JP2013234397A - 塗工紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストでありながら高不透明度を有する塗工紙を提供する。
【解決手段】基紙と、基紙上に設けられ顔料および接着剤を主成分とする塗工層とを備えた塗工紙であって、前記基紙は、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有し、前記シリカ複合無機粒子の体積平均粒子径(D50)が4.3〜6.0μmであり、シリカ複合無機粒子以外の無機粒子の体積平均粒子径(D50)が3.0〜10.0であることを特徴とする塗工紙。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗工紙に関し、より特定的には高不透明度と高い嵩高性、剛度を有する軽量(50g/m以下)の塗工紙更には軽量塗工紙および微塗工紙の技術分野に関する。
近年、塗工紙は、輸送および郵送コストの削減等のため、軽量化が求められている。しかし、軽量化された、すなわち軽量塗工紙および微塗工紙は、下側に設けた紙表面の図柄が1枚の白紙を透き通して見える現象(いわゆるショースルー)、および印刷インキが塗工紙表面から裏面へ浸透し表面の印刷が透けて見える現象(いわゆるストライクスルー)や、軽量化に伴う所謂手肉感と腰の低下が生じやすくなる傾向がある。そのため、低坪量であっても前記ショースルーやストライクスルーが生じない高い不透明度と手肉感と腰を有する塗工紙の開発が望まれている。
上記のような要求に対し、特許文献1では、顔料に高屈折率を有する有機顔料もしくは二酸化チタンを用いることで不透明度を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献2では、填料にメディアン径が5.5μm以下である炭酸カルシウムを用いることで、塗工紙の不透明度を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献3では、製紙スラッジを原料にして、脱水、乾燥、焼成および粉砕して得られた再生粒子や、当該再生粒子の表面にシリカを定着させたシリカ複合再生粒子を填料として基紙中に含有させることで、塗工紙の不透明度を向上させる技術が開示されている。
特開2004−003083号公報 特開2003−082599号公報 特開2007−211374号公報
しかしながら、有機顔料および二酸化チタンは、いずれも高価であるため、有機顔料や二酸化チタンを用いて塗工紙を製造した場合、コストが高くなる。
また、填料の炭酸カルシウムの粒子径を小さくし、光散乱性を向上させる方策も検討されるが、単に小さくしただけでは、有機顔料等ほどの光散乱性は得られず、十分な不透明度は達成できない。また、粒子径の小さい炭酸カルシウムが紙中に存在することで、嵩が得られにくくなり手肉感が低下すると共に、紙の剛度が低下し腰が出難い問題が生じる。
また、上記再生粒子や上記シリカ複合再生粒子では、軽量塗工紙や微塗工紙のような低坪量(50g/m以下)の塗工紙においては、不透明度の向上効果は期待されるものの、嵩や剛度は依然不十分である。
本発明の目的は、上記課題を解決するため、軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下に述べる特徴を有する。
第1の発明は、基紙と、基紙上に設けられ顔料および接着剤を主成分とする塗工層とを備えた塗工紙であって、
前記基紙は、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有し、
前記シリカ複合無機粒子の体積平均粒子径(D50)が4.3〜6.0μmであり、シリカ複合無機粒子以外の無機粒子の体積平均粒子径(D50)が3.0〜10.0であることを特徴とする、塗工紙である。
ここで、体積平均粒子径とは、レーザー回析散乱法により測定された粒度分布における体積中位粒径(D50)をいう。
第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子は、一次粒子径が0.05μm〜0.20μmの凝集体であり、基紙中に含まれる全填料成分として、前記基紙中にJIS P 8251に準拠した灰分で、10〜20%含有されていることを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明に従属する発明であって、前記シリカ複合無機粒子に代えて、0.05μm〜3.0μmの炭酸カルシウム粒子をコア粒子とし、珪酸アルカリ及び鉱酸により炭酸カルシウムにシリカを複合し、更にアルミニウム塩により上記シリカを複合させた炭酸カルシウム粒子にアルミニウム成分を含有させてなるシリカ複合無機粒子処理体を用いることを特徴とする。
第1の発明によれば、填料として、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有すること、前記シリカ複合無機粒子の体積平均粒子径(D50)が4.3〜6.0μmであり、シリカ複合無機粒子以外の無機粒子の体積平均粒子径(D50)が3.0〜10.0μmであることで粒子径分布がシャープなシリカ複合無機粒子と、無機粒子とを併用することにより、粒子間に多くの空隙を設けることができるため、嵩高となり剛度が向上すると共に高い印刷不透明度および白紙不透明度を有する塗工紙を得ることができる。
第2の発明によれば、前記無機粒子は、一次粒子径が0.05μm〜0.20μmの凝集体であり、かつ、前記基紙中にJIS P 8251に準拠した灰分で、10〜20%含有させることにより、更に嵩高となり剛度が向上すると共に基紙中の粒子間により多くの空隙を設けることができるため、より高い印刷不透明度および白紙不透明度を有する塗工紙を得ることができる。
第3の発明によれば、前記シリカ複合無機粒子処理体は、0.05μm〜3.0μmの炭酸カルシウム粒子をコア粒子とし、珪酸アルカリ及び鉱酸により炭酸カルシウムにシリカを複合し、更にアルミニウム塩により上記シリカを複合させた炭酸カルシウム粒子にアルミニウム成分を含有させていることにより、可視光線を効率的に散乱させることができ、アルミニウム成分がカチオン性を呈するため原料パルプ繊維との結合性が高まるため、紙中での灰分歩留りが向上しさらに高い白紙不透明度を有する軽量塗工紙および微塗工紙を得ることができる。
シリカ複合無機粒子及びシリカ複合無機粒子処理体の製造工程の一例を示す図
本実施形態に係る塗工紙は、基紙と、基紙上に設けられ顔料および接着剤を主成分とする塗工層とを備えた塗工紙である。より具体的には、本実施形態に係る塗工紙は、上記基紙中に、少なくともシリカ複合無機粒子とシリカ複合無機粒子以外の無機粒子を含有し、その割合が15:85〜50:50で含有する。なお、シリカ複合無機粒子に代えて、シリカ複合無機粒子処理体を用いてもよい(詳細は後述する)。
(基紙)
(パルプ)
基紙は、通常の原料パルプを抄紙して得られるものであれば良い。当該原料パルプには特に限定がなく、例えば機械パルプ(MP)、化学パルプ(CP)、古紙パルプ等が挙げられる。機械パルプの例としては、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等が挙げられる。化学パルプの例としては、未晒針葉樹パルプ(NUKP)、未晒広葉樹パルプ(LUKP)、晒針葉樹パルプ(NBKP)、晒広葉樹パルプ(LBKP)等が挙げられる。上記古紙パルプとは、パルプとして一旦使用され、古紙として回収された後に再生処理して得られたパルプであり、古紙パルプの例としては、古紙パルプの例としては、雑誌古紙等から得られる脱墨パルプ(MDIP)、新聞古紙から得られる脱墨パルプ(NDIP)、および上物古紙から得られる脱墨パルプ(FDIP)が挙げられる。これらの原料パルプの中から1種または2種以上を適宜選択し、その割合を調整して用いることができる。
本実施形態においては、上記パルプの中でも、機械パルプや古紙パルプを基紙に含有させることが好ましい。古紙パルプに含まれる繊維は、市中での使用や再生処理によってパルプ繊維が切れて短くなるとともに、パルプ繊維のへたばりが生じ柔軟な性状に変化している。このような繊維長が短くかつ高い柔軟性を有する古紙パルプは、一旦抄紙され再生処理されながら古紙由来の灰分を多く含有していることによって、バージンの原料パルプと比べ不透明度向上効果が高く、古紙由来の灰分は脱落しにくい特徴を有し、軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙の原紙の原料パルプとして好適である。特に、新聞古紙はリサイクル率が高いため、新聞古紙に含まれるパルプは市中での使用や再生処理を数回にわたって経ていることから、特に柔軟でありかつ古紙由来の灰分歩留り率が高いパルプ繊維となっている。そのため、本実施形態では、上記古紙パルプの中でも、品質が安定的で古紙由来の持ち込み灰分も安定している新聞古紙を原料とするNDIPが好ましい。
