。その結果、第1溶融部による応力差の吸収効果が向上することと相俟って、貴金属チップの剥離を極めて効果的に防止することができる。
参考例9.のスパークプラグは、上記参考例8において、前記溶融部の外周面をその周方向に沿って3つの領域に均等に分割したとき、前記3分割された各領域のそれぞれに前記第2溶融部が存在していることを特徴とする。
上記参考例9によれば、貴金属チップの他端面側から溶融部を見たときにおいて、貴金属チップの中心軸を中心として溶融部を均等に3分割したとき、各分割された溶融部のそれぞれに第2溶融部が存在している。従って、応力差をより一層確実に吸収することができ、耐剥離性の更なる向上を図ることができる。
参考例10.のスパークプラグは、上記参考例1乃至9のいずれかにおいて、前記貴金属チップの中心軸に沿った、前記第1溶融部の最大厚さが0.3mm以下とされることを特徴とする。
上記参考例10によれば、貴金属チップの中心軸に沿った第1溶融部の最大厚さが0.3mm以下とされ、第1溶融部が極めて薄肉に形成されている。従って、貴金属チップのボリュームをより大きく確保することができ、耐消耗性をより一層向上させることができる。
一方で、第1溶融部を薄肉に形成すると、耐剥離性の低下が懸念されるが、第2溶融部を設けることで、当該懸念を払拭することができる。換言すれば、第2溶融部を設けることは、第1溶融部の最大厚さが0.3mm以下とされた場合において特に有効である。
参考例11.のスパークプラグは、上記参考例1乃至10のいずれかにおいて、前記貴金属チップの周方向に沿った前記第2溶融部の外表面の長さが、前記貴金属チップの周方向に沿った前記第1溶融部の外表面の長さの3割以上とされることを特徴とする。
尚、「第1、第2溶融部の外表面」とあるのは、レーザービーム又は電子ビームが照射された面をいう。また、第1溶融部や第2溶融部が複数設けられている場合、「第1、第2溶融部の外表面の長さ」とあるのは、貴金属チップの周方向に沿った各第1、第2溶融部の外表面の長さを合計したものをいう。
上記参考例11によれば、熱膨張に伴い特に大きな応力差が生じる貴金属チップの外周側と対象部分(中心電極や接地電極)との間の比較的広範囲に亘って第2溶融部が形成されている。従って、熱膨張に伴う応力差をより一層確実に吸収することができ、耐剥離性をより向上させることができる。
参考例12.のスパークプラグは、上記参考例1乃至10のいずれかにおいて、前記貴金属チップの周方向に沿った前記第2溶融部の外表面の長さが、前記貴金属チップの周方向に沿った前記第1溶融部の外表面の長さの5割以上とされることを特徴とする。
上記参考例12によれば、応力差をより効果的に吸収することができ、耐剥離性を一層向上させることができる。
参考例13.のスパークプラグは、上記参考例1乃至10のいずれかにおいて、前記貴金属チップの周方向に沿った前記第2溶融部の外表面の長さが、前記貴金属チップの周方向に沿った前記第1溶融部の外表面の長さの7割以上とされることを特徴とする。
上記参考例13によれば、応力差をより一層効果的に吸収することができ、耐剥離性をより一層向上させることができる。
参考例14.のスパークプラグは、上記参考例1乃至13のいずれかにおいて、前記貴金属チップの中心軸に沿って、前記中心軸と直交する面に前記貴金属チップ及び前記溶融部を投影した投影面において、
前記貴金属チップが投影されてなる領域に対して、前記貴金属チップと前記溶融部とが重なる領域の占める割合が50%以上とされることを特徴とする。
上記参考例14によれば、貴金属チップの一端面(底面)の半分以上が対象部分(接地電極や中心電極)に対して接合されており、貴金属チップの一端面と対象部分との間に十分に広い溶融部が介在している。従って、対象部分に対する貴金属チップの接合強度を十分に確保することができ、上記構成1等の作用効果がより確実に奏されることとなる。
構成1.本構成のスパークプラグは、軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記中心電極の外周に設けられた筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
基端が前記主体金具に溶接され、先端が前記中心電極と対向する接地電極と、
貴金属合金により形成されるとともに、前記中心電極及び前記接地電極の少なくとも一方の対象部分に設けられた柱体の貴金属チップとを備えるスパークプラグであって、
前記貴金属チップは、自身の一端面側が、自身の側面側からレーザービーム又は電子ビームを自身と前記対象部分との境界に交差するように波状に照射することで形成された溶融部を介して前記対象部分に接合されており、
前記溶融部は、前記貴金属チップの一端面と前記対象部分との境界をまたがる溶融領域を複数備えることを特徴とする。
上記構成1によれば、溶融部は、貴金属チップの一端面と対象部分(中心電極や接地電極)との境界をまたがる溶融領域を複数備えている。すなわち、複数の溶融領域が対象部分及び貴金属チップの双方に入り込む形状となっている。従って、各溶融領域がいわばクサビのように機能することとなり、貴金属チップ及び対象部分間で生じる応力差に伴う、対象部分に対する貴金属チップの相対的なずれ動きを抑制することができる。その結果、対象部分に対する貴金属チップの接合強度を向上させることができ、優れた耐剥離性を実現することができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成において、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極の内側面に接合されるとともに、前記接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも1つの面側から前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記溶融部が形成されており、
前記レーザービーム又は電子ビームが照射された側から見たとき、外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記接地電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの3割以上とされることを特徴とする。
上記構成によれば、特に大きな応力差が生じる貴金属チップの外周側と接地電極との間の比較的広範囲に亘って溶融領域が形成されている。従って、各溶融領域によるクサビとしての機能をより効果的に発揮させることができ、耐剥離性をより向上させることができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成において、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極の内側面に接合されるとともに、前記接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも1つの面側から前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記溶融部が形成されており、
前記レーザービーム又は電子ビームが照射された側から見たとき、外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記接地電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの5割以上とされることを特徴とする。
上記構成によれば、各溶融領域によるクサビとしての機能をより一層効果的に発揮させることができ、耐剥離性をより一層向上させることができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記接地電極の先端面及び両側面側のそれぞれから前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記接地電極の先端面側及び両側面側のそれぞれに前記溶融領域が形成されることを特徴とする。
上記構成によれば、接地電極の先端面及び両側面に対応して溶融領域が設けられるため、溶融領域によるクサビとしての機能が、貴金属チップ及び接地電極の境界面の広範囲において発揮されることとなる。その結果、貴金属チップの接合強度を一層高めることができ、一層優れた耐剥離性を実現することができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記溶融領域は、前記貴金属チップの中心軸を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする。
尚、「前記溶融領域は、前記貴金属チップの中心軸を中心とした対称位置に形成される」とあるのは、「溶融領域を貴金属チップの周方向に沿って等間隔に複数設けたもの」を含む。
