JP2013232319A - リチウム二次電池正極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物および反応促進剤(フラックス)の混合物を焼成し、篩別処理するリチウム二次電池正極活物質の製造方法において、微粉末の生成を抑制し、篩別収率の低下なく高品質な正極活物質を得ることができる正極活物質の製造方法を提供する。
【解決手段】遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物および反応促進剤を高速撹拌型混合機にて混合して混合物を得る混合工程と、
得られた混合物を焼成して焼成物を得る焼成工程と、
得られた焼成物を篩別処理する篩別工程と、
を含むリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、リチウム二次電池正極活物質の製造方法に関する。更に詳しくは、遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤(フラックス)を混合して得られるリチウム二次電池正極活物質の製造方法に関するものである。
リチウム二次電池は、既に、携帯電話やノートパソコン等の電源として実用化されており、更に、自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても、適用が試みられている。リチウム二次電池には、正極中に含まれる正極活物質としてリチウム複合金属酸化物が用いられている。
リチウム複合金属酸化物の製造方法としては、特許文献1、2に開示されているように、Ni、Mnなどの遷移金属元素を含有する溶液をアルカリと接触させて遷移金属水酸化物を主成分とする固形分として含むスラリーを得、得られたスラリーを全量ろ過により固液分離して遷移金属水酸化物のウェットケークとし、該ウェットケークを乾燥させる方法により、遷移金属水酸化物からなる乾燥物を正極材料前駆体として得た後、得られた遷移金属元素を含有する正極材料前駆体を、リチウム化合物と混合し、焼成する方法が知られている。
上記焼成後の正極材料前駆体とリチウム化合物との混合物は、焼成後、篩別により粗大粒子を除去して、リチウム二次電池正極活物質が得られる。ところで、正極材料前駆体をリチウム化合物と混合する場合には、通常、ボールミルが使用されているが、ボールミルにおける媒体が摩耗して、正極材料前駆体の混合物中に混入することで、得られる電極の性能が低下するという問題があった。
また、より電極性能を高めることができる正極活物質を得るためには、所定の粒度への調整が必要であるが、従来のボールミルでは、正極材料前駆体が混合の際に粉砕され、粒度分布がブロードとなり、粒度調整が難しく、また過粉砕による微粒分が増加しそれが製品正極活物質の粒度にも反映されるため、篩別収率の低下を来すという問題があった。そこで、正極材料前駆体とリチウム化合物との混合を工業的規模で簡易に行う方法が求められていた。
国際公開第09/041722号パンフレット 特開2010−21125号公報
かかる状況下、本発明は、遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物および反応促進剤(フラックス)の混合物を焼成し、篩別処理するリチウム二次電池正極活物質の製造方法において、微粉末の生成を抑制し、篩別収率の低下なく高品質な正極活物質を得ることができる正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、次の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤を高速撹拌型混合機にて混合して混合物を得る混合工程と、
得られた混合物を焼成して焼成物を得る焼成工程と、
得られた焼成物を篩別処理する篩別工程と、
を含むリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
<2> 高速攪拌型混合機にて混合する混合工程が、リチウム化合物及び反応促進剤を混合した後に、遷移金属元素を含有する前駆体を加えて混合する前記<1>に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
<3> 遷移金属元素を含有する前駆体の粒度分布が、D9045μm以下、且つ、D101μm以上である前記<1>または<2>に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
<4> 遷移金属元素を含有する前駆体の粒度分布曲線が、ピーク半値幅1μm以上45μm以下のシングルピークを有する前記<3>に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
<5> 遷移金属元素を含有する前駆体が、Ni、Co、Mn及びFeの少なくとも1種を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
本発明によれば、混合機内での粉砕がない為、前駆体の粒度がほぼ維持されたまま混合することができ、焼成後の焼成品を篩別する際に、スクリーン目開きに対応した前駆体の粒度調整が可能となる。
本発明により、リチウム複合酸化物粉末を再現性良く安定的に製造することができる。製造されたリチウム複合酸化物粉末は、優れた電池放電特性を有し、リチウム二次電池正極活物質として使用することができる。
