JP2013234843A - 固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラ - Google Patents

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Abstract

【課題】火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制し、最終的なNOx発生量の低減を可能にした固体燃料焚きバーナを提供する。
【解決手段】粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナ20が、燃料バーナ21と2次空気投入ポート30とを備え、さらに、燃料バーナ20が、内部保炎を有し固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポート22と、コール1次ポート22の周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポート23とを備え、2次空気投入ポート30は、燃料バーナ20の上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、内部保炎が、コール1ポート22の流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材24によりなされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、たとえば微粉炭等の固体燃料(粉体燃料)を焚く固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラに関する。
従来、固体燃料焚きのボイラには、たとえば固体燃料として微粉炭(石炭)を焚く微粉炭焚きボイラがある。このような微粉炭焚きボイラにおいては、旋回燃焼ボイラ及び対向燃焼ボイラという二種類の燃焼方式が知られている。
このうち、微粉炭焚きの旋回燃焼ボイラにおいては、燃料の微粉炭とともに石炭焚きバーナ(固体燃料焚きバーナ)から投入される1次空気の上下に2次空気投入用の2次空気投入ポートを設置して、石炭焚きバーナ周囲の2次空気について流量調整を行っている。(たとえば、特許文献1参照)
上述した1次空気は、燃料の微粉炭を搬送するために必要な空気量であるから、石炭を粉砕して微粉炭とするローラミル装置において空気量が規定される。
上述した2次空気は、旋回燃焼ボイラ内において火炎全体を形成するために必要となる空気量を吹き込むものである。従って、旋回燃焼ボイラの2次空気量は、概ね微粉炭の燃焼に必要な全空気量から1次空気量を差し引いたものとなる。
一方、対向燃焼ボイラのバーナにおいては、1次空気(微粉炭供給)の外側に2次空気及び3次空気を導入して空気導入量の微調整を行うことが提案されている。(たとえば、特許文献2参照)
特許第3679998号公報 特開2006−189188号公報
ところで、上述した従来の旋回燃焼ボイラにおいては、石炭焚きバーナの上下に設けられる2次空気投入用の2次空気投入ポートが各々1本とされ、2次空気投入ポートから投入される2次空気量の微調整はできない構成となっている。このため、火炎の外周には高温酸素残存領域が形成されることとなり、特に2次空気が集中する領域では、高温酸素残存領域が強くなってNOx発生量を増加させる要因となるため好ましくない。
また、従来の石炭焚きバーナは、バーナ外周に保炎機構(先端角度の調整、旋回等)を設置し、さらに、すぐ外周に近接して2次空気(あるいは3次空気)の投入ポートを設置することが一般的である。このため、火炎の外周で着火が起こり、火炎の外周において大量の空気が混合されることとなる。この結果、火炎外周の燃焼は、火炎外周の高温酸素残存領域において酸素濃度が高い高温状態で進行することになり、従って、NOxは火炎外周で発生していた。
このようにして、火炎外周の高温酸素残存領域で発生したNOxは、火炎の外周を通過するので、火炎内部と比較して還元が遅れることとなり、これが石炭焚きボイラからNOxを発生させる要因となっていた。
一方、対向燃焼ボイラにおいても、旋回により、火炎外周で着火するため、火炎の外周で同様にNOxが発生する要因となっていた。
このような背景から、上述した従来の石炭焚きバーナ及び石炭焚きボイラのように、粉体の固体燃料を焚く固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラにおいては、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制し、追加空気投入部から排出される最終的なNOx発生量を低減することが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制(弱く)することにより、追加空気投入部から排出される最終的なNOx発生量の低減を可能にした固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラを提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の請求項1に係る固体燃料焚きバーナは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、前記内部保炎が、前記コール1次ポートの流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材によりなされることを特徴とするものである。
このような本発明の固体燃料焚きバーナによれば、固体燃料焚きバーナを構成する燃料バーナが、内部保炎を有し固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、2次空気投入ポートは、燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、内部保炎は、コール1次ポートの流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材によりなされるので、追加空気投入部の空気量(追加空気投入量)を低減することができる。
上述した追加空気投入量の低減は、内部保炎を有する燃料バーナのコール1次ポート及び保炎しないコール2次ポートの採用により、燃料バーナの着火がコール1次ポートの内部保炎により強化されることと、火炎内部への空気拡散が良好になり、火炎内に形成される酸素残存領域が抑制されることとによって可能になる。すなわち、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域が抑制され、しかも、着火の強化により火炎内でNOxを発生させて効果的なNOx還元が行われるようになるので、追加空気投入部に到達するNOx量は減少する。さらに、追加空気投入部においては、追加空気投入量が減少しているので、追加空気投入部で発生するNOx量も減少し、この結果、最終的に排出されるNOx量を低減することができる。
また、保炎しないコール2次ポートの採用は、火炎外周で発生するNOx量の低減にも有効である。
そして、本発明の固体燃料焚きバーナは、コール1次ポートの流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材を備えているので、このスプリット部材は、燃料バーナの出口開口中央付近で内部保炎機構として機能する。このスプリット部材により、内部保炎が可能となるため、中央部がより空気不足となってNOx還元が進行する。
本発明の請求項2に係る固体燃料焚きバーナは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、前記内部保炎が、前記コール1ポートの流路前方部に配設された複数方向のスプリット部材によりなされることを特徴とするものである。