また、「対称」とあるのは、前記中心軸を挟んだ厳密な対称位置に溶融領域を形成する場合のみならず、対称位置から若干ずれた位置に溶融領域を形成する場合も含む。従って、例えば、貴金属チップの他端面側から見て、一方の溶融領域の外表面(レーザービーム等の被照射面)の中心を、前記中心軸を挟んだ対称位置に仮想的に移動させたとき、当該移動させた中心に対して他方の溶融領域の外表面の中心が若干(例えば、0.1mm程度)ずれていてもよい。
上記構成によれば、貴金属チップの他端面側から見たとき、溶融領域が貴金属チップの中心軸を中心とした対称位置に形成されている。すなわち、貴金属チップ及び接地電極の境界面において、溶融領域がバランスよく配置されている。従って、溶融領域によるクサビとしての機能が一層効果的に発揮されることとなり、耐剥離性を一層高めることができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記溶融領域は、前記接地電極の長手方向に沿って延び前記貴金属チップの中心軸を通過する直線を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする。
尚、「対称」とあるのは、接地電極の長手方向に沿って延び貴金属チップの中心軸を通過する直線を挟んだ厳密な対称位置に溶融領域を形成する場合だけでなく、対称位置から若干ずれた位置に溶融領域を形成する場合も含む。従って、例えば、貴金属チップの他端面側から見て、一方の溶融領域の外表面の中心を、前記直線を挟んだ対称位置に仮想的に移動させたとき、当該移動させた中心に対して他方の溶融領域の外表面の中心が若干(例えば、0.1mm程度)ずれていてもよい。
上記構成によれば、上記構成と同様に、貴金属チップ及び接地電極の境界面において、溶融領域がバランスよく配置されている。従って、溶融領域によるクサビとしての機能が一層効果的に発揮されることとなり、耐剥離性を一層高めることができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至5のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記溶融領域は、前記接地電極の長手方向と直交する方向に沿って延び前記貴金属チップの中心軸を通過する直線を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする。
尚、「対称」とあるのは、接地電極の長手方向と直交する方向に沿って延び貴金属チップの中心軸を通過する直線を挟んだ厳密な対称位置に溶融領域を形成する場合だけでなく、対称位置から若干ずれた位置に溶融領域を形成する場合も含む。従って、例えば、貴金属チップの他端面側から見て、一方の溶融領域の外表面の中心を、前記直線を挟んだ対称位置に仮想的に移動させたとき、当該移動させた中心に対して他方の溶融領域の外表面の中心が若干(例えば、0.1mm程度)ずれていてもよい。
上記構成によれば、貴金属チップ及び接地電極の境界面において、溶融領域がバランスよく配置されてため、溶融領域によるクサビとしての機能が一層効果的に発揮されることとなり、耐剥離性をより向上させることができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至7のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記中心電極に接合され、
外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記中心電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの3割以上とされることを特徴とする。
上記構成によれば、特に大きな応力差が生じる貴金属チップの外周側と中心電極との間の比較的広範囲に亘って溶融領域が形成されている。従って、各溶融領域によるクサビとしての機能をより効果的に発揮させることができ、耐剥離性をより向上させることができる。
構成.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至7のいずれかにおいて、前記貴金属チップは、少なくとも前記中心電極に接合され、
外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記中心電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの5割以上とされることを特徴とする。
上記構成9によれば、各溶融領域によるクサビとしての機能をより一層効果的に発揮させることができ、耐剥離性をより一層向上させることができる。
構成10.本構成のスパークプラグは、上記構成1乃至9のいずれかにおいて、前記溶融部は、外表面に露出する部位が波状をなすことを特徴とする。
上記構成10によれば、各溶融領域によるクサビとしての機能をより一層効果的に発揮させることができ、耐剥離性をより一層向上させることができる。
スパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 スパークプラグの先端部の構成を示す一部破断拡大正面図である。 溶融部の構成を示す部分拡大側面図である。 第2溶融部の外表面長さの測定方法を説明するための拡大側面模式図である。 貴金属チップ及び溶融部を投影させた投影面を示す投影図である。 溶融部の別例を示す部分拡大側面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大側面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大側面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大側面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大側面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大側面図である。 第2実施形態におけるスパークプラグの先端部の構成を示す一部破断拡大正面図である。 第2実施形態における溶融部等の構成を示す部分拡大正面図である。 第2溶融部の構成を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大正面図である。 第2溶融部の別例を示す部分拡大正面図である。 第3実施形態における溶融部の構成を示す部分拡大側面図である。 第3実施形態における溶融部の構成を示す部分拡大平面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大平面図である。 溶融部の別例を示す部分拡大側面図である。 第4実施形態における溶融部の構成を示す部分拡大正面図である。 図37のJ−J線断面図である。 中心電極や溶融部等の外周面の展開図である。 溶融部の別例を示す部分拡大正面図である。 図40のJ−J線断面図である。 中心電極や溶融部等の外周面の展開図である。 (a),(b)は、溶融部の別例を示す中心電極や溶融部等の外周面の展開図である。 (a)は、溶融部の別例を示す中心電極や溶融部等の外周面の展開図であり、(b)は、内部側に位置する溶融部の形状を示す断面図である。 別の実施形態におけるスパークプラグの先端部の構成を示す一部破断拡大正面図である。 別の実施形態における溶融部の構成を示す部分拡大側面図である。 別の実施形態における溶融部の構成を示す部分拡大側面図である。 別の実施形態における溶融部の構成を示す部分拡大平面図である。 別の実施形態におけるスパークプラグの先端部の構成を示す一部破断拡大正面図である。
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、熱伝導性に優れる銅又は銅合金からなる内層5A、及び、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bにより構成されている。さらに、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面が平坦に形成されるとともに、絶縁碍子2の先端から突出している。また、中心電極5の先端部には、所定の貴金属合金(例えば、白金合金やイリジウム合金)からなる円柱状の貴金属部31が設けられている。