更に、高速撹拌型混合機を用いることにより、従来のボールミル混合に比べ生産性やハンドリングが向上するという利点がある。
実施例1における乾燥物P1の粒度分布を示した図である。 実施例1における粉砕物R1の粒度分布を示した図である。 実施例1における原料混合物M1の粒度分布を示した図である。 実施例1における粉末B1の粒度分布を示した図である。 粉砕物R1と原料混合物M1の粒度分布を比較した図である。 実施例2における原料混合物M2の粒度分布を示した図である。 実施例2における粉末B2の粒度分布を示した図である。 粉砕物R1と原料混合物M2の粒度分布を比較した図である。 参考例1における原料混合物M3の粒度分布を示した図である。 参考例1における粉末B3の粒度分布を示した図である。 乾燥物P1と原料混合物M3の粒度分布を比較した図である。
本発明は、遷移金属元素を含有する前駆体(以下、単に「前駆体」ということがある。)、リチウム化合物及び反応促進剤(一般に「フラックス」ともいう。)を高速攪拌型混合機にて混合して混合物を得る混合工程と、得られた混合物を焼成して焼成物を得る焼成工程と、得られた焼成物を篩別処理する篩別工程と、を含むリチウム二次電池正極活物質の製造方法に係るものである。
本発明の特徴の一つは、本原料である前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤(フラックス)を、高速攪拌型混合機にて混合することにある。
また、本発明の他の特徴は、高速攪拌型混合機にて混合する混合工程が、リチウム化合物及び反応促進剤を混合した後に、遷移金属元素を含有する前駆体を加えて混合することにある。
また、本発明の他の特徴は、混合前の遷移金属元素を含有する前駆体の粒度分布や粒度分布曲線を特定の範囲に調整することにある。
以下、本発明について詳述する。
先ず、本発明で使用される遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤(フラックス)について説明する。
(遷移金属元素を含有する前駆体)
遷移金属元素を含有する前駆体は、遷移金属水酸化物粉末又は酸化物粉末であれば、特に限定されないが、以下の製法で得られる遷移金属水酸化物の乾燥物であることが好ましい。
遷移金属元素を含有する前駆体は、通常、遷移金属元素を含む溶液をアルカリと接触させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする固形分を含む原液スラリーを得るスラリー製造工程と、前記原液スラリー中の固形分のろ過、水洗、また、必要に応じ濃縮を行い、ウェットケーク又は濃縮スラリーを得るスラリーろ過・水洗工程と、前記ウェットケーク又は濃縮スラリーを棚段乾燥機や気流乾燥機等に供給し乾燥する乾燥工程、および必要に応じ、前記乾燥物を粉砕又は解砕して粒度調整を行う粉砕工程と、を含む製造方法により製造される。
なお、以下、前記前駆体の製造方法において、スラリー製造工程を「工程(a)」、スラリーろ過・水洗工程を「工程(b)」、乾燥工程を「工程(c)」、また、粉砕工程を「工程(d)」と称す。
まず、工程(a)について説明する。
本発明の製造方法において、上記溶液に含まれる遷移金属元素としては、その水酸化物が、リチウム化合物と混合され、焼成されることにより二次電池の正極活物質となりうるものであれば制限がなく、例えば、Ni、Mn、Co、Fe、Cr、Ti等を挙げることができる。
この中でも、高容量の二次電池用正極を得るという観点からは、上記溶液が、NiおよびMnからなる群から選ばれる1以上の元素を含有することが好ましい。さらに、より高容量の二次電池用正極を得るという観点からは、NiおよびMnからなる群から選ばれる1以上の元素に加えて、さらにCoおよびFeからなる群から選ばれる1以上の元素を含有することが好ましい。
上記溶液は、例えば、それぞれの遷移金属元素の金属単体、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ハロゲン化物、アンモニウム塩、シュウ酸塩、アルコキシドなどを、水やこれらを溶解することが可能なアルコール等の有機溶剤などの溶媒に溶解して作製することができ、溶媒としては通常、水が用いられ、好ましくは純水、イオン交換水などが用いられる。
なお、前記遷移金属元素の単体または化合物が前記溶媒に溶解し難い場合には、それらを塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などを含有する溶液に溶解させて作製してもよい。
この中でも遷移金属元素の硫酸塩、例えば、Niの硫酸塩、Mnの硫酸塩、Coの硫酸塩およびFeの硫酸塩を水に溶解して得られる水溶液であることが好ましい。Feの硫酸塩としては、2価のFeの硫酸塩であることが好ましい。
アルカリとしては、例えば、LiOH(水酸化リチウム)、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、Li2CO3(炭酸リチウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)、K2CO3(炭酸カリウム)および(NH42CO3(炭酸アンモニウム)からなる群より選ばれる1種以上の無水物並びにその水和物を挙げることができる。
また、アルカリとして、アンモニアを使用することもできる。