このような固体燃料焚きバーナによれば、粉体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、コール1次ポートの流路前方部に配設された複数方向のスプリット部材を備えているので、燃料バーナの出口開口中央付近に対し、内部保炎機構として機能するスプリット部材の交差部を容易に設けることができる。
このため、スプリット部材が交差する燃料バーナのコール1次ポート出口開口中央付近においては、粉体燃料及び空気の流れが流路を分割するスプリット部材の存在により乱される。この結果、空気の混合・拡散が火炎の内部まで促進され、さらに着火面が細分化されることになるため、着火位置が火炎の中央に寄り、燃料の未燃分が低減される。すなわち、スリット部材に沿って火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、火炎外周の高温酸素残存領域を抑制して内部着火が効果的に行われるようになる。こうして火炎内部の着火が促進されることにより、火炎外周の高温酸素残存領域で着火する場合と比較すれば、火炎内部で迅速な還元が行われるようになるため、NOxの発生量は低減する。
なお、このような固体燃料焚きバーナでは、従来バーナ外周に設置していた保炎器をなくしたほうが望ましく、これにより、火炎外周でのNOx発生をより抑制することができる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナは、前記スプリット部材により形成される着火面長さ(Lf)を前記燃料バーナの出口開口周長(L)よりも大きく(Lf>L)なるように設定することが好ましい。
このようにしてスプリット部材の長さを設定すると、火炎外周で着火させるよりも着火面長さ(Lf)によって与えられる着火面が広くなるので、火炎外周着火と比較して内部着火が強化され、火炎内部における迅速な還元が促進される。
さらに、スプリット部材により火炎が内部で細分化されるため、火炎内部における迅速な燃焼が可能になる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナは、前記スプリット部材が、前記燃料バーナの出口開口中央を密にして配置されていることが好ましい。
このようにして、内部保炎機構であるスプリット部材の配置が出口開口の中央で密になると、スプリット部材は燃料バーナの中央部に集中して配置されているので、火炎中央部の着火がより一層促進され、NOxは火炎内部で発生して迅速に還元される。
また、中央に配置するスプリット部材を密にすると、燃料バーナ内部のフリーエリアが小さくなるので、スプリット部材の圧力損失は相対的に大きくなる。従って、燃料バーナ内部を流れる粉体燃料及び空気の流速が低下し、より迅速な着火を生じさせることができる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナにおいて、前記2次空気投入ポートは、各々に流量調整手段を有する独立した複数の流路に分割されていることが好ましい。
このように構成した固体燃料焚きバーナは、火炎の外周に投入される2次空気量について、複数に分割された流路毎に流量調整手段を操作して所望の値となるよう流量配分を行うことが可能になる。従って、火炎外周に投入される2次空気量の適正化により、高温酸素残存領域の形成を抑制または防止することができる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナは、前記2次空気投入ポートが各々流量調整手段を有する独立した複数の流路に分割され、かつ、前記燃料バーナの流路前方部にスプリット部材を配設することが好ましい。
このような固体燃料焚きバーナによれば、2次空気投入ポートは、各々流量調整手段を有する独立した複数の流路に分割され、かつ、燃料バーナの流路前方部に配設したスプリット部材を備えているので、火炎の外周に投入される2次空気量について、複数に分割された流路毎に流量調整手段を操作して所望の値となるよう流量配分を行うことができる。従って、火炎外周に投入される2次空気量を適正化することにより、高温酸素残存領域の形成を抑制または防止することができる。
また、燃料バーナの流路前方部にスプリット部材を設けたことにより、粉体燃料及び空気の流れに乱れを生じさせて火炎内部で着火させることが可能になる。この結果、NOxは火炎内部で発生し、発生したNOxは還元作用がある炭化水素類を多く含み、空気不足である火炎内で迅速に還元される。すなわち、スプリット部材により内部保炎を強化し、高温酸素残存領域の形成を防止または抑制することができる。
従って、このような固体燃料焚きバーナでは、従来バーナ外周に設置していた保炎器はないほうが望ましい。
また、本発明の固体燃料焚きバーナは、前記粉体の固体燃料及び空気の流れに圧力損失を付与する整流機構を前記スプリット部材の上流側に設けておくことが望ましい。
このような整流機構は、流路に設けられたベンドを通過することにより生じた粉体燃料の流量偏差を解消するので、スプリット部材による内部保炎機構を有効に活用することができる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナにおいて、前記2次空気投入ポートは、角度調整機構を備えていることが望ましい。
このように、2次空気投入ポートが角度調整機構を備えていれば、2次空気ポートから火炎のさらに外側へ向けて、最適な2次空気の供給が可能となる。さらに、旋回を利用しないため、火炎の過剰な拡がりを防止しながら、高温酸素残存領域の形成を防止または抑制することができる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナは、前記2次空気投入ポートから投入される空気量の配分を、未燃分及び窒素酸化物(NOx)排出量に基づいてフィードバック制御することが望ましい。
このようなフィードバック制御を実施することにより、2次空気の配分を自動的に最適化することができる。この制御において、たとえば未燃分が多い場合には、火炎の外周面に近い内側への2次空気配分を増加させ、窒素酸化物の排出量が高い場合には、火炎の外周面から遠い外側への2次空気配分を増加させる。
なお、未燃分の計測については、たとえば採取した灰を都度分析してもよいし、あるいは、レーザー光の散乱から炭素濃度を測定する計器を採用してもよい。
また、本発明の固体燃料焚きバーナにおいて、前記2次空気投入ポートから投入される空気量は、前記バーナ部から追加空気投入部までの領域を還元雰囲気とする空気の多段投入との間で分配されることが望ましい。
このようして空気量を分配すると、火炎外周に形成される高温酸素残存領域の抑制による窒素酸化物低減と、還元雰囲気にして燃焼排ガス中の窒素酸化物を低減することとの相乗効果により、窒素酸化物の発生量をより一層低減することができる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナは、前記燃料バーナのコール2次ポートへ空気を供給する系統と、前記2次空気投入ポートへ空気を供給する系統とを分離することが望ましい。
このような空気供給系統にすれば、2次空気投入ポートが複数に分割された多段になっても、空気量の調整を確実に実施することができる。
また、本発明の固体燃料焚きバーナにおいて、前記2次空気投入ポートの複数の流路は、前記燃料バーナを円形として外周方向へ同心円状の多段に設けられていることが望ましい。
このように構成された固体燃料焚きバーナは、特に、対向燃焼ボイラ用のバーナとして適用可能である。また、円周から均一に空気が導入されることから、より精密に高温高酸素領域を低減できる。
本発明の固体燃料焚きボイラは、前記粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する請求項1から11のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されていることを特徴とするものである。