また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1を燃焼装置(例えば、内燃機関や燃料電池改質器等)の取付孔に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を前記燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、後端部において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具2に固定されている。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間にはタルク(滑石)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及びタルク25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、図2に示すように、主体金具3の先端部26には接地電極27が設けられている。接地電極27は、その基端部が主体金具3に溶接されるとともに、中間部分にて曲げ返されて、その先端部が中心電極5の先端部(貴金属部31)と対向している。また、接地電極27は、Niを主成分とするNi合金(例えば、Niを主成分とし、ケイ素、アルミニウム、及び、希土類元素の少なくとも一種を含有する合金)によって構成されている。
さらに、接地電極27の中心電極5側に位置する面(内側面)27Iのうち貴金属部31の先端面と対向する部位には、角柱状(直方体状)の貴金属チップ32の一端面が接合されている(本実施形態において、接地電極27が本発明の「対象部分」に相当する)。当該貴金属チップ32は、所定の貴金属合金(例えば、イリジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、及び、レニウムのうち少なくとも一種を含有する貴金属合金)によって構成されている。尚、本実施形態において、前記貴金属チップ32は、製造コストの抑制を図るべく、比較的薄肉(例えば、0.2mm以上0.6mm以下)とされている一方で、耐消耗性の向上を図るべく、貴金属部31と対向する貴金属チップ32の他端面(放電面)32Fの面積が比較的大きく(例えば、0.6mm2以上と)されている。
加えて、貴金属チップ32の他端面32Fと前記貴金属部31との間には、間隙としての火花放電間隙33が形成されており、当該火花放電間隙33において軸線CL1に沿った方向で火花放電が行われるようになっている。
加えて、貴金属チップ32は、自身の一端面側が、自身の側面側からレーザービーム又は電子ビームが照射されることで形成された溶融部35を介して接地電極27に接合されている。溶融部35は、貴金属チップ32を構成する金属と接地電極27を構成する金属とがそれぞれ溶融することで形成されたものであり、図3(図3は、接地電極27の先端面27F側から見た拡大側面図である)に示すように、第1溶融部351と第2溶融部352とを備えている。
第1溶融部351は、接地電極27の先端面27F側から貴金属チップ32の周方向に沿って、当該貴金属チップ32の一端面と接地電極27との境界部位にレーザービーム又は電子ビームが連続的に照射されることで形成されたものである。当該第1溶融部351は、貴金属チップ32の他端面32Fにほぼ沿って延びる平板状をなしており、本実施形態では、接地電極27のうちレーザービーム等が照射された面(先端面27F)側から見たとき、貴金属チップ32の幅方向全域に亘って形成されている。
また、第2溶融部352は複数設けられており、それぞれの第2溶融部352は第1溶融部351と交差(本実施形態では、ほぼ直交)するように形成されている。第2溶融部352は、第1溶融部351を形成する際においてレーザービーム等が照射された側(すなわち、接地電極27の先端面27F側)から、第1溶融部351と交差(本実施形態では、ほぼ直交)するように、レーザービーム等が照射されることで形成されている。本実施形態では、溶融部35のうち少なくともレーザービーム等が照射された側(例えば、レーザービーム等の被照射部位から貴金属チップ32の中心軸CL2までの間)において、貴金属チップ32の中心軸CL2に沿った第2溶融部352の厚さが、前記中心軸CL2に沿った第1溶融部351の厚さよりも大きなものとなっている。
また、本実施形態において、第2溶融部352は次の位置に設けられている。すなわち、接地電極27のうちレーザービーム等が照射された面(先端面27F)側から、貴金属チップ32及び溶融部35を見たときにおいて、溶融部35のうち接地電極27と貴金属チップ32との間に位置する部位を貴金属チップ32の幅方向に沿って3つの領域に均等に分割する。このとき、前記3分割された各領域において、第1溶融部351と接触するように第2溶融部352が設けられている。
加えて、貴金属チップ32の周方向(幅方向)に沿った第2溶融部352の外表面の長さ(L21+L22+L23+L24+L25)が、貴金属チップ32の周方向に沿った第1溶融部351の外表面の長さL1の3割以上とされている。
尚、貴金属チップ32の周方向に沿った第2溶融部352の外表面の長さは、次のようにして測定することができる。すなわち、図4に示すように、第1溶融部351と貴金属チップ32及び接地電極27との境界線BL1を仮想直線VL1で結び、境界線BL1及び仮想直線VL1に挟まれる面を第1溶融部351の外表面として特定する。一方で、第2溶融部352と貴金属チップ32及び接地電極27との境界線BL2を仮想直線VL2で結び、境界線BL2及び仮想直線VL2に囲まれる面を第2溶融部352の外表面として特定する。次いで、特定された第1溶融部351の外表面と特定された第2溶融部352の外表面とが重なる領域(重なり領域)を特定するとともに、中心軸CL2に沿った第1溶融部352の外表面の中心を通る直線L1を引く。そして、前記直線L1のうち前記重なり領域を通る線分の長さの合計を測定することで、貴金属チップ32の周方向に沿った第2溶融部352の外表面の長さを得ることができる。
さらに、本実施形態では、図5(図5中の矢印は、レーザービーム等の照射方向を示す)に示すように、貴金属チップ32の中心軸CL2に沿って、当該中心軸CL2と直交する面に貴金属チップ32及び溶融部35を投影した投影面PSにおいて、貴金属チップ32が投影されてなる領域に対して、貴金属チップ32と溶融部35とが重なる領域(図5中、斜線を付した部位)の占める割合が50%以上(本実施形態では、100%)とされている。すなわち、貴金属チップ32の一端面の半分以上(本実施形態では、一端面の全域)が、溶融部35を介して貴金属チップ32に接合されている。
一方で、上述したように貴金属チップ32は比較的薄肉であるものの、溶融部35を形成する際の貴金属チップ32の溶融量を十分に低減させ、貴金属チップ32のボリュームを十分に確保するという観点から、第1溶融部351は比較的薄肉に形成されている。本実施形態では、貴金属チップ32の中心軸CL2に沿った第1溶融部351の最大厚さTMAXが0.3mm以下とされている(図3参照)。
尚、第2溶融部352の数は特に限定されるものではなく、例えば、図6及び図7に示すように、第2溶融部352の数を変更することとしてもよい。また、第1溶融部351(貴金属チップ32)に対する第2溶融部352の相対的な形成位置についても特に限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、前記3分割された領域のうち中央の領域のみで第1溶融部351と第2溶融部352とが接触するように構成することとしてもよいし、図9に示すように、前記3分割された領域のうち両端の領域のみで第1溶融部351と第2溶融部352とが接触するように構成することとしてもよい。
さらに、レーザービーム等の照射は、接地電極27の先端面27F側からに限定されるものではなく、図10(図10〜図13の矢印は、レーザービーム等の照射方向を示す)に示すように、接地電極27のうち、その先端面27Fと内側面27Iとの双方に隣接する側面27S1,27S2の一方側からレーザービーム等を照射することで、溶融部36を形成することとしてもよい。また、図11に示すように、両側面27S1,27S2の双方側からレーザービーム等を照射することで、溶融部37を形成することとしてもよいし、図12に示すように、両側面27S1,27S2のうち一方の面側と先端面27F側とからレーザービーム等を照射することで溶融部38を形成することとしてもよい。さらに、図13に示すように、先端面27F側と両側面27S1,27S2側とからレーザービーム等を照射することで、溶融部39を形成することとしてもよい。
加えて、図14(図14〜16において、第1溶融部は不図示)に示すように、貴金属チップ32及び第2溶融部402を貴金属チップ32の他端面32F側から見たとき、第2溶融部402が、貴金属チップ32の中心軸CL2を挟んだ対称位置に存在するように構成することとしてもよい。
併せて、図15に示すように、貴金属チップ32の他端面32F側から見たとき、第2溶融部412を、接地電極27の長手方向に沿って延びるとともに、貴金属チップ32の中心軸CL2を通過する直線(基準直線)KL1を挟んだ対称位置に形成することとしてもよい。また、図16に示すように、貴金属チップ32の他端面32F側から見たとき、第2溶融部422を、接地電極27の長手方向と直交する方向に沿って延び、貴金属チップ32の中心軸CL2を通過する直線(直交基準直線)KL2を挟んだ対称位置に形成することとしてもよい。