古紙パルプと好適に組み合わせることができる原料パルプとして特に好ましくは、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)が挙げられる。晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)は、機械パルプの持つ嵩高の優位性を有し、晒し処理を行うことで白色度が高く原料パルプ繊維が柔軟になり、機械的叩解による外部フィブリルと晒し処理による内部フィブリルの間隙に本発明のポイントとなるシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子を物理的に留め、灰分歩留りの向上に寄与し、本発明の課題である軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を提供するのに効果的である。
本実施形態においては、古紙パルプが基紙の原料パルプ全体の5〜60質量%含まれていることが好ましく、10〜40質量%含まれていることがより好ましく、30質量%含まれていることが最も好ましい。原料パルプ中の古紙パルプの割合が5質量%未満である場合、填料を基紙に留める効果が低下する傾向が顕著になるため好ましくない。原料パルプ中の古紙パルプの割合が60質量%を超えると、白色度の低下を招くと共に、塗工紙の剛度が低下する傾向が顕著になるため好ましくない。
本発明における白色度は、65%〜73%が好ましく、白色度73%を超えると本発明の課題である低坪量の塗工紙における不透明性を満足することが困難になる。白色度が65%未満では見栄えが悪くなり本発明の主たる用途である図柄等の情報印刷においてビジュアル性を損なうことになる。
原料パルプ中の機械パルプの含有割合は、基紙の原料パルプ全体の5〜15質量%含まれていることが好ましく、5〜10質量%含まれていることがより好ましい。機械パルプは5%以上の割合で嵩高性や剛度向上に効果的であり、15質量%を超える含有量では本発明の目的である軽量の塗工紙において引張や、引き裂きに代表される紙質強度の低下が生じ、表面強度特性が要求されるオフセット印刷での塗工層強度が低下する問題が生じる。
本実施形態においてより好適な構成においては、用いられる基紙の原料パルプのフィブリル化率は4.3〜5.8%であることが好ましく、4.5〜5.5%であることがさらに好ましい。フィブリル化率が4.3%を下回ると、無機粒子が基紙中に保持されにくく、印刷不透明度および白紙不透明度が低下しやすくなる。また、基紙の柔軟性が低下して基紙の平滑性が低下し、塗工ムラおよび光沢低下が発生しやすくなる。フィブリル化率が5.8%を超過すると、パルプ繊維が柔らかくなりすぎて剛度が低下する傾向が顕著になる。なお、基紙の原料パルプ繊維のフィブリル化率は、例えばFiberLab.(Kajaani社)を用いて測定したフィブリル化率(Fibrillation)により評価することができる。
<フィブリル化率の測定手段>
本発明により得られた塗工紙を、JIS P 8220に準拠し、標準離解機にて離解処理し、沈降残渣(無機物)を除去して得た離解パルプを試料とし、FiberLab(Kajaani社製)にて測定した。
(填料)
本実施形態では、填料として、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、当該シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを併せて用いることにより、軽量塗工紙における課題である軽量化しながら嵩高性と剛度を維持しつつ、塗工紙の不透明度を向上させることができる。以下詳細に説明する。
(シリカ複合無機粒子)
本発明で用いるシリカ複合無機粒子は、珪酸アルカリ及び鉱酸により無機粒子にシリカを複合してシリカ複合無機粒子を得るシリカ複合工程を経て得られる。
本実施形態で填料として用いるシリカ複合無機粒子は従来公知の技術を用いて生産することができる。例えば、シリカ複合炭酸カルシウムを生産するための公知技術としては、特開2009−40612号公報に開示されている技術が挙げられる。シリカ複合再生粒子を生産するための公知技術としては、特許第4087431号公報に開示されている技術が挙げられる。なお、これらの公知技術はいずれもいわゆるバッチ式である。シリカ複合無機粒子を生産する技術の好ましい例として、下記のようなシリカ複合無機粒子を連続的に生産する手法が挙げられる。下記のようなシリカ複合無機粒子を連続的に生産する手法によれば、従来のバッチ式による生産手法よりも均一な品質のシリカ複合無機粒子を低コストで生産することができる。
図1は、シリカ複合無機粒子及びシリカ複合無機粒子処理体の製造工程の一例を示す図である。シリカ複合体の原料となる無機粒子X1は、市販あるいは予め微粒子状に粉砕された無機粒子が使用される。次に無機粒子X1は、そのまま次工程のシリカ複合工程に用いることができるが、好ましくは凝結反応槽1において凝結剤Gによって凝結されて無機粒子凝結体X2となる。その後、無機粒子凝結体X2は、第一シリカ複合反応槽2及び第二シリカ複合反応槽3において珪酸アルカリ溶液Lと鉱酸Nとによるシリカ複合反応によってシリカ複合無機粒子X3となる。好ましくは最後に、シリカ複合無機粒子X3は、アルミニウム塩反応槽4においてアルミニウム塩Aにより処理されてシリカ複合無機粒子処理体X4となり、貯槽5に貯留された後、填料として抄紙工程へ供給される。
(無機粒子X1)
当該シリカ複合体の製造方法で用いる無機粒子X1は特に限定されるものではなく、例えば、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、クレー、焼成クレー、合成ゼオライト、再生粒子等を用いることができる。これらの中でも白色度及び不透明度が高く、コストも比較的低い炭酸カルシウムが好ましく、中でも重質炭酸カルシウムが凝結剤Gにより、粗大粒子の発生を抑えながらシャープな粒度分布の粒子を得ることができるため特に好ましい。
(再生粒子の生産技術)
本発明における無機粒子X1として用いられる再生粒子は、製紙スラッジより好適には脱墨フロスを脱水、乾燥、焼成および粉砕することにより得られる。本実施形態で填料として用いる再生粒子の基本的な製造方法は、従来公知の技術を用いて生産することができる。当該再生粒子を生産するための公知技術の例としては、特開2007−112681号公報、および特開2005−53984号公報に開示されている技術が挙げられる。
上記炭酸カルシウムとしては、天然石灰石を乾式あるいは湿式で機械粉砕して得られる重質炭酸カルシウム、もしくは生石灰又は消石灰に二酸化炭素を吹き込み、中和反応により製造される軽質炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム)を用いることができる。軽質炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムに比べて均一な結晶構造を有するため、抄紙工程におけるワイヤーの摩耗を低減することができるほか、より高い白色度及び不透明度を紙に付与することができる。一方で、重質炭酸カルシウムは、生産コストが安価であるが、物理的な粉砕によって製造されるため不定型でブロードな粒度分布の構成を呈することからワイヤーの摩耗性が高く、内添用の填料として用いられることが少なかったが、当該製造方法においてシリカ複合体とすること、更には事前に凝結剤で凝結処理後シリカ複合体とすることで抄紙工程におけるワイヤーの摩耗を低減することが可能となるため、シリカ複合体の原料として好適に用いることができる。
<粒径調節工程>
当該製造方法においては、無機粒子X1の体積平均粒子径を凝結やシリカ複合に好適な範囲とするための粒径調節工程を行うことが好ましい。この粒径調節工程においては、無機粒子X1の体積平均粒子径が好適な範囲となるように粉砕機にて粉砕、分級等を行う。無機粒子X1の粉砕手段として用いられる粉砕機としては、例えば、ジェットミル、高速回転式ミル等の乾式粉砕機、又はアトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機等を用いることができる。
上記無機粒子X1の体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、その下限としては、0.05μmが好ましく、0.1μmがさらに好ましい。一方、無機粒子X1の体積平均粒子径の上限としては、3.0μmが好ましく、2.8μmがさらに好ましい。無機粒子X1の体積平均粒子径が上記下限未満の場合は、十分な粒子径の凝結体を得るのに多数の粒子による凝結が必要となって凝結体が脆くなるため、抄紙工程において凝結体が崩れてシリカ複合体の歩留りが十分に得られないおそれがある。逆に、無機粒子X1の体積平均粒子径が上記上限を超える場合は、無機粒子X1の粒度分布がブロードになって、凝結を行ってもシャープな粒度分布が得られず、結果としてシリカ複合効果やより効果の発現性を高めることができるアルミニウム塩によるシリカ複合無機粒子の表面改質効果が不十分となるおそれがあるほか、粗大な粒径の無機粒子の存在により当該製造方法で得られるシリカ複合体を添加した紙の品質が劣化するおそれがある。
<(1)無機粒子凝結工程>
(1)無機粒子凝結工程においては、凝結反応槽1にて上記無機粒子X1を凝結剤Gによって凝結することによって、無機粒子凝結体X2を得ることが好ましい。
(凝結剤G)
上記無機粒子凝結工程において用いる凝結剤Gとしては、特に限定されるものではなく、公知の合成系凝結剤を用いることができるが、無機粒子X1として好適に重質炭酸カルシウムを適度な粒子径へ凝結させ易いカチオン性の凝結剤が好ましい。このカチオン性凝結剤としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、カチオン性ポリアクリルアミド等を用いることができる。
