JP2013234843A - 固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナ20が、燃料バーナ21と2次空気投入ポート30とを備え、さらに、燃料バーナ20が、内部保炎を有し固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポート22と、コール1次ポート22の周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポート23とを備え、2次空気投入ポート30は、燃料バーナ20の上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、内部保炎が、コール1ポート22の流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材24によりなされる。
【選択図】図1
Description
このうち、微粉炭焚きの旋回燃焼ボイラにおいては、燃料の微粉炭とともに石炭焚きバーナ(固体燃料焚きバーナ)から投入される1次空気の上下に2次空気投入用の2次空気投入ポートを設置して、石炭焚きバーナ周囲の2次空気について流量調整を行っている。(たとえば、特許文献1参照)
上述した2次空気は、旋回燃焼ボイラ内において火炎全体を形成するために必要となる空気量を吹き込むものである。従って、旋回燃焼ボイラの2次空気量は、概ね微粉炭の燃焼に必要な全空気量から1次空気量を差し引いたものとなる。
このようにして、火炎外周の高温酸素残存領域で発生したNOxは、火炎の外周を通過するので、火炎内部と比較して還元が遅れることとなり、これが石炭焚きボイラからNOxを発生させる要因となっていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域を抑制(弱く)することにより、追加空気投入部から排出される最終的なNOx発生量の低減を可能にした固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラを提供することにある。
本発明の請求項1に係る固体燃料焚きバーナは、バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、前記内部保炎が、前記コール1次ポートの流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材によりなされることを特徴とするものである。
また、保炎しないコール2次ポートの採用は、火炎外周で発生するNOx量の低減にも有効である。
このような固体燃料焚きバーナによれば、粉体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、コール1次ポートの流路前方部に配設された複数方向のスプリット部材を備えているので、燃料バーナの出口開口中央付近に対し、内部保炎機構として機能するスプリット部材の交差部を容易に設けることができる。
なお、このような固体燃料焚きバーナでは、従来バーナ外周に設置していた保炎器をなくしたほうが望ましく、これにより、火炎外周でのNOx発生をより抑制することができる。
このようにしてスプリット部材の長さを設定すると、火炎外周で着火させるよりも着火面長さ(Lf)によって与えられる着火面が広くなるので、火炎外周着火と比較して内部着火が強化され、火炎内部における迅速な還元が促進される。
さらに、スプリット部材により火炎が内部で細分化されるため、火炎内部における迅速な燃焼が可能になる。
このようにして、内部保炎機構であるスプリット部材の配置が出口開口の中央で密になると、スプリット部材は燃料バーナの中央部に集中して配置されているので、火炎中央部の着火がより一層促進され、NOxは火炎内部で発生して迅速に還元される。
また、中央に配置するスプリット部材を密にすると、燃料バーナ内部のフリーエリアが小さくなるので、スプリット部材の圧力損失は相対的に大きくなる。従って、燃料バーナ内部を流れる粉体燃料及び空気の流速が低下し、より迅速な着火を生じさせることができる。
このように構成した固体燃料焚きバーナは、火炎の外周に投入される2次空気量について、複数に分割された流路毎に流量調整手段を操作して所望の値となるよう流量配分を行うことが可能になる。従って、火炎外周に投入される2次空気量の適正化により、高温酸素残存領域の形成を抑制または防止することができる。
従って、このような固体燃料焚きバーナでは、従来バーナ外周に設置していた保炎器はないほうが望ましい。
このような整流機構は、流路に設けられたベンドを通過することにより生じた粉体燃料の流量偏差を解消するので、スプリット部材による内部保炎機構を有効に活用することができる。
このように、2次空気投入ポートが角度調整機構を備えていれば、2次空気ポートから火炎のさらに外側へ向けて、最適な2次空気の供給が可能となる。さらに、旋回を利用しないため、火炎の過剰な拡がりを防止しながら、高温酸素残存領域の形成を防止または抑制することができる。
