以下、図面を参照して、実施形態を説明する。
まず、図1を参照して、一実施形態に係る電子機器の構成について説明する。この電子機器は、バッテリから電力を受けるように構成されている。この電子機器は、例えば、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ、タブレット端末、または他の各種情報処理装置として実現されうる。以下では、この電子機器が、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10として実現されている場合を想定する。
図1は、ディスプレイユニットを開いた状態におけるコンピュータ10を正面側から見た斜視図である。本コンピュータ10は、バッテリ17から電力を受けるように構成されている。バッテリは、高容量化を意図した通常のリチウムイオンバッテリなどから構成してもよい。
本コンピュータ10は、本コンピュータ10内のコンポーネントに電力を供給するために、バッテリ17から放電される電力を使用する。バッテリ17の電源出力端子は、ACアダプタのような外部電源装置の電源出力端子にワイヤードOR接続してもよい。この場合、外部電源の出力電圧がバッテリ17の出力電圧よりも高くなるように、バッテリ17の出力電圧を設定してもよい。これにより、バッテリ17よりも外部電源装置からの電力を優先的に使用して、本コンピュータ10内のコンポーネントに電力を供給することができる。
さらに、本コンピュータ10内の充電回路は、バッテリ17が満充電状態でない場合、外部電源装置からの電力を用いて、バッテリ17を充電する。
本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成される。ディスプレイユニット12には、LCD16(Liquid Crystal Display)から構成される表示装置が組み込まれている。
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面がディスプレイユニット12によって覆れる閉塞位置との間を回動自在にコンピュータ本体11に取り付けられている。コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/オフするための電源スイッチ14およびタッチパッド15が配置されている。
また、コンピュータ本体11には、電源コネクタ20が設けられている。電源コネクタ20はコンピュータ本体11の側面、例えば左側面に設けられている。この電源コネクタ20には、外部電源装置が取り外し自在に接続される。外部電源装置としては、上述したようにACアダプタを用いることが出来る。ACアダプタは商用電源(AC電力)をDC電力に変換する電源装置である。
電源コネクタ20は、ACアダプタのような外部電源装置から導出される電源プラグが取り外し自在に接続可能なジャックから構成されている。バッテリ17は、例えば、コンピュータ本体11の後端部に取り外し自在に装着される。バッテリ17は本コンピュータ10に内蔵されるバッテリであってもよい。
本コンピュータ10は、外部電源装置からの電力またはバッテリ17からの電力によって駆動される。本コンピュータ10の電源コネクタ20に外部電源装置が接続されているならば、本コンピュータ10は外部電源装置からの電力によって駆動される。本コンピュータ10によって消費される電力が何らかの原因で大きく増加した場合には、本コンピュータ10によって必要とされる電力量が外部電源装置から供給される電力量を超える場合がある。この場合には、外部電源装置からの電力のみならず、バッテリ17からの電力も使用される。本コンピュータ10によって消費される電力を増加させる要因となる動作の一つとしては、本コンピュータ10に取り付けられたポータブルデバイスを充電する動作がある。
また、上述のように、外部電源装置からの電力は、バッテリ17を充電するためにも用いられる。バッテリ17の充電は、本コンピュータ10が電源オンされている期間中のみならず、本コンピュータ10が電源オフされている期間中にも実行してもよい。本コンピュータ10の電源コネクタ20に外部電源装置が接続されていない期間中は、本コンピュータ10はバッテリ17からの電力によって駆動される。
また、コンピュータ本体11には、外部電源装置の有無等の各種電源ステータスを通知するためのインジケータ16が設けられている。このインジケータ16は、例えば、コンピュータ本体11の正面に設けられている。インジケータ16は、LEDから構成し得る。