上記凝結剤Gの質量平均分子量の下限としては、10万が好ましく、20万がさらに好ましい。一方、凝結剤Gの質量平均分子量の上限としては、150万が好ましく、80万がさらに好ましい。凝結剤Gの分子量を上記範囲とすることで、無機粒子X1を好適に凝結させることができる。凝結剤Gの質量平均分子量が上記下限未満の場合は、十分な凝結力が得られないおそれがある。逆に、凝結剤Gの質量平均分子量が上記上限を超える場合は、過度に粒径が大きい無機粒子凝結体X2が形成され、粒度分布がブロードになって歩留まりが低下するおそれや、無機粒子凝結体X2のスラリーに凝結剤Gを添加した場合に、粘度が高くなりすぎて作業性や歩留りが低下するおそれがある。特に、無機粒子凝結体X2のスラリーの粘度が500cpsを超えると、無機粒子凝結体X2のスラリーを移送するポンプの負荷が大きくなるおそれや、シリカ複合体のパルプ原料との混合性が低下するおそれがある。また、抄紙系内の汚れが顕在化する不都合が生じるおそれがある。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)を用いて測定した数値である。
また、上記凝結剤Gのカチオン電荷密度の下限としては、3meq/gが好ましく、5meq/gがさらに好ましい。一方、このカチオン電荷密度の上限としては、25meq/gが好ましく、20meq/gがさらに好ましい。凝結剤Gのカチオン電荷密度を上記範囲とすることで、無機粒子X1を好適に凝結させることができる。凝結剤Gのカチオン電荷密度が上記下限未満の場合は、十分な凝結力が得られないおそれがある。逆に、凝結剤Gのカチオン電荷密度が上記上限を超える場合は、無機粒子X1の表面全体がカチオン電荷を帯びることによって、電荷による反発で凝結が生じにくくなる場合があるほか、過度に粒径が大きい無機粒子凝結体X2が形成され、粒度分布がブロードになって歩留まりが低下するおそれがある。なお、このカチオン電荷密度は、凝結剤として複数の成分を用いる場合は、その凝結剤全体としてのカチオン電荷密度をいう。
本発明において、上記カチオン電荷密度は以下の方法で測定した値である。まず、試料をpH4.0の水溶液に調整した後、流動電位法に基づく粒子荷電測定装置(Muteck PCD−03)にて、1/1000規定のポリビニル硫酸カリウム水溶液を用いた滴定によって、アニオン要求量を測定する。得られたアニオン要求量を用いて下記式(1)によって、試料1gあたりのカチオン電荷密度(meq/g)を計算する。
カチオン電荷密度=A/B×1000 (1)
A:pH4.0に調整した凝結剤水溶液のアニオン要求量(μeq/l)
B:凝結剤水溶液の固形分濃度(g/l)
なお、このように無機粒子X1の凝結においては、質量平均分子量とカチオン電荷密度との両方において上述の好ましい範囲を有する凝結剤Gを用いることが、無機粒子X1の凝結性とスラリーの増粘抑制との両方を好適に達成することができるため好ましい。この理由は定かではないが、例えば、凝結に係る理由としては、無機粒子X1の表面の電荷分布にバラツキがあるため、所定範囲の分子量及びカチオン電荷密度を有するカチオン性合成高分子を用いることで電気的な凝結作用が発揮できるためであると考えられる。
(無機粒子スラリー)
上記凝結剤Gによって無機粒子X1を凝結させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、無機粒子X1を水に分散させて無機粒子スラリーとし、この無機粒子スラリーに凝結剤Gを添加し、攪拌する方法を用いることができる。このとき使用する攪拌装置としては、例えば、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼等を用いることができる。
上述の無機粒子スラリーに凝結剤Gを添加する方法を用いる場合は、無機粒子スラリーにおける無機粒子X1の固形分濃度としては、特に限定されるものではないが、10質量%以上30質量%以下が好ましい。無機粒子スラリーの濃度を上記範囲とすることで、無機粒子X1の凝結性の効率化とスラリー粘度の上昇の抑制との両立を図ることができる。無機粒子スラリーの濃度が上記下限未満の場合は、凝結剤Gを添加しても、無機粒子X1が好適なサイズにまで凝結しないおそれがある。逆に、無機粒子スラリーの濃度が上記上限を超える場合は、粘度が高すぎて作業性が低下したり、また、無機粒子凝結体X2の粒度分布がブロードになって、歩留まりが低下するおそれがある。
凝結剤Gは水溶液として無機粒子スラリーに添加することが好ましい。また、凝結剤Gの添加量としては、無機粒子X1の固形分に対して、固形分換算で100ppm以上3000ppm以下が好ましい。凝結剤Gの添加量が上記下限未満の場合は、無機粒子X1を十分に凝集させることができず、歩留まりの向上効果が発揮されない場合がある。逆に、凝結剤Gの添加量が上記上限を超える場合は、スラリーの増粘が顕著に生じるおそれや、三次、四次凝集が生じ、当該製造方法で得られるシリカ複合体を添加した紙の紙力が低下するおそれがある。
(無機粒子凝結体X2)
無機粒子凝結工程を経て得られる無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径の下限としては、3.5μmが好ましく、3.8μmがさらに好ましく、4.0μmが特に好ましい。一方、無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径の上限としては、5.5μmが好ましく、5.3μmがさらに好ましく、5.0μmが特に好ましい。無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径を上記範囲とすることで、抄紙工程におけるシリカ複合体の歩留まりを効率的に向上させることができる。無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径が3.5μm未満の場合は、当該製造方法によって得られるシリカ複合体の歩留りの向上効果が発揮されないおそれがある。逆に、無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径が5.5μmを超える場合は、無機粒子凝結体X2により得られるシリカ複合体を添加した紙に紙面劣化等が生じるおそれがある。なお、無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径は、凝結剤Gの添加量、無機粒子X1の体積平均粒子径等によって調節することができる。
(シリカ複合体)
上記製造方法で得られるシリカ複合体は、適度な粒子径とパルプ原料への自己定着性を有するため、填料として紙へ添加した際の歩留りが高い。また、高い白色度、不透明度及び吸油度を有するため、添加された紙の白色度、不透明度、インク乾燥性等を向上させることができる。また、上記製造方法で得られるシリカ複合体は、密度が小さく嵩高性を有するため、嵩高紙の填料として好適に用いることができる。
<(2)シリカ複合工程>
(2)シリカ複合工程においては、上記工程で得られた無機粒子凝結体X2にシリカを複合させて、シリカ複合粒子X3を得る。
(シリカ複合無機粒子およびシリカ複合無機粒子処理体の連続生産方法)
本実施形態のシリカ複合無機粒子の製造方法は、無機粒子、凝結剤、珪酸アルカリ水溶液、鉱酸および好適にはアルミニウム塩を主な原料とし、無機粒子にシリカを複合させてシリカ複合無機粒子とするものである。シリカ複合無機粒子処理体の製造方法は、上記シリカ複合無機粒子の表面をアルミニウム塩にてカチオン化するものである。まず、好適には凝結反応槽1内で無機粒子が凝結された無機粒子凝結体2のスラリーが、凝結反応槽1から第一シリカ複合反応槽2へ、この第一シリカ複合反応槽2にて鉱酸、珪酸アルカリ溶液が添加されシリカ複合無機粒子化されたスラリーが第二シリカ複合反応槽3にて熟成され、シリカ複合無機粒子のスラリーがこの第二シリカ複合反応槽3からアルミニウム塩処理反応槽4へ流れるものとする。また、第一シリカ複合反応槽2内のスラリーに珪酸アルカリ溶液L、鉱酸N、を添加添加して、シリカ複合無機粒子を連続的に製造するほか、図示はないが、第二シリカ複合反応槽にも鉱酸Nを添加し緩慢なシリカ複合反応を進ませることで、より均一なシリカ被膜を持つ無機粒子凝結体スラリーを得る事ができる。本発明者らの知見では、第一シリカ複合反応槽で生成するシリカゾルは、先の凝結反応槽を経て得られた無機粒子凝集体スラリーに含まれる微小な無機粒子凝集体のみを更に凝集させる機能を発現し、無機粒子凝集体の体積平均粒子径を高めると共に粒度分布範囲を狭くしシャープな粒度分布を示す様に働き、第二シリカ複合反応槽では、シャープな粒度分布を維持しながらシリカ複合反応を進ませ熟成させることで均一なシリカ複合の被膜を有するシリカ複合無機粒子のスラリーを得ることができる。
以下、さらに詳細に説明する。
本発明において、無機粒子凝結体X2にシリカを複合させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法が好適に用いられる。まず、無機粒子凝結体X2を珪酸アルカリ溶液Lに添加して分散させスラリーを調製する。その後、このスラリーの液温が70〜100℃となるように加熱攪拌しながら、密閉容器内で所定の圧力に保持して鉱酸Nを添加し、シリカゾルを生成させ、最終反応液のpHを8.0〜11.0の範囲に調整することによって、無機粒子凝結体X2の表面にシリカを析出させることができる。