本発明の固体燃料焚きボイラによれば、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する請求項1から11のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナを備えているので、燃料バーナのコール1次ポート出口開口中央付近に配置されて内部保炎機構として機能するスプリット部材が粉体燃料及び空気の流路を分割して流れを乱す。この結果、空気の混合及び拡散が火炎の内部まで促進され、さらに着火面が細分化されることにより、着火位置が火炎の中央に寄って燃料の未燃分を低減する。すなわち、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、内部着火が効果的に行われるようになり、従って、火炎内部で迅速な還元が行われてNOxの発生量は低減される。
本発明の参考例となる固体燃料焚きバーナの運転方法は、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、さらに、前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、前記燃料バーナの空気比を0.85以上に設定して運転することを特徴とするものである。
このような固体燃料焚きバーナの運転方法によれば、固体燃料焚きバーナの燃料バーナが、内部保炎を有し固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、燃料バーナの空気比が0.85以上に設定して運転されるので、追加空気投入部の空気量(追加空気投入量)は、たとえば空気比0.8の場合と比較して低減する。この結果、追加空気投入量が減少した追加空気投入部においては、最終的なNOx発生量が減少する。
上述した本発明の固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラによれば、固体燃料焚きバーナの燃料バーナが、内部保炎を有するコール1次ポートと、保炎しないコール2次ポートとを備えているので、追加空気投入量の低減により追加空気投入部のNOx発生量も低減する。
また、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域が抑制され、予混合燃焼に近い燃焼をする火炎内部で発生したNOxが効果的に還元されることから、追加空気投入部に到達するNOx量の減少及び追加空気投入により発生するNOx量の減少により、追加空気投入部から最終的に排出されるNOx量が減少する。
そして、燃料バーナのコール1次ポート出口開口に内部保炎機構として機能する複数方向のスプリット部材を設けたので、スプリット部材が交差する燃料バーナの出口開口中央付近では、粉体燃料及び空気の流路を分割して流れを乱す。この結果、空気の混合及び拡散が火炎の内部まで促進され、さらに、スプリット部材が着火面を細分化するので、着火位置が火炎の中央に寄り、燃料の未燃分は低減される。これは、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるためであり、この酸素によって内部着火が効果的に行われるようになるので、火炎内部で迅速な還元が行われるようになり、固体燃料焚きボイラから最終的に排出されるNOxの発生量は低減される。
また、2次空気の投入を調整することにより、火炎外周に対する2次空気の集中を防止または抑制できるようになり、この結果、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制して窒素酸化物(NOx)の発生量を低減することが可能になる。
本発明に係る固体燃料焚き(石炭燃料焚きバーナ)について第1の実施形態を示す図で、(a)は固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図、(b)は(a)に示す固体燃料焚きバーナのA−A断面図(固体燃料焚きバーナの縦断面図)である。 図1の固体燃料焚きバーナに空気を供給している空気供給系統を示す図である。 本発明に係る固体燃料焚きボイラ(石炭焚きボイラ)の構成例を示す縦断面図である。 図3の横(水平)断面図である。 追加空気投入部を備えて空気を多段投入する固体燃料焚きボイラの概要を示す説明図である。 図1に示した固体燃料焚きバーナのスプリット部材について、(a)は断面形状の一例を示す図、(b)断面形状の第1変形例を示す図、(c)は断面形状の第2変形例を示す図、(d)は断面形状の第3変形例を示す図である。 図1に示す固体燃料焚きバーナのコール1次ポートについて、(a)はスプリット部材の配置が異なる第1変形例を示す正面図、(b)は着火面長さ(Lf)の定義を補足する説明図である。 図1に示す固体燃料焚きバーナのコール1次ポートについて、スプリット部材の配置が異なる第2変形例を示す正面図である。 第1の実施形態に係る固体燃料焚きバーナの第3変形例として、バーナ根元に整流機構を設けた構成例を示す縦断面図である。 本発明に係る固体燃料焚きバーナについて、(a)は第2の実施形態を示す縦断面図、(b)は(a)に示す固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図、(c)は(a)及び(b)の固体燃料焚きバーナに空気を供給している空気供給系統を示す図である。 図10に示した固体燃料焚きバーナの第1変形例として、(a)はスプリット部材を備えた固体燃料焚きバーナの構成例を示す縦断面図、(b)は(a)に示す固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図である。 図10に示した固体燃料焚きバーナの第2変形例として、側部2次空気ポートを備えた固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図である。 図10(a)に示す固体燃料焚きバーナの2次空気投入ポートが角度調整機構を備えている構成例を示す縦断面図である。 図10(c)に示す空気供給系統の変形例を示す図である。 図9に示した第1の実施形態の第3変形例と、図10に示した第2の実施形態とを組み合わせた構成例を示す固体燃料焚きバーナの縦断面図である。 対向燃焼ボイラに好適な固体燃料焚きバーナを火炉内から見た正面図である。 内部保炎の保炎器位置(保炎器位置/実質微粉炭流幅)と、NOx発生量(相対値)との関係を示す実験結果のグラフである。 図17に示したグラフの保炎器位置について、燃料バーナの比較例を示す図である。 スプリット占有率とNOx発生量(相対値)との関係を示す実験結果のグラフである。 同一方向スプリット及びクロススプリットについて、未燃分発生量の相対値を示す実験結果のグラフである。 従来及び本発明について、バーナ部、バーナ部〜AA部間及びAA部におけるNOx発生量の相対値を示す実験結果のグラフである。 従来及び本発明について、バーナ部〜AA部間の空気比とNOx発生量(相対値)との関係を示す実験結果のグラフである。
以下、本発明に係る固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの一例として、微粉炭(粉体の固体燃料である石炭)を燃料とする固体燃料焚きバーナを備えた旋回燃焼ボイラについて説明するが、これに限定されることはない。
図3〜図5に示す旋回燃焼ボイラ10は、火炉11内へ空気を多段で投入することにより、バーナ部12から追加空気投入部(以下、「AA部」と呼ぶ)14までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図っている。
図中の符号20は微粉炭(粉体の固体燃料)及び空気を投入する固体燃料焚きバーナ、15は追加空気を投入する追加空気投入ノズルである。固体燃料焚きバーナ20には、たとえば図3に示すように、微粉炭を1次空気で搬送する微粉炭混合気輸送管16及び2次空気を供給する送気ダクト17が接続され、追加空気投入ノズル15には、2次空気を供給する送気ダクト17が接続されている。
