JP2013233471A - インクジェットヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】射出時のメニスカスの押し出しを抑えて、高速駆動での連続射出、および粘度の低い液体を安定に吐出させて印刷品質の向上を図るとともに、製造時のコストが安価なインクジェットヘッドの提供。
【解決手段】内部に貯留されたインクに圧力を加える圧力室と、前記圧力室の前面側に配置され前記圧力室内のインクを吐出するノズルと、前記圧力室の後面側に配置され前記圧力室にインクを供給する供給流路と、を有するインクジェットヘッドであって、前記圧力室と前記供給流路の接合部における断面において、1つの前記圧力室の断面に対して、その圧力室の断面と前記供給流路の断面が重なった単一の重なり領域を有し、1つの前記圧力室の断面積をS1、前記供給流路の断面積をS2、前記重なり領域の断面積をS3(S3>0)としたとき、S3<S1、かつS3<S2の関係を満たすことを特徴とするインクジェットヘッド。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッドに関する。
従来、圧電基板に圧力室となるチャネルを研削して、該チャネルを区画する隔壁に電極を形成し、該電極に電圧を印加することにより該隔壁をせん断変形させてチャネル内のインクをノズルから吐出させるようにしたシェアモード型のインクジェットヘッドが知られている。
高精細なヘッドを作るにはシェアモード型の構造が簡単にノズル密度を上げることができ優位である。一方、インクジェットプリンターでは、印刷品質に液量変動や速度変動が大きく影響することが知られている。
最近、産業用途でもインクジェットプリンターが用いられ始め、更なる高速駆動や、更なる低粘度の液体の吐出が望まれ始めてきている。
一方で、精密機器部品といえども更なるコストダウンが要求されている。コストダウンの技術としては、従来の技術として特許文献1には、圧力室と圧力室の入口全面に連通する共通インク室を接合したヘッドで、圧力室に設けられたノズルから射出する技術が開示されている。しかしこれでは高速化に不十分であり使用に耐えなかった。
また、高速化、低粘度化は単純には両立できない。まず高速化であるが、単発でなら問題にはならないが、連続で射出した際には吐出した際にメニスカスが振動し復帰してくるときの圧力波の残響のためにメニスカスが暴れて安定な吐出がしにくいし、更に高速で吐出した場合には、吐出後のメニスカスが戻ろうとする復帰力によってメニスカスがノズルから溢れてしまう場合が起き、結果として液量が一定にならなかったり、溢れの為にノズルからの吐出が欠になる場合がある。
一方、低粘度のインクを吐出する場合に注目すると、同じヘッドを更に低粘度の液体で使用したい場合がある。しかし粘度が低いために、メニスカスが溢れやすく、駆動周波数を遅くして吐出しなければ使えず、インクの粘度ごとに最適なヘッドを再設計し、または使い分ける必要が生じ、市場での利便性を損なっている。
そこで、これらを解決するために以下の技術が開示されている。
特許文献2には、メニスカスの溢れを抑制するために、インクに圧力を加える圧力室の供給側とノズルのある出口側に厚みのある微小流路として絞り部を設けて圧力の残響を抑えてメニスカスを制御するというような、ヘルムホルツ共鳴を用いて吐出を制御する技術が示されている。
同様に、特許文献3にも半円の断面積である長さを持たせた絞りの微小流路で粘性抵抗を増して高速化を狙った技術が開示されている。
特開2006−82396号公報 特開平9−327909号公報 特開2003−19796号公報
前述のように、特許文献1に開示された技術では、高速化に不十分であり使用に耐えなかった。
また、特許文献2に開示された技術では、絞りによる粘性抵抗は断面積の2乗に反比例し長さ(厚さ)に比例するため、十分な厚みを持たなければ粘性抵抗としての効果は出ない。実際の水系のインクで効果を得ようとした場合は、直径40μm以下の穴で、かつ厚みは100μm以上の絞りを設ける必要がある。
しかし実際にこのようなヘルムホルツ共鳴を用いた絞りの技術では、小さい直径で流束を絞るために大きな液滴量を吐出するのが難しく実用に耐えなかった。
また、このように、流束を絞ってしまうので液量が少なくってしまう問題があった。そのため不足の液量を補うために、L長を長くするか、圧力室の容積をふやして液量を増やしてやることが必要であった。そのためにそれらのヘッドでは、結果として共鳴する波長が長くなってしまい、駆動周波数が下がり高速化は困難で市場において実用に耐えなかった。
また当然ながら、とても小さい微小形状の部品を加工して絞りの部分を設けるために多大な製造コストがかかってやはり使える技術ではなかった。
つまり、これらの従来技術では、絞りを圧力室とインク供給の部位に設けて残響の減衰自体を絞りで行った場合はコストも上がるし、吐出するための共鳴周波数も遅くせざるを得ず、そのためメニスカス溢れを制御はできるが高速化との両立はできないことが判明した。
また、特許文献3に開示された技術でも、やはり液量が制限されて所望の大液滴量にはできなかったし、積層して製造する工程が多く非常に高価なヘッドとなってしまい、市場での実用に耐えなかった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、射出時のメニスカスの押し出しを抑えて、高速駆動での連続射出、および粘度の低い液体を安定に吐出させて印刷品質の向上を図るとともに、製造時のコストが安価なインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
本発明の目的は、以下のような構成により達成される。
1.