本工程におけるシリカ析出時の反応液は中性から弱アルカリ性の範囲が好ましく、pHは8.0以上11.0以下が好ましく、8.5以上10.5以下がさらに好ましい。pHが上記範囲未満の場合は、鉱酸の過剰添加により、再生粒子に含まれるカルシウム成分が水酸化カルシウムに変化しやすくなり、スラリーの粘度が増大するおそれがある。また、シリカゾルではなくホワイトカーボンが生成し、当該製造方法によって得られる複合粒子の白色度、不透明度及び吸油度が低下するおそれがある。逆に、pHが上記範囲を超える場合は、珪酸アルカリと鉱酸との反応が鈍って無機粒子凝結体X2の表面にシリカが析出されにくくなるため、当該製造方法によって得られる複合粒子の不透明性が低下するおそれがある。この無機粒子凝結体X2の表面に析出されるシリカは、珪酸アルカリを原料として、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸の希釈液と高温下で反応させ、加水分解反応と珪酸の重合化により得られるシリカゾル微粒子からなる。なお、シリカゾル微粒子の粒子径は、反応時の攪拌条件、鉱酸の添加条件等によって調節することができる。
珪酸アルカリ溶液Lに硫酸などの鉱酸Nを添加することにより生成する数nm程度のシリカゾル微粒子を無機粒子凝結体X2の表面全体を被覆するように付着させることによって、第一シリカ複合反応槽2および第二シリカ複合反応槽3内でシリカゾルの結晶が成長し、無機粒子凝結体X2の表面上のシリカゾル微粒子と無機粒子凝結体X2が含有するカルシウムとの間で結合が生じ、無機粒子凝結体X2の表面にシリカを析出させることができる。
本工程における無機粒子凝結体X2を珪酸アルカリ溶液Lに添加して分散させたスラリーにおける無機粒子の濃度の下限としては、95g/Lが好ましく、100g/Lがさらに好ましく、105g/Lが特に好ましい。一方、無機粒子の濃度の上限としては、300g/Lが好ましく、250g/Lがさらに好ましく、200g/Lが特に好ましい。無機粒子の濃度が上記範囲未満の場合は、シリカ生成反応が鈍くなり複合粒子の生産性が悪化するおそれがある。逆に、無機粒子の濃度が上記範囲を超える場合は、スラリーの粘度が上昇して無機粒子の分散性が低下するおそれがある。
本工程における攪拌時の上記スラリーの温度としては70℃以上100℃以下が好ましい。スラリーの温度はシリカゾルの生成及び成長に影響を及ぼすため、スラリーの温度が上記範囲未満の場合は、シリカが生成されないおそれや、シリカゾルの生成及び成長の速度が遅くなってシリカが十分な強度で無機粒子と複合されないため、抄紙時にシリカが剥離するおそれがある。逆に、スラリーの温度が上記範囲を超える場合は、製造が困難になるほか、無機粒子凝結体X2の表面に緻密にシリカが形成されるため、シリカ複合粒子X3の吸油度が低下するおそれがある。
(珪酸アルカリ溶液L)
本工程において用いる珪酸アルカリ溶液Lは、特に限定されるものではないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)を用いることが入手性の点で好ましい。
珪酸アルカリ溶液L中の珪酸濃度の下限としては、6g/Lが好ましく、8g/Lがさらに好ましく、10g/L以下が特に好ましい。一方、珪酸濃度の上限としては、18g/Lが好ましく、16g/Lがさらに好ましく、14g/Lが特に好ましい。珪酸濃度が上記範囲未満の場合は、シリカゾルが十分に生成されないため、シリカが複合されない無機粒子凝結体X2が生じるおそれがある。逆に、珪酸濃度が上記範囲を超える場合は、シリカゾルではなくホワイトカーボンが生成され、無機粒子凝結体X2がホワイトカーボンで被覆されることによって、無機粒子の多孔性が失われ、当該製造方法によって得られるシリカ複合体の白色度、不透明度及び吸油度が低下するおそれがある。
本工程における珪酸アルカリ溶液の添加量は、無機粒子凝結体X2のスラリー中の珪酸濃度(SiO2換算)が5質量%以上15質量%以下となる量が好ましい。珪酸濃度が上記範囲未満の場合は、シリカ複合効果が弱化して、当該製造方法によって得られるシリカ複合体の白色度、不透明度及び吸油度が低下するおそれがある。逆に、珪酸濃度が上記範囲を超える場合は、当該製造方法で得られるシリカ複合体が添加された紙の塗工液の吸収能力が大きくなるため、塗工層を設ける場合に塗工層表面の平坦性が低下するおそれがある。
(鉱酸N)
本工程で用いる鉱酸Nとしては、特に限定されるものではなく、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。これらの中でも、コスト及びハンドリングの観点から硫酸が特に好ましい。本工程で用いる鉱酸Nの濃度としては、0.1mol/L以上5.0mol/L以下が好ましい。鉱酸Nの濃度が上記範囲未満の場合は、シリカの生成速度が遅くなってシリカが十分形成されないおそれがある。逆に、鉱酸Nの濃度が上記範囲を超える場合は、局部的な反応が生じて、シリカが偏在して形成され、得られるシリカ複合体の歩留り向上効果等が低下するおそれがある。また、本工程における鉱酸Nの添加量は、珪酸アルカリの中和率が50%以上75%以下となる量が好ましい。
本工程におけるシリカ析出時の反応液は中性から弱アルカリ性の範囲が好ましく、pHは8以上11以下が好ましく、8.5以上10.5以下がさらに好ましい。pHが上記範囲未満の場合は、鉱酸の過剰添加により、再生粒子に含まれるカルシウム成分が水酸化カルシウムに変化しやすくなり、スラリーの粘度が増大するおそれがある。また、シリカゾルではなくホワイトカーボンが生成し、当該製造方法によって得られるシリカ複合体の白色度、不透明度及び吸油度が低下するおそれがある。逆に、pHが上記範囲を超える場合は、珪酸アルカリと硝酸との反応が鈍って無機粒子凝結体X2の表面にシリカが析出されにくくなるため、当該製造方法によって得られるシリカ複合体の不透明性が低下するおそれがある。
(シリカ複合粒子X3)
本工程を経て得られるシリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径の下限としては、4.3μmが好ましく、4.5μmがより好ましい。一方、シリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径の上限としては、6.0μmが好ましく、5.8μmがより好ましい。シリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径が上記範囲未満の場合は、当該製造方法によって得られる複合粒子の歩留り向上効果が十分得られないおそれがある。逆に、シリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径が上記範囲を超える場合は、当該製造方法によって得られる複合粒子を添加した紙に紙面劣化等が生じるおそれがある。
シリカ複合無機粒子X3における酸化物換算でのシリカの比率としては、6.0質量%以上42.0質量%以下が好ましい。シリカの比率が上記範囲未満の場合は、無機粒子凝結体X2の表面が十分に被覆されていないため、当該製造方法によって得られるシリカ複合無機粒子の歩留り向上効果が低下するおそれがある。逆に、シリカの比率が上記範囲を超える場合は、シリカの析出量が過度となり、当該製造方法によって得られるシリカ複合無機粒子の白色度、不透明度及び吸油度が低下するおそれがある。
<(3)アルミニウム塩処理工程>
(3)アルミニウム塩処理工程においては、アルミニウム塩Aにより上記シリカ複合粒子を処理してアルミ処理シリカ複合粒子X4を得る。
(アルミニウム塩A)
本工程で用いるアルミニウム塩Aは、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、アルミン酸ソーダ等を用いることができる。これらの中でも、得られる複合粒子の歩留りの向上効果と製造コスト低減効果を有する硫酸バンドが特に好ましい。
上記工程で得られたシリカ複合無機粒子X3をアルミニウム塩Aによって処理する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ複合無機粒子X3のスラリーにアルミニウム塩Aを添加する方法を用いることができる。
アルミニウム塩Aの添加量は、反応完了時のpHが好ましくは6.8〜9.2、より好ましくは7.2〜9.0となる量を添加することが好ましい。アルミニウム塩Aの添加量の下限としては、シリカ複合無機粒子X3の100質量部に対して18質量部が好ましく、23質量部がさらに好ましく、28質量部が特に好ましい。一方で、アルミニウム塩Aの添加量の上限としては、48質量部が好ましく、43質量部がさらに好ましく、38質量部が特に好ましい。アルミニウム塩Aの添加量が上記上限未満の場合は、シリカ複合無機粒子X3の処理が十分で、また、パルプ原料との結合力が弱まり、歩留まりの向上効果が発揮されない場合がある。逆に、アルミニウム塩Aの添加量が上記上限を超える場合は、生産コストが高くなるばかりで、歩留り向上の効果が頭打ちとなるおそれがある。
(アルミ塩処理のシリカ複合無機粒子処理体X4)