さらに、コンピュータ本体11には、USBポートのようなポート(コネクタ)21が設けられている。このポート21はポータブルデバイスをコンピュータ本体11に取り外し可能に取り付けるために使用されるポートである。このポート21は、本コンピュータ10とポータブルデバイスとの間の通信のために使用される。さらに、このポート21は、ポータブルデバイスを充電またはポータブルデバイスに電力を供給するために使用することができる。以下では、このポート21がユニバーサルシリアルバス(USB)ポートである場合を想定する。
USBポートにおいては、一般に、一対の電源線(VBUS、グランド(GND))と、正データ線(D+)および負データ線(D−)とが定義されている。VBUSは正電源線である。本コンピュータ10は、VBUS、グランド(GND)を介して、USBポート21に取り付けられたポータブルデバイスに電力(バスパワー)を供給することができる。
正データ線(D+)および負データ線(D−)は差動信号線対として機能する。本コンピュータ10は、正データ線(D+)および負データ線(D−)を介して、USBポート21に取り付けられたポータブルデバイスとの通信を行うことができる。
本コンピュータ10は、ポータブルデバイスのバッテリを充電可能なチャージャ機能を有している。チャージャ機能は、2つの充電モード、つまり、ノーマルモードおよび大電流充電モードを有している。ノーマルモードは、例えば最大0.5Aの電流(第1の充電電流)をポータブルデバイスに供給可能な充電モードである。大電流充電モードは、ノーマルモードよりも大きな電流、例えば最大1.5Aの電流(第2の充電電流)をポータブルデバイスに供給可能な充電モードである。本コンピュータ10が電源オン状態である期間においては、チャージャ機能は、2つの充電モード、つまり、ノーマルモードおよび大電流充電モードの内の任意の充電モードを使用して、ポータブルデバイス内のバッテリを充電することができる。換言すれば、本コンピュータ10が電源オン状態である期間においては、USBポート21は、第1の充電電流を供給可能な第1タイプポートまたは第1の充電電流よりも大きい第2の充電電流を供給可能な第2タイプポートのいずれかとして機能しうる。
第1タイプポートは、例えば、Battery Charging Specification Revision 1.1で規定されたスタンダードダウンストリームポート(SDP)に相当するものであってもよい。また、第2タイプポートは、Battery Charging Specification Revision 1.1で規定されたチャージングダウンストリームポート(CDP)に相当するものであってもよい。
第2タイプポート(大電流充電モード)を使用することにより、ポータブルデバイスのバッテリを高速に充電することが可能となる。
しかし、大電流充電モードにおいては、ポータブルデバイスによって本コンピュータ10のUSBポート21から大きな電流が引き抜かれる可能性がある。よって、もし常に大電流充電モードの使用を許可したならば、電力不足によって、本コンピュータ10のシステムの動作が不安定になったり、システムが突然オフしてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態においては、上述のチャージャ機能は、本コンピュータ10が電源オンされている期間中に、充電モードを大電流充電モードに切り替えない機能、つまり大電流充電モードを使用することを禁止する機能を有している。より詳しくは、チャージャ機能は、バッテリ17の残容量を監視し、バッテリ17の残容量が閾値よりも少ない場合には、大電流充電モードの使用を禁止する。大電流充電モードの使用を禁止するための動作としては、ポータブルデバイスにUSBポート21を第1タイプのポートであると認識させるための動作を使用することができる。これにより、ポータブルデバイスが自身のバッテリの充電のためにUSBポート21から大きな電流が引き抜くことを防止することができるので、大電流充電モードの使用を禁止することができる。
大電流充電モードの使用を禁止するための動作は、例えば、本コンピュータ10がバッテリ17からの電力によって駆動されている場合に実行される。さらに、大電流充電モードの使用を禁止するための動作は、本コンピュータ10がバッテリ17からの電力によって駆動されている場合のみならず、本コンピュータ10が外部電源装置からの電力によって駆動されている場合に実行してもよい。なぜなら、上述したように、本コンピュータ10が外部電源装置からの電力によって駆動されている場合においても、本コンピュータ10のシステム(本コンピュータ10内の各種コンポーネント、およびポータブルデバイス)に供給すべき電力(動作電源)の不足が発生した場合には、バッテリ17の電力もシステムに供給すべき電力の生成のために使用されるからである。