アルカリは通常水溶液として用いられる。このアルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、通常0.5〜10モル/L程度、好ましくは1〜8モル/L程度である。また、製造コストの面から、用いるアルカリとしては、NaOHおよびKOHの無水物並びにその水和物を用いることが好ましい。また、上述のアルカリは2つ以上併用してもよい。
これらの溶媒として使用されるアルカリ水溶液に使用される水は、好ましくは純水および/またはイオン交換水である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、アルコールなど水以外の有機溶媒や、pH調整剤などを含んでいてもよい。
本発明の遷移金属水酸化物とアルカリ水溶液との接触は、如何なる方法でもよく、遷移金属元素を含有する溶液にアルカリを添加して混合する方法、アルカリに遷移金属元素を含有する溶液を添加して混合する方法、水などの溶媒に遷移金属元素を含有する溶液およびアルカリを添加して混合する方法を挙げることができる。これらの混合時には、攪拌を伴うことが好ましい。また、上記の接触の方法の中でも、溶媒として水を使用して、アルカリ水溶液に遷移金属元素を含有する水溶液を添加して混合する方法が、pHを一定範囲に保ちやすい点で好ましく用いることができる。この場合、アルカリ水溶液に、遷移金属元素を含有する水溶液を添加混合していくに従い、混合された液のpHが低下していく傾向にあるが、このpHが9以上、好ましくは10以上となるように調節しながら、遷移金属元素を含有する水溶液を添加するのがよい。また、遷移金属元素を含有する水溶液およびアルカリ水溶液のうち、いずれか一方または両方の水溶液を40〜80℃の温度に保持しながら混合すると、より均一な組成の沈殿物が含まれるスラリーを得ることができるため好ましい。
また、通常撹拌下に混合しながら接触させ、連続的に遷移金属水酸化物を主成分とする固形物(沈殿物)を含有するスラリーを得てもよい。撹拌混合機としては、撹拌機構を有する管型反応器が好適に使用でき、かかる反応器としては、管状の流路内に所定の障害物(例えばコイル形状、ビーズ、管状の流路の内壁に形成した突起物等)を配置したり、管状の流路内壁自体を渦巻き型にしたり、固定式攪拌翼(タービン)を形成した構造を有することにより、その流路内で流体の乱流を発生させることができるものが挙げられ、一般的には、ラインミキサー、スタティックミキサー、更にはホモミキサー、ホモジナイザー、パイプラインホモミキサー等と呼ばれている。
本発明においては、上記遷移金属元素を含有する溶液をアルカリと接触させることで生成する遷移金属水酸化物を含有する原液スラリーを得る。なお、「原液スラリー」とは、大部分が、遷移金属水酸化物を主成分とする固形分(沈殿物)と水などの溶媒とからなるスラリーであり、原液スラリーを得る過程で残った原料、副生塩、例えば、K2SO4、添加剤、有機溶剤等を含んでいてもよい。
次いで、工程(b)について説明する。
工程(b)においては、上記工程(a)で得られた原液スラリー中の固形分をろ過、水洗及び/または濃縮を行ってウェットケーク又は濃縮スラリーを得る。なお、「濃縮スラリー」とは、溶媒成分の一部が除去されることによって工程(a)にて得られた原液スラリーより固形分が高濃度になったスラリーをいう。
濃縮スラリー中の固形分濃度は、後工程である乾燥工程の効率を向上させる観点からは、3重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。
本発明において、スラリーのろ過、水洗および/または濃縮は、いかなる方法で行われてもよいが、洗浄が容易であり、不純物の少ない遷移金属水酸化物が得られるクロスフローろ過やフィルタープレスによるろ過・水洗および/または濃縮が好適に使用される。
なお、「クロスフローろ過」とは、ろ過対象液として、固形分を含む原液スラリーをろ材に供給し、ろ材を透過したろ液を回収して原液スラリーから溶媒成分を除去することにより、原液スラリー中の固形分の濃縮を行うろ過方法である。
また、「フィルタープレスによる濃縮」とは、固形分を含む原液をスラリーのろ過と圧搾を行う場合の加圧ろ過機であるフィルタープレスに供給し、ろ過および圧搾脱水により固液分離して、ウェットケークを得る方法である。
次いで、工程(c)について説明する。
工程(c)は、前記工程(b)で得られた濃縮スラリーやウェットケーク(以下、「濃縮スラリー」、「ウェットケーク」を併せて単に「濃縮スラリー」という。)を乾燥する工程である。工程(c)における乾燥は、通常、熱処理によって行われるが、気流乾燥、真空乾燥等によってもよい。気流乾燥機は、被乾燥体と供給した高温気体とで熱交換を行い、被乾燥体を乾燥させる装置である。なお、高温気体とは、100℃以上、好適には200℃以上の気体をいう。
高温気体として供給されるガス種としては、通常、空気、あるいは窒素、アルゴン等の不活性ガスが用いられる。これらは、気流乾燥機の外で目的の温度まで加熱された後、気流乾燥機に供給される。
工程(c)において、遷移金属水酸化物を含有する濃縮スラリーを、高温気体を流しながら、気流乾燥機に供給され含水率40重量%以下、好適には15重量%以下の粉末となるように急速に乾燥させることで、該遷移金属水酸化物の酸化を抑制し、遷移金属酸化物の発生を抑制することが可能となり、高品質な正極活物質用の前駆体を得ることができる。また、濃縮スラリーを順次急速に乾燥させることで、大量の濃縮スラリーを処理することができるため、高い生産性にて前駆体を得ることができる。