内部に貯留されたインクに圧力を加える圧力室と、
前記圧力室の前面側に配置され前記圧力室内のインクを吐出するノズルと、
前記圧力室の後面側に配置され前記圧力室にインクを供給する供給流路と、
を有するインクジェットヘッドであって、
前記圧力室と前記供給流路の接合部における断面において、1つの前記圧力室の断面に対して、その圧力室の断面と前記供給流路の断面が重なった単一の重なり領域を有し、1つの前記圧力室の断面積をS1、前記供給流路の断面積をS2、前記重なり領域の断面積をS3(S3>0)としたとき、S3<S1、かつS3<S2の関係を満たすことを特徴とするインクジェットヘッド。
2.
前記圧力室を複数有し、隣接して配置された前記圧力室を隔てる隔壁が、印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータで構成されたシェアモード型のインクジェットヘッドであることを特徴とする1記載のインクジェットヘッド。
3.
前記圧力室を複数有し、それぞれの圧力室に対応して配置される前記供給流路が前記接合部において連結していることを特徴とする1または2記載のインクジェットヘッド。
4.
前記接合部は、エネルギー損失を伴う段差部を少なくとも2つ有することを特徴とする1から3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
5.
前記重なり領域の一辺の長さが10μm以上200μm以下であることを特徴とする1から4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
本発明によれば、射出時のメニスカスの押し出しを抑えて、高速駆動での連続射出、および粘度の低い液体を安定に吐出させて印刷品質の向上を図るとともに、製造時のコストが安価なインクジェットヘッドを提供することができる。
本発明のインクジェットヘッドの一例を示す分解斜視図 図1のインクジェットヘッドの側断面図 (a)〜(d)はヘッドチップの製造方法を説明する図 (a)(b)は接続電極の形成方法を説明する図 図1のヘッドチップと流路基板の接合部を流路基板側から見た断面図 本発明のインクジェットヘッドの他の例を示す側断面図 本発明のインクジェットヘッドの他の例を示す側断面図 図7のヘッドチップとマニホールドの接合部をマニホールド側から見た断面図 従来のインクジェットヘッドの一例を示す側断面図 図9のヘッドチップと流路基板の接合部を流路基板側から見た断面図 従来のインクジェットヘッドの他の例を示す側断面図 図11のヘッドチップと流路基板の接合部を流路基板側から見た断面図
以下に本発明に関する実施の形態の例を示すが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
本発明は、安価で製造でき、かつ低粘度の液体の吐出にも耐えうり、かつ高速化が向上できるヘッドを鋭意検討した。
その結果、次のような技術で解決できることが判明した。
まず、公知の技術を鋭意検討した結果、普通は理論的に吐出の際に流速は圧力室や供給流路の壁との摩擦、いわゆる粘性抵抗による損失で減速される。
この粘性抵抗は前述のように面積の2乗に反比例し、その長さと粘度が高くなるほど損失が大きく減衰しやすくなる。
これを用いたのが、前述の公知のごとき、絞りによって抵抗を増やして減衰するためには、面積を小さくし、かつ絞り部の穴の長さも増やして、絞りの部分の壁との粘性抵抗を増やしてメニスカスの押し出しや、圧力波の残響を減らす技術である。
しかしこの単純な絞りの公知技術では結局、高速化ができなくなってしまうという本末転倒のことになってしまい実用に耐えない。
そこで、本発明では、粘性抵抗による残響の減衰を中心とするのでは無く、なるべく流束は絞らずに十分な液量を確保しつつ、しかし一方で流体の運動エネルギーを制御することで余分な吐出の際の速度の低減、制御を行ってメニスカスの押し出しも抑制できないか検討した。
その結果、内部に貯留されたインクに圧力を加える圧力室と、前記圧力室の前面側に配置され前記圧力室内のインクを吐出するノズルと、前記圧力室の後面側に配置され前記圧力室にインクを供給する供給流路と、を有するインクジェットヘッドであって、前記圧力室と前記供給流路の接合部における断面において、1つの前記圧力室の断面に対して、その圧力室の断面と前記供給流路の断面が重なった単一の重なり領域を有し、1つの前記圧力室の断面積をS1、前記供給流路の断面積をS2、前記重なり領域の断面積をS3(S3>0)としたとき、S3<S1、かつS3<S2の関係を満たすような条件では液量を低減させず、一方でメニスカスの押し出しを制御する、つまり液量と高速化の両立ができることが判明した。
メカニズムとしては一方向への流れが存在しやすいような圧力室と供給流路で構成されるヘッドでは、厚みを持たない段差、隙間を設けることで、その部位において、壁に衝突することと、かつ流れの方向を変化させることで運動エネルギーの損失を生じさせて、結果としてメニスカスを押し出すような方向の運動エネルギーや流れを低減することができることが判ったのである。
しかもこの損失させる部位、構造は簡易に作成することができコストが安いという利点も兼ね備えているのである。
このように、本発明では、従来の一般的な絞りとは異なり液滴量を少なくさせないので、簡単に本発明のエネルギー損失部位を設けることで、液滴量を減らさず、かつ共鳴周期を遅くする必要もなく、そして今までのメニスカスの押し出しを抑制、制御することで、低粘度の液体の吐出にも耐えうり、かつ高速化が向上できることが判明した。
また、更に従来の厚みを持った絞りでは、小さな絞りを設けた場合に、インクの中に紛れ込んだ気泡が抜けにくく吐出欠が生じやすく問題になる。それに対し本発明の技術では撹拌のような現象が起こるためか驚くべきことにインク中にまぎれこんだ気泡の排出性、いわゆる気泡排出性に優れ、吐出で欠が生じにくいという効果が得られることが判明した。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明のインクジェットヘッドの一例を示す分解斜視面、図2はヘッドのチャネル(以下、圧力室とも言う)を含む側断面図であり、図中、1はヘッドチップ(圧力室形成部材)、2はヘッドチップ1の前面に接合されたノズルプレート、3はヘッドチップ1の後面に接合された流路基板(供給流路形成部材)、4は流路基板3に接合されるFPC、5は流路基板3の後面に接合されたマニホールドである。