このように、本実施形態では、バッテリ17の残容量が閾値よりも少ない場合には、大電流充電モードの使用が禁止される。換言すれば、バッテリ17の残容量が閾値以上である場合にのみ、大電流充電モードの使用が許可される。バッテリ17の残容量が閾値以上である場合においては、たとえポータブルデバイスによって大電流がUSBポートから引き抜かれたとしても、電力不足は発生しない。よって、本コンピュータ10のシステムの動作が突然不安定になったり、システムが突然オフしてしまうことを防ぐことができる。
図2は、本コンピュータ10のシステム構成を示している。本コンピュータ10は、CPU111、システムコントローラ112、主メモリ113、グラフィクスコントローラ114、ハードディスクドライブ(HDD)116、光ディスクドライブ(ODD)117、BIOS−ROM118、エンベデッドコントローラ(EC)119、USBバススイッチIC120、USB電源回路121、電源コントローラ(PSC)122、電源回路122等を備えている。
CPU111は、本コンピュータ10の各コンポーネントの動作を制御するプロセッサである。このCPU111は、HDD116から主メモリ113にロードされる各種ソフトウェア、例えば、オペレーティングシステム(OS)および各種アプリケーションプログラムを実行する。また、CPU111は、不揮発性メモリであるBIOS−ROM118に格納された基本入出力システム(BIOS)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのシステムプログラムである。
システムコントローラ112は、CPU111と各コンポーネントとの間を接続するブリッジデバイスである。システムコントローラ112は、グラフィクスコントローラ114との通信を実行する機能を有している。さらに、システムコントローラ112には、主メモリ113を制御するメモリコントローラも内蔵されている。グラフィクスコントローラ114は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD16を制御する表示コントローラである。
システムコントローラ112はPCIバス1に接続されており、PCIバス1上の各デバイスとの通信を実行する。また、システムコントローラ112は、ハードディスクドライブ(HDD)116および光ディスクドライブ(ODD)117を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラやSerial ATAコントローラを内蔵している。
さらに、システムコントローラ112は、USBホストコントローラ112Aを備えている。USBホストコントローラ112Aは、USBポート21に取り外し自在に取り付けられるポータブルデバイスであるUSBデバイス30を制御するように構成されたホストコントローラであり、USBデバイス30との通信を実行する。USBホストコントローラ112AとUSBデバイス30との間の通信は、USBインタフェース(USBI/F)を介して実行される。USBインタフェースは、上述の正データ線(D+)および負データ線(D−)から構成されている。
本実施形態においては、USBホストコントローラ112Aは、USBバススイッチIC120を介してUSBポート21に接続されている。USBバススイッチIC120は本コンピュータ10によってサポートされている充電モード(USB充電モード)をUSBデバイス30に指示するために、充電モード通知部120Aを備えている。
充電モード通知部120Aは、USBポート21を介したUSBデバイス30との通信によって、本コンピュータ10の現在のUSB充電モードがノーマルモードまたは大電流充電モードのいずれであるか、つまりUSBポート21が第1タイプポート(例えば、スタンダードダウンストリームポート(SDP))または第2タイプポート(例えば、チャージングダウンストリームポート(CDP))のいずれであるかを、USBデバイス30に通知する動作を実行する。
たとえば、USBデバイス30は、Battery Charging Specification Revision 1.1で規定されたプロトコルに従ってUSBポート21のタイプを検出するための処理(充電器検出処理)を実行しうる。充電モード通知部120Aは、USBデバイス30によって実行される充電器検出処理に応答するための機能を有している。
充電器検出処理は本コンピュータ10(ホストデバイス)のUSBポート21のタイプを判定するためにUSBデバイス30によって開始される。すなわち、USBポート21に取り付けられたUSBデバイス30は、所定の電圧を正データ線(D+)に印加し且つ負データ線(D−)上の電圧をチェックすることによって、USBポート21のタイプを判定する。