このようなフィードバック制御を実施することにより、2次空気の配分を自動的に最適化することができる。この制御において、たとえば未燃分が多い場合には、火炎の外周面に近い内側への2次空気配分を増加させ、窒素酸化物の排出量が高い場合には、火炎の外周面から遠い外側への2次空気配分を増加させる。
なお、未燃分の計測については、たとえば採取した灰を都度分析してもよいし、あるいは、レーザー光の散乱から炭素濃度を測定する計器を採用してもよい。
このようして空気量を分配すると、火炎外周に形成される高温酸素残存領域の抑制による窒素酸化物低減と、還元雰囲気にして燃焼排ガス中の窒素酸化物を低減することとの相乗効果により、窒素酸化物の発生量をより一層低減することができる。
このような空気供給系統にすれば、2次空気投入ポートが複数に分割された多段になっても、空気量の調整を確実に実施することができる。
このように構成された固体燃料焚きバーナは、特に、対向燃焼ボイラ用のバーナとして適用可能である。また、円周から均一に空気が導入されることから、より精密に高温高酸素領域を低減できる。
また、火炎の外周に形成される高温酸素残存領域が抑制され、予混合燃焼に近い燃焼をする火炎内部で発生したNOxが効果的に還元されることから、追加空気投入部に到達するNOx量の減少及び追加空気投入により発生するNOx量の減少により、追加空気投入部から最終的に排出されるNOx量が減少する。
図3〜図5に示す旋回燃焼ボイラ10は、火炉11内へ空気を多段で投入することにより、バーナ部12から追加空気投入部(以下、「AA部」と呼ぶ)14までの領域を還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図っている。
このように、上述した旋回燃焼ボイラ10は、粉体燃料の微粉炭(石炭)及び空気を火炉11内へ投入する固体燃料焚きバーナ20が各段の各コーナ部に配置される旋回燃焼方式のバーナ部12とされ、各段にそれぞれ1または複数の旋回火炎が形成される旋回燃焼方式を採用している。
図1に示す固体燃料焚きバーナ20は、微粉炭及び空気を投入する微粉炭バーナ(燃料バーナ)21と、微粉炭バーナ21の上下に各々配置された2次空気投入ポート30とを備えている。
2次空気投入ポート30は、ポート毎の空気流量調整を可能にするため、たとえば図2に示すように、送気ダクト17から分岐した2次空気の供給ライン毎に、流量調整手段として開度調整可能なダンパ40を備えている。
すなわち、4本のスプリット部材24は、上下方向及び左右方向の異なる2方向に向けて格子状に配設されることで、微粉炭バーナ21におけるコール1次ポート22の出口開口部を細分化(9分割)している。
図6(a)に示すスプリット部材24は、三角形の断面形状を有している。図示の三角形は正三角形や二等辺三角形であり、火炉11内に向けた出口側の一辺が微粉炭及び空気の流れ方向と略直交するように配置されている。換言すれば、三角形断面を形成する角部の1つを、微粉炭及び空気の流れ方向に向けた配置が採用されている。
しかし、上述したスプリット部材24等の断面形状については、たとえば略Y字形状等のように、図示の例に限定されることはない。
一般に、従来の固体燃料焚きバーナ20は、火炎外周で輻射を受けて燃料の微粉炭に着火する。火炎外周で微粉炭に着火すると、NOxは高温の酸素が残存する火炎外周の高温酸素残存領域H(図1(b)参照)で発生し、十分に還元されないまま残存してNOx排出量を増加させている。
すなわち、スプリット部材24が左右一方向の場合、中央部における空気の拡散や着火が遅れて未燃分増加の原因になるが、スプリット部材24を複数方向に配設して交差部が形成されると、空気の混合が促進されるとともに着火面が細分化されるので、火炎の中心部まで空気(酸素)が入り込みやすくなり、結果として未燃分の低減が可能になる。
この結果、火炎外周に設置した保炎器による保炎をやめ、火炎外周に保炎器のない固体燃料焚きバーナ20を用いて火炎外周でのNOx発生を抑制することは、より一層容易になる。
この変形例では、コール1次ポート22の流路前方部に、出口開口の上下方向に配設した2本のスプリット部材24と、出口開口の左右方向に配設した1本のスプリット部材24とを備えている。
ここで、コール1次ポート22の出口周長(L)は、矩形を構成する4辺の長さを合計したものであるから、縦寸法H及び横寸法Wにより、L=2H+2Wで表される。
なお、着火面長さ(Lf)については、たとえば図7(b)に示すように、スプリット製作の方法等により両端部に細い部分24aを有する構造のスプリット部材24′の場合、両端の細い部分24aも着火面として考える。
さらに、スプリット部材24により火炎が内部で細分化されるため、火炎の中心部まで空気(酸素)が入り込みやすくなり、火炎内部における迅速な燃焼により未燃分の低減が可能になる。
この変形例では、5本のスプリット部材24が、燃料バーナのコール1次ポート22において、出口開口中央を密にして格子状に配置されている。すなわち、上下方向に3本及び左右方向に2本を配設したスプリット部材24は、コール1次ポート22の中央部において互いの間隔を狭めた状態で配置されている。このため、スプリット部材24により格子状に細分化された出口開口面積は、コール1次ポート22の中央部が外周側よりも小さくなっている。