気流乾燥機としては、如何なる乾燥機でも良く、熱風式棚段乾燥機や噴霧乾燥機や流動層乾燥装置等が挙げられるが、供給された濃縮スラリーを付着させ、付着した濃縮スラリーを乾燥させるための媒体を有する流動層乾燥装置が好適である。流動層乾燥装置は、乾燥室内の球体状の媒体に下方からの高温気体を供給して流動層を形成し、流動層に濃縮スラリーを滴下して、乾燥物を得るものであり、加熱された媒体からの熱伝導と、高温気体からの対流伝熱により、被乾燥物を乾燥することができ、流動層の完全混合を利用するため、ムラの少ない乾燥が可能であるという利点がある。流動層乾燥装置としては、例えば、株式会社大川原製作所 スラリードライヤーSFDシリーズを使用することができる。
なお、乾燥物の粒度は、後述するリチウム化合物および反応促進剤(フラックス)との混合した後の最終製品であるリチウム二次電池正極活物質の品質や歩留まりと直接関連することから、乾燥物の粒度分布が、D9045μm以下、且つ、D101μm以上であることが好ましい。乾燥物の粒度がこの範囲にある場合は、次の工程(d)による粉砕や解砕による粒度調整を行うことなく、そのまま遷移金属元素を含有する前駆体として使用することができる。一方、乾燥物の粒度がこの範囲にない場合は、次の工程(d)での粉砕による粒度調整を行うことが望まれる。
次いで、工程(d)について説明する。
工程(d)は、前記工程(c)で得られた乾燥物を、必要に応じて粉砕することにより粒度調整を行う工程である。
この工程(d)の粒度調整は、遷移金属元素を含有する前駆体の粒度分布を、D9045μm以下、且つ、D101μm以上、より好ましくは、D9030μm以下、且つ、D101μm以上になるように行う。
前駆体の粒度が、この粒度分布範囲に入ることにより、この後に混合されるリチウム化合物や反応促進剤(フラックス)と焼成時に反応する際、正極活物質の微粒子や粗大粒子の発生を抑制し、均一な反応を進行させることができる。
また、遷移金属元素を含有する前駆体の粒度分布曲線が、ピーク半値幅1μm以上45μm以下、好ましくはピーク半値幅5μm以上30μm以下、より好ましくはピーク半値幅10μm以上20μm以下のシングルピークを有することが望ましい。前駆体の粒度分布は、最終製品である正極活物質の粒度分布に反映し、正極活物質の粒度分布曲線もシングルピークとなるため、電極作成時に導電剤や結着剤成分との分散性が向上し、電池として利用した際に均一な電極反応を生じることが出来、結果電池性能を向上できるためより好ましい。
ちなみに粒度分布曲線におけるピーク半値幅とは、シングルピーク曲線の極大値の1/2強度の2点間の間隔を示すものである。
粉砕は、前駆体を上記粒度分布範囲に調整できるものであれば良く、ジェットミル、ピンミルやフェザーミル等が使用されるが、簡易な付帯設備で、操作が簡単で生産性が高いピンミルやフェザーミルが好ましい。
(リチウム化合物)
次に、本発明のリチウム化合物について説明する。
本発明で使用するリチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物並びに該1種以上の水和物を挙げることができる。
(反応促進剤)
本発明で使用する反応促進剤(フラックス)としては、具体的には、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、CaCl2、MgCl2、SrCl2、BaCl2及びNH4Clなどの塩化物、Na2CO3、K2CO3、Rb2CO3、Cs2CO3、CaCO3、MgCO3、SrCO3及びBaCO3などの炭酸塩、K2SO4、Na2SO4などの硫酸塩、NaF、KF、NH4Fなどのフッ化物、が挙げられる。この中でも、好ましくはNa、K、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr及びBaからなる群から選ばれる1種以上の元素の塩化物、炭酸塩または硫酸塩を挙げることができ、より好ましくはKCl、K2CO3、K2SO4である。また、反応促進剤を2種以上併用することもできる。
反応促進剤を混合物に含有させるには、例えば遷移金属水酸化物をリチウム化合物と混合するときに反応促進剤を添加すればよい。
また、反応促進剤は、焼成後のリチウム複合金属酸化物に残留していてもよいし、洗浄、蒸発等により除去されていてもよい。
なお、混合物と反応促進剤との混合割合は、混合物100重量部中0.1重量部以上100重量部以下が好ましく、1.0重量部以上25重量部以下がより好ましい。
次に、上記前駆体、リチウム化合物および反応促進剤(フラックス)を使用したリチウム二次電池正極活物質の製造方法について説明する。
リチウム二次電池正極活物質は、遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物および反応促進剤(フラックス)を、高速撹拌型混合機にて混合する混合工程と、得られた混合物を焼成して焼成物を得る焼成工程と、得られた焼成物を篩別処理する篩別工程と、を含む製造方法により製造される。
以下、上記製造方法において、混合工程を「工程(1)」、焼成工程を「工程(2)」、篩別工程を「工程(3)」と称す。
工程(1):前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤の混合
本発明では、原料である前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤を、高速攪拌型混合機にて撹拌する。