充電モード通知部120Aは、EC119からの充電モード設定信号(CHGCONT)にしたがって、USBポート21が第1タイプポートであることを通知するための応答処理、またはUSBポート21が第2タイプポートであることを通知するための応答処理のいずれか一方を実行する。
USB電源回路121は、USBポート21を介してUSBデバイス30にバスパワー(VBUS)を供給するように構成された第1の電源回路として動作する。USB電源回路121は、チャージングダウンストリームポート(CDP)のような大電流充電を実行可能な電力供給能力を有するように設計されている。USB電源回路121は、EC11からのUSBON信号に応じて、オンまたはオフされる。
また、USB電源回路121は、過電流検出機能を有しており、USBポート21を介してUSBデバイス30によって引き抜かれる電流が上限値を超えるか否かを検出する。USB電源回路121は、USBデバイス30によって引き抜かれる電流が上限値を超えたことを検出すると、USB過電流検出信号USBOCを発生して、EC119に過電流が検出されたことを通知する。この場合、EC119は、USB電源回路121をオフしてもよい。
EC119、電源コントローラ(PSC)122、およびバッテリ17は、I2Cバスのようなシリアルバス2を介して相互接続されている。エンベデッドコントローラ(EC)119は本コンピュータ10の電力管理を実行するための電源管理コントローラであり、例えば、キーボード(KB)13およびタッチパッド15などを制御するキーボードコントローラを内蔵したワンチップマイクロコンピュータとして実現されている。EC119は、ユーザによる電源スイッチ14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオンおよびパワーオフする機能を有している。本コンピュータ10のパワーオンおよびパワーオフの制御は、EC119と電源コントローラ(PSC)122との協働動作によって実行される。EC119から送信されるON信号を受けると、電源コントローラ(PSC)122は電源回路123を制御して本コンピュータ10をパワーオンする。また、EC119から送信されるOFF信号を受けると、電源コントローラ(PSC)122は電源回路123を制御して本コンピュータ10をパワーオフする。EC119、電源コントローラ(PSC)122、および電源回路123は、本コンピュータ10がパワーオフされている期間中も、バッテリ17またはACアダプタ122からの電力によって動作する。
さらに、EC119は、バッテリ17の残容量を監視し、バッテリ17の残容量が閾値よりも少ない場合、USBポート21がUSBデバイス30によって第1タイプのポートであると認識されるようにUSBバススイッチIC120(充電モード通知部120A)の動作を制御する。EC119は、例えば、電源コントローラ(PSC)122からバッテリ17の残容量を示すバッテリ情報を受け取ることができる。もちろん、EC119が、バッテリ17の残容量を示すバッテリ情報をバッテリ17から直接的に受信するようにしてもよい。さらに、EC119は、USB電源回路121の制御も実行する。
これらエンベデッドコントローラ(EC)119、USBバススイッチIC120、およびUSB電源回路121は、USBポート1に取り付けられるUSBデバイス30の充電を制御するように構成された充電制御装置として機能する。
充電制御装置は、本コンピュータ10が電源オフされている期間においても、USBデバイス30を充電することができる。この場合には、USBデバイス30の充電は、例えば、上述のノーマルモードを使用して実行するようにしてもよい。
電源回路123は、バッテリ17からの電力、またはコンピュータ本体11に外部電源として接続されるACアダプタ124からの電力を用いて、各コンポーネントへ供給すべき電力(動作電源)を生成する。コンピュータ本体11にACアダプタ124が接続されている場合には、電源回路123は、ACアダプタ124からの電力を用いて各コンポーネントへの動作電源を生成すると共に、バッテリ17を充電する。
図3は、電源回路123の構成例を示している。電源回路123は、DC/DCコンバータ123Aおよび充電回路123Bを備えている。ACアダプタ124が接続される電源コネクタ20は、ダイオードD1を介してDC/DCコンバータ123Aの入力端子50に接続されている。バッテリ17の出力端子60は、ダイオードD2を介してDC/DCコンバータ123Aの入力端子50に接続されている。充電回路123Bは、ダイオードD3を介してバッテリ17の出力端子60に接続されている。