このように、上述した旋回燃焼ボイラ10は、粉体燃料の微粉炭(石炭)及び空気を火炉11内へ投入する固体燃料焚きバーナ20が各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部12とされ、各段にそれぞれ1または複数の旋回火炎が形成される旋回燃焼方式を採用している。
<第1の実施形態>
図1に示す固体燃料焚きバーナ20は、微粉炭及び空気を投入する微粉炭バーナ(燃料バーナ)21と、微粉炭バーナ21の上下に各々配置された2次空気投入ポート30とを備えている。
2次空気投入ポート30は、ポート毎の空気流量調整を可能にするため、たとえば図2に示すように、送気ダクト17から分岐した2次空気の供給ライン毎に、流量調整手段として開度調整可能なダンパ40を備えている。
上述した微粉炭バーナ21は、1次空気により搬送された微粉炭を投入する矩形状のコール1次ポート22と、コール1次ポート22の周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入するコール2次ポート23とを備えている。なお、コール2次ポート23についても、図2に示すように、流量調整手段として開度調整可能なダンパ40を備えている。なお、コール1次ポート22は、円形や楕円でもよい。
微粉炭バーナ21の流路前方部には、すなわち、コール1次ポート22の流路前方部には、複数方向のスプリット部材24が配設されている。このスプリット部材24は、たとえば図1(a)に示すように、コール1次ポート22の出口開口部において上下方向及び左右方向に各々2本ずつ、合計4本が所定の間隔を有する格子状に配設されている。
すなわち、4本のスプリット部材24は、上下方向及び左右方向の異なる2方向に向けて格子状に配設されることで、微粉炭バーナ21におけるコール1次ポート22の出口開口部を細分化(9分割)している。
上述したスプリット部材24は、たとえば図6(a)〜図6(d)に示すような断面形状を採用することにより、微粉炭及び空気の流れをスムーズに分離させて乱すことができる。
図6(a)に示すスプリット部材24は、三角形の断面形状を有している。図示の三角形は正三角形や二等辺三角形であり、火炉11内に向けた出口側の一辺が微粉炭及び空気の流れ方向と略直交するように配置されている。換言すれば、三角形断面を形成する角部の1つを、微粉炭及び空気の流れ方向に向けた配置が採用されている。
図6(b)に示すスプリット部材24Aは、略T字状の断面形状を有し、火炉11内に向けた出口側に微粉炭及び空気の流れ方向と略直交する面が配置されている。なお、このような略T字状断面形状を変形させることにより、たとえば図6(c)に示すように、台形状の断面形状を有するスプリット部材24A′としてもよい。
また、図6(d)に示すスプリット部材24Bは、略L字状の断面形状を有している。すなわち、上述した略T字状の一部を切り取ったような断面形状であり、特に、左右(水平)方向に配置する場合においては、上方の凸部を除去した略L字形状にすれば、スプリット部材24Bに微粉炭が堆積することを防止できる。なお、上方の凸部を除去した分、下方の凸部を大きくすることで、スプリット部材24Bに必要な分離性能を確保することができる。
しかし、上述したスプリット部材24等の断面形状については、たとえば略Y字形状等のように、図示の例に限定されることはない。
このように構成した固体燃料焚きバーナ20において、微粉炭バーナ21の出口開口中央付近に設置したスプリット部材24は、微粉炭及び空気の流路を分割して流れを内部で乱すとともにスプリットの前方に再循環域が形成されるため、内部保炎機構として機能する。
一般に、従来の固体燃料焚きバーナ20は、火炎外周で輻射を受けて燃料の微粉炭に着火する。火炎外周で微粉炭に着火すると、NOxは高温の酸素が残存する火炎外周の高温酸素残存領域H(図1(b)参照)で発生し、十分に還元されないまま残存してNOx排出量を増加させている。
しかし、内部保炎機構として機能するスプリット部材24が設けられたことにより、微粉炭は火炎内部で着火するようになる。このため、NOxは火炎内部で発生し、火炎内部で発生したNOxは還元作用を有する炭化水素類を多く含んでいることから、空気不足の状態にある火炎内で迅速に還元される。従って、火炎外周に保炎器を設置する保炎をやめて、すなわち、バーナ外周に保炎機構を設置しない構造の固体燃料焚きバーナ20とし、火炎外周でのNOx発生を抑制することも可能になる。
特に、複数方向のスプリット部材24を配設することにより、微粉炭バーナ21の出口開口中央付近に対し、異なる方向のスプリット部材24を交差させた交差部を容易に設けることができる。このような交差部が微粉炭バーナ21の出口開口中央付近に存在していると、微粉炭バーナ21の出口開口においては、中央付近で微粉炭及び空気の流路が複数に分割されるので、複数に分流する際に流れが乱される。
すなわち、スプリット部材24が左右一方向の場合、中央部における空気の拡散や着火が遅れて未燃分増加の原因になるが、スプリット部材24を複数方向に配設して交差部が形成されると、空気の混合が促進されるとともに着火面が細分化されるので、火炎の中心部まで空気(酸素)が入り込みやすくなり、結果として未燃分の低減が可能になる。
換言すれば、交差部を形成するようにスプリット部材24を配設すれば、空気の混合・拡散が火炎の内部まで促進され、さらに着火面が細分化されることにより、着火位置が火炎の中央部(軸中心部)に寄って微粉炭の未燃分を低減する。すなわち、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、内部着火が効果的に行われるようになり、従って、火炎内部で迅速な還元が行われてNOxの発生量は低減される。
この結果、火炎外周に設置した保炎器による保炎をやめ、火炎外周に保炎器のない固体燃料焚きバーナ20を用いて火炎外周でのNOx発生を抑制することは、より一層容易になる。
続いて、図1(a)に示した固体燃料焚きバーナ20のコール1次ポート22について、スプリット部材24の配置が異なる第1変形例を図7(a)及び図7(b)に基づいて説明する。
この変形例では、コール1次ポート22の流路前方部に、出口開口の上下方向に配設した2本のスプリット部材24と、出口開口の左右方向に配設した1本のスプリット部材24とを備えている。
図示のスプリット部材24においては、スプリット部材24により形成される着火面長さ(Lf)が、微粉炭バーナ21を構成するコール1次ポート22の出口開口周長(L)より大きく(Lf>L)なるように設定されている。
ここで、コール1次ポート22の出口周長(L)は、矩形を構成する4辺の長さを合計したものであるから、縦寸法H及び横寸法Wにより、L=2H+2Wで表される。
一方、スプリット部材24の着火面長さ(Lf)は、幅を有するスプリット部材24の両側に着火面が形成されることから、スプリット部材24の長さをSとすれば、3本あるスプリット部材24の両側の合計長さは、Lf=6Sで表される。この場合の長さSは、上下方向に配設した短いスプリット部材24の長さを採用しているので、交差部の存在を考慮しても、算出される着火面長さ(Lf)は安全サイドの概算値となる。
なお、着火面長さ(Lf)については、たとえば図7(b)に示すように、スプリット製作の方法等により両端部に細い部分24aを有する構造のスプリット部材24′の場合、両端の細い部分24aも着火面として考える。
このようにしてスプリット部材24の長さを設定すると、火炎外周で着火させるよりも着火面長さ(Lf)によって与えられる着火面が広くなる。従って、出口開口周長(L)により定まる火炎外周着火と比較すれば、着火面長さ(Lf)により定まる内部着火が強化されるので、火炎内で発生したNOxの迅速な還元が可能となる。
さらに、スプリット部材24により火炎が内部で細分化されるため、火炎の中心部まで空気(酸素)が入り込みやすくなり、火炎内部における迅速な燃焼により未燃分の低減が可能になる。
続いて、図1(a)に示した固体燃料焚きバーナ20のコール1次ポート22について、スプリット部材24の配置が異なる第2変形例を図8に基づいて説明する。