加えて、第1溶融部351と直交するようにして第2溶融部352を形成することなく、例えば、図17に示すように、第1溶融部431に対して斜めに交差するように第2溶融部432を形成することとしてもよい。
さらに、レーザービーム等を連続的に照射することで第2溶融部を形成してもよく、例えば、図18(図18中の点線は、第2溶融部442を形成する際におけるレーザービーム等の照射位置の移動経路を示す)に示すように、レーザービーム等を波状に照射することで、第2溶融部442を波状に形成することとしてもよい。
次に、上記のように構成されてなるスパークプラグ1の製造方法について説明する。まず、主体金具3を予め加工しておく。すなわち、円柱状の金属素材に対して冷間鍛造加工等を施すことにより概形を形成するとともに、貫通孔を形成する。その後、切削加工を施すことで外形を整え、主体金具中間体を得る。
続いて、主体金具中間体の先端面に、Ni合金からなる直棒状の接地電極27が抵抗溶接される。当該溶接に際してはいわゆる「ダレ」が生じるので、その「ダレ」を除去した後、主体金具中間体の所定部位にねじ部15が転造によって形成される。これにより、接地電極27の溶接された主体金具3が得られる。また、接地電極27の溶接された主体金具3には、亜鉛メッキ或いはニッケルメッキが施される。尚、耐食性の向上を図るべく、その表面に、さらにクロメート処理を施すこととしてもよい。
一方、前記主体金具3とは別に、絶縁碍子2を成形加工しておく。例えば、アルミナを主体としバインダ等を含む原料粉末を用いて、成形用素地造粒物を調製するとともに、当該成形用素地造粒物を用いてラバープレス成形を行うことで、筒状の成形体が得られる。そして、得られた成形体に研削加工を施し、整形するとともに、整形したものを焼成炉で焼成することにより絶縁碍子2が得られる。
また、前記主体金具3、絶縁碍子2とは別に、中心電極5を製造しておく。すなわち、中央部に放熱性向上を図るための銅合金等を配置したNi合金を鍛造加工して中心電極5を作製する。次いで、中心電極5の先端部に対して貴金属合金からなる貴金属部31がレーザー溶接等により接合される。
次に、上記のようにして得られた絶縁碍子2及び中心電極5と、抵抗体7と、端子電極6とが、ガラスシール層8,9によって封着固定される。ガラスシール層8,9としては、一般的にホウ珪酸ガラスと金属粉末とが混合されて調製されており、当該調製されたものが抵抗体7を挟むようにして絶縁碍子2の軸孔4内に注入された後、後方から前記端子電極6で押圧しつつ、焼成炉内にて加熱することにより焼き固められる。尚、このとき、絶縁碍子2の後端側胴部10表面に釉薬層を同時に焼成することとしてもよいし、事前に釉薬層を形成することとしてもよい。
その後、上記のようにそれぞれ作製された中心電極5及び端子電極6を備える絶縁碍子2と、接地電極27を備える主体金具3とが固定される。より詳しくは、主体金具3に絶縁碍子2を挿通した上で、比較的薄肉に形成された主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって絶縁碍子2と主体金具3とが固定される。
次いで、接地電極27の先端部に貴金属チップ32を接合する。すなわち、所定の押さえピンにより貴金属チップ32を支持した上で、貴金属チップ32の周方向(幅方向)に沿ってレーザーの照射位置を移動させながら、接地電極27の先端面27F側から接地電極27と貴金属チップ32との境界部位に対して、ファイバーレーザー又は電子ビーム等の高エネルギーレーザービームを照射する。これにより、第1溶融部351が形成される。尚、第1溶融部351を形成する際において、高エネルギーレーザービームの照射方向は、貴金属チップ32の他端面32Fと平行な向きとなるように設定されている。また、貴金属チップ32と接地電極27との間の全域に第1溶融部351を形成しつつ、その最大厚さTMAXが0.3mm以下となるようにレーザービーム等の照射条件が設定されている。具体的には、加工速度を遅くすることで第1溶融部351の肉厚が比較的大きくなり、加工速度を早くすることで第1溶融部351の肉厚が比較的小さくなることから、出力エネルギーが比較的大きくされつつ、加工速度が比較的速くされる。また、ファイバーレーザーのスポット径が100分の5mm以下と十分に小さくされる。これにより、第1溶融部351が十分な広さで形成されるとともに、第1溶融部351の肉厚が比較的小さなものとされる。
次いで、形成された第1溶融部351と交差するように、中心軸CL2方向に沿ってレーザーの照射位置を移動させながら、第1溶融部351を形成する際に前記高エネルギーレーザービームを照射した側(接地電極27の先端面27F側)から高エネルギーレーザービームを照射する。このレーザービームの照射を貴金属チップ32の周方向(幅方向)に沿って間欠的に行うことで、複数の第2溶融部352が形成される。その結果、第1溶融部351と第2溶融部352とからなる溶融部35が形成され、貴金属チップ32が接地電極27に接合される。尚、第2溶融部352を形成するにあたっては、加工精度を高めるべく、ガルバノスキャンを用いて第2溶融部352を形成してもよい。
尚、溶融部35を形成するにあたっては、貴金属チップ32の外径や貴金属チップ32等を構成する材料に応じて、高エネルギーレーザービームの照射条件(例えば、レーザービーム等の出力や照射時間など)を変更することとしてもよい。
貴金属チップ32の接合後、接地電極27の略中間部分を中心電極5側に屈曲させるとともに、貴金属部31及び貴金属チップ32間の火花放電間隙33の大きさを調整することで上述したスパークプラグ1が得られる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第2溶融部352の存在により、溶融部35の少なくとも一部において、第1溶融部351よりも厚肉な部位が形成されている。従って、第1溶融部351よりも応力差の吸収能力に優れる前記厚肉部位により、第1溶融部351では吸収しきれなかった、熱膨張に伴う貴金属チップ32と接地電極27との間における応力差を効果的に吸収することができる。
さらに、第2溶融部352が設けられることで、溶融部35と貴金属チップ32や接地電極27との境界面の少なくとも一部が突状とされている。従って、当該突状部分が、いわばクサビのように機能することとなり、境界面における溶融部35の接地電極27等に対する相対的なずれ動きの発生をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、単に第1溶融部351を厚肉に形成する場合と比較して、溶融部35のボリュームを十分に小さなものとすることができる。このため、貴金属チップ32のうち接合時に溶融してしまう部分を減少させることができ、溶融部35が火花放電間隙33側に露出してしまったり、貴金属チップ32が過度に薄肉になってしまったりするといった事態をより確実に防止できる。
以上のように、本実施形態によれば、貴金属チップ32を設けることによる耐消耗性の向上効果を十分に発揮させつつ、第2溶融部352を設けることによる、応力差の効果的な吸収効果と、溶融部35のずれ動き防止効果とが相乗的に作用し、貴金属チップ32の剥離を極めて効果的に防止することができる。
また、レーザービーム等の照射側から見たとき、第1溶融部351が貴金属チップ32の幅方向全域に形成されているとともに、溶融部35をその周方向(幅方向)に3分割したとき、各領域において第1溶融部351と第2溶融部352とが接触するように構成されている。従って、第1溶融部351による応力差の吸収効果が高まるとともに、溶融部35の厚肉部位(第2溶融部352)に対してほぼ均等に応力差が加わることとなる。その結果、溶融部35により応力差を一層効果的に吸収することができ、貴金属チップ32の剥離を極めて効果的に防止することができる。
さらに、本実施形態では、貴金属チップ32の周方向に沿った第2溶融部352の外表面の長さが、貴金属チップ32の周方向に沿った第1溶融部351の外表面の長さの3割以上とされている。すなわち、熱膨張に伴い特に大きな応力差が生じる貴金属チップ32の外周側と接地電極27との間の比較的広範囲に亘って第2溶融部352が形成されている。従って、熱膨張に伴う応力差をより一層確実に吸収することができ、耐剥離性をより向上させることができる。
特に本実施形態のように、第1溶融部351の最大厚さTMAXが0.3mm以下と薄肉にされ、第1溶融部351で応力差を吸収することが難しく、貴金属チップ32の剥離がより懸念される場合において、第2溶融部352を設けることは効果的である。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。図19に示すように、本第2実施形態におけるスパークプラグ41は、中心電極5の先端部に、レーザービーム又は電子ビームが照射されることで形成された溶融部45を介して貴金属チップ42が接合されている(すなわち、本第2実施形態では、中心電極5が「対象部分」とされている)。一方で、接地電極27には、貴金属チップが設けられておらず、貴金属チップ42と接地電極27との間に火花放電間隙43が形成されている。