本工程を経て得られるシリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径の下限としては、4.5μmが好ましく、4.8μmがより好ましい。一方、シリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径の上限としては、6.5μmが好ましく、6.2μmがより好ましい。シリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径が上記範囲未満の場合は、シリカ複合無機粒子処理体X4の添加時の歩留り向上効果が十分得られないおそれがある。逆に、シリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径が上記範囲を超える場合は、アルミ処理シリカ複合粒子X4が添加された紙の塗工液の吸収能力が大きくなるため、塗工層を設ける場合に塗工層表面の平坦性が低下するおそれがあるほか、シリカ複合無機粒子処理体X4が添加された紙の強度低下を招くおそれがある。また、抄紙系内の汚れや、ワイヤーの摩耗度が増大するおそれがある。
本工程を経て得られるシリカ複合無機粒子処理体X4の吸油度の下限としては、50ml/100gが好ましく、70ml/100gがさらに好ましい。一方、シリカ複合無機粒子処理体X4の吸油度の上限としては、150ml/100gが好ましく、100ml/100gがさらに好ましい。シリカ複合無機粒子処理体X4の吸油度を上記範囲とすることで、シリカ複合無機粒子処理体X4が添加された紙のインク乾燥性等を向上させることができる。吸油度が上記範囲未満の場合は、シリカ複合無機粒子処理体X4が添加された紙のインク乾燥性向上の効果が得られないおそれがある。逆に、吸油度が上記範囲を超える場合は、シリカ複合無機粒子処理体X4が添加された紙のインクの吸収性が高くなりすぎて、インクの沈み込みによる発色性の劣化が生じるおそれがある。
本工程を経て得られるシリカ複合無機粒子処理体X4のアルミニウム含有率の下限としては、1質量%が好ましく、2%質量がさらに好ましい。一方、シリカ複合無機粒子処理体X4のアルミニウム含有率の上限としては、10質量%が好ましく、6質量%がさらに好ましい。アルミニウムの含有率が上記範囲未満の場合は、シリカ複合無機粒子処理体X4の歩留り向上効果が十分得られないおそれがある。逆に、アルミニウムの含有率が上記範囲を超える場合は、シリカ複合無機粒子処理体X4のpHが下がりすぎて、無機粒子X1が炭酸カルシウムの場合、炭酸カルシウムが溶けてしまい、目的とするシリカ複合無機粒子処理体X4が得られないおそれがある。
本発明においては、上述のようにシリカ複合工程とアルミニウム塩処理工程とを分けて行うことによって、歩留りが高く、高い白色度、不透明度及び吸油度を有する複合粒子(シリカ複合無機粒子処理体X4)を得ることができる。上記シリカ複合工程とアルミニウム塩処理工程とを同時に行った場合、すなわち無機粒子凝結体X2にシリカを複合する際にアルミニウム塩Aを同時に添加すると、アルミニウムイオンを核にしてシリカが凝集するため、ホワイトカーボンが形成され、シリカが複合された粒子を得ることができない。
また、上記シリカ複合工程及びアルミニウム塩処理工程は、所定の処理量毎にこれらの工程を繰り返すバッチ式、又は連続して各工程を実行する連続式で行うことができるが、生産効率の観点からは、連続式を採用することが好ましい。
上記シリカ複合工程及びアルミニウム塩処理工程を連続式で行う場合は、図1に示すように、第一シリカ複合反応槽2に連続的に無機粒子凝結体X2、珪酸アルカリ溶液L及び鉱酸Nが供給され、所定の温度及び圧力下でこれらを混合したスラリーが攪拌される。攪拌された無機粒子凝結体X2、珪酸アルカリ溶液L及び鉱酸Nを含有するスラリーは第二シリカ複合反応槽3に連続的に移送される。第二シリカ複合反応槽3に移送された上記スラリーは連続的にアルミニウム塩処理反応槽4に移送される。第二シリカ複合反応槽3は一定の容積を有するため、上記スラリーがアルミニウム塩処理反応槽4に移送されるまでの間にシリカの生成及び成長が進行し、無機粒子凝結体X2はシリカ複合粒子X3となってアルミニウム塩処理反応槽4に連続的に供給される。次に、このアルミニウム塩処理反応槽4には、アルミニウム塩Aが連続的に供給され、上記シリカ複合粒子X3と混合される。アルミニウム処理反応槽4にてシリカ複合粒子X3のシラノール基にアルミニウムイオンが結合され、シリカ複合無機粒子処理体X4が形成される。このシリカ複合無機粒子処理体X4を含有するスラリーは、貯槽5に貯留され、填料、顔料等として抄紙製造ラインに供給される。なお、抄紙製造ラインへシリカ複合無機粒子体X3を含有するスラリーを供給する場合には、上記したアルミ塩処理をしなくてもよい。つまり、アルミニウム塩処理反応槽4を省略してもよい。
(複合粒子)
上記製造方法で得られる複合粒子(シリカ複合無機粒子処理体)は、適度な粒子径とパルプ原料への自己定着性を有するため、填料として紙へ添加した際の歩留りが高い。また、高い白色度、不透明度及び吸油度を有するため、添加された紙の白色度、不透明度、インク乾燥性等を向上させることができる。また、上記製造方法で得られる複合粒子は、密度が小さく嵩高性を有するため、嵩高紙の填料として好適に用いることができる。
(その他の工程等)
アルミニウム塩処理反応槽4から流出したスラリーは、平均粒子径や粒子径分布、摩耗度等が好適に制御されているため、本発明の課題である軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を得ることができる。
(粒子径の調整)
本実施形態のシリカ複合無機粒子は、無機粒子の表面に粒子状のシリカが固着されてなるものであり、このシリカの粒子径は、例えば、前述スラリーの撹拌強度や温度等を調節することによって調節することができる。
(シリカ成分の割合)
本実施形態において、シリカ複合無機粒子は、シリカ成分の割合が10.0〜50.0質量%であることが好ましく、41.0〜49.0質量%であることがより好ましく、42.0〜48.0質量%であることが最も好ましい。シリカ成分の割合が10.0質量%を下回ると、十分にシリカの複合が行われていない可能性があり、製紙用の填料や顔料として使用した場合において、塗工紙の不透明度の向上効果が十分に得られない可能性がある。他方、シリカ成分の割合が50.0質量%を上回ると、シリカの複合が過密に行われている可能性があり、製紙用の填料として使用した場合において、不透明度の向上効果が十分に得られない可能性がある。
以上が、シリカ複合無機粒子およびシリカ複合無機粒子処理体を連続的に生産する手法についての説明である。上記のようなシリカ複合無機粒子およびシリカ複合無機粒子処理体を連続的に生産する手法によれば、従来のバッチ式による生産手法よりも均一な品質のシリカ複合無機粒子およびシリカ複合無機粒子処理体を低コストで生産することができる。
また、有機顔料および二酸化チタンは、粒子自体が高い屈折率を有するものの、上述のとおり高価であるため、有機顔料等を塗工紙の原料に用いると生産コストが上がる。しかし、本実施形態においては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、およびシリカ等の比較的低価格の粒子からなる複合無機粒子を填料として用いることにより、有機顔料等を填料に用いた場合よりも生産コストを下げながら、高い不透明度を有する塗工紙を得ることができる。なお、有機顔料等の代わりにシリカ複合無機粒子またはシリカ複合無機粒子処理体を用いるにあたり、必ずしも有機顔料等の全量をシリカ複合無機粒子またはシリカ複合無機粒子処理体に置換する必要はなく、生産コスト等を考慮しながら、有機顔料等の一部をシリカ複合無機粒子に置き換えても良い。
(無機粒子)
上述したように、本実施形態では、上記シリカ複合無機粒子またはシリカ複合無機粒子処理体とともに、上記シリカ複合無機粒子とは異なる無機粒子を填料として基紙に含有させる。本実施形態では、一次粒子が凝集し二次粒子化した凝集炭酸カルシウムが好適に用いられ、凝集軽質炭酸カルシウムは、一次体積平均粒子径が0.05μm〜0.20μm、好ましくは0.08μm〜0.15μm、二次体積粒子径が3.0μm〜10.0μm、より好ましくは4.0〜8.0μmのものを用いる。凝集炭酸カルシウムの含有量は、基紙中の填料成分に対して固形分換算で50質量%〜85質量%、より好ましくは60質量%〜80質量%である。上記のような体積平均粒子径を有する凝集炭酸カルシウム粒子を、上記のように基紙に含有させることで、塗工紙の不透明度を向上させることができる。
二次凝集した凝集炭酸カルシウム粒子の体積平均粒子径が3.0μm未満では、パルプ繊維の間にできる大きな空隙を埋めることができないため、塗工紙の不透明度、特にストライクスルーが生じることによる印刷不透明度が低下しやすいため好ましくない。体積平均粒子径が10.0μmを超過すると、パルプ繊維の間に抄き込みやすくなるものの、凝集炭酸カルシウム粒子がパルプの繊維間結合を阻害しやすいため、塗工紙の剛度が低下するとともに、基紙表面にシリカ粒子が表出して凹凸ができ、印刷ムラが発生し光沢度が低下しやすくなるため好ましくない。
二次凝集した凝集炭酸カルシウム粒子の含有量が、基紙中に含まれる填料成分の割合において固形分換算で50質量%を下回ると、印刷不透明度向上効果が十分に得られない。85質量%を超過すると、粒子径が大きいため基紙内部のパルプ繊維間の結合を阻害しやすく、剛度が低下しやすいだけでなく、基紙表面に凝集炭酸カルシウム粒子が表出して凹凸ができ、塗工層を設けても基紙の凹凸の影響で印刷ムラが発生し光沢度が低下しやすくなるため好ましくない。