この変形例では、5本のスプリット部材24が、燃料バーナのコール1次ポート22において、出口開口中央を密にして格子状に配置されている。すなわち、上下方向に3本及び左右方向に2本を配設したスプリット部材24は、コール1次ポート22の中央部において互いの間隔を狭めた状態で配置されている。このため、スプリット部材24により格子状に細分化された出口開口面積は、コール1次ポート22の中央部が外周側よりも小さくなっている。
このようにして、内部保炎機構であるスプリット部材24の配置がコール1次ポート22の中央で密になると、スプリット部材22は微粉炭バーナ21の中央部に集中して配置されているので、火炎中央部の着火がより一層促進され、NOxは火炎内部で迅速に発生して還元される。
また、中央に配置するスプリット部材24を密にすると、微粉炭バーナ21の内部においてはフリーエリアが小さくなる。すなわち、微粉炭バーナ21のコール1次ポート22を流れる微粉炭及び空気は、障害のない略真っ直ぐな流路断面積を通過する割合が小さくなるので、スプリット部材24の圧力損失は相対的に大きくなる。従って、燃料バーナ21においては、コール1次ポート22の内部を流れる微粉炭及び空気の流速が圧力損失増加の影響を受けて低下するので、より迅速な着火を生じさせることができる。
続いて、図1(a)に示した固体燃料焚きバーナ20のコール1次ポート22について、バーナ根元に整流機構を設けた第3変形例の構成例を図9に基づいて説明する。なお、図示の構成例では略T字状の断面形状を有するスプリット部材24Aを採用しているが、これに限定されることはない。
この構成例では、微粉炭及び空気の流れに圧力損失を付与するため、スプリット部材24Aの上流側に整流機構25が設けられている。この整流機構25は、ポート断面方向における流量偏差を防止するものであり、たとえば流路断面積を2/3程度まで、望ましくは1/2程度まで絞ることができるオリフィスやベンチュリの設置が有効である。
このような整流機構25は、燃料の微粉炭を1次空気により搬送する粉体輸送の流れに対して、一定の圧力損失を与えることができればどのような構成でもよく、従って、オリフィスに限定されることはない。
また、上述した整流機構25は、固体燃料焚きバーナ20と一体である必要はなく、スプリット部材24Aの上流側において、微粉炭及び1次空気が流れる流路の最終的な直管部(ベントやダンパ等がないストレートな流路部分)に設置されていればよい。
ところで、整流機構25がオリフィスである場合には、オリフィスによる影響が残らないようにするため、オリフィスの出口先端からコール1次ポート22の出口まで、具体的には、スプリット部材24Aの入口側端部まで延在する直管部(Lo)を設けることが望ましい。この直管部(Lo)としては、コール1次ポート22の高さをhとすれば、少なくとも2h以上の長さを確保する必要があり、より好ましい直管部(Lo)は、10h以上の長さを確保したものである。
このような整流機構25を設けると、コール1次ポート22に微粉炭及び1次空気を供給する流路に設けられているベンドを通過することにより、粉体燃料の微粉炭が遠心力の影響を受けて流路断面上の分布に偏りを生じる流量偏差を解消することができる。
すなわち、1次空気で搬送される微粉炭は、ベント通過により外側(ベント大径側)へ偏った分布となるが、整流機構25を通過することにより、流路断面上の分布が解消されて略均一な状態でスプリット部材24Aに流入する。この結果、整流機構25を備えた微粉炭バーナ21は、スプリット部材24Aよる内部保炎機構を有効に活用することができる。
また、上述した実施形態及びその変形例では、コール1次ポート22の流路前方部に、複数方向(縦及び横)のスプリット部材24が配設されているが、たとえば横方向または縦方向に1または複数のスプリット部材を設けてもよい。このようなスプリット部材24を設けると、微粉炭バーナ21の出口開口中央付近で内部保炎機構として機能するので、スプリット部材24による内部保炎が可能となり、中央部がより空気不足となってNOx還元が進行する。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る固体燃料焚きバーナを図10(a)〜図10(c)に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示の固体燃料焚きバーナ20Aにおいて、微粉炭バーナ21は、1次空気により搬送された微粉炭を投入する矩形状のコール1次ポート22と、コール1次ポート22の周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入するコール2次ポート23とを備えている。
固体燃料焚きバーナ21の上下には、2次空気投入用として2次空気投入ポート30Aが設けられている。この2次空気投入ポート30Aは、各々が独立した複数の流路及びポートに分割されており、各流路には、2次空気の流量調整手段として開度調整可能なダンパ40が設けられている。
図示の構成例では、微粉炭バーナ21の上下に配置された2次空気投入ポート30Aがいずれも上下方向に3分割されており、微粉炭バーナ21に近い内側から外側へ向けて、内部2次空気ポート31a,31b、中間2次空気ポート32a,32b及び外部2次空気ポート33a,33bの順に配置されている。なお、このような2次空気投入ポート30の分割数は3分割に限定されることはなく、諸条件に応じて適宜変更可能である。
上述したコール2次ポート23、内部2次空気ポート31a,31b、中間2次空気ポート32a,32b及び外部2次空気ポート33a,33bの各ポートは、たとえば図10(c)に示すように、各ポートが図示しない空気供給源を有する空気供給ライン50に接続されている。空気供給ライン50から分岐して各ポートに連通する流路には、流路毎にダンパ40が設けられている。従って、各ダンパ40の開度を調整することにより、ポート毎に独立した2次空気供給量の調整が可能となっている。
このような固体燃料焚きバーナ20A及びこれを備えた旋回燃焼ボイラ10によれば、各固体燃料焚きバーナ20Aが、微粉炭及び空気を投入する微粉炭バーナ21及び微粉炭バーナ21の上下に配置された3分割の2次空気投入ポートを備えているので、3分割した2次空気投入ポート30Aのポート毎にダンパ40の開度を調整することにより、火炎Fの外周に投入される2次空気量を所望の値に流量配分することができる。
従って、たとえば火炎Fの外周に最も近い内部2次空気ポート31a,31bの2次空気投入量について配分割合を小さくし、その分中間2次空気ポート32a,32b及び外部2次空気ポート33a,33bへ投入する2次空気量の投入割合を順次大きくすれば、火炎Fの外周に形成されていた局所的な高温酸素残存領域(図中のハッチング部)Hを抑制することができる。
すなわち、火炎Fから離間した外側に対する2次空気量の投入割合を増すとともに、火炎Fの外周近傍に投入される2次空気量の投入割合を小さく設定すれば、2次空気の拡散を遅くすることができる。この結果、火炎Fの周辺に2次空気が集中することを防止または抑制できるようになり、従って、局所的な高温酸素残存領域Hは弱く小さなものとなるため、旋回燃焼ボイラ10のNOx発生量を低減することができる。換言すれば、火炎Fの外周に投入される2次空気量の適正化により、高温酸素残存領域Hの形成を抑制または防止し、旋回燃焼ボイラ10の低NOx化を達成することができる。
一方、微粉炭の性状等により2次空気の拡散が必要となる場合には、2次空気投入ポート30Aの流量配分について、内外を逆転させて内部2次空気ポート31a,31bの配分割合を大きくすればよい。
すなわち、たとえば揮発分が多いなど燃料比が異なる石炭を粉砕した微粉炭を使用する場合でも、複数に分割された2次空気投入ポート30の各ポートから投入する2次空気の流量配分を適宜調整することにより、NOxまたは未燃分を低減した適正な燃焼を選択することができる。
このような2次空気投入ポート30Aの多段化は、上述した第1の実施形態で説明した固体燃料焚きバーナ20にも適用することができる。