高速攪拌型混合機とは、混合槽内に粉体を流動化させる撹拌翼と高速回転によるせん断力で粗大粒子の解砕が可能なチョッパーを内蔵した粉砕機であり、例えばレーディゲミキサー(レーディゲ社製)、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機構(株)製)等が使用できる。
高速攪拌型混合機を使用することにより流動状態での原料混合が実現される。即ち、原料相互のミクロな混合が可能となり、また、混合機内での粉砕が実質的に無いことから、前駆体の粒度のまま混合が可能となり、前駆体の粒度(分布)が維持される。
このことにより上記原料混合物を、後述する焼成により得られた焼成品を篩別する際に、篩別時にスクリーン目開きに対応した前駆体の粒度調整が可能となる。
なお、従来使用されていたボールミル等による混合では、前駆体の過粉砕等による微粉末の生成により篩別時の収率が低下することが避けられず、また、ボールミルでは媒体(アルミナボール等、セラミック製ボール)を使用するために、媒体磨耗による正極活物質の品質低下の問題があった。
また、被混合物を粉砕せずに混合できる混合機としてはリボン形状の攪拌翼が低速で回転するリボン混合機や混合槽自体が回転運動する事により粉体を流動させ混合させるドラムミキサー等を挙げることが出来るが、これら混合機では、粉体同士の大まかな(マクロな)混合は可能であるが、粗大凝集粒の解砕を行うことが出来ないため、混合粉末中における組成ムラが解消できず、その結果得られる正極活物質の性能低下の原因となる。
原料である前駆体、リチウム化合物および反応促進剤の混合は、高速攪拌型混合機にて一括混合することができるが、高速攪拌型混合機にて、リチウム化合物及び反応促進剤(フラックス)を均一になるまで混合した後に、さらに遷移金属元素を含有する前駆体を加えて混合することがより好ましい。
後者の2段混合により、さらに前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤(フラックス)の混合・均一化が進むため、この混合物から得られた正極活物質を使用した二次電池の放電容量を向上させることができる。
工程(2):混合物の焼成
原料である前駆体、リチウム化合物および反応促進剤の混合物は、焼成することにより焼成物であるリチウム複合金属酸化物の塊状物が得られる。
前記焼成における保持温度としては、650℃以上900℃以下の範囲であることが好ましい。前記保持温度で保持する時間は、通常0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜8時間である。前記保持温度までの昇温速度は、通常50℃〜400℃/時であり、前記保持温度から室温までの降温速度は、通常10℃〜400℃/時である。また、焼成の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、大気雰囲気が好ましい。
得られたリチウム複合金属酸化物塊状物は、必要に応じてロールミル等の解砕機にて解砕され、残留リチウム成分や反応促進剤を除去するために洗浄され、乾燥に付される。
なお、乾燥粉末は、必要に応じロールミル等により解砕される。ここで、解砕とは、凝集粒子を分散したり、解きほぐすことをいう。
本工程(2)で得られた焼成物であるリチウム複合金属酸化物粉末の篩別前の粒度分布は、例えば、D9045μm以下、且つ、D101μm以上である。また、リチウム複合金属酸化物粉末の篩別前の粒度分布が、D9040μm以下、且つ、D101μm以上が好ましく、より好ましくはD9030μm以下、且つ、D102μm以上が好ましい。この範囲にあることにより、凝集性の高い微粒子や凝集粒の起点となる粗大粒子を含まないため、篩別工程での収率(生産性)を向上させることが出き、また、電極剤として使用した際、導電剤や結着剤成分等の他の電極部材との分散性が向上し、電極とした際に性能を改善できる。
工程(3):焼成物(リチウム複合金属酸化物)の篩別
上記工程(2)で得られたリチウム複合金属酸化物粉末は、次に、粗大粒子や異物除去のため分級処理される。分級装置としては、振動篩や超音波振動篩、遠心式分級装置等が挙げられる。遠心式分級装置は、高速回転するブレードにより粉末をメッシュスクリーンに押し当て通過させることで篩い分けを行う分級装置であり、凝集性が高く、ダマが発生しやすいリチウム複合金属酸化物粉末の分級処理に好適に利用される。
振動篩や遠心式分級装置に使用されるメッシュスクリーンとしては、工業的に一般に多用されるメッシュスクリーンを用いることができ、その網目の形状は、通常正方形状である。メッシュスクリーンの目開きは、日本工業規格(JIS G3556)に規定されるように隣接する二本の網線間の距離で示され、10〜100μm程度であり、網線の太さは、通常10〜70μm程度のものが用いられる。網線の織り方としては、平織りや綾織などが挙げられる。
なお、本発明において、メッシュスクリーンの目開きは、電池性能への悪影響除去の観点から、50μm以下であることが好ましく、更に好ましくは45μm以下である。
上記の方法により得られるリチウム複合金属酸化物は、その構造が通常α−NaFeO2型結晶構造、すなわちR−3mの空間群に帰属される結晶構造である。結晶構造は、リチウム複合金属酸化物について、CuKαを線源とする粉末X線回折測定により得られる粉末X線回折図形から同定することができる。
上記の方法により得られるリチウム複合金属酸化物におけるLiの組成としては、Ni、Mn、Fe、Co等の遷移金属元素Mの合計量(モル)に対し、Liの量(モル)は、通常、0.5以上1.5以下であり、容量維持率をより高める意味で、0.95以上1.5以下であることが好ましく、より好ましくは1.0以上1.4以下である。