(シリカ複合無機粒子またはシリカ複合無機粒子処理体と無機粒子の併用)
無機粒子およびシリカ複合無機粒子はいずれも、比表面積が大きいため、印刷インキを吸収しやすい。このような無機粒子もしくはシリカ複合無機粒子を填料として用いることにより、塗工層を設けてもストライクスルーを防止し、印刷不透明度を向上させることができる。しかし、無機粒子およびシリカ複合無機粒子のいずれか一方のみを填料として用いた場合、印刷インキの吸収効果(以下、インキ吸収効果と称する)はシリカ粒子等の比表面積に依存しているため、無機粒子もしくはシリカ複合無機粒子を填料として用いた場合、本発明の課題である軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を得るにおいて高い不透明性と嵩高性、剛度を満足する品質を得ることができない。
そこで、本実施形態では、異なる粒子径を有するシリカ複合無機粒子と無機粒子とを併用する。二次凝集体からなる無機粒子に対して、同様に凝集体ながらシリカ複合やカチオン性を持たせたシリカ複合無機粒子を多く含有させることによって、無機粒子とシリカ複合無機粒子との接点が多くなり、これら粒子間に空隙が多く形成される。当該空隙は印刷インキを留める効果を有するため、無機粒子等の比表面積から期待できる以上のインキ吸収効果を得ることができる。これにより、基紙の段階でストライクスルーを防止する効果をより高め、印刷不透明度をより向上させることができる。シリカ複合無機粒子に代えてシリカ複合無機粒子処理体を用いた場合も同様である。
本実施形態で使用する無機粒子の一例としては、一次粒子が凝集し二次粒子凝集化した凝集炭酸カルシウム、一次粒子ながら所謂毬栗状の結晶構造を呈する炭酸カルシウムが挙げられるが、本実施形態では、無機粒子として一次粒子が凝集し二次粒子凝集化した凝集炭酸カルシウムを用いることが好ましい。凝集炭酸カルシウムは一次粒子が凝集した二次粒子であるため、粒子表面の凹凸が多い。この凝集炭酸カルシウム表面に、当該凝集炭酸カルシウムよりもシリカ複合やカチオン性付与によりイオン性を持たせたシリカ複合無機粒子が吸着することで、より大きな空隙が形成され、より高いインキ吸収効果を得ることができる。
また、填料として異なる性状を有するシリカ複合無機粒子と無機粒子とを併用することで、二次凝集体からなる無機粒子とパルプ繊維との間にシリカ複合無機粒子が留まりやすくなり、填料歩留りが向上するため、抄紙設備のワイヤー保護や設備内のスケール(填料等が配管にこびり付いて異物となったもの)の発生の抑制をすることができる。
本実施形態では、粒子間の空隙をさらに多く設けるために、シリカ複合無機粒子と無機粒子との含有量の合計を、基紙中に含まれる全填料成分の割合として、50質量%〜85質量%、より好ましくは60質量%〜80質量%、前記基紙中に全填料成分としてJIS P 8251に準拠した灰分で、10%〜20%含有されていることが好ましい。これにより、基紙の段階でストライクスルーを防止する効果をさらに高め、印刷不透明度をさらに向上させることができる。
(その他の填料)
本実施形態では、上述したように、塗工紙の不透明度を向上させるためにシリカ複合無機粒子と無機粒子とをJIS P 8251に準拠した灰分で、10%〜20%含有させている。填料は、一般に、紙中のパルプ繊維の水素結合を阻害する働きがあるため、填料をこのように多量に含有させると、填料含有量が少し変動するだけで抄紙工程等で紙が切れ、生産性が悪化する問題がある。
本実施形態においては、上述したように、原料パルプに古紙パルプを含有させることが好ましい。しかし、古紙パルプには古紙由来の填料が含まれる。古紙パルプ中の古紙由来の填料の含有量は古紙の種類等によって異なるため、古紙パルプを含有させて基紙を製造した場合、基紙中の填料の含有量が大きく変動し、塗工紙の品質がばらつくという問題がある。そのため、基紙中の填料の含有量の変動を小さくすることが好ましく、古紙持ち込み灰分が安定している新聞古紙由来の古紙パルプを用いることが好ましい。
基紙中の填料の含有量の変動を小さくする方法の一例としては、古紙パルプに含まれている古紙由来の填料の含有量に応じてシリカ複合無機粒子および無機粒子の配合量を増減させ、基紙中の填料の含有量の変動を小さくする方法が考えられる。
しかし、当該方法は、基紙中の填料の含有量の変動を小さくすることはできるものの、不透明度の向上効果に優れるシリカ複合無機粒子およびシリカ粒子の含有量が変動するため、塗工紙の不透明度が一定にならず、塗工紙の品質が均一にならない。
そのため、本実施形態では、シリカ複合無機粒子および無機粒子の添加量は一定とし、シリカ複合無機粒子および無機粒子以外の填料(以下、調節用填料と称する)の添加量を調節することによって、基紙中の填料の含有量の変動を小さくする方法が好ましい。また、当該調節用填料は、抄紙設備のワイヤー保護や設備内のスケールの発生の抑制のために、パルプ繊維間に留まりやすい填料が好ましい。このような調節用填料の例としては、一般的に用いられる紡錘形状の軽質炭酸カルシウムが挙げられる。
また、本実施形態においては、基紙に種々の添加物を内添しても良い。例えば、基紙に、例えば内添サイズ剤、紙力向上剤、紙厚向上剤、歩留向上剤(各種合成高分子や澱粉類等の水溶性高分子)、およびこれらの定着剤等の、通常塗工紙の基紙に配合される種々の添加剤を、その種類および配合量を調整して内添することができる。
(基紙の製造方法)
基紙は従来一般に用いられる製造方法で製造することができる。基紙を抄紙する工程のうちワイヤーパートでは、従来一般に製紙用途で使用されているフォーマを使用することができる。従来一般に製紙用途で使用されているフォーマの一例としては、円網フォーマ、長網フォーマ、ツインワイヤフォーマが挙げられる。
なお、本実施形態の効果が顕著に現れるのは、紙厚が50μm以下、特に30〜50μmの塗工紙である。これは、塗工紙の紙厚が50μmを超過すると、そもそも不透明度が高くなり、本実施形態によらずとも必要十分な不透明度を達成してしまうからである。また、塗工紙の紙厚を上述の範囲に調整するため、坪量についても規定することが好ましい。本実施形態に係る塗工紙において、JIS P 8124:1998に記載の「紙および板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した坪量が、50g/m以下、特に30〜50g/mとなるように調整することが好ましい。当該坪量が50g/mを超過すると紙厚が大きくなることにより、そもそも不透明度が高くなるため、本実施形態によらずとも必要十分な不透明度を達成してしまう。
(下塗りクリアー塗工層(層を構成しない含侵状態も含む))
本発明のより好適な構成においては、上記基紙の両面に、接着剤として水溶性高分子を主成分とする下塗りクリアー塗工層を設ける。下塗りクリアー塗工層を設けるための塗工液(以下、下塗りクリアー塗工液と称する)を塗工する方法は特に限定されないが、例えば、フィルム転写塗工方式、ゲートロール塗工方式等を用いることができる。本実施形態においては、下塗りクリアー塗工層の塗工量は特に限定されないが、下塗りクリアー塗工層の塗工量は、両面あたり0.1〜1.5g/m程度とすることが好ましく、さらに両面あたり0.2〜1.3g/mとすることがより好ましい。下塗りクリアー塗工層の塗工量が、両面あたり0.1g/mを下回ると上塗り塗工層中の顔料が基紙に沈み込みやすくなり、印刷光沢度が低下する。下塗りクリアー塗工層の塗工量が、両面あたり1.5g/mを超えると、下塗りクリアー塗工液の流動性が悪化することにより、塗工ムラが生じる恐れがあり、好ましくない。
上記下塗りクリアー塗工液に主成分として含まれる水溶性高分子は、特に制限はなく、一般的に製紙用途に用いられるものを使用することができる。上記下塗り塗工液に用いる水溶性高分子の一例としては、ポリアクリルアミド、およびポリビニルアルコール等の水溶性樹脂、並びにヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース等のセルロース系水溶性高分子、並びに生澱粉、酵素変性澱粉、ヒドロキシエチルスターチ、カチオン化澱粉、アセチル化澱粉、酸化澱粉等の澱粉類が挙げられる。これらの水溶性高分子の中から1種または2種以上を適宜選択して併用することができる。
(プレカレンダー)
本実施形態においては、水溶性高分子を主成分とする下塗りクリアー塗工層を設けた後の基紙(以下、下塗り塗工紙と称する)に塗工層を設ける前に、上記下塗り塗工紙を平坦化する処理(以下、平坦化処理と称する)をすることが好ましい。塗工層を設ける前に上記下塗り塗工紙を平坦化処理することによって、上記下塗り塗工紙中のパルプ繊維を詰めることができる。これにより、印刷光沢度をさらに向上させ、印刷不透明度をさらに向上させることができる。上記下塗りクリアー塗工紙の平坦化処理の条件については、得られる塗工紙の光沢性や紙厚、不透明性を指標に適宜調整し特に限定されないが、ニップ圧10〜80kN/m、温度20〜150℃とすることが好ましく、ニップ圧50kN/m、温度50℃とすることがより好ましい。
(上塗り塗工層)
上記下塗りクリアー塗工層の表面に、顔料および接着剤を主成分とする上塗り塗工層を設ける。上記塗工層は、上記下塗りクリアー塗工紙の表面に、顔料および接着剤を主成分とする塗工液(以下、上塗り塗工液と称する)を塗工することにより設けられる。上記上塗り塗工液を塗布する方法は特に限定されないが、塗工面の平滑性に優れるブレード塗工方式が好ましい。