ところで、上述した固体燃料焚きバーナ20Aは、たとえば図11(a)及び図11(b)に示す本実施形態の第1変形例のように、微粉炭バーナ21のノズル先端部に開口面積を上下に分割するように設置したスプリット部材24を備えたものが望ましい。
図示のスプリット部材24は三角形断面を有しており、ノズル内部を流れる微粉炭及び1次空気を上下方向に分離して拡散させるような配置とすることにより、保炎が強化されるとともに、高温酸素残存領域Hの形成を抑制または防止することができる。
すなわち、スプリット部材24を通過することにより、微粉炭濃度の高い流れがスプリット部材24の外周で形成され、保炎の強化に有効となる。また、スプリット部材24を通過した微粉炭濃度の流れは、図中に破線矢印faで示すように、スプリット部材24の下流側に形成される負圧領域に流れ込む。この結果、この空気の流れにより火炎Fも負圧領域に引き込まれるので、保炎がさらに強化される結果、燃焼が促進されて酸素を早く消費することができる。
なお、スプリット部材24については1本に限定されることはなく、たとえば同方向の複数本や、第1の実施形態で説明したように異なる方向の複数本で形成されてもよく、また、スプリット部材24の断面形状についても、適宜形状を工夫してもよい。
また、上述した固体燃料焚きバーナ20Aは、たとえば図12に示す本実施形態の第2変形例のように、微粉炭バーナ21の左右に1または複数の側部2次空気ポート34L、34Rを備えていることが好ましい。図示の構成例では、微粉炭バーナ21の左右に対して、各々がダンパ(不図示)を備えた1つの側部2次空気ポート34L,34Rを設けてあるが、複数に分割してそれぞれの流量制御を実施できるようにしてもよい。
このような構成とすれば、2次空気を火炎Fの左右にも分配可能となるので、2次空気が火炎Fの上下で過剰になることを防止することができる。すなわち、火炎Fの外周に投入される2次空気量について、上下及び左右の分配を適宜調整することができるので、より精密な流量配分が可能になる。
このような2次空気ポート34L,34Rは、上述した第1の実施形態においても適用可能である。
また、上述した旋回燃焼ボイラ10において、2次空気投入ポート30Aは、たとえば図13に示すように、火炉11内へ向けた2次空気の投入方向を上下に変化させる角度調整機構を備えていることが望ましい。この角度調整機構は、水平を基準とした2次空気投入ポート30Aのチルト角度θを上下に変化させるものであり、2次空気の拡散を促進して高温酸素残存領域Hの形成を防止または抑制することができる。なお、この場合に好適なチルト角度θは±30度程度となり、より望ましいチルト角度θは±15度となる。
このような角度調整機構を備えることにより、2次空気投入ポート30Aから火炉11内の火炎Fに向けて投入される2次空気の角度調整が可能になるので、火炉11内における空気拡散をより精密にコントロールすることができる。特に、微粉炭燃料の炭種が極端に変わった場合など、2次空気の投入角度を適宜変化させれば、低NOx化の効果をより一層向上させることができる。
このような角度調整機構は、上述した第1の実施形態においても適用可能である。
また、上述した旋回燃焼ボイラ10において、2次空気投入ポート30Aから投入される空気量の配分は、未燃分及びNOx排出量に基づいてダンパ40の開度をフィードバック制御して調整されることが望ましい。
すなわち、旋回燃焼ボイラ10において未燃分が多い場合には、火炎Fの外周面に近い内部2次空気ポート31a,31bへの2次空気配分を増加させ、NOx排出量が高い場合には、火炎Fの外周面から遠い外部2次空気ポート33a,33bへの2次空気配分を増加させる。
この場合、未燃分の計測については、たとえばレーザー光の散乱から炭素濃度を測定する計器を採用し、NOx排出量については、公知の測定機器を採用すればよい。
このようなフィードバック制御を行うことにより、2次空気の配分を燃焼状況に応じて自動的に最適化することができる旋回燃焼ボイラ10となる。
また、上述した旋回燃焼ボイラ10において、2次空気投入ポート30Aから投入される2次空気量は、バーナ部12からAA部14までの領域を還元雰囲気とする空気の多段投入との間で分配されることが望ましい。
すなわち、複数に分割された2次空気投入ポート30Aから投入する2次空気量については、AA部14から空気を多段投入する二段燃焼との併用により、2次空気投入ポート30Aから投入される2次空気量を低減できる。従って、火炎Fの外周に形成される高温酸素残存領域Hの抑制による低NOx化と、還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図ることとの相乗効果により、NOxの発生量をより一層低減することができる。
このように、上述した本発明の旋回燃焼ボイラ10によれば、複数に分割した2次空気投入ポート30Aから投入する2次空気量をポート毎に調整することにより、火炎Fの外周に対する2次空気の集中を防止または抑制できるようになり、この結果、火炎Fの外周に形成される高温酸素残存領域Hを抑制してNOxの発生量を低減することができる。
また、上述した実施形態では、バーナ部12からAA部14までの領域を還元雰囲気とする空気の多段投入の旋回燃焼ボイラ10として説明したが、本発明はこれに限定されることはない。
また、上述した固体燃料焚きバーナ20Aは、たとえば図14に示すように、微粉炭バーナ21のコール2次ポート23へ空気を供給する系統と、2次空気投入ポート30Aへ空気を供給する系統とを分離することが望ましい。図示の構成例では、空気供給ライン50がコール2次ポート供給ライン51及び2次空気投入ライン52に分岐され、それぞれの供給ライン50,51にダンパ41を備えている。
このような空気供給系統を採用することにより、コール2次ポート供給ライン51及び2次空気投入ライン52毎にダンパ41の開度調整を行って空気量の分配を行い、さらに各ダンパ40の開度調整によってポート毎の空気量を調整することが可能になる。この結果、2次空気投入ポート30Aが複数に分割された多段になっても、各ポートの空気量を確実に調整することができる。
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態は、それぞれ単独で適用するだけでなく、二つを組み合わせた構成としてもよい。
図15に示す固体燃料焚きバーナ20Bは、図9に示した微粉炭バーナ21の上下に配置された2次空気投入ポート30Aがいずれも上下方向に3分割されている。すなわち、図示の固体燃料焚きバーナ20Bは、スプリット24及び整流機構25により達成される内部保炎と、多段2次空気ポートとを組み合わせた構成例である。
このように構成された固体燃料焚きバーナ20Bは、内部保炎によるNOx低減に加えて、2次空気の拡散速度を調整して火炎内の空気拡散を適正化できるので、揮発分やチャーの燃焼に必要な空気量を適正なタイミングで供給することができる。すなわち、内部保炎及び2次空気の拡散速度調整を実施することにより、両者の相乗効果によってさらなる低NOx化が可能となる。
なお、スプリット部材24の断面形状や配置、整流機構25の有無、2次空気投入ポート30Aの分割数や側部2次空気ポート34L,34Rの有無等については、図示の構成に限定されることはなく、適宜選択して組み合わせた構成が可能である。
また、2次空気投入ポート30Aを多段にした実施形態及び変形例においては、2次空気投入ポート30Aの一部をオイルポートとして使用することも可能である。
すなわち、旋回燃焼ボイラ10のような固体燃料焚きボイラにおいては、ボイラ運転の立ち上げ時にガスまたはオイルを燃料とする運用が必要であり、従って、火炉11内へオイルを投入するオイルバーナが必要となる。そこで、オイルバーナが必要な立ち上げ時に、多段とした2次空気投入ポート30Aのうち、たとえば外部2次空気ポート33a,33bを一時的にオイルポートとして使用すれば、固体燃料焚きバーナのポート数を低減してボイラ高さを抑制することができる。