なお、本明細書においては、ヘッドチップ1からインクが吐出される側の面を「前面」といい、その反対側の面を「後面」という。また、ヘッドチップにおいて並設されるチャネルを挟んで図示上下に位置する外側面をそれぞれ「上面」及び「下面」という。
ヘッドチップ1は、2枚の基板11、12との間に、アクチュエータの一例である圧電素子からなる隔壁13とチャネル14とが交互に並設されたシェアモード型のヘッドである。
本発明のインクジェットヘッドは、図1に示すような圧力室を複数有し、隣接して配置された圧力室を隔てる隔壁が、印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータで構成されたシェアモード型のヘッドであることが好ましい。本発明をシェアモード型のヘッドに適用することで、前述のエネルギー損失の効果が発現しやすく、元々高速化がしにくいヘッドでの大きな高速化と低粘度化の効果が見込める。
チャネル14の形状は、両側壁が基板11、12に対してほぼ垂直方向に立ち上がっており、そして互いに平行である。図2に示すように、ヘッドチップ1の前面及び後面にそれぞれ各チャネル14の出口と入口とが配設されると共に、各チャネル14は、入口から出口に亘る長さ方向で大きさと形状がほぼ変わらないストレートタイプである。このようにチャネル14がストレートタイプであるヘッドに本発明を適用することで、更に安価でかつ吐出の方向と、インクの供給の方向が同じであり、このエネルギー損失の効果が発現しやすく、高速化とコスト低減ができ好ましい。
このようなヘッドチップ1を製造するには、まず、1枚の基板12上に、2枚の圧電素子基板13a、13bをそれぞれエポキシ系接着剤を用いて接合する(図3(a))。各圧電素子基板13a、13bに用いられる圧電素子材料としては、電圧を加えることにより変形を生じる公知の圧電素子材料を用いることができるが、特にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好ましい。2枚の圧電素子基板13a、13bは互いに分極方向(矢印で示す)を反対方向に向けて積層し、基板12に接着剤を用いて接着する。
次いで、その2枚の圧電素子基板13a、13bに亘って、ダイシングブレード等を用いて複数の平行な溝を研削する。これにより、基板12上に高さ方向で分極方向が反対となる圧電素子からなる隔壁13を並設する。各溝は圧電素子基板13a、13bの一方の端から他方の端に亘ってほぼ同じ一定の深さで研削することで、長さ方向で大きさと形状がほぼ変わらないストレート状のチャネル14となる(図3(b))。2枚の圧電素子基板13a、13bは分極方向が反対に向いているので、この圧電素子基板13a、13bによって形成される隔壁13全体が効率良く、大きな変形量でせん断変形するため、チャネル14内のインクに高い圧力を付与することができ、低電圧で駆動でき、また、インクの着弾ずれを抑えて画質の向上を図ることができる。
また、図示しないが、基板12を用いる代わりに圧電素子基板13bを厚手のものとし、薄手の圧電素子基板13a側から厚手の圧電素子基板13bの中途部にまで至る複数の平行な溝を研削することにより、高さ方向で分極方向が反対となる隔壁13の形成と同時に基板12の部分が圧電素子基板13bによって一体に形成されるようにしてもよい。
次いで、このようにして形成した各チャネル14の内面に駆動電極15を形成する。駆動電極15を形成する金属は、Ni、Co、Cu、Al等があり、電気抵抗の面からはAlやCuを用いることが好ましいが、腐食や強度、コストの面からNiが好ましく用いられる。また、Alの上に更にAuを積層した積層構造としてもよい。
駆動電極15の形成は、蒸着法、スパッタリング法、めっき法、CVD(化学気相反応法)等の真空装置を用いた方法等によって金属被膜を形成する方法が挙げられるが、めっき法によるものが好ましく、特に無電解めっきにより形成することが好ましい。無電解めっきによれば、均一且つピンホールフリーの金属被膜を形成することができる。めっき膜の厚みは0.5〜5μmの範囲が好ましい。
駆動電極15はチャネル14毎に独立させる必要があるため、隔壁13の上面には金属被膜が形成されないようにすることが好ましい。このため、例えば各隔壁13の上面に予めドライフィルムを貼着したり、レジストを形成しておき、金属被膜を形成した後に除去することで、各隔壁13の側面及び各チャネル14の底面に選択的に駆動電極15を形成するとよい(図3(c))。
このようにして駆動電極15を形成した後、隔壁13の上面に基板11をエポキシ系接着剤を用いて接合する。基板11及び12には、隔壁13を構成する圧電材料と同一の基板材料を脱分極して用いると、駆動時の熱の影響による熱膨張係数の差に起因する反りや変形を少なくすることができる。
次に、これら基板11、圧電素子基板13a、13b及び基板12を接合してなるヘッド基板を、チャネル14の長さ方向と直交する方向に沿う複数のカットラインC1、C2・・・に沿って切断することにより、ハーモニカタイプの複数のヘッドチップ1、1・・・を一度に製造する(図3(d))。カットラインC1、C2・・・は、それによって作製されるヘッドチップ1、1・・・のチャネル14の駆動長さ(L長)を決定するものであり、この駆動長に応じて適宜決定される。
後述する位置決め用の溝17を形成する場合は、切り込み深さを適宜制御し、各カットラインC1、C2・・・の間をザグリ加工することにより、同一工程で形成することができる。
このようにして作成されたヘッドチップ1の後面には、駆動電極15のうちのチャネル14の底面に形成された部分(チャネル14内に臨む基板12の表面)から基板12の後端面にかけて引き出された接続電極16が形成されている。