即ち、以下の式(A)として表したときに、yは、通常、0.5以上1.5以下であり、好ましくは0.95以上1.5以下、より好ましくは1.0以上1.4以下である。

LiyMO2 (A)
(ここで、Mは、1種以上の遷移金属元素を表す。)
また、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の方法により得られる本発明のリチウム複合金属酸化物は、遷移金属元素の一部を、他元素で置換してもよい。ここで、他元素としては、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mg、Sc、Y、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Tc、Ru、Rh、Ir、Pd、Cu、Ag、Zn等の元素を挙げることができる。
上記の方法により得られるリチウム複合金属酸化物を構成する粒子の表面に、リチウム複合金属酸化物とは異なる化合物を付着させてもよい。このような化合物としては、例えば、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Mgおよび遷移金属元素からなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、好ましくはB、Al、Mg、Ga、InおよびSnからなる群より選ばれる1種以上の元素を含有する化合物、より好ましくはAlの化合物を挙げることができ、化合物として具体的には、前記元素の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、有機酸塩を挙げることができ、好ましくは、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物である。また、これらの化合物を混合して用いてもよい。これら化合物の中でも、特に好ましい化合物はアルミナである。また、付着後に加熱を行ってもよい。
上記の方法により得られるリチウム複合金属酸化物は、正極活物質として有用であり、二次電池、特に非水電解質二次電池の正極に好適であり、中でもリチウム二次電池用正極活物質として好適に使用される。
なお、二次電池用の正極は、上記の方法により得られたリチウム複合金属酸化物を正極活物質として、公知の方法、例えば、国際公開第09/041722号パンフレットに記載の方法にて作製することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
試料の評価方法を以下に示す。
<粉末X線回折測定>
粉末X線回折測定(XRD)は、株式会社リガク製Ultima IVASC−10を用いて行った。測定は、粉末試料を専用の基板に充填し、CuKα線源を用いて、電圧40kV、電流40mAの条件で回折角2θ=10°〜90°の範囲にて行った。
<含水率測定>
含水率測定は、株式会社エー・アンド・デイ製加熱乾燥式水分計MX−50を用いて行った。粉末試料を装置内の試料皿に約5gを静置した後、装置の蓋を閉じ、試料皿温度を130℃に設定することで粉末試料中に含まれている水分を蒸発させ、重量減少が認められなくなった時点を完全な乾燥状態、すなわち含水率0と見なす。試料皿に静置した粉末試料の重量に対して、減少した重量の割合を粉末試料の含水率とした。
<粒度分布の測定>
実施例、参考例で得られた各工程における正極活物質等の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製 マスターサイザー2000(HydroS)を用いて測定した。各粉末は、0.2wt%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液中で超音波および攪拌により分散させ、正極活物質粉末粒子の屈折率として1.7−0.2i(実数部1.7、虚数部0.2)を用いて測定した。
なお、粒度分布を体積基準で微粒側から積算した際、積算値で10%を示す粒子径をD10、50%を示す粒子径をD50、90%を示す粒子径をD90とした。
(a)スラリー製造工程
攪拌槽内で、水酸化カリウム100重量部を、蒸留水635重量部に添加して、攪拌により水酸化カリウムを完全に溶解させ、水酸化カリウム水溶液(アルカリ水溶液)を調整した。また、別の攪拌槽内で、蒸留水188重量部に、硫酸ニッケル(II)六水和物71.1重量部、硫酸マンガン(II)一水和物46.8重量部、硫酸鉄(II)七水和物5.25重量部および硫酸コバルト(II)七水和物17.7重量部を添加して、攪拌により溶解し、ニッケル−マンガン−鉄−コバルト混合水溶液を得た。
次いで、前記水酸化カリウム水溶液と前記ニッケルーマンガンー鉄−コバルト混合水溶液を、高速回転攪拌機を備えた管型反応器である、T.K.パイプラインホモミキサー(商品名、PRIMIX社)を周速15m/sで攪拌しながら生成するスラリーのpHが一定になるように供給し、接触させて混合することにより、固形物(共沈物)が生成し、該固形物を含むスラリーを得た。得られたスラリーのpHを測定したところ、pHは13であった。
(b)スラリーろ過・水洗工程
次いで、クロスフローろ過装置を用いてスラリーの濃縮を行った。なお、クロスフローろ過装置として、ロータリーフィルターRF−02型(寿工業株式会社製)を使用し、ろ布はP2560C(敷島カンバス製)を使用した。
