JP2013234397A - 塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基紙と、基紙上に設けられ顔料および接着剤を主成分とする塗工層とを備えた塗工紙であって、前記基紙は、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有し、前記シリカ複合無機粒子の体積平均粒子径(D50)が4.3〜6.0μmであり、シリカ複合無機粒子以外の無機粒子の体積平均粒子径(D50)が3.0〜10.0であることを特徴とする塗工紙。
【選択図】図1
Description
前記基紙は、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有し、
前記シリカ複合無機粒子の体積平均粒子径(D50)が4.3〜6.0μmであり、シリカ複合無機粒子以外の無機粒子の体積平均粒子径(D50)が3.0〜10.0であることを特徴とする、塗工紙である。
ここで、体積平均粒子径とは、レーザー回析散乱法により測定された粒度分布における体積中位粒径(D50)をいう。
(パルプ)
基紙は、通常の原料パルプを抄紙して得られるものであれば良い。当該原料パルプには特に限定がなく、例えば機械パルプ(MP)、化学パルプ(CP)、古紙パルプ等が挙げられる。機械パルプの例としては、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等が挙げられる。化学パルプの例としては、未晒針葉樹パルプ(NUKP)、未晒広葉樹パルプ(LUKP)、晒針葉樹パルプ(NBKP)、晒広葉樹パルプ(LBKP)等が挙げられる。上記古紙パルプとは、パルプとして一旦使用され、古紙として回収された後に再生処理して得られたパルプであり、古紙パルプの例としては、古紙パルプの例としては、雑誌古紙等から得られる脱墨パルプ(MDIP)、新聞古紙から得られる脱墨パルプ(NDIP)、および上物古紙から得られる脱墨パルプ(FDIP)が挙げられる。これらの原料パルプの中から1種または2種以上を適宜選択し、その割合を調整して用いることができる。
本発明により得られた塗工紙を、JIS P 8220に準拠し、標準離解機にて離解処理し、沈降残渣(無機物)を除去して得た離解パルプを試料とし、FiberLab(Kajaani社製)にて測定した。
本実施形態では、填料として、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、当該シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを併せて用いることにより、軽量塗工紙における課題である軽量化しながら嵩高性と剛度を維持しつつ、塗工紙の不透明度を向上させることができる。以下詳細に説明する。
本発明で用いるシリカ複合無機粒子は、珪酸アルカリ及び鉱酸により無機粒子にシリカを複合してシリカ複合無機粒子を得るシリカ複合工程を経て得られる。
当該シリカ複合体の製造方法で用いる無機粒子X1は特に限定されるものではなく、例えば、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、クレー、焼成クレー、合成ゼオライト、再生粒子等を用いることができる。これらの中でも白色度及び不透明度が高く、コストも比較的低い炭酸カルシウムが好ましく、中でも重質炭酸カルシウムが凝結剤Gにより、粗大粒子の発生を抑えながらシャープな粒度分布の粒子を得ることができるため特に好ましい。
本発明における無機粒子X1として用いられる再生粒子は、製紙スラッジより好適には脱墨フロスを脱水、乾燥、焼成および粉砕することにより得られる。本実施形態で填料として用いる再生粒子の基本的な製造方法は、従来公知の技術を用いて生産することができる。当該再生粒子を生産するための公知技術の例としては、特開2007−112681号公報、および特開2005−53984号公報に開示されている技術が挙げられる。
当該製造方法においては、無機粒子X1の体積平均粒子径を凝結やシリカ複合に好適な範囲とするための粒径調節工程を行うことが好ましい。この粒径調節工程においては、無機粒子X1の体積平均粒子径が好適な範囲となるように粉砕機にて粉砕、分級等を行う。無機粒子X1の粉砕手段として用いられる粉砕機としては、例えば、ジェットミル、高速回転式ミル等の乾式粉砕機、又はアトライター、サンドグラインダー、ボールミル等の湿式粉砕機等を用いることができる。
(1)無機粒子凝結工程においては、凝結反応槽1にて上記無機粒子X1を凝結剤Gによって凝結することによって、無機粒子凝結体X2を得ることが好ましい。