この構成例では、微粉炭及び空気の流れに圧力損失を付与するため、スプリット部材24Aの上流側に整流機構25が設けられている。この整流機構25は、ポート断面方向における流量偏差を防止するものであり、たとえば流路断面積を2/3程度まで、望ましくは1/2程度まで絞ることができるオリフィスやベンチュリの設置が有効である。
また、上述した整流機構25は、固体燃料焚きバーナ20と一体である必要はなく、スプリット部材24Aの上流側において、微粉炭及び1次空気が流れる流路の最終的な直管部(ベントやダンパ等がないストレートな流路部分)に設置されていればよい。
すなわち、1次空気で搬送される微粉炭は、ベント通過により外側(ベント大径側)へ偏った分布となるが、整流機構25を通過することにより、流路断面上の分布が解消されて略均一な状態でスプリット部材24Aに流入する。この結果、整流機構25を備えた微粉炭バーナ21は、スプリット部材24Aよる内部保炎機構を有効に活用することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る固体燃料焚きバーナを図10(a)〜図10(c)に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図示の固体燃料焚きバーナ20Aにおいて、微粉炭バーナ21は、1次空気により搬送された微粉炭を投入する矩形状のコール1次ポート22と、コール1次ポート22の周囲を取り囲むように設けられて2次空気の一部を投入するコール2次ポート23とを備えている。
図示の構成例では、微粉炭バーナ21の上下に配置された2次空気投入ポート30Aがいずれも上下方向に3分割されており、微粉炭バーナ21に近い内側から外側へ向けて、内部2次空気ポート31a,31b、中間2次空気ポート32a,32b及び外部2次空気ポート33a,33bの順に配置されている。なお、このような2次空気投入ポート30の分割数は3分割に限定されることはなく、諸条件に応じて適宜変更可能である。
従って、たとえば火炎Fの外周に最も近い内部2次空気ポート31a,31bの2次空気投入量について配分割合を小さくし、その分中間2次空気ポート32a,32b及び外部2次空気ポート33a,33bへ投入する2次空気量の投入割合を順次大きくすれば、火炎Fの外周に形成されていた局所的な高温酸素残存領域(図中のハッチング部)Hを抑制することができる。
すなわち、たとえば揮発分が多いなど燃料比が異なる石炭を粉砕した微粉炭を使用する場合でも、複数に分割された2次空気投入ポート30の各ポートから投入する2次空気の流量配分を適宜調整することにより、NOxまたは未燃分を低減した適正な燃焼を選択することができる。
このような2次空気投入ポート30Aの多段化は、上述した第1の実施形態で説明した固体燃料焚きバーナ20にも適用することができる。
図示のスプリット部材24は三角形断面を有しており、ノズル内部を流れる微粉炭及び1次空気を上下方向に分離して拡散させるような配置とすることにより、保炎が強化されるとともに、高温酸素残存領域Hの形成を抑制または防止することができる。
なお、スプリット部材24については1本に限定されることはなく、たとえば同方向の複数本や、第1の実施形態で説明したように異なる方向の複数本で形成されてもよく、また、スプリット部材24の断面形状についても、適宜形状を工夫してもよい。
このような2次空気ポート34L,34Rは、上述した第1の実施形態においても適用可能である。
このような角度調整機構は、上述した第1の実施形態においても適用可能である。
すなわち、旋回燃焼ボイラ10において未燃分が多い場合には、火炎Fの外周面に近い内部2次空気ポート31a,31bへの2次空気配分を増加させ、NOx排出量が高い場合には、火炎Fの外周面から遠い外部2次空気ポート33a,33bへの2次空気配分を増加させる。
この場合、未燃分の計測については、たとえばレーザー光の散乱から炭素濃度を測定する計器を採用し、NOx排出量については、公知の測定機器を採用すればよい。
このようなフィードバック制御を行うことにより、2次空気の配分を燃焼状況に応じて自動的に最適化することができる旋回燃焼ボイラ10となる。
すなわち、複数に分割された2次空気投入ポート30Aから投入する2次空気量については、AA部14から空気を多段投入する二段燃焼との併用により、2次空気投入ポート30Aから投入される2次空気量を低減できる。従って、火炎Fの外周に形成される高温酸素残存領域Hの抑制による低NOx化と、還元雰囲気にして燃焼排ガスの低NOx化を図ることとの相乗効果により、NOxの発生量をより一層低減することができる。
また、上述した実施形態では、バーナ部12からAA部14までの領域を還元雰囲気とする空気の多段投入の旋回燃焼ボイラ10として説明したが、本発明はこれに限定されることはない。
図15に示す固体燃料焚きバーナ20Bは、図9に示した微粉炭バーナ21の上下に配置された2次空気投入ポート30Aがいずれも上下方向に3分割されている。すなわち、図示の固体燃料焚きバーナ20Bは、スプリット24及び整流機構25により達成される内部保炎と、多段2次空気ポートとを組み合わせた構成例である。