(顔料)
(顔料の粒子径)
本実施形態において、上塗り塗工層に用いる顔料は、粒子径0.5μm未満の粒子の総質量に対する粒子径2.0μm未満の粒子の総質量の割合が1.3〜10.0であるものを用いる。上記の粒子径を有する顔料を用いる理由を以下に述べる。
可視光線の波長は380〜750nmである。仮に、粒子径が380nm(0.38μm)を下回る粒子を顔料として用いた場合、可視光線は位相次第では当該粒子に衝突せずに透過するため、可視光線の散乱が発生しにくい。一方、粒子径が750nm(0.75μm)を超える粒子を顔料として用いた場合、可視光線は高い確率で粒子に衝突する。しかし、顔料の粒子径を大きくするほど、塗工紙の白紙不透明度が向上するというわけではない。発明者は鋭意研究した結果、上塗り塗工層の細孔の細孔径が可視光線の波長の半分程度(150〜400nm)であるとき、可視光線の散乱を特に向上させることができることを見出し、更に填料としてシリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有させた基紙を用いることによる相乗効果で、軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を提供できることを見出した。すなわち、150〜400nmの細孔径を多く有する上塗り塗工層をシリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有させた基紙上、更には下塗りクリアー塗工層の表面に設けることによって可視光線の散乱を特に向上させ、軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を提供できた。
本発明においては、剛度(横)が0.12以上が好ましく、より好ましくは0.17以上である。剛度(横)が0.12未満では、本発明の課題である軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を提供するにおける剛度が不十分になる。
顔料の粒子径を大きくするほど塗工紙の白紙不透明度が向上するというわけではない理由としては、細孔径が波長の半分(400nm)よりも大きい場合、可視光線が細孔を通過する可能性が高いものの、塗工紙表面の細孔の数が少なくなるため、可視光線の散乱が発生しにくい。そのため、塗工紙の白紙不透明度が十分に向上しないと考えられる。
一方、細孔径が波長の半分(150nm)よりも小さい場合、塗工層の細孔の数は多くなるものの、可視光線が細孔を通過する確率が低下し、可視光線が散乱しにくくなる。そのため、塗工紙の白紙不透明度が十分に向上しないと考えられる。
(顔料の成分)
本実施形態に用いることができる顔料の成分は、従来一般に製紙用途にて顔料として使用されているものを用いることができる。当該顔料の例としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化亜鉛等の無機顔料、並びにポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子等の有機顔料が挙げられ、必要に応じて1種類以上を組み合わせて使用することができる。また、いわゆる再生粒子を用いても良い。これら顔料の中でも、無機顔料は、粒子に細孔があるために上塗り塗工液の流動性が比較的悪くなることから、上塗り塗工液中の微細顔料粒子が下塗り塗工紙に沈み込み難いため、印刷光沢度を向上させることができるため好ましい。細孔容積が比較的大きい非晶質シリカ等は、上述の理由により、上塗り塗工液中の微細顔料粒子が下塗り塗工紙に沈み込み難いものの、大きな細孔容積によってインクセットが早くなり、印刷光沢や印刷不透明度が低下する傾向が顕著になる。その点、適度な細孔容積を有するカオリンクレーおよび炭酸カルシウムは、インクセットが比較的遅く、印刷光沢度がより向上するためさらに好ましい。これらの効果は、上塗り塗工層に用いられる顔料のうち、カオリンクレーおよび炭酸カルシウムが80質量%以上である場合に特に顕著である。
本実施形態において、塗工層中の接着剤に、水溶性高分子を含有させることが好ましい。これは、塗工液の流動性が高くなる樹脂(例えば、ラテックス等)を上塗り塗工液中の接着剤の主成分として用いると、上塗り塗工液中の微細顔料粒子が下塗り塗工層を通過して基紙に沈み込みやすくなり、印刷光沢度が低下するからである。本願発明では、上塗り塗工液中の接着剤として水溶性高分子を主成分として用いることにより、上塗り塗工液中の微細顔料粒子が基紙に沈み込むのを防止し、印刷光沢度を向上させることができる。
上塗り塗工液中の接着剤の主成分として使用することができる水溶性高分子は、特に制限はなく、一般的に製紙用途に使用できるものを用いることができる。上塗り塗工液中の接着剤の主成分として使用することができる水溶性高分子の一例としては、並びにヒドロキシエチルスターチ、およびカルボキシメチルセルロース等のセルロース系水溶性高分子、並びに澱粉類が挙げられる。これらの水溶性高分子の中から1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明における塗工紙の好適な印刷光沢度(表面)は、30%以上が好ましく、より好ましくは50%以上である。
上塗り塗工液中の接着剤の主成分として使用する水溶性高分子の配合割合は特に限定はないが、上塗り塗工層中の顔料100質量部に対して3〜17質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。上塗り塗工層の接着剤として、水溶性高分子を顔料に対し3〜17質量部を含有させることで、上塗り塗工液のB型粘度を3,000〜5,000cps、保水度を200g/m以下、好ましくは150g/m以下、特に好ましくは100g/m以下に調整できるため、塗工後に上塗り塗工液中の水分が下塗り塗工紙に吸収され難く、水分の移動に伴う微細顔料粒子の下塗り塗工紙への浸透を抑制できるため好ましい。また、塗工液の粘度を3,000〜5,000cpsとすることによって塗工ムラが生じることを防ぐことができ、より好ましくは4,000cpsとすることによって塗工ムラが生じることをさらに防ぐことができる。上塗り塗工液中の接着剤の主成分として使用する水溶性高分子の配合割合が3質量部を下回ると、印刷不透明度が低下する傾向が顕著になるため好ましくない。上塗り塗工液中の接着剤の主成分として使用する水溶性高分子の配合割合が17質量部を超えると、塗工液の粘度が増加し過ぎてしまうため、塗工ムラが生じやすくなり、白紙光沢度が低下する傾向が顕著になるため好ましくない。
本発明における白紙光沢度(表面)は、15%以上が好ましく、より好ましくは30%以上である。
本実施形態に係る塗工紙の上塗り塗工層の塗工量(固形分量)は特に限定されないが、両面あたり6〜18g/mであれば、150〜400nmの細孔径を多く有する塗工層を塗工紙の表面に設けることができる。塗工紙の白紙不透明度を向上させるだけであれば、塗工量を増やし塗工層を厚くすれば、本実施形態によらずとも必要十分な白紙不透明度を達成してしまう。しかし、塗工量を増やせば、塗工ムラの原因や、コストアップに繋がる。塗工層に含まれる顔料として本実施形態に係る顔料を使用することにより、低塗工量でありながら、高い白紙不透明度を有する塗工紙を得ることができる。
なお、本実施形態にて用いる上塗り塗工液には、顔料および接着剤以外にも、例えば、ダスト防止剤、蛍光染料、蛍光染料増白剤、消泡剤、離型剤、着色剤、保水剤等、製紙用途で一般に用いられる各種助剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜配合することができる。上記上塗り塗工液を調製する方法には特に限定がなく、顔料、接着剤、および必要な各種助剤等を適宜調整し、適切な温度にて均一な組成となるように撹拌混合すれば良い。
また、本実施形態に係る塗工紙は、上記各種助剤等により、白色度(表面)を65〜73%に調整することが好ましく、70〜73%に調整することがより好ましい。これは、白色度が65%未満であれば見栄えが低下するだけでなく、そもそも不透明度が高くなるため、本実施形態に係る塗工紙によらずとも必要十分な不透明度を達成することができるからである。
更に、本実施形態に係る塗工紙は、上記各種助剤等により、白紙不透明度(表面)を85〜93%に調整することが好ましく、90〜93%に調整することがより好ましく、印刷後の印刷不透明度(表面)においても、印刷不透明度を80〜88%とすることが好ましい。これは、本発明の課題である軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を提供するうえで、既存の50g/mを超える本発明で云う従来の坪量の塗工紙と比べ、同等以上の不透明性を確保するためである。白紙不透明度が85%未満、印刷不透明度が80%未満であれば、本発明の課題を解決に至らない。
実施例1〜26を表1,2に示し、比較例1〜9を表3,4に示す。
Figure 2013234397
Figure 2013234397
Figure 2013234397
Figure 2013234397
(製造手順)