上記無機粒子凝結工程において用いる凝結剤Gとしては、特に限定されるものではなく、公知の合成系凝結剤を用いることができるが、無機粒子X1として好適に重質炭酸カルシウムを適度な粒子径へ凝結させ易いカチオン性の凝結剤が好ましい。このカチオン性凝結剤としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、カチオン性ポリアクリルアミド等を用いることができる。
A:pH4.0に調整した凝結剤水溶液のアニオン要求量(μeq/l)
B:凝結剤水溶液の固形分濃度(g/l)
なお、このように無機粒子X1の凝結においては、質量平均分子量とカチオン電荷密度との両方において上述の好ましい範囲を有する凝結剤Gを用いることが、無機粒子X1の凝結性とスラリーの増粘抑制との両方を好適に達成することができるため好ましい。この理由は定かではないが、例えば、凝結に係る理由としては、無機粒子X1の表面の電荷分布にバラツキがあるため、所定範囲の分子量及びカチオン電荷密度を有するカチオン性合成高分子を用いることで電気的な凝結作用が発揮できるためであると考えられる。
上記凝結剤Gによって無機粒子X1を凝結させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、無機粒子X1を水に分散させて無機粒子スラリーとし、この無機粒子スラリーに凝結剤Gを添加し、攪拌する方法を用いることができる。このとき使用する攪拌装置としては、例えば、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼等を用いることができる。
無機粒子凝結工程を経て得られる無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径の下限としては、3.5μmが好ましく、3.8μmがさらに好ましく、4.0μmが特に好ましい。一方、無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径の上限としては、5.5μmが好ましく、5.3μmがさらに好ましく、5.0μmが特に好ましい。無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径を上記範囲とすることで、抄紙工程におけるシリカ複合体の歩留まりを効率的に向上させることができる。無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径が3.5μm未満の場合は、当該製造方法によって得られるシリカ複合体の歩留りの向上効果が発揮されないおそれがある。逆に、無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径が5.5μmを超える場合は、無機粒子凝結体X2により得られるシリカ複合体を添加した紙に紙面劣化等が生じるおそれがある。なお、無機粒子凝結体X2の体積平均粒子径は、凝結剤Gの添加量、無機粒子X1の体積平均粒子径等によって調節することができる。
上記製造方法で得られるシリカ複合体は、適度な粒子径とパルプ原料への自己定着性を有するため、填料として紙へ添加した際の歩留りが高い。また、高い白色度、不透明度及び吸油度を有するため、添加された紙の白色度、不透明度、インク乾燥性等を向上させることができる。また、上記製造方法で得られるシリカ複合体は、密度が小さく嵩高性を有するため、嵩高紙の填料として好適に用いることができる。
(2)シリカ複合工程においては、上記工程で得られた無機粒子凝結体X2にシリカを複合させて、シリカ複合粒子X3を得る。
本実施形態のシリカ複合無機粒子の製造方法は、無機粒子、凝結剤、珪酸アルカリ水溶液、鉱酸および好適にはアルミニウム塩を主な原料とし、無機粒子にシリカを複合させてシリカ複合無機粒子とするものである。シリカ複合無機粒子処理体の製造方法は、上記シリカ複合無機粒子の表面をアルミニウム塩にてカチオン化するものである。まず、好適には凝結反応槽1内で無機粒子が凝結された無機粒子凝結体2のスラリーが、凝結反応槽1から第一シリカ複合反応槽2へ、この第一シリカ複合反応槽2にて鉱酸、珪酸アルカリ溶液が添加されシリカ複合無機粒子化されたスラリーが第二シリカ複合反応槽3にて熟成され、シリカ複合無機粒子のスラリーがこの第二シリカ複合反応槽3からアルミニウム塩処理反応槽4へ流れるものとする。また、第一シリカ複合反応槽2内のスラリーに珪酸アルカリ溶液L、鉱酸N、を添加添加して、シリカ複合無機粒子を連続的に製造するほか、図示はないが、第二シリカ複合反応槽にも鉱酸Nを添加し緩慢なシリカ複合反応を進ませることで、より均一なシリカ被膜を持つ無機粒子凝結体スラリーを得る事ができる。本発明者らの知見では、第一シリカ複合反応槽で生成するシリカゾルは、先の凝結反応槽を経て得られた無機粒子凝集体スラリーに含まれる微小な無機粒子凝集体のみを更に凝集させる機能を発現し、無機粒子凝集体の体積平均粒子径を高めると共に粒度分布範囲を狭くしシャープな粒度分布を示す様に働き、第二シリカ複合反応槽では、シャープな粒度分布を維持しながらシリカ複合反応を進ませ熟成させることで均一なシリカ複合の被膜を有するシリカ複合無機粒子のスラリーを得ることができる。