なお、スプリット部材24の断面形状や配置、整流機構25の有無、2次空気投入ポート30Aの分割数や側部2次空気ポート34L,34Rの有無等については、図示の構成に限定されることはなく、適宜選択して組み合わせた構成が可能である。
すなわち、旋回燃焼ボイラ10のような固体燃料焚きボイラにおいては、ボイラ運転の立ち上げ時にガスまたはオイルを燃料とする運用が必要であり、従って、火炉11内へオイルを投入するオイルバーナが必要となる。そこで、オイルバーナが必要な立ち上げ時に、多段とした2次空気投入ポート30Aのうち、たとえば外部2次空気ポート33a,33bを一時的にオイルポートとして使用すれば、固体燃料焚きバーナのポート数を低減してボイラ高さを抑制することができる。
図示の固体燃料焚きバーナ20Cには、円形断面としたコール1次ポート22Aの外周に、複数の同心円状とした2次空気投入ポート30Bが設けられている。図示の2次空気投入ポート30Bは、内部2次空気投入ポート31及び外部2次空気投入ポート33の2段で構成されるが、これに限定されることはない。
このように構成された固体燃料焚きバーナ20Cは、2次空気を徐々に供給するため極端な還元雰囲気にはならず、一般的に短炎で還元雰囲気が強く、発生した硫化水素による硫化腐食等も軽減することができる。
さらに、本発明の固体燃料焚きバーナ及びこれを備えた固体燃料焚きボイラは、火炎の内部で強力に着火するとともにバーナ部の空気比を増加できるので、ボイラ全体の過剰空気率を1.0〜1.1程度まで低減することができ、従って、ボイラ効率を向上させる効果もある。なお、従来の固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラは、通常1.15程度の過剰空気率で運用されているので、おおよそ0.05〜0.15程度の空気比低減が可能になる。
図17は、内部保炎の保炎器位置と、NOx発生量(相対値)との関係を示す実験結果のグラフである。この場合の保炎器位置は、図18に示す比較例において、保炎器として機能するスプリット部材24Aの幅(高さ)を保炎器位置aとし、実際に微粉炭が流れる流路幅を実質微粉炭流幅bとして算出される「a/b」を横軸にして、縦軸にNOx発生量の相対値を示したグラフである。なお、図18では、図6(b)に示すスプリット部材24Aを採用しているが、これに限定されることはない。
この実験では、1次空気及び微粉炭の流速、2次空気の流速、及び1次空気/2次空気の空気配分を同一とし、図18に示す比較例1(a/b=0.77)及び比較例2(a/b=0.4)で発生したNOx量を測定した。
すなわち、この実験結果によれば、スプリット部材の幅aが実質微粉炭流幅bに占める割合(a/b)を0.77から0.4まで小さくすることにより、発生するNOx量の相対値が0.75まで低下して、約25%の減少をしていることが分かる。換言すれば、内部保炎機構として機能するスプリット部材は、スプリット部材の幅aを最適化することにより、固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラのNOx低減に有効であることが分かる。
このとき、整流機構25を設けずに偏流が生じた場合には、微粉炭の流れに対してスプリット部材が外側の位置となる可能性もあり、この結果としてNOxが増加するため、整流機構は重要である。
この実験結果によれば、スプリット占有率が大きくなるほどNOx発生量は減少しており、従って、スプリット部材の設置はNOx低減に有効であることが分かる。
一方、上述した図17の実験結果によれば、スプリット部材の幅aが実質微粉炭流幅bに占める割合(a/b)を小さくすると発生するNOx量の相対値も低下しているので、NOx発生量の低減には、適度な幅aを有するスプリット部材の設置が必要である。すなわち、内部保炎においては、適度なスプリット幅aを有するスプリット部材を設置して着火を強化し、これによりNOxをより早期に放出して還元することがNOx発生量の低減に重要である。
この実験結果によれば、同一方向スプリットで発生した未燃分量を基準にして、クロススプリットで発生した未燃分量の相対値は0.75であり、約25%減少していることが分かる。すなわち、スプリット部材を複数方向に配設するクロススプリットは、固体燃料焚きバーナ及び固体燃料焚きボイラの未燃分低減に有効であることが分かる。
一方、同一方向スプリットの場合に未燃分が多くなるのは、外側の火炎に空気が供給され、内部に形成される火炎への空気拡散が遅れるためと考えられる。
(バーナ部〜AA部間の空気比=1.15×(1−0.3)≒0.8)
また、本発明の場合、火炎内の混合が良好なため、燃焼が予混合燃焼に近くなり、より均一に燃焼されるため、空気比が0.9でも十分に還元力を有することを確認できた。
しかし、本発明の場合、バーナ部〜AA部間は、0.9程度の空気比でも燃焼可能であるため、追加空気投入量は、過剰空気率を考慮した全空気投入量の0〜20%程度まで低減できるようになり、従って、AA部でのNOx発生量も抑制することができるので、最終的には40%程度のNOx発生量低減が可能となっている。