また、溶融部45については、次の構成を満たすように形成されている。すなわち、溶融部45は、貴金属チップ42と中心電極5との間の全域に亘って形成され、貴金属チップ42の一端面全域が中心電極5に接合されている。また、図20に示すように、溶融部45は、第1溶融部451と第2溶融部452とを備えている。
第1溶融部451は、貴金属チップ42の周方向に沿って、当該貴金属チップ42の一端面と中心電極5との境界部位にレーザービーム又は電子ビームが連続的に照射されることで形成されたものである。また、第1溶融部451は、貴金属チップ42の周囲全周に亘って形成されており、貴金属チップ42の他端面42Fにほぼ沿って延びる円板状をなしている。
加えて、前記第2溶融部452は、第1溶融部451を形成する際にレーザービーム等が照射された側から、第1溶融部451と交差(本実施形態では、直交)するようにしてレーザービーム等が照射されることで形成されたものである。本実施形態において、第2溶融部452は複数設けられており、図21(図21〜28の矢印はレーザービーム等の照射方向を示す)に示すように、貴金属チップ42の他端面42F側から見たとき、第2溶融部452は、貴金属チップ42の中心軸CL3を中心とした対称位置(本実施形態では、中心軸CL3を挟んだ対称位置)に形成されている。
尚、第2溶融部452の数は特に限定されるものではなく、例えば、図22に示すように、第2溶融部452を1つだけ設けることとしてもよいし、図23に示すように、第2溶融部452を3つ以上設けることとしてもよい。また、第2溶融部452を設ける位置は特に限定されるものではなく、例えば、図24に示すように、溶融部45の外周面をその周方向に沿って2つの領域に均等に分割したとき、前記2分割された各領域の一方にのみ第2溶融部452が存在するように構成することとしてもよい。また、図25に示すように、溶融部45の外周面をその周方向に沿って3つの領域に均等に分割したとき、3分割された領域のそれぞれに第2溶融部452が存在するように構成することとしてもよい。さらに、図26〜28に示すように、第2溶融部452及び貴金属チップ42を貴金属チップ42の他端面42F側から見たとき、第2溶融部452が、貴金属チップ42の中心軸CL3を中心とした対称位置に形成されるようにしてもよい。尚、第2溶融部452を貴金属チップ42の中心軸CL3を中心とした厳密な対称位置に形成することなく、対称位置から若干ずれた位置に形成することとしてもよい。
また、図29に示すように、第1溶融部451に対して斜めに交差するように第2溶融部452を形成することとしてもよい。
さらに、図30に示すように、レーザービーム等を連続的に(波状に)照射することで、外表面において波状をなすように第2溶融部452を形成してもよい。
以上、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態によって奏される作用効果と同様の作用効果が、中心電極5とこれに接合された貴金属チップ42との関係において奏されることとなる。すなわち、中心電極5に接合された貴金属チップ42において、耐剥離性を飛躍的に向上させることができる。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態において、溶融部35は、第1溶融部351及びこれに交差する第2溶融部352を備えているが、本第3実施形態において、溶融部55は、図31に示すように、貴金属チップ52の一端面と接地電極27との境界をまたがるようにして貴金属チップ52の中心軸CL4に沿って延びる複数の溶融領域552により形成されている。すなわち、溶融部55は、上記第1実施形態における、第2溶融部352に相当する部分のみにより構成されている。尚、溶融部55は、接地電極27の先端面27F側から、貴金属チップ52と接地電極27との境界BA1と交差するようにレーザービーム又は電子ビームを間欠的に複数回照射することで形成されている。
また、本第3実施形態においては、前記レーザービーム又は電子ビームが照射された側から見た(本実施形態では、接地電極27の先端面27F側から見た)とき、外表面において、溶融部55のうち貴金属チップ52と接地電極27との境界BA1上に位置する部位の長さ(L41+L42+L43+L44+L45)が、前記境界BA1の長さL3の3割以上(より好ましくは、5割以上。より一層好ましくは、7割以上)とされている。
尚、実際には、貴金属チップ52と接地電極27との境界BA1の一部は、溶融部55の形成に伴い外表面に表れないが、上述した「貴金属チップ52と接地電極27との境界BA1」とあるのは、溶融部55が存在しないものと仮定した際の貴金属チップ52と接地電極27との境界を意味する。従って、「外表面における貴金属チップ52と接地電極27との境界BA1」とあるのは、溶融部55が存在しないものと仮定した際に、外表面に表れる貴金属チップ52と接地電極27との境界をいい、本第3実施形態では、実際に外表面に表れる境界線と、隣接する境界線同士を結んでなる仮想線(図31中の点線)とからなる1本の線が境界BA1とされている。
加えて、本第3実施形態では、図32に示すように、貴金属チップ52の他端面52F側から見たとき、溶融領域552は、接地電極27の長手方向に沿って延び貴金属チップ52の中心軸CL4を通過する直線KL3を挟んだ対称位置に形成されている。
尚、図33に示すように、接地電極27の先端面27F側からレーザービーム等を照射することなく、接地電極27の側面27S1,27S2の一方側から貴金属チップ52と中心電極5との境界BA1と交差するようにレーザービーム等を照射することで、複数の溶融領域562を備えてなる溶融部56を形成してもよい。また、この場合には、貴金属チップ52の他端面52F側から見たときにおいて、溶融領域562が、接地電極27の長手方向と直交する方向に沿って延び貴金属チップ52の中心軸CL4を通過する直線KL4を挟んだ対称位置に形成されるようにしてもよい。さらに、図34に示すように、接地電極27の両側面27S1,27S2側からレーザービーム等を照射し、貴金属チップ52の他端面52F側から見たときにおいて、溶融領域572が、貴金属チップ52の中心軸CL4を挟んだ対称位置に形成されるように構成してもよい。
また、図35に示すように、接地電極27の先端面27F及び両側面27S1,27S2側のそれぞれからレーザービーム等を照射することで、接地電極27の先端面27F側及び両側面27S1,27S2側のそれぞれに溶融領域582を形成してもよい。
加えて、レーザービーム等を間欠的に照射せず、貴金属チップ52及び接地電極27の境界BA1に対して波状にレーザービーム等を照射することで、図36に示すように、複数の溶融領域592が連なってなる溶融部59を形成し、溶融部59のうち外表面に露出する部位が波状をなすように構成してもよい。
以上、本第3実施形態によれば、複数の溶融領域552が接地電極27及び貴金属チップ52の双方に入り込む形状となっている。従って、各溶融領域552がいわばクサビのように機能することとなり、貴金属チップ52及び接地電極27間で生じる応力差に伴う、接地電極27に対する貴金属チップ52の相対的なずれ動きを抑制することができる。その結果、貴金属チップ52の接合強度を向上させることができ、優れた耐剥離性を実現することができる。
さらに、貴金属チップ52の他端面52F側から見たとき、溶融領域552は、前記直線KL3を挟んだ対称位置に形成されている。すなわち、貴金属チップ52及び接地電極27の境界面において、溶融領域552がバランスよく配置されている。従って、溶融領域552によるクサビとしての機能が一層効果的に発揮されることとなり、耐剥離性を一層高めることができる。
また、レーザービーム等が照射された側から見たとき、外表面において、溶融部55のうち貴金属チップ52と接地電極27との境界BA1上に位置する部位の長さ(L41+L42+L43+L44+L45)が、前記境界BA1の長さL3の3割以上とされている。つまり、特に大きな応力差が生じる貴金属チップ52の外周側と接地電極27との間の比較的広範囲に亘って溶融領域552が形成されている。従って、各溶融領域552によるクサビとしての機能をより効果的に発揮させることができ、耐剥離性をより向上させることができる。
〔第4実施形態〕
次いで、第4実施形態について、上記第3実施形態との相違点を中心に説明する。上記第3実施形態では、溶融部55により貴金属チップ52が接地電極27に対して接合されているが、本第4実施形態では、図37に示すように、溶融部65により貴金属チップ62が中心電極5の先端部に対して接合されている。すなわち、上記第3実施形態では、対象部分が接地電極27であるのに対して、本第4実施形態においては、対象部分が中心電極5とされている。