ACアダプタ124から出力される電源電圧はバッテリ17から出力される電源電圧よりも高く設定されている。したがって、ACアダプタ124が電源コネクタ20に接続されている場合には、バッテリ17は放電されない。しかし、システムによって消費される電力が過剰に増加すると、ACアダプタ124から出力される電源電圧が低下する場合がある。この場合、バッテリ17の放電が自動的に開始され、DC/DCコンバータ123Aは、ACアダプタ124からの電力のみならず、バッテリ17からの電力をも用いて動作電源を生成する。
図4は、BIOSプログラムによってユーザに提示されるBIOSセットアップ画面100を示している。BIOSセットアップ画面100は、本コンピュータ10の動作環境をユーザに設定させるための各種設定項目を表示する。各種設定項目には、USB充電に関する設定項目が含まれている。USB充電に関する設定項目は、大電流充電モードをイネーブルまたはディスエーブルするための設定項目である。ユーザは、キーボード13のような入力デバイスを操作することによって、大電流充電モードのイネーブルまたはディスエーブルを指定することができる。
大電流充電モードのディスエーブルが指定された場合には、本コンピュータ10のUSB充電モードは、バッテリ17の残容量に関係なく、ノーマルモードに設定される。一方、大電流充電モードのイネーブルが指定された場合には、本コンピュータ10のUSB充電モードは、バッテリ17の残容量に応じて、ノーマルモードまたは大電流充電モードに設定される。大電流充電モードのイネーブル/ディスエーブルを示すUSB充電モード情報は、本コンピュータ10内の不揮発性メモリ内に格納される。この不揮発性メモリはBIOS−ROM118であってもよく、またはいわゆる「CMOS」のようなバッテリバックアップされたメモリであってもよい。
次に、図5のフローチャートを参照して、本コンピュータ10の電源投入時に、EC119によって実行されるUSB充電モード制御動作の手順を説明する。本コンピュータ10が電源オンされた時、EC119は、USB充電モード情報を参照して、大電流充電モードがイネーブルであるかディスエーブルであるかを判定する(ステップS11)。
大電流充電モードがディスエーブルであるならば、EC119は、充電モード設定信号(CHGCONT)を使用して、USBバススイッチIC120をノーマルモードに設定する(ステップS12)。ノーマルモードにおいては、USBバススイッチIC120は、USBデバイス30によって充電器検出処理が開始された時に、USBデバイス30によってUSBポート21が第1タイプのポートであると認識されるように動作する。
一方、大電流充電モードがイネーブルであるならば、EC119は、まず、USB電源回路121を電源オフする(ステップS13)。ステップS13では、USB電源回路121が電源オフされることにより、USBポート21へのVBUSの供給が停止される。そして、EC119は、バッテリ17の残容量をチェックする(ステップS14)。
バッテリ17の残容量が閾値(例えば、満充電容量の10%)以上ある場合には、EC119は、充電モード設定信号(CHGCONT)を使用して、USBバススイッチIC120を大電流充電モードに設定する(ステップS15)。大電流充電モードにおいては、USBバススイッチIC120は、USBデバイス30によって充電器検出処理が開始された時に、USBデバイス30によってUSBポート21が第2タイプのポートであると認識されるように動作する。そして、EC119は、USB電源回路121を電源オンする(ステップS16)。ステップS16では、USB電源回路121が電源オンされることにより、USBポート21へVBUSが供給される。これにより、たとえ本コンピュータ10が電源オンされる前にUSBポート21にUSBデバイス30が既に取り付けられている場合であっても、USBデバイス30にUSBポート21のタイプを検出するための充電器検出処理を開始させることができ、これによってUSBデバイス30にUSBポート21が第2タイプのポートであると認識させることができる。
なお、図5のステップS11−S16の処理は、USBポート21にUSBデバイス30が取り付けられているか否かにかかわらず、実行しうる。USBポート21にUSBデバイス30が取り付けられた時、USBデバイス30は、VBUSを検出し、このVBUSの検出をトリガとして、充電器検出処理を開始する。
次に、図6のフローチャートを参照して、本コンピュータ10が電源オン状態である期間中にEC119によって実行される充電モード制御動作の手順を説明する。
EC119は、USB充電モード情報を参照して、大電流充電モードがイネーブルであるかディスエーブルであるかを判定する(ステップS21)。大電流充電モードがイネーブルであるならば、EC119は、本コンピュータ10が電源オン状態である期間中、バッテリ17の残容量を監視し、バッテリ17の残容量の変化の有無をチェックする(ステップS22)。