以下、さらに詳細に説明する。
本工程において用いる珪酸アルカリ溶液Lは、特に限定されるものではないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)を用いることが入手性の点で好ましい。
本工程で用いる鉱酸Nとしては、特に限定されるものではなく、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。これらの中でも、コスト及びハンドリングの観点から硫酸が特に好ましい。本工程で用いる鉱酸Nの濃度としては、0.1mol/L以上5.0mol/L以下が好ましい。鉱酸Nの濃度が上記範囲未満の場合は、シリカの生成速度が遅くなってシリカが十分形成されないおそれがある。逆に、鉱酸Nの濃度が上記範囲を超える場合は、局部的な反応が生じて、シリカが偏在して形成され、得られるシリカ複合体の歩留り向上効果等が低下するおそれがある。また、本工程における鉱酸Nの添加量は、珪酸アルカリの中和率が50%以上75%以下となる量が好ましい。
本工程を経て得られるシリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径の下限としては、4.3μmが好ましく、4.5μmがより好ましい。一方、シリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径の上限としては、6.0μmが好ましく、5.8μmがより好ましい。シリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径が上記範囲未満の場合は、当該製造方法によって得られる複合粒子の歩留り向上効果が十分得られないおそれがある。逆に、シリカ複合無機粒子X3の体積平均粒子径が上記範囲を超える場合は、当該製造方法によって得られる複合粒子を添加した紙に紙面劣化等が生じるおそれがある。
(3)アルミニウム塩処理工程においては、アルミニウム塩Aにより上記シリカ複合粒子を処理してアルミ処理シリカ複合粒子X4を得る。
本工程で用いるアルミニウム塩Aは、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、アルミン酸ソーダ等を用いることができる。これらの中でも、得られる複合粒子の歩留りの向上効果と製造コスト低減効果を有する硫酸バンドが特に好ましい。
本工程を経て得られるシリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径の下限としては、4.5μmが好ましく、4.8μmがより好ましい。一方、シリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径の上限としては、6.5μmが好ましく、6.2μmがより好ましい。シリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径が上記範囲未満の場合は、シリカ複合無機粒子処理体X4の添加時の歩留り向上効果が十分得られないおそれがある。逆に、シリカ複合無機粒子処理体X4の体積平均粒子径が上記範囲を超える場合は、アルミ処理シリカ複合粒子X4が添加された紙の塗工液の吸収能力が大きくなるため、塗工層を設ける場合に塗工層表面の平坦性が低下するおそれがあるほか、シリカ複合無機粒子処理体X4が添加された紙の強度低下を招くおそれがある。また、抄紙系内の汚れや、ワイヤーの摩耗度が増大するおそれがある。
上記製造方法で得られる複合粒子(シリカ複合無機粒子処理体)は、適度な粒子径とパルプ原料への自己定着性を有するため、填料として紙へ添加した際の歩留りが高い。また、高い白色度、不透明度及び吸油度を有するため、添加された紙の白色度、不透明度、インク乾燥性等を向上させることができる。また、上記製造方法で得られる複合粒子は、密度が小さく嵩高性を有するため、嵩高紙の填料として好適に用いることができる。
アルミニウム塩処理反応槽4から流出したスラリーは、平均粒子径や粒子径分布、摩耗度等が好適に制御されているため、本発明の課題である軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を得ることができる。