この接続電極16は、図4(a)に示すように、ヘッドチップ1の切断面の一面(後面)に、駆動電極15のうちのチャネル14の底面に形成された部分を少なくとも含み、基板12の端面にかけて開設された開口部201を有する感光性ドライフィルム200を貼着し、Al等の電極形成用の金属を蒸着して、開口部201内に金属被膜を生成することによって形成することができる。また、Alの金属被膜の上に更にAuを蒸着する等の方法によって積層構造としてもよい。更に、接続電極16の形成は、蒸着に代えてスパッタリングによって行うようにしてもよい。開口部201は、感光性ドライフィルム200の現像工程・水洗工程での作業性を考え、チャネル14の全面において開口していることが望ましい。全面において開口していることにより、チャネル14内の現像液、洗浄水の除去が容易となる。
この後、感光性ドライフィルム200を除去すると、図4(b)に示すように、ヘッドチップ1の一面(後面)に、各チャネル14から駆動電極15と電気的に接続する接続電極16がチャネル14毎に独立して引き出される。この接続電極16はヘッドチップ1の後面部分のみを使用すればよいため、複数回の角部を経由する場合に比べて断線による危険性は少なくて済む。
なお、接続電極16は、ヘッドチップ1の後面における基板11又は基板12のうちのいずれか一方側に引き出すようにすればよい。ここでは接続電極16を基板12側に引き出し形成している。これは、駆動電極15のうちのチャネル14の底面に形成された部分を利用して接続電極16を引き出すことができるからである。このようにすると、接続電極16の幅をチャネル14の幅以下に形成することができ、隣接する接続電極16間の電気的短絡の危険を回避することができるために好ましい態様であるが、基板11側に引き出すことも可能である。この場合は、駆動電極15のうちのチャネル14の側面、好ましくは両側面に形成された部分を利用して引き出せばよい。
ノズルプレート2はヘッドチップ1の前面に接合される。ノズルプレート2には、各チャネル14に対応する位置にノズル21が開設されている。
ヘッドチップ1の後面に接合される流路基板3は、ガラスやセラミックあるいはシリコン(Si)からなる1枚の板状の基板によって形成されている。これらの基板は、ヘッドチップ1に通常用いられる、圧電材料であるPZTと熱膨張係数が近いため、ヘッドチップ1に対して正確に接合でき、また、熱膨張率の差に起因するヘッドチップ1の歪み等の発生を抑えることができる。シリコン基板としては、シリコン単結晶基板が好ましい。
また、流路基板3は、直接インクに接触するが、これらの基板は、耐インク性に優れるため、インクの組成によらす、インクとの反応による腐食等は発生しにくい。また、耐インク性をより向上させるために、基板表面に酸化珪素膜や窒化珪素膜を形成させても良い。
流路基板3を構成する材料はこれらの基板の1枚板に限らず、薄板状のこれらの基板材料を複数枚積層して所望の厚みとなるように形成してもよい。
流路基板3は、ヘッドチップ1の幅方向と同一の幅を有すると共に、ヘッドチップ1のチャネル14の並び方向(チャネル列方向)と直交する方向(図1、図2における上下方向)に延び、ヘッドチップ1の上面及び下面からそれぞれ大きく張り出した張り出し部31a、31bを有している。
また、ヘッドチップ1の後面と接合される流路基板3には、チャネルの並び方向に沿って延び、ヘッドチップ1との接合面からヘッドチップ1との接合面と反対面に貫通する貫通口35が形成されている。この貫通口35は、圧力室にインクを供給する供給流路の一例であり、ヘッドチップ1のチャネル列方向に沿って全てのチャネル14の入口側を覆うことができる幅W2で加工されている。
貫通口35によって形成される供給流路は比較的狭小であることから、貫通口35内に貯留可能なインク量は少ないため、貫通口35にインク供給するための共通インク室であって、貫通口35よりも大容量のインクを貯留可能な共通インク室が凹部51として形成されている箱形状のインクマニホールド5を、貫通口35を覆うようにして更に接合することもできる。インクマニホールド5を接続することにより、共通インク室を介したクロストークを低減できるため、本発明において好ましい態様である。
この共通インク室となる凹部51へのインクの供給は、インクマニホールド5に形成され凹部51に連通する図示しないインク供給口に、図示しないインク供給用管等を接続することによって行うことができる。
本発明のインクジェットヘッドは、内部に貯留されたインクに圧力を加える圧力室と、圧力室の前面側に配置され圧力室内のインクを吐出するノズルと、圧力室の後面側に配置され圧力室にインクを供給する供給流路と、を有するインクジェットヘッドであって、圧力室と供給流路の接合部における断面において、1つの圧力室の断面に対して、その圧力室の断面と供給流路の断面が重なった単一の重なり領域を有し、1つの圧力室の断面積をS1、供給流路の断面積をS2、重なり領域の断面積をS3(S3>0)としたとき、S3<S1、かつS3<S2の関係を満たすことを特徴としている。
図5はヘッドチップ1と流路基板3の接合部を流路基板側から見た断面図であり、点線は、ヘッドチップ1に流路基板3を接合した際に流路基板3の貫通口35が配置される位置を示している。
本実施形態における圧力室と供給流路の接合部における圧力室の断面積S1とは、図4(b)、図5に示すヘッドチップ1の後面の1つのチャネル14の面積であり、長方形または正方形形状のチャネル14の高さをH3、チャネル14の幅をW3としてH3×W3で表される面積を言う。本実施形態においては、5つのチャネル14のH3,W3、S1はそれぞれ実質的に等しくなるように形成されている。図4(b)では、中央のチャネル14のS1を斜線で示している。
また、本実施形態における圧力室と供給流路の接合部における供給流路の断面積S2とは、図5の点線で示す貫通口35の面積であり、図1に示すように長方形または正方形形状の貫通口35の高さをH2、貫通口35の幅をW2としてH2×W2で表される面積を言う。
そして、本実施形態におけるS3は上記S1と上記S2の重なる部分の面積であり、図5の斜線で示す部分の面積である。図5に示すように重なる部分は長方形または正方形形状であり、高さをH4、幅をW3(チャネル14の幅と同じ)としてH4×W3で表される面積を言う。