まず、スラリー貯槽内に蒸留水50重量部を加えて、希釈した後、希釈スラリーをポンプにてクロスフローろ過装置を経由して元のスラリー貯槽へ循環するポンプ循環を、ろ液が50重量部抜き出されるまで行うことによりスラリーのろ過・水洗を行った。同様に蒸留水添加ならびにろ過・水洗を行う操作を繰り返し実施した。水洗終了後、さらに、ろ液を抜き取りスラリーの濃縮を行った。この時にスラリー貯槽内に得られた濃縮スラリー中の固形分濃度は12重量%であった。
(c)乾燥工程
工程(b)により得られた濃縮スラリーを気流乾燥機(流動層乾燥装置)(「スラリードライヤー SFD」、株式会社 大川原製作所)にて乾燥を行った。
高温気体として、空気を使用し、装置本体への入口温度が350℃となるように熱交換器を調整すると共に、装置本体の出口温度が120℃となるようにスラリー供給ポンプによりスラリー供給量を調整した。
上記条件にて、スラリーの乾燥を行い、粉末状の乾燥物P1を得た。乾燥物P1の含水率は、6.1重量%であった。乾燥物P1の粒度分布は、D10=3.1μm、D50=23.1μm、D90=65.2μmであり、ピーク半値幅は、70μmであった。
(d)粉砕工程
得られた乾燥物P1を、回転数14000rpm、粉末供給量7kg/hrで、ピンミル(コロプレックス160Z ホソカワミクロン(株)製)にて粉砕し、前駆体である粉砕物R1を得た。粉砕品R1の粒度分布はD10=1.1μm、D50=6.3μm、D90=16.8μmであり、ピーク半値幅は、17μmであった。
(1)混合工程
次に、粉砕品R1100重量部に対し、事前に炭酸リチウム52.0重量部と硫酸カリウム3.77重量部をレーディゲミキサー(M−20 販売元(株)マツボー)に投入し、ショベルとチョッパーの回転数を230rpmと3000rpmとし、1時間混合運転後、粉砕品R1100重量部をレーディゲミキサーに投入し、1時間混合した後、混合原料物M1を得た。混合原料物M1の粒度分布は、D10=1.1μm、D50=6.4μm、D90=17.2μmであり、粉砕物R1と殆ど変わらなかった。
(2)焼成工程
この混合原料物M1をローラーハースキルンにより850℃で6時間保持することで焼成を行い、室温まで冷却して、焼成品を得た。該焼成品を解砕し、蒸留水でろ過ならびに洗浄を行い、300℃で6時間の乾燥処理を行い、回収後解砕し粉末B1を得た。
粉末X線回折パターンを測定し、粉末B1の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であることがわかった。また、粉末B1の粒度分布はD10=2.0μm、D50=6.4μm、D90=16.1μmであった。
(3)篩別工程
この粉末B1を遠心式分級装置(ターボスクリーナー TS125×200型 フロント・ターボ株式会社製)を使用し、スクリーン(PES製) 目開き:45μm、フィード速度6kg/hr、ローター回転数1200rpmで処理し、粉末A1を得た。得られた粉末A1の収率(メッシュスクリーン透過率)は99.7重量%であった。
上記乾燥物P1,粉砕物R1、原料混合物M1および粉末B1の粒度分布図、ならびに粉砕物R1と原料混合物M1の粒度分布比較図を図1〜5に示す。
粉砕工程(d)までは、実施例1と同様にして粉砕物R1を得た。粉砕物R1の粒度分布はD10=1.1μm、D50=6.3μm、D90=16.8μmであり、ピーク半値幅は、17μmであった。
粉砕品R1100重量部に対し、炭酸リチウム52.0重量部と硫酸カリウム3.77重量部をレーディゲミキサー(M−20 販売元(株)マツボー)に一括投入し、ショベルとチョッパーの回転数を230rpmと3000rpmとし、1時間混合運転した後、原料混合物M2を得た。原料混合物M2の粒度分布は、D10=1.0μm、D50=6.2μm、D90=16.8μmであり、粉砕物R1と変わらなかった。この原料混合物M2をローラーハースキルンにより850℃で6時間保持することで焼成を行い、室温まで冷却して、焼成品を得た。該焼成品を解砕し、蒸留水でろ過ならびに洗浄を行い、300℃で6時間の乾燥処理を行い、回収後解砕し粉末B2を得た。
粉末X線回折パターンを測定し、粉末B2の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であることがわかった。また、粉末B2の粒度分布はD10=2.0μm、D50=6.7μm、D90=17.0μmであった。
この粉末B2を遠心式分級装置(ターボスクリーナー TS125×200型 フロント・ターボ株式会社製)を使用し、スクリーン(PES製) 目開き:45μm、フィード速度6kg/hr、ローター回転数1200rpmで処理し、粉末A2を得た。得られた粉末A2の収率(メッシュスクリーン透過率)は99.6重量%であった。
上記原料混合物M2および粉末B2の粒度分布図、ならびに粉砕物R1と原料混合物M2の粒度分布比較図を図6〜8に示す。
参考例1
乾燥工程(c)までは、実施例1と同様にして乾燥物P1を得た。乾燥物P1の粒度分布は、D10=3.1μm、D50=23.1μm、D90=65.2μmであり、ピーク半値幅は、70μmであった。