本実施形態のシリカ複合無機粒子は、無機粒子の表面に粒子状のシリカが固着されてなるものであり、このシリカの粒子径は、例えば、前述スラリーの撹拌強度や温度等を調節することによって調節することができる。
本実施形態において、シリカ複合無機粒子は、シリカ成分の割合が10.0〜50.0質量%であることが好ましく、41.0〜49.0質量%であることがより好ましく、42.0〜48.0質量%であることが最も好ましい。シリカ成分の割合が10.0質量%を下回ると、十分にシリカの複合が行われていない可能性があり、製紙用の填料や顔料として使用した場合において、塗工紙の不透明度の向上効果が十分に得られない可能性がある。他方、シリカ成分の割合が50.0質量%を上回ると、シリカの複合が過密に行われている可能性があり、製紙用の填料として使用した場合において、不透明度の向上効果が十分に得られない可能性がある。
上述したように、本実施形態では、上記シリカ複合無機粒子またはシリカ複合無機粒子処理体とともに、上記シリカ複合無機粒子とは異なる無機粒子を填料として基紙に含有させる。本実施形態では、一次粒子が凝集し二次粒子化した凝集炭酸カルシウムが好適に用いられ、凝集軽質炭酸カルシウムは、一次体積平均粒子径が0.05μm〜0.20μm、好ましくは0.08μm〜0.15μm、二次体積粒子径が3.0μm〜10.0μm、より好ましくは4.0〜8.0μmのものを用いる。凝集炭酸カルシウムの含有量は、基紙中の填料成分に対して固形分換算で50質量%〜85質量%、より好ましくは60質量%〜80質量%である。上記のような体積平均粒子径を有する凝集炭酸カルシウム粒子を、上記のように基紙に含有させることで、塗工紙の不透明度を向上させることができる。
無機粒子およびシリカ複合無機粒子はいずれも、比表面積が大きいため、印刷インキを吸収しやすい。このような無機粒子もしくはシリカ複合無機粒子を填料として用いることにより、塗工層を設けてもストライクスルーを防止し、印刷不透明度を向上させることができる。しかし、無機粒子およびシリカ複合無機粒子のいずれか一方のみを填料として用いた場合、印刷インキの吸収効果(以下、インキ吸収効果と称する)はシリカ粒子等の比表面積に依存しているため、無機粒子もしくはシリカ複合無機粒子を填料として用いた場合、本発明の課題である軽量でありながら高い不透明度を有し、嵩高性、剛度の低下を抑えた塗工紙、更には軽量塗工紙および微塗工紙を得るにおいて高い不透明性と嵩高性、剛度を満足する品質を得ることができない。
本実施形態では、上述したように、塗工紙の不透明度を向上させるためにシリカ複合無機粒子と無機粒子とをJIS P 8251に準拠した灰分で、10%〜20%含有させている。填料は、一般に、紙中のパルプ繊維の水素結合を阻害する働きがあるため、填料をこのように多量に含有させると、填料含有量が少し変動するだけで抄紙工程等で紙が切れ、生産性が悪化する問題がある。
基紙は従来一般に用いられる製造方法で製造することができる。基紙を抄紙する工程のうちワイヤーパートでは、従来一般に製紙用途で使用されているフォーマを使用することができる。従来一般に製紙用途で使用されているフォーマの一例としては、円網フォーマ、長網フォーマ、ツインワイヤフォーマが挙げられる。
本発明のより好適な構成においては、上記基紙の両面に、接着剤として水溶性高分子を主成分とする下塗りクリアー塗工層を設ける。下塗りクリアー塗工層を設けるための塗工液(以下、下塗りクリアー塗工液と称する)を塗工する方法は特に限定されないが、例えば、フィルム転写塗工方式、ゲートロール塗工方式等を用いることができる。本実施形態においては、下塗りクリアー塗工層の塗工量は特に限定されないが、下塗りクリアー塗工層の塗工量は、両面あたり0.1〜1.5g/m2程度とすることが好ましく、さらに両面あたり0.2〜1.3g/m2とすることがより好ましい。下塗りクリアー塗工層の塗工量が、両面あたり0.1g/m2を下回ると上塗り塗工層中の顔料が基紙に沈み込みやすくなり、印刷光沢度が低下する。下塗りクリアー塗工層の塗工量が、両面あたり1.5g/m2を超えると、下塗りクリアー塗工液の流動性が悪化することにより、塗工ムラが生じる恐れがあり、好ましくない。