以上のことから、本実施形態ではH4×W3<H3×W3、かつH4×W3<H2×W2の関係を満たすことを特徴としている。
具体的にこの様な関係を満たすヘッドの構成としては、図1〜図5に1例を示す様に、供給流路となる貫通口35の位置が、圧力室となるチャネル14の後面側の開口の位置に対して、チャネルの高さ方向にずれるようにして、貫通口35の一部をヘッドチップ1の後面で遮蔽し、かつ、チャネル14の後面側の開口の一部を流路基板3の前面で遮蔽することが挙げられる。
また、このような形態では、上記遮蔽により、図2に示すように、接合部において、エネルギー損失を伴う不連続の段差部が少なくとも2つ形成されるので好ましい。一つの領域に、エネルギー損失を2箇所起こさせることで更なる相乗効果で運動エネルギーによる損失が大きくできメニスカスが制御しやすく、かつ気泡排出性が向上し好ましい。
尚、断面積S3における高さH4としては、実用上の観点から10μm以上が好ましく、10μm以上200μm以下であることがより好ましい。200μm以下であれば十分な実用領域の粘度でも、メニスカスの安定性、液滴量を両立できる。更に好ましくは100μm以下で水系の今まで溢れやすく使えなかったインクで簡易に高速化ができる。特に好ましくは10m以上50μm以下で、この範囲にすることで更なる低粘度の3mPa・s程度でも安定かつ高速な吐出が可能となり差別化が容易となる。
また、本実施形態では、図5に示すように、流路基板3によって形成された貫通口35は、複数のチャネル14に亘って面積S2を有している。即ち、それぞれのチャネルに対応して配置される供給流路が接合部において連結している構成であり、このようにS2を連結したような形状にすることで、液量も十分確保することができるし、同様の効果を低コストで得ることができ好ましい。
なお、この場合、チャネルの数をN(Nは2以上の整数)としたとき、以下の関係をみたすようにすればいい。即ち、それぞれのチャネルの断面積をS1(i)、S2と重なる部分の断面積をS3(i)としたとき、
S3(i)<S1(i)、S3(i)<S2
ここでi=1〜Nである。
貫通口35の形成方法としては、ダイシングブレードで加工する方法、超音波加工機で研削加工する方法、ブラスト加工、エッチングで加工する方法等が採用できるが、エッチングで加工する方法が好ましい。MEMS(Micro Electro Mechanical Systemsの略)技術を適用して、以下の方法により加工できる。
例えば、流路基板としてシリコン単結晶基板を用い、所定の厚さのシリコン単結晶基板に対して、例えばフォトレジスト等の所定のマスクを用いて、異方性エッチングすることにより、貫通口35を形成することができる。この異方性エッチングは、ウェットエッチング又はドライエッチングの何れの方法を用いてもよい。
流路基板3の一方の張り出し部31aは、FPC4の接合部位として機能しており、ヘッドチップ1との接合面側となる表面に、ヘッドチップ1の後面に形成された各接続電極16と同数及び同ピッチで、配線電極33が形成されている。
また、流路基板3上に、圧電素子からなる隔壁を駆動するための駆動IC100が実装されており、駆動IC100と配線電極33はフリップチップ実装によって電気的に接続されている。このように駆動ICを実装することにより、外部への電極引き出しを容易にすることができ、本発明において好ましい態様である。
また、流路基板3内に、前記圧電素子からなる隔壁を駆動させる駆動ICを一体的に形成するようにすることも好ましい。この構成により、駆動ICの実装が不要となる。例えば、流路基板3としてシリコン単結晶基板を用いて、駆動ICの構成要素である多くのトランジスタ等を半導体プロセスにより、このシリコン単結晶基板上に作り込むことにより一体的に形成させればよい。
この配線電極33は、FPC4が接合される際、図示しない外部回路と電気的に接続されるFPC4の配線41と電気的に接続される。図示しない外部回路からの駆動電圧は、配線41と配線電極33を介して駆動IC100に入力され、駆動IC100から配線電極33、接続電極16を介してヘッドチップ1の各チャネル14内の駆動電極15に印加される。このように配線電極33は、ヘッドチップ1から大きく張り出す張り出し部31aに引き出されているため、FPC4との接合は容易である。
配線電極33の形成は、流路基板3の表面にスピンコート法によりポジレジストをコーティングし、その後、このポジレジストをストライプ状のマスクを用いて露光し、現像することにより、ストライプ状のポジレジストの間に接続電極16と同数及び同ピッチで流路基板3の表面を露出させ、その表面に、蒸着法やスパッタリング法等によって電極形成用の金属によって金属被膜を形成することにより行うことができる。電極形成用の金属としては、接続電極16と同一のものを使用することができる。
なお、図1、図2に示すようにチャネル列が1列のみからなるヘッドチップ1の場合、流路基板3の張り出し部は必ずしもヘッドチップ1の上面及び下面の両面から張り出すようにする必要はなく、FPC4との接合を行う一方のみにあればよい。
駆動IC100が実装された流路基板3は、各配線電極33がヘッドチップ1の各接続電極16と電気的に接続すると共に、貫通口35がヘッドチップ1のチャネル入口側を本発明の関係式を満たすように位置合わせされ、異方導電性フィルム等によってヘッドチップ1の後面に接合される。電気的接続方法としては、この他に、非導電性接着剤で接着する圧接接合、配線電極33と接続電極16の少なくとも一方に半田を使用し、加熱溶融させて接続する方法等、通常の実装技術で使用されている方法を用いることもできる。
なお、駆動IC100は、流路基板3ではなく、FPC4に実装するようにしても良い。また、流路基板3に、ヘッドチップ1の温度検出手段または前記温度を制御する温度制御回路としてのICを実装することも好ましい。駆動IC100と同様にシリコン基板からなる流路基板3に容易に実装できる。