得られた乾燥物P1100重量部に対し、炭酸リチウム52.0重量部と硫酸カリウム3.77重量部をボールミルに一括投入し、乾式混合した後、混合原料物M3を得た。混合原料物M3の粒度分布は、D10=0.5μm、D50=3.9μm、D90=18.1μmであり、粉砕のため乾燥物P1より細かくブロードな分布となった。この混合原料物M3をローラーハースキルンにより850℃で6時間保持することで焼成を行い、室温まで冷却して、焼成品を得た。該焼成品を解砕し、蒸留水でろ過ならびに洗浄を行い、300℃で6時間の乾燥処理を行い、回収後ロールミルにて解砕し粉末B3を得た。
粉末X線回折パターンを測定し、粉末B3の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であることがわかった。また、粉末B3の粒度分布はD10=1.1μm、D50=8.8μm、D90=36.1μmであった。
この粉末B3を遠心式分級装置(ターボスクリーナー TS125×200型 フロント・ターボ株式会社製)を使用し、スクリーン(PES製) 目開き:45μm、フィード速度6kg/hr、ローター回転数1200rpmで処理し、粉末A3を得た。得られた粉末A3の収率(メッシュスクリーン透過率)は78.4重量%であった。
上記原料混合物M3および粉末B3の粒度分布図、ならびに乾燥物P1と原料混合物M3の粒度分布比較図を図9〜11に示す。
<非水電解質二次電池の作製>
作製した粉末A1〜A3を正極活物質として使用したコイン型の非水電解質二次電池を作製し、充放電試験を実施した。
正極活物質(粉末A1〜A3)と導電材(アセチレンブラックと黒鉛を9:1(重量比)で混合したもの)の混合物に、バインダーとしてPVdFのN−メチル−2−ピロリドン溶液を、活物質:導電材:バインダー=87:10:3(重量比)の組成となるように加えて混練することによりペーストとし、集電体となる厚さ40μmのAl箔に該ペーストを塗布して150℃で8時間真空乾燥を行い、正極を得た。
得られた正極に、電解液としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの30:35:35(体積比)混合液にLiPF6を1モル/リットルとなるように溶解したもの、セパレータとして積層フィルム、また、負極として金属リチウムを組み合わせてコイン型電池(R2032)を作製した。
上記のコイン型電池を用いて、25℃保持下、以下に示す条件で充放電試験を実施した。結果を表1に示す。
<充放電試験>
充電最大電圧4.3V、充電時間8時間、充電電流0.28mA/cm2
放電時は放電最小電圧を2.5Vで一定とし、各サイクルにおける放電電流を下記のように変えて放電を行った。各サイクルおける放電による放電容量が高ければ高いほど、高出力を示すことを意味する。
1サイクル目の放電(0.2C):放電電流0.28mA/cm2
2サイクル目の放電(5C) :放電電流7.10mA/cm2
3サイクル目の放電(10C) :放電電流14.2mA/cm2
実施例1、2と参考例1の篩別収率を対比すると混合機をボールミルから高速撹拌型混合機に変えることにより大幅な収率向上が図れることが分かる。
また、放電容量を対比すると、前駆体とリチウム化合物および反応促進剤を一括混合した実施例2は放電レート0.2Cでは、参考例1とほぼ同様な放電容量を示した。一方、リチウム化合物および反応促進剤を事前混合し、前駆体を追加混合する実施例1では、0.2C、5C、10Cのいずれにおいても、放電容量が参考例1と同等か、大きかった。
本発明によれば、高速撹拌型混合機を用いることにより、リチウム複合酸化物粉末を再現性良く安定的に製造することができる。製造されたリチウム複合酸化物粉末は、優れた電池放電特性を有し、リチウム二次電池正極活物質として使用することができる。

Claims (5)

  1. 遷移金属元素を含有する前駆体、リチウム化合物及び反応促進剤を高速撹拌型混合機にて混合して混合物を得る混合工程と、
    得られた混合物を焼成して焼成物を得る焼成工程と、
    得られた焼成物を篩別処理する篩別工程と、
    を含むことを特徴とするリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
  2. 高速攪拌型混合機にて混合する混合工程が、リチウム化合物及び反応促進剤を混合した後に、遷移金属元素を含有する前駆体を加えて混合する請求項1記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
  3. 遷移金属元素を含有する前駆体の粒度分布が、D9045μm以下、且つ、D101μm以上である請求項1または2に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
  4. 遷移金属元素を含有する前駆体の粒度分布曲線が、ピーク半値幅1μm以上45μm以下のシングルピークを有する請求項3に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
  5. 遷移金属元素を含有する前駆体が、Ni、Co、Mn及びFeの少なくとも1種を含む請求項1から4のいずれかに記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
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WO2022004323A1 (ja) * 2020-06-29 2022-01-06 住友化学株式会社 リチウム二次電池正極活物質用前駆体及びリチウム二次電池正極活物質の製造方法

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