また、溶融部65は、貴金属チップ62の一端面と中心電極5との境界BA2をまたがるようにして貴金属チップ62の中心軸CL5に沿って延びる複数の溶融領域652により形成されている。尚、溶融部65は、中心電極5の外周側から、貴金属チップ62と中心電極5との境界BA2と交差するようにレーザービーム又は電子ビームを間欠的に複数回照射することで形成されている。
さらに、図38及び図39(図38は、溶融領域652のみに斜線を付した、図37のJ−J線断面図であり、図39は、図37における中心電極5や貴金属チップ62等の外周面の展開図である)に示すように、外表面において、溶融領域65のうち貴金属チップ62と中心電極5との境界BA2上に位置する部位X1(図38及び図39中において、太線で示す部位)の合計長さ(つまり、溶融部65のうち境界BA2上に位置する部位の長さ)が、前記境界BA2の長さL5の3割以上(より好ましくは、5割以上)とされている。
尚、レーザービーム等を間欠的に照射せず、貴金属チップ62及び中心電極27の境界BA2に対して波状にレーザービーム等を照射することで、図40に示すように、複数の溶融領域662が連続してなる溶融部66を形成してもよい。また、この場合にも、図41及び図42(図41は、溶融領域662のみに斜線を付した、図40のJ−J線断面図であり、図42は、図40における中心電極5や貴金属チップ62等の外周面の展開図である)に示すように、外表面において、溶融部66のうち貴金属チップ62と中心電極5との境界BA2上に位置する部位X2(図41及び図42中において、太線で示す部位)の合計長さを、前記境界BA2の長さL6の3割以上(より好ましくは、5割以上。より一層好ましくは7割以上)とすることが好ましい。
さらに、図43(a),(b)に示すように、前記境界BA2における、貴金属チップ62の周方向に沿った隣接する溶融領域672同士の間隔が小さくなるようにして溶融部67を形成してもよい。
また、図44(a)〔尚、図44(a)中の点線は、レーザービーム等の照射位置の移動経路を示す〕に示すように、少なくとも境界BA2において、隣接する溶融領域682同士が重なるように溶融部68を形成してもよい。尚、この場合において、溶融領域682は内部側に向けて細くなるため、チップ62の中心軸CL5と平行な断面においては、図44(b)に示すように、内部(チップ62の中心軸CL5)側に位置する溶融部68は波状となり、レーザービーム等が波状に照射されたことを確認できる。
以上、本第4実施形態によれば、溶融領域652により、貴金属チップ62及び中心電極5間で生じる応力差に伴う、中心電極5に対する貴金属チップ62の相対的なずれ動きを抑制することができる。その結果、貴金属チップ62の接合強度を向上させることができ、優れた耐剥離性を実現することができる。
また、外表面において、溶融部65のうち前記境界BA2上に位置する部位の長さが、前記境界BA2の長さL5の3割以上とされている。つまり、特に大きな応力差が生じる貴金属チップ62の外周側と中心電極5との間の比較的広範囲に亘って溶融領域652が形成されている。従って、各溶融領域652によるクサビとしての機能をより効果的に発揮させることができ、耐剥離性をより向上させることができる。
さらに、前記境界BA2における隣接する溶融領域672同士の間隔が小さくなるよう構成した場合には、溶融部67により、熱膨張に伴う貴金属チップ62と中心電極5との間における応力差を効果的に吸収することができ、耐剥離性をより一層向上させることができる。
次いで、上記実施形態によって奏される作用効果を確認すべく、スポット径を0.03mmとしたファイバーレーザーを用いて接地電極に貴金属チップを溶接した、実施例に相当するスパークプラグのサンプル1〜7と、比較例に相当するスパークプラグのサンプル8とをそれぞれ30本ずつ作製し、各サンプルについて耐剥離性評価試験を行った。耐剥離性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、サンプルに対して、大気雰囲気下にて貴金属チップの温度が1100℃となるようバーナーで2分間加熱した後、貴金属チップを1分間200℃とすることを1サイクルとして1000サイクル実施した。そして、1000サイクル終了後に、貴金属チップの一端面のうち接地電極から剥離している部分の面積を測定し、当該剥離部分の面積が前記貴金属チップの一端面の面積の50%以下であったサンプルの本数(良品本数)を測定するとともに、30本中における良品本数の割合(良品割合)を算出した。尚、各サンプルともに、接地電極はインコネル(登録商標)600により形成し、貴金属チップは、Ir−10Pt合金により形成した。また、貴金属チップは、溶接前において一端面が1.6mm×1.6mmの直方体形状のもの(すなわち、比較的断面積の大きなもの)を用い、熱膨張に伴う貴金属チップと接地電極との間に生じる応力差が比較的大きなものとなるようにした。
さらに、サンプル1〜8はそれぞれ次のように構成した。すなわち、サンプル1については、接地電極の先端面側からファイバーレーザーを照射し(サンプル2〜5も同様)、貴金属チップの幅方向に沿って溶融部を均等に3分割したときにおいて、3分割された領域のうち両端に位置する領域の一方のみで、第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成した(つまり、図6と同様の構成とした)。サンプル2については、前記3分割した領域のうち中央の領域のみで第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成し(つまり、図8と同様の構成とし)、サンプル3については、前記3分割された領域のうち両端の領域で第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成した(つまり、図9と同様の構成とした)。また、サンプル4については、前記3分割された領域の各領域で第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成し(つまり、図7と同様の構成とし)、サンプル5については、前記3つの領域で第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成しつつ、第2溶融部の数を5つに増加させた(つまり、図3と同様の構成とした)。さらに、サンプル6については、接地電極の先端面側からに加えて、接地電極の一方の側面側からファイバーレーザーを照射することで溶融部を形成し(つまり、図12と同様の構成とし)、サンプル7については、接地電極の両側面側からファイバーレーザーを照射することで溶融部を形成した(つまり、図11と同様の構成とした)。尚、サンプル6,7においては、ファイバーレーザーを照射した側から見たときに、第1溶融部及び第2溶融部が、サンプル5における第1溶融部及び第2溶融部と同様の形状となるように構成した。また、比較例に係るサンプル8については、接地電極の先端面側からファイバーレーザーを照射することで、第1溶融部のみを形成し、第2溶融部を設けないものとした。
表1に、上記試験の試験結果を示す。
Figure 2013235856
表1に示すように、比較例に相当するサンプル8と比較して、実施例に相当するサンプル1〜7はそれぞれ優れた耐剥離性を有することが明らかとなった。これは、第2溶融部を設けたことで、第1溶融部のみでは吸収することが難しかった貴金属チップと接地電極との間に生じる比較的大きな応力差を十分に吸収できたこと等によると考えられる。
また、前記3分割された領域の中央の領域で第1溶融部と第2溶融部とが接触していたサンプル(サンプル2)は、より優れた耐剥離性を有し、さらに、両端の領域で第1溶融部と第2溶融部とが接触していたサンプル(サンプル3)は、より一層優れた耐剥離性を有することが分かった。これは、中央の領域や両端の領域に第2溶融部を設けたことで、第1溶融部で吸収しきれなかった応力差を効果的に吸収することができたこと等に起因すると考えられる。
加えて、3分割された各領域のそれぞれにおいて第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成したサンプル(サンプル4,5)や、接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも2つの面側からファイバーレーザーを照射して溶融部を形成したサンプル(サンプル6,7)は、極めて優れた耐剥離性を有することが確認された。
以上の試験結果より、耐剥離性の向上を図るべく、第1溶融部と、これに交差する第2溶融部とを備えるように溶融部を構成することが好ましいといえる。