本実施形態においては、水溶性高分子を主成分とする下塗りクリアー塗工層を設けた後の基紙(以下、下塗り塗工紙と称する)に塗工層を設ける前に、上記下塗り塗工紙を平坦化する処理(以下、平坦化処理と称する)をすることが好ましい。塗工層を設ける前に上記下塗り塗工紙を平坦化処理することによって、上記下塗り塗工紙中のパルプ繊維を詰めることができる。これにより、印刷光沢度をさらに向上させ、印刷不透明度をさらに向上させることができる。上記下塗りクリアー塗工紙の平坦化処理の条件については、得られる塗工紙の光沢性や紙厚、不透明性を指標に適宜調整し特に限定されないが、ニップ圧10〜80kN/m、温度20〜150℃とすることが好ましく、ニップ圧50kN/m、温度50℃とすることがより好ましい。
上記下塗りクリアー塗工層の表面に、顔料および接着剤を主成分とする上塗り塗工層を設ける。上記塗工層は、上記下塗りクリアー塗工紙の表面に、顔料および接着剤を主成分とする塗工液(以下、上塗り塗工液と称する)を塗工することにより設けられる。上記上塗り塗工液を塗布する方法は特に限定されないが、塗工面の平滑性に優れるブレード塗工方式が好ましい。
(顔料の粒子径)
本実施形態において、上塗り塗工層に用いる顔料は、粒子径0.5μm未満の粒子の総質量に対する粒子径2.0μm未満の粒子の総質量の割合が1.3〜10.0であるものを用いる。上記の粒子径を有する顔料を用いる理由を以下に述べる。
本実施形態に用いることができる顔料の成分は、従来一般に製紙用途にて顔料として使用されているものを用いることができる。当該顔料の例としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化亜鉛等の無機顔料、並びにポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子等の有機顔料が挙げられ、必要に応じて1種類以上を組み合わせて使用することができる。また、いわゆる再生粒子を用いても良い。これら顔料の中でも、無機顔料は、粒子に細孔があるために上塗り塗工液の流動性が比較的悪くなることから、上塗り塗工液中の微細顔料粒子が下塗り塗工紙に沈み込み難いため、印刷光沢度を向上させることができるため好ましい。細孔容積が比較的大きい非晶質シリカ等は、上述の理由により、上塗り塗工液中の微細顔料粒子が下塗り塗工紙に沈み込み難いものの、大きな細孔容積によってインクセットが早くなり、印刷光沢や印刷不透明度が低下する傾向が顕著になる。その点、適度な細孔容積を有するカオリンクレーおよび炭酸カルシウムは、インクセットが比較的遅く、印刷光沢度がより向上するためさらに好ましい。これらの効果は、上塗り塗工層に用いられる顔料のうち、カオリンクレーおよび炭酸カルシウムが80質量%以上である場合に特に顕著である。
原料パルプは、NDIPとBTMPとを使用し、NDIPは表1に記載の比率で含有させた。このパルプ100質量部(絶乾量)に対して、各々固形分で、内添サイズ剤(品番:AK−720H、ハリマ化成社製)0.05質量%、カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)1.0質量%、および歩留向上剤(品番:NP442、日産エカケミカルス社製)0.02質量%を添加してパルプスラリーを得た。填料として用いたシリカ複合無機粒子またはシリカ複合無機粒子処理体は、上述した、シリカ複合無機粒子およびシリカ複合無機粒子処理体の連続生産方法で生産したものを使用した。
・無機粒子(凝集軽質炭酸カルシウム 品番:TP−221BM、奥多摩工業社製、体積平均粒子径:5.6μm)
(接着剤)
・カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)
(接着剤)
・カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン社製)
(顔料)
・カオリンクレー(品番:AMAZON、カダム社製)
顔料の粒子径は、上記顔料を篩い分けまたは湿式粉砕機(品番:プラネタリーミル、セイシン企業製)を用いて粉砕し、0.5μm未満の粒子の総質量に対する2.0μm未満の粒子の総質量の割合が、1.3〜10.0になるよう調整した。
(a)坪量
JIS P 8124:1998「紙および板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
JIS P 8118:1998「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
JIS P 8251:2003「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法―525℃燃焼法」に準拠して測定した。
JIS P 8143:2000「紙のクラークこわさ試験機によるこわさ試験方法」に記載の方法に準拠して、紙の横方向について測定した。