原料パルプは、NDIPとBTMPとを使用し、NDIPは表1に記載の比率で含有させた。このパルプ100質量部(絶乾量)に対して、各々固形分で、内添サイズ剤(品番:AK−720H、ハリマ化成社製)0.05質量%、カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)1.0質量%、および歩留向上剤(品番:NP442、日産エカケミカルス社製)0.02質量%を添加してパルプスラリーを得た。填料として用いたシリカ複合無機粒子またはシリカ複合無機粒子処理体は、上述した、シリカ複合無機粒子およびシリカ複合無機粒子処理体の連続生産方法で生産したものを使用した。
上記パルプスラリーを抄紙し、ワイヤーパート、次いでプレスパート、プレドライヤーパートに供して坪量が約28g/mの基紙を製造した。なお、ワイヤーパートではギャップフォーマ方式で抄紙した。次いでアンダーコーターパートにおいて、カチオン化澱粉を主成分とする下塗り塗工層が片面あたり1.0g/mとなるように、フィルム転写塗工方式によって下塗り塗工液を塗工した。
次に、両面に下塗り塗工層が設けられた基紙をアフタードライヤーパートに供し、この下塗り塗工紙を乾燥させた後、ニップ圧25kN/mおよびロール温度70℃の条件で平坦化処理(プレカレンダー)を施した。
次に、トップコーターパートにおいて、顔料(カオリンクレー)と、カチオン化澱粉(接着剤)を主成分とする上塗り塗工層が、片面あたり7g/mとなるようにブレード塗工方式によって上塗り塗工液を塗工し、坪量44g/m、紙厚が47μmの塗工紙を製造した。
その他、接着剤および顔料の詳細は次のとおりである。
<填料>
・無機粒子(凝集軽質炭酸カルシウム 品番:TP−221BM、奥多摩工業社製、体積平均粒子径:5.6μm)
<下塗り塗工層>
(接着剤)
・カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)
<上塗り塗工層>
(接着剤)
・カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)
(顔料)
・カオリンクレー(品番:AMAZON、カダム社製)
顔料の粒子径は、上記顔料を篩い分けまたは湿式粉砕機(品番:プラネタリーミル、セイシン企業製)を用いて粉砕し、0.5μm未満の粒子の総質量に対する2.0μm未満の粒子の総質量の割合が、1.3〜10.0になるよう調整した。
(評価方法)
(a)坪量
JIS P 8124:1998「紙および板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
(b)紙厚
JIS P 8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(c)灰分
JIS P 8251:2003「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法―525℃燃焼法」に準拠して測定した。
(d)剛度(横)
JIS P 8143:2000「紙のクラークこわさ試験機によるこわさ試験方法」に記載の方法に準拠して、紙の横方向について測定した。
(e)白色度(表面)
JIS P 8148:2001「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
白色度70%以上は白色度に優れ、65%以上は白色度が良く、65%未満は白色度に劣る。
(f)白紙不透明度(表面)
JIS P 8149:2000「紙および板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠して測定した。
白紙不透明度90%以上は白紙不透明度に優れ、85%以上は白紙不透明度が良く、85%未満は白紙不透明度に劣る。
(g)印刷不透明度(表面)
オフセット輪転印刷機(型番:RI−2型、石川島産業機械社製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業社製)のインキ量を変えて印刷し、印刷面反射率が9%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率を求めた。これら反射率の測定には、分光白色度測色機(スガ試験機社製)を用いた。なお、印刷不透明度は、以下の式によって求められる。
印刷不透明度(%)=(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100
印刷不透明度88%以上は印刷不透明度に優れ、80%以上は印刷不透明度が良く、80%未満は印刷不透明度に劣る。
(h)白紙光沢度(表面)
JIS P 8142:2005「紙および板紙‐75度鏡面光沢度の測定方法」に記載の方法に準拠して測定した。
白紙光沢度30〜44%以上は白紙光沢度に優れ、15〜30%は白紙光沢度が良く、15%未満は白紙光沢度に劣る。
(i)印刷光沢度(表面)
次の条件で印刷試験体を調製し、白紙光沢度と同じ方法で光沢度を測定して、印刷光沢度とした。
印刷機:RI‐3型、株式会社明製作所社製
インキ:WebRex Nouver HIMARKプロセス(藍)、大日精化社製
インキ量:上段ロールに0.3ml、下段ロールに0.2ml
試験方法:上段、下段ロールでそれぞれインキを各3分間練り(2分間練った後、ロールを反転させ更に1分間練る)、回転速度30rpmで2色同時印刷を行った。
前記印刷試験体について、JIS P 8142:2005「紙および板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した。
印刷光沢度が50〜60%であれば光沢性に優れ、30〜50%であれば光沢性が良好であり、30%未満は光沢性に劣るものである。
(j)塗工面感(表面)
塗工面感を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:塗工ムラが発生せず、安定して塗工できた。
○:塗工ムラが若干発生したが、比較的安定して塗工できた。
△:塗工ムラが多少発生し、安定した塗工が得られなかった。
×:塗工ムラが発生し、塗工が安定しなかった。
なお、前記評価基準のうち、◎、○、△を実使用可能と判断する。
(k)粒子径および粒子径分布
粒子径および粒子径分布は、レーザー粒子径分布測定装置(レーザー解析式粒子径分布測定装置「SALD−2200型」島津製作所社製)にて粒子径分布を測定した。測定試料は、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に、無機粒子Sを添加し、超音波で1分間分散させて調整した。なお、粒子の粒子径は、当該粒子が球状の場合は直径を、球状でない場合は長径と短径の平均値を意味する。
実施例の塗工紙はいずれも、請求項1の構成を満たすため、上記各評価項目において良好な結果が得られた。すなわち、各実施例に係る塗工紙は、本願課題を解決できるものである。
これに対して、比較例の塗工紙はいずれも、請求項1の構成を満たさないため、いずれかの評価項目において良好な結果が得ることができず、本願課題を必ずしも解決できないものである。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上述の説明はあらゆる点において本発明の一例にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることはいうまでもない。
本発明によれば、低コストでありながら高不透明度を有する軽量塗工紙および微塗工紙を提供でき、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用される印刷用塗工紙に利用できる。
1 凝結反応槽
2 第一シリカ複合反応槽
3 第二シリカ複合反応槽
4 アルミニウム塩処理反応槽
5 貯槽
X1 無機粒子
X2 無機粒子凝結体
X3 シリカ複合無機粒子
X4 シリカ複合無機粒子処理体
G 凝結剤
L 珪酸アルカリ溶液
N 鉱酸
A アルミニウム塩

Claims (3)

  1. 基紙と、基紙上に設けられ顔料および接着剤を主成分とする塗工層とを備えた塗工紙であって、
    前記基紙は、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有し、
    前記シリカ複合無機粒子の体積平均粒子径(D50)が4.3μm〜6.0μmであり、シリカ複合無機粒子以外の無機粒子の体積平均粒子径(D50)が3.0〜10.0であることを特徴とする、塗工紙。
  2. 前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子は、一次粒子径が0.05μm〜0.20μmの凝集体であり、
    基紙中に含まれる全填料成分として、前記基紙中にJIS P 8251に準拠した灰分で、10〜20%含有されていることを特徴とする、請求項1に記載の塗工紙。
  3. 前記シリカ複合無機粒子に代えて、0.05μm〜3.0μmの炭酸カルシウム粒子をコア粒子とし、珪酸アルカリ及び鉱酸により炭酸カルシウムにシリカを複合し、更にアルミニウム塩により上記シリカを複合させた炭酸カルシウム粒子にアルミニウム成分を含有させてなるシリカ複合無機粒子処理体を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の塗工紙。
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