また、耐剥離性の更なる向上を図るという観点からは、前記3分割された領域の中央や両端の領域で第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成することがより好ましく、前記3分割された領域のそれぞれの領域で第1溶融部と第2溶融部とが接触するように構成することがより一層好ましいといえる。
さらに、接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも2つの面側からレーザービーム等を照射して溶融部を形成することが、耐剥離性をより一層向上させるという点で望ましいといえる。
次に、スポット径を0.03mmとしたファイバーレーザーを用いて中心電極に貴金属チップを溶接した、実施例に相当するスパークプラグのサンプル11〜15と、比較例に相当するスパークプラグのサンプル16とをそれぞれ30本ずつ作製し、各サンプルについて上述の耐剥離性評価試験を行った。尚、当該試験においては、貴金属チップの温度が1000℃となるようバーナーで2分間加熱した後、貴金属チップを1分間200℃とすることを1サイクルとした。また、中心電極は、インコネル600により形成し、貴金属チップとしては、Ir−5Rh合金からなる外径が1.0mmの円柱状のものを用いた。
尚、サンプル11〜16はそれぞれ次のように構成した。すなわち、サンプル11〜16ともに、軸線を中心軸として中心電極及び貴金属チップを回転させながら、両者の境界部分にファイバーレーザーを照射することで貴金属チップの周囲全域に第1溶融部を形成した。その上で、サンプル11については、第1溶融部と交差する第2溶融部を1つのみ設けた(つまり、図22と同様の構成とした)。さらに、サンプル12については、第1溶融部と交差する第2溶融部を2つ設け(つまり、図24と同様の構成とし)、サンプル13については、貴金属チップの中心軸を挟んだ対称位置に第2溶融部を設けた(つまり、図21と同様の構成とした)。加えて、サンプル14については、第2溶融部を3つ設け(つまり、図23と同様の構成とし)、サンプル15については、第2溶融部及び貴金属チップを貴金属チップの他端面側から見たとき、第2溶融部が、貴金属チップの中心軸を中心とした対称位置に位置し、かつ、溶融部の外周面をその周方向に沿って均等に3分割したとき、当該3分割された領域のそれぞれに第2溶融部が存在するように構成した(つまり、図26と同様の構成とした)。併せて、比較例に相当するサンプル16については、第1溶融部のみを形成し、第2溶融部を設けないものとした。
表2に、当該試験の試験結果を示す。
Figure 2013235856
表2に示すように、比較例に相当するサンプル16と比較して、実施例に相当するサンプル11〜15はそれぞれ優れた耐剥離性を有することが明らかとなった。
また、第2溶融部を複数設けることで耐剥離性がより向上することが確認されたが、貴金属チップの中心軸を挟むようにして第2溶融部を設けたサンプル(サンプル13)や、前記3分割された領域のそれぞれに第2溶融部が存在するように構成したサンプル(サンプル15)は、同数の第2溶融部を設けたサンプル(サンプル12,14)と比較して、耐剥離性により一層優れることが分かった。これは、第2溶融部を貴金属チップの中心軸を挟んだ対称位置等に設けたことで、溶融部の厚肉部位(第2溶融部が存在する部位)に対して均等に加わることとなり、その結果、応力差をより効果的に吸収できたためであると考えられる。
以上の試験結果より、接地電極に対して貴金属チップを接合する場合と同様に、中心電極に対して貴金属チップを接合する場合においても、貴金属チップの耐剥離性を向上させるべく、第1溶融部と、これに交差する第2溶融部とを備えるように溶融部を構成することが好ましいといえる。
また、耐剥離性を一層向上させるためには、貴金属チップの他端面側から見たときにおいて、第2溶融部を、貴金属チップの中心軸を中心とした対称位置に形成したり、前記3分割された領域のそれぞれに位置するように形成したりすることがより一層好ましいといえる。
次いで、上記第3、第4実施形態によって奏される作用効果を確認するために、次の試験を行った。すなわち、ファイバーレーザーにより中心電極に対して貴金属チップが溶接された、実施例に相当するスパークプラグのサンプル21〜25と、比較例に相当するスパークプラグのサンプル26とをそれぞれ20本ずつ作製した。そして、各サンプルについて貴金属チップの温度が1000℃となるようバーナーで2分間加熱した後、貴金属チップを1分間200℃とすることを1サイクルとして1000サイクルの冷熱試験を行った後、JIS型衝撃試験機を用いて、サンプルに対して1時間に亘って衝撃を加えた。次いで、中心電極から貴金属チップが脱落しているか否かを確認し、各サンプルにおいて、貴金属チップの脱落が生じなかった本数(チップ残存本数)を確認した。尚、当該試験においては、中心電極をインコネル600により形成し、貴金属チップとしては、Ir−10Pt合金からなり、外径が0.7mmで、高さが1.0mmの円柱状のものを用いた。さらに、試験時間以外の条件(振動振幅、ばねの自由長など)は、JIS B8031の耐衝撃性試験の規定に基づくものとした。
また、実施例に相当するサンプル21〜25は、中心電極と貴金属チップの一端面との境界をまたがる溶融領域を複数有してなるものであり、それぞれ次のように構成した。すなわち、サンプル21については、中心電極の外周側からファイバーレーザーを間欠的に照射することで、貴金属チップの中心軸方向に沿って延びる溶融領域を複数設ける構成(つまり、図37と同様の構成)とし、外表面において、溶融部のうち貴金属チップと中心電極との境界上に位置する部位の合計長さが、前記境界の長さの30%となるように構成した。また、サンプル22は、図37と同様の構成とした上で、外表面において、溶融部のうち前記境界上に位置する部位の合計長さが、前記境界の長さの50%となるように構成した。さらに、サンプル23については、中心電極の外周側からファイバーレーザーを波状に照射することで、溶融部のうち外表面に露出する部位を波状とし(つまり、図40と同様の構成)とし、外表面において、溶融部のうち前記境界上に位置する部位の合計長さが、前記境界の長さの30%となるように構成した。また、サンプル24は、図40と同様の構成とした上で、溶融部のうち前記境界上に位置する部位の合計長さが、前記境界の長さの50%となるように構成した。さらに、サンプル25については、前記境界にファイバーレーザーを照射することで第1溶融部に相当する部分を設けるとともに、当該第1溶融部に相当する部分と交差するようにして(換言すれば、中心電極及び貴金属チップの境界をまたがるようにして)ファイバーレーザーを波状に照射することで、溶融部のうち外表面に露出する部位が波状となるように構成した(つまり、図30と同様の構成とした)。
一方で、比較例に相当するサンプル26は、中心電極と貴金属チップとの境界に沿ってファイバーレーザーを照射することで、第1溶融部に相当する部分のみを設ける構成とした。
表3に、当該試験の試験結果を示す。
Figure 2013235856
表3に示すように、中心電極と貴金属チップとの境界をまたがる溶融領域を複数有してなるサンプル(サンプル21〜25)は、チップ残存本数が10本を超え、良好な耐剥離性を有することが分かった。これは、複数の溶融領域が中心電極及び貴金属チップの双方に入り込む形状となったことで、各溶融領域がいわばクサビのように機能することとなり、中心電極に対する貴金属チップの相対的なずれ動きが抑制されたためであると考えられる。
また特に、外表面において、溶融部のうち貴金属チップと中心電極との境界上に位置する部位の合計長さを前記境界の長さの50%以上としたサンプル(サンプル22,24)は、溶融部に加えて第1溶融部に相当する部位を備えるサンプル(サンプル25)と同程度の非常に優れた耐剥離性を有することが確認された。
上記試験の結果より、耐剥離性の向上を図るべく、貴金属チップの一端面と中心電極との境界をまたがる溶融領域を複数有するように溶融部を構成することが好ましいといえる。
また、耐剥離性の向上効果をより確実に発揮させるためには、外表面において、溶融部のうち貴金属チップと中心電極との境界上に位置する部位の長さを、前記境界の長さの3割以上とすることが好ましいといえる。また、耐剥離性の更なる向上を図るという点では、外表面において、溶融部のうち貴金属チップと中心電極との境界上に位置する部位の長さを、前記境界の長さの5割以上とすることがより好ましいといえる。
尚、上記試験は、中心電極に貴金属チップが接合されたサンプルに対して行われたが、同様の試験を、接地電極に貴金属チップが接合された点火プラグのサンプルに対して行った場合においても、同様の結果が得られると考えられる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、接地電極27及び中心電極5のいずれか一方に対して、貴金属チップ32(42,52,62)が溶融部35(45,55,65)を介して接合されているが、図45に示すように、接地電極27及び中心電極5の双方に対して、上記実施形態と同様の構成を有する溶融部75,85を介して貴金属チップ72,82を接合することとしてもよい。この場合には、貴金属チップ72,82の双方で優れた耐剥離性を実現することができる。