このようにして駆動IC100を実装した流路基板3をヘッドチップ1の後面へ接合することにより、各チャネル14の入口にインクを供給するための供給流路が、各チャネル14に共通の1つの貫通口35によって形成されるとともに、ヘッドチップ1の各チャネル14内の駆動電極15への駆動IC100を介しての外部回路からの駆動電圧の印加を行うための電極(接続電極16及び配線電極33)の取り出しを行うことが出来る。
供給流路である貫通口35が形成された流路基板3に配線電極33を形成することにより、供給流路の形成と、チャネル内に設けた駆動電極と外部配線との接続とが簡単にでき、コンパクトで低コスト化を図ることができ好ましい。
この貫通口35は1つに限らず、貫通口35を各チャネル14毎にチャネル列方向に亘って複数(本実施形態ではチャネル数が5なので、チャネル数と同数の5個)形成するようにしてもよい。
なお、この場合、チャネルの数をN(Nは2以上の整数)としたとき、以下の関係をみたすようにすればいい。即ち、それぞれのチャネルの断面積をS1(i)、対応する供給流路の断面積をS2(i)、S1(i)とS2(i)と重なる部分の断面積をS3(i)としたとき、
S3(i)<S1(i)、S3(i)<S2(i)
ここでi=1〜Nである。
以上のように、流路基板3に形成された供給流路は、インクをチャネル14内に供給(導入)するものであるから、供給流路の形状や大きさ等はインク供給に適したもので有れば種々の形状を用いることが可能であり、本発明の関係式を満たせば、特に制限しない。
例えば、図6に示すように、供給流路となる貫通口35の高さH2が、流路基板3のヘッドチップ1との接合面から離れるに従って徐々に減少するような形状にすることも好ましい。同様に供給流路となる貫通口35の高さH2が、流路基板3のマニホールド5との接合面から離れるに従って徐々に減少するような形状にすることも好ましい。
本実施形態では、図6に示すように、貫通口35の幅方向全域に亘って、フィレットRを設けている。この場合のS2はRを考慮し、S2=W2×H5となる。フィレットのRを100μm以内にすることで、流体の運動ベクトルの方向が曲げやすいためにエネルギー損失を大きくでき本発明の効果が得られやすい。逆に、Rが100μmを超えると、十分なエネルギー損失が小さくなってしまい本発明の低減の効果を得るのが難しいし製造時のコストが増大し好ましくない場合がある。
図1〜図6に示す符号17は、ヘッドチップ1の上面及び下面にそれぞれ形成された位置決め用溝であり、ヘッドチップ1の上面及び下面となる各基板11及び12に、ヘッドチップ1の幅に亘って溝加工することによって形成されている。この溝加工は、図3(d)のようにヘッドチップ1を切断した後に行ってもよいし、切断前に予め行うようにしてもよい。前述したように、ヘッドチップ1を切断する際に同一工程で行うことが、精度を出すためには好ましい。
この位置決め用溝17は、ヘッドチップ1に対して流路基板3を接合する際に、ヘッドチップ1を保持用治具の凸部と係合させ、ヘッドチップ1を保持用治具によって保持することができるようにしている。従って、ヘッドチップ1に対するノズルプレート2や流路基板3の接合は、このようにして保持用治具によって保持されたヘッドチップ1に対して行うことができるので、接合時のヘッドチップ1の歪み等の発生のおそれがなく、接合時に所定の押圧力を付与することができる。ヘッドチップ1に対しては、ノズルプレート2、流路基板3のいずれを先に接合してもよい。更に、インクマニホールド5を接合する場合も、ヘッドチップ1を保持用治具で保持した状態で、流路基板3をヘッドチップ1に接合した後に行えばよい。
なお、この位置決め用溝17は、インクジェットヘッドを外装に取り付ける場合、外装対する位置決め溝として用いることができる。これにより極めて精度良くインクジェットヘッドを外装に取り付けることができ、結果として、外装に対するノズルの位置を精度良く決めることができる。
また、位置決め用溝17は、図示するように、必ずしもヘッドチップ1の上面及び下面の両面に形成されている必要はなく、いずれか一方のみであってもよい。
以上の説明では、圧力室であるチャネルにインクを供給する供給流路を流路基板に形成したものを例示したが、供給流路をマニホールドに形成してもよい。
ここでは、図1〜6に示したインクジェットヘッドを例に挙げて、供給流路をマニホールドに形成したインクジェットヘッドについて説明する。図7は、供給流路となる凹部51をマニホールド5に形成したインクジェットヘッドの一例を示す側断面図である。図8は、図7のヘッドチップとマニホールドの接合部をマニホールド側から見た断面図である。
供給流路をマニホールドに形成したインクジェットヘッドは、図3で示した方法によって作成されたヘッドチップ1の後面にマニホールドをその凹部を対向させた状態で接合することで作製されている。
このとき、図8に示すように、点線で示す凹部51の接合部の断面積をS2とし、このS2と1つのチャネルの断面積S1との重なる部分(斜線で示す)をS3としたとき、以下の関係を満たすようにすればよい。
S3<S1、かつS3<S2
尚、配線電極33等はマニホールド5に設ければよい。
(実施例1)
図1〜5に示すシェアモード型のヘッドを前述の方法により作製して評価した。
圧力室となるチャネル14は、W3=70μm、H3=350μmの大きさになるように溝を作成し、カバー部材となる基板11を接着した。圧力室の長さLは5.0mmにした。一方、流路基板3として薄板ガラス(幅W1=80mm、高さH1=4mm、厚さT=500μm)に、ブラスト加工で貫通口35(幅W2=60mm、高さH2=100μm)を設けた。
このとき、貫通口の高さH2=100μmと微細なために精度良く仕上げるためにブラスト加工の差異に、切削速度を1/2にして行った。そのため後述するコストは△の評価になった。
貫通口35は圧力室と高さ方向をずらして、S3の高さH4としては50μmになるように場所を調整して、ノズルプレート2と反対側の圧力室の後側に接着した。その後ろに続けたマニホールド5を設けてヘッドの最終物を仕上げた。前述のようにS3の幅はH3と同じである。
その次に、圧力室の前側に各圧力室に応じた場所に、テーパー角5度、外側の直径を35μmのノズル21を設けたノズルプレート2を接着した。