続いて、対向燃焼ボイラに好適な固体燃料焚きバーナについて、図16を参照して説明する。
図示の固体燃料焚きバーナ20Cには、円形断面としたコール1次ポート22Aの外周に、複数の同心円状とした2次空気投入ポート30Bが設けられている。図示の2次空気投入ポート30Bは、内部2次空気投入ポート31及び外部2次空気投入ポート33の2段で構成されるが、これに限定されることはない。
また、コール1次ポート22Aの出口中心部には、異なる2方向(縦及び横)のスプリット部材24が格子状に合計4本配設されている。なお、この場合のスプリット部材24については、第1の実施形態で説明した数、配置及び断面形状等を適用可能である。
このように構成された固体燃料焚きバーナ20Cは、2次空気を徐々に供給するため極端な還元雰囲気にはならず、一般的に短炎で還元雰囲気が強く、発生した硫化水素による硫化腐食等も軽減することができる。
このように、上述した実施形態及び変形例の固体燃料焚きバーナは、微粉炭バーナの出口開口に内部保炎機構として機能する複数方向のスプリット部材を設けたことにより、スプリット部材が交差する燃料バーナの出口開口中央付近において、粉体燃料及び空気の流路を分割して流れを乱している。この乱れにより、空気の混合及び拡散は火炎の内部まで促進され、さらに、スプリット部材が着火面を細分化することにより、火炎の中心部まで酸素が入り込みやすくなるので、着火位置が火炎の中央に寄って燃料の未燃分は低減することとなる。すなわち、火炎中心部の酸素によって内部着火が効果的に行われるため、火炎内部で迅速な還元が行われるようになり、この結果、固体燃料焚きバーナを備えた固体燃料焚きボイラから最終的に排出されるNOxの発生量は低減される。
また、2次空気投入ポートを多段にして2次空気の投入を調整すれば、火炎外周に対する2次空気の集中を防止または抑制できるようになるので、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制して窒素酸化物(NOx)の発生量を低減することができる。
さらに、本発明の固体燃料焚きバーナ及びこれを備えた固体燃料焚きボイラは、火炎の内部で強力に着火するとともにバーナ部の空気比を増加できるので、ボイラ全体の過剰空気率を1.0〜1.1程度まで低減することができ、従って、ボイラ効率を向上させる効果もある。なお、従来の固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラは、通常1.15程度の過剰空気率で運用されているので、おおよそ0.05〜0.15程度の空気比低減が可能になる。
図17〜図22は、本発明の作用効果を示す実験結果のグラフである。
図17は、内部保炎の保炎器位置と、NOx発生量(相対値)との関係を示す実験結果のグラフである。この場合の保炎器位置は、図18に示す比較例において、保炎器として機能するスプリット部材24Aの幅(高さ)を保炎器位置aとし、実際に微粉炭が流れる流路幅を実質微粉炭流幅bとして算出される「a/b」を横軸にして、縦軸にNOx発生量の相対値を示したグラフである。なお、図18では、図6(b)に示すスプリット部材24Aを採用しているが、これに限定されることはない。
この実験では、1次空気及び微粉炭の流速、2次空気の流速、及び1次空気/2次空気の空気配分を同一とし、図18に示す比較例1(a/b=0.77)及び比較例2(a/b=0.4)で発生したNOx量を測定した。
ここで、比較例1のコール1次ポート22は、流路内部に障害物となる逆中子26が設置されており、従って、微粉炭は逆中子26の内壁幅と略一致する幅bでそのまま流出することとなる。一方、比較例2のコール1次ポート22は、障害物のない流路内壁に沿って略そのままの幅bで流出する。このため、保炎器位置aが同じで、かつ、同じ内径のコール1次ポート22でも、障害物の有無により分母の実質微粉炭流幅bに差が生じ、この結果としてNOx発生量も異なっている。
換言すれば、図17に示す実験結果は、スプリット部材の幅aが実質微粉炭流幅bに占める割合(a/b)について、概ね75%以下となるように設定すれば、NOx発生量が低減することを示している。
すなわち、この実験結果によれば、スプリット部材の幅aが実質微粉炭流幅bに占める割合(a/b)を0.77から0.4まで小さくすることにより、発生するNOx量の相対値が0.75まで低下して、約25%の減少をしていることが分かる。換言すれば、内部保炎機構として機能するスプリット部材は、スプリット部材の幅aを最適化することにより、固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラのNOx低減に有効であることが分かる。
このとき、整流機構25を設けずに偏流が生じた場合には、微粉炭の流れに対してスプリット部材が外側の位置となる可能性もあり、この結果としてNOxが増加するため、整流機構は重要である。
次の図19は、スプリット占有率とNOx発生量(相対値)との関係を示す実験結果のグラフである。すなわち、上述したスプリット部材の幅aが、コール1次ポート22の高さ(幅)に占める割合に応じて、NOx発生量がどのように変化するかを示す実験グラフである。
この実験結果によれば、スプリット占有率が大きくなるほどNOx発生量は減少しており、従って、スプリット部材の設置はNOx低減に有効であることが分かる。
一方、上述した図17の実験結果によれば、スプリット部材の幅aが実質微粉炭流幅bに占める割合(a/b)を小さくすると発生するNOx量の相対値も低下しているので、NOx発生量の低減には、適度な幅aを有するスプリット部材の設置が必要である。すなわち、内部保炎においては、適度なスプリット幅aを有するスプリット部材を設置して着火を強化し、これによりNOxをより早期に放出して還元することがNOx発生量の低減に重要である。
図20は、未燃分の発生量について、スプリット部材を同一方向に配置した同一方向スプリットと、スプリット部材を複数方向に配設したクロススプリットとを比較したものである。この実験では、図17の実験と同様に諸条件を同一とし、同一方向スプリット及びクロススプリットについて未燃分発生量を比較している。
この実験結果によれば、同一方向スプリットで発生した未燃分量を基準にして、クロススプリットで発生した未燃分量の相対値は0.75であり、約25%減少していることが分かる。すなわち、スプリット部材を複数方向に配設するクロススプリットは、固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの未燃分低減に有効であることが分かる。
図20の実験結果により、スプリット部材を異なる方向に配置することで、火炎内部の着火がより強化されるとともに、火炎内部への空気拡散が良好となるため、未燃分が減少しているものと考えられる。
一方、同一方向スプリットの場合に未燃分が多くなるのは、外側の火炎に空気が供給され、内部に形成される火炎への空気拡散が遅れるためと考えられる。
図21に示す実験結果は、従来型の固体燃料焚きバーナ及び本発明による固体燃料焚きバーナについて、バーナ部、バーナ部〜AA部、AA部について、それぞれの領域におけるNOx発生量を比較したものであり、従来のAA部におけるNOx発生量を基準値の1とした相対値が示されている。なお、この実験結果は、たとえば図1(a)に示すような複数方向のスプリット部材を採用している。
また、この実験結果は同一未燃分での比較であり、バーナ部〜AA部間の空気比(全空気投入量を基準として、全空気投入量から追加空気投入量を引いた空気投入量の割合を示す比)は、従来において0.8とし、本発明において0.9とした。ここでの全空気投入量は、過剰空気率を考慮して定める実際の空気投入量である。なお、追加空気投入率を30%とし、過剰空気率を1.15に設定すると、バーナ部〜AA部間の空気比は、略0.8となる。
(バーナ部〜AA部間の空気比=1.15×(1−0.3)≒0.8)