JIS P 8148:2001「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
白色度70%以上は白色度に優れ、65%以上は白色度が良く、65%未満は白色度に劣る。
JIS P 8149:2000「紙および板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠して測定した。
白紙不透明度90%以上は白紙不透明度に優れ、85%以上は白紙不透明度が良く、85%未満は白紙不透明度に劣る。
オフセット輪転印刷機(型番:RI−2型、石川島産業機械社製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業社製)のインキ量を変えて印刷し、印刷面反射率が9%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率を求めた。これら反射率の測定には、分光白色度測色機(スガ試験機社製)を用いた。なお、印刷不透明度は、以下の式によって求められる。
印刷不透明度(%)=(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100
印刷不透明度88%以上は印刷不透明度に優れ、80%以上は印刷不透明度が良く、80%未満は印刷不透明度に劣る。
JIS P 8142:2005「紙および板紙‐75度鏡面光沢度の測定方法」に記載の方法に準拠して測定した。
白紙光沢度30〜44%以上は白紙光沢度に優れ、15〜30%は白紙光沢度が良く、15%未満は白紙光沢度に劣る。
次の条件で印刷試験体を調製し、白紙光沢度と同じ方法で光沢度を測定して、印刷光沢度とした。
インキ:WebRex Nouver HIMARKプロセス(藍)、大日精化社製
インキ量:上段ロールに0.3ml、下段ロールに0.2ml
印刷光沢度が50〜60%であれば光沢性に優れ、30〜50%であれば光沢性が良好であり、30%未満は光沢性に劣るものである。
塗工面感を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:塗工ムラが発生せず、安定して塗工できた。
○:塗工ムラが若干発生したが、比較的安定して塗工できた。
△:塗工ムラが多少発生し、安定した塗工が得られなかった。
×:塗工ムラが発生し、塗工が安定しなかった。
なお、前記評価基準のうち、◎、○、△を実使用可能と判断する。
粒子径および粒子径分布は、レーザー粒子径分布測定装置(レーザー解析式粒子径分布測定装置「SALD−2200型」島津製作所社製)にて粒子径分布を測定した。測定試料は、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に、無機粒子Sを添加し、超音波で1分間分散させて調整した。なお、粒子の粒子径は、当該粒子が球状の場合は直径を、球状でない場合は長径と短径の平均値を意味する。
2 第一シリカ複合反応槽
3 第二シリカ複合反応槽
4 アルミニウム塩処理反応槽
5 貯槽
X1 無機粒子
X2 無機粒子凝結体
X3 シリカ複合無機粒子
X4 シリカ複合無機粒子処理体
G 凝結剤
L 珪酸アルカリ溶液
N 鉱酸
A アルミニウム塩
Claims (3)
- 基紙と、基紙上に設けられ顔料および接着剤を主成分とする塗工層とを備えた塗工紙であって、
前記基紙は、シリカをシリカ以外の無機粒子と複合させたシリカ複合無機粒子と、前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子とを15:85〜50:50の割合で含有し、
前記シリカ複合無機粒子の体積平均粒子径(D50)が4.3μm〜6.0μmであり、シリカ複合無機粒子以外の無機粒子の体積平均粒子径(D50)が3.0〜10.0であることを特徴とする、塗工紙。 - 前記シリカ複合無機粒子以外の無機粒子は、一次粒子径が0.05μm〜0.20μmの凝集体であり、
基紙中に含まれる全填料成分として、前記基紙中にJIS P 8251に準拠した灰分で、10〜20%含有されていることを特徴とする、請求項1に記載の塗工紙。 - 前記シリカ複合無機粒子に代えて、0.05μm〜3.0μmの炭酸カルシウム粒子をコア粒子とし、珪酸アルカリ及び鉱酸により炭酸カルシウムにシリカを複合し、更にアルミニウム塩により上記シリカを複合させた炭酸カルシウム粒子にアルミニウム成分を含有させてなるシリカ複合無機粒子処理体を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載の塗工紙。
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