その後、粘度10mPa・sのインクを用いて吐出の評価をした。圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、7.3μsecであった。6m/secでの液量は26.9plであった。
(実施例2)
流路基板3として薄板ガラス(幅W1=80mm、高さH1=4mm、厚さT=500μm)に、ブラスト加工で貫通口35(幅W2=60mm、高さH2=200μm)と高さH2を変えて設けた以外は実施例1と同様にヘッドの最終物を仕上げた。
その後、粘度10mPa・sのインクを用いて吐出の評価をした。圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、7.1μsecであった。6m/secでの液量は26.7plであった。
(実施例3)
流路基板3として薄板ガラス(幅W1=80mm、高さH1=4mm、厚さT=500μm)に、ブラスト加工で貫通口35(幅W2=60mm、高さH2=400μm)と高さH2を変えて設けた以外は実施例1と同様にヘッドの最終物を仕上げた。
その後、粘度10mPa・sのインクを用いて吐出の評価をした。圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、7μsecであった。6m/secでの液量は26.5plであった。
(比較例1)
ブラスト加工で貫通口35(幅W2=60mm、高さH2=400μm)を設けた。その後、図9,図10に示すように貫通口35をずらすことなく、S1をS2が含む形で接合した。それ以外は実施例1と同様にして作製した。
つまりこの場合は、S1とS2が重なったインクが通過する断面積S3は、S1と同一の値になる(S3=S1=W3×H3=70μm×350μm)。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、6.0μsecであった。6m/secでの液量は25plであった。
(比較例2)
図11,図12に示すようにブラスト加工で厚み100μmの薄板ガラスに直径50μmの円筒状の貫通口35を各圧力室に対応するように設け、それ以外は同様に圧力室に接合、そして共通インク室を組み合わせてヘッドを作製した。
つまりこの場合は、S1とS2が重なったインクが通過する断面積S3は、S2と同一の値になる。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、9.5μsecであった。6m/secでの液量は18.9plであった。ヘルムホルツ共鳴の為にALが長くなっているのに、液量は大きく不足して不十分な性能であった。また高速で射出評価の場合、そもそも8、9kHzで評価することもできなかった。
(比較例3)
図9、図10に示す比較例1のヘッドにおいて、薄板ガラスとそれによるインクの供給流路をなしで、本発明のインク供給流路をもっていないヘッド、つまり共通インク室となるマニホールド5の凹部51と圧力室が直接接合されたヘッドを作成した。(特開2006−82396号公報)
このときの供給流路のS2は、共通インク室となるマニホールド5の凹部51の部分を供給路とみなして計算した。凹部51の幅=80mm、高さ=4mmであり、S2=80mm×4mmとなる。
また、S1とS2が重なったインクが通過する断面積S3は、S1と同一の値になる(S3=S1=W3×H3=70μm×350μm)。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、6.5μsecであった。ほとんど比較例1と大きな差はなかった。6m/secでの液量は25plであった。
(実施例4)
貫通口35は圧力室と高さ方向をずらして、S3の高さH4としては100μmになるように場所を調整した以外は、実施例3と同様に作製した。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、6.8μsecであった。ほとんど比較例1と大きな差はなかった。6m/secでの液量は26.0plであった。
(実施例5)
ブラスト加工で貫通口35を幅W2=60mm、高さH2=400μmを設けた際に、図6に示すように、貫通口35の角を面取りしてフィレットとしてR=50μmに仕上げた。図6のH5(接合部における貫通口35の高さ)=H2+R+R=400+50+50=500μmとなる。
それ以外は、実施例3(高さH2=400μm)と同様に貫通口35は圧力室と高さ方向をずらして、S3の高さH4としては100μm(R=50μmを含む)になるように場所を調整した。
この場合、S2=W2×H5となる。
その後ノズルプレートと反対側の圧力室の後側に接着した。その後ろに続けた目にホールド5を設けてヘッドの最終物を仕上げた。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、6.5μsecであった。6m/secでの液量は25.7plであった。
(実施例6)
比較例3と同様に、薄板ガラスとそれによるインクの供給流路をなしで、本発明のインク供給流路をもっていないヘッド、つまりマニホールドと圧力室が直接接合されたヘッドを作成した。
しかしその際に、圧力室のS1と供給流路となる凹部51のS2の中央が150μmずらして図7のように段差を生じさせて接合した。
S2は、凹部51の部分を供給路とみなして計算した。つまりS2のW=80mm、H=4mm。
また、S1とS2が重なったインクが通過する断面積S3は結果、W3(70μm)×H4(150μm)となる。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、6.8μsecであった。6m/secでの液量は25.8plであった。
(実施例7)
粘度6mPa・sのインクを用いて実施例3のヘッドを評価した。圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、6.3μsecであった。6m/secでの液量は25.0plであった。
(実施例8)
スリットは圧力室と高さ方向をずらして、S3の高さH4としては30μmになるように場所を調整した以外は、実施例3と同様に作製した。