この実験結果によれば、AA部より発生する最終的なNOx発生量は、従来比で40%減の0.6まで低減した。これは、本発明は複数方向のスプリット部材を配設した内部保炎型とし、さらに、スプリット部材により着火が強化されることにより、火炎内でNOxを発生させ、効果的にNOx還元を実施しているためと考えられる。
また、本発明の場合、火炎内の混合が良好なため、燃焼が予混合燃焼に近くなり、より均一に燃焼されるため、空気比が0.9でも十分に還元力を有することを確認できた。
すなわち、従来は火炎外周に高温高酸素領域が生じるため、十分なNOx還元を行うためには30%程度の追加空気投入(AA)が必要であるから、バーナ部〜AA部間の空気比は0.8程度まで下げる必要があった。このため、AA領域では、過剰空気率を考慮した全空気投入量の30%程度の空気が投入されるため、NOxはAA領域でも発生していた。
しかし、本発明の場合、バーナ部〜AA部間は、0.9程度の空気比でも燃焼可能であるため、追加空気投入量は、過剰空気率を考慮した全空気投入量の0〜20%程度まで低減できるようになり、従って、AA部でのNOx発生量も抑制することができるので、最終的には40%程度のNOx発生量低減が可能となっている。
図22は、横軸を「バーナ部〜AA部間の空気比」とし、縦軸に「NOx発生量の相対値」を示したものである。この実験結果によれば、本発明の場合、バーナ付近の空気比が0.9で最適値をとり、約40%のNOx低減が確認された。従って、「過剰空気率を考慮した全空気投入量」と「全空気投入量から追加空気投入量を引いた空気投入量」との比である「バーナ部〜AA部間の空気比」は、図22より、約30%のNOxを低減できる0.85以上に設定することが好ましく、より好適には最適値の0.9以上に設定することが望ましい。
本発明の実験結果において、0.8付近の空気比でNOx発生量が1以上に増加しているのは、追加空気投入によるNOx発生のためである。
また、空気比の上限は燃料比に応じて異なり、燃料比が1.5以上の場合は0.95となり、燃料比が1.5未満の場合は1.0となる。この場合の燃料比は、燃料中の固定炭素と揮発分との割合(固定炭素/揮発分)である。
このように、上述した本実施形態によれば、内部保炎を有する微粉炭バーナ21と、保炎しない2次空気投入ポート30とを備え、微粉炭バーナ21の空気比が0.85以上、好適には0.9以上に設定されているので、AA部14における追加空気投入量が低減されたことにより、AA部14のNOx発生量も低減する。また、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域Hが抑制され、予混合燃焼に近い燃焼の火炎内部で発生したNOxが効果的に還元されることから、AA部14に到達するNOx量の減少と、AA部14で追加空気の投入により発生するNOx量の減少とにより、AA部14から最終的に排出されるNOx量は減少する。
この結果、AA部14から排出される最終的なNOx発生量を低減した固体燃料焚きバーナ20及び旋回燃焼ボイラ10となる。
また、微粉炭バーナ21の空気比を0.85以上に設定して運転する固体燃料焚きバーナの運転方法により、AA部14の空気量(追加空気投入量)は、たとえば空気比0.8の場合と比較して低減するので、追加空気投入量が減少したAA部14においては、最終的なNOx発生量が減少する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば粉体の固体燃料が微粉炭に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
10 旋回燃焼ボイラ
11 火炉
12 バーナ部
14 追加空気投入部(AA部)
20,20A〜20C 固体燃料焚きバーナ
21 微粉炭バーナ(燃料バーナ)
22 コール1次ポート
23 コール2次ポート
24,24A,24B スプリット部材
25 整流機構
30,30A 2次空気投入ポート
31,31a,31b 内部2次空気ポート
32a,32b 中間2次空気ポート
33,33a,33b 外部2次空気ポート
34L,34R 側部2次空気ポート
40,41 ダンパ
F 火炎
H 高温酸素残存領域

Claims (12)

  1. バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、
    前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、
    前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、
    前記内部保炎が、前記コール1次ポートの流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材によりなされることを特徴とする固体燃料焚きバーナ。
  2. バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、
    前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、
    前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、
    前記内部保炎が、前記コール1ポートの流路前方部に配設された複数方向のスプリット部材によりなされることを特徴とする固体燃料焚きバーナ。
  3. 前記スプリット部材により形成される着火面長さ(Lf)が前記燃料バーナの出口開口周長(L)より大きく(Lf>L)なるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の固体燃料焚きバーナ。
  4. 前記スプリット部材は、前記燃料バーナの出口開口中央が密となるように配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の固体燃料焚きバーナ。
  5. 前記2次空気投入ポートは、各々が流量調整手段を有する独立した複数の流路に分割されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
  6. 前記粉体の固体燃料及び空気の流れに圧力損失を付与する整流機構を前記スプリット部材の上流側に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
  7. 前記2次空気投入ポートが、角度調整機構を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
  8. 前記2次空気投入ポートから投入される空気量の配分が、未燃分及び窒素酸化物(NOx)排出量に基づいてフィードバック制御されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
  9. 前記2次空気投入ポートから投入される空気量が、前記バーナ部から追加空気投入部までの領域を還元雰囲気とする空気の多段投入との間で分配されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
  10. 前記燃料バーナの前記コール2次ポートへ空気を供給する系統と、前記2次空気投入ポートへ空気を供給する系統とが分離されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
  11. 前記2次空気投入ポートの複数の流路は、前記燃料バーナを円形として外周方向へ同心円状の多段に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の固体燃料焚きバーナ。
  12. 前記粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する請求項1から11のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されていることを特徴とする固体燃料焚きボイラ。
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