また、空気比の上限は燃料比に応じて異なり、燃料比が1.5以上の場合は0.95となり、燃料比が1.5未満の場合は1.0となる。この場合の燃料比は、燃料中の固定炭素と揮発分との割合(固定炭素/揮発分)である。
また、微粉炭バーナ21の空気比を0.85以上に設定して運転する固体燃料焚きバーナの運転方法により、AA部14の空気量(追加空気投入量)は、たとえば空気比0.8の場合と比較して低減するので、追加空気投入量が減少したAA部14においては、最終的なNOx発生量が減少する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば粉体の固体燃料が微粉炭に限定されないなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 火炉
12 バーナ部
14 追加空気投入部(AA部)
20,20A〜20C 固体燃料焚きバーナ
21 微粉炭バーナ(燃料バーナ)
22 コール1次ポート
23 コール2次ポート
24,24A,24B スプリット部材
25 整流機構
30,30A 2次空気投入ポート
31,31a,31b 内部2次空気ポート
32a,32b 中間2次空気ポート
33,33a,33b 外部2次空気ポート
34L,34R 側部2次空気ポート
40,41 ダンパ
F 火炎
H 高温酸素残存領域
Claims (12)
- バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、
前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、
前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、
前記内部保炎が、前記コール1次ポートの流路前方部に配設された1または複数のスプリット部材によりなされることを特徴とする固体燃料焚きバーナ。 - バーナ部と追加空気投入部とに分けて低NOx燃焼を行う固体燃料焚きボイラの前記バーナ部に用いられ、粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する固体燃料焚きバーナが、前記固体燃料及び空気を炉内へ投入する燃料バーナと、2次空気を投入する2次空気投入ポートとを備え、
前記燃料バーナが、内部保炎を有し前記固体燃料及び1次空気を炉内へ投入するコール1次ポートと、該コール1次ポートの周囲を取り囲むように設けられて前記2次空気の一部を投入する保炎しないコール2次ポートとを備え、
前記2次空気投入ポートは、前記燃料バーナの上下及び/または左右に各々配置されて流量調整手段を有し、
前記内部保炎が、前記コール1ポートの流路前方部に配設された複数方向のスプリット部材によりなされることを特徴とする固体燃料焚きバーナ。 - 前記スプリット部材により形成される着火面長さ(Lf)が前記燃料バーナの出口開口周長(L)より大きく(Lf>L)なるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記スプリット部材は、前記燃料バーナの出口開口中央が密となるように配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記2次空気投入ポートは、各々が流量調整手段を有する独立した複数の流路に分割されていることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記粉体の固体燃料及び空気の流れに圧力損失を付与する整流機構を前記スプリット部材の上流側に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記2次空気投入ポートが、角度調整機構を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記2次空気投入ポートから投入される空気量の配分が、未燃分及び窒素酸化物(NOx)排出量に基づいてフィードバック制御されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記2次空気投入ポートから投入される空気量が、前記バーナ部から追加空気投入部までの領域を還元雰囲気とする空気の多段投入との間で分配されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記燃料バーナの前記コール2次ポートへ空気を供給する系統と、前記2次空気投入ポートへ空気を供給する系統とが分離されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記2次空気投入ポートの複数の流路は、前記燃料バーナを円形として外周方向へ同心円状の多段に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の固体燃料焚きバーナ。
- 前記粉体の固体燃料及び空気を炉内へ投入する請求項1から11のいずれか1項に記載の固体燃料焚きバーナが、前記炉内のコーナ部あるいは壁面部に配置されていることを特徴とする固体燃料焚きボイラ。
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