その後粘度6mPa・sのインクを用いて評価した。その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、7.0μsecであった。ほとんど比較例1と大きな差はなかった。6m/secでの液量は25.9plであった。
(実施例9)
貫通口35は圧力室と高さ方向をずらして、S3の高さH4としては10μmになるように場所を調整した以外は、実施例3と同様に作成した。
その後粘度6mPa・sのインクを用いて評価した。その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、7.7μsecであった。6m/secでの液量は27.0plであった。
(比較例4)
比較例2と同様に、ブラスト加工で厚み、100μmの薄板ガラスに絞り部として直径40μmの円筒状の貫通口35を各圧力室に対応するように設け、それ以外は同様に圧力室に接合、そしてマニホールドを組み合わせてヘッドを作製した。その後粘度6mPa・sのインクを用いて評価した。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、11.5μsecであった。6m/secでの液量は19.5plであった。ヘルムホルツ共鳴の為にALが長くなっているのに、液量は大きく不足して不十分な性能であった。また高速で射出評価の場合、そもそも8、9kHzで評価することもできなかった。
(比較例5)
比較例3のヘッドで粘度6mPa・sのインクを用いて評価した。
その後、圧力室の音響的共振周期の1/2であるALを測定したところ、5.4μsecであった。6m/secでの液量は24plであった。
吐出の評価では、ノズル先端からインクが溢れてしまい、全ての駆動周波数で吐出できず、高速安定性としては非常に劣るレベルであった。
(評価方法)
評価項目は、コスト、気泡排出性、安定に吐出できる速度の上限である高速安定性とした。
<コスト>
材料、工程からコストを計算した後、比較例3のガラス薄板なしのヘッドとコストを比較し、それに対しての増減分で評価した。
なお、判断基準は以下の通りである。×では実用に耐えない。△でも実用上問題ないが○が好ましい。
○:コスト増加分が比較例3の+10%以下
△:コスト増加分が比較例3の+10%を超えて30%以下
×:コスト増加分が比較例3の+30%を超えている
<気泡排出性>
通常のインクの脱気条件を劣化させたインクを用い、8kHzで連続射出をした際にノズル欠が生じるかで評価した。
なお、判断基準は以下の通りである。×では実用に耐えない。△でも実用上問題ないが○が好ましく、◎がより好ましい。
◎:ノズル欠が1%以内
○:ノズル欠が1%を超えて2%以内
△:ノズル欠が2%を超えて5%以内
×:ノズル欠が5%を超えている
<高速安定性>
駆動周波数を6、7、8、9kHzで、射出速度は6〜10m/secで評価した。
なお、判断基準は以下の通りである。×では実用に耐えない。△でも実用上問題ないが○が好ましく、◎がより好ましい。
◎:全ての駆動周波数領域で10m/sec以上で射出可能
○:全ての駆動周波数領域で8m/s以上10m/sec未満で射出可能
△:全ての駆動周波数領域で6m/s以上8m/sec未満で射出可能
×:全ての駆動周波数領域で6m/sec未満でしか射出できない
<総合評価>
上記3つの評価で×が一つでもあれば×、△が2つ以上は△で、△が1つ以下で他が○以上の場合は○、全てが○以上の場合は◎とした。
総合評価としては△でも本発明の効果が得られるが、好ましくは○、特には◎以上が好ましい。×は実用に耐えない。
以上の結果を表1に記す。
Figure 2013233471
表1より本発明の実施例は、比較例に比べてコスト、気泡排出性、高速安定性に優れることが判る。
このように、本発明の技術を用いれば、S1,S2,S3を調整することで簡単に低コストで、高速安定性に優れるヘッドを作製することができる。
1 ヘッドチップ
11、12 基板
13 隔壁
14 チャネル(圧力室)
15 駆動電極
16 接続電極
17 位置決め用の溝
2 ノズルプレート
21 ノズル
3 流路基板
31a、31b 張り出し部
33 配線電極
35 貫通口(供給流路)
4 FPC
5 インクマニホールド
100 駆動IC

Claims (5)

  1. 内部に貯留されたインクに圧力を加える圧力室と、
    前記圧力室の前面側に配置され前記圧力室内のインクを吐出するノズルと、
    前記圧力室の後面側に配置され前記圧力室にインクを供給する供給流路と、
    を有するインクジェットヘッドであって、
    前記圧力室と前記供給流路の接合部における断面において、1つの前記圧力室の断面に対して、その圧力室の断面と前記供給流路の断面が重なった単一の重なり領域を有し、1つの前記圧力室の断面積をS1、前記供給流路の断面積をS2、前記重なり領域の断面積をS3(S3>0)としたとき、S3<S1、かつS3<S2の関係を満たすことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記圧力室を複数有し、隣接して配置された前記圧力室を隔てる隔壁が、印加電圧に応動して変形動作するアクチュエータで構成されたシェアモード型のインクジェットヘッドであることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記圧力室を複数有し、それぞれの圧力室に対応して配置される前記供給流路が前記接合部において連結していることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記接合部は、エネルギー損失を伴う段差部を少なくとも2つ有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記重なり領域の一辺の長さが10μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
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