もしバッテリ17の残容量が閾値(例えば、満充電容量の10%)以上に増加したならば、EC119は、現在のUSB充電モードがノーマルモードであるかどうか、つまりUSBバススイッチIC120がノーマルモードに設定されているかどうかを判定する(ステップS23)。現在のUSB充電モードがノーマルモードであるならば、EC119は、現在のUSB充電モードを大電流充電モードに切り換えるために、充電モード設定信号(CHGCONT)を使用して、USBバススイッチIC120を大電流充電モードに設定する(ステップS24)。大電流充電モードにおいては、USBバススイッチIC120は、USBデバイス30によって充電器検出処理が開始された時に、USBデバイス30によってUSBポート21が第2タイプのポートであると認識されるように動作する。
もしバッテリ17の残容量が閾値(例えば、満充電容量の10%)よりも減少したならば、EC119は、現在のUSB充電モードが大電流充電モードであるかどうか、つまりUSBバススイッチIC120が大電流充電モードに設定されているかどうかを判定する(ステップS25)。現在のUSB充電モードが大電流充電モードであるならば、EC119は、現在のUSB充電モードをノーマルモードに切り換えるために、充電モード設定信号(CHGCONT)を使用して、USBバススイッチIC120をノーマルモードに設定する(ステップS26)。ノーマルモードにおいては、USBバススイッチIC120は、USBデバイス30によって充電器検出処理が開始された時に、USBデバイス30によってUSBポート21が第1タイプのポートであると認識されるように動作する。
以上の処理により、バッテリ17の残容量が閾値(例えば、満充電容量の10%)よりも減少した状態で、USBデバイス30がUSBポート21に取り付けられた場合には、USBデバイス30にUSBポート21が第1タイプのポートであると認識させることができるので、USBデバイス30が大電流を引き抜くことを禁止することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、バッテリ17の残容量が閾値よりも少ない場合には、USBポート21がポータブルデバイスによって第1タイプのポートであると認識されるように、USBバススイッチIC120(充電モード通知部120A)の動作が制御される。したがって、バッテリ17の残容量が閾値よりも少ない場合には、USBデバイスの充電のために大電流がUSBデバイスによって引き抜かれることを防止できるので、本コンピュータ10が動作が突然不安定になったり、本コンピュータ10が突然オフしてしまうことを防止することができるので、本コンピュータ10の動作に不具合を招くこと無く、USBデバイスのようなポータブルデバイスを充電することができる。
なお、本実施形態では、ノーマルモードと大電流充電モードの2つの充電モードを選択的に使用する場合を説明したが、使用可能な充電電流の最大値が互いに異なる3つ以上の充電モードを選択的に使用するようにしてもよい。
また、本実施形態は、USBポートの代わりに、IEEE 1394ポート、ディスプレイポートなどのポートにも適用することができ、これらIEEE 1394ポート、ディスプレイポートなどのポートに接続されるデバイスに供給可能な電流値を、バッテリ17の残容量に応じて適応的に制御してもよい。
また、図5のフローチャートで説明した手順および図6のフローチャートで説明した手順はコンピュータプログラムによって実行することも可能である。この場合、このコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのコンピュータプログラムをUSBポートのようなポートを備えたコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
また本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
実施形態によれば、電子機器は、バッテリから電力を受けるように構成されている。この電子機器は、ポートと、ホストコントローラと、第1の電源回路と、通知手段と、制御手段とを具備する。ホストコントローラは、前記ポートに取り外し自在に取り付けられたデバイスとの通信を実行する。前記第1の電源回路は、前記ポートを介して前記デバイスにバスパワーを供給する。前記通知手段は、前記ポートが第1の充電電流を供給可能な第1タイプポートまたは前記第1の充電電流よりも大きい第2の充電電流を供給可能な第2タイプポートのいずれであるかを前記デバイスに通知する。前記制御手段は、前記バッテリの残容量が閾値よりも少ない場合、前記ポートが前記デバイスによって前記第1タイプのポートであると認識されるように前記通知手段の動作を制御する。