(b)上記第1実施形態では、接地電極27のうちレーザービーム等が照射された面側から貴金属チップ32及び溶融部35を見たときにおいて、第1溶融部351が、貴金属チップ32の幅方向全域に亘って形成されているが、図46に示すように、第1溶融部351を、その幅が貴金属チップ32の幅よりも小さくなるように形成することとしてもよい。また、第1溶融部351を連続的に形成することなく、図47に示すように、第1溶融部351を貴金属チップ32の周方向(幅方向)に沿って間欠的に形成することとしてもよい。
(c)上記第1実施形態では、貴金属チップ32の一端面の全域が接地電極27に接合されているが、図48に示すように、貴金属チップ32の一端面の一部が接地電極27に接合されるように溶融部95を形成することとしてもよい。また、上記第2実施形態では、貴金属チップ42の一端面の全域が中心電極5に接合されているが、貴金属チップ42の一端面の一部が中心電極5に接合されるように構成することとしてもよい。但し、十分な接合強度を維持するために、貴金属チップ32(42)の一端面の半分以上を、接地電極27(中心電極5)に対して接合することが好ましい。
(d)上記第1実施形態では、貴金属チップ32の周方向に沿った第2溶融部352の外表面の長さが、貴金属チップ32の周方向に沿った第1溶融部351の外表面の長さの3割以上とされているが、耐剥離性の更なる向上を図るという観点から、第2溶融部352の外表面の長さを第1溶融部351の外表面の長さの5割以上とすることがより好ましく、7割以上とすることがより一層好ましい。
また、上記第2実施形態では、貴金属チップ42の周方向に沿った第2溶融部452の外表面の長さを特に規定していないが、耐剥離性を一層向上させるべく、当該長さを貴金属チップ42の周方向に沿った第1溶融部451の外表面の長さの3割以上(より好ましくは、5割以上。より一層好ましくは7割以上)とすることが望ましい。
(e)上記第1、第3実施形態では、接地電極27の内側面27Iに貴金属チップ32(52)が接合されているが、図49に示すように、接地電極27の先端面27Fに溶融部105を介して貴金属チップ102を接合することとしてもよい。
(f)上記第1実施形態では、第1溶融部351の最大厚さTMAXが0.3mm以下とされているが、第1溶融部351の最大厚さTMAXを0.3mm以上としてもよい。
(g)上記実施形態において、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等としてもよい。
1…スパークプラグ
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
5…中心電極
27…接地電極
27F…(接地電極の)先端面
27I…(接地電極の)内側面
27S1,27S2…(接地電極の)側面
32,42,52,62…貴金属チップ
32F,42F…(貴金属チップの)他端面
35,45,55,65…溶融部
351,451…第1溶融部
352,452…第2溶融部
552,652…溶融領域
CL1…軸線
CL2,CL3,CL4,CL5…(貴金属チップの)中心軸

Claims (10)

  1. 軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
    前記中心電極の外周に設けられた筒状の絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に設けられた筒状の主体金具と、
    基端が前記主体金具に溶接され、先端が前記中心電極と対向する接地電極と、
    貴金属合金により形成されるとともに、前記中心電極及び前記接地電極の少なくとも一方の対象部分に設けられた柱体の貴金属チップとを備えるスパークプラグであって、
    前記貴金属チップは、自身の一端面側が、自身の側面側からレーザービーム又は電子ビームを自身と前記対象部分との境界に交差するように波状に照射することで形成された溶融部を介して前記対象部分に接合されており、
    前記溶融部は、前記貴金属チップの一端面と前記対象部分との境界をまたがる溶融領域を複数備えることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極の内側面に接合されるとともに、前記接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも1つの面側から前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記溶融部が形成されており、
    前記レーザービーム又は電子ビームが照射された側から見たとき、外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記接地電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの3割以上とされることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極の内側面に接合されるとともに、前記接地電極の先端面及び両側面のうち少なくとも1つの面側から前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記溶融部が形成されており、
    前記レーザービーム又は電子ビームが照射された側から見たとき、外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記接地電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの5割以上とされることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  4. 前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
    前記接地電極の先端面及び両側面側のそれぞれから前記レーザービーム又は電子ビームが照射されることで、前記接地電極の先端面側及び両側面側のそれぞれに前記溶融領域が形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
    前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記溶融領域は、前記貴金属チップの中心軸を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  6. 前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
    前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記溶融領域は、前記接地電極の長手方向に沿って延び前記貴金属チップの中心軸を通過する直線を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  7. 前記貴金属チップは、少なくとも前記接地電極に接合されるとともに、
    前記貴金属チップの他端面側から見たとき、前記溶融領域は、前記接地電極の長手方向と直交する方向に沿って延び前記貴金属チップの中心軸を通過する直線を挟んだ対称位置に形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  8. 前記貴金属チップは、少なくとも前記中心電極に接合され、
    外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記中心電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの3割以上とされることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  9. 前記貴金属チップは、少なくとも前記中心電極に接合され、
    外表面において、前記溶融部のうち前記貴金属チップと前記中心電極との境界上に位置する部位の長さが、前記境界の長さの5割以上とされることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  10. 前記溶融部は、外表面に露出する部位が波状をなすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
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